当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
<連結損益の概要(IFRSベース)>
当中間連結会計期間の売上収益は5,529億円(前年同期比4.6%減)、営業利益は2,582億円(同22.4%増)、中間利益は1,863億円(同18.9%増)となりました。これらには当社が管理する経常的業績(Coreベース)では除外している無形資産の償却費8億円、無形資産の減損損失1億円、事業再構築費用33億円及び事業所再編費用5億円が含まれています。
<連結損益の概要(Coreベース)>
当中間連結会計期間の売上収益は、その他の売上収益が増加したものの、製商品売上高が減少し、5,529億円(前年同期比4.6%減)となりました。
売上収益のうち、製商品売上高は4,855億円(同7.2%減)となりました。国内製商品売上高は、新製品のフェスゴ、バビースモが伸長するとともに、主力品のアクテムラ等が好調に推移した一方、前年同期に計上されたロナプリーブの政府納入や、薬価改定、後発品浸透の影響を受けたことにより前年同期比で減少しました。海外製商品売上高は、ロシュ向けのヘムライブラ輸出が大幅に増加したため、前年同期を大きく上回りました。その他の売上収益は、ヘムライブラに関する収入の増加に加え、一時金収入の増加等により673億円(同18.9%増)となりました。製商品原価率は、製品別売上構成比の変化等により33.0%と前年同期比で13.3ポイント改善しました。結果、売上総利益は3,926億円(同16.4%増)となりました。
研究開発費は創薬・早期開発への投資や開発プロジェクトの進展に伴う費用の増加等により840億円(同9.8%増)、販売費及び一般管理費は為替影響及び法人事業税(外形標準課税)の増加等により466億円(同3.6%増)となりました。その他の営業収益(費用)は8億円の収益(前年同期は製品譲渡に係る収益や有形固定資産の売却益等が発生し162億円の収益)となりました。以上から、Core営業利益は2,628億円(同13.3%増)、Core中間利益は1,895億円(同10.6%増)となりました。
※Core実績について
当社はIFRS移行を機に2013年よりCore実績を開示しております。Core実績とは、IFRS実績に当社が非経常事項と捉える事項の調整を行ったものであります。なお、当社が非経常事項と捉える事項は、事業規模や範囲などの違いによりロシュと判断が異なる場合があります。当社ではCore実績を、社内の業績管理、社内外への経常的な収益性の推移の説明、並びに株主還元をはじめとする成果配分を行う際の指標として使用しております。
<製商品売上高の内訳>
[国内製商品売上高]
国内製商品売上高は、新製品及び主力品が伸長したものの、前年同期に計上されたロナプリーブの政府納入や、薬価改定、後発品浸透の影響により、2,172億円(前年同期比30.7%減)となりました。
オンコロジー領域の売上は、1,188億円(同6.1%減)となりました。新製品の抗悪性腫瘍剤/抗HER2ヒト化モノクローナル抗体・ヒアルロン酸分解酵素配合剤「フェスゴ」の売上が好調に推移したものの、薬価改定及び後発品浸透の影響により、主力品の抗悪性腫瘍剤/抗VEGFヒト化モノクローナル抗体「アバスチン」などの売上が減少しました。また、抗悪性腫瘍剤/抗HER2ヒト化モノクローナル抗体「パージェタ」は、同剤を含む配合皮下注製剤である「フェスゴ」の市場浸透影響もあり前年同期を下回りました。
スペシャリティ領域の売上は、984億円(同47.4%減)となりました。前年同期に計上された抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体「ロナプリーブ」の政府納入(812億円)や、抗インフルエンザウイルス剤「タミフル」行政備蓄の売上減少による影響が大きく、また薬価改定及び後発品浸透の影響により持続型赤血球造血刺激因子製剤「ミルセラ」などの売上が減少しました。一方で、新製品の眼科用VEGF/Ang-2阻害剤抗VEGF/抗Ang-2ヒト化二重特異性モノクローナル抗体「バビースモ」が伸長したことに加え、主力品のヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体「アクテムラ」が堅調に推移しました。
[海外製商品売上高]
海外製商品売上高は2,684億円(前年同期比28.2%増)となりました。ロシュ向け輸出については、「アクテムラ」が前年同期比で減少した一方、血液凝固第Ⅷ因子機能代替製剤抗血液凝固第Ⅸa/Ⅹ因子ヒト化二重特異性モノクローナル抗体「へムライブラ」が大幅に伸長するとともに、pH依存的結合性ヒト化抗IL-6レセプターモノクローナル抗体「エンスプリング」も増加しました。
<資産、負債及び純資産の状況>
当中間連結会計期間末における純営業資産(NOA)は前連結会計年度末に比べ890億円増加し、9,899億円となりました。うち、純運転資本は、主に営業債権の増加により前連結会計年度末に比べ747億円増加し、4,973億円となりました。また、長期純営業資産は主に藤枝工場における合成原薬製造棟(FJ3)及び宇都宮工場におけるバイオ原薬製造棟(UT3)への投資により前連結会計年度末から143億円増加し、4,926億円となりました。
次項「キャッシュ・フローの状況」で示すとおり、有価証券や有利子負債を含むネット現金は前連結会計年度末に比べ767億円増加し、8,157億円となりました。その他の営業外純資産は、主に未払法人所得税の増加により前連結会計年度末から396億円減少し、△539億円となりました。
これらの結果、純資産合計は前連結会計年度末に比べ1,261億円増加し、1兆7,517億円となりました。
※純営業資産(NOA)及び純資産について
連結財政状態計算書は国際会計基準第1号「財務諸表の表示」に基づいて作成しております。一方で、純営業資産(NOA)及び純資産は、連結財政状態計算書を内部管理の指標として再構成したものであり、ロシュも同様の指標を開示しております。なお、純営業資産(NOA)及び純資産にはCore実績のような除外事項はありません。
※純営業資産(NOA)について
純営業資産(NOA:Net Operating Assets)は金融取引や税務上の取引とは独立に当社グループの業績を評価することを可能としております。純営業資産は純運転資本及び有形固定資産、使用権資産、無形資産等を含む長期純営業資産から引当金を控除することで計算しております。
<キャッシュ・フローの状況>
営業利益から、営業利益に含まれる減価償却費などのすべての非現金損益項目及び純営業資産に係るすべての非損益現金流出入を調整した調整後営業利益は、2,751億円(前年同期比15.0%増)となりました。
純運転資本等の増加670億円や有形固定資産の取得による支出329億円等により、営業フリー・キャッシュ・フローは1,695億円(同46.7%減)の収入となりました。純運転資本等の増加要因は前項「資産、負債及び純資産の状況」に記載したとおりです。
営業フリー・キャッシュ・フローから法人所得税400億円を支払ったこと等により、フリー・キャッシュ・フローは1,347億円(同39.2%減)の収入となりました。
フリー・キャッシュ・フローから配当金の支払655億円等を調整したネット現金の純増減は767億円の増加となりました。
また、有価証券及び有利子負債の増減を除いた現金及び現金同等物は649億円減少し、当中間期末残高は3,938億円となりました。
※フリー・キャッシュ・フロー(FCF)について
連結キャッシュ・フロー計算書は国際会計基準第7号「キャッシュ・フロー計算書」に基づいて作成しております。一方で、FCFは、連結キャッシュ・フロー計算書を内部管理の指標として再構成したものであり、ロシュも同様の指標を開示しております。なお、FCFにはCore実績のような除外事項はありません。
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき課題について、重要な変更はありません。
当中間連結会計期間におけるCoreベースの研究開発費は840億円(前年同期比9.8%増)、売上収益研究開発費比率は15.2%となりました。
2024年1月1日から2024年6月30日までの研究開発活動の進捗状況は以下のとおりです。
「がん領域」
・抗CD20/CD3バイスペシフィック抗体「RG7828」は、2024年3月に、濾胞性リンパ腫(三次治療)を対象として承認申請を行いました。
・抗悪性腫瘍剤/抗PD-L1ヒト化モノクローナル抗体「RG7446」(製品名:「テセントリク」)は、2024年3月に、胞巣状軟部肉腫を対象として承認申請を行いました。また、第Ⅲ相国際共同治験「IMvoke010」の結果に鑑み、頭頸部がん(維持療法)を対象とする開発を中止しました。
・抗悪性腫瘍剤/ALK阻害剤「AF802/RG7853」(製品名:アレセンサ)は、2024年4月に米国で、同年6月に欧州、中国で、ALK陽性早期非小細胞肺がんに対する術後補助療法に対する適応拡大の承認を取得しました。
・抗CD20/CD3バイスペシフィック抗体「RG6026」は、2024年4月に、初発大細胞型B細胞リンパ腫を対象として第Ⅲ相国際共同治験「SKYGLO」を開始しました。
「免疫疾患領域」
・免疫抑制剤「セルセプト」は、2024年2月に、全身性強皮症に伴う間質性肺疾患を対象として公知申請を行い、同年6月に適応拡大の承認を取得しました。
・補体B因子mRNAに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド「RG6299/ASO factor B」は、IgA腎症を対象として、2024年2月に第Ⅰ相臨床試験を、同年5月に第Ⅲ相国際共同治験「IMAGINATION」を開始しました。
「神経疾患領域」
・脊髄性筋萎縮症治療剤「RG7916」(製品名:「エブリスディ」)は、2024年2月に、未発症の脊髄性筋萎縮症に対する適応拡大の承認申請を行いました。
・抗タウヒト化モノクローナル抗体「RG6100」は、ロシュが海外で実施した臨床試験の結果に鑑み、アルツハイマー病を対象とする開発を中止しました。
・pH依存的結合性ヒト化抗IL-6レセプターモノクローナル抗体「SA237/RG6168」(販売名:「エンスプリング」)は、第Ⅲ相国際共同治験「Luminesce」の結果に鑑み、全身型重症筋無力症を対象とする開発を中止しました。
「血液疾患領域」
・pH依存的結合性ヒト化抗補体(C5)モノクローナル抗体「SKY59/RG6107」(製品名:「ピアスカイ」)は、2024年2月に、中華人民共和国 国家薬品監督管理局より補体阻害薬による治療歴のない発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH:paroxysmal nocturnal hemoglobinuria)の成人及び青年患者(12歳以上)に対する承認を取得しました。同年3月に、国内でPNHに対する承認を取得し、同年5月に発売しました。同年6月に、米国食品医薬品局よりPNHの成人及び青年(13歳以上)で体重40kg以上の患者に対する承認を取得し、欧州医薬品庁の欧州医薬品委員会よりPNHに対する承認勧告を受けました。
「眼科領域」
・眼科用VEGF/Ang-2阻害剤 抗VEGF/抗Ang-2ヒト化二重特異性モノクローナル抗体「RG7716」(製品名:「バビースモ」)は、2024年3月に、網膜静脈閉塞症(RVO:retinal vein occlusion)に伴う黄斑浮腫に対する適応拡大の承認を取得しました。
「その他の領域」
・抗IL-8リサイクリング抗体「AMY109」は、2024年1月に、子宮内膜症を対象として第Ⅱ相臨床試験を開始しました。
・不安定狭心症治療剤「SG-75」(製品名:「シグマート注」)は、2024年4月に、中華人民共和国 国家薬品監督管理局より不安定狭心症に対する承認を取得しました。
・抗潜在型ミオスタチンスイーピング抗体「GYM329/RG6237」は、2024年5月に、肥満症を対象として、第Ⅰ相臨床試験を開始しました。
・アンジオテンシノーゲンに対するRNAi治療薬「RG6615」は、2024年6月に、高血圧を対象として、第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験を開始しました。
当中間連結会計期間において、当社グループの従業員数に著しい増減はありません。
当中間連結会計期間において、生産、受注及び販売実績の著しい変動はありません。
(7)主要な設備
当中間連結会計期間において、新たに確定した重要な設備の新設の計画はありません。
(注)本項2「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」において、金額は億円未満を四捨五入しております。また、増減及び%は億円単位で表示された数字で計算しております。
当中間連結会計期間において、新たに締結した重要な契約は次のとおりであります。
当中間連結会計期間において、解約した重要な契約は次のとおりであります。
・技術導入契約等