文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、世界有数の製薬企業であるロシュとの戦略的アライアンスのもと、「革新的な医薬品とサービスの提供を通じて新しい価値を創造し、世界の医療と人々の健康に貢献する」ことをMission(存在意義)とし、「患者中心の高度で持続可能な医療を実現する、ヘルスケア産業のトップイノベーターとなること」を目標に、社会とともに発展することを経営の基本方針としています。
その実践にあたっては、当社グループのCore Values(価値観)である、「患者中心」、「フロンティア精神」、「誠実」に沿った事業活動を行っております。
この基本方針のもと、「すべての革新は患者さんのために」という考え方に沿って、革新的な創薬を柱とするイノベーションに集中し、一人ひとりの患者さんにとって最適な医療の提供による社会課題の解決と健全な社会の発展を目指すとともに、持続的な企業価値拡大を図ります。
さらに、事業活動に伴う社会へのインパクトを最善のものとするため、環境・社会・ガバナンスに代表される課題に積極的に取り組んでまいります。こうした活動は、社会全体の持続性向上に寄与するとともに、当社グループの長期的な発展を支える基盤になると確信しております。
当社グループはイノベーションの創出による企業価値の向上を重視し、中長期計画の策定においては、資本スプレッドを加味した目標と現状とのギャップを明確にしたうえで成長戦略を立案しております。開発テーマ等の投資判断においても、都度、資本コストを踏まえた評価をするなど、収益性と資本効率を重視した資源配分・経営判断を行っております。そのうえで、持続的な企業価値向上を端的に表し、かつ株主等ステークホルダーと共有できる指標として、2019年度から2021年度までを期間とする中期経営計画「IBI 21」においては、3年間でのCore EPS年平均成長率を指標として掲げております。
なお、当指標の目標水準について、自社創製グローバル品の好調などを背景とした「IBI 21」初年度の好業績を踏まえ、中計策定当初に掲げたCore EPS年平均成長率目標「High single digit(一桁台後半;一定為替レートベース)」を「30%前後(一定為替レートベース、株式分割を考慮しない場合)」に見直しをいたしました。
世界人口の増加と各国における高齢化進展によって、医薬品への期待・ニーズが増大するなか、限られた資源のもと、持続可能な医療の実現が世界共通の課題となっております。また、ライフサイエンスやICTの飛躍的な進歩によって、社会構造が大きく変化するとともに、医療課題解決へのイノベーション創出機会が拡大する一方、既存業界の枠を超えた企業間のスピード競争はこれまで以上に熾烈化しております。
こうした変化は相互に影響しあいながら、社会全体に幾何級数的な変動をもたらすことが予想されます。このため、製薬産業においても大幅な変革が求められる状況にあります。
最も重要な課題は、「イノベーション」の追求です。新たな治療ターゲットの探索や創薬技術のさらなる革新により、アンメット・メディカルニーズに応える新薬の創出が求められます。さらには、患者さん一人ひとりに最適な医療の実現に向けて、ライフサイエンス進展による新たな技術や、ビッグデータ、AIといったデジタル技術の進化を柔軟に取り入れながら、従来の創薬力にとどまらないケイパビリティを獲得・強化することが課題となります。
その実現に向けた「事業構造改革」も喫緊の課題です。グローバルでの財政圧力・薬剤費抑制策の強化により製薬企業の経営環境が厳しくなるなか、限られた資源をイノベーションに集中投資できる体制への変革が一層求められます。特に国内においては、薬剤費抑制に向けた厳しい制度改革が次々と打ち出され、今後はますますの市場縮小が見通されており、既存プロセスやコスト構造の抜本的見直し、及びデジタル等も活用した新たな事業構造のデザインが課題となります。
こうした製薬産業における課題に加え、近年の地球環境変動や、経済格差による貧困等の社会経済を含めたシステムの持続性への危機が高まっております。事業活動の持続的な発展のために、企業はこれらの背景にある社会課題と真摯に向き合い、それぞれのバリューチェーンに関連した課題を特定し、解決に向けて取り組む必要があります。
そのようななか、当社グループは、革新的な新薬の創出と、ロシュとの戦略的アライアンスを基盤とした国内トップクラスの成長を実現してまいりました。ロシュの充実した新薬パイプラインによる安定した収益基盤を確保しながら、自社創薬に資源を集中し、革新的な研究開発プロジェクトを継続的に創出しております。その結果、これまで5つの当社創製医薬品(アクテムラ、アレセンサ、ヘムライブラ、「SA237(サトラリズマブ)」、「CIM331(ネモリズマブ)」)が米国FDAから「画期的治療薬(Breakthrough Therapy)」に指定されるなど、当社グループの創薬力は世界的に高い評価を受けております。また、後期開発や販売においては、ロシュのグローバル・プラットフォームを活用することで、高い生産性を実現しております。
今後、アレセンサ、ヘムライブラなどの成長ドライバーをグローバル市場で確実に価値最大化すること、そしてこれらに続く自社成長ドライバーをいち早く創出し、スピーディな開発を成し遂げることで、今後も持続的な利益成長を目指してまいります。
その一方で、社会がグローバルで大きな変化を迎えるなか、当社の取組みもさらなる進化が必要であると認識しております。
当社グループは、2019年度から2021年度までを期間とする新たな中期経営計画「IBI 21」を策定しました。前中期経営計画「IBI 18」で築いた事業基盤とロシュとの戦略的アライアンスをベースに、さらなる競争優位の獲得と持続的な利益成長・企業価値拡大の実現を目指し、新たなステージでの変革に取り組んでおります。
「IBI 21」で私たちが目指すのは、革新的新薬を中核として、イノベーションによる社会及び当社の発展を加速することです。「グローバル成長ドライバーの創出と価値最大化」及び「事業を支える人財・基盤の強化」を重点テーマとし、実現に向けた「5つの戦略」を掲げております。
「IBI 21」では、「IBI」に込めた当社のイノベーションに対する基本姿勢、「INNOVATION BEYOND IMAGINATION(創造で、想像を超える。)」をさらに強化し、革新を通じた持続的な企業成長を目指してまいります。
①Value Creation(創薬、開発、製薬)
当社グループは、これまで世界最先端の抗体改変技術への優先投資により、革新的な研究開発プロジェクトの創出を加速してまいりました。また、低分子、抗体に加えて次世代のコア創薬技術として中分子を選択し、集中投資による技術確立と研究開発プロジェクトの早期創出に向けて取り組んでおります。
「IBI 21」においては、「治癒、疾患コントロールを目指した革新的創薬の実現」をテーマに、新たな次元での創薬に挑戦してまいります。これまで培ってきた独自の創薬技術をさらに強化するとともに、バイオロジー(病態のさらなる深い理解)との融合により独創的な創薬ターゲットを同定し、それらの最速でのPoC取得~開発の実現と患者価値の実証を強力に推進してまいります。特に、自社開発パイプラインについて、日米欧3極を軸とした自社のトランスレーショナルリサーチ推進体制、及びロシュとの協働のもと、グローバルトップクラスの質・スピードによる開発を進め、次世代成長ドライバーとなる革新的新薬の連続創出を実現します。
こうした革新的新薬をいち早く患者さんにお届けするため、高速開発と製品供給体制の充実、特に中分子医薬品など製剤難度の高い研究開発プロジェクトに対応した製造技術のさらなる進化を推進します。また、グローバル基準に対応した品質管理、品質保証、及びレギュラトリー機能の強化にも引き続き努めてまいります。
②Value Delivery(営業、メディカル、安全性)
当社グループは、これまで自社及びロシュからの多くの有力な治療薬を市場に展開し、がん領域、腎領域、骨・関節領域、リウマチ領域をはじめとして参入市場において確固たる地位を築いてまいりました。
「IBI 21」においては、これまで取り組んできた患者中心の情報提供活動や安全性マネジメントを含めた医薬品適正使用推進活動、患者さんにとっての薬剤価値を高めるエビデンス創出活動を一層強化するとともに、技術進化に対応したデジタルソリューションの強化も含め、高度化・多様化するステークホルダー・ニーズに応えるソリューション提供を追求し、「患者中心の高度かつ持続的な医療」の実現に貢献するとともに、国内外において成長ドライバー品への活動集中により、当社グループの成長加速を目指してまいります。
③個別化医療(PHC)の高度化
ゲノム医療やデータ解析技術の飛躍的な進歩を背景に、近年、「個別化医療(Personalized Healthcare; PHC)」がますます進展しています。また、デジタルデバイスの進化などによって、これまでの「効果・安全性」という概念にとどまらず、QOL等を含めた患者さんにとっての幅広いメリットの測定が可能となることで、患者さんにとって最適なソリューションの提供と価値の証明が一層求められます。このようななか、当社は個別化医療において世界をリードするロシュ・グループの一員として、一人ひとりの「個人」に最適な治療を提供する新たな段階の個別化医療を目指して、国やアカデミアとも緊密に協働しながら取り組んでまいります。さらには、患者さんやその家族にとっての幅広い価値の提供とその証明を可能にするケイパビリティの強化に競合に先んじて取り組みます。さらには、デジタル技術・データを活用した取組みを通じて、創薬ターゲットや分子探索の効率化、RWDを用いた臨床開発の効率化といったR&Dプロセスの革新も積極的に推進してまいります。
また、がん領域におけるリーディングカンパニーとして、がんゲノム医療の実現と提供体制の構築に貢献することは当社の重要な責務と考えております。「FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル」はその一環で、次世代シークエンサーを用いて網羅的がん関連遺伝子解析プロファイリング情報を提供する製品であり、がん治療における個別化医療の発展と普及に貢献するものです。2018年には「ファウンデーションメディシン・ユニット」を新設し、本事業を力強く推進しております。
④人財の強化と抜本的な構造改革
ここまで掲げた戦略の遂行にあたっては、激変する環境に対応し、イノベーション創出を牽引する多様な人財の育成・獲得が重要となります。「IBI 21」においては、中長期を見据えた高度かつ多様な人財の獲得・育成・配置に向けた取組みを一層強化します。具体的には、リーダー人財の適所適財を推進するためのタレントマネジメント・ポジションマネジメント実行体制の強化、戦略実行のキーとなる専門人財の獲得、挑戦的な風土を支える人事・報酬制度への変革、そしてダイバーシティ&インクルージョンの一層の推進により多様な人財の活躍でイノベーションが創出される組織風土の醸成に取り組んでまいります。
また、財政圧力を背景に製薬企業の事業環境が厳しさを増すなか、イノベーションへの資源集中を可能にするコスト構造への変革が大きな課題となります。当社においても、限られた資源をイノベーションに集中するために、2018年には長期収載品13品目の事業譲渡を行うなどの打ち手を実行してまいりました。「IBI 21」では、機動的なイノベーションへの投資と持続的な利益成長を同時に実現するため、事業プロセスやコスト構造の抜本的な見直しを断行いたします。
⑤Sustainable基盤の強化
当社グループは、高度で持続可能な医療を実現し人々の健康に貢献するために、Core Values(価値観)に沿った事業を行っております。生命関連企業として、常に誠実な事業活動を行い、高い倫理観とコンプライアンス遵守、品質マネジメントに努めています。また、地球環境に配慮した事業活動や、「医療」「福祉」「教育」「地域社会」及び「環境」に関連した社会貢献活動についても良き企業市民として取り組んでまいりました。
「IBI 21」では、当社グループのMissionと、事業の経済・社会・環境に及ぼす影響を踏まえて特定した重要課題(マテリアリティ)に取り組んでまいります。なかでも、医薬品及びサービスの高い品質の維持、及び当社の技術や知見が活用可能な保健医療アクセスの向上によるグローバルヘルスへの貢献については特に注力してまいります。また、自然資本への悪影響の最小化を目指して地球環境へ配慮した事業活動を推進いたします。
当社グループが取り組むこれら重要課題(マテリアリティ)については、ステークホルダーへ積極的な情報開示と対話を進めてまいります。
「IBI 21」では、これら5つの戦略を柱として、イノベーションによる社会及び当社の発展を目指して取り組んでまいります。
当社グループの業績は、今後起こりうる様々な要因により重大な影響を受ける可能性があります。以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。当社グループはこれらリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の予防及び発生した場合の対応に努める方針であります。
なお、文中における将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
① 新製品の研究開発について
当社グループは、患者中心の高度で持続可能な医療を実現するヘルスケア産業のトップイノベーターとなることを目指し、国内外にわたって積極的な研究開発活動を展開しております。独自のサイエンス力と技術力という強みを活かし、がん領域を中心とする充実した開発パイプラインを有しておりますが、近年の研究開発競争の激化による新薬創出の難易度上昇や研究開発費の高騰等の理由により、そのすべてについて今後順調に開発が進み発売できるとは限らず、途中で開発を断念しなければならない事態も予想されます。そのような事態に陥った場合、開発品によっては業績に重大な影響を与える可能性があります。
② 製品を取りまく環境の変化について
近年の製薬産業における技術進歩は顕著であり、当社グループは国内外の製薬企業との厳しい競争に直面しております。また、競合品や後発品/バイオシミラー(バイオ後続品)の浸透加速に加え、再生医療、細胞/遺伝子治療、核酸医薬、デジタルセラピーなど、従来の医薬の範囲を超えた治療手段(モダリティ)の進展や、ITプラットフォーマーのヘルスケア産業参入によるデータ寡占等、ライフサイエンスやデジタル分野での新たな技術・脅威が台頭しており、ヘルスケア産業における競争環境は急激に変化しています。このような状況におきまして、当社医薬品や開発候補品が対象とする疾患等における治療に大きな変化をもたらす新たな技術や治療手段が登場するなど、当社グループ製品を取りまく環境が想定を超えて大きく変化した場合、業績に重大な影響を与える可能性があります。
③ 医療制度改革について
国内外における高齢化の進展や医療費高騰などによる財政逼迫を背景とした薬剤費引き下げ政策の強化が進められています。特に、日本では「全世代型社会保障検討会議」で医療等の給付と負担についての議論が展開されるなど、医療費抑制の圧力は引き続き高まっております。また、今後は益々「Value Based Healthcare(価値に基づく医療)」が進展し、患者さんにとって真に価値あるソリューションだけが選ばれる傾向が一層強まると考えられます。各国の制度改革の内容や環境動向によっては、薬価引き下げや医薬品へのアクセス制限による収益の低下、医療経済性を含めた価値を証明するためのコストの増加など、業績に重大な影響を与える可能性があります。
④ ロシュとの戦略的提携について
当社グループはロシュとの戦略的提携により、日本市場におけるロシュの唯一の医薬品事業会社となり、また日本以外の世界市場(韓国・台湾除く)ではロシュに当社製品の第一選択権を付与し、多数の製品及びプロジェクトを同社との間で導入・導出しております。なんらかの理由により戦略的提携における合意内容が変更された場合、業績に重大な影響を与える可能性があります。
① 副作用について
医薬品・医療機器は各国規制当局の厳しい審査を受けて承認されていますが、その特殊性から、使用にあたり、万全の安全対策を講じたとしても副作用等の健康被害を完全に防止することは困難です。当社グループは医薬品の安全監視活動を行っておりますが、副作用、特に新たな重篤な副作用が発現した場合には、「使用上の注意」への記載を行うほか、販売中止・製品の回収等に至ることもあり、業績に重大な影響を与える可能性があります。
② 知的財産権について
当社グループは業務活動上様々な知的財産権を使用しており、それらは当社グループ所有のものであるか、あるいは適法に使用許諾を受けたものであると認識しておりますが、当社グループの認識の範囲外で第三者の知的財産権を侵害する可能性があり、当社グループの業務に関連する重大な知的財産権を巡っての係争が発生した場合、製造販売の停止や対策費用の発生などにより、業績に重大な影響を与える可能性があります。
③ 国際的な事業活動について
当社グループは国外における医薬品の販売や研究開発活動、医薬品バルクの輸出入など国際的な事業を積極的に行っております。このような国際的な事業活動においては、法令や規制の変更、政情不安、経済動向の不確実性、現地における労使関係、税制の変更や解釈の多様性、為替相場の変動、商習慣の相違等に直面する場合があり、これらに伴うコンプライアンスに関する問題の発生を含め、業績に重大な影響を与える可能性があります。
④ ITセキュリティ及び情報管理について
業務上、各種ITシステムを利用しており、従業員・アウトソーシング企業の不注意または故意による行為、サイバー攻撃等の外部要因によりシステム障害が生じた場合、業務が阻害される可能性があります。また、万が一、個人情報や知的財産権に関わる重大な機密情報が社外に流出した場合、損害賠償や信用の失墜、競争優位性の喪失などにより、業績に重大な影響を与える可能性があります。
当社グループはこれらのリスクに備え、関連規程の整備と周知、従業員に対するセキュリティ教育、サイバー攻撃及びシステム障害に対する保全(予防・監視及び対処・復旧準備)等を講じるとともに、これら対策状況を当社グループ横断的に評価し強化する年次プロセスを継続し、リスクの低減に努めております。
⑤ 大規模災害等による影響について
地震、台風等の自然災害、火災等の事故により、当社グループの事業所・営業所及び取引先が深刻な被害を受けた場合や、新型インフルエンザ等のパンデミックの発生により、従業員の出社率が大幅に低下した場合、事業活動が停滞し、また損害を被った設備等の修復のため多額の費用が発生するなど、業績に重大な影響を与える可能性があります。当社グループは、これら災害等に係るリスクに備え、損害保険の加入や、事業継続計画(BCP)の策定・訓練の実施、耐震対策、安全在庫の確保など、従業員の安全と医薬品の安定供給のための体制を整備し、リスクの低減に努めております。
⑥ 訴訟等について
事業活動に関連して、医薬品の副作用、製造物責任、労務問題、公正取引等に関して訴訟や規制当局による調査の対象となる場合があり、その動向によっては、製造販売の停止や対策費用の発生などにより、業績に重大な影響を与える可能性があります。
⑦ 人権について
職場におけるハラスメントや労働環境衛生を含む人権問題への対応遅延が生じた場合、従業員の健康やメンタルヘルスの悪化、離職率の増加など人財力の低下、社会的信頼の喪失により、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、これら人権問題に対し、役員、従業員に対する人権研修、ハラスメントに関する相談窓口を設置し、また健康経営の一環として安全衛生活動に取り組んでいます。
サプライヤーに対しても人権尊重に対する理解を求め、協力して人権問題に関する課題解決に努めております。
⑧ サプライチェーンについて
大規模地震や気候変動に伴う台風・豪雨などの自然災害により当社の原材料調達先や外部製造委託先などのサプライヤーに被害が生じた場合、また、サプライチェーンにおけるコンプライアンスや環境問題などの対応が遅延した場合、原材料の確保や生産の継続が困難となる可能性があり、社会的信頼の喪失や売上・シェアの低下により業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、これらサプライチェーンに係るリスクに備え、損害保険の加入や、事業継続計画(BCP)の策定、安全在庫の確保、サプライヤーとの情報共有体制の構築など、医薬品の安定供給のための体制を整備しています。
また、サプライチェーンにおけるコンプライアンスや環境問題など当社グループだけでは解決できない課題に関し、サプライヤーと協力して課題解決に努めております。
⑨ 環境汚染及び地球環境について
関係法令等の遵守はもとより、さらに高い自主基準を設定してその達成に向けて努めており、今後も強化と充実を図っていきます。しかしながら、万が一、有害物質による予期せぬ汚染やそれに伴う危害が顕在化した場合、対策費用や損害賠償責任を負うなどにより、業績に重大な影響を与える可能性があります。
気候変動については地球環境保全のための重大な課題の一つと考え、温室効果ガス排出量の削減に取り組んでいます。しかしながら、地球温暖化の進行がもたらす気候変動による自然災害等で物流網や製造施設が被害を受けた場合、製品供給の休止もしくは著しい遅滞などにより、業績に重大な影響を与える可能性があります。また、将来における環境関連法規制の強化により、当社グループの研究、開発、製造、その他の事業活動が制限される可能性があります。
① 経営成績の状況
(単位:億円)
<連結損益の概要(IFRSベース)>
当連結会計年度の売上収益は6,862億円(前年同期比18.4%増)、営業利益は2,106億円(同69.4%増)、当期利益は1,576億円(同69.3%増)となりました。これらには当社が管理する経常的業績(Coreベース)から除外している無形資産の償却費12億円、無形資産の減損損失26億円、早期退職優遇措置51億円、事業所再編費用28億円及び訴訟関連損益として26億円が含まれています。
<連結損益の概要(Coreベース)>
当連結会計年度の売上収益は、製商品売上高、ロイヤルティ等収入及びその他の営業収入ともに伸長し、6,862億円(前年同期比18.4%増)となりました。
売上収益のうち、製商品売上高は、国内のがん領域における新製品や主力品、骨・関節領域における主力品、その他領域の新製品等の好調な推移に加え、アレセンサ、アクテムラのロシュ向け輸出の増加により、5,889億円(同11.6%増)となりました。ロイヤルティ等収入及びその他の営業収入は、ヘムライブラに関するロイヤルティ及びプロフィットシェア収入が大幅に増加し、973億円(同87.5%増)となりました。加えて、製品別売上構成比の変化等により、製商品原価率が45.0%と前年同期比で4.6%ポイント改善した結果、売上総利益は4,211億円(同32.5%増)となりました。
経費については、1,962億円(同4.6%増)となりました。販売費は735億円(同0.3%減)、研究開発費は開発テーマの進展等により1,021億円(同8.4%増)、一般管理費等は主に法人事業税(外形標準課税)の増加により206億円(同4.6%増)となりました。以上から、Core営業利益は2,249億円(同72.6%増)、Core当期利益は1,676億円(同72.3%増)となりました。
※Core実績について
当社はIFRS移行を機に2013年よりCore実績を開示しております。Core実績とはIFRS実績に当社が非経常事項と捉える事項の調整を行ったものであり、ロシュが開示するCore実績の概念とも整合しております。当社ではCore実績を、社内の業績管理、社内外への経常的な収益性の推移の説明、並びに株主還元をはじめとする成果配分を行う際の指標として使用しております。
株主還元を行う際の指標には、Core EPS及びCore配当性向を指標として使用しております。Core EPSは、Core実績をもとに算出された、当社株主に帰属する希薄化後1株当たり当期利益であり、Core配当性向は、Core EPS対比の配当性向です。
※Core EPS:当社が定める非経常的損益項目を控除したうえで算出された、当社株主に帰属する希薄化後1株当たり当期利益であります。
<製商品売上高の内訳>
(単位:億円)
[国内製商品売上高]
国内製商品売上高は、がん領域における新製品や主力品、骨・関節領域における主力品、その他領域の新製品等の好調な推移により、4,376億円(前年同期比9.4%増)となりました。
がん領域の売上は、2,405億円(同6.6%増)となりました。主に後発品発売の影響により抗悪性腫瘍剤/抗CD20モノクローナル抗体「リツキサン」などの売上が減少したものの、主力品の抗悪性腫瘍剤/HER2二量体化阻害ヒト化モノクローナル抗体「パージェタ」や新製品の抗悪性腫瘍剤/抗PD-L1ヒト化モノクローナル抗体「テセントリク」が好調に推移したことによります。
骨・関節領域の売上は、ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体「アクテムラ」、経口骨粗鬆症治療剤「エディロール」といった主力品の堅調な推移により、1,084億円(同7.9%増)でした。
腎領域の売上は、346億円(同4.7%減)、その他領域の売上は、前年の長期収載品譲渡の影響を受けたものの、新製品の血液凝固第Ⅷ因子機能代替製剤「ヘムライブラ」の順調な市場浸透により、541億円(同44.3%増)となりました。
[海外製商品売上高]
アクテムラ、アレセンサのロシュ向け輸出の増加により、海外製商品売上高は1,513億円(前年同期比18.3%増)となりました。
② 財政状態の状況
当社グループは、当連結会計年度より、IFRS第16号「リース」を適用しました。この基準の適用の結果、2019年1月1日の連結財政状態計算書に使用権資産やリース債権などリース関連の資産として152億円及びリース負債146億円を計上しております。
当連結会計年度末における純営業資産(NOA)は前連結会計年度末に比べ417億円増加し、5,470億円となりました。うち、純運転資本は、営業債権が減少した一方で、ヘムライブラの受取ロイヤルティの未収入金増加、製造委託に関わる長期前払費用の未払金精算等により前連結会計年度末に比べ21億円増加し2,372億円となりました。また、長期純営業資産は主に中外ライフサイエンスパーク横浜への投資、使用権資産の増加により前連結会計年度末から397億円増加し、3,098億円となりました。
次項「③ キャッシュ・フローの状況」で示すとおり、有価証券や有利子負債を含むネット現金は前連結会計年度末に比べ839億円増加し、3,331億円となりました。その他の営業外純資産は、主に未払法人所得税の増加、リース負債の増加により前連結会計年度末から282億円減少し、△261億円となりました。
これらの結果、純資産合計は前連結会計年度末に比べ975億円増加し、8,540億円となりました。
※純営業資産(NOA)及び純資産について
連結財政状態計算書は国際会計基準第1号「財務諸表の表示」に基づいて作成しております。一方で、純営業資産(NOA)及び純資産は、連結財政状態計算書を内部管理の指標として再構成したものであり、ロシュも同様の指標を開示しております。なお、純営業資産(NOA)及び純資産にはCore実績のような除外事項はありません。
※純営業資産(NOA)について
純営業資産(NOA:Net Operating Assets)は金融取引や税務上の取引とは独立に当社グループの業績を評価することを可能としております。純営業資産は純運転資本及び有形固定資産、使用権資産、無形資産等を含む長期純営業資産から引当金を控除することで計算しております。
③ キャッシュ・フローの状況
(単位:億円)
営業利益から、営業利益に含まれる減価償却費などのすべての非現金損益項目及び純営業資産に係るすべての非損益現金流出入を調整した調整後営業利益は、2,452億円(前年同期比66.4%増)となりました。有形固定資産及び無形資産の取得による支出612億円があったものの、営業利益の大幅な増益等により、営業フリー・キャッシュ・フローは1,814億円(同144.1%増)の収入となりました。なお、IFRS第16号「リース」の適用により、営業フリー・キャッシュ・フローにはリース負債の支払による支出89億円が含まれております。
営業フリー・キャッシュ・フローから法人所得税348億円、移転価格税制調整金31億円、確定給付制度に係る拠出115億円を支払ったこと等により、フリー・キャッシュ・フローは1,426億円(同226.3%増)の収入となりました。
フリー・キャッシュ・フローから配当金の支払564億円及び非支配持分の取得23億円等を調整したネット現金の純増減は839億円の増加となりました。
また、有価証券及び有利子負債の増減を除いた現金及び現金同等物は570億円増加し、当期末残高は2,039億円となりました。
※フリー・キャッシュ・フロー(FCF)について
連結キャッシュ・フロー計算書は国際会計基準第7号「キャッシュ・フロー計算書」に基づいて作成しております。一方で、FCFは、連結キャッシュ・フロー計算書を内部管理の指標として再構成したものであり、ロシュも同様の指標を開示しております。なお、FCFにはCore実績のような除外事項はありません。
当社グループは医薬品事業のみの単一セグメントであり、当連結会計年度の生産実績は次のとおりであります。
(注)IFRSに基づく金額を記載しております。また、金額は消費税等抜きの売価換算(仕切単価ベース)であり、百万円未満を四捨五入して記載しております。
当社グループは医薬品事業のみの単一セグメントであり、当連結会計年度の商品仕入実績は次のとおりであります。
(注)1.IFRSに基づく金額を記載しております。また、金額は消費税等抜きの実際仕入高であり、百万円未満を四捨五入して記載しております。
2.前年同期比での減少は、主に抗悪性腫瘍剤/抗CD20モノクローナル抗体「リツキサン」によるものです。
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
当社グループは医薬品事業のみの単一セグメントであり、当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
2.IFRSに基づく金額を記載しております。また、金額は消費税等抜きであり、百万円未満を四捨五入して記載しております。
3.販売高は売上収益(製商品売上高とロイヤルティ及びその他の営業収入)であります。
① 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、これまで、運転資金並びに設備投資及び研究開発活動を自己資金で賄ってきております。引き続き、効率的な事業運営を行いキャッシュ・イン・フローの最大化に努め、成長のための戦略投資と財務健全性の維持を両立していく方針です。なお、計画外の急な資金需要が生じた場合の財源につきましては、金融機関からの借入や短期社債等を利用するなどの体制を整えており、既存の手許資金も含めて十分な流動性を確保しております。また、2019年5月に公表しております中外ライフサイエンスパーク横浜への投資(2022年竣工・総投資額1,273億円を計画)につきましては、全額自己資金で賄う予定ですが、投資期間が複数年度にわたるため、当社の資金流動性や財務基盤の健全性へ与える影響は軽微でございます。
以上のように、当社グループの資本財源は事業活動を通じて獲得した資金を基盤としており、今後とも効率的な事業投資を継続することで持続的な企業価値の向上が可能と考えております。なお、資本配分の方針につきましては、将来の事業成長のドライバーとなる研究開発活動、新しい生産技術やデジタル技術等への積極的な投資の財源となる内部留保と株主の皆様への利益還元のバランスを考慮しながら配分してまいります。
具体的な配当政策としては、これまでCore EPS対比平均して50%の配当性向を目処に配当を実施してまいりましたが、次世代の成長機会を創出するための戦略的投資資源を確保し、かつ、今後も安定的な配当を実施していくために、2020年事業年度よりCore EPS対比平均45%へ変更しました。
② 経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当連結会計年度においては、2019年10月24日に公表した修正予想に対して、売上収益は6,862億円(修正予想比0.9%増)、製商品原価率は45.0%と修正予想を0.2%ポイント改善、経費は1,962億円(同0.4%減)となりました。この結果、Core営業利益は2,249億円(同3.2%増)となり、アレセンサのロシュ向け輸出等の増加を主因として修正予想を上回り、過去最高益となりました。
また、当社グループは、2019年度から2021年度を実行期間とする中期経営計画「IBI 21」を策定し、前中期経営計画「IBI 18」で築いた事業基盤とロシュとの戦略的アライアンスをベースに、さらなる競争優位の獲得と持続的な利益成長・企業価値拡大の実現を目指し、新たなステージでの変革に取り組んでおります。
a. Value Creation(創薬、開発、製薬)
世界最先端の抗体改変技術をはじめとする創薬技術への優先投資により、革新的な研究開発プロジェクトの創出を加速しました。将来の成長ドライバーとして期待する「SA237(サトラリズマブ)」(予定適応症:視神経脊髄炎スペクトラム障害)や「CIM331(ネモリズマブ)」(予定適応症:アトピー性皮膚炎など)の開発が順調に進捗し、当社が新たな治療モダリティとして位置付ける中分子医薬のプロジェクトも、実現に向け大きく進展しました。また、当社の中核的研究拠点となる「中外ライフサイエンスパーク横浜」の起工式を執り行い、2023年の本稼働に向けて準備が進んでおります。加えて、低・中分子医薬品の製造のための新棟の建設も中外製薬工業株式会社藤枝工場で始まるなど、多くの成果を挙げることができました。
b. Value Delivery(営業、メディカル、安全性)
当社が最大の成長ドライバーと位置付ける、自社創製品の血液凝固第Ⅷ因子機能代替製剤「ヘムライブラ」が日本・米国・欧州をはじめとするグローバル市場で大きく伸長し、発売3年目で“ブロックバスター製品(グローバル売上が10億ドル超)”に成長しました。また、ロシュからの導入品である抗悪性腫瘍剤/改変型抗PD-L1ヒト化モノクローナル抗体「テセントリク」などの重要な新製品の市場浸透も順調に進み、計画を大きく上回る売上成長を実現しました。
c. 個別化医療(Personalized Healthcare;PHC)の高度化
個別化医療の推進においては、遺伝子変異解析プログラム「FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル」の承認を取得しました。がん領域のリーディングカンパニーとして、がんゲノム医療の実現と提供体制の構築に貢献することが当社の重要な責務と考えており、2018年に新設した「ファウンデーションメディシン・ユニット」を中心に本事業を力強く推進しております。さらには、抗悪性腫瘍剤/チロシンキナーゼ阻害剤「ロズリートレク」が、がん種を問わず「NTRK 融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌」に対する治療薬として、他国に先駆けて日本で承認を取得しました。
d. 人財の強化と抜本的な構造改革
イノベーション創出を牽引する多様な人財、及び従業員エンゲージメントの強化を目指して、適所適財に基づく重点ポジションの選定、戦略遂行を担うグローバルトップクラス人財の獲得・育成・配置、及びダイバーシティ&インクルージョンの推進に引き続き注力いたしました。そして、目指す姿に沿った新たな人事処遇制度の設計が完了し、本年4月より稼働予定です。また、全社のデジタル・IT戦略を一元的にリードする統括部門を新たに設置し、デジタルを最大限活用した価値創出や効率化を目指した基盤構築を推進しております。さらには、激変する環境に的確に対応するため、各機能において、既存プロセスやコストの抜本的な見直しを含めた構造改革を進めております。上半期には早期退職優遇措置を実施し、また関係会社については、物流機能の外部委託及び物流子会社解散の決定や、製品の包装作業の外製化を推進するなど、注力する機能の見直しを実施しました。
e. Sustainable基盤の強化
「IBI 21」において、当社グループのMissionと、事業の経済・社会・環境に及ぼす影響を踏まえて重要課題(マテリアリティ)を特定し、環境については、2020年を最終目標とする中期環境保全目標を達成すべく、環境と安全衛生に全社一体となり取り組んでおります。また、人権を含めた包括的サプライヤー評価体制を構築し、運用を開始しました。こうした取り組みの結果として、グローバルの社会的責任投資指数である「Dow Jones Sustainability Index(DJSI) Asia Pacific」の構成銘柄として2年連続(5回目)の選定を受けました。
これらの取り組みにより、「IBI 21」初年度の2019年は、当初の定性目標及び計量計画を高い水準で達成し、財務面でも過去最高益を連続更新いたしました。また、2019年から長期的な投資効率を意識した計量マネジメントのため、長期の財務KPIとしてROICを採用しました。2019年のROIC実績は、株主をはじめとする資本提供者が期待する投資収益率WACCを大幅に上回る31.9%となりました。
なお、「IBI 21」における計量目標として、3年間でのCore EPS年平均成長率を「High single digit(一桁台後半;一定為替レートベース)」として掲げておりましたが、初年度の好業績を踏まえ、「30%前後(一定為替レートベース、株式分割を考慮しない場合)」に見直しをいたしました。
※ROICについて
投下資本利益率(ROIC:Return On Invested Capital)は事業活動のために投じた資金(投下資本)を使って、企業がどれだけ効率的に利益に結びつけているかを知ることができます。
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項
有形固定資産の減価償却方法について、日本基準では定率法、IFRSでは定額法を採用しております。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、当連結会計年度における売上原価、販売費、研究開発費及び一般管理費等36億円減少しております。
外部から導入した開発品に係る一時金及びマイルストン支払いについて、日本基準では発生した会計期間の費用として計上しておりますが、IFRSでは無形資産に計上しております。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、当連結会計年度における研究開発費が2億円増加しております。
(注)Gantenerumabにつきましては2019年10月に和文一般名が決定したため、契約品目名をガンテネルマブ(遺伝子組換え)に修正しております。
(注)1.2019年1月に中外サノフィ-アベンティス・エスエヌシーは中外ファーマ・ヨーロッパ・リミテッドによって株式を追加取得され、完全子会社となり、社名を中外ファーマ・ヨーロッパ・ロジスティクス・エスエーエスに変更しております。これにより、当社は同社(旧名称 中外サノフィ-アベンティス・エスエヌシー)との契約の記載を省略しております。
2.ネスレ・スキンヘルス・エス・エイ(スイス)はガルデルマ・スキンヘルス・エス・エイへ社名を変更しております。
・2019年1月に中外サノフィ-アベンティス・エスエヌシーは中外ファーマ・ヨーロッパ・リミテッドによって株式を追加取得され、完全子会社となり、社名を中外ファーマ・ヨーロッパ・ロジスティクス・エスエーエスに変更しております。これにより、当社はサノフィ・アベンティス・パーティシペーションズ・エスエーエスとの契約を解約しております。
・2019年12月に当社とジェイダブリュ・ファーマシューティカルは、両社による合弁会社である韓国のC&Cリサーチ・ラボラトリーズ(C&C)について、当社の保有するすべてのC&C株式を、ジェイダブリュ・ファーマシューティカルに譲渡いたしました。これにより、当社はジェイダブリュ・ファーマシューティカルとの契約を解約しております。
(注)太陽ホールディングス株式会社との長期収載品製造販売承認等譲渡契約につきましては、2019年1月に移管が完了しております。
当社グループは、医療用医薬品に関して国内外にわたる積極的な研究開発活動を展開しており、国際的に通用する革新的な医薬品の創製に取り組んでおります。国内では、御殿場、鎌倉に研究拠点を配置し、連携して創薬の研究を行う一方、浮間では工業化技術の研究を行っております。また、海外では、中外ファーマ・ユー・エス・エー・インコーポレーテッド(米国)、中外ファーマ・ヨーロッパ・リミテッド(英国)、日健中外科技(北京)有限公司(中国)、台湾中外製薬股份有限公司(台湾)が医薬品の開発・申請業務を、中外ファーマボディ・リサーチ・ピーティーイー・リミテッド(シンガポール)が医薬品の研究開発を行っています。
当連結会計年度におけるCoreベースの研究開発費は、
2019年1月1日から2019年12月31日までの研究開発活動の進捗状況は以下のとおりであります。
「がん領域」
・ROS1/TRK阻害剤「RG6268」(製品名:「ロズリートレク」)は、2019年6月にNTRK 融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌を適応症として承認を取得し、9月に発売しました。2019年3月には非小細胞肺がんを予定適応症として承認申請を行いました。
・改変型抗PD-L1モノクローナル抗体「RG7446」(製品名:「テセントリク」)は、2019年8月に進展型小細胞肺癌の適応拡大、同年9月にPD-L1陽性のホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌の適応拡大について、承認を取得しました。また、2019年5月に非小細胞肺がん(ネオアジュバント)を予定適応症として、同年12月に肝細胞がん(アジュバント)を予定適応症として、それぞれ第Ⅲ相国際共同治験を開始しました。第Ⅲ相国際共同治験IMbassador250の結果に鑑み、前立腺がんを対象とする開発を中止しました。
・抗HER2抗体チューブリン重合阻害剤複合体「RG3502」(製品名:「カドサイラ」)は、2019年8月にHER2陽性の早期乳がんにおける術後薬物療法を予定適応症として承認申請を行いました。
・抗VEGF(血管内皮増殖因子)ヒト化モノクローナル抗体「RG435」(製品名:「アバスチン」)は、2019年12月に肝細胞がん(アジュバント)を予定適応症として第Ⅲ相国際共同治験(「RG7446」との併用)を開始しました。
・ヒト化抗FAP抗体改変IL-2融合蛋白「RG7461」は、2019年10月に固形がんを予定適応症として第Ⅰ相臨床試験を開始しました。
・抗TIGITヒトモノクローナル抗体「RG6058」は、2019年11月に固形がんを予定適応症として第Ⅰ相臨床試験を開始しました。
「自己免疫疾患領域」
・ヒトIL-22融合蛋白「RG7880」は、2019年7月に炎症性腸疾患を予定適応症として第Ⅰ相臨床試験を開始しました。
・ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体「MRA/RG1569」は、第Ⅲ相国際共同治験「focuSSced試験」の結果に鑑み、全身性強皮症を対象とする開発を中止しました。
「神経疾患領域」
・抗IL-6レセプターリサイクリング抗体「SA237/RG6168」は、欧州(2019年8月)、米国に加え、日本(2019年11月)において、視神経脊髄炎スペクトラム障害を予定適応症として承認申請を行いました。
・HTT mRNAに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド「RG6042」は、2019年3月にハンチントン病を予定適応症として第Ⅲ相国際共同治験を開始しました。
・「RG7906」は、精神疾患を予定適応症として、2019年1月に第Ⅰ相臨床試験を開始しました。
・抗タウヒト化モノクローナル抗体「RG6100」は、2019年4月にアルツハイマー病を予定適応症として第Ⅰ相臨床試験を開始しました。
・バソプレシン1a 受容体アンタゴニスト「RG7314」は、2019年5月に自閉スペクトラム症を予定適応症として第Ⅰ相臨床試験を開始しました。
・抗アミロイドベータヒト化モノクローナル抗体「RG7412」は、第Ⅲ相国際共同治験「CREAD1試験」及び「CREAD2試験」の結果に鑑み、アルツハイマー病を対象とする開発を中止しました。
「その他の疾患領域」
・抗血液凝固第Ⅸa/Ⅹ因子ヒト化二重特異性モノクローナル抗体「ACE910/RG6013」(製品名:「ヘムライブラ」)は、血液凝固第Ⅷ因子に対するインヒビター非保有の成人あるいは小児の血友病Aに対する週1回、2週に1回または4週に1回の皮下投与による予防療法の効能・効果及び血液凝固第Ⅷ因子に対するインヒビター保有の成人あるいは小児の血友病Aに対する2週または4週に1回の用法用量の追加について、2019年3月に欧州で承認を取得しました。
・抗VEGF/Ang2 バイスペシフィック抗体「RG7716」は、2019年2月に滲出型加齢黄斑変性を予定適応症として第Ⅲ相国際共同治験を開始しました。
・抗血液凝固第Ⅸa/Ⅹ因子バイスペシフィック抗体「NXT007」は、2019年8月に血友病Aを予定適応症として第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験を開始しました。
・抗IL-31レセプターAヒト化モノクローナル抗体「CIM331」は、開発ポートフォリオの優先順位を見直した結果、透析そう痒症を対象とした開発活動を一時的に停止することとしたため、パイプラインより除外しました。