第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、又は、前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績

当中間連結会計期間の世界経済は、底堅い成長を維持したものの、中東情勢の緊迫化に伴う地政学的リスクの高止まりや、米国の通商政策が強化されたこと、及びその不確実性の影響が世界全体に波及したことにより、今後の景気減速が懸念される状況となりました。

米国では、景気は堅調に推移したものの、通商政策の影響による企業活動の抑制や先行きの不透明感から、個人消費や設備投資には慎重な動きが見られました。物価については、関税の影響は本格化しなかったものの、今後インフレの再加速が危惧される状況となりました。欧州では、所得環境の改善とインフレ圧力の低下により個人消費の回復が続いたものの、製造業の停滞が影響し、景気は緩やかな持ち直しの動きを維持しながらも減速傾向となりました。アジアでは、景気は総じて堅調に推移したものの、米国の通商政策による貿易環境の不確実性が高まったことにより、外需依存度の高い国を中心に減速傾向となりました。日本では、所得環境の改善は続いているものの、食料品価格などの上昇が続いており、景気の回復は緩やかなものにとどまりました。

このような状況の中で、本年度は2030年を見据えた長期ビジョン『SAKATA INX VISION 2030』を実現させるための事業拡大・収益力強化フェーズである『中期経営計画2026 (CCC-Ⅱ)』の2年目となります。当社グループでは事業拡大・収益力強化に向けて、ボタニカルインキシリーズなど環境配慮型製品を軸にサステナブルな製品の積極展開を推進しました。特にパッケージ分野では、人口増加と経済発展により中間層が拡大する成長地域での拡販を続けるとともに、グローバルアカウント向け戦略製品の拡充・拡販や地域連携による購買・生産・物流の効率化などグローバル連結経営を推進しました。機能性材料事業では、従来製品の拡販に加え、インクジェットインキにおいては衣食住をターゲットとした新市場への拡大や、画像表示材料においてもより高品質製品の拡販などに取り組みました。

売上高は、前年同期比で円高が進んだことによる為替換算の影響があったものの、米州で販売が好調であったことに加え、昨年第4四半期に買収した米国子会社が業績に寄与したことなどもあり、1,263億9千6百万円(前年同期比4.4%増加)となりました。

利益面では、人件費など諸経費が増加したものの、販売数量の増加による増収効果に加え、海外では原材料価格が安定的に推移し収益性の改善が続いたことなどから営業利益は76億4千5百万円(前年同期比5.4%増加)となりました。経常利益はブラジルレアルの為替変動による影響などもあり86億4千9百万円(前年同期比21.0%増加)、親会社株主に帰属する中間純利益は62億4千9百万円(前年同期比17.5%増加)となりました。

 

(参考)USドルの期中平均為替レート

 

第1四半期

連結会計期間

第2四半期

連結会計期間

中間連結会計期間

2025年12月期

152.60円

144.59円

148.60円

2024年12月期

148.61円

155.88円

152.25円

(注)中間連結会計期間の期中平均為替レートは、1月~6月の単純平均レートを記載しております。

 

セグメントの業績を示すと、次の通りであります。

なお、当中間連結会計期間より、報告セグメントごとの業績をより適切に反映させるため、全社費用の配分基準の見直しを行っております。これに伴い、前中間連結会計期間のセグメント情報については、変更後の費用配分方法に基づき作成したものを記載しております。

(単位:百万円)

 

 

売上高

営業利益

前期

当期

増減額

増減率

(※)実質

前期

当期

増減額

増減率

印刷インキ・

機材(日本)

25,448

24,913

△534

△2.1%

△2.1%

527

448

△79

△15.0%

印刷インキ

(アジア)

29,114

26,817

△2,297

△7.9%

△5.1%

2,892

3,128

235

8.1%

印刷インキ

(米州)

42,860

50,398

7,538

17.6%

21.4%

2,718

3,090

372

13.7%

印刷インキ

(欧州)

11,130

10,530

△600

△5.4%

△6.0%

210

175

△34

△16.3%

機能性材料

9,618

9,790

171

1.8%

2.7%

1,374

1,097

△277

△20.2%

報告セグメント計

118,172

122,451

4,278

3.6%

5.7%

7,723

7,940

216

2.8%

その他

5,993

7,320

1,326

22.1%

22.1%

36

217

181

503.1%

調整額

△3,081

△3,375

△294

△505

△512

△6

合計

121,084

126,396

5,311

4.4%

6.4%

7,253

7,645

391

5.4%

(※)実質増減率:海外連結子会社の為替換算の影響を除いた増減率

 

印刷インキ・機材(日本)

日用品、食品、飲料など多くのアイテムでの相次ぐ値上げが続くなか、家計の節約志向による消費マインドの低迷が続きました。パッケージ関連ではグラビアインキ、フレキソインキともやや低調ではあったものの前年同期を上回りました。印刷情報関連では、デジタル化の影響による市場の構造的な縮小などから、新聞インキ、オフセットインキともに低調に推移しました。このような状況のなか、販売数量は減少したものの、販売価格の改定効果が寄与したことにより、印刷インキ全体では前年同期を上回りました。機材につきましては、印刷製版用材料、機械販売ともに前年同期を下回りました。これらの結果、売上高は249億1千3百万円(前年同期比2.1%減少)となりました。

利益面では、販売価格の改定効果が寄与したものの、原材料価格の高止まりが続くなか、人件費を中心に諸経費が増加した影響などから、営業利益は4億4千8百万円(前年同期比15.0%減少)となりました。

 

印刷インキ(アジア)

主力であるパッケージ関連のグラビアインキは、ベトナム、タイで販売が比較的堅調に推移し、印刷情報関連では、インドで販売が堅調に推移しました。売上高は、輸出の低迷などもあり市況が伸び悩んだことや昨年第2四半期に中国の子会社を持分譲渡により連結除外した影響に加え、為替換算の影響もあったことから、268億1千7百万円(前年同期比7.9%減少)となりました。

利益面では、連結除外の影響はあったものの、原材料価格が安定的に推移しているなかで経費の増加も抑制されたことなどから、営業利益は31億2千8百万円(前年同期比8.1%増加)となりました。

 

 

 

印刷インキ(米州)

米国での通商政策による市況への影響が懸念されましたが、主力のパッケージ関連では、北米での需要の回復が続いていることに加え、ブラジルなど南米でも拡販が進んだこともあり、フレキソインキ及びグラビアインキの販売は好調に推移しました。メタルインキは環境負荷の観点からアルミ缶に対する需要拡大が続いているという背景に加え、南米でも順調に拡販が進んでおり、販売は好調に推移しました。印刷情報関連であるオフセットインキは、市場の構造的な縮小はあるもののUVインキなどの販売が堅調であったこともあり前年同期を上回りました。

売上高は、為替換算の影響があったものの、販売数量が増加したことや昨年第4四半期に買収した米国子会社が業績に寄与したことに加え、関税コスト分について価格調整を行ったことなどから、503億9千8百万円(前年同期比17.6%増加)となりました。

利益面では、人件費の増加が続いていることや諸経費の高止まりも続いているものの、販売数量が増加したことや新規連結の影響があったことなどから、営業利益は30億9千万円(前年同期比13.7%増加)となりました。

 

印刷インキ(欧州)

パッケージ関連では順調に拡販が進んだ第1四半期からは販売がやや落ち込んだ一方、メタルインキの販売は堅調でした。売上高は、全体としては販売がやや落ち込んだことなどから、105億3千万円(前年同期比5.4%減少)となりました。

利益面では、原材料価格は安定的に推移したものの、販売がやや低調であったことや昨年第1四半期は一部製品で特需があったことの反動などから、営業利益は1億7千5百万円(前年同期比16.3%減少)となりました。

 

機能性材料

インクジェットインキは米国での販売が低調であったこともあり前年同期を下回りました。カラーフィルター用顔料分散液はパネルメーカーでの稼働率の低下などにより販売は前年同期並みとなりました。トナーは海外で順調に拡販が進んだことなどにより前年同期を上回りました。これらの結果に加え、為替換算の影響があったこともあり、売上高は97億9千万円(前年同期比1.8%増加)となりました。

利益面では、全般的にデジタル印刷材料の販売が伸び悩んだことや諸経費が増加したことなどから、営業利益は10億9千7百万円(前年同期比20.2%減少)となりました。

 

(2)財政状態

当中間連結会計期間末の総資産は、現金及び預金は増加したものの、政策保有株式縮減の方針に基づき投資有価証券の売却を進めたことや、円高の進行による為替換算の影響により売上債権や棚卸資産、有形固定資産などが減少したことにより前連結会計年度末比80億3千1百万円(3.6%)減少の2,134億3千8百万円となりました。

負債は、借入金は増加したものの、仕入債務が減少したことに加え、為替換算の影響を受けたことなどから前連結会計年度末比43億9千8百万円(4.3%)減少の978億4千9百万円となりました。

純資産は、利益剰余金が増加したものの、為替換算調整勘定などその他の包括利益累計額が減少したことなどから、前連結会計年度末比36億3千2百万円(3.0%)減少の1,155億8千8百万円となりました。

 

(3)キャッシュ・フロー

当中間連結会計期間におけるキャッシュ・フローの状況は次の通りであります。

営業活動によるキャッシュ・フローは、運転資本の増加や法人税等の支払などがあったものの、税金等調整前中間純利益、減価償却費などにより、31億5千9百万円の資金の増加となりました。前年同期に比べ15億2百万円の減少となりましたが、主な要因は、運転資本が増加したことであります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入があったものの、有形固定資産の取得による支出などがあったことにより、36億9百万円の資金の減少となりました。前年同期に比べ10億2千8百万円の減少となりましたが、主な要因は、有形固定資産の取得による支出が増加したことであります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払や自己株式の取得などがあったものの、借入金の増加などにより、5億2千6百万円の資金の増加となりました。前年同期は26億4千3百万円の資金の減少でしたが、資金の減少から資金の増加へ転じた主な要因は、配当金の支払は増加したものの借入金の残高が増加したことであります。

以上に加え、連結の範囲の変更に伴う現金及び現金同等物の増減額として9千5百万円を計上した結果、当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は151億7百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億2千4百万円の増加となりました。

 

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

1)当面の対処すべき課題の内容

当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題について、重要な変更はありません。

 

2)株式会社の支配に関する基本方針

当中間連結会計期間において、当社の株式会社の支配に関する基本方針について、重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

当中間連結会計期間における研究開発費の総額は26億7千万円であります。

なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(6)主要な設備の計画

前連結会計年度末において計画中であった主要な設備の新設について、当中間連結会計期間に重要な変更があったものは、次の通りであります。

2025年6月30日現在

 

会社名

事業所名

(所在地)

セグメントの名称

設備の内容

投資予定額

資金調達

方法

着手及び完了予定

総額

既支払額

着手

完了

INX

do Brasil

Ltda.

カブレウーヴァ工場

(CABREUVA,BRAZIL)

印刷インキ(米州)

製造設備

百万BRL

111

百万BRL

108

自己資金

及び

借入金

2023年

7月

2025年

8月

INX

International

Ink Co.

ブエナパーク工場

(CALIFORNIA,U.S.A.)

印刷インキ(米州)

製造設備

千$

6,490

千$

1,350

自己資金

2025年

2月

2025年

10月

(注)1.上記の製造設備における完成後の生産能力については合理的な算出が困難なため、記載を省略しております。

2.INX do Brasil Ltda.における計画は、一部見直しに伴い、完了予定年月を2025年4月から2025年8月に変更しております

 

3【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等は行われておりません。