第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当第3四半期累計において、財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の異常な変動等または、前年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」について重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 業績の概要

 

当期(2019年4-12月期)の連結業績は、以下のとおりとなりました。 

 

(単位:億円)

 

前年同期

  当期(注)

対前年同期

売上収益

13,800

25,195

11,395

82.6%

売上原価

△3,699

△8,416

△4,717

127.5%

販売費及び一般管理費

△4,477

△7,117

△2,640

59.0%

研究開発費

△2,289

△3,531

△1,242

54.3%

製品に係る無形資産償却費及び減損損失

△794

△3,291

△2,498

314.6%

その他の営業収益

617

298

△319

△51.7%

その他の営業費用

△314

△1,513

△1,198

381.0%

営業利益

2,844

1,625

△1,219

△42.9%

金融収益

94

325

231

244.6%

金融費用

△415

△1,240

△824

198.6%

持分法による投資損益

△440

△151

289

△65.7%

税引前四半期利益

2,084

560

△1,524

△73.1%

法人所得税費用

△440

△133

307

△69.8%

四半期利益

1,644

427

△1,216

△74.0%

 

(注) Shire社買収に係る取得対価の配分が完了したことに伴う遡及修正の影響が含まれています。

 

〔売上収益〕

売上収益は、前年同期から1兆1,395億円増収(82.6%)の2兆5,195億円となりました。主にShire社の買収により獲得した製品の9ヶ月分の売上収益(1兆1,555億円)が増収に貢献しました。

 

各疾患領域における売上収益の前年同期からの増減は、主に以下の製品によるものです。

 

・消化器系疾患

消化器系疾患領域の売上収益は、前年同期から1,403億円増収(+35.7%)の5,332億円となりました。当社のトップ製品である潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「エンティビオ」(国内製品名:「エンタイビオ」)の売上が伸長し、前年同期から625億円増収(+31.1%)の2,635億円となり、売上成長を牽引しました。米国および欧州においては、潰瘍性大腸炎とクローン病に対する生物学的製剤の新規投与患者シェアがさらに拡大したことを含め、同剤の全体の市場シェアも伸長しました。日本においては、クローン病の効能追加を取得したこともあり売上が伸長しました。酸関連疾患治療剤「タケキャブ」も、逆流性食道炎や低用量アスピリン投与時における胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発抑制等の効能を中心として、日本において新規処方が拡大し、売上は113億円増収(+25.4%)の557億円となりました。また、Shire社買収により獲得した短腸症候群治療剤「GATTEX / REVESTIVE」の売上は469億円となり、当社の売上収益に寄与しました。

 

・希少疾患

Shire社買収により獲得した希少疾患領域の売上収益は4,855億円となりました。売上収益に最も寄与した製品は、希少代謝性疾患領域ではハンター症候群治療剤「エラプレース」、希少血液疾患領域では血友病A治療剤「アドベイト」、遺伝性血管浮腫領域では同疾患の発作予防剤「TAKHZYRO」であり、売上はそれぞれ524億円、1,231億円および488億円となりました。

 

・血漿由来の免疫疾患治療

血漿由来の免疫疾患治療領域の売上収益は、主にShire社買収により獲得した製品が加わったことにより、2,841億円増収の2,966億円となりました。免疫グロブリン製剤の売上合計は2,254億円となり、特に、原発性免疫不全症(PID)と多巣性運動ニューロパチー(MMN)の治療に主に用いられる静注製剤「GAMMAGARD LIQUID」は、これら疾患に対する米国における標準治療剤としてのポジションを強固なものにしました。また、主に血液量減少症と低アルブミン血症の治療に用いられる「ALBUMIN GLASS」と「FLEXBUMIN」を含むアルブミン製剤の売上合計は497億円となり、その他の血漿由来の免疫疾患治療剤の売上合計は215億円となりました。

 

・オンコロジー

オンコロジー(がん)領域の売上収益は、前年同期から113億円増収(+3.7%)の3,179億円となりました。多発性骨髄腫治療剤「ニンラーロ」の売上は、特に米国と中国での好調な業績が成長に寄与し、前年同期から116億円増収(+25.0%)の581億円となりました。また、悪性リンパ腫治療剤「アドセトリス」の売上は、CD30陽性ホジキンリンパ腫に対する一次治療の効能追加を取得した日本において特に伸長し、74億円増収(+23.2%)の395億円となりました。非小細胞肺がん治療剤「アルンブリグ」の売上は、引き続き欧州諸国での上市があったことにより前年同期から14億円増収(+36.4%)の51億円となりました。多発性骨髄腫治療剤「ベルケイド」の売上は、対前年同期95億円減収(△9.5%)の908億円となり、うち、米国外の売上にかかるロイヤルティ収益は、対前年同期99億円の大幅な減収(△54.1%)により84億円となりました。

 

・ニューロサイエンス

ニューロサイエンス(神経精神疾患)領域の売上収益は、前年同期から2,568億円増収(+348.4%)の3,305億円となりました。注意欠陥/多動性障害(ADHD)治療剤「バイバンス」(国内製品名:「ビバンセ」)の売上2,068億円を含むShire社買収により獲得したポートフォリオが加わったことが増収の主な要因となりました。大うつ病(MDD)治療剤「トリンテリックス」の売上は、新規患者の増加と治療期間の拡大により、前年同期から97億円増収(+21.7%)の543億円となりました。

 

地域別売上収益

  (単位:億円、%は売上収益の構成比)    

売上収益:

前年同期

当期

 

日本

4,440

32.2%

4,674

18.6%

 

米国

4,953

35.9%

12,157

48.3%

 

欧州およびカナダ

2,449

17.7%

4,835

19.2%

 

ロシア/CIS

443

3.2%

593

2.4%

 

中南米

545

4.0%

1,117

4.4%

 

アジア(日本を除く)

759

5.5%

1,273

5.1%

 

その他

211

1.5%

546

2.2%

 

合計

13,800

100.0%

25,195

100.0%

 

 

〔売上原価〕

売上原価は、前年同期から4,717億円増加(+127.5%)の8,416億円となりました。この増加は、Shire社の買収により取得した製品にかかる売上原価および棚卸資産の公正価値調整等にかかる非資金性の費用1,689億円が含まれております。これらの増加は、主に製品構成の改善等による旧武田薬品の製品にかかる売上原価の減少と一部相殺されております。

 

〔販売費及び一般管理費〕

販売費及び一般管理費は、主に買収したShire社の事業運営にかかる費用が含まれた影響により、前年同期から2,640億円増加(+59.0%)の7,117億円となりました。この増加は、グローバル経費削減イニシアチブ(注1)による削減効果およびShire社との統合のコストシナジーにより一部相殺されております。

(注1) 消費量の削減、購買価格低減による経費削減、および組織の最適化によって売上収益比率の向上を目指す当社グループのイニシアチブ

 

〔研究開発費〕

研究開発費は、主にShire社買収により取得した研究開発活動にかかる費用の影響により、1,242億円増加(+54.3%)の3,531億円となりました。

 

〔製品に係る無形資産償却費及び減損損失〕

製品に係る無形資産償却費及び減損損失は、前年同期から2,498億円増加(+314.6%)の3,291億円となりました。この増加は、主にShire社買収に伴い取得した無形資産の償却費2,439億円および2019年5月の中間解析結果を受けSHP616 AMRプログラムの開発中止を決定したことに伴い計上した減損損失156億円によるものです。なお、当期における減損損失の増加は、前年同期に計上したMersana Therapeuticsとの共同研究開発の終了に伴う減損損失72億円により、一部相殺されております。

 

〔その他の営業収益〕

その他の営業収益は、319億円減少(△51.7%)の298億円となりました。これは、主に武田テバ薬品株式会社(注2)に移管した長期収載品事業に関連する無形資産の減損に伴う繰延事業譲渡益の実現額が減少したことによるものです。当期の繰延事業譲渡益は前年同期計上額の297億円から189億円減少の108億円となりました。また、前年同期に当社グループが保有していた広東テックプール・バイオファーマCo,.Ltd.の全株式の売却益184億円を計上したことによる当期における減少は、Axcelead Drug Discovery Partners, Inc.の株式を譲渡したことに伴う当期の売却益22億円により、一部相殺されております。

(注2) 武田テバ薬品株式会社は長期収載品事業およびジェネリック医薬品事業を営んでおります。

 

〔その他の営業費用〕

その他の営業費用は、1,198億円増加(+381.0%)の1,513億円となりました。この増加は、主にShire社との統合が進捗していることに伴い、事業構造再編費用が対前年同期比785億円増加したこと、また、当期は承認前在庫にかかる評価損を168億円計上した一方、前年同期は承認取得に伴い過去の承認前在庫にかかる評価損の戻入53億円を計上したことにより、承認前在庫にかかる評価損が221億円増加したことによるものです。

 

〔営業利益〕

営業利益は、上記の要因を反映し、前年同期から1,219億円減少(△42.9%)の1,625億円となりました。

 

〔金融損益〕

金融収益と金融費用をあわせた金融損益は914億円の損失となり、前年同期から594億円の損失増加となりました。これは、主にShire社買収に伴い社債及び借入金にかかる利息費用が1,021億円増加したことによるものです。この利息費用の増加は、前年同期に計上されたShire社買収のためのブリッジローン契約に伴うファシリティー・フィー161億円、および当社がワラントを保有する未上場企業の株式が上場されたことに伴い当期計上した評価益257億円により一部相殺されております。

 

〔持分法による投資損益〕

持分法による投資損益は151億円の損失となり、前年同期から289億円の損失減少となりました。これは、主に武田テバ薬品株式会社において認識された減損損失の減少によるものです。

 

〔法人所得税費用〕

法人所得税費用は、前年同期440億円に対して、当期は133億円となりました。この減少は主に、企業結合会計における公正価値評価の取り崩しに伴う当期の税引前利益の減少、およびスイスにおける税制改正に伴い当期に計上された非資金性の繰延税金便益△666億円によるものです。これらの影響は、企業結合会計により認識された無形資産にかかる繰延税金負債に適用される税率変更により計上された非資金性の繰延税金費用526億円で主に構成される、Shire社との統合に関連する当期の税務上の事業構造再編費用と一部相殺されております。

 

 

〔四半期利益〕

四半期利益は、上記の要因を反映し、前年同期から1,216億円減益(△74.0%)の427億円となりました。

 

 

当期(2019年4-12月期)における実質的な成長の概要

 

Coreと実質的な成長の定義

当社は、事業の計画策定および業績評価において、「実質的な成長」(Underlying Growth)の概念を採用しております。

 

「実質的な成長」は、当年度と前年度(四半期もしくは年間)の業績を共通の基準で比較するものであり、マネジメントによる業績評価に使用されています。これら共通の基準で比較される業績は、為替レートを一定として、事業等の売却影響およびその他の非定常的もしくは特別な事象に基づく影響、本業に起因しない(ノン・コア)事象による影響を控除し算定されます。当社は、この「実質的な成長」が、事業活動のパフォーマンスを表す共通の基準を提供するため、投資家に有用であると考えています。なお、本指標は、国際会計基準(IFRS)に準拠したものではありません。

 

当社は、「Underlying Revenue Growth」(実質的な売上収益の成長)、「Underlying Core Operating Profit Growth」(実質的なCore営業利益の成長)および「Underlying Core EPS Growth」(実質的なCore EPSの成長)を重要な財務指標としています。

 

実質的な売上収益は、為替レートを一定として、財務ベースの売上収益に、報告期間における非定常的な事象に基づく影響および事業等の売却影響を調整して計算します。

 

実質的なCore営業利益は、為替レートを一定として、Core営業利益(以下に定義)に、報告期間における事業等の売却影響を調整して計算します。

 

Core営業利益*は、純利益から、法人所得税費用、持分法にかかる投資損益、金融損益、その他の営業収益およびその他の営業費用、製品に係る無形資産償却費及び減損損失を控除して算出します。その他、企業買収に係る会計処理の影響や買収関連費用など、本業に起因しない(ノン・コア)事象による影響を調整します。

* 2019年度より、「Core Earnings」の名称を「Core営業利益」に変更しました。なお、その定義に変更はありません。

 

実質的なCore EPSの算定にあたっては、為替レートを一定として、純利益から、事業等の売却影響、およびCore営業利益の算出において控除された項目と営業利益以下の各科目のうち、重要性のある、非定常的もしくは特別な事象に基づく影響、本業に起因しない(ノン・コア)事象による影響を調整します。これらには、条件付対価に係る公正価値変動(時間的価値の変動を含む)影響などが含まれます。さらに、これらの調整項目に係る税金影響を控除した後、比較年度末の自社株式控除後の発行済株式総数で除して算定します。

 

実質的な業績

 

当期

実質的な売上収益の成長(注1)

△1.2%

実質的なCore営業利益率

30.9%

実質的なCore EPS

359円37銭

 

(注1) 2018年度第3四半期累計の試算ベースの売上収益(旧武田薬品の2018年4-12月の売上収益と、旧Shire社の2018年4-12月の売上収益を2018年度(2018年4月~2019年3月)の年間平均レート(1米ドル111円)で円貨換算し、米国会計基準から国際会計基準に一致させた上(重要な差異は認められなかった)、当社によるShire社買収以前の2018年8月に売却した旧Shire社のオンコロジー事業を除いて求められた売上収益の合計)に対する成長率

 

 

実質的な売上収益の成長率〕

実質的な売上収益の成長率は、対前年同期△1.2%となりました。タケダの14のグローバル製品(注2)の実質的な売上収益は、対前年同期+20.4%成長したものの、その他の製品の競争の激化や後発品浸透の減収影響により相殺されました。

(注2)タケダの14のグローバル製品
消化器系疾患:エンティビオ、GATTEX/REVESTIVE、ALOFISEL
希少疾患:NATPARA、アディノベイト/ADYNOVI、TAKHZYRO、エラプレース、VPRIV
血漿由来の免疫疾患治療:GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、HYQVIA、CUVITRU、ALBUMIN/FLEXBUMIN
オンコロジー:ニンラーロ、ALUNBRIG

 

・消化器系疾患

消化器系疾患領域の実質的な売上収益は、前年同期から+10.5%の成長となりました。後発品のさらなる浸透により、「パントプラゾール」(△13.3%)、「ランソプラゾール」(△20.5%)、「リアルダ」(△48.1%)などの特許満了製品の売上が減少したものの、「エンティビオ」(+35.4%)と「タケキャブ」(+25.4%)が、これらの減収影響を上回る増収となりました。また、「GATTEX / REVESTIVE」(+22.6%)は、2019年5月、米国において小児適応の効能追加を取得したこともあり、当社の消化器系疾患領域におけるプレゼンスのさらなる強化に貢献しました。

 

・希少疾患

希少疾患領域の実質的な売上収益は、競争圧力の高まりと米国における「NATPARA」の回収の影響により△10.8%の減収となりました。特に、希少血液疾患領域(△14.0%)では競合品による影響が顕著となり、血友病A治療剤である「アドベイト」(△17.4%)と「ファイバ」(△23.5%)が大幅な減収となり、半減期延長型製剤「アディノベイト」(+4.4%)の成長も減速しました。また、遺伝性血管浮腫領域(△11.0%)では、後発品の参入と前年同期の卸における在庫積み増しの影響により、想定通り「フィラジル」(△61.8%)が減収となったものの、米国および欧州における「TAKHZYRO」の増収(+622.2%)により、この減収影響を吸収しました。また、一定数の患者が「TAKHZYRO」による治療に変更したため、「CINRYZE」(△41.1%)は減収となりました。なお、希少代謝性疾患領域(△3.6%)では、副甲状腺ホルモン製剤「NATPARA」(△35.5%)カートリッジのゴム製隔壁に関連する問題が判明したため、2019年9月、米国において同剤を回収しました。

 

・血漿由来の免疫疾患治療

血漿由来の免疫疾患治療領域の実質的な売上収益は、+5.1%の成長となりました。免疫グロブリン製剤は、静注製剤、皮下注製剤ともに伸長し+4.4%の増収となりましたが、うち、「CUVITRU」と「HYQVIA」は2桁の増収率で成長しました。また、アルブミン製剤は+9.8%の増収となりました。

 

・オンコロジー

オンコロジー(がん)領域の実質的な売上収益は、「ニンラーロ」(+28.9%)と「アドセトリス」(+34.5%)が牽引し、前年同期から+6.8%の成長となりました。また、「ALUNBRIG」も+40.6%の増収となりました。オンコロジー製品の中では、唯一、「ベルケイド」(△7.9%)が減収となりましたが、これは、欧州において2019年4月に後発品が参入したことにより、米国外の売上にかかるロイヤルティ収益が△53.3%減少したことによります。

 

・ニューロサイエンス

ニューロサイエンス(神経精神疾患)領域の実質的な売上収益は、それぞれ注意欠陥/多動性障害(ADHD)と大うつ病(MDD)治療の米国における主要製品である「バイバンス」(+7.4%)および「トリンテリックス」(+23.9%)の増収により、+4.6%の成長となりました。「ADDERALL XR」は、後発品との競合の影響が増大し、△46.9%の減収となりました。 

 

 

疾患領域別の実質的な売上収益の成長(注3)

当期

消化器系疾患

+10.5%

希少疾患

△10.8%

希少代謝性疾患

△3.6%

希少血液疾患

△14.0%

遺伝性血管浮腫

△11.0%

血漿由来の免疫疾患治療

+5.1%

オンコロジー

+6.8%

ニューロサイエンス

+4.6%

その他

△11.9%

合計

△1.2%

 

(注3) 2018年度第3四半期の試算ベースの売上収益(旧武田薬品の2018年4-12月の売上収益と、旧Shire社の2018年4-12月の売上収益を2018年度(2018年4月~2019年3月)の年間平均レート(1米ドル111円)で円貨換算し、米国会計基準から国際会計基準に一致させた上(重要な差異は認められなかった)、当社によるShire社買収以前の2018年8月に売却した旧Shire社のオンコロジー事業を除いて求められた売上収益の合計)に対する成長率

 

 実質的な売上収益の計算において控除した主な非定常的な事象に基づく影響および事業等の売却影響は次の通りです。

•2019年3月期に連結子会社であった広東テックプール・バイオファーマCo,.Ltd.(「テックプール社」)およびMultilab Indústria e Comércio de Produtos Farmacêuticos Ltda.(「マルチラブ社」)を売却したため、前年同期における両社の売上収益を連結の売上収益から控除しています。

 

•2019年5月に売却に合意した 「XIIDRA」(2019年7月に売却完了)および「TACHOSIL」の売上を、当期および前年同期の売上収益から控除しています。

 

当期の実質的なCore営業利益率〕

当期の実質的なCore営業利益率は、グローバル経費削減イニシアチブおよびShire社との統合のコストシナジーを反映し、30.9となりました。

 

Shire社の統合費用や企業結合会計に伴う非資金性の費用など、当社の本業に起因しない(ノン・コア)事象による影響を控除した当期のCore営業利益は7,922億円となりました。

 

当期の実質的なCore EPS〕

当期の実質的なCore EPSは、359円37銭となりました。

 

(2) 財政状態の分析

前期末における連結財政状態計算書は、Shire社の買収に係る取得対価の配分が完了したことを反映し、遡及修正しております。

 

〔資産〕

当第3四半期末における資産合計は、前年度末から7,613億円減少し、13兆315億円となりました。のれんおよび無形資産は、主に為替影響や無形資産の償却により、それぞれ1,361億円および4,428億円減少しました。また、主に「XIIDRA」の売却完了により売却目的で保有する資産が3,277億円減少しました。現金及び現金同等物は、配当の支払い、および社債の償還により1,338億円減少しております。これらの減少は、主に新リース会計基準(IFRS第16号)(注1)を適用したことによる有形固定資産の増加1,369億円により一部相殺されております

(注1) IFRS第16号では、リースの評価額および関連する負債を連結財政状態計算書の非流動資産および非流動負債に計上することを規定しております。負債に関する説明は以下をご覧ください。

 

〔負債〕

当第3四半期末における負債合計は、前年度末から4,515億円減少し、8兆1,553億円となりました。この減少は、主に為替の影響および社債の償還、借入金の返済により社債及び借入金が5,292億円減少し5兆2,218億円(注2)となったことによるものです。なお、2019年6月にハイブリッド社債5,000億円を発行した一方、シンジケートローン5,000億円を返済しております。さらに、2019年8月には、1,404.5百万米ドル(1,502億円)の米ドル建て無担保普通社債を繰上償還し、2019年9月には3,300百万米ドル(3,507億円)の米ドル建て無担保普通社債を償還しました。また、社債及び借入金の減少に加え、主に「XIIDRA」の売却完了により売却目的で保有する負債が1,226億円減少しております。これらの減少は、主に上述のIFRS第16号を適用したことによるその他の金融負債(非流動)の増加1,682億円により一部相殺されております。

(注2) 当第3四半期末における社債及び借入金の帳簿価額はそれぞれ3兆2,388億円および1兆9,829億円です。なお、社債及び借入金の内訳は以下の通りです。

 

社債:

銘柄

 (外貨建発行額)

発行時期

償還期限

帳簿価額

15回 無担保社債

2013年7月

2020年7月

600億円

米ドル建無担保普通社債

(1,520百万米ドル)

2015年6月

2022年6月

~2045年6月

1,647億円

米ドル建無担保普通社債

 (8,800百万米ドル)

2016年9月

2021年9月

~2026年9月

9,084億円

米ドル建無担保普通社債

 (500百万米ドル)

2017年7月

2022年1月

542億円

ユーロ建無担保普通社債

(7,500百万ユーロ)

2018年11月

2020年11月

~2030年11月

9,089億円

米ドル建無担保普通社債

 (4,500百万米ドル)

2018年11月

2021年11月

~2028年11月

4,861億円

ハイブリッド社債 (劣後特約付社債)

2019年6月

2079年6月

4,966億円

コマーシャルペーパー

2019年11月

2020年1月

~2020年2月

1,600億円

合計

 

 

3兆2,388億円

 

 

 

借入金:

名称

 (外貨建借入額)

借入時期

返済期限

帳簿価額

シンジケートローン

2013年7月

2020年7月

600億円

2016年4月

2023年4月

~2026年4月

2,000億円

2017年4月

2027年4月

1,135億円

 

(1,500百万米ドル)

2017年4月

2027年4月

1,626億円

 

 (3,987百万米ドル)

2019年1月

2024年1月

4,332億円

 

 (3,047百万ユーロ)

2019年1月

2024年1月

3,714億円

株式会社国際協力銀行

  (3,700百万米ドル)

2019年1月

2025年12月

4,018億円

その他

 

 

2,404億円

合計

 

 

1兆9,829億円

 

 

2019年9月に当社グループは、7,000億円のコミットメントファシリティー契約を複数の日本および在外銀行と締結することに合意しました。本コミットメントファシリティーの期間は、2019年10月から最低5年間です。なお、本コミットメントファシリティーの契約締結にあたり、2020年3月に満期を迎える既存の短期コミットメントファシリティー3,000億円は、2019年9月に解約しております。本コミットメントファシリティーは、一般事業資金として使用することを目的としております。
 

当第3四半期において、当社グループは取引金融機関からの協力を得て、借入金に付されている複数の財務制限条項を改定しました。この改定による主な変更は、2020年8月以降に最終弁済期限を迎える一定の借入金を対象としております。当該変更は、連続する2事業年度において税引前利益がマイナスになることを禁じる財務制限条項の削除、並びにこれに替わる毎年3月末および9月末において連結純負債の過去12か月間の連結EBITDA(連結EBITDAは契約書にて定義されたもの)に対する比率が一定水準を上回らないことを求める財務制限条項の導入が含まれます。

 

〔資本〕

当第3四半期末における資本合計は、前年度末から3,098億円減少の4兆8,762億円となりました。この減少は、主に2,827億円の配当金の支払により利益剰余金が2,170億円減少したことや、円高の影響による為替換算調整勘定の変動によりその他の資本の構成要素が1,106億円減少したことによります。

〔キャッシュ・フロー〕

(単位:億円)

 

前年同期
(2018年4-12月期)

当期
(2019年4-12月期)

営業活動によるキャッシュ・フロー

2,110

4,843

投資活動によるキャッシュ・フロー

△16,140

2,559

財務活動によるキャッシュ・フロー

14,120

△8,613

現金及び現金同等物の増減額

89

△1,211

現金及び現金同等物の期首残高

2,945

7,021

現金及び現金同等物に係る換算差額

△60

△134

売却目的で保有する資産の純増減額

5

6

現金及び現金同等物の期末残高

2,979

5,683

 

 

営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期2,110億円から2,733億円増加の4,843億円となりました。これは、主にShire社買収に伴い計上した製品に係る無形資産により減価償却費及び償却費が3,216億円増加したこと、Shire社買収日において公正価値評価された棚卸資産の売上原価への計上に伴い棚卸資産が1,081億円減少したこと、および引当金が430億円増加したこと等の非資金項目の調整によるものです。また、Shire社買収のための資金調達にかかる利息費用を含む金融費用(純額)の増加594億円が営業活動によるキャッシュ・フローのプラスの調整項目として含まれています。

 


これらの増加は、四半期利益の減少1,216億円、主に旧Shire社における法人所得税の支払いによる法人所得税等の支払額の増加1,819億円により一部相殺されております。

 

投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期の△1兆6,140億円から1兆8,699億円増加の2,559億円となりました。これは主に、前年同期におけるShire社の取得に要する拘束性預金の預入による支出1兆5,814億円によるものです。加えて、当期における「XIIDRA」の売却による収入3,755億円に伴い事業売却による収入が3,480億円増加したこと、前年同期におけるTiGenix社買収にかかる支出667億円を反映して事業取得による支出が622億円減少したことによるものですが、この増加は主に、前年同期におけるTiGenix社買収を使途とする拘束性預金の払戻による収入の減少718億円と一部相殺されております。

 
財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期の1兆4,120億円から△8,613億円となりました。この2兆2,733億円の減少は主に、前年同期にShire社買収のための社債の発行及び長期借入れによる収入1兆5,814億円を計上したこと、また当期に6,231億円の社債の償還及び長期借入金の返済による支出を計上したことによるものです。さらに、配当金の支払額の増加1,385億円、および主にShire社買収のための資金調達に伴う利息の支払額の増加982億円がありました。

なお、当期において、ハイブリッド社債の発行5,000億円を含む社債の発行及び長期借入れによる収入4,962億円があった一方、主に短期シンジケートローンの返済5,000億円による短期借入金の純減少額3,247億円がありました。

 

 

(3) 研究開発活動の内容および成果

 

当第3四半期累計の研究開発費の総額は3,531億円であります。

当社の研究開発エンジンは、サイエンスによって、患者さんに重要な恩恵をもたらし人生を変えうるような非常に革新性の高い医薬品を創出することにフォーカスしています。当社は、革新的なバイオ医薬品、血漿分画製剤およびワクチンの3つの分野において研究開発活動を実施しています。革新的なバイオ医薬品に対する研究開発エンジンは、当社の研究開発投資の中で最大の割合を占めており、当社の重点疾患領域内における高いアンメットメディカルニーズが存在する分野で、ベストインクラスあるいはファーストインクラスとなりうる画期的な新規候補物質を創出してまいりました。これまでの数年間、また最近ではシャイアー社の買収によってさらに強化されましたが、当社では新たな作用機序、研究開発能力、さらには次世代プラットフォームに対して社内およびパートナーシップを通じて投資し、細胞療法および遺伝子治療の領域の強化を図ってまいりました。

当第3四半期累計における当社の主要な研究開発活動は、以下のとおりです。

 

研究開発パイプライン

オンコロジー

世界中のがん患者さんに革新的な新薬をお届けするために努力し、患者さんの生活を改善するという情熱をもって、画期的なイノベーションの探求に取り組んでいます。本疾患領域では、(1)既発売品である「ニンラーロ」、「アドセトリス」、「アイクルシグ」のライフサイクルマネジメントならびに多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群およびその他血液がんのパイプラインへの継続的な研究開発投資を通じた、血液がんにおける基盤的な専門性の構築、(2)肺がんを対象とするパイプラインのさらなる拡充、(3)社外との提携による新規のがん免疫療法標的および次世代基盤技術の追求ならびに革新的な細胞療法の探索、にフォーカスしています。

 

[ニンラーロ 一般名: イキサゾミブ]

・2019年4月、当社は、「ニンラーロ」について、厚生労働省に多発性骨髄腫に対する自家造血幹細胞移植後における維持療法の適応追加に係る製造販売承認事項一部変更承認の申請を行ったことを公表しました。

2019年6月、当社は、「ニンラーロ」について、再発又は難治性の全身性(AL)アミロイドーシス患者を対象とした臨床第3相試験である「TOURMALINE-AL1試験」において、2つの主要評価項目のうち最初の結果が主要評価項目を満たさなかったことを公表しました。「ニンラーロ」およびデキサメタゾンの併用群は、医師が選択した標準治療群と比較して、血液学的奏効率において有意な改善はみられませんでした。解析の結果より、当社は本試験を中止することを決定しましたが、副次評価項目の有望なデータについては、12月、第61回米国血液学会(American Society of Hematology:ASH)年次総会のオーラルセッションにおいて発表されました。
 

2019年11月、当社は、「ニンラーロ」について、移植歴のない初発の多発性骨髄腫患者を対象としたファーストライン維持療法に関する臨床第3相試験が主要評価項目を達成したことを公表しました。無増悪生存期間が統計学的に有意に改善されており、今後、医学学会で当該試験データを発表予定です。

 

[ALUNBRIG 一般名: brigatinib]

・2019年11月、当社は、「ALUNBRIG」について、ALK阻害薬未治療の進行性未分化リンパ腫キナーゼ遺伝子転座陽性(ALK陽性)の非小細胞肺がん(NSCLC)の成人患者に対する「ALUNBRIG」とクリゾチニブを評価した臨床第3相試験「ALTA-1L試験」の最新情報を発表しました。試験結果では、2年以上の追跡後も、「ALUNBRIG」は、全患者においても病状進行または死亡リスクを57%低下させることが示されました (HR: 0.43、95%CI: 0.31-0.61)。また、登録時に脳転移を有した未治療の患者に対する治験責任医師評価において、病状進行または死亡リスクを76%低下させることが示されました(ハザード比[HR]: 0.24、95%信頼区間[CI]: 0.12-0.45)。これらのデータは、シンガポールで2019年11月23日に開催された欧州臨床腫瘍学会(European Society for Medical Oncology:ESMO) 2019アジア大会のプレジデンシャルセッションで発表されました。

 

[アドセトリス 一般名: ブレンツキシマブ ベドチン]

2019年12月、当社は、「アドセトリス」について、第61回米国血液学会(American Society of Hematology:ASH)年次総会において、「アドセトリス」のフロントライン治療としての有用性を検討した臨床第3相試験である「ECHELON-1試験」と「ECHELON-2試験」についての追加解析データを発表しました。

・2019年12月、当社は、日本において、「アドセトリス」について、「CD30陽性末梢性T細胞リンパ腫」に対する効能効果および用法用量、ならびに小児の「再発または難治性のCD30陽性ホジキンリンパ腫および末梢性T細胞リンパ腫」に対する用法用量に関する製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを公表しました。

 

[一般名: カボザンチニブ]

・2019年4月、当社は、「カボザンチニブ」について、切除不能又は転移を有する腎細胞がんに対する治療薬として、厚生労働省に製造販売承認申請を行ったことを公表しました。今回の申請は、海外臨床第3相試験のMETEOR試験、海外 第2相試験のCABOSUN試験、ならびに血管内皮細胞増殖因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤(VEGFR-TKI)による治 療後に増悪した日本人進行腎細胞癌患者35名を対象に有効性と安全性を検討した国内臨床第2相試験である「Cabozantinib-2001試験」の結果に基づくものです。

・2020年1月、当社は、「カボザンチニブ」について、がん化学療法後に増悪した切除不能な肝細胞癌に対する治療薬として、厚生労働省に製造販売承認申請を行ったことを公表しました。今回の申請は、主に、プラセボ群と比較して「カボザンチニブ」の有効性が統計的に有意な結果を示し、かつ安全性プロファイルについても確認された二次治療以降の進行肝細胞癌患者を対象とした海外臨床第3相ランダム化二重盲検プラセボ対照試験である「XL184-309試験」、ならびに日本人における有効性および安全性を検討した国内臨床第2相試験である「Cabozantinib-2003試験」の結果に基づくものです。

 

[一般名: ニラパリブ]

2019年11月、当社は、「ニラパリブ」について、卵巣がんに対する治療薬として、厚生労働省に製造販売承認申請を行ったことを公表しました。本申請は、海外臨床第3相試験である「NOVA試験」、海外臨床第2相試験である「QUADRA試験」、ならびに日本人卵巣がん患者に対し安全性を検討した国内臨床第2相試験の「Niraparib-2001試験」、日本人卵巣がん患者に対し有効性および安全性を検討した国内臨床第2相試験の「Niraparib-2002試験」の結果に基づくものです。

 

[開発コード: TAK-788]

・2019年6月、当社は、「TAK-788」について、2019年米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology:ASCO)年次総会のオーラルセッションにおいて、新たなデータを発表しました。非盲検、多施設共同臨床第1/2相試験により、EGFR エクソン20挿入遺伝子変異を有する局所進行性あるいは転移性の非小細胞肺がん患者において、「TAK-788」の無増悪生存期間(PFS)の中央値が7.3ヵ月、客観的奏効率(ORR)が43%という結果が示されました。

 

[開発コード: TAK-007]

2019年11月、当社とThe University of Texas MD Anderson Cancer Center(「MD Anderson」)は、臨床段階にある、既成のCAR-NK細胞療法製品TAK-007の開発を共同で加速することを公表しました。現在実施中のCD19 CAR-NK臨床第1/2a相試験から、2021年には主要臨床試験への患者登録を予定しています。TAK-007は外来患者に投与可能な初めてのCAR細胞療法となる可能性があります

 

消化器系疾患

消化器系疾患・肝疾患の患者さんに革新的で人生を変えうる治療法をお届けすることにフォーカスしています。「エンティビオ」および「アロフィセル」といった炎症性腸疾患におけるフランチャイズのポテンシャルを最大化するとともに、「ガテックス」のスペシャリティ消化器系疾患領域におけるポジショニングを拡大させ、社外との提携を通じて消化管運動関連疾患、セリアック病、肝疾患およびマイクロバイオーム(腸内細菌)における機会を探索し、パイプラインの構築を進めています。

 

[エンティビオ/エンタイビオ 一般名:ベドリズマブ]

・2019年4月、当社は、成人の中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎およびクローン病患者に対する維持療法として、「ベドリズマブ」の皮下注射製剤の剤形追加を欧州医薬品庁(EMA)に申請し、受理されたことを公表しました。当社は、「ベドリズマブ」の皮下投与において、プレフィルドシリンジ製剤およびペン製剤の両製剤を申請しています。

・2019年5月、当社は、成人の中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎患者に対する維持療法として「ベドリズマブ」の皮下注射製剤の生物学的製剤承認申請を米国食品医薬品局(FDA)に提出し、受理されたことを公表しました。当社は、「ベドリズマブ」の皮下投与において、プレフィルドシリンジ製剤およびペン製剤の両剤形を申請しています。

・2019年5月、当社は、「エンタイビオ」について、中等症から重症の活動期のクローン病の治療及び維持療法の治療薬として、厚生労働省より製造販売承認事項一部変更の承認を取得したことを公表しました。

・2019年5月、当社は潰瘍性大腸炎を対象とした2つの生物学的製剤を初めて直接比較し、「ベドリズマブ」が「アダリムマブ」に対し52週時点で有意に高い臨床的寛解(注1)を達成したVARSITY試験から得た新たな探索的データを米国消化器病週間(Digestive Disease Week:DDW)2019において発表しました。

(注1) 主要評価項目である臨床的寛解は、完全Mayoスコア(潰瘍性大腸炎の疾患活動性を評価するための指標)が2ポイント以下、かつ全てのサブスコアが1ポイント以下と定義

・2019年7月、当社は、「ベドリズマブ」の皮下注射製剤の有効性および安全性を評価した「VISIBLE 2試験」の結果を公表しました。「VISIBLE 2試験」は、治療期開始時点(0週)および2週時点に非盲検下にて「ベドリズマブ」の静脈内投与を2回行った後、6週時点で臨床的改善(注1)が得られた成人の中等症から重症の活動期クローン病患者に対する維持療法として、「ベトリズマブ」の有効性及び安全性を評価する試験です。本試験の主要評価項目において、52週時点で臨床的寛解(注2)が得られた患者の割合は、プラセボ投与群と比較して、「ベドリズマブ」皮下投与群で統計学的に有意に高い結果を示しました。

(注1) 臨床的改善は、 クローン病活動指数(CDAI:Crohn's Disease Activity Index)のスコアがベースライン(0週)から70ポイント以上の減少として定義

(注2) 臨床的寛解は、 クローン病活動指数(CDAI:Crohn's Disease Activity Index)のスコアが52週時点150以下定義

・2019年8月、当社は、「ベドリズマブ」の皮下投与製剤について、中等症から重症の活動期の潰瘍性大腸炎に対する維持療法の治療薬として、厚生労働省に製造販売承認申請を行ったことを公表しました。当社は、「ベドリズマブ」の皮下投与において、プレフィルドシリンジ製剤およびペン製剤、両方での提供を申請しています。

・2019年9月、当社は、「ベドリズマブ」が、中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎患者を対象に、「アダリムマブ」と直接比較した臨床試験において、主要評価項目である治療期52週時点での臨床的寛解(注1)について「ベドリズマブ」が有意に優れる結果を示したデータが、The New England Journal of Medicine「NEJM」に掲載されたことを公表しました。

(注1) 主要評価項目である臨床的寛解は、完全Mayoスコア(潰瘍性大腸炎の疾患活動性を評価するための指標)が2ポイント以下、かつ全てのサブスコアが1ポイント以下と定義

・2019年10月、当社は、診療記録を用いたレトロスペクティブ研究である「EVOLVE試験」の結果を発表しました。本研究は、過去に生物学的製剤の投与経験のない中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎患者またはクローン病患者を対象に、「ベドリズマブ」および抗TNFα抗体製剤による重篤な有害事象および重篤な感染症の発現の可能性を、実臨床の場において調査したものです。これらのデータは、欧州消化器病週間(United European Gastroenterology Week: UEGW) 2019のオーラルセッションにおいて発表されました。

・2019年12月、当社は、米国において、成人の中等症から重症の潰瘍性大腸炎における維持療法としての「ベドリズマブ」の皮下注射製剤の生物学的製剤承認申請に関し、米国食品医薬品局(FDA)から審査完了報告通知を受領したことを公表しました。本報告通知において、FDAからは、生物学的製剤承認申請に用いられた検証試験から得られた臨床データおよびその結論とは関連のない質問が提起されています

 

[ガテックス 一般名:teduglutide]

・2019年5月、当社は、「ガテックス」について、追加の栄養もしくは液体の静脈投与(非経口栄養補給)が必要な短腸症候群の1歳以上の小児患者への投与が米国食品医薬品局(FDA)より追加で承認されたことを公表しました。

 

希少疾患

当社は、次の3治療分野に注力しています。(1)最近上市された「TAKHZYRO」を含む希少免疫疾患(例:遺伝性血管浮腫)、(2)幅広いポートフォリオを有する希少血液疾患、(3)希少代謝性疾患(ファブリー病、ハンター症候群、ならびにゴーシェ病治療薬への注力)。

 

[アディノベイト 一般名:ルリオクトコグ アルファ ペゴル(遺伝子組換え)]

・2019年7月、当社は、第27回国際血栓止血学会(International Society on Thrombosis and Haemostasis Congress:ISTH)年次総会において、「アディノベイト」の臨床第3b/4相試験である「PROPEL試験」の新たな成績を発表したことを公表しました。「PROPEL試験」は重症血友病A患者を対象とし、2つの異なる第Ⅷ因子トラフ値をターゲットとして、薬物動態(PK)に基づく定期補充療法後に「アディノベイト」の安全性および有効性を比較する前向き無作為化多施設共同試験です。

 

[TAKHZYRO 一般名:lanadelumab]

・2019年6月、当社は、「TAKHZYRO」の効果発現を評価する臨床第3相試験である「HELP試験」における投与0~69日データについて追加解析を行い、新たなデータを欧州アレルギー・臨床免疫学会(European Academy of Allergy and Clinical Immunology:EAACI)にて発表しました。追加解析によりTAKHZYROが、初期治療期間中において遺伝性血管性浮腫(HAE)の発症を防ぎ、プラセボ群と比較し、月間平均発作発現率を80.1%減少することが示唆されました。

2019年11月、当社は、12歳以上の遺伝性血管性浮腫(HAE)患者を対象に実施中の臨床第3相「HELP試験」(長期予防試験)の非盲検延長(OLE)試験より、「TAKHZYRO」注射剤の長期安全性および有効性を示す新たなデータを発表しました。解析結果は、2019年米国アレルギー喘息免疫学会(American College of Allergy, Asthma and Immunology:ACAAI)年次総会にて発表されました。解析結果では、「TAKHZYRO」が継続的にHAE発作を予防しており、多くの被験者が平均19.7ヵ月(0 - 26.1ヵ月)の投与延長期間においても、ピボタル「HELP試験」でみられた予防頻度と同様の割合で発作が発現しなかったことを示しました。解析結果は、ACAAIの学会誌である「Annals of Allergy, Asthma & Immunology」に11月号に掲載されました。

 

[開発コード:BAX111 一般名:ボニコグ アルファ(遺伝子組換え)]

・2019年7月、当社は、ヒトフォン・ヴィレブランド因子製剤であるボニコグ アルファ(遺伝子組換え)「BAX111」について、フォン・ヴィレブランド病治療薬として、厚生労働省に製造販売承認申請を行ったことを公表しました。

 

[開発コード:TAK-620 一般名:maribavir]

・2019年9月、当社は、経口投与可能な抗ウイルス性化合物である「TAK-620」の臨床第2相試験結果がThe New England Journal of Medicine「NEJM」に掲載されたことを公表しました。当試験は、造血幹細胞移植または固形臓器移植後のサイトメガロウイルス(CMV)感染患者を対象とし、無作為化、非盲検で12週間実施されました。CMVはベータヘルペスウイルスであり、臓器または幹細胞の移植者を含む免疫力が低下した患者では、死亡する可能性のある臨床的に対処が難しい合併症を引き起こします。

 

ニューロサイエンス

当社は、本疾患領域では、治療法が確立していない神経疾患を患っている患者さんに革新的な医薬品を提供することを目指しています。当社は、社内の専門知識やパートナーとの提携をいかして、アルツハイマー病、パーキンソン病といった神経疾患や特定の睡眠障害やハンチントン病といった希少中枢疾患に対するパイプラインを構築していきます。

 

[トリンテリックス 一般名:ボルチオキセチン]

・2019年7月、当社は、第16回日本うつ病学会総会において大うつ病性障害治療薬「ボルチオキセチン」について、国内第3相無作為化プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験(NCT02389816)の結果を公表しました。本試験では、日本の成人再発うつ病患者さんを「ボルチオキセチン」10mg群、20mg群、プラセボ群のいずれかに無作為に割り付け、1日1回投与で有効性・安全性を評価しました。主要評価項目は、投与8週時におけるMontgomery-Åsberg Depression Rating Scale(MADRS)合計スコアのベースライン(二重盲検期開始時)からの変化量で、プラセボ群との群間差が「ボルチオキセチン」10㎎、20㎎群でそれぞれ-2.66、-3.07であり、プラセボ群に対して統計学的に有意な低下が認められました(P値0.0080、0.0023)。

・2019年9月、当社は、「トリンテリックス」について、厚生労働省よりうつ病・うつ状態に対する治療薬として、製造販売承認を取得したことを公表しました。

 

[インチュニブ 一般名:グアンファシン塩酸塩]

・2019年6月、当社は、塩野義製薬が製造販売承認を有し、塩野義製薬と当社が情報提供を行っている注意欠陥/多動性障害治療剤「インチュニブ」について、厚生労働省より成人患者(18歳以上)に対する適応追加による一部変更が承認されたことを公表しました。

 

[開発コード:TAK-925]

・2019年9月、当社は、開発中のオレキシン2受容体選択的作動薬である「TAK-925」のナルコレプシータイプ1に対する臨床第1相POC(コンセプト実証)試験ならびに断眠した健康成人を対象とする臨床試験の結果データを発表しました。これらの試験において、「TAK-925」の9時間単回静脈内投与時の安全性、忍容性、薬物動態、薬力学的作用が検討され、いずれの試験においても「TAK-925」はすべての用量において良好な忍容性を示しました。これらの試験結果は、2019年世界睡眠学会(World Sleep Congress)にて発表されました。

 

血漿分画製剤

2019年1月8日に完了したShire社の買収後、当社は、血漿分画製剤に注力する新たなグローバルビジネスユニットを創設しました。同ビジネスユニットは、希少疾患、生命に関わる疾患、慢性疾患および遺伝性疾患といった様々な病気の患者さんを効果的に治療するうえで重要となる血漿分画製剤について、増加するニーズに応えていきます。

 

ワクチン

ワクチンでは、革新技術をいかして、デング熱、ジカウイルス感染、ノロウイルス感染など、世界で最も困難な感染症に取り組んでいます。当社パイプラインの拡充およびプログラムの開発に対する支援を得るために、政府機関(日本、米国、シンガポール)や主要な世界的機関とのパートナーシップを締結しています。これらのパートナーシップは、当社のプログラムを実行し、それらのポテンシャルを最大限に引き出すための重要な能力を構築するために必要不可欠です。

 

[開発コード: TAK-003]

2019年11月、当社は、グローバル臨床第3相試験である「TIDES試験」の主要評価項目の解析結果が、New England Journal of Medicine(NEJM)に掲載されたことを公表しました。「TAK-003」は、4歳から16歳の小児・若年層において、デングウイルスの感染歴に関係なく、主要評価項目であるウイルス学的に確認されたデング熱感染(VCD)に対する予防効果を示しました。「TAK-003」の初回接種3か月後に2回目を接種した後、12か月の追跡期間におけるワクチン有効率(VE)は80.2%(95%信頼区間:73.3%~85.3%、p<0.001)でした。また、あらかじめ設定されていた副次評価項目の探索的解析では、デングウイルス感染歴のある被験者および感染歴のない被験者において同様の予防効果が示されました(それぞれVE:82.2%(95%信頼区間:74.5%~87.6%)、VE:74.9%(95%信頼区間:57.0%~85.4%))

・2019年11月、当社は、「TAK-003」について、「TIDES試験」の最新結果を、米国熱帯医学会(American Society of Tropical Medicine and Hygiene:ASTMH)第68回年次学術集会にて発表しました。「TAK-003」の初回接種3ヵ月後に2回目を接種した後、18ヵ月の追跡期間で得られたデータには、ワクチン有効率(VE)に関する最新情報と、デングウイルスの血清型別、ワクチン接種前の血清反応(デングウイルス感染歴の有無)別および重症度別の有効性に関する副次評価項目の解析結果が含まれています。「TIDES試験」では解析に十分な発症例数を収集し、全ての副次評価項目を満たしました。18ヵ月間追跡におけるパート2のVEおよび安全性に関する結果は、12ヵ月間追跡におけるの主要評価項目の解析で報告されたデータと一貫性のある結果を示しました[接種2回目以後18ヵ月間追跡におけるVE:73.3%(95%信頼区間:66.5%~78.8%),p<0.001、接種2回目以後12ヵ月間追跡における主要評価項目解析時のVE:80.2%(95%信頼区間:73.3%~85.3%)]。

 

将来に向けた研究プラットフォームの構築/研究開発における提携の強化

自社の研究開発機能向上への注力に加え、社外パートナーとの提携も、当社研究開発パイプライン強化のための戦略における重要な要素の一つです。社外提携の拡充と多様化に向けた戦略により、様々な新製品の研究に参画し、当社が大きな研究関連のブレイクスルーを達成する可能性を高めます。

 

・2019年7月、当社と京都大学iPS細胞研究所(「CiRA」(サイラ))は、新規iPS細胞由来キメラ抗原受容体(CAR)1 遺伝子改変T細胞療法(iCART)に関する研究成果が、両社の共同研究プログラムであるT-CiRAから当社に継承されたことを公表しました。本プログラムの臨床試験に向けたプロセス開発が開始されます。

・2019年10月、当社とCOUR Pharmaceuticals Development Company, Inc.(「COUR社」)は当社がCOUR社からグリアジンタンパク質含有のImmune Modifying Nanoparticleである「CNP-101/TAK-101」の全世界での独占的な開発および製品化の権利を獲得したことを公表しました。COUR社の抗原特異的な免疫寛容技術を用いた「TAK-101」は、グルテン摂取により小腸の炎症・傷害を引き起こす重篤な自己免疫疾患であるセリアック病の異常免疫反応に対するファーストインクラスとなる可能性のある治療薬です。セリアック病患者34名を対象とし、「TAK-101」の有効性および安全性を示す可能性のあるマーカーを検討した、無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験である本臨床試験の結果は、欧州消化器病週間(United European Gastroenterology Week: UEGW) 2019のLate-breaking Abstractとして発表されました。良好にコントロールされ、生検によりセリアック病と診断された患者が本試験に登録され、その後、患者はグルテンチャレンジを実施しました。本試験の結果を受け、当社は「TAK-101」の独占的な全世界のライセンスを獲得するオプション権を行使しました。

・2019年11月、当社とThe University of Texas MD Anderson Cancer Center (「MD Anderson」)は、B細胞性悪性腫瘍やその他のがんをターゲットとしたIL-15分泌促進型キメラ抗原受容体を発現した臍帯血由来NK(CAR NK)細胞療法に関し、独占的ライセンス契約ならびに共同研究開発契約を締結したことを公表しました。本契約に基づき、当社はMD AndersonのCAR NK基盤技術へのアクセス権と、CD19をターゲットとしたCAR NK細胞療法や、B細胞成熟抗原(BCMA)をターゲットとしたCAR NK細胞療法を含む最大4つのプログラムについての開発および販売に関する独占的権利を獲得します。武田薬品およびMD Andersonはまた、これらのCAR NKプログラムの開発をさらに進展させるための共同研究を実施します。

・2019年12月、当社とTurnstone Biologics(「Turnstone社」)は、Turnstone社が有する独自のワクシニアウイルスプラットフォームを用いて幅広い種類のがんを対象とした複数の製品を開発するための戦略的共同開発契約を締結したことを公表しました。両社はTurnstone社のリードプログラムである「RIVAL-01」についてグローバルで共同開発・商業化を行うとともに、今後、ワクシニアウイルスプラットフォームに基づいた追加の新規治療薬候補を特定するための共同研究も併せて実施します。

 

 

3 【経営上の重要な契約等】

当第3四半期において、変更のあった重要な契約は以下のとおりです。

・2019年10月18日に、当社は、財務制限条項の改定を含む一部変更を加えるため、タームローンクレジット契約(注1)の第2回変更契約を締結しました。

・2019年12月25日に、当社は、財務制限条項の改定を含む一部変更を加えるため、JBICローン契約(注2)の第2回変更契約を締結しました。

上記財務制限条項の改定の概要については「2 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 財政状態の分析」をご参照ください。

 

(注1)2018年6月8日にJP Morgan Chase Bank, N.A.等との間で締結された契約です。

(注2)2018年12月3日に株式会社国際協力銀行との間で締結された契約です。