第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

当社及び国内子会社は、当連結会計年度より決算期を3月31日より、海外子会社の決算期と同様の12月31日に変更しました。このため、経過期間となります当連結会計年度の状況につきましては、国内会社は平成29年4月1日から12月31日までの9ヶ月を対象とし、海外子会社は平成29年1月1日から12月31日までの12ヶ月を対象として記載しています。なお、前期と比較する場合につきましては、当連結会計年度と同一の対象期間に調整しました前期数値との比較を記載しております。

 

(1) 業績

当連結会計年度における世界経済の状況は、米国では個人消費に支えられて回復が続きましたうえ、中国を始めとするアジア諸国でもスピードは鈍りながらも成長が継続しましたが、政治や金融市場、地政学的なリスクに伴う景気の下振れ懸念も残りました。また我が国でも、景気は回復基調にありますものの、個人消費は未だに力強さを欠いています。

このような環境ではありましたが、当企業グループは長期構想や中期経営計画を刷新し、新しいステップにチャレンジするため、次の3つを年度の方針として掲げ、経営活動を行なってまいりました。

第一の方針である「すべての企業活動におけるバリューチェーンの拡張による新たな成長戦略の実現」については、高付加価値を提供できる事業やビジネスモデルを、新製品、新市場、新事業の切り口で開拓、拡張し、成長戦略の実現を目指しました。

色材・機能材関連事業では、液晶ディスプレイカラーフィルター用材料の新製品開発を進め、中国や台湾での販売を伸ばすとともに、リチウムイオン電池用材料や塗料用高意匠性顔料などのラインアップを拡げ、自動車分野への展開も強化しました。ポリマー・塗加工関連事業では、導電接着シートやクリーン仕様の粘着フィルムの新製品により、エレクトロニクスやディスプレイ分野の拡販を進めましたうえ、北米市場における、環境や安全に配慮した缶用塗料(フィニッシェス)の販売も、新たに開始しました。パッケージ関連事業では、植物由来の原料を使用したバイオマスインキの製品群を開発し、販売を開始しました。また、軟包装用水性インキの国内やアジアの各地域での拡販に加え、ルクセンブルクのインキメーカーとのライセンス契約の締結により、欧州市場における環境対応製品の供給、拡販体制も確立しました。印刷・情報関連事業では、富士製造所に新設した工場での、顔料との一貫生産を図ったUV(紫外線)硬化型インキの新製品の拡販や、オンデマンド印刷対応のインクジェット用インキの用途展開を進めました。

第二の方針である「革新を意識した視点でのモノづくりによるSCM(サプライチェーン・マネジメント)の進化」については、国内外拠点間の連携による工程や製法の見直しを行ない、コストダウンと生産性の向上に努めるとともに、需要の変化に柔軟に対応できる体制の整備を進めました。また、インドでのプラスチック用着色剤の新工場建設や、マレーシア、ベトナムでのグラビアインキの生産設備増強を進めたうえ、トルコやメキシコで新しい工場用地の取得を進めるなど、需要の伸びが期待できる事業や地域での供給体制の強化や、事業の複合化、拡張に努めました。

第三の方針である「経営基盤(経営資源、ガバナンス)の見直しによる風土変革の促進」については、グローバルな事業の一体運営や、経営情報の適時・適切な開示による経営の透明化を図るべく、グループ会社の決算期統一に伴う業務の見直しや、グローバル統合システムの構築を進めました。また、人材の活用強化のため、定年年齢の延長や退職金制度の見直しなどにも取り組んでまいりました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は2,403億44百万円(前期比5.1%増)と増収になりましたうえ、営業利益は167億74百万円(前期比8.0%増)、経常利益は174億73百万円(前期比13.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は103億76百万円(前期比24.1%増)と、それぞれ増益になりました。

 

 

報告セグメントのそれぞれの業績につきましては、次のとおりです。

 

 

売上高

営業利益

セグメントの名称

前連結
会計年度

 (調整後)
(百万円)

当連結
会計年度
(百万円)

調整後
増減率
(%)

前連結
会計年度

 (調整後)
(百万円)

当連結
会計年度
(百万円)

調整後

増減率
(%)

色材・機能材関連事業

57,445

63,385

10.3

3,412

5,273

54.5

ポリマー・塗加工関連事業

48,728

52,028

6.8

5,564

5,868

5.5

パッケージ関連事業

53,619

55,640

3.8

2,526

2,096

△17.0

印刷・情報関連事業

69,800

69,011

△1.1

2,831

2,996

5.8

その他

4,690

5,166

10.1

1,187

541

△54.4

234,284

245,233

4.7

15,522

16,775

8.1

消去又は全社

△5,523

△4,889

8

△1

連 結

228,761

240,344

5.1

15,530

16,774

8.0

 

 

① 色材・機能材関連事業

高機能顔料や液晶ディスプレイカラーフィルター用材料では、最終商品である高品位大型テレビ需要が堅調に推移し、スマートフォン需要も回復してきましたうえ、中国や台湾での拡販も実ってまいりました。

汎用顔料は、国内ではオフセットインキ用を中心に低調に推移しましたが、中国などで塗料やプラスチック用などの拡販が進みました。

プラスチック用着色剤は、国内では飲料キャップやトイレタリー容器用などが堅調に推移し、中国や東南アジアでの事務機器向けも回復しましたが、欧米の自動車向けは予想外に低調に推移しました。

これらの結果、当事業全体の売上高は633億85百万円(前期比10.3%増)、営業利益は52億73百万円(前期比54.5%増)と、増収増益になりました。

 

② ポリマー・塗加工関連事業

塗工材料では、電磁波シールドフィルムが伸び悩みましたが、一方で高品質のスマートフォン向け導電接着シートの拡販が進みました。また、エレクトロニクス関連の粘着フィルムの拡販が進みましたうえ、新規の貼付型医薬品事業も、堅調に推移しました。

接着剤は、食品などの包装用が、国内、韓国、東南アジアなどで好調に推移しました。粘着剤は、国内や韓国でエレクトロニクス用の拡販が進みましたうえ、ラベル用も後半回復してきましたが、原材料価格の上昇により利益は圧迫されました。

缶用塗料(フィニッシェス)は、国内ではコーヒー缶用の低調が続きましたうえ、ビール缶用も夏場の天候不順で伸び悩みましたが、北米での拡販が進みました。

これらの結果、当事業全体の売上高は520億28百万円(前期比6.8%増)、営業利益は58億68百万円(前期比5.5%増)と、増収増益になりました。

 

③ パッケージ関連事業

国内のグラビアインキは、出版用の需要減少が続きましたが、主力の包装用がプライベートブランドやコンビニエンスストア向けを中心に堅調に推移しましたうえ、建装材用も伸長しました。

海外では、中国で環境規制などに伴い需要が伸び悩みましたものの、北米や中南米、インドなどでの拡販は進みました。

また、グラビアのシリンダー製版事業は、包装用の一般製版が伸び悩みましたものの、特殊精密製版の拡販が進みました。

これらの結果、当事業全体の売上高は556億40百万円(前期比3.8%増)と増収になりましたが、原材料価格の上昇により、営業利益は20億96百万円(前期比17.0%減)と減益に終わりました。

 

 

④ 印刷・情報関連事業

デジタル化に伴う情報系印刷市場の縮小傾向のなか、国内では製品別にビジネス規模の最適化や絞り込みを進める一方、海外ではグローバルな拠点拡充による売上拡大を進めました。また、最先端技術を活用した高感度UVインキや、オンデマンド印刷対応のインクジェット用インキなどの開発や拡販を、ビジネス拡大に繋げてまいりました。

一方、国内におけるチラシなどの商業印刷や新聞、雑誌などの既存の情報出版向けのインキや、関連材料の需要は予想以上に低調に推移しました。また、中国や東南アジアにおいても、景気の減速や環境規制に伴う印刷会社の稼働率低下により、売上が低迷しました。

これらの結果、当事業全体の売上高は690億11百万円(前期比1.1%減)と減収になりましたが、高機能品の拡販とコストダウンにより、営業利益は29億96百万円(前期比5.8%増)と増益になりました。

 

⑤ その他

上記のセグメントに含まれない事業や、東洋インキSCホールディングスなどによる役務提供などを対象にしていますが、売上高は51億66百万円(前期比10.1%増)と増収になりましたものの、ホールディングスでのグローバル統合システム開発費用の増加などにより、営業利益は5億41百万円(前期比54.4%減)と減益になりました。

 

(2) キャッシュ・フロー

 

 

前連結会計年度
(百万円)

当連結会計年度
(百万円)

増減
(百万円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

23,370

18,663

△4,706

投資活動によるキャッシュ・フロー

△10,611

△5,912

4,698

財務活動によるキャッシュ・フロー

△11,231

△8,355

2,876

現金及び現金同等物の期末残高

44,132

49,262

5,129

 

 

当連結会計年度は決算期変更の経過期間であるため、各キャッシュ・フローに関する前期実績との比較は記載しておりません。

当連結会計年度の現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)の期末残高は、前期末残高より51億29百万円増加し、492億62百万円となりました。

営業活動により得られた資金は186億63百万円となりました。税金等調整前当期純利益計上による資金の増加や法人税等の支払いによる資金の減少などがありました。

投資活動により使用した資金は59億12百万円となりました。有形固定資産の取得などに伴う支出などによるものです。

財務活動により使用した資金は83億55百万円となりました。借入金の返済や配当金の支払いに伴う支出などによるものです。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

  当連結会計年度は決算期変更の経過期間となることから、当社及び3月決算であった国内連結子会社につきまし

 ては平成29年4月1日から平成29年12月31日の9ヶ月間を連結対象期間としております。このため、前年同期比に

 つきましては記載しておりません。なお、12月決算の海外連結子会社につきましては、従来通り、平成29年1月1

 日から平成29年12月31日の12ヶ月間を連結対象期間としております。

 

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

色材・機能材関連事業

65,977

ポリマー・塗加工関連事業

41,059

パッケージ関連事業

41,175

印刷・情報関連事業

44,956

    報告セグメント計

193,169

その他

279

合計

193,448

 

(注) 生産金額は製造原価によっており、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注状況

当企業グループにおける受注生産は極めて少なく、大部分計画生産でありますので、記載を省略しております。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

色材・機能材関連事業

61,355

ポリマー・塗加工関連事業

51,051

パッケージ関連事業

55,167

印刷・情報関連事業

68,976

    報告セグメント計

236,551

その他

3,792

合計

240,344

 

(注) 1  上記の金額は、連結会社間の内部売上高を除いております。

2  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3  主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合につきましては、販売実績の総販売実績に対する割合が10%以上の相手先が存在しないため、記載を省略しております。

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当企業グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当企業グループは、「人間尊重の経営」を経営哲学に掲げ、「世界にひろがる生活文化創造企業を目指す」ことを経営理念とし、「CS(顧客満足)、ES(社員満足)、SS(社会満足)、SHS(株主満足)を向上させる」ことを行動指針として、全ての企業活動を進めています。

2018年には創業122周年を迎えましたが、これらの経営哲学や経営理念、行動指針は不変のものとし継続しながらも、時代に応じて読み替えながら進化させることで、創業200周年に向け持続的な成長を目指していきます。

具体的には、生活文化創造企業として貢献する対象を、生活者だけでなく、生命や地球環境まで拡げ、これらの課題解決に取り組むことで、すべての対象が活き活きと共生する世界の実現に貢献してまいります。

また価値革新への追求や、リスクマネージメントの高度化も含めた、自らの持続的成長を可能にする企業体質への変革と、すべてのステークホルダーの持続可能性という長期的な視点での満足度の向上に努めていきます。

 

(2) 中長期的な経営戦略

当企業グループでは、長期構想を10年単位で掲げているなか、次なるターゲットである2027年に向けて提供していく価値を「For A Vibrant World」と定め、「100年レンジでの持続的成長が可能な企業体質に変革し、すべての生活者・生命・地球環境がいきいきと共生する世界に貢献する企業グループ」を目指しています。

この新たな長期構想の企業活動コンセプトは「Scientific Innovation Chain 2027」(SIC27)とし、「技術・製品」、「ビジネスモデル」、「ネットワーク」、「モノづくり」、「経営基盤」の5つの基軸で、革新的に発想し、科学的に実行していき、その連鎖によって持続的に成長できる企業体質に変革することを目指しています。また、ドメイン(事業領域)の枠組みも戦略的に見直し、拡大することで、成長市場のみならず、社会課題の解決や、生命や地球環境の持続成長可能性に繋がる領域にも注力しています。

この長期構想の第一ステップとなる中期経営計画「SIC-Ⅰ」(2018年度~2020年度)においては、長期構想SIC27の持続的成長の礎を創り上げる期間と位置づけ、マーケットの潜在ニーズを踏まえた提案型ビジネスにより、既存事業の変革を進めたうえ、新しい地域やマーケットへの展開、さらにはコア技術を活かした新しいビジネスの創出により、事業領域の拡大と売上の増大を図っていきます。

また、生産プロセスの変革に加え、IoT、AI、ロボット技術なども取り入れることで、モノづくりの革新を果たすとともに、国内外拠点の見直しと活性化を進め、タイムリーな製品供給や、グローバルでの安定品質の低コストでの提供を実現し、さらなる収益向上を目指します。

さらには、事業領域拡大やモノづくり革新に必要な経営資源を充実させるのに加え、CSRの推進、リスクマネージメント体制の強化などの経営基盤の確立を進め、社会の一員としての責務をより一層果たしていきます。

 

(3) 対処すべき課題

2018年度は、この新たな中期経営計画の初年度にあたり、東洋インキグループが持続的に成長していくための重要な年度となります。力強い一歩を踏み出すために、「マーケットの潜在ニーズを先取りした迅速な製品開発、価値提供による事業の拡大」、「処方や生産プロセス、素材などモノづくりの全面的な見直しによる利益の確保・増大の実現」、「持続的成長に向けた経営資源・スタッフ機能の構造改革の実行」を3つの方針として取り組み、各事業を推進していきます。

色材・機能材関連事業においては、本年1月より、液晶ディスプレイカラーフィルター用材料事業の生産・販売・技術機能を一体とした「東洋ビジュアルソリューションズ株式会社」を開業しました。事業に係る意思決定スピードを加速させ、市場が拡大する中国への拡販を強化することに加え、イメージセンサー向けの高機能材料の開発、拡販も促進します。またエネルギー分野においても、車載用やモバイル用のリチウムイオン電池用材料の開発と、供給体制の強化を進めます。

ポリマー・塗加工関連事業では、粘接着剤開発とクリーン塗加工技術を組み合わせたソリューション提案により、エレクトロニクスやディスプレイ関連材料の拡販を進めたうえ、包装・工業材料分野における環境対応製品群の拡充を図ります。また、北米、インド、トルコなどでの生産能力の増強を進め、グローバルでの拡販やSCMの整備を図ります。

パッケージ関連事業では、世界的な環境意識の高まりを受け、水性フレキソインキ、EB(電子線)硬化型フレキソインキ、バイオマスインキなど、エリアニーズにあった差別化環境対応製品をさらに展開していきます。また、東南アジアに増設中のグラビアインキ生産設備の早期安定稼働により、需要が増加する地域での供給体制の整備を図ります。

印刷・情報関連事業では、省エネルギータイプのUV硬化型インキの開発、拡販や、インクジェット用インキの用途展開をさらに進めます。また、需要の縮小が続く国内においては、生産・物流拠点の再整備を行ない、収益向上を目的とした構造改革を進めます。

これらに加え、オープンイノベーションや社内体制の整備による技術開発機能の強化拡充、データサイエンス活用による生産や管理体制の見直しも進め、中期経営計画の初年度としての力強い一歩を踏み出します。

 

(株式会社の支配に関する基本方針)

1  当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の内容の概要

当社は経営理念として「世界にひろがる生活文化創造企業を目指す」ことを掲げ、持株会社(ホールディングカンパニー)体制のもと、グループ連峰経営による企業活動を行っており、今後とも中長期的視野に立って、当企業グループの総合力を発揮し、更なる発展を図ることが、当企業グループの企業価値の向上と株主共同の利益に資することと確信しております。
 対象となる会社の経営陣の賛同を得ることなく、一方的に大規模な株式の買付けを強行するという大規模買付行為(下記3(1)で定義します)に対しては、当社は一概にこれを否定するものではなく、最終的に株主の皆様のご判断に委ねるべきものと考えております。しかし、実際には、大規模買付者(下記3(1)で定義します)に関する十分な情報の提供がなくては、株主の皆様は、当企業グループの企業価値に及ぼす影響を適切に判断することはできません。当社は、大規模買付者による情報提供、当社取締役会による検討・評価といったプロセスを確保するとともに、当企業グループの企業価値又は株主共同の利益に対する明白な侵害を防止するため、大規模買付行為に対する対抗措置を準備しておくことも、また当社の取締役としての責務であると考えております。

 

2  基本方針の実現に資する取組みの具体的な内容の概要  

当社は、創業から今日にいたるまで、事業と製品・サービスを通じて顧客・社員・社会における生活文化の創造に真摯に取り組んでまいりました。更に、当社は、今後の事業活動の発展はもとより、常に社会と共存し、株主の皆様をはじめとするステークホルダーの更なる満足度向上と信頼を得ることにより、企業価値・株主共同の利益の確保・向上に努めていきたいと考えております。
 この基本的な考え方のもと、当企業グループは、目指す姿“SCC(Science Company Change)2017”に向けて、2008年度から3回の中期経営計画を進め、2014年度からは最終ステップになるSCC-Ⅲを推進してまいりました。2017年度からは、次の10年のありたい姿を新たな長期構想として掲げ、その実現に向けた活動を推進しております。長期構想では企業活動のコンセプトを「Scientific Innovation Chain 2027」(SIC27)とし、「技術・製品」、「ビジネスモデル」、「ネットワーク」、「モノづくり」、「経営基盤」の5つの基軸で、革新的に発想し、科学的に実行していき、その連鎖によって持続的に成長できる企業体質に変革することを目指してまいります。また、これまでのドメイン(ライフサイエンス、コミュニケーションサイエンス、サスティナビリティサイエンスの3つの事業領域)の枠組みを戦略的に拡大し、成長市場のみならず、社会課題の解決や、生命や地球環境の持続成長可能性に繋がる領域にも注力してまいります。このような中長期的な取り組みにおいて、当社は引き続き、ホールディングカンパニー体制を活かし、スピードを重視した事業運営や当企業グループ全体のフレキシブルな経営資源の活用を進めるとともに、環境対応やリスク対応、グローバル共生、企業の社会的責任(CSR)を重視した「持続可能な経営」を強化してまいります。

 

 

3  基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの概要

(1) 本施策導入の目的について

特定の株主又は株主グループ(以下「特定株主グループ」といいます。)によって当社の株式の一定規模以上の買付行為が行われた場合の対応策(以下「本施策」といいます。)は、特定株主グループの議決権保有割合を20%以上とすることを目的とする当社株券等の買付行為、又は結果として特定株主グループの議決権保有割合が20%以上となる当社株券等の買付行為(当社取締役会が予め同意したものを除き、以下、かかる買付行為を「大規模買付行為」といい、大規模買付行為を行う者を「大規模買付者」といいます。)が、当企業グループの企業価値に重大な影響を及ぼす場合において、上記に記載した基本方針に沿って当企業グループの企業価値を確保し又は向上させるため、大規模買付行為に適切な対応を行うことを目的としております。

 

(2) 本施策の内容について
①  大規模買付ルールの概要

a.取締役会に対する情報提供

b.取締役会における検討及び評価

c.独立委員会の設置

②  大規模買付対抗措置

一定の大規模買付対抗措置の発動の要件をみたす場合は、当社取締役会は、独立委員会の勧告を最大限尊重し、会社法その他の法令及び当社定款によって認められる相当な大規模買付対抗措置を決議することができます。

③  本施策の有効期間等

本施策の有効期間は、2020年3月開催予定の当社の定時株主総会終結時までとなっております。また、当社株主総会又は当社取締役会において本施策を廃止する旨の決議が行われた場合には、本施策は廃止されます。

④  法令の改正等による修正

本施策で引用する法令の規定は、2017年5月12日現在施行されている規定を前提としているものであり、同日以後、法令の新設又は改廃により、上記各項に定める条項ないし用語の意義等に修正を加える必要が生じた場合には、当社取締役会において、当該新設又は改廃の趣旨を考慮のうえ、上記各項に定める条項ないし用語の意義等を適宜合理的な範囲内で読み替えることができるものとします。

 

4  上記の各取組みに対する当社取締役会の判断及びその理由

(1) 基本方針の実現に資する取組み(上記2の取組み)について

上記2に記載した企業価値の向上のための取組みは、当企業グループの企業価値・株主共同の利益を継続的かつ持続的に向上させるための具体的方策として策定されたものであり、基本方針の実現に資するものです。

(2) 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み(上記3の取組み)の概要について
①  本施策が基本方針に沿うものであること

本施策は、当社株券等に対する買付等が行われる場合に、当該買付等に応じるべきか否かについて株主の皆様が適切に判断し、また、当社取締役会が株主の皆様に代替案を提案するために必要な情報や時間を確保し、株主の皆様のために大規模買付者と協議又は交渉を行うことを可能とすることにより、当企業グループの企業価値及び株主共同の利益を確保するためのものであり、基本方針に沿うものです。

②  当社は、以下の理由から、本施策が株主共同の利益を損なうものではなく、また、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。

a.企業価値・株主共同の利益の確保・向上の目的

b.事前開示

c.株主意思の反映

d.取締役会の判断の客観性・合理性の確保

e.買収防衛策に関する指針の要件を完全に充足していること

f.デッドハンド型買収防衛策ではないこと

 

4 【事業等のリスク】

当企業グループの経営成績及び財政状態等(株価等を含む)に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当企業グループが判断したものであります。

 

(1) 経済動向に関するリスク

エレクトロニクス関連材料や包装用材料、印刷インキなどの当企業グループの主力製品は、一般的な消費動向の影響を受ける傾向があります。経済動向の影響を受けづらい収益構造を構築するため、世界各国でのさらなる事業展開、SCMの構築と、エネルギー分野やライフサイエンス分野等で、高機能製品の開発・販売をさらに強化しております。また、人件費・経費といった総固定費や原材料費等の変動費の削減など、経営全般におけるコスト削減を進めております。しかしながら、今後、消費需要の落ち込みもしくは販売価格の下落により、当企業グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 原材料調達に関するリスク 

当企業グループで製造する製品の主原料は石油化学製品であり、石油化学製品の仕入価格は、原油・ナフサなどの市況変動に大きな影響を受けます。政治情勢、国際的な投機などの要因で原油・ナフサ市場が高騰し、需給バランスが変動することにより、購入価格の上昇や調達困難を招いた場合は、当企業グループの売上高及び利益の低下を招く可能性があります。

 

(3) 為替の変動に関するリスク

当企業グループは、世界各国で事業を展開しており、海外連結子会社の財務諸表項目の円換算額は、為替相場に左右されます。急激な為替レートの変動により、当企業グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、外貨建て取引について、為替予約などにより相場変動リスクの軽減措置を講じておりますが、同様の可能性があります。

 

(4) 一般的な法的規制に関するリスク

当企業グループは、事業展開する内外各国において、事業活動に関わる一般的な法的規制の適用を受けております。これらの遵守のためCSR(コーポレート・ソーシャル・レスポンシビリティ)統括委員会の傘下にCSR推進部会及び専門部会であるリスクマネジメント部会、コンプライアンス部会、環境安全部会を設置・運用するとともに、財務報告の適正性確保のための内部統制システムの整備と運用の確保に努めております。しかしながら、国内及び海外事業に関連して、環境問題や製造物責任、特許侵害を始めとする当企業グループの事業に重大な影響を及ぼす訴訟紛争、その他の法律的手続きが今後発生しないという保証は無く、万一訴訟等が提起された場合、その争訟金額等によっては当企業グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 情報漏洩、滅失、毀損に関するリスク

当企業グループでは、事業を展開する上で、当企業グループ及び取引先の機密情報や個人情報などの秘密情報を保持しております。その多くは電子情報として保持・利用されておりますが、インターネットをはじめとするネットワーク環境において、コンピュータウィルスやセキュリティ侵害による情報漏洩、滅失又は毀損のリスクは増大する傾向にあります。当企業グループとしては、情報システム面で万全の対策を講じるとともに、情報セキュリティオフィスを設置し、情報管理強化と社員教育を通じてリスク低減に努めておりますが、万一不測の事態により情報漏洩、滅失又は毀損が発生した場合は、社会的信頼の失墜、秘密保持契約違反、当企業グループのノウハウの流出又は逸失による競争力の低下などが発生する可能性があります。

 

 

(6) 一般的な債権回収に関するリスク

当企業グループの製品は、国内外のさまざまな業界の多数の顧客に納入しておりますが、顧客の経営状況によっては、これらに対する売上債権等を回収することができないこともあり得ます。現有債権につきましては回収不能見込額を既に引当金として計上するとともに、今後の貸倒れの発生が減少するように与信管理を強化しておりますが、予想を上回る回収不能が発生した場合には、当企業グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 海外活動に潜在するリスク

当企業グループは、海外においても生産及び販売活動を行っており、今後伸長が見込まれる海外市場への進出も拡大していく方針です。これらの海外市場への事業進出には以下のようなリスクが内在しており、これらの事象が発生した場合は、当企業グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

・予期しえない法律・規制・不利な影響を及ぼす租税制度の変更

・社会的共通資本(インフラ)が未整備なことによる当企業グループの活動への悪影響

・不利な政治的要因の発生

・テロ、戦争、伝染病などによる社会的混乱

・予期しえない労働環境の急激な変化

 

(8) 災害・疫病等に関するリスク

当企業グループでは、大規模地震等の自然災害や新型インフルエンザ(パンデミック)等の不可避的な事業中断リスクを想定し、リスクに応じた緊急行動マニュアルの策定や定期的な実地訓練等による事業継続体制の整備に努めておりますが、予想を上回る被害の拡大や長期化が進みますと、建物や生産設備等をはじめとする資産の毀損、従業員の出勤不能、電力・水道の使用制限、原材料の調達困難、物流機能の停滞等により供給能力が低下し当企業グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 環境負荷発生のリスク

当企業グループでは、製造工程で発生する廃棄物、大気や公共用水域への排出、騒音・振動、土壌汚染、電気機器に用いられていたポリ塩化ビフェニル、冷凍空調設備で使用されるフロン等について、国内外の様々な環境法規による規制を受けております。当企業グループでは、これらの規制を順守するとともに、エネルギー使用量、産業廃棄物発生量、用水使用量等の削減を進めておりますが、環境法規の順守又は環境改善のための追加的な義務に関連する費用が発生する場合は、業績等に影響が生じる可能性があります。
 また、当企業グループは化学製造業を主な事業としており、原料や製品に危険物や化学物質を多数扱っております。CSR経営の一環として、CSR 統括委員会傘下の環境安全部会を中心に、火災等の事故発生防止や環境負荷低減に積極的に取り組んでおり、化学物質の使用に関して想定されるリスクに対しても、あらゆる回避策を講じておりますが、火災、漏洩等の不測の事態や法整備以前の過去の行為に起因する土壌・地下水汚染などが発生した場合には、当企業グループの生産能力や社会的信用の低下、土壌・地下水汚染対策費の発生などを招く恐れがあります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

当社は、平成29年9月19日開催の取締役会において、当企業グループの表示材料関連事業の再編を実施することを決議しております。これに伴い、当社は、新たに完全子会社として東洋ビジュアルソリューションズ株式会社(以下、「TVS」といいます)を平成29年9月19日付で設立し、当社の完全子会社であるトーヨーカラー株式会社の表示材料関連事業を吸収分割の方法により、TVSに承継させることを平成30年1月1日付で実施しております。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」の(重要な後発事象)をご参照ください。

 

 

6 【研究開発活動】

当企業グループは、既存のお客様のみならず新規のお客様に対しても新たな価値提案を行うべく、基盤技術の多用途展開や、より幅広い製品群開発に繋がる新規技術開発に向け、積極的に活動しております。また、こうした技術・製品開発を通じて、当企業グループの目指す3つの事業ドメインとその重点分野である①ライフサイエンスドメイン:パッケージ分野・ヘルスケア分野、②コミュニケーションサイエンスドメイン:エレクトロニクス分野・ファインイメージング分野、③サスティナビリティサイエンスドメイン:環境調和分野・エネルギー関連分野を柱にお客様に貢献し、世界の人々の豊かな生活や持続可能な社会の実現に貢献する為、日々取り組んでおります。

当企業グループにおける研究開発は、当社のグループテクノロジーセンター(イノベーションラボ、マテリアルサイエンスラボ、ポリマーデザインラボ、解析技術ラボ)、生産・物流本部(プロセスイノベーション研究所)、及び国内・海外の各連結子会社の技術部門により推進しております。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、58億94百万円であり、各セグメント別の研究目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は、次のとおりです。

 

(1) 色材・機能材関連事業

当事業では、色材設計・合成技術を進化させてきた素材開発技術と、顔料化技術を発展させた精密粒子制御技術・精密分散技術によって、新素材や先端部材開発の挑戦を続けております。

顔料及び顔料分散体事業では、厳しくなる環境規制に対応する安全・安心な色材の開発に取り組み、環境懸念原料を一切使用しない高純度顔料の開発を進めております。また、これらの新製品は特長のある色彩を提案でき、高意匠性を実現できる色材と期待されております。顔料技術と精密分散技術を融合し、高色域・高鮮明・易分散を実現した独自技術HAYABUSAプロセスはさらに進化し、インクジェット等デジタル印刷市場向け製品や、分散体、塗料、新色材(顔料)として実績化を進めております。

メディア事業関連では、ディスプレイ用カラーフィルターや、今後のIoT社会に必須の光センサー材料を開発しております。ディスプレイは高精細化が進み、輝度、コントラスト、色再現域の向上が求められております。独自に設計された顔料・染料と高度なレジスト技術により、自製の新規グリーン顔料は国内の高級テレビで採用されたほか、中国市場では各社ライン特性に適合させたレジスト製品でシェアを拡大しました。また、RGB色分解センサーはモバイルや監視カメラで採用が進み、自社開発の赤外線吸収材料で光学制御を赤外線領域にも広げ、センサー事業の拡大を進めております。

着色事業関連では、自動車の電動化・自動運転化に伴う素材変革に向けて熱伝導コンパウンドやカーボンナノチューブ(CNT)コンパウンドの開発が進み、熱マネジメントや電磁波吸収・高漆黒といった用途で応用検討されております。また、意匠性への要求が高い容器用マスターバッチ(MB)は新たな提案としてフロスト(すりガラス)調のMBを開発し、お客様の好評を得ております。開発が進んでいるリキッドカラーシステムについては多彩なカラーバリエーションに加え、機能性分野へも積極的に紹介を始めました。

機能材料事業関連では、リチウムイオン二次電池用分散体は電池性能アップのための改良を続け、独自のCNT分散体との融合技術により電池メーカーから好評を得て、国内のみならず海外も視野に入れた生産拠点を考えたプロジェクトをスタートしました。先端機能材料では、色材設計技術を進化させた波長制御材料「OPTLIONシリーズ」の応用領域を広め、光波長狭帯域吸収・透過制御材、波長変換材料等の開発を進めており、IoT、AI時代のセンサー用部材やエネルギー関連事業への応用を考えております。

当事業に係わる研究開発費は、19億97百万円です。

 

(2) ポリマー・塗加工関連事業

当事業では、塗加工材料・粘着剤・接着剤・ホットメルト・機能性コーティング剤等の事業の礎となるポリマー・サイエンス・テクノロジープラットフォームの拡充に取り組み、高付加価値製品や環境調和製品の開発を通して、豊かな暮らしと持続可能な社会に貢献してまいります。

スマートフォン・タブレット市場向け機能性フィルムのうち、市場で高い評価を受けている導電性接着シートは海外で大きく拡販が進みました。さらに、これら機能性フィルムに使用しているポリマー技術や分散技術を拡張させ、第5世代向け低誘電性を有する高柔軟系接着シートや電波吸収シートを開発しております。また、研磨パッド用両面テープ等幅広い分野に向けた製品群を開発してまいります。

粘接着剤は、独自のウレタン系粘着剤・アクリル系粘着剤の技術を使い、国内・海外のお客様に対し光学用粘着剤の実績が大幅に伸張しました。今後も国内・海外のお客様の顕在・潜在ニーズを捉え、開発を進めてまいります。ラミネート接着剤については国内・海外での拡販が進み、特に環境調和型の無溶剤系接着剤の開発が進みました。今後も環境調和型の開発を重点化してまいります。

電池周辺材料は、太陽電池バックシート用接着剤とプライマーのほか、リチウムイオン二次電池パッケージ用接着剤や、二次電池セパレーター・電極用樹脂の開発が進みました。

機能性コーティング剤の製缶用塗料(フィニッシェス)では、先端的な環境性能を有する新製品群が完成し、特に海外への市場展開で実績が拡大しました。

ヘルスケア関連では、海外で貼付用粘着剤の拡販が進みました。次期開発品である肌に優しい粘着剤の開発を進めております。また、一昨年に買収した貼付型医薬品事業については、当企業グループのポリマー・塗加工技術を融合させた、新規ジェネリック貼付薬の開発が順調に進んでおります。

当事業に係わる研究開発費は、15億29百万円です。

 

(3) パッケージ関連事業

当事業は、堅調な成長を続けるパッケージ向けの製品とサービスの提供を中心に、建材インキ、スクリーンインキ及び機能性インキをグローバルに展開しております。

食品パッケージ用インキにおいては、高いレベルでのラミネート強度の安定性と使い易さを追求した汎用ラミネートインキ新製品が完成し国内市場で実績化が進みました。

また、建材、機能性インキ分野では、化粧板用高耐久性コート剤や特徴的な触感を有するグラビアインキ、スクリーンインキの実績化が進んできております。

近年のパッケージ用インキ開発においては、機能と使い易さへの要求や国内外規制の準拠はもちろんの事、様々な環境問題への対応が求められております。こうしたご要望に応えるべく国内市場に向けては、非食用天然物由来原料を使用し二酸化炭素排出削減につながるグラビアインキ「レアルNEX BO」、フレキソインキ「アクワPKバイオ」を展開しており、現在もラインアップを拡大しております。また、海外市場においては、国情やお客様のご要望に応じて水性グラビアインキ、水性フレキソインキ、EBフレキソインキ、あるいは簡素な溶剤組成で溶剤回収しやすいグラビアインキによる揮発性有機化合物(VOC)排出削減提案を行っております。

さらに、当企業グループのラミネート接着剤、ホットメルト、製版技術を合わせ、これからも石化原料使用の削減や、VOC排出削減の研究を推進し、お客様とともに持続可能な開発目標の達成に貢献する製品とサービスを提供してまいります。

当事業に関わる研究開発費は、8億22百万円です。

 

(4) 印刷・情報関連事業

当事業では二酸化炭素の排出を大幅に削減する低炭素社会の実現に向けて、ノンVOC・低VOC化、省エネルギー・省資源化、脱石化天然物など環境対応にも配慮したインキ製品の開発・販売を積極的に行っております。

油性インキでは、再生植物油を使用したノンVOCインキ「TOYO KING NEX NVシリーズ」、インキ使用量が大幅に削減できる超高濃度新聞インキ「ヴァンテアンエコー リオシリーズ」の開発など持続可能な社会に貢献するとともに、お客様の生産性向上、コスト削減製品開発を継続して進めております。

UVインキは、より省電力で硬化する新型高感度UV・LEDインキ「FLASH DRY LPC/LED シリーズ」を上市し、従来品からの特長である瞬間硬化による短納期化やノンVOCに加え、油性インキ同等の作業性や紙面品位が得られ好評を得ております。

また再生可能な、生物由来の有機資源で化石資源を削減したバイオマス製品としまして、枚葉インキ「TOYO KING NEXシリーズ」、オフ輪インキ「WEB DRY レオエックス シリーズ」に続き、業界初となるUVインキ「FLASH DRY HB エコーBIOシリーズ」を上市し、環境・安全性に配慮した製品ラインアップの拡充を図りました。

インクジェットインキでは、サイン用途向けの低臭溶剤系インキ、多様な被印刷体に密着するLED硬化型UVインキ製品を拡充し、オンデマンド印刷用途では商業用の高演色水性インキ、ローマイグレーションUVインキ、食品包装用水性インキに加えて、捺染用水性インキの開発も進めております。

当事業に係わる研究開発費は、15億39百万円です。

 

なお、上記の4つの事業に含まれない研究開発費は、5百万円であります。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当企業グループが判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当企業グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されていますが、その作成には経営者による会計方針の選択・適用と、資産・負債及び収益・費用の報告金額に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りにあたっては過去の実績等を勘案し合理的な判断を行っていますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性がありますため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

当企業グループは当連結会計年度より、国内会社の決算期を3月末日から、海外会社の決算期と同様の12月末日に変更しましたため、当連結会計年度は国内9ヶ月、海外12ヶ月を対象としておりますが、この期間における経営成績は、売上高は2,403億44百万円、営業利益は167億74百万円、経常利益は174億73百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は103億76百万円となりました。これは、前連結会計年度を同様の期間に置き換えた業績と比べ増収増益になりましたうえ、当連結会計年度に2017年1~3月の国内業績を加えて年間換算した数値で、初めて営業利益が200億円を超す結果となりました。

その内容は、「第2 事業の状況」の「1 業績等の概要」に記載の通りで、原材料価格が上昇しましたうえ、国内印刷インキ市場の伸び悩みが続き減損損失も発生しましたものの、ディスプレイやエレクトロニクス関連などの高機能製品の拡販やコストダウンが進み、これらをカバーするに至りました。

 

(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について

当企業グループが提供する製品の市場は多岐に渡っておりますが、一般的な消費動向や、石油化学系原料の仕入価格、為替レートなどは、当企業グループの経営成績に大きく影響を与える要因になっております。当連結会計年度では、為替は比較的に安定的に推移しましたものの、原材料価格の上昇は進行しており、次期はさらに利益を圧迫することが懸念されています。当企業グループでは、石油代替原料の検討や調達手段の多様化も含め、さまざまなコストダウンを進めていきますが、企業努力で吸収できる範囲を上回る原材料価格上昇については、販売価格への適切な転嫁も図ってまいります。

また世界的な環境規制の強化が、当企業グループの製品や製造工程のみならず、原材料調達や顧客の需要動向にまで影響を及ぼしてきています。これらへの適切な対応を進めるとともに、逆にビジネスチャンスと捉え、環境対応製品の開発・拡販や、事業の拡大を図ってまいります。

その他、海外活動や災害への対応など、当企業グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクについては、「第2 事業の状況」の「4 事業等のリスク」に記載の通りですが、これらの発生を抑制する活動を、CSR統括委員会傘下のリスクマネジメント部会を中心に、引き続き積極的に推進していきます。

 

 

(4) 経営戦略の現状と見通し

当企業グループは、「人間尊重の経営」を経営哲学に掲げ、「世界にひろがる生活文化創造企業を目指す」ことを経営理念とし、「CS(顧客満足)、ES(社員満足)、SS(社会満足)、SHS(株主満足)を向上させる」ことを行動指針として、全ての企業活動を進めています。

また、長期構想「Scientific Innovation Chain 2027」では、次なるターゲットである2027年に向けて提供していく価値を「For A Vibrant World」と定め、すべての生活者・生命・地球環境がいきいきと共生する世界に貢献する企業グループを目指しています。これに伴いドメインについても、これまでの枠組みを戦略的に拡大し、成長市場のみならず、社会課題の解決や、生命や地球環境の持続成長可能性に繋がる領域にも注力しています。

 

(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当連結会計年度の営業活動により得られた資金が186億63百万円、投資活動により支出した資金が59億12百万円となりました結果、現金及び現金同等物の期末残高は492億62百万円と、当連結会計年度末日が休日により膨らんでいる分を差し引いても、前連結会計年度末と比べ増加しています。また有利子負債は、617億72百万円と29億87百万円減少、これによりDEレシオは0.32倍と圧縮、自己資本比率は58.5%と上昇と、さらにキャッシュフローの改善が図られ、財務体質は強固になってきております。

一方、株主の皆様への還元も、前述の「SHSの向上」の重要な施策と捉えており、将来の利益向上に寄与するための内部留保の充実に努めつつ、安定的な配当を継続することを基本方針として、業績や経営環境を総合的に勘案して配当を行っております。当連結会計年度は国内会社9ヶ月を対象とした決算ではありますが、期末配当金を1株につき8円とし、年間では前連結会計年度と同じ16円(連結での配当性向45.0%)を配当させていただきます。

 

(6) 経営者の問題認識と今後の方針について

今後の世界経済の動向は、緩やかな回復が続くと期待されますものの、先行き不透明な状態が続くものと予想されます。当企業グループにおいても、原材料価格の上昇など、厳しい事業環境が続くものと予想されますが、次期より開始する、長期構想の第一ステップとなる中期経営計画「SIC-Ⅰ」では、当企業グループが持続的に成長していくための礎を創り上げる期間と位置づけ、変革のための施策を立て続けに打ってまいります。

具体的には、成長に向けた既存事業の変革と新事業への挑戦や、持続可能性向上に向けたモノづくり革新の推進、経営基盤の刷新を進め、事業別には「第2 事業の状況」の「3 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通りの活動を進めることで、これらの実現を図ってまいります。