第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

  当社グループは、印刷用インキの製造・販売からスタートし、各種プラスチック着色剤や機能性製品、特殊な成形加工技術を駆使した樹脂加工品へと事業範囲を拡大しながら、暮らしに役立つ製品を提供し続けてきました。

  また、常に市場や社会が求める価値を最優先に考え、お客様と共に創り上げることで、日々の暮らしに貢献し続けることを目指しております。

  中期経営計画「TOKYOink 2020」策定の際、あらためて当社の「ありたい姿」・「あるべき姿」を下記のとおり明確にし、社会に貢献できる、継続的な高収益メーカーとして活動していくことを基本方針としております。

 

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(2)経営戦略等

  2016年に公表した、高収益メーカーへの成長の通過点として2020年度連結経常利益15億円を目標とする5カ年の経営計画「TOKYOink 2020」における経営戦略は以下のとおりであります。

 

①コア事業の更なる強化とコア事業周辺領域の事業を拡大することを目指した事業戦略

②素材を活かす要素技術と加工技術の拡充を目指した技術戦略

③株主価値の向上と事業戦略に応じた最適資本構成を目指した財務戦略

④人的資源の有効活用を目指した人事戦略

 

  なお、本来、「TOKYOink 2020」は2020年度が最終年度でありましたが、新型コロナウイルス感染症の経営環境への影響が見通せない状況であったため、1年延長して取り組みを行ってまいりました。

 

 合わせて、基盤の整備として「現場力の徹底強化」を推進してまいりました。

 

 

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(3)経営環境

2021年度のわが国の経済は、新型コロナウイルスの感染拡大が長期化する中、ワクチン接種の進展で行動制限が緩和されたことを受け、経済社会活動の再開が進められました。しかしながら、新たな変異株の出現等新型コロナウイルス感染症の収束は未だ見通せず、経済社会活動の正常化は道半ばの状況にあります。

 加えて、想定を超えた原油・原材料価格の高騰、急激な円安進行や半導体供給不足等のサプライチェーンの混乱、さらにはウクライナ情勢を含む地政学リスク等により国内外の企業活動は大きく左右され、今後の経済の先行きは不透明な状況が続いております。

 また、近年のデジタル技術の急速な進化により行動様式に変化が見られることで、商業・出版印刷のデジタル化へのシフトが加速していることや、サステナビリティへの意識の高まりによる脱プラスチックの流れが加速していることにより、当社グループ製品の需要動向全体に影響が及んでおり、環境規制等による原材料の供給面等にも影響が生じております。

 新型コロナウイルス感染症に対する十分な感染防止対策をとりつつ、当社グループの事業活動への影響が最小限となるよう努めるとともに、持続的に成長できる企業になるために、環境問題への長期的な取り組みや、外部環境変化に対応できる企業構造への変革を進めてまいります。

 

(4)経営計画「TOKYOink 2020」の取り組みと事業の状況について

①業績推移

 中期経営計画期間の当社グループの業績推移は以下のとおりとなりました。

 中期経営計画の数値目標である連結経常利益15億円に関しましては、コア事業周辺領域への製品展開、既存製品の収益維持に努めてきたこともあり、第145期(2017年3月期)、第146期(2018年3月期)に達成いたしました。しかし、その後は既存主力製品の市場縮小の加速化や新型コロナウイルス感染症拡大による需要の変化等、さまざまな外部環境変化が計画策定時の想定以上に進行し、直近では原油高等に起因する原材料高騰の影響を受けたこと等により未達成となりました。

 

「連結業績推移」

(単位:百万円)

決算年月

2017年3月期

2018年3月期

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

売上高

43,949

44,866

44,628

42,572

38,165

41,401

セグメント利益

2,893

3,240

3,052

2,559

2,251

2,654

営業利益

1,181

1,464

1,238

592

256

675

経常利益

1,540

1,761

1,437

808

622

898

 

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②事業戦略

中期経営計画「TOKYOink 2020」の事業戦略として、コア事業の更なる強化とコア事業周辺領域へ事業拡大することを目指して活動してまいりました。

各セグメントの主要製品別の取り組み・成果と今後、優先的に対処すべき課題は以下のとおりであります。

 

 

セグメント

製品

取り組み・成果

優先的に対処すべき課題

インキ

オフセット

インキ

・環境対応高バイオマス製品の開発・拡販

・高バイオマス製品開発によるカーボンニュートラルへ貢献

・市場縮小が継続する中、他社との協業や生産体制の再構築を更に進め、収益維持・拡大に向けた事業運営体制の構築を図る

・UVインキの開発・拡販

・他社との協業推進

・生産体制の再構築

インキ

グラビア

インキ

・環境対応バイオマス・ライスインキ製品の開発・拡販

・市場が堅調に推移する中、更なる機能性コート剤や環境対応製品の拡販および連結子会社化した荒川塗料工業㈱とのシナジー発揮により事業領域を拡大することで、成長路線を目指す

・高意匠性製品の開発・拡販

・モノマテリアル包材用機能性コート剤の開発・拡販

インクジェットインク

・産業用TIC-JET®の普及

・伸長が期待できる産業用インクジェット市場において、更に差別化製品開発・拡販を進め、成長路線を目指す

・特許戦略による差別化製品

  開発・拡販

・偽造防止・セキュリティ

  対応インキ開発・拡販

化成品

・環境対応製品を含む機能性コンパウンド・マスターバッチ開発・拡販

・環境問題への関心の高まりから、更なる環境対応製品の開発・拡販やサーキュラーエコノミーに参画すること等により、成長路線を目指す

・液状マスターバッチを基軸に周辺事業領域であるエンプラ市場への事業拡大を図る

・省力化に寄与する液状マスターバッチのシステム販売(着色剤および供給装置)

・自動車用着色材開発・拡販

・生産体制の再構築

加工品

ネトロン®(注)

・水処理用精密ネット拡販

・今後も伸長が期待できる水処理用精密ネットの拡販により成長路線を目指す

・環境対応製品の拡販によりワンストップサービスを強化し包材のトップシェアの維持と更なる成長を図る

・バイオプラネトロン®開発

・生産体制の再構築(生産

  能力の増強)

一軸延伸

フィルム

・高機能・環境対応製品の

  開発・拡販

・主力製品の拡販、バイオマスおよびモノマテリアルフィルム用途の開発・拡販を推進

・生産体制の再構築

土木資材

・ジオセル新工法の開発・NETIS*取得(3件)

(*新技術情報提供システム / 国土交通省)

・国土強靭化計画継続により、今後も伸長が期待できる防災・減災需要において、ジオセル国産化、周辺領域の拡大、ニッチトップ戦略を推し進め、更に、新工法・新技術の開発によりNETIS*を取得し高収益化を目指す(*新技術情報提供システム / 国土交通省)

・ジオセル製品および周辺部材の開発・拡販

・ジオセル工法特許化等に

  よる認知度向上

・災害復旧需要の取り込み・復興への貢献

農業資材

・高機能内張カーテン資材を

  中核とする環境対応製品の

  開発・拡販

・国内耕作面積が減少傾向にあるものの、高機能ハウス分野の伸長が期待できるため、メーカー機能を強化し、高機能製品、環境対応製品の開発・拡販を目指す

(注)ネトロン®は三井化学株式会社の登録商標です。

 

 

③技術・財務・人事戦略

 中期経営計画「TOKYOink 2020」では、技術・財務・人事戦略として下記の戦略を掲げて活動してまいりました。計画期間内でのそれぞれの取り組み・成果、今後、優先的に対処すべき課題は以下のとおりであります。

 

戦略

取り組み・成果

優先的に対処すべき課題

技術戦略
素材を活かす要素技術と
加工技術の拡充

・省力化、自動化設備の導入

・新製品開発の加速化、生産効率向上のための取り組みを継続

・新規混練装置の開発による分散技術の差別化

・新規分析装置の導入による評価技術の高度化

・産官学による共同研究推進

財務戦略
株主価値の向上と

事業戦略に応じた

最適資本構成

・財務基盤の最適化(投資判断基準の整備、付加価値を高める投資管理と成長投資を支える機動的な資金調達)

・株主価値・企業価値向上のための財務的な取り組みおよび法規制対応を継続

・新しい会計基準・各種改正法令への

  対応

・ITツール活用による業務プロセス見直し、経営管理の水準向上

・企業価値向上のためのIR拡充

(決算情報の記載充実化、決算説明会開始)

・株主還元拡充

(増配・株主優待開始、自己株式取得)

人事戦略
人的資源の有効活用

・働き方改革への対応

・株主価値・企業価値向上のための人的資源に対する制度設計等の取り組みおよび法規制対応を継続

・賃金(給与・手当)体系の改定による就労環境整備

・人事評価制度設計の再設計

・e-Learning導入等、社員教育の拡充

 

 

④基盤の整備

 中期経営計画「TOKYOink 2020」では、全社・各部門で持続的成長のための「基盤の整備」を掲げて活動してまいりました。計画期間内での取り組み・成果、今後、優先的に対処すべき課題は以下のとおりであります。

 

基盤の整備

取り組み・成果

優先的に対処すべき課題

価値を探し出す

・営業管理体制の再構築による業務効率向上

・市場が求める価値の追求に向けた体制の最適化を図る

・CRM(Customer Relationship Management)

  ツール導入による競争力強化

・事業領域拡大のための荒川塗料工業㈱連結子会社化

価値を創り出す

・生産・技術部門統合による製品開発・上市の加速化

・素材を活かす要素技術・加工技術を活用した既存事業に属さない新規製品開発

価値を造り上げる

安全対策強化

・耐震補強工事実施

・安全基準を改めて明確化した上で、各安全対策を強化する

・安全確保のための各活動継続実施

・設備の安全性向上対策実施

生産体制構築

・生産能力増強のための設備導入と生産性

  向上に向けた最適化を実施

・更なる省力化、高効率生産の実現に向け設備、体制の最適化を図る

・大阪工場内に新工場建設し化成品の生産

  能力を増強

・連結子会社トーイン加工㈱に新工場建設しネトロン®の生産能力を増強

土台・仕組みを整える

コーポレート

機能強化

・事業継続計画(BCP)を策定

・高効率な業務体制構築のための更なるコーポレート機能強化

・人事機能強化最優先

・全社的リスクマネジメント(ERM)体制刷新

・ESG課題に対応するためにコーポレート

  ガバナンス体制を刷新

・法務・広報の機能強化

情報インフラ

整備

・経営効率向上のために基幹システムを刷新

・セキュリティ確保した上での高効率な運営体制構築に向け必要な仕組み、ツールを導入する

・情報セキュリティ強化

・RPA・電子ワークフロー導入および活用範囲

  拡大による業務効率の向上

・リモートワーク環境整備

 以上のことを踏まえ、新経営計画「TOKYOink 2024」を策定し、企業価値の向上、企業活動と社会課題解決の両立を目指すための取り組みを進めてまいります。

 

(5)新中期経営計画「TOKYOink 2024」

 上記「TOKYOink 2020」の取り組みの成果や残された課題を踏まえ、改めて、当社の「ありたい姿」、「あるべき姿」を原点とした、「TOKYOink 2020」の後継となる3カ年の新しい中期経営計画「TOKYOink 2024」を2022年4月より始動させております。「TOKYOink 2024」の経営方針は以下のとおりとなります。

 

(経営方針)

・市場が求める価値の追求 とりわけ環境・社会に貢献する製品・サービスの提供

・低成長時代にも耐えうる高効率な運営体制の実現

 

中期経営計画「TOKYOink 2024」につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 c.新中期経営計画「TOKYOink 2024」」に詳しく記載しております。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 

(1)当社のリスクマネジメント体制

当社は、代表取締役社長を議長とし、全ての部門長および各委員会の委員長を協議員として構成されるESG経営推進会議の下部組織に、リスク管理委員会、コンプライアンス委員会、環境負荷低減委員会、ソーシャルレスポンシビリティ委員会を設置しております。リスク管理委員会は、各委員会と連携し、様々なリスクを網羅的に把握し、定期的に報告がなされる体制の整備と運用にあたっております。

2021年度におきましては、リスク対応体制の更なる強化を行うために、2020年度に導入しましたERM(全社的リスクマネジメント)構築プロジェクトを推進し、全社重要リスクの選定を行い、「リスク管理規程」の制定および「リスク管理委員会規程」を刷新いたしました。

全社重要リスク決定プロセスは、リスク管理委員会にて、経営に影響を与えるリスクを幅広く検討したリスクアセスメント項目について、各部長職者が解答し、そのデータを分析後、全社重要リスク候補案をESG経営推進会議に答申し、ESG経営推進会議が決定しております。

選定しました全社重要リスクにつきましては、各リスクオーナーが、中期経営計画に沿った3カ年計画および単年計画を推進してまいります。また、2020年度より設置されました全社BCM(事業継続マネジメント)事務局を中心に、2020年度は本社、2021年度は吉野原工場および各支店・営業所にBCPを構築いたしました。引き続き、来期におきましても着実に全社BCP構築の実行推進を行ってまいります。

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(2)当社のリスクマネジメント体制の運用状況

リスク管理委員会では、ERM構築プロジェクトを推進するにあたり、中期経営計画策定年度に当社リスクの見直しを伴うリスクアセスメントを行い、全社重要リスクを特定し、中期経営計画策定年度以外においては全社重要リスクについて変更すべきリスクが無いか、社内外の環境変化等を踏まえた精査を行います。

2021年度においては、リスクアセスメントにより97項目について精査し、リスクの重要度(影響度×発生可能性から決定)上位30項目を中心に、内容を鑑みて全社重要リスク4項目を選定いたしました。

全社重要リスクに選出されなかったリスクにつきましても、その他重要リスクとして、その対応策を評価・検証し、リスク低減活動の推進を図るとともに、対応策の効果のモニタリングを行っております。

 

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(3)事業等のリスク

 当社グループの経営環境における事業等のリスクとしては、全社重要リスクのほか、その他重要リスク等多岐にわたるものがあり、記載事項以外に予測し難いリスクも存在するため、当社グループの想定を超えた予測不能な事態が発生した場合、十分な対応がとれない可能性があります。

 当該リスクの顕在化する可能性の程度(発生可能性)を鑑みた上で、顕在化した場合の経営成績等に与える影響度を考慮し、当該リスクの発生回避および発生時の対応に努める所存であります。

 

リスクの重要度(影響度×発生可能性から決定)上位30項目

リスク名

リスクの重要度

影響度

発生可能性

原材料の供給途絶

全社重要リスク

コンピュータシステムダウン/ネットワークのダウン

全社重要リスク

台風、豪雨、高潮、洪水、豪雪

全社重要リスク

感染症(パンデミック)

全社重要リスク

地震、噴火

全社重要リスク

第三者による盗取、不正アクセス・ウィルス感染等

全社重要リスク

人材の過不足、人件費の上昇

全社重要リスク

過労、ストレス、メンタルヘルス

全社重要リスク

技術等の伝承の失敗・途絶(注)

全社重要リスク

従業員の士気・モラール低下

全社重要リスク

人材の流出・喪失

全社重要リスク

原材料市況の変化

全社重要リスク

顧客ニーズの変化

全社重要リスク

技術革新、陳腐化

全社重要リスク

研究開発の失敗

全社重要リスク

規制強化・法令改正(外資規制/会社法改正等)

全社重要リスク

温室効果ガスの排出量削減の失敗

全社重要リスク

技術等の伝承の失敗・途絶(注)

全社重要リスク

景気変動、市況変化

その他重要リスク

特定顧客・市場への依存

その他重要リスク

製品検査・試験のミス(製品事故要因)

その他重要リスク

製造プロセスの欠陥・瑕疵(製品事故要因)

その他重要リスク

為替等の変動

その他重要リスク

貿易ルールの変更

その他重要リスク

設備・機器・情報システム等の不稼動

その他重要リスク

顧客・協力会社の倒産・支払遅延

その他重要リスク

設計の欠陥・瑕疵(製品事故要因)

その他重要リスク

生産・在庫管理の失敗

その他重要リスク

製品回収、クレーム対応の失敗

その他重要リスク

納期・性能未達

その他重要リスク

政情不安(戦争・テロ・政治体制や政策の変更等)

その他重要リスク

 (注)「技術等の伝承の失敗・途絶」は、2つの全社重要リスクに該当いたします。

 

◆全社重要リスク

全社重要リスク ① 事業継続リスク

全社重要リスク選定理由

中長期取り組みの必要性

 自然災害の頻発・激甚化に伴い、永続的な全社取り組みが必要と捉えております

経営戦略への影響

 操業停止による収益圧迫、人材の確保等、適切な備えが無いと甚大な影響を及ぼす可能性があります

企業理念・目指すべき企業像との関係性

 会社存続には、事業継続力の向上は不可欠であると認識しております

体制構築・リソース投入の

必要性

 事業継続には全社的・組織横断的な取り組みを展開する必要があると認識しております

リスク認識

 災害発生時の従業員の安全確保、近隣への漏出事故等の回避、早期復旧による顧客・取引先・株主の信頼維持は、企業にとって生命線であり、全社的な取り組みを継続する必要性があります

リスクへの対策

目指すべきリスクへの

対応状態

 災害発生時、人命保護を目的とした緊急時対応計画(ERP)が実施され、危機管理計画 (CMP)に基づく指揮命令系統を確立し、事業継続計画活動の発動実施ができるようにいたします

具体策

 2020年度は本社、2021年度は吉野原工場および各支店・営業所にBCP構築を行い、2022年度は他全工場への展開、2023年度はIT-BCPおよび子会社への展開を行います

・安否訓練で早期回答の訓練と意識づけ

・全社での備蓄品装備(3日間)の整備

・電源・通信等にインフラ(IT・BCP)整備

・教育、訓練推進

 

事業継続リスクに関連する

個別リスク

リスクへの対策

原材料の供給途絶

・仕入先の複数化

・調達先の変更

・フォーキャスト制度の向上および在庫量の調整

コンピュータシステムダウン/

ネットワークのダウン

・障害発生時のマニュアル(対応フロー)に即した状況把握、状況伝達できるフロー作成(BCP対策)

・手動対応を可能とする必要最低限のデータを紙出力または非ネットワーク外部媒体に出力

・システムサーバおよびネットワーク冗長化の検討(コストバランス)

台風、豪雨、高潮、洪水、豪雪

地震、噴火

・BCP策定による対応強化

・生産機能の相互補完

・防災訓練の実施、社員安否確認システムの活用

感染症(パンデミック)

・在宅勤務(テレワーク)の推進、Web会議システム、社内ネットワークへのアクセスツール等インフラの整備、活用促進

・電子契約システムの整備、受注FAXのメール転送機能の整備等の推進

第三者による盗取、不正アクセス・ウィルス感染等

・脆弱性対策および標的型メール対策を実施

・セキュリティに関する社内教育の実施

全社重要リスク ② 人材戦略リスク

全社重要リスク選定理由

中長期取り組みの必要性

 企業の持続可能性および価値創造のための主要因子と捉え、中長期的な取り組みを要すると捉えております

2022年度に人材戦略構築プロジェクトチームを発足させ、3カ年計画にて仕組みを整えます

経営戦略への影響

 経営戦略と人材戦略の連動が不可欠と考えております

企業理念・目指すべき企業像

との関係性

 企業理念に掲げている社会への貢献には、それを体現するための人材が不可欠と認識しております

体制構築・リソース投入の

必要性

 従来の枠に捕らわれない人材発掘・育成のため、複合的な取り組みを展開する必要があると認識しております

リスク認識

 「TOKYOink 2020」において、人事戦略・整備すべき基盤・行動の原則等を掲げ対応してきましたが、人材価値向上の成果が不足していると認識しております

 「採用・能力開発・適材適所」の実現等、競争力向上のための人事機能強化は、全社的な取り組みを継続する必要性があります

リスクへの対策

目指すべきリスクへの

対応状態

 人事機能を強化し、経営層において経営戦略と連動した人材戦略を検討できる体制を構築することで、必要な人材像を設定し、創出・確保するための各種制度の導入および見直しを行います

具体策

・人材戦略構築プロジェクトチームの発足

・コンサルティング会社活用による人事機能の補完

・社員アンケート等の実施による社員の士気や組織状況の現状分析

・人事戦略を立案や実行できる人材確保

・経営戦略を達成するために必要となる人材像の明確化

・ハイパフォーマー人員の育成制度の構築

 

人材戦略リスクに関連する

個別リスク

リスクへの対策

人材の過不足・人件費の上昇

・多様な労働力に対応可能な仕組みの強化

・社員教育制度の拡充、ダイバーシティへの対応

過労、ストレス、メンタルヘルス

・時間外労働の管理の徹底による過重労働の抑止

・ストレスチェックを実施し、ストレス、メンタルヘルスを管理、および必要に応じ産業医の面談を実施

・メンタルヘルスの教育研修の実施

技術等の伝承の失敗・途絶

・設計変更に係わる、試験方法の拡充・開発

・工程変更に係わる時の試験検討の徹底

・工程に係る顧客要求事項の再確認

・技術等伝承の人材育成の教育プログラム導入

・多様な労働力に対応可能な仕組みの強化

従業員の士気・モラール低下

・働きやすい職場環境整備

・行動規範の教育を通じての社員教育

人材の流出・喪失

・働きやすい職場環境整備

・人事制度改革の推進

・中途採用の強化

 

全社重要リスク ③ サステナビリティ課題考慮不足リスク

全社重要リスク選定理由

中長期取り組みの必要性

 2030年、2050年に向けた取り組みが求められると認識しております

 長期にわたる取り組みとなるため、GHG排出量算出方法の検討を継続し、環境報告書および環境会計の基礎構築を継続いたします

経営戦略への影響

 サステナビリティが今後の経営戦略の中核的な要素になることは、世界情勢から認識しております

企業理念・目指すべき企業像との関係性

 「豊かな暮らしと社会の発展に広く貢献する企業であり続ける」ことを目指します

体制構築・リソース投入の

必要性

 幅広い知識・対応・人材が必要なため、組織横断的な取り組みを展開する必要があると認識しております

リスク認識

 持続可能な社会を支え、環境と共生する企業となることが求められる中で、石化由来原材料を多く取り扱う当社としては、環境負荷低減対策は重要なリスクとなっており、全社的な取り組みの継続が必要と認識しております

リスクへの対策

目指すべきリスクへの

対応状態

 当社グループの成長発展に寄与する環境課題・環境負荷低減に対する取り組み方法や実行体制の確立を図ります

 ステークホルダーに対して定性・定量情報を開示できる体制・方法の整備を行います

具体策

・環境重要課題設定

・環境負荷低減方策立案・整理

・GHG排出量集計方法確立

・情報開示体制、方法の整備

・環境報告書作成検討

 

サステナビリティ課題考慮不足リスクに関連する個別リスク

リスクへの対策

原材料市況の変化

・複数の仕入先からの原材料購入による安定調達

・原材料仕入先の新規探索

・価格高騰への対応

・代替品の検討

顧客ニーズの変化

・顧客との継続的なコミュニケ―ションによる顧客要求のタイムリーな把握および継続的な技術改善

技術革新、陳腐化

・市場要求を理解し、課題解決のためのテーマ設定を行い、取り組む

・技術人材育成の教育プログラム導入

・技術投資の維持、増額

・産学連携、同業種、異業種企業との協業

研究開発の失敗

・研究人員材の育成強化

・産学連携の推進

規制強化・法令改正

・環境関連規制、労務規制等の監視体制強化とアラート発出による法規制遵守意識の向上

温室効果ガスの排出量削減の

失敗

・温室効果ガス低減に係わる規制監視体制強化と対応製品の拡充

 

全社重要リスク ④ 労働災害リスク

全社重要リスク選定理由

中長期取り組みの必要性

 安全は、企業活動の全てにおいて優先されるべきものと考えております

 安定的な事業継続の観点から中長期的な取り組みを継続いたします

経営戦略への影響

 直接・間接的なマイナスの影響が甚大であります

企業理念・目指すべき企業像との関係性

 従業員の安全確保は最重要と認識しております

体制構築・リソース投入の

必要性

 工場部門だけの問題とせず、全社一丸となる取り組みが必要と認識しております

リスク認識

 当社が取り扱う化学品の危険性や有害性が多様化し、重要なリスクとなっており、全社的な取り組みを継続する必要性を認識しております

リスクへの対策

目指すべきリスクへの

対応状態

 労働災害を防止するための基本事項を定め、従業員の職場における安全と健康を確保し、快適な作業環境の形成を促進することを目的といたします

1)5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)ができていること

2)TIC安全基準の策定

具体策

・安全教育の強化

・手順書整備、見直しによる安全性確保

・健康管理

 

労働災害リスクに関連する

個別リスク

リスクへの対策

技術等の伝承の失敗・途絶

・設計変更に係わる、試験方法の拡充・開発

・工程変更に係わる時の試験検討の徹底

・工程に係る顧客要求事項の再確認

・技術等伝承の人材育成の教育プログラム導入

・多様な労働力に対応可能な仕組みの強化

火災、爆発・破裂リスク

・危険物の取扱、管理教育の徹底

職業性疾病

・手順書整備、見直しによる安全性確保

・職場環境の改善

・特殊健康診断の確実な実施

 

◆その他重要と認識しているリスク

 

リスク項目

リスク内容

リスクへの対応策

① 景気変動、市況変化

・景気変動に伴う需要減退に対応できない利益減少リスクまたは需要増加に生産対応できない機会損失リスク

・事業環境の変化に対し、市場動向に迅速かつ的確に対応できる企業体質の構築

② 特定顧客・市場への依存

・特定顧客・市場への依存度の高さにより、関係悪化・取引停止等にて事業継続への影響に発展するリスク

・取引先の経営状況の把握

・新規顧客の開拓

・周辺領域の探索

③ 製品検査・試験のミス

  (製品事故要因)

・原材料不良の影響から、品質異常が発生し、得意先からの信頼を失うリスク

・製品の品質異常による顧客からの訴訟や損害賠償が発生するリスク

・手順書整備、見直しによる検査方法、出荷条件等の更新

・ISO9001マネジメント活動の継続的推進

④ 製造プロセスの欠陥・瑕疵(製品事故要因)

・不純物混入や製造プロセス瑕疵等による品質低下、製造機器不具合によって規格外品が増加し、改修費用が増大するリスク

・機器および原材料回りの整理整頓

・機器メンテナンスや工程管理能力の向上

⑤ 為替等の変動

・為替市場、金利等の変動等により外貨建取引(債権・債務)への為替変動が生じ、業績に影響を及ぼすリスク

・外貨変動リスクの事前回避、金融機関や専門機関等からの情報把握、分析(国際金融・社会情勢・地政学)

・外貨建債権・債務残高の適正管理、バランス

・先物為替予約等実施によるヘッジ

⑥ 貿易ルールの変更

・原材料調達国が輸出を規制し、原材料を入手できなくなるリスク

・製品輸出先が関税変更し、業績に影響するリスク

・仕入先の複数化

・原材料調達国および製品納入国の法令研修の拡充

・法令に基づく関係省庁情報の入手、選別、アラート発出

⑦ 設備・機器・情報システム等の不稼動

・生産設備のメンテナンス不足原因によって設備が故障し、生産活動が停止するリスク

・基幹システムにトラブルが発生し、生産・営業活動が一時停止するリスク

・設備またはシステム停止によって、事業が停滞するリスク

・生産設備の定期メンテナンス徹底

・障害発生時のマニュアル更新整備

⑧ 顧客・協力会社の倒産・

  支払遅延

・取引先倒産による債権回収不能リスク

・製造協力会社倒産により、代替先が見つからず一部製品の生産中断となるリスク

・債権保証契約による債権保全

・与信債権管理運用基準による取引先状況の定期的なモニタリング

・製造協力会社の新規検討および自社内での生産対応強化

⑨ 設計の欠陥・瑕疵

  (製品事故要因)

・設計変更の試験検討等で見抜けないような予期せぬ機能低下が発生するリスク

・生産工程効率化一辺倒による作業工程を変更した結果、品質が低下するリスク

・設計変更に係わる、試験方法の拡充・開発

・工程変更に係わる時の試験検討の徹底

・工程に係る顧客要求事項の再確認

⑩ 生産・在庫管理の失敗

・原材料・仕掛品・製品在庫管理の失敗による、製品の過不足が発生するリスク

・在庫管理不足による保管料増加や在庫処分費用増大による損益低下のリスク

・生産管理方法の適宜見直し

・費用発生のモニタリングによる抑制方法の検討

⑪ 製品回収、クレーム対応の失敗

・製品不具合、クレームが発生した際の判断の遅れや不適切な対応により、不具合製品による事故が発生するリスク

・顧客からのクレームへの対応失敗により、顧客の信用を失い、取引停止となるリスク

・不具合発生時の正確な情報共有の徹底

・クレーム原因の追究、対応策の有効性評価

・信用の失墜を防ぐためのアフターフォロー実施

⑫ 納期・性能未達

・生産管理問題等から、期日に納品できないリスク

・製品ロットごとに品質差が発生し、顧客からクレームを受けるリスク

・生産管理方法の適宜見直し

・生産性向上、不適合品の発生防止に資する活動推進

⑬ 政情不安(戦争・テロ・政治体制や政策の変更等)

・海外政情変化に伴う、原材料調達対応および高騰対応の遅れによる事業活動の停滞や治安悪化等により、輸出入ビジネスからの撤退を余儀なくされるリスク

・地政学情報に対してのアラート発信強化および情報共有

・原材料調達状況の早期把握、在庫の見直し、原材料変更対応等にてリスク低減

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績等の概況

 当連結会計年度の業績は下記のとおりであります。

(単位:百万円)

区 分

2021年3月期

2022年3月期

増減額

増減率

売上高

38,165

41,401

3,235

8.5%

営業利益

256

675

419

163.2%

経常利益

622

898

276

44.4%

親会社株主に帰属する

当期純利益

600

725

125

20.9%

 

 当連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、ワクチン接種の進展に伴い経済社会活動が段階的に再開され、緩やかな回復が見られたものの、年明け以降、新たな変異株の出現による感染再拡大の影響により感染症収束の見通しは依然立たず、景気の回復は鈍化しました。

 加えて、想定を上回る原油や原材料価格の高騰、急激な円安の進行や半導体を中心とした電子部品の供給不足、さらにはロシアによるウクライナへの軍事侵攻を契機に国内外において企業の経済活動の停滞が一層懸念され、地政学上のリスク等世界的な不確実性の高まりから、今後の経済に与える影響は先行き不透明な状況が続いております。

 このような状況の中、当社グループは、既存の事業領域における競争力強化と顧客満足の向上および周辺事業領域への拡大に引き続き努めてまいりました。

 この結果、当連結会計年度の業績は、売上高が414億1百万円で前年度比32億3千5百万円の増収(8.5%増)、営業利益は6億7千5百万円で前年度比4億1千9百万円の増益(163.2%増)、経常利益は8億9千8百万円で前年度比2億7千6百万円の増益(44.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は7億2千5百万円で前年度比1億2千5百万円の増益(20.9%増)となりました。

 なお、当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。

 

「売上高年度別推移」          (百万円)   「営業利益年度別推移」        (百万円)

0102010_007.png

※業績予想の数値は全て2021年5月19日の公表値

「経営成績の四半期推移」                         (百万円)

0102010_008.png

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

0102010_009.png

 

(インキ事業)

(単位:百万円)

区 分

2021年3月期

2022年3月期

増減額

増減率

売上高

11,401

13,197

1,796

15.8%

セグメント利益

208

342

134

64.7%

 

 インキ事業における各製品の当連結会計年度の概況をご報告いたします。

 オフセットインキおよび印刷用材料は、新型コロナウイルス感染症の影響により需要が落ち込んだ前年度からは折込チラシ、旅行関連、イベント企画等の印刷物に対して一定の回復が見られました。そのような状況下で、更なる選択と集中による売り上げ確保に努めた結果、前年度に比べ売上高は増加いたしました。利益面では第3四半期からの原材料価格高騰の影響を受けましたが、経費削減等に努めた結果、増加いたしました。

 グラビアインキは、新型コロナウイルス感染症の影響により需要が落ち込んだ前年度からは行楽・イベント関連需要が持ち直しつつあり、一定の回復が見られました。また、ライスインキ、バイオマスインキ等の環境対応インキや印刷物に新たな価値を付与する機能性インキが伸長、荒川塗料工業の連結子会社化等が寄与し、前年度に比べ売上高は増加いたしました。しかし、利益面では第3四半期からの原材料価格高騰の影響により前年度並みとなりました。

 インクジェットインクは、新型コロナウイルス感染症の影響により需要が落ち込んだ前年度から、受託インクが主要市場である北米やEU諸国における市況が一定の回復が見られたことに加え、産業用機能性インクにおいても、建材用、メディカル用途が伸長したことにより、前年度に比べ売上高・利益ともに増加いたしました。

 この結果、上記の表に記載のとおり、インキ事業の当連結会計年度の業績は、前年度に比べ増収増益となりました。

 今後のインキ事業を取り巻く各製品の市場環境について、オフセットインキおよび印刷用材料はデジタル化への移行による商業印刷の減少等の構造的な市場縮小が継続、グラビアインキはパッケージ分野の市場が堅調に推移、インクジェットインクは産業用市場を中心に拡大するものと見込んでおります。

 各製品の市場環境が異なっていることから、事業内ポートフォリオの再構築を進めることで、収益力の向上を目指してまいります。

 

「売上高・セグメント利益の年度別推移と四半期推移」             (百万円)

0102010_010.png

 

(化成品事業)

(単位:百万円)

区 分

2021年3月期

2022年3月期

増減額

増減率

売上高

18,409

20,243

1,833

10.0%

セグメント利益

1,092

1,637

545

50.0%

 

 化成品事業における各製品の当連結会計年度の概況をご報告いたします。

 着色剤、添加剤等のマスターバッチは、第3四半期からの原材料価格高騰の影響および国内自動車メーカーの減産影響を受けましたが、新型コロナウイルス感染症により低迷していた衣料品、化粧品、日用品向け等の一般包装資材関係が一定の回復を見せたことに加え、既存顧客への販売強化および新規顧客開拓に努めた結果、前年度に比べ売上高・利益ともに増加いたしました。

 樹脂コンパウンドは、前年度に比べ自動車用途は一定の回復を見せましたが、電子機器関係、OA機器関係および日用品等が低調に推移いたしました。既存顧客への販売強化および新規顧客開拓に努めた結果、前年度に比べ売上高は増加いたしましたが、第3四半期からの原材料価格高騰の影響もあり、利益は前年度並みとなりました。

 

 この結果、上記の表に記載のとおり、化成品事業の当連結会計年度の業績は、前年度に比べ増収増益となりました。

 今後の化成品事業を取り巻く各製品の市場環境について、着色剤、添加剤等のマスターバッチ、樹脂コンパウンドともに市場・用途が多岐にわたっており、その利便性からも一定程度の需要は見込まれるものの、脱プラスチック化の流れや法規制の強化等による影響は継続するものと見込んでおります。

 環境問題への関心の高まりを機会と捉え、バイオプラスチックベースの着色剤等の環境対応製品の開発・拡販を進めるとともに、リサイクル材の活用や、サーキュラーエコノミーへの参画等を推進してまいります。

 

「売上高・セグメント利益の年度別推移と四半期推移」             (百万円)

0102010_011.png

 

(加工品事業)

(単位:百万円)

区 分

2021年3月期

2022年3月期

増減額

増減率

売上高

8,308

7,871

△437

△5.3%

セグメント利益

946

618

△328

△34.7%

 

加工品事業における各製品の当連結会計年度の概況をご報告いたします。

 ネトロン工材は、当年度に生産能力を増強した水処理用資材が伸長したこと等により、前年度に比べ売上高は増加いたしましたが、利益は新規設備の償却費の増加等の影響により減少いたしました。

 ネトロン包材は、新型コロナウイルス感染症の影響により需要が落ち込んだ水産向けが一定の回復を見せたことや、環境対応新製品が好評であったこともあり、前年度に比べ売上高は若干増加いたしましたが、利益については販売構成差もあり、前年度並みとなりました。

 一軸延伸フィルムは、新型コロナウイルス感染症の影響により需要が落ち込んだ贈答品包装用途が一定の回復をみせたこと等により、前年度に比べ売上高は増加いたしましたが、利益は第3四半期からの原材料価格高騰の影響もあり減少いたしました。

 土木資材は、防災・減災需要拡大および国土強靭化計画の延長に伴い、独自工法により地位を確立しているジオセルおよびその周辺部材が好調に推移いたしましたが、災害復興需要が旺盛であった前年度に比べると売上高・利益ともに減少いたしました。

 農業資材は、原油高の影響により、高い保温性を有する高機能内張カーテン資材が好調でありましたが、新型コロナウイルス感染症影響による投資意欲の低迷が続いていることもあり、前年度に比べ売上高・利益ともに減少いたしました。

 この結果、上記の表に記載のとおり、加工品事業の当連結会計年度の業績は、前年度に比べ減収減益となりました。

今後の加工品事業を取り巻く各製品の市場環境について、ネトロン®では水処理用途の市場の伸長、土木資材では国土強靭化計画継続により防災・減災需要の拡大は継続するものと見込んでおります。

一方、一軸延伸フィルムではキャッシュレス化の影響、農業資材では国内耕作面積の減少はいずれも継続するものと見込んでおります。

市場が伸長している分野におきましては、生産能力の増強や新製品開発・拡販等を推し進めるとともに、包装資材や農業資材におきましては、環境問題への関心の高まりを機会と捉え、バイオプラスチックベースの環境対応製品の開発・拡販を進めてまいります。

 

「売上高・セグメント利益の年度別推移と四半期推移」             (百万円)

0102010_012.png

 

(不動産賃貸事業)

(単位:百万円)

区 分

2021年3月期

2022年3月期

増減額

増減率

売上高

45

89

43

94.4%

セグメント利益

4

55

50

 

 不動産賃貸事業は、前年度に建設した戸建賃貸住宅「パレットパークタウン」および本社ビル賃貸オフィス稼働が堅調に推移いたしました。

 この結果、上記の表に記載のとおり、不動産賃貸事業の当連結会計年度の業績は、前年度に比べ増収増益となりました。

 

「売上高・セグメント利益の年度別推移と四半期推移」            (百万円)

0102010_013.png

 

②財政状態の状況

(単位:百万円)

区 分

2021年3月期

2022年3月期

増減額

増減率

資産

45,783

47,309

1,526

3.3%

負債

20,566

21,619

1,052

5.1%

純資産

25,216

25,690

473

1.9%

 

当連結会計年度末の総資産は473億9百万円となり、前連結会計年度末に比べ15億2千6百万円増加いたしました。主な要因は、現金及び預金の増加4億6千万円、受取手形、電子記録債権及び売掛金の増加4億2千2百万円、棚卸資産の増加9億4千5百万円、投資有価証券の減少3億3千9百万円、退職給付に係る資産の増加3億6千3百万円等によるものです。

負債合計は216億1千9百万円となり、前連結会計年度末に比べ10億5千2百万円増加いたしました。主な要因は、支払手形及び買掛金の増加6億5千6百万円、短期借入金の増加5億3百万円、未払法人税等の増加1億3百万円、未払消費税等の増加9千3百万円、長期借入金の減少1億4千5百万円等によるものです。

純資産の部は256億9千万円となり、前連結会計年度末に比べ4億7千3百万円増加いたしました。主な要因は利益剰余金の増加5億1千7百万円、その他の包括利益累計額の減少3千7百万円等によるものです。

 

③キャッシュ・フローの状況

(単位:百万円)

区 分

2021年3月期

2022年3月期

増減額

 営業活動によるキャッシュ・フロー

1,942

1,428

△513

 投資活動によるキャッシュ・フロー

△1,668

△1,040

628

 フリー・キャッシュ・フロー

273

387

114

 財務活動によるキャッシュ・フロー

1,319

39

△1,280

 現金及び現金同等物の期末残高

3,161

3,622

460

 

当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は36億2千2百万円で、前連結会計年度末に比べ4億6千万円の増加(14.6%増)となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、14億2千8百万円の収入となりました(前連結会計年度は19億4千2百万円の収入)。主な要因は、税金等調整前当期純利益9億4千4百万円、減価償却費14億9千1百万円が計上され、売上債権の増加4億2百万円、棚卸資産の増加9億3千9百万円、仕入債務の増加6億4千9百万円等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、10億4千万円の支出となりました(前連結会計年度は16億6千8百万円の支出)。主な要因は、有形固定資産の取得による支出15億5千4百万円、投資有価証券の売却による収入1億4千4百万円等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、3千9百万円の収入となりました(前連結会計年度は13億1千9百万円の収入)。主な要因は、短期借入金の純増額5億3百万円、長期借入による純減額1億5千1百万円、配当金の支払額2億9百万円等によるものです。

 

④生産、受注及び販売の実績

 a.生産実績

  当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産数量合計(トン)

前年同期比(%)

インキ事業

27,461

(6,158)

〔1,798〕

115.2

(108.1)

〔89.1〕

化成品事業

45,140

(141)

〔18,118〕

110.9

(106.4)

〔94.6〕

加工品事業

4,548

(-)

〔2,006〕

92.6

(-)

〔96.1〕

不動産賃貸事業

(-)

〔-〕

(-)

〔-〕

合計

77,150

(6,299)

〔21,923〕

111.1

(108.1)

〔94.2〕

(注)1  (  )内数字は自家消費分を示し、かつ内数であります。

2  〔  〕内数字は外注分を示し、かつ内数であります。

 

 b.商品仕入実績

  当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

仕入高(百万円)

前年同期比(%)

インキ事業

1,798

93.4

化成品事業

279

116.9

加工品事業

3,511

87.7

不動産賃貸事業

合計

5,589

90.7

 

 c.受注実績

  当社グループは主として見込生産を行っております。なお、化成品の一部で受注生産を行っているものもありますが、特に受注残高を示すほどのものではありません。

 

 d.販売実績

  当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

インキ事業

13,197

115.8

化成品事業

20,243

110.0

加工品事業

7,871

94.7

不動産賃貸事業

89

194.4

合計

41,401

108.5

(注)  セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 

a.当社グループの当連結会計年度の財政状態

当連結会計年度末の総資産は473億9百万円となり、前連結会計年度末に比べ15億2千6百万円増加いたしました。分析・検討内容は、以下のとおりであります。

 

◆資産の部

(単位:百万円)

摘要

2021年3月期

2022年3月期

増減額

主な内容分析

流動資産

現預金

3,163

3,624

460

現預金を月商の過半数超水準維持による事業運営

売上債権

14,345

14,767

422

前年度から売上の一定程度回復による売上債権増

棚卸資産

7,830

8,776

945

製品+375、仕掛品+197、原材料+366他

その他

315

348

32

 

25,655

27,516

1,861

売上の一定程度回復による流動資産増

固定資産

有・無形

固定資産

14,636

14,640

4

減価償却費見合いの新規設備投資

投資

その他

5,492

5,153

△339

・保有株式評価減△292、同株式売却△46

・米国連結子会社での持分法適用による出資分配金△359

・退職給付に係る資産増+363

20,128

19,793

△334

 

資産合計

45,783

47,309

1,526

財務基盤強化として手許流動性の確保継続

 

 

セグメント資産の状況

(単位:百万円)

 

2021年3月期

2022年3月期

増減額

主な内容分析

インキ事業

16,485

16,916

430

売上債権の増加

化成品事業

19,571

20,602

1,030

売上債権、棚卸資産の増加

加工品事業

5,881

6,282

401

ネトロン生産設備増強

不動産賃貸事業

685

663

△22

 

報告セグメント合計

42,624

44,465

1,840

 

 

 

 

 

 

 

 

当連結会計年度末の負債合計は216億1千9百万円となり、前連結会計年度末に比べ10億5千2百万円増加いたしました。分析・検討内容は、以下のとおりであります。

 

◆負債の部

(単位:百万円)

摘要

2021年3月期

2022年3月期

増減額

主な内容分析

流動負債

仕入債務

8,395

9,051

656

前年度から売上の一定程度回復に伴う仕入債務増

短期借入金

(1年内含)

4,671

5,169

497

運転資金の確保

その他

1,965

2,102

136

未払法人税等増+103

15,032

16,322

1,289

売上の一定程度回復に伴う流動負債増

固定負債

長期借入金

3,969

3,824

△145

約定返済減△1,581、当期設備借入+1,430

その他

1,564

1,472

△91

 

5,533

5,296

△237

 

負債合計

20,566

21,619

1,052

運転資金・設備資金に対する調達余力の確保

 

純資産の部は256億9千万円となり、前連結会計年度末に比べ4億7千3百万円増加いたしました。分析・検討内容は、以下のとおりであります。

 

◆純資産の部

(単位:百万円)

摘要

2021年3月期

2022年3月期

増減額

主な内容分析

株主資本

24,186

24,703

517

利益剰余金+517

その他の

包括利益累計額

876

839

△37

保有株式評価減△206、為替換算調整勘定+158

非支配株主持分

154

147

△6

 

純資産合計

25,216

25,690

473

・利益確保による純資産増も、総資産増により自己資本比率54.0%(前年度比0.7ポイント減)

 

0102010_014.png

b.当社グループの当連結会計年度の経営成績

 当連結会計年度の業績は、売上高が414億1百万円で前年度比32億3千5百万円の増収(8.5%増)、営業利益は6億7千5百万円で前年度比4億1千9百万円の増益(163.2%増)、経常利益は8億9千8百万円で前年度比2億7千6百万円の増益(44.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は7億2千5百万円で前年度比1億2千5百万円の増益(20.9%増)となりました。

 その内容は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおり、新型コロナウイルス感染症拡大による経済活動の停滞から一定の回復が見られたことによる売上高の増加が主要因であると認識しております。

 各事業セグメント別では、主要製品が多岐の市場にわたるため、前年度に新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受けたインキ事業、化成品事業は需要の一定の回復が見られたことで、増収・増益となっております。一方、加工品事業では、一軸延伸フィルムは新型コロナウイルス感染症拡大の影響から一定の回復が見られ、ネトロン工材の水処理用資材は堅調に推移いたしました。しかし、農業資材は新型コロナウイルス感染症拡大の影響からの回復が遅れており、土木資材は災害復興需要に落ち着きが見られたことから、加工品事業全体では減収・減益となっております。

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響は長期化しており、生活に密接に関連した製品を多岐にわたり展開している当社グループへの今後の業績に与える影響は依然極めて不透明な状況にあると認識しております。

 こうした状況の中、当社グループの経営成績に大きな影響を及ぼす要因については、新型コロナウイルス感染症の長期化による経済活動の停滞による影響だけでなく、同感染症影響による生活様式や消費動向の変化、主要原料である樹脂や顔料等の原材料価格動向等が挙げられます。特に直近ではウクライナ情勢の緊迫化により加速した原油高等による原材料価格高騰が業績に与える影響は大きいと認識しております。

 また、中長期の市場環境として、デジタル技術の急速な進展によるライフスタイルの変化、商業・出版印刷市場のデジタル化へのシフト、サステナビリティへの意識の高まりによる脱プラスチックの流れ等、当社グループ製品の需要動向全体に影響を及ぼす市場環境変化が加速していることも当社グループの経営成績に大きな影響を及ぼす要因と認識しております。

 2021年度は中期経営計画「TOKYOink 2020」の最終年度でありました。中期経営計画の数値目標

である連結経常利益15億円に関しましては、コア事業周辺領域への製品展開、既存製品の収益維持に努めてきたこともあり、第145期(2017年3月期)、第146期(2018年3月期)に達成をいたしましたが、その後は未達成となりました。既存主力製品の市場縮小の加速化や新型コロナウイルス感染症拡大による需要の変化等、さまざまな外部環境変化が計画策定時の想定以上に進行したことや、原油高等に起因する原材料価格高騰に十分な対応ができなかったこと等が原因であると認識しております。

 

c.新中期経営計画「TOKYOink 2024」

 2021年度までの中期経営計画「TOKYOink 2020」の取り組みの成果および対処すべき課題を踏まえた中で、2022年度からの3カ年の新中期経営計画「TOKYOink 2024」を策定いたしました。

計画の策定にあたっては、下記に記載の外部環境変化への対応および2020年度に導入した全社的リスクマネジメント(ERM)での全社重要リスクの選定(詳細は「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」参照)等のプロセスを経た上で、当社としての重点課題(マテリアリティ)を経営課題と重要リスクの側面から特定しております。

ESG課題への対応を推進し、企業価値の向上、企業活動と社会課題解決の両立を目指し、市場が

求める価値を追求し、その中でも環境・社会に貢献する製品・サービスを提供し続けることで、国内の景気・経済動向に左右されない高収益体質のメーカーになるべく、将来の成長に向けた再スタートの期間と位置付けた計画として策定しています。

 

対処すべき外部環境変化と全社重要リスク

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マテリアリティの特定

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新中期経営計画「TOKYOink 2024」概要

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 「TOKYOink 2024の経営目標達成のための経営方針である

 

1.市場が求める価値の追求 とりわけ環境・社会に貢献する製品・サービスの提供

2.低成長時代にも耐えうる高効率な運営体制の実現

 

のもとに定めた基本戦略と事業戦略の概略を以下に示します。

 

(5つの基本戦略)

 ①「ESG経営の推進」では、企業に求められるESG課題への対応を推進し、サステナブルな社会の実現と企業価値の向上、企業活動と社会課題解決の両立を目指してまいります。

 

 ②「新製品開発・新規事業探索」では、当社のコア技術を活用し、企業理念と目指すべき企業像に込めた想いである、「伝える」「彩る」「守る」をキーワードとした製品開発を行ってまいります。

 

 ③「高効率運営体制の実現」では、低成長時代に耐えうる高収益体質のメーカーになるために、省力化の推進や高効率体制の推進に努めてまいります。

 

 ④「成長投資」では、新製品開発、効率化、安全対策等の投資を積極的に行ってまいります。

 

 ⑤「資本効率・株主還元」では、資本効率の向上と財務の健全性確保、事業成長を支える財務基盤の最適化、積極的かつ継続的な株主還元の実現に向けて活動してまいります。

 

(事業戦略)

 インキ事業では、主力インキ事業領域はポートフォリオ変革を進め、環境対応製品、デジタル化への転換を推進し、高バイオマスインキ、環境対応インキ、産業用インクジェットインクの開発推進で収益獲得を目指してまいります。

 

 化成品事業では、主力合成樹脂市場での成長機会を追求し、サーキュラーエコノミー参画を推進し、機能性マスターバッチ、自動車用着色材を主力に環境対応製品の拡大による成長を目指してまいります。

 加工品事業では、市場の伸長が期待できる水処理部材や防災減災資材を主力に特長ある新規製品の開発を推進し、ネトロン®・土木資材を軸に各製品セグメントの特徴を活かし、ニッチトップ戦略により高収益化を目指してまいります。

 

 当社の「企業理念(ありたい姿)」「目指すべき企業像(あるべき姿)」を原点とし、昨今、関心が高まっているESG課題への対応を強化するとともに、事業環境の変化に耐えうる運営体制を構築・運用することで、目標達成を目指したいと考えております。

 なお、当社は2023年12月に創立100周年を迎えます。

 新中期経営計画「TOKYOink 2024」では100周年に合わせ、次の100年に向けて更なる成長を遂げるための「長期ビジョン」を策定し、公表することを検討しております。

 

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新中期経営計画「TOKYOink 2024」の詳細につきましては、当社ホームページに「中期経営計画「TOKYOink 2024」(PDF資料)」を掲載しております。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源および資金の流動性に係る情報

 

a.財務戦略の基本的な考え方

当社グループでは高収益メーカーへの成長の通過点として、2020年度連結経常利益15億円を目標とする5か年の経営計画「TOKYOink 2020」を策定しており、その中の経営戦略において、財務戦略の基本方針を掲げております。

 

◆財務戦略の基本方針

経営基盤の強化と株主価値の向上を基本とし、財務リスクの対応を図り、事業戦略に応じた最適な資本構成を構築することを骨子として、財務体質の向上と資本効率を高めることを財務戦略の基本方針としております。

 

当社グループは、「暮らしを彩る、暮らしに役立つものづくりで、社会に貢献する。」を企業理念として、「色彩を軸に、市場が求める価値をお客様と共に創造、実現し続ける企業。」を目指し、高収益メーカーへの成長の通過点とするための中期経営計画「TOKYOink 2020」に取り組んでまいりました。2016年度から2020年度の5カ年計画として策定いたしましたが、新型コロナウイルス感染症の経営環境への影響が見通せない状況であったため、2021年度まで1年延長して取り組みを行ってまいりました。

計画期間内における財務戦略の主な取り組み、成果は以下のとおりです。

・財務基盤の最適化 … 投資判断基準の整備、付加価値を高める投資管理

            成長投資を支える機動的な資金調達

・新しい会計基準、各種改正法令への対応

・企業価値向上のためのIR拡充 … 決算情報の記載充実化、決算説明会開始

・株主還元拡充 … 増配、株主優待開始、自己株式取得

 

新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、当社グループの売上高が減少、収益力低下によって営業活動を原資とした運転資金が万一不足して財務体質悪化の事態に陥るリスクに備え、手許流動性の確保として以下の対応を図ってまいりました。

 

・現預金等手許資金を月商の過半数超の水準で維持

・コミットメントラインによる短期借入金融資枠の増額

・コミットメントライン財務制限条項の見直し

 

当連結会計年度は、売上高が徐々に回復し、必要な運転資金も確保できていると判断し、通常時におけるコミットメントライン融資枠設定額に戻しましたが、事業展開に伴う資金調達として、短期借入金や長期借入金の金融機関に対する信用枠を十分確保しております。

手許現預金は引き続き通常より手厚く保持することで、急激な売上減少等事業環境悪化に備えた対応を図っております。

 

今後もコロナ禍が継続する事業環境下において、適宜適切な財務リスクへの対応を図り、経営の守りを固めて安定した事業運営を遂行していくとともに、更なる企業価値向上へ向けた最適な資源配分や株主還元を実施し機動的な事業運営を引き続き行ってまいります。

 

2021年度までの中期経営計画「TOKYOink 2020」の取り組みの成果および対処すべき課題を踏まえた中で、2022年度からの3カ年の新中期経営計画「TOKYOink 2024」を策定いたしました。

 

新中期経営計画「TOKYOink 2024」の経営方針は下記のとおりです。

1.市場が求める価値の追求 とりわけ環境・社会に貢献する製品・サービスの提供

2.低成長時代にも耐えうる高効率な運営体制の実現

 

 

新中期経営計画「TOKYOink 2024」の基本戦略として「資本効率の向上と財務の健全性確保」、「事業成長を支える財務基盤の最適化」を掲げ、高効率な運営体制を実現することで、目標とする経営指標を達成し、更なる企業価値の向上を目指します。

〇目標とする経営指標

・効率性目標:ROS4%以上 ROE5%以上

・健全性目標:自己資本比率55%以上、D/Eレシオ0.3倍以下

 

〇資本効率の向上および財務健全性の確保により、コンパクトな経営の実現

     ・保有資産の最適化推進

     ・事業特性に応じた財務レバレッジ活用とコストを上回る生産性の実現

     ・資本コストを意識した持続的な成長・基盤投資

     ・最適資本構成を意識した機動的な資金需要への対応

 

 

b.キャッシュ・フローの状況の分析

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は36億2千2百万円で、前連結会計年度末に比べ4億6千万円の増加(14.6%増)となりました。

 この資金の増加の要因は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源および資金の流動性に係る情報 a. 財務戦略の基本的な考え方」に記載のとおり、当連結会計年度も前連結会計年度に引き続き、現預金等手許資金を月商の過半数超の水準に維持した結果によるものであると考えます。

 なお当社グループは、営業活動により獲得されたキャッシュ・フローと投資活動に支出されたキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローにつきまして、今後の事業展開に備えた設備等の投資や金融機関からの借入等負債返済へ充当可能な資金としての純額、若しくは、外部からの資金調達等の借入依存度を定量判断する目的として捉えており、基本的な考え方は、事業活動により獲得したキャッシュの創出額をベースに、投資の意思決定を経営判断していることから、当社の事業運営にとって有用な指標と認識しております。

新中期経営計画「TOKYOink 2024」においては、成長性が見込まれる環境・社会貢献製品や特長ある新規開発製品により創出した営業キャッシュ・フローをベースに、新製品開発・新規事業の探索、省力化生産設備の導入、高効率化に向けたIT投資、安全・セキュリティ対策投資等、事業成長へ向けた必要な投資に振り向けることで、更なる企業価値の向上を目指します。

 

フリー・キャッシュ・フローの概況(6期分)

(単位:百万円)

区分

2017年

3月期

2018年

3月期

2019年

3月期

2020年

3月期

2021年

3月期

2022年

3月期

営業活動による

キャッシュ・フロー

2,359

2,370

1,675

661

1,942

1,428

投資活動による

キャッシュ・フロー

△865

△1,457

△1,623

△442

△1,668

△1,040

フリー・キャッシュ・フロー

1,494

912

51

218

273

387

 

 当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益や減価償却費、売上債権の増加、棚卸資産の増加および仕入債務の増加等による収入14億2千8百万円が計上され、有形固定資産の取得による支出や投資有価証券の売却による収入等10億4千万円を若干上回り、3億8千7百万円の収入となりました(前連結会計年度は2億7千3百万円の収入)。

 なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりですが、分析や検討内容は以下のとおりであります。

 

連結キャッシュ・フローの主な分析

(単位:百万円)

項目

2021年3月期

2022年3月期

増減額

主な内容分析

営業活動CF

税金等調整前当期純利益

889

944

54

利益確保

減価償却費

1,344

1,491

146

前年度より若干増

負ののれん発生益

△219

219

前年度は荒川塗料工業㈱の連結子会社化による

売上債権の増減額

800

△402

△1,203

前年度から売上の一定程度回復による売掛債権の増加

棚卸資産の増減額

446

△939

△1,385

前年度から売上の一定程度回復による在庫増加

仕入債務の増減額

△502

649

1,151

前年度から売上の一定程度回復に伴う仕入債務の増加

法人税等の支払額

△526

△123

402

米国子会社の法人税納税額減少

その他

△291

△190

100

 

小計

1,942

1,428

△513

前年度と比較し一定程度回復した利益をベースに、事業運営上の必要資金確保

投資活動CF

有形固定資産の取得

△1,808

△1,554

253

減価償却費見合いの新規設備投資

投資有価証券の売却

383

144

△238

CGCに基づく政策保有株式売却継続

売却額は前年度より減少

出資分配金による収入

645

426

△219

米国連結子会社の出資先からの分配金減少

連結範囲の変更を伴う

子会社株式取得による支出

△689

689

前年度は荒川塗料工業㈱の連結子会社化に伴う株式取得

その他

△200

△56

143

 

小計

△1,668

△1,040

628

前年度はM&A等成長戦略投資の支出増

当年度は事業投資等実施

 

 

 

 

(単位:百万円)

項目

2021年3月期

2022年3月期

増減額

主な内容分析

財務活動CF

短期借入金の純増減額

726

503

△222

運転資金確保

長期借入金による収入

2,370

1,430

△940

前年度は荒川塗料工業㈱買収により長期資金調達が多額

長期借入金の返済

△1,446

△1,581

△135

約定弁済による返済

自己株式の取得による支出

△1

△0

0

 

その他

△328

△311

16

配当金支払、ファイナンスリース債務返済

小計

1,319

39

△1,280

手許流動性の確保継続を含め、長期・短期借入金による資金調達

 

c.資本政策の基本的な方針

 当社グループは、経営基盤の強化並びに今後の企業価値向上へ向けた内部留保を確保しつつ、株主の皆様への利益還元を経営の重要課題の一つと認識し、株主価値向上を目指した、安定的かつ継続的に配当することを基本方針としております。

 

 

決算年月

2017年

3月期

2018年

3月期

2019年

3月期

2020年

3月期

2021年

3月期

2022年

3月期

自己資本利益率 (ROE)

4.9%

5.5%

4.3%

2.8%

2.5%

2.9%

総資産経常利益率 (ROA)

3.4%

3.8%

3.1%

1.8%

1.4%

1.9%

売上高営業利益率 (ROS)

2.7%

3.3%

2.8%

1.4%

0.7%

1.6%

配当性向(連結)

15.2%

14.8%

21.0%

32.8%

34.9%

28.9%

自己資本利益率 (ROE):親会社株主に帰属する当期純利益/(純資産-非支配株主持分)

総資産経常利益率 (ROA):経常利益/総資産

売上高営業利益率 (ROS):営業利益/売上高

配当性向(連結):1株当たり配当金/1株当たり当期純利益

 

新中期経営計画「TOKYOink 2024」においては、配当性向30%以上を目標とする経営指標としており、資本・財務状況および市場環境等を踏まえた上で、自己株式の取得も検討し、資本効率の向上を通じて株主利益の向上を図り、機動的な資本戦略と株主還元を実現してまいります。

当連結会計年度の配当性向は28.9%と前連結会計年度と比較し、6.0ポイント下回っておりますが、次期の連結業績予想に基づく配当性向は30%以上となる見込みであります。

 

d.資金調達の基本的な方針

 当社グループの主な資金需要として、短期的な資金需要は主として製造費用、販売費および一般管理費等運転資金であり、営業活動により獲得したキャッシュ・フローをベースに金融機関からの短期借入金により資金調達を行っております。また、長期的な資金需要は主に生産性向上や新規拡充を目的とした設備投資や素材を活かす要素技術・加工技術の拡充等研究開発費用、事業戦略としてのコア事業の更なる強化/拡大…基盤強化戦略、コア事業周辺領域の事業拡大…成長戦略に向けた投資および株主還元としての配当支払い等であり、主として内部留保資金の活用や金融機関からの固定金利による長期借入金により資金調達を行っております。

 なお当社グループは、財務戦略の一環として親会社、子会社間においての資金効率を高める目的で、グループ内キャッシュ・マネジメント・システムを実施しております。グループ全体の資金状況を可視化し、外部からの調達は親会社主導による一元化、資金需要のある子会社へ最適配分する一方、余剰資金のある子会社から資金調達を行うことで資金効率化、流動性管理の高度化を図っております。

 前連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症拡大による影響により、当社グループの売上高が減少、収益力低下によって営業活動を原資とした運転資金が万一不足して財務体質悪化の事態に陥るリスクに備え、手許流動性の確保として以下の対応を図ってまいりました。

 

・現預金等手許資金を月商の過半数超の水準で維持

・コミットメントラインによる短期借入金融資枠を34億円増額

・コミットメントライン財務制限条項の見直し

 

 当連結会計年度は、前連結会計年度より売上が徐々に回復し、必要な運転資金も確保できていると判断し、前連結会計年度にコロナ禍における緊急的措置として増額したコミットメントライン融資枠34億円を更新せず、通常時における同融資枠40億円に設定額を戻しております。

 手許現預金は引き続き手厚く保持することで、急激な売上減少等事業環境悪化に備え、コロナ禍においての運転資金管理への対応を図っており、事業展開に伴う資金調達として、短期借入金や長期借入金の金融機関に対する信用枠を十分確保しております。

なお、当連結会計年度末のコミットメントラインの借入実行残高は20億円、借入未実行残高は20億円であります。

 新中期経営計画「TOKYOink 2024」においては、高効率な経営体制の実現を掲げ、資本効率の向上を目指し、保有資産の最適化推進や最適資本構成を意識した機動的な資金需要への対応を行い、総資産の圧縮による有利子負債の削減を目指します。

 

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2017年

3月期

2018年

3月期

2019年

3月期

2020年

3月期

2021年

3月期

2022年

3月期

自己資本比率(%)

50.1

51.1

51.4

54.9

54.7

54.0

時価ベースの自己資本比率(%)

17.2

22.5

14.7

11.3

12.4

12.6

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

3.2

2.9

4.4

10.9

4.6

6.4

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

63.8

71.3

51.0

19.3

54.7

43.1

D/Eレシオ(倍)

0.33

0.29

0.31

0.30

0.35

0.36

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

D/Eレシオ:有利子負債/自己資本

(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。

(注4)有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。

 

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2022年3月31日現在のD/Eレシオは0.36倍であり、運転資金・設備資金等借入額の増加により、前連結会計年度に引き続き上昇傾向となっております。

一方、ネットD/Eレシオは0.22倍であり、現預金等手許資金を月商の過半数超の水準に維持し、急激な売上減少等の事業環境悪化に対して備えたことで、低下傾向にあります。

新中期経営計画「TOKYOink 2024」に基づいた施策の実施により、有利子負債の水準を適正にコントロールしてまいります。

 

 2022年3月31日現在、短期借入金、長期借入金やリース債務の内訳は以下のとおりであり、有利子負債の合計は91億9千4百万円となっております。

 

(契約債務)

2022年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。

 

 

年度別要支払額(百万円)

 契約債務

合計

1年以内

1年超3年以内

3年超5年以内

5年超

短期借入金

3,620

3,620

長期借入金

5,373

1,549

1,983

1,337

502

リース債務

201

82

93

24

0

(注) 連結貸借対照表の1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。

 

③重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおり、減損会計の検討には、合理的な見積りを勘案した判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性を伴うため、これらの見積りと異なる可能性があります。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

5【研究開発活動】

 当社グループは、「配合設計技術」、「プロセス制御技術(混合・溶解・分散)」、「成形加工技術」を基盤技術とし、これまで長年にわたり印刷インキおよびプラスチック用着色剤とその関連製品の生産に携わってまいりました。

 これらの基盤技術に新規技術の調査・探求、研究成果を融合させて改良を加え、暮らしに役立つより良い製品の創出に努力を重ねております。近年、情報通信伝達技術の目覚ましい発達により、新たなサービスの利用が可能となってきており、更に踏み込んだ製品の評価・解析技術力の向上と知的財産権の保全強化に注力した研究開発活動を継続しております。

 生産・技術部門では、原材料から製品に至る過程での化学物質管理を一層強固にするため、設計・生産段階への化学物質に関する最新情報を一元管理するデーターベースによる審査・承認の仕組みの整備も積み重ね、安全・安心を提供する「ものづくり」に力を注いでおります。

 次世代事業の製品創出にはSDGs活動が必須となる中で、日本および国際社会の一員として各企業、研究機関等との連携・共同研究による技術開発に努め、環境負荷低減を意識した新製品開発を進めてまいります。

 なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は1,051百万円であります。

セグメント別の研究開発活動概要は次のとおりであります。

 

(インキ事業)

 オフセットインキにつきましては、当社の主力製品であるヒートセットオフ輪プロセスインキ「ガイア」、枚葉プロセスインキ「ニューセルボ」に加え、新聞用高濃度インキ「ニューズメジャー」、高感度UVインキ「ジップキュアUVOL」の製品性能向上に引き続き注力いたしました。具体的には印刷用紙が低級紙にシフトする業界の流れに対応し、オフ輪インキの低級紙対応を進めました。また、油性枚葉印刷がLED-UV印刷にシフトしていることに合わせて高感度紫外線硬化型インキの性能向上等を推し進め、「ジップキュアUVOL」の販売は堅調に推移いたしました。更に業界の流れや環境に配慮した製品として水なし印刷用製品の開発・改良にも注力してまいりました。印刷市場の変化縮小による販売競争の激化に対応するべく、需要家である印刷会社からのニーズを確実に製品に反映した結果、顧客内シェアを確保できました。また、これら既存製品群および既存製品群の改良に加え、新製品開発の成果として、今期、高バイオマスオフ輪インキ「ガイア VLC」を製品化いたしました。今後、需要家からの高まる環境ニーズに適した製品として提案・拡販を進めてまいります。

 新聞インキにつきましては、新聞発行部数が減少する中で、積極的な開発・改良設計に取り組み、高濃度新聞輪転用プロセスインキ「ニューズメジャークロマ」、高漆黒新聞墨インキ「ニューズメジャークロマブラック」の性能向上を図りました。

 その他、オフセット用印刷用補助剤につきましては、印刷機の不要な停止を極力減らす製品づくりや環境負荷低減対応を第一優先に考えた無処理版対応製品の拡充により、使い易さだけでなく安全で環境に貢献した製品の提供に努めてまいりました。今後も、環境に配慮した高収益メーカーとなるべく、地球と人にやさしい設計による製品の提供により、需要家の要望に応えてまいります。

 グラビアインキにつきましては、食品包材向けフィルム用インキ、成型品用インキの開発・改良を進め、環境調和製品や機能性、意匠性を有する製品の開発に取り組んでまいりました。環境調和製品につきましては、バイオマス由来材料を使用したインキの品種拡大を進め、バイオマスマーク登録を行ってまいりました。更に米ぬか由来材料を使用したインキの開発にも取り組み、ライスインキの拡販を進めました。

 機能性製品につきましては、遮光性インキ、バリアインキ、マットインキ、ヒートシール剤、蒸着用コーティング剤等の開発を行ってまいりました。

 

 意匠性製品につきましては、電子レンジ用途での金インキや銀インキの採用が広がり、拡販ができました。またフィルム用・紙用見本帳を活用することで食品包装や衛生材用途においてパール調インキや高輝度金・銀インキ等の採用事例を増やすことができました。更に輝度を上げた銀インキを開発し、パスター加工代替を狙った新たな製品提案を行い、徐々に販売を増加させております。

 今後も様々な包装材料分野への展開を進めるとともに、これら機能性、意匠性を有する高付加価値製品を充実させてまいります。

 インクジェットインクにつきましては、受託製品の獲得と自社製品の開発に取り組んでまいりました。受託製品では、できるだけ多くの新規獲得を目指しております。

 自社製品につきましては、建材塗料代替となる外壁用・内壁用UVインクジェットインク、マーキング用や加飾用等の機能性UVインクも順調に推移しております。今後も機能性UV硬化インクを中心とした開発に取り組み、様々な分野、用途において採用を目指してまいります。

 当連結会計年度におけるインキ事業の研究開発費は293百万円であります。

 

(化成品事業)

 マスターバッチにつきましては、主力のポリオレフィン用カラー・添加剤マスターバッチに加え、周辺分野としてのPET・PBT用、生分解性樹脂用マスターバッチ製品の拡充を進めてまいりました。更に外部環境変化に対応し、新規開発テーマの推進を掲げ事業領域の拡大により目標利益獲得を目指しました。コロナ禍の影響、脱プラスチックの動きにより縮小分野もありますが、引き続き未参入、低シェア分野の開拓に向け戦略製品の開発を進めてまいります。また、容器リサイクルの推進に寄与する赤外線分別が可能なBLACKマスターバッチを上市いたしました。今後も環境負荷を低減する製品開発への取り組みを継続し拡販に繋げてまいります。

 機能性製品につきましては、セルロース、CNT等の分散検討にも引き続き取り組み、分散・配合技術を駆使した生産技術を確立し新たな製品開発を目指してまいります。

 液体タイプのマスターバッチにつきましては、専用の供給機を独自で開発いたしました。より顧客のニーズに沿ったシステムを提案する事で未参入分野への拡販を継続して行ってまいります。更に、新たな生産プロセスとなる、自動化、省人力化に寄与できる生産技術の導入も進めてまいります。

 樹脂コンパウンドにつきましては、受注による増産対応すべく、各工場への技術支援を行ってまいりました。土岐第2工場のクリーン環境下における新製品立ち上げも継続して取り組んでおります。差別化製品の確立に向けた量産試作を継続して行い、食品、医療、電子、エネルギー、光学フィルム関連材料を中心に、ユーザーとの共同開発テーマを積極的に進めてまいります。タイ工場につきましては、日本国内への製品輸入も行い生産拠点の多様化への対応、新規銘柄の開発、品質管理支援を行ってまいりました。東南アジア市場でのニーズに応える製品開発を目指し引き続き取り組んでまいります。

 今後も生産・販売・技術が一体となり、マーケット情報を共有してニーズに沿った製品開発を進めてまいります。

 当連結会計年度における化成品事業の研究開発費は460百万円であります。

 

(加工品事業)

 ネトロンにつきましては、水処理用資材の需要増加に対応する為に生産設備を2系列増設し子会社のトーイン加工株式会社へ設置いたしました。得意先に工場認定および製品認定をいただき、量産を開始しております。また、新規水処理資材の開発も順調に進み、来期早々には上市できる見込みであります。この様に生産設備強化と新規製品開発により、今後もトップメーカーとしての確固たる基盤を築き、すべての人に衛生的な水を提供する活動に貢献してまいります。

 土木資材につきましては、主力製品のジオセルの国内生産化に向けて、生産設備,検査装置の仕様を決定し発注を完了しております。来期下期からの生産開始を目指して引き続き活動してまいります。設備導入後は、国内でジオセルの試作,評価を行える様になり製品開発期間の短縮化が期待でき、得られた知見をもとに既存の委託加工先への指導を強化し、強靭なインフラ整備、防災、減災に役立つ製品を開発してまいります。

 農業資材につきましては、夏季の遮熱対策と冬季の保温対策に役立つ製品開発に取組んでまいりました。今期は、農業ハウス用遮熱織物の構成部材に自社製一軸延伸フィルムを用いることにより、低収縮,高強度で光線透過率が高い製品を開発することができました。来期から試験展張を実施して性能評価を行い、2023年度からの販売を目指し、食料の安定確保に繋がる持続可能な農業資材の提供を推進してまいります。

 当連結会計年度における加工品事業の研究開発費は117百万円であります。

 

(その他)

 当社の研究開発は、新事業創出を目的に活動を行ってまいりました。当社のコア技術である分散技術の高度化により今後成長が期待される「エネルギー分野」、「センサー分野」、「バイオ・ヘルスケア分野」に対して機能性材料の設計へとその活動範囲を徐々に広げてまいりました。

 「エネルギー分野」につきましては、燃料電池用導電性インキの開発を行っており、商品化に向けて邁進してまいります。「センサー分野」については、環境測定やヘルスケアのモニタリング等のデバイスに用いる材料の設計を行ってまいりました。「バイオ・ヘルスケア分野」につきましては、ナノ粒子の有効性を活かし、医療用X線診断装置や一般X線分析装置等に搭載している検出器内の部材を視野に入れ、マーケット参入に向けた活動を行ってまいります。

 一方、既存製品の生産プロセスにつきましても「省力化」、「自動化」、「安全性」を考慮したモデルラインを構築し、新規生産プロセス、新規混練機開発検討を行い、合理化された将来の生産ラインを検討しており、今後も新規プロセス検討にも注力してまいります。

 また当社事業に関わる合理化の検討および生産コスト削減に寄与できるよう努めてまいります。

 当連結会計年度におけるその他の研究開発費は180百万円であります。