第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社は、「人々の健康で豊かな生活のために、研究開発を基盤とした新たな価値の創造により、広く社会に貢献する」を企業理念として掲げ、事業活動を進めています。

少子高齢化社会の進展、パンデミックなどの社会課題を背景に、精神神経領域およびがん領域の医療ニーズは拡大していくことが予想されます。また、医療ニーズはますます高度化しており、多様なモダリティを駆使し、デジタルとリアルが融合した生活と人々の価値観に寄り添うヘルスケア課題の解決が社会から期待されています。

かかる環境において、当社グループは、変わりゆくヘルスケア課題の解決に貢献するため、2019年4月に策定したビジョン「もっと、ずっと、健やかに。最先端の技術と英知で、未来を切り拓く企業」に基づき、精神神経領域およびがん領域を重点疾患領域とし、医薬品、再生・細胞医薬、非医薬等による多様なアプローチで人々の健康で豊かな生活に貢献してまいります。また、その他領域においても、保有アセットを生かし、確かな価値を患者さんに届けてまいります。これにより、2033年に「グローバル・スペシャライズド・プレーヤー」の地位を確立することを目指します。

当社は、このビジョンのもと、2023年度を起点とする5か年の「中期経営計画2027」を2023年4月に策定しました。

 


 

 

なお、当社は、グループ一体経営を推進するため、米国グループ会社の再編を契機に、2023年7月1日付けで理念体系を再構成し、理念、バリューおよび行動宣言をグループ全体で共有するフィロソフィとして、グループ内への浸透を進めます。

併せて、当社の理念の実践により、持続可能な社会実現に貢献し持続的な企業価値向上につなげることを「サステナビリティ経営」と定義します。

 

理念(当社の存在意義、社会に対する約束・使命)

人々の健康で豊かな生活のために、研究開発を基盤とした新たな価値の創造により、広く社会に貢献する

バリュー(全役員・従業員が共有すべき価値観)

Patient First

Always with Integrity

One Diverse Team

行動宣言(日々の業務において守るべき行動規範)

1."Innovation today, healthier tomorrows" の実現に取り組みます

2.誠実な企業活動を行います

3.積極的な情報開示と適正な情報管理を行います

4.自らの能力を高め、協働します

5.人権を尊重します

6.地球環境問題に積極的に取り組みます

7.社会との調和を図ります

 

中期経営計画2027

① 基本方針

「事業構造および経営体質の質的転換を図る」

非定型抗精神病薬「ラツーダ」の米国での独占販売期間終了後の再成長および「グローバル・スペシャライズド・プレーヤー」の地位確立に向けた足場を築く期間として、進行性前立腺がん治療剤「オルゴビクス」、子宮筋腫・子宮内膜症治療剤「マイフェンブリー」および過活動膀胱治療剤「ジェムテサ」(以下「基幹3製品」)の価値最大化を中心とした持続的な成長を支える収益基盤の確立ならびに自社起源のイノベーションを事業として結実させるための研究開発に取り組み、事業構造の転換を図ってまいります。同時に、米国グループ会社の再編を契機にグループ経営体制を再編し、しなやかで効率的な経営基盤への変革に取り組んでまいります。

 

② 重点課題

ⅰ.事業収益力の強化

北米では、基幹3製品の早期価値最大化に最注力するとともに、米国グループ会社の再編を着実に推進することにより、シナジーの実現に取り組んでまいります。日本では、注力製品および新製品の価値最大化に注力し、事業収益を確保するとともに、再生・細胞医薬事業およびフロンティア事業の強化に取り組んでまいります。中国・アジアでは、製品ラインナップを拡充させるとともに、販売国の拡大等により、収益と利益の最大化に取り組んでまいります。

 

ⅱ.自社イノベーションの結実

ulotaront(開発コード:SEP-363856)、他家iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞(開発コード:DSP-1083)等の後期開発品目の開発を加速させ、確実に上市させるべく取り組んでまいります。

初期開発品目の中から優先品目を早期に選抜し、自社開発を加速させるとともに、外部提携を含めた適切な手段で保有パイプラインの価値最大化を追求し、適正投資配分を実現してまいります。

創薬研究においては、トランスレーショナル研究、バイオマーカー研究およびモダリティ技術において独自性の高い創薬基盤を更に強化するとともに、データ駆動型創薬を推進し、病態の本質を捉えた開発候補品目を継続的に創出することを目指してまいります。

2028年度から始まる次期中期経営計画の期間での収益の柱に育成するべく、再生・細胞医薬事業およびフロンティア事業を本格化させてまいります。

薬剤耐性菌感染症治療薬およびワクチンの研究開発を外部連携により推進し、グローバルヘルスへの貢献に取り組んでまいります。

 

ⅲ.グループガバナンスの強化

米国グループ会社の再編を契機として、迅速かつグループ最適な事業判断ができる経営体制の構築に取り組んでまいります。

 

ⅳ.デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速

当社のデジタル基盤(DrugOMEおよびDigital Innovation)を最大限に活用し、データドリブンな意思決定のもと、すべての人材が継続的に業務変革と価値創造に取り組み、自律推進する組織への変革に取り組んでまいります。

 

ⅴ.企業文化の浸透と人材戦略

フィロソフィの浸透を通じてグループ一体経営を推進するとともに、グローバル人事マネジメント基盤の構築に着手し、グループが緊密に連携し、一体となって目標を達成するための人材ポートフォリオの構築に取り組んでまいります。

 

 

③ 経営目標

ⅰ.財務値

PL/CF

2023年度

2024~2027年度

売上収益

3,620億円

2023年度を起点としてCAGR12%以上

コア営業利益

△620億円

累計1,920億円以上

営業キャッシュ・フロー

△1,300億円

累計2,700億円以上

ROIC

△8.5%

累計6.5%以上

ROE

△21.9%

累計8%以上

 

 

BS

2027年度末

ネットD/Eレシオ

0.5以下

有利子負債残高

2,000億円以下

親会社所有者帰属持分比率

40%以上

 

 

(注)1.為替レート:1ドル130円、1元19.5円

2.各目標値は成功確率調整後

3.CAGR:Compound Annual Growth Rate(年平均成長率)

4.ROIC=(コア営業利益-法人所得税)/(資本+有利子負債)

ⅱ.長期的なROE目標

2028年度から始まる次期中期経営計画においては、ROE10%を目指してまいります。

 

ⅲ.配当方針

当社は、業績に裏付けられた成果を適切に配分することを重視しており、安定的な配当に加えて、業績向上に連動した増配を行うことを配当の基本方針としています。

本基本方針に則り、「中期経営計画2027」の期間においては、コア営業損失を見込む2023年度は無配の方針、コア営業利益を見込む2024年度は復配の方針とし、その後は安定配当を目指します。

 

ⅳ.投資方針

自社アセットへの研究開発投資を最優先とします。M&A、導入等については財務目標値に大きな影響を与えない範囲での投資とします。

 

 

2023年度活動方針

当社グループの2023年度の事業活動方針は、次のとおりです。

「中期経営計画2027」の基本方針に基づき、経営目標の達成に向けて積極的に事業活動を推進してまいります。

 

① サステナビリティ経営

当社グループは、サステナビリティ経営を実践していくための重要課題(マテリアルイシュー)を社会からの期待と企業価値向上への影響度の観点から見直し、「革新的な医薬品と医療ソリューションの創出」を最も重要なマテリアルイシューとして掲げました。また、マテリアルイシューのそれぞれに目標およびKPIを設定しました。当社グループは、マテリアルイシューに取り組み、サステナビリティ経営を実践することにより、社会の持続可能性への貢献と当社の持続的成長の実現を目指してまいります。

「中期経営計画2027」の初年度である2023年度は、サステナビリティ経営の実践として以下の事業活動と研究開発活動を推進してまいります。

 


② 各セグメントにおける事業活動

ⅰ.北米セグメント

米国グループ会社の再編を着実に推進し、Sunovion Pharmaceutical Inc.(2023年7月に「Sumitomo Pharma America, Inc.」に商号変更予定)のもと、「ラツーダ」の米国での独占販売期間終了後の再成長を担う「オルゴビクス」、「マイフェンブリー」および「ジェムテサ」の早期の価値最大化を達成すべく、北米における事業を運営してまいります。特に「オルゴビクス」および「マイフェンブリー」については、Pfizer Inc.とのコ・プロモーションにより、引き続き市場浸透および販売拡大に注力してまいります。抗てんかん剤「アプティオム」および小児先天性無胸腺症治療剤「リサイミック」についても、販売拡大に努めてまいります。

 

ⅱ.日本セグメント

薬価改定などの薬剤費抑制策により厳しさを増す市場環境に対応すべく、より一層の効率的な事業運営を推進してまいります。精神神経領域では、「ラツーダ」および非定型抗精神病薬「ロナセンテープ」の販売拡大に努めてまいります。糖尿病領域では、2型糖尿病治療剤「ツイミーグ」、「エクア」および「エクメット」の販売拡大に努めてまいります。また、引き続き、再生・細胞医薬事業の事業基盤確立に向けた取組を進めるとともに、フロンティア事業の本格化に向けた取組の強化に努めてまいります。

 

ⅲ.中国セグメントおよびアジア

当社グループは、中国を第3の柱として基盤強化に取り組むとともに、アジアを成長市場として捉えて足場固めを推進してまいります。

中国セグメントでは、2023年度は、薬剤費抑制策の影響を見極め、引き続きカルバペネム系抗生物質製剤「メロペン」、「ラツーダ」などの販売に注力してまいります。

アジアでは、自社パイプラインに適した国での事業拡大を進めるとともに、提携企業との連携による「メロペン」および「ラツーダ」の販売拡大に努めてまいります。また、杏林製薬株式会社から台湾等における開発、製造および販売に関するライセンスを取得した過活動膀胱治療剤ビベグロンについても、事業展開を推進してまいります。

 

 

③ 研究開発活動

当社グループは、「グローバル・スペシャライズド・プレーヤー」を2033年の目指す姿として掲げています。アンメット・メディカル・ニーズが高い精神神経領域およびがん領域を重点疾患領域とし、これまで紡ぎあげてきた当社グループの経験と知識を最大限生かせるこれらの領域において、引き続き、医薬品、再生・細胞医薬、非医薬等の研究開発に積極的に取り組んでまいります。また、その他領域においても保有アセットを生かし、確かな価値を患者さんに届けるべく、着実な研究開発を推進してまいります。創薬研究においては、トランスレーショナル研究、バイオマーカー研究およびモダリティ技術において独自性の高い創薬基盤を更に強化するとともに、データ駆動型創薬を推進し、病態の本質を捉えた開発候補品目を継続的に創出することを目指してまいります。

 

ⅰ.精神神経領域

後期開発品であるulotarontについて、統合失調症を適応症とした米国での承認申請ならびに日本および中国でのフェーズ2/3試験を着実に推進してまいります。また、2022年度に開始した大うつ病補助療法を対象とした米国でのフェーズ2/3試験ならびに全般不安症を対象とした米国および日本でのフェーズ2/3試験を推進してまいります。同じく後期開発品であるSEP-4199について、双極Ⅰ型障害うつを対象とした米国および日本でのフェーズ3試験を推進してまいります。さらに、特長ある初期開発品のフェーズ1試験を着実に推進するとともに、有効性を適切に見極め、パイプラインの一層の充実を図ります。

他家iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞について、パーキンソン病を適応症とした日本での承認申請に向けた対応および2023年度中の米国での治験開始に向けた対応を着実に進めてまいります。また、他家iPS細胞由来網膜色素上皮細胞について、網膜色素上皮裂孔を対象として、2023年度中の国内企業治験開始を目指し、早期に治療効果を見極めるべくプロジェクトを推進してまいります。

社交不安障害を対象として開発中のVRコンテンツ(開発コード:BVR-100)について、米国での臨床試験開始に向けた対応を提携先とともに進めてまいります。また、うつを対象とした簡易型脳波計として開発中のウェアラブル脳波計について、日本での医療機器認証取得に向けた対応を着実に推進してまいります。

 

ⅱ.がん領域

DSP-5336およびTP-3654に資源を集中させ、DSP-5336は急性白血病、TP-3654は骨髄線維症をそれぞれ適応症とした承認の早期取得と価値最大化を目指し、引き続き開発を推進してまいります。

 

ⅲ.その他領域

「ジェムテサ」について、米国での前立腺肥大に伴う過活動膀胱に対する適応追加申請ならびに欧州、中国および台湾での過活動膀胱を適応症とした承認申請に向けた対応を着実に推進してまいります。

rodatristat ethylについて、米国での肺動脈性肺高血圧症を対象としたフェーズ2試験を着実に推進してまいります。

lefamulinについて、中国での細菌性市中肺炎を適応症とした承認取得に向けた対応を着実に推進してまいります。

ユニバーサルインフルエンザワクチンについて、医薬基盤・健康・栄養研究所との共同研究では前臨床研究を推進し、2023年度中のフェーズ1試験の開始に向けた準備を進めてまいります。なお、本共同研究は、AMEDのCiCLEに係る研究開発課題として採択されており、AMEDからの委託研究開発費を活用しています。

KSP-1007について、米国でのフェーズ1試験の結果を踏まえ、次のフェーズへの移行に向けた取組を推進してまいります。

 

株主還元

中期経営計画2027 ③経営目標 ⅲ. 配当方針 に記載のとおりです。

 

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

1.サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

(1)ガバナンス

当社グループは、「人々の健康で豊かな生活のために、研究開発を基盤とした新たな価値の創造により、広く社会に貢献する」という理念の実践により、持続可能な社会実現に貢献し持続的な企業価値向上につなげることを、サステナビリティ経営と定義しています。このサステナビリティ経営を推進するにあたっては、多様かつ変容する社会からの期待・要請に対して当社グループの持つ資本(強み)を活用し、当社グループならではの価値を創出することが不可欠であり、そのために取り組む重要課題を「マテリアルイシュー」として、2023年3月に取締役会で承認を受けました。

 

マテリアルイシュー特定のプロセスは以下の通りです。

STEP1 社会課題/ニーズおよび住友ファーマグループの資本(強み)のリストアップ

SDGs、グローバルリスクレポート、各種フレームワーク(GRIスタンダード、SASBスタンダード、ISO26000、国連グローバル・コンパクト10原則)、ESG調査の評価項目(DJSI、FTSE、MSCI)などを参考に、社会課題/ニーズのリストアップを行いました。

また、当社グループの資本(強み)については社内ヒアリングをベースに、機関投資家から提供された情報も加味した上でリストアップを行いました。

 

STEP2 イシューの評価

リストアップした社会課題/ニーズの中から、当社グループの資本(強み)に関連するものをイシューとして抽出しました。これらのイシューに対して、「社会からの期待」と「企業価値向上への影響度」の2軸を設定し、それぞれ3段階で評価することで、優先的に取り組むべきイシューをマテリアルイシューとして特定しました。

 

STEP3 マテリアルイシュー最終化

マテリアルイシューは、代表取締役社長の意思決定のための諮問機関である経営会議にて審議の上、取締役会による承認を受けました。


それぞれのマテリアルイシューの目標およびKPIについては、次のリンク先をご覧ください。

https://www.sumitomo-pharma.co.jp/sustainability/assets/pdf/material_issues_kpi_ja.pdf

 

また、当社グループでは上記のマテリアルイシューへの取組状況を定期的に取締役会へ報告し、中長期的な企業価値の向上の観点から、積極的な議論を行なっています。

 

(2)リスク管理

当社グループとしての基本的な考え方を定めた「SMP Group Risk Management Policy」を制定し、当社が当社グループのリスクマネジメントを適切に推進する体制を構築しています。(※1)この推進体制では、リスクごとの特性に応じて、グループ横断的に取り組むリスク(グループ横断リスク)とグループ各社が自らの責任において取り組むリスク(業務活動リスク(※2))に分類しています。それぞれのリスクについて、当社がグループ各社から報告を受けることによって、グループ全体のリスクマネジメントを当社が把握し、必要に応じて、指導・助言等の対応を行っています。

当社では、事業活動に影響を及ぼすリスクに対応するため「リスクマネジメント規則」を制定し、代表取締役社長がリスクマネジメントを統括することを明確にするとともに、リスクごとにリスクマネジメントを推進する体制を整備しています。各推進体制の運用状況については、定期的に取締役会に報告しています。具体的な取組の一つとして、年度ごとに国内外のグループ会社を含めた全部門にリスクアセスメントを実施し、その結果を踏まえた対策の策定・実施・評価を行い、全社各部門が課題解決に向け計画的に取り組んでいます。

※1  次のリンク先をご覧ください。

https://www.sumitomo-pharma.co.jp/sustainability/corporate_governance/risk_management.html

※2  地震、台風・豪雨、伝染病・感染症などの災害や、調達・生産・在庫管理、人材管理などグループ各社が自らの責任において取り組む業務活動上のリスク

 

2.重要なサステナビリティ項目

上記のとおり、当社グループでは「社会からの期待」と「企業価値向上への影響度」の観点から「革新的な医薬品と医療ソリューションの創出」をはじめとするマテリアルイシューを特定していますが、当社グループがこれらのマテリアルイシューに取り組み、社会の持続可能性への貢献と当社グループの持続的成長の実現を目指すにあたって重要なサステナビリティ項目となる「人的資本と多様性」、「環境への取組」についての考え方及び取組は以下のとおりです。

 

(1)人的資本と多様性

ア.戦略

当社は人材の多様性の確保を含む人材育成や社内環境整備の方針について、取締役(社外取締役を除く)と執行役員が参加する人材戦略会議にて議論を行っています。各方針は以下のとおりです。

 

(人材育成方針)

当社は、個人の成長と事業の成長は車の両輪であるとの考え方の下、経営戦略と連動した人材戦略により、個人と事業の成長を実現し、社会に対して継続的に価値を提供することを目指しています。

そのため当社では、「住友ファーマが求める社員像」(※3)を設定し、各種研修やジョブローテーションなどを通じて、社員の成長をサポートしています。各種研修に関しては、2016年度に人材育成体系(※4)を再構築し、専門性に加え、経営の知識を兼ね備えた人材も積極的に育成しています。

今後は、北米事業体制の再編を契機に、グループが緊密に連携、一体となって目標を達成するための当社グループ(日本、北米、アジアなど)全体における人材ポートフォリオを構築し、それにより効果的・効率的な採用・育成・配置を行っていきます。

 

 

※3 住友ファーマが求める社員像


 

※4 詳細は、次のリンク先をご覧ください。

   https://www.sumitomo-pharma.co.jp/sustainability/social/education.html

 

当社での主な取り組みについて

(ア)選抜型研修SMP Academyの実施

未来のリーダーや経営者を育成するため、選抜型教育研修プログラムSMP Academyを2016年7月に設立しました。若手から中堅、管理職の各層において、向上心があり潜在的能力の高い社員を毎年80人を目安に選抜し、2016~2021年度の6年間で482人が受講しました。約1年にわたる研修プログラムにおいては、外部講師に加えて経営陣自らも講師を務め、高い視点から事業全体を俯瞰し、新たな価値創造のための構想力を養成しています。現在では、部門長以上の約半数がSMP Academyの修了者です。今後は当社グループ全体における人材ポートフォリオを意識し、グローバルマネジメント要素を含めた内容への変更を検討・実施していきます。

 

(イ)グローバル人材の育成

当社では、海外子会社や海外アカデミア・研究機関に人材を派遣するなど、グローバル人材の育成に取り組んでいます。

また、各本部推薦による選抜型の英語力強化研修に加え、全社的な英語力の底上げという観点から、2020年度以降、全社員を対象としたe-learningプログラムを導入するとともに、TOEIC受験機会を年4回会社が提供しています。今後は、グローバル人材のプールをさらに増やすべく、SMP Academyとの連携や各種英語力強化プログラムのブラッシュアップおよび新規プログラムを検討・実施していきます。

 

(ウ)新たな価値創造とオペレーション改革をDXで実践する人材の育成

当社は、2021年8月から新たな価値創造とオペレーション改革をDXで実践する人材を育成するため、DX研修をスタートしました。全社員向け、管理職向けのe-learningをはじめ、さらにハイレベルなデータサイエンスの実践知識習得を目指すコースを設定しています。2024年度までにシチズン・データサイエンティスト(※5)100人の育成に加え、2027年度までにシチズン・デベロッパー(※6)150人を育成します。各種のデータを積極的に活用し、さまざまな課題を解決できるデジタル人材の早期育成を目指しています。

※5 データ利活用による価値創出の起点となる人材

※6 職場での業務効率化を自律推進できる人材

 

(エ)タレントマネジメントによる戦略的人員配置と採用

当社は、タレントマネジメントシステムを導入・運用し、人材(タレント)が、どのようなスキルや能力を持っているのかを一元的に把握・管理しています。今後は、将来の事業を見据え、求められる能力を特定し、タレントマネジメントシステムのデータを利用することで、計画的な人材育成と最適な人材配置を行い、経営目標を達成します。

また、2021年度からは蓄積した情報を基にピープルアナリティクスを実践し、人事領域における施策の意思決定を加速化し、社員の成長を促す因子やエンゲージメントに寄与する因子の探索を行っています。

今後は、解析したデータを活用することで社員の成長を加速し、組織成果を最大化する人事施策の実現を目指した取組を進めていきます。

 

(オ)研究プロジェクト制導入による人材育成

当社は、革新的新薬の創出を加速するために研究プロジェクト制を導入しています。これは研究テーマを発案した熱意ある研究者を研究プロジェクトリーダーとして任命し、研究プロジェクトリーダーがチームメンバーとともに研究の前期から後期まで一貫して研究プロジェクトを中心的に推進するというものです。研究プロジェクトリーダーには年齢や経験を問わず、予算執行や人事評価の権限を与え、裁量権を持って研究プロジェクトをマネジメントすることで成果創出、人材育成に繋げています。これまでに研究プロジェクト制のもとで創出された8剤の臨床移行を達成し、現在も15以上の研究プロジェクトが進行中です。本制度開始以来、約30人の研究プロジェクトリーダーを輩出しています。

 

(カ)セルフ・キャリアドックの推進

当社では、社員のキャリア自律を支援するため、2021年1月からセルフ・キャリアドックの運用を開始しました。セルフ・キャリアドックでは、キャリアに関する情報提供のほか、自己の経験の棚卸やキャリアを考えるためのキャリアデザイン研修を実施しています。また、社員がいつでも自身のキャリアについて相談できるよう、社内のキャリアコンサルタント(国家資格保有者)がキャリア面談に対応しており、2022年度は約200件のキャリア相談がありました。今後もセルフ・キャリアドックを通じて、キャリアを学び、考え、相談できる環境を社員に提供し続けます。

 

(社内環境整備方針)

当社では、社員一人ひとりが持てる能力を十分に発揮することが理念の実現に不可欠であると捉えています。そのため、性別や国籍などの属性にとらわれることなく、能力を発揮したいと望むすべての人に活躍の機会を提供していくことが重要と考え、多様な人材の活躍を推進し、多様な働き方を選択できる制度を整えています。

 

当社での主な取り組みについて

(ア)挑戦する風土づくり

当社では、社員の主体性に基づいた仕事への挑戦を促すため、自己申告制度と公募による異動を導入しています。自己申告制度では、自己申告書に基づき、上司は部下一人ひとりとキャリア面談を実施し、社員の個別の状況やキャリア志向を把握することにより、長期的な育成計画を立案し、能力の向上を図っています。また、公募による異動については、自らの希望が公募で叶うことにより仕事への高いモチベーションの維持や意欲ある社員の異動による組織の活性化などの成果があがっています。

また、2022年4月に人事評価制度を見直し、特に勇気を持って挑戦をした人を評価できる仕組みとして、高い目標を掲げて挑戦する姿勢や挑戦するプロセスを評価軸として、各部門が支給対象者と支給額を決定できる部門賞与を従来の賞与に加えて導入しました。

 

(イ)多様な人材の活躍の推進

(女性活躍推進)

当社では、性別に関わらず活躍できる環境の整備を推進しています。女性のキャリアアップのための研修等を実施するとともに、女性の就労継続や育児休業からの早期復職を目的に育児短時間制度や認可外保育所利用補助、MR地域選択制度などを導入し、仕事と育児の両立支援をサポートしています。また、「女性は育児、男性は仕事」といった無意識の固定観念・無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)を解消し、性別に関わらず仕事と育児を両立させ、互いに助け合う風土を醸成することを目的に男性の育児休業の取得や男性の育児への参画を促進しています。育児休業の10日間有給化や男性社員に向けた育児休業説明会を開催するなどの取組を実施し、2022年度の男性の育児休業取得率は130.1%となりました。引き続き男女ともに育児休業取得率100%の継続を目指します。

また、2027年度までに女性管理職比率を20%以上(2023年4月1日時点:女性管理職比率14.4%)にすることを目標とし、女性リーダーの育成にも注力してまいります。将来的には、社員構成に占める男女割合と管理職に占める男女割合が同程度になることを一つの目安として考えています。

 

(性の多様性に関連する理解促進)

当社は、性的指向、性自認に関する差別的言動を行わないことをコンプライアンス行動基準に明記し、LGBTQなどの性の多様性に関連する理解促進をすすめています。全社員を対象とした研修やセミナーを開催するとともに、多様なセクシュアリティに関する相談窓口の設置や2020年4月からは社宅や慶弔などの各種制度で同性パートナーを配偶者と同等に扱う同性パートナーシップ制度を導入しています。

 

(障がい者の活躍推進)

当社では、障がいの特性に配慮しつつ、個人の能力を活かす人員配置を行うことを基本としており、様々な部門で障がいのある社員が活躍しています。また、精神障がい者の自立を支援するために設立した特例子会社「ココワーク」では、葉物野菜の太陽光型水耕栽培に取り組んでいます。2023年6月1日時点の障がい者雇用率は2.58%となっています。

 

(多様な働き方を選択できる制度の整備)

当社は、社員一人ひとりの自律・自立を前提とした多様な働き方を選択できる制度を整備しています。

 

2022年度改定・導入制度 事例;

・在宅勤務制度:月12回まで在宅勤務ができるように制度を改定し、出社または在宅勤務どちらかに偏るのではなく、両方のメリットを取り入れながらさらなる生産性向上を目指したハイブリッド勤務を進めています。

・時差出勤制度:1カ月単位で許可していた時差出勤を1日単位に変更するとともに始業時刻の繰り上げ・繰り下げを最長2時間まで拡大することで柔軟な勤務が可能な制度へ改定しました。

・みなし所定制度:固定の所定就業時間の適用を受ける社員が効率的に業務を終えた場合、上司の許可を得た上で給与の減額なしに終業時刻を待たずに退社できる制度を導入しました。この制度により、これまで以上に社員の仕事と生活の充実に繋がることを期待しています。

 

(ウ)健康経営

当社が理念を達成するためには、一人ひとりが心身ともに健康で、いきいきと仕事に取り組める職場づくりが大切です。また、社員自らが、自身とその家族の健康維持・増進に努めることで、仕事と仕事以外の生活の充実を図ることが重要であると考えています。

 

当社は、2017年10月に健康宣言“Health Innovation”を策定し、2021年8月には健康宣言の取組状況を見える化した健康白書を発刊、2022年12月には健康白書をリニューアルして公表しています。当社は、すべての社員とその家族の健康で豊かな生活の実現に組織一丸となって取り組んでおり、2023年3月には7年連続となる「健康経営優良法人2023(大規模法人部門(ホワイト500))」の認定を受けています。

詳細は、次のリンク先をご覧ください。

https://www.sumitomo-pharma.co.jp/sustainability/social/workplace_environment.html

 

 

イ.指標と目標

 「ア.戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いています。当該指標に関する目標と実績は、次のとおりです。

 

人的資本と多様性に関する目標及びKPI

指標

KPI目標値

実績値

関連取組

選抜型研修受講者数

毎年80名※

86人(2021年度)

人材育成方針(ア)

デジタル人材・データサイエンティスト数

2024年度までにシチズン・データサイエンティスト100名

54人
(2023年3月31日時点)

人材育成方針(ウ)

2027年度までにシチズン・デベロッパー150名

0人
(2023年3月31日時点)

キャリア・コンサルティング相談件数

毎年200件(※)

200件以上(2022年度)

人材育成方針(カ)

女性管理職比率

2027年度までに20%以上(※)

14.4%
(2023年4月1日時点)

社内環境整備方針(イ)

 

※ 住友ファーマ単体としてのKPI目標

 

 

(2)環境への取組

当社は、2021年11月にTCFD提言への賛同を表明し(※1)、気候変動に関するリスクと機会について、TCFD提言に沿った取り組みを進め、2022年4月に情報開示を行いました。2022年度は、取り組みの深化を図り、気候変動への備えを確かなものとすべく、開示情報に基づくステークホルダーとの対話を推進しました。今後もステークホルダーとの対話を大切にし、様々な視点から気候変動によるリスクと機会を見つめなおし、「緩和」と「適応」の両面から考えることで、より一層のリスク低減を図るとともに、的確に機会を捉えていきます。当社のマテリアルイシューの一つである「環境への取組の推進」には、気候変動対応の推進も含みます。当社は気候変動が当社事業に与える財務インパクトを意識し、リスク・機会への対応を経営戦略に反映します。

※1 次のリンク先をご覧ください。

https://www.sumitomo-pharma.co.jp/news/20211102.html

 

ア.ガバナンス

上記、「1.サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理」に記載した内容に加え、GHG(温室効果ガス)排出量削減のような当社グループまたは部門横断的な取組が必要な気候変動に関連する課題については、環境管理体制(※2)のもと、環境安全委員会において議論を行い、中長期環境目標(※3)に落とし込んでいます。また、中期経営計画に基づいて、GHG排出量削減に資する設備投資(カーボンニュートラル投資)等を計画的に実施しています。環境管理体制における気候変動への取組は、サステナビリティに関する取組の一つとして取締役会に報告され(年1回以上)、必要な場合、社内外専門家による説明機会を設けます。

※2 次のリンク先をご覧ください。

https://www.sumitomo-pharma.co.jp/sustainability/environment/environment.html

※3 次のリンク先をご覧ください。

https://www.sumitomo-pharma.co.jp/sustainability/environment/goals_performance.html

 

 

図1 気候変動リスク/機会の「ガバナンス」体制図


 

イ.戦略

当社は、気候変動によるリスクと機会について一次評価として影響度(※4)と可能性(※5)の2つの側面から評価し、その組み合わせによって、重要度のランクをⅠからⅤの5段階に分類しています(図2)。その際、「影響度」については対策の進捗度合いを考慮して評価しています。一次評価によってランクが「Ⅲ」以上となったリスクと機会については、2℃シナリオ(※6)および4℃シナリオ(※6)を参考に作成した当社の評価用シナリオ(2℃および4℃)(※7)を用いて、より詳細な二次評価を行い、二次評価によって特定された重要なリスクと機会については、できるだけ具体的な内容を想定して財務インパクトを推定し、対策を推進しています。なお、評価用シナリオは2023年度から1.5℃および4℃に更新します。

※4 影響度は、経済的影響、人身への影響、風評信用等、事業への影響のいずれかの観点で評価。

※5 可能性は、1年(短期)、3年(中期)、10年(長期)を時間軸として発生頻度で評価。

※6 IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)AR6<RCP2.6およびRCP8.5>、
IEA (International Energy Agency) World Energy Outlook 2021<APSおよびSTEPS>、
環境省等による各種予測値および周辺情報

※7 2℃シナリオは、「サステナビリティが重視され、脱化石燃料化に向けた法規制や技術開発が進んだ世界」を、4℃シナリオは、「利便性や効率性が重視され、水害などの気候関連リスクがより高まった世界」を想定。

 

 

図2 リスクマップ


 

表 <気候変動によるリスクと機会>

シナリオ

リスクの分類

リスクの内容

財務

インパクト

対策

2℃/
4℃

共通

物理的

リスク

急性

台風や豪雨に起因する洪水、浸水、土砂災害等によって、原材料や購入品の供給および当社製品の販売や供給が途絶する。

―(※8)

適応

・BCPの策定により、安定供給体制を強化する。

・製品在庫の適正化により、供給途絶を回避する。

・調達先の複数化により、安定調達に貢献する。

2℃

移行

リスク

政策・

法規制

炭素税の導入により、CO2排出量に応じた税負担が生じる。

約11億円/年
(※9)

緩和

2050年度目標(※3)の達成に向けた諸施策の実施

・長期目標の達成に向けて2030年度目標(※3)を強化する。

・計画的なカーボンニュートラル設備投資を継続する。

・省エネ対策を継続するとともに燃料転換を検討する。

市場

炭素税の導入により、調達や配送等の費用およびエネルギー関連費用が上昇する。

約59億円/年
(※10)

緩和

・GHG削減に向けて、サプライヤーを含むビジネスパートナーに働きかける。

・技術開発や業務効率化による省資源や省エネに継続的に取り組む。

 

 

シナリオ

機会の分類

機会の内容

財務
インパクト

対策

2℃/
4℃

共通

機会

資源
効率

水使用量の削減によってコスト削減できる。また、上水の供給過程や排水の処理過程で発生するGHGの削減や、取水源の保護による生態系維持等に間接的に寄与できる。

小(※11)

緩和

2030年度目標(※3)の達成に向けた諸施策の実施

・一部設備の蛇口への節水ノズル設置などを実施済み。今後も積極的に取り組みを進める。

 

※8 災害規模および影響を受ける品目により異なる。

※9 IEAによる2030年の先進国炭素価格仮定値約135USD/t-CO2(以下「炭素価格仮定値」)を採用し、2021年度のCO2排出量約62,000t(一部の連結子会社を含むScope1+2の排出量)(*1)に乗じて算出。なお、為替レートを130円/USDと仮定。

*1 集計対象は、次のリンク先をご覧ください。

https://www.sumitomo-pharma.co.jp/sustainability/environment/goals_performance.html
(「環境目標およびパフォーマンス」)

※10 炭素価格仮定値を採用し、2021年度のScope3カテゴリ1「購入した製品・サービス」およびカテゴリ4「輸送、配送(上流)」のCO2排出量約334,000t(*2)に乗じて算出。

 

*2 集計対象は、次のリンク先をご覧ください。

https://www.sumitomo-pharma.co.jp/sustainability/environment/global_warming.html
(「低炭素社会構築への貢献」)

※11 間接的な寄与についての試算が困難なため、定性的に記載。

 

ウ.リスクと機会の管理

(ア)気候変動リスクと機会を識別、評価するプロセスおよび総合的リスク管理への統合

当社は、気候変動によるリスクと機会を識別・評価するプロセスをリスクマネジメント推進体制による総合的リスク管理に統合しています。リスクマネジメント推進体制では、年度ごとに国内外のグループ会社を含めた全部門にリスクアセスメントを実施、その結果を集約して重要なリスクを特定しています。気候変動についても、このアセスメントでリスクと機会の抽出及び評価を行い、中長期的に当社に影響を与え得るリスクの一つと捉えています。ただし、気候変動によるリスクと機会については海外グループ会社のアセスメントが未実施のため、早期に展開を図りたいと考えています。

 

(イ)気候変動リスクと機会を管理するプロセス

気候変動リスクと機会については、リスクマネジメント推進体制と環境管理体制が連携して対策を立案、年度計画を立てて取り組み、進捗を毎年評価しています。例えば、物理的リスク「急性」に該当する自然災害(台風・豪雨・洪水)についてはリスクマネジメント推進体制が中心となってBCP(事業継続計画)の策定などを推進し、移行リスク「政策・法規制」に該当する炭素税の導入に備えたGHG排出量削減については環境管理体制が中心となって中長期環境目標を立案、目標管理を行っています。

 

エ.指標と目標

当社は、個々のリスクと機会について、上記の表<気候変動によるリスクと機会>に示した通り、「緩和」と「適応」の両面から考え、適切に対策を講じることを目指しています。移行リスク「政策・法規制」に該当する炭素税のリスクについては「緩和」の面から、定量目標を設定してGHG排出量の削減に取り組んでいます。Scope1+2については2022年度に目標を引き上げ、「2030年度までにGHG排出量(Scope1+2)を、2020年度比で42%削減する」としました(※12)。また、当社のGHG排出量の約90%を占めるScope3についても「2030年度までにGHG排出量(Scope3カテゴリ1(原材料調達))を、2020年度比で25%削減する」目標を設定しました(※13)。なお、2023年1月にSBTi(Science Based Targets initiative)にコミットし、これらのGHG排出削減目標がパリ協定の求める水準と整合する科学的に妥当な目標となるよう、鋭意取り組んでいます。一方、物理的リスク「急性」に該当する自然災害(台風・豪雨・洪水)については「適応」の側面から、BCPの策定(※14)、製品在庫の適正化、調達先の複数化を推進し、一部は完了しています。また、BCPについては年1回の訓練を通じて課題抽出・改善を行って、実効性を高める取組を実施しています。機会については、中長期目標に沿った水使用量の削減(※15)に継続して取り組むとともに、当社の研究領域の一つである感染症領域への気候変動による影響を引き続き注視していきます。

※12,13 GHG削減目標の進捗およびScope3排出量については、次のリンク先をご覧ください。

https://www.sumitomo-pharma.co.jp/sustainability/environment/global_warming.html
(「低炭素社会構築への貢献」)

※14 BCPの策定等については、次のリンク先をご覧ください。

https://www.sumitomo-pharma.co.jp/sustainability/corporate_governance/risk_management.html
(「リスクマネジメント」)

※15 水使用量削減目標の進捗については、次のリンク先をご覧ください。

https://www.sumitomo-pharma.co.jp/sustainability/environment/resource_saving.html
(「省資源の取組」)

 

 

図3 GHG削減のロードマップ


 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)に重要な影響を及ぼす可能性のある主なリスクには以下のようなものがあります。当社は、これらのリスクが発生する可能性を認識した上で、発生の防止または最小化に努めるとともに、発生した場合の的確な対応に努めていく方針です。

 

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。また、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見できない又は重要と見なされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。

 

(1) 新製品の研究開発に関わるリスク

当社グループは、独創性の高い国際的に通用する有用な新製品の開発に取り組んでいます。しかしながら、新薬開発の難度が高まる中、開発が必ずしも計画どおりに進み承認・発売に至るとは限らず、有効性や安全性の観点から開発が遅延し、または開発を中止しなければならない事態も起こり得ます。大型化を期待している研究開発品目においてそのような事態が発生した場合には、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

当社グループでは研究開発リスクも踏まえつつ、精神神経領域、がん領域を重点疾患領域として医薬品、再生医療等製品、医療ソリューション等の研究開発に注力し、当該領域におけるパイプラインの充実化を進めています。また、戦略的な計画の策定、効率的な研究開発をグローバルで連携して推進しています。当社では、開発ステージの移行時期にあわせて計画修正の是非等を確認する会議体などを通じて適宜研究開発方針を見直し、適切にポートフォリオを管理しています。

 

(2) 連結売上収益に関するリスク

当社グループの収益の柱である、「ラツーダ」(ルラシドン塩酸塩)の当連結会計年度の北米での売上収益は、当社連結売上収益の36%を占めています。「ラツーダ」の米国での独占販売期間が2023年2月に終了したことにより、後発医薬品メーカーによる「ラツーダ」の競合品が発売され、2023年度の売上収益が大幅に減少する見込みです。このように、特定製品の売上収益の減少が、当社グループの経営成績や財政状態に重要な影響を及ぼすことがあります。

また、当社グループでは、「オルゴビクス」、「マイフェンブリー」および「ジェムテサ」(以下「基幹3製品」)の価値最大化を中心とした持続的な成長を支える収益基盤の確立ならびに自社起源のイノベーションを事業として結実させるための研究開発に取り組んでいますが、基幹3製品をはじめとする製品と同領域の他社製品との競合や市場の動向等により、将来に期待されていた当該製品の売上収益が実現できない場合、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 知的財産権に関わるリスク

当社グループは研究開発において種々の知的財産権を保有していますが、当社グループの技術を十分な範囲で権利化できない場合、競合他社が当社グループの知的財産権を回避した場合、または当社が厳格に管理しているノウハウなどの営業秘密が予期せぬ事態により外部に流出した場合には、競争上の優位性を確保できない可能性があります。また、当社グループの事業は多くの知的財産権によって保護されていますが、保有する知的財産権が第三者に侵害された場合のほか、知的財産権の有効性や帰属を巡る係争が発生した場合には、競争上の優位性を十分に保持できない可能性があります。これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。他方、当社グループは、事業活動に必要な知的財産権について適法に使用する権限を有していると認識していますが、当該認識の範囲外で第三者の知的財産権を侵害する可能性があります。

 

当社グループでは、主となる物質特許のみならず、用途、製法、製剤などの関連特許を含めたパテントポートフォリオを構築し、製品および開発品の総合的な保護を図っています。また、再生・細胞医薬分野の事業化を推進するため、同分野における当社グループの技術を権利化するにあたっての課題を検討し、権利化のための方策を講じています。

 

(4) 医療制度改革について

国内においては、少子高齢化の急速な進展等により国家財政が悪化する中、先発医薬品の価格抑制や毎年の薬価改定などの薬剤費抑制策が図られ、あわせて医療制度改革の論議も続けられています。また、米国においては、インフレーションが進む中でブランド薬の適正な価格の維持、負担について議論が進められています。さらに、中国においては国家医薬品償還リスト収載による価格引き下げや集中購買制度による安価な後発医薬品の使用が推進されています。これら各国の医療制度改革の方向性によっては当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 副作用に関わるリスク

医薬品は開発段階において十分に安全性の試験を実施し、世界各国の所轄官庁の厳しい審査を受けて承認されていますが、市販後に新たな副作用が見つかることも少なくありません。当社グループが販売する医薬品について市販後に予期せぬ副作用が発生した場合は、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、国内外で収集された安全性情報をデータベースで一元管理して評価し、医薬品の安全性確保および適正使用のために必要な対策を立案し、タイムリーな安全対策の実施につなげています。このような活動は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」や「医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の製造販売後安全管理の基準に関する省令」を遵守した医薬品安全性監視活動として実践しています。

 

(6) 品質に関わるリスク

当社グループは、厳格な品質保証の自社もしくは委託先の製造所で製品の製造を行っていますが、重大な品質問題が発生した場合には、製品回収、行政処分、社会的信用の毀損等により、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社製品のグローバルな製造及び流通については、関係各国の薬事法、医薬品等の製造管理及び品質管理の基準(GMP)等の薬事関連法規や、医薬品規制調和国際会議(ICH)ガイドライン等に準拠すると共に、厚生労働省所管の独立行政法人である独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)、米国食品医薬品局(FDA)等の所管当局の厳しい査察を受け、許可を得ています。また、これら製造所に対しては当社グループにて定期的な監査を行い、重大な品質問題や法令違反がないことを確認しています。さらにグローバル品の製造所に対しては海外提携企業からの監査も受けており、グローバルレベルの厳しい品質基準もクリアする高い設備設計水準や品質保証体制を整えています。

 

(7) 主要な事業活動の前提となる事項について

当社グループの主な事業は医療用医薬品事業であり、国内においては、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」等の薬事に関する法令に基づき、その研究開発および製造販売等を行うにあたり、「第一種医薬品製造販売業」、「第二種医薬品製造販売業」(いずれも有効期間5年)等の許可等を取得しています。また、海外においても医療用医薬品事業を行うにあたっては、当該国の薬事関連法規等の規制を受け、必要に応じて許可等を取得しています。これらの許可等については、各法令で定める手続きを適切に実施しなければ効力を失います。また各法令に違反した場合、許可等の取消し、または期間を定めてその業務の全部もしくは一部の停止等を命ぜられることがある旨が定められています。当社グループは、現時点において、許可等の取消し等の事由となる事実はないものと認識していますが、将来、当該許可等の取消し等を命ぜられた場合には、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

当社グループは、コンプライアンスの推進を全ての事業活動の土台と位置付け、法令および企業倫理の遵守に努めています。当社では、「コンプライアンス行動基準」を制定し、事業活動における具体的な行動の規範としています。また、当社および国内外におけるグループ会社のコンプライアンスに関する事項を統括するコンプライアンス担当執行役員を設置しています。コンプライアンス担当執行役員は、当社のコンプライアンス委員会に加えて、国内グループ会社コンプライアンス委員会および海外グループ会社コンプライアンス委員会の委員長を務めるとともに、各委員会の活動状況を取締役会に報告しています。

 

 

(8) 訴訟に関わるリスク

当社グループの事業活動に関連して、医薬品の副作用、製造物責任、公正取引等に関連し、訴訟を提起される可能性があります。これらの訴訟およびその他の訴訟には性質上不確実性があり、その動向によっては、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) サプライチェーンマネジメントに関するリスク

当社グループの工場や原材料調達先、外部製造委託先などのサプライヤーが、品質や技術上の問題、火災、地震、その他の災害、感染症拡大等により閉鎖または操業停止となり、製品の供給が遅滞もしくは休止した場合、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、予測を超える急激な需要変動が生じた場合、製品の安定供給に支障をきたす可能性があります。当社では、事業継続計画(BCP)の定期的な見直し及び教育訓練の実施、製品在庫の適正化、原材料調達先の複数化、サプライヤーとの連携強化など、医薬品の安定供給体制を整備し、サプライチェーン全体でリスクの低減を図っています。また、サプライヤーにも「住友ファーマ ビジネスパートナーのためのサステナブル行動指針」の遵守をお願いすることで、当社グループと同様の人権尊重への取組を求めています。

 

(10) 非金融資産の減損損失リスク

当社グループは、持続的成長のために、企業買収や開発品の導入等を行っていますが、これに伴い、のれんや仕掛研究開発等の無形資産を計上しています。開発の中止や当初想定した利益の実現が見込めないこと等による期待する将来利益の低下、金利動向による割引率の上昇等により、買収および導入等から見込まれる回収可能価額が、のれんや無形資産の帳簿価額を下回ると想定される場合、減損損失が発生し、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、定期的にこれらのれんや無形資産の減損テストを通じて評価額を把握し、適切に処理しています。

 

(11) 金融資産に関わるリスク

当社グループは、他社株式等の金融資産を保有しています。これら保有する金融資産の市場価額または公正価値が帳簿価額を下回った場合、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社は、企業提携、重要な取引先との取引関係の構築・維持その他事業上の必要性のある場合を除き、新たに他社の株式を保有しないこととしています。また、定期的にこれらの金融資産の評価額変動の把握および必要な処理を行っています。

 

(12) 金融市況および為替変動による影響について

金利動向によっては借入金等の支払利息が増加するほか、金融市況の悪化によっては退職給付制度債務が増加するなど、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、為替相場の変動によっては、外貨建て金融資産および連結子会社業績等の円換算において、重要な影響を受ける可能性があります。当社グループでは、為替リスクを回避する目的で必要に応じて為替予約を行っています。

 

(13) 資金調達に関するリスク

当社は、過去の企業買収などに関連して、金融機関からの借り入れや社債などにより資金を調達しています。これらの債務の中には、制限条項が付されているものもあり、当該制限条項に抵触した場合には、期限の利益の喪失等により当社の財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

また、将来、当社の財務状況の悪化による信用格付けの引き下げや、世界的な経済状況の変化により、資金調達が計画どおりに実施できない場合、当社グループの経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(14) 親会社との取引について

当社と親会社である住友化学株式会社との間で、研究所および工場の土地賃借、これらの事業所等で使用する用役や主に原薬を製造する際に使用する原料の購入契約を締結しています。当該契約等は、一般的な市場価格を参考に双方協議のうえ合理的に価格が決定され、当事者からの申し出がない限り1年ごとに自動更新されるものです。このほか、親会社から出向者の受入を行っており、また、資金効率向上等の観点から親会社への短期貸付を実施しています。今後も当該取引等を継続していく方針ですが、同社との契約・取引内容等に変化が生じた場合には、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社が親会社と行う重要な取引等については、当社の企業価値の向上の観点からその公正性および合理性を確保するために、独立社外取締役が出席する取締役会において承認を得ることとするなど、重要性に応じて適切に監督しています。

 

(15) 海外事業展開、大規模災害・感染症等に関するリスク

当社グループは、北米、中国、東南アジアを中心にグローバルな事業活動を展開していますが、各国の規制・制度変更や外交関係の悪化、政情不安、紛争等のリスクが内在しており、このようなリスクに直面した場合、当社グループの事業計画が達成できず、経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、大規模災害や感染症の大流行に直面した場合、当社グループの事業計画が達成できず、経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社では、事業活動に影響を及ぼすリスクに対応するため「リスクマネジメント規則」を制定し、社長がリスクマネジメントを統括することを明確にするとともに、リスクごとにマネジメントを推進する体制を整備しています。大規模災害発生・感染症の大流行に際しては、直ちに対策本部を設置して全社的な対応体制を構築するとともに、医薬品企業の使命として製品供給を第一に考え、生産・供給体制を整備いたします。

 

(16) 情報管理に関するリスク

当社グループは、各種情報システムを使用しているため、システムの障害やコンピューターウィルス等により、業務が阻害される可能性があります。また、個人情報を含め多くの機密情報を保有していますが、これらが社外に漏洩した場合には、損害賠償、行政処分、社会的信用の毀損等により、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。さらに、サイバー攻撃により、当社グループまたはビジネスパートナーのシステムやネットワークに障害が発生し、または当社グループの機密情報が漏洩した場合は、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、記録・情報の取扱いおよびITセキュリティに関するルールを定め、継続的に社員教育を実施し、適切な運用に努めています。また、サイバー攻撃への対策として、Computer Security Incident Response Team(CSIRT)を設置し、外部からの不正アクセスを常時監視するとともに、有事の際に迅速かつ適切に対処する体制を整備しています。

 

(17) 環境保全に関するリスク

当社グループは、研究開発および製品製造のために種々の化学物質を使用しており、重大な環境問題が発生した場合には、操業停止、行政処分、社会的信用の毀損等により、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、将来の環境関連法規制等の強化、環境負荷低減の追加的な義務等による環境保全に関連する費用が増加した場合、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。更には、地球規模の課題である気候変動およびそれに関連する水リスクに関して、大型台風や集中豪雨等の自然災害の増加が国内外事業所および調達先での操業に影響した場合や炭素税導入などの規制強化によって原材料・用役コストが増加した場合にも、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

当社グループは、種々の環境関連法規制等を遵守して事業活動を行っており、国内工場および蘇州工場(中国)では環境マネジメントシステムに関する国際規格であるISO14001認証を取得しています。また、グリーン製品開発、グリーン設備設計およびグリーン物流ガイドラインを運用し、製品のライフサイクルを通じた環境保全の取り組みを継続しています。

当社は、2021年11月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD;Task Force on Climate-Related Financial Disclosures)への賛同を表明し、気候変動に関するリスクと機会について、TCFD提言に沿った取り組みを進め、2022年4月に情報開示を行いました。今後もステークホルダーとの対話を大切にし、様々な視点から気候変動によるリスクと機会を見つめなおし、「緩和」と「適応」の両面から考えることで、より一層のリスク低減を図るとともに、的確に機会をとらえていきます。

 

なお、上記以外にもさまざまなリスクがあり、ここに記載されたものが当社グループのすべてのリスクではありません。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

また、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。

 

(1) 重要な会計方針および見積り

 当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しています。
 連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しています。
 連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っていますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるために、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの財政状態又は経営成績等に重要な影響を及ぼす会計上の見積りおよび判断は、以下のとおりです。

 

・のれん及び無形資産

のれん及び無形資産の減損テストにおける処分コスト控除後の公正価値は、将来キャッシュ・フローの見積額を資金生成単位ごとに設定した加重平均資本コスト等を割引率として用いて現在価値に割り引いて算定しています。将来キャッシュ・フローの見積りには、対象となる無形資産に関する開発品の上市時期、研究開発活動の成功確率、製品及び開発品の収益の予測、及び固定費の予測等の多くの前提条件が含まれていますが、これらの前提条件や割引率は、将来発生する事象によっては影響を受ける可能性があり、翌期の連結財務諸表において、のれん及び無形資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。

 

・引当金

引当金は、期末日における将来の債務の決済時期及び決済に必要と予想されるキャッシュ・フロー等に関する最善の見積りに基づいて算定しています。特に、米国で販売している製品に適用される売上割戻引当金の見積りに用いられる将来の販売数量や割戻率等は、将来発生する事象によっては影響を受ける可能性があります。

 

・繰延税金資産の回収可能性

繰延税金資産は、将来減算一時差異等を利用できる将来課税所得が生じる可能性が高い範囲内で認識しています。当該回収可能性の判断は、当社グループの事業計画に基づいて見積もった将来の各事業年度の課税所得を前提としています。当該将来の課税所得の見積りは、将来発生する事象によっては影響を受ける可能性があり、翌期の連結財務諸表において、繰延税金資産の金額に重要な影響を生じさせる可能性があります。

 

 

(2) 経営成績

当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルス感染症による影響が緩和され、欧米を中心に景気の持ち直しが継続しましたが、ウクライナ情勢その他の地政学的リスクの高まり、エネルギー価格の高騰等による世界的な物価上昇の進行、金融引締めの進展などにより、不確実性が高まっています。わが国経済についても、不安定な為替動向や物価上昇などの影響を受けるなか、緩やかな持ち直しの動きが見られましたが、経済活動の本格的な正常化には至っていない状況です。

医薬品業界では、各国において薬剤費抑制策が一段と進むなど、依然として厳しい環境が続いています。

このような状況のもと、当社グループは、2018年度を起点とする5か年の「中期経営計画2022」の最終年度として、「成長エンジンの確立」と「柔軟で効率的な組織基盤づくり」を推進することにより、経営基盤の再構築に取り組んでまいりました。一方、今後の成長を目指す製品や開発品に注力すべく選択と集中を進めてまいりましたが、一部品目の事業予想や開発計画を見直した結果、特許権や仕掛研究開発などの無形資産において、減損損失を計上することとなりました。

日本においては、糖尿病領域では、2型糖尿病治療剤「トルリシティ」の販売提携が2022年12月に終了しましたが、2022年9月に処方日数制限解除となった「ツイミーグ」ならびに「エクア」および「エクメット」の販売に引き続き注力しました。精神神経領域では、パーキンソン病治療剤「トレリーフ」ならびに「ラツーダ」および「ロナセンテープ」を中心に情報提供活動に取り組みました。また、フロンティア事業では、株式会社メルティンMMIと共同開発した「MELTz 手指運動リハビリテーションシステム」の販売を開始しました。

北米においては、Sunovion Pharmaceuticals Inc.(以下「Sunovion 社」)は、「ラツーダ」の米国での独占販売期間が2023年2月に終了したことに加え、パーキンソン病のオフ症状治療剤「キンモビ」の販売中止の決定により、事業規模が大幅に縮小することとなりました。

Sumitovant Biopharma Ltd.(以下「Sumitovant 社」)においては、傘下の子会社が、「オルゴビクス」の販売拡大に注力するとともに、「マイフェンブリー」について、米国において、2022年8月に子宮内膜症に対する適応追加承認を取得しました。また、「ジェムテサ」の販売拡大に注力しました。なお、Sumitovant 社は、2023年3月にMyovant Sciences Ltd.(以下「Myovant 社」)を完全子会社化しました。

 

また、「ラツーダ」の米国での独占販売期間終了後の持続的成長に向けた取組の一環として、北米において分散していた機能と人材を集約し、より強固な事業基盤を構築する目的で、2023年7月に、米国グループ会社7法人をSunovion 社を存続会社として合併させることにより1つの事業会社に再編することを予定しており、当該再編に向けた準備を進めました。

中国においては、住友制葯(蘇州)有限公司が、主力製品である「メロペン」の販売に引き続き注力しました。

その他の事業においては、住友ファーマフード&ケミカル株式会社の全株式を株式会社メディパルホールディングスに譲渡するための手続が2023年3月に完了しました。また、住友ファーマアニマルヘルス株式会社の全株式を三井物産株式会社に譲渡するための契約を2022年12月に締結しました。

 

 

 (業績管理指標として「コア営業利益」を採用)

当社グループでは、IFRSの適用にあたり、会社の経常的な収益性を示す利益指標として、「コア営業利益」を設定し、これを当社独自の業績管理指標として採用しています。

「コア営業利益」は、営業利益から当社グループが定める非経常的な要因による損益(以下「非経常項目」)を除外したものとなります。非経常項目として除かれる主なものは、減損損失、事業構造改善費用、企業買収に係る条件付対価公正価値の変動額などです。

 

当連結会計年度の当社グループの連結業績は、以下のとおりです。

(単位:億円)

 

前連結会計年度

(2022年3月期)

当連結会計年度

(2023年3月期)

増減

増減率

(%)

売上収益

5,600

5,555

△45

△0.8

コア営業利益

585

164

△421

△72.0

営業利益

602

△770

△1,372

税引前当期利益

830

△479

△1,309

当期利益

406

△967

△1,373

親会社の所有者に

帰属する当期利益

564

△745

△1,309

 

 

売上収益は、5,555億円(前連結会計年度比0.8%減)となりました。

北米、中国、海外その他の各セグメントは、為替換算の影響等により増収となりましたが、前連結会計年度におけるファブリー病治療剤「リプレガル」の販売移管および当連結会計年度における「トルリシティ」の販売提携終了や薬価改定の影響を受けた日本セグメントの減収が大きく、売上収益の合計では減収となりました。

 

コア営業利益は、164億円(前連結会計年度比72.0%減)となりました。

住友ファーマフード&ケミカル株式会社の株式譲渡、米国食品医薬品局(FDA)からの優先審査バウチャーの売却や慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療剤「ブロバナ」および喘息治療剤「ゾペネックスHFA」の販売権譲渡等に伴うその他の収益の計上がありましたが、売上総利益の減少に加え、為替換算の影響等による販売費及び一般管理費や研究開発費の増加が大きく、コア営業利益は減益となりました。

※優先審査バウチャー:希少疾患等の開発困難な品目の承認取得企業に対し、当局から付与される他の品目における優先審査権

 

■ 営業損益は、770億円の損失(前連結会計年度比1,372億円の減益)となりました。

「キンモビ」の収益予測を見直したことにより、本製品に係る特許権(無形資産)を全額減損(554億円)しました。また、がん領域における開発品目dubermatinib(開発コード:TP-0903)の開発を中止したことにより、本開発品に係る仕掛研究開発(無形資産)を全額減損(206億円)するとともに、がん領域に係るのれんの一部についても減損(35億円)するなど、総額882億円の減損損失を計上しました。これに加えて、北米グループ会社における事業構造改善費用を計上したことにより、営業損失となりました。

 

■ 税引前当期損益は、479億円の損失(前連結会計年度比1,309億円の減益となりました。

期末日の円安による為替差益の計上等により、金融収益から金融費用を差し引いた金融損益は増益となりましたが、営業損益の減益の影響が大きく、税引前当期損失となりました。

 

■ 当期損益は、967億円の損失(前連結会計年度比1,373億円の減益)となりました。

税引前当期損益が減益となったことにより、当期損益も減益となりました。

 

■ 親会社の所有者に帰属する当期損益は、745億円の損失(前連結会計年度比1,309億円の減益)となりました。

当期損益の減益の影響が大きく、非支配持分に帰属する損失を控除した親会社の所有者に帰属する当期損益も減益となりました。

 

 

 (セグメント業績指標として「コアセグメント利益」を採用)

セグメント別の業績では、各セグメントの経常的な収益性を示す利益指標として、「コアセグメント利益」を設定し、当社独自のセグメント業績指標として採用しています。

「コアセグメント利益」は、「コア営業利益」から、グローバルに管理しているため各セグメントに配分できない研究開発費、事業譲渡損益などを除外したセグメント別の利益となります。

 

セグメント別の経営成績は次のとおりです。

<日本>

売上収益は、1,261億円(前連結会計年度比15.9%減)となりました。

「ラツーダ」や「ツイミーグ」など、市場浸透により売上が伸長している製品があるものの、「リプレガル」の販売移管および「トルリシティ」の販売提携終了や薬価改定の影響などにより、減収となりました。

コアセグメント利益は、91億円(前連結会計年度比53.8%減)となりました。

減収による売上総利益の減少により、減益となりました。

 

<北米>

売上収益は、3,285億円(前連結会計年度比2.7%増)となりました。

前連結会計年度は、精神神経領域における大塚製薬株式会社との共同開発・販売提携に伴う契約一時金の収益計上がありましたが、当連結会計年度は、「ラツーダ」の米国での独占販売期間終了の影響を受けるなか、為替換算の影響に加え、「オルゴビクス」や「ジェムテサ」などのSumitovant 社グループ製品の売上伸長により、増収となりました。

コアセグメント利益は、322億円(前連結会計年度比69.4%減)となりました。

売上総利益の減益に加え、Sumitovant 社グループの費用の増加や為替換算の影響により販売費及び一般管理費が増加したため、大幅な減益となりました。

 

<中国>

売上収益は、394億円(前連結会計年度比2.9%増)となりました。

薬剤費抑制策の影響を受けた「メロペン」の売上は減少しましたが、為替換算の影響等により、増収となりました。

コアセグメント利益は、195億円(前連結会計年度比0.2%減)となりました。

販売費及び一般管理費の増加が売上総利益の増加を上回り、わずかに減益となりました。

 

<海外その他>

売上収益は、168億円(前連結会計年度比37.6%増)となりました。

選択的オレキシン2受容体作動薬(開発コード:DSP-0187)のライセンス契約の対価として受領した契約一時金を収益認識した影響が大きく、増収となりました。

コアセグメント利益は、100億円(前連結会計年度比206.9%増)となりました。

増収による売上総利益の増加により、増益となりました。

 

上記報告セグメントのほか、当社グループは、食品素材・食品添加物および化学製品材料、動物用医薬品などの販売を行っており、これらの売上収益は448億円(前連結会計年度比12.5%増)、コアセグメント利益は24億円(前連結会計年度比32.2%減)となりました。

 

 

(3) 生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

日本

70,320

△9.8

北米

249,739

19.5

中国

38,203

0.9

海外その他

6,910

△23.7

その他

34

13.3

合計

365,206

9.3

 

(注) 1 金額は販売価格により換算したものです。

2 セグメント間取引については相殺消去しています。

 

② 仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

日本

47,195

△15.0

北米

8,442

2.0

中国

海外その他

その他

38,849

24.6

合計

94,486

△0.5

 

(注) 金額は仕入価格によっています。

 

③ 受注状況

当社グループの生産は見込生産で、受注生産は行っていません。

 

④ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

日本

126,106

△15.9

北米

328,467

2.7

中国

39,397

2.9

海外その他

16,752

37.6

その他

44,822

12.5

合計

555,544

△0.8

 

(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しています。

2 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりです。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

マッケソン社(米国)

91,340

16.3

101,891

18.3

カーディナル社(米国)

85,425

15.3

97,085

17.5

アメリソースバーゲン社(米国)

73,745

13.2

86,375

15.5

 

 

(4) 財政状態

資産については、前連結会計年度末に比べ1,733億円減少し、1兆1,347億円となりました。

非流動資産では、当社が保有する投資有価証券の公正価値評価の変動により、その他の金融資産が増加したことに加え、為替換算の影響によりのれんが増加しましたが、減損損失の計上による無形資産の減少が大きく、前連結会計年度末に比べ556億円減少しました。

Myovant 社の完全子会社化(以下「本完全子会社化」)の対価の総額は、約17億米ドルであり、これに係る資金については、手元資金およびブリッジローン(短期借入金)により、まかないました。これにより、流動資産では、現金及び現金同等物が減少したほか、営業債権及びその他の債権が減少した結果、前連結会計年度末に比べ1,177億円減少しました。

負債については、短期借入金が増加したことに加え、未払法人所得税や繰延税金負債が増加した結果、前連結会計年度末に比べ935億円増加し、7,280億円となりました。なお、社債及び借入金は合計で3,347億円となり、前連結会計年度末に比べ657億円増加しました。

親会社の所有者に帰属する持分は、その他の資本の構成要素は増加しましたが、利益剰余金が親会社の所有者に帰属する当期損失の計上と本完全子会社化により大きく減少するとともに、資本剰余金も同じく本完全子会社化により減少したため、前連結会計年度末に比べ2,011億円減少し、4,067億円となりました。また、非支配持分は、本完全子会社化により前連結会計年度末に比べ656億円減少しました。

これらの結果、資本合計は前連結会計年度末に比べ2,668億円減少し、4,068億円となり、当連結会計年度末の親会社所有者帰属持分比率は35.8%となりました。

また、連結子会社である住友ファーマアニマルヘルス株式会社の株式譲渡契約が第3四半期に締結されたことに伴い、関連する資産については売却目的で保有する資産、負債については売却目的で保有する資産に直接関連する負債、資本については売却目的で保有する資産に関連するその他の包括利益にそれぞれ分類しています。

なお、同じく第3四半期に株式譲渡契約が締結されていた連結子会社である住友ファーマフード&ケミカル株式会社の株式譲渡については、2023年3月31日付けで手続きが完了しました。

 

(5) キャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期利益は減少しましたが、減損損失などの非資金損益項目の増加に加え、営業債権及びその他の債権の減少や法人所得税の支払額の減少などにより、119億円の収入となりましたが、前連結会計年度に比べ、収入は193億円減少しました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、住友ファーマフード&ケミカル株式会社の株式売却による子会社の支配喪失による増加に加え、投資の取得による支出の減少および無形資産の売却による収入などにより、前連結会計年度に比べ707億円収入が増加し、524億円の収入となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、Myovant 社株式の取得による非支配持分からの子会社持分取得による支出の影響が大きく、前連結会計年度に比べ1,254億円支出が増加し、1,468億円の支出となりました。

上記のキャッシュ・フローに、現金及び現金同等物に係る換算差額を加え、売却目的で保有する資産への振替額を差し引いた結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は1,435億円となり、前連結会計年度末に比べ595億円減少しました。

 

当社グループの資本の財源および資金の流動性は、以下のとおりです。

当社グループは、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、銀行借入などにより必要資金を調達し、研究開発活動などを行っています。

当社グループの財務活動の方針は、自己資金に加えて、必要に応じて借入によるレバレッジの活用などにより必要資金を確保することです。

現金及び現金同等物に短期貸付金等を加えた運用資金は1,580億円であり、流動比率(流動資産/流動負債)は102.5%です。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) 技術導入

契約会社名

相手先

国名

技術の内容

対価の支払

契約期間

住友ファーマ㈱
(当社)

Servier社

フランス

グリクラジドに関する技術

契約一時金
一定料率のロイヤルティ

1974.3~1999.5
以後1年間ずつ自動更新

住友ファーマ㈱
(当社)

Almirall社

スペイン

エバスチンに関する技術

一定料率のロイヤルティ

1988.1~2012.12
以後5年間ずつ自動更新

住友ファーマ㈱
(当社)

Teva社

イスラエル

エチドロン酸 二ナトリウムに関する技術

一定料率のロイヤルティ

1989.1~2000.12
以後自動更新

住友ファーマ㈱
(当社)

Gilead社

アメリカ

アムホテリシンBに関する技術

契約一時金
一定料率のロイヤルティ

1996.9~
発売から10年間又は特許満了日の長い方
以後1年間ずつ自動延長

住友ファーマ㈱
(当社)

Merck Sante社

フランス

グルコファージに関する技術

契約一時金

2003.3~
当社が当該製品の販売を継続する限り有効

住友ファーマ㈱
(当社)

Novo Nordisk社

デンマーク

レパグリニドに関する技術

契約一時金

2004.3~
発売から25年間又は当社が商標の使用を中止するまでの短い方。ただし契約満了後も当社は販売継続できる

住友ファーマ㈱
(当社)

ブリストル・マイヤーズ スクイブ㈱

日本

イルベサルタンに関する技術

契約一時金
一定料率のロイヤルティ

2006.7~
発売から15年間又は特許満了日の長い方

住友ファーマ㈱
(当社)

PTC Therapeutics社

アメリカ

EPI-589に関する技術

契約一時金
一定料率のロイヤルティ

2013.3~
発売から10年間又は独占期間のどちらか長い方
協議により延長可能

住友ファーマ㈱
(当社)

Poxel社

フランス

イメグリミンに関する技術

契約一時金
一定料率のロイヤルティ

2017.10~

国毎に、発売から10年間又は特許満了日の長い方

Sunovion Pharmaceuticals Inc.

Bial-Portela & Ca社

ポルトガル

エスリカルバゼピンに関する技術

契約一時金

2007.12~
国毎に、発売から10年間、特許満了日、データ独占期間のうちいずれか長い方

Sunovion CNS
Development Canada ULC

Aquestive社

アメリカ

APL-130277に関する製剤技術

契約一時金
一定料率のロイヤルティ

2016.4~2024.12
以後契約会社が終結を通知するまで

Sumitomo Pharma
Oncology, Inc.

Sanofi社

フランス

アルボシジブに関する技術

契約一時金
一定料率のロイヤルティ

2013.4~
ロイヤルティ支払期間満了まで

Myovant Sciences GmbH

武田薬品工業㈱

日本

レルゴリクス及びMVT-602に関する技術

Myovant 社株式

一定料率のロイヤルティ

2016.4~

ロイヤルティ支払期間満了まで

Urovant Sciences GmbH

Merck社

アメリカ

ビベグロンに関する技術

契約一時金

一定料率のロイヤルティ

2017.3~

特許満了日まで

 

 

(2) 技術導出

 

契約会社名

相手先

国名

技術の内容

対価の受取

契約期間

住友ファーマ㈱
(当社)

Mercury Pharma Group社

英国

ゾニサミドに関する技術

契約一時金

1997.10~2024.12 

以後2年間ずつ自動更新

Myovant Sciences GmbH

Gedeon Richter社

ハンガリー

レルゴリクスに関する技術

契約一時金

一定料率のロイヤルティ

2020.3~

相手方と合意した期間の満了まで

住友ファーマ㈱
(当社)

Jazz Pharmaceuticals社

アイルランド

DSP-0187に関する技術

契約一時金

一定料率のロイヤルティ

2022.4~

製品毎、国毎に、発売から10年間、特許満了日、又はレギュラトリー独占期間のいずれか長い方

Myovant Sciences GmbH

Accord Healthcare社

英国

レルゴリクスに関する技術

契約一時金

一定料率のロイヤルティ

2022.5~

相手方と合意した期間の満了まで

Urovant Sciences GmbH

Pierre Fabre社

フランス

ビベグロンに関する技術

契約一時金

一定料率のロイヤルティ

2022.7~

国毎に、発売から15年間、特許満了日、又はデータ独占期間のいずれか長い方

 

 

(3) 販売契約等

 

契約会社名

相手先

国名

契約内容

契約期間

住友ファーマ㈱
(当社)

ヤンセン
ファーマ㈱

日本

ハロマンスに関する販売提携

2002.7~
当社が終結を通知するまで

住友ファーマ㈱
(当社)

マイランEPD(同)

日本

リズミックに関する販売提携

2002.12~2012.11
以後1年間ずつ自動更新

住友ファーマ㈱
(当社)

鳥居薬品㈱

日本

レミッチに関するプロモーション提携

2015.3~

特許満了日まで

住友ファーマ㈱
(当社)

ヴィアトリス製薬㈱

日本

イフェクサーに関するプロモーション提携

2018.3~

相手方と合意した期間の満了まで

住友ファーマ㈱
(当社)

ノバルティスファーマ㈱

日本

エクア、エクメットに関するプロモーション及び販売提携

2019.5~

相手方と合意した期間の満了まで

Myovant Sciences GmbH

Pfizer社

アメリカ

がん領域および婦人科領域におけるアメリカおよびカナダでのレルゴリクスの共同開発および共同販売

2020.12~

開発および販売の双方が終了するまで

Sunovion Pharmaceuticals Inc.

大塚製薬㈱

日本

精神神経領域における全世界を対象としたSEP-363856、SEP-4199、
SEP-378614、SEP-380135の共同開発および販売に関するライセンス契約

2021.9.30~

製品毎、国毎に、テリトリー内での販売終結まで

住友ファーマ㈱
(当社)

 

 

(4) Myovant 社の完全子会社化に関する契約

当社、Sumitovant 社およびMyovant 社の3社は、Sumitovant 社によるMyovant 社の完全子会社化に関する契約を締結し、2023年3月10日に完全子会社化を完了しました。

 

(5) 住友ファーマフード&ケミカル株式会社の株式譲渡に関する契約

当社は、当社の完全子会社である住友ファーマフード&ケミカル株式会社の全株式を、株式会社メディパルホールディングスに譲渡する契約を締結し、2023年3月31日に株式譲渡を完了しました。

 

(6) 住友ファーマアニマルヘルス株式会社の株式譲渡に関する契約

当社は、2022年12月26日、当社の完全子会社である住友ファーマアニマルヘルス株式会社の全株式を、三井物産株式会社に譲渡する契約を締結しました。

なお、2023年5月31日に株式譲渡の手続きを完了しました。

 

(7) 「ブロバナ」および「ゾペネックスHFA」の販売権譲渡に関する契約

Sunovion Pharmaceuticals Inc.(以下「Sunovion 社」)は慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療剤「ブロバナ」および喘息治療剤「ゾペネックスHFA」の米国における販売権をLupin Ltd.(本社:インド)に譲渡する契約を締結しました。

 

(8) 「ルネスタ」の権利譲渡に関する契約

Sunovion 社は不眠症治療剤「ルネスタ」のカナダを除く全世界の権利をWoodward Pharma Services LLC(本社:米国)に譲渡する契約を締結しました。これに伴い、次の技術導出契約も譲渡されています。

契約会社名

相手先

国名

技術の内容

対価の受取

契約期間

Sunovion Pharmaceuticals Inc.

エーザイ㈱

日本

エスゾピクロンに関する技術

契約一時金
一定料率のロイヤルティ

2007.7~
販売承認から15年間又は薬価収載後15年間の長い方

 

 

(9) 借入契約

上記のMyovant社の完全子会社化の対価の一部についてブリッジローン契約を締結しました。

契約会社名

相手先

契約内容等

借入実行日

返済条件等

住友ファーマ㈱
(当社)

㈱三井住友銀行

Myovant 社完全子会社化の対価資金の借入

2023年3月7日

短期借入(1年)

 

 

 

以下の契約については、契約終了の合意もしくは契約期間満了に伴い、当連結会計年度において終了しました。

技術導入

契約会社名

相手先

国名

技術の内容

対価の受取

契約期間

住友ファーマ㈱
(当社)

Neurocrine社

アメリカ

インディプロンに関する技術

契約一時金
一定料率のロイヤルティ

2007.10~
発売から15年間
又は特許満了日の長い方

 

 

販売契約等

契約会社名

相手先

国名

契約内容

契約期間

住友ファーマ㈱
(当社)

塩野義製薬㈱

日本

アイミクス配合剤に関する並行販売

2012.6~
発売から10年間
以後1年間ずつ自動更新

住友ファーマ㈱
(当社)

日本イーライリリー㈱

日本

トルリシティに関する販売提携

2015.7~

相手方と合意した期間の満了まで

Eli Lilly社

アメリカ

 

 

 

以下の契約について、当連結会計年度において契約の当事者から外れることに合意しました。

契約会社名

相手先

国名

技術の内容

対価の受取

契約期間

住友ファーマ㈱
(当社)

Angelini社

イタリア

ルラシドンに関する技術

中間製品の供給

2017.11~
発売から16年間
以後2年間ずつ自動更新

CNX Therapeutics社

英国

 

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、「中期経営計画2022」のもと、精神神経領域、がん領域および再生・細胞医薬分野を研究重点領域として、研究開発活動に取り組みました。また、グローバルヘルスへの貢献を目指して感染症領域にも取り組みました。さらに、医薬品以外のヘルスケア領域において、社会課題の解決のための新たなソリューションを提供することを目的として、フロンティア事業の本格化に向けた準備を進めました。

 

当期における主な開発の進捗状況は、次のとおりです。

① 精神神経領域

ⅰ.ulotaront(開発コード:SEP-363856)

統合失調症を対象とした米国でのフェーズ3試験ならびに日本および中国でのフェーズ2/3試験を推進しました。また、大うつ病補助療法を対象とした米国でのフェーズ2/3試験ならびに全般不安症を対象とした米国および日本でのフェーズ2/3試験を開始しました。

ⅱ.SEP-4199

米国および日本において、双極Ⅰ型障害うつを対象としたフェーズ3試験を推進しました。

ⅲ.新たに2品目のフェーズ1試験を開始しました。

 

② がん領域

ⅰ.「オルゴビクス」(一般名:レルゴリクス)

欧州において、成人におけるホルモン感受性の進行性前立腺がんを適応症とした承認を2022年5月に取得しました。

ⅱ.アデグラモチド酢酸塩/ネラチモチドトリフルオロ酢酸塩(開発コード:DSP-7888)

米国において、固形がんを対象としたフェーズ1/2試験を実施していましたが、中間解析で期待した有効性が認められなかったことにより、試験を中止しました。その後、2021年度に中止した膠芽腫を対象としたフェーズ3試験の結果を含めて本剤の開発方針を検討した結果、開発を中止しました。

ⅲ.dubermatinib(開発コード:TP-0903)

米国において、外部研究機関が、急性骨髄性白血病(AML)を対象としたフェーズ1/2試験を実施していましたが、期待した有効性が認められなかったことにより、試験を中止しました。その後、本剤の開発方針を検討した結果、開発を中止しました。

 

③ 再生・細胞医薬分野

米国において、他家培養胸腺組織「リサイミック」および他家iPS細胞由来の細胞製品の生産体制の構築に向けて、細胞製品製造施設の建設を2022年8月に開始しました。

 

④ 感染症領域

北里研究所との共同研究を通じてカルバペネム耐性菌感染症治療薬を目指して創製された KSP-1007について、米国でのフェーズ1試験を完了しました。さらに、FDAより適格感染症治療製品(QIDP:Qualified Infectious Disease Product)およびFast Trackの指定を2022年8月に受けました。なお、本共同研究は、日本医療研究開発機構(AMED)の医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)に係る研究開発課題として採択されており、AMEDからの委託研究開発費を活用しています。

(注)Fast Track:FDAとのより綿密な連携や承認申請における逐次審査が可能となる制度

 

⑤ その他の領域

ⅰ.レルゴリクス・エストラジオール・酢酸ノルエチンドロン配合剤(レルゴリクス配合剤)

米国において、「マイフェンブリー」の子宮内膜症に伴う中等度から重度の痛みを適応症とした適応追加承認を2022年8月に取得しました。

欧州において、「ライエクオ」の子宮内膜症に対する適応追加申請を2022年10月に行いました。

ⅱ.ビベグロン

中国において、過活動膀胱を対象としたフェーズ3試験を開始しました。

 

⑥ フロンティア事業

ⅰ.日本において、株式会社メルティンMMIと共同開発し、同社が2022年5月に医療機器認証を取得した「MELTz 手指運動リハビリテーションシステム」について、2022年9月に同社との間で販売提携契約を締結し、当社が販売を開始しました。

ⅱ.米国において、BehaVR Inc.(以下「BehaVR社」)と共同開発したメンタルヘルスVRコンテンツ「First Resort」(非医療機器)について、同社が2022年11月に試験販売を開始しました。

ⅲ.日本において、ピクシーダストテクノロジーズ株式会社と共同開発した難聴者用マルチ会話表示デバイス「VUEVO」(非医療機器)について、同社が2023年3月に販売を開始しました。

ⅳ.日本において、慶應義塾大学および i2medical合同会社と共同開発中のうつ病検出・重症度評価支援プログラムについて、プログラム医療機器の優先審査指定制度の初めての対象品目として2023年3月に指定されました。

(注)プログラム医療機器の優先審査指定制度:厚生労働省が2022年度に試行的に導入した制度であり、画期性や有用性、世界に先駆けて日本で開発・申請する意思といった要件を満たしたプログラム医療機器を優先的に審査する制度

 

このような研究開発活動の結果、当連結会計年度の研究開発費の総額は1,319億円(前連結会計年度比38.9%増)となりました。なお、当該金額は、当期に計上した減損損失等258億円を含んでいることから、これを除いたコアベースの研究開発費は、1,061億円(前期比12.8%増)となりました。また、当社グループは、研究開発費をグローバルに管理しているため、セグメントに配分していません。

 

 

当社グループにおける開発状況は以下のとおりです。

1.精神神経領域

 

(2023年5月15日現在)

製品/コード名

(一般名)

予定適応症

地域

開発段階

低分子

SEP-363856

(ulotaront)

統合失調症

米国

フェーズ3

日本・中国

フェーズ2/3

大うつ病補助療法(aMDD)

米国

フェーズ2/3

全般不安症(GAD)

米国・日本

フェーズ2/3

パーキンソン病に伴う精神病症状

米国

フェーズ2

SEP-4199

双極Ⅰ型障害うつ

米国・日本

フェーズ3

ラツーダ

(ルラシドン塩酸塩)

(新用法:小児)統合失調症

日本

フェーズ3

EPI-589

パーキンソン病

米国

フェーズ2

筋萎縮性側索硬化症(ALS)

米国

フェーズ2

日本

フェーズ2

(医師主導治験)

DSP-3905

神経障害性疼痛

米国

フェーズ1

SEP-378614

未定

米国

フェーズ1

SEP-380135

未定

米国

フェーズ1

DSP-0038

アルツハイマー病に伴う精神病症状

米国

フェーズ1

DSP-9632P

パーキンソン病におけるレボドパ誘発性ジスキネジア

日本

フェーズ1

DSP-0187

ナルコレプシー

日本

フェーズ1

DSP-3456

治療抵抗性うつ

米国

フェーズ1

DSP-0378

ドラベ症候群、レノックス・ガストー症候群

日本

フェーズ1

DSP-2342

未定

米国

フェーズ1

再生・細胞医薬

CT1-DAP001/DSP-1083
(他家iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞)

パーキンソン病

日本

フェーズ1/2

(医師主導治験)

米国

治験開始に向けて準備中

HLCR011
(他家iPS細胞由来網膜色素上皮細胞)

網膜色素上皮裂孔(RPE tear)

日本

治験開始に向けて準備中

 

 

2.がん領域

 

(2023年5月15日現在)

製品/コード名

(一般名)

予定適応症

地域

開発段階

TP-3654

骨髄線維症

米国・日本

フェーズ1/2

DSP-5336

急性白血病

米国・日本

フェーズ1/2

DSP-0390

膠芽腫

米国・日本

フェーズ1

TP-1287

固形がん

米国

フェーズ1

TP-1454

固形がん

米国

フェーズ1

 

 

 

3.その他の領域

 

(2023年5月15日現在)

製品/コード名

(一般名)

予定適応症

地域

開発段階

lefamulin

細菌性市中肺炎

中国

申請(2021/10)

ジェムテサ

(ビベグロン)

(新効能)前立腺肥大症を伴う過活動膀胱

米国

フェーズ3

ビベグロン

過活動膀胱

中国

フェーズ3

rodatristat ethyl

肺動脈性肺高血圧症(PAH)

米国

フェーズ2

MVT-602

不妊症

ドイツ

フェーズ2

SP-101

嚢胞性線維症

米国

フェーズ1/2

KSP-1007

複雑性尿路感染症および複雑性腹腔内感染症

米国

フェーズ1

 

 

4.フロンティア事業

 

(2023年5月15日現在)

領域

プログラム

概要

開発状況

連携先

精神

神経

認知症行動・心理症状用機器

General Wellness品として「Aikomiケア」を試験販売中。非薬物療法をデジタルで実現し、個別最適化された五感刺激コンテンツを含むDTx品を研究開発中であり、承認機器としての保険償還を目指す。

日本

臨床研究
準備中

(医療機器)

㈱Aikomi

社交不安障害向けVRコンテンツ(BVR-100)

暴露療法や認知再構築トレーニングなど認知行動療法(CBT)に即したモジュール等をVRコンテンツ化したDTx品を開発中。General Wellness品としてのメンタルヘルスVRコンテンツ「First Resort」を上市済み。

米国

臨床試験
準備中
(医療機器)

BehaVR社

ウェアラブル

脳波計

日常的にどこでも簡単に前頭2極から測定可能な簡易型脳波計。これにより、脳波トレンドを把握し精神疾患の早期検知を可能にするサービスを目指す。

日本

製品開発中
(医療機器)

㈱ニューロスカイ

うつ病検出・重症度評価支援プログラム

リストバンド型のウェアラブルデバイスの情報から機械学習を用いて、うつ病の早期発見や重症度評価を客観的、定量的かつ簡便に行えるソフトウェアを開発し、薬事承認を得て臨床現場に導入することを目指す。

日本

製品開発中

(医療機器)

慶應義塾大学、i2medical合同会社

運動機能
障害

手指麻痺用ニューロリハビリテーション機器

認証機器「MELTz」として上市済み。

手指麻痺等を対象に、筋電信号を利用したロボットニューロリハビリテーション装置について、承認機器としての保険償還を目指す。

日本

製品開発中
(医療機器)

㈱メルティンMMI

手指麻痺用トレーニング機器

「MELTz Potarble」として開発中。

手指麻痺等を対象に、筋電信号を利用したロボットを用いてトレーニングを行う小型で簡易な装置を目指す。

日本

製品開発中

(非医療機器)

㈱メルティンMMI

代謝性
疾患

自動採血・

保存デバイス

代謝性疾患などの自己管理ツールとして、低疼痛・長期保存・簡易輸送を実現する採血デバイスを目指す。

日本

製品開発中
(医療機器)

Drawbridge Health社