第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

本項目における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年3月29日)現在において、当社が判断したものです。

 

(1) 会社の経営の基本方針

<新企業理念「鳥居薬品の志」>

当社は、「世界に通用する医薬品を通じて、お客様、株主、社会、社員に対する責任を果たすとともに、人々の健康に貢献する」ことを企業ミッションとして、人々のQOL(Quality Of Life)向上や企業価値向上に取り組んでまいりました。

一方、研究開発の高度化・難化による投資リスクの増大、薬価制度の抜本改革(毎年薬価改定等)、情報提供活動の変化等、医薬品業界を取り巻く事業環境は急速に変化しております。また当社においては「中期経営計画2021」で実施した事業構造改革を経て、企業の体制にも大きな変化がありました。

このような環境変化の中で、改めて、当社の存在意義や将来目指す姿をより明確に示していくことの重要性が高まっていると考え、各ステークホルダーからの期待も踏まえて、社内での議論を重ねてまいりました。会社設立から100年、創業から150年の節目を迎え、当社が長い歴史の中で培ってきた企業風土や各ステークホルダーからの信頼を受け継ぎつつ、将来へ向けても変わらない当社の志を「鳥居薬品の志」と定め、新たな企業理念といたしました。

また、当社は「中期経営計画2021」期間において、従業員が中心となり、全社的な改革を進めていく際の行動指針となる価値観として「TORII’s POLICY」を策定いたしました。当社は、この「TORII’s POLICY」を「鳥居薬品の志」の実現のために大切にする価値観として改めて位置づけるとともに、これまで企業ミッションの中で掲げてきた、各ステークホルダーへの責任をバランスよく果たし、満足の総和を高めていくことを表す「4Sモデル」を経営の基本的な考え方と位置づけ、「鳥居薬品の志」の実現に向けて取り組んでまいります。

 

1)企業理念:鳥居薬品の志

患者さんとそのご家族や医療に携わる方々に誠実に向き合い、

患者さんの健康回復と、病に縛られない豊かで笑顔多い人生に貢献する

 

長い歴史の中で培った皆様からの信頼を受け継ぎながら、

時代や環境に合わせて柔軟に変革・進化し、

私たちだからこそ出来る医療への貢献に挑戦し続ける

 

 

2)大切にする価値観:TORII’s POLICY

・つながる“ひと”すべてを大切に

・誠実・まじめがトリイのトリエ

・全員当事者 脱・評論家

・新しいことでもおそれずにやってみよう

・すべての経験を糧に、私たちは成長し続ける

 

 

3)経営の基本的な考え方:4Sモデル

私たちは、高品質の事業活動によって生み出される資金を循環/拡大することを通じて、お客様、株主、社会、社員の四者に対する責任をバランス良く果たし、満足の総和を高めていきます。

 

CS(Customer Satisfaction):お客様に対する責任

より良い薬、正しい情報を医療関係者を通じて患者さんに提供することにより、人々のQOL(Quality Of Life)向上に貢献するように努めます。

IS(Investor Satisfaction):株主に対する責任

適時適切に会社情報を開示するとともに、適正な利潤の還元と企業価値の増大を図るように努めます。

SS(Social Satisfaction):社会に対する責任
高度な倫理観を保持し、社会要請に応じた事業活動を通じて、より良き企業市民となるように努めます。

 

 

ES(Employee Satisfaction):社員に対する責任
個々人を尊重し、成長の機会を均等に与え、公正な評価に基づく処遇を推進することにより、働きがいを実感できるように努めます。

 

 

<中長期事業ビジョン「VISION2030」>

当社は、新企業理念である「鳥居薬品の志」を実現するために、2030年に向けて当社が目指す姿として「VISION2030」を策定いたしました。

 

(中長期事業ビジョン:VISION2030)

医療ニーズを深く理解し、その充足のために

高い専門性と機動力を持って

関係する皆様との共創を最適な形で進め、

価値ある新薬を見いだし届ける 

存在感のある製薬企業

 

 

「VISION2030」のターゲットである2030年には、計数面では以下の姿を目指します。

・過去最高の売上高※1を更新する

・過去最高益※2更新を射程に入れる

※1641億円(2017年12月期)

※2営業利益133億円(2001年3月期)

 

これら「VISION2030」の実現と、以降の持続的成長を確実なものとすべく、導入に向けた事業投資に従来以上に積極的に取組むとともに、製品の価値を正しく医療関係者や患者さんに伝えるための社内体制整備や能力向上に取り組んでいく考えです。

以上のことから、以下2点を事業戦略とし、これに基づき中期経営計画の各施策を実施してまいります。

1)導入活動の強化

2)製品価値最大化のための仕組み作り

 

(2) 中期的な会社の経営戦略と対処すべき課題

<前中期経営計画「中期経営計画2021」の総括>

当社は、2019年度から2021年度までの3ヶ年を対象期間とする「中期経営計画2021」を策定し、a.事業構造改革、b.成長戦略、c.ステークホルダーからの信頼維持に取り組んでまいりました。

計画策定当初は中期経営計画の期間中にわたって赤字が継続する見通しであった中で、「2022年度の黒字」を目標といたしましたが、2019年度の業績において前倒しの黒字を達成したことを踏まえて目標を見直し、「「中期経営計画2021」期間中の営業利益(新規事業投資(新規導入品の獲得、M&A等を含む投資)に係る費用を除く営業利益)の黒字継続と、黒字幅の拡大」を新たな目標として取組みを続けてまいりました。達成状況は以下のとおりです。

経営目標の達成状況

区分

2019年度

(実績)

2020年度

(実績)

2021年度

(実績)

売上高  (億円)

429

417

469

営業利益 (億円)

14

47

46

 

 

<「中期経営計画2022-2024」の概要>

当社は、「VISION2030」の達成に向け、2022年度から2024年度を対象期間とする「中期経営計画2022-2024」を策定しました。中長期事業ビジョンの実現に向けて、成長戦略の各施策とステークホルダーからの信頼維持策に取り組んでまいります。

なお、現在の市場環境は、新型コロナウイルス感染症の影響を含め、先行きがますます不透明であることを踏まえて、3年後の目標を固定する従来の計画策定方式を見直し、「中期経営計画2022-2024」からは、環境変化を踏まえて毎年見直しを行うローリング方式で中期経営計画を策定し、環境変化に迅速かつ柔軟に対応していくことといたします。

1)「中期経営計画2022-2024」主要施策

(1)成長戦略

(2)ステークホルダーからの信頼維持

1.成長期新薬の普及・育成・価値最大化

(エナロイ、リオナ、コレクチム、シダキュア、

 ミティキュア、オラデオ)

2.新薬開発の推進(JTE-061、VP-102)

3.導入体制の強化

4.経営戦略に沿った人事制度等の整備と働き方改革

5.企業風土改革

1.安定供給体制の整備・強化

2.薬事規制の遵守と品質保証

3.コンプライアンスの強化

4.コーポレートガバナンスの強化

 

 

2)計数指標

VISION2030の目指す姿実現に向け、「中期経営計画2022-2024」の計数指標としては、売上高及び研究開発費控除前の営業利益を設定します。


※1 :研究開発費は、中長期的な成長に向けた積極的な事業投資により大きく変動する等、現時点において見通すことが困難であるため、利益面における指標は、研究開発費を控除する前の営業利益を計数指標としております。

※2 :現時点での会社としての概算額を示す参考値であり、達成を目指す目標として位置づけるものではありません。

※3 :641億円(2017年12月期)

※4 :営業利益 133億円(2001年3月期)

 

(3)将来の成長へ向けた投資と株主還元について

医薬品業界を取り巻く事業環境は急速に変化しており、当社が継続的にステークホルダーへの責任を果たし続けるためには、医療ニーズを満たす新薬を継続的に創出し続ける必要がますます高まっています。当社としては、新たな導入品の獲得等、将来の成長に資する投資を最優先して継続的に進める必要があると認識しておりますが、特に「中期経営計画2022-2024」期間中は、これまで以上に積極的に導入に注力することとし、内部留保を活用して積極的な事業投資を進めていく考えです。

株主還元につきましては、2022年度の配当は、「継続的かつ安定的に実施する」との基本方針に加え、将来へ向けた投資をこれまで以上に積極的に行っていくことを勘案し、従来と同水準の配当を継続する考えです。

 

 

2 【事業等のリスク】

当社の業績は、今後起こりうる様々な要因により影響を受ける可能性があります。当社の業績に影響を及ぼす可能性のある主なリスクとしては、以下のようなものが考えられます。

なお、本項目における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年3月29日)現在において、当社が判断したものです。

 

(1) 医療用医薬品に関する法規制、薬事行政の動向に関するリスク

医療用医薬品は、開発・製造・販売等において医薬品医療機器法等関連法規の規制を受けており、規制が強化された場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、今後の医療制度改正、後発品使用の促進及び薬価基準の改定等の行政施策の動向によっては、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、各種規制、医療制度、行政制度に関する最新の情報を収集するとともに、各種規制等に対して適切に対応を行っております。

 

(2) 研究開発に関するリスク

新薬の研究開発は、長期に亘りかつ多額な費用の投入を必要としますが、上市までの過程で、遅れや変更が生じる可能性や、断念しなければならない可能性があります。さらには、製造販売承認申請を行っても承認されない可能性もあります。このような場合には、将来の成長性・収益性が低下することとなり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、開発ステージ移行時期において各種会議体を通じて研究開発の継続を確認し、適切にポートフォリオの管理を行うことにより、様々な不確実性への対応を行っております。

 

(3) 副作用に関するリスク

医薬品には副作用発現の可能性があります。重篤な副作用が発現した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、製商品に関する副作用などの安全性に関する情報を収集し、集積された安全性情報を評価・分析し、その結果から適正使用情報の追加が必要な場合は、RMP(医薬品リスク管理計画)や添付文書を改訂し、医薬品の情報を更新するとともに、医療関係者に情報提供することにより、製商品の安全性の確保や適正使用の推進を行います。

 

(4) 製商品の供給停止、回収に関するリスク

当社の販売する製商品は、国内又は海外における特定の製造元で生産しております。また、特定の製造元等から調達している原材料、スギ花粉等の天然由来の原材料から生産している製商品もあります。このため、技術上もしくは規制上の問題、又は火災、地震その他の災害等により、これらの製造元が閉鎖又は操業停止となった場合、あるいは、気候変動等の理由により原材料や光熱等の調達に支障が生じ生産の継続が困難となった場合、及び、物流機能等が停滞した場合には、製商品の供給が停止し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社の製商品に関し、品質上の問題等が発生した場合、国又は地方自治体からの命令に基づき、あるいは当社が自主的に判断し、回収を行う場合があります。この場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、災害に対する事業継続計画(BCP)を定めることにより製商品の安定供給を確保する体制を整備し、原薬や原材料を複数社から調達可能にするなどの取り組みを進めるとともに、大規模災害の発生などを想定し、東日本・西日本の2拠点に物流センターを置き、一方が被災した場合に備えた体制を敷いております。また、医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準(GMP)に基づいた品質管理体制の下、工程ごとに品質を確認しながら製商品の製造を行うとともに、製商品の製造元を定期的に訪問し、製造管理及び品質管理の状況を確認しています。なお、製商品の回収が必要となる品質不良が発生した場合には、患者様の安全確保を最優先とし、総括製造販売責任者の指示の下、行政当局への報告、医療機関などへの情報提供及び当該製商品の回収を迅速に行うとともに、原因究明と改善措置を行い、供給スケジュールの見直しや代替品の情報提供などを行います。

 

(5) 製商品を取り巻く環境に関するリスク

当社が販売する製商品に関して、競合品や後発品の上市、新規治療法や新技術の登場等により、製商品を取り巻く環境が変化した場合、製商品に関する売上減少により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、競合状況や薬価制度等の情報をもとに製品ポートフォリオの見直しを図るとともに、製商品の効能追加、剤形等の開発に取り組むことにより影響の低減を図っております。

 

(6) 他社との提携関係に関するリスク

当社は、研究開発、製造、販売等において、他社と様々な形で業務提携を行っております。何らかの事情により提携関係が変更又は解消された場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、業務提携に関する契約締結においては、発生しうるリスクを想定し、リスクを低減する契約の締結に努めております。また、当社は提携先との連携を密にとり、提携におけるリスクの把握と管理を行っております。

 

(7) 親会社との提携関係に関するリスク

当社は、親会社であるJTとの業務提携により、医療用医薬品事業における新薬の研究開発機能をJTへ集中化し、製造、販売機能は当社が担っております。また、JTと連携して新規導入品の探索及び共同開発も実施しております。何らかの事情により提携関係が変更又は解消された場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、JTとの新規導入品の探索、共同開発等を通じて、提携関係の維持・発展に努めております。

また、親会社との提携関係に変更等が生じる場合には、必要に応じて外部の有識者から見解を入手したうえ、親会社と利害関係を有しない社外役員に意見を求める等の措置を講じます。

 

(8) ITセキュリティ及び情報管理に関するリスク

当社は、各種ITシステムを利用しているため、システムの障害やコンピューターウイルス等により、業務が阻害される可能性があります。また、個人情報を含め多くの機密情報を保有しており、予期せぬ事態によりその情報が社外に流出した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、ITセキュリティ及び情報管理に関する社内規則・マニュアル等の制定及び継続的な見直しを行うとともに、社内教育を継続的に実施することにより適切な管理、運用を行っております。

 

(9) 訴訟に関するリスク

当社は、事業活動を継続して行っていく過程において、製造物責任(PL)、副作用の発現、特許侵害等に関わる訴訟を提起される可能性があります。これにより、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、弁護士等の専門家と連携、協議のうえで適切な対応を講じます。

 

(10) コンプライアンスに関するリスク

当社は、事業活動を行うにあたって、労務関連、独占禁止法、製造物責任等の様々な法令等の規制の適用を受けております。重大な法令等の違反が発生した場合、当社の社会的信用及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、コンプライアンスの推進を、企業理念実現のための重要な経営課題の一つと位置づけ、取締役、グループリーダーで構成するコンプライアンス委員会を設置し、コンプライアンス推進事項の審議等を行うほか、コンプライアンス推進部による、社員に対するコンプライアンスアンケートの実施、コンプライアンス研修、勉強会等を行い、コンプライアンスの徹底を図っています。また、社内通報・社外通報窓口(弁護士)を設置し、法令違反等の事実を早期認識し、違法行為等による当社のリスクの極小化に努めております。

 

(11) 新型コロナウイルス感染症に関するリスク

当社は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、事業所や取引先を含めた従業員の罹患等により、事業活動に様々な影響を及ぼす可能性があります。

当社は危機対策本部を設置し必要な対応を講じるとともに、従業員の安全確保、製商品の安定供給及びITを活用した適正使用情報提供活動に努めております。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、本項目における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年3月29日)現在において、当社が判断したものです。

 

(1) 経営成績

当事業年度の医薬品業界を取り巻く事業環境は、新薬開発の難度の高まりや研究開発費の高騰、国際競争の激化等により事業リスクが増大する中で、特に国内市場においては、薬価制度の抜本改革(毎年薬価改定等)、後発品使用促進等、医療費抑制の要請の強まりにより、大変厳しいものとなりました。また、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、患者様の医療機関への受診抑制傾向が見られることや、医薬情報担当者(MR)の医療機関への訪問自粛等、事業活動に影響を受けました。

このような状況の下、当社では、「中期経営計画2021」期間中の営業利益(新規事業投資(新規導入品の獲得及びM&A等を含む投資)に係る費用を除く営業利益)の黒字継続と、黒字幅の拡大を目標とし、「中期経営計画2021」の重要課題であるa.事業構造改革、b.成長戦略、c.ステークホルダーからの信頼維持に取り組んでまいりました。

※「中期経営計画2021」の総括につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

当事業年度の経営成績につきましては、以下のとおりです。

 

前事業年度

(自 2020年1月1日

至 2020年12月31日)

当事業年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

増減額

増減率

売上高(百万円)

41,700

46,987

5,287

12.7%

営業利益(百万円)

4,738

4,656

△81

△1.7%

経常利益(百万円)

4,971

4,847

△124

△2.5%

当期純利益(百万円)

3,495

3,374

△120

△3.5%

 

 

(売上高)

売上高は、薬価改定のほか、2020年7月に実施した佐倉工場譲渡に伴う受託製造の終了による減少があったものの、アレルゲン領域における販売数量の伸長に加え、「コレクチム軟膏(外用JAK阻害剤)」の販売を2020年6月に開始したこと等により、46,987百万円と前事業年度に比べ5,287百万円(12.7%)増加しました。

各フランチャイズ領域における主要な製品・商品の販売状況につきましては、以下のとおりです。

・腎・透析領域におきましては、「リオナ錠(高リン血症治療剤、鉄欠乏性貧血治療剤)」が6,863百万円と前事業年度に比べ355百万円(5.5%)増加し、「レミッチ(透析患者における経口そう痒症改善剤)」は薬価改定に加えて後発品の影響もあり5,058百万円と前事業年度に比べ1,306百万円(20.5%)減少しました。

・皮膚疾患領域におきましては、「アンテベート(外用副腎皮質ホルモン剤)」が薬価改定の影響により4,825百万円と前事業年度に比べ415百万円(7.9%)減少し、「コレクチム軟膏」は4,025百万円と前事業年度に比べ2,733百万円(211.7%)増加しました。

・アレルゲン領域におきましては、アレルゲン免疫療法のさらなる普及により「シダキュア スギ花粉舌下錠(アレルゲン免疫療法薬)」は8,325百万円と前事業年度に比べ2,186百万円(35.6%)増加し、「ミティキュア ダニ舌下錠(アレルゲン免疫療法薬)」は7,386百万円と前事業年度に比べ2,610百万円(54.6%)増加しました。

 

 

(売上原価、販売費及び一般管理費)

費用面におきましては、売上原価は22,649百万円と前事業年度に比べ2,687百万円(13.5%)増加し、販売費及び一般管理費は売上連動経費、新製品の発売等に伴う販売費用の増加に加え、パソコン更新等の一過性費用の発生等により19,682百万円と前事業年度に比べ2,682百万円(15.8%)増加しました。

 

(営業利益、経常利益、当期純利益)

以上の結果、営業利益は4,656百万円と前事業年度に比べ81百万円(1.7%)経常利益は4,847百万円と前事業年度に比べ124百万円(2.5%)、当期純利益は3,374百万円と前事業年度に比べ120百万円(3.5%)それぞれ減少しました。

 

新型コロナウイルス感染症の影響により、患者様の医療機関への受診抑制傾向が見られることや、医薬情報担当者(MR)の医療機関への訪問自粛等の結果、「コレクチム軟膏」、「エナロイ錠(腎性貧血治療薬)」及び鉄欠乏性貧血の効能追加承認を取得した「リオナ錠」の立ち上がりに遅れが生じましたが、ITを活用した適正使用情報提供活動の拡充等により対応しております。なお、当事業年度の業績への影響は軽微です。

 

(2) 生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

生産実績は次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

医薬品事業

25,242

111.8

合計

25,242

111.8

 

(注) 金額は正味販売価格換算によっており、消費税等は含まれておりません。

 

② 商品の仕入実績

商品の仕入実績は次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

医薬品事業

11,990

129.5

合計

11,990

129.5

 

(注) 金額は実際仕入価格によっており、消費税等は含まれておりません。

 

③ 受注実績

該当事項はありません。

 

④ 販売実績

販売実績は次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

医薬品事業

46,987

112.7

合計

46,987

112.7

 

(注) 1.金額には消費税等は含まれておりません。

2.医薬品事業の販売実績には不動産賃貸収入213百万円が含まれております。

3.主な相手先別販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりです。

相手先

前事業年度
(自 2020年1月1日
 至 2020年12月31日)

当事業年度
(自 2021年1月1日
 至 2021年12月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

アルフレッサ㈱

9,398

22.5

10,678

22.7

㈱メディセオ

9,041

21.7

10,467

22.3

㈱スズケン

8,564

20.5

10,101

21.5

東邦薬品㈱

4,645

11.1

5,257

11.2

 

 

 

(3) 財政状態

当事業年度末の総資産は、130,810百万円と前事業年度末に比べ4,784百万円(3.8%)増加しました。流動資産につきましては、キャッシュ・マネージメント・システム預託金4,496百万円減少しましたが、売掛金3,060百万円、商品及び製品1,256百万円、原材料及び貯蔵品354百万円増加したこと等により97,292百万円と前事業年度末に比べ550百万円(0.6%)増加しました。固定資産につきましては、長期前払費用2,155百万円、投資有価証券1,498百万円、リース資産389百万円増加したこと等により33,518百万円と前事業年度末に比べ4,234百万円(14.5%)増加しました。

負債につきましては、13,795百万円と前事業年度末に比べ2,859百万円(26.2%)増加しました。これは、未払法人税等1,495百万円、買掛金649百万円、流動負債のその他に含まれる未払消費税等が330百万円増加したこと等によるものです。

純資産につきましては、117,015百万円と前事業年度末に比べ1,924百万円(1.7%)増加しました。これは、剰余金の配当が1,348百万円、当期純利益が3,374百万円となったこと等によるものです。

 

(4) キャッシュ・フロー

当事業年度末の現金及び現金同等物の残高は、58,374百万円と前事業年度末に比べ3,201百万円(5.2%)減少しました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期純利益4,767百万円、減価償却費413百万円となりましたが、売上債権の増加額が3,052百万円、長期前払費用の増加額が2,155百万円、たな卸資産の増加額が1,610百万円となったこと等により156百万円の支出となりました。(前事業年度は3,443百万円の支出

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の売却及び償還による収入18,420百万円、投資有価証券の売却及び償還による収入5,360百万円となりましたが、有価証券の取得による支出14,900百万円、投資有価証券の取得による支出9,376百万円となったこと等により1,498百万円の支出となりました。(前事業年度は7,625百万円の収入

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、主に配当金の支払額が1,348百万円となったことにより1,546百万円の支出となりました。(前事業年度は1,425百万円の支出

 

(5) 資本の財源及び資金の流動性

当社の主な資金需要につきましては、製品製造に使用される原材料の調達、商品の仕入れ、営業活動で使用される財・サービス等の運転資金のほか、設備投資、持続的成長の実現に向けた新規導入品の獲得、JTとの共同開発等の戦略的投資であり、これらの必要資金は自己資金で賄っております。また、資金の流動性につきましては、運転資金、一定の戦略的投資に備えられる現預金等の流動性資産を確保しております。

なお、有価証券報告書提出日(2022年3月29日)現在における重要な資本的支出の予定はありません。

 

(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因を考慮して見積りを行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。詳細については、「第5 経理の状況 1財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)、(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

 

相手方の名称

国名

契約内容

契約期間

対価の支払

日本たばこ産業株式会社

日本

研究開発及び販売に関する基本契約

2018年6月~

期限の定めなし

東レ株式会社

日本

経口そう痒症改善剤「レミッチカプセル」の血液透析患者におけるそう痒症を対象とする日本国内における共同開発及び販売権に関する契約

2005年3月~特許満了日
以後別途協議

契約一時金他

日本たばこ産業株式会社

Keryx

Biopharmaceuticals, Inc.

米国

高リン血症治療剤「リオナ錠」の日本国内における独占的開発・商業化権に関するライセンス契約

2007年9月~特許満了日
以後別途協議

契約一時金他

日本たばこ産業株式会社

日本

ALK-Abello A/S

デンマーク

室内塵ダニアレルギー疾患を対象としたアレルゲン免疫療法薬等の日本国内における独占的開発・販売権に関する契約

2011年1月~
期限の定めなし

契約一時金他

日本たばこ産業株式会社

日本

JAK阻害剤「JTE-052」の皮膚外用製剤について、日本国内における今後の共同開発及び販売に関する契約

2016年10月~15年間又は特許満了日のいずれか長い期間
以後1年毎更新

契約一時金他

BioCryst

Pharmaceuticals, Inc.

米国

血漿カリクレイン阻害剤 「BCX7353」について、日本における独占的販売権に関するライセンス契約

2019年11月~発売から10年間又は特許満了日のいずれか長い期間

契約一時金他

日本たばこ産業株式会社

日本

アリル炭化水素受容体(AhR)モジュレーター「tapinarof」について、日本国内における共同開発及び販売に関する契約

2020年1月~15年間又は特許満了日のいずれか長い期間
以後1年毎更新

契約一時金

Verrica

Pharmaceuticals Inc.

米国

皮膚疾患治療薬「VP-102」について、伝染性軟属腫及び尋常性疣贅を対象とした日本国内における独占的開発・商業化権に関するライセンス契約

2021年3月~発売から10年間又は特許満了日のいずれか長い期間

契約一時金他

 

 

 

5 【研究開発活動】

当社は、親会社であるJTと医薬事業の研究開発に係る機能分担を行っており、新規化合物の研究開発機能はJTに集中しております。また、当社は、JTと連携して新規導入品の探索及び開発も実施しております。

当事業年度の研究開発費の総額は832百万円です。

 

なお、研究(共同)開発・導入活動の主な進捗及び成果につきましては、以下のとおりです。

 

(腎・透析領域)

高リン血症治療剤「リオナ錠」(一般名:クエン酸第二鉄水和物、開発番号:JTT-751)

・2021年3月、JTは、当社が販売及び情報提供活動を行っている高リン血症治療剤「リオナ錠」につきまして、鉄欠乏性貧血を新たな効能又は効果として製造販売承認事項一部変更承認を取得しました。

 

(皮膚疾患領域)

皮膚疾患治療薬「VP-102」

・2021年3月、当社は、米国のVerrica Pharmaceuticals Inc.(以下、「Verrica社」)との間で、2020年8月に契約締結しておりましたオプション権を行使し、Verrica社が開発を進めてきた皮膚疾患治療薬「VP-102」について、伝染性軟属腫及び尋常性疣贅を対象とした日本国内における独占的開発・商業化権に関するライセンス契約を締結しました。「VP-102」は、Verrica社が米国での開発を進めている、伝染性軟属腫等を対象とした皮膚疾患治療薬であり、カンタリジンを有効成分とする外用剤です。現在、Verrica社は、「VP-102」につき、米国で伝染性軟属腫を適応症とした製造販売承認申請を実施しております。また、尋常性疣贅については、米国で第Ⅱ相臨床試験が終了しております。

 

外用JAK阻害剤「コレクチム軟膏」(一般名:デルゴシチニブ、開発番号:JTE-052)

・JTと日本国内における共同開発及び販売に関する契約を締結した外用JAK阻害剤「コレクチム軟膏」につきまして、2021年3月、JTが日本国内における小児患者に対するアトピー性皮膚炎を適応症として、「コレクチム軟膏0.25%」の製造販売承認を取得、併せて「コレクチム軟膏0.5%」の小児患者に対する用法及び用量に係る製造販売承認事項一部変更承認を取得しました。

・「コレクチム軟膏」につきまして、2021年12月に6ヵ月以上2歳未満の乳幼児アトピー性皮膚炎患者を対象とした国内第Ⅲ相臨床試験の速報結果を得ました。得られた速報結果では、乳幼児アトピー性皮膚炎患者においてデルゴシチニブ軟膏の皮膚炎改善効果が示され、安全性についても確認されました。今後、本試験の全ての成績及び他の臨床試験成績等をもとに、日本国内における承認申請を目指します。

 

アリル炭化水素受容体(AhR)モジュレーター「JTE-061」(一般名:tapinarof)

・JTがDermavant Sciences GmbHと日本国内における皮膚疾患領域での独占的開発・商業化権に関するライセンス契約を締結し、JTと当社が日本国内における共同開発及び販売に関する契約を締結した「JTE-061」につきまして、2021年10月にアトピー性皮膚炎及び尋常性乾癬を適応症とした国内第Ⅲ相臨床試験を開始しております。

・「JTE-061」につきまして、2021年11月に2歳以上12歳未満の小児アトピー性皮膚炎患者を対象とした国内第Ⅱ相臨床試験を開始しております。

 

(その他)

血漿カリクレイン阻害剤「オラデオカプセル」(一般名:ベロトラルスタット塩酸塩)

・BioCryst Pharmaceuticals, Inc.と日本国内における独占的販売権に関するライセンス契約を締結した血漿カリクレイン阻害剤「オラデオカプセル」につきまして、株式会社オーファンパシフィックが、2021年1月に遺伝性血管性浮腫(HAE)の急性発作の発症抑制を適応症として日本国内における製造販売承認を取得し、2021年4月より当社が販売を開始しております。