第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

[連結経営成績]

<連結業績(コアベース)>

当連結会計年度の連結業績(コアベース)は、下表のとおり、売上高は減少、コア営業利益、コア当期純利益は増加しました。

[連結業績(コアベース)]                                        (単位:百万円)

 

前連結会計年度

(2016年3月期)

当連結会計年度

2017年3月期)

対前連結会計年度増減額

(増減率)

売上高

1,372,706

1,311,665

△61,041

(△4.4%)

コア営業利益

267,456

274,554

7,098

(2.7%)

コア当期純利益

198,802

213,343

14,541

(7.3%)

基本的1株当たり

コア当期純利益(円)

92.12

101.15

9.03

(9.8%)

 

当社は、会社の経常的な収益性を示す指標としてコアベースの業績を開示しています。当該コアベースの業績は、

フルベースの業績から当社が定める非経常的な項目を調整項目として除外したものです。調整項目には、減損損失、

有形固定資産売却損益、リストラクチャリング費用、災害による損失、訴訟等による多額の賠償又は和解費用などのほか、会社が除外すべきと判断する項目が含まれます。

 

売上高

連結売上高は1兆3,117億円(対前連結会計年度比4.4%減)となりました。

・主力品の売上は着実に拡大しましたが、為替の影響に加え、昨年4月に日本で実施された薬価改定の影響等もあり、減収となりました。

・グローバル製品については、為替の影響を受け、前立腺がん治療剤XTANDI/イクスタンジは微増、ベシケアとベタニスミラベトリックベットミガを合わせた過活動膀胱(OAB)治療剤の売上は減少しました。ただし、為替の影響を除いたベースではそれぞれ着実に伸長しました。また、免疫抑制剤プログラフの売上は減少しました。

 

(地域別売上高の状況)

※地域別売上高については売上元会社の所在地に基づき集計しています。

 

◇日本

日本の売上高は4,808億円(同3.3%減)となりました。このうち、日本市場での売上高は4,527億円(同6.3%減)となりました。

・ベシケアとベタニスを合わせたOAB治療剤、消炎鎮痛剤セレコックス、成人気管支喘息治療剤シムビコート、2型糖尿病治療剤スーグラ等の売上が拡大しました。

・イクスタンジの売上が薬価改定の影響を受け減少しました。

・また、ワクチンの売上が昨年度実施された製造元の出荷自粛(一部の製品では出荷再開)の影響が続いたこと等により減少したほか、高コレステロール血症治療剤リピトールや消化性潰瘍・胃炎治療剤ガスター等の売上が後発医薬品の影響等により減少しました。

 

◇米州

米州の売上高は4,124億円(同9.4%減)となりました。なお、米ドルベースでの売上高は3,805百万米ドル(同0.5%増)となりました。

XTANDI、ベシケアとミラベトリックを合わせたOAB治療剤、心機能検査補助剤レキスキャン等の米ドルベースでの売上はそれぞれ拡大しましたが、為替の影響により減少しました。

・プログラフの売上は減少しました。

・アゾール系抗真菌剤クレセンバが売上に貢献しました。

 

◇EMEA(欧州・中東・アフリカ)

EMEAの売上高は3,308億円(同0.5%増)となりました。なお、ユーロベースでの売上高は2,785百万ユーロ(同12.1%増)となりました。

XTANDIの売上が拡大しました。

・ベシケアとベットミガを合わせたOAB治療剤、プログラフの売上は為替の影響等もあり減少しました。

 

◇アジア・オセアニア

アジア・オセアニアの売上高は877億円(同3.8%減)となりました。

・XTANDI、ベシケアとベットミガを合わせたOAB治療剤の売上は増加しました。

・プログラフ、前立腺肥大症の排尿障害改善剤ハルナールの売上は為替の影響等もあり減少しました。

 

コア営業利益/コア当期純利益

・売上高の減少に伴い、売上総利益は9,912億円(同4.4%減)となりました。なお、売上原価率は前連結会計年度と同水準の24.4%となりました。

・販売費及び一般管理費、研究開発費は為替の影響等により、それぞれ4,708億円(同5.9%減)、2,081億円(同7.8%減)となりました。なお、対売上高研究開発費比率は、前連結会計年度に比べ0.6ポイント低下し、15.9%となりました。

・無形資産償却費は、358億円(同15.5%減)となりました。

 

以上の結果、コア営業利益は2,746億円(同2.7%増)となりました。

また、コア当期純利益は2,133億円(同7.3%増)、基本的1株当たりコア当期純利益は101.15円(同9.8%増)となりました。

 

昨年4月にグローバル皮膚科事業を譲渡したことに伴い、当連結会計年度において、譲渡された製品の売上、諸経費が計上されない一方で、受領した譲渡対価を一定期間にわたり収益として認識しています。この結果、当連結会計年度において売上高、利益に一定程度のプラスの影響がありました。

 

<連結業績(フルベース)>

当連結会計年度の連結業績(フルベース)は、下表のとおり、売上高は減少、営業利益、税引前利益、当期純利益は増加しました。

フルベースの業績には、コアベースの実績で除外される、「その他の収益」(為替差益等)、「その他の費用」(減損損失、有形固定資産売却損、リストラクチャリング費用、為替差損等)、売却可能金融資産の売却益(「金融収益」に計上)等が含まれています。

当連結会計年度における、「その他の収益」は96億円(前連結会計年度:17億円)、「その他の費用」は233億円(同:202億円)、売却可能金融資産の売却益は213億円(同:123億円)でした。

[連結業績(フルベース)]                                    (単位:百万円)

 

前連結会計年度

2016年3月期)

当連結会計年度

2017年3月期)

対前連結会計年度増減額

(増減率)

売上高

1,372,706

1,311,665

△61,041

(△4.4%)

営業利益

248,986

260,830

11,844

(4.8%)

税引前利益

261,770

281,769

20,000

(7.6%)

当期純利益

193,687

218,701

25,014

(12.9%)

基本的1株当たり

当期純利益(円)

89.75

103.69

13.94

(15.5%)

包括利益

130,881

174,644

43,764

(33.4%)

 

[セグメント情報]

当社グループは、医薬品事業の単一セグメントのため、記載を省略しています。

 

(2)キャッシュ・フロー
[営業活動によるキャッシュ・フロー]

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、2,356億円(対前連結会計年度比781億円減)となりました。

・法人所得税の支払額が720億円となりました。

 

[投資活動によるキャッシュ・フロー]

当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、△734億円(同737億円支出減)となりました。

・主な支出として、ガニメド ファーマシューティカルズ社買収に伴う子会社株式の取得による支出509億円、有形固定資産の取得による支出290億円、無形資産の取得による支出196億円がありました。

・一方で、売却可能金融資産の売却による収入286億円がありました。

 

[財務活動によるキャッシュ・フロー]

当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、△1,662億円(同273億円支出減)となりました。

・配当金の支払額は701億円となりました。また、自己株式の取得による支出922億円などがありました。

 

以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、3,409億円(対前連結会計年度末比191億円減)となりました。

 

(3)並行開示

IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項

 

(のれんの償却)

日本基準においては、のれんは20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって均等償却をしていましたが、IFRSでは移行日以降、償却をせずに毎期減損テストを行っています。

この結果、IFRSでは日本基準に比べて、連結純損益計算書の「販売費及び一般管理費」が前連結会計年度7,266百万円、当連結会計年度7,946百万円減少しています。

 

(研究開発費の資産計上)

日本基準において、一部の製品、技術等の開発段階における契約一時金及びマイルストン支払は、発生した会計期間の研究開発費として計上していましたが、IFRSにおいては資産計上の要件を満たすことから「その他の無形資産」に計上しています。

この結果、IFRSでは日本基準に比べて、契約一時金及びマイルストン支払に係る研究開発費が前連結会計年度38,097百万円、当連結会計年度10,315百万円減少しています。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2016年4月1日

至 2017年3月31日)

金額(百万円)

前連結会計年度比(%)

医薬品事業

579,725

86.8

合計

579,725

86.8

(注)1.金額は、販売価格によっています。

2.本表の金額には、消費税等は含まれていません。

(2) 受注状況

当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2016年4月1日

至 2017年3月31日)

金額(百万円)

前連結会計年度比(%)

医薬品事業

1,311,665

95.6

合計

1,311,665

95.6

(注)1.主な相手先の販売実績及び総販売実績に対する割合は、以下のとおりです。

相手先

前連結会計年度
(自 2015年4月1日

至 2016年3月31日)

当連結会計年度

(自 2016年4月1日

至 2017年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

マッケソン社

156,245

11.4

150,184

11.4

2.本表の金額には、消費税等は含まれていません。

 

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中において将来について記載した事項は、当連結会計年度末において判断したものです。

 

(1) 経営の基本方針

当社の経営理念は、「存在意義」「使命」「信条」より構成されています。「先端・信頼の医薬で、世界の人々の健康に貢献する」ことを存在意義とし、「企業価値の持続的向上」を使命とするとともに、「高い倫理観」「顧客志向」「創造性発揮」「競争の視点」の4項目を信条としています。

この経営理念を実現するための行動を具体化した「アステラス企業行動憲章」、また、グループ共通のコンプライアンスの規範として「アステラスグループ行動規準」を制定しています。そして、これらを誠実に実践していくことで、すべてのステークホルダーから選ばれ、信頼される企業を目指しています。

 

(2) 対処すべき課題

当社グループは、今後当社が長期的に成長を続けていくために、どこで価値を生み出し、どのように行動すべきかをビジョンに示しています。当社が強みを有する新薬ビジネスを核として、「変化する医療の最先端に立ち、科学の進歩を患者さんの価値に変えていく」取り組みを進めていきます。

医療を取り巻く環境は、大きく変化し続けています。増大する医療費の抑制は各国共通の課題となっており、保険者の影響力の高まりや後発医薬品の使用促進などの動きが加速しています。他方、治療満足度の低い疾患は依然として数多く存在しており、革新的な医薬品が待ち望まれています。科学技術の進歩を背景に新しい治療手段や創薬技術の応用が進んでいるほか、各国でイノベーションを評価する制度も整えられてきています。

当社は、こうした環境変化を「追求すべき機会」ととらえ、革新的な医薬品や自社の強みを活かした医療ソリューションを生みだすべく取り組んでいきます。

 

① 持続的な成長に向けた取り組み

中長期にわたる持続的な成長を盤石なものとしていくために、当社は2016年3月期から2018年3月期の3年間の戦略を「経営計画2015-2017」としてまとめました。2018年から2020年にかけて当社が直面する主力製品の特許満了による影響を克服し、長期的な成長を実現するため、「製品価値の最大化」「イノベーションの創出」「Operational Excellenceの追求」の3つの戦略課題に引き続き取り組んでいきます。

<製品価値の最大化>

本経営計画期間及びその後の持続的な成長を実現し、収益基盤を強化するために、これまでの投資から生まれた製品の価値最大化を図ります。

・成長ドライバーであるXTANDI/イクスタンジや、ベシケアとベタニス/ミラベトリック/ベットミガで構成される過活動膀胱フランチャイズを着実に育成し、価値の最大化を図るほか、引き続き重要な収益基盤である移植領域にも注力していきます。

・新製品や成長品へ優先的に経営資源を振り向けるとともに、各地域での状況に応じた販売戦略の実行に注力します。

 

<イノベーションの創出>

長期的な成長の源泉となるイノベーションの創出に向けて、先端科学を積極的に取り込むために必要かつ十分な投資を継続すべく取り組んでいきます。

(新薬創出力の強化)

・創薬研究においては、社内だけではなく外部リソースを活用したネットワーク型研究体制のもと、世界最先端のサイエンスに基づき、社内外を問わず最適な人材・研究者により、最適な環境で、研究活動を機動的に展開すべく取り組んでいきます。

・また、研究開発プロセスの複線化を推進するとともに、経営資源配分の最適化を図ることにより、効率的な新薬の創出を目指します。

(新たな機会への挑戦)

・既存の重点研究疾患領域である「泌尿器」「がん」「免疫科学」「腎疾患」「神経科学」に加え、「筋疾患」「眼科」の新たな疾患領域や、次世代型ワクチンや細胞医療等の新技術・新治療手段にも積極的に挑戦していきます。専門性の高い外部パートナーとの提携機会を活用しながら、新たなイノベーションへの投資を通じて長期的な成長に繋げるべく取り組んでいきます。

 

<Operational Excellenceの追求>

急速に変化する事業環境への対応力を高めるための事業運営基盤の整備・強化を目的として、オペレーションの質の向上と効率化を図ります。「経営資源配分の最適化」「外部リソースの有効活用」「組織・機能の見直し」「コアケイパビリティの強化」「各種規制・社会規範への能動的対応」の視点で、変化を先取りするための取り組みを継続していきます。

製品の信頼性向上のための対応のほか、治験情報等の透明化を含む情報開示体制の強化に取り組んでいきます。また、オペレーションの質の向上とあわせて費用対効果の最大化を考慮しながら、コストの最適化を図ります。

 

② 株主還元方針

持続的な企業価値の向上と、それを通じた株主還元の向上に取り組みます。成長を実現するための事業投資を優先しながら、配当については、連結ベースでの中長期的な利益成長に基づき、親会社所有者帰属持分配当率(DOE)等を勘案して、安定的かつ持続的な向上に努めるとともに、機動的な自己株式取得の実施により、資本効率と還元水準の更なる向上を図ります。

 

③ グローバル経営体制の強化

当社グループは、以下のような経営体制を構築しています。今後もグローバルでの経営体制の強化に取り組んでいきます。

・当社グループ全体の経営上の重要事項を協議する機関として、代表取締役社長が議長を務めるエグゼクティブ・コミッティを、また当社及び国内グループ会社の経営管理上の重要事項を協議する機関として、代表取締役副社長が議長を務める経営管理会議をそれぞれ設置しています。

・より迅速かつ的確な意思決定を可能とする最適な経営体制を構築するため、研究、メディカル・開発、製薬技術の各部門/機能については機能軸をベースとしてグローバルにマネジメントを行い、営業部門については地域毎にマネジメントを行う「マトリックスマネジメント」を推進しています。

・スタッフ機能についても、グローバルでのマネジメント機能の強化を図っています。2016年4月には、一層のコンプライアンス強化を目的に、コンプライアンス機能を設置し、各地域(日本、米州、欧州・中東・アフリカ、アジア・オセアニア)のコンプライアンス機能がコンプライアンス機能長に報告するグローバルコンプライアンス体制を構築しました。

・当社は、業務がより適切に行える体制を整えるため、部門横断で構成される各種委員会等を設置しています。こうした委員会等としては、会社情報の開示等に関する事項の協議を行う情報開示委員会をはじめ、社会的責任を果たすうえで重要な活動(環境、安全衛生、社会貢献活動等)に関する方針、計画等を協議するCSR委員会、製品のベネフィット・リスク情報及びその対応方法について協議するグローバルベネフィット・リスク委員会、グローバルなコンプライアンスの方針・計画等について協議を行うグローバル・コンプライアンス委員会並びにグローバルリスクの把握及び最適なリスク対策の推進を図るグローバルリスク管理事務局があります。

 

(3) 目標とする経営指標

当社では、企業価値を持続的に向上させるため、営業利益等の期間損益のみならず、経営に託された資本の効率的な活用を強く意識して経営を進めています。こうした考えから、親会社所有者帰属持分当期純利益率(ROE)を重要な経営指標としており、経営計画期間中に15%の達成を目指すとともに、経営計画期間以降も維持・向上に向けて取り組んでいきます。

 

4【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関連する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、主として以下のようなものがあります。

なお、文中において将来について記載した事項は、当連結会計年度末において判断したものです。
 

[研究開発に関するリスク]

一般に、医薬品の創薬研究において有用な化合物を発見できる可能性は決して高くはありません。また、創薬研究により発見された新規化合物を開発し、成功裏に上市させるためには多額の投資と長い期間を必要としますが、開発の過程で期待した有効性が証明できない場合や安全性などの理由により、開発の継続を断念しなければならない可能性があります。加えて、医薬品は各国の法規制のもとで承認を取得しなければ販売できず、承認取得の可否及び時期についても正確な予測は困難です。

当社グループにおける研究開発活動は、このような医薬品の研究開発に内在するリスクを伴っています。

 

[販売に関するリスク]

製薬業界は技術の進歩が急速で、競争が激しいという特徴を有しています。当社グループの製品に対して強力な競合品が発売された場合、当社グループの経営成績は大きな影響を受ける可能性があります。

 

[知的財産権に関するリスク]

当社グループの事業は多くの特許によって保護されています。当社グループでは、知的財産権を適切に管理し、第三者からの侵害に注意を払っていますが、第三者から侵害を受けた場合には、当社グループの経営成績は大きな影響を受ける可能性があります。また、その保護のために、訴訟を提起する場合もありますが、その動向によっては当社グループの経営成績は大きな影響を受ける可能性があります。

なお、当社グループの事業が第三者の知的財産権を侵害することのないように注意を払っていますが、万が一侵害があった場合は訴訟を提起されるリスクがあり、当社グループの経営成績は大きな影響を受ける可能性があります。

 

[副作用・安全性に関するリスク]

製品に重大な副作用その他の安全性の問題が発生した場合、当社グループの経営成績は大きな影響を受ける可能性があります。

 

[薬事行政の影響]

医薬品事業は、事業を行っている各国の薬事行政により様々な規制を受けています。例えば、日本において実施される薬価改定など、先進国を中心とした医療費抑制策、開発、製造及び流通に関わる諸規制の厳格化などは経営成績に影響を与える要因となります。

 

[環境問題に関するリスク]

当社グループは、環境・安全衛生に関して、関係法令等の遵守はもとより、さらに高い自主基準を設定してその達成に努めていますが、万が一事業活動を行う過程において事故等により関係法令等の違反が生じた場合、関連費用等のため当社グループの経営成績は大きな影響を受ける可能性があります。

 

[為替レートの変動]

当社グループの事業は多くの国及び地域で営まれているため、当社グループの経営成績及び財政状態は為替レート変動の影響を受けます。

 

これらのほか、当社グループが事業活動を行う過程において訴訟を提起されるリスクや、災害などにより製造が遅滞または休止するリスク、他社が開発した医薬品のライセンス及び販売に一部依存するリスクなど、さまざまなリスクが存在しており、ここに記載されたものが当社グループのすべてのリスクではありません。

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)技術導入契約

契約会社名

相手先

国名

技術の種類

対価

契約期間

当社

ファイザー社

米国

アトルバスタチン(リピトール)に関する技術

契約一時金

1993年11月~2021年3月まで

セレコキシブ(セレコックス)に関する技術

契約一時金

2001年3月~両者が終了に合意するまで

当社

アストラゼネカ社

英国

フマル酸クエチアピン(セロクエル)に関する技術

契約一時金

2016年2月~2021年2月まで
(その後当社が販売継続オプション権を有する)

当社

EAファーマ株式会社

日本

ナテグリニド(スターシス)に関する技術

契約一時金及び一定率のロイヤリティー

1999年6月~特許満了日まで(その後1年毎自動更新)

当社

フィブロジェン社

米国

YM311(FG-2216)、ロキサデュスタット及びこれらと同様の作用機序を有する経口貧血治療剤に関する技術

契約一時金

2005年6月~終期の定めなし(日本)
2006年4月~後発品のシェアが一定率を越えた時点又は特許満了日まで(その後当社が販売継続オプション権を有する)(欧州等)

当社

アーバー社

米国

ガバペンチン エナカルビル(レグナイト)に関する技術

契約一時金及び一定率のロイヤリティー

2005年12月~終期の定めなし

当社

フェリング社

スイス

デガレリクス(ゴナックス)に関する技術

契約一時金及び一定率のロイヤリティー

2006年1月~発売後10年間又は特許満了日まで

当社

富山化学工業株式会社

日本

ガレノキサシン(ジェニナック)に関する技術

契約一時金

2006年3月~特許満了日まで(その後2年毎自動更新)

当社

イリプサ社

米国

ビキサロマー(キックリン)に関する技術

契約一時金及び一定率のロイヤリティー

2006年4月~発売後15年間又は特許満了日まで
(その後当社が販売継続オプション権を有する)

当社

協和発酵キリン株式会社

日本

抗CD40抗体に関する技術

契約一時金

2007年1月~販売終了まで

当社

ゼリア新薬工業株式会社

日本

アコチアミド(アコファイド)に関する技術

契約一時金及び一定率のロイヤリティー

2012年12月~薬価収載後10年間又は特許満了日まで(その後両者が終了に合意しない限り10年間延長)

当社

リジェネロン社

米国

ベロシイミューン・マウスに関する技術

契約一時金及び一定率のロイヤリティー

2007年3月~2023年6月まで(抗体のロイヤリティー支払期間は発売後一定期間)

当社

メディベーション社

米国

エンザルタミド(XTANDI)に関する技術

契約一時金及び一定率のロイヤリティー

2009年10月~販売終了まで(米国)
2009年10月~特許満了、規制上の独占販売期間の満了及び後発品発売の全事象の発生日まで(その後販売継続可能)(米国以外)

 

 

契約会社名

相手先

国名

技術の種類

対価

契約期間

当社

アイアンウッド社

米国

リナクロチド(リンゼス)に関する技術

契約一時金及び一定率のロイヤリティー

2009年11月~販売終了まで

当社

バシリア ファーマシューティカ インターナショナル社

スイス

isavuconazonium sulfate(クレセンバ)に関する技術

契約一時金及び一定率のロイヤリティー

2010年2月~発売後15年間又は特許満了日まで

当社

バイカル社

米国

サイトメガロウイルス血症予防ワクチンに関する技術

契約一時金及び一定率のロイヤリティー

2011年7月~発売後10年間経過日、規制上のデータ保護期間満了日又は特許満了日の最も遅い日まで(その後当社が販売継続オプション権を有する)

当社

ユーシービー社

ベルギー

セルトリズマブ ペゴル(シムジア)に関する技術

契約一時金

2012年1月~特許満了日まで

当社

アムジェン社

米国

エボロクマブ(レパーサ)、ロモソズマブ及びブリナツモマブに関する技術

一定率のロイヤリティー及び一定率の費用負担

2013年5月~規制上の独占期間又は最長特許満了の遅い日まで

当社

サイトキネティックス社

米国

骨格筋活性化剤に関する技術

契約一時金及び一定率のロイヤリティー

2013年6月~ロイヤリティー期間終了まで

当社

プロテオスタシス社

米国

小胞体ストレス応答調節治療薬に関する技術

契約一時金及び一定率のロイヤリティー

2014年11月~ロイヤリティー期間終了まで

当社

イミュノミック セラピューティクス社

米国

ASP4070に関する技術

契約一時金及び一定率のロイヤリティー

2015年1月~特許満了、規制上の独占販売期間の満了又は発売後10年間のいずれか遅い日まで(その後販売継続可能)

LAMP-vax製品に関する技術

契約一時金及び一定率のロイヤリティー

2015年8月~特許満了、規制上の独占販売期間の満了又は発売後10年間のいずれか遅い日まで(その後販売継続可能)

当社

クロモセル社

米国

CC8464及びバックアップ開発候補化合物に関する技術

契約一時金及び一定率のロイヤリティー

2015年9月~特許満了、規制上の独占販売期間の満了又は発売後10年間のいずれか遅い日まで(その後販売継続可能)

当社

アフィニバックス社

米国

肺炎球菌起因疾患ワクチンに関する技術

契約一時金及び一定率のロイヤリティー

2017年2月~特許満了、規制上の独占販売期間の満了又は発売後10年間のいずれか遅い日まで

 

 

契約会社名

相手先

国名

技術の種類

対価

契約期間

当社

メルク社

米国

フィダキソマイシン(ディフィクリア)に関する技術

契約一時金及び一定率のロイヤリティー

2012年3月~四半期ベースで後発品のシェアが一定率を超えるまで(その後当社が販売継続オプション権を有する)(日本)

アステラス ファーマ ヨーロッパ Ltd.

2011年2月~四半期ベースで後発品のシェアが一定率を超えるまで(その後当社が販売継続オプション権を有する)(欧州等)

アステラス ファーマ ヨーロッパ Ltd.

トルマー社

米国

エリガードに関する技術

契約一時金及び一定率のロイヤリティー

2004年1月~2021年9月まで

(但し、2004年1月~2011年3月の期間は、独メディジーン社からの再実施許諾)

アステラスUS LLC

ギリアード サイエンシズ社

米国

アンフォテリシンB(アンビソーム)に関する技術

一定率のロイヤリティー

1991年8月~2026年10月まで(その後、別途の合意がなければ5年間延長)

アステラスUS LLC

ギリアード パロアルト社

米国

レガデノソン(レキスキャン)に関する技術

契約一時金及び一定率のロイヤリティー

2000年7月~発売後10年間又は特許満了日まで
(その後当社が販売継続オプション権を有する)

アジェンシス Inc.

シアトルジェネティクス社

米国

抗体-薬物複合体(ADC)に関する技術

契約一時金及び一定率のロイヤリティー

2007年1月~全ての研究・開発・販売が終了する日まで

アジェンシス Inc.

アンブレックス社

米国

新規抗体-薬物複合体(ADC)に関する技術

契約一時金及び一定率のロイヤリティー

2013年4月~特許満了日又は発売後10年経過日のいずれか遅い日まで(その後販売継続可能)

(注)1.以下の技術導入契約を終了しています。

・株式会社UMNファーマ(日本)とのASP7373及びASP7374に関する技術導入契約

2.以下の技術導入契約の技術の種類を変更しています。

・アムジェン社(米国)とのエボロクマブ(レパーサ)、ロモソズマブ及びブリナツモマブに関する技術導入契約

3.以下の技術導入契約の対価と契約期間を変更しています。

・ギリアード サイエンシズ社(米国)とのアンフォテリシンB(アンビソーム)に関する技術導入契約

ヘルスケア ロイヤリティー パートナーズ社(米国)とのキューテンザに関する技術導入契約は、2016年12月7日にグルネンタール社(ドイツ)へ譲渡しました。

5.ナテグリニド(スターシス)に関する技術導入契約の相手先である味の素製薬株式会社(日本)は、商号をEAファーマ株式会社に変更しました。

6.ガバペンチン エナカルビル(レグナイト)に関する技術導入契約の相手先であるゼノポート社(米国)は、アーバー社(米国)に買収されたため、相手先の記載をアーバー社に変更しました。

 

(2) 技術導出契約

契約会社名

相手先

国名

技術の種類

対価

契約期間

アステラス ファーマ ヨーロッパ Ltd.

ベーリンガーインゲルハイム社

ドイツ

塩酸タムスロシンOCAS製剤に関する技術

なし

2005年4月~2019年6月まで(その後1年毎自動更新)(欧州等)

当社及びアステラス ファーマ ヨーロッパ Ltd.

一定率のロイヤリティー

2006年4月~発売後10年間又は特許満了日まで(カナダ等)

一定率のロイヤリティー

2007年3月~発売後10年間又は特許満了日まで(メキシコ等)

なし

2007年5月~発売後10年間又は特許満了日まで(南米)

アステラス ドイッチランド GmbH

セファロン社

米国

ベンダムスチン塩酸塩に関する技術

契約一時金及び一定率のロイヤリティー

2003年5月~2023年12月まで(北米)

ムンディファーマ社

英国

契約一時金及び一定率のロイヤリティー

2006年10月~2021年9月まで(その後2年毎自動更新)(欧州)

シンバイオ製薬株式会社

日本

契約一時金及び一定率のロイヤリティー

2005年12月~発売後10年間又は一定の独占性を失った日まで(日本、中国、韓国、台湾及びシンガポール)

シラグGmbHインターナショナル社

スイス

契約一時金及び一定率のロイヤリティー

2010年7月~発売後10年間(その後シラグ社に5年間の契約更新オプション有り)(南米及び上述以外のアジア各国)

OSI ファーマシューティカルズ LLC

エフ ホフマン-ラ ロッシュ社

スイス

エルロチニブに関する技術

契約一時金及び一定率のロイヤリティー

2001年1月~各国毎に特許満了日まで(特許のない国では発売後10年間経過日まで)

(注)以下の技術導出契約の契約期間を変更しています。

・ベーリンガーインゲルハイム社(ドイツ)との塩酸タムスロシンOCAS製剤に関する技術導出契約

 

(3) 取引契約

契約会社名

相手先

国名

契約内容

契約期間

当社

トーアエイヨー株式会社

日本

同社の医薬品の販売契約

2019年3月まで(その後2年毎自動更新)

当社

東レ株式会社

日本

同社の「ドルナー」の販売契約

1992年2月~2024年3月(その後1年毎更新)

当社

サノフィ株式会社

日本

同社の「マイスリー」の販売契約

2008年1月~販売する限り

当社

日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社

日本

同社の「ミカルディス」の販売契約(「ミコンビ」「ミカムロ」等を含む)

2002年9月~2018年3月

当社

アストラゼネカ社

スウェーデン

同社の「シムビコート」の販売及び共同販促契約

2009年7月~2019年7月(その後1年毎自動更新)

 

 

契約会社名

相手先

国名

契約内容

契約期間

当社

マルホ株式会社

日本

当社の「プロトピック軟膏」の日本におけるプロモーション委託及び独占的販売権許諾契約

2010年7月~2018年8月
2011年4月~2014年3月 プロモーション委託

2014年4月~2018年8月 独占的販売権許諾

当社

株式会社三和化学研究所

日本

同社の「アーガメイト」の販売及び共同販促契約

当社の「キックリン」の共同販促契約

2012年3月~2022年3月(その後協議により更新)

当社

寿製薬株式会社

日本

当社及び同社の「スーグラ」の日本国内事業提携契約

2013年7月~特許満了日まで

当社

MSD株式会社

日本

当社及び寿製薬株式会社の「スーグラ」の共同販促契約

2013年8月~発売後10年間又は特許満了日まで(その後1年毎自動更新)

OSI ファーマシューティカルズ LLC

ジェネンティック社

米国

当社の「タルセバ」の共同開発及び共同事業化契約

2001年1月~利益・損失分配のための清算が終了する日まで

(注)以下の取引契約の契約期間を変更しています。

トーアエイヨー株式会社(日本)との医薬品の販売契約

・マルホ株式会社(日本)との「プロトピック軟膏」の日本におけるプロモーション委託及び独占的販売権許諾契約

 

(4) その他の提携契約

契約会社名

相手先

国名

契約内容

当社

マイトブリッジ社

米国

当社は、同社とミトコンドリア関連疾患領域における共同研究・開発を2013年10月より5年間実施し、当該期間内に同社を一定の対価で買い取る独占的な権利を保有

当社

クリアパス デベロップメント社

米国

同社との戦略的提携に基づき、感染症領域におけるワクチンのポートフォリオを構築

当社

ポテンザ社

米国

当社は、同社とがん免疫領域における共同研究・開発を実施し、提携期間終了時に同社を一定の条件で買い取る独占的な権利を保有

当社

カンヨス社

米国

当社は、自己免疫疾患治療薬に関する研究開発のための資金を同社に提供し、一定のマイルストン達成後、同社を一定の対価で買い取る独占的な権利を保有

当社

レオ ファーマ社

デンマーク

グローバル皮膚科事業を同社へ譲渡する契約に基づき、当社は同事業の移管が完了するまで対象製品の供給を継続

(注)レオ ファーマ社とのグローバル皮膚科事業を同社へ譲渡する契約

前連結会計年度において、当社は、レオ ファーマ社(デンマーク)との間で、当社のグローバル皮膚科事業を同社に譲渡する契約を締結しました。この契約に基づき、当連結会計年度より同社への製品供給を開始しています。

 

(5) 合弁関係

契約会社名

合弁会社名及び所在地

相手方の名称

国名

設立の目的

設立年月

当社

アステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社(日本)

アムジェン社

米国

アムジェン社製品の開発・輸入・販売

2013年6月

 

(6) その他

・アバラ ノーマン ファーマシューティカル サービシズ社とのアステラス ファーマ テクノロジーズ Inc.の株式譲渡契約

当連結会計年度において、当社は、米国のアバラ ノーマン ファーマシューティカル サービシズ社との間で、当社の生産子会社であるアステラス ファーマ テクノロジーズ Inc.の全株式を譲渡することで合意し、2016年8月3日に契約を締結しました。

 

・ガニメド ファーマシューティカルズ社買収に関する契約

当連結会計年度において、当社は、ドイツ マインツに拠点を置くバイオ医薬品企業であるガニメド ファーマシューティカルズ社の株主との間で、当社が同社を買収することで合意し、2016年10月28日に契約を締結しました。この契約に基づき、当社は同社の全株式を取得するための契約一時金として422百万ユーロを支払い、2016年12月20日に買収を完了しました。

 

・LTLファーマ株式会社との日本における長期収載品16製品の譲渡に関する契約

当連結会計年度において、当社は、日本のLTLファーマ株式会社との間で、当社の長期収載品16製品の国内製造販売承認及び国内外第三者への原薬・バルク供給及びロイヤリティービジネスを同社に譲渡する契約を締結しましたが、当連結会計年度末時点では当該取引は完了していません。

 

・オジェダ社買収に関する契約

当連結会計年度において、当社は、ベルギーの医薬品企業オジェダ社の株主との間で、当社が同社を買収することに合意し、契約を締結しました。この契約に基づき、当社は同社の全株式の対価として契約一時金500百万ユーロを支払い、更に、fezolinetantの開発の進捗に応じて最大で総額300百万ユーロを支払う予定ですが、当連結会計年度末時点では同社の買収は完了していません。

 

6【研究開発活動】

当社は、2015年5月に公表した3か年の「経営計画2015-2017」において、「製品価値の最大化」「イノベーションの創出」「Operational Excellenceの追求」の3つを戦略課題として掲げ、中長期にわたる持続的な成長に向けた取り組みを進めています。

このうち、持続的な成長の源泉である「イノベーションの創出」に関しては、新薬創出力の一層の強化を図るとともに、新たな機会の獲得に向けて積極的に挑戦しています。

2016年12月、がんに対する抗体医薬を開発するバイオ医薬品企業ガニメド ファーマシューティカルズ社(ドイツ)を買収し、当社の連結子会社としました。後期開発段階の抗体プログラムの獲得により、当社の成長を牽引するがん領域フランチャイズの更なる強化を図ります。

また、開発パイプラインの一層の拡充を図るため、2017年3月、医薬品企業オジェダ社(ベルギー)の株主との間で、当社がオジェダ社を買収することに合意し、契約を締結しました。同社は臨床第2相試験段階にある開発化合物を含む、複数の低分子化合物プログラムを有しています。

 

このほか、これまで注力してきた領域に加え、新たな疾患領域である「筋疾患」「眼科」や、次世代型ワクチンや細胞医療等の新技術・新治療手段に対しても、外部パートナーとの提携機会も活用しながら、イノベーション創出のための投資を行っています。当連結会計年度における外部との提携等の主な取り組みは以下のとおりです。

 

2016年4月、国立研究開発法人産業技術総合研究所と、顧みられない熱帯病の寄生原虫症(シャーガス病)の治療のための創薬に関する共同研究契約を締結しました。

2016年5月、第一三共株式会社及び武田薬品工業株式会社と、革新的医薬品の創出の効率化・加速化を目的として、健康成人におけるバイオマーカーの基礎データを網羅的に取得・解析するための共同研究契約の締結を公表しました。

2016年6月、東京大学 医科学研究所と、コレラ、毒素原性大腸菌を対象とした経口コメ型ワクチンに関する共同研究契約を締結しました。

2016年7月、サイトキネティックス社(米国)との骨格筋活性化剤に関する提携契約を改定し、提携範囲を拡大しました。本契約改定により、提携範囲に筋萎縮性側索硬化症(ALS)を加え、今後、ALSも対象に速筋トロポニン活性化剤 CK-2127107(開発コード)の開発を行います。また、サイトキネティックス社の開発する骨格筋活性化剤 tirasemtiv(一般名)の開発及び商業化に関するオプション権を取得しました。更に、次世代骨格筋活性化剤の創出を目的とした共同研究提携を2017年まで延長しました。

2016年7月、エムピーエム キャピタル社(米国)と共同で、デジタルヘルス領域における投資会社ディジテックス パートナーズ社(米国)を設立しました。

2016年12月、シスメックス株式会社及び第一三共株式会社と血中循環がん細胞の解析法構築に関する基本合意書を締結しました。

2017年1月、オーレイション バイオテック社(米国)と、同社が創製し、慢性鼓膜穿孔の治療薬として開発中のAU-935(開発コード)について、全世界における開発・商業化に関する独占的ライセンス契約を締結しました。

2017年2月、アフィニバックス社(米国)と、同社の多重抗原提示システム技術を利用して創製した肺炎球菌起因疾患を対象としたワクチンについて、全世界における開発・商業化に関する独占的ライセンス契約を締結しました。

 

臨床開発においては、より優先度の高いプロジェクトに経営資源を集中することにより、開発のスピードアップを図っています。当連結会計年度における主な開発の進展は以下のとおりです。

 

セロトニン・ドパミン拮抗剤クエチアピンフマル酸塩(一般名)の徐放錠(開発コード:FK949E)に関し、日本において2016年8月に、双極性障害におけるうつ症状の改善の効能・効果で承認申請をしました。

高リン血症治療剤キックリン(一般名:ビキサロマー)について、追加剤形として申請していた同剤の顆粒製剤に関し、日本において2016年9月に承認を取得しました。

前立腺がん治療剤イクスタンジ(一般名:エンザルタミド)に関し、日本において2016年9月に追加剤形として錠剤の承認申請をしました。

グアニル酸シクラーゼC受容体アゴニスト リンゼス(一般名:リナクロチド、開発コード:ASP0456)に関し、「便秘型過敏性腸症候群」の適応症について、日本において2016年12月に承認を取得しました。

ヒト抗スクレロスチンモノクローナル抗体製剤ロモソズマブ(一般名、開発コード:AMG 785)に関し、共同開発を行っているアステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社が、日本において、2016年12月に、骨折の危険性の高い骨粗鬆症の治療薬として承認申請をしました。

 

なお、株式会社UMNファーマとの間で2010年9月に締結した、細胞培養インフルエンザワクチンプログラムASP7374及びASP7373の日本での共同開発及び独占的販売に関する共同事業契約について、2017年3月に解約し、共同事業契約に基づいて当社に付与された全ての権利を同社に返還しました。また、当社は、ASP7374の承認申請を取り下げ、ASP7373の開発を中止しました。

また、2017年5月、上皮成長因子受容体(EGFR)変異選択的チロシンキナーゼ阻害剤ナコチニブ(一般名、開発コード:ASP8273)に関し、非小細胞肺がん患者を対象に実施していた臨床第3相試験について、本試験の独立データモニタリング委員会の勧告を受けて、試験への患者組み入れを自主的に中止するとともに、ナコチニブの投与を中止することを決定しました。

 

なお、当連結会計年度の研究開発費は2,081億円(対前連結会計年度比7.8%減)、対売上高研究開発費比率は15.9%となりました。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中において将来について記載した事項は、当連結会計年度末において判断したものです。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

社グループは、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しています。重要な会計方針及び見積りの詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等  連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り、判断及び仮定」に記載のとおりです。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

経営成績の分析については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1)業績」に記載しています。

 

(3) 当連結会計年度末の財政状態の分析

総資産は1兆8,209億円(対前連結会計年度末比216億円増)となりました。

非流動資産は9,442億円(同424億円増)となりました。当連結会計年度において、ドイツのガニメド ファーマシューティカルズ社の買収を完了したことに伴い、のれんとその他の無形資産が、それぞれ229億円、845億円増加しました。これらの結果、のれんは1,753億円(同222億円増)その他の無形資産は3,874億円(同512億円増)となりました。

流動資産は8,767億円(同209億円減)となりました。現金及び現金同等物は3,409億円(同191億円減)となりました。

資本合計は1兆2,718億円(同126億円増)となりました。当期純利益2,187億円を計上した一方で、剰余金の配当701億円に加え、自己株式の取得922億円を実施しました。2016年6月に自己株式の消却1,102億円(6,800万株)を実施しました。また、在外営業活動体の換算差額が資本の減少方向に325億円変動しました。

負債の合計は5,491億円(同90億円増)となりました。非流動負債は1,492億円(同225億円増)となりました。流動負債は3,999億円(同135億円減)となりました。


(4) 資本の財源及び資金の流動性
[キャッシュ・フロー]

当社グループの主たる財源は営業キャッシュ・フローであり、当連結会計年度は2,356億円の資金を得ました。これらを、ガニメド ファーマシューティカルズ社買収に伴う子会社株式の取得に509億円、有形固定資産の取得に290億円、無形資産の取得に196億円使用する等、投資活動として734億円支出しました。また、配当金の支払に701億円、自己株式の取得に922億円使用する等、財務活動として1,662億円支出しました。これらの結果、現金及び現金同等物の期末残高は、3,409億円となりました。

 

[財務政策]

これらの資金基盤を背景に、当社グループは、医薬品事業の強化に向けて、日本市場においては市場シェアの継続的な拡大、海外市場においてはグローバル販売網の整備を進め、さらには、新薬のシーズを確保すべく研究開発体制の強化を図っていきます。また、製品ラインを一層強化するため、グローバル並びにローカルレベルで積極的に製品導入を図る等、様々な戦略的事業投資機会を追求していきます。

株主への利益還元策につきましては、成長を実現するために必要な内部留保を確保しながら、連結ベースでの中長期的な利益成長に基づき、配当を安定的かつ持続的に増加させていきます。これに加えて自己株式取得を必要に応じ機動的に実施し、資本効率と還元水準の更なる向上に努めていきます。

資金の流動性については、当面の運転資金及び設備資金に加え、一定の戦略的投資機会にも備えられる現預金水準を確保しています。

「事業等のリスク」に記載のとおり、当社グループの事業等は医薬品事業に特有の様々なリスクを伴っています。事業展開にあたっては、自己資金の充当が望ましいと考えていますが、将来、それを上回る資金需要が発生した場合にも必要資金を円滑にかつ低利で調達できるよう財務基盤の健全性は常に維持していくよう努めています。