文中において将来について記載した事項は、提出日現在において判断したものです。
当社の経営理念は、「存在意義」「使命」「信条」の3つのパートから構成されています。この経営理念は、有用性と信頼性の高い医薬品で世界の人々の健康に貢献し、企業価値を持続的に向上させることを目指していく当社の姿勢を表現しています。
アステラスの存在意義:先端・信頼の医薬で、世界の人々の健康に貢献する
・生命科学の未知なる可能性を、誰よりも深く究めたい。
・新しい挑戦を続け、最先端の医薬品を生み出したい。
・高い品質を確かな情報と共に届け、揺るぎない信頼を築きたい。
・世界の人々の健やかな生活に応えていくために。
・世界で輝き続ける私たちであるために。
アステラスの使命:企業価値の持続的向上
・アステラスは、企業価値の持続的向上を使命とします。
・アステラスは、企業価値向上のため、お客様、株主、社員、環境・社会など、すべてのステークホルダーから選ばれ、信頼されることを目指します。
アステラスの信条
アステラスの「信条」は、私たちが常に大事にする行動規範です。
アステラスは、これらの信条に共鳴し実践する人々の集団であり続けます。
高い倫理観: 常に、高い倫理観をもって、経営活動に取り組みます。
顧客志向: 常に、お客様のニーズを把握し、お客様の満足に向かって行動します。
創造性発揮: 常に、現状を是とせず、未来志向で自己革新に挑戦し、新しい価値を創造します。
競争の視点: 常に、視野広く外に目を向け、より優れた価値を、より早く生み出し続けます。
アステラスは、信条に則した行動を通じて、ステークホルダーの皆様への責任を適切に果たし続けるとともに、積極的な情報開示を行います。
製薬産業を取り巻く事業環境は時代とともに大きく変化しています。新薬開発の難易度の上昇、医療費抑制政策等マイナスの影響がある一方で、イノベーションを評価する制度の拡充や、科学技術の進歩に伴い、創薬に活用できる治療手段が増加するなどプラスの動きもあります。また、デジタル技術や工学技術の進歩は、異業種との融合を促し、患者さんに新しい医療ソリューションの提供を可能にします。当社は、これらの変化に柔軟に対応し、社会の持続可能性への貢献、その結果としてアステラスの持続可能性に寄与する戦略を策定することで、企業価値を持続的に向上させ、革新的な医療ソリューションを患者さんに届け続けていきます。
① 経営計画2021
当社は、「変化する医療の最先端に立ち、科学の進歩を患者さんの『価値』に変える」ことをVISIONに掲げ、 最先端の科学を追求し、患者さんに「価値」をもたらす医療ソリューションの創出を継続的に目指しています。 2021年5月に公表致しました5年間の新たな経営計画である経営計画2021では、4つの戦略目標、それを推進する企業風土を醸成するための “道しるべ”となる3つの組織健全性目標、それらが全て達成された際に到達できると考える3つの成果目標を設定しています。
4つの戦略目標
戦略目標1:患者さんのより良いアウトカムの実現
当社は、中長期的な成長を牽引するXTANDI及び重点戦略製品(注)について、最初の申請国における最適な申請計画の立案、計画したスケジュールから遅滞のない承認申請、より速く世界中の多くの方へ届けるためのグローバル展開までの期間短縮、洗練された発売計画の立案と実行を行うことなどによって、(i)アステラス製品に対する患者さんの持続的なアクセス、(ii)患者さんがアステラスの製品から享受するアウトカムの最大化に取り組んでいきます。
(注)ゾスパタ、パドセブ、ゾルベツキシマブ、エベレンゾ、fezolinetant、AT132
戦略目標2:科学の進歩を確かな「価値」へ
研究開発における重点戦略領域であるPrimary Focusに優先的に経営資源を投下し、パイプライン価値を高めます。「価値」の実証とPrimary Focus拡大の加速、バイオ医薬品における最先端のイノベーションの効果的な探究によって、経営計画2018での取り組みを新たな次元へと進化させます。特に、基盤技術として有する細胞医療や遺伝子治療によるアプローチは、これまでの「対症療法」から「根本治療」へと大きなパラダイムシフトをもたらし、いまだ治療法のない疾患に対する新たな治療法を切望する患者さんにとって大きな希望になりうると考えています。
・ Primary Focus 遺伝子治療
約7,000種類にも及ぶ遺伝子疾患は、遺伝コードの突然変異又は欠損により起こり、多くの場合は出生時から発症し幼児が罹患しています。遺伝子治療は、1回の投与により、欠損遺伝子を置換あるいは異常遺伝子を調節し、重篤で致命的な疾患に対する治療効果を大幅に改善することが期待されます。治療の選択肢が全く、又はほとんどない遺伝性疾患において、患者さんの人生を変えるような革新的な遺伝子治療法の開発を目指します。
・ Primary Focus がん免疫
現在のがん免疫治療法に反応するがんはわずか20%程度。その割合を20%から100%に変えるべく、現在のがん免疫療法では治療することのできない患者さんのために、新しいモダリティとテクノロジーを活用した次世代のがん免疫療法の開発を目指します。
・ Primary Focus 再生と視力の維持・回復
全世界で1億6千万人以上が眼科疾患により失明状態にあり、患者さんの生活の質は長期的に深刻な影響を受けています。細胞医療や遺伝子治療によって、視力をつかさどる重要な眼の細胞を修復・維持することを目指し、視力の維持や回復をもたらす新たな治療選択肢を提供することを目指します。
・ Primary Focus ミトコンドリアバイオロジー
ミトコンドリアはほぼ全ての種類のヒト細胞に存在し、エネルギー産生及び代謝や細胞シグナル等のプロセスにおいて重要な役割をもっています。ミトコンドリアの機能不全は腎臓、肝臓、筋肉、中枢神経系、目及び耳等の疾患と関連しています。これらの多くは治療の選択肢がほとんどありません。ミトコンドリアを標的とすることにより、ミトコンドリアの機能不全に伴う疾患の革新的な治療法を創出することを目指します。
・ Primary Focus候補 免疫ホメオスタシス
自己免疫疾患に対する治療法として、現在は主に免疫抑制剤が使用されていますが、これは自己反応性免疫細胞のみを標的としたものではありません。疾患に関連する免疫反応のみを抑制することにより、安全で特異的な新しい治療法を生み出すことを目指します。
・ Primary Focus候補 標的タンパク質分解誘導
これまで多くの重要ながんドライバー変異に対する創薬は困難と考えられていましたが、科学的知見の蓄積と技術の進化により、創薬可能と考えられるがん種も拡大しています。標的タンパク質分解誘導によってシグナル伝達を阻害することにより、そのゲノム異常を有する患者さんに革新的な治療効果をもたらすことを目指します。
戦略目標3:Rx+ビジネスの進展
経営計画2018で掲げた「Rx+プログラムへの挑戦」を、経営計画2021では「Rx+ビジネスの進展」としました。経営計画2021の期間は、これまでの事業創成に向けた取り組みが実を結び始めるステージとなります。Rx+プログラムの事業化に、より一層力を入れて取り組むことで、我々が目指す「科学的根拠に基づくヘルスケアソリューションによって、心身ともに健康に、自分らしく生きることができる社会の実現」に向けて前進していきます。
戦略目標4:サステナビリティ向上の取り組みを強化
経営計画2021で新たに加えた戦略目標です。当社は、従来の企業の社会的責任に基づく(CSR)経営を見直し、今後は環境・社会・ガバナンス(ESG)を考慮しつつ、社会及びアステラスの持続可能性を共に向上させていくという、当社のサステナビリティの考え方に基づいて全社で取り組んでいきます。サステナビリティの向上に向けた取り組みの中から、アステラスの強みや技術・専門性を活かした「保健医療へのアクセス向上(ATH:Access to Health)」と、環境問題、特に「気候変動対策」を重点課題として位置づけ、優先的に取り組みを進めています。
3つの組織健全性目標
長期にわたり優れたパフォーマンスを生み出す社内環境を構築するために以下の3つの組織健全性目標を策定しました。組織健全性目標への取り組みによって組織の最大限のポテンシャルを引き出し、One Astellasとして優れた実行力とイノベーションを生み出すための社内環境を構築します。
組織健全性目標1:果敢なチャレンジで大きな成果を追求
適切なリスクを取ることができるよう社員に権限が与えられるとともに、成果を追求し、イノベーションに注力できる環境を構築します。
組織健全性目標2:人材とリーダーシップの活躍
目的を持った人材マネジメントと、一貫したリーダーシップスタイルにより、望ましいマインドセットと行動が促進される環境を構築します。
組織健全性目標3:One Astellasで高みを目指す
共通の目標を達成するために社員が効果的に協働し、組織的に力強く戦略を推進する環境を構築します。
3つの成果目標
理想とする組織に近づき、4つの戦略目標を確実に実行できた時、2025年時点で達成できているだろうと考えられる姿を、数値目標として表したものが、この成果目標です。
・ 売上収益:XTANDI及び重点戦略製品の売上は2025年度に1.2兆円以上
・ パイプライン価値:Focus Areaプロジェクトからの売上は2030年度に5,000億円以上
・ コア営業利益率(注):2025年度に30%以上
これら3つの成果目標を達成することで、2025年度には当社は株式時価総額7兆円以上と評価されるような企業となることを目指します。
(注)当社は、会社の経常的な収益性を示す指標としてコアベースの業績を開示しています。当該コアベースの業績は、フルベースの業績から当社が定める非経常的な項目を調整項目として除外したものです。調整項目には、減損損失、有形固定資産売却損益、リストラクチャリング費用、災害による損失、訴訟等による多額の賠償又は和解費用等のほか、会社が除外すべきと判断する項目が含まれます。
② 株主還元方針
当社は、企業価値の持続的向上に努めるとともに、株主還元にも積極的に取り組んでいます。成長を実現するための事業投資を優先しながら、配当については、連結ベースでの中長期的な利益成長に基づき、安定的かつ持続的な向上に努めます。
また、自己株式の取得を必要に応じて機動的に実施し、資本効率の改善と1株当たり利益の向上を図ります。
当社は、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、製薬会社の使命として患者さんの安全確保及び医療現場の負担軽減に寄与するべく様々な取り組みを行っています。これまでに、医薬品の安定供給、治療薬等の研究開発への貢献、感染が拡大する地域への救援等の取り組みを実施しています。
今後も各方面からの情報収集を迅速に行い、日々変化する状況を正確に把握し、各国の関係機関とも連携しながら必要な対応を速やかに実施していきます。
1) 事業の継続と医薬品の安定供給の維持について
・国や地域の状況に応じ、出社と在宅での勤務を組み合わせて、社員の安全確保及び感染拡大防止に努めています。
・社員の安全を最優先としながらも、当社の社会的使命である、医薬品の安定供給・品質管理・安全管理・情報提供につきましては、必要な活動を継続しています。
2) 患者さんの安全確保と医療現場への負担軽減に向けて
患者さんの安全を確保すること、そして医療現場への負担を軽減するために、以下のとおり、介入臨床試験の実施に関する対応を取っています。
・各国の薬事規制当局が発行したガイダンスに沿って、臨床試験実施計画書を評価し、患者さんの安全を確保しつつ、医療制度への負担を軽減するための対応を行っています。
・試験によっては、患者さんの安全を最優先するために、臨床試験実施計画書に定められた時期に患者さんが来院できない場合には、電話等による遠隔での安全性確認、治験実施施設以外の近隣施設での必要な検査の実施や患者さん宅への治験薬の送付等の取り組みも実施しています。
・いまだ感染拡大が続いている国・地域においては、患者さんや治験実施施設に対する固有の状況や制限に応じて、柔軟に対応しながら、臨床試験を進めています。
・当社及び当社のグループ会社が実施する全ての介入臨床試験について、常に状況を注視しながら対応を評価・検討していきます。
・引き続き、患者さんの安全性確保を第一に考え、臨床開発プログラムにおけるコンプライアンスの徹底及びデータインテグリティ(データ完全性)の維持に注力します。
3) 治療薬等の研究開発への貢献について
・政府の要請に応じた医薬品の提供等に対し、関係機関と連携しながら適切な対応を速やかに実施しています。
・各国政府からの要請に基づく研究段階の化合物の提供要請に対応しています。当社では、安全性を第一に考え、同時に一刻も早くあらゆる可能性を探るため、治療薬等の研究開発に引き続き貢献していきます。
4) 各国・地域における救援活動について
当社及び当社のグループ会社は、新型コロナウイルス感染症と闘う医療関係者等が使用する個人用保護具(マスク等)の購入支援等を目的として、これまでに30か国のNGO、政府・医療機関に対して約50件の経済的支援を実施しています。
・2021年度は、インドにおいて当社及び当社のグループ会社(アステラス ファーマ インディア Pvt. Ltd.) が新型コロナウイルス感染症で被害を受けたインドの地域への必要物資補給のためにNPOへ約490万インドルピーの寄付を行いました。
・政府や非営利団体等からの様々な医療現場の支援活動の要請に対応できるよう、医療資格を有するアステラス社員が自らのコミュニティで求められるボランティア活動への参加を希望する場合には、各国の法令及び社内規程に準拠した上で最長4週間の有給休暇を付与します。
(1) 事業活動遂行に係るリスクの特定とリスク低減への取り組み
グローバルに事業を展開する製薬企業には高い水準で各種規制を遵守することが求められており、当社も業績やレピュテーションに影響を及ぼしうる、多様なリスクに対応する必要があります。当社ではこれまでのリスク管理活動のさらなる発展を目指し、2019年度にリスク管理を統括するコーポレートリスクマネジメント部門及び経営管理・コンプライアンス担当が議長を務めるグローバル・リスク&レジリエンス委員会を新たに設置し、エンタープライズ・リスク管理の運用を進めています。
エンタープライズ・リスク管理では、全社的並びに部門別に識別されたリスクを、一貫した評価によって優先順位を付けて分類し、必要に応じて普遍的な解決手段の策定に結び付けます。識別されたリスクはグローバル・リスク&レジリエンス委員会で定期的に評価し、優先順位の高いリスクに関しては、代表取締役社長が議長を務めるエグゼクティブ・コミッティでその解決・低減策を協議します。
(2) リスク管理体制
当社のリスク管理体制は以下のとおりです。
詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ③内部統制システムに関する基本的な考え方及びその整備状況 2.リスク (損失の危険) の管理に関する規程その他の体制」をご参照ください。

(3) 最重要リスク
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関連する事項のうち、経営者が、連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している事項には、主として以下のようなものがあります。
なお、文中において将来について記載した事項は、当連結会計年度末において判断したものです。
①サイバーセキュリティに関するリスク
近年、サイバー攻撃はこれまで以上に技術が高度化し、攻撃手法も多様化・巧妙化しています。このような状況を踏まえ、当社はサイバーセキュリティに関するリスクを最重要リスクの一つと認識し、情報システム部門を中心に、ネットワーク及び設備の監視を始めとする各種サイバー攻撃対策をグローバルベースで実施し、その管理には万全を期しています。
しかしながら、これらの対策にもかかわらず、サイバー攻撃やそれに伴う深刻なシステム障害等により実質的にビジネスが中断した場合、または個人を特定できる情報を含む重要データが逸失、破損、社外流出した場合、当社グループの経営成績は大きな影響を受ける可能性があります。
②サプライチェーンマネジメントに関するリスク
医薬品事業において、安全で有効な医薬品を確実に製造し安定的に提供することは極めて重要です。当社はサプライチェーンマネジメントに関するリスクを最重要リスクの一つと認識し、製薬技術部門を中心に、医薬品の製造工程における製造管理、品質管理の基準 (GMP) 及び適正流通の基準 (GDP) に合致した独自の基準を設定し、製造施設・設備のほか、原料の調達から保管、製造、さらに配送まで、一貫した高水準の品質管理を徹底しています。また、サプライチェーンの複雑化に対応すべく、グローバルベースでの製造受託機関 (CMO) 管理の導入、緊急事態の供給に関する事業継続計画 (BCP) の作成等の対策を進めています。
しかしながら、これらの対策にもかかわらず、供給中断、欠品、品質問題が発生した場合、また、これらに伴い当社のレピュテーションが棄損した場合、当社グループの経営成績は大きな影響を受ける可能性があります。
③薬事行政の影響に関するリスク
医薬品事業は、事業を行っている各国の薬事行政により様々な規制を受けています。当社は米国政府による医薬品価格政策の変更を最重要リスクの一つと認識し、動向を注視しています。
このような先進国を中心とした医療費抑制策、開発、製造及び流通に関わる諸規制の厳格化等によって当社グループの経営成績は大きな影響を受ける可能性があります。
これらの当社グループが認識している最重要リスクに加え、研究開発の不確実性、知的財産権を侵害される又は侵害するリスク、製品に副作用や安全性の問題が生じるリスク、当社グループのビジネスが他社の開発した医薬品のライセンス及び販売に一部依存するリスクなど、製薬産業に特有のリスクのほか、競合品との競争、環境・安全衛生に関する関係法令違反、事業を行う過程において訴訟を提起されるリスク、災害などによる製造の遅滞や休止、為替レートの変動など、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のあるさまざまなリスクが存在しています。なお、ここに記載されたものが当社グループのすべてのリスクではありません。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー (以下「経営成績等」) の状況の概要は次のとおりです。
[財政状態]
当連結会計年度末の連結財政状態計算書の概要及び前連結会計年度末からの主な変動は以下のとおりです。
総資産は、2兆3,324億円 (前連結会計年度末比588億円増) となりました。
非流動資産は、1兆4,090億円 (同80億円増) となりました。有形固定資産は、2,690億円 (同44億円増) となりました。のれんは3,030億円 (同190億円増) 、無形資産は6,234億円 (同280億円減) となりました。第4四半期連結会計期間において、遺伝子治療薬AT132の開発計画の見直しに伴う無形資産の減損損失やDNAワクチンASP2390の開発中止に伴う無形資産の減損損失を計上したことなどにより、無形資産が減少しました。
流動資産は、9,234億円 (同508億円増) となりました。現金及び現金同等物は3,160億円 (同101億円減) となりました。
資本合計は、1兆4,603億円 (同742億円増) となり、親会社所有者帰属持分比率は62.6%となりました。当期利益1,241億円を計上した一方で、剰余金の配当852億円に加え、自己株式の取得507億円を実施しました。なお、2022年3月に514億円(2,594万株)の自己株式を消却しました。
負債合計は、8,721億円 (同154億円減) となりました。
非流動負債は1,847億円 (同1,105億円減) となりました。その他の金融負債は959億円 (同1,031億円減) となりました。第4四半期連結会計期間において、長期借入金300億円の返済及び1年以内返済予定の長期借入金への500億円の振替により、減少しました。
流動負債は6,874億円 (同950億円増) となりました。当連結会計年度末の社債及び借入金の残高は1,400億円となりました。上述の長期借入金からの振替などにより、その他の金融負債は1,850億円 (同368億円増) となりました。その他の流動負債は3,228億円(同339億円増)となりました。
[経営成績]
<連結業績 (コアベース) >
当連結会計年度の連結業績 (コアベース) は下表のとおりです。売上収益は増加した一方、コア営業利益及びコア当期利益は減少しました。
(注) 第3四半期連結会計期間から製品及び研究開発に関する権利の譲渡取引により生じる譲渡益を計上する科目を
新設
売上収益
・主要製品の前立腺がん治療剤XTANDI/イクスタンジや急性骨髄性白血病治療剤ゾスパタ、尿路上皮がん治療剤パドセブ、腎性貧血治療剤エベレンゾが伸長したほか、過活動膀胱(OAB)治療剤ベタニス/ミラベトリック/ベットミガや骨粗鬆症治療剤イベニティの売上も拡大しました。
・加えて、COVID-19の感染拡大の影響で主に前第1四半期連結会計期間に売上が減少した心機能検査補助剤レキスキャンの売上が回復したことも、増収要因となりました。
・これらによって、消炎・鎮痛剤セレコックスや高コレステロール血症治療剤リピトールの販売契約終了、前立腺がん治療剤エリガードの製品譲渡などによる売上の減少を補いました。
以上の結果、売上収益は、1兆2,962億円 (前連結会計年度比3.7%増) となりました。
コア営業利益/コア当期利益
・売上総利益は、1兆432億円 (同4.0%増) となりました。売上原価率は、グループ間取引における未実現利益消去に伴う為替の影響等を受けた一方で、主に製品構成の変化により、前連結会計年度に比べ0.2ポイント低下し、19.5%となりました。
・販売費及び一般管理費は、5,488億円 (同8.8%増) となりました。製品ポートフォリオの変化に伴うグローバルでの要員最適化による費用の減少(同約90億円減)があった一方で、為替の影響(同250億円増)をはじめ、XTANDIの米国での売上拡大に伴う共同販促費用の増加(同113億円増)やデジタルトランスフォーメーションへの投資(同約80億円増)、新製品上市・育成に向けた販売促進活動費用の増加(同約50億円増)などにより、総額として増加しました。なお、XTANDIの米国での共同販促費用を除いた販売費及び一般管理費は、4,095億円(同6.6%増)となりました。
・研究開発費は、2,460億円 (同9.6%増) となりました。為替の影響をはじめ、抗Claudin18.2モノクローナル抗体ゾルベツキシマブの開発費用の増加やRx+事業(iota関連)への投資を拡充したことなどにより、総額として増加しました。
・無形資産償却費は、283億円 (同19.0%増) となりました。
・無形資産譲渡益は、242億円となりました。第3四半期連結会計期間において、欧州などで販売していた5製品のCheplapharm社への譲渡(123億円)や開発品の譲渡(92億円)、ベンダムスチンの譲渡(20億円)などに伴う譲渡益を計上しました。
以上の結果、コア営業利益は2,447億円 (同2.6%減) 、コア当期利益は1,906億円 (同9.2%減) となりました。
<連結業績 (フルベース) >
当連結会計年度の連結業績 (フルベース) は下表のとおりです。売上収益、営業利益及び当期利益はいずれも増加しました。
フルベースの業績には、コアベースの業績で除外される「その他の収益」、「その他の費用」等が含まれます。当連結会計年度における「その他の収益」は153億円 (前連結会計年度:76億円) 、「その他の費用」は1,043億円 (前連結会計年度:1,230億円) になりました。
「その他の費用」として、第4四半期連結会計期間において、遺伝子治療薬AT132の開発計画の見直しに伴う無形資産の減損損失(312億円)やDNAワクチンASP2390の開発の中止に伴う無形資産の減損損失(113億円)、GITRアゴニスト抗体ASP1951の開発中止に伴うのれんの減損損失(52億円)を計上しました。
<主要製品の売上>
(注) プログラフ:アドバグラフ、グラセプター、アスタグラフXLを含む
<XTANDI/イクスタンジ>
・さらなるマーケットアクセスの強化と泌尿器科医への一層の浸透に取り組むとともに、発売後に蓄積した臨床試験に基づく豊富なデータを活用して早期ステージの前立腺がん市場における処方の拡大を図り、販売している全ての地域で売上が拡大しました。
・米国において前連結会計年度と比べて大きく伸長したほか、欧州においては「転移性ホルモン感受性前立腺がん(M1 HSPC)」の適応追加(2021年4月承認)が売上の拡大に貢献しました。加えて、日本や中国、インターナショナルマーケットにおいても引き続き力強い成長を示しました。
<ゾスパタ>
・血液内科専門医やがん専門医への浸透、製品認知度向上やFLT3遺伝子変異検査実施率の向上に取り組むなど、マーケットリーダーとしてのポジショニングの確立を図り、販売している全ての地域で売上が拡大しました。
・米国と欧州において前連結会計年度と比べて伸長したことに加えて、2021年4月に発売した中国での売上も貢献しました。また、インターナショナルマーケットにおいて承認国が増加したほか、日本においては現在の適応症で高いマーケットシェアを獲得しました。
<パドセブ>
・米国において既存の適応症の患者層に対する推奨治療オプションとしてのポジショニングの確立を図るとともに、「シスプラチン不適応で治療歴のある局所進行性または転移性尿路上皮がん」の適応追加(2021年7月承認)も貢献し、共同販促収入は想定どおりに伸長しました。
・2021年11月に発売した日本においては、想定を上回る立ち上がりを示しました。加えて、欧州においては、2022年4月に白金製剤を含む化学療法およびPD-1またはPD-L1阻害剤による治療歴のある局所進行性または転移性尿路上皮がん患者における単剤療法として、承認を取得しました。
<エベレンゾ>
・日本においてマーケットシェアの拡大に取り組むなど売上は拡大したものの、市場での競争激化の影響で、売上は想定を下回りました。
・2021年9月に発売した欧州においては、COVID-19の感染拡大の影響で発売時の販売促進活動が制限されたことに加えて、既存の標準治療薬との差別化の浸透が想定を下回り、売上は想定を下回りました。
<ベタニス/ミラベトリック/ベットミガ>
・主に欧州と日本において伸長し、グローバルの売上は拡大しました。
<プログラフ>
・欧州や中国で伸長した一方で、米国や日本で売上が減少するなど、地域ごとに増減はあったものの、グローバルの売上は想定どおりに推移しました。
<地域別売上収益の状況>
地域別の売上収益は下表のとおりです。米国、エスタブリッシュドマーケット及びグレーターチャイナは増加した一方、日本及びインターナショナルマーケットは減少しました。
(注) エスタブリッシュドマーケット:欧州、カナダ、オーストラリア
グレーターチャイナ:中国、香港、台湾
インターナショナルマーケット:ロシア、中南米、中東、アフリカ、東南アジア、南アジア、韓国、輸出売上等
[セグメント情報]
当社グループは、医薬品事業の単一セグメントのため、記載を省略しています。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、2,574億円 (前連結会計年度比494億円減) となりました。
・法人所得税の支払額は421億円 (同242億円増) となりました。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、△624億円 (同195億円支出減) となりました。
・無形資産の売却による収入が243億円ありました。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、△2,163億円 (同132億円支出減) となりました。
・長期借入金の返済による支出300億円と、社債及び短期借入金の減少が300億円ありました。
・配当金の支払額は852億円(同91億円増)となりました。また、自己株式の取得による支出507億円(同416億円支出増)がありました。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、3,160億円 (前連結会計年度末比101億円減) となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。
(注) 金額は、販売価格によっています。
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。
(注) 主な相手先の販売実績及び総販売実績に対する割合は、以下のとおりです。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。また、文中において将来について記載した事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大による当連結会計年度における経営成績等への大きな影響はありませんでした。
財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しています。
[キャッシュ・フロー]
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しています。
[財務政策]
当社グループは、企業価値の持続的向上に努めるとともに、株主還元にも積極的に取り組んでいます。
成長を実現するための事業投資を優先しながら、配当については、連結ベースでの中長期的な利益成長に基づき、安定的かつ持続的な向上に努めます。また、自己株式の取得を必要に応じて機動的に実施し、資本効率の改善と1株当たり利益の向上を図ります。資金の流動性については、短期社債及び借入金による資金調達を行い、当面の運転資金及び設備資金に加え、一定の戦略的投資機会にも備えられる現預金水準を確保しています。
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、当社グループの事業等は医薬品事業に特有の様々なリスクを伴っています。事業展開にあたっては、必要資金を円滑にかつ低利で調達できるよう財務基盤の健全性の維持に努めます。
当社グループは、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しています。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り、判断及び仮定」に記載のとおりです。
(注) 1.以下の技術導入契約を終了しています。
・Viatris Group(米国)とのアトルバスタチン(リピトール)、セレコキシブ(セレコックス)に関する技術導入契約
2.以下の技術導入契約は記載を省略しています。
・協和キリン株式会社(日本)との抗CD40抗体に関する技術導入契約
・Immunomic Therapeutics, Inc.(米国)とのLAMP-vax製品に関する技術導入契約
3.Affinivax, Inc.(米国)との肺炎球菌起因疾患ワクチンに関する技術導入契約については、権利を返還する契約を2022年2月に締結したことに伴い記載を省略しています。なお、本技術導入契約は2022年4月に終了しています。
(注) 1.ベンダムスチン塩酸塩に関する技術導出契約については、Cephalon, Inc.(米国)、Mundipharma Group (英国)、シンバイオ製薬株式会社(日本)との契約を終了しました。また、Cilag GmbH International(スイス)との契約は記載を省略しています。
2.以下の技術導出契約は記載を省略しています。
・F. Hoffmann-La Roche Ltd(スイス)とのエルロチニブに関する契約
(注) 以下の取引契約を終了しています。
・トーアエイヨー株式会社との医薬品の販売契約
・株式会社三和化学研究所との「アーガメイト」の販売及び共同販促契約
LEO Pharma A/S(デンマーク)とのグローバル皮膚科事業譲渡契約に基づく提携契約は記載を省略しています。
(5) その他
当連結会計年度において、当社はCheplapharm Arzneimittel GmbH(ドイツ)との間で、欧州、ロシア、独立国家共同体 (CIS) 及びアジアにおいて販売している感染症治療薬など5製品に関し、欧州の一部、ロシア、CIS及びアジアの一部における製造販売承認を同社に譲渡する契約を締結しました。
当社は、グローバル企業として全社員が同じ方向を向き、個々人が関わる持続的な成長に向けた様々な取り組みを力強く着実に進展させるため、当社が提供する患者さんの「価値」について、統一した定義付けを行いました。定義した「価値」は、患者さんにとって真に重要なアウトカム(治療等による臨床上の成果)を、それを提供するためにヘルスケアシステムが負担するコストで除したものです。

当社は、2021年5月に発表した経営計画2021において、「患者さんのより良いアウトカムの実現」「科学の進歩を確かな『価値』へ」「Rx+ビジネスの進展」「サステナビリティ向上の取り組みを強化」の4つを戦略目標として掲げ、「価値」の創造と提供の実現を目指しています。経営計画2021及び各戦略目標については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)対処すべき課題」に記載しています。
当連結会計年度における研究開発活動をはじめとする持続的な成長に向けた主な取り組みは以下のとおりです。
(1) 戦略目標1:患者さんのより良いアウトカムの実現
前立腺がん治療剤XTANDI/イクスタンジに加え、重点戦略製品(注)の急性骨髄性白血病治療剤ゾスパタや尿路上皮がん治療剤パドセブ、腎性貧血治療剤エベレンゾ等、当社の成長をけん引する製品の育成と製品価値の最大化を図りました。市販後の適応拡大や開発後期の臨床開発については、中長期にわたる持続的な成長を支える重点戦略製品に優先的に経営資源を振り向けました。日本におけるパドセブの承認取得、欧州におけるエベレンゾの承認取得等、多くの進展がありました。
(注)ゾスパタ、パドセブ、ゾルベツキシマブ、エベレンゾ、fezolinetant、AT132
当連結会計年度におけるXTANDI及び重点戦略製品の売上及び主な進捗状況は以下のとおりです。
・前立腺がん治療剤XTANDI/イクスタンジ(一般名:エンザルタミド)
さらなるマーケットアクセスの強化と泌尿器科医への一層の浸透に取り組むとともに、発売後に蓄積した臨床試験に基づく豊富なデータを活用して早期ステージの前立腺がん市場における処方の拡大を図り、販売している全ての地域で売上が増加しました。追加適応症の承認取得及び開発の主な進捗状況は以下のとおりです。
2021年4月 欧州において、転移性ホルモン感受性前立腺がんへの追加適応に関する承認を取得しました。
2021年12月 米国及び欧州において、転移性ホルモン感受性前立腺がん患者を対象として、全生存期間のデータを添付文書に追加することに関する承認申請を行いました。
・急性骨髄性白血病治療剤ゾスパタ(一般名:ギルテリチニブフマル酸塩)
急性骨髄性白血病治療の新たな選択肢として、血液内科専門医やがん専門医への浸透、製品認知度向上やFLT3遺伝子変異検査実施率の向上に取り組むなど、マーケットリーダーとしてのポジショニングの確立を図りました。
2021年4月の中国における発売や欧州各国における保険償還開始等により、各地域における売上が増加しました。また、追加適応症の承認取得に向けた各開発段階の試験が進行中です。
・尿路上皮がん治療剤パドセブ(一般名:エンホルツマブ ベドチン)
米国において、これまでに承認を取得していた適応症の患者層に対する推奨治療オプションとしてのポジショニングを確立するとともに、当連結会計年度に追加適応症の承認を取得し、新たな患者層への浸透を図り、売上が増加しました。追加適応症の承認取得及び開発の進捗状況は以下のとおりです。
2021年7月 米国において、シスプラチン不適応で治療歴のある局所進行性又は転移性尿路上皮がんへの追加適応に関する承認を取得しました。
2021年7月 米国において、白金製剤を含む化学療法及び抗PD-1抗体薬又は抗PD-L1抗体薬による治療歴のある局所進行性又は転移性尿路上皮がんの適応に関する正規承認を取得しました。
2021年11月 日本において、「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮癌」を効能・効果として発売しました。
2022年2月 欧州において、白金製剤を含む化学療法及びPD-1又はPD-L1阻害剤による治療歴のある局所進行性又は転移性尿路上皮がん患者における単剤療法として、販売承認勧告が採択されました。
・腎性貧血治療剤エベレンゾ(一般名:ロキサデュスタット)
日本においては、マーケットシェアの拡大に取り組み、売上が増加しました。追加適応症の取得に向けた開発の進捗状況は以下のとおりです。
2021年8月 欧州において、成人の慢性腎臓病に伴う症候性貧血を適応症として承認を取得しました。本剤は、欧州における最初の低酸素誘導因子-プロリン水酸化酵素阻害薬です。
その他の重点戦略製品に関する開発の主な進捗状況は以下のとおりです。
・選択的ニューロキニン3受容体拮抗薬fezolinetant(一般名)
2021年7月 閉経に伴う中等度から重度の血管運動神経症状を有する女性を対象とした第Ⅲ相SKYLIGHT2試験において、本剤の長期使用を支持する52週データが得られたことを公表しました。
2021年10月 閉経に伴う中等度から重度の血管運動神経症状を有する女性を対象とした第Ⅲ相SKYLIGHT1試験において、本剤の長期使用を支持する52週データが得られたことを公表しました。
2022年3月 閉経に伴う血管運動神経症状を有する女性を対象とした長期安全性を評価する第Ⅲ相SKYLIGHT4試験において、子宮内膜に対する影響を評価する主要評価項目を達成し、欧米での承認申請を支持する試験結果が得られたことを公表しました。
2022年3月 閉経に伴う血管運動神経症状を有するアジア在住女性を対象とした第Ⅲ相MOONLIGHT1試験において、事前に定義した有効性に関する評価項目が達成されなかったことを公表しました。
・抗Claudin 18.2モノクローナル抗体ゾルベツキシマブ(一般名)
2021年10月 膵臓腺がんを対象とした第Ⅱ相試験に関し、試験規模拡大のためプロトコルを改訂したことを公表しました。
・X連鎖性ミオチュブラーミオパチー(XLMTM)患者を対象とする遺伝子治療薬AT132(一般名:resamirigene bilparvovec)
2021年4月 米国や欧州等における承認時期の遅延や対象患者層の変更が生じる前提で資産価値の見直しを行った結果、2020年度第4四半期において無形資産の減損損失を計上したことを公表しました。
2021年9月 第Ⅰ/Ⅱ相試験(ASPIRO試験)に関し、重篤な有害事象により、米国食品医薬品局から臨床試験差し止め通知を受領しました。
また、その他の主要製品の売上は以下のとおりです。
・過活動膀胱(OAB)治療剤ベタニス/ミラベトリック/ベットミガ(一般名:ミラベグロン)
主に欧州と日本において伸長し、グローバルの売上は拡大しました。
・免疫抑制剤プログラフ(一般名:タクロリムス水和物)
欧州や中国で伸長した一方で、米国や日本で売上が減少するなど、地域ごとに増減はあったものの、グローバルの売上は増加しました。
また、以下の追加適応の承認を取得しました。
2021年7月 米国において、成人及び小児の肺移植における拒絶反応の抑制を適応症として、承認を取得しました。
(2) 戦略目標2:科学の進歩を確かな「価値」へ
当社は、「①病態関連性が高いバイオロジー(注1)」「②汎用性のあるモダリティ/テクノロジー(注2)」「③これらバイオロジー、モダリティ/テクノロジーの2つの要素により解決が期待されるアンメットメディカルニーズの高い疾患」の組合せの集合をFocus Areaと定義し、多面的な視点で創薬ターゲットを絞り込む新しいアプローチを確立しました。
2022年3月現在、Focus Areaのうち重点的に研究開発投資を行うPrimary Focus(注3)として「遺伝子治療」「がん免疫」「再生と視力の維持・回復」「ミトコンドリアバイオロジー」の4つを認定しています。
(注)1.バイオロジー:疾患の原因のより深い理解
2.モダリティ/テクノロジー:拡張性のある治療手段・基盤技術
3.Primary Focus:Focus Areaの中における特定の組合せで、科学的妥当性、研究開発や商業化の実現可能性、プロジェクトの充実度や進捗等の観点から選択され、優先的な投資対象となるもの。各Primary Focusの詳細は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)対処すべき課題」もご参照ください。
当連結会計年度における各Primary Focusの主な進展は以下のとおりです。
・Primary Focus 遺伝子治療
2021年11月 Dyno Therapeutics社(米国)との間で、骨格筋及び心筋を対象とする次世代の遺伝子治療用アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターの共同研究・開発に関する提携契約を締結しました。
2022年2月 遅発型ポンぺ病患者を対象とする遺伝子治療薬AT845の第Ⅰ/Ⅱ相試験(FORTIS試験)における安全性データを、WORLDSymposium 2022の年次総会で発表しました。
・Primary Focus がん免疫
2021年10月 人工アジュバントベクター細胞ASP7517について、急性骨髄性白血病及び骨髄異形成症候群患者を対象とする第Ⅱ相試験の最初の症例への投与を達成しました。
2021年11月 DGKζ阻害剤ASP1570について、がん患者を対象とする第Ⅰ相試験の最初の症例への投与を達成しました。
2021年12月 人工アジュバントベクター細胞ASP7517について、固形がん患者を対象とする第Ⅰ相試験の最初の症例への投与を達成しました。
2021年12月 抗Claudin 18.2/抗CD3二重特異性抗体ASP2138が、胃腺がん及び食道胃接合部腺がん、膵臓腺がん患者を対象として臨床第Ⅰ相段階に移行しました。
2022年1月 人工アジュバントベクター細胞ASP0739について、がん患者を対象とする第Ⅰ相試験の最初の症例への投与を達成しました。
・Primary Focus 再生と視力の維持・回復
地図状萎縮を伴う加齢黄斑変性患者を対象とする細胞医療ASP7317の第Ⅰ相試験が進行中です。
・Primary Focus ミトコンドリアバイオロジー
2021年6月 選択的PPARδ調節剤ASP0367/MA-0211(一般名:bocidelpar)について、原発性ミトコンドリアミオパチー患者を対象とする第Ⅱ/Ⅲ相試験の最初の症例への投与を達成しました。
2021年7月 Minovia社(イスラエル)との間で、ミトコンドリア機能不全に起因する疾患を対象とする細胞医療プログラムの創成に向けて、共同研究・開発及び商業化に関する全世界における戦略的提携及びライセンスに関する契約を締結しました。
2022年3月 鎌状赤血球症を対象として開発予定のBACH1阻害剤ASP8731/ML-0207について、安全性及び忍容性を確認する第Ⅰ相試験の最初の被験者への投与を達成しました。
当連結会計年度におけるPrimary Focus以外の研究開発活動の主な進展は以下のとおりです。
2021年5月 京都大学イノベーションキャピタル株式会社との間で、両社の強みを組み合わせて国立大学発シーズを発掘・起業支援・育成することによる先進的な研究成果の社会実装推進を目指し、包括的な戦略的連携協定を締結したことを公表しました。
2021年6月 ピーナッツアレルギーを対象として第Ⅰ相段階にあったDNAワクチンASP0892の開発中止を決定しました。
2021年7月 国立大学法人 東北大学との間で、革新的な医療ソリューションの共創を通じて患者さんの価値を継続的に創造するため、包括的産学連携の第二期契約を締結しました。
2021年10月 学校法人順天堂 順天堂大学大学院医学研究科内に、共同研究講座「ダイレクトリプログラミング再生医療学講座」を開設しました。
2021年11月 Pantherna社(ドイツ)との間で、mRNAを用いた革新的な再生医療プログラムの創出を目指して、技術検証研究に関する契約を締結しました。
2022年2月 肺炎球菌を標的とする次世代型ワクチンASP3772について、Affinivax社(米国)との間で、全世界における開発・商業化に関する独占的な権利を同社へ返還することに関する契約を締結しました。
2022年2月 ASP3082が、がん患者を対象として臨床第Ⅰ相段階に移行しました。
(3) 戦略目標3:Rx+ビジネスの進展
当社がこれまで医療用医薬品(Rx)事業で培ってきた強みをベースに、最先端の医療技術や異分野の先端技術を融合させることで、Patient Journey(注)全体において患者さんに貢献し、かつ単独で利益を生み出せる事業をRx+事業と定義しています。Rx+事業創出の戦略的方向性を示すRx+ Storyに基づき、「科学的根拠に基づくヘルスケアソリューションによって、心身ともに健康に、自分らしく生きることができる社会」の実現を目指し、Rx+プログラムの事業化に鋭意取り組んでいます。
(注)Patient Journey:患者さんの生活に関わる、診断、予防、治療及び予後管理を含む医療シーン全般

当連結会計年度における主な進展は以下のとおりです。
・慢性化疾患の重症化予防
2021年7月 株式会社エムハートと共同開発したマイホルターⅡの商業化を開始しました。マイホルターⅡは、ホルター型心電図検査のデータを人工知能を用いたアルゴリズムにより解析するプログラムであり、同社が医療関係者に提供するクラウド心電図解析サービスに実装されました。
2021年9月 日東電工株式会社及び株式会社エムハートとの間で、心電計による検査サービスに関する基本合意書を締結しました。
2021年9月 自宅で科学的根拠に基づいた運動プログラムを実施できる運動支援サービスFit-eNce Homeの試験販売を開始しました。
・手術・診断精度向上による患者アウトカム最大化
2021年11月 腹部及び骨盤内手術時に尿管を可視化する蛍光造影剤ASP5354(一般名:pudexacianinium chloride)の第Ⅱ相試験のトップライン結果を入手しました。安全性と有効性が確認され、第Ⅲ相試験に進むことを支持する結果が得られました。
(4) 戦略目標4:サステナビリティ向上の取り組みを強化
当社は、社会の持続可能性の向上に貢献していくことが事業を継続していく上で重要であると考えています。満たされない医療ニーズに応える医薬品等を創出することをはじめとした事業活動を通じて製薬会社としての責務を果たすことにより、社会の持続可能性の向上に貢献しています。結果として、当社及びその製品に対する社会からの信頼を獲得し、その獲得した信頼が当社の持続可能性も向上させるという、当社のサステナビリティの考え方に基づいて全社で取り組んでいます。
当連結会計年度における主な取り組みは以下のとおりです。
・保健医療へのアクセス向上
当社は、日本国内や世界において適切な治療方法が存在しないことや、貧困、保健システムの不備、保健医療に関する情報不足が理由で、必要な医療を受けることが困難な状態を「保健医療へのアクセス(ATH:Access to Health)」の課題と捉え、その解決に向けた活動を3つのカテゴリーに分類しています。
1.新薬ビジネス:当社が革新的な新薬を創出し患者さんに届ける事業そのもの
2.アステラス製品の入手可能性の向上:通常の方法ではアステラス製品を入手できない患者さんへのアクセスを向上させる取り組み
3.第三者が実施するATH向上に向けた活動の支援

・気候変動対策
当社は、世界の人々の健康に貢献する企業として、持続可能な社会の発展に貢献していくため、地球環境と調和した事業活動に取り組んでいます。その中でも気候変動対策を経営の重要課題と位置づけ、これまで、研究・製造拠点及び主要オフィスでの再生可能エネルギー由来の電力購入や風力発電・バイオマスボイラー・太陽光発電の導入、営業車両のハイブリッド車への切り替え等、積極的な温室効果ガス排出削減策を実施しています。
当社は、気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:TCFD)の提言に基づき、当連結会計年度は、気候変動が事業に与えるリスクと機会に関して、複数のシナリオを想定した分析結果を公開しました。当社は、温室効果ガス排出削減目標を見直し、2050年の長期目標としてネットゼロを宣言する方向で現在検討しており、削減に向けた取り組みを強化していきます。
・マテリアリティ・マトリックスの改定
サステナビリティ課題の潮流の変化、経営計画2021との整合性、製薬業界として対応が必須である課題等を考慮し、19の重要課題を特定しました。さらに、「社会及びアステラスにとっての重要性」の観点から、重要課題を3段階に優先順位付けしました。重要課題の中でもアステラスが課題解決に貢献でき、特に重要度が高い社会課題を、最重要課題として9つ特定しました。
当社は9つの最重要課題に取り組むことで、ライフサイエンス領域において人々や社会に提供する価値を重視していく「価値」主導型ライフサイエンスイノベーターへの変革を目指し、社会の期待に応える事業活動の強化を図っていきます。加えて、社会の関心度の高い重要課題、例えば「気候変動とエネルギー」に対しても、ネットゼロ宣言の検討等に取り組んでいきます。

・イノベーションを生み出す人材・組織に向けた取り組み
当社は、グローバル化する事業を支えるためにHR Visionを定め、期待する人材像と目指す組織像を明確化しています。当連結会計年度は、国内外のグループ会社をまたいだ機能別組織に対応した人事制度、及びシステムの構築を進め、報酬水準や報酬構造の整備をグローバルで行うとともにジョブポスティング(社内公募)を展開し、世界中のタレントからベストな人材を配置する「適所適材」を進めました。また当社を、よりイノベーティブな組織へと変革するために、経営計画2021にて定めた組織健全性目標の達成に向けた取り組みとして、主に、アステラスで期待されるリーダーシップ像の明確化と、心理的安全性の高い環境の構築に向けたマネジャー研修の実施、部門間で共通の業績目標を設定し組織間のコラボレーションを促進する評価制度の構築を行いました。また同時に、組織のダイバーシティを促進し、多様な人材が生き生きと活躍できる環境の整備に取り組んでいます。

なお、当連結会計年度の研究開発費は