当社は、人々の健康で豊かな生活のために、研究開発を基盤とした新たな価値の創造により、広く社会に貢献することを企業理念とし、以下の経営理念を掲げております。
■ 顧客視点の経営と革新的な研究を旨とし、これからの医療と健やかな生活に貢献する
■ たゆまぬ事業の発展を通して企業価値を持続的に拡大し、株主の信頼に応える
■ 社員が自らの可能性と創造性を伸ばし、その能力を発揮することができる機会を提供していく
■ 企業市民として社会からの信用・信頼を堅持し、よりよい地球環境の実現に貢献する
当社は、この企業理念の実践を「CSR経営」と定義し、事業活動を通してSDGs(持続可能な開発目標)の達成にも貢献していきます。
高齢化社会の進展や医療財政の更なるひっ迫が想定されるなか、製薬業界は、デジタル技術を活用した創薬や治療方法の創出、予防医療の普及など「変革の時」を迎えています。かかる環境において、当社は、企業理念のもと、ヘルスケア領域での課題解決に貢献するため、新たなビジョン「もっと、ずっと、健やかに。最先端の技術と英知で、未来を切り拓く企業」と、2018年度を起点とした2022年度までの5か年の中期経営計画「中期経営計画2022」を本年4月に発表しました。
当社及び子会社(以下「当社グループ」)は、精神神経領域、がん領域および再生・細胞医薬分野を重点3領域とし、医薬品および再生・細胞医薬による医療への貢献に加え、これ以外のヘルスケア・ソリューション(フロンティア事業)にも取り組み、2033年に「グローバル・スペシャライズド・プレーヤー」の地位を確立することを目指してまいります。
「中期経営計画2022」の概要は、次のとおりです。
中期経営計画2022
(1)基本方針
ポスト・ラツーダ、すなわち、2023年2月20日以降に米国において非定型抗精神病薬「ラツーダ」の後発医薬品の市場参入が可能となる将来の事業環境を見据えつつ、「変革の時」に対応するため、「成長エンジンの確立」と「柔軟で効率的な組織基盤づくり」により、事業基盤の再構築に取り組んでまいります。
(2)重要課題
① 成長エンジンの確立
成長エンジンの確立に向けて、次の5点を重要課題として取り組んでまいります。
(ア)新たな創薬アプローチによるイノベーション基盤強化
重点3領域および感染症領域において、当社グループの持つ独自の強みを生かし、日本および米国の拠点を中心に、外部とのネットワークを活用した創薬への移行および推進に取り組んでまいります。
(イ)確実に成果を創出する開発力の強化
成果を見据えた目標設定、事業リスクのマネジメント、最先端技術の取込みにより、不確実性の高い重点3領域においても確実に成果を創出すべく、開発力(ちゃんとやりきる力)を強化してまいります。
(ウ)戦略的投資によるパイプラインの拡充
「中期経営計画2022」の期間(2018年度から2022年度まで)において3,000億円から6,000億円のM&A枠を設定し、優先的投資対象として、2023年度以降の収益に貢献する精神神経領域のパイプラインの獲得、また、2028年度以降の収益に貢献する重点3領域のパイプラインや技術の獲得を目指してまいります。
(エ)日本・北米・中国を柱とした地域戦略
日本では、次期中期経営計画の期間(2023年度から2027年度まで)の売上2,000億円達成を目指した基盤づくりに取り組んでまいります。北米では、「ラツーダ」の収益最大化とポスト・ラツーダを見据えた成長路線の確立を目指してまいります。また、中国を第3の柱として基盤強化に取り組むとともに、アジアを成長市場として捉えて、足場固めを推進してまいります。
(オ)フロンティア事業の立ち上げ
求められる健やかさを医薬品のみで実現することが困難な時代が到来することを見据え、医薬品と一体となり「多様な健やかさ」を実現するため、フロンティア事業の立ち上げを推進してまいります。
② 柔軟で効率的な組織基盤づくり
成長エンジンを支えるため、組織とオペレーションの改革と、変革を加速する企業文化の醸成と人材の育成を、デジタル革新と同時に遂行することにより、「ちゃんとやりきる力」が浸透した柔軟で効率的な組織基盤の構築に取り組んでまいります。
(3)経営目標
2022年度の経営目標
※1 「コア営業利益」は、営業利益から当社グループが定める非経常的な要因による損益(以下「非経常項目」)を除外したものとなります。非経常項目として除かれる主なものは、減損損失、事業構造改善費用、企業買収に係る条件付対価公正価値の変動額などです。
※2 ROIC=(コア営業利益-法人所得税)/(資本+有利子負債)
※3 ROE=当期利益/資本
また、長期的なROEについて、10%以上を目指してまいります。
2019年度活動方針
当社グループの2019年度の事業活動方針は、次のとおりです。
「中期経営計画2022」で掲げました基本方針に基づき、経営目標の達成に向けて積極的に事業活動を推進してまいります。
(1)CSR経営
企業理念の実践である「CSR経営」は、当社グループの事業活動の前提です。コンプライアンスの徹底、実効性の高いコーポレートガバナンス体制および透明性の高い経営の追求、ダイバーシティ&インクルージョンの推進、タレントマネジメントによる人材育成の推進、さらには、グローバルヘルスへの貢献、環境負荷の低減、国内外での社会貢献活動などの社会的責任を全うすることを通じて、企業価値の向上に取り組んでまいります。
(2)研究開発活動
創薬においては、精神神経領域、がん領域および再生・細胞医薬分野の重点3領域の研究に積極的に取り組んでまいります。アンメット・メディカル・ニーズが高いこれらの領域は、当社グループの経験と知識を最大限生かせる領域です。日本および米国拠点を中心とした外部とのネットワークに加え、ビッグデータやデジタル技術を活用した創薬を推進してまいります。また、薬剤耐性菌感染症治療薬およびアジュバント添加ワクチンの創薬など感染症領域にも取り組んでまいります。
開発においては、後期開発品の承認取得および製品価値最大化を最優先課題として取り組んでまいります。
① 精神神経領域
日本において、2018年度に承認申請した非定型抗精神病薬「ロナセン」テープ製剤について、2019年度中の承認取得に向けた対応を着実に進めてまいります。また、フェーズ3試験を終了し、承認申請準備中のルラシドン塩酸塩(米国製品名「ラツーダ」)については、統合失調症および双極Ⅰ型障害うつを対象として2019年度中の承認申請を確実に実行し、承認取得を目指してまいります。
次に承認申請を目指す品目としては、SEP-363856について、米国において統合失調症を対象としたフェーズ3試験を開始するとともに、他の適応症への展開を検討し、日本・中国を含む地域でも統合失調症を対象としたフェーズ2試験を開始します。
なお、FDAからCRLを受領した2品目につき、成人および小児の注意欠如・多動症(ADHD)を対象とした承認申請を行っていたdasotralineについては、検討のうえ開発方針を決定し、パーキンソン病に伴うオフ症状を対象とした承認申請を行っていた舌下投与フィルム製剤のAPL-130277については、2019年度中の再申請を目指し、FDAの要求に対して適切な対応を実施してまいります。
② がん領域
STAT3などのがん幹細胞性に関わる経路を阻害する新しいメカニズムの低分子経口剤ナパブカシンについて、2021年度中の日米での上市を目指し、結腸直腸がんおよび膵がんを対象とした併用での国際共同フェーズ3試験に最大限注力してまいります。また、米国において急性骨髄性白血病(AML)を対象としたフェーズ2試験を実施中のalvocidibおよび膠芽腫を対象としたフェーズ2試験を実施中のがんペプチドワクチンであるアデグラモチド酢酸塩/ネラチモチドトリフルオロ酢酸塩(開発コード:DSP-7888)についても、積極的に開発を行ってまいります。さらに、初期開発品の臨床開発をスピーディーに進め、オンコロジーフランチャイズの早期確立を目指してまいります。
③ 再生・細胞医薬分野
次期中期経営計画の期間での収益貢献を目指して複数の研究開発プロジェクトを推進してまいります。
慢性期脳梗塞を対象とした骨髄間質細胞由来のSB623については、米国でのフェーズ2b試験の結果を踏まえて、共同開発先であるサンバイオ株式会社と協議のうえ今後の開発方針を決定してまいります。
iPS細胞由来では、2018年8月にパーキンソン病を対象とした医師主導治験が開始された、先駆け審査指定制度の指定品目である「非自己iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞」について、京都大学と連携して実用化に向けた取組を強化してまいります。眼疾患領域では、国立研究開発法人理化学研究所との連携のもと、iPS細胞由来網膜色素上皮細胞を用いた加齢黄斑変性を対象とした株式会社ヘリオスとの共同開発を推進し、また、iPS細胞由来立体網膜を用いた網膜色素変性の再生医療の臨床応用に向けた国立研究開発法人理化学研究所との共同研究を推進してまいります。さらには、慶應義塾大学および国立病院機構大阪医療センターとiPS細胞由来神経前駆細胞を用いた脊髄損傷の再生医療の臨床応用に向けた共同研究を推進してまいります。これらの実用化に向けて、2018年3月に竣工した再生・細胞医薬製造プラント(Sumitomo Dainippon Manufacturing Plant for Regenerative Medicine & Cell Therapy:通称「SMaRT」)において、iPS細胞由来製品の治験薬製造および商用生産に向けた準備を進めてまいります。また、iPS細胞を用いた「胎生臓器ニッチ法」による腎臓再生医療について、東京慈恵会医科大学、明治大学、バイオス株式会社および株式会社ポル・メド・テックと共同研究・開発などの取組を推進してまいります。
④ 重点3領域以外およびフロンティア事業
重点3領域以外では、日本において、2020年度の承認申請を目指し、imegliminの2型糖尿病を対象としたフェーズ3試験に取り組んでまいります。
フロンティア事業では、次期中期経営計画の期間での成長エンジンとしての確立を目指し、さまざまな展開の可能性を追求してまいります。
(3)各地域セグメントにおける事業活動
日本セグメントでは、2019年度に上市を計画している「ロナセン」テープ製剤の早期価値最大化、2018年4月に設置したバーチャル組織 Japan Business Unitの効率的な運営および収益に貢献する導入・提携の早期実現により、近年相次ぐ主力品の後発医薬品参入による収益低下の影響を最小限に留め、中期的な成長路線への転換を目指してまいります。
北米セグメントでは、当社グループの収益の柱である「ラツーダ」のさらなる収益拡大が最重要課題であり、引き続き注力してまいります。さらには、慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療剤「ロンハラ マグネア」および抗てんかん剤「アプティオム」の販売拡大にも取り組み、また、ポスト・ラツーダにおける収益に貢献する導入・提携にも積極的に取り組んでまいります。がん領域では、ボストン・バイオメディカル社を中心に、ナパブカシン、alvocidibの開発の進展にあわせて、適時に販売準備体制の構築を行ってまいります。
中国セグメントでは、カルバペネム系抗生物質製剤「メロペン」の販売拡大や「ロナセン」および「ラツーダ」の早期市場浸透を図ることに加え、パイプラインの拡充を検討してまいります。
また、本格始動する東南アジア子会社では、提携企業との連携により「メロペン」および「ラツーダ」の販売拡大を図るとともに、東南アジアの中期的な展開について検討を進めてまいります。
欧州では、「ラツーダ」の自社販売やパートナー企業との提携による収益拡大を図ってまいります。
(4)柔軟で効率的な組織基盤の構築
当社グループは、「変革の時」に対応し、「ちゃんとやりきる力」を強化するため、「粘り強く精緻に物事を進める文化」を維持しつつ、環境変化を好機と捉えて潮流を読み、自ら変革して柔軟に動く文化の醸成および人材の育成を推進してまいります。
また、AI(Artificial Intelligence)、RPA(Robotic Process Automation)などの活用による業務改革の推進、最新のデジタルツールの活用によるより効果的なコミュニケーションの実現などのデジタル革新および働き方改革を通じて、効率的なオペレーションに取り組んでまいります。
株主還元
当社は、株主への還元について、安定的な配当に加えて、業績向上に連動した増配を行うことを基本方針としており、「中期経営計画2022」では、2018年度から2022年度までの5年間における平均の配当性向として20%以上を目指す方針を掲げています。
当連結会計年度の期末配当については、配当方針および当連結会計年度の業績を踏まえ、1株につき19円の配当を行うことといたしました。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの経営成績および財政状態に重要な影響を及ぼす可能性のある主なリスクには以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 新製品の研究開発に関わるリスク
当社グループは独創性の高い国際的に通用する有用な新製品の開発に取り組んでおります。開発パイプラインの充実と早期の上市を目指しておりますが、新薬開発の難度が高まる中、すべての品目の開発が今後計画どおりに進み承認・発売に至るとは限らず、有効性や安全性の観点から開発が遅延または中止しなければならない事態になる場合も予想されます。そのような場合には、当社グループの経営成績および財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(2) 連結売上収益における比率の高い特定製品に関するリスク
当社グループの収益の柱である、非定型抗精神病薬「ラツーダ」(ルラシドン塩酸塩)の当連結会計年度の北米での売上収益は、当社連結売上収益の40%を占めております。「ラツーダ」の有力な競合品の出現その他予期せぬ事情等(これには先発医薬品メーカーによる競合品の投入のほか、後発医薬品メーカーによる「ラツーダ」の競合品の販売が含まれますが、これらに限りません。)により、売上収益が減少した場合には、当社グループの経営成績および財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(3) 知的財産権に関わるリスク
当社グループは研究開発において種々の知的財産権を使用しております。これらは当社グループ所有のもの、または適法に使用許諾を受けたものとの認識のうえで使用しておりますが、当社グループの認識の範囲外で第三者の知的財産権を侵害する可能性があります。また当社グループの事業は多くの知的財産権によって保護されていますが、保有する知的財産権が第三者に侵害された場合のほか、知的財産権の有効性や帰属を巡る係争が発生した場合には、当社グループの経営成績および財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(4) 医療制度改革について
国内においては、急速に進展する少子高齢化等により医療保険財政が悪化する中、先発医薬品の価格抑制や後発医薬品の使用促進などの医療費抑制策が図られ、さらなる医療制度改革の論議が続けられております。同じく海外においても欧米を中心に医療費削減を目的とした様々な医薬品価格抑制策が推進されております。これら医療制度改革はその方向性によっては当社グループの経営成績および財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(5) 副作用問題について
医薬品は開発段階において充分に安全性の試験を実施し、世界各国の所轄官庁の厳しい審査を受けて承認されておりますが、市販後に新たな副作用が見つかることも少なくありません。市販後に予期せぬ副作用が発生した場合に、当社グループの経営成績および財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(6) 提携解消について
当社グループは仕入商品の販売、合弁事業、共同販売、開発品の導入または導出、共同研究等さまざまな形で他社と提携を行っております。何らかの事情によりこれらの提携関係を解消することになった場合には、当社グループの経営成績および財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(7) 主要な事業活動の前提となる事項について
当社グループの主な事業は医療用医薬品事業であり、国内においては、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」等の薬事に関する法令に基づき、その研究開発および製造販売等を行うにあたり、「第一種医薬品製造販売業」、「第二種医薬品製造販売業」(いずれも有効期間5年)等の許可等を取得しております。また、海外においても医療用医薬品事業を行うにあたっては、当該国の薬事関連法規等の規制を受け、必要に応じて許可等を取得しております。これらの許可等については、各法令で定める手続きを適切に実施しなければ効力を失います。また各法令に違反した場合、許可等の取消し、または期間を定めてその業務の全部もしくは一部の停止等を命ぜられることがある旨が定められております。当社グループは、現時点において、許可等の取消し等の事由となる事実はないものと認識しておりますが、将来、当該許可等の取消し等を命ぜられた場合には、当社グループの経営成績および財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(8) 訴訟に関わるリスク
当社は、当社の米国子会社と共同で、2018年2月に後発医薬品メーカー(全16社)に対して当社の主力商品の一つである非定型抗精神病薬「ラツーダ」に関して、当社が保有する用途特許等の侵害を理由とする特許侵害訴訟(以下「先行訴訟」)を、また、2018年8月から10月に後発医薬品メーカー3社に対して3件の特許侵害訴訟(以下「追加訴訟」)を、米国ニュージャージー州連邦地方裁判所に提起しておりましたが、同裁判所の関与の下、被告各社との間で和解等の協議を進めた結果、2018年12月3日までに先行訴訟の全ての被告との間で訴訟が終結し、当連結会計年度末までに追加訴訟3件のうち2件が和解により終結しました。また、当社グループの事業活動に関連して、医薬品の副作用、製造物責任、労務問題、公正取引等に関連し、訴訟を提起される可能性があります。これらの訴訟及びその他の訴訟には性質上不確実性があり、その動向によっては、当社グループの経営成績および財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(9) 工場の閉鎖または操業停止に関わるリスク
当社グループの工場が、技術上の問題、使用原材料の供給停止、火災、地震、その他の災害等により閉鎖または操業停止となり、製品の供給が遅滞もしくは休止した場合、当社グループの経営成績および財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(10) 金融市況および為替変動による影響について
株式市況の低迷によっては保有する株式の評価損や売却損が生じ、金利動向によっては借入金等の支払利息が増加するほか、金融市況の悪化によっては退職給付制度債務が増加するなど、当社グループの経営成績および財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、為替相場の変動によっては、輸出入取引および連結子会社業績等の円換算において、重要な影響を受ける可能性があります。
(11) 非金融資産の減損の影響について
当社グループは、事業用の資産やのれん等、さまざまな有形固定資産や無形資産(仕掛研究開発等)を保有しております。将来、大幅な業績の悪化や価値の低下等があった場合、減損処理の必要が生じ、当社グループの経営成績および財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(12) 親会社との取引について
当社と親会社である住友化学株式会社との間で、研究所および工場の土地賃借、これらの事業所等で使用する用役や主に原薬を製造する際に使用する原料の購入契約を締結しております。当該契約等は、一般的な市場価格を参考に双方協議のうえ合理的に価格が決定され、当事者からの申し出がない限り1年ごとに自動更新されるものであります。このほか、親会社から出向者の受入を行っており、また、資金効率向上等の観点から親会社への短期貸付を実施しております。今後も当該取引等を継続していく方針でありますが、同社との契約・取引内容等に変化が生じた場合には、当社グループの経営成績および財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(13) 海外事業展開に関するリスク
当社グループは、北米、中国を中心にグローバルな事業活動を展開しておりますが、各国の規制・制度変更や外交関係の悪化、政情不安等のリスクが内在しており、このようなリスクに直面した場合、当社グループの事業計画が達成できず、経営成績および財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(14) 情報管理に関するリスク
当社グループは、各種情報システムを使用しているため、システムの障害やコンピューターウィルス等により、業務が阻害される可能性があります。また、個人情報を含め多くの機密情報を保有していますが、これらが社外に漏洩した場合には、損害賠償、行政処分、社会的信用の毀損等により、当社グループの経営成績および財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(15) コンプライアンスに関するリスク
当社グループは、コンプライアンスの推進を全ての事業活動の土台と位置付け、法令および企業倫理の遵守に努めておりますが、コンプライアンスの精神に反するような事態が生じた場合には、企業グループとしての社会的信用の失墜等により、経営成績および財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
なお、上記以外にもさまざまなリスクがあり、ここに記載されたものが当社グループのすべてのリスクではありません。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
また、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。
連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しております。
連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるために、これらの見積りと異なる場合があります。
(2) 経営成績
当連結会計年度の世界経済は、米中間の通商問題、欧州の不透明な政治情勢、中国経済の減速などにより、不確実性は高まりましたが、米国経済が個人消費の増加を受けて堅調に推移したことなどにより、全体としては緩やかに回復しました。わが国経済についても、輸出や生産の一部に弱さがみられ、企業収益の改善には足踏みがみられるものの、設備投資の増加や個人消費の持ち直しなどにより、全体としては緩やかに回復しました。
医薬品業界では、増大する社会保障給付費を抑制するための世界的な動きとして、先発医薬品の価格抑制や後発医薬品の使用促進が一段と進むなか、ますます研究開発費は高騰し、競争は激化しています。その一方で、デジタル技術を活用した創薬の進展や予防医療への関心の高まりなど、変化の兆しが見られます。
このような状況のもと、当社グループは、日本において、2型糖尿病治療剤「トルリシティ」、パーキンソン病治療剤「トレリーフ」、「ロナセン」などの売上拡大に経営資源を集中するとともに、効率的な事業活動に取り組みました。
北米においては、サノビオン・ファーマシューティカルズ・インク(以下「サノビオン社」)が、グローバル戦略品である「ラツーダ」の売上最大化を図るとともに、他の主力製品の売上拡大に向けて事業活動を行いました。
なお、「ラツーダ」については、当社およびサノビオン社は、当社が保有する用途特許などの侵害を理由として、2018年2月に後発医薬品メーカー16社に対する特許侵害訴訟(以下「先行訴訟」)を、また、2018年8月から10月に後発医薬品メーカー3社に対する3件の特許侵害訴訟(以下「追加訴訟」)を、それぞれ米国ニュージャージー州連邦地方裁判所に提起していましたが、同裁判所の関与のもと、被告各社との間で和解などの協議を進めた結果、2018年12月3日までに先行訴訟の全ての被告との間で訴訟が和解により終結しました。また、追加訴訟については、当連結会計年度末現在、2件が和解により終結していますが、まだ1件が係属しています。なお、先行訴訟および追加訴訟の被告であった複数の後発医薬品メーカーは、和解契約の条項に従い、2023年2月20日以降、米国において「ラツーダ」の後発医薬品を販売することができることになります。
がん領域では、ボストン・バイオメディカル・インク(以下「ボストン・バイオメディカル社」)が、ナパブカシン(開発コード:BBI608)の早期上市を最優先課題と位置付け、事業活動を行うとともに、トレロ・ファーマシューティカルズ・インク(以下「トレロ社」)が、alvocidib(開発コード:DSP-2033)などの研究開発に注力しました。
中国においては、住友制葯(蘇州)有限公司が、「メロペン」などの売上拡大を図るべく事業活動を展開しました。
(業績管理指標として「コア営業利益」を採用)
当社グループでは、IFRSの適用にあたり、会社の経常的な収益性を示す利益指標として、「コア営業利益」を設定し、これを当社独自の業績管理指標として採用しています。
「コア営業利益」は、営業利益から当社グループが定める非経常的な要因による損益(以下「非経常項目」)を除外したものとなります。非経常項目として除かれる主なものは、減損損失、事業構造改善費用、企業買収に係る条件付対価公正価値の変動額などです。
当連結会計年度の当社グループの連結業績は、以下のとおりです。
(単位:億円)
■ 売上収益は4,593億円(前連結会計年度比1.6%減)となりました。
当社グループの収益の柱である「ラツーダ」や「アプティオム」の売上増加などにより北米セグメントは増収となりました。一方、昨年4月に実施された薬価改定の影響に加え、長期収載品の売上減少により日本セグメントが減収となったことなどから、売上収益は微減となりました。
■ コア営業利益は773億円(前連結会計年度比14.7%減)となりました。
日本セグメントにおいて薬価改定の影響などにより売上総利益が減少したことに加え、前連結会計年度には販売権の譲渡に伴うその他の収益の計上がありましたが、当連結会計年度にはこのような要因がないことから、コア営業利益は減益となりました。
■ 営業利益は579億円(前連結会計年度比34.4%減)となりました。
開発計画の見直しを含む事業計画の修正などに伴い、条件付対価公正価値の費用戻入が増加しましたが、無形資産である仕掛研究開発および販売権の減損損失や当社における生産拠点の統合などに伴う事業構造改善費用が発生したことなどにより、コア営業利益の減益に加え、営業利益はさらに減益となりました。
■ 税引前当期利益は650億円(前連結会計年度比23.4%減)となりました。
受取利息の増加に加え、当連結会計年度末は前連結会計年度末に比べ、為替換算レートが米ドルに対し円安に振れたことから、当社が保有する外貨建て金融資産において為替差益が発生しました。これらの結果、金融収益が増加しました。
■ 親会社の所有者に帰属する当期利益は486億円(前連結会計年度比9.0%減)となりました。
親会社の所有者に帰属する当期利益の売上収益に対する比率は10.6%となり、前連結会計年度に比べ0.8%減少しました。
(セグメント業績指標として「コアセグメント利益」を採用)
セグメント別の業績では、各セグメントの経常的な収益性を示す利益指標として、「コアセグメント利益」を設定し、当社独自のセグメント業績指標として採用しています。
「コアセグメント利益」は、「コア営業利益」から、グローバルに管理しているため各セグメントに配分できない研究開発費、事業譲渡損益などを除外したセグメント別の利益となります。
セグメント別の経営成績は次のとおりです。
【日本】
■ 売上収益は1,293億円(前連結会計年度比9.8%減)となりました。
「トルリシティ」、2型糖尿病治療剤「シュアポスト」、ファブリー病治療剤「リプレガル」などの売上は増加しましたが、薬価改定による影響に加え、新たに後発医薬品が発売された高血圧症治療剤「アイミクス」をはじめ長期収載品の売上減少が大きく、減収となりました。
■ コアセグメント利益は251億円(前連結会計年度比37.6%減)となりました。
薬価改定や長期収載品の売上減少による売上総利益の減少の影響が大きく、大幅な減益となりました。
【北米】
■ 売上収益は2,525億円(前連結会計年度比4.9%増)となりました。
「ラツーダ」が堅調に推移したことに加え、「アプティオム」の売上が伸長したことなどから、増収となりました。
■ コアセグメント利益は1,145億円(前連結会計年度比4.6%増)となりました。
売上増加に伴う売上総利益の増加が大きく、増益となりました。
【中国】
■ 売上収益は247億円(前連結会計年度比5.6%増)となりました。
主力品である「メロペン」などの売上が増加したことにより、増収となりました。
■ コアセグメント利益は123億円(前連結会計年度比14.8%増)となりました。
売上増加に伴う売上総利益の増加により、増益となりました。
【海外その他】
■ 売上収益は143億円(前連結会計年度比13.2%減)となりました。
東南アジアにおける「メロペン」の売上は増加しましたが、その他の輸出が減少したことなどから、全体では減収となりました。
■ コアセグメント利益は50億円(前連結会計年度比2.3%減)となりました。
売上の減少などにより、微減となりました。
上記報告セグメントのほか、当社グループは、食品素材・食品添加物および化学製品材料、動物用医薬品、診断薬などの販売を行っており、これらの売上収益は384億円(前連結会計年度比10.3%減)、コアセグメント利益は31億円(前連結会計年度比14.2%増)となりました。
(3) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は販売価格により換算したものであります。
2 セグメント間取引については相殺消去しております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4 当連結会計年度において、日本セグメントにおける生産実績が著しく減少しました。これは、薬価改定による影響に加え、主に長期収載品の生産数量が減少したことによるものであります。
② 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は仕入価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③ 受注状況
当社グループの生産は見込生産で、受注生産は行っておりません。
④ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(4) 財政状態
資産については、非流動資産は、繰延税金資産が増加したことに加え、のれんが為替換算により増加しましたが、減損損失の計上などにより無形資産が減少した結果、前連結会計年度末に比べ微増となりました。
流動資産は、現金及び現金同等物が減少し、その他の金融資産が大きく増加しました。また、棚卸資産や営業債権及びその他の債権が増加した結果、前連結会計年度末に比べ247億円増加しました。
これらの結果、総資産は前連結会計年度末に比べ250億円増加し、8,347億円となりました。
負債については、引当金が増加しましたが、社債の償還などによる有利子負債の減少に加え、営業債務及びその他の債務やその他の金融負債が減少した結果、前連結会計年度末に比べ204億円減少し、3,366億円となりました。
資本については、主に利益剰余金とその他の資本の構成要素における在外営業活動体の換算差額などが増加した結果、前連結会計年度末に比べ454億円増加し、4,981億円となりました。
なお、当連結会計年度末の親会社所有者帰属持分比率は59.7%となりました。
(5) キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期利益が減益となったことに加え、営業債務及びその他の債務の減少などによるキャッシュの減少要因に加え、法人所得税の支払額が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ447億円収入が減少し、487億円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、無形資産や投資の取得による支出が減少しましたが、短期貸付金の貸付が増加したことや事業譲渡による収入が当連結会計年度には発生しなかったことなどにより、前連結会計年度に比べ185億円支出が増加し、350億円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額は増加しましたが、借入の返済による支出が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ微減の、286億円の支出となりました。
上記のキャッシュ・フローに、現金及び現金同等物の為替換算による影響額を加えた結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は1,373億円となり、前連結会計年度末に比べ105億円減少しました。
当社グループの資本の財源および資金の流動性は、以下のとおりです。
当社グループは、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、銀行借入などにより、必要資金を調達し、買収で取得した開発品への先行投資などを行っております。
当社グループの財務活動の方針は、自己資金に加えて、必要に応じて借入によるレバレッジの活用などにより必要資金を確保することであります。
当社グループでは、現金及び現金同等物に短期貸付金を加えた金額を運用資金と定義しており、当連結会計年度末の運用資金は1,800億円であります。また、流動比率(流動資産/流動負債)は188.4%であり、高い資金の流動性を維持しております。
(6) 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章および第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。
日本基準では、のれんの償却は、その効果が発現すると見積られる期間(20年)にわたり均等償却を行っておりましたが、IFRSでは、のれんの償却は行われず、毎期減損テストを行っております。
この結果、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が6,700百万円減少(前連結会計年度は6,696百万円減少)しております。
日本基準では、すべての研究開発費を費用処理しておりましたが、IFRSでは、これらのうち一定の要件を満たしたものを無形資産として計上し、見積耐用年数にわたって定額法で償却しております。
この結果、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が230百万円増加(前連結会計年度は364百万円増加)し、研究開発費が222百万円減少(前連結会計年度は5,100百万円減少)しております。
日本基準では、買収時に日本基準による企業結合が適用された取引に係る条件付対価について、企業結合後にその交付または引渡しが確実となる時点まで負債を認識しておりませんでしたが、IFRSでは、条件付対価の公正価値を測定し、当該公正価値を金融負債として計上しております。当該金融負債の公正価値の増減については、販売費及び一般管理費として認識しております。
この結果、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が3,993百万円減少(前連結会計年度は14,744百万円減少)しております。
(1) 技術導入
(2) 技術導出
(3) 販売契約等
以下の契約については、契約終了の合意に伴い、当連結会計年度において終了しました。
技術導入契約
当社グループは、精神神経領域、がん領域および再生・細胞医薬分野を研究重点領域として、自社研究に加え、技術導入、ベンチャー企業やアカデミアとの共同研究など、あらゆる方法で最先端の技術を取り入れて、研究開発活動に取り組んでおり、優れた医薬品の継続的な創製を目指しています。また、感染症領域にも取り組み、グローバルヘルスへの貢献を目指しています。さらに、医薬品以外のヘルスケア領域において、社会課題の解決のための新たなソリューションを提供することを目的として、フロンティア事業の立ち上げを目指しています。
(1)精神神経領域
先端技術を取り入れながら築いた自社独自の創薬技術プラットフォームを基盤に競争力のある創薬研究を推進しています。また、自社製品の臨床試験の情報から得られた知見をトランスレーショナル研究に生かし、ゲノム情報やイメージング画像などのビッグデータから適切な創薬ターゲットやバイオマーカーを選定することで、研究開発の確度の向上を図っています。
開発段階では、日米が一体となったグローバル臨床開発体制のもと、戦略的な開発計画を策定し、効率的に臨床開発を推進して、早期に承認取得することを目指しています。
また、当連結会計年度は、当社からのカーブアウトベンチャー企業であるAlphaNavi Pharma株式会社に対して、当社が創製した化合物(開発コード:DSP-2230)の開発・販売などの権利を導出しました。
当連結会計年度における主な開発の進捗状況は、次のとおりです。
① 「トレリーフ」(一般名:ゾニサミド)
日本において、レビー小体型認知症(DLB)に伴うパーキンソニズムの効能・効果を追加する一部変更承認を2018年7月に取得しました。
② 「ラツーダ」(一般名:ルラシドン塩酸塩)
中国において、統合失調症を対象とした承認を2019年1月に取得しました。
また、日本において、統合失調症を対象としたフェーズ3試験に関して、主要評価項目を達成するとともに、良好な忍容性を示す結果を得ました。
③ 「ロナセン」(一般名:ブロナンセリン)
日本において、日東電工株式会社と共同開発中のテープ製剤について、統合失調症を対象とした承認申請を2018年7月に行いました。
④ dasotraline(開発コード:SEP-225289)
米国において、成人および小児の注意欠如・多動症(ADHD)を対象とした承認申請を行っていましたが、2018年8月に米国食品医薬品局(以下「FDA」)から審査結果通知(Complete Response Letter)(以下「CRL」)を受領しました。CRLにおいて、FDAは、現時点では承認できないと判断し、本剤の有効性および忍容性をさらに評価するために追加の臨床データが必要との判断を示しました。現在、開発方針を検討中です。
また、米国において、過食性障害(BED)を対象としたフェーズ3試験に関して、主要評価項目を達成するとともに、良好な忍容性を示す結果を得ました。
⑤ アポモルヒネ塩酸塩水和物(開発コード:APL-130277)
米国において、舌下投与フィルム製剤について、パーキンソン病に伴うオフ症状を対象とした承認申請を行っていましたが、2019年1月にFDAからCRLを受領しました。CRLにおいて、FDAは、現時点では承認できないと判断し、本剤の追加の情報および解析を要求しましたが、新たな臨床試験は求めていません。2019年度に再申請を行う予定です。
⑥ SEP-363856
米国において、統合失調症を対象としたフェーズ2試験に関して、主要評価項目を達成するとともに、良好な忍容性を示す結果を得ました。
(2)がん領域
がん微小環境における細胞間ネットワークに着目した研究によりユニークなシーズやテーマに取り組み、革新的な新薬の創出を目指しています。また、当社、北米子会社および外部機関の間でのネットワーク型創薬を推進し、研究と開発が一体となって、早期の臨床試験への移行を目指しています。
開発段階では、後期開発品の開発を着実に進めるとともに、初期臨床開発も積極的に取り組んでいます。
当連結会計年度においては、ナパブカシンについて、結腸直腸がんおよび膵がんを対象とした併用での国際共同フェーズ3試験を引き続き推進しました。その他の品目について、当連結会計年度における主な開発の進捗状況は、次のとおりです。
造血幹細胞移植前治療薬「リサイオ」(一般名:チオテパ)
厚生労働省は、医療上の必要性が高い未承認薬であるとしてチオテパの開発企業を公募し、当社は、2013年に開発の意思を申し出て、小児悪性固形腫瘍における自家造血幹細胞移植の前治療を対象とした承認を2019年3月に取得しました。
また、悪性リンパ腫における自家造血幹細胞移植の前治療を対象とした承認申請を2019年3月に行いました。
(3)再生・細胞医薬分野
オープンイノベーションを基軸に、高度な工業化・生産技術と最先端サイエンスを追求する当社独自の成長モデルにより早期事業化を図っており、複数の研究開発プロジェクトを推進しています。神経領域および眼疾患領域中心のプロジェクトを着実に推進するとともに、立体臓器の再生も含めた次世代の再生医療の取組も視野に入れ、グローバルでの展開を目指しています。
当連結会計年度における主な開発の進捗状況は、次のとおりです。
① SB623
米国において、慢性期脳梗塞を対象としたフェーズ2b試験において、主要評価項目を達成できませんでした。現在、本試験の詳細解析を実施しており、その結果を踏まえてサンバイオ株式会社とともに今後の開発方針を決定する予定です。
② 他家iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞
日本において、京都大学医学部附属病院および京都大学iPS細胞研究所がiPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞を用いたパーキンソン病を対象とした医師主導治験を開始しました。当社は、本試験の結果を用いて承認申請を行う予定です。
(4)感染症領域
アカデミアなどとの共同研究により、薬剤耐性菌感染症治療薬ならびに当社ワクチンアジュバントを基盤としたマラリアワクチンおよび万能インフルエンザワクチンの創薬研究を展開しています。
(5)フロンティア事業
フロンティア事業の開拓の一環として、2018年10月に株式会社メルティンMMIとの間で共同研究開発契約を、2019年2月に株式会社Aikomiとの間で共同研究契約を締結しました。両社との提携を通じ、患者さんに貢献できる新たな価値を提供することを目指します。
このような研究開発活動の結果、当連結会計年度の研究開発費の総額は1,024億円(前連結会計年度比17.8%増)となりました。なお、当該金額は当連結会計年度に計上した減損損失195億円を含んでいることから、これを除いたコアベースの研究開発費は829億円(前連結会計年度比4.6%減)となりました。また、当社グループは、研究開発費をグローバルに管理しているため、セグメントに配分していません。
当社グループにおける開発状況は以下のとおりであります。