1.経営成績等の概況 …………………………………………………………………………………… 2
(1)経営成績の概況 ………………………………………………………………………………… 2
(2)財政状態の概況 ………………………………………………………………………………… 7
(3)キャッシュ・フローの概況 …………………………………………………………………… 7
(4)今後の見通し …………………………………………………………………………………… 8
(5)利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当 ………………………………………… 9
2.会計基準の選択に関する基本的な考え方 ………………………………………………………… 9
3.連結財務諸表及び主な注記 …………………………………………………………………………10
(1)連結損益計算書及び連結包括利益計算書 ……………………………………………………10
(2)連結財政状態計算書 ……………………………………………………………………………12
(3)連結持分変動計算書 ……………………………………………………………………………14
(4)連結キャッシュ・フロー計算書 ………………………………………………………………16
(5)連結財務諸表に関する注記事項 ………………………………………………………………17
【国際会計基準(IFRS)の適用について】
当社グループは、国際会計基準(以下「IFRS」)に準拠した連結財務諸表を開示しています。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当社グループが判断したものです。
① 全般の概況
当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルス感染症による影響が緩和され、欧米を中心に景気の持ち直しが継続しましたが、ウクライナ情勢その他の地政学的リスクの高まり、エネルギー価格の高騰等による世界的な物価上昇の進行、金融引締めの進展などにより、不確実性が高まっています。わが国経済についても、不安定な為替動向や物価上昇などの影響を受けるなか、緩やかな持ち直しの動きが見られましたが、経済活動の本格的な正常化には至っていない状況です。
医薬品業界では、各国において薬剤費抑制策が一段と進むなど、依然として厳しい環境が続いています。
このような状況のもと、当社グループは、2018年度を起点とする5か年の「中期経営計画2022」の最終年度として、「成長エンジンの確立」と「柔軟で効率的な組織基盤づくり」を推進することにより、経営基盤の再構築に取り組んでまいりました。一方、今後の成長を目指す製品や開発品に注力すべく選択と集中を進めてまいりましたが、一部品目の事業予想や開発計画を見直した結果、特許権や仕掛研究開発などの無形資産において、減損損失を計上することとなりました。
日本においては、糖尿病領域では、2型糖尿病治療剤「トルリシティ」の販売提携が2022年12月に終了しましたが、2022年9月に処方日数制限解除となった2型糖尿病治療剤「ツイミーグ」ならびに「エクア」および「エクメット」の販売に引き続き注力しました。精神神経領域では、パーキンソン病治療剤「トレリーフ」ならびに非定型抗精神病薬「ラツーダ」および「ロナセンテープ」を中心に情報提供活動に取り組みました。また、フロンティア事業では、株式会社メルティンMMIと共同開発した「MELTz 手指運動リハビリテーションシステム」の販売を開始しました。
北米においては、サノビオン・ファーマシューティカルズ・インク(以下「サノビオン社」)は、「ラツーダ」の米国での独占販売期間が2023年2月に終了したことに加え、パーキンソン病のオフ症状治療剤「キンモビ」の販売中止の決定により、事業規模が大幅に縮小することとなりました。
スミトバント・バイオファーマ・リミテッド(以下「スミトバント社」)においては、傘下の子会社が、進行性前立腺がん治療剤「オルゴビクス」の販売拡大に注力するとともに、子宮筋腫治療剤「マイフェンブリー」について、米国において、2022年8月に子宮内膜症に対する適応追加承認を取得しました。また、過活動膀胱治療剤「ジェムテサ」の販売拡大に注力しました。なお、スミトバント社は、2023年3月にマイオバント・サイエンシズ・リミテッド(以下「マイオバント社」)を完全子会社化しました。
また、「ラツーダ」の米国での独占販売期間終了後の持続的成長に向けた取組の一環として、北米において分散していた機能と人材を集約し、より強固な事業基盤を構築する目的で、2023年7月に、米国グループ会社7法人をサノビオン社を存続会社として合併させることにより1つの事業会社に再編することを予定しており、当該再編に向けた準備を進めました。
中国においては、住友制葯(蘇州)有限公司が、主力製品であるカルバペネム系抗生物質製剤「メロペン」の販売に引き続き注力しました。
その他の事業においては、住友ファーマフード&ケミカル株式会社の全株式を株式会社メディパルホールディングスに譲渡するための手続が2023年3月に完了しました。また、住友ファーマアニマルヘルス株式会社の全株式を三井物産株式会社に譲渡するための契約を2022年12月に締結しました。
【業績管理指標として「コア営業利益」を採用】
当社グループでは、IFRSの適用にあたり、会社の経常的な収益性を示す利益指標として、「コア営業利益」を設定し、これを当社独自の業績管理指標として採用しています。
「コア営業利益」は、営業利益から当社グループが定める非経常的な要因による損益(以下「非経常項目」)を除外したものとなります。非経常項目として除かれる主なものは、減損損失、事業構造改善費用、企業買収に係る条件付対価公正価値の変動額などです。
当連結会計年度の当社グループの連結業績は、以下のとおりです。
(単位:億円)
■ 売上収益は、5,555億円(前連結会計年度比0.8%減)となりました。
北米、中国、海外その他の各セグメントは、為替換算の影響等により増収となりましたが、前連結会計年度におけるファブリー病治療剤「リプレガル」の販売移管および当連結会計年度における「トルリシティ」の販売提携終了や薬価改定の影響を受けた日本セグメントの減収が大きく、売上収益の合計では減収となりました。
■ コア営業利益は、164億円(前連結会計年度比72.0%減)となりました。
住友ファーマフード&ケミカル株式会社の株式譲渡、米国食品医薬品局(FDA)からの優先審査バウチャー※の売却や慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療剤「ブロバナ」および喘息治療剤「ゾペネックスHFA」の販売権譲渡等に伴うその他の収益の計上がありましたが、売上総利益の減少に加え、為替換算の影響等による販売費及び一般管理費や研究開発費の増加が大きく、コア営業利益は減益となりました。
※優先審査バウチャー:希少疾患等の開発困難な品目の承認取得企業に対し、当局から付与される他の品目における優先審査権
■ 営業損益は、770億円の損失(前連結会計年度比1,372億円の減益)となりました。
「キンモビ」の収益予測を見直したことにより、本製品に係る特許権(無形資産)を全額減損(554億円)しました。また、がん領域における開発品目dubermatinib(開発コード:TP-0903)の開発を中止したことにより、本開発品に係る仕掛研究開発(無形資産)を全額減損(206億円)するとともに、がん領域に係るのれんの一部についても減損(35億円)するなど、総額882億円の減損損失を計上しました。これに加えて、北米グループ会社における事業構造改善費用を計上したことにより、営業損失となりました。
■ 税引前当期損益は、479億円の損失(前連結会計年度比1,309億円の減益)となりました。
期末日の円安による為替差益の計上等により、金融収益から金融費用を差し引いた金融損益は増益となりましたが、営業損益の減益の影響が大きく、税引前当期損失となりました。
■ 当期損益は、967億円の損失(前連結会計年度比1,373億円の減益)となりました。
税引前当期損益が減益となったことにより、当期損益も減益となりました。
■ 親会社の所有者に帰属する当期損益は、745億円の損失(前連結会計年度比1,309億円の減益)となりました。
当期損益の減益の影響が大きく、非支配持分に帰属する損失を控除した親会社の所有者に帰属する当期損益も減益となりました。
② セグメント別の業績
【セグメント業績指標として「コアセグメント利益」を採用】
セグメント別の業績では、各セグメントの経常的な収益性を示す利益指標として、「コアセグメント利益」を設定し、当社独自のセグメント業績指標として採用しています。
「コアセグメント利益」は、「コア営業利益」から、グローバルに管理しているため各セグメントに配分できない研究開発費、事業譲渡損益などを除外したセグメント別の利益となります。
セグメント別の経営成績は次のとおりです。
【日本】
■ 売上収益は、1,261億円(前連結会計年度比15.9%減)となりました。
「ラツーダ」や「ツイミーグ」など、市場浸透により売上が伸長している製品があるものの、「リプレガル」の販売移管および「トルリシティ」の販売提携終了や薬価改定の影響などにより、減収となりました。
■ コアセグメント利益は、91億円(前連結会計年度比53.8%減)となりました。
減収による売上総利益の減少により、減益となりました。
【北米】
■ 売上収益は、3,285億円(前連結会計年度比2.7%増)となりました。
前連結会計年度は、精神神経領域における大塚製薬株式会社との共同開発・販売提携に伴う契約一時金の収益計上がありましたが、当連結会計年度は、「ラツーダ」の米国での独占販売期間終了の影響を受けるなか、為替換算の影響に加え、「オルゴビクス」や「ジェムテサ」などのスミトバント社グループ製品の売上伸長により、増収となりました。
■ コアセグメント利益は、322億円(前連結会計年度比69.4%減)となりました。
売上総利益の減益に加え、スミトバント社グループの費用の増加や為替換算の影響により販売費及び一般管理費が増加したため、大幅な減益となりました。
【中国】
■ 売上収益は、394億円(前連結会計年度比2.9%増)となりました。
薬剤費抑制策の影響を受けた「メロペン」の売上は減少しましたが、為替換算の影響等により、増収となりました。
■ コアセグメント利益は、195億円(前連結会計年度比0.2%減)となりました。
販売費及び一般管理費の増加が売上総利益の増加を上回り、わずかに減益となりました。
【海外その他】
■ 売上収益は、168億円(前連結会計年度比37.6%増)となりました。
選択的オレキシン2受容体作動薬(開発コード:DSP-0187)のライセンス契約の対価として受領した契約一時金を収益認識した影響が大きく、増収となりました。
■ コアセグメント利益は、100億円(前連結会計年度比206.9%増)となりました。
増収による売上総利益の増加により、増益となりました。
上記報告セグメントのほか、当社グループは、食品素材・食品添加物および化学製品材料、動物用医薬品などの販売を行っており、これらの売上収益は448億円(前連結会計年度比12.5%増)、コアセグメント利益は24億円(前連結会計年度比32.2%減)となりました。
③ 研究開発の状況
当社グループは、「中期経営計画2022」のもと、精神神経領域、がん領域および再生・細胞医薬分野を研究重点領域として、研究開発活動に取り組みました。また、グローバルヘルスへの貢献を目指して感染症領域にも取り組みました。さらに、医薬品以外のヘルスケア領域において、社会課題の解決のための新たなソリューションを提供することを目的として、フロンティア事業の本格化に向けた準備を進めました。
【精神神経領域】
後期開発品であるulotarontについて、統合失調症を適応症とした米国での承認申請ならびに日本および中国でのフェーズ2/3試験を着実に推進してまいります。また、2022年度に開始した大うつ病補助療法を対象とした米国でのフェーズ2/3試験ならびに全般不安症を対象とした米国および日本でのフェーズ2/3試験を推進してまいります。同じく後期開発品であるSEP-4199について、双極性Ⅰ型障害うつを対象とした米国および日本でのフェーズ3試験を推進してまいります。さらに、特長ある初期開発品のフェーズ1試験を着実に推進するとともに、有効性を適切に見極め、パイプラインの一層の充実を図ります。
当連結会計年度における主な開発の進捗状況は、次のとおりです。
ⅰ.ulotaront(開発コード:SEP-363856)
統合失調症を対象とした米国でのフェーズ3試験ならびに日本および中国でのフェーズ2/3試験を推進しました。また、大うつ病補助療法を対象とした米国でのフェーズ2/3試験ならびに全般不安症を対象とした米国および日本でのフェーズ2/3試験を開始しました。
ⅱ.SEP-4199
米国および日本において、双極Ⅰ型障害うつを対象としたフェーズ3試験を推進しました。
ⅲ.新たに2品目のフェーズ1試験を開始しました。
【がん領域】
DSP-5336およびTP-3654に資源を集中させ、DSP-5336は急性白血病、TP-3654は骨髄線維症をそれぞれ適応症とした承認の早期取得と価値最大化を目指し、引き続き開発を推進してまいります。
当連結会計年度における主な開発の進捗状況は、次のとおりです。
ⅰ.「オルゴビクス」(一般名:レルゴリクス)
欧州において、成人におけるホルモン感受性の進行性前立腺がんを適応症とした承認を2022年5月に取得しました。
ⅱ.アデグラモチド酢酸塩/ネラチモチドトリフルオロ酢酸塩(開発コード:DSP-7888)
米国において、固形がんを対象としたフェーズ1/2試験を実施していましたが、中間解析で期待した有効性が認められなかったことにより、試験を中止しました。その後、2021年度に中止した膠芽腫を対象としたフェーズ3試験の結果を含めて本剤の開発方針を検討した結果、開発を中止しました。
ⅲ.dubermatinib(開発コード:TP-0903)
米国において、外部研究機関が、急性骨髄性白血病(AML)を対象としたフェーズ1/2試験を実施していましたが、期待した有効性が認められなかったことにより、試験を中止しました。その後、本剤の開発方針を検討した結果、開発を中止しました。
【再生・細胞医薬分野】
他家iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞について、パーキンソン病を適応症とした日本での承認申請に向けた対応および2023年度中の米国での治験開始に向けた対応を着実に進めてまいります。また、他家iPS細胞由来網膜色素上皮細胞について、網膜色素上皮裂孔を対象として、2023年度中の国内企業治験開始を目指し、早期に治療効果を見極めるべくプロジェクトを推進してまいります。
当連結会計年度における主な開発の進捗状況は、次のとおりです。
米国において、他家培養胸腺組織「リサイミック」および他家iPS細胞由来の細胞製品の生産体制の構築に向けて、細胞製品製造施設の建設を2022年8月に開始しました。
【感染症領域】
lefamulinについて、中国での細菌性市中肺炎を適応症とした承認取得に向けた対応を着実に推進してまいります。
ユニバーサルインフルエンザワクチンについて、医薬基盤・健康・栄養研究所との共同研究では前臨床研究を推進し、2023年度中のフェーズ1試験の開始に向けた準備を進めてまいります。なお、本共同研究は、日本医療研究開発機構(AMED)の医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)に係る研究開発課題として採択されており、AMEDからの委託研究開発費を活用しています。
KSP-1007について、米国でのフェーズ1試験の結果を踏まえ、次のフェーズへの移行に向けた取組を推進してまいります。
当連結会計年度における主な開発の進捗状況は、次のとおりです。
北里研究所との共同研究を通じてカルバペネム耐性菌感染症治療薬を目指して創製された KSP-1007について、米国でのフェーズ1試験を完了しました。さらに、米国食品医薬品局(FDA)より適格感染症治療製品(QIDP:Qualified Infectious Disease Product)およびFast Track※の指定を2022年8月に受けました。なお、本共同研究は、AMEDのCiCLEに係る研究開発課題として採択されており、AMEDからの委託研究開発費を活用しています。
※Fast Track:FDAとのより綿密な連携や承認申請における逐次審査が可能となる制度
【その他の領域】
「ジェムテサ」(一般名:ビベグロン)について、米国での前立腺肥大に伴う過活動膀胱に対する適応追加申請ならびに欧州、中国および台湾での過活動膀胱を適応症とした承認申請に向けた対応を着実に推進してまいります。
rodatristat ethylについて、米国での肺動脈性肺高血圧症を対象としたフェーズ2試験を着実に推進してまいります。
当連結会計年度における主な開発の進捗状況は、次のとおりです。
ⅰ. レルゴリクス・エストラジオール・酢酸ノルエチンドロン配合剤(レルゴリクス配合剤)
米国において、「マイフェンブリー」の子宮内膜症に伴う中等度から重度の痛みを適応症とした適応追加承認を2022年8月に取得しました。
欧州において、「ライエクオ」の子宮内膜症に対する適応追加申請を2022年10月に行いました。
ⅱ.ビベグロン
中国において、過活動膀胱を対象としたフェーズ3試験を開始しました。
【フロンティア事業】
社交不安障害を対象として開発中のVRコンテンツ(開発コード:BVR-100)について、米国での臨床試験開始に向けた対応を提携先とともに進めてまいります。また、うつを対象とした簡易型脳波計として開発中のウェアラブル脳波計について、日本での医療機器認証取得に向けた対応を着実に推進してまいります。
当連結会計年度における主な開発の進捗状況は、次のとおりです。
ⅰ. 日本において、株式会社メルティンMMIと共同開発し、同社が2022年5月に医療機器認証を取得した「MELTz 手指運動リハビリテーションシステム」について、2022年9月に同社との間で販売提携契約を締結し、当社が販売を開始しました。
ⅱ. 米国において、ビヘイビア・インクと共同開発したメンタルヘルスVRコンテンツ「First Resort」(非医療機器)について、同社が2022年11月に試験販売を開始しました。
ⅲ. 日本において、ピクシーダストテクノロジーズ株式会社と共同開発した難聴者用マルチ会話表示デバイス「VUEVO」(非医療機器)について、同社が2023年3月に販売を開始しました。
ⅳ. 日本において、慶應義塾大学およびi2medical合同会社と共同開発中のうつ病検出・重症度評価支援プログラムについて、プログラム医療機器の優先審査指定制度※の初めての対象品目として2023年3月に指定されました。
※プログラム医療機器の優先審査指定制度:厚生労働省が2022年度に試行的に導入した制度であり、画期性や有用性、世界に先駆けて日本で開発・申請する意思といった要件を満たしたプログラム医療機器を優先的に審査する制度。
このような研究開発活動の結果、当連結会計年度の研究開発費の総額は、1,319億円(前連結会計年度比38.9%増)となりました。なお、当該金額は、当連結会計年度に計上した減損損失等258億円を含んでいることから、これを除いたコアベースの研究開発費は、1,061億円(前連結会計年度比12.8%増)となりました。また、当社グループは、研究開発費をグローバルに管理しているため、セグメントに配分していません。
資産については、前連結会計年度末に比べ1,733億円減少し、1兆1,347億円となりました。
非流動資産では、当社が保有する投資有価証券の公正価値評価の変動により、その他の金融資産が増加したことに加え、為替換算の影響によりのれんが増加しましたが、減損損失の計上による無形資産の減少が大きく、前連結会計年度末に比べ556億円減少しました。
マイオバント社の完全子会社化(以下「本完全子会社化」)の対価の総額は、約17億米ドルであり、これに係る資金については、手元資金およびブリッジローン(短期借入金)により、まかないました。これにより、流動資産では、現金及び現金同等物が減少したほか、営業債権及びその他の債権が減少した結果、前連結会計年度末に比べ1,177億円減少しました。
負債については、短期借入金が増加したことに加え、未払法人所得税や繰延税金負債が増加した結果、前連結会計年度末に比べ935億円増加し、7,280億円となりました。なお、社債及び借入金は合計で3,347億円となり、前連結会計年度末に比べ657億円増加しました。
親会社の所有者に帰属する持分は、その他の資本の構成要素は増加しましたが、利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純損失の計上と本完全子会社化により大きく減少するとともに、資本剰余金も同じく本完全子会社化により減少したため、前連結会計年度末に比べ2,011億円減少し、4,067億円となりました。また、非支配持分は、本完全子会社化により前連結会計年度末に比べ656億円減少しました。
これらの結果、資本合計は前連結会計年度末に比べ2,668億円減少し、4,068億円となり、当連結会計年度末の親会社所有者帰属持分比率は35.8%となりました。
また、連結子会社である住友ファーマアニマルヘルス株式会社の株式譲渡契約が第3四半期に締結されたことに伴い、関連する資産については売却目的で保有する資産、負債については売却目的で保有する資産に直接関連する負債、資本については売却目的で保有する資産に関連するその他の包括利益にそれぞれ分類しています。
なお、同じく第3四半期に株式譲渡契約が締結されていた連結子会社である住友ファーマフード&ケミカル株式会社の株式譲渡については、2023年3月31日付けで手続きが完了しました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期利益は減少しましたが、減損損失などの非資金損益項目の増加に加え、営業債権及びその他の債権の減少や法人所得税の支払額の減少などにより、119億円の収入となりましたが、前連結会計年度に比べ、収入は193億円減少しました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、住友ファーマフード&ケミカル株式会社の株式売却による子会社の支配喪失による増加に加え、投資の取得による支出の減少および無形資産の売却による収入などにより、前連結会計年度に比べ707億円収入が増加し、524億円の収入となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、マイオバント社株式の取得による非支配持分からの子会社持分取得による支出の影響が大きく、前連結会計年度に比べ1,254億円支出が増加し、1,468億円の支出となりました。
上記のキャッシュ・フローに、現金及び現金同等物に係る換算差額を加え、売却目的で保有する資産への振替額を差し引いた結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は1,435億円となり、前連結会計年度末に比べ595億円減少しました。
当社グループの資本の財源および資金の流動性は、以下のとおりです。
当社グループは、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、銀行借入などにより必要資金を調達し、研究開発活動などを行っています。
当社グループの財務活動の方針は、自己資金に加えて、必要に応じて借入によるレバレッジの活用などにより必要資金を確保することです。
現金及び現金同等物に短期貸付金等を加えた運用資金は1,580億円であり、流動比率(流動資産/流動負債)は102.5%です。
(単位:億円)
<売上収益>
北米セグメントでは、「オルゴビクス」「マイフェンブリー」「ジェムテサ」など新製品の販売拡大に注力するものの、「ラツーダ」の米国での独占販売期間終了の影響が大きく、1,197億円の減収となる見込みです。
日本セグメントでは、「ラツーダ」および「ツイミーグ」など新製品の販売拡大に注力するものの、「トルリシティ」の販売終了や薬価改定、長期収載品の売上減少の影響を補いきれず211億円の減収となる見込みです。
その他セグメントでは、本年3月31日をもって、当社の完全子会社である住友ファーマフード&ケミカル株式会社について、株式会社メディパルホールディングスへの株式譲渡が完了し、また、2024年3月期第1四半期中を目途に、当社の完全子会社である住友ファーマアニマルヘルス株式会社について、三井物産株式会社に株式譲渡することを予定しており、433億円の減収となる見込みです。
これらより、連結全体の売上収益は、当連結会計年度実績に対して1,935億円減の3,620億円となる見通しです。
<利益>
米国「ラツーダ」等の売上収益の減少に伴い、売上総利益は1,488億円の減少となる見込みです。
販売費及び一般管理費並びに研究開発費は、本年7月1日に、米国グループ会社の再編を予定しており、本再編に伴うコストシナジー効果の発現や、米国「ラツーダ」独占販売期間終了に伴う販売関連費用の削減等により、1,077億円の減少となる見込みです。
一方で、その他収益(コア)は、当連結会計年度に住友ファーマフード&ケミカル株式会社の株式譲渡益や、優先審査バウチャーの売却などの一時金収入があったことから、372億円の減少となる見込みです。
以上の結果、コア営業損益は、当連結会計年度実績に対して784億円減の620億円の営業損失となる見通しです。
当連結会計年度は多額の無形資産の減損損失を計上していたため、非経常項目の収支は大幅に改善する見込みですが、コア営業損益の減益影響が大きく、営業損益は10億円損失増加の780億円の損失となる見通しです。また当期損益は、当連結会計年度は、為替差益を計上した一方で、次期は法人所得税の減少を見込むことから167億円損失減少の800億円の損失、親会社の所有者に帰属する当期利益は、マイオバント社の非支配持分損益の計上がなくなることから55億円損失増加の800億円の損失となる見通しです。
<見通しの前提条件>
為替レートは、1米ドル=130.00円(当連結会計年度実績135.51円)、1中国元=19.50円(同19.75円)を前提としています。
(5)利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当
当社は、株主の皆様へ常に適切な利益還元を行うことを最も重要な経営方針の一つとして位置付けています。
当社の剰余金の配当は、中間配当および期末配当の年2回を基本的な方針としています。配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会です。
配当方針につきましては、業績に裏付けられた成果を適切に配分することを重視しており、安定的な配当に加えて、業績向上に連動した増配を行うこととしています。また、企業価値のさらなる向上に向け、将来の成長のための積極的な投資を行いつつ、強固な経営基盤の確保と財務内容の充実を図っており、2018年度を起点とする5か年の「中期経営計画2022」では、5年間平均の配当性向として20%以上を目指してきました。
当連結会計年度の業績は、コア営業利益164億円を計上しましたが、多額の減損損失を計上したことに伴い、親会社の所有者に帰属する当期損益745億円の損失となりました。
当連結会計年度の期末配当については、配当方針および当連結会計年度の業績を踏まえ、1株につき7円、年間合計では、前連結会計年度から7円減配の1株につき21円の配当を行うことを予定しています。
なお、期末配当を加えた「中期経営計画2022」5年間の合計配当額は、一株当たり133円となり、親会社の所有者に帰属する当期利益5年間累計額に対する配当性向は、41.4%になります。
また、今後の配当につきましては、2024年3月期から2028年3月期までの5か年の「中期経営計画2027」において、2024年3月期はコア営業利益の赤字を見込むことから無配の方針、2025年3月期はコア営業利益の黒字化に伴い復配の方針とし、その後は安定配当を目指すこととしています。
当連結会計年度の減配および2024年3月期の無配を予定していることについて、株主の皆様に深くお詫び申しあげますとともに、早期の業績回復に努めてまいりますので、何卒ご理解のうえ、引き続きご支援を賜りますようお願い申しあげます。
2.会計基準の選択に関する基本的な考え方
当社グループは、資本市場における財務諸表の国際的な比較可能性の向上や会計処理の標準化によるグループ経営管理の向上などを目的として、2018年3月期からIFRSを任意適用しています。
該当事項はありません。
(重要な会計方針)
本連結財務諸表において適用する重要な会計方針は、前連結会計年度の連結財務諸表において適用した会計方針と同一です。
当社グループでは、会社の経常的な収益性を示す利益指標として、「コア営業利益」を設定し、これを当社独自の業績管理指標として採用しています。
「コア営業利益」は、営業利益から当社グループが定める非経常的な要因による損益(以下「非経常項目」)を除外したものとなります。非経常項目として除かれる主なものは、減損損失、事業構造改善費用、企業買収に係る条件付対価公正価値の変動額等です。
(1) 報告セグメント
当社グループは、主として医療用医薬品の製造、仕入及び販売を行っており、日本、北米、中国等マーケットごとに医薬品事業の業績管理を行っているため、日本、北米、中国、海外その他の4つを報告セグメントとしています。
なお、当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成要素のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものです。
(2) セグメント収益及び業績
当社グループの報告セグメントごとの売上収益、利益又は損失及びその他の項目は、以下のとおりです。
なお、当社グループでは、各セグメントの経常的な収益性を示す利益指標として、「コアセグメント利益」を設定し、当社独自のセグメント業績指標として採用しています。
「コアセグメント利益」は、「コア営業利益」から、グローバルに管理しているため各セグメントに配分できない研究開発費、事業譲渡損益等を除外したセグメント別の利益となります。
なお、「1. 経営成績等の概況(1) 経営成績の概況 ②セグメント別の業績」における報告セグメントに含まれない「その他」の区分に係るコアセグメント利益の金額及び前連結会計年度比増減については、セグメント間取引として消去された利益を含めて記載しています。
① 前連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
(注) その他の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、食品素材・食品添加物及び化学製品材料、動物用医薬品等の事業を含んでいます。
② 当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(注) その他の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、食品素材・食品添加物及び化学製品材料、動物用医薬品等の事業を含んでいます。
(3) 報告セグメント合計額と連結財務諸表計上額との差額及び当該差額の主な内容(差異調整に関する事項)
調整額に関する事項は、以下のとおりです。
(注) 当社グループは、研究開発費をグローバルに管理しているため、セグメントに配分していません。なお、連結損益計算書における研究開発費との差額は、コア営業利益の算定から除外される減損損失及び研究開発関連費用です。
(4) 売上収益の内訳
外部顧客への売上収益等の内訳は、以下のとおりです。
(5) 製品及びサービスごとの情報
製品及びサービスごとの外部顧客への売上収益等の内訳は、以下のとおりです。
(6) 地域別情報
当社グループの地域別収益は顧客等の所在地を基礎とし、国又は地域に分類しています。
当社グループの所在地域別に分析した非流動資産(金融資産、繰延税金資産及び退職給付に係る資産を除く)の帳簿価額の内訳は、以下のとおりです。
(7) 主要な顧客に関する情報
売上収益が当社グループの全体の売上収益の10%以上の相手先は、以下のとおりです。
(減損損失)
前連結会計年度において重要な減損損失はありません。
当連結会計年度に認識した減損損失88,167百万円は、連結損益計算書の売上原価、販売費及び一般管理費、並びに研究開発費にそれぞれ4,378百万円、59,126百万円、24,663百万円計上しています。その分類は、主として無形資産に係る減損損失80,066百万円、及びのれんに係る減損損失3,523百万円です。
無形資産に係る減損損失は、主として医薬品事業の北米セグメントにおける、パーキンソン病に伴うオフ症状治療剤「キンモビ」に係る特許権の減損損失55,369百万円、及びソフトウェアの減損損失63百万円、COPD治療剤「ロンハラ マグネア」に係る特許権の減損損失3,494百万円、急性骨髄性白血病(AML)を対象としたTP-0903に係る仕掛研究開発の減損損失20,598百万円です。
「キンモビ」に係る特許権、及びソフトウェア、「ロンハラ マグネア」に係る特許権については収益性が見込めなくなったため、TP-0903に係る仕掛研究開発については開発中止により収益性が見込めなくなったため、帳簿価額全額を減額しています。
また、のれんにかかる減損損失は、医薬品事業の北米セグメントの「がん領域」の資金生成単位につき、のれんを含む資金生成単位の帳簿価額を下回ったことから、当該のれんについて減損損失3,523百万円を連結損益計算書の研究開発費に認識しました。
のれんの減損損失は、回収可能価額が帳簿価額を下回っている場合に認識され、当該のれんの帳簿価額を回収可能価額まで減額しています。回収可能価額は、経営会議で承認された事業計画を基礎として測定した処分コスト控除後の公正価値に基づき算定しています。処分コスト控除後の公正価値の算定には、対象となる無形資産に関する開発品の上市時期、研究開発活動の成功確率、製品及び開発品の収益の予測、及び固定費の予測等の仮定を用いており、過去の経験及び外部からの情報に基づいた将来キャッシュ・フローの見積額を現在価値に割り引いて算定しています。
のれんの減損テストには、資金生成単位ごとに設定した加重平均資本コスト等を基礎とした割引率を用いており、減損テストに使用した税引前の割引率は20.5%です。
(その他の収益)
その他の収益の内訳は、以下のとおりです。
(注)1 当連結会計年度において、優先審査バウチャーの売却により計上した収益です。
2 当連結会計年度において、北米における「ブロバナ」および「ゾペネックスHFA」、「ルネスタ」に係る事業を譲渡したことにより計上した収益です。
3 当連結会計年度において、当社が保有していた住友ファーマフード&ケミカル株式会社の株式を株式会社メディパルホールディングスにすべて譲渡したことにより計上した収益です。
基本的1株当たり当期利益の算定上の基礎及び基本的1株当たり当期利益は、以下のとおりです。
(注)前連結会計年度の希薄化後1株当たり当期利益については、潜在株式が逆希薄化効果を持つため記載していません。また、当連結会計年度の希薄化後1株当たり当期利益については、潜在株式が存在しないため記載していません。
該当事項はありません。