第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 

当社の企業理念は以下の通りです。

私たちの存在意義(パーパス)

「世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献する」

私たちが目指す未来(ビジョン)

当社のビジョンは、「すべての患者さんのために、ともに働く仲間のために、いのちを育む地球のために。私たちはこの約束を胸に、革新的な医薬品を創出し続けること」です。

私たちの価値観(バリュー):タケダイズム

タケダイズムとは、まず誠実であること。それは公正・正直・不屈の精神で支えられた、当社が大切にしている価値観です。当社は、これを道しるべとしながら「1.患者さんに寄り添い(Patient)、2.人々と信頼関係を築き(Trust)、3.社会的評価を向上させ(Reputation)、4.事業を発展させる(Business)」を日々の行動指針とします。

私たちの約束(インペラティブ)

当社には、患者さん、ともに働く仲間、そして地域社会に対して果たすべき責任があります。この「私たちの約束」は「私たちの存在意義」と「私たちが目指す未来」を実現するために欠かせない要素です。

すべての患者さんのために

・私たちは、倫理観をもってサイエンスの革新性を追求します。そして、人々の暮らしを豊かにする医薬品の創出に取り組みます。また、私たちの医薬品を、より多くの人々に迅速にお届けします。

ともに働く仲間のために

・私たちは、理想的な働き方を実現します。

いのちを育む地球のために

・私たちは、自然環境の保全に寄与します。

データとデジタルの力で、イノベーションを起こします

・データを活用して導き出された成果をもとに、もっとも信頼されるバイオ医薬品企業として、これからも変革し続けます。

世界の製薬産業においては、イノベーションのスピードはかつてよりも速くなっており、がん免疫療法や細胞療法、遺伝子治療等の新たな医療技術の登場によってさらに促進されています。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行拡大が契機となり、世界中の人々に命を救うワクチンを驚異的な速さで提供するといった新しいイノベーションの時代が到来しました。このような医療イノベーションによる成果が現れてきた一方、高齢化社会の進展や生活スタイルの変化、複合疾患に対するより高度で先進的な治療法の利用等によってヘルスケアに対する投資額はここ10年、国内総生産や総所得を上回る速度で増加してきました。このため、保険者は保険償還対象となる医薬品をより厳格に選定するようになっており、各国政府は後発品やバイオシミラーの使用を促進し、薬価引き下げの圧力を強めています。しかしながら、アンメット・メディカル・ニーズ(未だ有効な治療法が確立されていない疾患に対する医療ニーズ)は多く存在しています。世界各国の医療制度はかつてないほどに逼迫しており、医療アクセスの格差がますます拡大していることから、医療の公平性について対処するための医療アクセスの改善や政策に対する必要性が高まっています。また、国家による地域紛争や多国間紛争により、地政学的な状況の変化や市場ダイナミクスの混乱が瞬く間に引き起こされることがあります。さらに、公衆衛生は気候変動が及ぼす影響と密接に結びついており、気温上昇に伴い拡大する疾患や影響を受ける地域の患者さんの医療アクセスに関連した課題が生じます。

当社は、最も信頼され、サイエンスに基づき、データとテクノロジーの力を活用するバイオ医薬品企業を実現するため、引き続き成長していきます。現在の事業環境の下では、当社の患者さんへのコミットメントと、患者さんをサポートするための取り組みは、これまで以上に重要になっています。当社は、4つの重点疾患領域であるオンコロジー(がん)、希少遺伝子疾患および血液疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、消化器系疾患の領域において、著しいアンメット・メディカル・ニーズのある疾患に対して、サイエンスから患者さんの人生を豊かにする革新的な医薬品を創出することを目指しています。当社のプログラムは、ヒトにおけるバリデーションが確実になされたターゲットに基づき、多様なモダリティ(治療手段)を網羅するものであり、細胞治療、遺伝子治療やデータサイエンスの領域で蓄積されつつある研究能力を活用して進められています。当社のグローバルな事業展開と多様な製品のポートフォリオは、イノベーションを拡大する基盤であり、当社は、患者さんへの新たな治療法の提供や、医薬品の適応症の拡大、既存製品の新たな地域での上市に引き続き取り組んでいきます。また、当社は、グローバル製品の成長と新製品の上市を通じた既存ポートフォリオの拡大によって、今後想定される一部製品の独占販売期間満了による収益の減少を上回る収益の増加を中期的に見込んでいます。当社は、この勢いを活かし、再構築された研究開発エンジンのもと、臨床段階にある約40の開発プログラムと200社以上との提携を通じて、多様なパイプラインの拡充に向けた取り組みを進めています。

2022年4月、当社は、業務執行の創造性と革新性を確保し、重点戦略分野へのさらなる注力により、将来にわたって競争力を維持するため、タケダ・エグゼクティブ・チーム(以下、「TET」)の体制を戦略的に変更しました。TETは、世代、国籍、性的指向、性別、の側面において多様性を有するメンバーにより構成されるチームです。グローバル ポートフォリオ ディビジョンは、製品のライフサイクルマネジメント、地理的拡大、市場浸透を通じてグローバル製品を成長させるとともに、後期開発パイプラインを引き続き進捗させるための支援を行い、製品上市や中国における事業拡大を推進するなど、当社の将来の成功に向けて機能を結集して新設されました。また、TETでは、データ、デジタルおよびテクノロジーとサステナビリティの当社が注力する分野の体制変更も行いました。

テクノロジーは、当社の事業に変革をもたらし、患者さんの人生を変え得る医薬品の創薬、開発、提供を通じて、より良い治療経験と治療結果を生み出しています。また、データとデジタルは、職場と働き方を抜本的に変革し、今後も引き続き変革を推進します。このように、データとテクノロジーの力を解き放つことが、当社の次の成長段階において重要となりますが、当社は既に、データやデジタルを活用した患者さん中心のハイブリッドなアプローチの臨床試験を取り入れて大きな前進を遂げており、今後もより多様な患者さんに臨床試験に参加していただけるよう取り組んでいきます。また、製造においては、自動目視検査機を備えた最先端の工場を建設しており、さらには、新しく入社した従業員向けの人工知能(AI)コンパニオンを使用したプログラムを作成しています。当社は、包括性や協同性を実現し、革新性を促進するため、すべての従業員がそれぞれにAIやデジタルを活用した経験を積めるよう取り組んでいきます。

私たちの存在意義(パーパス)を実現するためのサステナビリティとは、大きな社会的課題を解決するために、当社の揺るぎない価値観や文化、研究開発の原動力、製造および販売能力といった中核の資産と能力を活用して、持続可能な価値を創出し、すべてのステークホルダーに対して提供するというものであり、換言すると、サステナビリティとは当社のビジネスに対するアプローチです。当社は、サステナビリティについて、環境という枠を超えて、持続可能な医療制度の実現を含め、バリューチェーン全体に目を向けています。この取り組みは、私たちの医薬品をより多くの人々に迅速に届けるために、政策提言、段階的な価格設定や患者支援プログラム、未承認薬の人道的使用等を通じて包括的な取り組みを行い、患者さんが適切なタイミングで必要とする医薬品や治療にアクセスできることを可能にすることから始まります。また、当社は、持続可能かつ公平な方法で革新的医療を提供すること、そして、医療制度が直面する課題に取り組む上では、価値に基づく医療(バリューベースヘルスケア)が不可欠であると考えています。

多様な患者さんに価値を提供するためには、多様な人材を採用、育成し、確保することが重要です。また、当社は、多様性に富み、包括的で公平な職場環境を作ることが、従業員が積極的に当社の存在意義に沿って行動できる健全な企業文化を醸成するために不可欠であると考えており、従業員にとって理想的な働き方の実現を目指しています。当社の研究所や製造拠点、オフィスにおけるイノベーションは、ともに働く仲間の力を結集させてこそ創出することができるものであると考えています。当社は、従業員の意見を尊重し、従業員のウェルビーイング(心身の健康維持)と生涯学習のサポートを進めているほか、ハイブリッドなワーキングモデルにおける将来の理想的な働き方の検討に注力しています。

当社は、地球温暖化や環境汚染が人々の健康と当社の存在意義(パーパス)の実現に影響を及ぼすことを認識しており、環境課題に対する高い意識とリーダーシップをもって取り組んでいます。当社は、2020年以降、バリューチェーン全体でカーボンニュートラルを達成していますが、今後は、2035年までに当社の事業活動に起因するすべての温室効果ガス排出量(スコープ1、2を含む)を、2040年までに当社のバリューチェーン全体における温室効果ガス排出量(現在見積もっているスコープ3(注1)の温室効果ガス排出量を含む)をネット・ゼロにする(注2)ことを目指していきます。これは意欲的な挑戦となりますが、過去数年に得た経験から、当社の目指すべき目標であり、達成は可能であると考えています。また、当社は、プロダクト・スチュワードシップ、水資源の供給や廃棄物管理に注力し、環境汚染対策に積極的に取り組み、当社製品のライフサイクル全体を通して環境に対する影響を最小限に抑えています。

(注1) 実際のスコープ3の排出量は測定が困難であり不透明性が残ることからも、これらは取り組みを進めていく上で今後克服すべき重要な課題です。

(注2) 当社は、カーボンニュートラルと排出量ネットゼロを温室効果ガスプロトコルに基づき定義しています。

 

(新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大による影響と当社の取り組み)

① 当社の経営成績および財政状態に対するCOVID-19影響

当社は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行拡大に対して、引き続きあらゆる取り組みを行っており、業界としても様々な支援を行っております。COVID-19に対するワクチンが広く普及しつつありますが、当社は、当社プロトコールに加えて、各国・地域の公衆衛生関連規制を引き続き遵守し、新しい変異株を含め、COVID-19が当社の事業活動に及ぼす潜在的な影響を注視してまいります。

当社は、当社製品の需要動向について注視しておりますが、当社の医薬品は病院での待機手術を要しない重篤な慢性疾患や生命を脅かす恐れのある疾患に対するものが多く、COVID-19による影響は限定的です。グローバルなサプライチェーンにおいては、COVID-19の大流行による製品供給の重大な問題は発生しておらず、また、発生の可能性を予測しておりません。各国・地域の公衆衛生関連規制に従い、適切な場合においては、外勤の従業員は、医療従事者との対面の訪問業務を一部再開しております。前年度に一時的に休止しました臨床試験については、流行拡大の動向を注視しつつ、概ね再開しております。

金融市場の動向も注視を続けており、流動性や資金調達に係る重要な問題は現在見込んでおりません。

② COVID-19影響軽減のための当社の取り組み

当社は、バリュー(価値観)に基づき、従業員の健康・安全確保、当社医薬品を必要とされている患者さんへの提供、当社従業員が就業・居住するコミュニティでの感染の軽減およびサポートを中心に引き続き取り組んでおります。

COVID-19流行拡大に対する当社の取り組みについて、当年度における主なアップデートは次の通りです。

・感染力が強い変異株であるオミクロン株の影響により、新しい働き方であるハイブリッド・ワーキングモデルの導入は一部で一時的に遅延しています。今後、公衆衛生関連規制の違いや流行の分布・動態の推移、実務基準によって、職種や地域・国レベルで本モデルの導入状況が異なる見込みです。

・当社は、COVID-19の課題に対処するため二年以上にわたり支援を行ってきたグローバル危機管理委員会の活動を終了し、各国・地域の危機管理委員会が現地の保健機関からの情報に基づきガイダンスを提供する体制に移行しました。

・当社は、COVID-19に対処するため様々な取り組みを世界中で行っており、これには、二つの提携案件を通じてCOVID-19ワクチンを日本に供給することが含まれます。一つ目は、Novavax社のCOVID-19ワクチンの日本における開発、製造、流通に関する提携です。2021年9月、当社は、当社が日本で生産する同ワクチンについて厚生労働省に1億5,000万回接種分を供給する契約を締結しました。2022年4月、当社は、組換えタンパクを抗原としたCOVID-19ワクチン「ヌバキソビッド筋注」について、厚生労働省より初回免疫および追加免疫に対する製造販売承認を取得しました。

二つ目は、Moderna社のCOVID-19 mRNAワクチン「スパイクバックス筋注(旧販売名:COVID-19ワクチンモデルナ筋注)」の日本への輸入および供給に関するModerna社および厚生労働省との提携です。2021年5月以降、当社はModerna社の同ワクチンを日本において供給しています。当社とModerna社は、2021年10月、日本での1つのロットにおいて未穿刺のバイアル内に粒子状異物があるという報告を受け自主回収した計3ロットの同ワクチンについて、調査結果を公表しました。当調査結果では、本件は被接種者の安全を脅かすものではなく、この製品のベネフィット・リスク評価に悪影響を与えるものではないと記載されています。

当社は、2021年12月にModerna社および厚生労働省と合意に達した追加の1,800万回接種分とあわせ、2022年に合計9,300万回接種分を日本国内に供給します。本供給については2022年1月より開始しています。

2022年5月、当社およびModerna社は、2022年8月1日付で同ワクチンの製造販売承認を当社からモデルナ・ジャパンに継承することを発表しました。当社は、当面の間、COVID-19にかかわる特例臨時接種の枠組みの下、同ワクチンの流通を引き続き担います。

 

③ COVID-19の世界的な拡大に伴う事業等のリスク

「2 事業等のリスク」をご参照ください。

 

④ 2021年度実績におけるCOVID-19影響

当年度におけるCOVID-19のグローバルな流行拡大に伴う業績への影響は、軽微でありました。COVID-19が流行している期間においては、ニューロサイエンス(神経精神疾患)といった一部の疾患領域において、外出制限期間中に患者さんの医療機関訪問の頻度が減少する等のマイナス影響が見られてきました。これは前年度の最初の数ヶ月において顕著でした。以降この動向は断続的に発生し、COVID-19流行前の水準にまで完全に回復しておりませんが、当社の生命を救う一定数の医薬品はこのような環境下においても耐久力を示し、また、成長を遂げることが出来ています。なお、業績影響は軽微でしたが、下期においてはオミクロン株による感染拡大により、幾つかの製品の出荷の遅れや患者さんの診断数の減少といった若干の影響がみられました。

 

(ウクライナとロシアにおける事業について)

すべての患者さんと従業員を大切にするという私たちの変わらぬ約束は、危機の中において、より重要なものとなっています。当社は従業員の安全を確保し、ウクライナや周辺地域の患者さんに必要な医薬品を提供し続けるために、あらゆる努力を重ねています。

当社は、国際赤十字・赤新月社連盟に3億円(約260万米ドル)を寄付し、国際的な人道的活動を支援しています。国際赤十字・赤新月社連盟は、今回の事態を受け避難している方々に地域での緊急人道支援を積極的に行っています。また、当社は医療を必要としている患者さんのために、24時間体制で医療行為を行っている病院に医薬品を無償提供しています。

当社は、患者さんへの医薬品の安定供給と従業員への支援を維持するために必要不可欠な活動を除き、ロシアにおける活動を中止しました。これには、すべての新規投資の中止、広告・宣伝活動の中止、新規の臨床試験を実施しないこと、および進行中の臨床試験への新規患者登録の中止を含みます。

当社はタケダイズムと患者さんを中心に考えるという私たちの価値観、そして私たちの医薬品や治療法を必要とするウクライナやロシア、周辺地域の患者さんへの倫理的な責任に基づいた必要不可欠な活動に注力します。それと同時に、当社はロシアに課せられたすべての国際的な制裁を遵守しています。

また、ウクライナで被害を受けた方々への寄付金や医薬品の無償提供などの人道的支援活動を強化します。そして、周辺地域の患者さんが必要とする、新たな支援についても検討を続けます。

当社はこれからも状況を注視し、私たちの価値観に基づき、適切に行動してまいります。

当年度のロシア/CISにおける売上収益は、連結の売上収益3兆5,690億円の1.7%でした(「3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析、(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容、①当年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容、(a)当年度の経営成績の分析、(iii)当年度における業績の概要」の地域別売上収益をご参照ください)。これら国々における危機による当年度の当社業績に対する重大な影響はありませんでした。しかしながら、今後の事態の進展によっては、当社の業績や財務状況に悪影響が生じる可能性があります。

 

[主要製品一覧]

消化器系疾患領域における主要製品は以下の通りです。

エンティビオ/エンタイビオ(ベドリズマブ):「エンティビオ」は、中等症から重症の潰瘍性大腸炎・クローン病に対する治療剤です。「エンティビオ」は、2014年に米国および欧州において発売以来、売上が伸長しており、2021年度の当社グループの売上トップ製品です。現在、「エンティビオ」は世界74カ国で承認されています。当社は本剤の可能性を最大化するため、その他の国においても本剤の承認取得を進め、さらなる適応症の開発を行うとともに、皮下注射製剤の開発を行います。2021年度の「エンティビオ」の売上収益は5,218億円となりました。

アロフィセル(ダルバドストロセル):「アロフィセル」は、非活動期/軽度活動期の成人の管腔型クローン病患者さんにおける、少なくとも一回以上の既存治療または生物学的製剤による治療が効果不十分であった複雑痔瘻に対する治療薬です。「アロフィセル」は、2018年に欧州の中央審査により販売承認(MA)された、欧州初の同種異系幹細胞療法であり、日本でも2021年に承認されました。2021年度の「アロフィセル」の売上収益は18億円となりました。

・タケキャブ(ボノプラザンフマル酸塩):酸関連疾患の治療剤「タケキャブ」は、2015年に日本で発売され、逆流性食道炎や低用量アスピリン投与時における胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発抑制などの効能により飛躍的な成長を遂げました。「タケキャブ」(中国の製品名:Vocinti)は、2019年に胃食道逆流症の治療剤として中国で承認されました。2021年度の「タケキャブ」の売上収益は1,024億円となりました。

・GATTEX/レベスティブ(テデュグルチド[DNA組換え型]):非経口(静脈栄養)サポートを必要とする短腸症候群(SBS)の治療薬です。2019年、FDAより、「GATTEX」の1才以上の小児SBS患者さんへの適応拡大が承認されました。「レベスティブ」は2021年に日本において承認されました。2021年度の「GATTEX/レベスティブ」の売上収益は758億円となりました。

DEXILANT (dexlansoprazole):「DEXILANT」は、全グレードのびらん性逆流性食道炎の治療およびその維持療法、症候性非びらん性胃食道逆流症(GERD)に伴う胸やけの緩和・治療など、胃酸関連疾患の治療薬です。後発品の市場参入により、売上は減少傾向にあり、2021年度の「DEXILANT」の売上収益は508億円となりました。

希少疾患領域における主要製品は以下の通りです。

・タクザイロ(ラナデルマブ):「タクザイロ」は、遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作予防に用いられます。「タクザイロ」は、HAEの患者さんにおいて慢性的に制御不能な酵素である血漿カリクレインに選択的に結合し、減少させる完全ヒト型モノクローナル抗体です。「タクザイロ」は2018年に米国と欧州にて、2020年に中国にて、2022年に日本にて承認され、さらなる地理的拡大を目指しています。2021年度の「タクザイロ」の売上収益は1,032億円となりました。

・LIVTENCITY (maribavir):「LIVTENCITY」は、成人患者さんと小児患者さん(12歳以上で体重35 kg以上)に対する、ガンシクロビル、バルガンシクロビル、ホスカルネット、またはシドフォビルに対して遺伝子型抵抗性(無しも含みます)を示す難治性の移植後サイトメガロウイルス(CMV)感染/感染症治療薬であり、2021年12月に米国において発売されました。「LIVTENCITY」はpUL97プロテインキナーゼとその天然基質を標的として阻害する経口投与可能な最初で唯一の抗CMV治療薬であり、発売当初から売上が順調に伸長しています。2021年度の「LIVTENCITY」の売上収益は13億円となりました。

・エラプレース(イデュルスルファーゼ):「エラプレース」は、ハンター症候群(ムコ多糖症II型またはMPS II)に対する酵素補充治療薬です。2021年度の「エラプレース」の売上収益は731億円となりました。

・リプレガル(アガルシダーゼ アルファ):「リプレガル」は、ファブリー病に対して米国以外の市場で販売され、2020年に中国でも承認された酵素補充療法治療薬です。当社は、2022年2月に大日本住友製薬株式会社から「リプレガル」の日本における製造販売承認を承継し、同剤の販売の移管を受けました。ファブリー病は、脂肪の分解に関与するリソソーム酵素α-ガラクトシダーゼAの活性の欠如に起因する遺伝子性の希少疾患です。2021年度の「リプレガル」の売上収益は517億円となりました。

・アドベイト(抗血友病因子(遺伝子組換え型)):「アドベイト」は、血友病A(血液凝固第Ⅷ因子欠乏)の治療薬であり、出血の制御と予防、周術期管理および出血の頻度を予防または軽減するために行う定期補充療法に使用されます。2021年度の「アドベイト」の売上収益は1,185億円となりました。

・アディノベイト/ADYNOVI(抗血友病因子(遺伝子組換え型) [PEG化]):「アディノベイト」は、血友病A治療薬であり、遺伝子組換え型半減期延長第Ⅷ因子製剤です。「アディノベイト」は遺伝子組換え型半減期延長第Ⅷ因子製剤「アドベイト」と同じ製造工程で作られ、当社がネクター社より独占的にライセンス取得しているPEG化(体内での循環時間を延長し、投与頻度を減らすための化学修飾処理)技術を追加したものです。2021年度の「アディノベイト」の売上収益は607億円となりました。

血漿分画製剤(免疫疾患)領域における主要製品は以下の通りです。

・GAMMAGARD LIQUID(静注用人免疫グロブリン10%製剤):「GAMMAGARD LIQUID」は、抗体補充療法用免疫グロブリン(以下、「IG」)の液体製剤です。「GAMMAGARD LIQUID」は、原発性免疫不全症(PID)の成人および2歳以上の小児患者さんに対して使用され、静注または皮下注のいずれかの方法で投与します。また、「GAMMAGARD LIQUID」は、成人の多巣性運動ニューロパチー(MMN)患者さんに対しても静注投与にて使用されます。「GAMMAGARD LIQUID」は、米国以外の多くの国で製品名「KIOVIG」として販売されています。「KIOVIG」は、欧州においてPIDおよび特定の続発性免疫不全症患者さん、ならびに成人のMMN患者さんへの使用が承認されています。

・HYQVIA(ヒト免疫グロブリン注射製剤10%):「HYQVIA」は、ヒト免疫グロブリン(IG)および遺伝子組換え型ヒトヒアルロニダーゼ(Halozyme社よりライセンス取得)からなる製剤です。「HYQVIA」は、PID患者さんに対して最長で1ヶ月に1回の投与で、1回あたりの注射部位一ヶ所でIGの全治療用量の投与が可能な唯一のIG皮下注用治療薬です。「HYQVIA」は、米国では成人PID患者さんへの使用、また欧州においてPID症候群および骨髄腫患者さんまたは重度の続発性低ガンマグロブリン血症および回帰感染を伴う慢性リンパ性白血病患者さんへの使用が承認されております。

・CUVITRU(ヒト免疫グロブリン皮下注用20%製剤):「CUVITRU」は、原発性体液性免疫不全症の成人および2歳以上の小児患者さんに対する補充療法に用いられます。「CUVITRU」は、欧州では特定の続発性免疫不全の治療薬としても承認されています。「CUVITRU」は、プロリン不含で、投与部位1ヶ所あたりの耐用量内で最大60 mL(12g)および1時間あたり60 mLまで投与可能な唯一の20%皮下IG治療薬であり、従来の皮下IG治療薬と比較してより少ない投与部位および短い投与時間での使用が可能です。

2021年度の「GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG」「HYQVIA」「CUVITRU」を含む免疫グロブリン製剤の売上収益は3,859億円となりました。

・FLEXBUMIN(ヒトアルブミンバッグ製剤)およびヒトアルブミン(ガラス瓶製剤):「FLEXBUMIN」および「ヒトアルブミン」は、濃度5%および25%の液体製剤として販売されています。両製品とも、血液量減少症、一般的な原因および火傷による低アルブミン血症、ならびに心肺バイパス手術時のポンプのプライミングに使用されます。また、「FLEXBUMIN」25%製剤は、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)およびネフローゼに関連する低アルブミン血症、ならびに新生児溶血性疾患(HDN)にも適応されます。2021年度の「FLEXBUMIN」および「ヒトアルブミン(ガラス瓶製剤入り)」を含むアルブミン製剤の売上収益は900億円となりました。

オンコロジー領域における主要製品は以下の通りです。

・アルンブリグ(ブリグチニブ):「アルンブリグ」は、非小細胞肺がん(NSCLC)治療に使用される経口投与の低分子未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤であり、2017年に米国で迅速承認され、2018年に欧州委員会より製造販売承認を取得しました。2020年5月に米国で初めて、新たにALK陽性転移性NSCLCと診断された患者さんに対する効能が追加されました。2021年1月に日本、2022年3月に中国において承認されました。2021年度の「アルンブリグ」の売上収益は136億円となりました。

・EXKIVITY(mobocertinib)は、プラチナ製剤ベースの化学療法を実施中あるいは実施後に病勢が進行した上皮成長因子受容体(EGFR)エクソン20挿入変異を伴う局所進行または転移性非小細胞肺がん(NSCLC)の治療薬であり、2021年9月に米国において迅速承認制度のもとで承認されました。発売以来、高度医療機関および開業医において売上が急速に伸長しています。2021年度の「EXKIVITY」の売上収益は10億円となりました。

・ベルケイド(ボルテゾミブ):「ベルケイド」は、多発性骨髄腫(MM)や少なくとも治療を一つ受けたマントル細胞リンパ腫(MCL)に対する治療剤であり、2003年に米国において承認されました。2008年にミレニアム社を買収して以来、「ベルケイド」の売上収益は当社グループの売上収益の増加に貢献してきました。なお、2022年に米国において後発品が市場に参入することにより、今後売上は減少することが見込まれます。2021年度の「ベルケイド」の売上収益は1,100億円となりました。

・リュープリン/ENANTONE(リュープロレリン):「リュープリン」は、前立腺がんや乳がん、小児の中枢性思春期早発症、子宮内膜症、不妊の治療や、子宮筋腫による貧血の症状改善に用いられる治療薬です。「リュープリン」の特許期間は満了していますが、製造の観点から後発品の市場参入は限定的です。2021年度の「リュープリン」の売上収益は1,065億円となりました。

・ニンラーロ(イキサゾミブ):「ニンラーロ」は、多発性骨髄腫(MM)治療に対する初めての経口プロテアソーム阻害剤です。「ニンラーロ」は、再発又は難治性の多発性骨髄腫の効能で、2015年に米国で承認されて以来、2016年に欧州、2017年に日本、2018年に中国で承認されております。日本においては、多発性骨髄腫の維持療法の治療薬としても承認を受けております。2021年度の「ニンラーロ」の売上収益は912億円となりました。

・アドセトリス(ブレンツキシマブ ベドチン):「アドセトリス」は、ホジキンリンパ腫(HL)および全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)の治療に使用される抗癌剤で、2020年5月には中国で承認され世界70カ国以上で販売承認を受けております。当社は、Seagen社と「アドセトリス」を共同開発し、米国およびカナダ以外の国での販売権を保有しています。2021年度の「アドセトリス」の売上収益は692億円となりました。

ニューロサイエンス領域における主要製品は以下の通りです。

・バイバンス/ビバンセ(リスデキサンフェタミンメシル酸塩):「バイバンス」は、6歳以上の注意欠陥・多動性障害(ADHD)患者さんおよび成人の中程度から重度の過食性障害患者さんの治療に用いられる中枢神経刺激剤です。2021年度における「バイバンス」の売上収益は3,271億円となりました。

・トリンテリックス(ボルチオキセチン臭化水素酸塩):「トリンテリックス」は、成人大うつ病性障害の治療に適応される抗うつ薬です。「トリンテリックス」はH. Lundbeck A/S社と共同開発し、当社は米国および日本での販売権を保有しており、米国では2014年、また日本では2019年より販売しています。2021年度の「トリンテリックス」の売上収益は823億円となりました。

売上収益の地域別内訳は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4 事業セグメントおよび売上収益」をご参照下さい。

 

 

2 【事業等のリスク】

 

当社の業績は、現在および将来において様々なリスクにさらされており、リスクの顕在化により予期せぬ業績の変動を被る可能性があります。以下では、当社が事業を展開していくうえで直面しうる主なリスクを記載いたします。なお、以下に記載したリスクは当社の全てのリスクを網羅したものではなく、記載以外の潜在的かつ不確実なリスクも存在し、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。

当社のグローバルリスク管理ポリシーについては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 3.業務執行に係る事項 <内部統制システムに関する基本的な考え方およびその整備状況> ③ 損失の危険の管理に関する規程その他の体制」をご参照ください。

なお、本項目に含まれる将来に関する事項およびリスクは、当年度末現在において判断したものです。

 

(1)研究開発に関するリスク

当社は、持続的成長を実現するために、最先端の科学で革新的な医薬品を創出することを目指しています。当社は、研究開発機能の向上および社外パートナーとの提携等により研究開発パイプラインを強化すると共に、世界各国の市場への一日も早い新製品の上市を目指し、質の高い革新的な研究開発パイプラインを構築することで研究開発の成功確率を高める等により効率的な研究開発活動に努めております。しかしながら、医薬品は、自社創製候補物質、導入候補物質にかかわらず、所轄官庁の定めた有効性と安全性に関する厳格な審査により承認されてはじめて上市可能となります。

研究開発の途上において、当該候補物質の有効性・安全性が、承認に必要とされる水準を充たさないことが判明した場合またはその懸念があると審査当局が判断した場合、その時点で当該候補物質の研究開発を途中で断念、または追加の臨床試験・非臨床試験を実施せざるを得ず、それまでにかかったコストを回収できないリスクや製品の上市が遅延するリスク、および研究開発戦略の軌道修正を余儀なくされる可能性があります。

 

(2)知的財産権に関するリスク

当社の製品は、物質・製法・製剤・用途特許等の複数の特許によって、一定期間保護されております。

当社では特許権を含む知的財産権を厳しく管理し、当社が事業を行う市場における知的財産権や第三者からの侵害状況を継続的にモニタリング、評価および分析し、知的財産権に関するリスクの回避と、受けうる影響の低減を図っていますが、当社の保有する知的財産権が第三者から侵害を受けた場合には、期待される収益が大幅に失われる可能性があります。また、当社の自社製品等が第三者の知的財産権を侵害した場合には製造販売の差止めおよび損害賠償等を請求される可能性があります。

 

(3)特許権満了等による売上低下リスク

当社は、効能追加や剤型変更等により製品のライフサイクルを延長する努力をしておりますが、多くの製品について、特許または規制上の独占権の喪失・満了による後発品の市場参入は避けられず、米国や欧州では後発品が参入すれば通常、短期間で先発品から後発品へ切り替わり、先発品の収益が大きく減少します。国内では、当局が後発品の使用促進を積極的に進め、また、長期収載品のさらなる価格引下げが行われています。これに加え、競合品の特許満了によるその後発品、および競合品のスイッチOTC薬の出現などによって、国内外の競争環境は格段に厳しいものになってきており、その影響如何で当社製品の大幅な売上低下を招く可能性があります。

なお、特許権満了時期等の詳細については「第2 事業の状況 5 研究開発活動 知的財産」をご参照ください。

 

(4)副作用に関するリスク

医薬品は、世界各国の所轄官庁の厳しい審査を経て発売されます。当社は発売後の医薬品について安全性情報を収集し有効性とリスクのバランスを評価することを含め、安全性監視活動とリスク最小化活動を実施し、より安全、有効に医薬品を使用できるようファーマコビジランス活動を推進し、副作用に関するリスクの回避と受けうる影響の低減に努力しておりますが、市販後の使用成績が蓄積された結果、発売時には予期していなかった副作用が確認されることがあります。新たな副作用が確認された場合には、添付文書の「使用上の注意」への記載を行う、使用する対象患者を制限する、使用方法を制限するなどの処置が必要となるほか、重篤なケースが認められた場合には、販売中止・回収等を余儀なくされることもあり得ます。また、このような場合において、当社は製造物責任を負うとともに、金銭的、法的および社会的信頼に関する損害を負う可能性があります。

 

(5)薬剤費抑制策による価格引き下げのリスク

医薬品市場では、多くの国々において医療予算の削減が推進され、医療技術評価および国際価格を参照する政策により医薬品価格が低下しています。最大市場である米国では、医薬品価格を下げるための医療計画や仲介機関による取り組みに加え、継続的な法令および規制の制定により先発品への価格引き下げ圧力が一層高まっています。日本においては、政府による一層の後発品の使用促進に加え、医療保険制度における多くの製品の公定薬価が、毎年引き下げられております。欧州においても、薬剤費を抑制し、価格透明性を高め、国際価格を参照する政策により、医薬品価格が低下しております。当社は、各国の薬剤費抑制策の詳細な分析やモニタリングを行い、医薬品の価格状況を管理する組織体制を構築することでリスクの回避と影響低減の努力を行うと共に、各国政府や医療サービス供給者・保険者等と協力して、革新的な医薬品に対する適切な報酬制度を確立するために、価値に基づく新しい価格設定モデル等の解決策を追求しておりますが、これら各国の薬剤費抑制策による価格引き下げにより、当社製品の価格が影響を受け、当社の業績および財務状況に悪影響が生じる可能性があります。

 

(6)企業買収に関するリスク

当社は、持続的な成長を加速させるため、必要に応じて企業買収を実施しております。世界各国における事業活動は、法令や規則の変更、政情不安、経済動向の不確実性、商慣習の相違その他のリスクに直面する可能性があり、その結果当初想定した買収効果や利益が実現されない可能性があります。取得した資産の価値が下落し、評価損等が発生した場合や、買収した事業の統合から得ることが期待されている利益が実現されない場合には、のれんおよび無形資産等の減損損失の計上等により、当社の業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

また、過去の企業買収に関連する金融機関からの多額の借入れを含め、当社は多額の債務を負っております。当社は、利益の創出および選択的な非中核資産の売却等を通じてレバレッジの速やかな低下を進めておりますが、将来の当社の財務状況が悪化した場合には、信用格付けが引き下げられ、その結果、既存の債務の借り換えや新規借入れ、その他資金調達の条件にも影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社の債務には制限条項が付されているものがあり、かかる制限条項に抵触した場合には、債務の早期返済等により当社の財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)安定供給に関するリスク

当社は、販売網のグローバル化に確実に対応する供給ネットワークと品質保証体制を強化しており、具体的には、必要に応じて複数のサプライヤーと適切な在庫水準を確保するための製造供給戦略の策定、代替サプライヤーの選定、当社内の製造ネットワークに係る危機管理規則の制定、事業継続管理システムの導入および定期的な内部監査等を行っています。しかしながら、当社または委託先の製造施設・物流施設等において、技術上もしくは法規制上の問題、原材料の不足、または自然災害の発生や感染症の流行、進出国における紛争等により、製商品の安定的供給に支障が発生する可能性があります。その動向によっては、当社の業績、財務状況および社会的信頼に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)IT セキュリティ及び情報管理に関するリスク

当社は、顧客ニーズに合致したデジタルビジネスモデルへ移行するためデジタル変革を加速しております。また、事業の特性上、センシティブな個人情報を含む大量の機密情報を取り扱っており、データ保護の重要性がいっそう高まっております。大規模かつ複雑なIS/IT システム(アウトソーシング企業のシステムを含む)の利用は、従業員またはアウトソーシング企業の不注意または故意の行為、あるいは悪意をもった第三者による攻撃(サイバーアタック)により、システムの停止やセキュリティ上の問題が発生する可能性があります。当社は、これらのリスクを低減するため、包括的なポリシーや手続きを整備するとともに、リスク評価を通じた事業リスク分析および監査や第三者によるリスク低減テストを通じて、セキュリティ戦略の形成とクラウド活用を前提とした事業変革の推進を含む効果的なテクノロジーへの投資を行うことによりセキュリティの継続的な強化に努めておりますが、システムの停止やセキュリティ上の問題が発生した場合、当社の事業活動への悪影響、個人情報や知的財産等の重大な機密情報の流出や喪失、業績および財務状況の悪化、法的な損害ならびに信用の失墜を招く可能性があります。

 

(9)コンプライアンスに関するリスク

当社は事業の遂行にあたって、薬事規制や製造物責任、独占禁止法、個人情報保護法等の様々な法的規制やGMP (Good Manufacturing Practice)、GQP(Good Quality Practice)、GCP (Good Clinical Practice)、GLP (Good Laboratory Practice)等のガイドラインの適用を受けています。また、当社は多数のエージェント、サプライヤーや卸売業者等の第三者と協力関係にあり、当社の事業活動はこれらの第三者による業務遂行の影響を受けています。さらに、当社はソーシャルメディア・プラットフォームを含むデジタルプラットフォームの使用が増加しておりますが、これらが法令および社内規定に遵守しない方法により使用される可能性があります。当社は、グローバルエシックス&コンプライアンス部門を設置し、グローバルでコンプライアンスを推進する体制を整備し、当社および当社が関係する第三者の事業活動が法令および社内規定を遵守して実施されていることをモニタリングしていますが、当社の従業員や、当社が関係する第三者がこれらの法令等に違反した場合や社会的要請に反した行動をとった場合、法令による処罰や制裁、規制当局による処分、訴訟の提起を受ける可能性があり、社会的な信頼を失うとともに金銭的損害を負う可能性があります。

 

(10)進出国および地域におけるカントリーリスク

当社は、グローバルな事業展開に伴い、進出国や地域における政治不安、経済情勢の悪化、新興感染症の拡大、社会混乱、各国・地域間における貿易摩擦等の潜在的なリスクに対応する体制を構築しており、患者さんの医薬品へのアクセスを保護することを優先事項として、リスクの抑止策や発生時の対処法を検討する等のリスク管理に努めております。しかしながら、不測の事態が生じた場合には、当社の業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。なお、ウクライナおよびロシアにおける事業については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(ウクライナとロシアにおける事業について)」をご参照ください。

 

(11)為替変動に関する影響

当社の当年度における海外売上収益は2兆9,100億円であり、連結売上収益全体の81.5%を占めており、そのうち米国での売上収益は1兆7,144億円にのぼり、連結売上収益全体の48.0%を占めております。従って、売上収益については円安は増加要因ですが、一方、研究開発費をはじめとする海外費用が円安により増加するため、利益に対する影響は双方向にあります。また、機能通貨以外で実行される事業上の取引、金融取引および投資に関して為替変動リスクにさらされています。当社は為替リスクを集約的に管理し、外貨建取引に係る取引リスクをヘッジするためにデリバティブ取引を行っておりますが、為替レートが当社の想定を超えて変動した場合には、当社の業績および財務状況に影響が生じる可能性があります。

 

(12)訴訟等に関するリスク

当社の事業活動に関連して、現在関与している訴訟のほか、将来、医薬品の副作用、製造物責任、労務問題、公正取引等に関連し、訴訟を提起される可能性があり、その動向によっては、当社の業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。なお、継続中の重要な訴訟の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 32 コミットメントおよび偶発負債」をご参照ください。

 

(13)環境に関するリスク

環境保全に対する高い問題意識と責務の遂行は、当社の事業の発展に不可欠であり、当社の価値観(バリュー)に沿うものです。これは、単に正しい行いをするというだけではなく、当社の社会的信頼を守るとともに、患者さんの命を救い、人生を変えうるような医薬品を責任をもってお届けできるようにするものです。そのために、当社は、ステークホルダーからの期待に沿う環境保全活動と法規制への準拠を実現する厳格な環境マネジメントシステムおよび社内プログラムを整備するとともに、これらが有効に運用され、期待する結果を達成していることを確認するための内部監査手続を定めております。しかしながら、万が一、有害物質による予期せぬ汚染や法規制への不適合、不十分な環境保全活動が顕在化した場合には、社会的信頼を損なうとともに、行政措置の対象となり、保険の適用範囲外または補償金額を超える著しい支払義務を伴う改善措置の実施や法的責任を負うことにより、当社の事業活動に悪影響が生じる可能性があります。また、環境法規制の改正や社会の期待の変化により、より厳しい要請への対応が課せられ、当社の研究、開発、製造その他の事業活動に影響がおよぶ可能性や、気候関連の規制によって、カーボンプライシングや気候リスクの開示が義務化される可能性もあります。かかる要件の遵守や課題への対応が行われない場合には、法規制上の責任を負い、当社の社会的信頼に影響を及ぼすとともに、当社の業務遂行能力に悪影響が生じ、投資家に対する魅力が低下する可能性があります。

当社は、大気中の温室効果ガスによる気候変動を、人々の健康に大きな影響を及ぼす重要な環境課題であるとともに、当社の事業に財務的なリスクをもたらす可能性のある課題であると認識しております。2021年度に、当社は気候変動リスクの評価を完了しました。当該評価は当社の一定の直接的な事業活動のみを対象としており、当社は、2030年度までの時間軸と2050年度までの時間軸について、気候変動に対する全世界における対応状況によって異なる3つの気候変動シナリオ(すなわち、「未対応(No Action)」「対応中(Middle of the Road)」「大幅に低減(Aggressive Mitigation)」)を設定しました。この評価プロセスにより、当社に直接適用される気候変動リスク・カテゴリーを特定することができました。これには、地域社会への影響や、当社の血漿分画製剤事業におけるドナー提供の潜在的な減少に繋がる疾病の増加や感染症蔓延等の地理的な拡大、コスト増加に繋がるエネルギー/カーボンの価格付けと政策、気候変動に関する目標を達成できないことによる社会的信頼への悪影響、異常気象や類似の事象による当社の施設等に対する直接的な物理的リスク、当社の重要なサプライヤーを通じた間接的な気候変動リスクが含まれます。この初期評価は限定的ですが、当社は、識別された気候関連リスクに対応し、特定された機会を捉えることができると考えております。当社は、気候変動リスクを全社的リスク管理体制に組み込み、低炭素型事業への移行を積極的に進めております。当社は、2020年以降(2019年度の排出量について)カーボンニュートラルを達成しており、社内での省エネルギー施策、施設の電化、再生可能エネルギーの調達、再生可能エネルギー証書と高品質な第三者検証済のカーボンオフセットへの投資による温室効果ガス排出量の削減に継続的に取り組んでおります。今後は、2035年までに当社の事業活動に起因するすべての温室効果ガス排出量(スコープ1、2を含む)を、2040年までに当社のバリューチェーン全体(現在見積もっているスコープ3(注1)の温室効果ガス排出量を含む)における温室効果ガス排出量をネット・ゼロにする(注2)ことを目指していきます。

当社の重要なステークホルダーは当社に対して優れた環境保全活動を遂行することを期待していると認識しており、当社は自社の製品および関連する活動から生じる環境への影響を緩和するための方策を継続的に模索しております。そのために、当社は資源の保全に継続的に注力し、2030年までに、リサイクル素材または森林認証素材の使用の推進による、紙やファイバーボード包装による環境への影響の低減、特に水不足の地域における取水量の削減、廃棄物の埋め立て処分を廃止するとともに廃棄物を最小限に抑えるための目標を設定しております。また、製品が環境にもたらす影響の80%は設計段階に起因するものであるとの認識を踏まえ、設計段階における環境への影響を軽減するために社内においてエコデザインプログラムを確立しております。これらの取り組みにより成果を得られた場合には、当社に対する社会的評価の向上と、当社の事業の強化に繋がります。一方で、当社が掲げている高い目標に基づいた行動を実施できない場合や、ステークホルダーの期待に沿う結果が得られない場合には、当社に対する社会的信頼が損なわれ、その結果、従業員の採用・維持や顧客や投資家との関係の構築において問題が生じ、当社の業績および財務状況に影響が及ぶ可能性があります。

(注1) 実際のスコープ3の排出量は測定が困難であり不透明性が残ることからも、これらは取り組みを進めていく上で今後克服すべき重要な課題です。

(注2) 当社は、カーボンニュートラルと排出量ネットゼロを温室効果ガスプロトコルに基づき定義しています。

 

(14)人材の採用および定着に関するリスク

当社の長期的に持続可能な成長には、人材の獲得競争の激しい市場や地域において、事業を支える適切な人材の採用と定着が重要であると認識しております。当社は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行拡大によって変化した事業環境の中で、組織の有効性、文化、価値観を維持しながら、働き方の柔軟性をより高める施策を検討するとともに、継続的なキャリア開発機会の提供やエンゲージメントの推進を図り、従業員に対して魅力的な価値を提案することで、人材採用における競争力の強化と人材の定着を促進しております。しかしながら、計画通りに採用や定着が進まない場合は、人材の喪失や不足を通じて、当社の競争力が低下し、その結果、当社の業績および財務状況に影響が及ぶ可能性があります。

 

(15)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に関するリスク

当社は、COVID-19の拡大に関連して、さまざまな取り組みを行っていますが、COVID-19による影響が深刻化または長期化した場合には、原材料の調達や製品供給の滞り、臨床試験の遅延の拡大等、これらに限定されず、当社事業に更なる影響が及ぶ可能性、もしくは、当社に適用のある規制の遵守が困難になる可能性があります。追加接種に用いるものも含め、ワクチンが広く普及しつつありますが、世界の多くの地域では、新型コロナウイルスの変異株による影響を含めCOVID-19の広範囲な流行とその減速または収束に向けた対策がどの程度続くかは明らかではありません。

当社は、将来の事業等にかかるリスクを最小化するため、引き続き状況を注視し、必要な対策を講じてまいりますが、今後のCOVID-19の流行における状況次第では、当社の業績および財務状況に対して影響が及ぶ可能性があります。COVID-19の拡大による影響と当社の取り組みの当年度における主なアップデートについては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大による影響と当社の取り組み)」をご参照ください。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 ① 財政状態及び経営成績の状況

当年度の業績および財政状態は以下のとおりとなりました。

 

 

売上収益

3兆5,690億円

[前年度比

3,712億円

(

11.6%) 増

 

研究開発費

5,261億円

[   〃

703億円

(

15.4%) 増

 

営業利益

4,608億円

[   〃

484億円

(

9.5%) 減

 

税引前当期利益

3,026億円

[   〃

637億円

(

17.4%) 減

 

当期利益

2,302億円

[   〃

1,460億円

(

38.8%) 減

 

基本的1株当たり利益

147円14銭

[   〃

93円58銭

(

38.9%) 減

 

 

 

 

 

 

 

 

 

資産合計

13兆1,780億円

[前年度末比

2,657億円

(

2.1%) 増

 

負債合計

7兆4,945億円

[   〃

2,406億円

(

3.1%) 減

 

資本合計

5兆6,835億円

[   〃

5,063億円

(

9.8%) 増

 

 

なお、当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントのため、セグメントごとの経営成績の記載を

省略しております。

 

 ② キャッシュ・フローの状況

「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」をご参照下さい。

 

 ③ 生産、受注及び販売の状況

  (a) 生産実績

当年度における生産実績は次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

医薬品事業

1,663,185

5.6

合計

1,663,185

5.6

 

 

(注) 1 当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントであります。

   2 生産実績金額は、販売価格によっております。

 

 

  (b) 受注状況

当社グループは、主に販売計画に基づいて生産計画をたてて生産しており、一部の受注生産における受注高および受注残高の金額に重要性はありません。

 

  (c) 販売実績

当年度における販売実績は次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

医薬品事業

3,569,006

11.6

 (国内)

(  658,983 )

(  17.7 )

 (海外)

(     2,910,022 )

(  10.3 )

連結損益計算書計上額

(うちライセンス供与による収益・役務収益)

3,569,006

(     273,283 )

11.6

(   195.6 )

 

 

(注) 1 当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントであります。

2 販売実績は、外部顧客に対する売上収益を表示しております。

3 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

 

相手先

前年度

当年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

アメリソースバーゲン・コーポレーションおよびそのグループ会社

370,759

11.6

504,487

14.1

マッケソン・コーポレーションおよびそのグループ会社

345,292

10.8

406,709

11.4

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

① 当年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容

(a) 当年度の経営成績の分析

 (ⅰ) 当社グループの経営成績に影響を与える事項

事業の概況

当社は、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品企業です。当社は、幅広い医薬品のポートフォリオを有し、研究、開発、製造、およびグローバルでの販売を主要な事業としております。研究開発においては、オンコロジー、希少遺伝子疾患および血液疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、消化器系疾患の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤とワクチンにも注力しています。当社は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(治療手段)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。当社は、約80の国と地域で医薬品を販売しており、世界中に製造拠点を有するとともに、日本および米国に主要な研究拠点を有しています。

当社はこれまで、地理的拠点の拡大、オンコロジー、消化器系疾患ならびにニューロサイエンス領域を強化するとともに、希少疾患および血漿分画製剤での主導的地位を構築し、パイプラインの拡充にも取り組んできました。販売においては、米国、欧州および成長新興国におけるプレゼンスを飛躍的に向上させました。当社は現在、売上の成長性を有し、競争力のある収益性を維持し、そして潤沢なキャッシュ・フローを創出することができる状況にあり、研究開発および血漿分画製剤の長期的な成長に向けた投資、新製品の上市、2019年1月のShire社買収に伴って計上した負債の返済、および株主還元に資本を配分しております。

当社グループの事業は単一セグメントであり、資源配分、業績評価、および将来業績の予測においてマネジメントの財務情報に対する視点と整合しております。2022年3月期における売上収益および営業利益はそれぞれ3兆5,690億円および4,608億円であります。

 

 

当社グループの経営成績に影響を与える事項

当社グループの経営成績は、グローバルな業界トレンドや事業環境における以下の事項に影響を受けます。

買収

当社グループは、研究開発能力を拡大し(新たな手法に展開することを含みます。)、新しい製品(開発パイプラインや上市済み製品)やその他の戦略的領域を獲得するために、新たな事業を買収する可能性があります。同様に、当社グループの主な成長ドライバーに注力するため、また当社グループのポートフォリオを維持するために、事業や製品ラインを売却しております。

これらの買収は企業結合として会計処理され、取得した資産および引き受けた負債は公正価値で計上されております。当社グループの業績は、通常、棚卸資産、および有形固定資産の公正価値の増加や、無形資産の認識に伴う調整にかかる費用および償却費の計上を含む企業結合会計により影響を受けます。また、買収の対価が追加的な借入金で賄われている場合、支払利息の増加も当社グループの業績に影響を与えます。

買収の影響により、当社グループの業績は期間比較ができない可能性があります。

事業売却

買収に加え、当社グループは、主要な成長ドライバーに注力し、また長期借入金を速やかに返済するための追加キャッシュ・フローを創出するため、事業や製品ラインを売却しました。2021年3月期から2022年3月期および本報告書提出日時点における主要な事業売却は以下となります。

• 2020年11月、当社グループは、アジア・パシフィックの国々のみで販売する当社の非中核資産である一部の一般用医薬品および医療用医薬品を、マイルストンの支払を含め、総額2億7,800万米ドル(268億円)で、Celltrion Inc.に譲渡し、2021年3月期において158億円の譲渡益を計上しました。

• 2020年12月、当社グループは、主にヨーロッパおよびカナダで販売する当社の非中核資産である一部の医療用医薬品を、総額5億6,200万米ドル(594億円)でCheplapharmに譲渡し、2021年3月期において214億円の譲渡益を計上しました。

• 2021年1月、当社グループは、ラテンアメリカで販売する一部の医療用医薬品および一般用医薬品のポートフォリオを総額8億2,500万米ドル(825億円)でHypera S.A.に譲渡し、2021年3月期において353億円の譲渡益を計上しました。

• 2021年1月、当社グループは、TachoSil® Fibrin Sealant Patchを3億5,000万ユーロ(429億円)でCorza Health, Inc.に譲渡し、2021年3月期において23億円の譲渡益を計上しました。

• 2021年3月、当社グループは、一部の医療用医薬品および一般用医薬品のポートフォリオをOrifarm Groupに譲渡しました。クロージング時の現金による譲渡価格は5億500万米ドル(558億円)で、クロージング後4年以内に約7,000万米ドル(86億円(注1))を非条件付の現金で受け取ります。今後追加で最大9,500百万米ドル(116億円(注1))のマイルストンを受領する可能性があります。2021年3月期において147億円の利益を計上しました。

• 2021年3月、当社グループは、武田コンシューマーヘルスケア株式会社を2,420億円でThe Blackstone Group Inc.及びその関連会社が運用するファンドが支配するOscar A-Co株式会社に譲渡し、2021年3月期において1,395億円の譲渡益を計上しました。

• 2021年4月、当社グループは、日本における当社の非中核資産である一部の製品を、総額1,330億円で、帝人ファーマ株式会社に資産譲渡しました。2022年3月期において税引前当期利益に対する1,314億円の増益影響を計上しました。

• 2022年3月、当社グループは、中国で販売する当社の非中核資産である一部の医療用医薬品を、総額230百万米ドル(281億円(注1))でHasten Biopharmaceutic Co., Ltd. (China) に資産譲渡し、2022年3月期において56億円の譲渡益を計上しました。

(注1)  2022年3月31日期末為替レートである1米ドル122.2円を用いて日本円に換算しております。

 

特許保護と後発品との競争

医薬品は特に、特許保護や規制上の独占権によって市場競争が規制されることにより、当社グループの業績に貢献する場合があります。代替治療の利用が容易でない新製品は当社グループの売上の増加に貢献します。ただし、保護されている製品についても、効能、副作用や価格面で他社との競争が存在します。一方で、特許保護もしくは規制上の独占権の喪失や満了により、後発品が市場に参入するため、当社グループの業績に大きな悪影響を及ぼすことがあります。当社グループの主要製品の一部は、特許やその他の知的財産権保護の満了により、厳しい競争に晒されており、あるいは晒されると予想しております。例えば、米国において当社グループの最大の売上製品の一つであるベルケイドに含まれる有効成分のボルテゾミブの特許権が満了したことにより、ボルテゾミブを含む競合製品が販売されています。これにより、ベルケイドの売上は今後減少することが見込まれており、競合品がさらに市場に参入することにより売上がさらに大幅に減少する可能性があります。後発品を販売する他社が特許権の有効性に対する申し立てに成功する場合、もしくは想定される特許侵害訴訟に係る費用以上のベネフィットを前提として参入することを決定する場合があります。また、当社グループの特許権の有効性、あるいは製品保護に対する申し立てが提起された場合には、関連する無形資産の減損損失を認識する可能性があります。

 

原材料の調達による影響

重要な原材料を社内外から調達することができない場合に、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。例えば、ヒト血漿は当社グループの血漿分画製剤において重要な原材料であります。血漿をより多く収集するため、調達および外部との契約を強化し、原料血漿の収集や血漿分画に関連する施設への委託、および規制当局から承認を受けることに成功するための取り組みを行っております。

 

外国為替変動

2022年3月期において、当社グループでは日本以外の売上が81.5%を占めております。当社グループの収益および費用は、特に当社の表示通貨である日本円に対する米ドルおよびユーロの外国為替レートの変動に影響を受けます。円安は日本円以外の通貨による収益の増加要因となり当社グループの業績に好影響を及ぼしますが、日本円以外の通貨による費用の増加により相殺される可能性があります。反対に、円高は日本円以外の通貨による収益減少要因となり当社グループの業績に悪影響を及ぼしますが、日本円以外の通貨による費用の減少により相殺される可能性があります。以下は、2022年3月期の売上収益を2021年3月期における同一の為替レートで換算し、2021年3月期の売上収益と対比させたものです。

(単位:億円、%以外)

 

前年度

当年度

対前年度

売上収益

31,978

35,690

3,712

11.6%

為替レートによる影響

 

△1,691

 

 

前年度と同一の為替レートによる換算の売上収益

31,978

33,999

2,021

6.3%

 

 

前年度と同一の為替レートによる換算の売上収益は、IFRSに準拠して作成された指標ではありません(以下、「非IFRS指標」)。投資家におかれましては、当社グループの過去の財務諸表全体を確認し、IFRSに準拠して表示されている指標を当社グループの業績、価値、将来の見通しを評価する際の主要な指標として使用し、非IFRS指標を補足的な指標として使用することを強く推奨します。前年度と同一の為替レートによる換算の売上収益に対して最も直接的に比較可能な指標は、IFRSに準拠して作成された売上収益であります。上表には、前年度と同一の為替レートによる換算の売上収益から売上収益への調整が示されております。

当該指標が、当社グループの事業に対する為替レートの影響をよりよく理解し、為替レートの変動の影響を除外した場合に、当社の経営成績が対前年度でどのように変動したかを理解するために、投資家にとって有用であると考えられるため、当社グループは前年度と同一の為替レートによる換算の売上収益を表示しております。当該指標は、当社グループの経営者が、当社グループの経営成績を評価するにあたって使用する主要な方法であります。また、証券アナリスト、投資家、その他のステークホルダーが、当社グループが属する業界の同業他社の経営成績を評価する際、類似する業績指標を使用することが多いため、投資家にとっても有用な指標であると考えています。

前年度と同一の為替レートによる換算の売上収益は、ある会計年度において、当会計年度の売上収益を、対応する前会計年度の為替レートで換算した売上収益として定義されます。ただし、前年度と同一の為替レートによる換算の売上収益は、前会計年度においてIFRSに基づき表示された売上収益の算定に用いられた為替レートと同一の為替レートを用いて算定されていますが、当該会計年度中に締結された取引が同一の為替レートで締結された、または計上されたとは限らないという点で、この表示の有用性には重要な限界があります。当社グループの業界の同業他社が類似する名称の指標を使用している場合であっても、同業他社が当該指標を当社グループとは異なって定義し、異なる算定を行っている可能性があるため、指標が直接的に比較可能ではない場合があります。したがって、前年度と同一の為替レートによる換算の売上収益は単独で検討すべきではなく、またIFRSに準拠して作成、表示される収益の指標としてではなく、当該指標の代替的指標としてみなされるべきです。

為替変動リスクを低減するため、当社グループは重要な一部の外貨建取引について、主に先物為替予約、通貨スワップおよび通貨オプションを利用しヘッジを行っております。

 

季節的要因

当社グループの売上収益は、2021年3月期および2022年3月期において第4四半期に減少しています。これは、卸売業者は年末年始休暇に向けてあらゆる国・地域における在庫数を増やす傾向にあること、年間にわたって価格が上昇していること、暦年の年初の米国における保険の年間免責額の改定等によるものです。

 

 

 (ⅱ) 重要な会計方針

当社グループの連結財務諸表はIFRSに準拠して作成されております。当連結財務諸表の作成にあたり、経営者は資産および負債の金額、決算日現在の偶発資産および偶発負債の開示、ならびに報告期間における収益および費用の金額に影響を及ぼす見積りおよび仮定の設定を行うことが求められております。見積りおよび仮定は、継続的に見直されます。経営者は、過去の経験、ならびに見積りおよび仮定が設定された時点において合理的であると判断されたその他の様々な要因に基づき当該見積りおよび仮定を設定しております。実際の結果はこれらの見積りおよび仮定とは異なる場合があります。

経営者の見積りおよび仮定に影響を受ける重要な会計方針は以下の通りであります。なお、見積りおよび仮定の変更が連結財務諸表に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

収益認識

当社グループの収益は主に医薬品販売に関連したものであり、製品に対する支配が顧客に移転した時点で認識されております。収益の認識額は、当社グループが製品と交換に受け取ると見込まれる対価に基づいております。一般的には、出荷時または顧客による受領時点もしくはサービスが履行された時点で収益は認識されます。収益の認識額は、当社グループが財またはサービスと交換に受け取ると見込んでいる対価に基づいております。契約に複数の履行義務が含まれる場合、対価は独立販売価格の比率で各履行義務に配分しております。当社グループが財またはサービスと交換に受け取る対価は固定金額または変動金額の場合があります。変動対価は重要な戻入れが生じない可能性が非常に高い場合のみ認識しております。

売上高からは、主に小売業者、政府機関、卸売業者、医療保険会社およびマネージドヘルスケア団体に対する割戻や値引等の様々な項目が控除されております。これらの控除額は関連する義務に対し見積られますが、報告期間における当該収益に係る控除額の見積りには判断が伴います。総売上高からこれらの控除額を調整して、純売上高が算定されます。当社グループは、これらの控除額に係る義務を少なくとも四半期毎に確認しており、割戻の変動、リベート・プログラムおよび契約条件、法律の改定、その他重大な事象により関連する義務の見直しが適切であることが示されている場合には、調整を行っております。なお、これまで売上割戻に関する引当金に対する調整が、純損益に重要な影響を与えたことはありません。米国市場における収益控除に関する取り決めが最も複雑なものになっております。

収益に係る調整のうち最も重要なものは以下のとおりであります。

• 米国メディケイド: 米国のメディケイド・ドラッグ・リベート・プログラムは、連邦政府および州が共同で拠出した資金により医療費を賄えない特定の条件を満たす個人および家族に対して医療費を負担する制度であり、各州が運営を行っております。当プログラムに係る割戻の支払額の算定には、関連規定の解釈が必要となりますが、これは異議申し立てによる影響または政府機関の解釈指針の変更による影響を受ける可能性があります。メディケイドの割戻に係る引当金は、割戻の対象として特定された製品、過去の経験、患者さんからの要請、製品価格ならびに各州の制度における契約内容および関連条項を考慮して算定しております。メディケイドの割戻に係る引当金は関連する売上収益と同じ期間に計上されますが、メディケイドに係る割戻はその期間に全額が支払われません。当社グループの売上控除額計上時点から最終的なメディケイドに係る割戻の会計処理までには通常数カ月の差が生じます。当社グループの売上控除額の算定に用いる製品固有の条件は、当社グループの売上取引が米国のメディケイド・プログラムの対象となるかに関連しています。

米国メディケア: 米国のメディケア・プログラムは65歳以上の高齢者もしくは特定の障害者向けの公的医療保険制度であり、当プログラムのパートDにおいて処方薬に係る保険が規定されております。パートDの制度は民間の処方薬剤費保険により運営、提供されております。メディケア・パートDに係る割戻は各処方薬剤費保険の制度内容、患者さんからの要請、製品価格ならびに契約内容を考慮して算定しております。メディケア・パートDの割戻に係る引当金は関連する売上収益と同じ期間に計上されますが、メディケア・パートDに係る割戻はその期間に全額が支払われません。当社グループの売上控除額計上時点から最終的なメディケア・パートに係る割戻の会計処理までには通常数カ月の差が生じます。当社グループの売上控除額の算定に用いる製品固有の条件は、当社グループの売上取引が米国のメディケア・プログラムの対象となるかに関連しています。

• 顧客に対する割戻: 当社グループは、マーケットシェアの維持と拡大、また、患者さんの当社グループ製品へのアクセスを確実にするために、購入機関、保険会社、マネージドヘルスケア団体およびその他の直接顧客ならびに間接顧客に対して米国コマーシャル・マネージドケアを含む割戻を実施しております。割戻は契約上取決めがなされているため、係る引当金は各取決めの内容、過去の経験および患者さんからの要請を基に算定しております。米国コマーシャル・マネージドケアの割戻に係る引当金は関連する売上収益と同じ期間に計上されますが、米国コマーシャル・マネージドケアに係る割戻はその期間に全額が支払われません。当社グループの売上控除額計上時点から最終的な米国コマーシャル・マネージドケアに係る割戻の会計処理までには通常数カ月の差が生じます。当社グループの売上控除額の算定に用いる製品固有の条件は、当社グループの売上取引が米国コマーシャル・マネージドケアの対象となるかに関連しています。

• 卸売業者に対するチャージバック: 当社グループは特定の間接顧客と、顧客が卸売業者から割引価格で製品を購入可能とする取決めを結んでおります。チャージバックは卸売業者に対する当社グループの請求額および間接顧客に対する契約上の割引価格の差額であります。チャージバックの見積額は各取決めの内容、過去の経験および製品の需要を基に算定しております。当社グループは、売上債権とチャージバックを相殺する法的に強制可能な権利を有し、かつ純額で決済するか、または資産の実現と負債の決済を同時に行う意図を有しております。そのため、チャージバックの見積額は連結財政状態計算書において売上債権から控除しております。

• 返品調整に係る引当金: 返品権付き製品を顧客に販売する際は、当社グループの返品ポリシーや過去の返品率に基づいた返品見込み額を引当金として計上しております。返品見込み率を見積る際は、過去の返品実績、予想される流通チャネル内の在庫量および製品の保管寿命を含む関連要因を考慮しております。

引当額は見積りに基づくため、実際の発生額を完全に反映していない場合があり、特にどの売上取引が最終的にこれらの制度の対象とされるかどうかの判断において使用されるそれぞれの製品固有の条件により変動する可能性があります。

当社グループは、一般的に製品が顧客に引き渡された時点から90日以内に顧客から支払を受けます。当社グループは主としてそれらの取引を本人として履行しますが、他の当事者に代わって販売を行うことがあります。その場合は、代理人として受け取ることが見込まれる販売手数料の金額が収益として認識されます。

当社グループは、知的財産の導出および売却にかかるロイヤルティ、契約一時金およびマイルストンにかかる収益を計上しております。知的財産にかかるロイヤルティ収益は、基礎となる売上が発生した時点で認識しております。契約一時金にかかる収益は、一般的にはライセンスの使用権を付与した時点で認識されます。マイルストンにかかる収益は、一般的にはマイルストンの支払条件が達成される可能性が非常に高く、認識した収益の額の重大な戻入が生じない可能性が非常に高くなった時点で認識しております。導出した候補物質の研究開発等のその他のサービスにかかる収益については、サービスの提供期間に応じて認識しております。

当社グループは、一般的に知的財産の導出契約の締結または顧客によるマイルストンの支払条件の達成の確認から60日以内に顧客から支払を受けます。当社グループはグループの知的財産を導出しているため、本人として契約を履行しております。また、当社グループはその他のサービスも本人または代理人として提供しております。

 

のれんおよび無形資産の減損

当社グループは、のれんおよび無形資産について、資産の帳簿価額が回収不能であるかもしれないことを示す事象または状況の変化がある場合には、減損テストを行っております。のれんおよび償却開始前の無形資産については、年次および減損の兆候を捕捉した時点で減損テストを実施しております。2022年3月31日時点において、当社グループはのれんおよび無形資産をそれぞれ4兆4,077億円および3兆8,185億円計上しており、これは総資産の62.4%を占めております。

上市後製品に係る無形資産は特許が存続する見込期間または見込まれる経済的便益に応じた他の指標に基づき、3年から20年の耐用年数を用いて定額法で償却しております。開発中の製品に係る無形資産は、特定の市場における商用化が規制当局により承認されるまで償却をしておりません。商用化が承認された時点で、当該資産の見積耐用年数を確定し、償却を開始しております。

のれんおよび無形資産は、通常、連結財政状態計算書上の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には減損していると判断されます。無形資産にかかる回収可能価額は個別資産、またはその資産が他の資産と共同で資金を生成する場合はより大きな資金生成単位ごとに見積られます。資金生成単位は独立したキャッシュ・インフローを形成する最小の識別可能な資産グループであります。のれんの減損テストは単一の事業セグメント単位(単一の資金生成単位)で実施しており、これはのれんを内部管理目的で監視している単位を表しています。回収可能価額の見積りには以下を含む複数の仮定の設定が必要となります。

·将来キャッシュ・フローの金額および時期

·競合他社の動向(競合製品の販売開始、マーケティングイニシアチブ等)

·規制当局からの承認の取得可能性

·将来の税率

·永続成長率

·割引率

将来キャッシュ・フローの金額および時期を見積るための重要な仮定には、研究開発プロジェクトの成功見込みおよび製品に係る売上予測があります。特にのれんにかかる回収可能価額の見積りにおいては、特定の製品に係る売上予測が重要な仮定となります。これらの仮定に影響を与える事象としては、開発の中止、大幅な上市の遅延、規制当局の承認が得られないことによる研究開発プロジェクトの失敗、もしくは一般的には新たな競合製品の販売開始や供給不足による、一部の上市後製品にかかる売上予測の低下があげられます。これらの事象が発生した場合、プロジェクト獲得以降に実施した当初もしくは事後の研究開発投資額が回収できない、もしくは見積った将来キャッシュ・フローが回収できない可能性があります。

これらの仮定に変更が生じた場合は、当該連結会計年度において減損損失および減損損失の戻入れを認識しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 11 のれんおよび12 無形資産」をご参照ください。

 

訴訟に係る偶発事象

当社グループは、通常の営業活動において主に製造物責任訴訟および賠償責任訴訟に関与しております。詳細については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 32 コミットメントおよび偶発負債」をご参照ください。

偶発負債は、その特性から不確実なものであり複雑な判断や可能性に基づいております。訴訟およびその他の偶発事象に係る引当金を算定する際には、該当する訴訟の根拠や管轄、その他の類似した現在および過去の訴訟案件の顛末および発生数、製品の性質、訴訟に関する科学的な事項の評価、和解の可能性ならびに現時点における和解にむけた進行状況等を勘案しております。さらに、未だ提訴されていない製造物責任訴訟については、主に過去の訴訟の経験や製品の使用に係るデータに基づき、費用を合理的に見積ることができる範囲で引当金を計上しております。当社グループが関与する重要な訴訟のうち、それらの最終的な結果により財務上の影響が見込まれる場合であっても、その額について信頼性のある見積りが不可能な訴訟等については、引当金の計上は行っておりません。また、保険の補償範囲期間内である場合は保険による補償についても考慮しております。補償範囲の検討の際に、当社グループは、保険契約の制限や除外、保険会社による補償の拒否の可能性、保険業者の財政状態、ならびに回収可能性および回収期間を考慮しております。引当金および関連する保険補償額の見積りは、連結財政状態計算書上において負債および資産として総額で計上しております。2022年3月31日現在において、係争中の訴訟案件およびその他の案件について429億円の引当金を計上しております。

 

法人所得税

当社グループは、税法および税規制の解釈指針に基づき税務申告を行っており、これらの判断および解釈に基づいた見積額を計上しております。通常の営業活動において、当社グループの税務申告は様々な税務当局による税務調査の対象であり、これらの調査の結果、追加税額、利息、または罰金の支払いが課される場合があります。法律および様々な管轄地域の租税裁判所の判決に伴う法改正により、不確実な税務ポジションに関する負債の見積りの多くは固有の不確実性を伴います。税務当局が当社グループの税務ポジションを認める可能性が高くないと結論を下した場合に、当社グループは、税務上の不確実性を解消するために必要となる費用の最善の見積り額を認識します。また、未認識の税務上の便益は事実および状況の変化に伴い調整されます。これらの税務ポジションは、例えば、現行の税法の大幅改正、税務当局による税制または解釈指針の発行、税務調査の際に入手した新たな情報、または税務調査の解決により調整が行われる可能性があります。当社グループは、不確実な税務ポジションに係る当社グループの見積りは、現時点において判明している事実および状況に基づき適切かつ十分であると判断しております。

また、各報告期間の末日において繰延税金資産の回収可能性を評価しております。繰延税金資産の回収可能性の評価においては、予想される将来加算一時差異の解消スケジュール、予想される将来課税所得およびタックスプランニングを考慮しております。収益力に基づく将来課税所得は、主に当社グループの事業計画を基礎として見積られており、当該事業計画に含まれる売上高の予測を決定する際の判断に変更があった場合、認識される繰延税金資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。過去の課税所得の水準および繰延税金資産が認識できる期間における将来の課税所得の見積りに基づき、実現する可能性が高いと予想される税務上の便益の額を算定しております。2022年3月31日現在における繰延税金資産を認識していない未使用の繰越欠損金、将来減算一時差異、および未使用の繰越税額控除はそれぞれ1兆7,298億円、2,409億円、および100億円であります。将来における見積りおよび仮定の変更は法人所得税費用に重要な影響を与える可能性があります。

 

事業構造再編費用

当社グループでは、費用削減に関連した取り組みおよび買収に係る事業統合に関連して事業構造再編費用が発生します。退職金が事業構造再編費用の主な内訳であり、事業構造再編に係る引当金については、事業構造再編に係る詳細な公式計画を作成した時点で計上しております。事業構造再編に係る引当金の認識には、支払時期や、事業再編により影響を受ける従業員数等の見積りが必要となります。最終的なコストは当初の見積りから異なる可能性があります。

当社グループは、将来において買収および売却に関連した事業統合に係る追加の事業構造再編費用を計上すると見込んでおります。2022年3月31日現在において、当社グループは、事業構造再編に係る引当金を134億円計上しております。詳細および事業構造再編に係る引当金の推移は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 23 引当金」をご参照ください。

 

  (ⅲ) 当年度における業績の概要

 当年度の連結業績は、以下のとおりとなりました。

(単位:億円、%以外)

 

前年度

当年度

対前年度

売上収益

31,978

35,690

3,712

11.6%

売上原価

△9,943

△11,068

△1,125

11.3%

販売費及び一般管理費

△8,757

△8,864

△107

1.2%

研究開発費

△4,558

△5,261

△703

15.4%

製品に係る無形資産償却費及び減損損失

△4,219

△4,729

△511

12.1%

その他の営業収益

3,180

431

△2,749

△86.4%

その他の営業費用

△2,589

△1,591

998

△38.6%

営業利益

5,093

4,608

△484

△9.5%

金融収益及び費用(純額)

△1,431

△1,429

2

△0.1%

持分法による投資損益

1

△154

△154

税引前当期利益

3,662

3,026

△637

△17.4%

法人所得税費用

99

△724

△823

当期利益

3,762

2,302

△1,460

△38.8%

 

 

〔売上収益〕

売上収益は、前年度から3,712億円増収+11.6%)の3兆5,690億円となりました。前年度の実勢為替レートを当年度に適用することにより算出した為替影響を除くと、売上収益は6.3%の増収となります。2021年4月、当社は、日本における糖尿病治療剤ポートフォリオの1,330億円での帝人ファーマ株式会社への譲渡を完了し、これを売上収益に計上しました。当該譲渡価額は、売上収益の増加のうち、4.2パーセントポイントを占めます。なお、当該譲渡価額を除くと、当年度の売上収益は7.4%の増収となります。

 

当社ビジネスにおける主要な疾患領域(消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤(免疫疾患)、オンコロジー、およびニューロサイエンス(神経精神疾患))の売上収益は、前年度から3,211億円増収(+12.2%)の2兆9,449億円となりました。主要な疾患領域はそれぞれ全社の売上収益の増収に貢献しました。しかしながら、希少疾患領域では、特に希少血液疾患領域の一部の製品が競争の激化による影響を受け、円安によるプラス影響を除くと減収となりました。当年度の売上収益は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のグローバルな流行拡大による大きな影響はありませんでしたが、下期においてはオミクロン株による感染拡大により、幾つかの製品において出荷の遅れや患者さんの診断数の減少といった若干の影響がみられました。

 

当社の主要な疾患領域以外の売上収益は、日本における糖尿病治療剤ポートフォリオの譲渡価額1,330億円の計上および日本におけるModerna社のCOVID-19ワクチン「スパイクバックス筋注」の供給による収益を含むその他の増収が前年度の事業等の売却による当年度の減収影響を吸収し、501億円増収(+8.7%)の6,241億円となりました。

 

 

地域別売上収益

各地域の売上収益は以下のとおりです。

(単位:億円、%以外)

売上収益:

前年度

当年度

 

日本(注1)

5,597

17.5%

6,590

18.5%

 

米国

15,679

49.0%

17,144

48.0%

 

欧州およびカナダ

6,662

20.8%

7,392

20.7%

 

アジア(日本を除く)

1,562

4.9%

1,970

5.5%

 

中南米

1,216

3.8%

1,285

3.6%

 

ロシア/CIS

576

1.8%

621

1.7%

 

その他(注2)

685

2.1%

689

1.9%

 

合計

31,978

100.0%

35,690

100.0%

 

(注1) 当年度は、日本における糖尿病治療剤ポートフォリオの譲渡価額1,330億円を含みます。

(注2) その他の地域は中東、オセアニアおよびアフリカを含みます。

 

当社グループの売上収益の大部分は、主要な医療用医薬品により占められております。当年度の各領域における主要製品の売上は以下のとおりです。

 

(単位:億円、%以外)

 

前年度

当年度

対前年度

消化器系疾患:

 

 

 

 

エンティビオ(注1)

4,293

5,218

925

21.5%

タケキャブ(注2)

848

1,024

176

20.7%

レベスティブ

646

758

112

17.3%

DEXILANT

556

508

△48

△8.7%

PANTOLOC/CONTROLOC(注3)

431

403

△28

△6.6%

アロフィセル

8

18

11

135.1%

その他

997

829

△168

△16.8%

消化器系疾患 合計

7,778

8,757

979

12.6%

希少疾患:

 

 

 

 

希少代謝性疾患:

 

 

 

 

エラプレース

688

731

43

6.3%

リプレガル

518

517

△0

△0.1%

ビプリブ

385

424

39

10.1%

NATPARA/NATPAR

36

54

18

50.7%

希少代謝性疾患 合計

1,626

1,726

100

6.1%

希少血液疾患:

 

 

 

 

アドベイト

1,285

1,185

△100

△7.8%

アディノベイト

581

607

27

4.6%

ファイバ

445

392

△53

△12.0%

RECOMBINATE

134

123

△11

△8.2%

その他

453

530

77

17.0%

希少血液疾患 合計

2,898

2,837

△61

△2.1%

遺伝性血管性浮腫:

 

 

 

 

タクザイロ

867

1,032

165

19.1%

フィラジル

268

267

△1

△0.5%

その他

258

237

△21

△8.3%

遺伝性血管性浮腫 合計

1,393

1,536

143

10.2%

その他

13

13

希少疾患合計

5,917

6,112

195

3.3%

血漿分画製剤(免疫疾患):

 

 

 

 

免疫グロブリン製剤

3,349

3,859

510

15.2%

アルブミン製剤

576

900

325

56.4%

その他

279

311

31

11.2%

血漿分画製剤(免疫疾患) 合計

4,204

5,070

866

20.6%

 

 

 

(単位:億円、%以外)

 

前年度

当年度

対前年度

オンコロジー:

 

 

 

 

ベルケイド

1,011

1,100

89

8.8%

リュープリン

954

1,065

111

11.6%

ニンラーロ

874

912

38

4.4%

アドセトリス

594

692

98

16.4%

アイクルシグ

342

349

7

1.9%

アルンブリグ

88

136

48

54.9%

その他

302

433

131

43.4%

オンコロジー 合計

4,165

4,687

522

12.5%

ニューロサイエンス(神経精神疾患):

 

 

 

 

バイバンス(注4)

2,715

3,271

555

20.4%

トリンテリックス

689

823

134

19.5%

その他

769

729

△40

△5.2%

ニューロサイエンス 合計

4,173

4,823

650

15.6%

その他:

 

 

 

 

アジルバ(注2)

822

763

△59

△7.2%

ロトリガ

318

327

9

2.9%

その他(注5)

4,601

5,152

551

12.0%

その他 合計

5,741

6,242

501

8.7%

総合計

31,978

35,690

3,712

11.6%

 

(注1)国内製品名:エンタイビオ

(注2)配合剤、パック製剤を含む。

(注3)一般名:pantoprazole

(注4)国内製品名:ビバンセ

(注5)前年度においては、2021年3月31日に売却した武田コンシューマーヘルスケア株式会社の売上高を含む。

当年度においては、2021年4月1日に売却した日本における糖尿病治療薬4剤(ネシーナ錠、リオベル配合錠、イニシンク配合錠、ザファテック錠)の帝人ファーマ株式会社への譲渡価額1,330億円を含む。

 

各疾患領域における売上収益の前年度からの増減は、主に以下の製品によるものです。

 - 消化器系疾患

消化器系疾患領域の売上収益は、前年度から979億円増収(+12.6%)の8,757億円となりました。当社のトップ製品である潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「エンティビオ」(国内製品名:「エンタイビオ」)の売上が伸長し、前年度から925億円増収(+21.5%)の5,218億円となり、売上成長を牽引しました。本剤の米国における売上は、炎症性腸疾患の潰瘍性大腸炎とクローン病に対する生物学的製剤の新規投与患者が増加したことにより、前年度から552億円増収(+18.8%)の3,495億円となりました。欧州およびカナダにおける売上は、前年度から270億円増収(+24.8%)の1,360億円となりました。成長新興国においては、主にブラジルおよび中国における売上が伸長し、前年度から78億円増収(+45.7%)の250億円となりました。酸関連疾患治療剤「タケキャブ」も、逆流性食道炎や低用量アスピリン投与時における胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発抑制等の効能を中心として、主に日本において新規処方が拡大し、売上は176億円増収(+20.7%)の1,024億円となりました。短腸症候群治療剤「レベスティブ」の売上は、主に市場浸透が進んだこと、および日本を含む新たな国での上市により、112億円増収(+17.3%)の758億円となりました。「その他」に含まれる慢性便秘症治療剤「AMITIZA」は、2021年1月に米国において参入した後発品の影響により、売上は148億円減収(△69.6%)の65億円となりました。

 

- 希少疾患

希少疾患領域の売上収益は、前年度から195億円増収(+3.3%)の6,112億円となりました。

希少代謝性疾患領域の売上収益は、100億円増収(+6.1%)の1,726億円となりました。酵素補充療法のハンター症候群治療剤「ラプレース」は主に欧州および成長新興国において、ゴーシェ病治療剤「ビプリブ」は主に米国、欧州および成長新興国において、それぞれ増収となりました。

希少血液疾患領域の売上収益は、61億円減収(△2.1%)の2,837億円となりました。「アドベイト」は100億円減収(△7.8%)の1,185億円となりました。「アディノベイト」は27億円増収(+4.6%)の607億円となりました。いずれも、米国の血友病Aのインヒビター非保有市場における競争の激化による影響を受けました。また、「ファイバ」の売上は、主に、成長新興国における政府による入札のタイミングが前年度と比較して後ろ倒しになった影響により、53億円減収(△12.0%)の392億円となりました。

遺伝性血管性浮腫領域の売上収益は、143億円増収(+10.2%)の1,536億円となりました。「タクザイロ」は、主に予防薬市場の拡大、販売エリアの拡大、および処方の増加により、165億円増収(+19.1%)の1,032億円となりました。「その他」に含まれる「CINRYZE」は、主に「タクザイロ」への処方切り替えと他社の競合する新薬へのシフトにより、26億円減収(△11.8%)の193億円となりました。

 

- 血漿分画製剤(免疫疾患)

血漿分画製剤(免疫疾患)領域の売上収益は、前年度から866億円増収(+20.6%)の5,070億円となりました。免疫グロブリン製剤の売上合計は、510億円増収(+15.2%)の3,859億円となりました。特に、原発性免疫不全症(PID)と多巣性運動ニューロパチー(MMN)の治療に用いられる静注製剤「GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG」の売上は、グローバルに需要が堅調に推移し供給量が増加したことから、前年度から増収となりました。また、皮下注製剤である「CUVITRU」と「HYQVIA」は2桁台の増収率となりました。主に血液量減少症と低アルブミン血症の治療に用いられる「HUMAN ALBUMIN」と「FLEXBUMIN」を含むアルブミン製剤の売上合計は、前年度の下期に影響を与えた「HUMAN ALBUMIN」の中国における出荷中断が解消されて売上が伸長したことと、「FLEXBUMIN」の中国および米国における需要が増加したことにより、前年度から325億円増収(+56.4%)の900億円となりました。

 

- オンコロジー

オンコロジー領域の売上収益は、前年度から522億円増収(+12.5%)の4,687億円となりました。多発性骨髄腫治療剤「ベルケイド」の売上は、前年度から89億円増収(+8.8%)の1,100億円となりました。米国内の売上は、COVID-19の流行拡大初期に処方者が点滴や注射よりも経口投与の薬剤を選好したことで前年度第1四半期は売上が低下しましたが、当年度は需要の回復があったことから前年度から104億円の増収(+10.8%)となりました。また、本剤は新規患者さんの初期治療に使用される薬剤の一つとして、米国における成長に貢献しました。米国外の売上にかかるロイヤルティ収益は、後発品の浸透が継続したことにより減収となりました。子宮内膜症・子宮筋腫・閉経前乳がん・前立腺がん等の治療に用いられる特許満了製品の「リュープリン」(一般名:「リュープロレリン」)は、主に米国に向けた供給売上の増加があったものの日本における後発品の浸透および競合品による減収影響によって一部相殺され、前年度から111億円増収(+11.6%)の1,065億円となりました。多発性骨髄腫治療剤「ニンラーロ」の売上は、前年度から38億円増収(+4.4%)の912億円となりました。米国においては、COVID-19拡大下において経口剤である本剤が選好され、前年度の初期に一時的に需要が増加したものの当年度はその影響がなかったこと、および当年度第4四半期には需要の減速が見られたことから減収となりましたが、他の国々、特に中国と日本においては引き続き好調に推移し増収となりました。また、悪性リンパ腫治療剤「アドセトリス」の売上は、2020年5月に承認された中国を中心に成長新興国において伸長し、前年度から98億円増収(+16.4%)の692億円となりました。非小細胞肺がん治療剤「アルンブリグ」の売上は、全世界における上市および市場浸透により、前年度から48億円増収(+54.9%)の136億円となりました。

 

- ニューロサイエンス(神経精神疾患)

ニューロサイエンス(神経精神疾患)領域の売上収益は、前年度から650億円増収(+15.6%)の4,823億円となりました。注意欠陥/多動性障害(ADHD)治療剤「バイバンス」(国内製品名:「ビバンセ」)の売上は、前年度から555億円増収(+20.4%)の3,271億円となりました。同剤は、COVID-19パンデミックの期間を通じて、特に外出制限期間中の外来患者数および診断数の減少と、服薬の一時的な中断による減収影響を受けました。この傾向は2020年から変動してきましたが、当年度においては処方の増加によるプラス影響がありました。大うつ病(MDD)治療剤「トリンテリックス」の売上は、米国および日本における処方の増加により、前年度から134億円増収(+19.5%)の823億円になりました。これらの製品の増収は、主に日本において後発品参入による競争の継続的な影響を受けた「その他」に含まれるアルツハイマー病治療剤「レミニール」等の他のニューロサイエンス(神経精神疾患)領域の製品の減収によって一部相殺されました。

 

〔売上原価〕

売上原価は、主に前年度と比較し当年度において円安の影響を受けたこと、および原価率の高い品目の売上が増加したことにより前年度から1,125億円増加+11.3%)の1兆1,068億円となりました。この増加は、Shire社買収に伴い計上された棚卸資産の公正価値調整等にかかる非資金性の費用が465億円減少したこと、および前年度に売却した製品にかかる売上原価の減少により一部相殺されております。

 

〔販売費及び一般管理費〕

販売費及び一般管理費は、前年度から107億円増加+1.2%)の8,864億円となりました。この増加は主に、当年度における円安の為替影響に伴うものです。

 

〔研究開発費〕

研究開発費は、主に新規候補物質へのさらなる投資、および当年度における円安の為替影響により、前年度から703億円増加+15.4%)の5,261億円となりました。

 

〔製品に係る無形資産償却費及び減損損失〕

製品に係る無形資産償却費及び減損損失は、開発中止を決定したTAK-721を含む一部の開発中の製品に係る減損損失、およびNATPARAに関連する無形資産の回収可能価額の再評価に伴う減損損失を当年度に計上したことにより、前年度から511億円増加+12.1%)の4,729億円となりました。

 

〔その他の営業収益〕

その他の営業収益は、前年度から2,749億円減少△86.4%)の431億円となりました。この減少は主に、武田コンシューマーヘルスケア株式会社株式および関連資産の売却に伴う1,395億円、およびその他の非中核資産の譲渡に伴う894億円の合計2,289億円の譲渡益を前年度に計上したこと、また、前年度においてSHP647および関連する権利の売却に関する当社グループの義務を解除する2020年5月の欧州委員会の決定に伴い、当社グループがSHP647に関する臨床試験プログラムを中止する意思決定を行ったことを反映し、これまで計上していた当該プログラムに関連する負債の再見積りを行った結果、602億円の再評価益を計上したことによるものです。

 

〔その他の営業費用〕

その他の営業費用は、前年度から998億円減少△38.6%)の1,591億円となりました。この減少は主に、前年度において当社グループが譲渡したXIIDRAにかかる条件付対価契約に関する金融資産の公正価値の変動により729億円の損失を計上したこと、および主にShire社との統合費用の減少に伴い、事業構造再編費用が前年度から320億円減少したことによるものです。

 

〔営業利益〕

営業利益は、上記の要因を反映し、前年度から484億円減益△9.5%)の4,608億円となりました。

 

〔金融損益〕

金融収益と金融費用をあわせた金融損益は1,429億円の損失となり、前年度から損失が2億円(△0.1%)減少しました。当社が株式を保有する企業のワラントにかかるデリバティブの再測定によるマイナス影響がありましたが、持分法適用会社であったMarverick Therapeutics社を2021年4月に買収したことに伴う投資の再測定に係る利益を当年度に計上したこと、および主に社債及び借入金の残高減少に伴う利息費用(純額)の減少等により相殺しております。

 

〔持分法による投資損益〕

当年度の持分法による投資損益は、主に武田ベンチャー投資Inc.が保有する株式にかかる投資の損失を計上したことにより前年度の持分法による投資利益1億円に対して154億円の損失となりました。このマイナス影響は、武田テバファーマ株式会社で認識された減損損失の当社グループ持分相当額の減少により一部相殺されております。

 

〔法人所得税費用〕

法人所得税費用は、前年度△99億円に対して、当年度は724億円となりました。これは主に、グループ内の組織再編により認識された税務上の便益の減少、および2014年にShire社がAbbVie社からの買収申し出の取下げに関連して受領した違約金に対するアイルランドでの課税を巡る税務評価から生じた税金および利息の合計と関連する税務便益5億円との純額654億円によるものです。また、未認識であった繰延税金資産の計上による税務便益が減少しております。これらは、前年度における事業等の売却に伴う税金費用、海外子会社における未分配利益にかかる繰延税金負債の減少影響、および税引前当期利益の減少による影響と一部相殺されております。

 

〔当期利益〕

当期利益は、上記の要因を反映し、前年度から1,460億円減益△38.8%)の2,302億円となりました。

 

 (ⅳ) 当年度における実質的な成長の概要 

Coreと実質的な成長の定義

当社は、事業の計画策定および業績評価において、「実質的な成長」(Underlying Growth)の概念を採用しております。

 

「実質的な成長」は、当年度と前年度(四半期もしくは年間)の業績を共通の基準で比較するものであり、マネジメントによる業績評価に使用されています。これら共通の基準で比較される業績は、年間計画レートを用いた為替レートを一定として、事業等の売却影響およびその他の非定常的もしくは特別な事象に基づく影響、本業に起因しない(非中核)事象による影響を控除し算定されます。当社は、この「実質的な成長」が、事業活動のパフォーマンスを表す共通の基準を提供するため、投資家に有用であると考えています。なお、本指標は、国際会計基準(IFRS)に準拠したものではありません。

 

当社は、「Underlying Revenue Growth」(実質的な売上収益の成長)、「Underlying Core Operating Profit Growth」(実質的なCore営業利益の成長)および「Underlying Core EPS Growth」(実質的なCore EPSの成長)を重要な財務指標としています。

 

実質的な売上収益は、為替レートを一定として、財務ベースの売上収益に、報告期間における非定常的な事象に基づく影響および事業等の売却影響を調整して計算します。

 

実質的なCore営業利益は、為替レートを一定として、Core営業利益(以下に定義)に、報告期間における事業等の売却影響を調整して計算します。

 

実質的なCore EPSは、為替レートを一定として、純利益から、事業等の売却影響、およびCore EPS(以下に定義)の算出において控除された項目を調整した後、比較年度末の自己株式控除後の発行済株式総数で除して算定します。

 

Core売上収益は、売上収益から、重要性のある本業に起因しない(非中核)事象による影響を控除して算出します。

 

Core営業利益は、純利益から、法人所得税費用、持分法による投資損益、金融損益、その他の営業収益およびその他の営業費用、製品に係る無形資産償却費及び減損損失を控除して算出します。その他、非定常的な事象に基づく影響企業買収に係る会計処理の影響や買収関連費用など、本業に起因しない(非中核)事象による影響を調整します。

 

Core EPSは、純利益から、Core営業利益の算出において控除された項目と営業利益以下の各科目のうち、重要性のある、非定常的もしくは特別な事象に基づく影響、本業に起因しない(非中核)事象による影響を調整します。これらには、条件付対価に係る公正価値変動(時間的価値の変動を含む)影響などが含まれます。さらに、これらの調整項目に係る税金影響を控除した後、報告期間の自己株式控除後の平均発行済株式総数で除して算定します。

 

 

当年度の実質的な成長は、以下のとおりとなりました。

 

当年度

実質的な売上収益の成長

+7.4%

実質的なCore営業利益の成長

+5.4%

実質的なCore営業利益率

28.0%

実質的なCore EPSの成長

+9.4%

 

 

〔実質的な売上収益の成長〕

実質的な売上収益の成長は、多様なグローバル製品の伸長と新製品の上市が牽引し、前年度から+7.4%となりました。タケダの14のグローバル製品(注)の実質的な売上収益は、実質的な売上収益全体の約42%を占め、前年度から+12.0%成長しました。

(注)タケダの14のグローバル製品
消化器系疾患:エンティビオ、レベスティブ、アロフィセル
希少疾患:NATPARA/NATPAR、アディノベイト、タクザイロ、エラプレース、ビプリブ
血漿分画製剤(免疫疾患):GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、HYQVIA、CUVITRU、HUMAN ALBUMIN/FLEXBUMIN
オンコロジー:ニンラーロ、アルンブリグ

 

疾患領域別の実質的な売上収益の成長(注)

当年度

消化器系疾患

+6.8%

希少疾患

△1.4%

希少代謝性疾患

+2.4%

希少血液疾患

△6.7%

遺伝性血管性浮腫

+4.3%

血漿由来の免疫疾患治療

+13.6%

オンコロジー

+7.6%

ニューロサイエンス

+9.5%

その他

+12.8%

合計

+7.4%

 

(注)  実質的な売上収益は、為替レートを一定として、非定常的な事象に基づく影響および事業等の売却影響を調整します。本調整前の疾患領域別の売上収益や主要な製品売上については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①当年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容 (a)当年度の経営成績の分析 (ⅲ) 当年度における業績の概要〔売上収益〕」をご参照ください。

 

実質的な売上収益の計算において控除した主な非定常的な事象に基づく影響および事業等の売却影響(注)は次のとおりです

・2020年11月に売却が完了したアジア太平洋における一部の一般用医薬品および非中核資産に係る前年度の売上収益を控除して調整しております。

・2020年12月に売却が完了した主に欧州における一部の非中核資産である医療用医薬品に係る前年度の売上収益を控除して調整しております。

・2021年1月に売却が完了した中南米における一部の一般用医薬品および非中核資産に係る前年度の売上収益を控除して調整しております。

・2021年1月に売却が完了した「TACHOSIL」(手術用パッチ剤)の前年度の売上を控除して調整しております。

・2021年3月に売却が完了した主に欧州における一部の一般用医薬品および非中核資産に係る前年度の売上収益を控除して調整しております。

・2021年3月に売却が完了した従来子会社であった武田コンシューマーヘルスケア株式会社の前年度の売上収益を控除して調整しております。

・2021年4月1日に売却が完了した日本における糖尿病治療剤ポートフォリオ(ネシーナ錠、リオベル配合錠、イニシンク配合錠、ザファテック錠)に係る前年度の売上を控除して調整しております。また、売却完了により計上された非定常的な譲渡価額1,330億円は当年度の売上収益から控除して調整しております。

(注)中国における一部の非中核資産である医療用医薬品に係る当年度と前年度の売上収益については、当第3四半期まで控除して調整しておりましたが、本件の売却が2022年3月末に完了し両年度が比較可能であることから当第4四半期においては両年度ともに調整を行っておりません。

 

〔実質的なCore営業利益の成長〕

実質的なCore営業利益の成長は、実質的な売上収益の成長を反映し、前年度から+5.4%となりました。

 

日本における糖尿病治療剤ポートフォリオの売却など、当社の本業に起因しない(非中核)事象による影響を控除した当年度のCore営業利益は9,552億円となりました。

 

〔当年度の実質的なCore営業利益率〕

当年度の実質的なCore営業利益率は、28.0%となりました。

 

〔実質的なCore EPSの成長〕

実質的なCore EPSの成長は、+9.4%となりました。 

 

(b)当年度の財政状態の分析

〔資産〕

当年度末における資産合計は、前年度末から2,657億円増加し、13兆1,780億円となりました。のれんは、主に為替換算の影響により3,738億円増加しました。また、有形固定資産は資産の取得に加え、為替影響による増加もあり1,289億円増加し、棚卸資産は993億円増加しました。これらの増加は、現金及び現金同等物の減少1,165億円および主に償却による無形資産の減少906億円と一部相殺されております。また、主に当年度に売上債権売却プログラムを開始したことにより、売上債権及びその他の債権が864億円減少しております。

 

〔負債〕

当年度末における負債合計は、前年度末から2,406億円減少し、7兆4,945億円となりました。社債及び借入金は、借入金の返済および社債の償還の結果、前年度末から2,900億円減少の4兆3,454億円(注)となりました。さらに、繰延税金負債が913億円減少しております。これらの減少は、仕入債務及びその他の債務の増加1,725億円と一部相殺されております。

(注)当年度における社債及び借入金の帳簿価額はそれぞれ3兆6,374億円および7,081億円です。なお、社債及び借入金の内訳は以下の通りです。

 

社債:

銘柄

(外貨建発行額)

発行時期

償還期限

帳簿価額

米ドル建無担保普通社債

(1,520百万米ドル)

2015年6月

2022年6月

~2045年6月

1,860億円

米ドル建無担保普通社債

(4,000百万米ドル)

2016年9月

2023年9月

~2026年9月

4,660億円

ユーロ建無担保普通社債

(3,750百万ユーロ)

2018年11月

2022年11月

~2030年11月

5,072億円

米ドル建無担保普通社債

(3,250百万米ドル)

2018年11月

2023年11月

~2028年11月

3,953億円

ハイブリッド社債

(劣後特約付社債)

2019年6月

2079年6月

4,982億円

米ドル建無担保普通社債

(7,000百万米ドル)

2020年7月

2030年3月

~2060年7月

8,494億円

ユーロ建無担保普通社債

(3,600百万ユーロ)

2020年7月

2027年7月

~2040年7月

4,860億円

円貨建無担保普通社債

2021年10月

2031年10月

2,494億円

合計

 

 

3兆6,374億円

 

 

 

借入金:

名称

 (外貨建借入額)

借入時期

返済期限

帳簿価額

シンジケートローン

2016年4月

2023年4月

~2026年4月

2,000億円

2017年4月

2027年4月

1,135億円

(1,500百万米ドル)

2017年4月

2027年4月

1,830億円

その他のバイラテラルローン

2016年3月

~2017年4月

2023年3月

~2026年3月

2,100億円

その他

 

 

15億円

合計

 

 

7,081億円

 

 

当社グループは、2017年7月に発行した米ドル建無担保普通社債の残高200百万米ドルについて、2022年1月18日の償還期日に先立ち、2021年5月17日に繰上償還を実行しました。2021年6月11日には、2018年12月3日に契約締結した株式会社国際協力銀行ローン(以下、「JBICローン」)3,700百万米ドルのうち2,000百万米ドルについて、2025年12月11日の返済期日に先立ち繰上返済を実行しました。2021年8月10日には、2018年11月に発行したユーロ建無担保普通社債1,500百万ユーロについて、2022年11月21日の償還期日に先立ち繰上償還を実行しました。2021年10月14日には、無担保普通社債(満期10年、償還期日2031年10月14日)元本総額2,500億円を発行しました。2021年12月13日には、JBICローンの残高1,700百万米ドルについて、2025年12月11日の返済期日に先立ち繰上返済を実行しました。さらに、2022年3月24日には、2016年9月に発行した米ドル建無担保普通社債1,500百万米ドルについて、2023年9月23日の償還期日に先立ち繰上償還を実行しました。

 

〔資本〕

当年度末における資本合計は、前年度末から5,063億円増加し、5兆6,835億円となりました。この増加は、主に円安の影響による為替換算調整勘定の変動によりその他の資本の構成要素が5,681億円増加したことによるものです。この増加は、主に当年度の自己株式取得の実施による自己株式の増加565億円、および利益剰余金の減少302億円と一部相殺されております。利益剰余金は、当期利益の計上があったものの、主に2,842億円の配当金を支払ったことにより減少しております。

 

(c)流動性および資金調達源

資金の調達および使途

当社グループにおいて流動性は、主に営業活動に必要な現金、資本支出、契約上の義務、債務の返済、利息や配当の支払いに関連して必要となります。営業活動においては、研究開発費、マイルストン支払い、販売およびマーケティングに係る費用、人件費およびその他の一般管理費、原材料費等の支払いにあたり現金が必要となります。また、法人所得税の支払いや運転資金にも多額の現金が必要となります。

当社グループは、生産設備の能力増強・合理化、減価償却を終えた資産の入れ替え、業務管理の効率化等のために設備投資を行っています。無形資産に係る資本的支出は、主に第三者のパートナーから導入したライセンス製品に対するマイルストン支払い、およびソフトウェア開発費です。連結財政状態計算書に計上されている有形固定資産および無形資産に係る資本支出は、2021年3月期および2022年3月期において、それぞれ3,307億円および2,399億円であります。また、2022年3月31日現在において、有形固定資産の取得に関する契約上のコミットメントは142億円であります。加えて、2022年3月31日現在において、無形資産の取得に関して契約上の取決めを有しております。無形資産に係るマイルストン支払いの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記32 コミットメントおよび偶発債務」をご参照ください。また、資本管理の一環として、当社グループは、資金需要、市場等の環境、またはその他の関連する要因に照らして、定期的に資本的支出の評価を行っております。

当社の配当金の支払額は、2021年3月期および2022年3月期において、それぞれ2,837億円および2,842億円であります。1株当たり配当額は中間配当および期末配当金それぞれ90円ずつとし、年間180円を継続することを目指しています。当社の配当政策については「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご参照ください。

当社グループは、有利子負債に対し元本と利息を支払う必要があります。2022年3月31日現在において、1年内に必要となる利息の支払額および負債の返済額は、それぞれ954億円、2,039億円であります。詳細は、「有利子負債および金融債務」をご参照ください。

当社グループの資金の主な調達源は、主に現金及び現金同等物、短期コマーシャル・ペーパー、コミットメントラインによる借入、グローバル資本市場における社債発行を含む長期債務による資金調達であります。さらに、当社グループは、コンティンジェンシーの調達源として、2021年3月31日時点および2022年3月31日時点において、金融機関から極度額1,500億円および750百万ドルの短期アンコミットメントライン契約を締結しております。

当社グループは、キャッシュ・フロー予測に基づき保有外貨を監視し、調整しております。当社グループの事業の大部分は日本国外で行っており、多額の現金を日本国外に保有しております。日本国内で必要なキャッシュ・フローを創出するために外貨を使用することは国内規制による影響を受ける可能性があり、また比較的影響は小さいものの、日本へ現金を移転することから生じる所得税による影響も受けます。

当社グループは、COVID-19の大流行による資金調達に係る問題または流動性不足、金融市場およびその他の市場への影響は現在見込んではおりませんが、資金調達の状況および市場の動向について引き続き注視しております。必要に応じた市場およびその他の供給源からの追加の資金調達力に加えて、当社グループの資本支出計画を必要かつ適切な範囲で見直すことによって、資金調達および流動性の需要を管理する場合があります。

2022年3月31日現在において、当社グループは、ワクチン運営および売上債権の売却プログラムに関係して当社が第三者に代わり一時的に保有していた制限付き預り金2,075億円を含む、8,497億円の現金及び現金同等物と、7,000億円の未使用のバンク・コミットメントライン契約を保有しており、現在の事業活動に必要となる資金は十分に確保できていると考えております。また、当社グループは、事業活動を支えるため、持続的に高い流動性を保ち、資本市場へのアクセス拡大を追求していきます。

 

 連結キャッシュ・フロー

連結キャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。

(単位:億円)

 

前年度

当年度

営業活動によるキャッシュ・フロー

10,109

11,231

投資活動によるキャッシュ・フロー

3,935

△1,981

財務活動によるキャッシュ・フロー

△10,884

△10,703

現金及び現金同等物の増減額

3,161

△1,453

現金及び現金同等物の期首残高

6,376

9,662

現金及び現金同等物に係る換算差額

125

288

現金及び現金同等物の期末残高

9,662

8,497

 

営業活動によるキャッシュ・フローは、前年度の1兆109億円から1,122億円増加1兆1,231億円となりました。これは非資金項目およびその他の調整項目を調整した後の当期利益が増加したことによるものです。調整項目には、事業譲渡及び子会社株式売却益、前年度におけるパイプラインSHP647および関連する権利の売却に関する義務の解除による収益の調整が含まれます。また、主に当年度に売上債権売却プログラムを開始したことにより、売上債権及びその他の債権の減少がありました。これらの増加影響は、主にワクチン運営のための制限付き預り金の減少に伴うその他の金融負債の減少、および支払による引当金の減少と一部相殺されております。

投資活動によるキャッシュ・フローは、前年度の3,935億円から5,917億円減少△1,981億円となりました。これは主に、前年度における非中核資産売却に伴う事業売却による収入(処分した現金及び現金同等物控除後)の減少5,022億円、投資の売却、償還による収入の減少577億円、事業取得による支出(取得した現金及び現金同等物控除後)の増加497億円、および有形固定資産の売却による収入の減少446億円によるものです。これらは、無形資産の取得による支出の減少625億円と一部相殺されております。

財務活動によるキャッシュ・フローは、前年度の△1兆884億円から181億円増加△1兆703億円となりました。これは主に、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーにおける増加影響1,490億円および社債に係る金利先渡契約の決済による支出の減少348億円によるものです。これらは、社債の償還及び長期借入金の返済による支出(借換に伴う社債の発行による収入と相殺後)の増加886億円、および主に当年度に実施した自己株式取得に伴う、自己株式の取得による支出の増加754億円と一部相殺されております。

 

有利子負債および金融債務

2021年3月31日期および2022年3月31日期において社債および借入金はそれぞれ4兆6,354億円、4兆3,454億円であります。これらの有利子負債は、当社が過年度に発行した無担保社債、普通社債、およびシンジケートローン、また、Shire社買収に必要な資金の一部を調達するための借入金、およびShire社買収により引き受けた負債、借り換えた負債を含み、連結財政状態計算書に計上されております。当社の借入金は主に買収関連で発生したものであり、季節性によるものではありません。

当社グループは、2017年7月に発行した米ドル建無担保普通社債の残高200百万米ドルについて、2022年1月18日の償還期日に先立ち、2021年5月17日に繰上償還を実行しました。2021年6月11日には、2018年12月3日に契約締結した株式会社国際協力銀行ローン(以下、「JBICローン」)3,700百万米ドルのうち2,000百万米ドルについて、2025年12月11日の返済期日に先立ち繰上返済を実行しました。2021年8月10日には、2018年11月に発行したユーロ建無担保普通社債1,500百万ユーロについて、2022年11月21日の償還期日に先立ち繰上償還を実行しました。2021年10月14日には、無担保普通社債(満期10年、償還期日2031年10月14日)元本総額2,500億円を発行しました。2021年12月13日には、JBICローンの残高1,700百万米ドルについて、2025年12月11日の返済期日に先立ち繰上返済を実行しました。さらに、2022年3月24日には、2016年9月に発行した米ドル建無担保普通社債1,500百万米ドルについて、2023年9月23日の償還期日に先立ち繰上償還を実行しました。

なお、当社グループは、2015年6月に発行した米ドル建無担保普通社債219百万米ドルについて、2022年6月23日の償還期日に先立ち、2022年4月23日に繰上償還を実行しております。

2022年3月31日時点において、当社グループは一定の財務制限条項の含まれる長期融資契約を保有しております。当該財務制限条項の重要な条項は、毎年3月末および9月末において連結財政状態計算書における純負債の過去12か月間の調整後EBITDA(調整後EBITDAは契約書にて定義されたもの)に対する比率が一定水準を上回らないことを求める財務制限条項が含まれています。2022年3月31日時点においては、2021年3月31日時点と同様に、当社グループは全ての制限条項を遵守しております。また、2019年に設定された7,000億円の未使用のコミットメントラインからの借入を制限する事象はありません。当コミットメントラインは、2021年9月末に当初期限を1年延長し、現在の期限は2026年9月であります。

当社グループは、短期の流動性の管理のため、日本の無担保コマーシャル・ペーパープログラムを保有しております。2021年3月31日時点および2022年3月31日時点においてはコマーシャル・ペーパープログラムによる資金調達額はありませんでした。当社グループは、さらに2021年3月31日時点および2022年3月31日時点において、極度額1,500億円および750百万ドルの短期アンコミットメントライン契約を締結しておりますが、借入はしておりません。

借入金の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 20 社債及び借入金」をご参照ください。

 

 

信用格付け

当社グループの信用格付けは、当社グループの財務の健全性、業績、債務の返済能力等に関する各格付機関の意見が反映されております。本報告書時点における当社グループの信用格付けは以下のとおりです。

格付会社

カテゴリー

信用格付

アウト

ルック

2022年3月31日

評価構造

S&Pグローバル・レーティング

発行体格付け/外貨長期および国内通貨長期

BBB+

安定的(注1)

11段階の格付けのうち4番目であり、同じカテゴリーの中で最上位(例:BBB+,BBB,BBB-は同じカテゴリーに属する)

発行体格付け(短期)

A-2

6段階の格付けのうちの2番目

ムーディーズ

長期発行体格付および長期優先無担保格付け

Baa2

ポジティブ(注2)

9段階の格付けのうち上から4番目であり、同じカテゴリーの中で2番目(例:Baa1,Baa2,Baa3は同じカテゴリーに属する)

 

 

(注1) S&Pグローバルレーティングは、2021年6月1日に長期発行体の信用格付けをネガティブから安定的に改訂し、2022年3月31日現在まで維持しております。(2021年3月31日時点:ネガティブ)

(注2) ムーディーズは、2021年9月27日に長期発行体の信用格付けを安定的からポジティブに改訂し、2022年3月31日現在まで維持しております。(2021年3月31日時点:安定的)

この格付けは、社債の購入、売却、保有を推奨するものではありません。この格付けは指定された格付機関によって適宜改訂あるいは撤回される可能性があります。それぞれの財務の健全性レーティングは、独立評価されたものであります。

 

契約上の負債

2022年3月31日現在における契約上の負債は以下のとおりです。

(単位:億円)

 

総契約額(注1)

1年以内

1年超
3年以内

3年超
5年以内

5年超

社債及び借入金の返済(注2) (注3)

 

 

 

 

 

社債(注4)

46,481

2,212

9,754

7,995

26,520

借入金

7,332

782

1,582

1,966

3,003

有形固定資産の取得に関する義務

142

142

リース負債の返済

6,458

539

1,011

844

4,063

確定給付制度への拠出(注5)

110

110

合計(注6) (注7)

60,523

3,785

12,347

10,805

33,586

 

(注1) 2022年3月31日現在における日本円以外の通貨建債務は、期末為替レートで日本円に換算しており、為替レートの変動により金額が異なる可能性があります。

(注2) 当社グループが関連する金融商品の財務制限条項違反を行った場合、返済義務が早まる可能性があります

(注3) 利息支払義務を含みます。

(注4) 社債の契約額のうち、「1年超3年以内」の金額には、劣後特約付きハイブリッド社債(以下、「ハイブリッド債」)元本全額を2024年10月6日以降の各利払日において早期償還する可能性があるため、当ハイブリッド債の元本5,000億円が含まれています。ハイブリッド債の元本および利息の詳細については、「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 20 社債及び借入金」をご参照ください。

(注5) 2023年3月31日以降の年金および退職後給付制度への拠出額については、拠出の時期が不確実であり、利率、運用収益、法律およびその他の変動要因に依存するため、確定することはできません。

(注6) 確定給付債務、訴訟引当金および長期未払法人税等、時期を見積もることができない契約上の負債、また、金額が公正価値の変動により変化するデリバティブ負債および条件付対価契約に関する金融負債は含まれておりません。なお、2022年3月31日現在のデリバティブ負債および条件付対価契約に関する金融負債の帳簿価額は、それぞれ365億円および58億円でした。また、特定の将来の事象の発生に左右されるマイルストン支払いも含んでおりません。

(注7) 通常の事業活動における購買に関する発注は含んでおりません。

 

 

オフバランス取引

 マイルストン支払

新製品の開発に係る第三者との提携契約に基づき、当社グループは、パイプライン品目の開発、新製品の上市および上市後の販売等にかかる一定のマイルストン達成に応じた支払義務が生じる場合があります。2022年3月31日現在における潜在的なマイルストン支払の契約金額は1兆5,680億円であります。これらは、潜在的なコマーシャルマイルストン支払を除いた金額であります。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 13 共同研究開発契約およびライセンス契約 および 32 コミットメントおよび偶発負債」をご参照ください。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

 

武田コンシューマーヘルスケア株式会社の譲渡

2020年8月24日、当社グループによる武田コンシューマーヘルスケア株式会社(以下、「TCHC社」)の譲渡に関連し、当社グループは、株式譲渡契約を、The Blackstone Group Inc. とその関連会社が運用するファンドが支配するOscar A-Co株式会社と締結しました。当該譲渡は2021年3月31日に完了しました。TCHC社の製品にはビタミンB1製剤であるアリナミンや総合感冒薬であるベンザをはじめとした一般用医薬品およびヘルスケア製品が含まれます。

上記契約の詳細については「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ① 当年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容 (a)当年度の経営成績の分析 (i)当社グループの経営成績に影響を与える事項 事業売却」をご参照ください。

 

帝人ファーマ株式会社への資産譲渡

2021年2月26日、当社グループは、日本で販売されている2型糖尿病治療薬4剤(ネシーナ錠、リオベル配合錠、イニシンク配合錠、ザファテック錠)に関して、帝人ファーマ株式会社(以下、「帝人ファーマ」)にその販売を移管するため、帝人株式会社および帝人ファーマとの間で資産譲渡契約を締結しました。本販売移管は2021年4月1日に完了しました。当社グループは、別途の契約を帝人ファーマと締結し、その下で帝人ファーマのために当該製品の製造を行い、流通を担い、また当面当該製品の製造販売承認を保持します。

上記契約の詳細については「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ① 当年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容 (a)当年度の経営成績の分析 (i)当社グループの経営成績に影響を与える事項 事業売却」をご参照ください。

 

 

5 【研究開発活動】

当年度の研究開発費の総額は5,261億円であります。

医薬品の研究開発のプロセスは、長期にわたり多額の費用を伴い、その期間は10年を越えることもあります。このプロセスには、新薬の有効性および安全性の評価のための複数の試験、データを審査し販売承認の可否を判断する規制当局に対する申請が含まれます。こうした精査の過程を通過し、臨床での治療に用いることができる候補物質はごく僅かです。承認取得後も、上市後の製品に対しては、メディカルアフェアーズやその他の投資を含め、継続的な研究開発活動による支援が行われます。

臨床試験は、地域的および国際的な規制ガイドラインを遵守し、通常5から7年もしくはそれ以上を費やして実施されるものであり、相応の費用を伴います。通常、臨床試験は医薬品規制調和国際会議(ICH)が制定したガイドラインに沿って実施されます。これに関わる規制当局は、日本では厚生労働省、米国では食品医薬品局(FDA)、欧州連合では欧州医薬品庁(EMA)、中国では国家薬品監督管理局(NMPA)です。

ヒトの臨床試験は以下の3相で実施されます(各相が一部重複することもあります):

・臨床第1相(P-1)試験

少人数の健康な成人の志願者を被験者として、薬物の安全性、吸収、分布、代謝、排泄について評価するために実施

・臨床第2相(P-2)試験

少人数の志願患者さんを被験者として、安全性、有効性、用量および用法を評価するために実施

臨床第2相試験はP-2aとP-2bとの2つのサブカテゴリーに分割されることがあります。P-2a試験は通常臨床上の有効性または生物学的活性を示すためにデザインされたパイロット試験であり、P-2b試験は薬物が最少の副作用で生物学的活性を示す最適用量を探索するために行われます。

・臨床第3相(P-3)試験

大人数の志願患者さんを被験者として、既存の薬剤またはプラセボと比較した安全性および有効性を評価するために実施

これら3相のうち、臨床第3相にかかる開発費用が最も大きく、臨床第3相試験へ進めるか否かの決定は、医薬品開発における重要なビジネス判断となります。臨床第3相試験を通過した候補薬物については、管轄の規制当局に新薬承認申請書(NDA)、生物製剤承認申請(BLA)または医薬品販売承認申請(MAA)を提出し、規制当局より承認を取得した場合に上市が可能となります。NDA、BLA、MAAの作成には、膨大な量のデータの収集、検証、分析が必要であり、多額の費用が伴います。製品上市後も、保健当局により有害事象の市販後調査や、当該医薬品のリスク・ベネフィットに関する追加情報を提供するための市販後試験の実施を求められることがあります。

当社の研究開発は、サイエンスにより、患者さんの人生を根本的に変えうるような非常に革新性が高い医薬品を創製することに注力しています。当社は、「革新的なバイオ医薬品」、「血漿分画製剤」および「ワクチン」の3つの分野において研究開発活動を実施しています。「革新的なバイオ医薬品」に対する研究開発は、当社の研究開発投資の中で最も高い比率を占めています。「革新的なバイオ医薬品」における重点疾患領域(オンコロジー、希少遺伝子疾患および血液疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、消化器系疾患)には未だ有効な治療法が確立されていない疾患に対する高い医療ニーズ(アンメット・メディカル・ニーズ)が存在し、当社はベストインクラスあるいはファーストインクラスとなりうる画期的な新規候補物質を創出してまいりました。これまでの数年間、Shire社の買収も含め、当社では新たな研究開発能力、さらには次世代プラットフォームに対して社内および外部との提携によるネットワークを通じて投資し、細胞療法および遺伝子治療の領域の強化を図っています。

当社のパイプラインは、当社事業の短期的および長期的かつ持続的な成長を支えるものです。初回の承認取得後も上市後の製品に対して、地理的拡大や効能追加に加え、市販後調査および剤型追加の可能性を含めた継続的な研究開発活動による支援体制が整っています。当社の研究開発チームは、販売部門との緊密な連携を通じ既発売品の価値の最大化を図り、販売活動を通じて得られた知見を研究開発戦略やポートフォリオに反映します。

自社の研究開発機能向上への注力に加え、社外パートナーとの提携も、当社研究開発パイプライン強化のための戦略における重要な要素の一つです。社外提携の拡充と多様化に向けた戦略により、様々な新製品の研究に参画し、当社が大きな研究関連のブレイクスルーを達成する可能性を高めます。

当社の主要な研究開発施設には以下を含みます:

•  湘南ヘルスイノベーションパーク:日本の神奈川県藤沢・鎌倉地域に位置する湘南ヘルスイノベーションパーク(以下、「湘南アイパーク」)は、当社の湘南研究所として2011年に設立された、当社のニューロサイエンス研究の主要拠点です。2018年4月に、当社は、サイエンスのイノベーションを推進し、多様な外部パートナーとのライフサイエンスエコシステムを構築するために、湘南アイパークを開所しました。2020年4月に、当社はより多様なパートナーを招致し、湘南アイパークのさらなる成功を目指すため、湘南アイパークの所有権を信託設定することとしました。当社は、アンカーテナントとして、信託先と20年間のリースバック契約を締結するとともに、今後も日本におけるライフサイエンスの研究活性化に注力します。

•  グレーターボストン地区研究開発サイト:当社のボストン研究開発サイトは米国マサチューセッツ州ケンブリッジに位置しています。本サイトは当社のグローバルでのオンコロジー、消化器系疾患領域ならびに希少遺伝子疾患および血液疾患領域の研究開発の中心であり、加えて血漿分画製剤やワクチンなど他の疾患領域の研究開発や免疫調節および生物学的製剤の研究も支援しています。最近開設された最先端の細胞療法の製造施設を備えた、当社の細胞療法研究の拠点です。

•  サンディエゴ研究開発サイト:米国カリフォルニア州サンディエゴにある当社の研究開発拠点であり、消化器系疾患およびニューロサイエンス領域における研究開発を支援しています。本研究サイトは、バイオテックのような形態で研究を行う拠点であり、構造生物学および生物物理学などの社内技術を駆使し、社内外で行われる研究を促進します。

•  オーストリア ウィーン研究開発サイト:オーストリア ウィーンおよびオース近郊に位置する当社の研究開発サイトであり、血漿分画製剤および遺伝子治療分野における研究開発を支援しています。本研究サイトは、血漿分画製剤および遺伝子治療薬の製造施設を備えています。

当社の2021年4月以降の主要な研究開発活動の進捗は、以下のとおりです。

 

研究開発パイプライン

オンコロジー

世界中のがん患者さんに革新的な新薬をお届けするために努力し、患者さんの生活を改善するという情熱をもって、画期的なイノベーションの探求に取り組んでいます。本疾患領域では、(1)既発売品である「ニンラーロ」、「アドセトリス」、「アイクルシグ」のライフサイクルマネジメントならびに多発性骨髄腫およびその他血液がんのパイプラインへの継続的な研究開発投資を通じた、血液がんにおける基盤的な専門性の構築、(2)既発売品である「アルンブリグ」「EXKIVITY」を含む肺がんを対象とするポートフォリオおよび標的を絞った肺がん患者さんを対象とする開発プログラムのさらなる拡充、(3)社内および社外との提携を通じ、新規のがん免疫療法標的および自然免疫システムを活用した次世代基盤技術の追求の3つの分野にフォーカスしています。

 

[ニンラーロ 一般名:イキサゾミブ]

- 2021年5月、当社は、「ニンラーロ」について、幹細胞移植歴のない多発性骨髄腫に対する初回治療後の維持療法の治療薬として、厚生労働省より多発性骨髄腫における維持療法の効能又は効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを公表しました。今回の承認は、主に、ランダム化プラセボ対照二重盲検多施設共同国際臨床第3相試験である「TOURMALINE-MM4試験」の結果に基づくものです。本試験では、幹細胞移植歴のない成人の多発性骨髄腫患者を対象に無増悪生存期間(PFS)を主要評価項目として、本剤による維持療法がPFSを統計学的に有意に改善することが確認されました。ニンラーロの維持療法における安全性プロファイルは、単剤療法における既知の安全性プロファイルと同様であり、「TOURMALINE-MM4試験」で新たな懸念は確認されませんでした。

 

[アイクルシグ 一般名:ポナチニブ]

- 2021年6月、当社は、「アイクルシグ」について、バーチャルで開催される第57回米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会および第26回欧州血液学会(EHA)年次総会のオーラルセッションにおいて、臨床第2相試験「OPTIC(Optimizing Ponatinib Treatment In CML)」の主要解析データを発表しました。変異の有無にかかわらず治療抵抗性例の患者群での治療を評価する「OPTIC試験」は主要評価項目を達成しました。慢性期の慢性骨髄性白血病(CP-CML)患者において、「アイクルシグ」1日45mgを開始用量とし、BCR-ABL1IS1%以下達成時に15mgに減量するレジメンにより、同剤の最適なベネフィット・リスクプロファイルが示されました。本試験により、本剤の安全性プロファイルは動脈閉塞イベント(AOE)を含め臨床的に管理可能であることが示唆されました。

 

[アルンブリグ 一般名:ブリグチニブ]

- 2021年6月、当社は、「アルンブリグ」について国内でALK融合タンパクキット「ベンタナ OptiView ALK(D5F3)」(「ベンタナALK」)によりALK融合遺伝子陽性(ALK陽性)が確認された非小細胞肺癌(NSCLC)患者の一次治療に使用が可能となったことを公表しました。「ベンタナALK」は、ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社が製造販売する免疫組織化学染色法(IHC法)を測定原理とした体外診断用医薬品で、「アルンブリグ」に対するコンパニオン診断薬として承認されました。蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)法に加え、「ベンタナALK」がコンパニオン診断薬として追加承認されたことで、より幅広く、ALK陽性NSCLC患者に対して「アルンブリグ」による治療機会を提供できることとなりました。

- 2022年3月、当社は、「アルンブリグ」について、ALK融合遺伝子陽性(ALK陽性)の限局進行または転移性の非小細胞肺癌(NSCLC)に対する単剤療法として、中国の国家薬品監督管理局(NMPA)より承認を取得したことを公表しました。本剤は、米国のNational Comprehensive Cancer Network (NCCN)のガイドラインにおいて推奨される一次治療薬として記載されており、中国臨床腫瘍学会(CSCO)のNSCLCの診断・治療ガイドラインにも記載されています。「アルンブリグ」は、当社として初めて中国で承認された肺癌治療薬です。

 

[アドセトリス 一般名:ブレンツキシマブ ベドチン]

- 2021年9月、当社は、「アドセトリス」について、CD30陽性ホジキンリンパ腫における小児の一次治療に対する用法用量に関する製造販売承認事項一部変更承認の申請を日本において行ったことを公表しました。今回の申請は、未治療進行期ホジキンリンパ腫の小児患者を対象とし、「アドセトリス」とAVD(「ドキソルビシン」+「ビンブラスチン」+「ダカルバジン」)の併用療法における一次治療としての有効性および安全性を評価した国際共同第1/2相試験「C25004試験」の結果に基づくものです。

- 2022年5月、当社は、「アドセトリス」について、CD30陽性ホジキンリンパ腫における小児の一次治療に対する用法用量について、厚生労働省より製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを公表しました。

- 2022年5月、当社とSeagen Inc.は、「アドセトリス」と化学療法の併用を検討した臨床第3相試験である「ECHELON-1」の全生存期間(OS)のデータを公表しました。本データは第59回米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO)および第27回欧州血液学会議年次総会(EHA)のオーラルセッションにおいて発表しました。未治療のⅢ期またはⅣ期の成人古典的ホジキンリンパ腫患者を対象とした「ECHELON-1試験」において、「アドセトリス」、「ドキソルビシン」、「ビンブラスチン」および「ダカルバジン」併用群(A+AVD)は、「ドキソルビシン」、「ブレオマイシン」、「ビンブラスチン」および「ダカルバジン」併用群(ABVD)に対して統計学的に有意なOSの改善を示しました。約6年間の観察期間(中央値73ヶ月)において、A+AVDの併用療法を受けた患者群は死亡リスクが41%低下し(ハザード比[HR]0.59;95%信頼区間[CI]:0.396-0.879)、推定全生存率は6年時点で93.9%(95%信頼区間[CI]:91.6-95.5)でした。「アドセトリス」の安全性プロファイルはこれまでの臨床試験の結果と一貫しており、新たな安全性シグナルは確認されませんでした。

 

[カボメティクス 一般名:カボザンチニブ]

- 2021年8月、当社と小野薬品工業株式会社(小野薬品)は、根治切除不能又は転移性の腎細胞がんを対象とした「カボメティクス」と小野薬品のヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体、「オプジーボ」(ニボルマブ)の併用療法について、厚生労働省より国内製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを公表しました。今回の承認は、未治療の進行性又は転移性の腎細胞がん患者を対象に「オプジーボ」と「カボメティクス」の併用療法と、対象群である「スニチニブ」単剤療法を比較評価した多施設国際共同無作為化非盲検第3相「CheckMate-9ER試験」の結果に基づいています。本試験において、「オプジーボ」と「カボメティクス」の併用療法群は、対象群と比較して、最終解析で主要評価項目である盲検下独立中央判定委員会(BICR)の評価による無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目である全生存期間(OS)およびBICRの評価による奏効率(ORR)のいずれにおいても有意かつ臨床的に意義のある改善を示しました。本試験における「オプジーボ」と「カボメティクス」の併用療法の安全性プロファイルは、各々の単剤投与でこれまでに報告されているものと一貫していました。

 

[ゼジューラ 一般名:ニラパリブ]

- 2021年9月、当社は、経口のポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害薬「ゼジューラカプセル100㎎」(「ゼジューラカプセル」)の剤形追加として、「ゼジューラ錠100㎎」(「ゼジューラ錠」)の製造販売承認を厚生労働省より取得したことを公表しました。今回の承認は、「ゼジューラカプセル」と「ゼジューラ錠」の同等性を確認した「ヒト生物学的同等性試験(3000-01-004 study)および溶出試験」の結果に基づいています。「ゼジューラカプセル」の貯法は冷蔵ですが、このたび承認を取得した「ゼジューラ錠」は、室温で管理することが可能です。

 

[EXKIVITY 一般名:mobocertinib]

- 2021年5月、当社は、「mobocertinib」の安全性および有効性を評価する臨床第1/2相試験から、プラチナ製剤ベースの化学療法の治療歴を有する上皮成長因子受容体(EGFR)エクソン20挿入変異陽性を伴う転移性非小細胞肺がん患者を対象とした最新データを公表しました。試験結果から、「mobocertinib」は1年間の追跡調査後も臨床的に意義のある効果を持続することが示され、バーチャルで開催される第57回米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で発表されました。本試験の結果、全生存期間(OS)の中央値は24ヵ月、フォローアップ期間の中央値は14ヵ月、多様なEGFRエクソン20挿入変異に対して奏功したことが示されました。その他の主要なデータポイントである客観的奏効率(ORR)、奏功期間(DoR)の中央値および病勢コントロール率(DCR)においては、既報データと一貫していました。また、安全性プロファイルにおいても対応可能なもので、既報データと一貫していました。

- 2021年7月、当社は、中国国家薬品監督管理局(NMPA)の国家食品医薬品監督管理局医薬品審査評価センター (CDE)が、EGFRエクソン20の変異を伴うNSCLCの成人患者を対象とする、クラス‐1イノベーティブドラッグ「mobocertinib」の新薬承認申請(NDA)を受理し、優先審査に指定したことを公表しました。

- 2021年9月、当社は、プラチナ製剤ベースの化学療法を実施中あるいは実施後に病勢が進行し、米国食品医薬品局(FDA)で承認された検査で検出された上皮成長因子受容体(EGFR)エクソン20挿入変異を伴う局所進行または転移性非小細胞肺がんの成人患者に対する治療薬「EXKIVITY」について、FDAより承認を取得しました。本承認は、プラチナ製剤ベースによる治療歴を有するEGFRエクソン20挿入変異を伴う非小細胞肺がん患者114人を対象とし、「EXKIVITY」160 mgを1日1回投与した臨床第1/2相試験における、プラチナ製剤による前治療を受けた患者集団の解析結果に基づくものです。「EXKIVITY」は、FDAにより優先審査に指定され、Breakthrough Therapy指定、Fast Track指定、およびOrphan Drug指定を受けた、EGFRエクソン20挿入変異を標的とするよう特異的に設計された初めてかつ唯一承認を取得した経口治療薬です。本適応症は、奏効率(ORR)と奏効期間(DoR)に基づき、迅速承認制度のもとで承認されています。本適応症の継続的な承認は、検証試験における臨床的有用性の確認と説明が条件となります。FDAは、EGFRエクソン20挿入変異を伴う非小細胞肺がん患者の特定のために、「EXKIVITY」の次世代シークエンサー(NGS)であるコンパニオン診断薬として、ThermoFisher Scientific社の「Oncomine Dx Target Test」を同時承認しました。

 

[ベクティビックス 一般名:パニツムマブ]

- 2022年3月、当社は、「ベクティビックス」について国内臨床第3相試験である「PARADIGM試験」(Panitumumab and RAS, Diagnostically useful Gene Mutation for mCRC)において主要評価項目を達成したことを公表しました。「PARADIGM試験」は、RAS遺伝子野生型で化学療法未治療の切除不能進行再発大腸がん患者を対象に、mFOLFOX6+「ベバシズマブ」併用療法とmFOLFOX6+「ベクティビックス」併用療法の有効性および安全性を比較する第3相無作為化比較試験です。本試験ではRAS遺伝子野生型で原発巣占居部位が左側(下行結腸、S状結腸、直腸)である大腸がん患者における適切な治療を世界で初めて前向きに検証しました。今回の結果速報では、主要評価項目である全生存期間(OS)において、原発巣占居部位が左側および全体、いずれの集団でもmFOLFOX6+「ベクティビックス」併用療法群がmFOLFOX6+「ベバシズマブ」併用療法群に対し、統計学的に有意な延長を認めました。なお、本試験における「ベクティビックス」投与時の安全性プロファイルは、現在の添付文書の内容と同様でした。

 

[開発コード:TAK-924 一般名:pevonedistat]

- 2021年9月、当社は、臨床第3相「PANTHER試験(Pevonedistat-3001)」において、主要評価項目である無イベント生存期間(EFS)について、事前に規定した統計学的に有意な延長を達成しなかったことを公表しました。本試験では、高リスク骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)および低芽球性の急性骨髄性白血病(AML)の患者を対象に、ファーストライン治療として「pevonedistat」と「アザシチジン」の併用療法と「アザシチジン」単剤療法を比較しEFSの延長を評価しました。本試験におけるEFSの定義は、高リスクMDSまたはCMML患者では死亡またはAMLへの移行のいずれか早い方までの期間、AML患者では死亡までの期間としています。当社は、すべての研究開発活動を中止しました。

 

希少遺伝子疾患および血液疾患

当社は、希少遺伝子疾患および血液疾患において、高いアンメット・メディカル・ニーズが存在する複数の疾患に注力しています。遺伝性血管性浮腫においては、「タクザイロ」におけるC1インヒビターが正常レベルのブラジキニン介在性血管性浮腫に対する評価を含め、同製品をはじめとするライフサイクルマネジメントプログラムへの継続的な研究開発投資を通じて、既存の治療パラダイムの変革を目指します。希少血液疾患においては、「アドベイト」、「アディノベイト/ADYNOVI」に加えて、免疫性血栓性血小板減少性紫斑病(iTTP)および先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)治療に対するパイプラインである「TAK-755」の開発を通じて、出血性疾患治療における現在のニーズへ対応することに注力しています。希少遺伝子疾患およびその他の疾患においては、ライソゾーム病(LSD)に対し、「ELAPRASE」や「リプレガル」を含む既発売品、ハンター症候群治療薬pabinafusp alfaをはじめとする後期開発段階の治験中の薬剤およびパイプライン候補品を含む治療薬を開発しています。また、「LIVTENCITY」においては、移植後サイトメガロウイルス(CMV)感染/感染症の治療を再定義することを目指しています。当社は、希少疾患の患者さんに対し差別化された遺伝子治療の候補品を開発し、機能回復を提供するための研究開発機能を構築しています。

 

[タクザイロ 一般名:ラナデルマブ]

- 2021年7月、当社は、「タクザイロ」300mgを最長2.5年間、2週間間隔で投与した場合の長期の安全性(主要評価項目)および有効性を評価した、 臨床第3相「HELP(遺伝性血管性浮腫の長期抑制)試験の非盲検延長(OLE)試験」で得られた2つの最終解析結果を公表しました。最初の解析では、試験対象集団(n=212)で観察された発作発現回数の平均(最小値、最大値)低下率は、ベースラインと比較して87.4%(-100;852.8)であり、低下率の中央値は97.7%、「タクザイロ」の患者への平均投与期間(標準偏差)は29.6ヵ月(8.2)でした。安定期間(投与70日目から投与期間終了時)において、発作発現率はさらに平均92.4%、中央値98.2%まで低下しました。また、追加の解析では、特定の背景および疾患の特徴を有するHAE患者のサブグループにおいて、「タクザイロ」は予定されていた132週間の延長投与期間でHAE発作を抑制し、良好な忍容性を示しました。これらのデータは、2021年欧州アレルギー臨床免疫学会議(EAACI:European Academy of Allergy and Clinical Immunology)において発表されました。

- 2022年2月、当社は、成人および12歳以上の小児の遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作抑制に対する「タクザイロ」の単回投与プレフィルドシリンジ(PFS)製剤について、米国食品医薬品局(FDA)より承認を取得したことを公表しました。PFSは薬剤が充填済みの製剤で、従来のバイアル製剤より準備工程が少なく、投与に要する器具や廃棄物を減らします。

- 2022年2月、当社は、北米における遺伝性血管性浮腫(HAE)I型またはII型の患者に対する治療として「タクザイロ」の観察臨床第4相「EMPOWER試験」の中間実臨床データや、12歳以上のHAE患者における「タクザイロ」の長期安全性および有効性を評価する臨床第3相試験「HELP非盲検延長(OLE)試験」の事後解析からの知見など4件の抄録を、米国アレルギー・喘息・免疫学会(American Academy of Allergy, Asthma, and Immunology: AAAAI)の第78回年次総会で発表しました。臨床第4相「EMPOWER試験」の中間実臨床データにおいては、発作発現率の低下ならびに治療満足度およびその他の項目における患者報告アウトカムのスコアの改善を示しました。患者報告アウトカムの中間結果において、新規の処方患者では1ヵ月あたりの発作発現率の低下、ならびに既存の処方患者では血管性浮腫コントロールテスト(AECT)を用いて12ヵ月の血管性浮腫コントロールの維持が確認されました。また、臨床第3相試験「HELP試験」および「HELP OLE試験」の事後解析より、アンドロゲン治療歴がある患者における「タクザイロ」の発作発現率の低下は両試験集団で同等でした。

- 2022年3月、当社は、「タクザイロ皮下注300mgシリンジ」(遺伝子組換え)について、成人および12歳以上の小児患者を対象に、遺伝性血管性浮腫(HAE)の急性発作の発症抑制を効能・効果として、厚生労働省より製造販売承認を取得したことを公表しました。本承認は、主にグローバル臨床第3相試験である「HELP試験」、臨床第3相「HELP非盲検延長(OLE)試験」、および日本人患者を対象とした臨床第3相試験の結果に基づくものです。これらの試験において、「タクザイロ」はHAEの急性発作発症抑制薬として有効性と安全性を示しました。

- 2022年4月、当社は、2歳以上12歳未満の患者を対象とした臨床第3相試験である「SHP643-301試験」において、「タクザイロ」の安全性プロファイルおよび薬物動態の評価が終了し、評価項目を達成したことを公表しました。安全性プロファイルはこれまでに公表された12歳以上の小児患者を対象とした臨床プログラムと一致し、重篤な有害事象および有害事象による脱落はありませんでした。本試験において、2歳以上12歳未満の小児を対象とする遺伝性血管性浮腫の発症抑制における「タクザイロ」の臨床活性および臨床アウトカムを評価し、本剤の薬力学を特徴付ける副次評価項目を達成しました。

 

[リプレガル 一般名:アガルシダーゼ アルファ]

- 2021年11月、当社と大日本住友製薬株式会社(大日本住友製薬)は、当社がα-ガラクトシダーゼ酵素製剤「リプレガル点滴静注用3.5mg」の日本における製造販売承認(および販売権)を大日本住友製薬から2022年2月15日付で承継し、同日に大日本住友製薬は当社に「リプレガル」の販売を移管することを公表しました。

 

[フィラジル 一般名:イカチバント]

- 2021年12月、当社は、選択的ブラジキニンB2受容体ブロッカー「フィラジル」について、遺伝性血管性浮腫の小児治療に対する製造販売承認事項一部変更承認申請を日本において行ったことを公表しました。今回の申請は、主に2歳以上18歳未満の小児に「フィラジル」を皮下投与したときの安全性、有効性、および薬物動態を評価した国内第3相非盲検試験や、海外第3相非盲検試験に基づいて行っています。国内第3相非盲検試験でみられた日本人小児の治療反応は、日本人および海外の成人ならびに海外第3相非盲検試験における小児の治療反応と類似していました。

 

[ボンベンディ 一般名:フォン・ヴィレブランド因子(遺伝子組換え)]

- 2022年1月、当社は、出血時治療を受けている重度の3型フォン・ヴィレブランド病の患者における出血エピソードの頻度低下のための「ボンベンディ」の定期補充療法について、米国食品医薬品局(FDA)より承認を取得したことを公表しました。本承認は、出血治療歴がある重度の3型フォン・ヴィレブランド病の成人患者10例での出血エピソードの頻度低下に関する「ボンベンディ」の定期補充療法の有効性および安全性を検討した非盲検前向き国際共同試験のデータに基づくものです。今回の承認により「ボンベンディ」は、成人のフォン・ヴィレブランド病患者における出血時治療および周術期における止血管理の適応症に加えて、出血時治療歴のある重度の3型フォン・ヴィレブランド病の成人患者における定期補充療法の適応症を有します。

 

[LIVTENCITY 一般名:maribavir]

- 2021年6月、当社は、「maribavir」について、臨床第3相試験である「TAK-620-303(SOLSTICE)試験」の固形臓器移植(SOT)患者に関する新たなサブグループ解析結果を、オンラインで開催された2021年米国移植学会議(American Transplant Congress:ATC)において発表しました。ベースラインで難治性/抵抗性(無しも含む)(R/R)サイトメガロウイルス(CMV)感染のSOT患者において、投与8週時(投与期終了時)でCMV血症の消失が達成された割合は、既存の抗ウイルス療法群(治験責任医師が定めた治療法[IAT]で、「ガンシクロビル」、「バルガンシクロビル」、「ホスカルネット」もしくは「シドフォビル」のいずれか1つまたはその併用)(26.1%、18/69)と比較して、「maribavir」投与群では2倍以上(55.6%、79/142)でした(調整群間差[95%信頼区間]:30.5%[17.3, 43.6])。発表された結果は、心臓移植、肺移植および腎移植を受けた患者において「maribavir」投与の一貫した有効性を示しました。

- 2021年10月、当社は、「maribavir」について、米国食品医薬品局(FDA)抗菌薬諮問委員会(AMDAC)において、移植患者における既存の抗サイトメガロウイルス(CMV)療法である「ガンシクロビル」、「バルガンシクロビル」、「ホスカルネット」、または「シドフォビル」に対して遺伝子型抵抗性を示す難治性のCMV感染治療薬として「maribavir」の使用を勧告することを全員一致で支持し、また移植患者において「ガンシクロビル」、「バルガンシクロビル」、「ホスカルネット」、または「シドフォビル」に対して遺伝子型抵抗性の無い難治性のCMV感染に対する治療薬としても全員一致で使用を勧告したことを公表しました。両勧告は、臨床第2相試験および臨床第3相「TAK-620-303(SOLSTICE)試験」の結果に基づいています。「maribavir」の新薬承認申請(NDA)は、FDAにより優先審査指定を受けています。

- 2021年11月、当社は、移植後の成人患者と小児患者(12歳以上で体重が35㎏以上)における既存の抗サイトメガロウイルス(CMV)療法である「ガンシクロビル」、「バルガンシクロビル」、「ホスカルネット」、または「シドフォビル」に対して遺伝子型抵抗性(無しも含む)を示す難治性のCMV感染/感染症の治療薬「LIVTENCITY」について、米国食品医薬品局(FDA)より承認を取得したことを公表しました。FDA承認前には、「LIVTENCITY」は、臨床的に重篤なCMV血症およびCMV感染/感染症リスクの高い患者の治療薬としてFDAからオーファンドラッグ指定を受けていました。さらに、移植後の既存の抗CMV療法に難治性/抵抗性を有するCMV感染/感染症の患者の治療薬としてブレークスルーセラピー指定も受けていました。当社は、進行中の臨床第3相試験において造血幹細胞移植(HCT)の患者におけるCMVのファーストライン治療として「LIVTENCITY」を検討しています。

- 2021年12月、当社は、難治性/抵抗性(無しを含む)サイトメガロウイルス(CMV)感染の移植後患者を対象とした「LIVTENCITY」のピボタル臨床第3相「SOLSTICE試験」の結果がClinical Infectious Diseases誌に掲載されたことを公表しました。「SOLSTICE試験」の主要評価項目は達成され、8週目の試験終了時(治療終了時)における 「LIVTENCITY」を投与した成人患者の55.7%(131/235)が CMVのDNA濃度が定量検出限界以下(LLOQ:<137 IU/mL)となり、比較して従来の抗ウイルス療法群(「ガンシクロビル」、「バルガンシクロビル」、「ホスカルネット」、「シドフォビル」のいずれか1つまたはその併用)の患者では23.9%(28/117)でした。(調整群間差:32.8%、95%信頼区間:22.80~42.74、p<0.001])副次評価項目である8週から16週目まで維持されたCMVのDNA値<LLOQは達成され、症状コントロールを満たした患者の割合は、従来の抗ウイルス療法群で10.3%(12/117)に対して「LIVTENCITY」群では18.7%(44/235)と高くなりました。(調整群間差:9.5%、95%信頼区間:2.02~16.88、p =0.013])

- 2022年3月、当社は、「maribavir」が、臓器移植(造血幹細胞移植を含む)におけるサイトメガロウイルス(CMV)感染症の治療を予定される効能・効果として厚生労働省より希少疾病用医薬品の指定を取得したことを公表しました。「maribavir」はpUL97キナーゼとその天然基質を標的として阻害する経口投与可能な最初で唯一の抗CMV化合物で、日本国内において移植後サイトメガロウイルス感染/感染症を対象とした臨床第3相試験が進行中です。

- 2022年4月、当社は、米国ユタ州ソルトレークシティにて開催されたTandem移植・細胞治療学会およびポルトガルのリスボンにて開催された第32回欧州臨床微生物感染症学会議(ECCMID)において、「LIVTENCITY」に関する4つの抄録を発表しました。発表演題には、移植後のサイトメガロウイルス(CMV)感染/感染症患者において、「LIVTENCITY」投与群では従来の抗ウイルス療法群と比較して、入院率の低下(34.8%、p=0.021)と入院期間の短縮(53.8%、p=0.029)を示す臨床第3相「SOLSTICE試験」の探索的解析が含まれます。また、臨床第3相「SOLSTICE試験」のサブグループ別の事後解析では、CMVのDNA濃度が定量検出限界以下(<LLOQ)となることが最初に確認されるまでの期間が、従来の抗ウイルス療法群と比較して「LIVTENCITY」投与群で短縮することが示され、これまで報告された試験結果と一致していました。

 

ニューロサイエンス(神経精神疾患)

当社は、高いアンメット・ニーズが存在する神経疾患および神経筋疾患を対象に、革新的治療法に研究開発投資をフォーカスし、当社の専門知識やパートナーとの提携を生かし、パイプラインを構築しています。疾患の生物学的理解、トランスレーショナルなツール、革新的なモダリティの進展により、当社は希少神経疾患、特にオレキシン2受容体作動薬フランチャイズ(「TAK-861」、「TAK-925」など)によるナルコレプシーや特発性過眠症などの睡眠・覚醒障害および「soticlestat」(「TAK-935」)による希少てんかんの治療薬の開発に注力しています。当社はさらに、神経筋疾患、神経変性疾患および運動障害のうち患者セグメントを明確に定義できる疾患に特化した投資を行っています。

 

[開発コード:TAK-994]

- 2021年7月、当社は、臨床第2相試験を実施中の経口投与可能なオレキシン2型受容体選択的作動薬である「TAK-994」につき、米国食品医薬品局(FDA)よりブレークスルーセラピーの指定を受けたことを公表しました。現在「TAK-994」は、睡眠-覚醒サイクルが変化する慢性神経疾患であるナルコレプシータイプ1(NT1)の患者における日中の過度の眠気(EDS)の治療薬として臨床第2相試験(「TAK-994-1501試験」)を実施中です。「TAK-994」のブレークスルーセラピー指定は、NT1の患者において開発中の当社の経口オレキシン受容体作動薬が日中の覚醒状態の客観的および主観的評価項目において大幅な改善を示す可能性を示唆した、初期段階の予備的臨床データなどに基づくものです。

- 2021年10月、当社は、「TAK-994」の臨床第2相試験において、安全性シグナルの存在が明らかになったことにより、緊急の対応策として、患者への投与を中断し、2つの臨床第2相試験(「TAK-994-1501試験」および「TAK-994-1504試験」)を予定より早く終了する決定について公表しました。「TAK-994」のベネフィット・リスクプロファイルを評価した結果、2022年6月、当社は本プログラムの開発を継続しないことを決定しました。

 

[開発コード:TAK-935 一般名:soticlestat]

- 2022年2月、当社は、コレステロール24ヒドロキシラーゼ(CH24H)阻害剤「soticlestat」が、ドラベ症候群(DS)およびレノックス・ガストー症候群(LGS)を予定される効能・効果として厚生労働省より希少疾病用医薬品の指定を取得したことを公表しました。DSおよびLGSは発達性てんかん性脳症(DEE)の一種で指定難病です。「soticlestat」は、CH24Hを抑制しニューロンの24S-ヒドロキシコレステロール(24HC)レベルを低下させることでDSおよびLGSの症状を改善することが期待されており、現在、DSおよびLGSを対象とした臨床第3相試験が進行中です。

 

消化器系疾患

消化器系疾患において、消化管疾患および肝疾患の患者さんに革新的で人生を変えうるような治療法をお届けすることにフォーカスしています。炎症性腸疾患においては、「エンティビオ」に関する皮下注射製剤、針なしの医療用デバイスの開発および活動性の慢性回腸嚢炎をはじめとする適応症拡大を含め、フランチャイズのポテンシャルを最大化しています。加えて、「GATTEX/レベスティブ」および「アロフィセル」により当社の消化器系疾患におけるポジショニングの拡大を目指しており、米国を含む一層の地理的拡大のために臨床第3相試験を実施および計画しています。また、当社は、社外との提携を通じて炎症性腸疾患、セリアック病、厳選した肝疾患、消化管運動関連疾患における機会を探索し、パイプラインの構築を進めております。そのうち後期開発段階にある「TAK-999」は、社外との提携を通じたパイプライン構築の一例であり、α-1アンチトリプシン欠損関連肝疾患に対するファーストインクラスのRNAi干渉治療薬となる可能性があります。

 

[エンティビオ/エンタイビオ 一般名:ベドリズマブ]

- 2021年10月、当社は、成人の中等症から重症の潰瘍性大腸炎患者を対象とした維持療法に関する「エンティビオ」の皮下注射製剤の米国における開発プログラムの進捗を公表しました。米国食品医薬品局(FDA)との継続的な協議を通じて、当社は、「エンティビオ」の皮下注射製剤の生物製剤承認再申請のために必要な要件を明確にするフィードバックを受けており、その対応に向けて取り組んでいます。現在、開発プログラムのタイムラインを検討しており、2023年度中に承認される可能性があると予想しています。

- 2021年12月、当社は、欧州医薬品庁(EMA)の欧州医薬品評価委員会(CHMP)が、潰瘍性大腸炎に対する大腸全摘術および回腸囊肛門吻合術(IPAA)を受け、抗菌剤治療で効果不十分または効果の減弱がみられた中等症から重症の活動性の慢性回腸嚢炎の成人患者における治療薬として、「エンティビオ」点滴静注製剤の承認を勧告したことを公表しました。CHMPの肯定的見解は、欧州消化器病学会年次総会である欧州消化器病週間2021バーチャル会議にて最近発表された「EARNEST試験」に基づくものです。本試験では、活動性の慢性回腸嚢炎の治療における「エンティビオ」点滴静注製剤の安全性および有効性を評価しました。また「エンティビオ」が回腸嚢炎患者に有益である可能性を示す過去のデータに関する数件のレトロスペクティブスタディーの情報も申請に含まれています。2022年1月、「エンティビオ」について、活動性の慢性回腸嚢炎に対するEU全域における初の治療薬として欧州委員会より承認を取得しました。

 

[GATTEX/レベスティブ 一般名:テデュグルチド]

- 2021年6月、当社は、短腸症候群の治療剤である「レベスティブ皮下注用3.8mg」(「レベスティブ」)について、厚生労働省より製造販売承認を取得したことを公表しました。今回の承認は、海外で行われた複数の試験、ならびに国内で小児および成人を対象として実施された臨床第3相試験(「SHP633-302」、「SHP633-305」、「SHP633-306」および「SHP633-307」)等の結果に基づくものです。

- 2021年11月、当社は、短腸症候群(SBS)治療剤である「レベスティブ」の剤形追加として、低含量製剤(0.95mg)の製造販売承認申請を厚生労働省に対して行ったことを公表しました。本剤は、3.8mg製剤では投与ができない「体重10kg未満又は体重20kg未満の中等度以上の腎機能障害(クレアチニンクリアランス50mL/min未満)を有するSBS患者」への投与を可能とするものです。

 

[アロフィセル 一般名:ダルバドストロセル]

- 2021年9月、当社は、非活動期または軽症の活動期クローン病患者における複雑痔瘻の治療製品である「アロフィセル注」について、厚生労働省より製造販売承認を取得したことを公表しました。本製品は、少なくとも1つの既存治療薬による治療を行っても効果が不十分な患者の治療に用いられます。今回の承認は、国内で実施された「Darvadstrocel-3002試験」および、欧州およびイスラエルで実施された「ADMIRE-CD試験」の結果に基づくものです。「アロフィセル」は、当社において日本で初めて承認された同種異系脂肪組織由来間葉系幹細胞の懸濁液であり、炎症部位において、局所的に免疫調節作用および抗炎症作用を示します。

- 2022年2月、当社は、2022年欧州クローン病・大腸炎会議(ECCO)年次総会にて、「INSPIRE試験」における最初の6ヵ月間の中間解析結果を公表しました。本試験は、クローン病(CD)に伴う複雑痔瘻の患者を対象に欧州で実施している、「アロフィセル」の実臨床での有効性および安全性を評価する承認後の多施設共同オープン観察研究です。2021年9月時点で本試験に登録された症例は230例でした。All Treated(AT群)で138例、Treated Per Protocol(PP群)で120例が治療後6ヵ月以上経過しており、6ヵ月時点の来院を完了していたのはAT群で66%(92/138)、PP群で58%(69/120)でした。そのうち、AT群では85%(78/92)、PP群では100%(69/69)において6ヵ月時点の臨床成績が得られています。本中間解析では、AT群で73%(57/78)、PP群で74%(51/69)の臨床的奏功が認められました。臨床寛解率は、両群ともに65%(AT群:51/78、PP群:45/69)でした。Harvey-Bradshaw Indexを用いて評価された、治療後のCDの疾患活動性の変化は最小限でした。治療期における全データが入手できた205例のうち、20%(41/205)で1件以上の有害事象が確認され、9.3%(19/205)で1件以上の重篤な有害事象が確認されました。なお、異所性組織形成や死亡例は確認されませんでした。これらの結果は、ピボタル臨床第3相試験である「ADMIRE-CD試験」で示された有効性および安全性と一貫していました。

 

[開発コード:TAK-721(予定製品名:Eohilia) 一般名:ブデソニド経口懸濁液]

-2021年12月、当社は、食道の慢性炎症性疾患である 好酸球性食道炎の治療における「TAK-721」の新薬承認申請(NDA)に対し、米国食品医薬品局(FDA)から審査完了報告通知(Complete Response Letter :CRL)を受領したことを公表しました。審査完了報告通知によると、FDAは「TAK-721」のNDA審査を完了し、現状では承認できないと判断しました。また、FDAは指摘内容を解決するために追加の臨床試験を推奨しています。2022年2月に本開発品の中止を公表しました。

 

血漿分画製剤

当社は、血漿分画製剤(PDT)に特化したPDTビジネスユニットを設立し、血漿の収集から製造、研究開発および商用化まで、エンド・ツー・エンドのビジネスを運営しています。本疾患領域では、様々な希少かつ複雑な慢性疾患に対する患者さんにとって生命の維持に必要不可欠な治療薬の開発を目指しています。本領域に特化した研究開発部門は、既発売の治療薬の価値最大化、新たな治療ターゲットの特定および現有する製品の製造効率の最適化という役割を担います。短期的には、当社の幅広い免疫グロブリン製剤ポートフォリオ(「HYQVIA」、「CUVITRU」、「GAMMAGARD」および「GAMMAGARD S/D」)における効能追加、地理的拡大および総合的な医療テクノロジーの活用を通じたより良い患者体験を追求しています。血液製剤およびスペシャリティケアのポートフォリオにおいては、「PROTHROMPLEX(4F-PCC)」、「ファイバ」、「CEPROTIN」および「ARALAST」における効能追加や剤型追加の開発機会の追求を優先しています。また、当社は、グローバルに販売している20種類以上にわたる治療薬ポートフォリオに加え、「20% fSCIg」(「TAK-881」)や「IgG Low IgA」(「TAK-880」)といった次世代の免疫グロブリン製剤の開発、およびその他の早期段階の治療薬候補の開発を行っています。

 

[開発コード:CoVIg-19 (旧 TAK-888) 一般名:抗SARS-CoV-2ポリクローナル高度免疫グロブリン製剤]

- 2021年4月、「CoVIg-19 Plasma Alliance」は、米国国立衛生研究所(NIH)の一部である米国国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)が出資し実施した臨床第3相試験「Inpatient Treatment with Anti-Coronavirus Immunoglobulin(ITAC)」において、評価項目を達成しなかったことを公表しました。臨床試験において安全性の重大な懸念は認められませんでした。本試験は、重篤な合併症のリスクのある成人のCOVID-19入院患者に対して、抗コロナウイルス高度免疫グロブリン静注製剤(H-Ig)を、「レムデシビル」を含む標準治療に追加投与した際の、疾患進行のリスク低減を評価することを目的としていました。「ITAC試験」の結果を受けて、「CoVIg-19アライアンス」の取り組みは終了しました。「ITAC試験」の全解析結果はThe Lancetに掲載されました。

 

ワクチン

ワクチンでは、イノベーションを活用し、デング熱、新型コロナウイルス感染(COVID-19)、ジカウイルス感染など、世界で最も困難な感染症に取り組んでいます。当社パイプラインの拡充およびプログラムの開発に対する支援を得るために、政府機関(日本、米国)や主要な世界的機関とのパートナーシップを締結しています。これらのパートナーシップは、当社のプログラムを実行し、それらのポテンシャルを最大限に引き出すための重要な能力を構築するために必要不可欠です。

 

[スパイクバックス(旧販売名:COVID-19ワクチンモデルナ)筋注 (開発コード:mRNA-1273、日本での開発コード:TAK-919)]

- 2021年5月 、当社は日本における「TAK-919」の安全性および免疫原性を評価する国内臨床第1/2相試験の結果を医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出したことを公表しました。当社はModerna, Inc.(Moderna社)ならびに厚生労働省の三者間の合意により、「TAK-919」の5,000万回接種分を輸入し供給します。本試験の結果では、28日間の間隔で「TAK-919」0.5 mLを2回接種した被験者の100%に、結合抗体と中和抗体の上昇が本剤の2回目接種28日後に確認できたことが示されました。重大な安全性の懸念は報告されず、忍容性は概ね良好でした。当社は本試験の結果を、2021年3月に提出した新薬承認申請の一部として、医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出しました。申請資料には、Moderna社が米国において実施中の臨床第3相試験(COVE試験)の安全性と有効性の結果も含まれています。

- 2021年5月、「COVID-19ワクチンモデルナ筋注」について、厚生労働省より医薬品医療機器等法第14条の3に基づく特例承認を取得したことを公表しました。本承認は、米国で実施されたModerna社の臨床第3相試験(「COVE試験」)の結果と同様の免疫反応が得られた、日本で実施した「COVID-19ワクチンモデルナ筋注」の安全性および免疫原性を評価する臨床第1/2相試験の結果に基づいています。当社は、日本国内において「COVID-19ワクチンモデルナ筋注」の供給を開始しました。

- 2021年7月、当社は、「COVID-19ワクチンモデルナ筋注」を、追加で早ければ2022年初頭から5,000万回接種分を輸入し、日本において供給することについてModerna社ならびに厚生労働省と合意したことを公表しました。本合意には、Moderna社による開発が成功し、厚生労働省より製造販売の承認が得られた場合には、新型コロナウイルスの変異株に対応するワクチンや追加接種に用いるワクチンを日本国内へ供給する可能性も含まれています。当社は、今回の追加5,000万回接種分と2020年10月に公表済みの5,000万回接種分とを合わせて計1億回接種分を輸入、供給します。

- 2021年7月、当社は、「COVID-19ワクチンモデルナ筋注」の日本における添付文書が改訂され、接種対象年齢が12歳以上に拡大されたことを公表しました。今回の改訂は、Moderna社が米国で実施した12歳以上17歳以下の3,732人を対象とした臨床第2/3相試験結果に基づき行われました。本試験では、主要評価項目として設定したワクチン2回目接種28日後の血清中和抗体価および中和抗体価応答率において、本試験対象の青少年(12歳以上17歳以下)について、ワクチンの発症予防効果が確認された海外第3相試験(「mRNA-1273-P301試験」)の若年成人(18歳以上25歳以下)に対する非劣性が示されました。また、副次評価項目として設定したワクチン2回目接種後2週間以降のワクチン有効率においても高い発症予防効果を有することを示唆する結果が得られました。安全性については、18歳以上の臨床試験の結果と同様に、重大な安全性の懸念は報告されませんでした。

- 2021年12月、当社は、2回目の接種完了から少なくとも6ヶ月以上経過した18歳以上に対する「スパイクバックス筋注(旧販売名:COVID-19ワクチンモデルナ筋注)」の50µgでの追加接種(追加免疫)について、厚生労働省より製造販売承認を取得したことを公表しました。本承認は、今までに報告されたModerna社の第2相臨床試験の良好な結果に基づいています。Moderna社の第2相臨床試験は、Moderna社の新型コロナウイルス感染症ワクチンの2回目の接種を完了した18歳以上の被験者を対象に、2回目の接種から6ヶ月以上経過後に50µg追加接種した際の安全性および免疫原性の評価を行うため、試験の計画が改訂されました。結果において本ワクチンの追加接種によって新型コロナウイルス従来株に対する中和抗体価の顕著な増加が示されました。追加接種後に観察された反応原性プロファイルは2回目接種後と同様であり、安全性プロファイルも初回免疫時と同様でした。

- 2021年12月、当社は、厚生労働省およびModerna社と、「スパイクバックス筋注」の日本での追加供給に関して合意したことを公表しました。この三者間の連携での合意は3回目となり、このたび追加供給が決まったものは、2022年に1,800万回接種分(1回あたり50μg、1バイアル当たり15回追加接種(追加免疫)できるものとして算出)となります。当社はこれまでに、2021年より日本国内において「スパイクバックス筋注」5,000万回接種分を供給するための厚生労働省ならびに Moderna社との三者間での初回契約締結を公表し、2022年に追加の5,000万回接種分(両契約で計1億回接種分)を供給するための2回目の契約締結を公表しています。前項にて記載の初回接種(100μg)の半量である50μgの追加接種の承認により、2回目契約による供給は、追加接種としては7,500万回接種分となります(接種回数は追加接種として1バイアル当たり15回接種できるものとして算出)。3回目合意分の1,800万回接種分(前述と同様に算出)と合わせて、当社は2022年に合計9,300万回接種分を日本国内に供給します。

- 2022年5月、当社とModerna, Inc.(Moderna社)は、2022年8月1日付で「スパイクバックス筋注」の製造販売承認を当社からモデルナ・ジャパン株式会社(モデルナ・ジャパン)に承継することを公表しました。承継後モデルナ・ジャパンは、日本における「スパイクバックス筋注」の輸入、薬事、開発、品質保証および情報提供活動などのすべてに責任を持つことになります。当社は、当面の間、新型コロナウイルス感染症にかかわる特例臨時接種の枠組みの下、米国Moderna社の新型コロナウイルスワクチンの流通を引き続き担います。

 

[ヌバキソビッド筋注 開発コード:NVX-CoV2373(日本での開発コード:TAK-019)]

- 2021年9月、当社は、Novavax, Inc.(Novavax社)の新型コロナウイルス感染症ワクチン候補である「TAK-019」の製造販売承認取得を条件として、当社が日本で生産する「TAK-019」について厚生労働省が1億5,000万回接種分を購入する契約を締結したことを公表しました。当社は日本の自社工場において「TAK-019」の生産能力の整備を進めています。Novavax社は、当社へ「TAK-019」の製造技術の使用を許諾し技術移転を進めており、抗原と共に充填する「Matrix-MTM」アジュバントを供給します。

- 2022年4月、当社は、組換えスパイクタンパクを抗原とした新型コロナウイルス感染症ワクチン 「ヌバキソビッド筋注」について、18歳以上を対象として、厚生労働省より初回免疫および追加免疫に対する製造販売承認を取得したことを公表しました。今回の承認は、当社が実施した国内臨床第1/2相試験における中間結果、Novavax社が実施した英国ならびに米国およびメキシコで実施した2つの臨床ピボタル第3相試験、オーストラリアおよび米国における臨床第1/2相試験の安全性と有効性のデータ、申請後に追加提出した海外の安全性および有効性のデータに基づいています。国内臨床第1/2相試験の中間結果は良好で、これまで実施された臨床試験の結果と一致していました。国内臨床試験において本ワクチン投与群に重篤な有害事象は認められませんでした。 また、米国およびオーストラリアで実施した臨床第1/2相試験ならびに南アフリカで実施した臨床第2相試験において、初回接種から約6ヵ月後に本ワクチンを1回追加接種したところ、追加接種前と比較して顕著な抗体価の上昇が確認され、安全性に関する大きな懸念は認められませんでした。

- 2022年5月、当社は、「ヌバキソビッド筋注」について、予防接種法で定められた新型コロナワクチンの臨時予防接種に係る法令等の改正を経て、特例臨時接種として初回免疫(1、2回目接種)および追加免疫(3回目接種)を行う場合に使用するワクチンに指定されたことを公表しました。「ヌバキソビッド筋注」は、多くの医療用医薬品やワクチンと同様に冷蔵保存(保管温度:2-8℃)であり、通常のワクチンにおけるサプライチェーンを利用して輸送・保管することが可能です。

 

[開発コード:TAK-003 一般名:デング熱ワクチン]

- 2021年5月、当社は、「TAK-003」が現在進行中のグローバル臨床第3相試験「TIDES試験(Tetravalent Immunization against Dengue Efficacy Study)」のワクチン接種後3年間にわたる長期評価において、本ワクチンのデング熱感染およびデング熱感染による入院に対して持続的な予防効果(被験者のワクチン接種前のデング熱感染歴の有無を問わない)を示し、懸念されるような安全性リスクも認められなかったことを公表しました。「TIDES試験」には、デング熱流行国であるラテンアメリカやアジア地域において2万人以上の小児・若年層(4歳から16歳)の健常被験者が登録されています。「TIDES試験」の36ヵ月間にわたる追跡調査の安全性および有効性データは、第17回国際渡航医学会(CISTM: Conference of the International Society of Travel Medicine)で発表されました。「TAK-003」の3年間(2回目接種後36ヵ月)にわたる長期評価では、デングウイルスの各血清型(計4種)に対する「TAK-003」のワクチン有効性は、各血清型で異なっていたものの、この結果は、これまで報告してきた結果と一貫性のあるものでした。また、安全性においても全般的に忍容性が良好で、懸念されるような安全性リスクも認められませんでした。病態の増悪のエビデンスは確認されませんでした。「TIDES試験」の36ヵ月間にわたる追跡調査の安全性および有効性データは、欧州連合(EU)およびデング熱流行国における承認申請資料に含まれており、今後に承認申請が予定されている米国を含むその他の国々における申請資料にも含まれる予定です。

- 2022年6月、当社は、「TAK-003」がグローバル臨床第3相試験である「TIDES試験(Tetravalent Immunization against Dengue Efficacy Study)」において、ワクチン接種後4年半(54ヵ月)にわたる継続したデング熱の予防効果を示し、安全性について大きな懸念が認められなかったことを、第8回Northern European Conference on Travel Medicine(NECTM8)で発表しました。4年半を通して、「TAK-003」はデングウイルス感染症による入院に対して84.1%のワクチン有効性(95%信頼区間:77.8, 88.6)を示し、ワクチン接種前の血清反応陽性者では85.9%の有効性(78.7, 90.7)、血清反応陰性者では79.3%の有効性(63.5, 88.2)を示しました。また、ウイルス学的に確認されたデングウイルス感染症に対して61.2%(95%信頼区間:56.0, 65.8)の全体的な有効性を示し、ワクチン接種前の血清反応陽性者では64.2%の有効性(58.4, 69.2)、血清陰性者では53.5%の有効性(41.6, 62.9)でした。有効性は血清型によって異なっていましたが、この結果はこれまでに報告された結果と一貫性のあるものでした。「TAK-003」の忍容性は概ね良好であり、重要な安全性リスクは特定されませんでした。54ヵ月間の探索的解析からは、疾患増強のエビデンスは認められませんでした。

 

 

パイプラインの現状

当社グループの各疾患領域および事業分野における研究開発活動の概要は、以下に示すとおりです。後出する主要な疾患領域および事業分野において開示されている当社グループパイプライン上の治療薬の候補物質は、それぞれ異なる開発段階にあり、現在開発中の候補物質の開発中止や新たな候補物質の臨床ステージ入りにより、パイプラインの内容は今後変わる可能性があります。以下に示す候補物質が製品として上市に至るかは、前臨床試験や臨床試験の結果、様々な医薬品の市場動向、規制当局からの販売承認取得の有無など、様々な要因に影響されます。本表では当社が承認取得を目指しているパイプラインの主な効能および2021年度中に承認されたパイプラインを掲載しています。掲載している効能以外にも、将来の効能・剤型追加の可能性を検討するために臨床試験を行っています。以下の表記載は、米国・欧州・日本・中国に限定していますが、当社グループはその他の地域でも開発活動を行っています。以下、「グローバル」の表記は、米国・欧州・日本・中国を指します。下記の表にあるパイプラインのモダリティは、「低分子」、「ペプチド・オリゴヌクレオチド」、「細胞および遺伝子治療」、「マイクロバイオーム」、「生物学的製剤他」のいずれかに分類しています。

2022年5月11日(決算発表日)における当社グループのオンコロジー領域のパイプラインは以下のとおりです。なお、決算発表日以降の主な開発の進捗は注釈に記載しています。

開発コード

<一般名>

製品名

(国/地域)

薬効(投与経路)

モダリティ

適応症/剤型追加

国/地域

開発段階

SGN-35(注1)
<brentuximab
vedotin>
アドセトリス

(欧州、日本、中国)

CD30モノクローナル抗体薬物複合体(注射剤)

生物学的製剤他

皮膚T細胞リンパ腫

中国

承認(21/4)

<brigatinib>
アルンブリグ

(グローバル)

ALK阻害薬 (経口剤)

 

低分子

ALK陽性非小細胞肺がん(ファーストライン&セカンドライン)

中国

承認(22/3)

ALK陽性非小細胞肺がん(セカンドライン;アレクチニブとの直接比較試験)

米国

欧州

P-Ⅲ

P-Ⅲ

MLN9708

<ixazomib>

ニンラーロ

(グローバル)

プロテアソーム阻害薬 (経口剤)

 

低分子

造血幹細胞移植未実施の初発の多発性骨髄腫の維持療法

日本

米国

欧州

中国

承認(21/5)
P-Ⅲ

P-Ⅲ

P-Ⅲ

自家造血幹細胞移植後の初発の多発性骨髄腫の維持療法

米国

欧州

P-Ⅲ

P-Ⅲ

<cabozantinib>(注2)

カボメティクス

(日本)

マルチターゲットキナーゼ阻害薬(経口剤)

低分子

腎がん(ファーストライン;ニボルマブとの併用)

日本

承認(21/8)

転移性非小細胞肺がん(セカンドライン;アテゾリズマブとの併用(注3))

日本

P-Ⅲ

転移性去勢抵抗性前立腺がん(アテゾリズマブとの併用(注4))

日本

P-Ⅲ

<ponatinib>
ICLUSIG

(米国)

BCR-ABL阻害薬(経口剤)

 

低分子

フィラデルフィア染色体陽性の急性リンパ性白血病(フロントライン)

米国

P-Ⅲ

TAK-788

<mobocertinib>

EXKIVITY(米国)

EGFR/HER2 阻害薬(エクソン20変異対応)(経口剤)

低分子

EGFRエクソン20挿入変異を有する非小細胞肺がん(フロントライン)

 

グローバル

P-Ⅲ

EGFRエクソン20挿入変異を有する非小細胞肺がん(セカンドライン以降)(注5)

 

米国

中国

欧州

(注6)

日本

承認(21/9)

申請(21/7)

申請(21/7)

P-Ⅲ

 

 

開発コード

<一般名>

製品名

(国/地域)

薬効(投与経路)

モダリティ

適応症/剤型追加

国/地域

開発段階

TAK-385

<relugolix>

LH-RHアンタゴニスト (経口剤)

低分子

前立腺がん

日本

中国

P-Ⅲ

P-Ⅲ

TAK-981

<subasumstat>

SUMO阻害薬(注射剤)

低分子

複数のがん種

P-Ⅱ

TAK-007(注7)

CD19 CAR-NK細胞療法(注射剤)

 

細胞および遺伝子治療

再発・難治性のB細胞性悪性腫瘍

P-I/Ⅱ

TAK-102(注8)

GPC3 CAR-T(注射剤)

細胞および遺伝子治療

固形がん

P-Ⅰ

TAK-103(注8)

メソテリン CAR-T(注射剤)

細胞および遺伝子治療

固形がん

P-Ⅰ

TAK-573(注9)

<modakafusp alfa>

抗CD38抗体(IgG4)と活性減弱IFNαとの融合蛋白(注射剤)

生物学的製剤他

再発・難治性の多発性骨髄腫

P-Ⅰ

TAK-605(注10)

腫瘍溶解性ウイルス(腫瘍内投与)

生物学的製剤他

固形がん

P-Ⅰ

TAK-676

STINGアゴニスト(注射剤)

低分子

固形がん

P-Ⅰ

TAK-500

STINGアゴニスト 

抗体薬物複合体(注射剤)

生物学的製剤他

固形がん

P-Ⅰ

TAK-940(注11)

CD19 1XX CAR-T(注射剤)

細胞および遺伝子治療

再発・難治性のB細胞性悪性腫瘍

P-Ⅰ

TAK-186(注12)

T細胞誘導抗体(注射剤)

生物学的製剤他

EGFR発現固形がん

P-Ⅰ

 

(注1)Seagen社との提携

(注2)Exelixis社との提携

(注3)中外製薬との提携、P-Ⅲ試験は同社が実施

(注4)中外製薬との提携、P-Ⅲ試験は当社が実施

(注5)米国FDAの審査は、FDAオンコロジー・センター・オブ・エクセレンス(腫瘍研究拠点:OCE)の取り組みである、英国、ブラジル、豪州などの国際的なパートナーとの間でオンコロジー製品の同時申請・同時審査を行う枠組みを提供するProject Orbisに基づいて行われています。

(注6)2022年3月に英国で承認取得

(注7)The University of Texas MD Anderson Cancer Centerとの提携

(注8)Noile-immune Biotech社との提携

(注9)Teva Pharmaceutical Industries社との提携

(注10)Turnstone Biologics社との提携

(注11)Memorial Sloan Kettering Cancer Centerとの提携

(注12)Maverick Therapeutics社買収を通じて取得

 

 

2022年5月11日(決算発表日)における当社グループの希少遺伝子疾患および血液疾患領域のパイプラインは以下のとおりです。なお、決算発表日以降の主な開発の進捗は注釈に記載しています。

開発コード

<一般名>

製品名

(国/地域)

薬効(投与経路)

モダリティ

適応症/剤型追加

国/地域

開発段階

TAK-743

<lanadelumab>

タクザイロ

(グローバル)

血漿カリクレイン阻害薬(注射剤)

生物学的製剤他

遺伝性血管性浮腫

日本

承認(22/3)

遺伝性血管性浮腫(小児)

グローバル

P-Ⅲ

ブラジキニン介在性血管性浮腫

グローバル

P-Ⅲ

TAK-577

VONVENDI
(米国、日本)

VEYVONDI(欧州)

フォン・ヴィレブランド因子[遺伝子組換え](注射剤)

生物学的製剤他

フォン・ヴィレブランド病の予防(成人)

米国

日本

欧州

中国

承認(22/1)

承認(22/3)

P-Ⅲ

P-Ⅲ

フォン・ヴィレブランド病の出血時および周術期の補充療法(小児)

グローバル

P-Ⅲ

TAK-620(注1)

<maribavir>

LIVTENCITY

(米国)

ベンズイミダゾールリボシド系阻害薬(経口剤)

低分子

移植後の(バル)ガンシクロビル、シドフォビル、ホスカルネットに治療抵抗性・難治性のサイトメガロウイルス感染(症)

米国

欧州

承認(21/11)申請(21/6)

造血幹細胞移植後のサイトメガロウイルス感染のファーストライン治療

米国

欧州

P-Ⅲ

P-Ⅲ

TAK-660

アディノベイト

(米国、日本)

ADYNOVI(欧州)

抗血友病因子[遺伝子組換え]PEG修飾(注射剤)

生物学的製剤他

血友病A(小児)

欧州

 

P-Ⅲ

 

TAK-755(注2)

欠損したADAMTS13 酵素の補充(注射剤)

 

生物学的製剤他

 

先天性血栓性血小板減少性紫斑病

米国

欧州

P-Ⅲ

P-Ⅲ

免疫性血栓性血小板減少性紫斑病

米国

欧州

P-Ⅱ

P-Ⅱ

鎌状赤血球症

米国

P-Ⅰ

TAK-672(注3)

OBIZUR

(米国、欧州)

ブタ第VIII因子(遺伝子組換え)(注射剤)

 

生物学的製剤他

後天性血友病A(AHA)

日本

P-Ⅱ/Ⅲ

TAK-141/JR-141(注4)

<pabinafusp alfa>

抗ヒトトランスフェリン受容体抗体とイズロン酸-2-スルファターゼの融合蛋白質(遺伝子組換え)(注射剤)

生物学的製剤他

ハンター症候群(中枢性および身体症状)

欧州

P-Ⅲ

TAK-611

髄腔内投与用ヒトアリールスルファターゼA(遺伝子組換え)(注射剤)

生物学的製剤他

異染性白質ジストロフィー

P-Ⅱ

TAK-079(注5)

<mezagitamab>

抗CD38モノクローナル抗体(注射剤)

生物学的製剤他

重症筋無力症

P-Ⅱ

免疫性血小板減少性紫斑病

P-Ⅱ

全身性エリテマトーデス

P-Ⅰ/Ⅱ

TAK-834

NATPARA(米国)

NATPAR(欧州)

副甲状腺ホルモン(注射剤)

生物学的製剤他

副甲状腺機能低下症

日本

P-Ⅰ(注6)

 

(注1)GlaxoSmithKline社との提携

(注2)日本においてはKMバイオロジクス社との相互に独占的な共同販売契約

(注3)Ipsen社との提携

(注4)JCRファーマと特定地域における独占的な共同開発およびライセンス契約を締結。

当社は、米国以外のカナダ、欧州およびその他の地域(日本と一部のアジア太平洋諸国を除く)におけるTAK-141/JR-141の事業化を独占的に実施。また、当社は本契約とは別に締結したオプション契約に基づき、当該臨床第3相試験プログラムの完了時に米国におけるTAK-141/JR-141の事業化について独占的ライセンスを得る権利を保有。

(注5)再発・難治性の多発性骨髄腫の試験は試験終了まで継続

(注6)日本におけるP-Ⅰ試験が完了し、P-Ⅲ試験開始の時期を検討中

 

2022年5月11日(決算発表日)における当社グループのニューロサイエンス(神経精神疾患)領域のパイプラインは以下のとおりです。なお、決算発表日以降の主な開発の進捗は注釈に記載しています。

開発コード

<一般名>

薬効(投与経路)

モダリティ

適応症/剤型追加

国/地域

開発段階

TAK-935

<soticlestat>

CH24H阻害薬 (経口剤)

低分子

ドラベ症候群

グローバル

P-Ⅲ

レノックス・ガストー症候群

グローバル

P-Ⅲ

TAK-994

オレキシン2Rアゴニスト(経口剤)

低分子

ナルコレプシー

P-Ⅱ(注4)

TAK-071

M1ポジティブアロステリックモジュレーター(M1PAM)(経口剤)

低分子

パーキンソン病

P-Ⅱ

TAK-041(注1)

GPR139アゴニスト(経口剤)

低分子

大うつ病(MDD)における無快楽症

P-Ⅱ

TAK-653(注1)

AMPA受容体増強薬(経口剤)

低分子

抗うつ薬による効果が不十分な大うつ病(MDD)

P-Ⅱ

TAK-594/DNL593(注2)

脳内移行性を有するプログラニュリン融合蛋白質

(注射剤)

生物学的製剤他

前頭側頭型認知症

P-Ⅰ/Ⅱ

TAK-341/MEDI1341

(注3)

抗α-シヌクレイン抗体(注射剤)

生物学的製剤他

パーキンソン病

P-Ⅰ

TAK-861

オレキシン2Rアゴニスト(経口剤)

低分子

睡眠障害、その他

P-Ⅰ

TAK-925

オレキシン2Rアゴニスト(注射剤)

低分子

術後の麻酔からの回復、ナルコレプシー

P-Ⅰ

 

(注1)Neurocrine社との50/50共同開発・共同販売契約

(注2)Denali Therapeutics社との提携、P-Ⅰ試験は同社が実施

(注3)AstraZeneca社との提携、P-Ⅰ試験は同社が実施

(注4)TAK-994は臨床試験を中断(2022年5月11日時点)していたが、2022年6月、開発を継続しないことを決定

 

 

2022年5月11日(決算発表日)における当社グループの消化器系疾患領域のパイプラインは以下のとおりです。なお、決算発表日以降の主な開発の進捗は注釈に記載しています。

開発コード

<一般名>

製品名

(国/地域)

薬効(投与経路)

モダリティ

適応症/剤型追加

国/地域

開発段階

MLN0002

<vedolizumab>

エンタイビオ

(グローバル)

ヒト化抗α4β7インテグリンモノクローナル抗体 (注射剤)

生物学的製剤他

皮下投与製剤(潰瘍性大腸炎)

米国

日本

審査完了通知受領(19/12)

(注7)

申請(19/8)

皮下投与製剤(クローン病)

米国

日本

P-Ⅲ

P-Ⅲ

活動性の慢性回腸嚢炎

欧州

承認(22/1)

同種造血幹細胞移植を受けている患者における移植片対宿主病の予防

欧州

日本

P-Ⅲ

P-Ⅲ

潰瘍性大腸炎・クローン病(小児)

グローバル

P-Ⅲ

TAK-438

<vonoprazan>

タケキャブ

(日本)

VOCINTI(中国)

カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(経口剤)

低分子

酸関連疾患(逆流性食道炎の維持療法)

中国

承認(21/10)

口腔内崩壊錠

日本

承認(22/3)

酸関連疾患(ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助)

中国

P-Ⅲ

TAK-633

<teduglutide>

GATTEX(米国)/

レベスティブ

(欧州、日本)

GLP-2アナログ(注射剤)

ペプチド・オリゴヌクレオチド

短腸症候群(小児)

日本

承認(21/6)

短腸症候群(成人)

日本

承認(21/6)

Cx601

<darvadstrocel>

アロフィセル
(欧州、日本)

同種異系脂肪由来幹細胞懸濁剤(注射剤)

生物学的製剤他

難治性のクローン病に伴う複雑痔瘻

米国

日本

P-Ⅲ

承認(21/9)

TAK-954(注1)

5-HT4受容体アゴニスト(注射剤)

低分子

術後消化器機能障害

P-Ⅱb

TAK-999(注2)

GalNAcベースRNA干渉(RNAi)(注射剤)

ペプチド・オリゴヌクレオチド

α-1アンチトリプシン欠損関連肝疾患

米国

欧州

P-Ⅱb

P-Ⅱb

TAK-101(注3)

Tolerizing Immune Modifying nanoParticle

(TIMP)(注射剤)

生物学的製剤他

セリアック病

P-Ⅱa

TAK-018/EB8018

(注4)

<sibofimloc>

FimH アンタゴニスト(経口剤)

低分子

クローン病(手術後および回腸炎)

P-Ⅱa

TAK-951

ペプチドアゴニスト(皮下注射製剤)

ペプチド・オリゴヌクレオチド

悪心、嘔吐

P-Ⅱ

TAK-510

ペプチドアゴニスト(皮下注射製剤)

ペプチド・オリゴヌクレオチド

悪心、嘔吐

P-Ⅰ

TAK-105

ペプチドアゴニスト(皮下注射製剤)

ペプチド・オリゴヌクレオチド

悪心、嘔吐

P-Ⅰ

TAK-062

グルテン分解酵素(経口剤)

生物学的製剤他

セリアック病

P-Ⅰ

TAK-039(注5)

細菌コンソーシアム(経口剤)

マイクロバイオーム

クロストリジウム・ディフィシル感染症(注6)

P-Ⅰ

 

(注1)Theravance Biopharma社との提携

(注2)Arrowhead Pharmaceuticals社との提携

(注3)COUR Pharmaceuticals社からTAK-101の開発および製品化の権利を獲得。旧名TIMP-GLIA

(注4)Enterome Biosciences社との提携

(注5)NuBiyota社との提携

(注6)クロストリジウム・ディフィシル感染症でのP-I試験完了。戦略上、本プログラムは肝性脳症で開発予定

(注7)米国FDAと協議中。タイムラインは検討中で、2023年度の承認可能性を見込む

 

2022年5月11日(決算発表日)における当社グループの血漿分画製剤のパイプラインは以下のとおりです。なお、決算発表日以降の主な開発の進捗は注釈に記載しています。

開発コード

<一般名>

製品名

(国/地域)

薬効(投与経路)

モダリティ

適応症/剤型追加

国/地域

開発段階

TAK-664

CUVITRU

(米国、欧州)

免疫グロブリン20% [ヒト由来] (皮下注射製剤)

生物学的製剤他

原発性免疫不全症候群

日本

P-Ⅲ

TAK-771(注1)

<IG Infusion 10% (Human) w/ Recombinant Human Hyaluronidase>

HYQVIA(米国、欧州)

遺伝子組換え型ヒトヒアルロニダーゼ含有免疫グロブリンG補充療法(注射剤)

 

生物学的製剤他

原発性免疫不全症候群(小児適応)

米国

P-Ⅲ

慢性炎症性脱髄性多発根神経炎

米国

欧州

P-Ⅲ

P-Ⅲ

慢性炎症性脱髄性多発根神経炎・多巣性運動ニューロパチー

日本

P-Ⅲ

原発性免疫不全症候群

日本

P-Ⅲ

TAK-880

<10% IVIG Low IgA>

免疫グロブリン 10%

[ヒト由来](注射剤)(Low IgA)

生物学的製剤他

原発性免疫不全症候群・多巣性運動ニューロパチー

米国

欧州

申請準備中

(注2)

TAK-662

CEPROTIN

(米国、欧州)

プロテインC濃縮物

[ヒト由来](注射剤)

生物学的製剤他

重症先天性プロテインC欠乏症

日本

P-Ⅰ/Ⅱ

TAK-881

<Facilitated 20% SCIG>

遺伝子組換え型ヒトヒアルロニダーゼ含有免疫グロブリンG 20% 補充療法(注射剤)

生物学的製剤他

免疫不全症

P-Ⅰ/Ⅱ

 

(注1)Halozyme社との提携

(注2)データ収集のための非介入試験が継続中

 

 

2022年5月11日(決算発表日)における当社グループのワクチンのパイプラインは以下のとおりです。なお、決算発表日以降の主な開発の進捗は注釈に記載しています。

開発コード

薬効(投与経路)

モダリティ

適応症/剤型追加

国/地域

開発段階

TAK-919/mRNA-1273

(注1)

スパイクバックス筋注
(日本)

SARS-CoV-2ワクチン(注射剤)

生物学的製剤他

新型コロナウイルスによる感染症(COVID-19)の予防(初回接種)

日本

承認(21/5)

(注4)

新型コロナウイルスによる感染症(COVID-19)の予防(追加接種)

日本

承認(21/12)

TAK-019/

NVX‑CoV2373(注2)

ヌバキソビッド筋注
(日本) 

SARS-CoV-2ワクチン(注射剤)

生物学的製剤他

新型コロナウイルスによる感染症(COVID-19)の予防(初回および追加接種)

日本

承認(22/4)

 

 

TAK-003

4価デング熱ワクチン

(注射剤)

生物学的製剤他

いずれかの血清型によるあらゆる重症度のデング熱ウイルスによる感染症の予防、ただし4-60歳が対象

欧州およびEU-M4all

申請(21/3)

(注5)

P-Ⅲ

TAK-426(注3)

ジカウイルスワクチン

(注射剤)

生物学的製剤他

ジカウイルスによる感染症の予防

P-Ⅰ

 

(注1)Moderna社、厚生労働省との提携

(注2)Novavax社との提携

(注3)米国政府Biomedical Advanced Research and Development Authority(BARDA)との提携

(注4)12歳以上への接種年齢の拡大(2021/7)

(注5)欧州での申請に加え、欧州連合(EU)圏外の国を対象としたEU-M4all(旧称:Article58)制度により、EU-M4all制度に参加していない中南米やアジアのデング熱流行国においても申請を開始

 

 

開発中止品目

  昨年度以降に中止したプロジェクトは以下のとおりです。

開発コード

適応症/剤型追加

(国/地域、開発段階)

中止および終了理

CoVIg-19

COVID-19の臨床症状を発症した成人の入院患者(米国、欧州、日本、P-Ⅲ)

米国国立衛生研究所(NIH)の一部である米国国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)がスポンサーとして実施していた臨床第3相ITAC試験は、評価項目を満たすことができませんでした。

TAK-169

再発・難治性の多発性骨髄腫(P-Ⅰ)

TAK-169の全権利についてMolecular Templates社への返還を決定しました。同社がTAK-169の開発を継続する予定です。

TAK-831

<luvadaxistat>

統合失調症に伴う陰性症状および認知機能障害(P-Ⅱ)

臨床データに基づき、パートナーであるNeurocrine社は、統合失調症陰性症状の開発を中止することを決定しました。Neurocrine社は統合失調症に伴う認知機能障害を対象としたTAK-831の開発は継続。当社はNeurocrine社が実施する追加試験への参加は見送ることを決定し、TAK-831に関するマイルストンおよびロイヤルティを受領する権利のみを維持。

TAK-671

急性膵炎(P-Ⅰ)

当社はビジネス上の決定に基づき更なる開発について取り止める選択をしました。開発を継続する権利はSamsung Bioepis社が保有します。

TAK-924

<pevonedistat>

高リスク骨髄異形成症候群(P-Ⅲ)
非適応の急性骨髄性白血病(P-Ⅲ)

臨床第3相PANTHER試験にて、主要評価項目を達成しませんでした。臨床第3相試験の結果は、高リスク骨髄異形成症候群および非適応の急性骨髄性白血病におけるさらなる開発を支持できる結果ではありませんでした。急性骨髄性白血病におけるベネトクラックス併用の臨床第1/2相試験は継続中ですが、新たな患者の募集および登録は行われていません。

TAK-935

<soticlestat>

15q重複症候群、CDKL5欠損症(P-Ⅱ)

臨床第2相試験は、これら適応症におけるさらなる開発を支持できる結果ではありませんでした。

TAK-252

固形がん又はリンパ腫(P-Ⅰ)

当社とShattuck Labs社は両者間の提携契約を終了することを合意しました。これを受け、当社におけるTAK-252の開発を中止します。

TAK-438

<vonoprazan>

酸関連疾患(十二指腸潰瘍)

(中国、申請取り下げ)

中国CDE(医薬品評価センター)の評価結果を検討し、当社は本適応症での開発を継続しないことを決定しました。

TAK-721

<budesonide>

好酸球性食道炎(米国、申請)

FDAからの審査完了報告通知(CRL)を検討し、当社は本プログラムの開発を継続しないことを決定しました。

TAK-906

胃不全麻痺(P-Ⅱb)

臨床第2相b試験は、胃不全麻痺またはその他の消化器系領域の適応症におけるさらなる開発を支持できる結果ではありませんでした。

TAK-609

ハンター症候群(中枢性)(米国、欧州、P-Ⅱ)

長年に亘る詳細な評価・規制当局との議論を経て、本プログラムの開発を中止するという難しい決定をしました。データは申請を行うに十分ではありませんでした。

 

 

 

ライセンスおよび共同研究開発契約

当社は通常の事業において、製品開発および商業化のために第三者とライセンス契約や業務提携を行うことがあります。当社の事業は、こうした個々の契約に大きく依存するものではありませんが、これらの契約は全体として、社内外のリソースを組み合わせて活用することで新製品の開発や上市を可能にするという当社の戦略の一部を構成しています。これまで製品上市に寄与してきた契約の一部に関する概要は以下の通りであります。

- アドセトリス:2009年、当社はSeagen, Inc.(旧シアトルジェネティクス社)(以下、「Seagen社」)と、「アドセトリス」のグローバル共同開発および世界各国(同社が本剤を販売している米国、カナダを除く)における販売の提携契約を締結しました。本提携関係に基づき、当社による開発および販売の進捗に関してマイルストン支払いを行いました。また、契約対象地域における「アドセトリス」の正味売上高に基づき10%台半ばから20%台半ばの割合で段階的なロイヤルティを支払います。当社とSeagen社は、本提携関係のもとで実施される選択された開発活動の費用を均等に共同で負担しますが、2022年3月31日現在、当社の「アドセトリス」提携契約に基づく販売マイルストンの残存支払見込額はありません。本提携関係は、いずれか一方の当事者による正当な事由または両者の合意をもって解除することができます。当社は本提携関係を自由に解除でき、Seagen社は一定の状況において本提携関係を解除できます。両社により提携解除がなされなかった場合、本契約は全ての支払い義務の満了をもって自動的に終了します。

- トリンテリックス:2007年、当社はH. Lundbeck A/S(以下、「ルンドベック社」)とライセンス、開発、供給および販売契約を締結し、同社の保有する気分障害・不安障害治療薬パイプライン上の複数の化合物について米国および日本における独占的な共同開発および共同販売権を取得しました。本契約に基づき、当社とルンドベック社は、米国および日本で「トリンテリックス」を販売しており、また、開発資金の大部分を当社が負担することとし、関連化合物の共同開発に合意しました。「トリンテリックス」による収益は当社が計上し、当社はルンドベック社に対し正味売上高の一部に加え、当社による本剤の売上に基づき10%台前半から半ばの割合で段階的なロイヤルティを支払います。また、本提携関係に基づき、当社はルンドベック社に対し、開発および販売の進捗に関して一定の開発および販売マイルストンを支払うことに合意しておりますが、2022年3月31日現在、当社の「トリンテリックス」提携契約に基づく販売マイルストンの残存支払見込額はありません。本契約は無期限に存続しますが、両者の合意または正当な事由をもって解除されます。

 

将来に向けた研究プラットフォームの構築/研究開発における提携の強化

- 2021年7月、当社とぺプチドリーム株式会社は、2020年12月に公表済みの両社の共同研究および独占的ライセンスの枠組みを拡大し、慢性神経変性疾患において重要な役割を担う複数の中枢神経系(CNS)ターゲットについてペプチド-薬物複合体(Peptide Drug Conjugate)の創製に向けた取り組みを進めることを公表しました。今回の共同研究の拡大により、神経変性疾患に関連する複数のCNSターゲットに対してTfR1結合ペプチドリガンドを用い、当社がTfR1結合ペプチドと医薬品候補化合物の複合体を作成し、医薬品候補化合物に血液脳関門(BBB)通過能を付与する研究を行うことが可能になります。神経変性疾患に効果的な医薬品の開発で大きな課題となるのが、治療薬物のBBB通過能を高め脳内に送達させる技術です。TfR1結合ペプチド(キャリアペプチド)を各種の治療用化合物に結合させることで、化合物のBBB通過能を高め脳内に取り込まれるため、医薬品としての機能が著しく向上します。このTfR1 BBBシャトルアプローチは、BBBの通過が困難なままである治療法の開発を加速する可能性があります。また、このアプローチは現在治療薬がほとんどないかまたは全く存在しない数多くの神経変性疾患を効果的に治療するために必要とされる、広い脳領域への薬物の生体内分布を可能にする可能性があります。

- 2021年7月、当社とFrazier Healthcare Partnersは、当社のノロウイルスワクチンの開発および販売を行うバイオ医薬品企業HilleVax, Inc.(HilleVax社)設立に関して提携したことを公表しました。当社は、契約一時対価ならびに将来の売上に応じたキャッシュ・ロイヤルティおよびマイルストンを対価として、HilleVax社へノロウイルスワクチン候補である「HIL-214」(旧開発コード:「TAK-214」)の日本を除く世界における独占的開発および販売の権利を譲渡しました。当社は日本における販売権を保有し、HilleVax社は日本における開発活動をグローバル開発に統合します。ウイルス様粒子技術(VLP)を用いたワクチン候補である「HIL-214」は、4,712例の成人被験者を対象とした無作為割付プラセボ対照臨床第2相後期有効性フィールド試験を完了しています。本試験では、「HIL-214」の良好な忍容性およびノロウイルス感染に起因する中等度から重度の急性胃腸炎に対する予防効果のプルーフ・オブ・コンセプト(proof of concept)が確認されました。本ワクチンについては、2021年7月時点で9つの臨床試験が実施されており、4,500例以上の被験者の安全性データおよび2,000例以上の被験者から得られた免疫原性データが集積されています。

- 2021年9月、当社とMirum Pharmaceuticals, Inc.(Mirum社)は、Mirum社の有する希少肝疾患に対する治療薬である胆汁酸トランスポーター(ASBT)阻害薬「maralixibat chloride」(一般名)(「maralixibat」)(米国の商品名「LIVMARLI」)について、アラジール症候群、進行性家族性肝内胆汁うっ滞症および胆道閉鎖症に関する日本における独占的開発・販売権に関するライセンス契約を締結したことを公表しました。「maralixibat」は、経口の薬剤であり、世界でアラジール症候群、進行性家族性肝内胆汁うっ滞症および胆道閉鎖症について臨床試験が進められています。本契約に基づき当社は、胆汁うっ滞に関連した適応症における臨床試験を含む、「maralixibat」の日本における開発、製造販売承認の取得および販売の責任を担うこととなります。

- 2021年9月、当社とJCRファーマ株式会社(JCR)は、抗ヒトトランスフェリン受容体抗体とイズロン酸-2-スルファターゼ(IDS)の融合蛋白質でハンター症候群(ムコ多糖症2型、MPS II)の治療薬として開発中の次世代組換え融合蛋白質「JR-141」(pabinafusp alfa)の特定地域における独占的な共同開発およびライセンス契約を締結したことを公表しました。「JR-141」は、JCRが有する血液脳関門(BBB)通過技術である「J-Brain Cargo」を用い、治療効果をもつ酵素がBBBを通過し、脳内に直接到達して、ハンター症候群の身体症状と、認知機能障害の進行につながりうる神経障害性症状に働きかけるよう設計された物質です。今回の独占的な共同開発およびライセンス契約により、当社は、米国以外の、カナダ、欧州およびその他の地域(日本と一部のアジア太平洋諸国を除く)における「JR-141」の事業化を独占的に行います。両社は、JCRが実施するグローバル第3相プログラムの完了後、可能な限り速やかに本治療薬を患者にお届けできるよう連携して活動します。また、当社は、本契約とは別に締結したオプション契約に基づき、当該第3相プログラムの完了時に米国における「JR-141」の事業化について独占的ライセンスを得る権利を取得します。

- 2021年10月、当社は、免疫療法としてのガンマ・デルタ(γδ)T細胞がもつユニークな特性の探索に特化した企業であるGammaDelta Therapeutics Limited(GammaDelta社)を買収するオプション権を行使したことを公表しました。今回の買収により、当社は、GammaDelta社の同種可変デルタ1(Vδ1)ガンマ・デルタ(γδ)T細胞療法プラットフォームを取得します。同プラットフォームには血液由来および組織由来のプラットフォームと開発初期段階の細胞療法プログラムが含まれます。本買収は、2022年4月に完了しました。

- 2022年1月、当社は、可変デルタ1(Vδ1)ガンマ・デルタ(γδ)T細胞を修飾し抗体ベースの治療薬の開発を進める英国に本拠を置く企業であるAdaptate Biotherapeutics Ltd.(Adaptate社)を買収するオプション権を行使したことを公表しました。今回の買収計画により、当社は、Adaptate社の抗体ベースのγδT細胞エンゲージャープラットフォームを前臨床段階の候補品および創薬パイプラインのプログラムを含め取得します。Adaptate社のγδT細胞エンゲージャーは、腫瘍でのみγδT細胞がメディエートする免疫反応を特異的に修飾し、健康な細胞を傷つけないよう設計されています。本買収は、当社によるGammaDelta社の買収オプション権の行使に続き、革新的なγδT細胞ベースの治療薬の開発をさらに加速することを目的としています。本買収は、2022年4月に完了しました。

 

当社の上記以外の研究開発ライセンスおよび提携のパイプラインは下表のとおりですが、これらに限定されません。

 

オンコロジー領域

提携先

内容/目的

Adimab

米国

オンコロジー領域において、3つのモノクローナル抗体及び3つのCD3二重特異性抗体の創薬・開発・販売。

あすか製薬

日本

relugolix(一般名、開発コード:TAK-385)に関し、製品価値の最大化を目的に、日本における子宮筋腫での独占的販売権および子宮内膜症での独占的開発・販売権を、あすか製薬に導出。

Crescendo Biologics

英国

オンコロジー領域におけるHumabody®を用いた治療薬の創製、開発および販売。

Egle Therapeutics

フランス

腫瘍特異的制御性T細胞の新規標的を特定し、独自の抗サプレッサーに基づく免疫療法を開発。

Exelixis, Inc.

米国

がん治療薬cabozantinibに関して、日本における進行性腎細胞癌及び肝細胞癌をはじめ適応拡大を含めた独占的な開発・販売権を獲得。

GammaDelta Therapeutics

英国

ヒト組織常在型のガンマ・デルタT細胞が有する独自の特性に基づくGammaDelta Therapeutics社の新規T細胞基盤技術を活用した、がん領域での新たな免疫治療薬の研究開発。当社は2021年10月にGammaDelta社を買収するオプション権を行使。また、当社は2022年1月に、可変デルタ1 (Vδ1)ガンマ・デルタ(γδ)T細胞を修飾し抗体ベースの治療薬の開発を進めるAdaptate Biotherapeutics 社を買収するオプション権を行使。Adaptate社は英国に本拠を置くGammaDelta社のスピンアウト企業。両買収とも2022年4月に完了。

GlaxoSmithKline

英国

新規がん治療薬niraparibに関して、日本における全てのがん、および韓国及び台湾においては前立腺がんを除く全てのがんに関する独占的開発・販売権を獲得。

Heidelberg Pharma

ドイツ

抗体薬物複合体に関する2標的に関するライセンスを含む研究提携(アルファアマニチン毒素及び独占権を有するリンカー)。

KSQ Therapeutics

米国

KSQ社のCRISPRomics®技術を用いたがんに対する新規免疫ベース治療に関する、研究・開発・商業化における戦略的提携。

MD Anderson Cancer Center

米国

B細胞性の悪性腫瘍やその他のがんをターゲットとしたIL-15分泌促進型の臍帯血由来キメラ抗原受容体を発現したNK(CAR NK)細胞療法に関する独占的ライセンス契約ならびに共同研究開発契約。

Memorial Sloan Kettering Cancer Center

米国

多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病および追加対象として固形がんの治療を目的とした新規のキメラ抗原受容体発現T細胞(CAR-T)の細胞療法を開発するための戦略的な共同研究契約およびライセンス契約を締結。本共同研究は、現在、Memorial Sloan Ketteringの細胞工学センターの責任者であるMichel Sadelainが共同で実施。

Myovant Sciences

スイス

日本とアジアの一部の国を除く全世界におけるrelugolix(TAK-385)の独占的権利、および全世界におけるMVT-602(TAK-448)の独占的権利をMyovant社に供与。

国立がん研究センター

日本

抗がん剤の創薬やがん生物学の研究に携わる研究者、医師などの交流促進を通じて、基礎研究から臨床試験まで進展させるための協力契約。

ノイルイミューン・バイオテック

日本

山口大学玉田耕治教授により開発された次世代型キメラ抗原受容体発現T細胞(CAR-T)療法の

研究開発。当社は本提携により創出されたノイルイミューン・バイオテック社のパイプラインや製品の開発・販売権を導入できる独占的オプションを有する。本共同研究の成果を受け、NIB-102とNIB-103を導入済み。

Presage Biosciences

米国

抗がん剤を微量投与した際の患者の反応を評価するために、Presage社の独自のプラットフォームであるCIVOを用いた複数のプログラムに関する共同研究およびライセンス契約。

 

 

提携先

内容/目的

Teva

イスラエル

TEV-48573(TAK-573)(modakafusp alpha、Anti-CD38-AttenukineTM)の全世界の権利及びTeva社のAttenukineTMプラットフォーム技術を活用する複数のターゲットの研究提携。

Turnstone Biologics

米国

TAK-605(RIVAL-01)(aCTLA4、IL12-mb、flt3Lを発現する新しい腫瘍溶解性ウイルス)を共同開発するグローバル提携。Turnstone社のワクシニアウイルスプラットフォームに基づいて追加の新規治療薬候補を特定する共同研究も併せて実施する。

 

 

希少遺伝子疾患および血液疾患領域

提携先

内容/目的

Asklepios Biopharmaceuticals

米国

血友病AおよびBを対象とする第Ⅷ因子の遺伝子治療を目的とする複数の研究開発提携。

BioMarin

米国

イデュルスルファーゼの髄腔内投与により外因性イズロン酸-2-スルファターゼ補充を可能にする技術の導入。認知機能障害を伴うハンター症候群患者において、長期的な治療のために本酵素を中枢神経系に直接到達させることにより、認知機能障害の進行を遅らせる(TAK-609)。

Carmine Therapeutics

シンガポール

赤血球細胞外小胞に基づくCarmine社のREGENT™技術を用いて、希少疾患領域の2つの標的に対する革新的な非ウイルス性の遺伝子治療を創薬、開発、および商業化する提携。

Code Bio

米国

Code Bio社の3DNAプラットフォームを用いた、肝疾患を対象とした標的遺伝子治療薬の設計・開発、および中枢神経系を標的とした希少疾患プログラムの追加試験の実施についての共同研究およびライセンス契約。なお当社は、4つのプログラムについて、独占的ライセンスを受けるためのオプション権を保有。

Codexis, Inc.

米国

リソソーム蓄積症および血液因子欠乏症の治療を含む、特定の適応症に対する新規遺伝子治療の研究・開発を目的とする戦略的提携・ライセンス契約。

Ensoma

米国

Ensoma社のEngenious™ベクターについて、最大5つの希少疾患の適応症を対象とした全世界での独占的権利を取得する共同研究およびライセンス契約。

Evox Therapeutics

英国

新規のタンパク質補充療法およびmRNA治療薬、ならびにEvox社独自のエキソソーム技術を活用した選択的な薬剤送達の開発を目的とした提携。最大5つの希少疾患をターゲットし、当社は臨床開発の責任を負う。

Evozyne

米国

最大4つの希少疾患を対象に、次世代遺伝子治療薬の開発に活用できるタンパク質の研究開発における共同研究およびライセンス契約。

GlaxoSmithKline

英国

GlaxoSmithKline社およびミシガン大学とのヒトサイトメガロウイルス感染症治療薬としてのTAK-620 (maribavir)導入契約。

JCRファーマ

日本

ハンター症候群(MPS II)の治療薬であるTAK-141(JR-141, pabinafusp alfa)をJCR独自の血液脳関門(BBB)通過技術であるJ-Brain Cargo®に適用し、事業化するための独占的な提携およびライセンス契約。当社は、TAK-141をカナダ、欧州、その他の地域(日本およびアジア太平洋地域を除く)を含む米国外で独占的に事業化。また当社は、本契約とは別のオプション契約に基づき、臨床第3相試験が終了した時点で、TAK-141を米国で独占的に事業化する権利を取得。2022年3月、当社とJCR社はライソゾーム蓄積疾患(LSD)を対象に、J-Brain Cargo® BBB通過技術を応用した遺伝子治療薬の開発について、新たに独占的ライセンスおよび共同研究契約を締結。当社は、希少疾患および非希少疾病領域における疾患をその対象として追加できるオプション権を保有。

Immusoft

米国

Immusoft社のImmune System Programming(ISP™)技術プラットフォームを用いて、中枢神経系の症状や合併症を伴う希少遺伝性代謝性疾患の細胞療法を探索、開発、事業化するための研究提携およびライセンスオプション契約。

IPSEN

フランス

後天性血友病A治療薬としてのObizur開発のための譲渡(購入)契約。緊急および非緊急の手術におけるインヒビター保有先天性血友病A患者への適用開発も含む。

 

 

提携先

内容/目的

KMバイオロジクス

日本

血栓性血小板減少性紫斑病におけるADAMTS13欠損克服を目的としたTAK-755の開発提携。

Oak Hill Bio

英国

希少疾患の治療薬開発を行うOak Hill Bio社との複数アセットの譲渡・ライセンス契約。当社は、OHB-607(旧名:TAK-607)およびOHB-101(旧名:TAK-752)を含む複数の前臨床および臨床プログラムをOak Hill Bio社に委譲。当社はその対価として、契約一時金と同社株式を受領し、また、将来的にマイルストンとロイヤルティの支払いを受ける。

Poseida Therapeutics

米国

Poseida社のpiggyBac、Cas-CLOVER、生分解性DNAおよびRNAナノ粒子送達技術、およびその他の独自の遺伝子工学プラットフォームを最大8種類の遺伝子治療に利用するための研究提携および独占的ライセンス契約。本提携では、Poseida社の血友病Aプログラムを含む、非ウイルス性(ウイルスベクターを用いない)のin vivo遺伝子治療プログラムの開発にフォーカス。

Selecta Biosciences

米国

Selecta社のImmTORプラットフォームを用いて、ライソゾーム病領域の2つの適応症を対象とした標的型次世代遺伝子治療法を開発するための研究提携およびライセンス契約。

Xenetic Biosciences

米国

PolyXen(ポリシアル酸ポリマー)を用いた血友病第Ⅶ因子、第Ⅷ因子、第Ⅸ因子および第Ⅹ因子の送達技術に関する独占的研究開発ライセンス契約。

 

 

ニューロサイエンス(神経精神疾患)領域

提携先

内容/目的

Anima Biotech

米国

遺伝的に特定された神経疾患に対するmRNA翻訳調節薬に関する戦略的な共同研究・開発。

AstraZeneca

英国

パーキンソン病の治療薬候補として、alpha-synuclein抗体であるMEDI1341の共同開発・販売契約。

BridGene Biosciences

米国

BridGene社のケモプロテオミクスプラットフォームを用いて、「undruggable」なターゲットに対する低分子医薬品の発見を目指す共同研究。

CNDAP (Cure Network Dolby Acceleration Partners)

米国

アルツハイマー病などの主要な脳疾患に関与するタンパク質であるタウを標的とした低分子化合物の開発を目的とする共同研究。

Denali Therapeutics

米国

Denali社が有する脳へのバイオ治療薬移行性を高めるTransport Vehicle(TV)プラットフォーム技術を用いた、最大3つの神経変性疾患治療薬候補の開発および販売に関する戦略的オプションおよび提携契約。当社は2021年度第3四半期に、DNL593/TAK-594およびDNL919/TAK-920に関するオプション権を行使。

Luxna Biotech

日本

Luxna社の画期的な人工修飾核酸技術の、神経疾患領域における複数の未公開の標的遺伝子に対する全世界での独占的ライセンス契約。

Neurocrine Biosciences

米国

TAK-041、TAK-653およびTAK-831を含む7つの当社の早期から中期開発段階の精神疾患領域パイプラインに関する開発および製品化に関する提携。当社は開発マイルストン、販売マイルストン、および正味売上高に応じたロイヤルティを取得する権利を有する。特定の開発段階において、当社はすべての臨床試験プログラムについて、1つひとつのパイプラインごとに、50:50の利益配分を受ける、または受けない選択をすることができる。

PeptiDream

日本

神経筋疾患および神経変性疾患に対するペプチド-薬物複合体(PDCs)の創製に関する共同研究および独占的ライセンス契約。

Skyhawk Therapeutics

米国

神経変性疾患をターゲットとするRNA調整治療薬の開発および販売に関する提携・ライセンス契約。

Stride Bio

米国

In vivoでアデノ随伴ウイルス(AAV)による、フリードライヒ運動失調症とその他二つの非開示ターゲットを対象とする治療法開発を行う共同研究・ライセンス契約。

Wave Life Sciences

シンガポール

神経疾患に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド医薬品の共同開発および共同販売に関する複数のプログラムにおけるオプション契約。

 

 

 

消化器系疾患領域

提携先

内容/目的

Ambys Medicines

米国

様々な肝疾患において、肝機能の回復および肝不全への進行抑制という差し迫った医療ニーズに対し、細胞治療、遺伝子治療、機能獲得薬物療法を含む新規モダリティを臨床応用。本契約に基づき、当社はINDに達する最初の4つの品目の米国以外での販売権を得るオプションを有する。

Arcturus

米国

非アルコール性脂肪肝炎および他の消化器系疾患において、Arcturus社が有するLUNAR™脂質媒体薬物送達システムおよびUnlocked Nucleomonomer Agent(UNA)オリゴマーの化学的性質を活用し、RNAをベースとする治療薬を共同開発。

Arrowhead Pharmaceuticals

米国

α-1アンチトリプシン欠乏症による肝疾患(AATLD)を対象とし、現在臨床第2相試験の段階にあるRNA干渉(RNAi)治療薬TAK-999(ARO-AAT)の開発に向けた提携およびライセンス契約。ARO-AATは、AATLDの進行を引き起こす変異型α-1アンチトリプシン蛋白の産生を低減する目的で設計されたファーストインクラスの治療薬となる可能性がある。

Beacon Discovery

米国

消化器系疾患に対するG蛋白質共役型受容体に関連する薬剤の創薬・開発プログラム。本契約に基づき、当社は提携によって創出された品目のグローバルの開発・生産・販売権を有する。

Cerevance

米国

中枢神経系で発現する新規標的タンパク質を特定し、ある種の消化器系の障害に対する新しい治療法を開発するための複数年にわたる研究提携。提携の目標は、Cerevance社のNETSseq技術によって生成された遺伝子発現データセットから、ターゲットを選択、特定および検証すること。

COUR Pharmaceuticals

米国

COUR社からグリアジンタンパク質含有のImmune Modifying NanoparticleであるTIMP-GLIA(TAK-101)の全世界での独占的な開発および製品化の権利を獲得。

Engitix

英国

Engitix社独自の細胞外マトリックス探索プラットフォームの活用による、肝線維症およびクローン病や潰瘍性大腸炎などの線維性の炎症性腸疾患に対する新規治療薬の特定と開発に関する共同研究およびライセンス契約

Enterome

フランス

潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患を含む消化器系疾患において重要な役割を担うと考えられる腸内細菌を標的とした新たな治療薬を創出・開発。また、EB8018/TAK-018のクローン病におけるグローバルのライセンス及び共同開発。

Finch Therapeutics

米国

炎症性腸疾患を対象とした腸内細菌移植試験における良好な臨床結果との関連が示唆される複数の細菌株を培養した生菌の生物学的製剤であるTAK-524の全世界を対象とした共同開発。本契約に基づき、当社はTAK-524のグローバル開発・販売権を獲得し、炎症性腸疾患に対する後継品への権利も有する。2021年8月の契約変更により、当社は前臨床の段階からTAK-524の開発を単独で担当。

Genevant Sciences Corporation

米国

肝星細胞を標的とするGenevant社のLNPプラットフォームを活用し、肝線維症の進行を阻止または回復させるため当社が設計したRNAiオリゴヌクレオチドを送達することを目的とした提携およびライセンス契約。本提携は、特定の希少肝疾患の治療のために当社が設計した非ウイルス性(ウイルスベクターを用いない)遺伝子治療薬を送達することも目的とする。

NuBiyota

カナダ

Microbial Ecosystem Therapeuticを活用した治療薬の消化器領域の適応での提携。

Mirum Pharmaceuticals

米国

アラジール症候群(ALGS)、進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)および胆道閉鎖症(BA)を対象としたmaralixibatの日本における開発および販売に関する独占的ライセンス契約。

Phathom Pharmaceuticals

米国

当社は米国、欧州、カナダにおけるvonoprazanに関する開発権と独占的販売権をPhathom Pharmaceuticals社に導出。当社はその対価として契約一時金と株式を受領し、さらに将来達成されたマイルストンに応じて金銭と正味売上に基づくロイヤルティを受け取る。

Sosei Heptares

英国

Sosei Heptares社のStaR®技術および構造生物学の専門性を活用し、Gタンパク質共役受容体(GPCR)に作用する構造ベース創薬により消化器系疾患の新規治療薬の開発を目的とする提携・ライセンス契約。

Theravance Biopharma

米国

消化管運動障害治療薬候補である5-HT4受容体アゴニストTAK-954のグローバルにおけるライセンス、開発および販売の提携契約。

UCSD/Fortis Advisors

米国

UCSD(カリフォルニア大学サンディエゴ校)からのライセンス技術を活用し、好酸球性食道炎治療薬としてブデソニド経口製剤(TAK-721)を開発。

 

 

 

血漿分画製剤

提携先

内容/目的

Halozyme

米国

HyQviaの拡散と吸収を高めることを目的としたHalozyme社の独自基盤技術ENHANZE™の導入。進行中の開発活動は、原発性の免疫不全を対象とする小児効能追加(米国)および慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の効能取得を目的とするP-Ⅲ試験。

Kamada

イスラエル

静脈投与α1-プロテアーゼインヒビター(Glassia)の開発および商用化の導入契約;Glassiaの米国、カナダ、オーストラリアおよびニュージーランドにおける独占的供給および流通;継続中の市販後コミットメントの実施。

ProThera Biologics

米国

急性炎症状態を対象に新規血漿由来インターアルファ阻害タンパク質(IAIP)による治療法を開発するためのグローバルライセンス契約。

PreviPharma

欧州

新規標的タンパク質の開発に関する研究提携およびオプション契約。

 

 

ワクチン

提携先

内容/目的

米国政府 The Biomedical Advanced Research and Development Authority(BARDA)

米国

当社が有するジカ熱ワクチン候補(TAK-426)の米国での開発に関するパートナーシップ。当社は取得したデータを利用し、世界中の流行地域での承認申請に用いるオプション権を保有。

HilleVax, Inc.

米国

ノロウイルスワクチン製品候補HIL-214(旧名:TAK-214)の開発および商業化の推進を目的とする、バイオ医薬品企業HilleVax社の立ち上げに向けた、Frazier Healthcare Partners社との提携。HilleVax社は、契約一時対価、将来の現金マイルストンおよび正味売上高に応じたロイヤルティを当社に支払うことを条件に、日本以外の全世界における独占的な開発および商業化の権利を有する(当社は日本における製品化の権利を保有)。

Novavax

米国

厚生労働省および日本医療研究開発機構(AMED)からの助成対象となったNovavax社のCOVID-19ワクチン「ヌバキソビッド®筋注」の日本における開発、製造、商業化に関するNovavax社との提携。当社と厚生労働省は、需要を含めた複数の事項を条件とする1億5千万回接種分のNovavax社ワクチンの供給に関する契約を締結。

Moderna

米国

Moderna社のCOVID-19ワクチン「スパイクバックス™筋注」を国内輸入・供給することに関する、Moderna社、厚生労働省との3者間契約。初回接種については2021年5月に特例承認を、50µgでの追加接種については2021年12月に製造販売承認を、それぞれ厚生労働省から取得しました。2021年に供給した5,000万回接種分(100μg)に加え、当社は2022年に合計9,300万回接種分(50μgでの追加接種分)を日本国内に輸入を開始しました。

 

 

その他/複数の疾患領域

提携先

内容/目的

Bridge Medicines

米国

Tri-Institutional Therapeutics Discovery Institute, Bay City Capital および Deerfield Management と提携し、Bridge Medicinesを設立。Tri-I TDIで採択された研究プロジェクトに対して、資金面、運用面、管理面での支援を行い、有効性やターゲットの創薬上の検証であるプルーフ・オブ・コンセプト(POC)試験から臨床試験への移行まで継ぎ目なく実施。

京都大学iPS細胞研究所(CiRA)

日本

当社重点領域疾患(ニューロサイエンス、オンコロジー、消化器系を含む)でのiPS細胞の臨床応用およびiPS細胞のトランスレーショナルサイエンスが注目される追加領域での探索。

Charles River Laboratories

米国

Charles River Laboratories社が有するエンド・ツー・エンドの創薬および安全性評価プラットフォームを活用し、当社の重点疾患領域における複数のプログラム群を候補化合物の段階まで進めるため提携。

Evotec SE

ドイツ

当社で増加する研究段階の遺伝子治療創薬プログラムをサポートするための研究提携。また、Evotec社と当社は、従来のアプローチでは対応が困難な標的に対して、RNAを標的とする低分子治療薬の探索および開発を目指し、複数のRNAを標的とする提携を開始。

Massachusetts Institute of Technology

米国

人工知能(AI)の開発と応用を促進し、人の健康と医薬品開発に貢献するためのMIT-Takedaプログラム。 Abdul Latif Jameel Clinic for Health in Machine Learning(J-Clinic)に設置する新しいプログラムは、当社およびMITの専門知識を組み合わせて活用し、当社の3年間の投資によってサポートされる(2年間の延長の可能性あり)。

 

 

提携先

内容/目的

Portal Instruments

米国

針を使わない医療用デバイスの武田薬品の開発中または承認済み生物学的製剤への応用開発および商品化。

Schrödinger

米国

Schrödinger社の保有するin silico技術に基づく創薬力と当社の疾患領域に対する深い知見および構造生物学における専門性を融合した、複数の創薬標的に関する共同研究。

Stanford University

米国

革新的な治療薬をさらに効率的に開発するために、Stanford Alliance for Innovative Medicines(Stanford AIM)を設立。

Tri-Institutional Therapeutics
Discovery Institute(Tri-I TDI)

米国

産学連携を推進し、革新的な医薬品を創出。

Twist Bioscience

米国

ヒトの体内に存在する配列のみを用いた合成抗体ファージディスプレイライブラリのパネルであるTwist社の「Library of Libraries」にアクセスするためのライセンス契約。両社は共同で、新しい抗体候補の発見、検証、最適化に取り組む。

 

 

 

知的財産

特許や登録商標を用いて可能な限り自社の製品や技術を守ることは、当社グループの事業戦略において重要な部分を占めています。当社グループが市場競争力を維持し高めるためには、営業秘密、当社独自のノウハウ、技術的イノベーションおよび第三者との契約の取り決めが欠かせません。当社がビジネス上の成功を収めることが出来るかどうかは、強固な特許を取得し行使する能力や、営業秘密を保護し続ける能力、第三者の知的財産権を侵害することなく事業を行う能力、付与されたライセンスの条件を遵守する能力に依存する場合があります。新薬の開発は長期間にわたり、研究開発は多くの費用を必要とします。また、治療薬候補のうち上市されるものはごくわずかであることから、知的財産の保護は新薬の研究開発への投資の回収において重要な役割を担っています。

当社グループは米国、日本、欧州の主要国において可能な限り当社独自の技術の特許保護を求めていきます。その他の国々についても、可能な国々において、選別したうえで特許保護を求めていきます。いずれの場合にも特許保護自体を取得するか、ライセンサーを通じて特許出願をサポートするよう努めています。特許は、当社グループが使用する技術を保護するための主要な手段です。特許は、他社による医薬品に関する発明の使用を排除する権利を特許権者に付与します。当社グループの医薬品を保護するために、有効成分をカバーする物質特許、薬の用途、製造方法、製剤に関する特許等、様々な種類の特許を使用しています。当社グループの低分子化合物医薬品は、主に物質特許によって保護されています。通常は物質特許の存続期間終了をもって当該医薬品の市場独占権は失われますが、その後も当該物質の用途、用法、製造方法、新規組成物または剤型に関する特許等の非物質特許によって、商業利益が保護されることがあります。物質特許が満了した場合でも、各国の関連法規制によるデータ保護制度により対象製品が保護されることもあります。

当社グループのバイオ製品は1件以上の物質特許によって保護されることがありますが、製品によっては物質特許以外の特許または規制当局によるデータ保護、またはその両方が適用されることもあります。しかし、競合会社によって、同じ疾患に対する類似製品および(または)バイオシミラーが当社グループの特許を侵害することなく開発され、販売されることがあることから、バイオ製品にとって特許による保護の重要性は伝統的な医薬品に比べて低い場合があります。

米国では、原則として出願から20年で特許は満了しますが、米国特許商標庁の審査遅延による特許の発行遅延があ った場合は特許期間の調整が行われる可能性があります。また、製品、製品を使用した治療法、製品の製造方法に関する米国の医薬特許は、米国食品医薬品局(FDA)による製品の承認審査期間に応じて特許期間延長の対象となる場合があります。このような場合の存続期間の延長は5年を上限としており、製品の承認取得から14年を超える延長は認められません。FDAの遅延に基づく期間延長が認められるのは、1製品につき1件の特許のみです。FDAは、新規化合物またはオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)に対しては、特許による独占権に加えて、データあるいは市場の独占権を追加付与することがあり、これらは既にある特許保護期間と並行して存続します。データ保護規制またはデータ独占権は、ジェネリック医薬品を発売し得る競合他社が、先発品の安全性および有効性を確立する際にスポンサーが作成した臨床試験データを新規化合物については5年間、オーファンドラッグについては7年間使用できないようにするものです。市場独占権は、同一薬剤を同効(同じ適応症)に 対して販売することを禁止するものです。

日本では、有効成分については、特許庁により特許が付与されます。用量や投与方法など治療法については、日本では特許の対象となりませんが、特定の投与方法・用量にて使用する医薬組成物や、医薬組成物の製造方法については、特許の対象となります。日本では原則として出願より20年で特許は満了します。医薬特許は、承認までの審査に要した時間により、5年を限度として延長されることがあります。また、日本ではデータ保護制度として「再審査期間」を設けており、その期間は新有効成分含有医薬品については8年、新効能・新医療用配合剤については4年から6年、オーファンドラッグについては10年となっています。

欧州連合(EU)では、欧州特許庁(EPO)または欧州各国で特許を申請することができます。EPOの制度では、EU全体およびスイス、トルコ等のいくつかのEU非加盟国での特許を一括申請することができます。EPOが特許を付与すれば、特許権者が指定する国々において特許が有効となります。EPOまたは欧州諸国のいずれかが認める特許の存続期間は、延長や調整があり得ますが、原則として出願から20年です。医薬品の特許は、補充的保護証明書(SPC)制度のもと、さらに追加の独占期間を付与されます。SPCは、特許権者が欧州医薬品庁または各国の規制当局から販売承認を受けるのに要した時間を補償する制度です。SPCにより、特許期間とあわせて、欧州で最初の販売承認を取得した日から最長15年の独占権を与えられます。ただし、SPCの最長期間は5年です。認可された小児臨床試験計画(PIP)によるデータが提出された製品であれば、6ヶ月の小児用医薬品に係るSPCの追加延長が認められます。SPC制度を含め、承認後の特許は、各国の法制度により運用されています。特許およびSPCに関する規制はそれぞれ欧州特許庁およびEUのレベルで作られましたが、国ごとの運用の違いにより、例えば、EU各国の国内裁判所で無効申立てされた場合など、必ずしも同じ結果にはつながりません。また、EUは承認されたヒト用医薬品につき、特許保護と並行してデータ独占権を与えています。現在承認されている医薬品に関する制度は、通常「8+2+1」と呼ばれています。これは、まず初めに競合他社が関連データに依拠することができないデータ保護期間が8年間、続いて競合他社が販売承認申請のために当該データを使用できるものの、競合品を上市することができない市場独占期間が2年間、さらに、スポンサーが最初のデータ保護期間8年間の間に、他の治療薬が存在しない適応症か「既存治療薬に比べて有意な臨床的有効性」が認められる新たな適応症を追加した場合、追加で1年間の市場独占権を認めるものです。これは各国での承認にもEUの中央審査による承認にも当てはまります。また、EUには米国に類似したオーファンドラッグの独占制度があります。医薬品がオーファンドラッグとして指定された場合、10年間の市場独占権が与えられ、この間当該医薬品と同じ適応症を持つ同様の医薬品には販売承認が付与されません。特定の条件下では、小児臨床試験計画の完了によるさらに2年間の小児用医薬品に係る延長が認められます。

当社グループ製品の関連特許満了後の後発品の市場参入や、競合他社によるOTC医薬品の発売等、当社グループは世界中で知的財産に関わる課題に直面しています。当社グループのグローバルジェネラルカウンセルは、法務ならびに知的財産権の業務についても監督責任を負っています。当社グループの知的財産部は、下記3つの優先事項に注力することにより、当社グループの全社的な戦略をサポートしています。

疾患領域別ユニットの戦略に沿った自社製品および研究開発パイプラインの価値の最大化および関連する権利の保護

・パートナーとの提携サポートによる外部イノベーションのよりダイナミックな活用の促進

・新興国市場を含む世界各国での知的財産権取得および保護

当社グループの知的財産権が侵害されることは、それらの権利から得ることが期待される収益が失われるリスクとなるため、当社グループは特許やその他の知的財産を管理するための内部プロセスを整備しています。当該プロセスでは、第三者からの侵害に継続的に警戒するとともに、当社グループの自社製品および活動が第三者の知的財産権を侵害しないよう、研究開発段階から注意を払っています。

通常の事業活動において、当社グループの特許は第三者から無効の申し立てを受ける可能性があります。当社グループは、当事者として知的財産権に関する訴訟等に関与しております。継続中の重要な訴訟の詳細については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 32 コミットメントおよび偶発負債」をご参照ください。

 

 

下表では、記載された製品について、対象地域ごとに、存続している物質特許およびデータ保護期間(以下、「RDP」)(米国およびEU)もしくは再審査期間(以下、「RP」)(日本)ならびに満了日を記載しております。RDPとRPについてはそれらの制度的な独占期間が特許満了日後にも与えられる場合にのみ記載しています。特許期間の延長(PTE)、補充的保護証明書(SPC)、小児用医薬品に係る独占期間(PEP)は当局により認められたものについては満了日に反映され、申請手続中で認められていないものについては、延長された満了日を別途記載しています。

当社グループのバイオ医薬品は、下記の特許満了期間に関わらず、同じ適応症に対する類似製品またはバイオシミラーを製造する他社との競争に直面するか、今後直面する可能性があります。また、欧州の特許の一部は、SPCにより、いくつかの国で下表に記載の満了期限を超えて対象製品に追加的な保護が付与されます。

製品名

特許満了日(日本)

(注1)(注2)

特許満了日(米国)

(注1)

特許満了日(EU

(注1)

消化器系疾患領域:

 

 

 

ENTYVIO

エンティビオ/エンタイビオ

特許: —

 

 

 

RP: 2028年7月(注2)

特許: —

 

 

 

RDP: 2026年5月(注7)

特許: 2017年8月
 (いくつかの国では2022年8月まで延長)

 

RDP: 2025年5月(注7)

DEXILANT

デクスラント

未発売

特許: —

特許: —

PANTOLOC /CONTROLOC

(PANTOPRAZOLE)

パントプラゾール

未発売

特許: —

特許: —

TAKECAB

タケキャブ(注3)

特許: 2031年8月

 

RP: 2022年12月(注2)

特許: —(注3)

特許: —(注3)

GATTEX/レベスティブ

特許: —

 

RP: 2031年6月(注2)

特許: —(注5)

特許: —

 

RDP: 2024年9月

PENTASA(注4)

特許: —(注4)

特許: —

特許: —(注4)

 

 

LIALDA/MEZAVANT(注3)

リアルダ

特許: —(注3)

 

RP: 2022年9月(注2)

特許: —

特許: —

 

AMITIZA(注4)
アミティーザ

特許: —(注4)

特許: —

未発売

RESOLOR/MOTEGRITY

未発売

特許: —

 

RDP: 2023年12月

特許: —

ALOFISEL

アロフィセル

特許:—

 

RP:2031年9月(注2)

未発売

特許:—
 

RDP:2028年3月

希少代謝性疾患領域:

 

 

 

ELAPRASE(注3)

エラプレース

特許: —(注3)

 

特許: —

特許: —

 

REPLAGAL

リプレガル

特許: —

未発売

特許: —

VPRIV

ビプリブ

特許: —

RP: 2024年7月(注2)

特許: —

特許: —

RDP: 2022年8月

NATPARA/NATPAR

未発売

特許: —

RDP: 2027年1月

特許: —

RDP: 2029年4月

 

 

製品名

特許満了日(日本)

(注1)(注2)

特許満了日(米国)

(注1)

特許満了日(EU

(注1)

希少血液疾患領域:

 

 

 

ADVATE

アドベイト

特許: —

 

特許: —

特許: —

 

ADYNOVATE/ADYNOVI

アディノベイト

特許: 2026年1月

RP: 2024年3月(注2)

特許: 2026年2月

RDP: 2027年11月

特許:2024年2月
SPCが認められれば2029年2月まで延長

 

RDP: 2028年1月

FEIBA(注6)

ファイバ

特許: —

特許: —

 

特許: —

 

HEMOFIL(注6)

ヘモフィル

未発売

特許: —

未発売

IMMUNATE(注6)

未発売

未発売

特許: —

IMMUNINE(注6)

未発売

未発売

特許: —

BEBULIN(注6)

未発売

特許: —

未発売

PROTHROMPLEX(注6)

未発売

未発売

特許: —

FACTOR VII(注6)

未発売

未発売

特許: —

VONVENDI

特許: —

 

RP: 2030年3月(注2)

特許: 2030年12月

 

RDP: 2027年12月

特許: —

 

RDP: 2028年8月

OBIZUR

未発売

特許: —

 

RDP: 2026年10月

特許: 2026年2月

 

RDP: 2025年11月

RIXUBIS

リクスビス

特許: —

 

RP: 2022年12月(注2)

特許: —

特許: —

AGRYLIN/XAGRID

アグリリン

特許: —

 

RP: 2024年9月(注2)

特許: —

 

 

特許: —

 

 

RECOMBINATE

未発売

特許: —

未発売

OCTOFACTOR

未発売

未発売

未発売

COAGIL-VII

未発売

未発売

未発売

INNONAFACOTR

未発売

未発売

未発売

遺伝性血管性浮腫領域:

 

 

 

FIRAZYR

フィラジル

特許: —

 

RP: 2028年9月(注2)

特許: —

特許: —

TAKHZYRO

 

特許:2031年1月

PTEが認められれば2036年1月まで延長

特許:2031年12月、2032 年2月、2032年3月

2032年8月まで延長

 

RDP: 2030年8月

特許:2031年1月
(いくつかの国では2033年11月まで延長)

 

RDP: 2028年11月

KALBITOR

 

未発売

特許:2023年12月

未発売

CINRYZE(注6)

 

未発売

特許: —

特許: —

希少疾患-その他

 

 

 

LIVETENCITY

未発売

特許: —

RDP:2028年11月

未発売

 

 

製品名

特許満了日(日本)

(注1)(注2)

特許満了日(米国)

(注1)

特許満了日(EU

(注1)

血漿由来の免疫疾患治療領域:

 

 

GAMMAGARD
LIQUID(注6)

未発売

 

特許: —

 

特許: —

 

HYQVIA(注6)

未発売

 

 

特許: —

 

RDP: 2026年9月

特許: —

 

RDP: 2024年5月

CUVITRU(注6)

未発売

特許: —

 

RDP: 2028年9月

特許: —

 

RDP: 2027年7月

FLEXBUMIN(注6)

未発売

特許: —

特許: —

HUMANALBUMIN(注6)

アルブミン

未発売

特許: —

未発売

GLASSIA(注6)

特許: —(注4)

 

 

特許: —

 

RDP: 2022年7月

特許: —(注4)

 

 

ARALAST(注6)

未発売

特許: —

未発売

CEPROTIN(注6)

未発売

特許: —

特許: —

ANTITHROMBIN III(注6)

未発売

未発売

特許: —

KENKETU-GLOVENIN-I

(注6)

献血グロベニンーI

特許: —

未発売

未発売

KENKETU-NONTHRON(注6)

献血ノンスロン

特許: —

未発売

未発売

KENKETU-ALUBMIN(注6)

献血アルブミン

特許: —

未発売

未発売

オンコロジー領域:

VELCADE(注3)

ベルケイド

特許: —(注3)

特許: —

特許: —(注3)

LEUPLIN/ENANTONE

リュープリン/ENANTONE

特許: —

 

特許: —

特許: —

NINLARO

ニンラーロ

特許: 2031年7月

 

RP: 2027年3月(注2)

特許: 2029年11月

 

RDP: 2022年11月

特許: 2031年11月

 

RDP: 2026年11月

ADCETRIS(注4)

アドセトリス

特許: 2026年4月

 

RP: 2024年1月(注2)

特許: —(注4)

特許: 2027年10月

 

RDP: 2023年10月、2028年1月

ICLUSIG(注3)

アイクルシグ

特許: —(注3)

特許: 2027年1月

特許: —(注3)

ALUNBRIG

アルンブリグ

特許: 2029年5月

PTEが認められれば2032年9月まで延長

 

RP: 2029年1月

特許: 2029年12月

PTEが認められれば2031年4月まで延長

 

RDP: 2024年4月

特許: 2029年5月

SPCが認められれば2033年11月まで延長

 

RDP: 2028年11月

VECTIBIX(注4)

ベクティビックス

特許: 2022年8月

特許: —(注4)

特許: —(注4)

EXKIVITY

未発売

特許: 2035年5月
PTEが認められれば2035年9月まで延長
 

RDP: 2028年9月

未発売

 

 

製品名

特許満了日(日本)

(注1)(注2)

特許満了日(米国)

(注1)

特許満了日(EU

(注1)

ZEJULA

ゼジューラ

特許: 2033年1月

RP: 2028年9月(注2)

特許: —(注4)

特許: —(注4)

CABOMETYX(注4)

特許: 2024年9月

PTEが認められれば2029年9月まで延長

RP: 2028年3月(注2)

特許: —(注4)

特許: —(注4)

ニューロサイエンス(神経精神疾患)領域:

VYVANSE/ELVANSE

バイバンス/ビバンセ

特許: 2029年6月

 

RP: 2027年3月(注2)

特許: 2023年8月

特許: 2024年6月(いくつかの国では2028年2月または2029年3月まで延長)

TRINTELLIX(注4)

トリンテリックス

特許: 2027年10月

 

RP: 2027年9月(注2)

特許: 2026年6月

小児exclusivityが認められれば2026年12月まで延長

特許: —(注4)

ADDERALL XR

未発売

特許: —

未発売

ROZEREM

ロゼレム

特許: —

特許: —

未発売

REMINYL

レミニール

特許: —

特許: —(注4)

特許: —

INTUNIV

インチュニブ

特許: —

RP: 2025年3月(注2)

特許: —

特許: —

RDP: 2025年9月

COPAXONE(注4)

コパキソン

特許: —

RP: 2025年9月(注2)

特許: —(注4)

特許: —(注4)

AZILECT(注4)

アジレクト

特許: —

RP: 2026年3月(注2)

特許: —(注4)

特許: —(注4)

MYDAYIS

未発売

特許: —

未発売

EQUASYM

未発売

特許: —(注3)

特許: —

CABATROL

未発売

特許: —

未発売

その他:

AZILVA-F

アジルバ

特許: —

 

RP: —(注8)

未発売

未発売

LOTRIGA(注4)

ロトリガ

特許: —

特許: —(注4)

特許: —(注4)

AIPHAGAN

アイファガン

特許: —

特許: —(注4)

特許: —(注4)

FOSRENOL

ホスレノール

特許: —(注3)

特許: —

未発売

ACTOVEGIN

未発売

未発売

特許: —

 

(注1) 表中の「—」は物質特許の満了または該当なしを表します。

(注2) 日本では、後発品の承認申請は、先発品の再審査期間終了後に行われ、規制当局による審査の後、承認、薬価収載されます。したがって、後発品は再審査期間の満了後から一定の期間を経て市場に参入します。

(注3) 本製品は、第三者への導出契約を締結しているため、全ての地域で当社グループが販売を行っているわけではありません。

(注4) 本製品は、特定の地域限定で第三者からの導入契約を締結しているため、全ての地域で当社グループが販売を行っているわけではありません。詳細については「ライセンスおよび共同研究開発契約」をご参照ください。

(注5) ANDA申請者との合意により、2023年3月以降に後発品が発売される可能性があります。

(注6) これらの医薬品は血漿分画製剤です。

(注7)  当社グループは、ENTYVIOの製剤、投与方法、製造工程といった様々な項目について特許権を保有しており、そのうち一部は2032年に満了する予定です。なお、2032年より前にバイオシミラーの上市を目指す場合には、特許権侵害や関連するすべての特許の有効性を確認する必要があるため、バイオシミラーの正確な参入時期について現時点では定かではありません。

(注8)  アジルバの再審査期間が2021年10月に終了しました。日本では、後発品は、一定の期間を経て、すなわち、承認申請(再審査期間終了後にのみ行うことができます)を行い、規制当局による審査を通り、承認を得た後で市場に参入します。したがって、アジルバの後発品の正確な参入時期について現時点では定かではありません。