第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)  会社の経営の基本方針

当社は、品質の向上に努め安定供給の責を果し、お客様の満足が得られる品質の確保と納期を遵守して製品の品質向上を目指します。なお、経営の基本方針としては次のとおりであります。

①  差別化できる新製品の開発、生産性の向上、販売体制の強化を図り、強固な経営基盤を確立します。
②  リサイクルによって資源の有効活用と環境に重視して社会に貢献できる企業を目指します。
③  業容拡大と収益重視した経営によって、株主の期待に応えます。
④  お客様の満足を得るために、信頼性の高い生産管理、高度な品質管理体制の確立に総力を挙げておこないます。
⑤  一人一人がまたはグループで、課題を謙虚に学び、考え、評価し、迅速に改善します。

 

(2)  目標とする経営指標

当社は、収益力の向上と財務体質の強化を経営目標の中心として重視しております。収益機会の増加とともに生産、物流面の合理化を推進して、売上高及び経常利益をさらに高めてまいりたいと考えております。

経常利益の水準としては、売上高経常利益率5%程度を目指しております。

 

(3)  中長期的な会社の経営戦略

原油・ナフサの市況によって会社の業績が大きく影響されますが、既存分野での新規需要の獲得、新しい溶剤のマーケットの開拓など販売活動に全力を傾注するとともに、生産、物流面の合理化を押し進め業績の振れを緩和させます。また、環境と生産性を重視して越谷、兵庫工場に設備投資を計画的に実施します。

 

(4)  会社の対処すべき課題

今後の見通しといたしましては、景気は緩やかに回復が続くと期待されますが、地政学リスクによる原油価格の上昇、為替変動、不安定な海外経済の下振れ懸念もあり、当社を取り巻く経営環境は引き続き厳しい状況で推移するものと思われます。

当社は、以下に掲げる項目を重点的な経営課題として売上拡大と収益性の向上に取り組んでまいります。

①  シェア拡大 

新製品の拡販に注力するとともに、新規需要先の開拓に努めてまいります。

② 新規事業の育成

新規事業につきましては、今まで培ってきたノウハウと企業財産を基盤に新たなフィールドへの進出を目指していきます。

③ 人材の育成 

企業の競争力の源泉はヒトにあるとの認識の下、社員一人一人の能力を伸ばしていきます。

④ 財務体質の強化

経営資源の効率的な活用、販売費及び一般管理費の抑制に努め、キャッシュ・フローの管理を徹底し、財務体質の強化を図ってまいります。 

 

 

2 【事業等のリスク】

当社の経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下の内容のものがあります。なお当該リスク情報は、当事業年度末現在における当社の判断に基づき記載しております。

(1)  当社は、既存分野での新規開拓と新しい溶剤マーケットを開発するとともに、生産、物流などの合理化を進め業績の振れの緩和に努めていますが、為替動向を含めた原油・ナフサの市況動向が経営成績に影響を与える可能性があります。

(2)  当社は、法令遵守に日頃から注力しておりますが、消防法、毒劇法、その他の環境関連の法令改正にともなう規制強化等により、経営成績が影響を受けることがあります。

(3)  当社は、生産拠点を東日本に越谷工場、西日本に兵庫工場と二ヵ所に分散配置し補完機能をもたせており、かつ防火管理体制に関しても自衛消防による防災訓練を定期的に行う等災害対策を実施しておりますが、地震・台風といった自然災害及び火災・爆発等の事故が発生した場合、あるいはコンピューターシステムが稼動できなくなった場合、経営成績が影響を受ける可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、好調な企業収益や雇用環境の改善が続き、景気は緩やかな回復基調に推移いたしましたが、米国政権の政策動向や中東・アジア地域における地政学リスクの高まりなど、先行き不透明な状況で推移いたしました。

当社が主として関連する塗料業界におきましては、こうした経済環境のもと、生産、出荷数量は、ともに前年並みの水準となりました。

このような情勢のもとで当社は、有機溶剤専業メーカーとして新規ユーザーの開拓を中心に販売力の強化に注力した結果、製品については生産数量165,411トン、出荷数量165,200トンと、ともに前年同期実績に比べ7.8%増、8.0%増とそれぞれ増加いたしました。

当事業年度の業績といたしましては、売上高は新規需要開拓等により製品及び商品の出荷数量が増加したことや、原油・ナフサ市況が前年に比べて高水準で推移したことにより販売単価も上昇したため、266億23百万円前年同期比10.6%の増収になりました。

主な品目別の売上高は、ラッカーシンナー類が7億16百万円前年同期比0.5%増、合成樹脂塗料用シンナー類が6億25百万円前年同期比4.1%減、洗浄用シンナー類が17億27百万円前年同期比1.7%減、印刷用溶剤類が44億99百万円前年同期比3.3%増、特殊シンナー類が29億86百万円前年同期比13.6%増、単一溶剤類が114億37百万円前年同期比15.2%増、塗料・その他が14億23百万円前年同期比15.3%増、単一溶剤を中心とした商品が32億6百万円前年同期比15.0%増となりました。

一方損益面では、効率的な原材料購入の推進及び新規需要の開拓等に努めましたが、前年と比較して原油・ナフサ市況が高水準で推移したことが原材料コストの増加要因となり、営業利益は前年同期比35.6%減11億31百万円、経常利益は前年同期比34.6%減11億55百万円となり、当期純利益は前年同期比35.3%減7億57百万円と、いずれも減益となりました。

 

 

当事業年度末における総資産は、197億93百万円(前事業年度末比17億40百万円増)となりました。財政状態についての概況は次のとおりであります。

(流動資産)

当事業年度末における流動資産は、144億75百万円(前事業年度末比12億23百万円増)となりました。これは主に、受取手形の増加(同6億85百万増)電子記録債権の増加(同5億71百万増)及び売掛金の増加(同15億71百万円増)等があったものの、現金及び預金の減少(同17億17百万減)等があったことによるものであります。

(固定資産)

当事業年度末における固定資産は、53億18百万円(前事業年度末比5億16百万円増)となりました。これは主に土地の増加(同2億85百万円増)、建設仮勘定の増加(同2億31百万円増)等があったことによるものであります。

(流動負債)

当事業年度末における流動負債は、76億49百万円(前事業年度末比11億7百万円増)となりました。これは主に、支払手形の増加(同10億6百万増)買掛金の増加(同7億36百万円増)等があったものの、未払金の減少(同2億6百万減)未払法人税等の減少(同2億39百万円減)等があったことによるものであります。

(固定負債)

当事業年度末における固定負債は、6億13百万円(前事業年度末比10百万円減)となりました。これは主に、長期借入金の増加(同30百万円増)等があったものの、社債の減少(同70百万円減)等があったことによるものであります。

(純資産)

当事業年度末における純資産は、115億30百万円(前事業年度末比6億42百万円増)となりました。これは主に、利益剰余金の増加(同5億74百万円増)等があったことによるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前年同期に比べて17億17百万円減少し、17億11百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において営業活動の結果使用した資金は、7億6百万円(前年同期は7億84百万円の収入)となりました。これは主に、税引前当期純利益の計上11億37百万円仕入債務の増加15億27百万円等があったものの、売上債権の増加28億27百万円法人税等の支払額6億4百万円等があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において投資活動の結果使用した資金は、7億73百万円(前年同期は3億24百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出7億27百万円等があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において財務活動の結果使用した資金は、2億37百万円(前年同期は3億32百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入れによる収入1億50百万等があったものの、長期借入金の返済による支出1億34百万円配当金の支払額1億82百万等があったことによるものであります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

 当社は、シンナー製造業の単一セグメントであるため、品目別に記載しております。

なお、セグメントについての詳細は、「第5  経理の状況  (セグメント情報等)」をご覧ください。

 

 (a) 生産実績

当事業年度における生産実績については、単一セグメントのため品目別に記載しております。

 

品目

生産高(千円)

前年同期比(%)

ラッカーシンナー類

700,617

1.6

合成樹脂塗料用シンナー類

636,795

△3.6

洗浄用シンナー類

1,694,237

△1.9

印刷用溶剤類

4,508,953

3.3

特殊シンナー類

3,014,332

13.7

単一溶剤類

11,405,576

14.6

塗料・その他

1,566,708

15.9

合計

23,527,220

10.0

 

(注)  金額は販売価格で表示しており、消費税等は含まれておりません。

 

  (b) 受注実績

当事業年度における受注実績については、単一セグメントのため品目別に記載しております。

 

品目

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

ラッカーシンナー類

716,078

0.2

5,814

△6.2

合成樹脂塗料用シンナー類

625,133

△4.4

4,321

△13.8

洗浄用シンナー類

1,726,617

△1.8

27,230

△4.4

印刷用溶剤類

4,498,484

3.2

13,142

△5.5

特殊シンナー類

2,992,129

13.2

55,492

10.8

単一溶剤類

11,450,164

15.1

105,660

13.4

塗料・その他

1,421,286

15.0

22,826

△7.2

合計

23,429,894

9.9

234,487

5.9

 

(注)  金額は販売価格で表示しており、消費税等は含まれておりません。

 

 

  (c) 販売実績

当事業年度における販売実績については、単一セグメントのため品目別に記載しております。

 

品目

販売高(千円)

前年同期比(%)

製品

 

 

  ラッカーシンナー類

716,461

0.5

  合成樹脂塗料用シンナー類

625,825

△4.1

  洗浄用シンナー類

1,727,875

△1.7

  印刷用溶剤類

4,499,251

3.3

  特殊シンナー類

2,986,700

13.6

  単一溶剤類

11,437,716

15.2

  塗料・その他

1,423,045

15.3

小計

23,416,877

10.1

商品

 

 

  単一溶剤

2,915,918

16.1

  その他商品

291,019

5.1

小計

3,206,938

15.0

合計

26,623,816

10.6

 

(注) 1  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2  主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

当事業年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

東洋インキ㈱

4,573,288

19.0

5,244,970

19.7

 

      (注) 1  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2  上記の相手先、東洋インキ㈱には、東洋インキ北海道㈱、東洋インキ東北㈱、東洋インキ中四国㈱、東洋インキ九州㈱等の販売高を含んでおります。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 ① 経営成績

(売上高)

当事業年度における売上高は、新規需要開拓等により製品及び製品の出荷数量が増加したことや、原油・ナフサ市況が前年に比べて高水準で推移したことにより販売単価も上昇したため、266億23百万円(前事業年度比25億60百万円増)となりました。

(売上原価・販売費及び一般管理費)

売上原価は、効率的な原材料購入の推進に努めましたが、出荷数量の増加に加えて、原油・ナフサ市況が高水準で推移したことにより、223億65百万円(前事業年度比32億27百万円増)となりました。販売費及び一般管理費は、31億26百万円(前事業年度比41百万円減)となりました。

(営業利益)

上記の結果、営業利益は11億31百万円(前事業年度比6億25百万円減)となりました。

(営業外損益)

営業外損益は、24百万円のプラス(前事業年度は、9百万円のプラス)となりました。受取利息及び配当金から、支払利息、手形売却損及び社債利息を差し引いた金融収支は、3百万円のプラス(前事業年度は、8百万円のマイナス)となっております。

(経常利益)

上記の結果、経常利益は11億55百万円(前事業年度比6億11百万円減)となりました。

また売上高が大幅に増加したこと等により、期初目標とした売上高経常利益率にはわずかながら下回る結果となりました。

(特別損益)

特別損益は、18百万円のマイナス(前事業年度は、12百万円のマイナス)となりました。

(税引前当期純利益及び当期純利益)

この結果、税引前当期純利益は、11億37百万円(前事業年度比6億17百万円減)となりました。税金費用を差し引いた当期純利益は、7億57百万円(前事業年度比4億12百万円減)となっております。

 

 ② 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社の運転資金は、主に製品製造に使用する原材料の調達及び販売商品の購入に費やされており、その他人件費、販売のための運賃等、製造経費や販売費及び一般管理費に計上される費目に対しても同様に費消されております。 

さらに、設備投資資金は、生産力増強を目的とした生産設備の新規取得、それらを管理するシステムの整備等に支出されております。

これらの必要資金は、利益の計上、減価償却費等により生み出される内部資金により賄うことを基本としておりますが、必要に応じて金融機関からの資金調達にて対応しております。

当事業年度においては、原材料価格の高騰により仕入債務が大幅に増加したことに加えて、越谷・兵庫両工場のシンナー製造設備等に7億41百万円の設備投資を行ったため、金融機関からの借り入れを一部実施いたしました。

 

 

 ③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物は、前年同期に比べて17億17百万円減少し、17億11百万円となりました。キャッシュ・フローの分析につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」のとおりでありますが、キャッシュ・フロー関連指標のトレンドを示しますと下記のとおりであります。

 

平成29年3月期

平成30年3月期

自己資本比率(%)

60.3

58.3

時価ベースの
自己資本比率(%)

45.0

33.9

キャッシュ・フロー
対有利子負債比率(%)

63.8

△62.2

インタレスト・カバレッジ・
レシオ(倍)

79.0

△119.1

 

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

(注) 1  株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

     2  キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。

     3  有利子負債は、貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

技術供与契約

当社は、台湾の大勤化成股有限公司に対してシンナー製造に関する技術供与を行う契約を平成8年4月1日に締結しております。

 

5 【研究開発活動】

当事業年度の研究開発活動は、顧客に信頼される『製品』を開発することに加え、既製品の研究改良(品質・安全・性能・環境)を行っております。特に環境対策や作業者に対する安全性、危険性をテーマに溶剤の見地から、改善・開発、及び溶剤のリサイクル化等において努力しております。

当事業年度において当社が支出した研究開発費の総額は、77百万円であります。研究開発活動の内容を示すと次のとおりであります。

(1)  現在、様々な洗浄剤がありますが、その目的・用途に合わせ、最善の製品を提案・提供すると共にリサイクル化を推進し、リサイクル溶剤を有効活用できるように考慮し開発を行っております。既に多数のユーザーより支持を受け、実績ともに効果が現れております。

(2)  大気汚染防止法やPRTR法(特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律)に鑑み、環境汚染影響のより少ない溶剤を開発するとともに、有害物の大気中への排出を少なくする使用方法の選定や処理設備の検証を行い、お客様に提案できるよう活動を進めております。

(3)  より高度な品質を確保するための設備の検証や生産技術の確立、また有機溶剤の枠にとらわれない事業分野展開の助けとして、生産設備の開発を進めております。なかでも電子材料用途向けの溶剤供給を目指して、生産面と管理面の技術開発を進めております。

また、越谷工場での樹脂溶解関連における実務的な生産技術の確立、及び高効率生産設備開発に取り組んでおります。