【連結財務諸表注記】
1 報告企業
武田薬品工業株式会社(以下、「当社」)は、日本に所在する上場企業であります。当社および当社の子会社(以下、「当社グループ」)は、バリュー(価値観)、すなわち当社の経営の基本方針に基づき患者さんを中心に考える、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品企業です。当社グループは、革新的なポートフォリオを有し、医薬品の研究、開発、製造、および販売を主要な事業としております。当社グループの主要な医薬品には、当社の主要なビジネスエリアである消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ニューロサイエンス(神経精神疾患)の医薬品が含まれております。
当社グループは、既存事業の自立的な伸長とこれまで実施した複数の企業買収を通じて、疾患領域、地理的拠点、パイプラインの拡大を推進し、成長してまいりました。2019 年1月には、希少疾患やその他特殊疾患に強みを持つグローバルなバイオ医薬品企業であるShire plc(以下、「Shire 社」)を6,213,335百万円で買収しております(注記31)。
2 作成の基礎
当社グループの連結財務諸表は連結財務諸表規則第1条の2に規定する「指定国際会計基準特定会社」の要件をすべて満たすことから、連結財務諸表規則第93条の規定により、IFRSに準拠して作成しております。
当社グループの連結財務諸表は、2019年6月27日に代表取締役社長CEO クリストフ ウェバーおよび取締役CFO コンスタンティン サルウコスによって承認されております。
連結財務諸表は、投資、デリバティブおよび条件付対価等の公正価値で測定される特定の資産および負債を除き、取得原価を基礎として作成しております。
当社グループの連結財務諸表は当社の機能通貨である日本円で表示されており、特に記載のない限り、百万円未満を四捨五入して表示しております。
2019年3月期において当社グループは以下の基準書を適用しております。
IFRS第9号「金融商品」
2014年7月にIFRS第9号「金融商品」(以下、「IFRS第9号」)の基準の最終確定が行われ、当社グループは2018年4月1日より適用を開始しております。IFRS第9号は、IAS第39号の要求事項を大幅に置き換え、金融資産および金融負債の認識、分類、測定、および認識の中止を規定しております。また、発生損失ではなく予想損失に基づく金融資産の新たな減損モデルならびに新たなヘッジ会計モデルを導入しています。当社グループへの主たる影響は、適用開始日である2018年4月1日において特定の売却可能金融商品を公正価値で再測定することであります。
当社グループは、一般的には将来に向かって適用されるヘッジ会計の影響を除き、分類および測定(減損を含む)に関して過年度の比較情報を修正再表示せずに遡及的にIFRS第9号を適用しております。適用による累積的な影響額はIFRS第9号の適用日(2018年4月1日)時点で資本に認識しております。この結果、当期首の利益剰余金およびその他の資本の構成要素がそれぞれ14,073百万円および10,257百万円増加しております。また、その他の金融資産(非流動)が32,809百万円、その他の金融資産(流動)が856百万円、繰延税金負債が9,345百万円それぞれ増加しており、非支配持分が10百万円減少しております。また、当社グループが選択した通り、2018年3月期の情報はIFRS第9号の要求事項を反映しておりません。IAS第39号およびIFRS第9号における会計方針の詳細な内容については、重要な会計方針(注記3)をご参照ください。
当社グループは資本性金融商品をその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産として分類するという取消不能の選択をしております。この分類に関する指定は、予見し得る一定期間にわたってこれら金融商品を保有する当社グループの意図に基づいて行っております。公正価値の変動額はその他の包括利益として認識し、清算または売却等により資本性金融商品の認識を中止した場合はその他の包括利益の累計額を利益剰余金に振り替えております。
また、IFRS第9号に基づく金融資産の分類は、原則として金融資産を管理している事業モデルおよび金融資産の契約上のキャッシュ・フローの特徴に基づいて行われます。なお、事業モデルの判定は、適用開始日現在の事実および状況に基づいて行っております。
償却原価で測定される金融資産の減損損失は、以前は発生損失モデルを用いて測定しておりましたが、現在は予想信用損失モデルを用いて測定しています。新基準の適用により損失評価引当金および減損損失の金額に重要な影響はありません。
当社グループは、純損益を通じて公正価値で測定される金融負債への指定を行っていません。IFRS第9号の適用後、当社グループの金融負債の分類および測定に変更はありません。
IFRS第9号の適用による、当社グループの金融負債およびデリバティブへの重要な影響はありません。
当該基準により導入された新たなヘッジ会計モデルは、ヘッジ関係が当社グループのリスク管理目的および戦略に基づいていること、ヘッジ有効性の評価にあたりより定性的かつ将来予測的なアプローチを適用すること、ヘッジ関係が適格要件を満たさなくなった場合にのみヘッジ会計を中止することを要求しています。なお、2018年3月31日時点においてIAS第39号に基づき指定されていたすべてのヘッジ関係は、2018年4月1日時点においてIFRS第9号のヘッジ会計の要件を満たしていたため、ヘッジ関係の継続とみなされております。
さらに、IAS第39号では通貨のベーシス・スプレッドはキャッシュ・フロー・ヘッジに含めてその他の資本の構成要素に計上しておりましたが、IFRS第9号ではヘッジコストとして区分して会計処理され、その結果、その他の資本の構成要素の独立項目であるヘッジコストに計上されます。IFRS第9号適用によるヘッジ会計の影響は、一部の処理が遡及的に適用されるという例外を除き、一般的には将来に向かって適用されます。当社グループは、通貨のベーシス・スプレッドをヘッジコストとして会計処理するアプローチの遡及適用について比較期間を修正再表示しております。2018年3月31日において遡及修正によりヘッジコストが1,606百万円計上され、キャッシュ・フロー・ヘッジが同額減少しております。
適用開始日におけるIAS第39号およびIFRS第9号に従った金融資産の測定区分および帳簿価額は以下の通りです。
適用開始日における金融資産の帳簿価額の変動は以下の通りです。
IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」
当社グループはIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」(以下、「IFRS第15号」)の適用を2018年4月1日に開始しております。IFRS第15号は、顧客とのあらゆる契約から生じる収益の認識について、原則に基づく単一のアプローチを定めております。IFRS第15号は契約上の履行義務の識別に重点を置いており、履行義務が充足された時点で、または充足されるにつれて、収益を認識することを要求しています。また、IFRS第15号はより詳細な収益の開示要求を定めています。IFRS第15号の適用が収益認識の金額および時点に与える重要な影響はありません。
医薬品の販売から生じる収益に関連する収益認識の金額および時点、ならびに売上控除の見積りの基礎に変更はありません。
従前の基準では、導出契約から生じる売上収益に関連して受け取った対価を権利の移転に伴い収益認識すること、および関連するロイヤルティ収益を契約の実質および残存する履行義務に従って発生主義で認識することが求められていました。新基準適用の結果、受取対価の配分の基礎、残存履行義務への収益の配分および収益認識時点に変更がありましたが、その影響に重要性はありません。
当社グループは修正遡及アプローチを選択しております。修正遡及アプローチを適用する場合のIFRS第15号の要求事項に従い、2018年4月1日現在の資本に対して累積的影響額を調整し、過年度実績の修正再表示は行いません。
IFRS第15号の適用により、導出契約に関連する受取対価の履行義務への収益配分の基礎が異なることから、適用日時点のその他の非流動負債、その他の流動負債、および繰延税金資産がそれぞれ1,247百万円、495百万円、および414百万円減少し、当期首の利益剰余金が1,328百万円増加しております。
なお、当年度において、IAS第18号を適用した場合と比較し、IFRS第15号の適用が連結財務諸表に与える影響は軽微であります。
連結財務諸表の承認日までに公表されている主な基準書の新設または改訂は次のとおりであります。これらの基準書の新設または改訂は未発効であり、当年度において当社グループはこれらを早期適用しておりません。
IFRS第16号「リース」
IFRS第16号「リース」(以下、「IFRS第16号」)は、ほとんどすべてのリース取引についてリース負債および使用権資産を財政状態計算書において認識することを要求しております。これにより、現在、売上原価、販売費及び一般管理費、研究開発費、およびその他の営業費用に計上されているオペレーティング・リースに係る費用のうち、財務的要素は金融費用として報告されることとなります。また、連結キャッシュ・フロー計算書において、現在、営業活動によるキャッシュ・フローに含まれていたリース料の支払は、財務活動によるキャッシュ・フローに含めて報告されることとなります。当社グループは2019年4月1日よりIFRS第16号を適用します。
借手側の会計処理は、各報告期間を遡及的に修正する方法(遡及アプローチ)か遡及修正による累積的影響額を適用日時点で認識する方法(修正遡及アプローチ)かを選択することができます。当社グループは修正遡及アプローチを選択することを決定しております。修正遡及アプローチにおいては、リース負債は適用日時点の残存リース料を同時点の追加借入利子率で割り引いた現在価値で測定されます。また、使用権資産はリース負債の測定額に前払リース料、未払リース料、不利なリース契約、および企業結合にかかる公正価値の修正を調整した金額で認識されます。
IFRS第16号適用により、当社グループは、既存のファイナンス・リースを除いて、リース負債がおよそ2,200億円、使用権資産がおよそ2,000億円、それぞれ増加すると見込んでおります。これらの資産総額および負債総額は、Shire社買収により取得したリース取引の影響額を含んでおります。
IFRIC第23号「法人所得税務処理に関する不確実性」
IFRIC第23号「法人所得税務処理に関する不確実性」(以下、「IFRIC第23号」)は、税務当局が不確実な税務処理を認める可能性が高いと考えられる場合には、その税務処理に基づいて税額を算定することを明確化しています。税務処理が認められる可能性が高くないと結論付けた場合には、不確実性の影響を見積り、税金費用に反映する必要があります。不確実性の評価においては、税務当局が報告金額に関連性のあるすべての情報を把握していることを仮定することが要求されます。当社グループは2019年4月1日よりIFRIC第23号を適用します。
その他の基準書
上記に加え、以下の基準書の改訂および適用指針が公表されております。
・IFRS第10号およびIAS第28号の改訂「投資者とその関連会社または共同支配企業の間での資産の売却または拠出」。
IASBは当該改訂の発行日の延期を決定しております。
・IFRS第9号の改訂「負の補償を伴う期限前償還要素」
・IAS第19号の改定「制度改訂、縮小または清算」
・IAS第28号の改訂「関連会社または共同支配企業に対する長期持分」
・IFRS年次改善2015-2017年サイクル(2017年12月公表) IFRS第3号「企業結合」、IFRS第11号「共同支配の取決め」、IAS第12号「法人所得税」、およびIAS第23号「借入費用」の改善を含む
IFRIC第23号ならびに上記の基準書の改訂および適用指針の適用による連結財務諸表への重要な影響は見込んでおりません。また、これらの基準書の改訂および適用指針は、早期適用も認められておりますが、当社グループは早期適用を予定しておりません。
IFRSに準拠した連結財務諸表の作成にあたり、経営者は会計方針の適用ならびに資産、負債、収益および費用の金額、ならびに偶発資産および偶発負債の開示に影響を及ぼす判断、見積りおよび仮定の設定を行うことが義務付けられております。実際の業績はこれらの見積りとは異なる場合があります。
見積りおよびその基礎となる仮定は、継続的に見直されます。会計上の見積りの変更による影響は、その見積りを変更した会計期間および影響を受ける将来の会計期間に認識されます。
会計方針を適用する過程で行われた判断および見積り、ならびに会計上の見積りおよび仮定のうち、連結財務諸表に報告された金額に重大な影響を及ぼすものに関する情報は以下のとおりであります。
・不確実な税務上のポジションに基づく税金の認識および測定(注記7)
・繰延税金資産の回収可能性(注記7)
・有形固定資産、のれんおよび無形資産の減損(注記10、11、12)
・企業結合により取得した資産および引き受けた負債ならびに条件付対価の公正価値の測定(注記21、31)
・確定給付債務の測定(注記22)
・当社グループの製品販売に伴う割戻および返品に対する見積りを含む引当金の測定(注記23)
・株式報酬に関する評価における仮定(注記28)
・偶発負債の将来の経済的便益の流出の可能性(注記32)
3 重要な会計方針
当連結財務諸表は、当社および当社が直接的または間接的に支配する子会社の財務諸表に基づき作成しております。当社グループ内の重要な債権債務残高および取引は、連結財務諸表の作成に際して消去しております。
当社グループは、企業への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャーまたは権利を有し、企業に対するパワー、すなわち関連性のある活動を指図する現在の能力を用いて、当該リターンに影響を及ぼすことができる場合に、当該企業を支配しております。当社グループが企業を支配しているかどうかの判定に際しては、議決権または類似の権利の状況、契約上の取決めおよびその他の特定の要因が考慮されます。
子会社の財務諸表は、支配開始日から支配終了日までの間、当社グループの連結財務諸表に含まれております。また子会社の財務諸表は、当社が採用する会計方針との整合性を確保する目的で必要に応じて調整しております。
子会社に対する所有持分の変動で支配の喪失とならないものは、資本取引として会計処理しております。非支配持分の変動額と対価の公正価値との差額は、親会社の所有者に帰属する持分として資本に直接認識されております。子会社に対する支配を喪失した場合、支配喪失後も保持する持分を、支配喪失日現在の公正価値で再測定し、再測定および持分の処分に係る利得または損失を、純損益に認識しております。
関連会社とは、当社グループがその財務および経営方針に対して重要な影響力を有しているものの、支配または共同支配をしていない企業をいいます。関連会社への投資は、持分法を用いて会計処理しており、取得時に取得原価で認識しております。その帳簿価額を増額または減額することで、取得日以降の関連会社の純損益およびその他の包括利益に対する当社グループの持分を認識しております。持分法適用会社との取引から発生した未実現利益は、関連会社に対する当社グループ持分を上限として投資から消去しております。未実現損失は、減損が生じている証拠がない場合に限り、未実現利益と同様の方法で投資から消去しております。
共同支配の取決めとは、複数の当事者が共同支配を有する取決めをいいます。共同支配とは、取決めに対する契約上合意された支配の共有をいい、関連性のある活動に関する意思決定が、支配を共有している当事者の全員一致の合意を必要とする場合にのみ存在します。当社グループは、共同支配の取決めを、当社グループの、その取決めの資産に対する権利または負債に係る義務により、ジョイント・オペレーション(共同支配に参加している投資企業が、関連する資産に対する権利および負債に対する義務を直接的に有しているもの)と、ジョイント・ベンチャー(事業を各投資企業から独立した事業体が担っており、各投資企業は当該事業体の純資産に対してのみ権利を有するもの)に分類しております。
ジョイント・オペレーションについては、その持分に関連した資産、負債、収益および費用を認識しております。ジョイント・ベンチャーについては、持分法を適用して会計処理しております。各決算日において、当社は、関連会社またはジョイント・ベンチャーに対する投資が減損しているという客観的な証拠があるかどうかを判断します。客観的な証拠がある場合、当社は、関連会社またはジョイント・ベンチャーに対する投資に係る回収可能価額と帳簿価額の差額を減損損失として測定し、純損益に認識しております。
企業結合は、取得法を適用して会計処理をしております。被取得企業における識別可能な資産および負債は取得日の公正価値で測定しております。のれんは、企業結合で移転された対価の公正価値、被取得企業の非支配持分の金額、および取得企業が以前に保有していた被取得企業の資本持分の公正価値の合計が、取得日における識別可能な資産および負債の正味価額を上回る場合にその超過額として測定しております。当社グループは、取得日において、被取得企業が様々な機能通貨を持つ多くの在外営業活動体で構成される場合、在外営業活動体のキャッシュ・フローを基礎として買収時に認識したのれんを当該在外営業活動体に配分しております。
企業結合で移転された対価は、取得企業が移転した資産、取得企業に発生した被取得企業の旧所有者に対する負債および取得企業が発行した資本持分の取得日における公正価値の合計で計算しております。当社グループは非支配持分を公正価値もしくは被取得企業の識別可能な純資産に対する非支配持分相当額で測定するかについて、企業結合ごとに選択しております。
特定の企業結合の対価には、開発マイルストンおよび販売目標の達成等の将来の事象を条件とする金額が含まれております。企業結合の対価に含まれる条件付対価は、取得日現在の公正価値で計上しております。一般的に、公正価値は適切な割引率を用いて割り引いたリスク調整後の将来のキャッシュ・フローに基づいております。公正価値は、各報告期間の末日において見直しております。貨幣の時間的価値による変動は「金融費用」として、その他の変動は「その他の営業収益」または「その他の営業費用」としてそれぞれ連結純損益計算書に認識しております。
取得関連費用は発生した期間に費用として処理しております。当社グループと非支配持分との取引から生じる所有持分の変動は、子会社に対する支配の喪失とならない場合には資本取引として会計処理し、のれんの調整は行っておりません。
外貨建取引は、取引日の為替レートまたはそれに近似するレートで機能通貨に換算しております。決算日における外貨建貨幣性項目は、決算日の為替レートで、公正価値で測定される外貨建非貨幣性項目は、当該公正価値の算定日の為替レートで、それぞれ機能通貨に換算しております。取得原価で測定される外貨建の非貨幣性項目は、当初の取引日の直物為替レートで機能通貨に換算しております。
当該換算および決済により生じる換算差額は純損益として認識しております。ただし、その他の包括利益を通じて測定される金融資産、在外営業活動体に対する純投資のヘッジ手段として指定された金融商品およびキャッシュ・フロー・ヘッジから生じる換算差額については、その他の包括利益として認識しております。公正価値で測定される非貨幣性項目の換算から生じる為替差額は、当該項目の公正価値変動から生じる利得または損失の認識と整合する方法で会計処理されます。(すなわち、公正価値の変動から生じる利得または損失がその他の包括利益に認識される場合には、当該項目に係る為替差額はその他の包括利益に、公正価値変動から生じる利得または損失が純損益に認識される場合には、当該項目に係る為替差額は純損益に認識されます。)
在外営業活動体の財政状態計算書の資産および負債は、その財政状態計算書の日現在の為替レートで、純損益およびその他の包括利益を表示する各計算書の収益および費用は、取引日の為替レートまたはそれに近似するレートで換算しております。
当該換算により生じる換算差額は、その他の包括利益として認識しております。在外営業活動体が処分された場合には、当該営業活動体に関連した換算差額の累計額を処分損益の一部として認識しております。
当社グループの製品販売、サービス提供にかかる売上収益は、約束した財およびサービスの支配が顧客に移転し、顧客との契約上の約束(履行義務)が充足された時点で認識しております。一般的には、出荷時または顧客による受領時点もしくはサービスが履行された時点で収益は認識されます。収益の認識額は、当社グループが財およびサービスと交換に受け取ると見込んでいる対価に基づいております。契約に複数の履行義務が含まれる場合、対価は独立販売価格の比率で各履行義務に配分しております。
当社グループが財およびサービスと交換に受け取る対価は固定金額または変動金額の場合があります。変動対価は重要な戻入れが生じない可能性が非常に高い場合のみ認識しております。変動対価の最も一般的な要素は次の通りです。
・政府機関、卸売業者、小売業者、医療機関およびその他の顧客に対する割戻および値引に関する見積りは、関連する売上収益が計上された時点で収益の金額から控除されます。これらは過去の経験および個々の契約の条項を基に算定しております。
・現金値引は、関連する売上収益が計上された時点で収益の控除項目として認識されます。
・返品調整引当金は、当社グループが返品権がある製品を顧客に販売した際に、顧客との返品の合意にかかる当社グループの過去の経験から将来の返品見込額を合理的に見積ることができる場合に収益の控除項目として認識されます。その際、顧客からの返品に関する過去の経験およびその他の関連する要因を考慮して決定された返品見込率が使用されます。返品見込率を請求額に乗じて将来の返品見込額を見積ります。
当社グループは、一般的に製品が顧客に引き渡された時点から120日以内に顧客から支払を受けます。当社グループは主としてそれらの取引を本人として履行しますが、他の当事者に代わって販売を行うことがあります。その場合は、代理人として受け取ることが見込まれる販売手数料の金額が収益として認識されます。
当社グループは、知的財産の導出にかかるロイヤルティ、契約一時金およびマイルストンにかかる収益を計上しております。知的財産にかかるロイヤルティ収益は、基礎となる売上が発生した時点で認識しております。契約一時金にかかる収益は、一般的にはライセンスの使用権を付与した時点で認識されます。マイルストンにかかる収益は、一般的にはマイルストンの支払条件が達成される可能性が非常に高く、認識した収益の額の重大な戻入が生じない可能性が非常に高くなった時点で認識しております。導出した化合物の研究開発等のその他のサービスにかかる収益については、サービスの提供期間に応じて認識しております。
当社グループは、一般的に知的財産の導出契約の締結または顧客によるマイルストンの支払条件の達成の確認から60日以内に顧客から支払を受けます。当社グループはグループの知的財産を導出しているため、本人として契約を履行しております。また、当社グループはその他のサービスも本人として提供しております。
政府補助金は、補助金交付のための付帯条件を満たし、補助金が受領されることについて合理的な保証が得られる場合に認識しております。有形固定資産の取得に対する補助金は、繰延収益として計上し、関連する資産の耐用年数にわたって規則的に純損益に認識し、対応する費用から控除しております。発生した費用に対する補助金は、補助金で補償することが意図されている関連コストを費用として認識する期間に純損益として認識し、対応する費用から控除しております。
広告宣伝費は発生時に費用として計上しております。2018年3月期および2019年3月期の広告宣伝費は、それぞれ115,708百万円および106,755百万円であります。
研究費は発生時に費用として認識しております。内部開発費は、IAS第38号「無形資産」に従って資産の認識要件を満たす場合、通常は主要市場において規制当局に対して提出した申請書が認可される可能性が非常に高いと判断される場合に資産化しております。規制上またはその他の不確実性により資産の認識要件が満たされない場合には、支出を純損益に認識しております。研究開発に使用する有形固定資産は、資産計上した後、当該資産の見積耐用年数にわたり減価償却しております。
法人所得税は当期税金と繰延税金との合計額であります。当期税金および繰延税金は、企業結合に関連する法人所得税、および同一または異なる期間に、純損益の外で、すなわちその他の包括利益または資本に直接認識される項目に関連する法人所得税を除き、純損益に認識されます。
当期未払税金および未収税金は当期の課税所得に基づき計上しております。課税所得は、非課税項目、課税控除項目、または税務上異なる会計期間に課税対象または課税控除となる項目を含まないため、会計上の損益とは異なります。当年度および過年度の未払法人所得税および未収法人所得税等は、決算日において施行されている、または実質的に施行されている法定税率および税法を使用し、税務当局に納付または税務当局から還付されると予想される額を、法人所得税に関連する不確実性を合理的に加味した上で算定しております。当社グループの当期税金には、不確実な税務ポジションに関する負債が含まれております。
繰延税金は、決算日における資産および負債の税務基準額と会計上の帳簿価額との間の一時差異に基づいて算定しております。繰延税金資産は、将来減算一時差異、未使用の繰越税額控除および繰越欠損金について、それらを回収できる課税所得が生じると見込まれる範囲において認識しております。これには、将来の課税所得および事業計画の可能性を評価する必要がありますが、本質的に不確実性を伴います。将来の課税所得の見積りの不確実性は、当社が事業活動を行う経済の変化、市場状況の変化、為替変動の影響、または他の要因により増加する可能性があります。当社グループの繰延税金には、不確実な税務ポジションに関する負債が含まれております。繰延税金負債は、原則として、将来加算一時差異について認識しております。
なお、以下の場合には、繰延税金資産または負債を計上しておりません。
・のれんの当初認識から将来加算一時差異が生じる場合
・企業結合でない取引で、かつ取引時に会計上の利益にも課税所得(欠損金)にも影響を与えない取引における資産または負債の当初認識から一時差異が生じる場合
・子会社、関連会社に対する投資に係る将来減算一時差異に関しては、予測可能な将来に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合、または当該一時差異の使用対象となる課税所得が稼得される可能性が低い場合
・子会社、関連会社に対する投資に係る将来加算一時差異に関しては、当社が一時差異の解消の時点をコントロールすることができ、予測可能な将来に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合
繰延税金資産および負債は、決算日における法定税率または実質的法定税率および税法に基づいて一時差異が解消される時に適用されると予想される税率で算定しております。
繰延税金資産および負債は、当期税金資産と当期税金負債を相殺する法律上強制力のある権利を有し、かつ同一の税務当局によって同一の納税主体に対して課されている場合、相殺しております。
基本的1株当たり利益は、当社の普通株主に帰属する当期利益を、その期間の自己株式を調整した発行済普通株式の加重平均株式数で除して計算しております。希薄化後1株当たり利益は、希薄化効果を有するすべての潜在株式の影響を調整して計算しております。
有形固定資産は原価モデルで測定しており、取得原価から減価償却累計額および減損損失累計額を控除した価額で表示しております。取得原価には、資産の取得に直接付随する費用、解体、除去および原状回復費用の当初見積額等が含まれております。土地および建設仮勘定以外の資産の減価償却費は、見積耐用年数にわたり、主として定額法で計上しております。リース資産の減価償却費は、リース期間の終了時までに所有権を取得することに合理的確実性がある場合を除き、リース期間と見積耐用年数のいずれか短い方の期間にわたり定額法で計上しております。これらの資産の減価償却は、使用可能となった時点から開始しております。
主な資産の種類別の耐用年数は以下のとおりであります。
企業結合から生じたのれんは、取得原価から減損損失累計額を控除した価額で表示しております。のれんは償却を行わず、予想されるシナジーに基づき資金生成単位または資金生成単位グループに配分し、年次または減損の兆候がある場合にはその都度、減損テストを実施しております。のれんの減損損失は純損益として認識され、その後の戻入れは行っておりません。
上市後製品
上市後製品に係る無形資産は、特許が存続する見込期間に基づき、3-20年にわたって定額法で償却しております。上市後製品に係る無形資産の償却費は、連結純損益計算書の「製品に係る無形資産償却費及び減損損失」に含まれております。製品に係る無形資産は、様々な包括的な権利を有し、製品の販売、製造、研究、マーケティング、流通に貢献し、複数の事業機能に便益をもたらすため、「製品に係る無形資産償却費及び減損損失」は、連結純損益計算書に独立して記載されております。
仕掛研究開発品
当社グループは、製品および化合物の研究開発プロジェクトにおいて、第三者との共同研究開発および導入契約を定期的に締結しております。通常、共同研究開発契約については、契約後の開発マイルストンに応じた支払いが行われます。一方、導入契約については、契約一時金および契約後の開発マイルストンに応じた支払いが行われます。導入契約に係る契約一時金は導入契約の開始時に、開発マイルストンの支払についてはマイルストンの達成時に資産計上しております。
開発中の製品に係る無形資産は使用可能ではないため償却しておりません。これらの無形資産は、年次または減損の兆候がある場合はその都度、減損テストを実施しております。無形資産の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には、減損損失を計上しております。開発段階で失敗、または何らかの理由により開発中止となった製品に係る無形資産は、回収可能価額(通常はゼロ)まで減額しております。
開発中製品の商用化が承認された場合は、その時点で、研究開発中の資産を上市後製品に係る無形資産に振り替え、製品の製造販売承認日から見積耐用年数にわたって償却しております。
ソフトウェアは取得原価で認識し、3-10年の見積耐用年数にわたって定額法で償却しております。ソフトウェアの償却費は、連結純損益計算書の「売上原価」「販売費及び一般管理費」「研究開発費」に含まれております。
リースは、所有に伴うリスクと経済価値を実質的にすべて借手に移転する場合には、ファイナンス・リースとして分類し、ファイナンス・リース以外のリースは、オペレーティング・リースとして分類しております。
ファイナンス・リースについては、リース期間の起算日においてリース開始日に算定したリース物件の公正価値またはリース開始日に算定した最低支払リース料総額の現在価値のいずれか低い金額で、連結財政状態計算書に資産および負債として認識しております。
オペレーティング・リースについては、リース料は他の規則的な方法により利用者の便益の時間的パターンがより良く表される場合は別として、リース期間にわたり定額法によって費用として計上しております。
当社グループでは、決算日現在で、棚卸資産、繰延税金資産、売却目的で保有する資産、および退職給付に係る資産を除く非金融資産の帳簿価額を評価し、減損の兆候の有無を検討しております。
減損の兆候がある場合または年次で減損テストが要求されている場合には、各資産の回収可能価額の算定を行っております。個別資産についての回収可能価額の見積りが不可能な場合には、当該資産が属する資金生成単位の回収可能価額を見積っております。資産または資金生成単位の回収可能価額は、処分コスト控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い方の金額で測定しております。使用価値は、見積った将来キャッシュ・フローを現在価値に割り引くことにより算定しており、使用する割引率は、貨幣の時間価値、および当該資産に固有のリスクを反映した利率を用いております。
資産または資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には、当該資産の帳簿価額をその回収可能価額まで減額し、減損損失を純損益として認識しております。
過年度に減損を認識した、のれん以外の資産または資金生成単位については、決算日において過年度に認識した減損損失の減少または消滅している可能性を示す兆候の有無を評価しております。そのような兆候が存在する場合には、当該資産または資金生成単位の回収可能価額の見積りを行い、回収可能価額が帳簿価額を超える場合、算定した回収可能価額と過年度で減損損失が認識されていなかった場合の減価償却または償却額控除後の帳簿価額とのいずれか低い方を上限として、減損損失を戻入れております。減損損失の戻入れは、直ちに純損益として認識しております。
棚卸資産は、原価と正味実現可能価額のいずれか低い額で計上しております。原価は主として総平均法に基づいて算定されており、購入原価、加工費および棚卸資産を現在の場所および状態とするまでに発生したその他の費用が含まれております。正味実現可能価額とは、通常の事業の過程における見積売価から、完成までに要する見積原価および販売に要する見積費用を控除した額であります。上市前製品の在庫は、規制当局による製品認可の可能性が非常に高い場合に、資産として計上しております。それ以前は、帳簿価額に対して評価損を計上して回収可能価額まで減額しており、認可の可能性が非常に高いと判断された時点で当該評価損を戻し入れております。
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金および容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資であります。
継続的な使用ではなく、売却により回収が見込まれる資産または処分グループのうち、現況で直ちに売却することが可能で、当社グループの経営者が売却計画の実行を確約しており、1年以内に売却が完了する予定である資産または処分グループを売却目的保有に分類しております。売却目的保有に分類した資産は、帳簿価額と、売却費用控除後の公正価値のいずれか低い金額で測定しております。
売却目的保有に分類した有形固定資産および無形資産の減価償却または償却は中止し、売却目的で保有する資産および負債は、財政状態計算書上において流動項目として他の資産および負債と区分して表示しております。
当社グループは、退職一時金、年金、および退職後医療給付等の退職後給付制度を運用しております。これらの制度は確定給付制度と確定拠出制度に分類されます。
確定給付債務の現在価値および関連する当期勤務費用ならびに過去勤務費用は、予測単位積増方式を用いて個々の制度ごとに算定しております。割引率は、連結会計年度の末日時点の優良社債の市場利回りを参照して決定しております。確定給付制度に係る負債または資産は、確定給付債務の現在価値から、制度資産の公正価値を控除して算定しております。制度改定または縮小により生じる確定給付債務の現在価値の変動である過去勤務費用は、当該制度改定または縮小が行われた時点で純損益に認識しております。
確定給付資産または負債の純額の再測定は、発生した期に一括してその他の包括利益で認識し、利益剰余金へ振り替えております。
確定拠出型の退職後給付に係る費用は、従業員が役務を提供した期に費用として計上しております。
当社グループは、顧客から対価を受け取り、その対価の一部または全部を顧客に返金すると見込んでいる場合には、売上割戻及び返品調整に関する引当金を認識しております。
また、過去の事象の結果として、現在の法的債務または推定的債務が存在し、当該債務を決済するために経済的便益をもつ資源の流出が必要となる可能性が高く、当該債務の金額について信頼性のある見積りができる場合に、引当金を認識しております。当社グループの引当金は主に、売上割戻及び返品調整に関する引当金、ならびに訴訟および事業構造再編に係る引当金で構成されております。
金融商品には、リース関連の金融商品、売上債権、仕入債務、その他の債権および債務、企業結合における条件付対価に関する負債、デリバティブ金融商品、ならびに特定の会計方針に従って処理される従業員給付制度に基づく権利および義務が含まれております。
(a) 償却原価で測定される負債性金融商品
契約上のキャッシュ・フローを回収するために金融資産を保有することを目的とする事業モデルの中で保有されており、契約条件により、元本および元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが所定の日に生じる売上債権及びその他の債権等の金融資産は償却原価で測定される金融資産に分類しております。売上債権は消費税等を含んだ請求書金額から損失評価引当金、現金値引等の見積控除金額を差し引いた金額で認識されます。
(b) その他の包括利益を通じて公正価値で測定される負債性金融商品
契約上のキャッシュ・フローの回収と売却の両方によって目的が達成される事業モデルの中で保有されており、契約条件により、元本および元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが所定の日に生じる金融資産は、その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産に分類しております。
(c) 純損益を通じて公正価値で測定される負債性金融商品
償却原価で測定される金融資産およびその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産の要件を満たさない金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定される金融資産に分類しております。
(d) その他の包括利益を通じて公正価値で測定される資本性金融商品
当社グループは、当初認識時において、金融商品ごとに行われる、資本性金融商品の公正価値の事後変動をその他の包括利益で表示するという取消不能の選択をしております。当社グループは、報告日時点において、全ての資本性金融商品をその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産として分類しております。
金融資産から生じるキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した時、または金融資産を譲渡しほとんどすべてのリスクと経済価値が他の企業に移転した場合にのみ、金融資産の認識を中止しております。
(a) 償却原価で測定される負債性金融商品
償却原価で測定される負債性金融商品については、実効金利法による償却原価から減損損失を控除した金額で事後測定しております。利息収益、為替差損益および減損損失は純損益として認識しております。また、認識の中止時に生じた利得または損失は純損益として認識しております。
(b) その他の包括利益を通じて公正価値で測定される負債性金融商品
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される負債性金融商品については、当初認識後は公正価値で測定し、実効金利法により算定された利息収益、為替差損益および減損損失は純損益として認識しております。その他の公正価値の変動額は、その他の包括利益として認識して、金融資産の認識の中止が行われる時にその他の包括利益に計上された累積額を純損益に組替調整しております。
(c) 純損益を通じて公正価値で測定される負債性金融商品
純損益を通じて公正価値で測定される負債性金融商品については、当初認識後は公正価値で測定し、再測定から生じる利得または損失は純損益として認識しております。
(d) その他の包括利益を通じて公正価値で測定される資本性金融商品
その他の包括利益を通じて公正価値で測定される資本性金融商品については、当初認識後は公正価値で測定しております。配当は、明らかに投資原価の一部回収である場合を除き、純損益として認識しております。公正価値の変動から生じるその他の損益はその他の包括利益として認識し、金融資産の認識の中止が行われる時に純損益に資本内で利益剰余金に振り替えております。
損失評価引当金は予想信用損失モデルを用いて計算しております。引当金の見積りは将来予測的な予想信用損失モデルに基づいており、売上債権の保有期間にわたって起こりうる債務不履行事象を含んでおります。当社グループは売上債権およびリース債権の損失評価引当金について、全期間の予想信用損失で測定することを選択しております。当社グループは、将来見通しのための調整を加えた過去の貸倒実績率に基づく引当マトリクスを用いて全期間の予想信用損失を算定しております。これらの引当金の金額は、連結財政状態計算書における売上債権およびリース債権の契約上の金額と見積回収可能額との差額を表しております。
金融資産は、契約の当事者となる時点で当初認識し、当初認識時点においてその性質および目的に従って以下に分類しております。
(a) 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
売買目的保有金融資産または純損益を通じて公正価値で測定することを指定した金融資産
(b) 貸付金及び債権
支払額が固定または決定可能な非デリバティブ金融資産のうち、活発な市場での取引がないもの
(c) 売却可能金融資産
非デリバティブ金融資産のうち、売却可能金融資産に指定されたもの、または上記(a)(b)のいずれにも分類されないもの
金融資産は、当初認識時点において公正価値で測定し、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産を除き、取得に直接起因する取引費用を加算して算定しております。
(a) 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産は公正価値で測定し、再測定から生じる利得または損失は純損益として認識しております。
(b) 貸付金及び債権
貸付金及び債権は、実効金利法による償却原価から減損損失を控除した金額で測定しております。
利息の認識が重要でない短期の債権を除き、利息収益は実効金利を適用して認識しております。
(c) 売却可能金融資産
売却可能金融資産は、決算日現在の公正価値で測定し、公正価値の変動から生じる損益はその他の包括利益として認識しております。なお、貨幣性資産に係る外貨換算差額は純損益として認識しております。
売却可能である資本性金融商品に係る配当は、当社グループが支払を受ける権利が確定した期に純損益として認識しております。認識の中止に関する損益は純損益として認識しております。
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産以外の金融資産は、決算日において減損していることを示す客観的証拠が存在するか否かを検討しております。金融資産については、客観的な証拠によって損失事象が当初認識後に発生したことが示されており、かつ、その損失事象が当該金融資産の将来見積キャッシュ・フローにマイナスの影響を及ぼすことが合理的に予測できる場合に減損していると判定しております。
売却可能金融資産については、その公正価値が著しく下落している、または長期にわたり取得原価を下回っていることも、減損の客観的証拠となります。
売上債権のような特定の分類の金融資産は、個別に減損の客観的証拠が存在しない場合でも、さらにグループ単位で減損の評価をしております。
償却原価で計上している金融資産について認識した減損損失の金額は、当該資産の帳簿価額と、将来見積キャッシュ・フローを金融資産の当初の実効金利で割り引いた金融資産の現在価値との差額であります。以後の期間において、減損損失の額が減少したことを示す客観的事象が発生した場合には、減損損失を戻入れ、純損益として認識しております。
売却可能金融資産が減損している場合には、その他の包括利益に認識した累積利得または損失を、その期間の純損益に振り替えております。売却可能な資本性金融商品については、以後の期間において、減損損失の戻入れは認識いたしません。一方、売却可能な負債性金融商品については、以後の期間において、公正価値が増加を示す客観的事実が発生した場合には、当該減損損失を戻入れ、純損益として認識しております。
金融資産から生じるキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した時、または金融資産を譲渡しほとんどすべてのリスクと経済価値が他の企業に移転した場合にのみ、金融資産の認識を中止しております。
金融資産の認識の中止に際しては、資産の帳簿価額と受取った、または受取可能な対価との差額、およびその他の包括利益に認識した累積利得または損失は純損益として認識しております。
金融負債は、当社グループが契約の当事者となる時点で連結財政状態計算書において認識しております。金融負債は、当初認識時点において、純損益を通じて公正価値で測定する金融負債、社債及び借入金、または債務に分類しております。
金融負債は、当初認識時点において公正価値で測定し、純損益を通じて公正価値で測定する金融負債を除き、発行に直接帰属する取引費用を減算して算定しております。
(a) 純損益を通じて公正価値で測定する金融負債
純損益を通じて公正価値で測定する金融負債は公正価値で測定し、再測定から生じる利得または損失は純損益として認識しております。純損益を通じて公正価値で測定する金融負債は条件付対価に関する金融負債を含んでおります。
(b) その他の金融負債(社債及び借入金含む)
その他の金融負債は、主として実効金利法を使用して償却原価で測定しております。
契約中に特定された債務が免責、取消し、または失効となった場合にのみ、金融負債の認識を中止しております。金融負債の認識の中止に際しては、金融負債の帳簿価額と支払われたまたは支払う予定の対価の差額は純損益として認識しております。
為替レートおよび金利の変動等によるリスクに対処するため、先物為替予約、金利スワップ、通貨オプションおよび通貨スワップ等のデリバティブを契約しております。
なお、当社グループの方針として投機目的のデリバティブ取引は行っておりません。
デリバティブは、デリバティブ契約がヘッジ手段に指定されていない限り、純損益を通じて公正価値で測定されます。ヘッジ会計を適用していないデリバティブにかかる利得および損失は純損益に計上されます。ヘッジ手段に指定されているデリバティブの会計処理は、以下に記載のとおり、ヘッジ会計の種類により異なっております。
為替換算リスクに対処するため、外貨建借入金等の非デリバティブを在外営業活動体に対する純投資のヘッジとして指定しております。また、外貨建取引による為替リスクに対処するため、当社グループは先物為替予約等一部のデリバティブを予定取引におけるキャッシュ・フロー・ヘッジとして指定しております。
ヘッジの開始時に、ヘッジを行うための戦略に従い、リスク管理目的、ヘッジされるリスクの性質、およびヘッジ手段とヘッジ対象の関係について文書化しております。さらに、ヘッジの開始時および毎四半期において、ヘッジ手段がヘッジ取引もしくは純投資の変動を相殺するのに極めて有効であるかどうかを継続的に評価しております。
(ⅰ) キャッシュ・フロー・ヘッジ
キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定し、かつ適格なデリバティブの公正価値の変動の有効部分はその他の包括利益として認識しております。利得または損失のうち非有効部分は直ちに純損益として認識しております。
その他の包括利益で認識されていた金額は、ヘッジ対象に係るキャッシュ・フローが純損益として認識された期に、連結純損益計算書における認識されたヘッジ対象と同じ項目において純損益に振り替えております。通貨のベーシス・スプレッドおよび通貨オプションの時間的価値は、キャッシュ・フロー・ヘッジからは区分して会計処理され、その他の資本の構成要素の独立項目であるヘッジコストに計上されます。
(ⅱ) 在外営業活動体に対する純投資のヘッジ
在外営業活動体に対する純投資のヘッジについては、ヘッジ手段に係る利得または損失はその他の包括利益として認識しております。在外営業活動体の処分時には、その他の包括利益として認識していた累積損益を純損益に振り替えております。
ヘッジ指定を取り消した場合、またはヘッジ手段が消滅、売却、終了または行使となった場合、もしくはヘッジ会計に適格ではなくなった場合には、ヘッジ会計を中止しております。
2018年4月1日より前に適用されていた会計方針は2018年4月1日以降の会計方針と近似しておりますが、キャッシュ・フロー・ヘッジについては通貨のベーシス・スプレッドをキャッシュ・フロー・ヘッジに含めて会計処理および表示しておりました。
負債に係る金融コストは、実行金利法を用いて、負債の最も早い償還日までの期間にわたり償却され、償却額が連結純損益計算書に計上されます。当該負債の償還に際して、未償却の繰延金融コストは、連結純損益計算書において、支払利息として費用処理されます。
当社グループは、株式報酬制度を導入しております。株式報酬制度として持分決済型と現金決済型を運用しております。
持分決済型の株式報酬は、従業員、取締役、および上級幹部の役務に基づいて付与されます。受領した役務およびそれに対応する資本の増加を付与された資本性金融商品の付与日における公正価値で測定し、権利確定期間にわたって費用として計上し、同額を資本の増加として認識しております。
現金決済型の株式報酬は、従業員、取締役、および上級幹部の役務に基づいて付与されます。受領した役務および発生した負債は、当該負債の公正価値で測定されます。負債に分類される従業員、取締役、および上級幹部に対する報酬の公正価値は、権利確定期間にわたって費用として計上され、同額を負債の増加として認識しております。
当社グループは、当該負債の公正価値を決算日および決済日に再測定し、公正価値の変動を純損益として認識しております。
普通株式は、発行価格を資本金および資本剰余金に計上しております。
自己株式を取得した場合には、その支払対価を資本の控除項目として認識しております。
自己株式を売却した場合には、帳簿価額と売却時の対価の差額を資本剰余金として認識しております。
4 事業セグメントおよび売上収益
当社グループは、医薬品、一般用医薬品および医薬部外品ならびにその他のヘルスケア製品の研究開発、製造、販売に従事しており、単一の事業セグメントから構成されております。これは、資源配分、業績評価、および将来予測において最高経営意思決定者であるCEOの財務情報に対する視点と整合しております。
(注)「その他」には、中東・大洋州・アフリカが含まれております。
(注)金融商品、繰延税金資産および退職給付に係る資産を含んでおりません。
2019年3月期において、Shire社を買収したことにより認識したのれんは、米国、スイスおよびその他にて計上しております。
売上収益が当社グループ全体の売上収益の10%以上の相手先は、株式会社メディパルホールディングスおよびそのグループ会社であります。当該相手先に対する売上収益は、2018年3月期および2019年3月期においてそれぞれ220,249百万円および225,962万円であり、売上債権は2018年3月31日および2019年3月31日において、それぞれ49,565百万円および58,965百万円であります。
その他の収益に関する情報
当社グループの契約残高は、以下のとおりであります。
2019年3月期に認識した収益のうち、2018年4月1日現在の契約負債残高に含まれていた金額は781百万円であります。また、2019年3月期において、過去の期間に充足(または部分的に充足)した履行義務から認識した収益の金額は53,931百万円であり、主にロイヤルティ収益であります。
当社グループの契約資産は、対価を受領する権利に関連するものであります。契約に基づく履行義務は充足しており、対価に対する権利が無限定となった時に売上債権が認識されます。当年度における増加は主に企業結合によるものであります。
当社グループの契約負債は主として導出契約に関連しており、契約の下、履行義務の充足の前に現金対価を受領することによるものであります。
顧客との契約から生じた債権の増加は主にShire社の買収により304,720百万円を計上したことによるものであります。
当社グループの残存履行義務に配分した取引価格は、以下のとおりであります。
5 その他の営業収益及び費用
当年度における有形固定資産および投資不動産の売却益は、主に旧東京本社ビルの売却益が含まれております。また、当年度における子会社株式の売却益では、旧大阪本社ビルを含む不動産事業の譲渡に伴う連結子会社株式の譲渡や、広東テックプール・バイオファーマ Co., Ltd.の売却益を計上しております。
前年度における在外営業活動体の清算損は、主に海外子会社再編に伴い資本の部に計上していた為替換算調整勘定が実現したことによる損失であります。また、子会社株式の売却益は、和光純薬工業株式会社の株式譲渡によるものであります。
6 金融収益及び費用
7 法人所得税
(1) 法人所得税費用(便益)
法人所得税費用(△便益)の内訳は以下のとおりであります。
(注1)2019年3月期における23.2%には連結上内部取引消去されるため税引前利益には影響しないものの、異なる税務管轄地域間の内部取引に税率差が残ることによる影響、およびShire社の取得にかかる課税所得計算上減算されない取引コストの影響を含んでおります。
(注2)2019年3月期における△61.5%の影響は主に、子会社再編に伴う減資に関連して生じた税務便益によるものであります。
(注3)2019年3月期における8.2%の影響は主に在外子会社の合算課税によるものであります。
(注4)2019年3月期における△10.0%の影響は主に当社に有利となる税務上の判断に伴う税務上の便益によるものであります。
2017年12月22日、米国においてThe Tax Cuts and Jobs Act(税制改革法)が成立いたしました。これを受け、2018年1月1日より、連邦法人税率は35%から21%に引下げられております。当該米国税制改革法の成立に伴い、改正後の税率による繰延税金負債の純額の再評価および繰延税金資産の回収可能性の見直しの結果、当社グループは2018年3月期において27,516百万円の税務便益を認識しております。
当社グループの実際負担税率は、2018年3月期の14.0%から2019年3月期の△14.9%に減少しております。これは主に、子会社の再編時の減資に伴う一時的な税務上の便益(未認識の繰延税金資産および繰延税金負債の増減)と、有利な税務上の判断(法人所得税の不確実性に係る調整)が、課税所得計算上減算されない費用の増加、在外子会社の適用税率との差異、2018年3月期に発生し2019年3月期には発生のなかった米国における税制改正(税率変更による影響)による影響に一部相殺されたことによるものであります。
(2) 繰延税金
連結財政状態計算書上の繰延税金資産および繰延税金負債は以下のとおりであります。
繰延税金資産および繰延税金負債の内訳および増減内容は以下のとおりであります。
(注)その他は、主に為替換算差額、売却目的で保有する資産および直接関連する負債に分類された繰延税金資産および負債の振り替え、資本の部に直接計上される項目に係る税金の影響であります。2018年3月期において資本の部に直接計上される項目にかかる税金の影響はありません。2019年3月期における、資本の部に直接計上される項目にかかる税金の影響は△1,992百万円であります。
当社グループは、繰延税金資産の認識にあたり、一部または全ての将来減算一時差異、繰越欠損金または税額控除が将来課税所得に対して利用できる可能性を考慮しております。繰延税金資産の回収可能性の評価においては、将来加算一時差異の解消スケジュール、将来課税所得の予測およびタックスプランニングを考慮しております。なお、認識された繰延税金資産については、過去の課税所得水準および繰延税金資産が認識できる期間における将来課税所得の予測に基づき、税務上の便益が実現する可能性が高いと判断しております。
繰延税金資産を認識していない繰越欠損金および繰越税額控除の金額と繰越期限は以下のとおりであります。
繰延税金資産を認識していない子会社に対する投資に係る一時差異の総額は、2018年3月31日および2019年3月31日現在、それぞれ140,647百万円および 1,728,537百万円であります。
繰延税金負債を認識していない子会社に対する投資に係る一時差異の総額は、2018年3月31日および2019年3月31日現在、それぞれ157,656百万円および2,462,928百万円であります。
8 1株当たり利益
当社の普通株主に帰属する基本的1株当たり当期利益および希薄化後1株当たり当期利益の算定基礎は以下のとおりであります。
基本的1株当たり当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期利益を、その会計年度の発行済普通株式の加重平均株式数で除して計算しております。この計算には自己株式の平均株式数は含まれておりません。希薄化後1株当たり当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期利益を、その会計年度の発行済普通株式の加重平均株式数に希薄化効果を有するすべての潜在株式を普通株式に転換する際に発行されるであろう普通株式の加重平均株式数を加算した合計株式数で除して計算しております。
希薄化効果を有しないため、希薄化後1株当たり当期利益の計算に含まれなかったストック・オプション等の潜在的普通株式は、2018年3月31日時点においては存在せず、2019年3月31日現在においては814千株であります。
9 その他の包括利益
その他の包括利益の当期発生額および組替調整額、ならびに税効果の影響は以下のとおりであります。
10 有形固定資産
有形固定資産に含まれている、ファイナンス・リースによるリース資産の帳簿価額は、以下のとおりであります。
2018年3月期の減損損失は、主に研究開発体制の変革にかかる戦略に関して、十分に活用できていない建物や構造物等の研究装置に関連しております。2019年3月期の減損損失は、主として日本国内における管理および販売活動に供しており当期中に売却された資産に関連しております。
減損した資産の帳簿価額は回収可能価額まで減額しております。回収可能価額は処分コスト控除後の公正価値(売却予定価額等)により測定しており、当該公正価値のヒエラルキーのレベルはレベル3であります。
11 のれん
資金生成単位グループに配分された重要なのれんの帳簿価額は以下のとおりであります。
のれんの減損損失は、回収可能価額が帳簿価額を下回っている場合に認識しております。回収可能価額は、売却コスト控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い金額であります。使用価値は、経営陣によって承認された3年間の事業計画と適切な成長率および割引率を基礎としたキャッシュ・フローの見積額を現在価値に割り引いて算定しております。事業計画に用いられる仮定には、製品の上市、競合品との競争、価格政策、ジェネリック品の市場参入、および独占販売権の終了が含まれます。これらの仮定の設定にあたり、当社グループは過去の経験、外部の情報源、競合他社の活動に関する知識、および業界動向を考慮しております。
回収可能価額(使用価値)の算定に用いた重要な仮定は以下のとおりであります。
使用価値は、各資金生成単位グループの帳簿価額を上回っており、使用価値算定に用いた成長率および割引率について合理的な範囲で変動があった場合にも、重要な減損が発生する可能性は低いと判断しております。
12 無形資産
各決算日において重要な自己創設無形資産はありません。
製品に係る無形資産の構成は以下のとおりであります。
上市後製品とは、主に販売可能となった製品に関連するライセンスであります。当社は、ナイコメッド社取得によりパントプラゾールを始めとする製品に係る無形資産を2018年3月31日および2019年3月31日現在において、それぞれ318,281百万円および253,272百万円保有しております。また、アリアド・ファーマシューティカルズ Inc.取得によりALUNBRIG、アイクルシグを始めとする製品に係る無形資産を2018年3月31日および2019年3月31日現在において、それぞれ204,378百万円および 192,200百万円保有しております。また、Shire社買収により取得したTAKHZYRO、バイバンス/ビバンセ、GAMMAGARD、アドベイト、アディノベイトおよびREPLAGALに係る無形資産を2019年3月31日現在において、2,497,460百万円保有しております。
なお、2019年3月31日現在、ナイコメッド社取得に関連する無形資産の残存償却年数は3~8年、アリアド・ファーマシューティカルズ Inc.取得に関連する無形資産の残存償却年数は8~12年、Shire社取得に関連する無形資産の残存償却年数は1~20年であります。
研究開発局面にあるものは開発中の製品および、当社グループのライセンス(導入)契約および共同研究開発契約に関連して獲得した開発中の製品に関する販売ライセンスであります(注記13)。当該無形資産は償却の対象となっておりません。また、アリアド・ファーマシューティカルズInc.取得によりALUNBRIGを始めとする製品に係る無形資産を2018年3月31日および2019年3月31日現在において、それぞれ182,002百万円および 189,184百万円保有しております。また、Shire社取得によりSHP621 budesonide、SHP620 Maribavirに係る無形資産を2019年3月31日現在において、70,796百万円保有しております。
当社グループの無形資産の減損評価には、見積販売価格およびコスト、規制当局による承認の可能性、想定している市場および当該市場における当社グループのシェア等、回収可能価額の見積りにおいて経営者による重要な判断が必要となります。上市後製品に関連する無形資産の最も重要な仮定は治療領域の製品市場シェアおよび見積価格であり、開発中製品および研究開発局面に関連する無形資産の最も重要な仮定は規制当局による承認の可能性であります。当該仮定の変更は、期中に計上される減損損失の金額に重大な影響を及ぼす可能性があります。例えば、臨床試験が否定的な結果となった場合は、仮定の変更により減損が生じる可能性があり、臨床試験が失敗に終わり開発資産を代替使用できない場合には、開発中製品に関連する無形資産を全額減損処理する可能性があります。
当社グループは、2018年3月期および2019年3月期において、それぞれ△3,889百万円の減損損失(戻入控除後)および8,698百万円の減損損失を計上しております。これらの損失は、主に連結純損益計算書上の「製品に係る無形資産償却費及び減損損失」に計上されております。
当社グループは、2018年3月期において、主にコルクリスに関連して過去に減損した23,057百万円を、販売実績の向上に伴い戻し入れております。当該戻入に係る無形資産の回収可能価額は49,113百万円であります。当該戻入は、製品の開発中止により計上した19,168百万円の減損損失と相殺されております。減損処理した無形資産の回収可能価額は3,185百万円であります。
当社グループは、2019年3月期において、主としてオンコロジー(がん)製品の開発に係る共同研究開発契約の終了(注記13)により、8,698百万円の減損損失を計上しております。当該減損処理した無形資産の回収可能価額は、29,667百万円であります。
減損損失は帳簿価額から回収可能価額を控除して計算されます。回収可能価額(使用価値)の算定に用いた重要な仮定は以下のとおりであります。
回収可能価額のうち一部は処分コスト控除後の公正価値(売却見込額等)により測定しており、当該公正価値のヒエラルキーのレベルはレベル3であります。
13 共同研究開発契約およびライセンス契約
当社グループは、共同研究開発契約およびライセンス契約を締結しております。
(1) 導出契約
当社グループは、様々な導出契約を締結しており、特定の製品または知的財産権に関するライセンスを付与し、その対価として契約一時金、パートナーの株式、開発マイルストン、販売マイルストン、売上を基準とするロイヤルティ等を受領しております。これらのマイルストンにかかる変動対価の受取は不確実であり、ライセンシーによる特定の開発マイルストンの達成や、指定された年間売上水準の到達に左右されます。
(2) 共同研究開発契約およびライセンス(導入)契約
通常、これらの契約では、提携企業の製品または開発中の製品の販売権を獲得し、その対価として、契約締結時の一時金の支払いの他、将来の開発、規制当局からの承認取得、またはコマーシャルマイルストンおよびロイヤルティの支払いに対する義務を負います。これらの契約においては、当社グループおよびライセンシーは、ライセンス製品の開発および販売に積極的に関与しており、晒されるリスクおよび得られる経済的価値はその商業的な成功に依存する場合があります。
これらの共同研究開発契約および導入契約の条件に基づいて、当社グループは、各年度において以下の支払いを行いました。
これらの共同研究開発契約およびライセンス(導入)契約の中、主要なものは以下のとおりであります。
① Mersana Therapeutics(以下、「Mersana社」)
2014年3月、当社グループとMersana社は、抗体薬物複合体(ADC)の開発に関する契約を締結し、2015年1月および2016年2月に両社間における提携を拡大しました。2019年1月、当社グループおよびMersana社は当該提携を中止し、2019年3月期において製品に係る無形資産の減損損失7,237百万円を計上しております。
② GlaxoSmithKline plc. (以下、「GSK社」)
2017年7月、当社グループとTESARO, Inc.(以下、「TESARO社」)は、TESARO社の有するポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害薬Niraparibについて、独占的開発・販売に関するライセンス契約を締結いたしました。2019年3月期においてTESARO社はGSK社に買収されました。当該契約により、当社グループは、日本におけるNiraparibに関する全てのがんに関して、また、韓国、台湾、ロシア、およびオーストラリアにおける前立腺がんを除く全てのがんに関して独占的開発・販売権を有しております。当該契約に基づき、GSK社は、契約一時金を受領し、今後の承認および販売の成果に応じた追加的なマイルストン支払いを受領する権利を有します。また、同社は売上に応じた二桁台のロイヤルティを受領する権利を有しております。
③ Denali Therapeutics(以下、「Denali社」)
2018年1月、当社グループとDenali社は、3つの神経変性疾患治療薬候補の開発および販売に関して提携契約を締結いたしました。各治療薬候補の開発プログラムは、アルツハイマー病やその他の神経変性疾患に対する遺伝学的に検証されたターゲットを対象にしており、Denali社が有する脳へのバイオ治療薬移行性を高めるAntibody Transport Vehicle(ATV)プラットフォーム技術を用います。当該契約に基づき、当社グループはオプション権およびDenali社の株式購入対価として契約一時金を支払っております。またDenali社は、開発および販売のマイルストン支払いを受領する権利を有しております。Denali社は、新薬治験許可申請前における3つそれぞれのプログラムに対する全ての開発活動およびそれに伴う費用を負担しております。当社グループは、3つのプログラムそれぞれについて共同開発および共同販売のオプション権を有しております。当社グループがオプション権を行使した場合、両社は共同で開発を行い、均等に費用を負担することになります。Denali社は早期臨床開発をリードし、当社グループは後期臨床開発をリードいたします。当社グループとDenali社は米国および中国において共同で販売活動を行い、当社グループはその他全ての市場における独占的販売権を有しております。両社はグローバルにおける利益を均等に分配いたします。
④ Wave Life Sciences Ltd. (以下、「Wave社」)
2018年2月、当社グループとWave社は、中枢神経系障害のための核酸療法の発見、開発、販売に関する契約を締結いたしました。当該契約により、当社グループはハンチントン病(HD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、前頭側頭型認知症(FTD)、脊髄小脳失調症3型(SCA3)の領域で、共同開発、共同販売するオプション権を有しているとともに、アルツハイマー病やパーキンソン病等の中枢神経系障害に対する複数の前臨床プログラムのライセンスを有しております。当社グループは、Wave社に対して契約一時金の支払い、Wave社への株式投資を行い、将来において開発および販売マイルストンの支払いが求められます。
⑤ Rani Therapeutics LLC(以下、「Rani社」)
2019年1月、当社グループは、Shire社の買収を通じて、血友病A患者に対するFactor VIII(FVIII)治療の経口デリバリーにおけるRANI PILL技術の使用に係る研究に関して、Rani社との提携契約を獲得いたしました。当該提携契約により、当社グループは、実現可能性調査およびRani社の0.84%の株式の取得を完了した後に、FVIII治療のデリバリー技術を開発、販売する権利を交渉する独占オプション権を有しております。
⑥ Novimmune S.A. (以下、「Novimmune社」)
2019年1月、当社グループは、Shire社の買収を通じてNovimmune社とのライセンス契約を獲得いたしました。当該契約により、当社グループは血友病Aや血友病Aインヒビター患者の治療のための二重特異性抗体の全世界における独占的開発・販売権を有しております。当社グループは当該契約に基づき、開発を行い、承認された場合は製品を販売いたします。Novimmune社は、臨床、医薬品の承認申請、販売段階における進捗に基づくマイルストン支払いや一桁台のロイヤルティを受領する権利を有しております。
⑦ AB Biosciences Inc.(以下、「AB Biosciences社」)
2019年1月、当社グループは、Shire社の買収を通じてAB Biosciences社とのライセンス契約を獲得いたしました。当該契約により、当社グループは、組み換え免疫グロブリンの候補製品の全世界における独占的開発・販売権と、全受容体相互反応作用に関するAB Biosciences社の知的財産権の全世界における独占的ライセンスを有しております。AB Biosciences社は、研究、開発および販売のマイルストン支払いおよび段階的なロイヤルティを受領する権利を有しております。
14 持分法で会計処理されている投資
(1) 重要性のある関連会社
武田テバファーマ株式会社(以下、「武田テバファーマ」)は、当社とイスラエルに本社をおくTeva Pharmaceutical Industries Ltd.(以下、「テバ社」)が設立した合弁会社であります。
当社は、2016年4月1日付で、当社の特許期間および再審査期間が満了した日本における医療用医薬品事業(以下、「長期収載品事業」)を会社分割(吸収分割)により武田テバファーマの連結子会社である武田テバ薬品株式会社(以下、「武田テバ薬品」)に承継し、対価として武田テバファーマの発行済株式総数の49.0%の株式の交付を受けました。武田テバファーマの残りの株式は、テバ社の子会社が所有しています。なお、承継した長期収載品事業の処分日における帳簿価額は3,755百万円でありました。当社は、武田テバファーマに対して重要な影響力を有していると判断しており、持分法を適用しております。当社グループは、IAS第28号「関連会社及び共同支配企業に対する投資」に従って、受領した対価(武田テバファーマの株式)の公正価値と当該事業の帳簿価額との差額のうち、実現した範囲で譲渡益を認識し、49%の譲渡益は繰り延べております。2017年3月期において115,363百万円を事業譲渡益としてその他の営業収益に計上しており、そのうち102,899百万円は承継時点で認識しております。未実現利益は、取得価格の配分過程にて識別した無形資産と同じ15年にわたり償却しております。未実現利益の償却はその他の営業収益に計上しております。
武田テバファーマはジェネリック医薬品事業を営んでおり、長期収載品事業およびジェネリック医薬品事業を営む武田テバ薬品と日本において一体となって事業を行っております。当社は、武田テバ薬品に対して長期収載品の供給を行うことにより製品売上収益を認識するとともに、武田テバファーマおよび武田テバ薬品のジェネリック医薬品も含めた製品を当社がその流通網を通じて医療機関に提供することにより役務収益を認識しております。
武田テバ薬品を含めた武田テバファーマの要約連結財務情報は以下のとおりであります。
2018年3月期および2019年3月期において、武田テバ薬品を含めた武田テバファーマの当期損失には、日本における薬価制度改革や事業環境の変化に伴い計上された減損損失がそれぞれ104,753百万円、117,890百万円が含まれており、当社グループの持分相当はそれぞれ35,725百万円、50,183百万円であります。
2018年3月期において、当社グループは武田テバファーマから4,159百万円の配当金を受領しております。2019年3月期においては、配当金を受領しておりません。武田テバファーマが配当を行うには、合弁会社2社の合意が必要であります。
(2) 個々に重要性のない関連会社
個々に重要性のない関連会社に関する財務情報は、以下のとおりであります。
なお、これらの金額は、当社グループの持分比率勘案後のものであります。
個々に重要性のない関連会社に対する投資の帳簿価額は、以下のとおりであります。
15 その他の金融資産
2018年3月31日の売却可能金融資産および2019年3月31日現在の資本性金融商品には上場会社への投資がそれぞれ163,030百万円および119,907百万円含まれており、注記27で定義されている公正価値ヒエラルキーはレベル1と判断しております。残りの資本性金融商品は、主に共同研究開発契約およびライセンス契約の締結に伴い取得した投資に関連しており(注記13)、公正価値ヒエラルキーはレベル3と判断しております。
2018年3月31日現在の拘束性預金は、主にTiGenix NVの買収(注記31)に関連する預託金であり、買収の完了に伴い取り崩されております。2019年3月31日現在の拘束性預金は、主に当社グループによる企業結合に関連する預託金であります。
16 棚卸資産
売上原価として計上された棚卸資産の評価損は、2018年3月期および2019年3月期において、それぞれ10,292百万円および9,321百万円であります。
2019年3月期における棚卸資産の増加は、主にShire社買収による棚卸資産の公正価値を計上したことによります(注記31)。
17 売上債権及びその他の債権
18 現金及び現金同等物
19 売却目的で保有する資産または処分グループ
当社グループは、連結財政状態計算書において特定の資産を売却目的保有に分類しております。非流動資産および処分グループの帳簿価額が主に売却により回収される見込みであり、売却の可能性が非常に高いと考えられる場合に、売却目的で保有する資産に振り替えております。売却目的で保有する資産は、帳簿価額と売却コスト控除後の公正価値のいずれか低い金額で計上しております。
売却目的保有に分類された資産または処分グループを、帳簿価額と、売却コスト控除後の公正価値のいずれか低い金額で計上する際に測定される利得または損失は、その他の営業収益または営業費用に計上しております。
(1) 売却目的で保有する資産
2018年3月31日現在における売却目的保有資産は主に建物および構築物であり、2018年3月期に経営者による売却の意思決定に基づき売却目的保有に分類されたものであります。当該建物および構築物の売却目的保有への分類により生じた減損損失はありません。また、当該資産は、2019年3月期において売却済みであります。なお、資産の公正価値は売却目的保有資産が所在する地域における適切な専門家としての資格を有する独立した鑑定人による評価に基づいております。その評価は、当該資産の所在する地域の評価基準に従った類似の資産の取引価格についての市場証拠に基づいたものであります。
2019年3月31日現在における売却目的保有資産は主に持分法で会計処理されているPRA Health Sciencesへの投資であり、経営者による売却の意思決定に基づき売却目的保有に分類されたものであります。当該持分法で会計処理されている投資の売却目的保有への分類により生じた減損損失はありません。当該投資は、2019年5月に売却済みであります。資産の公正価値は予定売却価格から処分費用を控除したものであります。
2018年3月31日および2019年3月31日における売却目的で保有する資産の公正価値のヒエラルキーのレベルはレベル3であります。
(2) 売却目的で保有する処分グループ
2018年3月31日現在の売却目的で保有する処分グループは、主に当社の連結子会社であるMultilab Indústria e Comércio de Produtos Farmacêuticos Ltda.,に関連する資産、負債、その他の包括利益のグループであり、売却目的保有に振替えられたものであります。当該子会社株式は2018年7月に売却されております。なお、売却目的保有に分類された資産または処分グループの公正価値は競争入札に基づく売却価格から処分費用を控除したものであり、ヒエラルキーのレベルはレベル2であります。
2019年3月31日現在の売却目的で保有する処分グループは、主に当社の連結子会社であるAxcelead Drug Discovery Partners, Inc.,に関連する資産、負債であり、経営者が当該子会社を売却する決定を行ったため売却目的保有に振替えられたものであります。なお、当該子会社株式は2019年4月に売却されております。資産の公正価値は予定売却価格から処分費用を控除したものであり、売却目的で保有する資産の公正価値のヒエラルキーのレベルはレベル3であります。
当社グループは、2018年3月期において、処分グループを売却目的保有に分類したことにより3,213百万円の損失を計上しております。2019年3月期において、処分グループを売却目的保有に分類したことによる損失の計上はありません。
(3) Shire社買収時に売却目的で保有する資産または処分グループに分類された項目
20 社債及び借入金
(注)1 社債の内訳は以下のとおりであります。
(注)2 借入金の内訳は以下のとおりであります。
当社グループの負債のうち、Shire社の買収に必要な資金を調達するために発行された社債および実行された借入は以下の通りです。
・2018年度ユーロ建無担保普通社債(変動金利)
(1,000百万ユーロ(償還期限2020年、利率3ヶ月EURIBOR+0.550%)、750百万ユーロ(償還期限2022年、利率3ヶ月EURIBOR+1.100%))
・2018年度ユーロ建無担保普通社債(固定金利)
(1,250百万ユーロ(償還期限2020年、利率0.375%)、1,500百万ユーロ(償還期限2022年、利率1.125%)、1,500百万ユーロ(償還期限2026年、利率2.250%)、1,500百万ユーロ(償還期限2030年、利率3.000%))
・2018年度米ドル建無担保普通社債(固定金利)
(1,000百万米ドル(償還期限2020年、利率3.800%)、1,250百万米ドル(償還期限2021年、利率4.000%)、1,500百万米ドル(償還期限2023年、利率4.400%)、1,750百万米ドル(償還期限2028年、利率5.000%))
・2019年度シンジケートローン
(総額500,000百万円を上限とする短期のシニアショートタームローンファシリティ契約(返済期限2019年7月、利率1ヶ月TIBOR+0.100%))
・2019年度米ドル建シンジケートローン
(総額7,500百万米ドルを上限とし、うち3,500百万米ドルまではユーロ建による借入が可能なタームローンクレジット契約(返済期限2024年、利率LIBOR+公募債格付に基づく変動マージン))2019年3月31日現在、米ドル建ておよびユーロ建ての借入残高は、それぞれ4,000百万米ドルおよび3,057百万ユーロであります。
・2019年度米ドル建株式会社国際協力銀行ローン
(総額3,700百万米ドル(返済期限2025年、利率6ヶ月LIBOR+0.600%))
Shire社買収によりShire社から引き継いだ主な社債及び借入金は以下の通りです。
・米ドル建無担保普通社債
(当社が債務保証、3,300百万米ドル(償還期限2019年、利率1.900%)、3,300百万米ドル(償還期限2021年、利率2.400%)、2,500百万米ドル(償還期限2023年、利率2.875%)、3,000百万米ドル(償還期限2026年、利率3.200%))
・米ドル建無担保普通社債
(当社が債務保証、405百万米ドル(償還期限2020年、利率2.875%)、220百万米ドル(償還期限2022年、利率3.600%)、800百万米ドル(償還期限2025年、利率4.000%)、500百万米ドル(償還期限2045年、利率5.250%))
・Shire社のリボルビングクレジットファシリティ契約
2014年12月12日において、Shire社は多くの金融機関と2,100百万米ドルのリボルビングクレジットファシリティ契約を締結しておりましたが、当該契約は2019年2月に終了いたしました。
当社グループは、米ドル建無担保社債のうち200百万米ドルおよび2017年度米ドル建シンジケートローンのうち925百万米ドルに対し、発行時において、円建ての支払額を固定することを目的として金利通貨スワップ契約を締結しております。また、2013年度シンジケートローン120,000百万円および2017年度米ドル建シンジケートローンのうち575百万米ドルに対し、支払金利を固定するため金利スワップを締結しております。
当社グループは、2019年3月31日現在、300,000百万円の借入枠を有しております。
2018年度米ドル建普通社債に対しては登録請求権が付されております。これには、当社グループが2019年8月23日までに本社債の登録債への切替えに係る届出書を米国証券取引委員会に提出する義務が含まれます。本義務の不履行に応じ、履行までの遅延利息の支払が課されます。
また、特定の財務比率や社債及び借入金の上限額、その他の制限を規定する各種の制限条項を含む長期融資契約があります。これらの制限条項のうち最も厳しい制限は、税引前当期利益が2期連続損失とならないことであります。2019年3月31日現在、当社グループはこれらの全ての制限条項を遵守しております。
21 その他の金融負債
ファイナンス・リース債務に係る将来の最低リース料の内訳は以下のとおりであります。
(2) 条件付対価契約に関する金融負債
条件付対価契約に関する金融負債は、当社グループが買収した被買収企業における既存の条件付対価契約を含む、開発マイルストンおよび販売目標の達成等の将来の事象を条件とする企業結合における条件付対価またはライセンス契約であります。
各報告日において、条件付対価の公正価値は、リスク調整後の将来のキャッシュ・フローを適切な割引率を用いて割り引いた金額に基づいて再測定しております。
2018年3月31日現在の条件付対価に関する金融負債の主な内容は、2012年6月におけるURLファーマ Inc.(以下、「URLファーマ社」)の買収に伴い取得した「コルクリス」(痛風治療剤)に係る事業(以下、「コルクリス事業」)の業績に関連する条件付対価であります。
2019年3月31日現在の残高は主にShire社の過去の買収から生じた既存の条件付対価契約に関連するものであります。
Shire社の過去の買収から生じた既存の条件付対価は、様々な開発および販売ステージにおける製品の開発、規制、販売開始およびその他の販売マイルストンに関連した特定のマイルストンの達成を条件としており、今後20年間以上にわたり最大で83,802百万円(割引前)を支払う可能性があります。条件付対価に関する金融負債の公正価値は、公正価値測定の前提となる特定の仮定が変動することにより増減します。当該仮定には、マイルストンの達成可能性が含まれます。
条件付対価に関する金融負債の 公正価値のヒエラルキーのレベルはレベル3であります。
③ 感応度分析
条件付対価に関する金融負債の公正価値に影響を与える重要な仮定が変動した場合に、条件付対価に関する金融負債の公正価値に与える影響は以下のとおりです。
22 従業員給付
当社および当社の一部連結子会社では、確定給付制度として、退職一時金、確定給付型年金制度等を採用しております。従業員が退職時、退職後に受け取る給付額は、通常、従業員の年齢、勤続年数、報酬、職位、および役務等の複数の要因によって算定されております。
当社グループの確定給付債務および制度資産の大半は、当社における確定給付制度によるものです。
確定給付型年金制度
日本
当社の確定給付型企業年金制度は積立型の確定給付年金制度であり、我が国の年金法の一つである確定給付企業年金法の定めに従い運用されております。従業員の勤続年数および当社への貢献度に応じ、一定期間(通常3年以上)勤務した従業員に給付が支払われます。
当社の年金基金(以下、「基金」)は、我が国の年金法に従って、当社から独立した組織として設立されており、当社グループは掛金の拠出が義務付けられております。基金の理事には、法令、法令に基づく厚生労働大臣および地方厚生局長からの通達、基金の規約および代議員会の議決を遵守し、基金のために忠実に業務を遂行する責務が課されております。また、掛金拠出額は法令が認める範囲で定期的に見直され、必要に応じて調整を行っております。
海外
当社グループのその他の確定給付型年金制度については、現地の法令に基づき、上記と同様の方法で設立および運営されております。
IAS第19号「従業員給付」に従って、確定給付債務の現在価値は、割引率、予定昇給率(給付の増加率)等の様々な数理計算上の仮定に基づき毎年算定されております。確定給付制度に関連して営業費用として計上している勤務費用は、現役加入者が当会計年度において稼得した年金給付から生じる確定給付債務の増加を表しております。当社グループは、投資およびその他の業績上のリスクに晒されており、定期拠出金、予想投資収益、および保有資産からの給付額が十分でないと予想される場合は、追加の拠出金が必要となる場合があります。
連結純損益計算書および連結財政状態計算書で認識した金額は以下のとおりであります。
連結純損益計算書
連結財政状態計算書
(注)退職給付に係る資産は、連結財政状態計算書上、「その他の非流動資産」に含まれております。
2019年3月期において、退職給付に係る資産のうち771百万円は「売却目的で保有する資産」に含まれており、退職給付に係る負債のうち383百万円は「売却目的で保有する資産に直接関連する負債」に含まれております(注記19)。
各会計年度における確定給付債務の現在価値増減の要約は以下のとおりであります。
確定給付債務の加重平均存続期間は、2018年3月31日および2019年3月31日現在、それぞれ14.4年および 15.2年であります。
(ⅱ) 現在価値の算定に用いた重要な数理計算上の仮定
他の変動要因が一定である前提で、重要な数理計算上の仮定が0.5%変動した場合に、年度末の退職給付債務の現在価値に与える影響は以下のとおりであります。
確定給付制度に関する基金は当社グループから独立しておりますが、当社グループからの拠出のみを財源としております。制度資産の運用は、現在または将来の加入者に対する年金給付等の支払を将来にわたり確実に行うため、許容されるリスクのもとで必要とされる総合収益を長期的に確保することを目的としております。また掛金等の収入と給付支出の中長期的な動向とその変動を考慮するとともに、制度資産の投資収益率の不確実性の許容される程度について中長期的な動向ならびに拠出および給付額の変動を考慮し、十分な検討を行うこととしております。この目的、検討を踏まえ、投資対象としてふさわしい資産を選択するとともに、その期待収益率・リスク等を考慮した上で、将来にわたる最適な資産の組み合わせである基本資産配分を策定しております。
(ⅰ) 公正価値の増減
各会計年度における制度資産の公正価値増減の要約は以下のとおりであります。
2020年3月期における、確定給付制度への拠出金額は7,770百万円と予測しております。
(ⅱ) 公正価値の資産種類別内訳
活発な市場での市場価値がない株式および債券は、主に活発な市場に上場している株式および債券にかかる合同運用投資への出資が含まれます。生命保険一般勘定は生命保険会社が複数の契約の資金を合同運用する勘定であり、元本および一定の予定利率が保証されています。
当社および一部の連結子会社は確定拠出制度を採用しております。確定拠出制度の給付額は、拠出額、各加入者が選択した投資の運用実績、および加入者が選択した給付金の受給形式に基づいております。これらの制度への拠出は、通常、独立して管理されている基金に対して行われます。これらの制度について、当社グループが支払う拠出金は営業費用として計上しております。当社グループは、確定拠出制度について、投資リスクやその他の業績上のリスクに晒されておりません。
確定拠出制度に関して費用として計上された金額は、2018年3月期および2019年3月期において、それぞれ19,525百万円および21,068百万円であります。なお、これらの金額には公的制度への拠出に関して費用として認識した金額を含んでおります。
退職給付以外の従業員給付に係る費用のうち主なものは、以下のとおりであります。
上記には解雇給付費用を含んでおりません。
23 引当金
引当金の内訳および増減内容は以下のとおりであります。
引当金のうち流動負債に計上されている金額は、2017年4月1日、2018年3月31日および2019年3月31日現在、それぞれ135,796百万円、132,781百万円、392,733百万円であり、引当金のうち非流動負債に計上されている金額は、2017年4月1日、2018年3月31日および2019年3月31日現在、それぞれ38,108百万円、28,042百万円、35,364百万円であります。
事業構造再編に係る引当金
当社グループは、2018年3月期および2019年3月期に、次のような様々な事業構造再編の取組みを行っております。
・研究開発体制の変革
当社グループは、研究開発体制の変革およびその運営体制の効率性の改善に関連して、様々な事業構造再編の取り組みを行っております。これらの取組みには、事業拠点および部門の統廃合および従業員の削減が含まれております。
・Shire社の統合
2019年3月期において、当社グループはShire社の買収に係る様々な事業構造再編の取り組みを行っております。これらの取り組みには、システム、拠点、機能の統合と人材配置の最適化を含んでおります。
・買収により引き継いだ事業構造再編の取り組み
当社グループは、Shire社の買収に伴い様々な事業構造再編の取り組みを引継ぎました。これらには、2016年6月にShire社が取得したBaxalta社の統合に係るShire社の取り組みが含まれます。
・運営体制や関連設備の効率性を向上させるその他の様々な取組み
事業構造再編に係る引当金は、事業構造再編に係る詳細な公式計画を策定した時点で認識しております。当社グループは、その計画に関して発生する費用の見積り発生額に基づき引当金および関連費用を計上しております。計画に係る最終的な費用発生額および支払時期は、実際の再編実施時期および事業再編により影響を受ける従業員の活動により影響を受けます。なお、非流動負債にかかる事業構造再編に係る引当金の支払時期は概ね3年以内と見込んでおります。
各報告年度において計上された事業構造再編に係る費用は以下のとおりであります。
その他の事業構造再編に係る費用は主に従業員のリテンションおよび契約解除費用に関連するものであります。2019年3月期におけるその他の事業構造再編費用のうち20,754百万円が人件費であり、その主な内容はリテンションボーナスと事業構造再編の取り組みに専念する従業員に対する給与であります。
売上割戻および返品調整
当社グループは、主に販売した製商品の売上割戻、返品調整等に係る引当金を認識しており、これには米国での医療制度等に関する売上連動リベートを含んでおります。これらの費用は通常1年以内に支払われることが見込まれております。売上割戻および返品調整については、月次で、または金額に重要な変動があった場合に、見直しおよび調整を行っております。
その他
その他の引当金は、主に資産除去債務、契約解除費用および不利な契約に関連するものであります。
24 その他の負債
(注)1 未払費用には、従業員給付に係る未払費用が2018年3月31日および2019年3月31日現在、それぞれ108,766百万円および163,241百万円含まれております。
2 繰延収益には、有形固定資産の取得に関して受領した政府補助金が、2018年3月31日および2019年3月31日現在、それぞれ23,937百万円および21,145百万円含まれております。このうち主なものは、当社グループの新型インフルエンザワクチンの開発・生産体制整備への投資の一部を補助するものであり、設備への投資額の返還を受けております。この政府補助金は、関連設備の耐用年数にわたって、「売上原価」、「販売費及び一般管理費」、および「研究開発費」に含まれる減価償却費の減額として純損益に認識しております。また、2018年3月31日および2019年3月31日現在の繰延収益には、共同プロモーションに係る前受金がそれぞれ21,656百万円および16,756百万円含まれております。当該共同プロモーションに係る収益を認識する際には販売費および一般管理費と相殺しております。
25 仕入債務及びその他の債務
仕入債務は、当社グループの製造に係る費用に関連しており、未払金は業務に係るその他の費用に関連したものであります。
26 資本及びその他の資本項目
(単位:千株)
(注)当社の発行する株式は、すべて権利内容に何ら限定のない無額面の普通株式であります。
上記の発行済株式数に含まれる自己株式数は、2017年4月1日、2018年3月31日および2019年3月31日現在、それぞれ9,680千株、13,379千株、10,226千株であります。このうち、株式付与ESOP信託および役員報酬BIP信託が所有する自社の株式数は2018年3月31日および2019年3月31日現在、ぞれぞれ13,133千株および9,976千株であり、2019年3月期において246千株を取得し、3,403千株を売却しております。
2018年3月期において、当社は、当社グループ子会社のESOP信託である日本マスタートラスト信託銀行株式会社に対する第三者割当により、新たに3,550千株を発行しました。新株発行により、当社の資本金および資本剰余金は、それぞれ11,388百万円および11,286百万円増加しました。日本マスタートラスト信託銀行株式会社は、株式付与ESOP信託契約の共同受託者であります。当該新株発行は取締役会において決議されました。なお当社は、株式報酬制度に基づく株式交付を目的として本株式をESOP信託口より再取得しており、連結財政状態計算書において自己株式が22,773百万円増加しました。
2019年3月期において、当社はShire社買収のため普通株式770,303千株を発行しております(注記31)。
なお、配当の効力発生日が翌年度となるものは以下のとおりであります。
27 金融商品
当社グループは、事業活動を行う過程において生じる財務上のリスクを軽減するために、リスク管理を行っております。当社グループの晒されている主なリスクは、市場リスク、取引先の信用リスク、流動性リスクを含み、為替、金利、商品その他の金融資産の価格変動等の市場環境の変化により生じるものであります。これらのリスクは、当社グループのリスク管理方針に基づきコントロールしております。
デリバティブおよび非デリバティブ金融商品は、公正価値測定を行う際のインプットの重要性を反映した、以下の3段階の公正価値階層に分類しております。レベル1は活発に取引される市場での同一の資産負債の取引相場価格などの観察可能なインプットとして定義されます。レベル2は、レベル1に含まれる相場価格以外のインプットのうち、資産又は負債について直接又は間接に観察可能なものとして定義されます。レベル3は資産又は負債に関する観察可能でないインプットであります。短期間で決済され、帳簿価額が公正価値の合理的な近似値となっている場合、金融商品の公正価値情報は下の表から除外しております。
(単位:百万円)
(単位:百万円)
2018年3月期において、公正価値を信頼性をもって測定できない売却可能金融資産およびその他の金融資産については、上記の表から除外しております。これらの資産の帳簿価額は2018年3月31日現在において、それぞれ6,750百万円、2,070百万円であります。これらの資産は主に非上場株式であり、株式市場にて取引が行われていないため、公正価値を信頼性をもって測定することができません。
④ 評価技法
デリバティブの公正価値は、評価技法への重要なインプットが観察可能な市場情報に基づいている、取引先金融機関から入手した時価情報によっております。
転換社債の公正価値は、割引キャッシュ・フロー法、オプション・プライシング・モデル等の評価技法を用いて算定しております。
資本性金融商品および負債性金融商品は売買目的保有ではありません。資本性金融商品または負債性金融商品が活発な市場で取引されている場合、公正価値は期末日の市場価格に基づいております。資本性金融商品または負債性金融商品が活発な市場で取引されていない場合、公正価値は各期末日現在の入手可能な情報および類似企業に基づき、簿価純資産法またはEBITDA倍率法を用いて算定しております。レベル3に分類された資本性金融商品または負債性金融商品の公正価値算定に用いた観察可能でない主なインプットは、EBITDA倍率法におけるEBITDA倍率であり、4.6倍から11.1倍の範囲に分布しております。2019年3月期において、特定の上場株式の処分により、44,230百万円の資本性金融商品に係る累積利得を、その他の包括利益から利益剰余金に振り替えております。これら資本性金融商品の処分時における公正価値は65,035百万円であります。当該投資は、当社グループの事業戦略を勘案し、経営者による評価に基づき処分されております。
企業結合による条件付対価は、企業結合における取得日時点の公正価値で測定しております。条件付対価が金融負債の定義を満たす場合は、その後の各報告日において公正価値で再測定しております。公正価値はシナリオ・ベース・メソッドや割引後のキャッシュ・フロー等を基礎として算定しており、主な仮定として、各業績目標の達成可能性、将来収益予測および割引率が考慮されております。企業結合による条件付対価の公正価値評価の詳細は、注記21をご参照ください。
2019年3月期において公正価値ヒエラルキーのレベル3に分類された、上表の「その他」に含まれているジョイント・ベンチャーの売建オプション(ネット) は公正価値で測定し、その後の各報告日において公正価値で再測定しております。公正価値はモンテカルロ・シミュレーション・モデルを基礎として算定しており、主な仮定として、加重分布、利益予想および割引率が考慮されております。
⑤ 公正価値ヒエラルキーのレベル間の振替
当社グループは、報告期間に発生した公正価値ヒエラルキーのレベル間の振替を報告期間の末日において生じたものとして認識しております。2018年3月期および2019年3月期に認識されたレベル3からレベル1への振替を除き、各報告期間において、レベル1、レベル2およびレベル3の間の振替はありません。当該振替は、以前取引所に上場しておらず、観察可能である活発な市場で取引がなかった企業の株式が取引所に上場したことによるものです。同社の株式は現在活発な市場において取引されており、活発な市場における取引相場価格を有しているため、2018年3月期および2019年3月期において、公正価値の測定額を公正価値ヒエラルキーのレベル3からレベル1に振替えております。
⑥ レベル3公正価値
2019年3月期におけるレベル3の資産の公正価値の期首残高から期末残高への調整は以下のとおりであります。2018年3月期においては、レベル3の資産は認識しておりません。企業結合から生じる条件付対価に関連するレベル3の金融負債については、その他の金融負債(注記21)をご参照ください。
⑦ 公正価値で測定されない金融商品
連結財政状態計算書上において公正価値で測定されない金融商品の帳簿価額と公正価値は以下のとおりであります。
長期借入金は帳簿価額で認識しております。社債の公正価値は、評価技法への重要なインプットが観察可能な市場情報に基づいている、取引先金融機関から入手した時価情報によっており、借入金およびファイナンス・リースの公正価値は、一定の期間ごとに区分した債務ごとに、その将来キャッシュ・フローを信用リスクを加味した利率により割り引いた現在価値によっております。社債、長期借入金およびファイナンス・リースの公正価値のヒエラルキーはレベル2であります。
(2) 市場リスク
市場環境が変動するリスクにおいて、当社グループが晒されている主要なものには①為替リスク、②金利リスク、③価格変動リスクがあります。市場リスクの影響を受ける金融商品には、貸付金及び借入金、預金、資本性金融商品ならびにデリバティブ金融商品が含まれております。
① 為替リスク
当社グループは、主に事業活動(収益または費用が外貨建ての場合)および当社の在外子会社に対する純投資により、為替変動リスクに晒されております。当社グループはデリバティブ金融商品を利用して為替リスクを集約して管理しております。当社グループのポリシーでは投機目的で外貨建て金融資産やデリバティブを保有することは認められておりません。当社グループは、個別に金額的に重要な外貨建取引について、先物為替予約、通貨スワップおよび通貨オプションを利用しております。また、Shire社買収に伴う資金調達にかかる米ドル建ておよびユーロ建ての金融負債を含む米ドル建ておよびユーロ建ての借入金および社債をヘッジ手段に指定し、純投資のヘッジを適用しております。当該外貨建借入金および外貨建社債の公正価値は、2018年3月31日現在においてそれぞれ61,200百万円、31,930百万円であり、2019年3月31日現在においてそれぞれ1,404,031百万円、3,203,040百万円であります。
当社グループは主に米ドルとユーロの為替リスクに晒されております。当社グループが決算日現在において保有する金融商品について、円が米ドルおよびユーロに対して5%円安となった場合に、純損益が受ける影響は2018年3月期、2019年3月期においてそれぞれ12,533百万円、19,530百万円であります。なお、機能通貨建ての金融商品、および在外営業活動体の資産および負債、収益および費用を円貨に換算する際の影響は含んでおりません。その他の変動要因、特に金利は一定であることを前提としております。上記以外の通貨の為替変動リスクに対する当社グループのエクスポージャーに重要性はありません。
前年度(2018年3月31日)
当年度(2019年3月31日)
上記の通貨スワップは、当社がキャッシュ・フロー・ヘッジとして指定した外貨建社債および借入金に関連するものであります。通貨スワップにかかるキャッシュ・フロー・ヘッジ剰余金は、ヘッジされた将来見積キャッシュ・フローが発生するのと同じ期間に純損益に振り替えております。
② 金利リスク
当社グループは、変動利付負債について市場金利および為替の変動リスクに晒されております。当社グループは、金利変動リスクおよび為替変動リスクを抑制するため、キャッシュ・フロー・ヘッジ戦略に基づき金利スワップおよび通貨スワップを実施して支払金利の固定化を図っております。各会計年度末において、キャッシュ・フロー・ヘッジに指定された金利スワップおよび金利通貨スワップは以下の通りであります。
上記のスワップは、当社がキャッシュ・フロー・ヘッジとして指定した変動利付負債に関連するものであります。
各会計年度末における金利の感応度分析は以下の通りであります。この分析は、その他の変動要因、特に為替レートは一定であることを前提としております。
2018年3月期において、変動利付負債は金利スワップを利用して支払金利の固定化を図っているため、純損益に与える影響に重要性はありません。ヘッジの非有効部分に重要性はありません。
③ 価格変動リスク
商品価格リスク
当社グループは、事業活動において価格変動リスクにさらされております。当社グループは主に固定価格の契約を締結することによってリスクを管理しておりますが、価格を固定する金融商品を使用する場合もあります。
市場価格リスク
当社グループの固定支払の金融資産および負債の市場価格と評価は上記の通り管理されている為替レート、金利および信用スプレッドの影響を受けます。資本性金融商品について、当社グループは、株価および発行会社の財務状況をレビューすることにより価格変動リスクを管理しております。
決算日現在において保有する資本性金融商品および当社グループのために資本性金融商品を保有する信託に対する投資について、市場価格が10%上昇した場合に当社グループのその他の包括利益(税効果考慮前)に与える影響は、2018年3月期、2019年3月期においてそれぞれ16,303百万円、11,991百万円であります。なお、その他の変動要因、特に金利と為替レートは一定であることを前提としております。
(3) デリバティブ金融商品
上記の通り、当社グループは、海外における様々な通貨による事業活動および機能通貨の異なる在外営業活動体に関連して為替レートの変動によるリスクに晒されております。また、当社グループの事業活動や取得にかかる資金調達を目的として実行した借入金および社債に関連して為替レートおよび金利の変動に晒されております。これらの借入金および社債は、為替レートおよび金利の変動によるリスクに晒される様々な通貨および変動利率による場合があります。
為替レートおよび金利の変動によるリスクに対応するため、当社グループは格付けの高い金融機関との間でデリバティブ取引を行っております。当社グループは、契約締結に係る権限や取引の制限を規定した当社グループのリスク管理方針に従いデリバティブ取引の契約を締結しております。当社グループの方針として、デリバティブは為替レートおよび金利変動によるリスクの軽減を目的とする場合のみ利用することとなっており、投機目的での利用はありません。当該方針は継続的に遵守されています。
当社グループは、通常デリバティブ取引を会計処理の目的でヘッジ手段として指定しております。場合によっては、ヘッジ会計の適用条件を満たさないが、実質的なリスクの管理を目的としたデリバティブ契約(エコノミック・ヘッジ)を締結することがあります。当社グループには投機目的の金融商品の利用はありません。当社グループは、金融商品の使用に係るリスク評価方法やコントロールに関する方針を策定しており、この中で、取引実行にかかる責任と運営、会計、管理にかかる責任を明確に区分する職務分掌を規定しております。
デリバティブおよびヘッジ活動が財政状態および業績に与える影響の要約
2019年3月31日現在のヘッジ手段の詳細は以下のとおりであります。
2019年3月31日現在のヘッジ対象の詳細は以下のとおりであります。
2019年3月期における、その他の包括利益に認識されたヘッジ手段の公正価値の変動および純損益に振り替えた金額の詳細は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
2018年3月期および2019年3月期において、純損益に認識したヘッジの非有効部分に係る金額に重要性はありません。
2018年3月期および2019年3月期において、その他の包括利益に認識したがヘッジ対象からのキャッシュ・フローの発生が見込まれないため純損益に振り替えた金額に重要性はありません。
(4) 資本リスク管理
当社グループの資本は、株主資本(注記26)、社債及び借入金(注記20)および現金及び現金同等物(注記18)で構成されております。当社グループは、経営の健全性・効率性を堅持し、持続的な成長を実現するため、安定的な財務基盤を構築および維持することを資本リスク管理の基本方針としております。当該方針に沿い、競争力のある製品の開発・販売を通じて獲得している潤沢な営業キャッシュ・フローを基盤として、事業上の投資、配当等による株主還元、借入返済を実施しております。当社グループは、資本と負債のバランスを考慮しつつ、保守的な財務政策を順守しております。
(5) 信用リスク
当社グループは、営業活動における信用リスク(主に売上債権)、銀行等の金融機関への預金および外国為替取引ならびにその他の金融商品取引を含む財務活動における信用リスクに晒されております。決算日現在における、保有する担保の評価額を考慮に入れない場合の最大の信用リスク額は、信用リスクに晒される金融資産の連結財政状態計算書上の帳簿価額としております。
顧客の信用リスク
売上債権およびその他の債権は顧客の信用リスクに晒されております。当社グループは、債権管理に係る社内規程に従い、取引先ごとに期日管理および残高管理を行うとともに、主要な取引先の信用状況を定期的に把握し、回収懸念の早期把握や潜在的な信用リスクの軽減を図っております。さらに必要に応じて、担保・保証などの保全措置も講じております。
期日が経過しているが減損していない金融資産の残高は以下のとおりであります。
上表の金額は貸倒引当金を控除しております。当社グループは、期日の経過していない売上債権およびその他の債権について、取引先の信用情報の分析の結果、各報告年度末における予想信用損失に基づいて貸倒引当金を測定しております。
2019年3月31日現在の売上債権の帳簿価額およびこれに対する損失評価引当金の期日別分析は以下のとおりであります。
過去の支払状況および顧客の信用リスクを幅広く分析した結果、期日を経過している未減損の額は全額回収可能であると判断しております。
2019年3月31日現在、当社グループは、期日の経過していない売上債権およびその他の債権について、取引先の信用情報の分析に基づいて損失評価引当金を測定しております。売上債権に対する損失評価引当金は、実務上の便法を用いて予想信用損失を集合的に測定しております。しかし、顧客の財務状況の悪化や支払遅延等の将来キャッシュ・フローの見積に悪影響を与える事象が発生した場合、予想信用損失は信用減損金融資産として個別の資産ごとに測定しております。当社グループは、該当がある場合に担保の回収を除き、顧客が債務の全額を返済する可能性が低くなった場合に、金融資産が債務不履行に陥ったと判断しております。
2018年3月期における売上債権およびその他の資産に対する貸倒引当金の増減は以下のとおりであります。売上債権以外の債権に対して認識された貸倒引当金に重要性はありません。比較情報である2018年3月期の金額はIAS第39号に基づく貸倒引当金の金額であります。
2019年3月期における売上債権に対する損失評価引当金の増減は以下のとおりであります。売上債権以外の債権に対して認識された損失評価引当金の金額に重要性はありません。
その他のカウンターパーティーリスク
当社グループの手許資金につきましては、その大部分を、プーリングを通じて当社および米欧の地域財務管理拠点に集中しております。この資金は、資金運用に係る社内規程に従い、格付の高い短期の銀行預金および債券等に限定し、格付・運用期間などに応じて設定している限度額に基づいて運用しているため、信用リスクは僅少であります。
プーリングの対象としていない資金につきましては、連結子会社において当社の規程に準じた管理を行っております。
デリバティブの利用にあたっては、カウンターパーティーリスクを軽減するために、格付の高い金融機関とのみ取引を行っております。
(6) 流動性リスク
当社グループは流動性リスクを管理しており、当社グループの短期、中期、長期の資金と流動性の管理のための、適切な流動性リスク管理のフレームワークを設定しております。
当社グループは、予算と実際のキャッシュ・フローを継続的に監視することにより、流動性リスクを管理しております。また、流動性リスクに備えるため、取引金融機関とコミットメントライン契約を締結しております(注記20)。当社グループは、偶発的なリスクを軽減し、予測される資金需要を上回る資金水準を維持することを目的として、流動性のある短期投資と格付けの高い相手方とのコミットメントラインとの組み合わせにより、利用可能な流動性を最大化するよう努めております。
金融負債の期日別残高は以下のとおりであります。なお、契約上の金額は利息支払額を含んだ割引前のキャッシュ・フローを記載しております。2018年3月31日および2019年3月31日の金額は、割引前将来キャッシュ・フローを各決算日の直物為替レートで換算したものであります。
(単位:百万円)
(7) 財務活動から生じた金融負債の調整表
前年度(自2017年4月1日 至2018年3月31日)
(単位:百万円)
「その他」には、償却原価法の適用による債務の増加額が含まれております。
当年度(自2018年4月1日 至2019年3月31日)
(単位:百万円)
「その他」には、償却原価法の適用による債務の増加額が含まれております。
28 株式報酬
当社グループは、当社グループの取締役および一部の従業員に対し、株式に基づく報酬制度を採用しております。2018年3月期および2019年3月期において、連結純損益計算書に計上した株式に基づく報酬制度に係る報酬費用の総額は、それぞれ22,172百万円および 18,787百万円であります。
当社グループは、2014年3月期まで、取締役、コーポレート・オフィサーおよび上級幹部に対するストック・オプション制度を有しておりました。前会計年度および当会計年度において付与されたストック・オプションはありません。また、過去に付与されたストック・オプションはすべて権利が確定しております。当該ストック・オプションは、通常付与日から3年後に権利が確定するものであります。取締役に対するストック・オプションの権利行使期間は付与日から10年間、コーポレート・オフィサーおよび上級幹部に対するストック・オプションの権利行使期間は付与日から20年間であります。ストック・オプションを行使する者は、行使時において当社の取締役または従業員であることを要します。ただし、任期満了により退任、定年退職またはその他正当な理由により退職した場合はこの限りではありません。
なお、2018年3月期および2019年3月期において、ストック・オプションはすべて権利確定済みであるため、ストック・オプション制度に関して計上された報酬費用はありません。
各会計年度におけるストック・オプション数の変動および加重平均行使価格の要約は以下のとおりであります。
(ⅰ) ストック・オプション数の変動および加重平均行使価格
2018年3月31日および2019年3月31日現在における期末残高は全て権利確定済みであり行使可能です。
(ⅱ) ストック・オプションの行使の状況
ストック・オプション行使時の加重平均株価は2018年3月期および2019年3月期において、それぞれ5,965円および4,679円であります。
未行使のストック・オプションの加重平均行使価格は2018年3月31日および2019年3月31日現在、それぞれ4,054円、4,055円であり、加重平均残存契約年数はそれぞれ14年、13年であります。
当社グループは、当社グループの取締役および上級幹部に対して株式に基づく2つのインセンティブ報酬制度を導入しております。
役員報酬BIP(Board Incentive Plan)信託(以下、「BIP信託」)
BIP信託とは、当社の取締役を対象とした株式に基づくインセンティブプランであり、当社の取締役に対して譲渡制限付株式報酬(Restricted Stock) と業績連動型株式報酬(Performance Shares)として(1ポイント=1株)が付与されます。当該BIP信託による報酬のうち、譲渡制限付株式報酬は付与日から3年間にわたって3分の1ずつ権利が確定し、業績連動型株式報酬は、付与日から3年目に権利が確定します。報酬の決済は、株価、外国為替レート(日本国外の場合)、および当社の配当金に基づいて行われます。業績連動型株式報酬(パフォーマンスシェア)については、報酬付与日において設定される連結売上収益、営業フリー・キャッシュ・フロー、1株当たり利益および研究開発に係る目標等の、透明性が高く客観的な目標の達成度に応じて決済が行われます。当社グループは、当社が完全保有している信託を通じて、付与日において市場から当社株式を取得し、その株式を用いて報酬の決済を行っております。個人が受領する株式数(株式現物または株式の換価処分金相当額の金銭)は、業績目標の達成度および権利の確定に基づいております。BIP信託は、日本国内に在住する個人について株式交付により決済を行い、日本国外に在住する個人については、その個人が権利を有する株式の売却による換価相当の金銭を支払うことで決済しております。
株式付与ESOP(Employee Stock Ownership Plan)信託(以下、「ESOP信託」)
ESOP信託とは、上級幹部を対象とした株式に基づくインセンティブプランであり、従業員に対して報酬(1ポイント=1株)が付与されます。一部の上級幹部については、BIP信託と同様に権利が確定し、それ以外の従業員については権利付与日から3年間にわたって毎年3分の1ずつ権利が確定します。報酬の決済は、株価、外国為替レート(日本国外の場合)、および当社の配当金に基づいて行われます。業績連動型株式報酬(パフォーマンスシェア)については、報酬付与日において設定される連結売上収益、営業フリー・キャッシュ・フロー、1株当たり利益および研究開発に係る目標等の、透明性が高く客観的な目標の達成度に応じて決済が行われます。当社グループは、当社が完全保有している信託を通じて、付与日において市場から当社株式を取得し、その株式を用いて報酬の決済を行っております。個人が受領する株式数(株式現物または株式の換価処分金相当額の金銭)は、業績目標の達成度および権利の確定に基づいております。ESOP信託は、日本国内に在住する個人に対しては株式を交付して決済を行い、日本国外に在住する個人については、その個人が権利を有する株式の売却による換価相当の金銭を支払うことで決済しております。
株式付与制度に関して認識された費用の総額は、2018年3月期および2019年3月期において、それぞれ18,610百万円および20,084百万円であります。
付与された報酬ポイントの付与日時点の加重平均公正価値は以下のとおりであります。
付与日の公正価値は、付与日の当社株式の株価に近似していると判断されたことから、付与日の株価を使用して算定しております。
各会計年度における株式付与制度における報酬ポイント数の変動は以下のとおりであります。
2018年3月31日および2019年3月31日現在において、期末行使可能残高はありません。
BIP信託、ESOP信託のポイントの加重平均残存契約年数は、2018年3月31日現在および2019年3月31日現在、それぞれ1年であります。
当社グループは、特定の従業員に対して、擬似株式増価受益権(PSAR:Phantom Stock Appreciation Right)および譲渡制限付株式ユニット(RSU:Restricted Stock Unit)を付与しております。これらの株式報酬は、当社株式の価格に連動しており、現金で決済されます。これらの現金決済型の株式報酬に関して計上された費用は、2018年3月期において3,562百万円であります。2019年3月期においては、これらの現金決済型の株式報酬に関する費用の戻入1,297百万円を計上しております。また、連結財政状態計算書に認識された負債は、2018年3月31日および2019年3月31日現在、それぞれ4,872百万円および2,597百万円であります。
PSAR(PSAR:Phantom Stock Appreciation Right)は、付与日の属する連結会計年度末から3年間にわたって毎年付与数の3分の1ずつ権利が確定します。権利行使期間は、付与日の属する連結会計年度末から10年間であります。株式報酬は、付与日における当社の株価と権利行使日における株価との差額を現金で支払うことで決済されます。
各年度におけるPSARの権利数および加重平均行使価格の変動は以下のとおりであります。
2018年3月31日および2019年3月31日現在における期末残高は全て権利確定済みであり行使可能です。
RSU(RSU:Restricted Stock Unit)は、付与日の属する連結会計年度末から3年間にわたって毎年付与数の3分の1ずつ権利が確定し、権利確定時における株価相当額に権利確定期間中の配当金相当額を加味した金額を現金で支払うことにより決済されます。RSUには、権利保有者が支払うべき行使価格はありません。
各年度におけるRSUの権利数の変動は以下のとおりであります。
2018年3月31日および2019年3月31日現在において、期末行使可能残高はありません。
期末日現在で権利が確定した現金決済型株式報酬制度に関する本源的価値は、2018年3月31日現在、2,442百万円であり、2019年3月31日現在においてはありません。
29 子会社および関連会社
2019年3月期において、連結子会社は、主としてShire社およびTiGenix社の取得により240社増加し、広東テックプール・バイオファーマ Co.,Ltd.等の売却により13社減少しました。また、持分法適用関連会社は主としてShire社の取得により7社増加し、売却等により3社減少しました。
2019年3月31日時点の当社グループの連結子会社および持分法適用関連会社の内訳は、以下のとおりであります。
(連結子会社(パートナーシップを含む))
(持分法適用関連会社)
30 関連当事者取引
(1) 関連会社との取引
武田テバファーマ株式会社は、当社グループの主要な関連会社の1つであり、当社グループは武田テバファーマ株式会社に対して製品販売および販売代行を行っております。2018年3月期および2019年3月期における当該関連会社との取引額の合計は、それぞれ18,166百万円および10,380百万円であります。債権債務の残高は以下のとおりであります。
関連当事者との取引条件は、市場価格を勘案して一般的取引条件と同様に決定しております。また、上記の債権債務は通常の決済条件と同様、現金によって決済しております。
担保・保証取引の残高は無く、債権に対して損失引当金は設定しておりません。
(2) 主要な経営幹部に対する報酬
主要な経営幹部は、取締役とチーフフィナンシャルオフィサーと定義しております。主要な経営幹部に対する報酬は以下のとおりであります。
31 企業結合
Shire社の取得
当社グループは、2019年1月8日、現金および株式等総額6,213,335百万円を対価とした取引により、Shire plc(以下、「Shire社」)の発行済普通株式の100%を取得しました。当社グループはShire社の普通株式1株に対し、現金で30.33米ドルを支払い、買収後の当社株式0.839株または当社の米国預託株式(以下、「ADS」、当社のADS1株は買収後の当社株式0.5株に相当)1.678株のいずれかを発行しました。買収関連費用23,750百万円が発生しましたが、これらの費用は発生した時点で、販売費及び一般管理費に計上しております。当社グループは取得対価の現金部分の資金を調達するため、複数の借入契約を締結しております(注記20)。Shire社は希少疾患に注力したグローバルなバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。本件買収により、魅力的な国内外の拠点を有し、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品の企業が創出されるとともに、当社グループの重点領域である消化器系疾患およびニューロサイエンスも補完され、強化されます。Shire社の販売製品には、免疫領域においてはGAMMAGARD、HYQVIA、TAKHZYRO、ヘマトロジー(血液学)領域においてはアドベイト、アディノベイト、VONVENDI、FEIBA、ニューロサイエンス領域においてはバイバンスおよびADDERALL XR、内科領域においてはLIALDA/MEZAVANTおよびPENTASA、遺伝性疾患領域においてはELAPRASEおよびREPLAGALが含まれます。また、Shire社は研究開発において希少疾患に注力しています。
移転された対価は、以下のとおりであります。
買収の対価の一部として旧Shire社株主に対して割り当てるため、当社は普通株式770,303,013株を発行しました。発行価格は4,065円であり、このうち2,032.50円は資本金に計上され、その他は資本剰余金に計上されました。資本の増加額は3,131,282百万円であり、このうち1,565,641百万円は資本金に計上され、その他は資本剰余金に計上されました。対価として発行した当社の株式の公正価値は、取得日の東京証券取引所の始値に基づいて決定されています。
当該企業結合にかかる支出は2,891,937百万円であり、現金対価3,082,053百万円およびベーシス・アジャストメント37,107百万円から取得した現金227,223百万円を差し引いた金額であります。
取得した資産、引き受けた負債の暫定的な公正価値は、以下のとおりであります。
のれんは、移転された対価が識別された資産の純額を上回る場合にその超過額として計算しており、当社およびShire社グループの収益およびコストシナジーを表します。本件買収により認識されたのれんは税務上の控除の対象となっておりません(注記11)。
引当金には訴訟に関する引当金29,570百万円が含まれております(注記32)。その他の負債にはShire社の過去の買収に関する条件付対価も含まれております。条件付対価は特定のマイルストンの達成等を条件としており、当社グループが支払う可能性がある金額の公正価値は52,046百万円です(注記21)。
上記金額は暫定的に見積られた公正価値であり、企業結合会計の完了に際して修正され、当社グループの業績および財政状態に重要な影響を与える可能性があります。暫定的な金額となっている主な項目は、無形資産、繰延税金負債、およびのれんであります。また、2020年3月期の測定期間において、取得した資産および引き受けた負債の公正価値評価を完了するにあたり、取得対価の追加的な修正が行われる場合があります。公正価値の算定は、将来の事象および不確実性に係る複数の複雑な判断を基礎としており、見積りおよび仮定に大きく依拠しております。取得した資産および引き受けた負債の種類ごとの公正価値の算定ならびに資産の耐用年数の決定に使用する判断は、当社グループの業績に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループは取得対価にかかる為替リスクをヘッジするために外貨建預金を保有するとともに通貨オプションを締結し、ヘッジ会計を適用しております。ベーシス・アジャストメントは、取得日においてその他の包括利益に計上されたヘッジ手段の公正価値の変動額37,107百万円であり、のれんの帳簿価額に加算しております。
当社グループは、Shire社の取得日から当連結会計年度末までに企業結合から生じた売上収益309,198百万円および当期損失126,068百万円を計上しております。
プロフォーマ財務情報
プロフォーマ財務情報は、Shire社の買収が2018年4月1日に起きたと仮定した場合の、当社グループとShire社を合わせた業績を示しています。プロフォーマ財務情報は必ずしも、実際に買収が2018年4月1日に完了した場合の連結業績を示しているとは限りません。また、プロフォーマ財務情報は、統合後の当社グループの将来業績を予測するものでもありません。
プロフォーマ財務情報を作成するため、Shire社の過去の財務情報には米国会計基準から国際会計基準への調整および当社グループの会計方針との重要な差異にかかる調整を行っております。
当社グループは、2018年4月30日に、当社グループが未だ保有していないTiGenix NV (以下、「タイジェニクス社」)の全ての発行済普通株式、新株予約権および米国預託株式(以下、普通株式、新株予約権および米国預託株式を総称して「有価証券」)の現金による任意の株式公開買付けを開始しました。2018年6月8日、当該第1回目の株式公開買付けに申込みがなされた有価証券を470.2百万ユーロで取得し、当社グループが公開買付け前から保有するタイジェニクス社の普通株式と合わせて、90.8%の議決権を取得しました。買収関連費用767百万円が発生しましたが、これらの費用は発生した時点で、販売費及び一般管理費に計上しております。
タイジェニクス社は、重篤な疾患に対して幹細胞を用いた新たな治療薬の開発を行うバイオ医薬品企業です。本買収により、非活動期または軽度活動期のクローン病(CD)に伴う肛囲複雑瘻孔の治療薬として治験実施中の、同種異系の脂肪由来幹細胞(eASC)の懸濁液であるCx601(一般名:darvadstrocel)に関する米国における権利が得られ、当社グループの開発後期にある消化器系疾患(GI)パイプラインが拡充されることになります。なお、2018年7月に終了した第2回目の株式公開買付けおよびその後のスクイーズアウトにより、タイジェニクス社は当社の100%子会社となっております。
取得対価は以下のとおりであります。
当該企業結合にかかる支出は66,749百万円であり、現金対価67,319百万円およびベーシス・アジャストメント3,381百万円から取得した現金3,951百万円を差し引いた金額であります。
取得した資産、引き受けた負債の暫定的な公正価値は、以下のとおりであります。
のれんは、今後の事業展開により期待される将来の超過収益力を反映したものであります。のれんは、税務上の控除の対象とはなっておりません。
取得資産および引受負債の公正価値測定に必要となる基礎数値についてより詳細に検証しており、取得対価の配分が完了していないことから、上記の金額は、現時点で入手しうる情報に基づいた暫定的な金額であります。暫定的な金額となっている主な項目は、無形資産、繰延税金負債およびのれんであります。なお、当年度において暫定的な公正価値を修正した結果、取得日におけるのれんは1,831百万円減少しております。これは、その他の資産および繰延税金負債がそれぞれ253百万円および2,084百万円減少したことによるものであります。
当社グループは取得対価にかかる為替リスクをヘッジするために為替予約を締結し、ヘッジ会計を適用しております。ベーシス・アジャストメントは、取得日のヘッジ手段の公正価値3,381百万円であり、のれんの帳簿価額に加算しております。
取得日直前に保有していたタイジェニクス社の普通株式の再測定による利得または損失は計上しておりません。
当社グループは、タイジェニクス社の企業結合後の期間に生じた売上収益および利益が当社グループの当年度の連結業績へ与える影響は軽微であります。
タイジェニクス社の買収が2018年4月1日に起きたと仮定した場合の、当社グループの当年度の売上収益および利益への影響は軽微であります。
当社グループは28,328百万円を対価とした事業の取得を行っており、その全額を現金により支払っております。
32 コミットメントおよび偶発負債
当社グループは、借手として、主にオフィス、その他の施設および特定のオフィス機器のオペレーティング・リース契約を締結しております。
当初または残存リース期間が1年を超える解約不能オペレーティング・リースに基づく将来の最低支払リース料の支払期日別の内訳は、以下のとおりであります。
解約不能サブリース契約のもとで受け取ると予想される将来の最低サブリース料は、2018年3月31日および2019年3月31日現在、それぞれ34,482百万円および13,140百万円であります。
純損益に認識したオペレーティング・リース契約のリース料および受取サブリース料は、以下のとおりであります。
(2) 購入コミットメント
有形固定資産の取得に関するコミットメントは、2018年3月31日および2019年3月31日現在、それぞれ14,078百万円および33,991百万円であります。
(3) アイルランド税務当局による税務評価
Shire社は、2018年11月28日に、アイルランド税務当局から398百万ユーロの課税額に関する通知を受領しました。税務当局は、2014年にShire社がAbbVie, Inc.からの買収の申し出の取下げに関する違約金として受領した1,635百万米ドルが課税対象となる可能性を言及しております。当社グループは違約金から納税義務は発生していないと考え、本件に関して異議を申し立ての手続を行っております。
(4) マイルストン支払い
注記13に記載のとおり、当社グループは、2018年3月31日および2019年3月31日現在、無形資産の取得に関して最大でそれぞれ517,017百万円および655,531百万円の支払いを要する契約上の取決めを有しております。当該コミットメントは、研究開発中のパイプラインに関しては開発マイルストンを、上市した製品に関してはコマーシャルマイルストンの最大支払額を含めております。なお、研究開発中のパイプラインに関しては、コマーシャルマイルストンの支払条件が達成されるかどうかの不確実性が高いため、上記コミットメント金額にコマーシャルマイルストンは含めておりません。
(5) 債務保証
2018年3月31日および2019年3月31日現在、債務保証に係る偶発負債の残高は、それぞれ186百万円および99百万円であります。これらは金融機関との取引に関する債務保証であり、履行可能性が低いため、連結財政状態計算書上において金融負債として認識しておりません。
(6) 訴訟
当社グループは、複数の訴訟および行政手続に当事者として関与しておりますが、最も重要な訴訟等は以下のとおりであります。
当社グループが関与する重要な訴訟等のなかには、それらの最終的な結果により財務上の影響があると見込まれる場合であっても、その額について信頼性のある見積りが不可能な場合があります。信頼性のある見積りが不可能な訴訟等については、以下で適切な情報の開示を行っておりますが、引当金の計上は行っておりません。
以下に記載している訴訟等については、既に引当金を計上しているものを除き、現段階において財務上の影響額について信頼性のある見積りが不可能であります。これは、複数の要因(審理の進行段階、決定が行われた場合にこれを争う権利が当事者にあるか否か、訴訟における法的責任の根拠に係る明確性の欠如、当社グループの抗弁の根拠、損害の算定および回収可能性の見積りの困難性、ならびに準拠法を含むが、これらに限定されない。)を考慮する必要があるためです。なお、原告側の請求額に関する情報は、仮に入手できた場合でも、必ずしもそれ自体が訴訟等の最終的な賠償金額を判断する上で有用な情報ではないと考えております。
訴訟等に関連して発生した法務関連費用および訴訟等に係る費用は、販売費及び一般管理費に計上しております。法律およびその他の専門家からの適切な助言をもとに、財産が社外に流出する可能性が高くかつ訴訟の帰結について信頼性のある見積りができる場合に、引当金を計上しております。一部の製造物責任に係る請求については、過去に請求および和解に関する十分な実績があり、未請求の損害賠償請求権に対する引当金について信頼性のある見積りをすることができる場合に、引当金を計上しております。2019年3月31日現在、当社グループの訴訟に係る引当金の合計は46,775百万円であります。法的請求による最終的な負債の額は、訴訟手続、調査および和解交渉の帰結によって、引当額と異なる可能性があります。特段の記載のある場合を除き、当社グループは、現時点において、以下の各事案に関して訴訟が継続する期間や最終的な訴訟結果を見積ることはできません。
当社グループの状況は時間の経過とともに変化する可能性があります。したがって、いずれの訴訟等についても結果的に生じる損失が当連結財務諸表に計上されている引当金の金額を大きく上回ることはないという保証はありません。
以下の事案には、当社グループがShire社を買収する以前に、Shire社またはその子会社に対して提起された訴訟等も含まれます。Shire社の買収の詳細については、企業結合(注記31)をご参照ください。
製造物責任訴訟および関連する損害賠償請求
規制当局の承認後の製品の使用に係る人体への安全性および有効性を確認するため、製品開発中に前臨床試験および臨床試験が実施されております。しかしながら、医薬品およびワクチンの上市後に、予想されていなかった安全性に関する問題が明らかになる場合、または第三者からかかる問題を主張される場合があります。当社グループは、当社グループの製品に関連して多数の製造物責任訴訟を提起されております。製造物責任訴訟および関連する損害賠償請求について、当社グループは、引当金が計上されている事案を除き、現時点において予想される財務上の影響額について信頼性のある見積りをすることはできません。当社の主要な係争中またはその他の訴訟は以下のとおりであります。これらの訴訟の結果は必ずしも予測可能ではなく、複数の要素により影響を受けます。発生していることが少なくとも合理的に見込まれる損失について、引当済の金額を超過する損失の金額が重要かつ見積可能である場合には、当社は損失発生額に係る見込額または見込額の範囲を開示しております。
① アクトス
当社グループは、米国の連邦裁判所および州裁判所において、2型糖尿病治療剤ピオグリタゾンを含有する製剤(米国製品名「アクトス」)に起因して膀胱がんまたはその他の傷病を発症したと主張する原告により訴訟を提訴されております。また、一時期米国においてアクトスを共同販売していたEli Lilly and Company(以下、「イーライリリー社」)も、アクトスに関連する多くの訴訟において被告となっております。当社グループは、両社の共同販促(co-promotion)契約に基づき、米国内の訴訟等についてイーライリリー社のために防御活動を行うと共に同社に対して補償を行うことに同意しております。また、米国外においても、同様の傷病を主張する人々により訴訟が提起され、また、損害賠償が請求されております。
2015年4月、当社グループと主要な原告の代理人は、米国内における当社グループおよびイーライリリー社に対する、係争中のアクトス関連の製造物責任訴訟の大多数について和解することで合意に至りました。当該和解は、和解が成立した日において米国の裁判所で係争中の膀胱がんに関する損害賠償請求のすべてを対象としております。また、米国内で未提訴の損害賠償請求者についても、和解が成立した日および和解が成立した日の翌日から3日以内に、代理人を通じて和解プログラムに参加する資格を有しておりました。提訴済みおよび未提訴を併せ損害賠償請求者の95%が和解プログラムに参加したことによって、和解が成立いたしました。当社グループは、この広範な和解プログラムに関連し、和解基金へ24億米ドル(約2,880億円)を支払っております。当社グループは、当社グループに対する製造物責任訴訟を補償範囲としている複数の保険契約により、約580億円の保険金を受領しております。当社グループは、依然として係争中のアクトス訴訟および損害賠償請求に関しては引当金を計上しております。
上記の係争中の製造物責任訴訟に加え、当社グループは以下の通り消費者および公共または民間の第三者支払人(医療保険会社など患者のため医療費の補填や立替払いをする事業者)から経済損失の賠償を請求する訴訟を提起されております。
・アクトスの薬剤費の払い戻し等を請求する消費者および第三者支払人を代理して、カリフォルニア州の連邦裁判所において全米を対象とする集団訴訟(Painters' Fund訴訟)が提起されております。2018年4月、裁判所は当該訴訟を棄却しましたが、原告側は控訴しております。
・Painters' Fund訴訟と類似の請求を行うカリフォルニア州を対象とする集団(クラス)訴訟が、同州の連邦裁判所に提起されております。
ミシシッピ州およびルイジアナ州は、当社グループおよびイーライリリー社がアクトス服用による膀胱がんおよびその他のリスクに関する警告を怠ったと主張し、両社に対して訴訟を提起しております。当該訴訟においては、州がメディケイド等のプログラムを通じ患者のために負担したアクトスの薬剤費の払戻し、アクトスに起因する傷病の治療費、弁護士およびその他の費用の補償、ならびに懲罰的損害賠償が請求されております。裁判所は、当社グループによるルイジアナ州の請求棄却の申し立てを認めましたが、この判決については控訴されております。2018年11月、当社グループおよびイーライリリー社はミシシッピ州が提起した訴訟について和解に合意しました。ルイジアナ州が提起した訴訟については依然として係争中であります。
② プロトンポンプ阻害薬関連訴訟
当社グループは、2019年6月10日現在、米国連邦裁判所および州裁判所において、約6,000件のプレバシドおよびデクスラントに関連した製造物責任訴訟を提起されております。この連邦訴訟について、広域係属訴訟(MDL)制度に係る公判前整理手続がニュージャージー州の連邦裁判所に統合されております。当該訴訟の原告側は、プレバシドおよび(または)デクスラントの使用により腎臓障害を発症し、当社グループが潜在的な危険性についての適切な警告を怠ったと主張しております。これらの原告のうち、実際にプレバシドおよび(または)デクスラントを服用した人数は依然として不明であります。アストラゼネカ社、プロクター・アンド・ギャンブル社およびファイザー社等の、当社グループと同じくプロトンポンプ阻害薬クラスに属する製品を製造している他の製薬会社に対して、類似の訴訟が係争中となっております。米国外では、カナダのケベック州、オンタリオ州およびサスカチェワン州の3つの州において、3件の集団訴訟が提起されております。当該提訴には、当社グループ、アストラゼネカ社、ヤンセン・ファーマシューティカル社および複数の後発品製薬会社が被告として含まれております。今後の米国、カナダ、他の地域における当社グループに対する新たな訴訟件数については予測できません。
③ Elaprase
Shire社のブラジルの関係会社であるShire Farmaceutica Brasil Ltdaは、Shire社がエラプレースの臨床試験に参加した患者に対し無期限で当製品を無償で提供する責任を有するとして、ブラジル検察介入のもと、2014年にサンパウロ州により提訴されました。また、原告は現在までに患者に代わり支払った費用およびこれらの主張に係る精神的な被害(moral damage)について、ブラジル政府に対し補償するよう求めています。
2016年5月6日、第一審裁判所は本事案に関し、集団訴訟に基づくすべての請求を棄却しました。2017年2月20日、サンパウロ控訴裁判所が第一審判決を支持する判決を下したことにより、集団訴訟に基づくすべての請求が棄却されました。2017年7月12日に検察は最高裁判所、2017年10月10日にサンパウロ州は上位裁判所および最高裁判所に上訴しました。 2017年11月13日、Shire社は前述の上訴に対する回答を提出しており、2018年7月3日にサンパウロ控訴裁判所長によりすべての控訴に対する上訴裁判所への送致を却下する決定が下されました。当該決定に対し、州(2018年8月23日)と検察(2018年10月3日)の双方が上訴したことにより、2019年2月27日、本上訴記録は上位裁判所に提出されました。現在、当社グループは上位裁判所の裁判官の選任を待っております。
知的財産権
知的財産権の侵害訴訟には、当社グループの様々な製品または製法に関する特許権の有効性および法的強制力に対する異議の申し立て、ならびに当該特許権に対する非侵害の主張が含まれております。知的財産権の侵害訴訟に敗訴することにより、対象となった製品に係る特許権の保護の喪失につながる可能性があり、結果として該当製品の売上が大幅に減少し、当社グループの将来の業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
① プレバシド
2018年1月、当社グループは、Zydus Pharmaceuticals (USA) Inc. (以下、「Zydus社」)から、SoluTabの後発品の申請を修正したという通知を受けました。これに関し、当社グループはZydus社に対する特許侵害訴訟を提起いたしました。それを受けてZydus社は、Zydus社の簡略新薬申請(以下、「ANDA」)の修正を行った製品に対する当社グループの当該訴訟提起は独占禁止法に違反すると主張する反訴を提起しております。当社グループは、当該反訴の法的根拠はないと考えております。
2009年6月、カナダのトロントにおいて、Apotex Pharmaceuticals Inc. (以下、「Apotex社」)は、Apotex社に対する以前の特許侵害訴訟によりApotex社の後発品(ランソプラゾールカプセル)の市場参入が遅れたとして、当社グループとAbbott Laboratories (以下、「アボット社」)に対して損害賠償請求訴訟を提起しました。この損害賠償請求訴訟に先立って、アボット社および当社グループは、Apotex社が、カナダにおけるランソプラゾールカプセルの後発品に関連する様々な特許権が満了する前にApotex社の後発品の販売許可を求め、カナダの保健大臣へ承認を申請したことに関し、Apotex社に対する特許侵害訴訟を提起しておりました。2019年1月に両当事者間において、上記損害賠償請求訴訟について和解が成立しております。
② パントプラゾール
2016年1月15日、Mylan Inc.(以下、「マイラン社」)は、当社グループが以前マイラン社に対して請求したPM(NOC)訴訟(カナダ薬事当局による後発品承認の差し止めを求め先発メーカーが提起する訴訟)が棄却されたことを受けて、カナダ連邦裁判所において当社グループに対する損害賠償請求訴訟を提起しました。マイラン社は、2013年6月27日から2015年6月15日の期間において、マイラン社のパントプラゾール・マグネシウム後発品を販売できなかったとして損害賠償請求をしておりました。2018年5月に両当事者間において和解が成立しております。
③ アミティーザ
Sucampo Pharmaceuticals, Inc(以下、「Sucampo社」)(当社グループのライセンサー)は、2017年3月にAmneal Pharmaceuticals社から、2017年8月にTeva Pharmaceutical Industries Ltd.(以下、「テバ社」)から、アミティーザに対するParagraph IV証明を受領しました。両社は、米国食品医薬品局(以下、「FDA」)のオレンジブックに掲載されているアミティーザの特許は無効であること、およびANDA製品による特許侵害はないことを主張しました。これに関し、Sucampo社および当社グループは、当該両社に対する特許侵害訴訟を提起しました。アミティーザに対してANDAの提出を行っていたその他の後発医薬品製薬会社に対する特許侵害訴訟については既に和解が成立しており、Amneal Pharmaceuticals社とテバ社に対する特許侵害訴訟についても、2018年6月に和解が成立しております。
④ トリンテリックス
当社グループは、トリンテリックスの後発品の販売を求める後発医薬品製薬会社16社から、Paragraph IV証明を添付してANDAを提出したとの通知を受領しました。その中で、現時点において、少なくとも後発医薬品製薬会社4社が、2026年に特許期間が満了するトリンテリックスの化合物(有効成分)であるvortioxetineをカバーする特許の無効を申し立てております。当社グループは、デラウェア州の連邦裁判所においてANDAを提出した当事者に対する特許侵害訴訟を提起しております。
⑤ Entyvio
F. Hoffmann-La Roche, Ltd.(以下、「ロシュ社」)は、Entyvioがロシュ社のドイツおよびイタリアにおける特許を侵害しているとして、当社グループに対する特許侵害訴訟をドイツおよびイタリアで提起しております。当社グループは、当該訴訟に対して全面的に争っております。また、当社グループは、英国において同国内でのロシュ社の特許の無効を主張する訴訟を提起しております。
⑥ Mydayis
2017年10月12日、Shire社は、Mydayisの後発品の販売を求めるTeva Pharmaceuticals USA社から、FDAへANDAを提出したとの通知を受領しました。これを受けて、通知受領から45日以内に、Shire社はTeva Pharmaceuticals USA社、Actavis Laboratories社、Teva Pharmaceutical Industries Limited(以下、総称して「テバ社グループ」)に対して、デラウェア州の連邦裁判所に訴訟を提起しました。マークマンヒアリングは2019年1月23日に実施され、公判は2019年12月9日に開始される予定です。
2018年3月8日、Shire社は、Mydayisの後発品の販売を求めるImpax Laboratories Inc.(以下、「インパックス社」)から、FDAへANDAを提出したとの通知を受領しました。これを受けて、通知受領から45日以内に、Shire社はインパックス社に対して、デラウェア州の連邦裁判所に訴訟を提起しました。マークマンヒアリングは2019年1月23日に実施され、公判は2019年12月9日に開始される予定です。
2018年4月19日、Shire社は、Mydayisの後発品の販売を求めるSpecGX社から、FDAへANDAを提出したとの通知を受領しました。これを受けて、通知受領から45日以内に、Shire社はSpecGX社に対して、デラウェア州の連邦裁判所に訴訟を提起しました。当該訴訟については、2019年1月28日にShire社とSpecGX社間で和解が成立しております。
2018年1月、KVK Tech社より、米国特許第 8,846,100号および9,173,857号に対する当事者系レビュー(IPRs)の請求が提起され、2018年7月に当該請求が認められました。両特許はオレンジブックに掲載されているMydayisの特許であり、上記に記載したテバ社グループとインパックス社に対する特許侵害として係争中のものです。本案の判決は2019年7月10日以前に下される見込みです。
⑦ アディノベイト
2016年12月5日、Shire社の直接的または間接的に完全子会社であるBaxalta IncorporatedおよびBaxalta US Inc.(以下、総称して「バクスアルタ社」)ならびにNektar Therapeutics(以下、「ネクター社」)は、デラウェア州の連邦裁判所において、Bayer Healthcare LLC(以下、「バイエル社」)により訴訟を提起されております。当該訴訟は、アディノベイト [抗血友病因子(組み換え体)、PEG化]の販売に係る米国特許第9,364,520号の侵害を主張するものであり、2019年1月28日に開始した陪審において審理されております。陪審員は、特許侵害を主張する原告側の意見に肯定的であり、さらに1億5,520万ドルの損害賠償を認定しております。当社グループは追加措置の実施を検討しており、Shire社の買収に伴って当該訴訟に係る引当金を計上しております(注記31)。
2017年9月15日、バクスアルタ社とネクター社は、米国特許第7,199,223号、7,863,421号、8,143,378号、8,247,536号、8,519,102号、8,618,259号および8,889,831号の侵害を主張し、バイエル社に対してデラウェア州の連邦裁判所に訴訟を提起しました。当該訴訟は、2018年12月7日にBAY-94(後にJivi® [抗血友病因子(組み換え体)、PEG化-aucl]として承認、販売)に係る7,026,440号、7,872,072号、8,273,833号、8,809,453号および9,187,569号の侵害を主張し、2018年8月31日に提起されたバクスアルタ社とネクター社の訴訟と併合されました。2018年7月2日、米国特許第9,999,657号を追加し修正訴状が提出されております。本案のマークマンヒアリングは、2019年6月21日および8月20日に実施が予定されており、2020年4月27日に公判が開始される予定です。
⑧ その他
上記の個別の特許訴訟に加えて、当社グループは、他の製薬会社が当社グループのAlogliptinを含む他の医薬品の後発品を販売する目的でParagraph IV証明を添付してANDAの提出を行った旨の通知を受領し、多数の訴訟等の当事者となっております。当社グループは、このような事例において、関与する当事者に対して特許侵害訴訟を提起しております。
販売・営業および規制
当社グループは、当社グループの製品および営業活動に関連するその他の訴訟に関与しており、その中で最も重要なものは以下のとおりであります。
① アクトス
ニューヨーク州の連邦裁判所において、当社グループに対して、アクトス後発品の市場参入を阻害する反競争的行為があると主張する最終消費者および卸売業者による集団訴訟が提起されました。2015年9月、裁判所は、最終消費者が主張する反トラストの訴えに係る被告側からの請求棄却の申し立てを認めましたが、これに対し最終消費者は、連邦第二巡回控訴裁判所に控訴しました。卸売業者による訴訟は、最終消費者の訴訟に関する控訴審判決が出るまで保留されておりました。2017年2月、控訴裁判所は、最終消費者の訴えの棄却を部分的に取り消し、原告側の反トラストに関する見解の1つについて第一審裁判所において審理を進めることを認めました。具体的には、控訴裁判所は、FDAのオレンジブックに掲載されている当社グループの2件の特許に関する分類が誤っており、そのためにテバ社のアクトス後発品の発売が遅れたという原告の主張は妥当であると判断しました。当社グループは、かかる主張に同意しておらず、オレンジブックの記載は正確であったと確信しております。一方で、控訴裁判所は、第一審裁判所によるその他の反トラストに関する訴えの棄却については支持する見解を示しました。最終消費者による訴えは、卸売業者の訴えと共に、第一審裁判所で審理が進められておりますが、当社グループは残りの訴えについて棄却の申し立てをしております。
② Vancocin
2012年4月6日、Shire社が2014年1月に買収したViroPharma Incorporated(以下、「ViroPharma社」)は、米国連邦取引委員会(以下、「FTC」)から、Vancocinに関する不正な競争に関わった疑いで調査している旨の通知を受領しました。2014年8月にVancocinを売却した後も、Shire社はVancocinに対し、将来的に発生する責任を含む一定の責任を有しております。
2012年8月3日および2014年9月8日、ViroPharma社とShire社の両社は、本案に係る追加情報を求める民事調査請求をFTCから受けました。Shire社は当該調査に全面的に協力しております。
2017年2月7日、FTCはViroPharma社が2006年にVancocinの後発品の生物学的同等性を評価するFDAの方針に関し市民請願を行ったことにより、米国反トラスト法に違反するとしてShire社を告訴しました。訴状は、差止命令や不当利得の吐き出しを含む衡平法による救済を求めています。Shire社は2017年4月10日、棄却の申し立てを行いました。2018年3月20日に裁判所はShire社の申し立てを認めましたが、FTCは2018年4月11日に審判請求書を提出しました。2019年2月25日、連邦第三巡回控訴裁判所はFTCの請求を棄却しました。
現時点において、Shire社の当該訴訟に係る費用や期間を見積もることは不可能であります。
③ 患者支援プログラムに関する調査
2017年3月期に当社グループが買収したアリアド社は、買収に先立つ2016年11月、米国司法省ボストン地方検事局から、召喚状(subpoena)が発行され、2010年1月から現在に至るまでの間のアリアド社がMedicareプログラム上の患者の自己負担にかかる財政支援を行う非営利団体(501(c)(3)co-payment foundations)に行った寄付、Medicare受益者向け財務支援プログラムおよび無償薬剤提供プログラム、ならびに上記の非営利団体と特定薬局、拠点または医療プログラムサービス提供機関との間の関係に関する情報の提出を求められております。アリアド社は当該調査に協力しております。
2019年3月期に当社グループがShire社の買収により取得したシャイアー・ファーマシューティカルズLLC社に対して、2019年6月に、米国司法省ボストン地方検事局から召喚状(subpoena)が発行されました。当該召喚状において、遺伝性血管性浮腫の治療薬であるフィラジル(Firazyr)やCinryzeを含むシャイアー社の医薬品を使用するMedicareプログラム上の患者に対して財政支援を行う非営利団体(501(c)(3))とShire社の関係について情報の提出を求められております。Shire社は当該調査に協力しております。
33 後発事象
2019年5月9日、当社グループは、Shire社買収の一環として取得したlifitegrast点眼剤Xiidra®をNovartis社に売却することを発表しました。Xiidraは、現在米国およびカナダで販売されております。契約条件に基づき、当社グループは、契約締結時における34億米ドルの現金および最大で19億米ドルのマイルストンを含む、最大で総額53億米ドル(約5,900億円)の対価を受領する予定です。マイルストンは、Xiidraまたは同等のジェネリック製品の売上高に基づき一定の条件が達成された場合に当社に支払われることになります。当社グループは、Shire社買収日においてXiidraを譲渡する意図を有していたため、売却目的で保有しておりました。買収日において、Xiidraを含む売却目的で保有する処分グループは、譲渡により受領が見込まれる対価に基づき計上しております。2020年3月期第2四半期中の売却完了を見込んでおります。
2019年5月9日、当社グループは、手術用パッチ剤TachoSil™を4億ユーロ(約500億円)でEthicon社に売却することを発表しました。加えて、当社グループは、同社と長期の製造契約を締結いたしました。本取引は、製品の権利および関連する従業員等の移転を含んでおります。2020年3月期第2四半期中の売却完了を見込んでおります。
2019年5月14日、当社グループは、第三者割当増資により新株式11,350千株を1株あたり発行価額4,318円で発行し、当社グループの連結子会社である株式付与ESOP信託の日本マスタートラスト信託銀行株式会社の信託口座に対して割り当てることを発表しました。当該株式発行は当社の取締役会により承認されております。これらの株式は、ESOP信託口より買い戻され、株式報酬費用として交付されることを意図しております。
2019年6月6日、当社は、発行総額5,000億円のハイブリッド社債(劣後特約付社債)(以下、「本社債」)を発行いたしました。本社債の発行により調達された資金は、Shire社買収の資金調達に使用されたシニアショートタームローン契約から成るシンジケートローンの返済に充当されます。本社債の償還期日は2079年6月6日であります。本社債の契約条件の下、当社は、2024年10月6日より開始する利払日において、本社債の元本全額の早期償還を行う可能性があります。利息は、年利に基づき半年毎に支払いを行います。なお、利率は期間によって変動する可能性があります。本社債は無担保であり、財務制限条項はございません。