(1) 業績
当年度の業績は以下のとおりとなりました。
| 売上収益 | 18,074億円 | [前年度比 | 296億円 | ( 1.7%) | 増] |
| 研究開発費 | 3,459億円 | [ 〃 | 362億円 | ( 9.5%) | 減] |
| 営業利益 | 1,308億円 | [ 〃 | 2,601億円 | ( - %) | 増] |
| 税引前当期利益 | 1,205億円 | [ 〃 | 2,660億円 | ( - %) | 増] |
| 当期利益 (親会社の所有者帰属分) | 802億円 | [ 〃 | 2,259億円 | ( - %) | 増] |
| EPS | 102円26銭 | [ 〃 | 287円63銭 | ( - %) | 増] |
(業績の分析については、「7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)当年度の経営成績の分析」参照)
(2) セグメント別の状況
(以下のセグメント別連結売上収益は、各セグメントの外部顧客に対する売上収益を表しております。)
医療用医薬品事業の売上収益は、前年度から342億円(2.1%)増収の16,487億円となり、営業利益は、前年度から2,817億円増益の1,028億円となりました。
コンシューマーヘルスケア事業の売上収益は、「アリナミン錠剤類」等の増収により、前年度から65億円(8.9%)増収の801億円となりました。営業利益は粗利率の改善による売上総利益の増益等により、17億円(10.0%)増益の189億円となりました。
その他事業の売上収益は、2015年4月に当社が保有していた水澤化学工業株式会社の株式を譲渡したことで、同社およびその子会社の売上寄与がなくなり、前年度から111億円(12.4%)減収の786億円となりました。営業利益は、前年度に有形固定資産売却益157億円を計上していたほか、ロイヤルティ収入の減少や、子会社の営業利益が減少したことなどにより、234億円(72.0%)減益の91億円となりました。
(セグメント別の業績の分析については「7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)当年度の経営成績の分析」参照)
(3) キャッシュ・フローの状況
(「7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)当年度の財政状態の分析」参照)
(4) IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項
前年度 (自2014年4月1日 至2015年3月31日) | 当年度 (自2015年4月1日 至2016年3月31日) |
(のれんの償却停止) 当社グループは、のれん及び負ののれんを一定期間にわたり償却しておりました。IFRSでは、のれんの償却は行われず、毎期減損テストを実施することが要求されます。 この影響により、当年度にて、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が462億円減少しております。 | (のれんの償却停止) 当社グループは、のれん及び負ののれんを一定期間にわたり償却しておりました。IFRSでは、のれんの償却は行われず、毎期減損テストを実施することが要求されます。 この影響により、当年度にて、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が473億円減少しております。 |
当年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
医療用医薬品事業 | 624,925 | △10.3 |
コンシューマーヘルスケア事業 | 52,886 | 16.5 |
その他事業 | 53,534 | △6.5 |
合計 | 731,345 | △8.5 |
(注) 生産実績金額は、消費税等を除いた販売価格によっております。
当年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
医療用医薬品事業 | 175,524 | 1.8 |
コンシューマーヘルスケア事業 | 21,141 | 8.9 |
その他事業 | 19,172 | △22.4 |
合計 | 215,838 | △0.3 |
(注) 商品仕入実績金額は、消費税等を除いた実際仕入額によっております。
当社グループは、主に販売計画に基づいて生産計画をたてて生産しております。
一部の事業において受注生産を行っていますが、受注高及び受注残高の金額に重要性はありません。
当年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
医療用医薬品事業 | 1,648,671 | 2.1 |
(国内) | 541,656 | △3.5 |
(海外) | 1,107,014 | 5.1 |
コンシューマーヘルスケア事業 | 80,094 | 8.9 |
その他事業 | 78,613 | △12.4 |
連結純損益計算書計上額 | 1,807,378 | 1.7 |
(うち知的財産権収益・役務収益) | (56,468) | (△35.5) |
(注) 1 販売実績は、外部顧客に対する売上収益を表示しております。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 | 前年度 | 当年度 | ||
金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
㈱メディパルホールディングスおよびそのグループ会社 | 259,673 | 14.6 | 258,661 | 14.3 |
3 販売実績金額は、消費税等を除いた金額であります。
当社は「タケダイズム(誠実:公正・正直・不屈)」を企業活動の根幹に据えるとともに、「Patient(常に患者さんを中心に)」、「Trust(社会との深い信頼関係を築く)」、「Reputation(当社の評価をさらに高める)」、「Business(ビジネスを成長させる)」の優先順位で行動します。
当社は、患者さんや医療関係者の皆様を中心に考え、人材育成力を併せもつ機動的なグローバル組織として、「ベスト・イン・クラス」の企業を目指します。
当社は、イノベーションにつながる新たなアプローチを有する世界トップクラスの研究開発力を構築するとともに、消化器系疾患、オンコロジー (がん)、中枢神経系疾患、新興国を柱とする成長ドライバーに注力し、コスト規律を堅持することで、売上および利益の持続的な成長を実現します。
当社は、「優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献する」というミッションの実現を目指し、この想いを 「Better Health, Brighter Future」 という言葉に集約しています。
<中長期的な経営戦略および対処すべき課題>
当社は、「Value」、「People」、「R&D」および「Business Performance」の4つの柱からなる戦略ロードマップを示しています。この戦略ロードマップの実践により、長期的にありたい姿である、消化器系疾患でのNo.1、オンコロジーにおけるトップ10、中枢神経系疾患および新興国事業の強いプレゼンスを目指します。また、中期的なマイルストン(3年間のCAGR(年平均成長率))として、一桁台半ば(%)の実質的な売上収益の成長、二桁(%)の実質的なCore Earnings の成長を掲げています。
* 当社は現在、7つのビジネス ユニットを設置しています。グローバル オンコロジー ビジネス ユニットおよびグローバル ワクチン ビジネス ユニットは、「R&D」セクションに記載しています。各地域のビジネス ユニット(US ビジネス ユニット、ジャパン ファーマ ビジネス ユニット、エマージングマーケッツ ビジネス ユニット、EUCAN(欧州・カナダ) ビジネス ユニット、ジャパン コンシューマーヘルスケア ビジネス ユニット)については、「Business Performance」セクションに含まれます。
[Value]
「タケダイズム」ならびに「Patient-Trust-Reputation-Business」の価値観を実践します。2016 年度は、全ての進出国でのコンプライアンス・モニタリング・ポリシーの導入やCSR 戦略、Access to Medicine 戦略の実施などに取り組んでまいります。
[People]
患者さんと医療関係者を中心に、機動性に富んだグローバル組織の構築、人材育成に引き続き注力し、様々な取り組みを進めます。2016 年度は、カスタマー満足度インデックス調査の継続フォローとアクションプランの実行によりさらなる改善を目指します。また、グローバル人材開発プログラムの強化ならびに日本におけるダイバーシティとインクルージョン促進策の実施に取り組んでまいります。
[R&D]
当社は、オンコロジー(がん)、消化器系疾患、中枢神経系疾患(特に精神疾患)の3領域を重点領域と位置づけ、同領域においてのリーダーを目指します。これに続く領域として、ワクチン、およびスペシャリティ循環器系疾患を位置づけ、前者ではビジネスおよびグローバルヘルスにおいて革新的なアプローチを追究し、後者ではターゲットを絞って価値を最大化します。 当社は、患者さんを中心に考える、イノベーション主導の研究開発型企業として、これら疾患領域に注力してパイプラインの強化を図るとともに、治療モダリティ※に関する専門性の幅を広げ、将来にわたって持続的成長を可能とする、以下の研究開発力を獲得してまいります。
※低分子化合物、バイオロジクス、再生医療などの治療手法
・治療モダリティに関する、低分子化合物のみに留まらない、バランスのとれた専門性(バイオロジクスや、T-CiRA(Takeda-CiRA Joint Program for iPS Cell Applications)を中心とした再生医療への重点的な取り組みなど)
・デジタルメディスンを含むデータサイエンス、バイオインフォマティクスおよびゲノム研究の専門性
・創薬基盤技術としてのトランスレーショナルメディスン
・イノベーションの重要な源である外部機関との意義あるパートナーシップやコラボレーションの積極的な推進
グローバル オンコロジー ビジネス ユニット
当ユニットは、革新的な医薬品を研究、開発し、世界中のがん患者さんにお届けすることで、がんの治癒を目指しています。当社はがん領域において、革新的で急速に拡大しているパイプラインと、販売製品を多数有しており、グローバルでの売上高は3,000億円に達しています。製品は、ホジキンリンパ腫・全身性未分化大細胞リンパ腫治療剤「アドセトリス」、直腸結腸がん治療剤「ベクティビックス」、前立腺がん治療剤「リュープリン」、骨肉腫治療剤「メパクト」、多発性骨髄腫・マントルセルリンパ腫治療剤「ベルケイド」ならびに多発性骨髄腫治療剤「ニンラーロ」など多岐にわたります。「ニンラーロ」は、米国に続き、欧州においても今後、2016年度中の承認を目指しています※。「ニンラーロ」は、ノーベル賞を受賞した科学技術に基づき、数十年にわたる多発性骨髄腫研究によって生み出された製品であり、世界初の経口プロテアソーム阻害剤として発売されました。当社にとっては、がん領域における初のグローバル製品となります。「ニンラーロ」はその有効性、安全性に加えて、経口投与という利便性の高さから、より長期での投与が可能になると考えられ、患者さんの治療成果の改善に繋がり得ると期待しています。「アドセトリス」は、抗体薬物複合体技術を用いた製品であり、ホジキンリンパ腫の発症メカニズムにおいて重要な役割を果たすCD30 抗原を標的とします。「アドセトリス」はホジキンリンパ腫の新薬として約30年ぶりに発売され、全身性未分化大細胞リンパ腫治療剤としては初めての医薬品となり、現在、60ヶ国以上で販売されています。当社は、イミュノジェン社、メルサナ・セラピューティクス社ならびにシアトルジェネティクス社などとのパートナーシップによる、次世代の分子標的薬剤輸送技術を用いて、抗体薬物複合体技術をさらに強化していきます。また、世界中のトップクラスの研究機関や学術機関との戦略的パートナーシップを通じて、イノベーションの機会を外部からも取り込んでいきます。こうした取り組みを通じて、がん患者さんにとって新たな治療オプションにつながる、がんの標的を探索し続けます。また、さらに多くの世界中の患者さんに、当社の画期的な新薬をお届けできるよう尽力してまいります。
※欧州における「ニンラーロ」の最新の審査状況については、6〔研究開発活動〕をご参照ください。
グローバル ワクチン ビジネス ユニット
当社は、世界の公衆衛生における最も重要な課題に対応するワクチンの開発、販売に取り組んでいます。現在、世界中で毎年10億人がデング熱、ノロウイルスに感染しているなか、当社は、これら感染症を予防する有望なワクチンを開発後期段階に有しており、この世界的な問題を解決することを目指しています。当社は、日本におけるワクチンビジネスについてもさらなる拡大を図っており、ヒブワクチンや水痘ワクチンを新製品として発売するとともに、製品ポートフォリオを拡充するため、他社との提携も行っています。当社の製造拠点である光工場は、最先端のワクチン製造施設を有しており、今後、世界中の国々に重要なワクチンを供給できるよう準備を進めてまいります。
[Business Performance]
US ビジネス ユニット
当ユニットは、海外の最大市場である米国において、消化器系疾患および中枢神経系疾患における新製品である「エンティビオ」、「ブリンテリックス」※に注力するとともに、中枢神経系疾患、痛風ならびに糖尿病領域におけるコアブランドの成長も図ります。また、製品価値を正しく提供していくため、患者さん、保険者および医療機関のニーズに応えることのできる販売アプローチを採り、成長していきます。当ユニットでは、より集中したかつ機動的な運営を可能とするため、2つの新たなビジネスユニットを設置しました。スペシャルティ ビジネス ユニットはエンティビオに関わる販売、患者支援およびデータ構築を、ジェネラル メディシン ユニットは中枢神経系疾患、消化器系疾患、痛風、糖尿病関連の製品ポートフォリオを管理します。また、当ユニットでは、ベスト・イン・クラスの患者支援体制、マルチチャネルのマーケティング、分析およびカスタマーインサイトを構築してまいります。
※「ブリンテリックス」は2016年6月より米国における製品名を「トリンテリックス」に変更して販売します。
ジャパン ファーマ ビジネス ユニット
当ユニットは、「アジルバ」ファミリー、DPP-4ファミリー、「ロトリガ」および「タケキャブ」ファミリーを2016-2018年度における成長ドライバーと位置づけ、薬価改定によるマイナス影響を乗り越えていきます。2016年度は特にこれら4製品に注力していきます。長期的には、「エンティビオ」、「ラサギリン」、「ブリンテリックス」などスペシャリティ分野におけるグローバル製品の上市が見込まれており、患者さんならびに医療関係者にさらなる価値を提供してまいります。また、当社は、幅広い患者さんのニーズならびにますます高まるジェネリック医薬品の重要性に対応するため、テバ社との合弁会社を4月1日に設立し、当ユニットの長期収載品を合弁会社に移管しました。こうした取り組みを通じて、2016-2018年度において、日本の製薬業界におけるNo.1企業としてのポジションを引き続き堅持してまいります。
エマージング マーケッツ ビジネス ユニット
当社は、進出済みの35の国・地域を超える新興国市場において、消化器系疾患、オンコロジーおよび糖尿病におけるバリューブランドや革新的な新薬を提供していくとともに、その他国々への新規進出、アンメットニーズへの対応に向けた提携も検討しています。
「タケダイズム」の実践ならびに徹底したコンプライアンスの浸透を図ることで、新興国市場において、患者さん、カスタマーならびに従業員からベスト・イン・クラスの企業と評価され、トップ10企業となることを目指します。
EUCAN ビジネス ユニット
当ユニットでは、機動的な組織ならびにスペシャリティケア事業への転換を加速させるとともに、エンティビオをバイオロジクスにおける第1選択薬とする戦略やコスト管理の徹底、成熟製品の効率的な管理を通じた成長を引き続き目指します。また、「ニンラーロ」の発売に向けて万全の体制を整えていきます。差別化され充実したプログラムを通じて、人材育成を図ることで、既存の専門知識の深化や新たな専門知識の獲得に取り組み、持続的な変革を実現していきます。
患者さんを常に中心に考え、患者支援プログラムやデジタルヘルスの充実、業界トップのカスタマー・エンゲージメントならびにマルチチャネル・マーケティング体制の構築にも取り組んでまいります。
ジャパン コンシューマーヘルスケア ビジネス ユニット
当社は、日本を中心としたアジア地域におけるコンシューマーヘルスケア市場においてリーディングカンパニーを目指し、当ユニットの事業の分社化に向けて100%子会社「武田コンシューマーヘルスケア株式会社」を2016年4月に設立しました。新会社は、コンシューマーヘルスケア市場においてより機動的なビジネスモデルを構築し、当該市場における環境変化に迅速に対応してまいります。新会社は2017年4月から営業を開始する予定です。
<重要な経営指標>
企業価値を持続的に向上させるためには、実際の事業活動のパフォーマンスを把握することが重要と考えています。当社では、為替影響や事業売却などの特殊要因による影響を控除した「実質的な成長」(Underlying Growth)が、実際の事業活動のパフォーマンスを表していると考えます。こうした考え方から、当社では「Underlying Revenue Growth」(実質的な売上収益の成長)、「Underlying Core Earnings(注1)Growth」(実質的なコア・アーニングスの成長)および「Underlying Core EPS(注2)Growth」(実質的なコアEPS の成長)を重要な経営指標としています。
(注1)2016年度以降、Core Earnings は、売上総利益から販売費及び一般管理費、および、研究開発費を控除して算出します。さらに、非定常的もしくは本業に起因しない(ノン・コア)事象であり、かつ、金額の大きい影響(10億円以上)を調整します。これらには、自然災害による影響、企業買収に係る会計処理の影響、主な訴訟費用、事業構造再編費用、政府による法令変更の措置の影響などが含まれます。
(注2)2016年度以降、Core EPS の算出にあたっては、Core Earnings から、営業利益以下の各科目のうち、非定常的もしくは本業に起因しない(ノン・コア)事象であり、かつ、金額の大きい影響(10億円以上)を調整します。ここには、条件付対価に係る公正価値変動影響などが含まれます。さらに、これらに係る税金影響に加え、Core Earnings 調整に係る税金影響を合わせて調整します。
2016年度の業績予想 a)
売上収益 | 17,200億円 |
研究開発費 | 3,250億円 |
営業利益 | 1,350億円 |
税引前当期利益 | 1,325億円 |
当期利益(親会社の所有者帰属分) | 880億円 |
EPS | 112.31円 |
a) 為替レートは、1米ドル=110円、1ユーロ=125円、1ロシアルーブル=1.6 円、
1ブラジルレアル=31.2 円、1中国元=17.4 円を前提としています。
2016年度 目標とする経営指標(マネジメントガイダンス)-実質的な成長
実質的な売上収益 | 1桁台半ばの成長(%) |
実質的な Core Earnings | 10%台前半から半ばの成長(%) |
実質的な Core EPS | 10%台前半から半ばの成長(%) |
当社の業績は、現在および将来において様々なリスクにさらされており、リスクの顕在化により予期せぬ業績の変動を被る可能性があります。以下では、当社が事業を展開していくうえで直面しうる主なリスクを記載いたします。当社はこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、可能な限り発生の防止に努め、また、発生した場合の的確な対応に努めていく方針です。
なお、本項目に含まれる将来に関する事項は、当年度末現在において判断したものです。
(1)研究開発に関するリスク
当社は、日米欧アの各極市場への一日も早い新製品の上市を目指し、効率的な研究開発活動に努めておりますが、医薬品は、自社創製化合物、導入化合物にかかわらず、所轄官庁の定めた有効性と安全性に関する厳格な審査により承認されてはじめて上市可能となります。
研究開発の途上において、当該化合物の有効性・安全性が、承認に必要とされる水準を充たさないことが判明した場合またはその懸念があると審査当局が判断した場合、その時点で当該化合物の研究開発を途中で断念、または追加の臨床試験・非臨床試験を実施せざるを得ず、それまでにかかったコストを回収できないリスクや製品の上市が遅延するリスク、および研究開発戦略の軌道修正を余儀なくされる可能性があります。
(2)知的財産権に関するリスク
当社の製品は、物質・製法・製剤・用途特許等の複数の特許によって、一定期間保護されております。
当社では特許権を含む知的財産権を厳しく管理し、第三者からの侵害にも常に注意を払っておりますが、当社の保有する知的財産権が第三者から侵害を受けた場合には、期待される収益が失われる可能性があります。また、当社の自社製品等が第三者の知的財産権を侵害した場合には損害賠償を請求される可能性があります。
(3)特許権満了等による売上低下リスク
当社は、効能追加や剤型変更等により製品のライフサイクルを延長する努力をしておりますが、多くの製品について、特許が満了すれば、後発品の市場参入は避けられません。国内では、当局が後発品の使用促進を積極的に進め、また、長期収載品の価格引下げが、さらに売上を圧迫しています。これに加え、競合品の特許満了によるその後発品、および競合品のスイッチOTC薬の出現などによって、国内外の競争環境は格段に厳しいものになってきており、その影響如何で当社製品の大幅な売上低下を招く可能性があります。
(4)副作用に関するリスク
医薬品は、世界各国の所轄官庁の厳しい審査を伴う製造・販売承認を得て発売されますが、市販後の使用成績が蓄積された結果、発売時には予期していなかった副作用が確認されることがあります。新たな副作用が確認された場合には、「使用上の注意」への記載を行う、使用方法を制限するなどの処置が必要となるほか、販売中止・回収等を余儀なくされることもあり得ます。また、このような場合において、当社は損失および債務を負う可能性があります。
(5)薬剤費抑制策による価格引き下げのリスク
最大市場である米国では、低価格の後発品の使用促進や、連邦・州政府およびマネジドケアの強い要請に伴うブランド品への価格引き下げ圧力が一層高まっています。日本においては、医療保険制度の薬価が、現在は2年に1度引き下げられていますが、今後、毎年の改定となるリスクもあります。また、長期収載品の価格引下げ幅が、拡大しています。欧州においても、薬剤費抑制策や並行輸入の増加により、同様に価格引き下げが行われております。これら各国の薬剤費抑制策による価格引き下げは、当社の業績および財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(6)為替変動による影響
当社の当年度における海外売上収益は11,193 億円であり、連結売上収益全体の61.9%を占めており、そのうち米国での売上収益は5,144 億円にのぼり、連結売上収益全体の28.5%を占めております。従って、売上収益については円安は増加要因ですが、一方、研究開発費をはじめとする海外費用が円安により増加するため、利益に対する影響は双方向にあります。当社の業績および財務状況は、リスクを緩和することが出来ない為替レートの変動に大きな影響を受けます。
(7)企業買収に関するリスク
当社は、持続的な成長のためにグローバルに事業展開し、その手段として企業買収も実施しております。世界各国における事業活動は、法令や規則の変更、政情不安、経済動向の不確実性、商慣習の相違その他のリスクに直面する可能性があり、その結果当初想定した買収効果や利益が実現されない可能性があります。また、企業買収などの投資活動にともなって取得した資産の価値が下落した場合、評価損発生などにより、当社の業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(8)進出国および地域におけるカントリーリスク
当社は、グローバルな事業展開に伴い、進出国や地域における政治不安、経済情勢の悪化、社会混乱等のリスクに対応する体制を構築しており、抑止策や発生時の対処法を検討する等のリスク管理に努めております。しかしながら、不測の事態が生じた場合には、当社の業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(9)安定供給に関するリスク
当社は、販売網の急速なグローバル化に確実に対応する供給ネットワークと品質保証体制を強化しております。しかしながら、当社の製造施設・物流施設等において、技術上もしくは法規制上の問題、または、火災その他の災害により、製商品の安定的供給に支障が発生する可能性があります。その動向によっては、当社の業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(10)訴訟等に関するリスク
当社の事業活動に関連して、現在関与している訴訟のほか、将来、医薬品の副作用、製造物責任、労務問題、公正取引等に関連し、訴訟を提起される可能性があり、その動向によっては、当社の業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(11)IT セキュリティ及び情報管理に関するリスク
IS/IT サービスの提供を受けるアウトソーシング企業も含めて、当社は事業活動において大規模かつ複雑なIS/IT システムを利用しておりますが、従業員またはアウトソーシング企業の不注意または故意の行為、あるいは悪意をもった第三者による攻撃(サイバーアタック)により、システムの停止やセキュリティ上の問題が発生する可能性があります。当社は、データの保護とIT テクノロジーへの投資に努めておりますが、これらのシステムの停止などにより、当社の事業活動への悪影響、重大な機密情報や知的財産の喪失、業績および財務状況の悪化、法的な損害ならびに信用の失墜を招く可能性があります。
(1)技術導出
契約会社名 | 相手先 | 国名 | 技術の内容 | 対価の受取 | 契約期間 |
武田薬品工業㈱ | オリオン・コーポレーション・オリオン・ファルマ社 | フィン | リュープロライド徐放製剤に関する技術 | 契約一時金 | 1991.12~ |
武田薬品工業㈱ | シグマ・タウ社 | イタリア | ランソプラゾールに関する技術 | 契約一時金 | 1992.7~ |
武田薬品工業㈱ | アボット・ラボラトリーズ社 | アメリカ | ランソプラゾールに関する技術 | 一定料率の | 1994.3~ |
武田薬品工業㈱ | アストラゼネカ社 | スウェー | カンデサルタンに関する技術 | 一定料率の | 1994.9~ |
武田薬品工業㈱ | イーライ・リリー・エクスポート社 | スイス | ピオグリタゾンに関する技術 | 契約一時金 | 1999.8~ |
武田薬品工業㈱ | アボット・ラボラトリーズ社 | アメリカ | ピオグリタゾンに関する技術 | 契約一時金 | 2000.2~ |
武田薬品工業㈱ | セレクサ社 | アメリカ | 抗MRSAセファロスポリン系注射抗生剤に関する技術 | 契約一時金 | 2003.9~ |
武田ファーマシューティカルズUSA, Inc. (連結子会社) | イーライ・リリー・エクスポート社 | スイス | ピオグリタゾンに関する技術 | 契約一時金 | 1999.12~ |
武田薬品工業㈱ | トビラ社 | アメリカ | HIV感染症治療薬に関する技術 | 契約一時金 | 2007.8~ |
武田薬品工業㈱ | アッヴィ・エンドクリン社 | アメリカ | リュープロライド徐放製剤に関する技術 | 一定料率の | 2008.4~ |
武田 GmbH | サノビオン・ファーマシューティカルズ社 | アメリカ | 鼻炎・呼吸器疾患治療薬に関する技術 | 契約一時金 | 2008.1~2016.4 |
武田 GmbH | アストラゼネカ社 | イギリス | 慢性閉塞性肺疾患治療薬に関する技術 | 契約一時金 | 2009.8~2016.4 |
武田薬品工業㈱ | アーバー・ファーマシューティカルズ・アイルランド社 | アイルラ | 高血圧症治療剤に関する技術 | 契約一時金 | 2013.9~ |
(2)共同研究
契約会社名 | 相手先 | 国名 | 共同研究の内容 | 契約期間 |
武田薬品工業㈱ | グラクソ・スミスクライン社 | イギリス | ヒト遺伝子に関する研究 | 1995.6~ |
武田薬品工業㈱ | グラクソ・スミスクライン社 | イギリス | コンビナトリアル・ケミストリーに関する研究 | 1996.6~ |
武田薬品工業㈱ | アドビナス・セラピューティクス社 | インド | 炎症性・中枢神経系・代謝性疾患領域等における新規創薬標的に対する新薬候補化合物に関する研究 | 2012.10~ |
武田薬品工業㈱ | 京都大学 | 日本 | iPS細胞技術の臨床応用に関する研究 | 2015.4~ |
(3)技術導入
契約会社名 | 相手先 | 国名 | 技術の内容 | 対価の支払 | 契約期間 |
武田薬品工業㈱ | 科研製薬㈱ | 日本 | 塩酸ブテナフィンに関する技術 | 契約一時金 | 1997.9~ |
武田薬品工業㈱ | 味の素製薬㈱ | 日本 | 骨粗鬆症治療薬に関する技術 | 一定料率の | 2002.5~2028.2 |
武田薬品工業㈱ | アンドレックス社 | アメリカ | 糖尿病治療薬に関する技術 | 契約一時金 | 2004.1~ |
武田薬品工業㈱ | ノルジーン社 | オランダ | 抗肥満薬に関する技術 | 契約一時金 | 2004.1~ |
武田薬品工業㈱ | スキャンポ・ | アメリカ | 機能性便秘・便秘型過敏性腸症候群治療薬に関する技術(対象地域:アメリカ・カナダ) | 契約一時金 | 2004.10~ |
武田薬品工業㈱ | プロノヴァ・ | ノルウェー | 高トリグリセリド血症治療薬に関する技術 | 契約一時金 | 2005.11~ |
武田薬品工業㈱ | ゼノン・ファーマシューティカルズ社 | カナダ | 鎮痛薬に関する技術 | 契約一時金 | 2006.9~ |
武田薬品工業㈱ | ゾーマ社 | アメリカ | 抗体医薬に関する技術 | 契約一時金 | 2006.11~ |
武田薬品工業㈱ | バイオワ社 | アメリカ | 抗体活性増強に関する技術 | 契約一時金 | 2007.5~ |
武田薬品工業㈱ | ルンドベック社 | デンマーク | 気分障害・不安障害治療薬に関する技術(対象地域:アメリカ) | 契約一時金 | 2007.9~ |
契約会社名 | 相手先 | 国名 | 技術の内容 | 対価の支払 | 契約期間 |
武田薬品工業㈱ | ルンドベック社 | デンマーク | 気分障害・不安障害治療薬に関する技術(対象地域:日本) | 契約一時金 | 2007.11~ |
武田薬品工業㈱ | アムジェン社 | アメリカ | バイオ医薬に関する技術(対象地域:日本) | 契約一時金 | 2008.2~ |
武田薬品工業㈱ | (財)阪大微生物病研究会 | 日本 | セービン株不活性化ポリオワクチンに関する技術 | 契約一時金 | 2008.3~ |
武田薬品工業㈱ | アルナイラム社 | アメリカ | RNAi医薬に関する技術 | 契約一時金 | 2008.5~ |
武田薬品工業㈱ | ノバルティス社 | スイス | インフルエンザ菌b型ワクチンを含む混合ワクチンに関する技術 | 契約一時金 | 2009.5~ |
ミレニアム・ファーマシューティカルズ Inc.(連結子会社) | シアトルジェネティクス社 | アメリカ | リンパ腫治療薬に関する技術 | 契約一時金 | 2009.12~ |
武田薬品工業㈱ | ナノセラピューティクス社 | アメリカ | インフルエンザワクチンに関する技術 | 契約一時金 | 2015.8~ |
武田薬品工業㈱ | ジンファンデル・ファーマシューティカルズ社 | アメリカ | アルツハイマー病のバイオマーカーに関する技術 | 契約一時金 | 2010.12~ |
ミレニアム・ファーマシューティカルズ Inc.(連結子会社) | スネシス・ファーマシューティカルズ社 | アメリカ | 癌治療薬に関する技術 | 契約一時金 | 2011.3~ |
武田薬品工業㈱ | テバ・ファーマシューティカル・インダストリーズ社 | イスラエ | 多発性硬化症治療薬に関する技術 | 一時金 | 2013.3~ |
武田薬品工業㈱ | ナトロジェン・セラピューティクス・インターナショナル社 | アメリカ | 炎症性腸疾患治療薬に関する技術 | 契約一時金 | 2013.12~ |
武田薬品工業㈱ | テバ・ファーマシューティカル・インダストリーズ社 | イスラエ | パーキンソン病治療薬に関する技術 | 一時金 | 2014.3~ |
武田薬品工業㈱ | マクロジェニクス社 | アメリカ | 自己免疫疾患治療薬に関する技術(対象:MGD010) | 契約一時金 | 2014.5~ |
武田薬品工業㈱ | マクロジェニクス社 | アメリカ | 自己免疫疾患治療薬に関する技術(対象:新規4化合物) | 一時金 | 2014.9~ |
契約会社名 | 相手先 | 国名 | 技術の内容 | 対価の支払 | 契約期間 |
武田ファーマシューティカルズ・インターナショナルGmbH | スキャンポAG | スイス | 慢性特発性便秘症等治療薬に関する技術(対象地域:アメリカ・カナダ・日本・中国以外の全世界) | 契約一時金等 | 2014.10~ |
ミレニアム・ファーマシューティカルズInc. | イミュノジェン社 | アメリカ | 抗体-薬物複合体技術 | 契約一時金 | ・対象技術についての独占的研究ライセンス契約の契約期間は、2015.3~契約所定の事由により解約されない限り2018.3まで(追加の対価支払いにより1年又は2年延長可能) |
武田薬品工業㈱ | コア・ファーマシューティカル・ディベロップメント社 | アメリカ | 免疫調整薬に関する技術 | 契約一時金 | 2015.12~ |
(4)クロスライセンス
契約会社名 | 相手先 | 国名 | 技術の内容 | 対価の支払 | 契約期間 |
武田薬品工業㈱ | グラクソ・スミスクライン社 | イギリス | グリタゾン製剤に関する技術 | 相互有償 | 2001.3~ |
(5)販売契約
契約会社名 | 相手先 | 国名 | 契約内容 | 契約期間 |
武田薬品工業㈱ | キッセイ薬品工業㈱ | 日本 | 速効性食後血糖降下剤の日本における販売 | 2002.8~ |
武田薬品工業㈱ | ファイザー社、ワイス社およびファイザー㈱ | アメリカ | 関節リウマチ治療薬の日本における販売提携 | 2003.5~2025.12 |
武田薬品工業㈱ | グラクソ・スミスクライン社 | イギリス | インフルエンザ菌b型ワクチン(単体)の日本における開発・販売 | 2009.5~ |
武田薬品工業㈱ | ヤンセン・ファーマスーティカ社およびヤンセンファーマ㈱ | ベルギー | アルツハイマー型認知症治療薬の日本における販売提携 | 2010.3~ |
武田薬品工業㈱ | ジョンソン・エンド・ジョンソン㈱ | 日本 | OTC医薬品の日本における販売 | 2012.11~ |
武田薬品工業㈱ | 大正製薬㈱ | 日本 | ビオフェルミン製品の日本における販売 | OTC医薬品・医療用医薬品ともに2014.1.1~ |
武田薬品工業㈱ | 大塚製薬㈱ | 日本 | 酸関連疾患治療薬の日本における販売提携 | 2014.3~ |
武田薬品工業㈱ | あすか製薬㈱ | 日本 | カンデサルタンのオーソライズド・ジェネリックの日本における事業化 | 2014.5~ |
(6)その他
契約会社名 | 相手先 | 国名 | 契約内容 | 締結年月 | 契約対象の 取引の実行年月 |
武田薬品工業㈱ | ナトロジェン・セラピューティクス・インターナショナル社 | アメリカ | ナトロジェン・セラピューティクス・インターナショナル社の買収オプション権の取得 | 2013.12 | オプション権行使時期は未定 |
武田薬品工業㈱ | 三菱UFJ信託銀行㈱ | 日本 | 国内外のグループ上級幹部従業員向けインセンティブプランとしての株式付与ESOP信託の設定 | 2014.5 | (信託設定期間は2017年7月までの予定) |
武田薬品工業㈱ | 三菱UFJ信託銀行㈱ | 日本 | 国内在住の社内取締役向けインセンティブプランとしての株式付与BIP信託の設定 | 2014.8 | (信託設定期間は2017年7月までの予定) |
契約会社名 | 相手先 | 国名 | 契約内容 | 締結年月 | 契約対象の 取引の実行年月 |
武田GmbH | ニューテック社 | トルコ | ニューテック社が保有するトプラムカリテ社の株式譲受による買収 | 2015.2 | 2015.5 |
武田薬品工業㈱ | 大阪ガスケミカル㈱ | 日本 | 水澤化学工業㈱の株式の全部譲渡 | 2015.4 | 2015.4 |
武田薬品工業㈱ | Neblett, Beard & Arsenault等原告和解検討委員会を構成する8つの法律事務所 | アメリカ | 米国で現に提起されるかまたは近々に提起されるアクトス膀胱がん製造物責任クレームを和解により解決することを目指す合意 | 2015.4 | 終期の定めなし。 |
武田薬品工業㈱ | 三菱UFJ信託銀行㈱ | 日本 | 国内外のグループ上級幹部従業員向けインセンティブプランとしての株式付与ESOP信託の設定 | 2015.5 | (信託設定期間は2018年8月までの予定) |
武田薬品工業㈱ | 三菱UFJ信託銀行㈱ | 日本 | 国内在住の社内取締役向けインセンティブプランとしての株式付与BIP信託の設定 | 2015.5 | (信託設定期間は2018年8月までの予定) |
武田薬品工業㈱ | テバ・ホールディングス㈱、テバ製薬㈱および大正薬品工業㈱ | 日本 | 合弁会社設立に関する基本合意 | 2015.11 | 2016.4 合弁会社設立 |
武田GnbH | アストラゼネカ社 | スウェーデン | 呼吸器系疾患領域ポートフォリオの売却 | 2015.12 | 2016.4 |
当社は、医薬事業を中心に、幅広い研究開発活動を展開しております。
当年度における全体の研究開発費は3,459億円であり、うち、医療用医薬品事業において 3,382億円、コンシューマーヘルスケア事業において16億円を計上しております。当社では、全体にかかる研究開発費のほとんどを医療用医薬品の研究開発活動にあてております。
(医療用医薬品事業)
当年度においてプレスリリースされた研究開発活動ならびに事業開発活動の主な内容および成果は下記のとおりです(領域毎に時系列に記載)。
オンコロジー
[ニンラーロ]
・2015年5月、経口プロテアソーム阻害剤「ニンラーロ(一般名:イキサゾミブ)」について、一次治療に奏効し、自家造血幹細胞移植を受けていない初発の多発性骨髄腫患者を対象に、本剤の維持療法を検証する臨床第3相試験(TOURMALINE-MM4試験)を開始したことを発表しました。
・2015年7月、経口プロテアソーム阻害剤「ニンラーロ(一般名:イキサゾミブ)」について、再発・難治性の多発性骨髄腫を対象とした販売許可申請を米国食品医薬品局(FDA)に提出しました。また、イキサゾミブについて、販売許可申請を欧州医薬品庁(EMA)に提出し、欧州医薬品評価委員会(CHMP)より、再発・難治性の多発性骨髄腫の効能において、迅速審査※の指定を受けました。さらに、2015年8月、再発・難治性の多発性骨髄腫を対象とした販売許可申請がEMAに受理されました。
※EMAの迅速審査の指定は、公衆衛生に大きく貢献できると判断された医薬品、特に革新性を有すると判断された医薬品が対象となります。
・2015年11月、FDAより、前治療歴のある多発性骨髄腫に対するレナリドミドおよびデキサメタゾンとの併用を適応症とした販売許可を取得しました。本剤の販売許可取得は、プロテアソーム阻害薬を用いた最初の二重盲検、プラセボ対照臨床第3相試験(TOURMALINE-MM1試験)データに基づくものです。販売許可は、申請から4ヶ月と10日で承認されました。2015年12月、第57回米国血液学会年次総会(ASH)において、本試験のデータを発表しました。また、2016年4月、本試験の結果がNew England Journal of Medicine(NEJM)誌に掲載されました。
・2016年2月、日本の厚生労働省より、再発または難治性の多発性骨髄腫を予定する効能・効果として、希少疾病用医薬品※の指定を受けました。
※希少疾病用医薬品の指定制度は、医療上の必要性が高いにもかかわらず、患者数が少ないことから十分な研究開発が進みにくい医薬品の開発を支援・促進する制度です。
・2016年5月、CHMPより、再発・難治性の多発性骨髄腫の効能において、承認を推奨しないという否定的見解が示されました。当社は、今般の見解を不服とし、CHMPにおける再審査を要請しました。
[MLN8237]
・2015年5月、オーロラAキナーゼ阻害薬「MLN8237(一般名:alisertib)」について、再発・難治性の末梢性T細胞性リンパ腫を対象とした臨床第3相試験の中止を発表しました。この決定は、本試験の中間解析結果に基づくものであり、本薬が当該効能において標準治療に勝る有効性を示す可能性が低いと判断しました。当社は、引き続き本薬の小細胞肺がんに対する有用性の検討を継続します。
[リュープリン]
・2015年9月、「リュープリン(一般名:リュープロレリン)」の24週間持続製剤について、日本の厚生労働省より前立腺がんおよび閉経前乳がん治療剤として製造販売承認を取得しました。
[アドセトリス]
・2015年10月、当社は、米国シアトルジェネティクス社と、同社より導入した悪性リンパ腫治療剤「アドセトリス(一般名:ブレンツキシマブ ベドチン)」について、未治療の進行期古典的ホジキンリンパ腫の患者を対象とし、化学療法と併用した場合の本剤の一次(フロントライン)治療としての有用性を検討するランダム化試験臨床第3相試験(ECHELON-1試験)の患者登録が完了したことを発表しました。本試験のデータ解析は2017年~2018年を予定しています。
・2015年12月、第57回ASHにおいて、自家造血幹細胞移植後の再発・難治性のホジキンリンパ腫患者に対し、本剤を単独投与した臨床第2相試験の、治療後のフォローアップデータを発表しました。
・2016年1月、過去に本剤が奏効した再発・難治性のホジキンリンパ腫および再発・難治性の全身性未分化大細胞リンパ腫に対する再治療データの添付文書への追記(タイプ2の変更)に関し、欧州委員会(EC)より承認を取得したことを公表しました。
・2016年5月、CHMPにおいて、条件付で承認されている適応を拡大し、自家造血幹細胞移植後の再発・進行リスクの高いCD30陽性ホジキンリンパ腫の適応追加の承認を推奨する見解が示されました。
[パートナーシップ/事業開発活動]
・2015年4月、当社は、国立研究開発法人国立がん研究センターと、抗がん薬の研究開発に向けた提携を行う契約を締結しました。本契約に基づき、当社と同センターは、がんの基礎研究から臨床開発研究にわたる連携を実行に移すべく、必要な情報共有と協議を継続的に実施します。
・2015年8月、当社は、米国ジェンシア社と、ミトコンドリア結合型糖質コルチコイド受容体作動薬と呼ばれる新規低分子化合物について、血液疾患および炎症性疾患の治療選択肢として共同研究開発を実施する契約を締結しました。本提携における最初の目標として、炎症性疾患領域およびがん領域それぞれにおいて、前臨床試験に進める2つのリード化合物を共同で探索します。
・2016年2月、当社は、米国メルサナ・セラピューティクス社(以下「メルサナ社」)と、両社間における戦略的提携を拡大する契約を締結しました。これにより、メルサナ社が有する新薬候補物質XMT-1522について、米国・カナダ以外の国・地域における権利を新たに獲得します。さらに、当社は、メルサナ社の有するFleximer抗体薬物複合体の基盤技術へのさらなるアクセスが可能となり、メルサナ社は、臨床第1相試験終了時点において対象となる新薬候補物質のうち1つを、米国において当社と共同開発・販売を実施できるオプション権を獲得します。また、両社は、抗体薬物複合体によって送達される抗腫瘍活性をもつ化合物(ペイロード)を共同開発します。
・2016年6月、当社は、米国エムツージェン社と、がん患者の膨大なゲノムデータを収集するための提携契約を締結しました。エムツージェン社は、北米を代表するがんセンターが参加する共同研究ネットワークOncology Research Information Exchange Network(ORIEN)を通じて米国の主要ながんセンターと提携しており、今回の同社との提携により、当社は、様々ながん患者を対象とした前向き観察試験であるTotal Cancer Care®プロトコルに基づいた、ORIEN AvatarTM研究プログラムの構築を支援し、本プログラムから得られた情報を活用します。
・2016年6月、当社は、米国アムジェン社から導入した複数の新薬候補および製品の日本における開発・販売権について、同社との既存の契約を改定しました。これにより、当社は、「AMG403(一般名:fulranumab)」と「AMG386(一般名:trebananib)」をはじめとする複数の新薬候補および製品について、当該権利を直ちにアムジェン社へ返還します。切除不能な進行・再発性大腸がん治療剤「ベクティビックス(一般名:パニツムマブ)」をはじめとした残りの品目については、日本における開発・販売の提携関係を今後も継続してまいります。
消化器系疾患
[エンティビオ]
・2015年10月、潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「エンティビオ(一般名:ベドリズマブ)」について、米国消化器病学会年次総会および欧州消化器病週間において、本剤の有効性・安全性に関するデータを発表しました。
・2016年3月、2016年欧州クローン病・大腸炎会議年次総会において、約3年間にわたり本剤の投与を受けた中等度から重度の活動期潰瘍性大腸炎患者における臨床的改善について検討するGEMINILTS(長期安全性)試験の中間解析結果を発表しました。
・2016年5月、2016年米国消化器病週間(DDW)において、潰瘍性大腸炎治療パラダイムにおける本剤の最適な位置付けに関する評価、および本剤の治療初期の血中濃度トラフ値がその後の効果に及ぼす影響に関する調査について、オーラルプレゼンテーションで発表しました。
[タケキャブ]
・2016年2月、酸関連疾患治療剤「タケキャブ(一般名:ボノプラザン)」を含むヘリコバクター・ピロリ除菌用パック製剤「ボノサップパック」および「ボノピオンパック」について、日本の厚生労働省から製造販売承認を取得しました。
[パートナーシップ/事業開発活動]
・2015年12月、当社は、米国コア・ファーマシューティカル・ディベロップメント社と、セリアック病の治療薬となり得る免疫調整薬の共同研究開発に関する契約を締結しました。本提携では、セリアック病の患者が食事に含まれるグルテンに対する耐性を獲得できるTolerizing Immune Modifying nanoParticle(TIMP)技術を活用した治療薬の創出を目指します。
・2016年1月、当社は、フランスのエンテローム・バイオサイエンス社と、潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患や過敏性腸症候群などの腸管運動障害をはじめとした消化器系疾患において重要な役割を担うと考えられる腸内細菌を標的とした新たな治療薬創出に関する共同研究開発契約を締結しました。
・2016年1月、当社は、カナダのエンジーン社と、同社の遺伝子導入基盤技術であるGene Pillを活用し、専門的な消化器系疾患領域に対する新規治療薬の研究、開発および製品化に関する戦略的提携を行う契約を締結しました。また、同社と協力し、抗体の経口投与を可能にすべくGene Pill 技術を追求します。
・2016年6月、当社は、アイルランドのセラバンス・バイオファーマ社と、経腸栄養不耐性の患者を含む消化管運動障害治療薬として開発中の選択的5-HT4受容体作動薬TD-8954について、全世界における開発・販売に関する独占的権利を当社が獲得する契約に合意しました。
中枢神経系疾患
[ラツーダ]
・2015年5月、当社は、大日本住友製薬株式会社と、非定型抗精神病剤「ラツーダ(一般名:ルラシドン)」に関する、欧州における共同開発・独占的販売契約を解消することに合意し、2016年1月、同社へ欧州の開発・販売権を返還しました。
[ブリンテリックス]
・2015年8月、デンマークのルンドベック社より導入した大うつ病治療剤「ブリンテリックス(一般名:ボルチオキセチン)」について、成人大うつ病性障害における認知機能障害に関する新たな臨床成績を添付文書の臨床試験の項に追記する旨の申請がFDAに受理されました。2016年2月、FDAの精神系薬物諮問委員会(PDAC)において、うつ病における認知機能障害に対する本剤の有効性に関し、10人の委員のうち8人が十分なエビデンスが示されたとする見解を支持しました。しかしながら、2016年3月、FDAより当該申請にかかる審査完了報告通知を受領しました。
[AD-4833/TOMM40]
・2016年2月、当社と米国ジンファンデル・ファーマシューティカルズ社は、「AD-4833(一般名:ピオグリタゾン)/TOMM40」について、大規模臨床第3相試験であるTOMMORROW試験の患者登録が完了したことを公表しました。
[コパキソン]
・2015年9月、当社は、イスラエルのテバ・ファーマシューティカル・インダストリーズ社より導入した多発性硬化症治療剤「コパキソン(一般名:グラチラマー)」について、日本の厚生労働省より製造販売承認を取得しました。
[パートナーシップ/事業開発活動]
・2016年1月、当社は、米国エヌエスジーン社と、パーキンソン病の治療法となり得るカプセル化細胞治療薬の共同研究契約を締結しました。本共同研究では、埋め込み型・カプセル化細胞治療デバイスを用いて遺伝子組換え型グリア細胞株由来神経栄養因子を脳の罹患部位へ送達可能とすべく研究を実施します。
ワクチン
[組織体制]
・2015年6月、当社は、グローバル ワクチン ビジネス ユニットについて、ワクチン事業のさらなる成長および重要なワクチンの開発加速に向け、グローバルおよびリージョナル拠点を設置し、米国におけるワクチン事業運営を統合することを発表しました。今後、米国マサチューセッツ州ボストン/ケンブリッジ地域とスイス・チューリッヒが日本国外におけるグローバル拠点となり、シンガポールとブラジルは引き続きリージョナル拠点として機能します。本体制の発足に伴い、米国モンタナ州ボーズマン、米国ウィスコンシン州マディソン、米国コロラド州フォートコリンズの3つの拠点を閉鎖し、現在米国イリノイ州ディアフィールドにある同ユニットの本部機能をボストン/ケンブリッジ地域に移します。この移転は2年をかけて実施し、2017年半ばに完了する予定です。
[季節性インフルエンザワクチン]
・2015年8月、当社は、米国ナノセラピューティクス社と、同社がバクスアルタ社(旧バクスターインターナショナルインク社バイオサイエンス部門)から買収したワクチン製造の細胞培養技術であるヴェロ細胞培養技術に関し、販売権および本技術の利用権の拡大に関する契約を締結しました。当社は、日本に加え日本以外の特定の地域においてヴェロ細胞培養技術を用いたパンデミックおよび季節性インフルエンザワクチンの開発・販売権を新たに獲得し、インフルエンザ以外のワクチン開発においてもヴェロ細胞培養技術および関連試料の利用が可能となりました。
[ヴァクセムヒブ]
・2016年1月、当社は、スイスのノバルティス社※より導入した沈降ヘモフィルス b 型ワクチン「ヴァクセムヒブ」について、日本の厚生労働省より、2か月齢以上5歳未満の小児におけるインフルエンザ菌b型による感染症の予防を適応症とした製造販売承認を取得しました。
※2014年4月、ノバルティス社は2015年3月末までに同社のワクチン事業をグラクソ・スミスクライン(GSK)社に移管することを発表しました。本移管により、GSK社はVAXEM Hibを含むノバルティス社のインフルエンザワクチン以外のグローバルワクチン事業を獲得しました。
[ノロウイルスワクチン]
・2016年6月、唯一臨床試験段階にあるノロウイルスワクチン「TAK-214」について、臨床第2相後期有効性フィールド試験を開始しました。
[パートナーシップ/事業開発活動]
・2016年5月、当社は、米国ビル&メリンダ・ゲイツ財団と発展途上国におけるポリオ根絶を目指し、事業提携契約を締結しました。当財団からの38百万米ドルの資金助成により、当社は、革新的なワクチン製造の基盤技術を強化し、安全かつ有効なセービン株不活化ポリオワクチンの開発を進め、承認を取得し、少なくとも年間5千万本のワクチンをGavi※(Global Alliance for Vaccine and Immunization:ワクチンと予防接種のための世界同盟)の援助を受けている70以上の発展途上国へ入手可能な価格で供給する計画です。
※Gaviは、世界の貧困国で生活する子供たちへ、新たに開発されるも接種率が低いワクチンへの接種機会を等しく提供するという共通目標のもと、公共セクター及び民間セクターがともに参加する、ワクチンに関するグローバルな同盟機構です。
その他
[アログリプチン]
・2015年4月、2型糖尿病治療剤「ネシーナ(一般名:アログリプチン)」の心血管系への安全性を評価したEXAMINE試験について、FDAの内分泌・代謝薬諮問委員会(EMDAC)において、本剤の2型糖尿病患者における心血管リスクプロファイルは許容範囲であるとの見解が示されました。さらに、2015年6月、第75回米国糖尿病学会学術集会(ADA)において、EXAMINE 試験の事後解析データおよび追加の事後解析データを発表しました。
・2015年9月、本剤とメトホルミンの配合剤について、日本の厚生労働省に製造販売承認申請を行いました。
・2016年6月、第76回ADAにおいて、EXAMINE試験の新たな事後解析データを発表しました。
[アクトス]
・2015年7月、2型糖尿病治療剤「アクトス(一般名:ピオグリタゾン)」をはじめとしたピオグリタゾン含有製剤について、欧州4ヶ国で実施された市販後の観察研究※の完了に伴い、当該データを各国規制当局に提出しました。本観察研究は、複数のデータベースに基づく、背景をそろえた集団での後ろ向き研究であり、最長10年間フォローアップされています。本観察研究では、ピオグリタゾン投与と膀胱がん発生リスクの間に関連性は示されませんでした。
※Pan European Multi-Database Bladder Cancer Risk Characterization Study
[パートナーシップ/事業開発活動]
・2015年4月、当社は、京都大学 iPS 細胞研究所(CiRA)と、iPS細胞技術の臨床応用に向けた10年間の共同研究契約を締結しました。2015年12月、T-CiRAと称する本共同研究において、がん、中枢神経系疾患(CNS)を含む多くの疾患領域で、iPS細胞技術の臨床応用を目指して研究プロジェクトを開始しました。
・2015年4月、当社は、慶應義塾大学医学部および新潟大学と、湘南研究所において疾患関連 RNA結合タンパク質の探索と機能解析に関する共同研究を実施する契約を締結したことを発表しました。
・2015年6月、当社は、スイスのDrugs for Neglected Diseases initiative(DNDi)と、内臓リーシュマニア症の革新的な治療薬開発に向け、アミノピラゾール系化合物群の中から最適な化合物を特定することを目的とした誘導体最適化プログラム(Lead Optimization)に協働して取り組む契約を締結しました。本プログラムは公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(Global Health Innovative Technology Fund)の助成案件に選定されています。
・2016年3月、当社は、米国フレイザー・ヘルスケア・パートナーズ社と、泌尿器科と婦人科領域における新薬開発を目指したバイオ医薬品の新会社アウトポスト・メディシン社を設立するとともに、アウトポスト・メディシン社に対し、腹圧性尿疾患治療薬として臨床開発中の「OP-233(TAK-233)」について、全世界における開発および販売に関する独占的権利を供与することを公表しました。
・2016年5月、当社は、アステラス製薬株式会社および第一三共株式会社と、革新的医薬品の創出を効率化・加速化するため、健康成人におけるバイオマーカーの基礎データを網羅的に取得・解析する共同研究契約を締結したことを公表しました。本契約に基づき、三社は、臨床試験を実施する上で必要となる、健康成人におけるバイオマーカーの基礎データを網羅的に取得し、共同で解析を行います。サンプルはオランダのライデン大学が提携する臨床研究機関にて取得されます。
・2016年5月、当社は、米国のGlobal Alliance for TB Drug Development(TBアライアンス)と、結核の革新的な治療薬の開発に向け、新たな研究プログラムであるリード化合物探索(Hit-to-Lead)プログラム※に共同で取り組む契約を締結しました。本共同研究は、公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(Global Health Innovative Technology Fund)の助成案件に選定されています。
※当社とTBアライアンスは、2013年6月、当社が所有する20,000種類の化合物ライブラリーの中から、結核の新規治療薬開発へと繋がる特性を持つ候補化合物を特定するハイスループットスクリーニングプログラムを開始しました。リード化合物探索プログラムは、ハイスループットスクリーニングプログラムにおいて選定されたヒット化合物をもとに進められます。
・2016年6月、当社は、ロイバント・サイエンシーズ社と、女性疾患および前立腺がんに対する革新的な治療法をお届けすることを目的としたバイオ医薬品の新会社ミオバント・サイエンシーズ社を設立するとともに、子宮筋腫、子宮内膜症、前立腺がん治療薬として臨床開発中の「TAK-385(一般名:relugolix)」について、日本とアジアの一部の国を除く全世界における独占的権利を、女性不妊症の治療薬候補である新規のオリゴペプチド・キスペプチン受容体作動薬「RVT-602(TAK-448)」については、全世界における独占的権利を供与することを公表しました。
・2016年6月、当社は、米国ウルトラジェニクス・ファーマシューティカル社と、希少遺伝子疾患に対する治療薬の開発・製品化に関する戦略的提携を締結しました。
・2016年6月、当社は、米国のメモリアル・スローン・ケタリング癌センター、ロックフェラー大学、コーネル大学と、2013年に締結した革新的な医薬品の初期段階の研究を加速させることを目的としたTri-Institutional Therapeutics Discovery Institute(Tri-I TDI)との提携について、対象を拡大することを公表しました。今回の提携拡大により、既存の提携が、低分子化合物の範囲から抗体医薬創出に向けた新たな研究も含むものへと拡大されます。
(コンシューマーヘルスケア事業)
健康維持・増進に対する生活者の意識やニーズが高まる中で、常に生活者の立場から発想し、生活者のニーズに合った製品を提供し続けることを使命と考えております。
高付加価値を追求しながら、エビデンスに裏付けられた高品質かつ有効性・安全性の高い製品の開発を進めてまいります。
(1)当年度の経営成績の分析
①売上収益
当年度の売上収益は前年度から、296億円(1.7%)増収の18,074 億円となりました。
・2014年6月に欧米で販売を開始した潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「エンティビオ」の売上が好調であり、米国では多発性骨髄腫治療剤「ベルケイド」、逆流性食道炎治療剤「デクスラント」、大うつ病治療剤「ブリンテリックス」※も伸長しました。悪性リンパ腫治療剤「アドセトリス」は、当社が販売権を有する国内、欧州、新興国において順調に売上が伸長しております。国内では高血圧症治療剤「アジルバ」や高脂血症治療剤「ロトリガ」の売上が前年度から大幅に伸長した一方、高血圧症治療剤カンデサルタン(国内製品名:「ブロプレス」)をはじめとした大型製品の後発品浸透による減収要因もあり、全体では296億円の増収となりました。
※「ブリンテリックス」は2016年6月より米国における製品名を「トリンテリックス」に変更して販売します。本剤の剤型、効能・効果、用法・用量に変更はありません。
・医療用医薬品の主要品目の売上収益は下記のとおりです。
多発性骨髄腫治療剤 | 1,620億円 | 前年度比 | 93億円 | ( 6.1%) | 増 |
前立腺がん・乳がん・子宮内膜症治療剤 | 1,244億円 | 〃 | 4億円 | ( 0.3%) | 増 |
消化性潰瘍治療剤 | 1,008億円 | 〃 | 30億円 | ( 2.9%) | 減 |
消化性潰瘍治療剤 | 895億円 | 〃 | 134億円 | ( 13.1%) | 減 |
潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤 | 862億円 | 〃 | 583億円 | (209.5%) | 増 |
高血圧症治療剤 | 848億円 | 〃 | 410億円 | ( 32.6%) | 減 |
逆流性食道炎治療剤 | 751億円 | 〃 | 128億円 | ( 20.6%) | 増 |
高血圧症治療剤 | 590億円 | 〃 | 137億円 | ( 30.1%) | 増 |
糖尿病治療剤 | 489億円 | 〃 | 46億円 | ( 10.5%) | 増 |
痛風治療剤 | 465億円 | 〃 | 124億円 | ( 21.0%) | 減 |
悪性リンパ腫治療剤 | 276億円 | 〃 | 48億円 | ( 20.8%) | 増 |
大うつ病治療剤 | 245億円 | 〃 | 109億円 | ( 79.9%) | 増 |
(注1) 売上収益は知的財産権収益および役務収益を含めて表示しております。
(注2) 「ブリンテリックス」は2016年6月より米国における製品名を「トリンテリックス」に変更して販売します。
・2015年12月、当社は前治療歴のある再発・難治性の多発性骨髄腫に対する、初めてかつ唯一の経口プロテアソーム阻害剤である「ニンラーロ」を米国で発売しました。最初のプロテアソーム阻害剤である「ベルケイド」の臨床研究開始以来、約20年にわたり、当社のオンコロジーユニットは多発性骨髄腫に関する知見を深め、有効性と高い安全性のプロファイルを有する週1回の経口投与剤「ニンラーロ」の販売許可取得にいたりました。極めて革新的な本剤は、当社の中長期にわたる持続的な成長に大きく貢献することが期待されています。国内で2015 年2月に発売した酸関連疾患治療剤「タケキャブ」は、大塚製薬株式会社とのコ・プロモーションを通じて、順調に医療関係者への情報提供が進んでおり、2016年3月に長期処方が解禁となったこともあり売上を拡大しております。国内ではさらに、2015年5月、世界初の週1回経口投与の2型糖尿病治療剤「ザファテック」を発売しました。
・2016年4月、当社はジェネリック医薬品におけるグローバルリーダーであるテバ社と日本において武田テバ薬品株式会社を設立いたしました。新会社は、テバ製薬株式会社とともに、当社が移管した長期収載品とテバ社の高品質なジェネリック医薬品を日本の患者さんにお届けし、幅広いニーズ、およびますます高まるジェネリック医薬品の重要性に対応してまいります。
また、当社は2015年12月に呼吸器系疾患領域のポートフォリオをアストラゼネカ社に売却する契約を締結し、2016年4月、売却を完了しました。
当社はオンコロジー(がん)、消化器系疾患、中枢神経系疾患の重点疾患領域への集中を進め、医療のイノベーションをリードする取り組みを一層強化し、新興国を含めグローバルに革新的な新薬を提供してまいります。
・医療用医薬品事業
医療用医薬品事業の売上収益は、前年度から342億円(2.1%)増収の16,487億円となり、営業利益は、前年度から2,817億円増益の1,028億円となりました。
このうち国内売上収益は、「アジルバ」、「ロトリガ」の伸長による売上寄与があったものの、「ブロプレス」等の後発品浸透による減収を補えず、前年度から197億円(3.5%)減収の5,417億円となりました。
主な品目の国内売上収益は下記のとおりです。
「アジルバ」(高血圧症治療剤) | 590億円 | 前年度比 | 137億円 | ( 30.1%) | 増 |
「ブロプレス」(高血圧症治療剤) | 585億円 | 〃 | 361億円 | ( 38.1%) | 減 |
「リュープリン」 | 538億円 | 〃 | 38億円 | ( 6.5%) | 減 |
「タケプロン」(消化性潰瘍治療剤) | 413億円 | 〃 | 113億円 | ( 21.4%) | 減 |
「ネシーナ」(糖尿病治療剤) | 369億円 | 〃 | 15億円 | ( 3.9%) | 減 |
「ロトリガ」(高脂血症治療剤) | 223億円 | 〃 | 91億円 | ( 69.0%) | 増 |
「ベクティビックス」 | 184億円 | 〃 | 0億円 | ( 0.3%) | 増 |
「レミニール」 | 160億円 | 〃 | 20億円 | ( 14.5%) | 増 |
海外売上収益は、後発品の浸透による減収があった一方で、「エンティビオ」が好調に売上を伸ばしているほか、米国における「ベルケイド」、「デクスラント」などの売上も順調に推移したことにより、前年度から538億円(5.1%)増収の11,070億円となりました。
主な品目の海外売上収益は下記のとおりです。
「ベルケイド」(多発性骨髄腫治療剤) | 1,574億円 | 前年度比 | 112億円 | ( 7.7%) | 増 |
「パントプラゾール」(消化性潰瘍治療剤) | 1,008億円 | 〃 | 30億円 | ( 2.9%) | 減 |
「エンティビオ」 | 862億円 | 〃 | 583億円 | (209.5%) | 増 |
「デクスラント」(逆流性食道炎治療剤) | 751億円 | 〃 | 128億円 | ( 20.6%) | 増 |
「リュープロレリン」 | 706億円 | 〃 | 41億円 | ( 6.2%) | 増 |
「ランソプラゾール」(消化性潰瘍治療剤) | 482億円 | 〃 | 22億円 | ( 4.4%) | 減 |
「コルクリス」(痛風治療剤) | 465億円 | 〃 | 124億円 | ( 21.0%) | 減 |
「カンデサルタン」(高血圧症治療剤) | 262億円 | 〃 | 49億円 | ( 15.7%) | 減 |
(注) 売上収益は知的財産権収益および役務収益を含めて表示しております。
・コンシューマーヘルスケア事業
コンシューマーヘルスケア事業の売上収益は、「アリナミン錠剤類」等の増収により、前年度から65億円(8.9%)増収の801億円となりました。営業利益は、売上収益の増収による売上総利益の増益等により、17億円(10.0%)増益の189億円となりました。
・その他事業
その他事業の売上収益は、2015年4月に当社が保有していた水澤化学工業株式会社の株式を譲渡したことで、同社およびその子会社の売上寄与がなくなり、前年度から111億円(12.4%)減収の786億円となりました。営業利益は、前年度に有形固定資産売却益157億円を計上していたほか、ロイヤルティ収入の減少や、子会社の営業利益が減少したことなどにより、234億円(72.0%)減益の91億円となりました。
②営業利益
前年度から2,601億円増益の1,308億円となりました。
・売上収益の増加により売上総利益は151億円(1.2%)の増益となりました。
・販売費及び一般管理費は、米国における新製品の販売促進にかかる経費の増加等により、382億円(6.2%)増加しました。
・研究開発費は、362億円(9.5%)減少し、3,459億円となりました。
・製品に係る無形資産償却費及び減損損失は、前年度にコルクリスにかかる減損損失を305億円計上していたことや、当年度において、コルクリスの販売見通し改善により86億円の減損損失の戻入を計上したことなどにより、513億円(29.1%)減少しました。
・その他の営業収益は、前年度にコルクリスにかかる条件付対価の取崩益538億円や、有形固定資産売却益328億円(うち医療用医薬品事業171億円、その他事業157億円)を計上していたことなどにより、821億円(76.6%)減少しました。
・その他の営業費用は、前年度に米国でのアクトス関連訴訟にかかる損失2,741億円(製造物責任訴訟の和解に要する費用およびその他の関連損失の見積額3,241億円から製造物責任保険によって補填されることが概ね確定している保険金額500億円を控除した純額)を計上していたことなどにより、2,778億円(86.2%)減少しました。
③当期利益(親会社の所有者帰属分)
前年度から2,259億円増益の802億円となりました。
・税引前当期利益は、前年度に米国でのアクトス関連訴訟損失が2,741億円計上されていることなどにより、2,660億円増加しました。
・法人所得税費用は、前年度において、繰延税金資産の回収可能性の見直しと実効税率の低下により一時要因の税金費用を508億円計上していた一方、米国でのアクトス関連訴訟にかかる税金費用のマイナスを961億円計上していたことから、前年度から395億円増加しました。
・基本的1株当たり当期利益(EPS)は、前年度から287円63銭増加し102円26銭となりました。
当年度の実質的な成長率(注1)は、以下のとおりとなりました。
売上収益 | +3.4% | [ 前年度比 | 603億円 | 増 ] |
Core Earnings (注2) | +8.1% | [ 〃 | 231億円 | 増 ] |
Core EPS (注3) | +21.7% | [ 〃 | 50円16銭 | 増 ] |
(注1)実質的な成長率とは、事業活動のパフォーマンスを実質的に把握することを目的として、当年度と前年度の業績を共通の基準で比較するものであり、当社では目標とする経営指標として、「売上収益」、「Core Earnings」、「Core EPS」の実質的な成長率を採用しております。この成長率の算定にあたっては、為替影響や製品売却および取得、企業買収にかかる会計処理の影響や無形資産の償却費・減損損失、事業構造再編費用、主な訴訟費用などの特殊要因を除いております。
(注2)Core Earnings は、営業利益から企業買収にかかる会計処理の影響や無形資産の償却費・減損損失、事業構造再編費用、主な訴訟費用などの特殊要因を除いて算定しております。
(注3)Core EPS は、当期利益からCore Earnings 算定上控除した項目と同様の性質を有する項目およびこれらにかかる税金影響を控除した利益(Core Net Profit)を基に算定した1株当たり利益であります。
・実質的な売上収益の成長は、+3.4%(対前年度+603億円)となりました。
・実質的なCore Earnings の成長は、+8.1%(対前年度+231億円)となりました。実質的な販売費及び一般管理費は、新製品にかかる費用の増加により前年度から3.3%増加し、また、実質的な研究開発費は前年度から3.5%の減少となりました。
・実質的なCore EPS の成長は、+21.7%(対前年度+50円16銭)となりました。
(2)当年度の財政状態の分析
当年度末における資産合計は、前年度末から4,721億円減少し、3兆8,241億円となりました。
米国におけるアクトス関連訴訟に関して、24億米ドルを和解基金に支払ったことなどにより、現金及び現金同等物が2,007億円減少したほか、償却などにより無形資産が1,963億円減少しました。
当年度末における負債は1兆8,129億円となりました。米国におけるアクトス関連訴訟に関する引当金が和解基金への支払いにより大きく減少したことなどにより、負債は前年度末から2,771億円減少しました。
当年度末における資本合計は2兆112億円となりました。当期利益の計上による増加があったものの、配当金の支払による利益剰余金の減少に加え、株式相場の下落や為替相場が円高に推移した影響などによりその他の包括利益が減少したことから、前年度末から1,950億円減少しました。
親会社所有者帰属持分比率(注)は51.0%となり、前年度末から1.2ポイント増加しております。
(注)日本基準における自己資本比率に相当
当年度のキャッシュ・フローは2,038億円のマイナスとなりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、255億円のプラスとなりました。2016年3月に米国におけるアクトス関連訴訟について和解基金に24億米ドルを支払った一方、運転資本が改善したことなどにより、前年度から1,570億円の減少にとどまっております。また、投資活動によるキャッシュ・フローは712億円のマイナス、財務活動によるキャッシュ・フローは配当金の支払などにより1,248億円のマイナス、現金及び現金同等物に係る換算差額は333億円のマイナスとなっております。
(3)将来の見通し
①売上収益の見通し
翌年度の売上収益は「エンティビオ」、「ニンラーロ」、「タケキャブ」、「ブリンテリックス」※の増収が見込まれるものの、前提とする為替レートから生じる減収影響に加え、国内における長期収載品事業をテバ社との合弁会社に移管したことに伴う減収影響やアストラゼネカ社に呼吸器系疾患領域のポートフォリオを売却した減収影響などが大きく、全体では当年度から4.8%減収の17,200億円を見込んでいます。なお、為替影響や製品・事業売却の影響を除いた実質的な売上収益は、1桁台半ばの成長を見込んでいます。
※「ブリンテリックス」は2016年6月より米国における製品名を「トリンテリックス」に変更して販売します。
②営業利益の見通し
翌年度の営業利益は、売上収益の減少により売上総利益は減益となることが見込まれるものの、国内における長期収載品事業の事業譲渡益1,000億円の発生などにより、当年度から3.2%増益の1,350億円を見込んでいます。また、為替影響や製品・事業売却の影響を除いた実質的なCore Earnings は、10%台前半から半ばの成長を見込んでいます。
③当期利益(親会社の所有者帰属分)の見通し
翌年度の当期利益(親会社の所有者帰属分)は、営業利益の増益に加え、金融損益の改善や、新たに持分法適用関連会社となるテバ社との合弁会社から生じる持分法による投資利益の増加などにより、当年度から9.8%増益の880億円を見込んでいます。実質的なCore EPS は、10%台前半から半ばの成長を見込んでいます。
④見通しの前提及び見通しに関する注意事項
・翌年度の為替レート:1米ドル=110 円、1ユーロ=125 円、1ロシアルーブル=1.6 円、
1ブラジルレアル=31.2 円、1中国元=17.4 円
・製品等に係る無形資産償却費及び減損損失: 1,400 億円
企業買収や製品・パイプラインなどの導入により取得した無形資産に係る償却費および減損損失の予算額を計上しております。
・長期収載品事業にかかる事業譲渡益: 1,000 億円
国内の長期収載品事業をテバ社との合弁会社に移管したことに伴う事業譲渡益の発生を見込んでおります。
・その他
長期的な成長に向けて、効率的な事業運営体制の構築に係る様々な取り組みの予算額250億円を計上しております。
本資料に記載の「業績予想」は、現時点で入手可能な情報と前提条件に基づく見込みであり、その実現を約束する趣旨ではございません。実際の業績は事業環境の変化や為替変動など様々な要因により変動し、異なる結果を招きうる不確実性を含んでいます。業績予想を修正すべき重大な要因が発生した場合には、速やかにご報告いたします。