1.経営成績等の概況 ………………………………………………………………………………………………2
(1)経営成績の概況 ……………………………………………………………………………………………2
(2)財政状態の概況 ……………………………………………………………………………………………7
(3)キャッシュ・フローの概況 ………………………………………………………………………………7
(4)今後の見通し ………………………………………………………………………………………………8
(5)利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当 ……………………………………………………9
(6)継続企業の前提に関する重要事象等 ……………………………………………………………………9
2.会計基準の選択に関する基本的な考え方 ……………………………………………………………………9
3.連結財務諸表及び主な注記 ……………………………………………………………………………………10
(1)連結損益計算書及び連結包括利益計算書 ………………………………………………………………10
(2)連結財政状態計算書 ………………………………………………………………………………………12
(3)連結持分変動計算書 ………………………………………………………………………………………14
(4)連結キャッシュ・フロー計算書 …………………………………………………………………………16
(5)連結財務諸表に関する注記事項 …………………………………………………………………………17
【国際会計基準(IFRS)の適用について】
当社グループは、国際会計基準(以下「IFRS」)に準拠した連結財務諸表を開示しています。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当社グループが判断したものです。
① 全般の概況
当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルス感染症が収束し、経済活動の正常化が進むなか、米国では堅調な個人消費を背景に景気の回復が継続するなど、総じて持ち直しの動きが見られました。一方、地政学的リスクの高まりや、世界的な物価上昇、不安定な為替変動など、先行きが不透明な状況が続きました。わが国経済についても、景気は緩やかな回復基調を取り戻しましたが、物価上昇の影響により内需は力強さを欠く状況が続きました。
医薬品業界では、各国において薬剤費抑制策が一段と進むなか、新薬開発の難度の高まり、研究開発費の高騰、競争の激化などにより、事業の予見性が低下しています。
このような状況のもと、当社グループは、2023年度を起点とした2027年度までの5か年の「中期経営計画2027」を2023年4月に発表し、これに基づき事業活動を進めてまいりました。しかしながら、北米事業における進行性前立腺がん治療剤「オルゴビクス」、子宮筋腫・子宮内膜症治療剤「マイフェンブリー」および過活動膀胱治療剤「ジェムテサ」(以下「基幹3製品」)の売上収益の伸びが想定を下回ったことにより、事業予想を見直した結果、特許権などの無形資産やのれんにおいて多額の減損損失を計上することとなりました。
日本においては、精神神経領域では、パーキンソン病治療剤「トレリーフ」ならびに非定型抗精神病薬「ラツーダ」および「ロナセンテープ」を中心に情報提供活動に注力しました。糖尿病領域では、2型糖尿病治療剤「エクア」および「エクメット」の販売拡大に努めました。2型糖尿病治療剤「ツイミーグ」については、想定以上の需要の増加に伴い在庫が逼迫したため、2023年4月から限定出荷としましたが、生産体制の強化等の対応を行ったことにより、2023年12月に通常出荷を再開しました。また、住友ファーマアニマルヘルス株式会社の全株式を三井物産株式会社に譲渡する手続が2023年5月に完了しました。
北米においては、基幹3製品および他家培養胸腺組織「リサイミック」の販売に注力しました。また、分散していた機能と人材を集約し、より強固な事業基盤を構築する目的で2023年7月に米国グループ会社を再編し、人員削減を行いました。しかしながら、基幹3製品の売上収益の伸びが想定を下回る見込みとなったことから、組織運営の更なる効率化を図るため、2024年3月にSumitomo Pharma America, Inc.において追加の人員削減等の合理化を行いました。
アジアにおいては、主力製品であるカルバペネム系抗生物質製剤「メロペン」の販売に引き続き注力しました。また、中国では2023年11月に市中肺炎治療剤「ゼンレタ」の承認を取得しました。
【業績管理指標として「コア営業利益」を採用】
当社グループでは、IFRSの適用にあたり、会社の経常的な収益性を示す利益指標として、「コア営業利益」を設定し、これを当社独自の業績管理指標として採用しています。
「コア営業利益」は、営業利益から当社グループが定める非経常的な要因による損益(以下「非経常項目」)を除外したものとなります。非経常項目として除かれる主なものは、減損損失、事業構造改善費用、企業買収に係る条件付対価公正価値の変動額などです。
当連結会計年度の当社グループの連結業績は、以下のとおりです。
(単位:億円)
■ 売上収益は、3,146億円(前連結会計年度比43.4%減)となりました。
基幹3製品の売上は増加しましたが、主力製品であった「ラツーダ」の米国での独占販売期間終了による売上減少の影響が大きく、また、連結子会社であった住友ファーマフード&ケミカル株式会社および住友ファーマアニマルヘルス株式会社の全株式を譲渡したことに伴い、当該2社が当社グループ傘下でなくなったことなどから、大幅な減収となりました。
■ コア営業損益は、1,330億円の損失(前連結会計年度は164億円の利益)となりました。
北米グループ会社の再編等により販売費及び一般管理費および研究開発費は減少しましたが、減収による売上総利益の減少の影響が大きく、コア営業損失となりました。
■ 営業損益は、3,549億円の損失(前連結会計年度は770億円の損失)となりました。
北米事業の事業予想を見直したことにより、「マイフェンブリー」に係る特許権(無形資産)の一部およびのれんの一部について、それぞれ1,335億円および359億円を減損したことに加え、一部の開発品目の開発を中止したことにより、当該開発品に係る仕掛研究開発(無形資産)について106億円を減損するなど、総額1,809億円の減損損失を計上しました。また、北米グループ会社の再編および追加の合理化に伴う事業構造改善費用を計上しました。これらの非経常項目に加え、コア営業損失となったことにより、営業損失が大幅に増加しました。
■ 税引前当期損益は、3,231億円の損失(前連結会計年度は479億円の損失)となりました。
円安の進行による為替差益の計上等により、金融収益は増加しましたが、営業損失の増加の影響が大きく、税引前当期損失が増加しました。
■ 当期損益は、3,149億円の損失(前連結会計年度は967億円の損失)となりました。
税引前当期損失が増加したことにより、当期損失が増加しました。
■ 親会社の所有者に帰属する当期損益は、3,150億円の損失(前連結会計年度は745億円の損失)となりました。
当期損失の増加の影響が大きく、非支配持分に帰属する利益を控除した親会社の所有者に帰属する当期損失が増加しました。
② セグメント別の業績
【セグメント業績指標として「コアセグメント利益」を採用】
セグメント別の業績では、各セグメントの経常的な収益性を示す利益指標として、「コアセグメント利益」を設定し、当社独自のセグメント業績指標として採用しています。
「コアセグメント利益」は、「コア営業利益」から、グローバルに管理しているため各セグメントに配分できない研究開発費、事業譲渡損益などを除外したセグメント別の利益となります。
セグメント別の経営成績は次のとおりです。
なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分方法を変更したことに伴い、前連結会計年度についても変更後の報告セグメント区分に組み替えて比較を行っています。当該報告セグメントの変更の詳細は、「3.連結財務諸表及び主な注記 (5)連結財務諸表に関する注記事項 (事業セグメント) (2) 報告セグメントの変更等に関する事項」をご参照ください。
<日本>
■ 売上収益は、1,147億円(前連結会計年度比37.6%減)となりました。
「ラツーダ」や「ツイミーグ」などの売上が伸長しましたが、2022年12月に2型糖尿病治療剤「トルリシティ」の販売提携が終了したことや、前期にはライセンス契約の契約一時金の売上収益計上があったことに加え、国内連結子会社2社について、それぞれの全株式を譲渡したことに伴い、当該2社が当社グループ傘下でなくなったことなどから、減収となりました。
■ コアセグメント利益は、134億円(前連結会計年度比31.6%減)となりました。
販売費及び一般管理費は減少しましたが、減収による売上総利益の減少の影響が大きく、減益となりました。
<北米>
■ 売上収益は、1,590億円(前連結会計年度比51.6%減)となりました。
基幹3製品や「リサイミック」の売上は増加しましたが、主力製品であった「ラツーダ」の米国での独占販売期間が2023年2月に終了したことによる売上減少の影響が大きく、減収となりました。
■ コアセグメント損益は、802億円の損失(前連結会計年度は322億円の利益)となりました。
「ラツーダ」の独占販売期間終了および北米グループ会社の再編等に伴い販売費及び一般管理費は減少しましたが、減収による売上総利益の減少の影響が大きく、コアセグメント損失となりました。
<アジア>
■ 売上収益は、409億円(前連結会計年度比6.0%減)となりました。
東南アジアにおいて売上収益が増加しましたが、中国において薬剤費抑制策の対象となった「メロペン」の売上減少の影響が大きく、減収となりました。
■ コアセグメント利益は、184億円(前連結会計年度比14.2%減)となりました。
減収による売上総利益の減少により、減益となりました。
③ 研究開発の状況
当社グループは、「中期経営計画2027」のもと、精神神経領域およびがん領域ならびにその他領域において、医薬品、再生・細胞医薬、非医薬等による多様なアプローチで人々の健康で豊かな生活に貢献するため、自社研究に加え、技術導入、ベンチャー企業やアカデミアとの共同研究など、あらゆる方法で先端の技術を取り入れて研究開発活動に取り組みました。
一方で、複数の後期開発品目で期待したマイルストンを達成することができなかったことから、開発優先品目の見直しを行いました。
【精神神経領域】
世界初のiPS細胞の実用化とゲームチェンジャーとなる治療の実現に向け、他家iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞のパーキンソン病を適応症とした日本での承認申請対応および米国でのフェーズ1/2試験を着実に推進してまいります。また、他家iPS細胞由来網膜色素上皮細胞について、網膜色素上皮裂孔を対象とした日本でのフェーズ1/2試験を着実に推進してまいります。特長ある低分子の初期臨床開発品目群については、2030年代のグループ収益を支える優先品目を選抜し、次のフェーズへの移行に向けた取組を推進してまいります。
当連結会計年度における主な開発の進捗状況は、次のとおりです。
ⅰ.他家iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞(開発コード:CT1-DAP001/DSP-1083)
日本において、京都大学医学部附属病院が実施していたパーキンソン病治療に関するフェーズ1/2試験(医師主導治験)について、2023年12月に2年間の観察期間が終了しました。
米国において、カリフォルニア大学サンディエゴ校が非凍結細胞(CT1-DAP001)を用いたパーキンソン病治療に関するフェーズ1/2試験(医師主導治験)を開始しました。
米国において、凍結細胞(DSP-1083)を用いたパーキンソン病治療に関するフェーズ1/2試験(企業治験)を開始しました。
ⅱ.他家iPS細胞由来網膜色素上皮細胞(開発コード:HLCR011)
日本において、網膜色素上皮裂孔を対象としたフェーズ1/2試験を開始しました。
ⅲ.ウロタロント(開発コード:SEP-363856)
米国において、統合失調症を対象として実施していた2本のフェーズ3試験について、2023年7月に解析結果を得ましたが、いずれの試験においても主要評価項目を達成することができませんでした。その後、本剤の開発方針を検討した結果、当社における開発を中止し、大塚製薬株式会社に開発を委ねることとしました。
ⅳ.SEP-4199
米国および日本において、双極Ⅰ型障害うつを対象としたフェーズ3試験を実施していましたが、被験者登録の進捗の大幅な遅れにより、試験を中止しました。その後、本剤の開発方針を検討した結果、当社における開発を中止しました。
ⅴ.EPI-589
米国におけるパーキンソン病を対象としたフェーズ2試験ならびに米国および日本における筋萎縮性側索硬化症(ALS)を対象としたフェーズ2試験の結果を踏まえ、本剤の開発方針を検討した結果、当社における開発を中止しました。
【がん領域】
DSP-5336およびTP-3654に資源を集中させ、承認の早期取得と価値最大化を目指し、引き続き開発を推進してまいります。DSP-5336については、急性白血病を対象としたフェーズ1/2試験において単剤療法の承認申請に向けたデータ収集を開始し、併用療法に関する試験についても実施を検討してまいります。TP-3654については、骨髄線維症を対象としたフェーズ1/2試験においてJAK阻害剤との併用療法に関するデータ収集を開始します。両剤のうち少なくとも1剤は「中期経営計画2027」の期間での承認取得・上市を目指します。
当連結会計年度における主な開発の進捗状況は、次のとおりです。
ⅰ.TP-3654
米国および日本において、骨髄線維症を対象としたフェーズ1/2試験を推進しました。
ⅱ.DSP-5336
米国および日本において、急性白血病を対象としたフェーズ1/2試験を推進しました。
【その他領域】
「ジェムテサ」について、中国での過活動膀胱を対象としたフェーズ3試験の推進および承認申請に向けた対応を着実に推進してまいります。また、ユニバーサルインフルエンザワクチンのベルギーでのフェーズ1試験およびKSP-1007のアジア地域への展開を見据えた日本でのフェーズ1試験を着実に推進してまいります。なお、ユニバーサルインフルエンザワクチンおよびKSP-1007の研究開発は、日本医療研究開発機構(AMED)からの委託研究開発費を活用しています。
当連結会計年度における主な開発の進捗状況は、次のとおりです。
ⅰ.「ジェムテサ」(一般名:ビベグロン)
米国において、2024年2月に前立腺肥大症を伴う過活動膀胱に対する適応追加申請を行いました。
ⅱ.「オブジェムサ」(一般名:ビベグロン)
欧州において、2023年5月に提携先が過活動膀胱に対する承認申請を行いました。
ⅲ.「ライエクオ」(一般名:レルゴリクス・エストラジオール・酢酸ノルエチンドロン配合剤)(レルゴリクス配合剤)
欧州において、提携先が子宮内膜症に対する適応追加承認を2023年11月に取得しました。
ⅳ.rodatristat ethyl
米国において、肺動脈性肺高血圧症(PAH)を対象としたフェーズ2試験を実施していましたが、期待した有効性および安全性が認められなかったことから、すべての試験を中止しました。その後、本剤の開発方針を検討した結果、当社における開発を中止しました。
ⅴ.「ゼンレタ」(一般名:lefamulin acetate)
中国において、市中肺炎を適応症とした承認を2023年11月に取得しました。
ⅵ.ユニバーサルインフルエンザワクチン
ベルギーにおいて、TLR7アジュバント(開発コード:DSP-0546LP)を添加して作製した新規のユニバーサルインフルエンザワクチン製剤のフェーズ1試験の開始申請を2024年3月に提出しました。
このような研究開発活動の結果、当連結会計年度の研究開発費の総額は、1,126億円(前連結会計年度比14.6%減)となりました。なお、当該金額は、当連結会計年度に計上した事業構造改善費用および減損損失等217億円を含んでいることから、これを除いたコアベースの研究開発費は、909億円(前連結会計年度比14.3%減)となりました。また、当社グループは、研究開発費をグローバルに管理しているため、セグメントに配分していません。
資産については、前連結会計年度末に比べ2,272億円減少し、9,075億円となりました。
非流動資産では、当社が保有する投資有価証券の公正価値評価の変動等により、その他の金融資産が増加しましたが、減損損失の計上により無形資産やのれんが減少した結果、前連結会計年度末に比べ1,149億円減少しました。
流動資産では、現金及び現金同等物が減少したことに加え、営業債権及びその他の債権やその他の金融資産が減少した結果、前連結会計年度末に比べ1,123億円減少しました。
負債については、北米での売上割戻金にかかる引当金や未払法人所得税に加えて、その他の非流動負債やその他の流動負債等が減少しましたが、金融機関からの借入金等が増加した結果、前連結会計年度末に比べ234億円増加し、7,514億円となりました。なお、社債及び借入金は合計で4,189億円となり、前連結会計年度末に比べ842億円増加しました。
親会社の所有者に帰属する持分は、保有投資有価証券の公正価値変動および円安の影響によりその他の資本の構成要素が増加しましたが、利益剰余金が親会社の所有者に帰属する当期損失の計上により大きく減少した結果、前連結会計年度末に比べ2,507億円減少し、1,561億円となりました。
この結果、資本合計は前連結会計年度末に比べ2,506億円減少し、1,561億円となり、当連結会計年度末の親会社所有者帰属持分比率は17.2%となりました。
また、当社大分工場の一部を親会社である住友化学株式会社に2024年4月に譲渡することに伴い、関連する資産については売却目的で保有する資産に分類しています。
なお、前連結会計年度に株式譲渡契約が締結されていた連結子会社住友ファーマアニマルヘルスの株式譲渡については、2023年5月31日付けで手続きが完了しました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、減損損失などの非資金損益項目を除いた当期損失の増加に加え、引当金の減少や法人所得税の支払額の増加などにより、前連結会計年度に比べ2,538億円収入が減少し、2,419億円の支出となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却や住友ファーマアニマルヘルス株式会社の株式譲渡に伴う子会社の支配喪失による増加、短期貸付金の減少等により、330億円の収入となりました。なお、前連結会計年度は当連結会計年度を上回る子会社の支配喪失による収入や無形資産の売却による収入などがあったため、前連結会計年度に比べ194億円収入が減少しました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、金融機関からの短期借入等により、779億円の収入となりました。なお、前連結会計年度はMyovant Sciences Ltd.の完全子会社化による非支配持分からの子会社持分取得による支出などがあったため、前連結会計年度に比べ2,247億円収入が増加しました。
上記のキャッシュ・フローに、現金及び現金同等物に係る換算差額および売却目的で保有する資産への振替額を加えた結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は290億円となり、前連結会計年度末に比べ1,144億円減少しました。
(単位:億円)
<売上収益>
北米セグメントでは、基幹3製品の販売拡大に注力し、397億円の増収を見込みます。
日本セグメントでは、「ツイミーグ」および「ラツーダ」など主力製品の販売拡大に注力するものの、薬価改定に加え、「トレリーフ」の独占販売期間終了の影響が大きく、144億円の減収となる見込みです。
これらより、連結全体の売上収益は、当連結会計年度に比べ234億円増収の3,380億円となる見通しです。
<利益>
売上総利益は、北米セグメントでの増収に伴い120億円増加する見込みです。
販売費及び一般管理費ならびに研究開発費は、当連結会計年度に実施した米国グループ会社の再編等による事業構造改善効果の発現や研究開発投資の選択と集中による削減等により、1,083億円の減少を見込みます。
一方で、その他収益(コア)は、事業の譲渡等で200億円を見込んでいます。
以上の結果、コア営業利益は、当連結会計年度に比べ1,340億円改善し10億円となる見通しです。
コア営業利益の改善に加え、当連結会計年度は多額の減損損失および事業構造改善費用等を計上していたことから、次期は非経常項目の収支の大幅な改善を見込むため、営業損益についても3,549億円改善し、0億円となる見通しです。
また、当連結会計年度は為替差益を計上した一方、次期は為替差損の計上を見込むことから、当期損益は2,989億円改善の160億円の損失、親会社の所有者に帰属する当期損益は2,990億円改善の160億円の損失となる見通しです。
<見通しの前提条件>
為替レートは、1米ドル=145.00円(当連結会計年度実績144.59円)、1中国元=20.00円(同20.14円)を前提としています。
(5)利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当
当社は、株主の皆様へ常に適切な利益還元を行うことを最も重要な経営方針の一つとして位置付けています。
当社の剰余金の配当は、中間配当および期末配当の年2回を基本的な方針としています。配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会です。
配当方針につきましては、業績に裏付けられた成果を適切に配分することを重視しており、安定的な配当に加えて、業績向上に連動した増配を行うこととしています。また、企業価値のさらなる向上に向け、将来の成長のための積極的な投資を行いつつ、強固な経営基盤の確保と財務内容の充実を図っています。
配当方針に基づき、2024年3月期から2028年3月期までの5か年の「中期経営計画2027」では、2024年3月期はコア営業利益の赤字を見込むことから無配の方針、2025年3月期はコア営業利益の黒字化に伴い復配の方針とし、その後は安定配当を目指すこととしていました。
前連結会計年度は、1株につき21円の配当を行いましたが、当連結会計年度の業績は、コア営業損益は1,330億円の損失、また多額の減損損失を計上したことに伴い、親会社の所有者に帰属する当期損益が3,150億円の損失となったことにより、当連結会計年度については、配当方針および当連結会計年度の業績を踏まえ、無配を予定しています。
また、2025年3月期はコア営業利益10億円を見込んでいますが、「中期経営計画2027」で想定したコア営業利益400億円を大きく下回っていることから、2025年3月期の配当についても、誠に遺憾ながら無配を予定しています。
株主の皆様には、深くお詫び申し上げますとともに、早期の業績回復に努めてまいりますので、何卒ご理解の上、引き続きご支援を賜りますようお願い申し上げます。
当社グループは、北米事業で「ラツーダ」の独占販売期間が終了した一方で、基幹3製品の売上が想定を下回ったことによる売上収益の減少、またこれに伴い事業予想等を見直した結果、特許権などの無形資産やのれんにおいて多額の減損損失を計上したこと等により、当連結会計年度において、営業損失3,549億円、親会社の所有者に帰属する当期損失3,150億円を計上しました。また、営業キャッシュ・フローについては2,419億円の支出となりました。これらにより、当連結会計年度末において、シンジケートローン契約に付されている財務制限条項に抵触し、期限の利益等の喪失事由に該当しています。
このような状況に対し、当社グループは、基幹3製品の早期価値最大化およびグループをあげた構造改革により、2024年度を将来の再成長に向けた転換点とすべく、コア営業利益黒字化を目指してまいります。
さらに、財務面では、当社が保有するRoivant Sciences Ltd.の全株式の売却に加え、政策保有株式等の資産の売却を進め、必要な資金の確保に向けた施策も進めています。また、当社グループの金融機関からの借入金等について、親会社である住友化学株式会社による債務保証を受けています。これらの施策を踏まえ、取引金融機関と期限の利益喪失の請求権放棄に関する協議を行っており、主要な取引金融機関から同請求権を行使しないことについて承諾を得ていることから、引き続き取引金融機関の支援を得られる見通しです。
以上より、当社グループでは、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような状況が存在していますが、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しています。
2.会計基準の選択に関する基本的な考え方
当社グループは、資本市場における財務諸表の国際的な比較可能性の向上や会計処理の標準化によるグループ経営管理の向上などを目的として、2018年3月期からIFRSを任意適用しています。
該当事項はありません。
本連結財務諸表において適用する重要な会計方針は、以下を除き、前連結会計年度の連結財務諸表において適用した会計方針と同一です。
当社グループは、当連結会計年度より「単一の取引から生じた資産及び負債に係る繰延税金(IAS第12号の改訂)」を適用しています。当該基準書の適用による本連結財務諸表への重要な影響はありません。
当社グループでは、会社の経常的な収益性を示す利益指標として、「コア営業利益」を設定し、これを当社独自の業績管理指標として採用しています。
「コア営業利益」は、営業利益から当社グループが定める非経常的な要因による損益(以下「非経常項目」)を除外したものとなります。非経常項目として除かれる主なものは、減損損失、事業構造改善費用、企業買収に係る条件付対価公正価値の変動額等です。
(1) 報告セグメント
当社グループは、主として医療用医薬品の製造、仕入及び販売を行っており、日本、北米、アジアのマーケットごとに医薬品事業の業績管理を行っているため、日本、北米、アジアの3つを報告セグメントとしています。
なお、当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成要素のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものです。
(2) 報告セグメントの変更等に関する事項
従来、報告セグメントを日本、北米、中国、海外その他の4つとしていましたが、中期経営計画2027の策定に伴い、当社グループの経営状況をより適切に示すため、当連結会計年度より、日本、北米、アジアの3つの報告セグメントに変更しました。
なお、前連結会計年度のセグメント情報は、変更後の区分方法に基づき作成しています。
(3) セグメント収益及び業績
当社グループの報告セグメントごとの売上収益、利益又は損失及びその他の項目は、以下のとおりです。
なお、当社グループでは、各セグメントの経常的な収益性を示す利益指標として、「コアセグメント利益」を設定し、当社独自のセグメント業績指標として採用しています。
「コアセグメント利益」は、「コア営業利益」から、グローバルに管理しているため各セグメントに配分できない研究開発費、事業譲渡損益等を除外したセグメント別の利益となります。
① 前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
② 当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(4) 報告セグメント合計額と連結財務諸表計上額との差額及び当該差額の主な内容(差異調整に関する事項)
調整額に関する事項は、以下のとおりです。
(注)1 当社グループは、研究開発費をグローバルに管理しているため、セグメントに配分していません。なお、連結損益計算書における研究開発費との差額は、コア営業利益の算定から除外される研究開発関連費用です。
2 事業構造改善費用は、北米グループ会社の再編等に関連する退職金等の費用です。
(5) 売上収益の内訳
外部顧客への売上収益等の内訳は、以下のとおりです。
(6) 製品及びサービスごとの情報
製品及びサービスごとの外部顧客への売上収益等の内訳は、以下のとおりです。
(7) 地域別情報
当社グループの地域別収益は顧客等の所在地を基礎とし、国又は地域に分類しています。
当社グループの所在地域別に分析した非流動資産(金融資産、繰延税金資産及び退職給付に係る資産を除く)の帳簿価額の内訳は、以下のとおりです。
(8) 主要な顧客に関する情報
売上収益が当社グループの全体の売上収益の10%以上の相手先は、以下のとおりです。
(注)当期においてアメリソースバーゲン社から社名変更されました。
(減損損失)
前連結会計年度に認識した減損損失88,167百万円は、連結損益計算書の売上原価、販売費及び一般管理費、並びに研究開発費にそれぞれ4,378百万円、59,126百万円、24,663百万円計上しています。その分類は、主として無形資産に係る減損損失80,066百万円、及びのれんに係る減損損失3,523百万円です。
無形資産に係る減損損失は、主として北米セグメントにおける、パーキンソン病に伴うオフ症状治療剤「キンモビ」に係る特許権の減損損失55,369百万円、及びソフトウェアの減損損失63百万円、COPD治療剤「ロンハラ マグネア」に係る特許権の減損損失3,494百万円、急性骨髄性白血病(AML)を対象としたTP-0903に係る仕掛研究開発の減損損失20,598百万円です。
「キンモビ」に係る特許権、及びソフトウェア、「ロンハラ マグネア」に係る特許権については収益性が見込めなくなったため、TP-0903に係る仕掛研究開発については開発中止により収益性が見込めなくなったため、帳簿価額全額を減額しています。
また、北米セグメントに係るのれんの減損損失は、3,523百万円です。
当連結会計年度に認識した減損損失180,857百万円は、連結損益計算書の売上原価、販売費及び一般管理費、並びに研究開発費にそれぞれ19百万円、170,261百万円、10,577百万円計上しています。その分類は、主として無形資産に係る減損損失144,107百万円、及びのれんに係る減損損失35,858百万円です。
無形資産に係る減損損失は、主として北米セグメントにおける、子宮筋腫・子宮内膜症治療剤「マイフェンブリー」に係る特許権の減損損失133,457百万円、肺動脈性肺高血圧症(PAH)を対象としたrodatristat ethylに係る仕掛研究開発の減損損失5,205百万円です。
「マイフェンブリー」に係る特許権については、収益性が見込めなくなったため、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、rodatristat ethylに係る仕掛研究開発については開発中止により収益性が見込めなくなったため、帳簿価額全額を減額しています。
また、北米セグメントに係るのれんの減損損失は、35,858百万円です。
のれんの減損損失は、回収可能価額が帳簿価額を下回っている場合に認識され、当該のれんの帳簿価額を回収可能価額まで減額しています。回収可能価額は、承認された事業計画を基礎として測定した処分コスト控除後の公正価値に基づき算定しています。処分コスト控除後の公正価値の算定には、対象となる無形資産に関する開発品の上市時期、研究開発活動の成功確率、製品及び開発品の収益の予測、及び固定費の予測等の仮定を用いており、過去の経験及び外部からの情報に基づいた将来キャッシュ・フローの見積額を現在価値に割り引いて算定しています。
減損テストには、資金生成単位ごとに設定した加重平均資本コスト等を基礎とした割引率を用いており、のれんの減損テストに使用した税引前の割引率は14.5%、特許権の減損テストに使用した税引前の割引率は15.8%です。
(その他の収益)
その他の収益の内訳は、以下のとおりです。
(注)1 前連結会計年度における無形固定資産売却益は、優先審査バウチャーの売却により計上した収益です。
2 前連結会計年度における事業譲渡益等は、北米における「ブロバナ」および「ゾペネックスHFA」、「ルネスタ」に係る事業を譲渡したことにより計上した収益です。
3 前連結会計年度における関係会社株式売却益は、当社が保有していた住友ファーマフード&ケミカル株式会社の株式を株式会社メディパルホールディングスにすべて譲渡したことにより計上した収益です。
また、当連結会計年度における関係会社株式売却益は、当社が保有していた住友ファーマアニマルヘルス株式会社の株式を三井物産株式会社にすべて譲渡したことにより計上した収益です。
(その他の費用)
その他の費用の内訳は、以下のとおりです。
(注)当連結会計年度における関係会社持分譲渡損は、当社グループが保有していたSpirovant Sciences LLCの全持分をRuagen Bio, Inc.にすべて譲渡したことにより計上した損失です。
基本的1株当たり当期利益の算定上の基礎及び基本的1株当たり当期利益は、以下のとおりです。
(注)前連結会計年度における希薄化後1株当たり当期利益については、潜在株式が逆希薄化効果を持つため記載していません。また、当連結会計年度における希薄化後1株当たり当期利益については、潜在株式が存在しないため記載していません。
当社は、政策保有株式の見直しによる資産効率の向上を図るため、保有するRoivant Sciences Ltd.の全ての株式(71,251,083株)を同社に売却する契約を2024年4月2日付けで締結し、98,146百万円で売却しました。なお、本株式における公正価値の変動はその他の包括利益で認識しているため、連結損益への影響はありません。