第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度における世界経済の状況は、米国では個人消費に支えられて回復が続きました一方、中国を始めとする新興国では成長が減速してまいりました。さらには、自国第一主義の政治や社会の広がりにより、経済面でも不透明感が高まってきています。また、これを受けて我が国でも、景気は回復傾向にあるものの、伸び悩みが続いています。

このような厳しい環境ではありましたが、当企業グループは、「マーケティング主導のイノベーションの加速による着実なビジネス獲得」、「変化に柔軟に対応できるグローバルネットワークの構築」、「さらなる権限移譲の推進によるグループ各社の自主・自立・自走の加速」を年度の方針として、以下の経営活動を行なってきました。

第一の方針である「マーケティング主導のイノベーションの加速による着実なビジネス獲得」については、新たな事業領域の拡大のための開発や拡販に向けた活動を推進しました。色材・機能材関連事業においては、イメージセンサー向けレジストインキなど、IoT関連材料の開発を進捗させるとともに、リチウムイオン電池用電極材料や自動車塗料向け高彩度顔料分散製品の拡販を進めました。ポリマー・塗加工関連事業では、導電接着シートなど、エレクトロニクスやディスプレイ関連材料の新製品開発や拡販を推進するとともに、昨年7月には貼付型医薬品事業を取得、新しい領域に進出しましたうえ、当企業グループが保有する生体適合性ポリマー合成技術や、塗加工技術と組み合わせた基盤強化を図っています。パッケージ関連事業では、東南アジア、インド向け包装用ボリュームゾーン向けのノントルエングラビアインキの拡販を継続しましたほか、欧州向け軟包装用水性フレキソインキや、ノンVOC(揮発性有機化合物)タイプのEB(電子線)硬化型フレキソインキを発売、環境対応製品の積極的な展開を進めました。印刷・情報関連事業では、省エネルギータイプのUV(紫外線)硬化型オフセットインキ新製品を発売するなど、グローバル規模でUVインキの拡販を進めましたほか、ディスプレイ用のハードコート剤や、商業用及び包装用の小ロット多品種のオンデマンド印刷に対応するインクジェット用インキの開発や拡販を進めました。また本年2~3月には、プライベートショウを東京と大阪で延べ3日間にわたり開催し、これらの新製品の紹介に加え、当企業グループの未来に向けた進化の様相も発信しました。

第二の方針である「変化に柔軟に対応できるグローバルネットワークの構築」については、これまでに進出、拡大してきた成長エリアや事業において、ネットワーク構築によるグループ総合力強化を図りました。需要増が見込めるUVインキにおいては、国内や欧州での新工場稼働に加え、世界各地での現地生産化を進め、為替変動などの変化に対応できる生産体制の整備を行ないました。また成長エリアであるインドにおいては、新たにポリマー工場を建設するなど、事業の複合化を推進したうえ、新たな拠点であるトルコでも、中東やアフリカへの展開や、事業複合化に向けた取り組みを活発化させました。さらにフランスの子会社3社を合併し、機能連携による経営基盤の強化を図りました。

第三の方針である「さらなる権限移譲の推進によるグループ各社の自主・自立・自走の加速」については、グループ各社の役割に応じた権限移譲と資源配分を進める一方、昨年12月に移転した新本社から、グループとして共有化すべき風土(企業文化)や経営方針、マネジメントスタイルを発信しました。また、グローバル規模での統合システムの展開により、経営情報のタイムリーな共有化も図ったうえ、政策保有株式の見直しや自己株式の取得などの資本政策も進めてきました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は、海外会社の業績の為替換算の影響もあり2,684億84百万円(前連結会計年度比5.2%減)と減収になりましたが、営業利益は192億31百万円(前連結会計年度比5.5%増)、経常利益は192億62百万円(前連結会計年度比4.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は127億2百万円(前連結会計年度比7.5%増)と、それぞれ増益になりました。

 

 

報告セグメントのそれぞれの業績につきましては、次のとおりです。

 

 

売上高

営業利益

セグメントの名称

前連結
会計年度
(百万円)

当連結
会計年度
(百万円)

増減率
(%)

前連結
会計年度
(百万円)

当連結
会計年度
(百万円)

増減率
(%)

色材・機能材関連事業

71,878

65,935

△8.3

4,227

4,604

8.9

ポリマー・塗加工関連事業

60,894

58,325

△4.2

5,547

6,641

19.7

パッケージ関連事業

64,623

62,965

△2.6

2,723

2,871

5.4

印刷・情報関連事業

87,439

81,651

△6.6

2,977

3,317

11.4

その他

5,980

6,115

2.3

2,754

1,777

△35.5

290,816

274,993

△5.4

18,230

19,213

5.4

消去又は全社

△7,608

△6,509

5

18

連 結

283,208

268,484

△5.2

18,236

19,231

5.5

 

 

①  色材・機能材関連事業

高機能顔料や液晶ディスプレイカラーフィルター用材料は、テレビやスマートフォンなどの最終製品の需要が、世界的に伸び悩みましたことに加え、中国への市場シフトに伴う価格競争激化が進み、売上や営業利益がさらに圧迫されました。

汎用顔料は、国内では包装用印刷インキ向けや自動車関連が堅調、建築関連も回復してきましたが、中国や東南アジアでは伸び悩みました。

プラスチック用着色剤は、国内では容器用の拡販が進みました一方、中国や東南アジアでの事務機器向けが引き続き低調に推移しましたが、高機能製品への転換により利益改善は進みました。

これらの結果、当事業全体の売上高は659億35百万円(前連結会計年度比8.3%減)と減収になりましたが、営業利益は46億4百万円(前連結会計年度比8.9%増)と増益になりました。

 

②  ポリマー・塗加工関連事業

塗工材料では、電磁波シールドなどの機能性フィルムが、スマートフォン市場が低調に推移するなか、新製品の拡販は進みました。また広告サイン用は伸び悩みましたが、工業用の両面テープは韓国向けが好調に推移しました。さらには貼付型医薬品事業を買収、昨年7月より業務を開始し、メディカル市場への参入も果たしました。

接着剤は、包装用が国内や韓国で堅調に推移しましたが、中国やインドネシアなどの東南アジアでは伸び悩みました。粘着剤は、国内でラベル用や、韓国や中国でのディスプレイ用が伸び悩みましたが、北米での工業用の拡販は進みました。

缶用塗料(フィニッシェス)は、国内ではコーヒー缶用の低調が続きましたが、ビール缶用の拡販が進みましたうえ、東南アジアでも堅調に推移しました。

これらの結果、当事業全体の売上高は583億25百万円(前連結会計年度比4.2%減)と減収になりましたが、コストダウンが進みましたため、営業利益は66億41百万円(前連結会計年度比19.7%増)と増益になりました。

 

③  パッケージ関連事業

国内のグラビアインキは、出版用の需要減少が続きましたうえ、リセール品である溶剤販売が減少しましたが、主力の包装用が飲料やプライベートブランド品向けを中心に堅調に推移、建装材用も後半に需要が回復し、利益改善も進みました。

海外では、東南アジアやインドで包装用ボリュームゾーン向けの環境対応インキの拡販が継続しました。

また、グラビアのシリンダー製版事業は、包装需要の堅調に伴い増収になりましたうえ、グラビア関連の機器販売も増加しました。

これらの結果、当事業全体の売上高は629億65百万円(前連結会計年度比2.6%減)と減収になりましたが、営業利益は28億71百万円(前連結会計年度比5.4%増)と増益になりました。

 

 

④  印刷・情報関連事業

オフセットインキは、国内でのデジタル化に伴う情報系印刷市場の縮小という構造的不況による需要減少が続きましたうえ、前半は円高に伴って国内からの輸出品の利益が圧迫されました。一方、国内やヨーロッパを中心にグローバル規模でのUVインキの拡販が進みましたうえ、タッチパネル用ハードコート剤も好調に推移しました。

また中国や東南アジアでは、景気の減速により売上が伸び悩みましたが、インドやブラジルでは拡販が進みましたうえ、利益改善も進みました。

グラフィックアーツ関連機器及び材料は、国内オフセット印刷市況の低迷に伴い、印刷関連の材料や機器販売が減少しました。

これらの結果、当事業全体の売上高は816億51百万円(前連結会計年度比6.6%減)と減収になりましたものの、コストダウンの推進により、営業利益は33億17百万円(前連結会計年度比11.4%増)と増益になりました。

 

⑤ その他

上記のセグメントに含まれない事業や、東洋インキSCホールディングスなどによる役務提供などを対象にしていますが、売上高は61億15百万円(前連結会計年度比2.3%増)と増収になりましたものの、ホールディングスでの本社移転に伴う費用の発生や、グローバル統合システム開発費用の増加などにより、営業利益は17億77百万円(前連結会計年度比35.5%減)と減益になりました。

 

(2) キャッシュ・フロー

 

 

前連結会計年度
(百万円)

当連結会計年度
(百万円)

増減
(百万円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

25,727

23,370

△2,357

投資活動によるキャッシュ・フロー

△17,457

△10,611

6,846

財務活動によるキャッシュ・フロー

△5,817

△11,231

△5,414

現金及び現金同等物の期末残高

43,744

44,132

388

 

 

現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末残高より3億88百万円増加し、441億32百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により得られた資金は233億70百万円(前連結会計年度比23億57百万円減)となりました。税金等調整前当期純利益計上による資金の増加や法人税等の支払いによる資金の減少などがありました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用した資金は106億11百万円(前連結会計年度比68億46百万円減)となりました。有形固定資産の取得などに伴う支出などによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により使用した資金は112億31百万円(前連結会計年度比54億14百万円増)となりました。自己株式の取得や配当金の支払いに伴う支出などによるものです。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

色材・機能材関連事業

73,746

△11.2

ポリマー・塗加工関連事業

45,515

△1.7

パッケージ関連事業

45,545

△1.2

印刷・情報関連事業

52,060

△3.3

    報告セグメント計

216,867

△5.4

その他

274

△8.4

合計

217,141

△5.4

 

(注) 生産金額は製造原価によっており、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注状況

当企業グループにおける受注生産は極めて少なく、大部分計画生産でありますので、記載を省略しております。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

色材・機能材関連事業

63,442

△8.0

ポリマー・塗加工関連事業

56,771

△3.7

パッケージ関連事業

62,386

△2.4

印刷・情報関連事業

81,586

△6.5

    報告セグメント計

264,186

△5.3

その他

4,297

2.9

合計

268,484

△5.2

 

(注) 1  上記の金額は、連結会社間の内部売上高を除いております。

2  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3  主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合につきましては、販売実績の総販売実績に対する割合が10%以上の相手先が存在しないため、記載を省略しております。

 

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当企業グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当企業グループは、「人間尊重の経営」を経営哲学に掲げ、「世界にひろがる生活文化創造企業を目指す」ことを経営理念とし、「CS(顧客満足)、ES(社員満足)、SS(社会満足)、SHS(株主満足)を向上させる」ことを行動指針として、全ての企業活動を進めています。

平成28年には創業120周年を迎えましたが、これらの経営哲学や経営理念、行動指針は不変のものとし継続しながらも、時代に応じて読み替えながら進化させることで、創業200周年に向け持続的な成長を目指していきます。

具体的には、生活文化創造企業として貢献する対象を、生活者だけでなく、生命や地球環境まで拡げ、これらの課題解決に取り組むことで、すべての対象が活き活きと共生する世界の実現に貢献してまいります。

また価値革新への追求や、リスクマネージメントの高度化も含めた、自らの持続的成長を可能にする企業体質への変革と、すべてのステークホルダーの持続可能性という長期的な視点での満足度の向上に努めていきます。

 

(2) 中長期的な経営戦略

当企業グループは、目指す姿“SCC(Science Company Change)2017”に向けて、平成20年度から3回の中期経営計画を進め、平成26年度からは最終ステップになるSCC-Ⅲを推進してまいりました。「エボリューションプラン」とも名付けた当計画では、環境対応や世界の各地域のニーズにマッチした新製品の開発や拡販を進めるとともに、エネルギー関連やヘルスケアなどの新しい事業領域への進出を図ってきましたが、国内印刷市場の需要低迷や液晶関連材料市場の競争激化のなか、次なる収益の柱となる事業の確立までには至りませんでした。一方、グローバル展開においては、インドやトルコ、ブラジル、中国内陸部など、将来性の高い市場への進出や拡充を図り、一部に利益面での進捗遅れはあるものの、事業地域の拡張とネットワークの強化が進みました。

平成29年度からは、次の10年のありたい姿を新たな長期構想として掲げ、その実現に向けた活動を推進していきます。長期構想では企業活動のコンセプトを「Scientific Innovation Chain 2027」(SIC27)とし、「技術・製品」、「ビジネスモデル」、「ネットワーク」、「モノづくり」、「経営基盤」の5つの基軸で、革新的に発想し、科学的に実行していき、その連鎖によって持続的に成長できる企業体質に変革することを目指していきます。また、これまでのドメイン(ライフサイエンス、コミュニケーションサイエンス、サスティナビリティサイエンスの3つの事業領域)の枠組みを戦略的に拡大し、成長市場のみならず、社会課題の解決や、生命や地球環境の持続成長可能性に繋がる領域にも注力してまいります。

 

(3) 対処すべき課題

平成29年度は、これらの長期構想や中期経営計画の移行期にあたるなか、「エボリューションプラン」の積み残し課題の解決に取り組むことに加え、新しい長期構想に向かって、次の3つの方針によって事業活動を進めてまいります。
 第一の方針は「すべての企業活動におけるバリューチェーンの拡張による新たな成長戦略の実現」であり、高付加価値を提供できる事業やビジネスモデルを、新製品、新市場、新事業の切り口で行ない、成長戦略の実現を目指します。具体的には、マーケティングを拡充することにより、現行事業を水平、垂直的に、成長性の高い周辺分野に拡張していくとともに、当企業グループが保有する素材や技術を基にした新たな分野への進出も探索し、事業の拡大を図っていきます。
 第二の方針は「革新を意識した視点でのモノづくりによるSCM(サプライチェーン・マネジメント)の進化」であり、生産処方やプロセスの根本的な見直しによるコスト競争力の向上や、これまでにグローバル展開した拠点のネットワークのさらなる強化により、今後の需要の変化への対応力や高機能製品の供給力の向上、さらには収益性の改善を進めていきます。
 第三の方針としては「経営基盤(経営資源、ガバナンス)の見直しによる風土変革の促進」を掲げ、ヒト、モノ、カネ、情報、技術、風土の6つの経営資源の進化を進めていきます。また、次期より当企業グループの決算期を12月に変更することを予定していますが、これに伴い内外のグループ会社の決算期を統一することで、グローバルな事業の一体運営や、経営情報の適時・適切な開示による経営の透明化を図ってまいります。

 

 

(株式会社の支配に関する基本方針)

1  当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の内容の概要

当社は経営理念として「世界にひろがる生活文化創造企業を目指す」ことを掲げ、持株会社(ホールディングカンパニー)体制のもと、グループ連峰経営による企業活動を行っており、今後とも中長期的視野に立って、当社グループの総合力を発揮し、更なる発展を図ることが、当社グループの企業価値の向上と株主共同の利益に資することと確信しております。
 対象となる会社の経営陣の賛同を得ることなく、一方的に大規模な株式の買付けを強行するという大規模買付行為(下記3(1)で定義します)に対しては、当社は一概にこれを否定するものではなく、最終的に株主の皆様のご判断に委ねるべきものと考えております。しかし、実際には、大規模買付者(下記3(1)で定義します)に関する十分な情報の提供がなくては、株主の皆様は、当社グループの企業価値に及ぼす影響を適切に判断することはできません。当社は、大規模買付者による情報提供、当社取締役会による検討・評価といったプロセスを確保するとともに、当社グループの企業価値又は株主共同の利益に対する明白な侵害を防止するため、大規模買付行為に対する対抗措置を準備しておくことも、また当社の取締役としての責務であると考えております。

 

2  基本方針の実現に資する取組みの具体的な内容の概要  

当社は、創業から今日にいたるまで、事業と製品・サービスを通じて顧客・社員・社会における生活文化の創造に真摯に取り組んでまいりました。更に、当社は、今後の事業活動の発展はもとより、常に社会と共存し、株主の皆様をはじめとするステークホルダーの更なる満足度向上と信頼を得ることにより、企業価値・株主共同の利益の確保・向上に努めていきたいと考えております。
 この基本的な考え方のもと、当社グループは、目指す姿“SCC(Science Company Change)2017”に向けて、平成20年度から3回の中期経営計画を進め、平成26年度からは最終ステップになるSCC-Ⅲを推進してまいりました。平成29年度からは、次の10年のありたい姿を新たな長期構想として掲げ、その実現に向けた活動を推進してまいります。長期構想では企業活動のコンセプトを「Scientific Innovation Chain2027」(SIC27)とし、「技術・製品」、「ビジネスモデル」、「ネットワーク」、「モノづくり」、「経営基盤」の5つの基軸で、革新的に発想し、科学的に実行していき、その連鎖によって持続的に成長できる企業体質に変革することを目指してまいります。また、これまでのドメイン(ライフサイエンス、コミュニケーションサイエンス、サスティナビリティサイエンスの3つの事業領域)の枠組みを戦略的に拡大し、成長市場のみならず、社会課題の解決や、生命や地球環境の持続成長可能性に繋がる領域にも注力してまいります。このような中長期的な取り組みにおいて、当社は引き続き、ホールディングカンパニー体制を活かし、スピードを重視した事業運営や当社グループ全体のフレキシブルな経営資源の活用を進めるとともに、環境対応やリスク対応、グローバル共生、企業の社会的責任(CSR)を重視した「持続可能な経営」を強化してまいります。

 

3  基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの概要

(1) 本施策導入の目的について

特定の株主又は株主グループ(以下「特定株主グループ」といいます。)によって当社の株式の一定規模以上の買付行為が行われた場合の対応策(以下「本施策」といいます。)は、特定株主グループの議決権保有割合を20%以上とすることを目的とする当社株券等の買付行為、又は結果として特定株主グループの議決権保有割合が20%以上となる当社株券等の買付行為(当社取締役会が予め同意したものを除き、以下、かかる買付行為を「大規模買付行為」といい、大規模買付行為を行う者を「大規模買付者」といいます。)が、当社グループの企業価値に重大な影響を及ぼす場合において、上記に記載した基本方針に沿って当社グループの企業価値を確保し又は向上させるため、大規模買付行為に適切な対応を行うことを目的としております。

 

(2) 本施策の内容について
①  大規模買付ルールの概要

a.取締役会に対する情報提供

b.取締役会における検討及び評価

c.独立委員会の設置

②  大規模買付対抗措置

一定の大規模買付対抗措置の発動の要件をみたす場合は、当社取締役会は、独立委員会の勧告を最大限尊重し、会社法その他の法令及び当社定款によって認められる相当な大規模買付対抗措置を決議することができます。

③  本施策の有効期間等

本施策の有効期間は、平成32年3月開催予定の当社の定時株主総会終結時までとなっております。また、当社株主総会又は当社取締役会において本施策を廃止する旨の決議が行われた場合には、本施策は廃止されます。

④  法令の改正等による修正

本施策で引用する法令の規定は、平成29年5月12日現在施行されている規定を前提としているものであり、同日以後、法令の新設又は改廃により、上記各項に定める条項ないし用語の意義等に修正を加える必要が生じた場合には、当社取締役会において、当該新設又は改廃の趣旨を考慮のうえ、上記各項に定める条項ないし用語の意義等を適宜合理的な範囲内で読み替えることができるものとします。

 

4  上記の各取組みに対する当社取締役会の判断及びその理由

(1) 基本方針の実現に資する取組み(上記2の取組み)について

上記2に記載した企業価値の向上のための取組みは、当社グループの企業価値・株主共同の利益を継続的かつ持続的に向上させるための具体的方策として策定されたものであり、基本方針の実現に資するものです。

(2) 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み(上記3の取組み)の概要について
①  本施策が基本方針に沿うものであること

本施策は、当社株券等に対する買付等が行われる場合に、当該買付等に応じるべきか否かについて株主の皆様が適切に判断し、また、当社取締役会が株主の皆様に代替案を提案するために必要な情報や時間を確保し、株主の皆様のために大規模買付者と協議又は交渉を行うことを可能とすることにより、当社グループの企業価値及び株主共同の利益を確保するためのものであり、基本方針に沿うものです。

②  当社は、以下の理由から、本施策が株主共同の利益を損なうものではなく、また、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。

a.企業価値・株主共同の利益の確保・向上の目的

b.事前開示

c.株主意思の反映

d.取締役会の判断の客観性・合理性の確保

e.買収防衛策に関する指針の要件を完全に充足していること

f.デッドハンド型買収防衛策ではないこと

 

4 【事業等のリスク】

当企業グループの経営成績及び財政状態等(株価等を含む)に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当企業グループが判断したものであります。

 

(1) 経済動向に関するリスク

エレクトロニクス関連材料や包装用材料、印刷インキなどの当企業グループの主力製品は、一般的な消費動向の影響を受ける傾向があります。経済動向の影響を受けづらい収益構造を構築するため、世界各国でのさらなる事業展開、SCMの構築と、エネルギー分野やライフサイエンス分野等で、高機能製品の開発・販売をさらに強化しております。また、人件費・経費といった総固定費や原材料費等の変動費の削減など、経営全般におけるコスト削減を進めております。しかしながら、今後、消費需要の落ち込みもしくは販売価格の下落により、当企業グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 原材料調達に関するリスク 

当企業グループで製造する製品の主原料は石油化学製品であり、石油化学製品の仕入価格は、原油・ナフサなどの市況変動に大きな影響を受けます。政治情勢、国際的な投機などの要因で原油・ナフサ市場が高騰し、需給バランスが変動することにより、購入価格の上昇や調達困難を招いた場合は、当企業グループの売上高及び利益の低下を招く可能性があります。

 

(3) 為替の変動に関するリスク

当企業グループは、世界各国で事業を展開しており、海外連結子会社の財務諸表項目の円換算額は、為替相場に左右されます。急激な為替レートの変動により、当企業グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、外貨建て取引について、為替予約などにより相場変動リスクの軽減措置を講じておりますが、同様の可能性があります。

 

(4) 一般的な法的規制に関するリスク

当企業グループは、事業展開する内外各国において、事業活動に関わる一般的な法的規制の適用を受けております。これらの遵守のためCSR(コーポレート・ソーシャル・レスポンシビリティ)統括委員会の傘下にCSR推進部会、リスクマネジメント部会、コンプライアンス部会及び環境安全部会を設置・運用するとともに、財務報告の適正性確保のための内部統制システムの整備と運用の確保に努めております。しかしながら、国内及び海外事業に関連して、環境問題や製造物責任、特許侵害を始めとする当企業グループの事業に重大な影響を及ぼす訴訟紛争、その他の法律的手続きが今後発生しないという保証は無く、万一訴訟等が提起された場合、その争訟金額等によっては当企業グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 情報漏洩、滅失、毀損に関するリスク

当企業グループでは、事業を展開する上で、当企業グループ及び取引先の機密情報や個人情報などの秘密情報を保持しております。その多くは電子情報として保持・利用されておりますが、インターネットをはじめとするネットワーク環境において、コンピュータウィルスやセキュリティ侵害による情報漏洩、滅失または毀損のリスクは増大する傾向にあります。当企業グループとしては、情報システム面で万全の対策を講じるとともに、情報セキュリティオフィスを設置し、情報管理強化と社員教育を通じてリスク低減に努めておりますが、万一不測の事態により情報漏洩、滅失または毀損が発生した場合は、社会的信頼の失墜、秘密保持契約違反、当企業グループのノウハウの流出または逸失による競争力の低下などが発生する可能性があります。

 

 

(6) 一般的な債権回収に関するリスク

当企業グループの製品は、国内外のさまざまな業界の多数の顧客に納入しておりますが、顧客の経営状況によっては、これらに対する売上債権等を回収することができないこともあり得ます。現有債権につきましては回収不能見込額を既に引当金として計上するとともに、今後の貸倒れの発生が減少するように与信管理を強化しておりますが、予想を上回る回収不能が発生した場合には、当企業グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 海外活動に潜在するリスク

当企業グループは、海外においても生産及び販売活動を行っており、今後伸長が見込まれる海外市場への進出も拡大していく方針です。これらの海外市場への事業進出には以下のようなリスクが内在しており、これらの事象が発生した場合は、当企業グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

・予期しえない法律・規制・不利な影響を及ぼす租税制度の変更

・社会的共通資本(インフラ)が未整備なことによる当企業グループの活動への悪影響

・不利な政治的要因の発生

・テロ、戦争、伝染病などによる社会的混乱

・予期しえない労働環境の急激な変化

 

(8) 災害・疫病等に関するリスク

当企業グループでは、大規模地震等の自然災害や新型インフルエンザ(パンデミック)等の不可避的な事業中断リスクを想定し、リスクに応じた緊急行動マニュアルの策定や定期的な実地訓練等による事業継続体制の整備に努めておりますが、予想を上回る被害の拡大や長期化が進みますと、建物や生産設備等をはじめとする資産の毀損、従業員の出勤不能、電力・水道の使用制限、原材料の調達困難、物流機能の停滞等により供給能力が低下し当企業グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 環境負荷発生のリスク

当企業グループでは、製造工程で発生する廃棄物、大気や公共用水域への排出、騒音・振動、土壌汚染、電気機器に用いられていたポリ塩化ビフェニル、冷凍空調設備で使用されるフロン等について、国内外の様々な環境法規による規制を受けております。当企業グループでは、これらの規制を順守するとともに、エネルギー使用量、産業廃棄物発生量、用水使用量等の削減を進めておりますが、環境法規の順守または環境改善のための追加的な義務に関連する費用が発生する場合は、業績等に影響が生じる可能性があります。
 また、当企業グループは化学製造業を主な事業としており、原料や製品に危険物や化学物質を多数扱っております。CSR経営の一環として、CSR 統括委員会傘下の環境安全部会を中心に、火災等の事故発生防止や環境負荷低減に積極的に取り組んでおり、化学物質の使用に関して想定されるリスクに対しても、あらゆる回避策を講じておりますが、火災、漏洩等の不測の事態や法整備以前の過去の行為に起因する土壌・地下水汚染などが発生した場合には、当企業グループの生産能力や社会的信用の低下、土壌・地下水汚染対策費の発生などを招く恐れがあります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

当連結会計年度において、経営上の重要な契約はありません。

 

6 【研究開発活動】

当企業グループは、強固な基盤技術をベースに新分野への応用展開やより付加価値の高い製品群の拡大に繋がる新規技術の開発を積極的に推し進めています。また、こうした技術・製品開発を通じて、当企業グループの目指す3つの事業ドメインとその重点分野である①ライフサイエンスドメイン:パッケージ分野・ヘルスケア分野、②コミュニケーションサイエンスドメイン:エレクトロニクス分野・ファインイメージング分野、③サスティナビリティサイエンスドメイン:環境調和分野、エネルギー関連分野に対してお客様が求める製品を提供し、世界の人々の豊かな生活や持続可能な社会の実現に貢献しようと日々取り組んでおります。

当企業グループにおける研究開発は、当社のグループテクノロジーセンター(イノベーションラボ、マテリアルサイエンスラボ、ポリマーデザインラボ、解析技術ラボ)、生産・物流本部(プロセスイノベーション研究所)、及び国内・海外の各連結子会社の技術部門により推進しております。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、73億90百万円であり、各セグメント別の研究目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は、次のとおりです。

 

(1) 色材・機能材関連事業

当事業では、インキ化学における材料設計、合成技術、粒子制御技術、精密分散技術などのコア技術をさらに進化させ、次世代に向けた新素材や先端部材の開発に挑戦し続けています。

顔料・顔料分散体事業では、高付加価値製品開発に注力して顔料事業の再構築を進めています。新規開発では、顔料の微粒子化制御と表面処理技術を進化させ、これまでにない高透明性・高彩度を実現するHAYABUSAプロセスを応用した新規色材の提案を始めました。自動車塗料等、高意匠性塗料製品への展開でお客様の好評を得ております。

メディア関連事業では新規の4K、8Kといった高精細LCDパネルやOLEDパネルに使用されるカラーフィルター材料開発を進めるとともに、次世代の高彩度ディスプレー用の色材開発もほぼ完了しました。さらにカラーフィルターで培った技術をさらに進化させ、各種センサー材料開発としてIoTやAIの技術領域で使用される部材開発に注力するプロジェクトをスタートさせました。これまでのカラーフィルターのような可視領域の光の制御だけでなく、赤外線や紫外線といった領域の光制御を目的に新素材の開発からデバイス設計までを考えております。

着色剤事業関連では、PET系容器用マスターバッチ(MB)の個別要求性能への迅速な開発対応と、太陽電池用MB改良製品が好評を得ています。またポリマーアロイを応用した意匠性MB、精密電子材料搬送用のカーボンナノチューブ(CNT)コンパウンド等の新製品の実績化が進みました。さらにお客様の声を聞きながら改良を進めている「リキッドカラーシステム」も市場へ紹介できる予定です。

機能材料事業関連では、リチウムイオン二次電池用分散体について、巨大市場となる中国向けの展開も進めております。また電池性能向上に向けた提案としてCNT分散体の開発を合わせて進めており電池メーカーより好評を得ております。独自に開発したCNTでは、これまでにない「黒さ」を特徴とする「高漆黒塗料・インキ」を提案し紹介を始めました。さらに色材合成技術を応用した「近赤外吸収剤(オプトリオン)」シリーズでは、インキ、塗料だけでなくフィルム、シートへの応用やプラスチック溶着など、幅広い分野への応用を積極的に考えております。

当事業に係わる研究開発費は、28億10百万円です。

 

 

(2) ポリマー・塗加工関連事業

当事業では、塗加工材料・粘着剤・接着剤・ホットメルト・機能性コーティング剤等の事業の礎となるポリマー・サイエンス・テクノロジープラットフォームの拡充に取り組み、高付加価値製品や環境調和製品の開発を通して、豊かな暮らしと持続可能な社会に貢献してゆきます。

スマートフォン・タブレット市場向け機能性フィルムは、独自のポリマー技術と分散技術を駆使した導電材を用いた導電性接着シートが市場の高い評価を受け、拡販が進みました。今後もデバイスの高速通信やコストダウンに繋がる新製品を開発・提案してまいります。

粘接着剤は、独自のウレタン系粘着剤・アクリル系粘着剤の技術を使い、国内・海外のお客様に対し光学用粘着剤の実績が拡大しました。また光学用UV接着剤は製品拡充を図る事ができました。ラミネート接着剤については国内・海外での拡販が進み、さらに環境調和型の無溶剤系接着剤の開発を重点化してまいります。

電池周辺材料は、太陽電池バックシート用接着剤のほか、今期は特にリチウムイオン二次電池パッケージ用接着剤や、セパレーター・電極用樹脂の開発が進みました。

機能性コーティング剤の製缶用塗料(フィニッシェス)では、先端的な環境性能を有する新製品群が完成し、国内・海外への市場展開で実績化を推進中です。

ヘルスケア関連では、海外で貼付用粘着剤の拡販が進み、日本でも貼付用粘着剤の新規案件の採用が決まりました。また次期開発品である肌に優しい高透湿粘着剤の開発が進んでおります。
 一方、昨年に買収した貼付薬の開発については、獲得した技術と、当企業グループのポリマー・塗加工技術を融合させ、国内・海外の貼付薬開発を進めております。
 当事業に係わる研究開発費は、17億86百万円です。

 

(3) パッケージ関連事業

当事業は、持続可能社会及び低炭素化社会への貢献に向け、環境調和型製品群の開発に取り組むとともに、成長を続ける世界のパッケージ市場に向け、日本で培った技術に裏打ちされた製品とサービスを提供しております。

当社は、ラミネート用水性グラビアインキ「アクワエコール」を始めとする環境調和型製品をいち早く開発し、国内のお客様から高い評価を頂いておりました。近年、中国・東南アジア諸国における規制強化の動きや環境意識の高まりに合わせ海外にも同製品を展開しております。また、北米におけるレトルト製品市場の拡大を睨みノントルエン・ノンMEK型ラミネートインキ「リオアルファ-US」を開発し展開し始めました。欧州市場では、DoneckEuroflex S.A社と生産・販売ライセンス許諾契約を締結し、水性フレキソインキ「アクワリオナ」及びEBキュア型フレキソインキを欧州のラミネート包材市場に展開してまいります。

国内市場においては、非食用天然物由来原料を利用したラミネートインキ「LPバイオ」を開発し、カーボンニュートラルの視点からお客様のCO2排出量削減策の一助となるようご提案しております。

さらに、東洋モートン株式会社のラミネート接着剤、東洋アドレ株式会社のホットメルト接着剤、東洋FPP株式会社の製版技術との組み合わせにより、お客様の様々なプロセスに対応できる多様なトータルソリューション提案を積極的に進めてまいります。

当事業に係わる研究開発費は、9億51百万円です。

 

(4) 印刷・情報関連事業

当事業では、「脱石化素材によるVOC削減」、「非食用天然原料や再生植物油の使用による循環型社会への貢献」、「原料調達・生産過程でのCO2排出量の大幅な削減」など、環境対応にも配慮したインキ製品の開発・販売を積極的に行っております。

オフセットインキでは、100%国産米ぬか油を使用したノンVOCインキ「TOYO KING NEX NVライスシリーズ」、乾燥温度を下げる事でエネルギー消費量を削減(ガス消費量削減)できる超低温乾燥オフ輪インキ「WEB DRY レオエックス LTDシリーズ」の開発など、お客様の生産性向上、コスト削減に貢献する製品開発を継続して進めております。

UVインキは、より省電力で硬化する新型高感度UV・LEDインキ「FLASH DRY LPC/LEDシリーズ」を上市し、従来品からの特徴である瞬間硬化による短納期化やノンVOCに加え、油性インキ同等の印刷適性・色相により市場にて高い評価を得ています。

また、美粧性の向上や耐指紋性・剥離性を具備するなどの高付加価値機能が表現出来るコートニス、シール・ラベル用フレキソインキ、さらに、スイス条例など各種規制に対応し、より安全安心に配慮した食品包装用ローマイグレーションインキ開発など、多様な市場ニーズに対応するラインナップ拡充を図っております。

インクジェットインキでは、サイン用途向けの低臭溶剤系インキ、LED硬化型UVインキ、さらには水性インキといった環境対応製品の拡充を図り、プリント・オン・デマンド用途では高速印刷を実現する高演色水性インキや、ローマイグレーションUVインキ、さらには食品包装用水性インキの開発を進めております。

当事業に係わる研究開発費は、18億22百万円です。

 

なお、上記の4つの事業に含まれない研究開発費は、19百万円であります。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当企業グループが判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当企業グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されていますが、その作成には経営者による会計方針の選択・適用と、資産・負債及び収益・費用の報告金額に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りにあたっては過去の実績等を勘案し合理的な判断を行っていますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性がありますため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

当連結会計年度の経営成績は、売上高は2,684億84百万円、営業利益は192億31百万円、経常利益は192億62百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は127億2百万円となりました。

その状況は、「第2 事業の状況」の「1 業績等の概要」に記載の通りで、インドやブラジルなどの新興国や、前年度に印刷インキメーカーを買収したトルコでの拡販が進みましたうえ、医薬品事業への進出も果たしましたが、円高外貨安による海外連結子会社での売上の円換算額の目減りや、リセール品などの低採算品種の販売縮小により、前年度に比べ減収に終わりました。

一方、利益面では、ディスプレイ周辺材料などの高機能製品の拡販を進めましたうえ、代替原料への置き換えなどによる原材料価格の低減や、グローバルネットワークの整備などによるコストダウンを推進しましたため、各利益とも前年度に比べ増益になりました。

 

(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について

当企業グループが提供する製品の市場は多岐に渡っておりますが、一般的な消費動向や、石油化学系原料の仕入価格、為替レートなどは、当企業グループの経営成績に大きく影響を与える要因になっております。中でも当連結会計年度では、原材料価格は比較的に安定していましたものの、中国での成長スピードの減速や、特に前半期での円高の進行は、売上や利益面での大きな逆風となりました。これらに対し当企業グループでは、高機能製品の開発・拡販、コスト削減、資金の効率的な回転など、経済動向の影響を受けづらい収益構造の構築に努めるとともに、石油代替原料の検討や、調達手段の多様化、地産地消などの対策を進め、業績への影響を極力縮小するよう努めてきております。

また、海外売上高比率の拡大が進むなか、海外での法的規制や社会的混乱などへのリスクも重要なものと捉えており、対応する体制やシステムの強化などに努めております。

その他、環境や災害への対応など、当企業グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクについては、「第2 事業の状況」の「4 事業等のリスク」に記載の通りですが、これらの発生を抑制する活動を、CSR統括委員会傘下のリスクマネジメント部会を中心に、引き続き積極的に推進していきます。

 

 

(4) 経営戦略の現状と見通し

当企業グループは、「人間尊重の経営」を経営哲学に掲げ、「世界にひろがる生活文化創造企業を目指す」ことを経営理念とし、「CS(顧客満足)、ES(社員満足)、SS(社会満足)、SHS(株主満足)を向上させる」ことを行動指針として、全ての企業活動を進めています。

また、新たに長期構想「Scientific Innovation Chain 2027」を纏め、今後の10年にわたって、革新的に発想し、科学的に実行し、その連鎖によって持続的に成長できる企業体質に変革することを目指しています。ドメインについても、これまでの枠組みを戦略的に拡大し、成長市場のみならず、社会課題の解決や、生命や地球環境の持続成長可能性に繋がる領域にも注力してまいります。

 

(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当連結会計年度の営業活動により得られた資金が233億70百万円、投資活動により支出した資金が106億11百万円となりました結果、現金及び現金同等物の期末残高は441億32百万円と、前連結会計年度末と比べ3億88百万円増加しました。また有利子負債は、647億59百万円40億26百万円減少、これによりDEレシオは0.34倍と圧縮、自己資本比率は57.9%と上昇、成長事業や地域への積極的な投資を進めながらも、運転資金の抑制や保有資産の見直しなどにより、キャッシュフローの改善が図られ、財務体質はさらに強固になってきております。

一方、株主の皆様への還元も、前述の「SHSの向上」の重要な施策の一つであり、将来の利益向上に寄与するための内部留保の充実に努めつつ、安定的な配当を継続することを基本方針として、業績や経営環境を総合的に勘案して配当を行っております。当連結会計年度も、この方針に従って、期末配当金を1株につき8円とし、年間では16円(前連結会計年度より50銭増配、連結での配当性向37.2%)を配当させていただきます。さらには自己株式も、当連結会計年度に32億21百万円の追加取得を実施、株式価値の向上も図りました。

 

(6) 経営者の問題認識と今後の方針について

今後の世界経済の動向は、緩やかな回復が続くと期待される一方、不安定な政治や社会動向によっては、景気が下振れすることも懸念されています。また当企業グループの事業環境においては、原材料価格が再び上昇することも見込まれてきています。

このような厳しい環境ではありますが、次期は長期構想や中期経営計画の移行期にもあたるなか、これまでの総仕上げを行い、次のステップアップにチャレンジする期間と位置付け、業績のさらなる向上も目指してまいります。

方針としては、「すべての企業活動におけるバリューチェーンの拡張による新たな成長戦略の実現」「革新を意識した視点でのモノづくりによるSCMの進化」「経営基盤の見直しによる風土変革の促進」を掲げ、具体的には「第2 事業の状況」の「3 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通りの活動を進めることで、これらの実現を図ってまいります。