第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営の基本方針

 当社は、有機合成技術そのものを事業経営の基盤とし「新しい技術開発のパワーこそ、企業発展の道である」ことをテーマに掲げ、事業を展開しています。

 創造的で新しい技術の開発にあたっては、常に未来を見据えて、人として品性豊かな仕事をし、当社の存在価値を高め、その結果として利益を上げ、社会(取引先を含む)・株主に貢献するとともに、社員の幸せを追求することを経営の基本としています。

 

(2)目標とする経営指標及び中長期的な会社の経営戦略

 当社は、収益構造の改善を進め、安定した経営基盤を構築し、早期復配を果たすため、平成29年度を初年度とする新中期経営計画(平成30年3月期~平成32年3月期)を策定しました。

 新中期経営計画では、最終年度である平成32年3月期の目標として、

  ① 売上高60億円以上

  ② 営業利益3億円以上(売上高営業利益率5.0%以上)

を掲げました。

 新中期経営計画においては、『顧客からより信頼される企業基盤の確立』をスローガンとし、利益を安定的に稼げる企業体質に転換することにより、経営を安定軌道に乗せ、早期に復配できるように努めてまいります。

 また、一方で財務基盤を強固にするため、たな卸資産や有利子負債の圧縮に努めてまいります。

 

(3)対処すべき課題

 当社は、顧客からより信頼される企業基盤を確立するために、安定的に利益を稼げる企業体質へ転換してまいります。長年にわたり培ってきた有機合成の技術とノウハウを最大限に活用し、徹底的なコストダウンによる原価の改善、採算是正を図るとともに、各分野の競争力強化・拡充に努め、新製品開発に努めてまいります。

また、原材料の安定確保を目的とした原材料ソースの多元化を図り、工場の安定稼働に努めてまいります。

 一方、当期に発生した重大な事故を教訓に、国内外のユーザーや社会から求められている環境・健康・安全(EHS)への取り組みをより一層強化し、循環型社会への貢献と安全な工場運営に積極的に取り組んでまいります。

 

(4)今後の見通し

 当社を取り巻く経営環境は、米国新政権の保護主義政策強化や中国をはじめとする新興国景気への懸念など、依然として不透明な状況が続くものと見込まれます。

 このような経営環境の中、生産性の改善、原価率の改善及び採算是正等を図ることにより、安定的に利益計上できる企業体質に転換し、業績向上を目指してまいります。

 このような状況の中で、次期の業績予想は次のとおりです。

 総売上高は5,500百万円と当事業年度に比べ183百万円の増収となる見込みです。国内売上高は医薬用中間物及び界面活性剤は増収となる見込みですが、農薬用中間物及び機能性用中間物は減収となる見込みです。輸出売上高は農薬用中間物は減収となる見込みですが、医薬用中間物は増収となる見込みです。

 利益面では、営業利益は200百万円(前期比106百万円増)、経常利益は190百万円(前期比99百万円増)、当期純利益は140百万円(前期比33百万円増)を見込んでおります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

 (1)売上について

 当社の売上高は各種有機化学品の中間物等の販売が主なものであります。したがって、売上高は当社のユーザーである医薬メーカー、農薬メーカー等の最終製品の販売状況及び新製品の開発状況により少なからず左右される面があり、経営成績及び財政状態に影響があります。

 当社は、これらの業績への影響を極力低減するため、関連業界の情報収集と早期の受注確定を目指した営業活動を行っています。また、機能性用中間物の新製品開発を積極的に進めるとともに、独自製品の開発にも力を入れております。

 なお、農薬用中間物の販売については、天候による病害虫等の発生状況による影響もありますが、各種の農薬用中間物を製造販売することで業績への影響を極力低減するようにしております。

(2)為替の影響

 当社は輸出比率が高く為替相場の変動による影響を受けます。そのため当社は、為替相場の変動によるリスクをヘッジするため為替予約等の対策を講じています。しかしながら、リスクヘッジにより為替相場変動の影響を緩和することは可能であっても、影響をすべて排除することは不可能であり、当社の経営成績及び財政状態に少なからず影響を与える可能性があります。

(3)たな卸資産について

 当社は受注見込による生産を行っていますので、当社のユーザーでの販売状況及び在庫調整等により、たな卸資産が増加する可能性があります。このため、この影響を極力回避するため受注の早期確定を目指した営業活動を行うとともに、マルチパーパスプラントにより柔軟な生産切替え体制を取って、たな卸資産が増加しないよう努めています。しかしながら、ユーザーでの急な在庫調整により、たな卸資産が増加する可能性があります。

(4)金利変動リスクについて

 当社は、資金の効率的運用及び資産売却等により有利子負債の削減に取り組んできました。この結果、平成30年3月末の有利子負債残高は2,163百万円となっています。有利子負債の金利変動リスクを可能な限り回避するため、金利スワップ契約を締結するとともに、総額1,825百万円のコミットメントライン契約締結等の資金の効率的な調達、たな卸資産の圧縮、固定金利での長期安定資金の確保等に努めておりますが、急激な金利変動が生じた際には、業績が変動する可能性があります。

 

(5)安全環境問題について

 当社は有機化学品を製造する会社であり、工場運営においては安全第一、環境対策を最優先課題として取り組んでおりますが、工場火災、土壌汚染、悪臭及び排出ガス等の事故、公害問題により業績に影響を与える可能性があります。

(6)自然災害について

 当社の工場は和歌山県和歌山市及び福井県福井市に分散しており、いずれの製造プラントもマルチパーパスでありますが、大規模な地震及び台風等の自然災害により甚大な被害が発生した場合には、業績に影響を与える可能性があります。

 また、当社が大規模な地震及び台風等の自然災害に直接被災しなくても、当社の取引先である原材料メーカーにおいて被災や事故が発生した場合に備え、可能な限り複数購買等を実施するなど対策を講じておりますが、被害が甚大で影響が長期に及ぶ場合には、業績に影響を与える可能性があります。

 

(7)株価変動による影響

 当社は、取引先を中心に市場性のある株式を保有しており、これらは株価の変動によるリスクを負っております。当該リスクに対し、所有株式を継続的に見直し整理する等、業績への影響を低減するよう努めておりますが、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

(8)財務維持要件について

 当社の借入金の一部には財務維持要件が付されており、これが充足されない場合、銀行団による貸付義務の終了等、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態の状況

 当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べ119百万円(1.3%)増加の9,656百万円となりました。これは主に、商品及び製品が530百万円減少しましたが、投資有価証券が551百万円、仕掛品が158百万円増加したことによるものです。

 負債につきましては、前事業年度末に比べ264百万円(6.0%)減少の4,121百万円となりました。これは主に、買掛金が114百万円増加しましたが、借入金が461百万円減少したことによるものです。

 また、純資産は前事業年度末に比べ384百万円(7.5%)増加の5,534百万円となり、自己資本比率は57.3%(前事業年度末54.0%)となりました。

 

②経営成績の状況

 当事業年度におけるわが国経済は、堅調な企業業績や雇用環境の改善により緩やかな回復基調が続いているものの、米国新政権の保護主義政策強化、中国経済の下振れリスク等により、依然、不透明な状況が続いています。

 このような状況の中で、国内売上高は、4,538百万円となり、前年同期(3,923百万円)に比べ615百万円(15.7%)の増収となりました。これは、医薬用中間物は大幅に減少しましたが、農薬用中間物が大幅に増加したことと、機能性用中間物も増加したためです。
 一方、輸出売上高は、777百万円となり、前年同期(1,098百万円)に比べ320百万円(29.2%)の大幅な減収となりました。これは、農薬用中間物が大幅に減少し、医薬用中間物も減少したためです。
 この結果、総売上高は、5,316百万円となり、前年同期(5,021百万円)に比べ294百万円(5.9%)の増収となりました。輸出比率は14.6%(前年同期21.9%)となりました。

 利益につきましては、農薬用中間物の在庫処理による損失、原燃料価格の上昇等の影響はありましたが、工場稼働率の復調による製造原価率の改善、固定費の削減等により、営業利益は93百万円(前年同期 営業損失78百万円)となりました。経常利益は90百万円(前年同期 経常損失71百万円)、特別利益で受取保険金56百万円を、特別損失で支払補償金20百万円等を計上し、当期純利益は106百万円(前年同期 当期純損失10百万円)となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、減価償却費が358百万円となったこと、たな卸資産が238百万円減少したこと及び売上債権が225百万円減少したことなどにより、959百万円の収入(前年同期 1,018百万円の収入)となりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出420百万円及び投資有価証券の取得による支出148百万円などにより、561百万円の支出(前年同期 272百万円の支出)となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金が461百万円減少したことなどにより、493百万円の支出(前年同期 648百万円の支出)となりました。

 以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は315百万円となり、前事業年度末に比べて90百万円減少しました。

 

④生産、受注及び販売の実績

 当社の事業は、有機化学合成に基づく中間物の製造、販売、研究及びサービス等を行う単一セグメントであるため、セグメント情報を記載しておりませんので、「生産、受注及び販売の実績」については製品の種類別ごとに記載しております。

 

(a)生産実績

 当事業年度の生産実績を製品の種類別に示すと、次のとおりであります。

区分

生産高(千円)

前年同期比(%)

医薬用中間物

912,907

△8.4

農薬用中間物

3,017,686

+65.2

機能性用中間物

743,331

△19.2

その他用中間物

97,563

+10.1

界面活性剤

330,927

+0.4

合計

5,102,415

+22.6

 (注) 金額は、販売価格(消費税等抜き)によっております。

(b)外注製品仕入実績

 当事業年度の外注製品仕入実績を製品の種類別に示すと、次のとおりであります。

区分

仕入高(千円)

前年同期比(%)

医薬用中間物

174

△98.3

機能性用中間物

71,189

+226.2

その他用中間物

19,483

+24.1

合計

90,847

+90.7

 (注) 金額には、消費税等は含まれていません。

(c)受注実績

 当社は受注見込による生産方式をとっております。

(d)販売実績

 当事業年度の販売実績を製品の種類別に示すと、次のとおりであります。

区分

販売高(千円)

前年同期比(%)

医薬用中間物

619,399

△44.1

農薬用中間物

3,174,446

+23.0

機能性用中間物

975,016

+17.5

その他用中間物

151,320

+23.4

界面活性剤

366,632

+4.9

その他

29,804

△1.0

合計

5,316,619

+5.9

 (注)1.金額には、消費税等は含まれていません。

 

2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及びそれぞれの総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

第66期

第67期

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

日星産業㈱

762,099

14.3

SYNGENTA ASIA PACIFIC PTE.LTD.

627,696

11.8

三井物産㈱

599,160

11.9

(注)第66期における日星産業㈱への販売額は250,296千円及び総販売実績に対する割合は5.0%、SYNGENTA ASIA PACIFIC PTE.LTD.への販売額は412,560千円及び総販売実績に対する割合は8.2%であり、また、第67期における三井物産㈱への販売額は372,485千円及び総販売実績に対する割合は7.0%であります。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たっては、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りが必要となり、継続的な評価を行っております。

 なお、見積り及び判断・評価については、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。

 

②財政状態の分析

(総資産)

 当事業年度末の総資産は9,656百万円となりました。前事業年度末に比べ119百万円の増加となりました。主に増加したのは、有形固定資産99百万円、投資有価証券551百万円であります。主に減少したのは、たな卸資産(商品及び製品、仕掛品、原材料及び貯蔵品)238百万円、売掛金186百万円であります。

(負債)

 当事業年度末の負債は前事業年度末に比べ264百万円減少し、4,121百万円となりました。主に増加したのは、買掛金114百万円であります。主に減少したのは、1年内返済予定の長期借入金101百万円、長期借入金360百万円であります。なお、借入金の総額は1,970百万円(前事業年度末2,432百万円)となりました。

(純資産)

 当事業年度末の純資産は前事業年度末に比べ384百万円増加し、5,534百万円となりました。主な要因は、当期純利益の増加117百万円、その他有価証券評価差額金の増加277百万円によるものであります。自己資本比率については、前事業年度末54.0%に比べ3.3ポイント上昇の57.3%となりました。

 

③経営成績の分析

(売上高)

 当事業年度の売上高は、前事業年度に比べ294百万円増収の5,316百万円となりました。国内売上高は、前事業年度に新製品として導入した抗菌剤用の受注がなく、医薬用中間物は大幅に減少しましたが、動物薬用及び稲用殺菌剤の寄与により農薬用中間物が大幅に増加し、機能性用中間物も増加したため、前事業年度に比べ615百万円増収の4,538百万円となりました。輸出売上高は、米国向け除草剤用の市況価格の悪化に伴う減少及び殺虫剤用の需要減少により農薬用中間物が大幅に減少し、医薬用中間物も減少したため、前事業年度に比べ320百万円減収の777百万円となり、輸出比率は14.6%となりました。

(売上総利益)

 当事業年度の売上総利益は、前事業年度に比べ99百万円増加し、819百万円となりました。これは、農薬用中間物の在庫処理の損失、原燃料価格の上昇等の影響はありましたが、工場稼働率の復調による製造原価率の改善、固定費の削減効果によるものです。売上総利益率は15.4%と、前事業年度の14.4%に比べ1.0ポイント改善いたしました。

 

(営業利益)

 当事業年度の営業利益は、前事業年度に比べ172百万円増加し、93百万円となりました。売上高営業利益率は1.8%と、前事業年度の△1.6%に比べ3.4ポイント改善いたしました。

(経常利益)

 当事業年度の経常利益は、前事業年度に比べ162百万円増加し、90百万円となりました。売上高経常利益率は1.7%と、前事業年度の△1.4%に比べ3.1ポイント改善いたしました。

(当期純利益)

 当事業年度の当期純利益は、前事業年度に比べ117百万円増加し、106百万円となりました。特別損益の主なものは、特別利益として、受取保険金56百万円を計上し、特別損失として支払補償金20百万円等を計上いたしました。

 

④資本の財源及び資金の流動性

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末と比較して90百万円減少し、315百万円となりました。これは、営業活動により得られた資金959百万円に対して、有形固定資産の取得など投資活動により支出した資金561百万円、長期借入金の返済など財務活動により支出した資金493百万円によるものであります。

 なお、当社は、必要な運転資金及び設備投資資金について自己資金又は金融機関からの借入れにより調達しており、当事業年度末における借入金残高は1,970百万円となりました。

 

4【経営上の重要な契約等】

 当事業年度において、新たに決定または締結した経営上の重要な契約等はありません。

5【研究開発活動】

 当社は、長年培ってきた有機合成化学及びプロセス化学の技術と経験を生かし、医薬用中間物や農薬関連の品種拡充並びに次世代を担う機能性製品の積極的な展開を図っています。

 独自製品としては、高屈折率材料であるジナフトチオフェン誘導体、耐熱性透明樹脂として期待されるデカリン誘導体の開発に取り組んでいます。また、包摂化合物カリックスアレーン誘導体及び化粧品原料ビタミンC誘導体については、拡販に向けた商業生産のステージまで進んでおり、今後、販売・開発力の強化を図り、売上に寄与できるようにしてまいります。

 なお、当事業年度の研究開発費は194百万円で、研究開発人員は当事業年度末現在20名であります。