文中において将来について記載した事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
当社の経営理念は、「存在意義」「使命」「信条」より構成されています。「先端・信頼の医薬で、世界の人々の健康に貢献する」ことを存在意義とし、「企業価値の持続的向上」を使命とするとともに、「高い倫理観」「顧客志向」「創造性発揮」「競争の視点」の4項目を信条としています。
この経営理念を実現するための行動を具体化した「アステラス企業行動憲章」、また、グループ共通のコンプライアンスの規範として「アステラスグループ行動規準」を制定しています。そして、これらを誠実に実践していくことで、すべてのステークホルダーから選ばれ、信頼される企業を目指しています。
製薬産業を取り巻く事業環境は、時代とともに大きく変化しています。新薬開発の難易度の上昇、医療費抑制政策等マイナスの影響がある一方で、新薬の優先審査制度の登場等、イノベーションを評価する制度の拡充や、科学技術の進歩に伴い、創薬に活用できる治療手段が増加するなどプラスの動きもあります。また、デジタル技術や工学技術の進歩は、異業種との融合を促し、患者さんに新しい医療ソリューションの提供を可能にします。
当社は、このような事業環境変化を見据え、アンメットメディカルニーズの高い疾患領域において、付加価値の高い革新的な新薬と自社の強みを活かした医療ソリューションを創出していきます。また、多面的な視点で医療の変化を捉えることで、継続的に事業機会を見出していきます。
当社は、2015年に策定したVISIONにおいて、「変化する医療の最先端に立ち、科学の進歩を患者さんの価値に変える」ことを宣言しました。このVISIONの下、最先端の科学を追求し、患者さんに価値をもたらす医療ソリューションの創出を目指しています。
2020年度は、VISION実現のための道しるべである「経営計画2018」の最終年度にあたります。将来の成長に向けて積極的に投資を行いながら、引き続き経営計画の戦略を着実に実行していくことにより、中長期的な利益成長トレンドに回帰することで、持続的な企業価値の最大化を目指します。
XTANDI/イクスタンジ、ベタニス/ミラべトリック/ベットミガの価値最大化とともに、6つの重点後期開発品の計画どおりの承認取得、発売を目指します。また、競争優位に繋がる分野への優先的な経営資源の配分や、先端技術の活用等によりOperational Excellenceを更に追求していきます。
バイオロジーとモダリティ/テクノロジーの独自の組み合わせをアンメットメディカルニーズの高い疾患に応用することで特定した分野に経営資源を投下します。このFocus Areaアプローチにおいて、自社の研究開発力の強化に加え、提携等を通じて外部の優れた能力を取り込むことで、継続的に革新的な医薬品の候補を見出し、開発候補品を充実させていきます。特に、科学的妥当性、実行可能性、プロジェクトの充実度や進捗等の基準により特定した5つのPrimary Focusに注力します。
これまで当社が医療用医薬品 (Rx) 事業で培ってきた強みを、外部の最先端の医療技術や異分野の技術・知見を融合させることで、新たなヘルスケアソリューションの創出を目指します。このRx+TM事業を通じて、「科学的根拠に基づくヘルスケアソリューションによって、心身ともに健康に、自分らしく生きることができる社会」の実現を目指します。
② 株主還元方針
当社は、企業価値の持続的向上に努めるとともに、株主還元にも積極的に取り組んでいます。成長を実現するための事業投資を優先しながら、配当については、連結ベースでの中長期的な利益成長に基づき、安定的かつ持続的な向上に努めます。
また、自己株式の取得を必要に応じて機動的に実施し、資本効率の改善と1株当たり利益の向上を図ります。
当社グループは、以下のような経営体制を構築しています。今後も更なるグローバル経営体制の強化に取り組んでいきます。
・当社グループ全体の経営上の重要事項を協議する機関として、代表取締役社長が議長を務めるエグゼクティブ・コミッティを設置しています。
・より迅速かつ的確な意思決定を可能とする最適な経営体制を構築するため、研究、メディカル、開発、製薬技術及びスタッフ部門を含むほぼ全ての部門をグローバル組織体制にするとともに、その活動を掌握するトップマネジメントを選任しています。
・業務の適正な遂行を図るため、部門を横断して構成される各種委員会等を設置しています。こうした委員会としては、会社情報の開示等に関する事項の協議を行う情報開示委員会をはじめ、社会的責任を果たす上で重要な活動 (環境、安全衛生、社会貢献活動等) に関する方針・計画等を協議するCSR委員会、製品のベネフィット・リスク情報及びその対応方法について協議するグローバルベネフィット・リスク委員会、グローバルなコンプライアンスの方針・計画等について協議を行うグローバル・コンプライアンス委員会があります。また、従来設置していた「グローバルリスク管理事務局」に代わり、2019年10月からリスク管理を一層強化するため、グローバル及び部門別の「リスク&レジリエンス委員会」を設置し、リスクの識別と最適な管理活動並びに危機対応計画及び事業継続計画の準備・対応状況を包括的に管理しています。
・「経営計画2018」の戦略目標達成に向けてより効率的かつ効果的な体制を構築するため、継続的に組織体制を見直しています。その一環として、2020年4月に以下の組織改定を実施しました。
◇顧客、株主、社員、社会など、多様なステークホルダーとの対話を一層強化することを目的に、CSR (Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任) 、広報、国際渉外の機能を集約したコーポレート・アドボカシー部門を設立しました。
当社は、持続的な成長に向けた取り組みのもと、2019年度を業績の底として、中長期的な利益成長トレンドへの回帰を目指し、2018年5月に公表した「経営計画2018」において、以下の計数ガイダンスを行っています。
(注) 1.当社は、会社の経常的な収益性を示す指標としてコアベースの業績を開示しています。当該コアベースの業績は、フルベースの業績から当社が定める非経常的な項目を調整項目として除外したものです。調整項目には、減損損失、有形固定資産売却損益、リストラクチャリング費用、災害による損失、訴訟等による多額の賠償又は和解費用等のほか、会社が除外すべきと判断する項目が含まれます。
2.基本的1株当たりコア当期利益は、コア当期利益をその期間の自己株式を調整した発行済普通株式の加重平均株式数で除して算定しています。
(1) 事業活動遂行に係るリスクの特定とリスク低減への取り組み
グローバルに事業を展開する製薬企業には高い水準で各種規制を遵守することが求められており、当社も業績やレピュテーションに影響を及ぼしうる、多様なリスクに対応する必要があります。当社ではこれまでのリスク管理活動のさらなる発展を目指し、2019年度にリスク管理を統括するコーポレートリスクマネジメント部門及び経営管理・コンプライアンス担当が議長を務めるグローバル・リスク&レジリエンス委員会を新たに設置し、エンタープライズ・リスク管理の運用を進めています。
エンタープライズ・リスク管理では、全社的ならびに部門別に識別されたリスクを、一貫した評価によって優先順位を付けて分類し、必要に応じて普遍的な解決手段の策定に結び付けます。識別されたリスクはグローバル・リスク&レジリエンス委員会で定期的に評価し、優先順位の高いリスクに関しては、代表取締役社長が議長を務めるエグゼクティブ・コミッティでその解決・低減策を協議します。
(2) リスク管理体制
当社のリスク管理体制は以下のとおりです。
詳細については、 「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ④内部統制システムに関する基本的な考え方及びその整備状況 2 リスク (損失の危険) の管理に関する規程その他の体制」をご参照ください。

(3) 最重要リスク
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関連する事項のうち、経営者が、連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している事項には、主として以下のようなものがあります。
なお、文中において将来について記載した事項は、当連結会計年度末において判断したものです。
①サイバーセキュリティに関するリスク
近年、サイバー攻撃はこれまで以上に技術が高度化し、攻撃手法も多様化・巧妙化しています。このような状況を踏まえ、当社はサイバーセキュリティに関するリスクを最重要リスクの一つと認識し、情報システム部門を中心に、ネットワーク及び設備の監視を始めとする各種サイバー攻撃対策をグローバルベースで実施し、その管理には万全を期しています。
しかしながら、これらの対策にもかかわらず、サイバー攻撃やそれに伴う深刻なシステム障害等により実質的にビジネスが中断した場合、または個人を特定できる情報を含む重要データが逸失、破損、社外流出した場合、当社グループの経営成績は大きな影響を受ける可能性があります。
②サプライチェーンマネジメントに関するリスク
医薬品事業において、安全で有効な医薬品を確実に製造し安定的に提供することは極めて重要です。当社はサプライチェーンマネジメントに関するリスクを最重要リスクの一つと認識し、製薬技術部門を中心に、医薬品の製造工程における製造管理、品質管理の基準 (GMP) 及び適正流通の基準 (GDP) に合致した独自の基準を設定し、製造施設・設備のほか、原料の調達から保管、製造、さらに配送まで、一貫した高水準の品質管理を徹底しています。また、サプライチェーンの複雑化に対応すべく、グローバルベースでの製造受託機関 (CMO) 管理の導入、緊急事態の供給に関する事業継続計画 (BCP) の作成等の対策を進めています。
しかしながら、これらの対策にもかかわらず、供給中断、欠品、品質問題が発生した場合、また、これらに伴い当社のレピュテーションが棄損した場合、当社グループの経営成績は大きな影響を受ける可能性があります。
③薬事行政の影響に関するリスク
医薬品事業は、事業を行っている各国の薬事行政により様々な規制を受けています。当社は米国政府による医薬品価格政策の変更を最重要リスクの一つと認識し、動向を注視しています。
このような先進国を中心とした医療費抑制策、開発、製造及び流通に関わる諸規制の厳格化等によって当社グループの経営成績は大きな影響を受ける可能性があります。
これらの当社グループが認識している最重要リスクに加え、研究開発の不確実性、知的財産権を侵害される又は侵害するリスク、製品に副作用や安全性の問題が生じるリスク、当社グループのビジネスが他社の開発した医薬品のライセンス及び販売に一部依存するリスクなど、製薬産業に特有のリスクのほか、競合品との競争、環境・安全衛生に関する関係法令違反、事業を行う過程において訴訟を提起されるリスク、災害などによる製造の遅滞や休止、為替レートの変動など、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のあるさまざまなリスクが存在しています。なお、ここに記載されたものが当社グループのすべてのリスクではありません。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー (以下「経営成績等」) の状況の概要は次のとおりとなりました。
[財政状態]
総資産は2兆3,182億円 (前連結会計年度末比4,205億円増) となりました。
非流動資産は1兆4,506億円 (同4,102億円増) となりました。IFRS第16号「リース」の適用により、当連結会計年度の期首に使用権資産を831億円追加で認識したことに伴い、有形固定資産は2,686億円 (同951億円増) となりました。2019年12月にXyphos社、2020年1月にAudentes社を買収したことなどに伴い、のれんは2,675億円 (同416億円増) 、無形資産は7,385億円 (同3,088億円増) となりました。
流動資産は8,675億円 (同104億円増) となりました。現金及び現金同等物は3,184億円 (同73億円増) となりました。
資本合計は、1兆2,892億円 (同308億円増) となり、親会社所有者帰属持分比率は55.6%となりました。当期利益1,954億円を計上した一方で、剰余金の配当735億円に加え、自己株式の取得529億円を実施しました。なお、2019年5月と2020年2月にあわせて2,094億円 (11,804万株) の自己株式の消却をしました。
負債の合計は、1兆290億円 (同3,897億円増) となりました。
非流動負債は2,303億円 (同887億円増) となりました。IFRS第16号「リース」の適用により、当連結会計年度の期首にリース負債を755億円追加で認識したことに伴い、その他の金融負債は1,293億円 (同764億円増) となりました。Audentes社の買収に伴い、繰延税金負債が増加し、277億円 (同225億円増) となりました。
流動負債は7,987億円 (同3,010億円増) となりました。Audentes社の買収資金に充当するため資金調達を行い、当連結会計年度末の残高は短期社債1,860億円、短期借入金1,400億円となりました。これに加えて、IFRS第16号「リース」の適用により、当連結会計年度の期首にリース負債を169億円追加で認識したことなどから、その他の金融負債は3,457億円 (同3,316億円増) となりました。
[経営成績]
<連結業績 (コアベース) >
当連結会計年度の連結業績 (コアベース) は、下表のとおりです。売上収益、コア営業利益は前連結会計年度と同程度となりました。一方、コア当期利益は減少しました。
[連結業績 (コアベース) ]
売上収益
売上収益は1兆3,008億円 (前連結会計年度比0.4%減) となりました。
・為替レートが円高に推移したことに伴うマイナスの影響を除くと、2.4%の増収となりました。
・主力製品の前立腺がん治療剤XTANDI/イクスタンジ、過活動膀胱 (OAB) 治療剤ベタニス/ミラベトリック/ベットミガの売上が引き続き拡大しました。
・日本と米国での伸長に加え欧州でも発売した急性骨髄性白血病治療剤ゾスパタが増加したほか、骨粗鬆症治療剤イベニティをはじめとする日本の新製品群が伸長しました。
・これによって、OAB治療剤ベシケア、抗がん剤タルセバの独占販売期間満了や日本における喘息治療剤シムビコート、KMバイオロジクス株式会社のヒト用ワクチン等の契約終了の影響等による売上の減少を補いました。
コア営業利益/コア当期利益
・売上総利益は1兆241億円 (同1.0%増) となりました。売上原価率は、製品構成の変化等により前連結会計年度に比べ1.1ポイント低下し、21.3%となりました。
・販売費及び一般管理費は、4,993億円 (同1.8%増) となりました。経費の効率的な使用やリソース配分の最適化を推進することで、XTANDIに係る米国での売上拡大に伴う共同販促費用の増加や新製品立ち上げのために必要な投資の増加を一部吸収しました。これに加えて、第2四半期連結会計期間における損失評価引当金の戻入れが一過性の費用減少要因となりました。
・研究開発費は、2,242億円 (同7.4%増) となりました。重点後期開発品に対する投資に加え、Audentes社買収による研究開発費の増加をはじめとする新たな領域・技術への投資拡充に伴う費用等が増加しました。売上収益研究開発費比率は、前連結会計年度に比べ1.3ポイント増加し、17.2%となりました。
・無形資産償却費は、212億円 (同39.9%減) となりました。
以上の結果、コア営業利益は2,778億円 (同0.3%減) となりました。また、前連結会計年度において一過性の要因により税率が低かったことから、法人所得税費用が増加したため、コア当期利益は2,232億円 (同10.5%減) となりました。なお、為替レートが円高に推移したことに伴うマイナスの影響を除くと、コア営業利益は4.3%の増益となりました。
<連結業績 (フルベース) >
当連結会計年度の連結業績 (フルベース) は、下表のとおりです。
フルベースの業績には、コアベースの業績で除外される「その他の収益」、「その他の費用」 (減損損失、為替差損等) 等が含まれます。
「その他の収益」として、第3四半期連結会計期間に有形固定資産売却益等を計上しました。また、「その他の費用」として、為替差損を計上したほか、第1四半期連結会計期間において、選択的ニューロキニン3 (NK3) 受容体拮抗薬fezolinetantの開発進捗に応じてOgeda社の旧株主に支払う条件付対価の公正価値増加分を計上しました。これに加えて、第4四半期連結会計期間に、買収したAudentes社の権利確定前のストックオプション等の清算に関する費用、Cytokinetics社との契約見直しに伴う減損損失等を計上しました。
これらの結果、「その他の収益」は122億円 (前連結会計年度:142億円) 、「その他の費用」は459億円 (前連結会計年度:488億円) となりました。
[連結業績 (フルベース) ]
主要製品の売上
(注) プログラフ:アドバグラフ、グラセプター、アスタグラフXLを含む
◇XTANDI/イクスタンジ
・売上は4,000億円 (前連結会計年度比20.1%増) となりました。日本、米国、エスタブリッシュドマーケット (注1) 、グレーターチャイナ (注2) 及びインターナショナル (注3) の全ての地域で売上が拡大しました。
◇ゾスパタ
・日本、米国に加え、2019年11月に欧州で発売しました。売上は143億円 (同467.6%増) となりました。
◇泌尿器OAB製品
・ベタニス/ミラベトリック/ベットミガの売上は1,616億円 (同9.8%増) となりました。全ての地域で売上が増加しました。
・ベシケアの売上は米国及び欧州において独占販売期間満了に伴う後発医薬品発売の影響を受け、447億円 (同52.9%減) となりました。
◇プログラフ
・売上は1,929億円 (同1.4%減) となりました。グレーターチャイナ、インターナショナルで伸長しましたが、日本、米国、エスタブリッシュドマーケットの売上が減少しました。
◇その他の新製品・主要製品の状況
・日本では、イベニティに加え、糖尿病治療剤スーグラとスージャヌ配合錠、慢性便秘症治療剤リンゼス、抗悪性腫瘍剤ビーリンサイト等の新製品群の売上が引き続き拡大しました。また、2019年11月に腎性貧血治療剤エベレンゾを発売しました。一方、シムビコート及びKMバイオロジクス株式会社のヒト用ワクチンは契約終了に伴い当社による販売を終了したため売上が減少しました。
・米国では、アゾール系抗真菌剤クレセンバの売上が拡大しました。また、Seattle Genetics社と共同開発を進めている尿路上皮がん治療剤PADCEVが発売されました。一方、タルセバの収入が独占販売期間満了に伴い減少しました。
地域別売上収益の状況
地域別の売上収益は下表のとおりです。米国、インターナショナルは増加、日本、エスタブリッシュドマーケット及びグレーターチャイナは減少しました。
エスタブリッシュドマーケット、グレーターチャイナは為替の影響を受けて減少しましたが、その影響を除くと増加しました。
(注) 1. エスタブリッシュドマーケット:欧州、カナダ、オーストラリア
2. グレーターチャイナ:中国、香港、台湾
3. インターナショナル:ロシア、中南米、中東、アフリカ、東南アジア、南アジア、韓国、輸出売上等
[セグメントごとの経営成績]
当社グループは、医薬品事業の単一セグメントのため、記載を省略しています。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、2,220億円 (前連結会計年度比366億円減) となりました。
・法人所得税の支払額が480億円となりました。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、△3,898億円 (同3,480億円支出増) となりました。
・Audentes社、Xyphos社等の買収に伴い、子会社の取得による支出が3,208億円 (同3,015億円増) となりました。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、1,811億円 (前連結会計年度は2,337億円の支出) となりました。
・Audentes社の買収に必要な資金を調達したことに伴い社債及び借入金の増減額が3,260億円となりました。
・配当金の支払額は735億円 (前連結会計年度比15億円増) となりました。また、自己株式の取得による支出529億円 (同1,075億円減) がありました。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、3,184億円 (前連結会計年度末比73億円増) となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。
(注) 1.金額は、販売価格によっています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。
(注) 1.主な相手先の販売実績及び総販売実績に対する割合は、以下のとおりです。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。また、文中において将来について記載した事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大による当連結会計年度における経営成績等への大きな影響はありませんでした。
財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しています。
[キャッシュ・フロー]
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しています。
[財務政策]
当社グループは、企業価値の持続的向上に努めるとともに、株主還元にも積極的に取り組んでいます。
成長を実現するための事業投資を優先しながら、配当については、連結ベースでの中長期的な利益成長に基づき、安定的かつ持続的な向上に努めます。また、自己株式の取得を必要に応じて機動的に実施し、資本効率の改善と1株当たり利益の向上を図ります。資金の流動性については、短期社債及び借入金による資金調達を行い、当面の運転資金及び設備資金に加え、一定の戦略的投資機会にも備えられる現預金水準を確保しています。
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、当社グループの事業等は医薬品事業に特有の様々なリスクを伴っています。事業展開にあたっては、必要資金を円滑にかつ低利で調達できるよう財務基盤の健全性の維持に努めます。
当社グループは、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しています。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り、判断及び仮定」に記載のとおりです。
(注) 協和発酵キリン株式会社 (日本) は協和キリン株式会社へ社名を変更しています。
(注) 以下の技術導出契約の契約期間を変更しています。
・Boehringer Ingelheim International GmbH (ドイツ) との欧州等における塩酸タムスロシンOCAS製剤に関する技術
(注) 以下の取引契約を終了しています。
・日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社 (日本) との「ミカルディス」の販売契約 (「ミコンビ」「ミカムロ」等を含む)
・AstraZeneca AB (スウェーデン) との「シムビコート」の販売及び共同販促契約
(注) 以下の提携契約に関する開示を終了しています。
・ClearPath Development Company (米国) との感染症領域におけるワクチンのポートフォリオ構築に関する契約
・LTLファーマ株式会社 (日本) との日本における長期収載品16製品の譲渡に関する契約
2017年3月28日に当社は、日本のLTLファーマ株式会社との間で、長期収載品16製品の国内製造販売承認並びに国内外第三者への原薬・バルク供給及びロイヤリティービジネスを同社に譲渡する契約を締結しました。この契約に基づく国内製造販売承認等の承継は2019年4月1日付で完了しました。
当連結会計年度において、以下の合弁契約を終了しました。
・Amgen Inc. (米国) とのアステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社に関する合弁契約
・Audentes Therapeutics, Inc. (米国) 買収に関する契約
当連結会計年度において、当社は、バイオテクノロジー企業であるAudentes Therapeutics, Inc.との間で、同社を買収することで合意し、2019年12月2日に契約を締結しました。この契約に基づき、同社の発行済普通株式の買付価格を1株当たり60.00米ドルとして公開買付けを実施し、米国東部時間 2020年1月15日に同社の買収が完了し、同社を当社の完全子会社としました。
・Xyphos Biosciences, Inc. (米国) 買収に関する契約
当連結会計年度において、当社の子会社であるアステラス US ホールディング Inc.は、バイオテクノロジー企業であるXyphos Biosciences, Inc.との間で、同社を買収する契約を締結しました。この契約に基づき、米国太平洋時間 2019年12月26日に同社の買収が完了し、同社を当社の完全子会社としました。
当社は、2018年5月に公表した「経営計画2018」において、「製品価値の最大化とOperational Excellenceの更なる追求」「Focus Areaアプローチによる価値創造」「Rx+TMプログラムへの挑戦」の3つを戦略目標として掲げ、中長期にわたる持続的な成長に向けた取り組みを進めています。
製品価値の最大化に向けた取り組みとして、中長期にわたる持続的な成長を支える6つの重点後期開発品にも優先的に経営資源を振り向け、着実に開発を進めました。
当連結会計年度における主な取り組みは以下のとおりです。
・前立腺がん治療剤 XTANDI/イクスタンジ (一般名:エンザルタミド)
2019年7月 欧州及び日本において、転移性去勢感受性前立腺がんへの追加適応に関する承認申請を行いました。
2019年12月 米国において、転移性去勢感受性前立腺がんへの追加適応に関する承認を取得しました。
2020年2月 非転移性去勢抵抗性前立腺がん患者を対象とした第Ⅲ相PROSPER試験の全生存期間の最終解析において、アンドロゲン除去療法と本剤の併用投与群はアンドロゲン除去療法とプラセボ併用投与群と比較して、統計学的に有意な全生存期間の延長を示したことを公表しました。
2020年3月 中国において、化学療法施行歴のない、アンドロゲン除去療法が無効の、無症状又は軽度の症状を有する転移性去勢抵抗性前立腺がんを適応症として発売しました。
・急性骨髄性白血病治療剤ゾスパタ (一般名:ギルテリチニブフマル酸塩)
2019年4月 成人の再発又は難治性のFLT3遺伝子変異陽性急性骨髄性白血病患者を対象とした第Ⅲ相ADMIRAL試験において、本剤は救援化学療法と比較して、統計学的に有意な全生存期間の延長を示し、主要評価項目を達成したことを公表しました。
2019年5月 米国において、第Ⅲ相ADMIRAL試験で得られた全生存期間延長のデータを添付文書に追加することに関し、承認を取得しました。
2019年11月 欧州において、成人の再発又は難治性のFLT3遺伝子変異陽性急性骨髄性白血病を適応症として発売しました。
・腎性貧血治療剤エベレンゾ (一般名:ロキサデュスタット)
2019年11月 日本において、透析施行中の腎性貧血を適応症として発売しました。
2020年1月 日本において、保存期(透析導入前)の慢性腎臓病に伴う貧血の追加適応に関する承認申請を行いました。
・尿路上皮がん治療剤 PADCEV (一般名:エンホルツマブ ベドチン)
2019年11月 当社とSeattle Genetics社はMSD International社(スイス)と、本剤と抗PD-1抗体ペムブロリズマブ (遺伝子組換え) (一般名、製品名:キイトルーダ) の併用療法を評価する、未治療の転移性尿路上皮がん患者を対象とした臨床試験に関し、提携契約を締結しました。
2019年12月 米国において、抗PD-1抗体薬又は抗PD-L1抗体薬による治療歴があり、かつ、術前又は術後の補助化学療法として、あるいは局所進行又は転移した状態において白金製剤による治療歴のある、局所進行性又は転移性尿路上皮がんを適応症としてSeattle Genetics社が発売しました。
2020年2月 米国において、切除不能な局所進行性又は転移性尿路上皮がんで、シスプラチンベースの化学療法に不適応の患者における、本剤とペムブロリズマブとの併用による一次治療を対象としてブレークスルーセラピー指定を取得しました。
・選択的ニューロキニン3受容体拮抗薬 fezolinetant (一般名)
2019年8月 更年期に伴う中等度から重度の血管運動神経症状の患者を対象とした国際共同第Ⅲ試験において、最初の患者への投与を開始したことを公表しました。
・抗Claudin18.2モノクローナル抗体 ゾルベツキシマブ (一般名)
2019年7月 膵臓腺がん患者を対象とした第Ⅱ相試験において、最初の患者への投与を開始したことを公表しました。
その他、日本において、以下の承認取得や新発売がありました。
2019年6月 高血圧症/心房細動治療剤ビソノテープ(一般名:ビソプロロール)に関し、頻脈性心房細動を適応症として、追加剤形であるビソノテープ2mgを販売契約先のトーアエイヨー株式会社と発売しました。
2019年6月 前立腺がん治療剤ゴナックス (一般名:デガレリクス酢酸塩) に関し、維持用量を12週間間隔で投与する新たな用法・用量を可能にするため、追加剤形であるゴナックス皮下注用240mgを発売しました。
2019年6月 高コレステロール血症治療剤レパーサ (一般名:エボロクマブ (遺伝子組換え) ) に関し、HMG-CoA還元酵素阻害剤による治療が適さない家族性高コレステロール血症及び高コレステロール血症の製造販売承認事項一部変更承認を共同開発会社であるアステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社(現アムジェン株式会社)が取得しました。
2019年7月 関節リウマチ治療剤スマイラフ (一般名:ペフィシチニブ臭化水素酸塩) に関し、既存治療で効果不十分な関節リウマチ (関節の構造的損傷の防止を含む) を適応症として発売しました。
Focus Areaアプローチによる価値創造への取り組みとして、当社は、最先端の科学に基づき、バイオロジーとモダリティ/テクノロジーの独自の組み合わせを見出し、アンメットメディカルニーズの高い疾患に対する革新的な医薬品の創出を目指しています。
これまでにFocus AreaからPrimary Focusとして特定した「再生と視力の維持・回復」「がん免疫」「ASIM (抗原特異的免疫調節) バイオロジー」「ミトコンドリアバイオロジー」に加え、当連結会計年度においては、Audentes Therapeutics社(米国) の買収に伴い、「遺伝子治療」を新たにPrimary Focusと位置づけました。これらのPrimary Focusへ優先的に経営資源を投下し、研究開発に取り組んでいます。
当連結会計年度における主な進展は以下のとおりです。
・がん免疫
2019年9月 国立研究開発法人理化学研究所と、人工アジュバントベクター細胞作製のための基盤技術を利用した細胞製剤に関し、全世界における独占的ライセンス契約を締結し、特定のがん抗原を対象に研究開発、商業化するための権利を獲得しました。
2019年12月 Xyphos Biosciences社 (米国) を買収し、同社を当社の完全子会社としました。本買収により、同社が有するCAR-細胞療法 (Chimeric Antigen Receptor:キメラ抗原受容体) に関する技術プラットフォームであるACCEL (Advanced Cellular Control through Engineered Ligands) とともに、がん免疫の分野をリードする優秀な人材を獲得しました。
2020年1月 Adaptimmune社 (英国) と、がん患者を対象とした新たな多能性幹細胞由来の他家T細胞医療製品の共同開発及び商業化に関する契約を締結しました。本契約に基づき、同社と、最大3つの標的分子に対して、特異的に作用する新しいT細胞医療製品候補を共同開発します。
2020年3月 CytomX Therapeutics社 (米国) と、CD3 抗原及びがん細胞表面の抗原を標的とした新規の二重特異性 T 細胞誘導抗体について、がん治療を対象とした共同研究開発及び商業化に関する契約を締結しました。これにより、同社が有するProbody技術プラットフォーム及びその技術を用いた独自の二重特異性抗体とCD3 タンパクを活用して、革新的ながん治療薬の創出を目指します。
・ASIM (抗原特異的免疫調節) バイオロジー
2019年10月 Pandion Therapeutics社 (米国) と、膵臓の自己免疫疾患に対し局所的に作用する免疫調節薬の研究、開発及び商業化を目的とした提携契約を締結しました。これにより、同社が有するバイオ医薬工学及び免疫学に関する専門性と、当社が有する先端的な新薬研究開発力及びグローバルビジネスにおける豊富な経験を活かし、両社による自己免疫疾患治療薬の創出を目指します。
・ミトコンドリアバイオロジー
2019年10月 開発中のASP1128に関し、米国において、冠動脈バイパス及び/又は冠動脈弁の手術後の中等度から重度の急性腎障害を発症するリスクが高い患者に対する開発について、ファストトラック指定を受けました。
・遺伝子治療
2020年1月 Audentes Therapeutics社を買収し、同社を当社の完全子会社としました。アデノ随伴ウイルスを活用した独自の遺伝子治療薬の技術プラットフォームや治療薬を自前で製造することができる高い能力に加え、現在、第Ⅰ/Ⅱ相臨床開発段階にあるX染色体連鎖性ミオチュブラー・ミオパチーを対象とするAT132をはじめ複数の遺伝子治療プログラムを獲得しました。さらに、患者団体や学術的なパートナー等との貴重な人的ネットワークの取り込みによる、遺伝子治療の領域におけるパートナリングやパイプライン拡大の機会創出を目指します。
・その他
2019年7月 Frequency Therapeutics社 (米国) と、米国を除く全世界における独占的ライセンス契約を締結し、感音難聴を対象としたプログラムであるFX-322の開発及び商業化に関する権利を獲得しました。
2019年7月 Affinivax社 (米国) の多重抗原提示システム技術により創製された肺炎球菌ワクチンであるASP3772の第Ⅰ/Ⅱ相試験の第Ⅱ相パートを開始したことを公表しました。
2020年3月 国立大学法人岐阜大学と、次世代ファージセラピー技術を応用した細菌感染症治療法の開発を目的として、岐阜大学大学院医学系研究科内に共同研究講座「ファージバイオロジクス研究講座」を開設しました。
当社は、中長期にわたる持続的な成長を実現していくため、Rx+TM (以下「Rx+」) プログラムに挑戦しています。これまで医療用医薬品 (Rx) 事業で培ってきた強みと最先端の医療技術や異分野の技術・知見を融合させることで、新たなヘルスケアソリューションの創出を目指しています。
当連結会計年度は、Rx+事業創出における注力領域を示した戦略的方向性としてRx+ StoryTMを策定しました。これにより、Rx+事業創出の活動は広く機会を探索する段階から強固な基盤を確立する段階に移行します。
当連結会計年度における主な取り組みは以下のとおりです。
2019年8月 公立大学法人横浜市立大学及び国立大学法人東京藝術大学と、ゲーミフィケーションを用いた新たなデジタルヘルスケアソリューションの創出・実用化を目指し、3者間の産学連携のバーチャルな枠組みとして「Health Mock Lab.」を発足しました。
2019年9月 iota Biosciences社 (米国) と、極小の体内埋め込み型医療機器を用いた新たな生体センシング及び治療手段の実現を目指し、共同研究開発契約を締結しました。本契約に基づき、アンメットメディカルニーズの高い複数の疾患を対象として、埋め込み型医療機器の詳細な仕様を検討し、前臨床試験を実施します。
2019年11月 Welldoc社 (米国) と、デジタルセラピューティクスの開発及び商業化について、戦略的提携に関する契約を締結しました。本契約に基づき、同社が開発した糖尿病を対象としたデジタルヘルス製品であるBlueStarを日本及び一部のアジア地域において共同で開発及び商業化する権利と、米国市場における同製品のアクセス拡大に向けて協働する権利を獲得しました。また、糖尿病以外の複数の疾患を対象にデジタルセラピューティクスのグローバルでの開発及び商業化を進めていきます。
なお、当連結会計年度の研究開発費は