当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
<連結損益の概要(IFRSベース)>
当中間連結会計期間の売上収益は5,785億円(前年同期比4.6%増)、営業利益は2,733億円(同5.8%増)、中間利益は1,944億円(同4.3%増)となりました。これらには当社が管理する経常的業績(Coreベース)では除外している無形資産の償却費8億円、無形資産の減損損失1億円、事業再構築費用63億円及び事業所閉鎖に伴う固定資産売却益を含む事業所再編費用84億円(収益)が含まれています。
<連結損益の概要(Coreベース)>
当中間連結会計期間の売上収益は、製商品売上高が増加し、5,785億円(前年同期比4.6%増)となりました。
売上収益のうち、製商品売上高は5,114億円(同5.3%増)となりました。国内製商品売上高は、薬価改定や後発品浸透等の影響を受けたものの、新製品のフェスゴ、ピアスカイ、主力品のバビースモが大幅に増加し、前年同期を上回りました。海外製商品売上高は、ロシュ向けのアクテムラ輸出が大幅に増加したため、前年同期を上回りました。その他の売上収益は、ヘムライブラに関する収入が増加したものの、一時金収入の減少等により670億円(同0.4%減)となりました。製商品原価率は、製品別売上構成比の変化等により34.3%と前年同期比で1.3ポイント上昇しました。結果、売上総利益は4,033億円(同2.7%増)となりました。
研究開発費は創薬・早期開発への投資や開発プロジェクトの進展に伴う費用の増加等により863億円(同2.7%増)、販売費及び一般管理費は諸経費等の減少により454億円(同2.6%減)となりました。その他の営業収益(費用)は4億円の収益(前年同期は8億円の収益)となりました。以上から、Core営業利益は2,720億円(同3.5%増)、Core中間利益は1,935億円(同2.1%増)となりました。
※Core実績について
当社はIFRS移行を機に2013年よりCore実績を開示しております。Core実績とは、IFRS実績に当社が非経常事項と捉える事項の調整を行ったものであります。なお、当社が非経常事項と捉える事項は、事業規模や範囲などの違いによりロシュと判断が異なる場合があります。当社ではCore実績を、社内の業績管理、社内外への経常的な収益性の推移の説明、並びに株主還元をはじめとする成果配分を行う際の指標として使用しております。
<製商品売上高の内訳>
[国内製商品売上高]
国内製商品売上高は、薬価改定及び後発品浸透等の影響を受けたものの、新製品及び主力品が伸長し、2,233億円(前年同期比2.8%増)となりました。
オンコロジー領域の売上高は、1,166億円(同1.9%減)となりました。新製品の抗悪性腫瘍剤/抗HER2ヒト化モノクローナル抗体・ヒアルロン酸分解酵素配合剤「フェスゴ」の売上が大幅に増加したほか、2025年3月に発売した抗悪性腫瘍剤/抗CD20/CD3ヒト化二重特異性モノクローナル抗体「ルンスミオ」が順調に市場浸透しているものの、薬価改定及び後発品浸透の影響により、主力品の抗悪性腫瘍剤/抗VEGFヒト化モノクローナル抗体「アバスチン」の売上が減少しました。また、抗悪性腫瘍剤/抗HER2ヒト化モノクローナル抗体「パージェタ」は、同剤を含む配合皮下注製剤である「フェスゴ」の市場浸透影響を主因に前年同期を大幅に下回りました。
スペシャリティ領域の売上高は、1,067億円(同8.4%増)となりました。薬価改定及び後発品浸透の影響を受けたものの、主力品の眼科用VEGF/Ang-2阻害剤/抗VEGF/抗Ang-2ヒト化二重特異性モノクローナル抗体「バビースモ」の大幅な増加や、新製品のpH依存的結合性ヒト化抗補体(C5)モノクローナル抗体「ピアスカイ」の好調な市場浸透に加え、主力品の血液凝固第Ⅷ因子機能代替製剤/抗血液凝固第Ⅸa/Ⅹ因子ヒト化二重特異性モノクローナル抗体「ヘムライブラ」やpH依存的結合性ヒト化抗IL-6レセプターモノクローナル抗体「エンスプリング」が増加しました。
[海外製商品売上高]
海外製商品売上高は2,881億円(前年同期比7.3%増)となりました。ロシュ向け輸出については、「へムライブラ」が前年同期比で減少した一方、ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体「アクテムラ」が大幅に伸長しました。
<資産、負債及び純資産の状況>
当中間連結会計期間末における純営業資産(NOA)は前連結会計年度末に比べ439億円増加し、9,915億円となりました。うち、純運転資本は設備未払金が減少した一方で、営業債務の増加等により前連結会計年度末に比べ70億円減少し、4,417億円となりました。また、長期純営業資産は主に宇都宮工場におけるバイオ原薬製造棟(UT3)及び注射剤棟(UTA)への投資により前連結会計年度末から510億円増加し、5,499億円となりました。
次項「キャッシュ・フローの状況」で示すとおり、有価証券や有利子負債を含むネット現金は前連結会計年度末に比べ313億円増加し、1兆276億円となりました。その他の営業外純資産は主に未払法人所得税の減少により前連結会計年度末から85億円増加し、△340億円となりました。
これらの結果、純資産合計は前連結会計年度末に比べ836億円増加し、1兆9,851億円となりました。
※純営業資産(NOA)及び純資産について
連結財政状態計算書は国際会計基準第1号「財務諸表の表示」に基づいて作成しております。一方で、純営業資産(NOA)及び純資産は、連結財政状態計算書を内部管理の指標として再構成したものであり、ロシュも同様の指標を開示しております。なお、純営業資産(NOA)及び純資産にはCore実績のような除外事項はありません。
※純営業資産(NOA)について
純営業資産(NOA:Net Operating Assets)は金融取引や税務上の取引とは独立に当社グループの業績を評価することを可能としております。純営業資産は純運転資本及び有形固定資産、使用権資産、無形資産等を含む長期純営業資産から引当金を控除することで計算しております。
<キャッシュ・フローの状況>
営業利益から、営業利益に含まれる減価償却費などのすべての非現金損益項目及び純営業資産に係るすべての非損益現金流出入を調整した調整後営業利益は、2,898億円(前年同期比5.3%増)となりました。
調整後営業利益から純運転資本等の減少161億円等があった一方で、有形固定資産の取得による支出489億円や無形固定資産の取得による支出162億円等により、営業フリー・キャッシュ・フローは2,368億円(同39.7%増)の収入となりました。純運転資本等の減少要因は前項「資産、負債及び純資産の状況」に記載したとおりです。
営業フリー・キャッシュ・フローから法人所得税1,072億円を支払ったこと等により、フリー・キャッシュ・フローは1,228億円(同8.8%減)の収入となりました。
フリー・キャッシュ・フローから配当金の支払938億円等を調整したネット現金の純増減は313億円の増加となりました。
また、有価証券及び有利子負債の増減を除いた現金及び現金同等物は431億円減少し、当中間期末残高は4,971億円となりました。
※フリー・キャッシュ・フロー(FCF)について
連結キャッシュ・フロー計算書は国際会計基準第7号「キャッシュ・フロー計算書」に基づいて作成しております。一方で、FCFは、連結キャッシュ・フロー計算書を内部管理の指標として再構成したものであり、ロシュも同様の指標を開示しております。なお、FCFにはCore実績のような除外事項はありません。
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき課題について、重要な変更はありません。
当中間連結会計期間におけるCoreベースの研究開発費は863億円(前年同期比2.7%増)、売上収益研究開発費比率は14.9%となりました。
2025年1月1日から2025年6月30日までの研究開発活動の進捗状況は以下のとおりです。
「がん領域」
・抗悪性腫瘍剤/抗PD-L1ヒト化モノクローナル抗体「RG7446」(製品名:「テセントリク」)は、2025年2月に、切除不能な胞巣状軟部肉腫に対する適応拡大の承認を取得しました。加えて、同年5月に切除不能な胸腺がんを対象として適応拡大の承認申請を行いました。また、第Ⅲ相国際共同治験「CONTACT-02試験」の結果に鑑み、前立腺がん[二次治療](カボザンチニブ併用)を対象とする国内における開発を中止しました。さらに、これまで実施された臨床試験結果に鑑み、早期乳がん(周術期)を対象とする開発を中止しました。
・抗悪性腫瘍剤/ALK阻害剤「AF802/RG7853」(製品名:「アレセンサ」)は、2025年6月にALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の固形がんを対象として適応拡大の承認申請を行いました。
・抗悪性腫瘍剤/抗CD20/CD3ヒト化二重特異性モノクローナル抗体「RG7828」(製品名:「ルンスミオ」)は、2025年5月に、再発または難治性のアグレッシブB細胞性非ホジキンリンパ腫(「ポライビー」との併用)を対象として適応拡大の承認申請を行いました。
・「MINT91」は、2025年4月に、固形がんを対象として第Ⅰ相臨床試験を開始しました。
・pan-KRAS阻害剤「AUBE00」は、2025年6月に、固形がんを対象として第Ⅰ相臨床試験を開始しました。
・抗TIGITヒトモノクローナル抗体「RG6058」は、第Ⅲ相国際共同治験「SKYSCRAPER-01試験」及び「SKYSCRAPER-07試験」の結果に鑑み、非小細胞肺がん[一次治療]、及び食道がん(いずれも「テセントリク」との併用)を対象とする開発をそれぞれ中止しました。
・抗HER2/CD3バイスペシフィック抗体「RG6194」は、戦略上の理由から、固形がんを対象とする開発を中止しました。
・抗VEGF(血管内皮増殖因子)ヒト化モノクローナル抗体「RG435」(製品名:「アバスチン」)は、第Ⅲ相臨床試験「BEAT-SC試験」の結果に鑑み、小細胞肺がん[一次治療](「テセントリク」との併用)を対象とする開発を中止しました。
「免疫疾患領域」
・免疫抑制剤「セルセプト」は、2025年3月に、難治性のネフローゼ症候群(頻回再発型あるいはステロイド依存性を示す場合)を対象として公知申請を行いました。
・抗TL1A抗体「RG6631」は、2025年4月に、潰瘍性大腸炎を対象として第Ⅲ相国際共同治験を開始しました。
「神経疾患領域」
・ウイルスベクター製品「RG6356/SRP-9001」(製品名:「エレビジス」)は、2025年5月に、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(エクソン8及び/またはエクソン9の一部または全体の欠失変異を有さず、抗AAVrh74抗体が陰性である3歳以上8歳未満の歩行可能な方)の治療を目的とした再生医療等製品として国内で条件及び期限付承認に該当する製造販売承認を取得しました。
・pH依存的結合性ヒト化抗IL-6レセプターモノクローナル抗体「SA237/RG6168」(製品名:「エンスプリング」)は、2025年4月にデュシェンヌ型筋ジストロフィーを対象として第Ⅱ相臨床試験を開始しました。
「血液疾患領域」
・血液凝固第Ⅷ因子機能代替製剤/抗血液凝固第Ⅸa/X因子ヒト化二重特異性モノクローナル抗体「ACE910/RG6013」(製品名:「ヘムライブラ」)は、2025年6月にフォン・ヴィレブランド病を対象として第Ⅲ相国際共同治験を開始しました。
「眼科領域」
・眼科用VEGF/Ang-2阻害剤/抗VEGF/抗Ang-2ヒト化二重特異性モノクローナル抗体「RG7716」(製品名:「バビースモ」)は、2025年5月に、脈絡膜新生血管を伴う網膜色素線条に対する適応拡大の承認を取得しました。また、同年5月に、非増殖糖尿病網膜症を対象として国内第Ⅲ相臨床試験を開始しました。
「その他の領域」
・抗補体C1sリサイクリング抗体「RAY121」は、2025年3月に、第Ⅰ相臨床試験を開始しました。
・抗潜在型ミオスタチンスイーピング抗体「GYM329/RG6237」は、2025年5月に、肥満症を対象として第Ⅱ相臨床試験を開始しました。
当中間連結会計期間において、当社グループの従業員数に著しい増減はありません。
当中間連結会計期間において、生産、受注及び販売実績の著しい変動はありません。
(7)主要な設備
当中間連結会計期間において、新たに確定した重要な設備の新設の計画はありません。
(注)本項2「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」において、金額は億円未満を四捨五入しております。また、増減及び%は億円単位で表示された数字で計算しております。
当中間連結会計期間において、解約した重要な契約は次のとおりであります。
・技術導出契約等