文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当企業グループが判断したものであります。
当企業グループは、「人間尊重の経営」を経営哲学に掲げ、「世界にひろがる生活文化創造企業を目指す」ことを経営理念とし、「CS(顧客満足)、ES(社員満足)、SS(社会満足)、SHS(株主満足)を向上させる」ことを行動指針として、全ての企業活動を進めています。
時代を超えてこれらの経営哲学や経営理念、行動指針は不変のものとし継続しながらも、時代に応じて読み替えながら進化させることで、創業200周年に向け持続的な成長を目指していきます。
具体的には、生活文化創造企業として貢献する対象を、生活者だけでなく、生命や地球環境まで拡げ、これらの課題解決に取り組むことで、すべての対象が活き活きと共生する世界の実現に貢献してまいります。
また価値革新への追求や、リスクマネージメントの高度化も含めた、自らの持続的成長を可能にする企業体質への変革と、すべてのステークホルダーの持続に貢献する長期的な視点での満足度の向上に努めていきます。
当企業グループでは、持続的成長を可能にする企業体質へと変革する観点から、売上高や利益を重要な経営指標と位置付け、事業の拡大と企業価値の向上に努めてまいります。
当企業グループでは、長期構想を10年単位で掲げているなか、次なるターゲットである2027年に向けて提供していく価値を「For a Vibrant World」と定め、「100年レンジでの持続的成長が可能な企業体質に変革し、すべての生活者・生命・地球環境がいきいきと共生する世界に貢献する企業グループ」を目指しています。
この新たな長期構想の企業活動コンセプトは「Scientific Innovation Chain 2027(SIC27)」とし、「技術・製品」、「ビジネスモデル」、「ネットワーク」、「モノづくり」、「経営基盤」の5つの基軸で、革新的に発想し、科学的に実行する連鎖によって、持続的に成長できる企業体質に変革することを目指しています。また、ドメイン(事業領域)の枠組みも戦略的に見直し拡大することで、成長市場のみならず、社会課題の解決や生命、地球環境の持続的な成長に貢献する領域にも注力していきます。
この長期構想の第一ステップとなる中期経営計画「SIC-Ⅰ」(2018年度~2020年度)においては、長期構想SIC27の持続的成長の礎を創り上げる期間と位置づけ、マーケットの潜在ニーズを踏まえた提案型ビジネスにより、既存事業の変革を進めたうえ、新しい地域やマーケットへの展開、さらにはコア技術を活かした新しいビジネスの創出により、事業領域の拡大と売上の増大を図っていきます。
また、生産プロセスの変革に加え、IoT、AI、ロボット技術なども取り入れることで、モノづくりの革新を果たすとともに、国内外拠点の見直しと活性化を進め、タイムリーな製品供給や、グローバルでの安定品質の低コストでの提供を実現し、さらなる収益向上を目指していきます。
さらには、事業領域拡大やモノづくり革新に必要な経営資源を充実させるのに加え、CSRの推進、リスクマネージメント体制の強化などの経営基盤の確立を進め、社会の一員としての責務をより一層果たしていきます。
この中期経営計画の2年目にあたる当連結会計年度は、事業環境の悪化とその対応への遅れから業績が伸び悩みましたが、次期は中期経営計画における最終年度として、今までの試行錯誤を踏まえて、選択と集中の指向で事業の構造改革や企業体質の強化に取り組んでまいります。
年度方針としては、「積極的に拡大させる事業への社内外との連携強化、重点投資による着実な成果の創出」「生販技一体となったコストダウン、利益創出による事業やエリアの構造改革の確実な実行」「業務改革への間断なき挑戦の繰り返しによる大胆な変化」の3つを掲げ、以下のように各事業を推進していきます。
色材・機能材関連事業では、液晶ディスプレイカラーフィルター用材料の中国市場へのさらなる拡販を図るとともに、センサー向け材料では、技術開発力のスピードアップと品質保証体制の強化により事業を拡大していきます。またリチウムイオン電池用材料では、米国、欧州、中国、日本の自動車4大市場に向けたビジネスを展開させていきます。さらに着色剤事業では、環境対応などの新規成長分野への参入を進め、顔料はグローバルSCMの最適化を追求した事業構造改革に取り組んでいきます。
ポリマー・塗加工関連事業では、パッケージ・工業材分野において、環境、安全、省エネのコアニーズに対応した環境調和型の製品群をグローバルで拡大していきます。またエレクトロニクス分野においては、5GやIoTなどのテクノロジー変革の中で、ノイズ対策や使い易さなどを訴求した製品群を展開していきます。あわせて、グローバルでの生産拠点の拡充を図るとともに、技術やマーケティングのネットワーク機能を強化します。
パッケージ関連事業では、バイオマス、水性など、各国のニーズに合わせた環境調和型のグラビアインキやフレキソインキの展開に一層注力していきます。また、中国や東南アジア、インド、トルコに、製法変更や自動化などで生産性を向上させた新工場を建設し、市場の伸長やグローバルな拡販に対応した供給体制を整えていきます。
印刷・情報関連事業では、国内のオフセットインキ事業のさらなる構造改革を、生産集約や他社とのアライアンスなどで推進し、利益が出せる体制を構築していきます。一方、伸長が続くUVインキは、コストダウンと品質向上の両立を図り、グローバルでの拡販を進めるとともに、インクジェット用インキでは、軟包装などへの用途拡大も図っていきます。
さらには、フィリピンにおける不適切な会計処理が行われていた問題を深く反省し、事業活動を推進していく基盤として、グローバルでのガバナンス体制の改善に取り組むとともに、拡大する事業分野に対応する品質保証体制の強化を図ってまいります。また、米国の大統領選挙や米中摩擦などに伴う経済動向の変化や、国内では東京オリンピック・パラリンピック開催に伴う需要変動に適切に対処しながら、長期構想「Scientific Innovation Chain 2027」の実現に向けて活動してまいります。
当社は経営理念として「世界にひろがる生活文化創造企業を目指す」ことを掲げ、持株会社(ホールディングカンパニー)体制のもと、グループ連峰経営による企業活動を行っており、今後とも中長期的視野に立って、当企業グループの総合力を発揮し、更なる発展を図ることが、当企業グループの企業価値の向上と株主共同の利益に資することと確信しております。
対象となる会社の経営陣の賛同を得ることなく、一方的に大規模な株式の買付けを強行するという大規模買付行為(下記3(1)で定義します。)に対しては、当社は一概にこれを否定するものではなく、最終的に株主の皆様のご判断に委ねるべきものと考えております。しかし、実際には、大規模買付者(下記3(1)で定義します。)に関する十分な情報の提供がなくては、株主の皆様は、当企業グループの企業価値に及ぼす影響を適切に判断することはできません。当社は、大規模買付者による情報提供、当社取締役会による検討・評価といったプロセスを確保するとともに、当企業グループの企業価値又は株主共同の利益に対する明白な侵害を防止するため、大規模買付行為に対する対抗措置を準備しておくことも、また当社の取締役としての責務であると考えております。
当社は、創業から今日にいたるまで、事業と製品・サービスを通じて顧客・社員・社会における生活文化の創造に真摯に取り組んでまいりました。更に、当社は、今後の事業活動の発展はもとより、常に社会と共存し、株主の皆様をはじめとするステークホルダーの更なる満足度向上と信頼を得ることにより、企業価値・株主共同の利益の確保・向上に努めていきたいと考えております。
この基本的な考え方のもと、当企業グループは、目指す姿“SCC(Science Company Change)2017”に向けて、2008年度から3回の中期経営計画を進め、2014年度からは最終ステップになるSCC-Ⅲを推進してまいりました。2017年度からは、次の10年のありたい姿を新たな長期構想として掲げ、その実現に向けた活動を推進しております。長期構想では企業活動のコンセプトを「Scientific Innovation Chain 2027(SIC27)」とし、「技術・製品」、「ビジネスモデル」、「ネットワーク」、「モノづくり」、「経営基盤」の5つの基軸で、革新的に発想し、科学的に実行していき、その連鎖によって持続的に成長できる企業体質に変革することを目指してまいります。また、これまでのドメイン(ライフサイエンス、コミュニケーションサイエンス、サスティナビリティサイエンスの3つの事業領域)の枠組みを戦略的に拡大し、成長市場のみならず、社会課題の解決や、生命や地球環境の持続成長可能性に繋がる領域にも注力してまいります。このような中長期的な取り組みにおいて、当社は引き続き、ホールディングカンパニー体制を活かし、スピードを重視した事業運営や当企業グループ全体のフレキシブルな経営資源の活用を進めるとともに、環境対応やリスク対応、グローバル共生、企業の社会的責任(CSR)を重視した「持続可能な経営」を強化してまいります。
特定の株主又は株主グループ(以下「特定株主グループ」といいます。)によって当社の株式の一定規模以上の買付行為が行われた場合の対応策(以下「本施策」といいます。)は、特定株主グループの議決権保有割合を20%以上とすることを目的とする当社株券等の買付行為、又は結果として特定株主グループの議決権保有割合が20%以上となる当社株券等の買付行為(当社取締役会が予め同意したものを除き、以下、かかる買付行為を「大規模買付行為」といい、大規模買付行為を行う者を「大規模買付者」といいます。)が、当企業グループの企業価値に重大な影響を及ぼす場合において、上記に記載した基本方針に沿って当企業グループの企業価値を確保し又は向上させるため、大規模買付行為に適切な対応を行うことを目的としております。
a.取締役会に対する情報提供
b.取締役会における検討及び評価
c.独立委員会の設置
一定の大規模買付対抗措置の発動の要件を満たす場合は、当社取締役会は、独立委員会の勧告を最大限尊重し、会社法その他の法令及び当社定款によって認められる相当な大規模買付対抗措置を決議することができます。
本施策の有効期間は、2020年3月開催の当社の定時株主総会終結時までとなっております。また、当社株主総会又は当社取締役会において本施策を廃止する旨の決議が行われた場合には、本施策は廃止されます。
本施策で引用する法令の規定は、2017年5月12日現在施行されている規定を前提としているものであり、同日以後、法令の新設又は改廃により、上記各項に定める条項ないし用語の意義等に修正を加える必要が生じた場合には、当社取締役会において、当該新設又は改廃の趣旨を考慮のうえ、上記各項に定める条項ないし用語の意義等を適宜合理的な範囲内で読み替えることができるものとします。
上記2に記載した企業価値の向上のための取組みは、当企業グループの企業価値・株主共同の利益を継続的かつ持続的に向上させるための具体的方策として策定されたものであり、基本方針の実現に資するものです。
本施策は、当社株券等に対する買付等が行われる場合に、当該買付等に応じるべきか否かについて株主の皆様が適切に判断し、また、当社取締役会が株主の皆様に代替案を提案するために必要な情報や時間を確保し、株主の皆様のために大規模買付者と協議又は交渉を行うことを可能とすることにより、当企業グループの企業価値及び株主共同の利益を確保するためのものであり、基本方針に沿うものです。
a.企業価値・株主共同の利益の確保・向上の目的
b.事前開示
c.株主意思の反映
d.取締役会の判断の客観性・合理性の確保
e.買収防衛策に関する指針の要件を完全に充足していること
f.デッドハンド型買収防衛策ではないこと
(ご参考)
本施策は、本年3月26日開催の第182回定時株主総会終結の時をもって有効期間が満了となりますが、当社は、本年2月17日開催の取締役会において、かかる有効期間の満了をもって本施策を更新しないことを決定いたしました。
なお、当社は、本施策の有効期間満了後も企業価値・株主共同の利益の確保・向上に取り組んでまいります。また、当社株式の大規模買付行為を行い、または行おうとする者に対しては、株主の皆様が大規模買付行為の是非について適切に判断するために必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて当社取締役会の意見等を開示し、株主の皆様の検討のための時間と情報の確保に努めるほか、金融商品取引法、会社法その他関連法令に基づき、適時適切な措置を講じてまいります。
当企業グループの経営成績及び財政状態等(株価等を含む)に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当企業グループが判断したものであります。
エレクトロニクス関連材料や包装用材料、印刷インキなどの当企業グループの主力製品は、一般的な消費動向や原材料価格、為替、関連法規制等の影響を受ける傾向があります。経済動向やその他の影響を受けづらい収益構造を構築するため、世界各国でのさらなる事業展開、SCMの構築と、エネルギー分野やライフサイエンス分野等で、高機能製品の開発・販売をさらに強化しております。また、人件費・経費といった総固定費や原材料費等の変動費の削減など、経営全般におけるコスト削減を進めております。しかしながら、今後、消費需要の落ち込みもしくは販売価格の下落により、当企業グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当企業グループで製造する製品の主原料は石油化学製品であり、仕入価格は、原油・ナフサなどの市況変動に大きな影響を受けます。また、一部の原料においては、グローバルな環境・安全規制の影響を受けやすくなっています。政治情勢、国際的な投機などを起因とした原油・ナフサ市場の高騰およびグローバルな規制強化による需給バランスの変動により、購入価格の上昇を招いた場合は、当企業グループの売上高及び利益の低下を招く可能性があります。
当企業グループは、世界各国で事業を展開しており、海外連結子会社の財務諸表項目の円換算額は、為替相場に左右されます。急激な為替レートの変動により、当企業グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、外貨建て取引について、為替予約などにより相場変動リスクの軽減措置を講じておりますが、同様の可能性があります。
当企業グループは、事業展開する内外各国において、事業活動に関わる一般的な法的規制の適用を受けております。これらの遵守のためCSR(コーポレート・ソーシャル・レスポンシビリティ)統括委員会の傘下にCSR推進連絡会議及び専門部会であるコンプライアンス部会、リスクマネジメント部会、環境安全部会を設置・運用するとともに、財務報告の適正性確保のための内部統制システムの整備と運用の確保に努めております。しかしながら、国内及び海外事業に関連して、環境問題や製造物責任、特許侵害を始めとする当企業グループの事業に重大な影響を及ぼす訴訟紛争、その他の法律的手続きが今後発生しないという保証は無く、万一訴訟等が提起された場合、その争訟金額等によっては当企業グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当企業グループでは、事業を展開する上で、当企業グループ及び取引先の機密情報や個人情報などの秘密情報を保持しております。その多くは電子情報として保持・利用されておりますが、インターネットをはじめとするネットワーク環境において、コンピュータウィルスやセキュリティ侵害による情報漏洩、滅失又は毀損のリスクは増大する傾向にあります。当企業グループとしては、情報システム面で万全の対策を講じるとともに、情報セキュリティオフィスを設置し、情報管理強化と社員教育を通じてリスク低減に努めておりますが、万一不測の事態により情報漏洩、滅失又は毀損が発生した場合は、社会的信頼の失墜、秘密保持契約違反、当企業グループのノウハウの流出又は逸失による競争力の低下などが発生する可能性があります。
当企業グループの製品は、国内外のさまざまな業界の多数の顧客に納入しておりますが、顧客の経営状況によっては、これらに対する売上債権等を回収することができないこともあり得ます。現有債権につきましては回収不能見込額を既に引当金として計上するとともに、今後の貸倒れの発生が減少するように与信管理を強化しておりますが、予想を上回る回収不能が発生した場合には、当企業グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当企業グループは、海外においても生産及び販売活動を行っており、今後伸長が見込まれる海外市場への進出も拡大していく方針です。これらの海外市場への事業進出には以下のようなリスクが内在しており、これらの事象が発生した場合は、当企業グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。
・予期しえない法律・規制・不利な影響を及ぼす租税制度の変更
・社会的共通資本(インフラ)が未整備なことによる当企業グループの活動への悪影響
・不利な政治的要因の発生
・テロ、戦争、伝染病などによる社会的混乱
・予期しえない労働環境の急激な変化
当企業グループでは、大規模地震等の自然災害や国内外における感染症の大流行(パンデミック)等の不可避的な事業中断リスクを想定し、リスクに応じた緊急行動マニュアルの策定や定期的な実地訓練等による事業継続体制の整備に努めておりますが、予想を上回る被害の拡大や長期化が進みますと、建物や生産設備等をはじめとする資産の毀損、従業員の出勤不能、電力・水道の使用制限、原材料の調達困難、物流機能の停滞等により供給能力が低下し当企業グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当企業グループでは、製造工程で発生する廃棄物、大気や公共用水域への排出、騒音・振動、土壌汚染、電気機器に用いられていたポリ塩化ビフェニル、冷凍空調設備で使用されるフロン等について、国内外の様々な環境法規による規制を受けております。当企業グループでは、これらの規制を順守するとともに、エネルギー使用量、産業廃棄物発生量、用水使用量等の削減を進めております。しかしながら環境法規の順守又は環境改善のための追加的な義務に関連する費用が発生する場合は、業績等に影響が生じる可能性があります。
また、当企業グループは化学製造業を主な事業としており、原料や製品に危険物や化学物質を多数扱っております。CSR経営の一環として、CSR統括委員会傘下の環境安全部会を中心に、火災等の事故発生防止や環境負荷低減に積極的に取り組んでおり、化学物質の使用に関して想定されるリスクに対しても、あらゆる回避策を講じております。しかしながら火災、漏洩等の不測の事態や法整備以前の過去の行為に起因する土壌・地下水汚染などが発生した場合には、当企業グループの生産能力や社会的信用の低下、土壌・地下水汚染対策費の発生などを招く恐れがあります。
「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当企業グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における世界経済の状況は、米国を中心に成長は継続していますものの、通商摩擦や政治的なリスクの高まりに伴い、中国などでは減速も進んできました。また我が国でも、世界経済の影響や消費税増税、天候不順などにより、景況感が悪化してきております。
このような厳しい環境ではありましたが、当企業グループは次の3つを年度の方針として掲げ、経営活動を行ってまいりました。
第一の方針である「市場や顧客ニーズの変化を捉えた新たな事業展開と価値提供」については、市場や環境の変化をチャンスと捉え、新製品、新事業の展開を強化し、新しい価値の提供に数多く挑戦しました。
色材・機能材関連事業では、液晶ディスプレイカラーフィルター用材料事業において、高品位技術と価格競争力を両立させ、最大市場である中国への販売を伸長させました。また機能材事業でも、リチウムイオン電池用材料の機能性分散体や、インクジェットインキ用の顔料分散体などの実績を拡大させました。ポリマー・塗加工関連事業では、ディスプレイ用の粘着剤やリチウムイオン電池用の接着剤、高速通信である5G用の塗工材料の販売が伸長しましたうえ、環境調和型の缶用塗料やバイオマス粘着剤の開発や拡販を推進しました。また、今後のソリューション提供事業として、センサーシステムの事業化を見据えた各種実証実験を行いました。パッケージ関連事業では、国内や海外各国において、バイオマスインキや水性などの環境調和型インキの性能向上や拡販を図りました。また、プラスチック製容器包装の革新的リサイクルシステムの確立のため、印刷用インキの脱墨ならびにラミネート接着剤の剥離を実現する技術や製品開発を進めました。印刷・情報関連事業では、印刷適性を向上させたオフ輪インキや、ラベル用のUVバイオマスインキなどの新製品を発売しましたほか、デジタル化に対応したインクジェット用インキの性能向上やグローバルな拡販を進めました。
第二の方針である「モノづくり企業として、国内外各拠点のサプライチェーン、製品構成、製法・処方を根本から見直し、技術優位で市場を主導」については、伸長が期待できる接着剤や粘着剤、分散体などの国内の製造設備や、インクジェット用インキの欧州や中国の製造設備を増強しましたほか、新しく進出したミャンマーの工場が完成し、事業活動を開始しました。また、モロッコに販売会社を設立し、アフリカ大陸の経済成長を見据えたマーケティング活動も強化しました。一方、デジタル化に伴い市場が縮小している国内のオフセットインキ、新聞インキ事業については、需要減に耐えうる事業体制の効率化や、同業他社とのアライアンスに着手しました。さらには、原料価格の高止まりに対応するため、代替原料を使用した処方への改良を進めるとともに、製法革新の研究も推進しました。
第三の方針である「変化を厭わず、挑戦を促す風土・人事制度の刷新と業務改革」については、センサーやデータサイエンスを活用した効率的な生産体制の構築や、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)を活用した業務の生産性向上への取り組みを行いました。また、評価制度や働き方の見直しに伴う人事制度の改訂を行い、挑戦を促す風土への基盤整備を行いました。
しかし、米中の通商摩擦の長期化に伴い、スマートフォンを始めとする高機能製品の消費市場が低調に推移しましたうえ、原材料価格の高止まりも続きましたため、当連結会計年度の売上高は2,798億92百万円(前期比3.6%減)と減収になり、営業利益は131億74百万円(前期比13.8%減)、経常利益は138億47百万円(前期比10.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は85億9百万円(前期比28.2%減)と、それぞれ減益になりました。
セグメントごとの経営成績につきましては、次のとおりです。
高機能顔料や液晶ディスプレイカラーフィルター用材料は、スマートフォンやテレビ需要の低調が続き、特に高品位品を扱う国内や韓国の顧客での稼働が悪化し、売上が伸び悩むとともに、中国や台湾での部材へのコストダウン要請が一層厳しくなり、利益も圧迫されました。
汎用顔料は、印刷インキ用の低調が続きましたうえ、自動車販売の低調に伴い塗料用も伸び悩みました。また、環境規制に伴う供給不足による原材料価格の高騰が続き、販売価格への一部転嫁を進めましたものの、利益の減少を補うまでには至りませんでした。
プラスチック用着色剤は、国内では容器用の伸長が続きましたが、自動車や建材、太陽電池向けなどの高機能製品は伸び悩みました。また東南アジアでの事務機器向けも、低調に推移しました。
これらの結果、当事業全体の売上高は674億円(前期比9.7%減)、営業利益は33億86百万円(前期比36.4%減)と、減収減益になりました。
b. ポリマー・塗加工関連事業
塗工材料は、高速通信対応の電磁波シールドフィルムなどの開発や拡販が進みましたものの、中国や韓国でのスマートフォン市場の低調や価格競争の激化により、全般的には売上、営業利益とも伸び悩みました。
接着剤は、国内では包装用が堅調に推移しましたうえ、リチウムイオン電池用が自動車向けを中心に伸長しました。また海外では、中国や東南アジア、トルコなどでの拡販が進みました。粘着剤は、ラベル用の需要が堅調に推移し、液晶ディスプレイの偏光板向けの拡販も進みました。
缶用塗料(フィニッシェス)は、環境対応製品の展開が進みましたものの、国内では夏から秋に掛けての天候不順もあり低調が続きました。
これらの結果、当事業全体の売上高は658億87百万円(前期比0.3%減)、営業利益は60億13百万円(前期比0.4%減)と、わずかに減収減益になりました。
国内のグラビアインキは、出版用の需要減少が続きましたうえ、建装材用も前期並みに終わりましたが、食品や飲料などの包装用がプライベートブランドやコンビニエンスストア向けを中心に堅調に推移、中でもバイオマスインキが大きく伸長しました。海外は、中国では伸び悩みましたものの、東南アジアやインドなどでの環境対応製品の拡販が進みました。
また国内外とも、前期からの原材料価格の急騰を受け、コストダウンを徹底するとともに、販売価格への一部転嫁も進めさせていただきました。
グラビアのシリンダー製版事業は、包装用が伸び悩みましたものの、エレクトロニクス関連の精密製版の拡販が進みました。
これらの結果、当事業全体の売上高は680億71百万円(前期比0.0%増)とほぼ前期並みになりましたが、営業利益は30億58百万円(前期比105.0%増)と増益になりました。
デジタル化に伴う情報系印刷市場の縮小傾向のなか、国内では製品別にビジネス規模の最適化や同業他社との協業、コストダウンを強力に進める一方、海外ではグローバルな拠点拡充による売上拡大を図り、インドや南米などでの拡販が進みました。さらには、モロッコに販売会社を設立し、成長するアフリカ市場での拡販も図っています。また、最先端技術を活用した高感度UVインキや、オンデマンド印刷向けインクジェット用インキなどの開発や拡販も進みました。
しかし、国内におけるチラシなどの商業印刷や新聞、雑誌などの既存のオフセットインキの需要は、印刷用紙不足もあり、予想以上に減少しました。また、環境規制に伴う供給不足などによる原材料価格の高騰が続き、利益も圧迫されましたなか、販売価格の改定を進めさせていただいております。
これらの結果、当事業全体の売上高は766億80百万円(前期比3.4%減)、営業利益は3億14百万円(前期比66.3%減)と、減収減益に終わりました。
上記のセグメントに含まれない事業や、東洋インキSCホールディングスなどによる役務提供などを対象にしていますが、売上高は72億91百万円(前期比0.9%増)と増収のなか、グローバル統合システム関連費用や退職給付費用などの増加により、営業利益は4億24百万円(前期比71.4%減)と減益になりました。
財政状態につきましては、次のとおりです。
当連結会計年度末における総資産は3,761億30百万円で、前連結会計年度末より45億20百万円増加しました。負債は1,492億37百万円で、前連結会計年度末より12億81百万円減少しました。純資産は2,268億92百万円で、前連結会計年度末より58億1百万円増加しました。
当連結会計年度末日の為替レートが前連結会計年度末日の為替レートに比べ、円高外貨安に振れたため、海外子会社で保有する資産、負債及び為替換算調整勘定が減少しました。一方、株価上昇もあり、投資有価証券及び退職給付に係る資産が、それぞれ増加しました。それに伴い、繰延税金負債、その他有価証券評価差額金、退職給付に係る調整累計額も、それぞれ増加しました。
当連結会計年度の現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)の期末残高は、前期末残高より28億6百万円増加し、537億65百万円となりました。
営業活動により得られた資金は196億73百万円(前連結会計年度比4億76百万円増)となりました。税金等調整前当期純利益計上による資金の増加や法人税等の支払いによる資金の減少などがありました。
投資活動により使用した資金は104億4百万円(前連結会計年度比4億24百万円減)となりました。有形固定資産の取得などに伴う支出などによるものです。
財務活動により使用した資金は62億47百万円(前連結会計年度比5億51百万円増)となりました。借入金の返済や配当金の支払いに伴う支出などによるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 生産金額は製造原価によっており、消費税等は含まれておりません。
当企業グループにおける受注生産は極めて少なく、大部分が計画生産のため、記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 上記の金額は、連結会社間の内部売上高を除いております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合につきましては、販売実績の総販売実績に対する割合が10%以上の相手先が存在しないため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当企業グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当企業グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されていますが、その作成には経営者による会計方針の選択・適用と、資産・負債及び収益・費用の報告金額に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りにあたっては過去の実績等を勘案し合理的な判断を行っていますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性がありますため、これらの見積りと異なる場合があります。
当企業グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
a. 経営成績の分析
当連結会計年度の売上高は、前期比103億15百万円(3.6%)減の2,798億92百万円(計画 2,800億円)となりました。その内容は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおり、国内印刷インキ市場の伸び悩みが続きましたうえ、米中の通商摩擦の長期化に伴う中国景気やスマートフォンを始めとする高機能製品の消費市場の減速がありましたことに加え、為替変動に伴う海外子会社の円換算額の目減りもあり、減収となりました。
営業利益は、前期比21億2百万円(13.8%)減の131億74百万円(計画 133億円)となりました。高機能製品が伸び悩みましたことに加え、原材料価格の高止まりが続きましたなか、コストダウンを徹底するとともに、販売価格への一部転嫁を進めましたものの、利益の減少を補うまでには至りませんでした。
経常利益は、営業利益が減少したものの、為替差損の減少により、前期比15億82百万円(10.3%)減の138億47百万円(計画 135億円)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の減少に加え、特別損失が増加したため、前期比33億38百万円(28.2%)減の85億9百万円(計画 85億円)となりました。
なお、セグメント別の経営成績については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
b. 財政状態の分析
財政状態の分析については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであり、セグメント別の財政状態は、成長事業や地域への積極的な設備投資などにより、以下となりました。
色材・機能材関連事業の資産1,038億55百万円(前期末より1億37百万円減少)。
ポリマー・塗加工関連事業の資産827億60百万円(前期末より26億87百万円増加)。
パッケージ関連事業の資産840億33百万円(前期末より28億69百万円増加)。
印刷・情報関連事業の資産957億3百万円(前期末より13億51百万円減少)。
その他関連事業の資産97億77百万円(前期末より4億51百万円増加)。
c. キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであり、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、政策保有株式の売却などにより、537億65百万円と前期末より増加しており、有利子負債については、595億7百万円と前期末より減少しております。これにより、DEレシオは0.29倍と圧縮され、さらに財務体質は強固になってきております。
当企業グループが提供する製品の市場は多岐に渡っておりますが、一般的な消費動向や、石油化学系原料の仕入価格、為替レートなどは、当企業グループの経営成績に大きく影響を与える要因になっております。
当連結会計年度では、為替は比較的に安定して推移し、ナフサ価格も年度の後半には下落したものの、中国などでの環境規制強化に伴う需給バランスの悪化による原材料価格の高止まりは解消されず、営業利益を悪化させる要因となりました。次期につきましても、ナフサ価格は落ち着きを見せてきたものの、需給バランスの悪化は解消されず、原材料価格の高止まりは続くものと見込まれます。これに対し、当企業グループでは、調達手段の多様化やアライアンスの強化、代替原料の検討や樹脂の内製化などをはじめ、さまざまなコストダウンを進めるとともに、高機能製品へのシフトや、販売価格への適切な転嫁も図ってまいります。
その他、海外活動や災害への対応など、当企業グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクについては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりですが、これらの発生を抑制する活動を、CSR統括委員会傘下のリスクマネジメント部会を中心に、引き続き積極的に推進していきます。
当企業グループは、「人間尊重の経営」を経営哲学に掲げ、「世界にひろがる生活文化創造企業を目指す」ことを経営理念とし、「CS(顧客満足)、ES(社員満足)、SS(社会満足)、SHS(株主満足)を向上させる」ことを行動指針として、全ての企業活動を進めています。
また、長期構想「Scientific Innovation Chain 2027 (SIC27)」では、次なるターゲットである2027年に向けて提供していく価値を「For a Vibrant World」と定め、すべての生活者・生命・地球環境がいきいきと共生する世界に貢献する企業グループを目指しています。これに伴いドメインについても、これまでの枠組みを戦略的に拡大し、成長市場のみならず、社会課題の解決や、生命や地球環境の持続成長可能性に繋がる領域にも注力しています。
この長期構想の第一ステップとなる中期経営計画「SIC-Ⅰ」では、当企業グループが持続的に成長していくための礎を創り上げる期間と位置づけており、具体的には、成長に向けた既存事業の変革と新事業への挑戦や、持続可能性向上に向けたモノづくり革新の推進、経営基盤の刷新を進めております。中期経営計画の二年目となる当連結会計年度におきましては、事業環境の悪化により業績は伸び悩みましたものの、事業領域の拡大や構造改革、経営資源の強化は着実に進めております。
当企業グループの主な運転資金需要は、製品製造のための原材料費や労務費及び製造経費をはじめ、販売費及び一般管理費、新製品創出や事業領域拡大のための研究開発活動費などにあります。また、設備投資では、成長領域や事業拡大に合わせた生産設備投資によるグローバル供給体制の強化や、統合システム整備による事業や業績のグローバル一体管理を進めています。さらには、事業拡大を目的とした各種アライアンスや、人材・技術・事業などの戦略投資についても機動的に実施してまいります。
なお、これらの資金需要につきましては、主に手元資金や営業活動によるキャシュ・フローから創出するとともに、必要に応じて、金融機関からの借入なども実施していきます。また、国内では、キャッシュ・マネジメント・システムを導入しており、当企業グループの余剰資金を効率的に運用しております。
今後の経済環境は、世界的に緩やかな回復が続くと期待されます一方、新型コロナウィルスに伴う影響もあり、減速懸念が次第に高まりつつあります。また、当企業グループにおいても、需要の伸び悩みに加え、原材料の調達環境悪化に伴う価格の高止まりが続くものと予想されます。
このような厳しい事業環境ではありますが、長期構想の第一ステップであり、当企業グループの礎を創り上げる期間と位置付けた中期経営計画「SIC-Ⅰ」の最終年度として、次期は、今までの試行錯誤を踏まえて、選択と集中の指向で事業の構造改革や企業体質の強化をさらに進め、事業別には「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりの活動を実行することで、長期構想の実現に向かって着実な成果を積み重ねてまいります。
さらには、フィリピンの連結子会社における不適切な会計処理が行われていた問題を深く反省し、事業活動を推進していく基盤として、グローバルでのガバナンス体制の改善に取り組むとともに、拡大する事業分野に対応する品質保証体制の強化を図ってまいります。
なお、次期の目標とする年度計画指標としては、売上高2,900億円、営業利益150億円、経常利益155億円、親会社株主に帰属する当期純利益100億円となっております。
当連結会計年度において、経営上の重要な契約はありません。
当企業グループは、創業200周年を見据え、10年後のありたい姿を新たな長期構想として掲げ、持続的な成長を実現する企業活動のコンセプト「Scientific Innovation Chain 2027(SIC27)」を設定し、それに向けた中期経営計画「SIC-Ⅰ」を2018年度より展開しています。すべての生活者・生命・地球環境が、いきいきと共存・共生する世界に貢献する企業グループを目指し、研究開発においては、サイエンス領域を広げて新技術を獲得し、新たな価値を創造し、お客様とともに成長、発展すべく積極的に活動を進めております。
当企業グループの目指す事業ドメインは①ライフサイエンスドメイン、②コミュニケーションサイエンスドメイン、③サスティナビリティサイエンスドメインであり、「SIC-Ⅰ」の2年目となる2019年度は、それらのドメインを細分化した11の領域からパッケージ、メディカル、モビリティ、IoT、エネルギー、天然材料の6分野に注力し、それぞれの領域で戦略的に技術開発し、イノベーションの連鎖を起こすべく、日々取り組んでまいりました。
当企業グループにおける研究開発は、当社のグループテクノロジーセンター(イノベーションラボ、マテリアルサイエンスラボ、ポリマーデザインラボ、解析技術ラボ)、生産・物流センター(プロセスイノベーションラボ)及び国内外の各連結子会社の技術部門により推進しております。
またパッケージのリサイクルや独自センサーシステムの事業開発・検証など、IoT、新デバイス事業開発は、グループ連携プロジェクトとして開発を推進しています。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、
当事業では、色材開発で培った有機合成技術とインキケミカルのコアである分散技術を進化させて融合し、特徴ある独自の新素材や、それらを応用した高機能分散体の開発を続けております。
顔料及び顔料分散体事業関連では、新しい色材の提供を目標に開発を進め、「HAYABUSA®」というユニークなプロセスを用いた色材の開発に成功し、好評を得ております。精密に設計された新しい色材は、染料のような鮮明な色特性と顔料の耐候性を両立させた特徴を有し、デジタル印刷や高機能塗料等に応用され始めています。
メディア事業関連では、カラーフィルター用材料をさらに進化させた画像センサーや赤外線センサー等の材料開発を進め、IoTやAI分野での使用が始まりました。また、特定の波長のみをカットする狭帯域センサーに使用される波長制御材料も高評価を得ており、次世代エレクトロニクスデバイスへの応用が期待されています。
着色事業関連では、従来の固体分散技術に、機能材料設計技術、精密分散技術を融合させて新たな製品開発に取り組み、光波長制御機能を持つプラスチック素材やシート、繊維等の用途への応用展開を進めております。また、廃プラスチック問題にいち早く取り組み、リサイクル材料を利用した環境対応製品の開発も積極的に取り組んでおります。
機能材料事業関連では、リチウムイオン電池用に導電補助剤としてカーボンナノチューブを応用した新たな分散体開発に成功し、国内だけでなくグローバルに事業展開を計画しております。こうした特殊無機材料、金属材料の精密分散技術を武器に、新たな機能を付与した分散体の開発を川下製品へ応用し、成長市場への展開を進めています。
当事業に係わる研究開発費は、
当事業では、重点市場を①包装・工業材市場、②エレクトロニクス市場、③メディカル・ヘルスケア市場と位置づけ、その事業の礎となるポリマー・サイエンス・テクノロジープラットフォームの拡充に取り組み、高付加価値製品や環境調和製品の開発を続けております。
包装・工業材市場向けについては、粘接着剤は、ウレタン系粘着剤・アクリル系粘着剤の技術を進化させたバイオマス粘着剤が採用されました。さらに、高バイオマス度粘着剤の開発、生分解粘着剤の開発を始めており、今後環境意識の高いお客様へ提案してまいります。ラミネート接着剤は、特に海外で環境調和型の拡販・開発が進みました。缶用塗料(フィニッシェス)では、既に海外で採用されている環境対応製品が国内でも採用されました。さらに国内外で検討が進んでおります。引き続き、環境調和型製品群の開発を進めてまいります。
エレクトロニクス市場向けについては、スマートフォン・タブレット向けは、5G用の新規電磁波シールドフィルムの拡販が伸長し、高速伝送に必要とされる独自の低誘電樹脂の開発が進みました。ディスプレイ向けには次期光学用粘着剤の開発が進展し、中国での採用も始まりました。二次電池周辺材料は、リチウムイオン電池用接着剤の拡販が進み、さらに電極用樹脂も採用されております。センサー関連では、体験型アトラクションに実績のあるセンサーシート「Fichvita®」が、介護関連で採用されました。さらに自動運転・無人店舗等へのトライアル実証実験が始まっており、今後のIoT社会で拡張できるセンサーシステムとして、開発してまいります。
ヘルスケア市場向けでは、特に海外で貼付用粘着剤の開発・拡販が進みました。また、貼付型医薬品事業については、新規ジェネリック貼付薬の開発が進んでおります。
当事業に係わる研究開発費は、
当事業では、軟包装用のグラビア、フレキソインキを始め、建装材用グラビアインキ、機能性インキの開発とサービスの提供をグローバルに展開しております。近年は、持続可能な開発目標(SDGs)の実現に向けた製品開発に重点を置き製品ラインナップを拡大しております。
再生可能な植物由来原料を活用したバイオマスインキでは、フィルムラミネート用、フィルム表刷用、紙器用、角袋用インキなどのラインナップを拡充してまいりました。フィルムラミネート用を中心に大きく伸長し、二酸化炭素排出削減に貢献しております。
また、揮発性有機化合物排出削減や作業環境改善のソリューションとして、ラミネート用水性グラビアインキ及びラミネート用水性フレキソインキの実績化も国内外で進んでおります。
さらに、プラスチックごみ汚染問題に対しては、高純度マテリアルリサイクル技術を2022年度量産化・商品化に向けてヴェオリア・ジェネッツ株式会社と開発中です。また、機能性インキ分野では、高耐久性建材用トップコート剤を開発し、高い評価を頂いております。
今後も、リサイクル技術、バイオマス製品を始め、各種の環境対応型製品の開発を通じて、お客様とともにSDGsの達成に貢献する製品とサービスを提供し、社会に貢献してまいります。
当事業に係わる研究開発費は、
当事業では、枯渇性資源に依存しない持続可能な社会の実現に向けて、持続可能な開発目標(SDGs)に連動した製品群の開発・販売を積極的に行っております。
油性インキでは、再生植物油及び非食用の米ぬか油などの有機資源を当社独自の材料変性技術と組み合わせることで、従来よりもバイオマス度を高めた製品開発を実現し、持続可能な社会に貢献するとともに、お客様の安心・安全、生産性向上、コスト削減に貢献する製品開発を継続して進めております。
UVインキにおいても、バイオマス製品のラインナップ拡充に注力しており、従来の紙器パッケージ用途の他、シール・ラベル用途やカップ用途の製品も開発し、環境調和型インキとして高い評価を得ております。単に植物由来原料を使用するだけではなく、非可食原料やリサイクルされた原料を積極的に活用することで、環境負荷低減に取り組んでおります。
インクジェットインキでは、サイン用途向けで優れた高輝性を発現する意匠性インキを拡充し、オンデマンド印刷用途向けには、光源による色差を低減するUVインキ、高画質と実用適性を両立した食品包装用水性インキの開発を進めております。
当事業に係わる研究開発費は、
なお、上記の4つの事業に含まれない研究開発費は、