第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社、以下「SHIONOGI」という)が判断したものであります。

 

(1) 経営方針・経営戦略等

 

■経営の基本方針

SHIONOGIは、「常に人々の健康を守るために必要な最もよい薬(ヘルスケアソリューション)を提供する」ことを基本方針(SHIONOGI Group Heritage)としております。そのためには、益々よい薬を創り、かつ製造するとともに、益々多くの人々に知らせ使っていただかなければなりません。このことを成し遂げるために、SHIONOGIのあらゆる人々が日々技術を向上させることが、すべてのステークホルダー(顧客、株主・投資家、社会、従業員など)の利益の拡大につながるものと考えております。

 

■2030年に成し遂げたいビジョン

SHIONOGIは、「新たなプラットフォームでヘルスケアの未来を創り出す」ことをSHIONOGI Group Visionとして掲げ、事業の変革を進めております。社会保障費の増加に対する懸念の高まりや医療ニーズの高度化、多様化が進む中で懸命にこれに対処し、人々の健康と持続可能な社会の実現に貢献し続けることがSHIONOGIの社会的使命であると認識しております。一方で医療用医薬品ビジネスには、主力製品の特許切れという事業のサステイナビリティに関わる課題が常に存在します。SHIONOGIは従来の医療用医薬品を中心に提供する「創薬型製薬企業」から、ヘルスケアサービスを提供する「HaaS(Healthcare as a Service)企業」へと自らを変革し、社会に対して新たな価値を提供し続けていくことで、患者さまや社会の抱える困り事をより包括的に解決したいと考えております。そのためには、創造力と専門性をベースとした創薬型製薬企業としての強みをさらに進化させ、ヘルスケア領域の新たなプラットフォーム構築に向けて、異なる強みを持つ他社・他産業から選ばれる「協創の核」とならねばなりません。

SHIONOGIは、変化を恐れず、多様性を受容し、既成概念を超えて自らを「Transform」することで、SHIONOGI Group Visionの実現に取り組んでまいります。

 


 

 

■経営環境及び経営戦略

グローバルにおけるビジネス環境は複雑さを増し、将来の予測が困難な状態にあります。世界人口の増加と高中所得国における少子高齢化の進行、地球規模で起こる気候変動等の環境変化とそれらに伴う疾病構造やヘルスケアに求められるニーズの変化、人工知能の飛躍的な進化、人々の価値観の多様化、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のパンデミックを契機とした創薬の研究開発の進め方やグローバル展開の考え方の変革等、ヘルスケア産業を取り巻く外部環境は急速に変化しております。また、医療保険財政のひっ迫に伴い、先進諸国で薬剤費抑制の圧力が強まる中、我が国においては医療用医薬品について2021年度より毎年薬価改定が実施されるなど、経営を取り巻く環境は厳しさを増しております。さらには、大国同士による技術・経済・安全保障などの分野における主導権争いや、ロシアによるウクライナへの侵略長期化・中東対立の拡大など、諸外国におけるビジネス展開や医薬品の原材料の調達・供給が停滞するリスクなども日々顕在化してきております。

このような中でSHIONOGIは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬の開発に取り組み、これまでにないスピードで創薬から臨床開発、承認申請へと進み、緊急承認を取得するなど、一定の成果を示すことができました。さらにHIVフランチャイズについては、長時間作用型のカボテグラビルを軸とした製品群へとシフトさせていくViiV Healthcare Ltd.(以下「ヴィーブ社」)の取り組みが順調に推移していることで、抗HIV薬ドルテグラビルの特許切れによるパテントクリフを事実上乗り越え、今後も安定的な成長が期待できる見通しとなりました。

当社グループは、2030年Visionを実現するために、2020年に中期経営計画「Shionogi Transformation Strategy 2030(STS2030)を発表し、取り組みを進めてまいりましたが、前述した外部環境の変化や、STS2030を策定してから2023年までの3年間の取り組みによる成果や学びから、STS2030達成に向けた道筋をより明確にするため2023年6月にSTS2030をアップデートし、STS2030 Revisionとして再策定しました。

 

■STS2030 Revisionの概要

STS2030 Revisionでは、2023年度から2025年度の3ヵ年を新たにSTS Phase2と位置付け、変革による成長を加速することとしました。また、2026年度から2030年度までをSTS Phase3として新たな計画を策定、実行していく予定です。

 


 

STS Phase1では、自社創製品の拡大と医療用医薬品以外の製品・サービスの進展、さらにガバナンスの強化を通じて主要KPIを概ね達成することができました。STS Phase2では「感染症領域を中心としたグローバルでのトップラインの成長」と「積極投資による成長ドライバーの育成を実現すること」を基本方針とし、3つの柱である「HIVビジネスの更なる成長」、「急性呼吸器感染症事業」、「新製品・新規事業拡大」を通じて、成長を加速させてまいります。

 

 

2030年Vision実現に向けた成長

   HIVビジネスの更なる伸長

 HIVビジネスは、ヴィーブ社による経口2剤合剤や長時間作用型製剤の販売が好調なことにより、売上及び市場シェアが順調に伸長しております。引き続き長時間作用型の治療薬「Cabenuva」及び予防薬「Apretude」を推進するとともに、4ヵ月又は6ヵ月に1回の投与で治療または予防が完結する超長時間作用型製剤などの開発により、HIVビジネスの継続的な成長を実現してまいります。

 

  急性呼吸器感染症事業 

 COVID-19やインフルエンザをはじめとする急性感染症は、急激な流行と収束を繰り返し、その予測も困難であることから、市場は大きな不確実性を伴います。そのため、急性感染症をビジネスとして継続的に推し進めるためには、流行に左右されない持続可能なビジネスモデルを確立する必要があります。

SHIONOGIでは、COVID-19とインフルエンザという2つの異なる感染症に対する治療薬を保有する強みを活かし、収益の安定化とさらなる成長を目指してまいります。特にCOVID-19に関しては、エンシトレルビルの新たなエビデンスを集積し、グローバルでの提供を実現すべく取り組むとともに、より多くの方にご使用いただけるよう、さらに優れた新規治療薬の創出にも注力し、継続的な成長を実現してまいります。

さらに、抗ウイルス薬の提供にとどまらず、診断分野での研究開発の取り組みを進め、正確かつ簡便で安価な診断薬の提供を通じて、誰もが、どこからでも・いつでも診断を受けて、適切な治療へとつがることができる「Test to Treat」のグローバルでの具現化に取り組んでまいります。

 

   新製品・新規事業の拡大

新製品については、現在の開発パイプラインの中から2030年度までに10製品以上の上市を目指しており、既存アセットの成長や積極投資による製品導入などを合わせて、グローバルでの成長を実現します。ワクチン事業については、着実に実績を積み上げ、競争力を獲得しながら2030年には売上収益1,000億円への成長を目指してまいります。

 

■SHIONOGIの重要課題(マテリアリティ)とSTS2030 Revisionとの関係

SHIONOGIは事業活動を通じて社会課題や医療ニーズに応え、社会に必要とされる企業として成長し、その成果をステークホルダーと共有することを目指しております。その実現のため、SHIONOGIを取り巻く環境を捉え、環境変化に対する機会と脅威の評価及びSHIONOGIの現状や課題などの分析を通じて重要課題(マテリアリティ)を特定しております。これらマテリアリティのうち、2030年までのSHIONOGIの成長や社会からの要請を考慮し、特に欠かせない要素をSTS2030 Revisionの戦略に組み入れております。

 

マテリアリティの詳細については「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。

 

※重要課題(マテリアリティ)の特定プロセス及びリスクと機会の分析・評価に関する詳細については、ウェブサイトをご覧ください。

https://www.shionogi.com/jp/ja/company/strategy/important-issues.html

 

(2) STS2030 Revision で優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

マテリアリティの中で特に重視している課題は「感染症の脅威からの解放」であり、その実現こそが感染症のリーディングカンパニーとしてのSHIONOGIの使命であると考え、STS2030 Revisionでは感染症領域における種々のヘルスケア課題の解決と持続可能なビジネスモデル構築を目指しております。また、「健やかで豊かな人生への貢献」についても特に重視するマテリアリティの1つに据え、従来注力領域に掲げていた「精神・神経疾患」と「疼痛」にこだわらず「認知症」、「肥満症」、「子どもの疾患・希少疾患」や「睡眠障害」といった社会的影響度の高いQOL疾患にフォーカスし、誰もが自分らしく生き生きとした生活を送ることができる社会の実現に貢献いたします。

 

 

■社会課題の解決を通じた価値創造

①感染症の脅威からの解放

SHIONOGIは、60年以上にわたって感染症の研究・開発を続けており、これまで多くの感染症治療薬を社会に提供してまいりました。長い活動で培われた感染症領域への深い理解、化合物や病原体のライブラリなどの強みをベースに、今後もアンメットニーズの充足に貢献するソリューションを提供することが出来ると考えております。

世界を新型コロナウイルス感染症パンデミックから一日でも早く解放することを最優先に、COVID-19治療薬の開発に加え、今後出現する可能性のある変異株、さらにはコロナウイルスによる次のパンデミックに対しても有効なユニバーサルワクチンの創製にも取り組んでおります。さらに、島津製作所との合弁会社である株式会社AdvanSentinelによる下水疫学調査サービスの提供、COVID-19診断薬の開発や供給など、感染症のトータルケア(治療のみではなく未病、予防、診断、予後なども含めた疾患全体のケア)の実現に向けた製品・サービスの整備を行いました。引き続き、エンシトレルビルのエビデンス構築、小児や予防などの適応拡大により、満たされていないニーズの充足に貢献するとともに、感染症のトータルケアをグローバルに展開することで、トップラインの成長、持続可能なビジネスモデルの構築の実現を目指してまいります。

また、世界三大感染症についても、HIVのみならず、結核やマラリアなどの治療に長期間を要する感染症にコミットすることで、感染症のリーディングカンパニーとしての使命を果たしてまいります。

さらに、SHIONOGI単独では対応が難しい感染症の課題に対しても、社会とともに解決するための仕組みの構築に取り組んでまいります。薬剤耐性(AMR)はサイレント・パンデミックと称され、喫緊かつグローバルな脅威として徐々に認知が高まっておりますが、将来的な脅威の拡大が危惧されているにもかかわらず、創薬の難易度や投資が回収できないといったビジネスリスクの為に世界的に新規治療薬の開発が停滞している現状があります。SHIONOGIは、AMRに対する有望な治療選択肢として、世界で初めてのシデロフォアセファロスポリン抗菌薬であるセフィデロコルを創出するとともに、Qpex Biopharma, Inc.(以下「Qpex社」)を完全子会社化することで広域阻害スペクトラムを有するβ-ラクタマーゼ阻害剤を獲得すると共に、新たな研究拠点であるQpex US Lab.を開設するなど、抗菌薬研究開発のケイパビリティ強化及び米国でのネットワーク強化に取り組んでおります。 加えて、低中所得国を含めた世界中の国々の感染症治療薬へのアクセスの改善を目的に、SHIONOGIはMPP(Medicines Patent Pool)とパートナーシップを形成し、GARDP(Global Antibiotic Research and Development Partnership)、CHAI(Clinton Health Access Initiative)との間でも提携契約を締結しております。

 

②健やかで豊かな人生への貢献

SHIONOGIは、誰もが自分らしく生き生きとした生活を送ることができる社会の実現を目指し、STS2030 Revisionでは注力する領域として社会的影響度の高いQOL疾患を掲げ、すでに研究開発を進めていた精神・神経疾患、疼痛だけでなく、肥満症や睡眠障害などの特にアンメットニーズの高い領域のパイプラインの開発を進めております。2024年度には不眠症治療薬「クービビック®錠25mg 50mg」の国内販売を開始しており、今後も継続して新製品の上市を見込んでおります。

また、HaaS企業としての更なる成長を実現するため、医療用医薬品を軸としたSolutionプラットフォームを提供し、より多くの患者さまのより多くのニーズに深く応えるための取り組みを進めております。2024年度には小児期における注意欠如多動症(ADHD)に対するデジタル治療用アプリ「ENDEAVORRIDE(エンデバーライド)®」の国内製造販売承認を取得すると共に、サスメドの不眠障害用アプリやFRONTEOと共同で会話型認知機能検査用AIプログラム医療機器の開発などにも取り組み、患者さまのニーズに寄り添うHaaS構想の具現化を進めております。また、一人ひとりの児童生徒に合致した適切な教育プランを教員に提案する教育支援サービスを提供するYui Connection株式会社の設立、ピクシーダストテクノロジーズとの連携による音刺激を活用した認知症機能改善に向けた取り組みの推進など、HaaS実現に向けた環境整備を進展することができました。今後も、治療薬の提供にとどまらず、革新的な治療選択肢やサービスの開発・提供を通じて患者さまとそのご家族、さらには周囲で支援する皆さまの困りごとを解決し、QOLや社会の生産性の向上に貢献してまいります。

 

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

STS2030 Revisionでは、達成すべき財務経営指標として3つの成長性指標と3つの株主還元指標を設定しております。成長性指標については、トップラインの成長を優先して進めていくことから売上収益、またその成長をグローバルに成し遂げていくことから海外売上高 CAGR(Compound Annual Growth Rate:年平均成長率)、そして成長に向けた積極的な投資を行っていくことと稼ぐ力を測るためにEBITDA(Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation, and Amortization:利払い・税引き・償却前利益、コア営業利益に減価償却費を加えた利益)の3つを設定しております。また、株主還元指標として、事業成長と財務施策の観点からEPS、DOE、ROEの3つを継続して設定しております。

エンシトレルビルなどの感染症薬を中心にグローバルでのトップラインの成長を実現することで、各年度の売上収益及び海外売上高 CAGR目標を達成するとともに、さらなる収益ドライバーを確立するためのM&Aや導入、アライアンスなどの事業開発機会の探索を継続し、強固な財務基盤を活かして、価値に見合った投資を積極的に実行していくことで、経営指標の達成を目指してまいります。

 

業績評価指標(KPI)

2025年度
 目標※1

2030年度
目標※1

成長性

売上収益

5,300億円

8,000億円

海外売上高 CAGR

(ロイヤリティー収入を除く)

成長計画を見直し

(次年度以降の成長を見据え、 KPIを再設定する予定)

成長計画を見直し

(次年度以降の成長を見据え、 KPIを再設定する予定)

EBITDA

1,960億円

株主還元

EPS※2

200円以上

DOE

4%

ROE

14%以上

 

※1 当社は、2025年5月12日に開示いたしました2024年度決算において、2025年度目標の主要業績評価指標(KPI)のうち、売上収益を5,500億円から5,300億円、EBITDAを2,000億円から1,960億円に修正いたしました。また、海外売上高CAGRについては、2026年度以降の更なる成長を見据え再設定する予定です。修正の背景や理由等の詳細は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照ください。

※2 当社は、2024年10月1日を効力発生日として、普通株式1株につき3株の割合をもって株式分割を行っております。2025年度目標のEPSには株式分割後の数値を記載しております。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

SHIONOGIのサステイナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてSHIONOGIが判断したものであります。

 

(1)サステイナビリティに関する考え方

SHIONOGIは、事業の成長と社会の持続可能性の両立に向けて、SHIONOGIと社会の双方にとってのマテリアリティ(重要課題)を特定するとともに、SHIONOGI Group Visionの中でSDGs達成への貢献を謳い、取り組みを推進しております。また、経済、社会、環境等に対し企業責任を果たすために、多様なステークホルダーとの連携強化にも注力しております。

 

(2)サステイナビリティに関する取組

事業の成長と社会の持続可能性の両立のためには、前項「STS2030 Revisionで優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」にて記述した価値創造に関する取り組みに加え、持続可能な社会の実現に向けた取り組みの推進が重要であると認識しております。SHIONOGIでは、自社にとっての重要性及び社会・地球環境にとっての重要性の観点から、事業の成長と持続可能な社会の実現に向けて特に対処すべき課題として、気候変動対応を含めた「環境への配慮」並びに、「成長を支える人材の確保」を認識し、解決に向けた取り組みを推進しております。

 

a.ガバナンス

SHIONOGIでは、サステイナビリティに関する経営上の重要事項について、経営会議及び取締役会にて審議・決議しております。また、担当役員である執行役員の責任のもと、サステイナビリティ推進部と各組織が連携することで、サステイナビリティに関する取り組みと体制強化に向けた全社の活動を推進しております。

2024年度からは、サステイナビリティ課題を経営戦略の一環として統合的にマネジメントするため、従来のサステイナビリティアクションプランを発展的に解消し、マテリアリティ指標マネジメントとの一体的な運用を開始しました。マテリアリティごとの指標を設定した上で、半期に一度、各指標に対する取り組みの進捗状況を経営会議及び取締役会に報告し、取締役及び監査役からの意見や助言を受け、取り組みに反映しております。さらに、個別のサステイナビリティに関する事項について、重要な意思決定を伴う場合には、経営会議や取締役会に諮り、審議を行っております。

SHIONOGIの全社のコーポレート・ガバナンス体制の詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載しております。

 

b.戦略

SHIONOGIは事業活動を通じてヘルスケア社会課題を解決すると共に持続可能な社会の実現に貢献することで、社会に必要とされる企業として成長し、その成果をステークホルダーと共有することを目指しております。

この事業活動の根底には「SHIONOGIは、常に人々の健康を守るために必要な最もよい薬を提供する」 という基本方針(SHIONOGI Group Heritage)の考えが根付いており、この基本方針に基づき、中長期的に目指す姿としてSHIONOGI Group Visionを定めております。このSHIONOGI Group Visionの実現に向け、社内外の環境変化をとらえ、リスクと機会・その時間軸の分析・評価を実施することで、SHIONOGIのマテリアリティを特定し、「顧客・社会に新たな価値を創出する」、「持続可能な社会へ貢献する」、「経営基盤を強化する」という3要素に整理して、各活動を推進しております。また、特定したマテリアリティを踏まえて、成長戦略である中期経営計画 STS2030 Revisionを策定しております。

2024年度には、社内外の環境変化を踏まえてリスクと機会の見直しを行い、マテリアリティの見直しを行いました。以前に認識したリスクと機会に変更はないことを確認した一方で、以下の理由によりマテリアリティの一部修正を行いました。

 

「持続可能な社会保障への貢献」は「医療アクセスの向上」を実現するために必要な要素であることから「医療アクセスの向上」に統合

「感染症の脅威からの解放」や「健やかで豊かな人生への貢献」の実現にはイノベーションを起こし続けることが必要であることから「イノベーションの創出」を追加

 


 

 

STS2030 Revisionの詳細及びSHIONOGIの重要課題(マテリアリティ)とSTS2030 Revisionとの関係性については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

※重要課題(マテリアリティ)の特定プロセス及びリスクと機会の分析・評価に関する詳細については、ウェブサイトをご覧ください。

https://www.shionogi.com/jp/ja/company/strategy/important-issues.html

 

c.リスク管理

サステイナビリティに関連するリスク管理は全社的なリスクマネジメント体制に組み込まれております。具体的には、影響度・発生可能性などを勘案した上で、サステイナビリティを含む事業等へのリスク及び機会を特定し、それぞれのリスクごとに責任管掌・リスクオーナーを任命し、不確実性を機会として活かす、あるいは低減するための対応計画を推進しております。リスク管理の詳細については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。

 

 

d.指標及び目標

SHIONOGIでは、各マテリアリティにおいて、経営会議及び取締役会にて審議を経て決定したマテリアリティ指標を設定しております。

さらに、半期に一度、マテリアリティ指標に対する取り組みの進捗状況を経営会議及び取締役会に報告しております。各マテリアリティ指標の進捗を管理・モニタリングすることで実効性を確保しております。

 

※各マテリアリティに関する指標及び主な取り組み実績の詳細については、ウェブサイトをご覧ください。

https://www.shionogi.com/jp/ja/company/strategy/important-issues.html

 

(3)環境への配慮(気候変動)

①環境への配慮に対する考え方

SHIONOGIは、自然資本を投入し事業を営む企業グループとして、地球環境の保全を通じた持続可能な社会の実現を私たちが果たすべき重要な責務と認識しております。SHIONOGIは、「SHIONOGIグループEHS※1ポリシー」及び「SHIONOGIグループEHS行動規範」に基づき、統括EHS管理機能を整備するとともに、「AMR」「気候変動」「省資源・資源循環」「水」「環境マネジメント・ガバナンス」の5つの課題を環境面において優先的に取り組む重要課題として「環境マテリアリティ」に特定しております。また、中長期かつ戦略的な取り組みを行うための指標として、2035年度を最終年度とした「SHIONOGIグループEHS行動目標」を設定しております。

特に、環境マテリアリティにも特定している「気候変動」については、2050年にカーボンニュートラルを実現するための中間目標である「2035年度 自社CO2排出量 60%減(2019年度基準)」を実現するため、脱炭素の取り組みを強化しております。その一環として、SHIONOGIは、2022年3月にTCFD※2提言への賛同を表明し、TCFDコンソーシアムに加盟しております。TCFD提言に基づく対応として、事業活動に影響を与える気候変動のリスク・機会の特定、財務影響評価などに着手し、以下の通り情報を開示しております。

 

※1  EHS:Environment, Health and Safety(環境及び安全衛生)

※2  気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures): G20の要請を受け、金融安定理事会(FSB)により、気候関連の情報開示および金融機関の対応をどのように行うかを検討するため設立された組織

 

■TCFD提言に基づく情報開示

a.ガバナンス

気候変動リスクへの具体的な対応策は統括EHS管理機能においてその進捗を管理しております。全社的なリスクマネジメント体制における当該テーマのリスクオーナーでもある執行役員サステイナビリティ経営本部長を統括EHS責任者に任命しており、統括EHS責任者が「SHIONOGIグループ中央EHS委員会」及び「省エネ委員会」の委員長を務めております。これら合計して年4回以上の頻度で開催される各委員会の決定事項は代表取締役社長に報告すると共に、上位の審議体に諮る必要がある事項については事前に経営会議に上程し、取締役会決議等の機関決定を得るなど、より深い議論が尽くされる体制を整備しております。

 


 

b.戦略

2022年度には、気候変動に関するリスクと機会を評価・特定するため、1.5℃シナリオ(パリ協定に沿った温室効果ガス排出削減が進み、気温上昇が産業革命前から1.5℃に抑えられる持続可能な未来)と、4℃シナリオ(排出削減が進まず、気温が4℃上昇する深刻な影響が想定される未来)という二つの温度帯を用いたシナリオ分析を実施しました。これにより、財務影響の評価やリスク対応方針の立案など、気候変動戦略の検討を行いました。2024年度には、特定されたリスク・機会に関する財務影響の評価について、事業の進捗状況や為替変動などの外部要因を考慮し、一部見直しを実施しています。

1.5℃及び4℃シナリオを用いたSHIONOGIの気候変動に関するリスク・機会の評価結果は下表のとおりです。財務影響が相対的に大きい気候変動に起因するリスク・機会として、1) カーボンプライシング導入、2)局所的な異常気象・気温上昇による原材料調達への影響、3)海面上昇、の3つを特定しております。評価時の試算では仮に特定したすべてのリスク・機会が顕在化することを想定した場合において、中期経営計画STS2030の最終年度である2030年に目標としていたコア営業利益に与える財務的な負の影響は約10%程度に留まることを確認しております。2023年6月に改訂したSTS2030 RevisionではSTS2030と比較してさらなる収益の拡大を目標としていることから、今後想定され得る気候変動シナリオに対する事業のレジリエンスは十分担保されていると判断しております。

 

・SHIONOGIの気候変動に関するリスク・機会の評価概要

分類

主なリスク・機会

2030年度単年での財務影響(注1)

1.5℃

シナリオ

4℃

シナリオ

移行

リスク

政策

カーボンプライシング導入

中(注2)

省エネ規制の強化

物理

リスク

急性

局所的な異常気象・気温上昇による原材料調達への影響

大(注3)

大(注3)

風水害の激化による

サプライチェーン設備の被災

慢性

海面上昇

大(注4)

大(注4)

機会

市場

新規医薬品の研究開発による

新市場・地域の開拓

環境にやさしい低炭素容器包装への切り替え

 

(注) 1.財務影響: 大:100億円以上、中:10億円以上~100億円未満、小:10億円未満

2.SHIONOGIのScope1-3を対象としたワーストケースとして、約61億円と想定しております。IPCC1.5℃特別報告書を参考に、炭素税を20,575円/tCO2と社内設定して試算しております。

3.品質試験で用いるライセート試薬が調達できず、主力医薬品の一部が出荷停止する場合を想定しております。

4.ワーストケースとして、工場等の拠点移転が発生する場合を想定しております。

 

※詳細については、ウェブサイトをご覧ください。

https://www.shionogi.com/jp/ja/sustainability/environment/performance/climate/tcfd.html

 

c.リスク管理

気候変動のシナリオ分析では、気候変動が事業活動に影響を与える「移行リスク」「物理リスク」「機会」を網羅的に抽出し、抽出した各項目の財務影響と事業のレジリエンスを1.5℃、4℃のシナリオに分けて評価したのちに、対応優先度の評価と対応方針及び対応策の立案を行っております。また、気候変動を含む将来の事業環境に重大な影響を与える可能性のあるリスク・機会については全社的リスクマネジメント体制の中で影響度・発生可能性などを勘案した上で、その対応策の着実な実行を管理しております。これらリスクの特定から対応策の立案・推進に至る過程及び重要な事項は、経営会議及び取締役会に報告し、承認を得ております。

 

d.指標及び目標

中長期的な目標であるSHIONOGIグループEHS行動目標の一部に、気候変動に関するリスク低減を目的とした指標として「温室効果ガス(CO2)の排出の削減」を掲げております。また、2050年のカーボンニュートラルを目指して2030年度温室効果ガス排出削減目標としてSBT(Science Based Targets:科学的根拠に基づいた排出削減目標)を設定しております。この目標は2021年6月にSBTイニシアチブからの承認を取得しております。

SBTの2030年度達成目標に向けて、SHIONOGIグループ各事業所への段階的な再生可能エネルギー由来の電力の導入を進めており、2024年度末時点で塩野義製薬の主要サイト(本社、油日研究センター、CMCイノベーションセンター、医薬研究センター)に加え、シオノギファーマの主要工場の一つである摂津工場への導入を完了しております。また、各事業所における節電や省エネルギーの取り組みの推進も図ったことで、2024年度の自社排出は2019年度比で23.3%の削減となりました。引き続き、SBTならびに「SHIONOGIグループEHS行動目標」のもと、シオノギファーマの主要工場への導入を進めていくと共に、サプライチェーン排出の削減にも取り組むことで、SHIONOGIの脱炭素目標達成に向けた活動を推進していきます。

 

・温室効果ガス(CO2)排出量削減に向けた中長期目標

項目

目標(2019年度比)

自社排出(Scope1及び2)

温室効果ガスの排出量を2024年度までに10%削減する

温室効果ガスの排出量を2030年度までに46.2%削減する

温室効果ガスの排出量を2035年度までに60%削減する

サプライチェーン排出

(Scope3、カテゴリー1)

温室効果ガスの排出量を2024年度までに10%削減する

温室効果ガスの排出量を2030年度までに20%削減する

再生可能エネルギー電力導入率

2030年度に90%以上

 

 

・再生可能エネルギー由来の電力の導入実績・計画

導入年度

導入サイト

会社名

予実績

2021年度

本社

塩野義製薬株式会社

完了

2022年度

油日研究センター

塩野義製薬株式会社

完了

2023年度

CMCイノベーションセンター、

医薬研究センター

塩野義製薬株式会社

完了

尼崎事業所

シオノギファーマ株式会社

完了

2024年度

摂津工場

シオノギファーマ株式会社

完了

2025年度

金ケ崎工場(25%)

シオノギファーマ株式会社

予定

2026年度

金ケ崎工場(50%)、徳島工場

シオノギファーマ株式会社

予定

2027年度

金ケ崎工場(100%)

シオノギファーマ株式会社

予定

2028年度

秋田工場

シオノギファーマ株式会社

予定

2029年度

伊丹工場

シオノギファーマ株式会社

予定

2030年度

南京工場

南京長澳製薬有限公司

予定

 

 

 

温室効果ガス実排出実績の推移

目標設定している各項目については、括弧内に2019年度実績に対する比率を併記しております。

指標

単位

2019年度

(基準年度)

2021年度

2022年度

2023年度

(注1)

2024年度

(注2)

自社排出(Scope1及び2)の合計(注3)

トン-CO2

82,209

(100.0%)

84,164

(102.4%)

81,966

(99.7%)

72,023

(87.6%)

63,057

(76.7%)

Scope1(注3)

トン-CO2

39,960

41,264

41,376

40,373

40,090

Scope2(注3)

トン-CO2

42,249

42,900

40,589

31,650

22,967

サプライチェーン排出(Scope3)の合計

トン-CO2

155,416

142,198

141,111

142,919

179,157

カテゴリー1(注4)

トン-CO2

103,838

(100.0%)

71,462

(68.8%)

80,608

(77.6%)

81,528

(78.5%)

91,370

(88.0%)

その他のカテゴリー(注5)

トン-CO2

51,577

70,736

60,503

61,391

87,787

 

(注) 1.「塩野義製薬株式会社 統合報告書 2024」に記載した2023年度のScope1、Scope2及びScope3のカテゴリー1の温室効果ガス排出量データに対して第三者保証を受けております。

2.第三者保証を受けていない速報値です。今後、Scope1、Scope2、及びScope3のカテゴリー1の温室効果ガス排出量データについては、第三者保証を取得する予定にしております。2024年度の第三者保証を取得した確定値につきましては、2025年9月発行予定の当社統合報告書をご参照ください。

3.対象範囲は、SHIONOGIグループ(海外グループ会社(オフィス系)を除く):国内SHIONOGIグループ及び南京工場(南京長澳製薬有限公司)です。2019年度よりSBT目標のバウンダリーであるUMNファーマ株式会社(現シオノギファーマ株式会社)、ナガセ医薬品株式会社(現シオノギファーマ株式会社 伊丹工場)の排出量を含めております。

4.対象範囲は、塩野義製薬株式会社及びシオノギファーマ株式会社です。2022年度より消費税等を考慮した原単位を用いて算出しております。これに伴って、2021年度以前の排出量も消費税を考慮した原単位を用いて再計算しております。

5.「カテゴリー2・3・4・5・6・7・12」の合計です。自社の企業活動に含まれない、もしくは、他カテゴリーで計上した「カテゴリー8・9・10・11・13・14・15」を除外しております。対象範囲は、国内SHIONOGIグループ(カテゴリー4及び12についてはUMNファーマ株式会社(現シオノギファーマ株式会社)を除く)です。

 

・エネルギー消費量、電力使用量、再生可能エネルギー由来電力導入量の推移(注1)

目標設定している再生可能エネルギー由来導入率については、括弧内に導入比率を併記しております。

指標

単位

2019年度

(基準年度)

2021年度

2022年度

2023年度

(注2)

2024年度

(注3)

総エネルギー消費量

MWh

321,612

333,548

337,921

333,595

332,865

電力使用量

MWh

101,702

102,436

106,154

110,202

112,415

 内再生可能エネルギー由来電力

MWh

0

(0.0%)

612

(0.6%)

3,308

(3.1%)

44,988

(40.8%)

62,757

(55.8%)

 

(注) 1.対象範囲は、SHIONOGIグループ(海外グループ会社(オフィス系)を除く):国内SHIONOGIグループ及び南京工場(南京長澳製薬有限公司)です。2019年度よりSBT目標のバウンダリーであるUMNファーマ株式会社(現シオノギファーマ株式会社)、ナガセ医薬品株式会社(現シオノギファーマ株式会社 伊丹工場)の排出量を含めております。

2.「塩野義製薬株式会社 統合報告書 2024」に記載した2023年度の総エネルギー消費量データに対して第三者保証を受けております。

3.第三者保証を受けていない速報値です。今後、総エネルギー消費量データ及び再生可能エネルギー由来電力使用量データについては、第三者保証を取得する予定にしております。2024年度の第三者保証を取得した確定値につきましては、2025年9月発行予定の当社統合報告書をご参照ください。

 

 


 

※活動進捗については、ウェブサイトをご覧ください。

https://www.shionogi.com/jp/ja/sustainability/environment/performance/climate.html

 

 

(4)成長を支える人材の確保(人的資本の拡大)

a.戦略

SHIONOGIの中長期的な企業価値向上のためには、人材への投資を継続し、人的資本を拡大することが欠かせません。SHIONOGIでは「人が競争力の源泉」という人材育成理念のもと、目指すべき人材像 (SHIONOGI Way) 「他者を惹きつける強みを持ち、貪欲に知識とスキルを高めつつ、積極的に挑戦しやり遂げる人」を定め、自律的な学びによる成長を後押しし、グローバルな競争に勝ち抜ける強い個人の育成と多様な人材を生かす組織の構築に取り組んでおります。特に、SHIONOGIにおける各種職種に求められるスキルおよびスキルレベルを定義し、マネジャーが従業員一人ひとりのアセスメントを実施することで、従業員のスキルレベルの可視化を進めております。本アセスメント結果を基に、SHIONOGI Group Vision 達成に向けて不足している人材やスキルを補うために、社内人材の育成支援を推進するとともに、外部人材の採用も積極的に行っております。

SHIONOGIは、従業員がHeritageを始めとする経営理念やVisionに共感し、その理解を深めることが、ステークホルダーズに対する主体的な貢献意欲が高まることにつながり、結果として持続的な企業価値の向上に寄与すると考えております。すなわち、人的資本の向上、特に従業員エンゲージメントの向上が企業価値の向上に寄与する重要な指標と考えております。そうした考えのもと、ライフスタイルやキャリア形成に対する意識、ニーズが多様化する中、従業員のSHIONOGIに対するエンゲージメントを高め、SHIONOGIの成長に貢献する最高のパフォーマンスを引き出すには、働きやすい環境を整備し、一人ひとりのやりがいを高めるとともに健康増進に向けた取り組みを推進することが重要と考えております。SHIONOGIではこれまで所定労働時間の短縮やスーパーフレックスタイム制、在宅勤務、選択週休制度(週休3日)、兼業や副業の許可、自己啓発を支援する様々な制度や仕組みの導入等、様々な属性の従業員が活躍できる施策の導入、環境整備を推進してきました。また、従業員の健康保持・増進の観点では、「SHIONOGIグループ健康基本方針」のもと、健康経営の推進に取り組んでおり、執行役員を健康経営執行責任者とし、産業医、看護職、塩野義健康保険組合、労働組合等と協働した体制を構築し、健康課題の設定とその改善に向けた各種施策の実行を推進しております。

従業員がSHIONOGI Wayを体現し、SHIONOGI Group Vision の実現に貢献するため、SHIONOGIでは原動力となる人的資本の拡大に向けた各種施策を推進しております。

 


 

 

b.指標及び目標

人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績

 

区分

指標

実績

目標

2021年度

2022年度

2023年度

2024年度

多様な人材の確保

管理職に占める
女性従業員の比率

(注2、3)

12.4%

14.2%

14.7%

16.4

15%以上

(2025年度)

誰もが働きやすい

環境・風土の醸成

男性育児休業の
取得率
(注2、4)

53.3%

65.5%

76.0

50%以上

(2025年度)

男性育児休業の
14日以上取得率

(注2、4)

50.9%

64.1

25%以上

(2023-2025年度)

他者を惹きつける

強みを持つ

人材の育成

自己投資支援制度の
利用率
(注5)

45.6%

44.8%

46.5%

55.0

60%以上

健康経営の推進

(健康管理・

労働安全衛生)

従業員・管理職の
教育受講率

(注6)

78%

93%

96%

96

95%以上

健康診断受診率

100%

100%

100%

100

100

ストレス反応偏差値

(注7)

54

55

49

49

55以上

喫煙率(注8)

7.1%

5.0%

3.2%

3.0

0

 

(注) 1.当社グループでは人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標については関連する指標データ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、上の指標に関する目標及び実績は国内グループ連結におけるものを記載しております。

2.提出会社での実績は、「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。

3.従業員数は翌年度4月1日時点により算出しております。部下を持つ職務の者を管理職としております。

4.当該年度に誕生した子供を有する社員のうち、育児休業を取得した社員の割合を記載しております。

5.組合員を対象とした自発的な学びを支援する制度(年間25万円を上限とする)。2025年度は対象を幹部職層に広げ、かつ5万円を増額し、年間30万円を上限とします。

6.メンタルヘルス研修(セルフケア、ラインケア)及び毎年テーマを設定して実施する健康関連研修の受講率のうち最小値を記載しております。

7.2023年度実績より算出条件が変更になっております。

8.2024年度目標としていた0%は達成できなかったものの、禁煙に着手した2020年度から大きく低下しました。今後も引き続き禁煙の促進に取り組みます。

 

3 【事業等のリスク】

SHIONOGIは、事業機会の創出及びリスクの回避や低減など適切なマネジメントを行うとともに、パンデミック、自然災害、テロやサイバー攻撃などのクライシスマネジメントも含めたグループ全体のビジネスリスクを統括する全社的リスクマネジメント(ERM:Enterprise Risk Management)体制を経営戦略・経営基盤の重要な仕組みとしております。

全社的リスクマネジメントの運用・管理は、業績及び経営に重大な影響を及ぼす可能性があると評価した重要なリスクを、戦略の意思決定に内在及び戦略の遂行を阻害する「事業戦略上のリスク」、経営目標を支える業務遂行に影響を与える「事業遂行上のリスク」の2つに分類し、責任の明確化及び対応状況の透明化を図ることで包括的なリスク管理を行っています。これらのリスクは経営会議及び取締役会にて審議・承認されています。

「事業戦略上のリスク及び事業遂行上のリスク」については、四半期ごとに経営会議で議論を行い、リスクリストの更新、対応すべきリスクの特定及び責任管掌の任命を行っています。責任管掌は他管掌を含む関連組織と連携を図りながら、不確実性を機会として活かす、あるいは低減するための 対応計画の立案・推進を行い、経営会議で進捗状況をモニタリングしています。

また、管掌は自管掌下におけるリスクにリスクオーナーを任命して モニタリングし、リスクの影響度や発生可能性を勘案した上で、必要に応じて「事業戦略上のリスクまたは事業遂行上のリスク」として経営会議へエスカレーションする責務を担っています。この管掌を中心としたリスク管理体制を取ることで、期中においても迅速かつ柔軟に課題の抽出、対応計画 の立案・推進を行っております。

クライシスマネジメントについては、危機管理規則等に基づき、事業継続計画を含む総合的な管理体制のもと、人命を尊重し、地域社会への配慮、貢献及び企業価値毀損の抑制を主眼とした管理を推進し、クライシスが発生した場合には速やかに対処し、当該クライシスを克服するよう努めております。

また、リスクマネジメントの実効性を高めるため、「内部統制システムの整備・運用に関する基本方針」に基づき業務の適正を確保する体制の整備・運用にも注力しております。

これらの活動は定期的に経営会議及び取締役会に報告され、取締役より助言を得ることで改善を図るなど、リスクマネジメント活動を監督する体制を構築しています。

なお、文中の将来に関する事項及びリスクは、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 


 

 

1.事業戦略上のリスク

(1)感染症領域を中心としたグローバルな成長 

<概要>

感染症領域は収益が流行に左右されやすく、他の疾患領域と比較して市場の予見性が低く、薬剤の開発に成功しても投資回収に至らないケースがあります。また、耐性菌の発現率を減少させることを目的とし、治療選択肢が限られている場合にのみ新規抗菌薬を使用することに主眼が置かれており、抗菌薬の将来的な市場予測が非常に難しくなっております。一方、昨今の感染症に対する社会的関心の高まりから、SHIONOGIではこれらを機会として捉えており、マテリアリティにも「感染症の脅威からの解放」を定めております。

SHIONOGIは、「薬剤耐性(AMR)治療薬」、「HIV治療薬」、「ワクチン」、「急性呼吸器感染症治療薬」を組み合わせ、最適な収益モデルを構築することで、疾患トータルとしてサステイナブルなビジネスとすることに取り組んでおります。特に急性呼吸器感染症においては、インフルエンザ・COVID-19、RSウイルス感染症の治療・予防薬をグローバルに展開することで、安定から“成長”ステージへの進展を目指しています。

これまでSHIONOGIは海外展開品の多くをパートナー企業との提携を軸に取り組み、製品売上高の一部からロイヤリティーを取得してきました。HIV事業を中心に今後もこうしたパートナーとの関係を良好に保ちつつ、SHIONOGI創製品の欧・米・亜における開発、薬事申請並びに承認取得、マーケティング・販売などの事業活動や、低中所得国への展開など医療アクセスの向上に向けた活動をSHIONOGIが主体となって取り組んで行けるよう、グローバル展開を強化する必要があります。

しかしながら、当初想定していた開発計画や販売戦略が遅延・失敗した場合、将来に期待されていた治療薬やワクチンの創出や売上収益が実現できない場合など、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

<主な対応・取り組み>

・COVID-19、インフルエンザ治療薬の販売と適正使用の推進

・薬剤耐性(AMR)治療薬セフィデロコルの販売拡大

・COVID-19、インフルエンザ予防ワクチンの開発

・HIVとともに生きる人々のQOLを高める長時間作用型の治療・予防薬の研究開発

・アンメットニーズの高い感染症(結核・マラリア・非結核性抗酸菌症等)における新たな治療の研究開発

・治療に加え、未病、予防、検査、診断、予後なども含めた疾患のトータルケアを実現する製品・サービスの創出

・海外展開品目のグローバル開発・承認申請の実施と海外生産・流通・販売体制のさらなる整備

・備蓄やサブスクリプション償還モデルの拡大など、各国政府や規制当局との交渉

 

(2) パイプラインの拡充

<概要>

SHIONOGIは、誰もが自分らしく生き生きとした生活を送ることができる社会の実現を目指し、薬剤をはじめとした人々の困りごとを解決するヘルスケアソリューションの研究開発に取り組んでおります。

医薬品の研究開発においては長い期間と多額の投資を必要とするうえに、臨床試験で期待した効果を得られず、承認が得られない可能性があります。

このように不確実性の高い中、創薬の成功確率を高めて医療ニーズを満たす魅力あるパイプラインを形成していくためには、SHIONOGIが培ってきた感染症や低分子医薬品の研究開発技術に加えて、新規モダリティの獲得や外部ネットワークの活用、積極的な投資による外部からの成長ドライバーの獲得、それらに対応する人材の育成が不可欠です。また、医薬品のみでは解決しきれない患者さまや社会が抱える多様な困りごとを解決する機会と捉え、従来の医薬品のパテントに基づく収益に偏重したビジネスモデルを転換し、ワクチン及び新しいヘルスケアサービスの提供にも挑戦しております。医療用医薬品ビジネスとそれ以外のビジネスとのバランスを図ることでパテント切れによる収益の変動を緩和することが必要と考えております。

<主な対応・取り組み>

・新たなモダリティ・技術への挑戦

・外部との協創によるものづくりの推進

・インライセンスなど成長ドライバーへの積極投資

・最先端の研究開発能力を確保するための人材育成

・高い自社創薬比率の維持

・デジタルアプリなど、従来の治療薬にとどまらない革新的な治療選択肢の開発

・すべての人々が活躍できる環境整備に必要なサービスの開発

 

(3) 人的資本マネジメント

<概要>

SHIONOGIが事業モデルの転換を図り、STS2030 Revisionで目標とする成長を実現していくためには、従業員一人ひとりが変革を牽引する「競争力の源泉」となり、SHIONOGIがそうした強みを持つ多様な人材の集団として構成されている必要があります。そのために2030年のVision達成に向けた人的資本マネジメントを事業機会と捉え、戦略上の主要テーマとして設定しております。外部人材の登用や能力重視の人材登用を進めることで人材ポートフォリオの変革を行い、多様な価値観を持った人材の融合を実現し、2030年Visionの実現を目指しています。従業員が目指すべき人材像を「Shionogi Way:他者を惹きつける強みを持ち、貪欲に知識とスキルを高めつつ、積極的に挑戦しやり遂げる人」と定め、様々な施策を通じて、全員が備えるべき能力や個々の役割ごとに求められる能力の獲得を促しております。また、キャリア採用を強化し、不足している専門性を獲得していきます。加えて、各種制度や仕組みを整備することで、多様な人材がエンゲージメントを高め、活躍できる環境の整備も進めております。さらに、それらの取り組みを行う上で必要な従業員の健康や作業者の安全の確保にも努めております。

しかしながら、施策や人材獲得の失敗、従業員の健康や安全に影響を及ぼす事象の発生などの阻害要因が生じた場合には、SHIONOGIの人的資本の価値が毀損され、SHIONOGIの変革が停滞し、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

<主な対応・取り組み>

・キャリア採用強化

・人事制度の改定

・様々な属性が活躍できる働き方改革

・チャレンジを歓迎し賞賛するイベントの実施

・各事業所におけるEHSマネジメントシステムの運用強化

・原薬の作業者暴露に関する暴露基準(OEL)設定の推進

・作業者暴露に関する取扱い基準の設定と運用

 

(4) DX変革の実現

<概要>

SHIONOGIは昨今の技術革新やそれを取り巻くダイナミックな環境変化を機会と捉えており、STS2030 Revisionにおいて、意思決定のスピードを加速させ、データに基づく新たな価値創造を実現するため、あらゆる活動でデジタルトランスフォーメーションに取り組むことを大きなテーマとして掲げております。従来のビジネスモデルの変革が求められる中、AIやITを活用した生産性の向上は必須であり、その実現に向けた取り組みの停滞が生じた場合には、SHIONOGIの業績のみならず企業価値向上に重要な影響を及ぼす可能性があります。

<主な対応・取り組み>

・グローバルIT基盤の構築

・AI創薬の実践、AI活用による市中在庫予測などのビジネスモデル/オペレーション変革

・疾病の診断・治療を目的とした医療機器プログラム(SaMD)、疾患検知アルゴリズムの開発

・業務効率化と新たな価値創造を実現するデータ利活用基盤の整備 

・デジタルコア人材を輩出する育成施策の実施

 

2.事業遂行上のリスク 

(1) 品質

<概要>

SHIONOGIは医薬品等の製造管理及び品質管理の基準(GMP)や医薬品規制調和国際会議(ICH)ガイドライン等の薬事関連法規に準拠した厳格な品質管理体制のもと製品の製造及び委託製造を行っております。また、厚生労働省、米国食品医薬品局(FDA)や欧州医薬品庁(EMA)等の所管当局の査察を受け、製造販売の認可を取得しておりますが、何らかの原因により、品質不良やロット不適が発生するなどの品質問題が発生した場合、以下のリスクが想定されます。

・製品由来のレピュテーションの低下

・承認書と製造実態の不整合による品質不良、出荷停止、回収、行政処分による業務停止等

・データ完全性の不備による回収や当局査察での重大な指摘

・企業の信頼低下

<主な対応・取り組み>

・SHIONOGIグループ品質ポリシーの制定・推進

・社内における教育イベント等の開催による品質の重要性の理解浸透

・Quality Cultureの醸成活動等の推進

・製造所監査等を通じた管理監督活動

・社内関連部署との連携会議等によるBad News Fast/Firstの体制強化

 

(2) グローバルサプライチェーンマネジメント

<概要>

大地震や暴風雨、洪水などの自然災害やパンデミックの発生、または米中経済対立や台湾有事などの地政学的影響や人権・環境などのサステイナビリティの観点による影響などでサプライチェーンに問題が生じた場合、以下のリスクが想定されます。

・工場の操業停止

・原材料や製商品の調達困難

・卸物流網の寸断並びに情報の停滞

・医薬品の安定供給に対する重大な影響

・社会や公衆衛生への悪影響 

<主な対応・取り組み>

・保有在庫量の独自基準に基づく在庫管理

・一部製品に含有される原薬の国内製造体制の構築

・製品の安定供給のための原材料調達先分散(地政学的リスクの高い原材料のセカンドベンダーの選定)

・優先して供給すべきBCP品目の設定及び定期的な見直し

・サプライヤーに対するデューディリジェンス並びに監査の実施と改善要求

・サプライヤーに対する「SHIONOGIグループビジネスパートナーに求める行動規範」への同意取得

・「マルチステークホルダー方針」に則った取引先への配慮

・取引卸との円滑な連携と災害時対策の協議・立案

・卸並びに市中在庫の透明化

・危機管理体制及び危機管理規程類の見直し

 

(3) ITセキュリティ・情報管理

<概要>

個人情報を含む多くの機密情報を保有し、アウトソーシング先を含めて各種ITシステムを利活用している中、従業員及びアウトソーシング企業などの不注意または故意による行為、あるいは悪意を持った第三者によるサイバー攻撃などにより、ITセキュリティが脅かされた場合、以下のリスクが想定されます。

・重要システム停止による事業の継続困難

・個人情報を含む機密情報の流出

・損害賠償請求などの法的な損害や事後対応に係る費用などの発生

・業績やレピュテーションの低下

<主な対応・取り組み>

・グループ従業員に対する情報管理や個人情報の重要性に対する認識や個人情報保護に関する法令遵守の必要性及びSHIONOGIグループグローバルプライバシーポリシーについての教育の徹底

・サイバー攻撃や大規模災害などの危機事象発生に備えたIT-BCP体制構築プロジェクトの推進

・ITインフラの整備、情報セキュリティ基盤の強化・運用の改善

・グローバルセキュリティアセスメントの結果に基づくグループ全体でのネットワーク体制の強化

 

(4) 製品安全

<概要>

医薬品は、世界各国の所轄官庁の厳しい審査を経て承認を受け販売しております。市販後は、安全性情報を収集し、医薬品の安全性確保及び適正使用のために必要な対策を実施しております。また、当社はHaaS企業として医薬品以外の製品・サービスの販売を拡充しております。製品・サービスによっては世界的に審査基準が未策定な分野も存在することから、所轄官庁との個別議論により製品・サービスそのものの安全性を確保することが重要です。また、医薬品を含む製品・サービスを適切に使用して頂くことも重要であるため、顧客に対する当該疾患に関する情報発信・啓発を実施しています。医薬品や製品サービスに対して予期せぬ副作用や不具合の発生及び副作用報告の漏れや遅延、不具合への対応の遅れ等が発生した場合、あるいは当社からの情報発信内容に誤りがあった場合、以下のリスクが想定されます。

・製品の販売中止や回収

・健康被害に関する損害賠償訴訟の提起

・業績やレピュテーションへの影響

<主な対応・取り組み>

・副作用や不具合等の安全に関する情報を適切に収集・分析・評価・報告する体制の強化及びシステムの構築

・副作用や不具合等の拡大や被害の抑制につながる全従業員教育の実施

・経営層を対象とした製品安全に関する教育の実施

・医薬品の副作用等に基づく医療被害補償の保険加入

・提供情報や啓発内容に対する専門家による監修及び社内審査の実施、内容の定期更新の実施

 

(5) コンプライアンス

<概要>

SHIONOGIではコンプライアンスを法律、規則、規制等の遵守に留まらず、社会規範の遵守、更には企業・社会人としての倫理的行動を含むという認識のもと、事業活動遂行における法令違反、社会規範の逸脱、倫理に反する行為・行動を重要なリスクと捉えており、当該リスクが顕在化した場合、以下の影響が想定されます。

レピュテーションの低下

・ステークホルダーからの信頼の失墜

・経営成績及び財政状態の悪化

<主な対応・取り組み>

・SHIONOGIグループ コード・オブ・コンダクトの制定・推進

・Global Compliance & Quality Weekを通じた、グループ全従業員のコンプライアンス意識の強化

・組織の構成に応じたコンプライアンス推進体制の運用

・代表取締役会長兼社長CEOを委員長としたコンプライアンス委員会の開催(年4回)

・コンプライアンス委員会活動状況の取締役会への報告(年2回)

・全従業員対象のコンプライアンス意識調査の実施と各組織への分析結果のフィードバック

・行動に迷った際に、立ち止まって自らの行動の是非を見つめ直すための5つのチェック項目に関するグローバル全社員への教育の実施

 

(6) 環境

<概要>

医薬品の研究、開発、製造等の事業活動を行う過程において、環境や生態系などに影響を及ぼす事象が発生する可能性があります。それらによる被害が顕在化した場合、以下のリスクが想定されます。

・施設や設備の稼働停止や対策・復旧/改修費用の発生

・損害賠償訴訟の提起、補償費用の支払い

・業績やレピュテーションの低下

<主な対応・取り組み>

・EHSポリシー・EHS行動規範の制定によるガバナンスの強化

・環境及び安全衛生(EHS)統括管理体制の整備

・環境マテリアリティ並びにEHSに関する中期行動計画の推進

・各事業所における、ISO14001、ISO45001並びにそれらに準じたEHSマネジメントシステムの運用強化

・関連法令を遵守するとともに、より厳しい自主管理基準・目標を策定して対応を実施

 

(7) 他社とのパートナーシップ

<概要>

事業パートナーとの協業は、経営資源や内部情報を互いに提供し、相互の強みを活かして事業強化を図ることが目的ですが、以下のリスクが想定されます。

・パートナーによる自社技術やノウハウの業務提携目的外の利用

・自社による意図しない他社技術の無断利用や知的財産の侵害による訴訟

・自社による機密情報の漏洩

・他社による機密情報の漏洩によるブランドイメージやレピュテーション、投資家からの信頼の低下

<主な対応・取り組み>

・パートナーとコミュニケーションを充実させることによる認識の齟齬の解消、信頼関係の維持・向上

・想定されるリスクを織り込んだ秘密保持契約の締結

・知的財産権の取り扱いや損害賠償に関する事項などを明確化した契約の締結

・問題点や侵害リスクの調査を目的とした知的財産の定期的な点検による訴訟リスクの回避

・データの適切な暗号化やアクセス制御の強化、ファイヤーウォールによる外部からの不正アクセスの防止、セキュリティ監視体制の整備などによる情報管理体制の構築

・パートナーへ共有する情報の最小化と情報共有ルールの整備

・共有する情報の使用状況やアクセスログを監視する体制の整備

・パートナー企業の情報管理体制の定期的な監査と評価

・パートナー企業の信頼性や財務状況、法的な問題などについて多角的な観点からのデューディリジェンスの実施

・問題点や改善点の早期発見を目的としたパートナーシップの定期的な監査と評価の実施

 

(8) 知的財産

<概要>

SHIONOGIの製品は、知的財産権(特許権等)により保護されて利益を生み出しますが、グループ会社の増加や事業領域の変化・拡大等の要因により種々の知的財産が充分に保護できない恐れや、第三者の知的財産権を侵害する可能性があります。

SHIONOGIが保有する知的財産権が第三者から侵害を受けた場合あるいはSHIONOGIの製品が第三者の知的財産権を侵害した場合には、以下のリスクが想定されます。

・期待される収益が失われることによる経営成績及び財政状態の悪化

・知的財産権保護のための係争や訴訟

・損害賠償金の支払い

・当該製品の製造販売の差止め

・企業ブランドやレピュテーションの低下

 

<主な対応・取り組み>

・知的財産権の適切な権利化と管理体制の整備、第三者による権利侵害に対する継続的な監視

・事業活動にあたっては、侵害予防調査の実施

・導出入活動における知財デューディリジェンスの実施など、侵害予防のための体制の整備

・e-Learning等による従業員教育の定期的な実施

 

(9) 制度・行政

<概要>

医薬品事業は、各国・地域の政策により様々な規制を受けております。医療保険財政のひっ迫に加え、米国インフレ抑制法(IRA)等により、特に先進諸国で薬剤費抑制の圧力がさらに強まる可能性があります。また、米国を始めとする世界各国での政権変化に伴う政策、国際関係への影響を注視する必要があります。我が国においては、高齢化進展に伴う医療費増加を見越した医療保険制度改革や毎年の薬価改定など、行政施策の動向がSHIONOGIの業績に影響を与える可能性があります。また、医薬品の開発、製造などに関連する国内外の規制の変更により、追加的な費用や新たな対応が発生する可能性があります。それらが顕在化した場合、以下のリスクが想定されます。

・医療用医薬品事業の予見性の低下

・創出したイノベーションの価値と乖離した薬価の算定

・医薬品、ワクチン等の研究開発の遅れや供給不安

・医薬品、ワクチン等の売上高・利益の減少

<主な対応・取り組み>

・革新的な医薬品やヘルスケアサービスの創出と社会が許容できる価格での提供

・創出したイノベーションの価値を示すエビデンスの構築

・業界団体活動を通じ、イノベーションの価値を訴求する取り組みの推進

・薬価制度や医薬品等の研究開発・製造・販売の各種規制などに関する最新情報の入手と迅速な対処

 

上記の重要なリスクに加え、訴訟、パンデミック・自然災害、金融市場・為替動向など、SHIONOGIの経営成績及び財務状態に影響を及ぼす可能性のある様々なリスクが存在します。ここに掲載されたものが、SHIONOGIのすべてのリスクではありません。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

経営者の視点による当社グループ(当社及び連結子会社)の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

また、当社グループの事業は、医療用医薬品の研究開発、仕入、製造、販売並びにこれらの付随業務を事業内容とする単一セグメントであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

① 経営成績等
a.財政状態

当連結会計年度末の資産合計は1兆5,353億49百万円で、前連結会計年度末に比べて1,184億31百万円増加しました。

非流動資産は、6,768億44百万円で、仕掛研究開発資産等の無形資産や使用権資産、その他の金融資産の増加等により前連結会計年度末に比べて441億32百万円増加となりました。流動資産は8,585億4百万円で、3ヶ月超の定期預金および債券(流動資産のその他の金融資産に含みます)の増減、現金及び現金同等物やその他の流動資産の増加等の結果、前連結会計年度末に比べて742億98百万円増加しました。

資本については1兆3,624億97百万円となりました。配当金の支払があった一方で、当期利益の計上により、前連結会計年度末に比べて1,099億34百万円増加しました。

負債については1,728億52百万円で、前連結会計年度末に比べて84億96百万円増加しました。

非流動負債は434億59百万円で、リース負債の増加等により前連結会計年度末に比べて130億10百万円増加しました。流動負債は1,293億92百万円で、その他の金融負債の減少等により、前連結会計年度末に比べて45億14百万円減少しました。

 

b.経営成績

当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)の経営成績は、以下のとおりであります。

(単位:百万円)

 

当連結会計年度

前連結会計年度

増減

増減率(%)

売上収益

438,268

410,073

28,195

6.9

売上収益(ライセンス移管に伴う利益含む)

438,268

435,081

3,186

0.7

営業利益

156,603

153,310

3,292

2.1

コア営業利益※1

158,362

170,421

△12,059

△7.1

税引前利益

200,750

198,283

2,466

1.2

親会社の所有者に帰属する

当期利益

170,435

162,030

8,405

5.2

EBITDA※2

179,296

188,745

△9,449

△5.0

 

※1 コア営業利益:営業利益から非経常的な項目(減損損失、有形固定資産売却益など)を調整した利益

※2 Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation, and Amortization:コア営業利益に減価償却費を加えた利益

 

 

売上収益(ライセンス移管に伴う利益を含む)につきましては4,383億円(前期比0.7%増)となりました。前連結会計年度はADHD治療薬のライセンス移管に伴う一時金250億円が計上されていましたが、海外事業およびロイヤリティー収入の増加を中心に、各事業が伸展した結果、当連結会計年度の売上収益は前連結会計年度を上回り、3年連続で過去最高の売上収益を更新する結果となりました。

利益面につきまして、売上収益に占める製品構成の変化に伴う売上原価の増加に加え、主要な開発プロジェクトへの積極的な投資や為替の影響による研究開発費の増加、さらにはグローバル展開に伴う販売費及び一般管理費の増加等により、費用は前連結会計年度に比べて増加しました。一方で、前連結会計年度は特別早期退職プログラムの実施による一過的な費用が発生したこともあり、費用全体の増加幅は限定的となりました。結果として費用は増加したものの、各事業の伸展により売上収益が増加したことで、営業利益は1,566億円(同2.1%増)となりました。また、税引前利益につきましては2,008億円(同1.2%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益につきましては1,704億円(同5.2%増)、EBITDAにつきましては1,793億円(同5.0%減)となりました。

当連結会計年度は、グローバル展開や中長期の成長に向けた新規事業ならびに成長ドライバーに対する積極投資を行ったことで、売上収益と営業利益について3年連続で過去最高業績を更新する結果となりました。

 

・国内医療用医薬品

国内の医療用医薬品の売上収益は988億円(前期比34.6%減)となりました。これは、前連結会計年度に計上されたADHD治療薬のライセンス移管に伴う一時金250億円の影響に加え、感染症薬の売上が減少したことが主な要因です。前連結会計年度と比較して、 COVID-19の流行が極めて低調に推移したことで、ゾコーバの売上は減少しました。一方で、COVID-19治療薬市場におけるゾコーバのシェアは、前連結会計年度と比較して大きく拡大しました。また、インフルエンザ治療薬のゾフルーザについても高い市場シェアを獲得し、今冬のインフルエンザの流行拡大時には着実に売上を計上しました。

各製品はそれぞれの治療薬市場において、計画通りのシェアを獲得しており、今後も流行が拡大した際には安定して業績に貢献することが期待されます。当連結会計年度のCOVID-19関連製品およびインフルエンザ関連製品(ゾフルーザ、ラピアクタ)の売上収益の合計は518億円となりました。また、当連結会計年度においては2024年12月より不眠症治療薬クービビックの販売を新たに開始しました。

 

・海外子会社および輸出

海外事業における売上収益は591億円(前期比18.4%増)となりました。欧米市場ではセフィデロコル(米国の製品名:Fetroja、欧州の製品名:Fetcroja)の販売が好調に推移し、米国事業は234億円(同30.6%増)、欧州事業は168億円(同24.0%増)の売上収益となりました。セフィデロコルの成長の要因としては、既上市国における臨床エビデンスの蓄積による市場浸透が挙げられます。引き続き、セフィデロコルの販売国の拡大や既上市国でのさらなる浸透、サブスクリプション型償還モデルの採用国の拡大を通じ、欧米事業の成長を促進してまいります。中国における売上収益は、87億円(同18.3%減)と対前年で減収となりましたが、一方でセフィデロコルの承認申請の実施や、ナルデメジンの第3相臨床試験での主要評価項目の達成など、新薬ビジネスへの転換に向けて着実に事業を進展させることができました。

 

※ 抗菌薬の処方量と切り離し、国が開発企業に対して固定報酬を支払う代わりに、必要なときに抗菌薬を受け取ることができるモデル

 

・ロイヤリティー収入およびヴィーブ社からの配当金収入

ヴィーブ社からのロイヤリティー収入は、 経口2剤合剤や長時間作用型製剤(Long Acting製剤:LA製剤)の力強い成長に加え、為替の影響もあり、2,404億円(前期比22.8%増)となりました。その他のロイヤリティー収入は、43億円(同6.8%減)となりました。

ヴィーブ社からの配当金は、ヴィーブ社のビジネスが順調に進捗したことで、403億円(同18.8%増)となりました。

以上の結果から、当連結会計年度のロイヤリティー収入およびヴィーブ社からの配当金収入の合計は、2,850億円(同21.6%増)となり、過去最高の金額を更新しました。

 

・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しましたとおり、当社グループは、2023年6月にSTS2030を改定し、STS2030 Revisionとして再策定しました。

STS2030 Revisionでは、達成すべき財務経営指標として3つの成長性指標と3つの株主還元指標を設定しました。成長性指標については、トップラインの成長を優先して進めていくことから売上収益、またその成長をグローバルに成し遂げていくことから海外売上高 CAGR(Compound Annual Growth Rate:年平均成長率)、そして成長に向けた積極的な投資を行っていくことと稼ぐ力を測るためにEBITDA(Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation, and Amortization:利払い・税引き・償却前利益、コア営業利益に減価償却費を加えた利益)の3つを設定しております。また、株主還元指標として、事業成長と財務施策の観点からEPS、DOE、ROEの3つを継続して設定しております。

主要事業の状況については、HIV事業が引き続き堅調な成長を遂げ、セフィデロコルを中心とした海外事業も順調に推移しております。エンシトレルビルに関しては当初計画からやや後ろ倒しとなりましたが、米国での承認申請を完了し、今後のグローバル展開が本格化する見込みです。また、2025年5月7日付で発表しました日本たばこ産業(JT)株式会社グループの医薬事業の買収に伴い、国内売上比率が一時的に上昇する見通しです。

こうした事業環境の変化を踏まえ、STS Phase 2における主要成長性指標を見直し、2025年度の売上収益目標を5,500億円から5,300億円へ、EBITDA目標を2,000億円から1,960億円へと修正いたしました。また、海外売上高CAGRについては、エンシトレルビルのグローバル展開が本格化する2026年度以降を見据え、改めて設定する予定です。

今後も感染症領域を中心にグローバルでのトップライン成長を図るとともに、強固な財務基盤を活用して、価値に見合ったM&Aや導入、アライアンス等を積極的に実行することで、新たな収益源の創出にも取り組んでまいります。これにより、設定した経営指標の達成を目指してまいります。

 

業績評価指標(KPI)

2024年度

実績

2025年度
目標

2030年度
目標

成長性

売上収益

4,383億円

5,300億円

8,000億円

海外売上高 CAGR

(ロイヤリティー収入を除く)

17.9%

成長計画を見直し

(次年度以降の成長を見据え、 KPIを再設定する予定)

成長計画を見直し

(次年度以降の成長を見据え、 KPIを再設定する予定)

EBITDA

1,793億円

1,960億円

株主還元

EPS

200.36円

200円以上

DOE

4.0%

4%

ROE

13.1%

14%以上

 

※  当社は、2024年10月1日を効力発生日として、普通株式1株につき3株の割合をもって株式分割を行っております。2024年度実績及び2025年度目標のEPSには株式分割後の数値を記載しております。

 

 

c.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益の増加、営業債権の減少、法人所得税の支払額の減少等により、前連結会計年度に比べて411億76百万円多い1,954億60百万円の収入となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、無形資産の取得による支出の増加や定期預金の増減等により、前連結会計年度に比べて1,220億2百万円多い1,160億80百万円の支出となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いが増加した一方で、自己株式の取得による支出が前連結会計年度に比べて減少したことにより、前連結会計年度に比べて619億44百万円少ない649億8百万円の支出となりました。

これらを合わせた当連結会計年度の現金及び現金同等物の増減額は167億4百万円の増加となり、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は、3,747億95百万円となりました。

 

〔キャッシュ・フロー指標のトレンド〕

 

2023年3月

2024年3月

2025年3月

親会社所有者帰属持分比率

83.9

87.2

88.7

時価ベースの親会社所有者
帰属持分比率

134.1

155.1

124.4

キャッシュ・フロー

対有利子負債比率

0.1

 

0.1

 

0.1

 

インタレスト・

カバレッジ・レシオ

1,885.3

 

937.5

 

639.7

 

 

(注) 親会社所有者帰属持分比率:親会社の所有者に帰属する持分/資産合計

時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/資産合計

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

1.指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

2.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

3.キャッシュ・フローは営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。

4.有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を払っている全ての負債を対象としております。

 

② 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績

当連結会計年度における生産実績は次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

医薬品事業

119,870

        △30.6

 

(注) 金額は、正味販売見込価格により算出したものであります。

 

b.商品仕入実績

当連結会計年度における商品仕入実績は次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

医薬品事業

11,601

        △12.8

 

(注) 金額は、実際仕入額によっております。

 

c.受注状況

当社グループは、主として販売計画に基づいて生産計画をたてて生産しております。

当社及び一部の連結子会社で受注生産を行っておりますが、受注高及び受注残高の金額に重要性はありません。

 

d.販売実績

当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

医薬品事業

438,268

6.9

 

(注) 1.販売金額は、外部顧客に対する売上収益を表示しております。

2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

ViiV Healthcare Ltd.

195,782

47.7

240,404

54.9

株式会社スズケン

50,444

12.3

 

※当連結会計年度の株式会社スズケンに対する販売実績は、総販売実績に対する割合が10%未満であるため、記載を省略しております。

 

(2) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、IFRS会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。重要性がある会計方針及び見積りの詳細等につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (4) 重要な会計上の判断、見積り及び仮定」をご参照ください。

 

 

5 【重要な契約等】

1.当社の当連結会計年度における重要な契約等は次のとおりです。

(1) 技術導入等

 

相手先

国名

技術の内容

地域

対価の支払

契約期間

MUNDIPHARMA B.V.

オランダ

硫酸モルヒネ徐放錠に関する技術及び商標使用許諾

日本

一定料率のロイヤリティー

1986.7~

MUNDIPHARMA B.V.

オランダ

塩酸オキシコドンに関する技術及び商標使用許諾

日本

契約金

一定料率のロイヤリティー

一時金

1992.12~

上市後15年間

但し、当該期間中にロイヤルティ料率を再合意した場合は、契約期間が延長される

SANOFI AVENTIS

フランス

降圧剤イルベサルタンに関する技術及び商標使用許諾

日本

契約金

原薬購入

1996.3~

製品の承認取得日から15年又は特許権存続期間のどちらか長い方

以降5年毎の自動更新

MARNAC, INC.

/KDL, INC.

アメリカ

日本

抗線維化剤ピルフェニドンに関する技術

日本

韓国

台湾

契約金

1996.11~

バイエル薬品株式会社

日本

抗アレルギー剤ロラタジンの共同開発・販売権及び商標使用許諾

日本

製品購入

1999.1~

以降3年毎の自動更新

BIOCRYST PHARMACEUTICALS, INC.

アメリカ

抗インフルエンザウイルス剤ペラミビルに関する技術

日本

台湾

契約金

一定料率のロイヤリティー

2007.2~

製品の発売から10年又は特許権存続期間のどちらか長い方

オンコセラピー・サイエンス株式会社

日本

癌ペプチドワクチンに関する技術

全世界

契約金

一定料率のロイヤリティー

2009.2~

製品の最初の承認取得日から15年

以降2年毎の自動更新

STALLERGENES SA

フランス

イエダニによるアレルギー性鼻炎に対する減感作治療剤

日本

台湾

契約金

マイルストン

製品購入

2010.9~

製品の発売から15年

以降3年毎の自動更新

MUNDIPHARMA B.V.

オランダ

塩酸オキシコドン乱用防止製剤及び塩酸オキシコドン/ナロキソン配合剤に関する技術及び商標使用許諾

日本

契約金

マイルストン

一定料率のロイヤリティー

2013.11~

各製品の発売から10年

以降5年毎の自動更新

ペプチドリーム株式会社

日本

創薬開発プラットフォームシステムに関するライセンス及び共同研究

全世界

技術移管費、共同研究費等

マイルストン

一定料率のロイヤリティー

2017.6~

ロイヤリティー支払義務消滅まで

Hsiri

Therapeutics,Inc.

アメリカ

抗酸菌症治療薬の開発候補品

全世界

契約金

マイルストン

一定料率のロイヤリティー

2018.5~

ロイヤリティー支払義務消滅まで

Sage

Therapeutics,Inc.

アメリカ

新規抗うつ薬 SAGE-217

日本

台湾

韓国

契約金

マイルストン

一定料率のロイヤリティー

2018.6~

ロイヤリティー支払義務消滅まで

 

 

相手先

国名

技術の内容

地域

対価の支払

契約期間

F2G Limited

イギリス

抗真菌薬Olorofimの開発及び独占販売権

欧州

アジア

契約金

マイルストン

一定料率のロイヤリティー

2022.5.16~

製品の発売から15年、特許権存続期間またはデータ保護期間のいずれか長い期間

Grünenthal Gmbh

ドイツ

変形性膝関節症に対する疼痛治療薬

Resiniferatoxin注射剤の独占販売権

日本

契約金

マイルストン

一定料率のロイヤリティ

2022.8.1~

製品を販売している期間

Maze Therapeutics, Inc.

アメリカ

ポンペ病治療薬の研究、開発、

製造、販売権

全世界

契約金
マイルストン
一定料率のロイヤリティー

2024.5(米国独禁法上の審査期間経過時)~
ロイヤリティー支払義務消滅まで

CILCARE DEV SAS

フランス

難聴に対する化合物のオプション権

全世界

一時金

2024年5月13日から最長2029年12月31日(オプション期間中にオプションを行使した場合は、オプションに基づくライセンス契約の締結日)

 

 

(2) 技術導出等

 

相手先

国名

技術の内容

地域

対価の受取

契約期間

ViiV Healthcare Ltd.

イギリス

HIVインテグレース阻害薬ドルテグラビル及び関連製品の開発、製造及び販売権

全世界

一定料率のロイヤリティー

2012.10.26~

MedImmune,LLC

アメリカ

急性冠症候群治療薬の研究、開発、製造及び販売権

全世界

契約金

マイルストン

一定料率のロイヤリティー

2014.9.29~

製品の発売から10年、データ保護期間又は特許権存続期間のどちらか長い方

Hoffmann-La Roche Inc.

/F. Hoffmann-La Roche Ltd

スイス

アメリカ

S-033188(インフルエンザ感染症治療薬)の開発、製造及び販売権

全世界

(日本及び台湾を除く)

契約金

マイルストン

一定料率のロイヤリティー

2016.2~

最初の上市から12年又は、医療用医薬品品質情報集に記載される製品をカバーする最後の特許権存続期間のどちらか長い方

ViiV Healthcare Ltd.

イギリス

S-365598(第3世代インテグラーゼ阻害薬)の開発、製造及び販売権

全世界

契約金

マイルストン

一定料率のロイヤリティー

2021.9~

 

GARDP Foundation

スイス

Cefiderocolの開発、製造及び販売権

すべての低所得国および多くの低中所得国、高中所得国を含む世界135ヵ国

一定料率のロイヤリティー

2022.6.15~

有効な特許の満了まで。ただし、有効な特許の満了時点でその国において製品を販売している場合には、販売している限り有効

Medicines Patent Pool

スイス

S-217622の開発、製造および販売権

低所得国、低中所得国、高中所得国を含む世界117ヵ国

一定料率のロイヤリティー

2022.10.3~

有効な特許の満了または、データ保護期間の満了日のどちらか長い方

 

 

(3) 共同開発及び共同販売

 

相手先

国名

技術の内容

地域

契約期間

ヴィーブヘルスケア株式会社

日本

HIVインテグラーゼ阻害薬ドルテグラビル及びその合剤を含む抗HIV薬の共同販促権

日本

2016.4~2022.3

(注)2022.4.1付で、2022.4~2025.3間の共同販促契約を更新しております。

ELI LILLY AND COMPANY/

日本イーライリリー株式会社

アメリカ

日本

デュロキセチン塩酸塩の共同開発・共同販促権

日本

2015.4~

製品が販売されている期間

iNova Pharmaceuticals Japan株式会社

日本

殺菌消毒薬イソジンの販売権及び共同販促権

(医療用医薬品)

日本

2015.12~

製品の発売から5年

以降2年毎の自動更新

 

 

(4) 出資契約

 

相手先

国名

内容

締結日

CILcare

フランス

出資契約

2024.5.13

FEROCITY CAPITAL II, L.P.

アメリカ

出資契約

2024.5.31

 

 

(5) 吸収分割の実施

2024年9月30日開催の当社取締役会において、当社の完全子会社である株式会社UMNファーマを吸収分割会社とし、当社の完全子会社であるシオノギファーマ株式会社を吸収分割承継会社とする吸収分割を実施することが決議され、2025年4月1日付で実施されました。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表  連結財務諸表注記  36.後発事象」に記載しております。

 

 

2.連結子会社の当連結会計年度における重要な契約等は次のとおりです。

(1) 技術導出等

 

会社名

相手先

国名

技術の内容

地域

対価の受取

契約期間

Shionogi Inc.

DUCHESNAY INC.

カナダ

膣萎縮症治療薬オスペミフェンの開発・製造及び販売権

アメリカ

カナダ

契約金

一定金額及び年間売上に応じた受取

2017.3.10~

支払義務満了まで

塩野義(香港)商業有限公司
 

Ildong Pharmaceutical Co., Ltd.

韓国

エンシトレルビル フマル酸の開発、製剤及び販売権

韓国

契約金
製品供給

2022.9.16~
韓国における上市時から15年又は特許満了日のいずれか遅い方
以降3年毎の自動更新

塩野義(香港)商業有限公司

Juniper Therapeutix Pte. Ltd.

シンガポール

エンシトレルビル フマル酸の
(i)EUA(PSAR及びSAR

)開発権並びに政府及び特定の医療機関への販売権
(ii)Regulatory Approval(通常承認)の開発権及び販売権

シンガポール

マイルストン
製品供給 

(i)2023.3.27~
(ii)2023.12.6~ 
シンガポールにおける上市時から15年
以降5年毎の自動更新

 

 

(2) 共同販売

 

会社名

相手先

国名

技術の内容

地域

契約期間

シオノギヘルスケア株式会社

iNova Pharmaceuticals Japan株式会社

日本

殺菌消毒薬イソジンの販売権及び共同販促権 (日本)

殺菌消毒薬イソジンの販売権及び販促権(中国向け越境EC)

(OTC)

日本

中国向け越境EC

2015.10~

製品の発売から5年

以降2年毎の自動更新

平安塩野義(中国)有限公司

上薬控股

有限公司

中国

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬エンシトレルビル フマル酸の中国における輸入・流通契約

中国

2022.12.23~2年間

以降毎年自動更新

平安塩野義(中国)有限公司

正大天晴薬業集団股份有限公司

中国

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬エンシトレルビル フマル酸の中国における販売に関するプロモーション契約

中国

2022.12.26~2027.12.31
両社合意の場合、3年間延長可能

 

(注)平安塩野義(中国)有限公司は、2025年4月1日をもって、塩野義有限公司に社名を変更しております。

 

 

6 【研究開発活動】

2024年度は、COVID-19関連プロジェクトや注力プロジェクトを中心に積極的に研究開発活動を行い、取り組みを着実に進展させることで、それぞれのプロジェクトについてほぼ予定どおり進捗させることができました。

 

(1) 研究

次世代3CLプロテアーゼ阻害剤であるS-892216について、COVID-19の治療および予防を目的として、長時間作用型製剤と経口剤の2種類の製剤で開発が進行中です。2024年度は長時間作用型製剤における曝露前予防の適応について、研究を進展させるとともに、米国BARDAから開発支援として、375百万ドル(約585億円)の助成金を受領する契約を締結しました。 ※1ドル=156円換算、契約締結時の為替レート水準

2024/2025シーズンの予防接種における推奨株であるJN.1系統に対応したCOVID-19予防ワクチンのS-268024については、今後の推奨株に対応したワクチン開発に向けて、研究を進展させ、2024年度は第3相臨床試験を開始しました。

S-567123(ユニバーサルワクチン)は、単剤で幅広い変異に対して予防効果を発揮することが期待される次世代型ワクチンです。まずは、COVID-19に対するユニバーサルワクチンの開発を目指しており、2024年度は非臨床試験や治験薬製造に向けた検討を進展させました。

S-917091は、インテグラーゼ阻害薬とは異なる作用機序の抗HIV薬候補です。インテグラーゼ阻害薬と併用することで、超長時間作用型(3ヵ月以上に1回投与)のHIV治療を可能とすることを目指し、2024年度は各種の研究を進展させました。

S-898270は、学習記憶を始めとする認知機能を向上させることが期待される認知症治療薬候補です。2025年度上期中の第1相臨床試験の開始を目指し、研究を進展させました。

 

(2) 開発

COVID-19の経口抗ウイルス薬エンシトレルビル(日本での製品名:ゾコーバ)については、COVID-19患者の同居家族または共同生活者を対象に実施した、グローバル第3相曝露後発症予防試験(SCORPIO-PEP試験)にて、主要評価項目を達成しました。経口抗ウイルス薬がCOVID-19の発症抑制効果を示した世界初の臨床試験であり、この結果に基づき、日本ではCOVID-19の予防に関する効能・効果追加申請を行いました。グローバルでの申請については、本試験結果と、これまでに実施した臨床試験の結果を踏まえて、各規制当局と協議を進めています。なお、米国においては、先行してCOVID-19の予防を適応として、ローリング・サブミッション(段階的申請)を開始しました。

COVID-19予防ワクチン(起源株1価)であるコブゴーズ筋注は、これまで主に使用されてきたmRNAワクチンとは異なり、長年にわたり国内外で広く使用され、その有効性と長期的な安全性が実証された技術を基盤とする組み換えタンパクワクチンです。2024年度は、SHIONOGI初のワクチンとして、初回免疫における国内製造販売承認を取得しました。

S-337395は、経口の新規RSウイルス感染症治療薬です。現時点ではRSウイルスに対する有効な抗ウイルス薬が存在しないため、新たな治療選択肢として期待されています。2024年度は、第2相臨床試験(ヒトチャレンジ試験)において、主要評価項目を達成し、後期臨床試験の開始に向け進展させることができました。

ズラノロンは既存薬とは異なる新規の作用機序を有する抗うつ薬で、1日1回14日間の経口投与により、効果を発揮する薬剤です。2024年度は、第3相臨床試験において、プラセボ群に対して、統計学的に有意なうつ症状の改善や即効性、良好な忍容性を確認し、国内での製造販売承認申請を実施しました。

S-606001は、低分子の経口ポンペ病治療薬候補です。ポンペ病は世界での患者数が5万人ほどと推定されている希少疾患で、既存治療では満たすことができないアンメットニーズが残されていることから、本剤は、新たな治療選択肢として期待されています。2024年度は、国内第1相臨床試験を進展させました。

SASS-001は、睡眠障害に卓越した専門性を持つApnimed社と共同で開発を進める、経口の睡眠時無呼吸症候群を対象とした治療薬候補です。2024年度は第2相臨床試験を開始しました。

エンデバーライドは、小児のADHD患者を対象とした治療用アプリです。2024年度は、国内第3相臨床試験の良好な結果に基づき、国内での製造販売承認を取得しました。

 

こうした活動の結果、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は108,612百万円となりました。

 

 

開発品(2025年5月12日現在)

 

領域

一般名・開発No.

[製品名]

作用機序
(剤型)

適応症

ステージ

起源

開発

感染症

セフィデロコルトシル酸塩硫酸塩
水和物
[米国:Fetroja®]
[欧州:Fetcroja®]
[日本:フェトロージャ®]

細胞壁合成阻害(注射)

グラム陰性菌感染症(小児)

フェーズⅢ

自社

自社

グラム陰性菌感染症

フェーズⅢ
申請:中国(2024年8月)、
オーストラリア(2024年12月)

自社

自社

バロキサビル マルボキシル
[米国:XofluzaTM]
[日本:ゾフルーザ®]

キャップエンドヌクレアーゼ阻害
(経口・顆粒)

インフルエンザウイルス感染症
(体重20kg 未満)

申請:日本(2018年8月)

自社

自社/
Roche
(スイス)

S-268019
[日本:コブゴーズ®]

ワクチン(筋注)

新型コロナウイルス感染症の予防
(青少年)

フェーズⅡ/Ⅲ

自社

自社

新型コロナウイルス感染症の予防
(学童)

フェーズⅠ/Ⅱ/Ⅲ

自社

自社

S-268023

ワクチン(筋注)

新型コロナウイルス感染症の予防

フェーズⅢ

自社

自社

S-268024

ワクチン(筋注)

新型コロナウイルス感染症の予防

フェーズⅢ

自社

自社

エンシトレルビル フマル酸
[日本:ゾコーバ®]

3CLプロテアーゼ阻害剤(経口)

新型コロナウイルス感染症の治療
(12歳以上)

フェーズⅢ
申請:台湾(2025年1月)
申請取り下げ:シンガポール

自社

日本・グローバル・台湾:
自社
韓国:自社
/Ildong
シンガポール:自社
/Juniper

新型コロナウイルス感染症の治療
(小児 5-11歳)

フェーズⅢ

自社

自社

新型コロナウイルス感染症の曝露後予防

申請:日本(2025年3月)

自社

自社

Olorofim

ジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)阻害(経口)

侵襲性アスペルギルス感染症

フェーズⅢ

F2G
(英国)

自社/F2G

S-892216

3CLプロテアーゼ阻害剤(経口)

新型コロナウイルス感染症の治療

フェーズⅡ

自社

自社

3CLプロテアーゼ阻害剤(持続性注射剤)

新型コロナウイルス感染症の曝露前予防

フェーズⅠ

自社

自社

S-337395

RNA依存性RNAポリメラーゼ阻害(経口)

RSウイルス感染症

フェーズⅡ

自社/UBE

自社/UBE

S-743229

細胞壁合成阻害(経口)

腎盂腎炎を含む複雑性尿路感染症

フェーズⅠ

自社/Qpex

自社

S-649228

細胞壁合成阻害(注射)

グラム陰性菌感染症

フェーズⅠ

自社/Qpex

自社

 

QOL疾患

ナルデメジントシル酸塩
[日本:スインプロイク®]
 [欧州:Rizmoic®]

末梢性オピオイド受容体アンタゴニスト(経口・散剤)

オピオイド誘発性便秘症(小児)

フェーズⅠ/Ⅱ

自社

自社

末梢性オピオイド受容体アンタゴニスト(経口)

オピオイド誘発性便秘症

フェーズⅢ

自社

自社

ズラノロン

GABAA受容体ポジティブアロステリックモジュレータ(経口)

うつ病・うつ状態

申請:日本(2024年9月)

Sage (米国)

自社/Sage

SDT-001
[日本:エンデバーライド®]

中枢作用に基づく、治療用デジタルアプリ

小児期における注意欠如多動症
(ADHD)の治療補助

承認:日本(2025年2月)

Akili (米国)

自社/Akili

 

 

領域

一般名・開発No.

[製品名]

作用機序
(剤型)

適応症

ステージ

起源

開発

QOL疾患

Zatolmilast

PDE4Dネガティブアロステリックモジュレータ(経口)

脆弱X症候群

フェーズⅡ/Ⅲ

Tetra (米国)

自社

Jordan症候群

フェーズⅡ

Tetra (米国)

自社

アルツハイマー型認知症

フェーズⅡ

Tetra (米国)

自社

Resiniferatoxin

TRPV1受容体アゴニスト
(関節腔内注)

変形性膝関節症に伴う疼痛

フェーズⅢ

Grünenthal
(ドイツ)

Grünenthal

S-151128

Nav1.7阻害剤(注射)

慢性疼痛

フェーズⅠ

自社

自社

ADR-001

ヒト他家脂肪組織由来の間葉系幹細胞(注射)

非代償性肝硬変

フェーズⅠ/Ⅱ

ロート
(日本)

自社/ロート

S-309309

モノアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ2阻害剤(経口)

肥満症

フェーズⅡ

自社

自社

S-588410

がんペプチドワクチン(注射)

食道がん

フェーズⅢ

オンコセラピー・サイエンス (日本)

自社

膀胱がん

フェーズⅡ

オンコセラピー・サイエンス (日本)

自社

S-488210

がんペプチドワクチン(注射)

頭頸部がん

フェーズⅠ/Ⅱ

オンコセラピー・サイエンス (日本)

自社

S-588210

がんペプチドワクチン(注射)

固形がん

フェーズⅠ

オンコセラピー・サイエンス (日本)

自社

S-222611
(Epertinib)

HER2/EGFRデュアル阻害薬
(経口)

悪性腫瘍

フェーズⅠ/Ⅱ

自社

自社

SR-0379

肉芽形成促進作用(外用)

皮膚潰瘍(褥瘡、糖尿病性潰瘍)

フェーズⅢ

ファンぺップ
(日本)

自社/
ファンペップ

レダセムチドトリフルオロ酢酸塩

間葉系幹細胞を末梢血に動員
(注射)

脳梗塞

フェーズⅡb

ステムリム
(日本)

自社

表皮水疱症

フェーズⅡ

ステムリム
(日本)

自社

S-531011

抗CCR8抗体(注射)

固形がん

フェーズⅠb/Ⅱ

自社

自社

S-740792

新規メカニズム(経口)

多発性硬化症に伴う歩行障害

フェーズⅠ

自社

自社

SASS-001
(S-600918+併用薬X)

P2X3受容体阻害 (経口)+
併用薬の作用機序

睡眠時無呼吸症候群(中枢性)

フェーズⅡ

S-600918: 自社

Shionogi-
Apnimed
Sleep
Science,
LLC(米国)

S-606001

グリコーゲン合成酵素(GYS1)
 の阻害(経口)

ポンぺ病

フェーズⅠ

Maze
(米国)

自社

SDS-881

会話型 認知機能検査用AIプログラム医療機器

認知症の認知機能

フェーズⅢ

FRONTEO
(日本)

自社

 

 

<導出品>

 

一般名・開発No.

[製品名]

作用機序

(剤型)

適応症

ステージ

起源

開発

 

バロキサビルマルボキシル
[米国:XofluzaTM]
[日本:ゾフルーザ®]

キャップエンドヌクレアーゼ阻害
(経口)

インフルエンザウイルス感染症
(小児、1歳未満)

申請:欧州(2024年6月)
 

自社

自社/
Roche
(スイス)

 

インフルエンザウイルス感染症
(伝播抑制)

申請:米国 (2024年11月)

自社

自社/
Roche
(スイス)

 

S-723595
(TLC-3595)

アセチルCoAカルボキシラーゼ2
阻害(経口)

2型糖尿病

フェーズⅡa

自社

OrsoBio
(米国)

 

S-365598

インテグラーゼ阻害
(超長時間作用型注射)

HIV感染症

フェーズⅡa

自社

SHIONOGI-
ViiV
Healthcare