当社は、「優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献する」というミッションを追求しています。また、当社は、「誠実:公正・正直・不屈」を企業活動の根幹に据え、「Patient(常に患者さんを中心に) 」、「Trust(社会との深い信頼関係を築く)」、「Reputation(当社の評価をさらに高める)」、「Business(ビジネスを成長させる)」を優先順位とする価値観に従います。
過去4年にわたって、当社は、世界中の患者さんに画期的な医薬品と革新的な治療法をお届けし得る、機動的でグローバルな研究開発型のバイオ医薬品企業の実現に注力し、変革を続けています。当社は、その価値観を守りながら、製品とイノベーションにより、その評価をさらに確固たるものとしています。
当社は、2018年のタイジェニクスNVの買収、2017年のアリアド・ファーマシューティカルズInc.の買収、2011年のナイコメッドA/Sの買収、そして2008年のミレニアム・ファーマシューティカルズInc.の買収をはじめとする、国境を越えたM&Aおよび買収後の統合に成功してきた優れた実績を有しています。
直近では、2019年1月にShire plc(以下「Shire社」)の買収を完了させました。この買収は、バリュー(価値観)、すなわち当社の経営の基本精神に基づき患者さんを中心に考える、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品企業を誕生させる大きな一歩となりました。本買収は、当社に魅力的な地域別事業構成をもたらし、また、当社の3つの重点疾患領域のうちの2領域(消化器系疾患およびニューロサイエンス)における当社の地位を強化し、希少疾患および血漿分画製剤の領域における主導的地位をもたらします。さらに、強固かつモダリティ(創薬手法)の多様な、高度に補完的なパイプラインを創出し、イノベーションにフォーカスしたR&Dエンジンを強化します。財務面においては、キャッシュフロープロファイルの向上、シナジー創出および株主還元に対する経営陣のコミットメントを通じて、統合後の新会社に経済的利益を提供することになります。
当社の経営陣は、経験豊富で多様性に富み、複雑な事業の統合と、大規模な変革を実行する確かな実績を有しています。当社は、当社の価値観を尊重しながら、統合に向けた努力を実行することに真摯に取り組んでまいります。
当社は、持続可能で中長期的な成長を促進するため、以下の3つの明確な戦略的優先事項を掲げております。
1) ビジネスエリアのフォーカス
消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ニューロサイエンス(神経精神疾患)の5つの主要ビジネスエリアにフォーカスします。各ビジネスエリアの主要製品については、[主要製品一覧]のとおりであります。
2) R&Dエンジン
疾患領域の絞り込み、先進的なパートナーシップモデルの推進、患者さんを中心に捉えたサイエンス主導のイノベーション文化に基づき、R&Dエンジンを強化します。具体的には、オンコロジー、消化器系疾患、希少疾患、ニューロサイエンスの4つの重点疾患領域と血漿分画製剤およびワクチンに研究開発分野を絞り込み、研究開発体制の変革に引き続き取り組みます。また、アンメットメディカルニーズの高い領域において意義のある価値を提供するため、革新性の高い医薬品にフォーカスしてパイプラインを推進します。
3) 強固な財務プロファイル
当社は、利益率の中長期的な向上にフォーカスし、事業投資や負債の返済、株主へのキャッシュの還元のため、キャッシュ・フローを創出します。また、ノンコア資産の選択的な売却を引き続き推進し、資金を得て、負債返済を加速させてまいります。
Shire社の買収により、地理的な事業領域が拡大し、特に、イノベーションを推進する重要な市場である米国におけるプレゼンスが向上しました。当社は、地域戦略を実行するため、これらの国々を「米国」、「日本」、「ヨーロッパおよびカナダ」、ならびに中国、中南米、中東、アジア太平洋、ロシアおよびCIS(独立国家共同体)から構成される「成長新興国」の4つの地域グループに分け、それぞれに対応する地域体制を構築しました。
Shire社との統合は進捗しており、優れた戦略的・地理的合致のある統合であるため、事業やパイプラインに与えるネガティブな影響は最低限にとどまる見込みです。統合にあたっては、(i)患者さん中心(より革新的な医薬品を開発することとともに、サービスとサポートを提供する)、(ⅱ)機動性とシンプルさ(複雑なプロセスを最小限にし、現地の判断を現地のリーダーに委譲する)、(ⅲ)効率性と集中(5つの主要ビジネスエリアに注力する)、の3つの原則を掲げ、これに従って統合を引き続き推進してまいります。
[主要製品一覧]
(注)2019年3月期の血漿分画製剤の売上収益は1,117億円となりました。
当社の業績は、現在および将来において様々なリスクにさらされており、リスクの顕在化により予期せぬ業績の変動を被る可能性があります。以下では、当社が事業を展開していくうえで直面しうる主なリスクを記載いたします。当社はこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、可能な限り発生の防止に努め、また、発生した場合の的確な対応に努めていく方針です。
なお、本項目に含まれる将来に関する事項は、当年度末現在において判断したものです。
(1)研究開発に関するリスク
当社は、日米欧アの各極市場への一日も早い新製品の上市を目指し、効率的な研究開発活動に努めておりますが、医薬品は、自社創製化合物、導入化合物にかかわらず、所轄官庁の定めた有効性と安全性に関する厳格な審査により承認されてはじめて上市可能となります。
研究開発の途上において、当該化合物の有効性・安全性が、承認に必要とされる水準を充たさないことが判明した場合またはその懸念があると審査当局が判断した場合、その時点で当該化合物の研究開発を途中で断念、または追加の臨床試験・非臨床試験を実施せざるを得ず、それまでにかかったコストを回収できないリスクや製品の上市が遅延するリスク、および研究開発戦略の軌道修正を余儀なくされる可能性があります。
(2)知的財産権に関するリスク
当社の製品は、物質・製法・製剤・用途特許等の複数の特許によって、一定期間保護されております。
当社では特許権を含む知的財産権を厳しく管理し、第三者からの侵害にも継続的に注意を払っておりますが、当社の保有する知的財産権が第三者から侵害を受けた場合には、期待される収益が失われる可能性があります。また、当社の自社製品等が第三者の知的財産権を侵害した場合には損害賠償および製造販売の差し止め等を請求される可能性があります。
(3)特許権満了等による売上低下リスク
当社は、効能追加や剤型変更等により製品のライフサイクルを延長する努力をしておりますが、多くの製品について、特許が満了すれば、後発品の市場参入は避けられません。国内では、当局が後発品の使用促進を積極的に進め、また、長期収載品の価格引下げが、さらに売上を圧迫しています。これに加え、競合品の特許満了によるその後発品、および競合品のスイッチOTC薬の出現などによって、国内外の競争環境は格段に厳しいものになってきており、その影響如何で当社製品の大幅な売上低下を招く可能性があります。
(4)副作用に関するリスク
医薬品は、世界各国の所轄官庁の厳しい審査を伴う製造・販売承認を得て発売されますが、市販後の使用成績が蓄積された結果、発売時には予期していなかった副作用が確認されることがあります。新たな副作用が確認された場合には、「使用上の注意」への記載を行う、使用方法を制限するなどの処置が必要となるほか、販売中止・回収等を余儀なくされることもあり得ます。また、このような場合において、当社は損失および債務を負う可能性があります。
(5)薬剤費抑制策による価格引き下げのリスク
最大市場である米国では、低価格の後発品の使用促進や、連邦・州政府およびマネジドケアの強い要請に伴うブランド品への価格引き下げ圧力が一層高まっています。日本においては、医療保険制度の薬価が定期的に引き下げられており、長期収載品の価格引下げ幅も拡大しています。欧州においても、薬剤費抑制策や並行輸入の増加により、同様に価格引き下げが行われております。これら各国の薬剤費抑制策による価格引き下げは、当社の業績および財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(6)為替変動による影響
当社の当年度における海外売上収益は1兆5,262億円であり、連結売上収益全体の72.8%を占めており、そのうち米国での売上収益は8,290億円にのぼり、連結売上収益全体の39.5%を占めております。従って、売上収益については円安は増加要因ですが、一方、研究開発費をはじめとする海外費用が円安により増加するため、利益に対する影響は双方向にあります。当社の業績および財務状況は、リスクを緩和することが出来ない為替レートの変動に大きな影響を受けます。
(7)企業買収に関するリスク
当社は、持続的な成長のため、随時、企業買収を実施する可能性があります。一方、世界各国における事業活動は、法令や規則の変更、政情不安、経済動向の不確実性、商慣習の相違その他のリスクに直面する可能性があり、その結果当初想定した買収効果や利益が実現されない可能性があります。また、取得した資産の価値が下落し、評価損発生などが生じた場合や、買収した事業の統合から得ることが期待されている利益が実現されない場合には、当社の業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社は、2019年1月にShire社の買収を完了しました。Shire社との統合後の事業において、買収により取得した製品(開発中のパイプラインを含みます。)から得られる成長機会もしくは統合によるコスト削減等のシナジー効果等の買収の効果が当初の想定通りに実現されない場合、または、Shire社との統合プロセスやShire社の事業から生じる法規制および税制上のリスク等を適切に管理できない場合には、Shire社買収に伴い計上した多額ののれんおよび無形資産等の減損損失の計上により、当社の業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、Shire社の買収に必要な資金の調達のための金融機関からの多額の借入れを含め、当社は多額の債務を負っております。当初想定した利益の創出やノン・コア資産の処分等を通じて、レバレッジの低下が速やかに実現されない場合には、信用格付けが引き下げられる可能性があり、その結果、既存の債務の借り換えや新規借入れの条件にも影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社の債務には制限条項が付されているものがあり、かかる制限条項に抵触した場合には、債務の早期返済等により当社の財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(8)進出国および地域におけるカントリーリスク
当社は、グローバルな事業展開に伴い、進出国や地域における政治不安、経済情勢の悪化、社会混乱等の潜在的なリスクに対応する体制を構築しており、抑止策や発生時の対処法を検討する等のリスク管理に努めております。しかしながら、不測の事態が生じた場合には、当社の業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(9)安定供給に関するリスク
当社は、販売網のグローバル化に確実に対応する供給ネットワークと品質保証体制を強化しております。しかしながら、当社または委託先の製造施設・物流施設等において、技術上もしくは法規制上の問題、または、火災その他の災害により、製商品の安定的供給に支障が発生する可能性があります。その動向によっては、当社の業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(10)訴訟等に関するリスク
当社の事業活動に関連して、現在関与している訴訟のほか、将来、医薬品の副作用、製造物責任、労務問題、公正取引等に関連し、訴訟を提起される可能性があり、その動向によっては、当社の業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 環境に関するリスク
当社は、事業活動を行う国や地域における有害物質の使用、製造、取扱い、保管、廃棄に関する環境法規制の遵守に努めております。しかしながら、万が一、有害物質による予期せぬ汚染やそれに伴う危害が顕在化した場合には、保険の適用範囲外または補償金額を超える費用、支払、法的責任を負う可能性があります。また、環境法規制の変更により、当社の研究、開発、製造その他の事業活動が制限される可能性があります。
(12)IT セキュリティ及び情報管理に関するリスク
当社は大規模かつ複雑なIS/IT システム(アウトソーシング企業のシステムを含む)を利用しておりますが、従業員またはアウトソーシング企業の不注意または故意の行為、あるいは悪意をもった第三者による攻撃(サイバーアタック)により、システムの停止やセキュリティ上の問題が発生する可能性があります。当社は、データの保護とIT テクノロジーへの投資に努めておりますが、これらのシステムの停止などにより、当社の事業活動への悪影響、重大な機密情報や知的財産の喪失、業績および財務状況の悪化、法的な損害ならびに信用の失墜を招く可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当年度の業績および財政状態は以下のとおりとなりました。
なお、当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントのため、セグメントごとの経営成績の記載を 省略しております。
② キャッシュ・フローの状況
(「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」参照)
③ 生産、受注及び販売の状況
(a) 生産実績
当年度における生産実績は次のとおりであります。
(注) 1 当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントであります。
2 生産実績金額は、消費税等を除いた販売価格によっております。
(b) 受注状況
当社グループは、主に販売計画に基づいて生産計画をたてて生産しております。
一部の事業において受注生産を行っていますが、受注高および受注残高の金額に重要性はありません。
(c) 販売実績
当年度における販売実績は次のとおりであります。
(注) 1 当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントであります。
2 販売実績は、外部顧客に対する売上収益を表示しております。
3 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
4 販売実績金額は、消費税等を除いた金額であります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 当年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
(a) 当年度の経営成績の分析
(ⅰ) 当社グループの経営成績に影響を与える事項
事業の概況
当社グループは、既存事業の自立的な伸長と企業買収を通じて成長してまいりました。これまで複数の企業買収を実施したことにより、疾患領域、地理的拠点、パイプラインの拡大を推進してまいりました。特に2019 年1月にShire社を買収したことにより、当社グループの消化器系疾患およびニューロサイエンス(神経精神疾患)の領域が強化され、希少疾患と血漿分画製剤の主導的地位を獲得しました。また、研究開発エンジンのさらなる強化と相互補完的で強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)の多様なパイプラインの構築を実現しました。さらに、販売においては、本買収は米国におけるプレゼンスを飛躍的に向上させました。
当社グループは、Shire社買収の対価の現金部分の資金を調達するため、多額の負債を計上しましたが、Shire社買収後の営業活動から生じるキャッシュ・フローを用いてレバレッジの低下を速やかに実現させる方針です。当社グループは、レバレッジの低下を加速させるため、また主要ビジネスエリアである消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)およびニューロサイエンス(神経精神疾患)により注力するため、ノンコア資産の処分を開始しております。
当社グループの事業は単一セグメントであり、資源配分、業績評価、および将来業績の予測においてマネジメントの財務情報に対する視点と整合しております。2019年3月期における売上収益は2兆972億円であり、営業利益は2,050億円であります。
当社グループの経営成績に影響を与える事項
当社グループの経営成績は、グローバルな業界トレンドや事業環境における以下の事項に影響を受けます。
買収
当社グループは、研究開発能力を拡大し(新たな手法に展開することを含みます。)、新しい製品(開発パイプラインや上市済み製品)やその他の戦略的領域を獲得するために、新たな事業を買収する可能性があります。同様に、当社グループの主な成長ドライバーに注力するため、また当社グループのポートフォリオを維持するために、随時、事業や製品ラインを売却しております。
これらの買収は企業結合として会計処理され、取得した資産および負債は公正価値で計上されております。当社グループの業績は、通常、棚卸資産、および有形固定資産の公正価値の増加や、主要な無形資産の認識に伴う償却費用の計上を含む企業結合会計により影響を受けます。また、買収が追加的な借入金で賄われている場合、支払利息の増加も当社グループの業績に影響を与えます。
当社グループは、2019年1月8日、約6兆2,100億円を対価としてShire社を買収し、このうち3兆294億円を現金にて、残額を主に当社普通株式にて支払いました。当社グループは、対価の現金部分の資金を調達するため、3兆2,959億円の有利子負債を計上し、また買収を通じ1兆6,032億円のShire社の有利子負債を引き受けました。当社グループはShire社買収に関して、3兆874億円ののれんおよび3兆8,993億円の無形資産を認識しております。Shire社買収は、当社グループの製品ポートフォリオや地理的なプレゼンスの大幅な拡大等を通して、当社グループの事業に大きな変化をもたらしました。当社グループの業績は、売上収益及び関連費用の増加、取得した無形資産に係る償却費、および在庫の公正価値調整の費用化に起因する追加的な費用、買収資金を調達するための借入金に関連する支払利息、また事業統合に係る費用の支払い等により、大きく影響を受けます。Shire社買収完了と当社事業への統合に伴い、Shire社買収完了から3期目の会計年度末までに、売上、販売管理機能、研究開発の合理化に向けた取り組みや製品の製造と供給における効率化を通じ、約20億米ドルの税引前シナジーが継続的に発生すると予想しております。当社グループは、このようなシナジーを実現するために、Shire社買収完了から会計期間3期にわたり、約30億米ドルの臨時的な費用を要すると考えております。当社グループは、Shire社買収により生じると予想される大幅なキャッシュ・フロー創出により、安定した配当政策や、買収完了後のレバレッジ低下を維持することができると考えており、速やかなレバレッジ低下を進めるため、ノンコア資産の処分を開始いたしました。
2017年2月16日、当社グループはARIAD社を5,831億円の対価で買収しました。ARIAD社は米国マサチューセッツ州ケンブリッジに本社をおき、希少疾患である慢性および急性の白血病、肺がん、その他の希少がん患者のための精密治療の発見、開発および販売に注力するバイオテクノロジー会社です。
買収および上記の影響により、当社グループの業績は期間比較ができない可能性があります。
事業売却
当社グループは、主要な成長ドライバーに注力し、ポートフォリオの管理を行い、また、長期借入金を速やかに返済するための追加キャッシュ・フローを創出するため、事業や製品ラインを売却しております。
2017年4月、当社グループが保有する和光純薬工業株式会社の株式を富士フイルム株式会社に1,985億円で売却し、2018年3月期において1,063億円の事業譲渡益を計上しました。和光純薬工業株式会社は、2016年3月期および2017年3月期において、それぞれ766億円、791億円の売上収益を計上しております。
2016年4月、当社グループは、日本における特定の長期収載品を武田テバ薬品株式会社に継承いたしました。同社は、当社とTeva Pharmaceutical Industries Ltd.の合弁会社である武田テバファーマ株式会社(以下、「武田テバファーマ」)の完全子会社であります。当社は継承した事業に対する対価として49%の武田テバファーマの株式を受領しております。事業継承時に、当社は受領した対価(武田テバファーマの株式)の公正価値と当該事業の帳簿価額との差額のうち、実現した範囲で譲渡益を認識しております。残りの譲渡益は繰り延べており、継承日から、継承された製品に係る無形資産の耐用年数である15年にわたり償却する予定です。2017年3月期において、当社グループは、1,154億円を事業譲渡益として計上しております。そのうち1,029億円は継承時点で認識し、残額は同会計期間における未実現利益の償却として収益計上しております。当社グループは武田テバファーマから、49%の持分法による投資損益に加え、製品の供給と流通に係る収益を受領しております。
当社グループは、経営にとってコアでない事業を売却し、売却資金で債務の返済を行うことを公表しており、2019年5月にShire社買収の一環として取得したドライアイの兆候・症状の治療薬Xiidra®および手術用パッチ剤Tachosiltmの売却を発表いたしました。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 注記33 後発事象」をご参照ください。
特許保護と後発品との競争
医薬品は特に、特許保護や規制上の独占権によって市場競争が規制されることにより、当社グループの業績に貢献する場合があります。代替治療の利用が容易でない新製品は特に当社グループの売上の増加に貢献します。ただし、保護されている製品においては、効能、副作用が無いようにすることや価格で他社と競争しなければなりません。一方で、特許保護もしくは規制上の独占権の喪失や満了により、後発品が市場に参入するため、当社グループの業績に大きな悪影響を及ぼすことがあります。当社グループの主要製品の一部は、特許やその他の知的財産権保護の満了により、厳しい競争に晒されている、あるいは晒されると予想しております。例えば、米国において当社グループの最大の売上の製品の一つであるベルケイドに含まれる有効成分のボルテゾミブの特許権が満了したことにより、ボルテゾミブを含む競合製品が販売されています。これにより、ベルケイドの売上が減少しており、競合品が市場に参入することにより当社製品の売上が大幅に減少する可能性があります。後発品を販売する他社が市場参入に成功する場合、もしくは想定される特許侵害訴訟に係る費用以上のベネフィットを前提として参入することを決定する場合があります。また、当社グループの特許権の有効性、あるいは製品保護に対する申し立てが提起された場合には、関連する無形資産の減損損失を認識する可能性があります。
原材料の調達による影響
原材料を社内外から調達することができない場合に、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。例えば、ヒト血漿は当社グループの血漿分画製剤において重要な原材料であります。血漿をより多く収集するため、原料血漿の収集や血漿分画に関連する施設への委託、及び規制当局からの承認を受ける取り組みを行っております。2019年3月期において、当社グループの業績は、血漿分画製剤に必要となる重要な原材料の供給に対し、製造需要が上回っていたことによる影響を受けました。
外国為替変動
2019年3月期において、当社グループでは日本以外の売上が72.8%を占めており、今後年間のShire社業績が取り込まれることにより比率が拡大することを想定しております。当社グループの収益および費用は、特に当社の表示通貨である日本円に対する米ドルおよびユーロの外国為替レートの変動に影響を受けます。円安は日本円以外の通貨による収益の増加要因となり当社グループの業績に好影響を及ぼしますが、日本円以外の通貨による費用の増加により相殺される可能性があります。反対に、円高は日本円以外の通貨による収益減少要因となり当社グループの業績に悪影響を及ぼしますが、日本円以外の通貨による費用の減少により相殺される可能性があります。為替変動リスクを低減するため、当社グループは重要な外貨建取引で、かつ、取引が個別に認識できる一部の外貨建取引について、先物為替予約、通貨スワップおよび通貨オプションを利用しヘッジを行っております。
季節的要因
当社グループの売上収益、営業利益および当期利益は、主に日本国内での売上収益の変動により2017年度および2018年度において第4四半期に減少しています。日本の医薬品卸売業者は、一般的に3月31日である期末に向けて在庫数が減少するよう調整する傾向があり、第4四半期における当社グループの売上高の減少につながっています。また、日本の医薬品卸売業者は年末年始休暇に向けて在庫数を増やす傾向があり、10月1日から12月31日までの第3四半期に売上高が増加いたします。
(ⅱ) 重要な会計方針
当社グループの連結財務諸表はIFRSに準拠して作成されております。当連結財務諸表の作成にあたり、経営者は資産および負債の金額、財務諸表の末日時点の偶発資産および偶発負債の開示、ならびに報告期間における収益および費用の金額に影響を及ぼす見積りおよび仮定の設定を行うことが求められております。見積りおよび仮定は、継続的に見直されます。経営者は、過去の経験および見積りおよび仮定が設定された時点において合理的であると判断されたその他の様々な要因に基づき当該見積りおよび仮定を設定しております。実際の結果はこれらの見積りおよび仮定とは異なる場合があります。
経営者の見積りおよび仮定に影響を受ける重要な会計方針は以下の通りであります。なお、見積りおよび仮定の変更が連結財務諸表に重大な影響を及ぼす可能性があります。
収益認識
当社グループの収益は主に医薬品販売に関連したものであり、製品に対する支配が顧客に移転した時点で認識されております。収益の認識額は、当社グループが製品と交換に受け取ると見込まれる対価に基づいております。収益からは、主に小売業者、政府機関、卸売業者、医療保険会社およびマネジドケア組織に対する割戻や値引等の様々な項目が控除されております。これらの控除額は関連する義務に対し見積られますが、報告期間における当該収益に係る控除額の見積りには判断が伴います。総売上高からこれらの控除額を調整して、純売上高が算定されます。米国市場における収益控除に関する取り決めが最も複雑なものになっております。
収益に係る調整のうち最も重要なものは以下のとおりであります。
• 米国メディケイドおよびメディケア: 米国のメディケイド・ドラッグ・リベート・プログラムは、連邦政府および州が共同で拠出した資金により社会的弱者グループに対して医療費を負担する制度であり、各州が運営を行っております。当プログラムに係る割戻の支払額の算定には、関連規定の解釈が必要となりますが、これは異議申し立てによる影響または政府機関の解釈指針の変更による影響を受ける可能性があります。メディケイドの割戻に係る引当金は、過去の経験、製品売上高および人口の増加率、製品価格ならびに各州の制度における契約内容および関連条項を考慮して算定しております。米国のメディケア・プログラムは65歳以上の高齢者もしくは特定の障害者向けの公的医療保険制度であり、当プログラムのパートDにおいて処方薬に係る保険が規定されております。パートDの制度は民間の処方薬剤費保険により運営、提供されております。メディケア・プログラムのパートDに係る割戻は各処方薬剤費保険の制度内容、製品売上高および人口の増加率、製品価格ならびに契約内容を考慮して算定しております。当社グループの売上控除額計上時点から最終的なメディケアおよびメディケイドに係る割戻の会計処理までには通常数カ月の差が生じます。
• 顧客に対する割戻: 当社グループは、マーケットシェアの維持と拡大、また、患者さんの当社グループ製品へのアクセスを確実にするために、購入機関、保険会社、マネージドヘルスケア団体およびその他の直接顧客ならびに間接顧客に対して割戻を実施しております。割戻は契約上取決めがなされているため、係る引当金は各取決めの内容、過去の経験および製品売上高の予想成長率を基に算定しております。
• 卸売業者に対するチャージバック: 当社グループは特定の間接顧客と、顧客が卸売業者から割引価格で製品を購入可能とする取決めを結んでおります。チャージバックは卸売業者に対する当社グループの請求額および間接顧客に対する契約上の割引価格の差額であります。チャージバックの見積りに係る引当金は各取決めの内容、過去の経験および製品売上高の予想成長率を基に算定しております。
• 返品調整引当金: 返品権付き製品を顧客に販売する際は、当社グループの返品ポリシーや過去の返品率に基づいた返品見込み額を引当金として計上しております。返品見込み率を見積る際は、過去の返品実績、予想される流通チャネル内の在庫量および製品の保管寿命を含む関連要因を考慮しております。
引当額は見積りに基づくため、実際の発生額を完全に反映していない場合があり、特に購入機関の種類、最終消費者および製品の売上構成により変動する可能性があります。
これまで実績または見積りの見直しの反映による当初の見積りに対する調整額が、当社グループの業績に重要な影響を与えたことはありません。しかしながら、特定の製品に係る割戻は、当該製品の年ごとの売上高成長率の推移に重要な影響を与える可能性があります。また、当社グループが見積りに際して使用した比率、要因、評価、経験もしくは判断が将来の事象の見積りにおける適切な予測値ではなかった場合、当社グループの業績に重要な影響を与える場合があります。見積りの感応度は、制度、顧客の種類、および地理的位置により左右される可能性があります。
のれんおよび無形資産の減損
当社グループは、償却を開始している無形資産について、その資産の帳簿価額が回収不能であるかもしれないことを示す事象または状況の変化がある場合には、減損テストを行っております。のれんおよびその他の現在まだ未償却の無形資産については、少なくとも年次で減損テストを実施しております。2019年3月31日時点において、当社グループはのれんを4兆1,614億円、無形資産を4兆8,604億円計上しており、これは総資産の65.0%を占めております。
製品に係る無形資産は特許期間に応じた3年から20年の耐用年数を用いて定額法で償却しております。開発中の製品に係る無形資産は、特定の市場における商用化が規制当局により承認されるまで償却をしておりません。商用化が承認された時点で、当該資産の見積耐用年数を確定し、償却を開始しております。
資産は、通常、その財政状態計算書上の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には減損していると判断されます。回収可能価額は個別資産、またはその資産が他の資産と共同で資金を生成する場合はより大きな資金生成単位ごとに見積られます。のれんは、シナジーから便益を得ると見込まれる資金生成単位または資金生成単位グループに配分され、回収可能価額はその資金生成単位ごとに見積られます。資金生成単位は独立したキャッシュ・インフローを形成する最小の識別可能な資産グループであり、当社グループが製品を販売する各国が該当します。回収可能価額の見積りには以下を含む複数の仮定の設定が必要となります。
·将来キャッシュ・フローの金額および時期
·競合他社の動向(競合製品の販売開始、マーケティングイニシアチブ等)
·規制当局からの承認の取得可能性
·将来の税率
·永続成長率
·割引率
キャッシュ・フローが変動する可能性のある事象としては、研究開発プロジェクトの失敗もしくは上市後製品の価値の下落があげられます。研究開発プロジェクトの失敗には、開発の中止、大幅な上市の遅延、もしくは規制当局の承認が得られない場合が該当します。これらの事象が発生した場合、見積った将来キャッシュ・フローが回収できない、もしくは資産の取得後に実施した当初もしくは事後の研究開発投資額が回収できない可能性があります。
これらの仮定に変更が生じた場合は、当該会計年度において減損損失および減損損失の戻入れを認識しております。詳細は「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 11 のれん および12 無形資産」をご参照ください。
退職給付およびその他の退職後給付制度
当社グループは、当社グループの従業員の大半を対象とする年金およびその他の退職後給付制度を有しております。退職給付費用およびこれらの制度に係る負債の現在価値の算定には重要な仮定および見積りの設定を行うことが求められております。これには将来の確定給付債務および確定給付費用の見積りに使用する利率や将来の年金増加率が含まれます。さらに、これらの見積りに関連して、年金数理人が制度からの脱退率や死亡率等の統計情報を経営者に提供しております。市場状況および経済状況の変化、脱退率の増減、加入者の寿命の変化等の要因により、使用した仮定および見積りは実績と大幅に異なる場合があります。重要な数理計算上の仮定に係る感応度情報については「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 22 従業員給付」をご参照ください。見積りの大幅な変動は連結財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性があります。2019年3月31日現在において、退職給付に係る純負債を1,565億円計上しております。
企業結合―公正価値
企業結合の会計処理には、取得した資産および引き受けた負債ならびに条件付対価の公正価値を算定することが求められております。公正価値の見積りには、将来のキャッシュ・フロー予測、割引率、開発および承認マイルストン、市場動向に関する予測、ならびに条件付対価に関しては支払可能性額等の様々な仮定の設定が必要となります。
条件付対価は各報告期間の末日おいて公正価値で計上しております。時間的価値に基づく公正価値の変動は金融費用として、その他の変動はその他の営業収益またはその他の営業費用としてそれぞれ連結純損益計算書に認識しております。2019年3月期において、公正価値の変動により、条件付対価が22億円減少しております。
当社グループの見積りは、過去の経験や業界における知識に基づいております。見積りは合理的に算出されますが、実際の業績はこれらの見積りとは異なる場合があります。取得した資産グループや企業結合の価値を算出する際に使用される見積りの重要な変化は、当社グループによって取得された有形固定資産または無形資産の将来における減損につながり、当社グループの財政状態および業績に多大な影響を及ぼす可能性があります。また、偶発負債を含む負債の価値が取得法によって過去に計上された金額と著しく異なる場合は、追加費用の計上が必要となり、当社グループの財政状態および業績に多大な影響を及ぼす可能性があります。
訴訟に係る偶発事象
当社グループは、通常の営業活動において主に製造物責任訴訟および賠償責任訴訟に関与しております。詳細については「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 32 コミットメントおよび偶発負債」をご参照ください。
偶発負債は、その特性から不確実なものであり複雑な判断や可能性に基づいております。訴訟およびその他の偶発事象に係る引当金を算定する際には、該当する訴訟の根拠や管轄、その他の類似した現在および過去の訴訟案件の顛末および発生数、製品の性質、訴訟に関する科学的な事項の評価、和解の可能性ならびに現時点における和解にむけた進行状況等を勘案しております。さらに、未だ提訴されていない製造物責任訴訟については、主に過去の訴訟の経験や製品の使用に係るデータに基づき、費用を合理的に見積ることができる範囲で引当金を計上しております。また、保険の補償範囲期間内である場合は保険による補償についても考慮しております。補償範囲の検討の際に、当社グループは、保険のポリシーの制限や除外、保険会社による補償の拒否の可能性、保険業者の財政状況、ならびに回収可能性および回収期間を考慮しております。引当金および関連する保険補償額の見積りは、連結財政状態計算書上において負債および資産として総額で計上しております。2019年3月31日現在において、係争中の訴訟案件およびその他の案件について468億円の引当金を計上しております。
法人所得税
当社グループは、税法および税規制の解釈指針に基づき税務申告を行っており、これらの判断および解釈に基づいた見積額を計上しております。通常の営業活動において、当社グループの税務申告は様々な税務当局による税務調査の対象であり、これらの調査の結果、追加税額、利息、または罰金の支払いが課される場合があります。法律および様々な管轄地域の租税裁判所の判決に伴う法改正により、税務ポジションの見積りの多くは固有の不確実性を伴います。税務当局が当社グループの税務ポジションを認める可能性が高くないと結論を下した場合に、当社グループは、税務上の不確実性を解消するために必要となる費用の最善の見積り額を認識します。また、未認識のタックス・ベネフィットは事実および状況の変化に伴い調整されます。これらの税務ポジションは、例えば、現行の税法の大幅改正、税務当局による税制または解釈指針の発行、税務調査の際に入手した新たな情報、または税務調査の解決により調整が行われる可能性があります。当社グループは、不確実な税務ポジションに係る当社グループの見積りは、現時点において判明している事実および状況に基づき適切かつ十分であると判断しております。
また、各報告期間の末日において繰延税金資産の回収可能性を評価しております。繰延税金資産の回収可能性の評価においては、予想される将来加算一時差異の解消スケジュール、予想される将来課税所得およびタックスプランニングを考慮しております。過去の課税所得の水準および繰延税金資産が認識できる期間における将来の課税所得の見積りに基づき、実現する可能性が高いと予想される税務上の便益の額を算定しております。2019年3月31日における未認識の繰延税金資産は2,594億円であります。将来における見積りの変更は法人所得税費用に重要な影響を与える可能性があります。
事業構造再編費用
当社グループでは、費用削減に関連した取り組みおよび買収に係る事業統合に関連して事業構造再編費用が発生します。退職金およびリース解約費用が事業構造再編費用の主な内訳であり、事業構造再編に係る引当金については、計画が承認され、費用を見積もることができ、支払の確率が高い場合に引当金を計上しております。事業構造再編に係る引当金の認識には、支払時期や、退職金を受領した後一定期間会社に在籍する従業員数等の様々な見積りが必要となります。最終的なコストは当初の見積りから異なる可能性があります。
当社グループは、将来において買収および売却に関連した事業統合に係る追加の事業構造再編費用を計上すると見込んでおります。2019年3月31日現在において、当社グループは、事業構造再編に係る引当金を497億円計上しております。詳細および事業構造再編に係る引当金の推移は「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 23 引当金」をご参照ください。
(ⅲ) 当年度における業績の概要
当年度の連結業績は、以下のとおりとなりました。
(単位:億円)
当年度の連結業績には、Shire社買収に伴う影響および同社の2019年1月8日から3月31日における業績が含まれており、当社グループの業績に大きく影響を及ぼしております。当年度の業績に与えるShire社買収影響および前年度の業績からの推移は以下のとおりです。
〔売上収益〕
売上収益は、Shire社買収影響の3,092億円を含め、3,267億円増収(+18.5%)の2兆972億円となりました。Shire社買収影響を除く売上収益は、事業等の売却による減収影響、および為替の円高による減収影響があったものの、3つのビジネスエリア(消化器系疾患、オンコロジー(がん)、ニューロサイエンス(神経精神疾患))の継続的な伸長により175億円の増収(+1.0%)となりました。
地域別売上収益
各地域の売上収益は以下のとおりです。
(単位:億円、%以外)
(注)その他地域には、中東、オセアニアおよびアフリカが含まれております。
当社グループの売上収益の大部分は、主要な医療用医薬品により占められております。当期の各ビジネスエリアにおける主要製品の売上は以下のとおりです。
‐消化器系疾患
当社グループのトップ製品である潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「エンティビオ」(国内製品名:「エンタイビオ」)の売上が伸長し、678億円増収(+33.7%)の2,692億円となり、売上成長を牽引しました。「エンティビオ」は生物学的製剤の新規患者シェアを順調に拡大しました。日本でも、2018年7月に中等症から重症の活動期の潰瘍性大腸炎に対する治療剤として製造販売承認を取得し、2018年11月に販売を開始しました。酸関連疾患治療剤「タケキャブ」も、逆流性食道炎や低用量アスピリン投与時における胃潰瘍の再発抑制等の効能を中心として、日本において新規処方が拡大し、売上は98億円増収(+20.1%)の582億円となりました。
‐オンコロジー
多発性骨髄腫治療剤「ニンラーロ」の売上が、米国をはじめとした各国で力強く伸長し、157億円増収(+33.9%)の622億円となりました。「ニンラーロ」は、高い有効性、安全性、利便性を有する週1回経口投与のプロテアソーム阻害剤です。また、悪性リンパ腫治療剤「アドセトリス」は、日本およびブラジルでの伸長により44億円の増収(+11.4%)となりました。2017年2月のアリアド・ファーマシューティカルズ Inc.の買収により獲得した白血病治療剤「アイクルシグ」と肺がん治療剤「ALUNBRIG」は、それぞれ56億円増収(+24.1%)および24億円の増収(+84.0%)となりました。なお、多発性骨髄腫治療剤「ベルケイド」は前年度に米国における独占販売期間満了を迎えましたが、94億円の減収(△6.9%)に留まっています。
‐ニューロサイエンス
大うつ病治療剤「トリンテリックス」の売上は、処方医および患者さんによる同疾患に対する包括的な治療アプローチに同剤の組み入れが拡大したことにより、92億円増収(+19.0%)の576億円となりました。
なお、主な事業等の売却による影響としては、2017年5月に当社の日本の長期収載品7製品を武田テバファーマ株式会社の子会社である武田テバ薬品株式会社に売却したことによる影響、2018年5月に当社の連結子会社であった広東テックプール・バイオファーマCo., Ltd.の株式を売却したことに伴う影響、および2018年3月に経口関節リウマチ治療薬JAK阻害剤「ゼルヤンツ」の日本におけるコ・プロモーションおよび当社による仕入販売を終了したことによる影響がありました。
買収日以降のShire社の売上収益は、3,092億円となりました。統合の一環として、流通チャネルにかかる武田薬品の方針をShire社にも適用することにより、卸における流通在庫の回転日数が複数の品目において大幅に改善したものの、一時的な在庫調整の影響を受け、Shire社の売上収益が減少しました。
売上収益の主な内訳は以下のとおりです。
‐消化器系疾患
消化器系疾患の売上収益は、主に短腸症候群治療剤「GATTEX/REVESTIVE」の売上128億円を含め、215億円となりました。
‐希少疾患
希少疾患の売上収益は1,112億円となりました。血友病A治療剤「アドベイト」および「アディノベイト」、遺伝性血管浮腫予防剤「TAKHZYRO」および副甲状腺機能低下症治療剤「NATPARA」の売上は、それぞれ321億円、107億円、97億円および71億円となりました。
‐血漿分画製剤
血漿分画製剤の売上収益は963億円となりました。主に原発性免疫不全症や多巣性運動ニューロパチーの治療に用いられる免疫グロブリン製剤および血液量減少症や低タンパク血漿の治療に用いられるアルブミン製剤の売上は、それぞれ622億円および158億円となりました。
‐ニューロサイエンス
ニューロサイエンスの売上収益は、注意欠陥/多動性障害・過食性障害治療剤「バイバンス」(国内製品名:「ビバンセ」)の494億円の売上収益を含め、601億円となりました。
〔売上原価〕
売上原価は、Shire社で発生した売上原価1,016億円および棚卸資産の公正価値調整にかかる非資金性の費用などの企業結合会計の影響817億円を含む、1,638億円増加(+33.0%)の6,597億円となりました。なお、Shire社買収影響を除く売上原価は、製品構成の改善等により196億円(△3.9%)減少しております。
〔販売費及び一般管理費〕
販売費及び一般管理費は、895億円増加(+14.2%)の7,176億円となりました。Shire社で発生した販売費及び一般管理費985億円、およびShire社買収に係る買収関連費用238億円が発生しましたが、これらの増加は、Shire社買収影響を除く、その他の販売費及び一般管理費の減少334億円と一部相殺されております。これらの減少は、グローバル経費削減イニシアチブによる削減効果と株式報酬費用の減少等によるものです。
〔研究開発費〕
研究開発費は、Shire社で発生した研究開発費により429億円増加(+13.2%)し3,683億円となりました。Shire社買収影響を除く研究開発費は、前年度からほぼ横ばいとなりました。
〔製品に係る無形資産償却費及び減損損失〕
製品に係る無形資産償却費及び減損損失は、Shire社買収に伴い取得した無形資産の償却費992億円の発生、および前年度において「コルクリス」の販売見通し改善による減損損失の戻入226億円を計上したことにより、対前年度812億円増加(+66.5%)の2,034億円となりました。上記増加は、「ベルケイド」の無形資産の償却が前年度中に終了したことによる減少影響367億円と一部相殺されております。
〔その他の営業収益〕
その他の営業収益は、当年度、旧東京本社ビルを含む有形固定資産の売却益503億円および不動産事業の譲渡に伴う連結子会社株式譲渡益382億円を計上したものの、前年度に計上した和光純薬工業株式会社の株式売却益1,063億円の影響により、対前年度95億円減少(△5.6%)の1,599億円となりました。
〔その他の営業費用〕
その他の営業費用は、対前年度234億円減少(△18.5%)の1,032億円となりました。この減少は、Shire社買収に関連した統合費用596億円を計上したものの、事業構造再編費用が対前年度228億円減少したこと、および前年度に計上された在外営業活動体の清算損415億円等を主要因として、その他の営業費用が880億円減少したことよるものです。
〔営業利益〕
営業利益は、上記の要因を反映し、前年度から368億円減益(△15.2%)の2,050億円となりました。
〔金融損益〕
金融収益と金融費用をあわせた金融損益は664億円の損失となり、対前年度741億円の減益となりました。この減益は主に、当年度においては、Shire社買収に関連する財務費用413億円を金融費用に計上したことによります。また、前年度においては上場株式等にかかる有価証券売却益304億円を金融収益に計上していたものの、新たな国際会計基準の適用により当年度からは当該売却益が金融収益に計上されないことによります。
〔持分法による投資損失〕
持分法による投資損失は、対前年度114億円増加の436億円となりました。長期収載品事業およびジェネリック医薬品事業を営む武田テバファーマ株式会社において、事業環境の変化に伴い保有する資産の評価を見直した結果、減損損失が認識されたことなどによるものです。
〔法人所得税費用〕
法人所得税費用は、前年度の305億円から446億円減少(△146.3%)の△141億円となりました。これは主にShire社買収に伴う税金費用の減少影響587億円によるものであります。Shire社買収影響を除く法人所得税費用は、当年度に子会社再編に伴い計上された税務上の損失があったものの、税引前当期利益の増加および前年度における米国の税制改革法の成立による影響により、全体では前年度から141億円の増加となりました。
〔当期利益〕
当期利益は、上記の要因を反映し、前年度から777億円減益(△41.6%)の1,090億円となりました。
(ⅳ) 当年度における実質的な成長の概要
当社は、事業の計画策定および業績評価において、「実質的な成長」(Underlying Growth)の概念を採用しております。前年度との比較を可能にするため、Shire社買収影響を除いた「実質的な成長」を示しております。
「実質的な成長」は、当年度と前年度(四半期もしくは年間)の業績を共通の基準で比較するものであり、マネジメントによる業績評価に使用されています。これら共通の基準で比較される業績は、為替レートを一定として、事業等の売却影響およびその他の非定常的もしくは特別な事象に基づく影響、本業に起因しない(ノン・コア)事象による影響を控除し算定されます。当社は、この「実質的な成長」が、事業活動のパフォーマンスを表す共通の基準を提供するため、投資家に有用であると考え、「Underlying Revenue Growth」(実質的な売上収益(1)の成長)、「Underlying Core Earnings Growth」(実質的なCore Earnings(2)の成長)および「Underlying Core EPS Growth」(実質的なCore EPS(3)の成長)を重要な財務指標としています。なお、本指標は、国際会計基準(IFRS)に準拠したものではありません。
当年度の実質的な成長は、以下のとおりとなりました。
(1) Shire社買収影響を除く実質的な売上収益は、為替レートを一定として、財務ベースの売上収益に、報告期間における非定常的な事象に基づく影響および事業等の売却影響を調整して計算します。
当年度の実質的な売上収益の成長を算定するにあたっての調整項目の主な内容は、武田テバファーマ株式会社の子会社である武田テバ薬品株式会社に当社の日本の長期収載品7製品を売却したことに伴う影響およびMultilab Indústria e Comércio de Produtos Farmacêuticos Ltda.、広東テックプール・バイオファーマCo,.Ltd.にかかる事業等の売却影響であります。
(2) Shire社買収影響を除くCore Earningsは、純利益から、法人所得税費用、持分法にかかる投資損益、金融損益、その他の営業収益およびその他の営業費用、製品に係る無形資産償却費及び減損損失を控除して算出します。その他、企業買収に係る会計処理の影響や買収関連費用など、本業に起因しない(ノン・コア)とマネジメントが判断した事象による影響を調整します。
当年度のCore Earningsを算定するにあたっての重要性のあるその他の調整項目の主な内容は、Shire社買収に向けた買収関連費用です。
実質的なCore Earningsは、為替レートを一定として、Core Earningsに、報告期間における事業等の売却影響を調整して計算します。
当年度の実質的なCore Earningsの成長を算定するにあたっての事業等の売却影響の主な内容は、武田テバファーマ株式会社の子会社である武田テバ薬品株式会社に当社の日本の長期収載品7製品を売却したことに伴う影響およびMultilab Indústria e Comércio de Produtos Farmacêuticos Ltda.、広東テックプール・バイオファーマCo,.Ltd.にかかる事業等の売却影響であります。
(3) Shire社買収影響を除く実質的なCore EPSの算定にあたっては、為替レートを一定として、純利益から、事業等の売却影響、およびCore Earningsの算出において控除された項目と営業利益以下の各科目のうち、重要性のある、非定常的もしくは特別な事象に基づく影響、本業に起因しない(ノン・コア)事象による影響を調整します。これらには、条件付対価に係る公正価値変動(時間的価値の変動を含む)影響などが含まれます。さらに、これらの調整項目に係る税金影響を控除した後、比較年度末の自社株式控除後の発行済株式総数で除して算定します。
当年度の実質的なCore EPSの成長を算定するにあたっての営業利益以下の調整項目の主な内容は、Shire社買収に向けた財務費用および条件付対価に係る公正価値変動(時間的価値の変動を含む)影響であります。
旧武田薬品における実質的な売上収益の成長率は、潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「エンティビオ」+34.8%、多発性骨髄腫治療剤「ニンラーロ」+36.1%、白血病治療剤「アイクルシグ」+24.6%、酸関連疾患治療剤「タケキャブ」+20.1%、大うつ病治療剤「トリンテリックス」+19.4%をはじめとしたタケダの成長ドライバーの製品が力強く伸長したことにより、対前年度+5.3%となりました。タケダの成長ドライバー全体では+11.1%の伸長となり、実質的な売上収益の63.3%を占めております。
旧武田薬品における実質的なCore Earningsの成長率は、実質的な売上収益の力強い成長や、グローバル経費削減イニシアチブ(4)による削減効果により前年度から大きく伸長し+38.7%となりました。実質的な売上原価は、製品構成の改善により、対売上収益比率が1.4pp向上しました。実質的な営業経費は、グローバル経費削減イニシアチブ(4)の削減効果により、対売上収益比率が3.9pp向上しました。上記の要因の組み合わせにより、実質的なCore Earningsの対売上収益比率は5.4pp向上し、22.3%となりました。
(4) 消費量の削減、購買価格低減による経費削減、および組織の最適化によって実質的なCore Earningsの売上収益比率の向上を目指す、当社グループのイニシアチブ
旧武田薬品における実質的なCore EPSの成長率は、実質的なCore Earningsの力強い成長(+38.7%)を反映し、前年同期から+29.0%となりました。
当期末における資産合計は、前年度末から9兆7,659億円増加し、13兆8,723億円となりました。のれんおよび無形資産は、主にShire社買収影響により、それぞれ3兆1,322億円および3兆8,461億円増加しました。
当期末における負債合計は、前年度末から6兆6,197億円増加し、8兆7,087億円となりました。Shire社の買収に必要な資金を調達するために社債の発行および借入を実行したことにより社債及び借入金が4兆7,653億円増加し、5兆7,510億円(注)となったことによるものです。また、繰延税金負債もShire社買収影響により7,763億円増加の8,671億円となりました。
(注)当期末における社債、借入金の帳簿価額はそれぞれ3兆1,964億円および2兆5,546億円です。なお、社債および借入金の内訳は以下の通りです。
社債:
借入金:
当期末における資本合計は、前年度末から3兆1,462億円増加の5兆1,636億円となりました。資本金および資本剰余金は、Shire社買収の影響により発行した総額3兆1,313億円の普通株式により、それぞれ、1兆5,657億円および1兆5,595億円増加しました。
資金の調達および使途
当社グループにおいて流動性は、主に営業活動に必要な現金、資本支出、契約上の義務、債務の返済、利息や配当の支払いに関連して必要となります。営業活動においては、研究開発費、マイルストン支払い、販売およびマーケティングに係る費用、人件費およびその他の一般管理費、原材料費等の支払いにあたり現金が必要となります。また、法人所得税の支払いや運転資金にも多額の現金が必要となります。
当社グループは、生産設備の能力増強・合理化、減価償却を終えた資産の入れ替え、業務管理の効率化等のために設備投資を行っています。無形資産に係る資本的支出は、主に第三者のパートナーから導入したライセンス製品に対するマイルストン支払い、およびソフトウェア開発費です。連結財政状態計算書に計上されている有形固定資産および無形資産に係る資本支出は、2018年3月期および2019年3月期において、それぞれ1,241億円および2,446億円であります。また、2019年3月31日現在において、有形固定資産の取得に関する契約上のコミットメントは340億円であります。
当社の配当金の支払額は、2018年3月期および2019年3月期において、それぞれ1,419億円および1,430億円であります。1株当たり配当額は中間配当および期末配当金それぞれ90円ずつとし、年間180円を継続することを目指しています。
当社グループは、有利子負債に対し元本と利息を支払う必要があります。2019年3月31日現在において、1年内に必要となる借入金の返済額および利息の支払額は、それぞれ9,881億円、1,227億円であります。詳細は、「有利子負債および金融債務」をご参照ください。
当社グループの資金の調達源は、主に現金及び現金同等物、短期コマーシャルペーパー、コミットメントラインによる借入、グローバル資本市場からの長期借入金であります。当社グループは、キャッシュ・フロー予測に基づき保有外貨を監視し、調整しております。当社グループの事業の大部分は日本国外で行っており、多額の現金を日本国外に保有しております。日本国内で必要なキャッシュ・フローを創出するために外貨を使用することは国内規制による影響を受ける可能性があり、また比較的影響は小さいものの、日本へ現金を移転することから生じる所得税による影響も受けます。
2019年3月31日現在において、当社グループは7,021億円の現金及び現金同等物と3,000億円の未使用のコミットメントライン契約を保有しており、現在の事業活動に必要となる資金は十分に確保できていると考えております。当社グループは、事業活動を支えるため、持続的に高い流動性を保ち、資本市場へのアクセス拡大を追求していきます。
連結キャッシュ・フロー
連結キャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。
(単位:億円)
当年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、前年度の3,779億円に対し、3,285億円となりました。これは、当期利益が777億円減少したことや主にShire社買収に伴う企業結合会計に係る非資金性の税金費用の減少影響により法人所得税費用が446億円減少したこと、また前年度に計上した在外営業活動体の清算損415億円等のマイナスの調整項目に加え、Shire社における支払賞与等による資産負債が増減した影響によります。
これらの影響は、主にShire社買収に伴い計上した製品に係る無形資産償却費により減価償却費及び償却費が903億円増加したこと、棚卸資産の公正価値調整にかかる償却により棚卸資産が450億円減少したこと、また、Shire社買収に関連する財務費用を含む金融費用(純額)741億円等のプラスの調整項目の影響により一部相殺されております。
投資活動によるキャッシュ・フローは、主にShire社買収に伴い2兆8,919億円(取得した現預金控除後)を支出したことにより、前年度933億円のマイナスに対して、当年度は2兆8,357億円のマイナスとなりました。この金額は、主に当年度に売却した旧東京本社ビルを含む有形固定資産の売却による収入507億円により一部相殺されています。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前年度3,262億円のマイナスに対して、当年度は2兆9,462億円のプラスとなりました。これは、主にShire社買収のための資金調達において、短期借入金が3,673億円増加したこと、また、社債の発行および長期借入れによる収入2兆7,959億円を計上したことによります。
有利子負債および金融債務
2018年3月期、2019年3月期において社債及び借入金はそれぞれ9,857億円、5兆7,510億円であります。これらの有利子負債は、当社が過年度に発行した無担保社債、普通社債、およびシンジケートローン、また、Shire社買収に必要な資金の一部を調達するための借入金、およびShire社買収により引き受けた負債を含みます。当社の借入金は主に買収関連のものであり、季節性によるものではありません。
社債及び借入金の増加は、Shire社買収に係る資金調達によるもの、およびShire社より引き受けた負債であります。Shire社の買収に関連し、当社は、返済が完了したブリッジクレジット契約等複数の借入契約を締結いたしました。2019年3月期における借入金期末残高は以下のとおりであります。
・タームローンクレジット契約の総借入限度額は、米ドル建ておよびユーロ建てで総額75億米ドルであり、2018年6月8日に締結し、2019年1月初旬に満額の借入を実行しております。本件借入金は、Shire社買収の対価として支払った現金の一部に充当しました。タームローンクレジット契約の借入金は無担保であり、変動金利に基づく利子の引当を行っており、2024年1月3日に償還する予定であります。
・総額75億ユーロのユーロ建普通社債は、2018年11月に、総額55億米ドルの米ドル建普通社債と同時に発行しました(あわせて、「2018年社債」)。2018年に発行した社債は、以下のとおりです。
- 総額12億5,000万ユーロの普通社債(固定金利0.375%、償還期日2020年11月21日)、総額10億ユーロの普通社債(変動金利、償還期日2020年11月21日)、総額15億ユーロの普通社債(固定金利1.125%、償還期日2022年11月21日)、総額7億5,000万ユーロの普通社債(変動金利、償還期日2022年11月21日)、総額15億ユーロの普通社債(固定金利2.250%、償還期日2026年11月21日)、および総額15億ユーロの普通社債(固定金利3.000%、償還期日2030年11月21日)。
- 総額10億米ドルの普通社債(固定金利3.800%、償還期日2020年11月26日)、総額12億5,000万米ドルの普通社債(固定金利4.000%、償還期日2021年11月26日)、総額15億米ドルの普通社債(固定金利4.400%、償還期日2023年11月26日)、および総額17億5,000万米ドルの普通社債(固定金利5.000%、償還期日2028年11月26日)。
2018年に発行した社債は、米国1933年証券法(以下、「証券法」)による登録の免除事由により私募により発行しました。固定金利の2018年社債の利息は、ユーロ建2018年社債については毎年後払い、米ドル建2018年社債については半年毎の後払いであります。変動金利の2018年社債の利率は3か月EURIBORおよび該当スプレッドを参考に四半期ごとに見直しが行われ、四半期毎に後払いしています。
・2018年12月に、株式会社国際協力銀行(以下、「JBIC」)との総額37億米ドルの無担保ローン契約を締結しました。本件無担保ローン契約は、2019年1月初旬に満額の借入を実行し、償還期日は2025年12月11日であります。タームローンクレジット契約の借入は無担保であり、変動利率に基づく利息が発生しております。
・2018年10月に、5,000億円のSenior Short Term(以下、「SSTL」)Facility契約および劣後ローン契約を締結しました。ショートタームローンについては、2019年1月初旬に借入を実行し、Shire社買収の対価として支払った現金の一部に充当しました。ショートタームローン契約の償還期日は、最長半年後であります。また、ショートタームローンの契約日において、ショートタームローンと同額の元本の借入を上限とする劣後ローン契約を締結しました。ただし、ショートタームローンは、下記のとおり2019年7月に発行したハイブリッド社債による収入で返済し、劣後ローン契約による借入は実行していません。ショートタームローンおよび劣後ローン契約は失効しました。
Shire社買収に関連し、当社グループは買収前にShire社によって締結された複数の借入契約を引き受けました。Shire社より引き受けた借入のうち当年度末における残高は次のとおりであります。
・米ドル建無担保普通社債(以下、「SAIIDAC社債」)はシャイア―社の100%子会社であるシャイアー・アクイジションズ・インベストメンツ・アイルランド Designated Activity Company(以下、「SAIIDAC」)が発行し、当社グループが保証しています。SAIIDAC社債の残高は2019年3月31日現在において総額121億米ドルであり、利息は半年毎に後払いしています。以下の一連のSAIIDAC社債は2019年3月31日現在において未償還であります。
総額33億米ドル建社債(固定金利1.900%、償還期日2019年9月23日)、総額33億米ドル建社債(固定金利2.400%、償還期日2021年9月23日)、総額25億米ドル建社債(固定金利2.875%、償還期日2023年9月23日)、および総額30億米ドル建社債(固定金利3.200%、償還期日2026年)。
・米ドル建無担保普通社債(以下、「Baxalta社債」)はバクスアルタ社が発行し、当社グループが保証しています。Baxalta社債の残高は2019年3月31日現在において総額19億2,500万米ドルであり、利息は半年毎に後払いしています。以下の一連のBaxalta社債は2019年3月31日現在において未償還であります。
総額4億450万米ドル建普通社債(固定金利2.875%、償還期日2020年6月23日)、総額2億1,940万米ドル建普通社債(固定金利3.600%、償還期日2022年6月23日)、総額8億50万米ドル建普通社債(固定金利4.000%、償還期日2025年6月23日)、および総額5億40万米ドル建普通社債(固定金利5.250%、償還期日2045年6月23日)。
2019年6月6日、当社は総額5,000億円のハイブリッド社債(劣後社債)を発行し、その収入でショートタームローンを返済しました。
ハイブリッド社債の償還期日は、2079年6月6日であります。当社は、ハイブリッド社債の条件に基づき、2024年10月6日より利息支払日ごとに元本の全額返済が可能です。利息は、半年毎に支払い、利率は毎年見直されます。ハイブリッド社債は無担保であり、財務制限条項は付帯しておりません。
当社グループは、短期の流動性の管理のため、日本の無担保コマーシャルペーパープログラムを保有しております。当社グループは、さらに2019年3月期において極度額3,000億円の短期コミットメントライン契約を締結しておりますが、借入はしておりません。
当社グループは2019年3月31日時点において、財務制限条項が付されている借入金があります。このうち最も制限的な財務制限条項は、連続する2事業年度において税引前利益がマイナスにならないというものであります。2019年3月31日時点において、当社グループは、それらの財務制限条項を順守しております。これらは、コミットメントラインからの借入を制限するものではありません。
借入金の詳細については、「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 20 社債及び借入金」をご参照ください。
信用格付け
当社グループの信用格付けは、当社グループの財務の健全性、業績、債務の返済能力等に関する各格付機関の意見が反映されております。本報告書時点における当社グループの信用格付けは以下のとおりです。
この格付けは、社債の購入、売却、保有を推奨するものではありません。この格付けは指定された格付機関によって適宜改訂あるいは撤回される可能性があります。それぞれの財務の健全性レーティングは、独立評価されたものであります。
オフバランス取引
マイルストン支払
新製品の開発に係る第三者との提携契約に基づき、当社グループは、パイプライン品目の開発、新製品の上市および上市後の販売等にかかる一定のマイルストン達成に応じた支払義務が生じる場合があります。2018年3月期および2019年3月期における潜在的なマイルストン支払の契約金額は、それぞれ5,170億円および6,555億円であります。これらは、開発中のパイプライン品目に係る潜在的なコマーシャルマイルストン支払を除いた金額であります。
契約負債
2019年3月31日時点における契約負債は以下のとおりです。
(単位:億円)
(1) 2019年3月31日時点の日本円以外の通貨建債務は、期末為替レートで日本円に換算しており、為替レートの変動により金額が異なる可能性があります。
(2) 当社グループが関連する金融商品の制限条項違反を行った場合、返済義務が早まる可能性があります。
(3) 利息支払義務を含みます。
(4) 2020年3月31日以降の年金および退職後給付制度への拠出額については、拠出の時期が不確実であり、利率、運用収益、および法律およびその他の変動要因に依存するため、確定することはできません。
(5) 確定給付債務、訴訟準備金および長期未払税金等、時期を見積もることができない契約負債、また、金額が公正価値の変動により変化するデリバティブ負債および条件付対価等の負債は含まれておりません。また、特定の将来の事象の発生に左右されるマイルストン支払いも含んでおりません。
(6) 通常の事業活動における購買に関する発注は含んでおりません。
② 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表と日本基準により作成した連結財務諸表における経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異は次のとおりです。
TiGenix NV
TiGenix NV(以下、「タイジェニクス社」)の当社による買収に関連して、当社は2018年1月5日、タイジェニクス社とオファー・サポート契約を締結し、タイジェニクス社の全ての議決権付有価証券(取得価格は普通株式1株あたり1.78ユーロ、米国預託株式については同等の価格)、新株予約権および2018年3月6日満期の優先無担保転換社債について、現金による任意かつ条件付きの株式公開買い付けを開始しました。スクイーズアウト期間終了に伴い、当社は2018年7月31日付でタイジェニクス社の全ての発行済普通株式、米国預託株式および新株予約権を取得し、タイジェニクス社は当社の100%子会社となっております。全ての発行済普通株式、米国預託株式および新株予約権の取得に伴い、タイジェニクス社はユーロネクスト・ブリュッセルおよびNASDAQへの上場を廃止しました。
Shire社の買収
Shire社の買収に関連し、当社は2018年5月8日付でShire社買収に向けての協力契約をShire社との間で締結し、本件買収は2019年1月8日に完了しました。当社は2018年5月8日に、JP Morgan Chase Bank, N.A.、株式会社三井住友銀行および株式会社三菱UFJ銀行等と総借入限度額308.5億米国ドルのブリッジクレジット契約を締結しました。2018年6月8日には、JP Morgan Chase Bank, N.A.、株式会社三井住友銀行、株式会社三菱UFJ銀行および株式会社みずほ銀行等との間で総借入限度額75億米国ドルのタームローンクレジット契約を締結し、同日、ブリッジクレジット契約について技術的および形式的な一部変更を加える第1回変更契約を締結しました。2018年10月26日には、当社は、株式会社三井住友銀行、株式会社三菱UFJ銀行、株式会社みずほ銀行、農林中央金庫および三井住友信託銀行株式会社との間で総借入限度額5,000億円のショートタームローン契約を締結し、同日、ブリッジクレジット契約について技術的な一部変更を加える第2回変更契約を締結しました。また、2018年10月26日には、当社は、株式会社三井住友銀行、株式会社三菱UFJ銀行、株式会社みずほ銀行、農林中央金庫および三井住友信託銀行株式会社との間で、Shire社の買収完了後にショートタームローン契約に基づく借り入れの借り換えの一部または全部に充当可能な総借入限度額5,000億円の劣後特約付ローン契約を締結しました。2018年11月21日には、当社は、株式会社三菱UFJ銀行との間で同社を財務代理人とする財務代理人契約を締結し、同日付で、当該財務代理人契約に基づき総額75億ユーロのユーロ建無担保普通社債を発行しました。2018年11月26日には、当社は、MUFG Union Bank, N.A.を受託者とする社債信託契約を締結し、同日付で、当該社債信託契約に基づき総額55億米国ドルの米国ドル建無担保普通社債を発行しました。2018年12月3日には、当社は、株式会社国際協力銀行との間で総借入限度額37億米国ドルのローン契約(以下、「JBICローン契約」)を締結しました。2018年12月20日には、当社は、技術的な一部変更を加えるため、タームローンクレジット契約の第1回変更契約およびショートタームローン契約の第1回変更契約を締結しました。2018年12月21日には、当社は、ブリッジクレジット契約の残存していた借入権を消滅させました。2018年12月25日には、当社は、技術的な一部変更を加えるため、JBICローン契約の第1回変更契約を締結しました。当社は、2019年6月6日、ショートタームローンの借り換えを目的として、総額5,000億円のハイブリッド社債(劣後特約付社債)(以下、「本社債」)を発行しました。本社債の償還期日は2079年6月6日であります。本社債契約のもと、当社は、2024年10月6日以降の各利払日において、本社債の元本全額の早期償還を行う可能性があります。本社債の利息は、年利に基づき半年毎に支払いを行います。なお、年利は変更する可能性があります。本社債は無担保であり、財務制限条項はございません。
上記契約の概要ならびにShire社買収が当社の財務状況および業績に与える影響については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」をご参照ください。
Baxter International Inc.との協定書
2016年1月11日に、Baxter International Inc.(以下、「Baxter社」)、Shire社およびBaxalta社は、Shire社によるBaxalta社の買収に関連し、三社間協定を締結しました。当該協定書は、特に、2015年7月にBaxter社とBaxalta社が分割される以前に両社間で締結した税務契約の一部の取扱いに係る合意に関連するものです。
当該協定書に基づき、2016年6月3日のShire社によるBaxalta社の買収完了以降、Baxalta社はBaxter社およびその関連会社ならびにこれらの経営陣、取締役および従業員に対し、買収により生じる税関連の損失を免責することに合意し、Shire社はかかる免責について保証を提供しました。但し、買収と関連しないBaxter社によるBaxalta社の普通株式の処分、ならびに2015年7月1日付の当初の割り当て、一定の債務と株式との交換、エクスチェンジオファー、Baxter社の米国年金基金へのBaxalta社株式の拠出およびBaxter社の株主への配当(各事象の詳細は当該協定書で規定されています。)以外のBaxalta社普通株式の処分に起因する損失は補償の対象外となっております。
当年度の研究開発費の総額は3,683億円であります。
医薬品の研究開発のプロセスは、長期にわたり、多額の費用を伴い、その期間は10年を越えることもあります。このプロセスには、新薬の有効性および安全性の評価、承認申請、規制当局による審査と承認が含まれます。こうした精査の過程を通過し、臨床での治療に用いることができる候補物質はごく僅かです。承認取得後も、上市後の製品に対しては、メディカルアフェアーズやその他の投資を含め、継続的な研究開発活動による支援が行われます。
臨床試験は、地域的および国際的な規制ガイドラインを遵守し、通常5から7年もしくはそれ以上を費やして実施されるものであり、相応の費用を伴います。そのため、臨床試験まで進んだ化合物の中でも、製品化に至るものはごく一部です。通常、臨床試験は医薬品規制調和国際会議(ICH)が制定したガイドラインに沿って実施されます。これに関わる規制当局は、日本では厚生労働省、米国では食品医薬品局(FDA)、欧州連合では欧州医薬品庁(EMA)です。
ヒトの臨床試験は以下の3相で実施されます(各相が一部重複することもあります):
・臨床第Ⅰ相(P-Ⅰ)試験
小人数の健康な成人の志願者を被験者として、薬物の安全性、吸収、分布、代謝、排泄について評価するために実施
・臨床第Ⅱ相(P-Ⅱ)試験
小人数の志願患者を被験者として、安全性、有効性、用量および用法を評価するために実施
・臨床第Ⅲ相(P-Ⅲ)試験
大人数の志願患者を被験者として、既存の薬剤またはプラセボと比較した安全性および有効性を評価するために実施
これら3相のうち、臨床第Ⅲ相にかかる費用が最も大きく、臨床第Ⅲ相試験へ進めるか否かの決定は、医薬品開発における重要なビジネス判断となります。臨床第Ⅲ相試験を通過した候補薬物については、管轄の規制当局に新薬承認申請書(NDA)または医薬品販売承認申請(MAA)を提出し、承認を取得した後、上市します。NDAやMAAの作成には、膨大な量のデータの収集、検証、分析が必要であり、費用が伴います。製品上市後も、保健当局により有害事象の市販後調査や、当該医薬品のリスク・ベネフィットに関する追加情報を提供するための市販後試験の実施を求められることがあります。
当社は、2016年7月より、研究開発体制の変革(5ヶ年計画)を開始し、パイプラインを再活性化するとともに、革新的なサイエンス主導の機動的なグローバル研究開発組織の構築に取り組んできました。この研究開発体制の変革においては、以下の3つの優先事項にフォーカスしています:
• 疾患領域の絞込み:疾患領域における専門性をいかした革新的研究開発課題の推進
• パートナーシップと研究開発能力の強化:社内育成と外部提携を通じた研究開発力の強化
• 革新的な研究エンジン:疾患治療のための新規技術の確立と新たなモダリティの取り込み
当社の研究開発は、「オンコロジー(がん)」、「消化器系疾患」、「希少疾患」、「ニューロサイエンス(神経精神疾患)」の4つの重点疾患領域と、「血漿分画製剤」および「ワクチン」の2つのビジネスユニットにフォーカスします。
また、当社は日本および米国に自社研究開発活動の拠点を集約しており、旧Shire社の研究開発機能との統合も進めていきます。
当社の主要な自社研究開発施設には以下を含みます:
•湘南ヘルスイノベーションパーク:2011年に日本の神奈川県藤沢・鎌倉地域に湘南研究所を設立し、当社ニューロサイエンス研究の主要拠点として研究活動を進めてきました。2018年4月、サイエンスイノベーションをさらに推進する目的で、同研究所の名を改め、湘南ヘルスイノベーションパーク(「湘南アイパーク」)として開所しました。湘南アイパークは、2020年までに3,000人の研究者を集め、ベンチャー企業を含む製薬業界、官公庁、アカデミアから専門家が集い、医療ソリューション創生のための研究開発イニシアチブを育み促進させる場となることを目指しています。
• ボストン研究開発サイト:当社のボストン研究開発ハブは米国マサチューセッツ州ケンブリッジに位置しています。本サイトは当社のグローバルなオンコロジー(がん)および消化器系疾患領域の研究開発の中心であり、加えて血漿分画製剤やワクチンなど他の疾患領域の研究開発や免疫調節および生物学的製剤の研究も支援しています。
• サンディエゴ研究開発サイト:米国カリフォルニア州サンディエゴにある当社の研究開発拠点であり、消化器系疾患およびニューロサイエンス領域における専門技術の研究開発を支援しています。
研究開発パイプライン
オンコロジー
世界中のがん患者さんにより良い未来をもたらす革新的な新薬をお届けするために努力し、革新的なイノベーションの探求に取り組んでいます。本疾患領域では、(1)既発売品である「ニンラーロ」、「アドセトリス」、「アイクルシグ」のライフサイクルマネジメントならびに多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群およびその他血液がんのパイプラインへの継続的な研究開発投資を通じた、血液がんにおける基盤的な専門性の構築、(2)肺がんを対象とするパイプラインのさらなる拡充、(3)社外との提携による新規のがん免疫療法標的および次世代基盤技術の追求ならびに革新的な細胞療法の探索にフォーカスしています。
[ニンラーロ 一般名: イキサゾミブ]
‐2018年7月、当社は、「ニンラーロ」について、臨床第3相試験であるTOURMALINE-MM3試験で主要評価項目を達成し、維持療法として経口で単剤投与された本剤がプラセボと比較して統計学的に有意な無増悪生存期間の延長を示したことを公表しました。本試験では、多発性骨髄腫と診断され、大量化学療法および自家造血幹細胞移植に奏効を示した成人患者を対象に、維持療法としての本剤の有効性を検討しました。
‐2018年12月、当社は、「ニンラーロ」について、TOURMALINE-MM3試験結果を、第60回米国血液学会(ASH)年次総会において発表しました。
‐2019年1月、米国食品医薬品局(FDA)に2018年11月に提出していたTOURMALINE-MM3試験の結果について、当局と議論を重ねた結果、一旦、申請を取り消し、より多くのデータが集まった段階で再申請することを公表しました。
‐2019年4月、当社は、「ニンラーロ」について、厚生労働省に多発性骨髄腫に対する自家造血幹細胞移植後における維持療法の適応追加に係る製造販売承認事項一部変更承認の申請を行ったことを公表しました。
‐2019年6月、当社は、再発又は難治性の全身性(AL)アミロイドーシス患者を対象とした臨床第3相試験である「TOURMALINE-AL1試験」において、2つの主要評価項目のうち最初の結果が主要評価項目を満たさなかったことを公表しました。「ニンラーロ」およびデキサメタゾンの併用群は、医師が選択した標準治療群と比較して、血液学的奏効率において有意な改善はみられませんでした。解析の結果より、当社は本試験を中止することを決定しました。
[アルンブリグ 一般名: brigatinib]
‐2018年7月、当社は、「アルンブリグ」について、ALK阻害剤未治療の局所進行性または転移性の未分化リンパ腫キナーゼ遺伝子転座陽性(ALK陽性)の非小細胞肺がん患者を対象とした臨床第3相試験ALTA-1Lの事前に設定された初回の中間解析において、本剤投与群がクリゾチニブ群と比較して統計学的に有意に無増悪生存期間を改善し、主要評価項目を達成したことを公表しました。
‐2018年9月、臨床第3相試験ALTA-1L試験の初回の中間解析結果は、国際肺癌学会(IASLC)主催の第19回世界肺癌学会議(WCLC)のプレジデンシャル・シンポジウムで発表されました。
‐2018年9月、当社は、「アルンブリグ」について、欧州医薬品庁(EMA)の欧州医薬品評価委員会(CHMP)より、クリゾチニブの治療歴を有するALK陽性の進行性非小細胞肺がん成人患者に対する単剤療法として承認を推奨する旨の見解が示されたことを公表しました。
‐2018年10月、当社は、「アルンブリグ」について、欧州臨床腫瘍学会(ESMO)のポスターディスカッションにて、ALK陽性の非小細胞肺がん患者を対象としたクリゾチニブと比較した臨床第3相試験ALTA-1Lの副次評価項目である、頭蓋内病変における無増悪生存期間および客観的奏功率の改善を示した有効性データを発表しました。
‐2018年12月、当社は、「アルンブリグ」について、クリゾチニブの治療歴を有するALK陽性の進行性非小細胞肺がん成人患者に対する単剤療法として、欧州委員会(EC)に承認されたことを公表しました。
[アドセトリス 一般名: ブレンツキシマブ ベドチン]
‐2018年9月、「アドセトリス」について、厚生労働省より一次治療(ファーストライン)を含む「CD30陽性のホジキンリンパ腫」に対する効能効果および用法用量に関する製造販売承認事項一部変更の承認を取得したことを公表しました。
‐2018年10月、当社は、「アドセトリス」について、未治療のCD30発現末梢性T細胞リンパ腫の患者さんを対象とした臨床第3相試験であるECHELON-2試験において、アドセトリスとCHP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、プレドニゾン)との併用療法は主要評価項目を達成し、対照群であるCHOP療法(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン併用)と比較して統計学的に有意な無増悪生存期間の改善が示されたことを公表しました。アドセトリスを含む新規併用レジメン群は、CHOP群と比較して重要な副次評価項目である全生存期間に関して良好な結果を得ました。
‐2018年12月、当社は、「アドセトリス」について、ECHELON-2試験の試験結果を、第60回米国血液学会(ASH)年次総会のオーラルセッションにおいて発表しました。
‐2018年12月、当社は、「アドセトリス」について、欧州医薬品庁(EMA)の欧州医薬品評価委員会(CHMP)より、未治療のIV期CD30陽性ホジキンリンパ腫成人患者に対するAVD(アドリアマイシン、ビンブラスチン、ダカルバジン)との併用療法の効能追加に関し、承認を推奨する旨の見解が示されたことを公表しました。
‐2019年2月、当社は、欧州委員会(EC)より、「アドセトリス」について、未治療のIV期CD30陽性ホジキンリンパ腫成人患者に対するAVD(アドリアマイシン、ビンブラスチン、ダカルバジン)との併用療法についての適応追加の承認を取得したことを公表しました。
‐2019年3月、当社は、「アドセトリス」について、厚生労働省にCD30陽性末梢性T細胞リンパ腫、ならびに小児における再発または難治性のCD30陽性ホジキンリンパ腫および未分化大細胞リンパ腫に対する効能効果および用法用量に関する製造販売承認事項一部変更承認の申請を行ったことを公表しました。
[一般名: カボザンチニブ]
‐2019年4月、当社は、「カボザンチニブ」について、切除不能又は転移を有する腎細胞がんに対する治療薬として、厚生労働省に製造販売承認申請を行ったことを公表しました。今回の申請は、海外第3相試験のMETEOR試験、海外第2相試験のCABOSUN試験、ならびに血管内皮細胞増殖因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤(VEGFR-TKI)による治療後に増悪した日本人進行腎細胞癌患者さん35名を対象に有効性と安全性を検討した国内第2相試験であるCabozantinib-2001試験の結果に基づくものです。
[開発コード: TAK-788]
‐2019年6月、当社は、「TAK-788」について、2019年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会のオーラルセッションにおいて、新たなデータを発表しました。非盲検、多施設共同臨床第1/2相試験により、EGFR エクソン20挿入遺伝子変異を有する局所進行性あるいは転移性の非小細胞肺がん患者において、「TAK-788」の無増悪生存期間(PFS)の中央値が7.3ヵ月、客観的奏効率(ORR)が43%という結果が示されました。
消化器系疾患
消化器系疾患・肝疾患の患者さんに革新的で人生を変えうる治療法をお届けすることにフォーカスしています。「エンティビオ」および「アロフィセル」といった炎症性腸疾患におけるフランチャイズのポテンシャルを最大化するとともに、「ガテックス」のスペシャリティ消化器系疾患領域におけるポジショニングを拡大させるとともに、社外との提携を通じて消化管運動関連疾患、セリアック病、肝疾患およびマイクロバイオーム(腸内細菌)における機会を探索し、パイプラインの構築を進めています。
[エンティビオ/エンタイビオ 一般名:ベドリズマブ]
‐2018年6月、当社は、「エンティビオ」について、本剤と抗TNF-α療法の安全性を比較した実臨床データの解析結果を発表しました。本解析結果において、本剤治療群は、抗TNF-α治療群に対して、重篤な感染症の発症率が低く、重篤な有害事象の発生率も優位に低いことが示されました。このVICTORY試験の結果は、米国消化器病週間(Digestive Disease Week:DDW)にて、オーラルプレゼンテーションにて発表されました。
‐2018年7月、当社は、「エンタイビオ」について、厚生労働省より中等症から重症の活動期の潰瘍性大腸炎に対する治療剤として、製造販売承認を取得したことを公表しました。
‐2018年7月、当社は、「エンタイビオ」について、中等症から重症の活動期の成人クローン病に対する治療薬として、厚生労働省に承認事項一部変更承認申請を行ったことを公表しました。
‐2018年7月、当社は、「ベドリズマブ」について、皮下投与製剤による維持療法の有効性および安全性を検討した臨床第3相試験である「VISIBLE 1試験」の結果の速報を公表しました。本試験は、非盲検下にて「ベドリズマブ」静注製剤による導入療法を2回行った後、試験開始6週時点で臨床的改善※が得られた中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎の成人患者を対象とした試験です。本試験では、試験開始6週時点から「ベドリズマブ」皮下投与製剤を2週毎に投与し、52週時点で臨床的寛解※※が得られた患者の割合がプラセボ投与群と比較して「ベドリズマブ」皮下投与群が統計学的に有意に高く、主要評価項目を達成しました。
※ 臨床的改善: Mayoスコアがベースラインから3ポイント以上かつ30%以上低下。これに加えて、直腸出血のサブスコアが1ポイント以上低下あるいは直腸出血のサブスコア絶対値が1以下
※※臨床的寛解: Mayoスコアが2以下かつ他のサブスコアで1を超えるものが無い
‐2018年10月、当社は、欧州消化器病週間(United European Gastroenterology:UEG)にて、臨床第3相試験である「VISIBLE 1試験」の結果を発表しました。
‐2019年3月、当社は、「ベドリズマブ」が、臨床第3b相試験である「VARSITY試験」の結果、中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎患者を対象に、生物学的製剤で抗TNFα抗体の「アダリムマブ(製品名:ヒュミラ)」と直接比較して52週時点で有意に高い臨床的寛解※の達成を示したことを公表しました。本試験において、主要評価項目である52週時点での臨床的寛解を達成したのは、「アダリムマブ」皮下投与(SC)群では22.5%(386名中87名)であったのに対し、「ベドリズマブ」静脈内投与(IV)群では31.3%(383名中120名)であり、両群の間に統計学的有意差が認められました。本試験結果は、デンマークのコペンハーゲンで開催された第14回欧州クローン病・大腸炎会議 (14th Congress of the European Crohn’s and Colitis Organisation:ECCO)のオーラルプレゼンテーションにて発表されました。
※ 主要評価項目である臨床的寛解は、Mayoスコア(潰瘍性大腸炎の疾患活動性を評価するための指標)が2ポイント以下、かつ全てのサブスコアが1ポイント以下と定義
‐2019年4月、当社は、成人の中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎およびクローン病患者に対する維持療法として、「ベドリズマブ」の皮下注射製剤の剤形追加を欧州医薬品庁(EMA)に申請し、受理されたことを公表しました。当社は、「ベドリズマブ」の皮下投与において、プレフィルドシリンジ製剤およびペン製剤の両製剤を申請しています。
‐2019年5月、当社は、成人の中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎患者に対する維持療法として「ベドリズマブ」の皮下注射製剤の生物学的製剤承認申請を米国食品医薬品局(FDA)に提出し、受理されたことを公表しました。当社は、「ベドリズマブ」の皮下投与において、プレフィルドシリンジ製剤およびペン製剤の両剤形を申請しています。
‐2019年5月、当社は「エンタイビオ」中等症から重症の活動期のクローン病の治療及び維持療法の治療薬として、厚生労働省より製造販売承認事項一部変更の承認を取得したことを公表しました。
[ガテックス 一般名:teduglutide]
‐2019年5月、当社は、「ガテックス」について、追加の栄養もしくは液体の静脈投与(非経口栄養補給)が必要な短腸症候群の1歳以上の小児患者への投与がFDAより追加で承認されたことを公表しました。
希少疾患
Shire社の買収により、希少疾患領域のビジネスおよびパイプラインが加わりました。当社は、次の3治療分野に注力しています。(1)最近上市された「TAKHZYRO」を含む希少免疫疾患治療(例:遺伝性血管浮腫)、(2)血液疾患領域における競合他社と比較して幅広いポートフォリオを持つ希少血液疾患治療、(3)希少代謝性疾患(承認済みのファブリー病、ハンター症候群、ゴーシェ病治療薬および他のライソゾーム病治療のための早期開発パイプラインを含む)。
‐2019年2月、当社は、2019年2月4日から8日まで開催された第15回WORLDSymposium年次総会で、11件のポスタープレゼンテーションと1件のオーラルプレゼンテーションを含む12件の発表を行いました。プレゼンテーションは、ハンター症候群(ムコ多糖症II型あるいはMPS IIと言われている)、I型ゴーシェ病、ファブリー病および異染性白質ジストロフィー(MLD)を含むライソゾーム病(LSD)に関する研究開発データで構成されました。
[NATPARA 一般名:副甲状腺ホルモン]
‐2019年3月、当社は、米国内分泌学会(ENDO)の2019年年次総会で慢性副甲状腺機能低下症における患者および介護者に対する負担、ならびに通常療法における腎臓および心血管合併症の潜在的な長期リスクを明らかにする新しいデータを発表しました。またrhPTH(1-84)を継続的に用いた長期安全性および有効性を評価したオープンラベル試験の6年間に渡る研究「RACE試験」の最終結果として、慢性副甲状腺機能低下症患者さんに対するrhPTH (1-84)による治療は、これまでの臨床試験と同様の安全性プロファイルを有し、ミネラル恒常性の主要な指標、特に尿中カルシウム値に効果を及ぼしたことを発表しました。
[TAKHZYRO 一般名:lanadelumab]
‐2019年6月、当社は、TAKHZYROの効果発現を評価する臨床第3相試験である「HELP試験」における投与0~69日データについて追加解析を行い、新たなデータを欧州アレルギー・臨床免疫学会(EAACI)にて発表しました。追加解析によりTAKHZYRO が、初期治療期間中において遺伝性血管性浮腫(HAE)の発症を防ぎ、プラセボ群と比較し、月間平均発作発現率を80.1%減少することが示唆されました。
ニューロサイエンス
本疾患領域では、治療法が確立していない神経疾患や精神疾患を患っている患者さんに革新的な医薬品を提供することを目指しています。当社では、大うつ病治療剤の「トリンテリックス」に対する継続的な投資、およびShire社買収を通じて取得した注意欠陥多動性障害治療剤のポートフォリオにより、精神疾患におけるプレゼンスを拡大していきます。また、社内の専門知識やパートナーとの提携をいかして、アルツハイマー病、パーキンソン病といった神経疾患や選択した希少中枢疾患に対するパイプラインを構築していきます。
[トリンテリックス 一般名:vortioxetine]
‐2018年5月、当社は、「トリンテリックス」について、米国食品医薬品局(FDA)より医薬品承認事項変更申請の承認を取得したことを公表しました。本剤は認知機能の重要な一症状である処理速度の改善が米国添付文書に追記することをFDAに承認された初めての大うつ病治療剤となります。FOCUSおよびCONNECT試験では、本剤が急性うつ病に罹患する成人患者における認知機能の一症状である処理速度に改善効果があることが示されました。
‐2018年6月、当社は、「vortioxetine」について、日本において成人大うつ病性障害患者を対象として実施したピボタル試験の結果が良好であったことを公表しました。
‐2018年9月、当社は、「vortioxetine」について、成人の大うつ病性障害の治療剤として、厚生労働省に製造販売承認申請を行ったことを公表しました。
‐2018年10月、当社は、「トリンテリックス」について、FDAから医薬品承認事項変更申請の承認を取得したことを公表しました。これは、大うつ病患者において選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)による性機能障害の改善において本剤がEscitalopramに優るというデータを本剤米国添付文書に追記するというものです。本剤は、特定のSSRIから切り替えた大うつ病患者における治療に伴う性機能障害の改善に関する直接比較データを米国添付文書に記載する初の大うつ病治療剤となります。
[バイバンス/ビバンセ 一般名:リスデキサンフェタミンメシル]
‐2019年3月、当社は、塩野義製薬株式会社(塩野義製薬)が「ビバンセ」について、厚生労働省より小児期における注意欠陥/多動性障害(AD/HD)の適応で、製造販売承認を取得したことを公表しました。本剤は、2011年11月18日に塩野義製薬とShire社の子会社であるShire International GmbHとの間で締結しました日本国内における共同開発・商業化に関するライセンス契約に基づき、開発が進められてきました。当社がシャイアー社を買収したことに伴い、当社がプロモーション提携を行います。
[インチュニブ 一般名:グアンファシン塩酸塩]
‐2019年6月、当社は、塩野義製薬が製造販売承認を有し、塩野義製薬と当社が情報提供を行っている注意欠陥/多動性障害治療剤「インチュニブ」について、厚生労働省より成人患者(18歳以上)に対する適応追加による一部変更が承認されたことを公表しました。
血漿分画製剤
2019年1月8日に完了したShire社の買収後、当社は、血漿分画製剤に注力する新たなグローバルビジネスユニットを加えました。同ビジネスユニットは、希少疾患、生命に関わる疾患、慢性疾患および遺伝性疾患といった様々な病気の患者さんを効果的に治療するうえで重要となる血漿分画製剤について、増加するニーズに応えていきます。
[FLEXBUMIN 一般名:人血清アルブミン]
‐2019年3月、当社は、ジョージア州コヴィントンにある血漿分画製剤製造施設における「FLEXBUMIN 25%」(人血清アルブミン)、米国薬局方、25%のSolutionの製造に関する2度目の申請について、FDAより承認を得たことを公表しました。本製剤は血液量減少、低たんぱく血症(やけど、成人呼吸困難症候群(ARDS)、ネフローゼ)、心肺バイパス手術、新生児溶血性疾患(HDN)に対する効能を有しています。
ワクチン
ワクチンでは、革新技術を活かして、デング熱、ジカウイルス感染、ノロウイルス感染、ポリオ感染など、世界で最も困難な感染症に取り組んでいます。当社パイプラインの拡充およびプログラムの開発に対する支援を得るために、政府機関(日本、米国、シンガポール)や主要な世界的機関とのパートナーシップを締結しています。これらのパートナーシップは、私たちのプログラムを実行しそれらのポテンシャルを最大限に引き出すための重要な能力を構築するために必要不可欠です。
[デング熱ワクチン]
- 2019年1月、当社は、デング熱ワクチンの臨床第3相試験において主要評価項目を達成したことを公表しました。Tetravalent Immunization against Dengue Efficacy Study(TIDES)試験の初回解析で、当社が現在開発中の4価弱毒生デング熱ワクチン(TAK-003)によるデングウイルス4種の血清型のいずれかによって引き起こされるデング熱に対する予防効果が示されました。広範にわたるデータのレビューは進行中ですが、現時点ではTAK-003の安全性上の大きな懸念はなく良好な忍容性が確認されました。
将来に向けた研究プラットフォームの構築/研究開発における提携の強化
‐自社の研究開発機能向上への注力に加え、社外パートナーとの提携も、当社研究開発パイプライン強化のための戦略における重要な要素の一つです。2018年度、当社は40件以上の新規提携契約を締結しました。社外提携の拡充と多様化に向けた戦略により、様々な新製品の研究に参画し、当社が大きな研究関連のブレイクスルーを達成する可能性を高めます。当社の研究開発提携の詳細については、「ライセンスおよび共同研究開発」の項をご参照下さい。2018年4月、当社とDrugs for Neglected Diseases initiativeは、内臓リーシュマニア症の革新的な治療薬開発に向け、アミノピラゾール系化合物群の中から見出された医薬品候補化合物の前臨床試験および臨床第1相試験に協働して取り組む旨の契約を締結したことを公表しました。両試験は、開発途上国で必要とされる医薬品やワクチン等の研究開発を促進する国際的な官民パートナーシップである公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(Global Health Innovative Technology Fund)の助成案件に選定されています。
‐2018年5月、当社とあすか製薬は、当社が有する「relugolix」について、製品価値の最大化を目的に、日本における子宮筋腫の独占的販売権および子宮内膜症の独占的開発・販売権を、あすか製薬に導出するライセンス契約を締結したことを公表しました。今回のライセンス契約の対象は婦人科疾患領域であり、前立腺がんは含まれておりません。
‐2018年7月、当社とOvid Therapeutics Inc.は、「TAK-935/OV935」臨床開発プログラムの拡大について概要を公表しました。両社は、3つの臨床試験を開始する予定であり、それぞれドラベ症候群およびレノックス・ガストー症候群を有する小児患者を対象とした試験、サイクリン依存性キナーゼ様5(CDKL5)遺伝子変異症候群および15q重複症候群の小児患者を対象とした試験、実施されたTAK-935/OV935の臨床試験に参加した発達性およびてんかん性脳症(DEE)患者を対象とした延長試験です。
‐2018年8月、当社とAmbys Medicines社は、Ambys Medicines社の先進的な技術プラットフォームおよびパイプライン開発を推進することを目的とした提携契約を締結したことを公表しました。Ambys Medicines社は、現時点では治療不可能もしくは十分に治療できない様々な肝疾患において、肝機能の回復および肝不全への進行抑制という差し迫った医療ニーズに対し、細胞治療、遺伝子治療、機能獲得薬物療法を含む新規モダリティを臨床応用するため、先進的な取り組みを行っています。
‐2018年8月、当社と日本を拠点とする独立系の投資会社である株式会社ウィズ・パートナーズは、日本の創薬エコシステムの推進を目的とした投資組合の共同設立に関する基本合意書を締結したことを公表しました。本合意に基づき、ウィズ・パートナーズ社は、無限責任組合員として「創薬維新投資事業有限責任組合(創薬維新ファンド)を立ち上げました。当社は、100%子会社の創薬プラットフォームカンパニーであるアクセリードドラッグディスカバリーパートナーズ株式会社の株式を創薬維新ファンドに現物出資し、有限責任組合員として創薬維新ファンドの持分を保有します。
‐2018年12月、当社とグローバル抗菌薬研究開発パートナーシップ(Global Antibiotic Research and Development Partnership:GARDP)およびエーザイ株式会社(エーザイ)は、エーザイおよび当社の化合物ライブラリーを用いたGARDPによるスクリーニング実施に関する契約を締結したことを公表しました。今後、エーザイおよび当社から提供された化合物の抗菌活性試験はInstitut Pasteur Korea にて実施されます。複数のパートナーによる本契約は、新規抗菌薬の開発と持続可能なアクセスの担保により、深刻な細菌感染症に立ち向かうGARDPの取り組みを推し進めるものです。
‐2019年1月、当社は、がん免疫領域において新たな研究提携契約を締結したことを公表しました。がん免疫は、当社の戦略的フォーカスでも特に重要な領域です。これらの研究提携契約を通じ、当社は次世代のがん免疫療法の創出に向けた研究を加速します。本研究には、難治性がん患者さんのニーズに応える重要な機会となり得る新規の細胞療法に関する研究を含みます。
・当社は、Memorial Sloan Kettering Cancer Centerと共に、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、その他の固形がんの治療に向けた新規キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法の創出と開発に関する共同研究を行います。
・当社は、ノイルイミューン・バイオテック社との、2017年9月に開始した既存の共同研究契約におけるオプション権を行使しました。本共同研究の成果を受け、当社はノイルイミューン・バイオテック社が独自に開発した「Prime (Proliferation-inducing and migration-enhancing)」 CAR-T基盤技術を活用した、各種固形がんを治療標的とするNIB-102およびNIB-103の独占的ライセンスを取得し、今後、これらCAR-T細胞療法の共同開発を進めます。
・当社は、Crescendo Biologics社が持つオンコロジー領域におけるHumabody®技術の独占的ライセンスについてオプション権を行使し、これにより新規CAR-T治療の開発に向けたHumabody® VHs(完全ヒト型VHドメイン)のさらなる評価を行います。
パイプラインの現状
当社の各疾患領域および事業分野における研究開発活動の概要は、以下に示すとおりです。後出する主要な疾患領域および事業分野において開示されている当社パイプライン上の化合物は、それぞれ異なる開発段階にあり、現在開発中の化合物の開発中止や新規化合物の臨床ステージ入りにより、パイプラインの内容は今後変わる可能性があります。以下に示す化合物が製品として上市に至るかは、前臨床試験や臨床試験の結果、様々な医薬品の市場動向、規制当局からの販売承認取得の有無など、様々な要因に影響されます。以下の表記載は、米国・欧州・日本・中国に限定していますが、当社はその他の地域でも開発活動を行っています。以下、「グローバル」の表記は、米国・欧州・日本・中国を指します。
2019年5月14日(決算発表日)における当社グループのオンコロジー領域のパイプラインは以下のとおりです。
2019年5月14日(決算発表日)における当社グループの消化器系疾患領域のパイプラインは以下のとおりです。
2019年5月14日(決算発表日)における当社グループの希少疾患領域のパイプラインは以下のとおりです。
2019年5月14日(決算発表日)における当社グループのニューロサイエンス領域のパイプラインは以下のとおりです。
2019年5月14日(決算発表日)における当社グループの血漿分画製剤のパイプラインは以下のとおりです。
2019年5月14日(決算発表日)における当社グループのワクチンのパイプラインは以下のとおりです。
(注1)製品名および国/地域の記載は、米国・欧州・日本・中国のいずれかにおいて何らかの適応症で承認を取得し
た品目の製品名および国名であり、当社が該当品目の販売権を有していることを意味します。
(注2)ここでの国/地域の記載は、米国・欧州・日本・中国のいずれかにおける販売承認取得の意図をもって臨床試
験が進行中または承認申請済みであることを示しています。
(注3)TAK-906の旧開発コードはATC 1906です。2017年3月、当社はオプション権を行使し、Altos Therapeutics,
LLCを買収しました。
ライセンスおよび共同研究開発契約
当社は通常の事業において、製品開発および商業化のために第三者とライセンス契約や業務提携を行うことがあります。当社の事業は、こうした個々の契約に大きく依存するものではありませんが、これらの契約は全体として、社内外のリソースを組み合わせて活用することで新製品の開発や上市を可能にするという当社の戦略の一部を構成しています。これまで製品上市に寄与してきた契約の一部に関する概要は以下の通りであります。
- アドセトリス:2009年、当社はシアトルジェネティクス社と、「アドセトリス」のグローバル共同開発および世界各国(同社が本剤を販売している米国、カナダを除く)における販売の提携契約を締結しました。本提携関係に基づき、当社による開発ならびに販売の進捗に関してマイルストン支払が発生する可能性があります。また、契約対象地域における「アドセトリス」の正味売上高に基づき10%台半ばから20%台半ばの割合で段階的なロイヤルティを支払います。当社とシアトルジェネティクス社は、本提携関係のもとで実施される選択された開発活動の費用を均等に共同で負担します。本提携関係は、いずれか一方の当事者による正当な事由または両者の合意をもって解除することができます。当社は本提携関係を自由に解除でき、シアトルジェネティクス社は一定の状況において本提携関係を解除できます。両社により提携解除がなされなかった場合、本契約は全ての支払い義務の満了をもって自動的に終了します。2019年3月31日現在、当社の「アドセトリス」提携契約に基づく開発およびコマーシャルマイルストンの総支払見込額は、約47.5百万米ドルです。
- トリンテリックス:2007年9月、当社はH. Lundbeck A/S(以下、「ルンドベック社」)とライセンス、開発、供給および販売契約を締結し、同社の保有する気分障害・不安障害治療薬パイプライン上の複数の化合物について米国および日本における独占的な共同開発および共同販売権を取得しました。本契約に基づき、当社は米国で「トリンテリックス」を販売しております。本剤は日本ではまだ市販されていません。本契約に基づき、当社とルンドベック社は、開発資金の大部分を当社が負担することとし、関連化合物の共同開発に合意しました。「トリンテリックス」による収益は当社が計上し、当社はルンドベック社に対し売上の一部に加え、当社による本剤の売上に基づき10%台半ばから20%台半ばの割合で段階的なロイヤルティを支払います。本契約は無期限に存続しますが、両者の合意または正当な事由をもって解除されます。2019年3月31日現在、当社の「トリンテリックス」提携契約に基づく開発および販売マイルストンの総支払見込額は、約130百万米ドルです。
- アミティーザ:2004年10月、当社はSucampo Pharmaceuticals(後にMallinckrodtが買収、以下、「マリンクロット社」)と消化器系の適応症での「アミティーザ」の米国およびカナダにおける購買、開発および販売の契約を締結しました。本契約は2020年12月31日まで有効であり、当社により解除されるまで自動的に更新されます。本契約に基づき、当社はマリンクロット社から「アミティーザ」を合意された価格で購入し、北米における売上高に基づき10%台後半から20%台半ばの毎年見直される割合で段階的なロイヤルティを支払います。2021年1月1日以降は、当社とマリンクロット社で「アミティーザ」ブランドの販売による年間正味売上高を均等に分配します。当社とマリンクロット社は、一部を除いて、規制当局の指示による治験を含む開発費用を当社が負担し、該当費用が合意された上限額を超えた場合は超過分を均等に負担することに合意しております。同社とは、日本および中国を除く、他の国と地域についても類似の契約を締結しています。当社は、本契約の期間において、売上目標達成を条件とした追加のコマーシャルマイルストンの支払いと、年間販売活動に対する最低額の出費に合意しました。これらの支払いは、本剤の後発品発売により減額される可能性があります。2019年3月31日現在、当社の「アミティーザ」提携契約に基づく販売マイルストンの総支払見込額は、約50百万米ドルです。
当社の上記以外の研究開発ライセンスおよび提携は下表のとおりですが、これらに限定されません。
知的財産
特許や登録商標を用いて可能な限り自社の製品や技術を守ることは、当社の事業戦略において重要な部分を占めています。当社が市場競争力を維持し高めるためには、企業秘密、当社独自のノウハウ、技術的イノベーションおよび第三者との契約が欠かせません。当社がビジネス上の成功を収めることが出来るかどうかは、強固な特許を取得し行使する能力や、企業秘密を保護し続ける能力、第三者の知的財産権を侵害することなく事業を行う能力、付与されたライセンスの条件を遵守する能力に依存する場合があります。新薬の開発は長期間にわたり、研究開発は多くの費用を必要します。また、新化合物のうち上市されるものはごくわずかであることから、知的財産の保護は新薬の研究開発への投資の回収において重要な役割を担っています。
当社グループの低分子化合物は、主に物質特許によって保護されています。通常は物質特許の存続期間終了をもって当該医薬品の市場独占権は失われますが、その後も当該物質の用途、用法、製造方法、新規組成または剤型に関する特許等の非物質特許によって、商業利益が保護されることがあります。物質特許が満了した場合でも、各国の関連法規制によるデータ保護制度により対象製品が保護されることもあります。当社のバイオ製品は1件以上の物質特許によって保護されることがありますが、製品によっては物質特許以外の特許または規制当局によるデータ保護、またはその両方が適用されることもあります。しかし、競合会社によって、同じ疾患に対する類似製品および(または)バイオシミラーが当社の特許を侵害することなく開発され、販売されることがあることから、バイオ製品にとって特許による保護の重要性は伝統的な医薬品に比べて低いと思われます。
米国では、原則として出願から20年で特許は満了しますが、米国特許商標庁の審査遅延による特許の発行遅延があった場合は特許期間の調整が行われる可能性があります。また、製品、製品を使用した治療法、製品の製造方法に関する米国の医薬特許は、米国食品医薬品局(FDA)による製品の承認審査期間に応じて特許期間延長の対象となる場合があります。このような場合の存続期間の延長は5年を上限としており、製品の承認取得から14年を超える延長は認められません。FDAの遅延に基づく期間延長が認められるのは、1製品につき1件の特許のみです。FDAは、新規化合物または「オーファンドラッグ」に対しては、特許独占権に加えて、データあるいは市場の独占権を追加付与することがあり、これらは既にある特許保護期間と並行して存続します。データ保護規制またはデータ独占権は、ジェネリック医薬品を発売し得る競合他社が、先発品の安全性および有効性を確立する際にスポンサーが作成した臨床試験データを7年間使用できないようにするものです。市場独占権は、同一薬剤を同効(同じ適応症)に対して販売することを禁止するものです。
日本では、有効成分については、特許庁が特許を付与します。用量や投与方法など、治療法は日本では特許の対象となりませんが、特定の用法・用量にて使用する医薬組成物や、医薬組成物の製造方法については、特許の対象となります。日本では原則として出願より20年で特許は満了します。医薬特許は、承認までの審査に要した時間により、5年を限度として延長されることがあります。また、日本ではデータ保護制度として「再審査期間」を設けており、その期間は新有効成分含有医薬品については8年、新効能・新医療用配合剤については4年から6年、オーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)については10年となっています。
欧州連合(EU)では、欧州特許庁(EPO)または欧州各国で特許を申請することができます。EPOの制度では、EU全体およびスイス、トルコ等のいくつかのEU非加盟国での特許を一括申請することができます。EPOが特許を付与すれば、特許権者が指定する国々において特許が有効となります。EPOまたは欧州諸国のいずれかが認める特許の存続期間は、延長や調整があり得ますが、原則として出願から20年です。医薬品の特許は、補充的保護証明書(SPC)制度のもと、さらに追加の独占期間を付与されます。SPCは、特許権者が欧州医薬品庁または各国の規制当局から販売承認を受けるのに要した時間を補償する制度です。SPCにより、特許期間とあわせて、欧州で最初の販売承認を取得した日から最長15年の独占権を与えられます。ただし、SPCの最長期間は5年です。認可された小児臨床試験計画によるデータが提出された製品であれば、6か月の小児用医薬品に係る延長が認められます。SPC制度を含め、承認後の特許は、各国の法制度により運用されています。特許およびSPCに関する規制はそれぞれ欧州特許庁およびEUのレベルで作られましたが、国ごとの運用の違いにより、必ずしも同じ結果にはつながりません。また、EUは承認されたヒト用医薬品につき、特許保護と並行してデータ独占権を与えています。現在承認されている医薬品に関する制度は、通常「8+2+1」と呼ばれています。これは、まず初めに競合他社が関連データに依拠することができないデータ保護期間が8年間、続いて競合他社が販売承認申請のために当該データを使用できるものの、競合品を上市することができない市場独占期間が2年間、さらに、スポンサーが最初のデータ保護期間8年間の間に、他の治療薬が存在しない適応症か「既存治療薬に比べて有意な臨床的有効性」が認められる新たな適応症を追加した場合、追加で1年間の市場独占権を認めるものです。これは各国での承認にもEUの中央審査による承認にも当てはまります。また、EUには米国の類似したオーファンドラッグの独占制度があります。医薬品がオーファンドラッグとして指定された場合、10年間の市場独占権が与えられ、この間当該医薬品と同じ適応症を持つ同様の医薬品には販売承認が付与されません。特定の条件下では、さらに2年間の小児用医薬品に係る延長が認められます。
当社製品の関連特許満了後の後発品の市場参入や、競合他社によるOTC医薬品の発売等、当社は世界中で知的財産に関わる課題に直面しています。当社のグローバルジェネラルカウンセルは、知的財産権および法務の業務について監督責任を負っています。当社の知的財産部は、下記3つの優先事項に注力することにより、当社の全社的な戦略をサポートしています。
・疾患領域別ユニットの戦略に沿った自社製品および研究開発パイプラインの価値の最大化および関連する権利
の保護
・パートナーとの提携サポートによる外部イノベーションのよりダイナミックな活用の促進
・新興国市場を含む世界各国での知的財産権取得および保護
当社の知的財産権が侵害されることは、それらの権利から得ることが期待される収益が失われるリスクとなるため、当社は特許やその他の知的財産を管理するための内部プロセスを整備しています。このプログラムでは、第三者からの侵害に継続的に警戒するともに、当社の自社製品および活動が第三者の知的財産を侵害しないよう、製品開発段階から注意を払っています。
通常の事業活動において、当社の特許は第三者から異議の申し立てを受ける可能性があります。当社は、当事者として知的財産権に関する訴訟等に関与しております。継続中の重要な訴訟の詳細については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 連結財務諸表注記 32 コミットメント及び偶発負債 (5)訴訟」をご参照ください。
下表では、記載された製品について、対象地域ごとに、存続している物質特許およびデータ保護期間(以下、「RDP」)(米国およびEU)もしくは再審査期間(以下、「RP」)(日本)ならびに満了日を記載しております。RDPとRPについてはそれらの制度的な独占期間が特許満了日後にも与えられる場合にのみ記載しています。特許期間の延長(PTE)、補充的保護証明書(SPC)、小児用医薬品に係る独占期間(以下、「PEP」)は当局により認められたものについては満了日に反映され、申請手続中で認められていないものについては、延長された満了日を別途記載しています。
当社のバイオ医薬品は、下記の特許満了期間に関わらず、同じ適応症に対する類似製品またはバイオシミラーを製造する他社との競争に直面するか、今後直面する可能性があります。また、欧州の特許の一部は、SPCにより、いくつかの国で下表に記載の満了期限を超えて対象製品に追加的な保護が付与されます。
(注1) 表中の「―」は物質特許の満了または該当なしを表します。
(注2) 日本では、後発品の承認申請は、先発品の再審査期間終了後に行われ、規制当局による審査の後、承認、薬価収載されます。したがって、後発品は再審査期間の満了後から一定の期間を経て市場に参入します。
(注3) 本製品は、第三者への導出契約を締結しているため、全ての地域で当社が販売を行っているわけではありません。
(注4) 本製品は、特定の地域限定で第三者からの導入契約を締結しているため、全ての地域で当社が販売を行っているわけではありません。詳細については「ライセンスおよび共同研究開発契約」をご参照ください。
(注5) ANDA申請者との合意により、2021年1月以降(または一定の状況下でより早期)に後発品が発売される可能性があります。
(注6) ANDA申請者との合意により、2023年3月以降に後発品が発売される可能性があります。
(注7) これらの医薬品は血漿分画製剤です。
(注8) LEUPLIN/ENANTONE は日本では2019年9月まで6か月製剤に対して再審査期間が定められています。
(注9) 米国または欧州市場への販売許可の時期により、2026年7月以降、後発品またはバイオシミラーが発売される可能性があります。