当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当企業グループが判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当中間連結会計期間における世界経済は、持ち直しが緩やかになっており、一部の地域において足踏みがみられたほか、関税率引上げに伴う駆け込み需要やその反動の影響、不透明感がみられました。
このような環境のなかで当企業グループは、年度方針である「高収益既存事業群への変革」、「戦略的重点事業群の創出」、「経営基盤の変革」の実現に取り組んでまいりました。
この結果、当中間連結会計期間の売上高は1,687億32百万円(前年同期比2.0%減)、営業利益は93億73百万円(前年同期比11.2%減)、経常利益は86億33百万円(前年同期比30.2%減)、親会社株主に帰属する中間純利益は54億74百万円(前年同期比41.5%減)と、減収減益になりました。
セグメントごとの経営成績につきましては、次のとおりです。
液晶ディスプレイカラーフィルター用材料は、中国で大型パネル用が補助金政策効果や関税率引上げに伴う駆け込み需要により出荷が増加したものの、台湾ではパソコン用など中小型パネル向けの出荷低調が続いたことに加え、国内のパネルメーカー撤退による影響も受けました。光半導体材料は、中国でスマートフォン向けに販売が拡大しました。
プラスチック用着色剤は、国内では飲料キャップ用が堅調で、コストダウンや価格改定による効果もあり損益が改善しました。海外では、前期に好調でした太陽電池用が伸び悩んだうえ、自動車用も低調でした。
車載用リチウムイオン電池材料は、EV市場の成長鈍化が続き低調でしたが、顧客開拓や次世代製品開発を継続して進めました。インクジェットインキは、競争環境が強まるなか顧客との協業を強化しました。
これらの結果、当事業全体の売上高は413億63百万円(前年同期比5.6%減)、営業利益は8億12百万円(前年同期比62.5%減)と、減収減益になりました。
塗工材料は、導電性接着シート等の機能性フィルムが、スマートフォンの新モデル向けの増加や中国での拡販により、好調に推移しました。また、半導体関連材料については開発品の実績化が拡大しました。
粘着剤は、国内では自動車向けなど工業用が堅調に推移し、海外ではディスプレイ用の需要増を取り込んだ中国や、拡販が進んだインドで好調でした。接着剤は、包装用が国内外で堅調だったものの、一部地域では顧客の稼働減少の影響を受けたほか、工業用はリチウムイオン電池向けが伸び悩みました。
缶用塗料は、国内では酒類値上げによる駆け込み需要後も堅調に推移し、拡販もあり伸長しました。海外でもタイを中心に、飲料缶用の拡販や食缶用の需要増により、好調に推移しました。
これらの結果、当事業全体の売上高は438億30百万円(前年同期比2.8%増)、営業利益は36億65百万円(前年同期比5.3%増)と、増収増益になりました。
リキッドインキは、国内では、パックご飯や冷食、カット野菜向けなどの需要が堅調に推移したことに加え、段ボール用も青果物関連が回復基調となりました。また、価格改定による効果もあり、売上高が伸長しました。
海外では、中国で消費の低迷により販売が伸び悩み、韓国では競合環境激化の影響を受けて出荷が減少しましたが、東南アジアやインドでは市況に支えられ堅調に推移しました。トルコでは、新工場稼働により新規顧客や周辺国への販売が拡大した一方、償却費負担も増加しました。
グラビアのシリンダー製版事業は、包装用の新版需要を確保したことや、エレクトロニクス関連の精密製版も緩やかに回復したことから堅調な販売となりました。
これらのほか、前年同期に比べて為替レートが円高外貨安に推移したこともあり、その結果、当事業全体の売上高は440億59百万円(前年同期比0.6%減)、営業利益は24億85百万円(前年同期比0.7%減)と、減収減益になりました。
国内では、情報系印刷市場の縮小が続き、広告、出版向けが低調に推移しましたが、事業ポートフォリオ変革を進めたことで、機能性コーティング剤や省エネルギー対応の高感度UVインキなどの機能性インキの販売は拡大しました。
海外では、出版や新聞向けなど情報系印刷の市場停滞に伴い中国や欧州で低調でしたほか、紙器パッケージ向けも東南アジアやインドで伸び悩みました。
これらの結果、当事業全体の売上高は387億55百万円(前年同期比4.8%減)、営業利益は20億62百万円(前年同期比16.9%減)と、減収減益になりました。
上記のセグメントに含まれない事業や、持株会社であるartienceによる役務提供などを対象にしています。当中間連結会計期間においては、売上高は26億24百万円(前年同期比5.0%減)、営業利益は3億26百万円(前年同期は62百万円の営業損失)と、減収増益になりました。
財政状態につきましては、次のとおりです。
当中間連結会計期間末における総資産は4,449億73百万円で、前連結会計年度末より278億13百万円減少しました。負債は1,825億1百万円で、前連結会計年度末より165億31百万円減少しました。純資産は2,624億72百万円で、前連結会計年度末より112億81百万円減少しました。
当中間連結会計期間末日の為替レートが前連結会計年度末日の為替レートに比べ、円高外貨安に振れたため、海外子会社で保有する資産、負債及び為替換算調整勘定が減少しました。また、日本国内の株価下落を反映し、投資有価証券及びその他有価証券評価差額金が減少しました。さらに、自己株式の取得による支出や法人税及び配当金の支払いに伴い現金及び預金は減少しました。なお、第3回無担保普通社債を発行し、一部の借入金を返済しております。
当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)の中間期末残高は、期首残高より125億20百万円減少し、475億31百万円となりました。
営業活動により得られた資金は96億44百万円(前年同期比55億1百万円減)となりました。税金等調整前中間純利益及び減価償却費の計上や売上債権の減少などによる資金の増加、仕入債務の減少や法人税等の支払いなどによる資金の減少がありました。
投資活動により使用した資金は77億72百万円(前年同期比36億83百万円減)となりました。有形固定資産の取得による支出などによる資金の減少がありました。
財務活動により使用した資金は128億29百万円(前年同期比99億46百万円増)となりました。社債の発行による収入などに伴う資金の増加や、短期借入金の減少、長期借入金の返済や自己株式の取得による支出、配当金の支払いなどによる資金の減少がありました。
当中間連結会計期間において、当企業グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について、重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当中間連結会計期間における当企業グループの研究開発活動の金額は、49億90百万円であります。また、当中間連結会計期間において、当企業グループの研究開発活動の状況における変更の内容は次のとおりであります。
当企業グループにおける研究開発体制は、国内のみならず、海外を含めたグループ全体の技術・研究開発・技術企画を強化していくため、名称を「R&D本部」から「グループR&D本部」へと変更いたしました。また、「グループR&D本部」内に、社内にある技術知見と生成AIやMIを融合した新しい研究開発手法を開発するため、「AIイノベーション技術部」を新設致しました。本体制のもと、国内・海外事業会社の連携による新製品及び新技術の開発や探索活動の強化に取り組み、グループ全体のR&D機能、生産技術機能の強化・拡大を目指していきます。
前連結会計年度末において計画中であった重要な設備の新設等について、当中間連結会計期間において、著しい変更があったものは、次のとおりです。
(注)投資予定総額及び完了予定年月を変更いたしました。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。