当社は、2025年7月10日開催の取締役会において、当社の普通株式(以下「当社株式」といいます。)の併合を目的とする2025年8月8日開催予定の臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を招集することを決議いたしましたので、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第4号の4の規定に基づき、本臨時報告書を提出するものです。
当社が2025年5月7日に公表した「塩野義製薬株式会社による当社株式に対する公開買付けに関する賛同の意見表明及び応募推奨のお知らせ」(その後の訂正を含み、以下「本意見表明プレスリリース」といいます。)に記載のとおり、塩野義製薬株式会社(以下「公開買付者」といいます。)は、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)プライム市場に上場している当社株式の全て(但し、公開買付者が直接所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得し、当社を公開買付者の完全子会社とするための取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、2025年5月8日から2025年6月18日までの30営業日を公開買付けにおける買付等の期間(以下「公開買付期間」といいます。)とする当社株式に対する公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)を実施いたしました。
なお、本意見表明プレスリリースに記載のとおり、本取引は、①公開買付者による本公開買付け、②本公開買付けの成立後に公開買付者が本公開買付けにより当社株式の全て(但し、日本たばこ産業株式会社(以下「日本たばこ産業」といい、公開買付者及び日本たばこ産業を総称して以下「公開買付関係者」といいます。)が所有する当社株式15,398,800株(所有割合(注1):54.78%。以下「不応募合意株式」といいます。)及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合に、当社の株主を公開買付関係者のみとするために当社が行う会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下「会社法」といいます。)第180条に基づく、2025年9月1日を効力発生日として、当社株式について1,924,850株を1株に併合する旨の株式の併合(以下「本株式併合」といいます。)、③本株式併合の効力発生後に当社が実施する不応募合意株式の取得(以下「本自己株式取得」といいます。)を実施するために必要な資金及び分配可能額を確保するために行う公開買付者による当社に対する資金提供(当社に対する貸付け、公開買付者を引受人とする第三者割当増資(注2)その他の方法によることを予定しているとのことです。)並びに会社法第447条第1項及び第448条第1項に基づく当社の資本金及び資本準備金の額の減少(以下「本減資等」といいます。)(注3)、並びに④本自己株式取得から構成され、最終的に当社の株主を公開買付者のみとすることを企図しているとのことです。
(注1) 「所有割合」とは、2025年6月30日現在の発行済株式総数(28,800,000株)から、同日現在の当社が所有する自己株式数(684,825株)及び当社が今後自己株式として無償取得を行う予定の譲渡制限付株式数(2,780株)を控除した株式数(28,112,395株)に対する割合(小数点以下第三位を四捨五入しております。以下、所有割合の計算において同じです。)をいいます。
(注2) 公開買付者によると、このような第三者割当増資を行う場合、公開買付価格の均一性(金融商品取引法(昭和23年法律第25号。その後の改正を含みます。以下「法」といいます。)第27条の2第3項)の趣旨に抵触しないよう、公開買付者による普通株式1株当たりの払込価額を決定する前提となる当社株式の評価は、本公開買付けにおける当社株式1株当たりの買付価格(以下「本公開買付価格」といいます。)と同一の価格とし、かつ、払込価額が「特に有利な金額」(会社法第199条第3項)に該当しない金額(但し、本株式併合における当社株式の併合の割合に基づき形式的な調整を行う予定とのことです。)にする予定であり、本公開買付価格よりも有利な条件が設定されるものではないとのことです。
(注3) 公開買付者は、本自己株式取得を実施するために必要な当社の分配可能額が確保されない場合に限り、当社に対して、本減資等の実施を要請する予定とのことです。
そして、当社が2025年6月19日に公表した「塩野義製薬株式会社による当社株式に対する公開買付けの結果並びにその他の関係会社及び主要株主の異動に関するお知らせ」に記載のとおり、公開買付者は、本公開買付けの結果、本公開買付けの決済の開始日である2025年6月25日をもって、当社株式10,977,092株(所有割合:39.05%)を所有するに至りました。
本取引の目的及び背景の詳細は、本意見表明プレスリリースにおいてお知らせしたとおりですが、以下改めてその概要を申し上げます。なお、以下の記載のうち公開買付者に関する記載については、公開買付者から受けた説明に基づいております。
本意見表明プレスリリースに記載のとおり、当社は、公開買付者から2024年8月6日に提案を受領し、親会社である日本たばこ産業からも公開買付者の提案の検討を進める意向を確認いたしました。
当該提案を踏まえ、2024年8月上旬に、ファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてみずほ証券株式会社(以下「みずほ証券」といいます。)を、リーガル・アドバイザーとして長島・大野・常松法律事務所を選任し、本公開買付けは支配株主による公開買付けには該当しないものの、(ⅰ)公開買付者と当社の親会社であり筆頭株主である日本たばこ産業の間で、同社が所有する不応募合意株式について本公開買付けに応募しないこと、本株式併合の実施に必要な当社の株主総会に上程される議案に公開買付関係者が賛成の議決権を行使すること、日本たばこ産業が本自己株式取得に応じて不応募合意株式を売却すること等を内容に含む公開買付けに係る合意書(以下「本合意書」といいます。)を締結する予定であり、また、公開買付者が日本たばこ産業から日本たばこ産業の医薬事業(以下「JT医薬事業」といいます。)を譲り受ける予定であることから、当社株式を15,398,800株(所有割合:54.78%)所有する大株主である親会社であり筆頭株主である日本たばこ産業と当社の少数株主の利害が必ずしも一致しない可能性があること、及び(ⅱ)本公開買付けが当社を完全子会社化することを目的として行われる本取引の一環として行われることから、当社における本取引の検討の過程において潜在的な利益相反の問題及び少数株主との間の情報の非対称性の問題がないとは言い切れないことに鑑み、これらの問題に対応し、本取引の公正性を担保するため、直ちに、公開買付関係者から独立した立場で交渉及び判断を行うための体制の構築を開始いたしました。
具体的には、当社は、下記「3.会社法第234条の規定により1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3) 本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、2024年8月9日に開催した当社取締役会において、当社の社外取締役である藤田研一氏(当社社外取締役(監査等委員)、株式会社GreenBridgeSolutions代表取締役社長、株式会社K-BRIC&Associates代表取締役社長、ENECHANGE株式会社社外取締役)、松村卓治氏(当社社外取締役(監査等委員)、弁護士、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業パートナー、株式会社文化放送監査役、株式会社モスフードサービス社外監査役)、真鍋美穂子氏(当社社外取締役(監査等委員)、財務コンサルタント(個人事業主)、三菱瓦斯化学株式会社社外取締役)(注4)の3名によって構成される、公開買付関係者及び当社のいずれからも独立した、特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。)を設置しております(本特別委員会の設置等の経緯、検討の経緯及び判断内容については、下記「3.会社法第234条の規定により1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3) 本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)。
(注4) 社外取締役の経歴は、2025年6月30日現在の情報を記載しております。以下同じです。
また、当社は、下記「3.会社法第234条の規定により1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3) 本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「⑤ 当社における独立した検討体制の構築」及び「⑥ 当社における利害関係を有しない取締役(監査等委員である取締役を含む。)全員の承認」に記載のとおり、公開買付者グループ及び当社グループから独立した立場で、本公開買付けに係る検討、交渉及び判断を行う体制(本公開買付けの検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含みます。)を当社の社内に構築し、検討を進めてまいりました。
当社は、上記体制を整備した後、本特別委員会により事前に確認された交渉方針や交渉上重要な局面における意見、指示、要請等に基づいた上で、みずほ証券及び長島・大野・常松法律事務所の助言を受けながら、本公開買付けの実行の是非に関して公開買付者との間で複数回に亘る協議・交渉を行いました。
具体的には、2024年8月上旬に公開買付者より受領した提案書に対して、公開買付者の提案が当社の企業価値向上の観点から検討に資する提案であるか、また、公開買付者による法務・財務・税務等の観点からの各種デュー・ディリジェンスを受け入れるに資する提案であるかを検討するにあたり、公開買付者に対して、2024年8月16日に本取引の意義、買収後の運営方針に関する質問事項を送付し、2024年8月21日に公開買付者から皮膚疾患領域、アレルゲン領域及び腎・透析領域における当社の強みを適切に評価しており、当社との経営統合によりシナジー効果を見込んでいる旨の回答を受領したことを踏まえて、公開買付者の提案が当社の企業価値向上の観点から検討に資する提案であると判断し、各種デュー・ディリジェンスを受け入れることとしております。
その後、当社は公開買付者から、2024年10月2日にデュー・ディリジェンスにおいて開示された情報、SMBC日興証券株式会社(以下「SMBC日興証券」といいます。)による当社株式の市場株価法、類似上場会社比較法及びDCF法を用いた算定結果を総合的に勘案し、本公開買付価格を5,878円(提案実施日の前営業日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値3,900円に対して50.72%、直近1ヶ月間の終値の単純平均値3,750円に対して56.75%、直近3ヶ月間の終値の単純平均値3,647円に対して61.17%、直近6ヶ月間の終値の単純平均値3,730円に対して57.59%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)、本自己株式取得に関する取得価格(株式併合前1株当たり。以下「本自己株式取得価格」といいます。)を4,239円(提案実施日の前営業日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値3,900円に対して8.69%、直近1ヶ月間の終値の単純平均値3,750円に対して13.04%、直近3ヶ月間の終値の単純平均値3,647円に対して16.23%、直近6ヶ月間の終値の単純平均値3,730円に対して13.65%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とする旨の第1回提案を受けましたが、2024年10月15日に当該公開買付価格は、本取引と類似した事例と比較すると、およそ同程度のプレミアムが付されていると認識しており、一定の評価をするものの、①プレミアムは価値評価そのものではなく、類似事例の数値から統計値等を計算して比較しているに過ぎないこと、②本取引は本自己株式取得による税務メリットを利用することで少数株主に対して高い公開買付価格を提示可能であるところ、当該税務メリットを利用しない場合と比較して必然的にプレミアムが高くなることを踏まえれば、本取引はプレミアムの多寡のみで判断すべきでなく、当社株式について正当な価値評価がなされているかで判断すべきであること、③当社の事業計画に基づいた今後の成長性を踏まえれば、当該公開買付価格は著しく低いこと、④本取引の具体的なシナジー効果を想定した上で、実現可能性を加味し、定量化し企業価値に反映すべきことを踏まえ、本特別委員会から本公開買付価格の引上げを要請しました。その後、当社は、2024年10月28日に、公開買付者より、当社の将来的な成長ポテンシャルを十分に考慮した当社の本源的価値を反映したものとして、本公開買付価格を6,062円(提案実施日の前営業日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値3,870円に対して56.64%、直近1ヶ月間の終値の単純平均値3,929円に対して54.29%、直近3ヶ月間の終値の単純平均値3,704円に対して63.66%、直近6ヶ月間の終値の単純平均値3,734円に対して62.35%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)、本自己株式取得価格を4,334円(提案実施日の前営業日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値3,870円に対して11.99%、直近1ヶ月間の終値の単純平均値3,929円に対して10.31%、直近3ヶ月間の終値の単純平均値3,704円に対して17.01%、直近6ヶ月間の終値の単純平均値3,734円に対して16.07%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とする旨の第2回提案を受けましたが、2024年11月11日に第2回提案における公開買付価格は、当社の本源的価値を100%表した価額とは到底言えず、上値の余地が存在するものと考えていること、本取引におけるシナジー効果を考慮すれば、いまだ十分な水準にあると評価できないものと考えていることから、本特別委員会から再度、本公開買付価格の引上げを要請しました。その後、公開買付者は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号。その後の改正を含みます。)第10条第2項に基づき、本公開買付けによる株式取得(以下「本株式取得」といいます。)に関して、公正取引委員会によるクリアランスを得る必要があるところ、公正取引委員会による本株式取得に係る事前審査(以下「本事前審査」といいます。)に時間を要していたことから、当社との本公開買付価格の協議を一時休止していたものの、本事前審査につき終了の目処が立ったことから、当社に対して本公開買付価格の協議を再開したい意向を申し入れ、当社は、2025年4月11日に、公開買付者より当社が2025年度の配当を行わないことを前提に、本公開買付価格を6,181円(提案実施日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値4,230円に対して46.12%、直近1ヶ月間の終値の単純平均値4,508円に対して37.11%、直近3ヶ月間の終値の単純平均値4,554円に対して35.73%、直近6ヶ月間の終値の単純平均値4,497円に対して37.45%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)、本自己株式取得価格を4,450円(提案実施日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値4,230円に対して5.20%のプレミアム、直近1ヶ月間の終値の単純平均値4,508円に対して1.29%のディスカウント、直近3ヶ月間の終値の単純平均値4,554円に対して2.28%のディスカウント、直近6ヶ月間の終値の単純平均値4,497円に対して1.05%のディスカウントとなる価格)とする旨の第3回提案を受けました。これに対して、本特別委員会より、2025年4月15日、第3回提案における公開買付価格は、依然として当社の本源的価値として十分な価額を表したものではないと考えていること、本取引におけるシナジー効果を考慮すれば、より高い価格の提示が可能と考えていること、第3回提案価格における公開買付価格から算出されるプレミアムは、過去1ヶ月、3ヶ月及び6ヶ月における終値単純平均株価対比ではいずれも30%台に留まっており、同種の過去事例と比較して充分な水準にあると評価・判断することは困難であるため、再度、本公開買付価格の引上げを要請しました。その後、当社は、2025年4月18日、公開買付者より当社が2025年度の配当を行わないことを前提に、本公開買付価格を6,283円(提案実施日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値4,500円に対して39.62%、直近1ヶ月間の終値の単純平均値4,463円に対して40.78%、直近3ヶ月間の終値の単純平均値4,534円に対して38.58%、直近6ヶ月間の終値の単純平均値4,510円に対して39.31%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)、本自己株式取得価格を4,522円(提案実施日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値4,500円に対して0.49%のプレミアム、直近1ヶ月間の終値の単純平均値4,463円に対して1.32%のプレミアム、直近3ヶ月間の終値の単純平均値4,534円に対して0.26%のディスカウント、直近6ヶ月間の終値の単純平均値4,510円に対して0.27%のプレミアムとなる価格)とする旨の第4回提案を受けましたが、本特別委員会から、2025年4月21日、第4回提案における公開買付価格は、これまでの主張に基づいて、一定の配慮がなされたものと判断する一方で、事業計画に基づき本源的価値を充分に評価するか、若しくは期待されるシナジー効果額を織り込む等することにより、株式価値をより高く評価することで、公開買付価格をより高くする余地は依然として存在するのではないかと考えていること、また、市場株価に対するプレミアム率に関しても、足元の株価水準に鑑みれば、必ずしも充分と言える水準ではないとして、公開買付者に対して、再度、本公開買付価格の引上げを要請しました。その後、当社は、2025年4月25日、公開買付者より当社が2025年度の配当を行わないことを前提に、本公開買付価格を6,326円(提案実施日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値4,435円に対して42.64%、直近1ヶ月間の終値の単純平均値4,425円に対して42.96%、直近3ヶ月間の終値の単純平均値4,506円に対して40.39%、直近6ヶ月間の終値の単純平均値4,531円に対して39.62%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)、本自己株式取得価格を4,551円(提案実施日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値4,435円に対して2.62%のプレミアム、直近1ヶ月間の終値の単純平均値4,425円に対して2.85%のプレミアム、直近3ヶ月間の終値の単純平均値4,506円に対して1.00%のプレミアム、直近6ヶ月間の終値の単純平均値4,531円に対して0.44%のプレミアムとなる価格)とする旨の第5回提案を受けましたが、本特別委員会から、2025年4月28日、第5回提案における公開買付価格は、第4回提案における提案価格から引き上げているものの、小幅に留まっており、依然として一般株主に必ずしも十分な配慮がなされた水準ではないとして、公開買付者に対して、再度、本公開買付価格の引上げを要請しました。その後、当社は、2025年5月1日、公開買付者より当社が2025年度の配当を行わないことを前提に、本公開買付価格を6,350円(提案実施日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値4,850円に対して30.93%、直近1ヶ月間の終値の単純平均値4,397円に対して44.42%、直近3ヶ月間の終値の単純平均値4,469円に対して42.09%、直近6ヶ月間の終値の単純平均値4,553円に対して39.47%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)、本自己株式取得価格を4,568円(提案実施日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値4,850円に対して5.81%のディスカウント、直近1ヶ月間の終値の単純平均値4,397円に対して3.89%のプレミアム、直近3ヶ月間の終値の単純平均値4,469円に対して2.22%のプレミアム、直近6ヶ月間の終値の単純平均値4,553円に対して0.33%のプレミアムとなる価格)とする旨の最終提案を受けて、本特別委員会は、慎重に協議及び検討を行った上で、2025年5月2日に公開買付者に対し、本公開買付価格を6,350円、本自己株式取得価格を4,568円とすることは妥当であると判断する旨を回答いたしました。
その上で、当社は2025年5月7日に、みずほ証券から2025年5月2日付で取得した株式価値算定書(以下「当社株式価値算定書」といいます。)の内容、リーガル・アドバイザーである長島・大野・常松法律事務所から受けた本公開買付けを含む本取引に関する意思決定にあたっての留意点についての法的助言を踏まえつつ、本特別委員会から提出を受けた2025年5月7日付答申書の内容を最大限に尊重しながら(当該答申書の概要については、「3.会社法第234条の規定により1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3) 本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)、本取引について、企業価値向上を図ることができるか、本取引に関する諸条件は妥当なものか等の観点から慎重に協議及び検討を行いました。
その結果、以下の観点から本取引は、当社の企業価値の向上に資するものであると判断しております。
当社は、本取引に伴う非公開化によって、取引先からの信用や人材採用に一定のデメリットが生じる可能性はあるものの、公開買付者グループと一体性を持った採用活動や共同マーケティング等を通じてその影響を超えるシナジー効果が得られるものと考えております。期待される主なシナジー効果は、具体的には以下のとおりです。
(a) 国内事業の強化
公開買付者が認識しているとおり、診療科、施設に対する公開買付者と当社の異なる強みが統合され、情報提供の範囲が広がり、かつ医師のニーズにあった適切な情報提供が実現することで、特に一定のシェア オブ ボイス(注5)を必要とする製品においては価値最大化の観点でのシナジー効果が発揮されるものと考えております。具体的には、公開買付者はCOVID-19、インフルエンザに対する抗ウイルス薬の情報提供を推進しておりますが、さらに多くの医師に適正使用情報をお届けする必要性を感じているところ、当社が強い営業力を持つ皮膚科、小児科及び耳鼻科における情報提供が加わることで、ますます多くの患者さまに抗ウイルス薬をお役立ていただけるものと考えております。他方、当社のコレクチムなどの皮膚科領域の製品を公開買付者リソースにより、皮膚科以外(例えば内科、整形外科等)の診療科における情報提供活動の強化を実現できるものと考えております。また、一人の医師に複数の製品をお届けすることが可能となり、情報提供の幅が広がることで、顧客満足の向上、営業活動の効率化にも寄与できると考えております。さらに、将来的には、両社の開発パイプライン(注6)においても公開買付者の有する高い研究開発力と当社の有する強い営業力を活かした開発/販売戦略が構築できるものと考えております。
(b) グローバル展開の加速
公開買付者は米国・欧州を中心に、グローバル開発機能及び販売網を有しており、今後も海外における開発、薬事機能、自社販売の強化やグループ全体のグローバル化を進めている一方、現在、当社はJT医薬事業と共同で国内開発を主体としております。本取引の実施を通じて、当社の将来の開発パイプラインについてグローバル展開の可能性が高まり、国内外での研究開発・販売データの収集及び評価を積み重ねることで販売強化に繋がると考えております。また、当社が積極的に取り組んでいる導入品候補の探索活動及び事業投資活動においても、公開買付者のネットワークや専門知識を有している人材を活かすことでさらに効率的かつ有効な活動が展開できると考えております。
(c) 柔軟な製造/販売体制の実現
当社は、2020年より製造機能を保有しておらず、製造は全て外部に委託しており、また、海外からの導入品に関しては、大部分が導出元の製造した製品を輸入しております。そのため、公開買付者の認識しているとおり、公開買付者が保有する製造部門としてシオノギファーマ株式会社を利用し、一部製造を当該製造部門に委託することにより、地政学的な問題、多企業での品質問題、欠品・限定出荷の増加等、サプライチェーンのボラティリティに対応できる可能性があり、今後、製品の増産などのフレキシブルな生産体制の構築やバックアップサイト(注7)の確保など交渉力の強化に繋がると考えております。その結果として、事業上の競争力を高め、製造原価低減にも寄与すると考えております。
(注5) 「シェア オブ ボイス」とは、自社製品の情報提供活動(医師との面会数、説明会数など)が、市場全体の中でどの程度の割合を占めているのかを示す指標のことをいいます。
(注6) 「開発パイプライン」とは、医療用医薬品における新薬の候補となる開発品のことをいいます。
(注7) 「バックアップサイト」とは、災害時などに主要な製造設備が使用できなくなった際に、事業を継続するために使用される予備の施設や設備のことをいいます。
また、当社は、本公開買付価格について、本「1.本株式併合の目的」に記載の協議・交渉を踏まえ、下記「3.会社法第234条の規定により1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(2) 当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」に記載の理由から、本公開買付価格は妥当性を有し、当社の株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断いたしました。
以上より、当社は、2025年5月7日開催の取締役会において、当社の意見として、本公開買付けに関して賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対し本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議いたしました。
当該取締役会における決議の方法については、下記「3.会社法第234条の規定により1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3) 本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「⑥ 当社における利害関係を有しない取締役(監査等委員である取締役を含む。)全員の承認」をご参照ください。
その後、上記のとおり、本公開買付けが成立いたしましたが、公開買付者は、本公開買付けにおいて、当社株式の全て(但し、不応募合意株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかったことから、当社は、公開買付者からの要請を受け、2025年7月10日開催の当社取締役会において、当社の株主を公開買付関係者のみとするため、本株式併合を本臨時株主総会に付議することといたしました。なお、本株式併合により、公開買付関係者以外の株主の皆様の所有する当社株式の数は、1株に満たない端数となる予定です。
2.本株式併合の割合
当社株式1,924,850株を1株に併合いたします。
3.会社法第234条の規定により1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠
(1) 1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法
① 会社法第235条第1項又は同条第2項において準用する同法第234条第2項のいずれの規定による処理を予定しているかの別及びその理由
上記「1.本株式併合の目的」に記載のとおり、本株式併合により、公開買付関係者以外の株主の皆様が所有する当社株式の数は、1株に満たない端数となる予定です。
本株式併合の結果生じる1株未満の端数については、その合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切り捨てられます。以下同じです。)に相当する数の株式を、会社法第235条その他の関係法令の規定に従って売却し、その売却により得られた代金を端数が生じた株主の皆様に対して、その端数に応じて交付いたします。
当該売却について、当社は、当社株式が2025年8月28日をもって上場廃止となる予定であり、市場価格のない株式となることから、競売によって買受人が現れる可能性は低いと考えられること、及び本株式併合が当社の株主を公開買付者のみとすることを目的とした本取引の一環として行われるものであり、かかる目的との関係では公開買付者が端数相当株式の買受人となるのが整合的であることを踏まえ、会社法第235条第2項の準用する同法第234条第2項の規定に基づき、裁判所の許可を得て、当該端数の合計数に相当する当社株式を公開買付者に売却することを予定しております。
この場合の売却額は、上記裁判所の許可が予定どおり得られた場合には、本株式併合の効力発生日の前日である2025年8月31日の最終の当社の株主名簿に記載又は記録された株主の皆様の所有する当社株式の数に、本公開買付価格と同額である6,350円を乗じた金額に相当する金銭が交付されるような価格に設定することを予定しております。但し、裁判所の許可が得られない場合や計算上の端数調整が必要な場合等においては、実際に交付される金額が上記金額と異なる場合もあります。
② 売却に係る株式を買い取る者となることが見込まれる者の氏名又は名称
塩野義製薬株式会社(公開買付者)
③ 売却に係る株式を買い取る者となることが見込まれる者が売却に係る代金の支払のための資金を確保する方法及び当該方法の相当性
当社は、公開買付者が、本株式併合により生じる端数の合計数に相当する当社株式の取得に要する資金を確保できることを、株式会社三井住友銀行による、公開買付者名義の当座預金の残高が2025年5月2日現在において229,923,310千円である旨の2025年5月7日付の預金残高証明書を確認することにより、確認しており、また、公開買付者によれば、2025年5月2日以降、1株未満の端数の合計数に相当する当社株式の売却代金の支払に支障を及ぼす事象は発生しておらず、今後発生する可能性も認識されていないとのことです。
したがって、当社は、公開買付者による1株未満の端数の合計数に相当する当社株式の売却に係る代金の支払のための資金を確保する方法は相当であると判断しております。
④ 売却する時期及び売却により得られた代金を株主に交付する時期の見込み
当社は、本株式併合の効力発生後、2025年9月を目途に会社法第235条第2項の準用する同法第234条第2項の規定に基づき、裁判所に対して、本株式併合の結果生じる1株未満の端数の合計数に相当する当社株式を公開買付者に売却することについて許可を求める申立てを行うことを予定しております。当該許可を得られる時期は裁判所の状況等によって変動し得ますが、当社は、当該裁判所の許可を得て、2025年10月を目途に当該当社株式を公開買付者に売却し、その後、当該売却代金を株主の皆様に交付するために必要な準備を行った上で、2025年11月下旬から12月下旬を目途に、当該売却代金を株主の皆様に交付することを見込んでおります。
当社は、本株式併合の効力発生日から売却に係る一連の手続に要する期間を考慮し、上記のとおり、それぞれの時期に、本株式併合の結果生じる1株未満の端数の合計数に相当する当社株式の売却が行われ、また、当該売却代金の株主の皆様への交付が行われるものと判断しております。
(2) 当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠
本株式併合においては、上記「(1) 1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法」の「① 会社法第235条第1項又は同条第2項において準用する同法第234条第2項のいずれの規定による処理を予定しているかの別及びその理由」に記載のとおり、本株式併合の効力発生日の前日である2025年8月31日の最終の当社の株主名簿に記載又は記録された株主の皆様の所有する当社株式の数に、本公開買付価格と同額である6,350円を乗じた金額に相当する金銭を、株主の皆様に交付することを予定しております。
当社は、本公開買付価格について、上記「1.本株式併合の目的」に記載の協議・交渉を踏まえ、(ⅰ)下記「3.会社法第234条の規定により1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3) 本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「② 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載されているみずほ証券による当社株式価値算定書における当社株式の株式価値算定結果によれば、市場株価基準法、類似企業比較法及び類似取引比較法の上限を上回っており、DCF法の算定レンジの中央値を超えていること、(ⅱ)本公開買付価格は、本公開買付けの公表日の前営業日である2025年5月2日を基準日として、東京証券取引所プライム市場における当社株式の基準日の終値5,230円に対して21.41%、基準日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値4,432円に対して43.28%、同直近3ヶ月間の終値単純平均値4,482円に対して41.68%、同直近6ヶ月間の終値単純平均値4,559円に対して39.28%のプレミアムが加算されたものであり、かかるプレミアムの水準は、本取引の類似事例(過去5年間(2020年5月3日から2025年5月2日)に公表され、2025年5月2日時点までに公開買付けが成立した第三者による東京証券取引所プライム市場又は東京証券取引所市場第一部に上場している会社に対する非公開化を前提とした公開買付けの事例(マネジメント・バイアウト(MBO)の事例を除きます。)34件)のプレミアム水準(公表日の前営業日の株価に対して中央値43.51%・平均値53.36%、公表日の前営業日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値に対して中央値44.55%・平均値55.95%、公表日の前営業日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値に対して中央値56.53%・平均値60.22%、公表日の前営業日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値に対して中央値54.08%・平均値63.34%)と比較すると、前営業日の終値を参照する場合には、やや低い水準となっているものの、2025年4月28日から2025年5月2日までの3営業日という短期間のうちに、当社株式の終値が4,340円から5,230円まで約20%上昇しており、当社株式における当該3営業日の出来高が31万株から56万株と直近の平均的な出来高(2025年3月26日から2025年4月25日の出来高の平均)の約10万株から大きく増加していること、及び、当該3営業日において当社による適時開示はなく、少なくとも当社の特定の公表を反映しての株価の変動ではないこと等を踏まえると、当該3営業日における当社株式の株価の上昇は一過性のものである可能性は否定できないことから、より中長期的な株価水準を考慮することに一定の合理性があると考えられ、本公開買付価格の過去1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の終値単純平均値に対するプレミアム率は、類似事例におけるプレミアム水準の各期間の中央値と比較すると相応の水準と評価し得ることから、市場株価に対するプレミアム率の水準の観点からも本公開買付価格は不合理なものではないと考えられることに加え、当社が2025年3月末日時点で保有する現金、現金同等物等及び投資有価証券の合計額は791億円であり、これらについては本来プレミアムが付されないことから、当該合計額の1株当たりの価値を除く調整を行った場合、1株当たりの調整後本公開買付価格は3,537円であり、当該価格は、公表日の前営業日の終値5,230円に同様の調整を行った価格2,417円に対して46.34%、過去1ヶ月間の終値単純平均値4,432円に同様の調整を行った価格1,619円に対して118.51%、過去3ヶ月間の終値単純平均値4,482円に同様の調整を行った1,669円に対して111.94%、過去6ヶ月間の終値単純平均値4,559円に同様の調整を行った1,746円に対して102.64%のプレミアムがそれぞれ付された価格となっており、十分な水準のプレミアムが付されているとも評価し得ること、(ⅲ)下記「3.会社法第234条の規定により1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3) 本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「⑥ 当社における利害関係を有しない取締役(監査等委員である取締役を含む。)全員の承認」に記載の本公開買付けの公正性を担保するための措置が採られた上で、本特別委員会の実質的な関与の下、公開買付者との間で十分な交渉を重ね、公開買付者より本公開買付価格の引き上げ余地がこれ以上存在しない旨複数回主張される水準まで引き上げられた経緯の下で決定された価格であること等を踏まえ、本公開買付価格は妥当性を有し、当社の株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断いたしました。
また、当社は、2025年5月7日開催の取締役会において、本公開買付けに関して賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対し本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議した後、2025年7月10日に当社取締役会が本臨時株主総会の招集を決議した時点に至るまでに、本公開買付価格に関する当社の判断の基礎となる諸条件に重大な変更が生じていないことを確認しております。
以上より、当社は、端数処理により株主の皆様に交付することが見込まれる金銭の額については、相当であると判断しております。
(3) 本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置
公開買付者が当社の親会社であり筆頭株主である日本たばこ産業との間で、①同社が所有する不応募合意株式について本公開買付けに応募しないこと、②本株式併合の実施に必要な当社の株主総会に上程される議案に公開買付関係者が賛成の議決権を行使すること、③日本たばこ産業が本自己株式取得に応じて不応募合意株式を売却すること等を内容に含む本合意書を締結する予定であり、また、公開買付者が日本たばこ産業からJT医薬事業を譲り受ける予定であることから、日本たばこ産業と当社の少数株主の利害が必ずしも一致しない可能性があったこと、本公開買付けは当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的として行われる本取引の一環として実施されること等を考慮し、公開買付者及び当社は、本公開買付価格の公正性を担保しつつ、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、本取引の公正性及び透明性を担保するため、以下の措置を講じております。また、以下の記載のうち、公開買付者において実施した措置については、公開買付者から受けた説明に基づくものです。
なお、2025年5月7日現在日本たばこ産業は、当社株式15,398,800株(所有割合:54.78%)を所有しているため、公開買付者は、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する少数株主の利益に資さない可能性もあるものと考え、本公開買付けにおいて「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限は設定していないとのことですが、公開買付者及び当社において以下の措置を実施していることから、当社の少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考えております。
① 公開買付者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
(ⅰ) 算定機関の名称並びに当社及び公開買付関係者との関係
公開買付者は、本公開買付価格の公正性を担保するため、本公開買付価格を決定するにあたり、公開買付関係者及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるSMBC日興証券に対して、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2025年5月2日付で株式価値算定書(以下「公開買付者株式価値算定書」といいます。)を取得したとのことです。なお、SMBC日興証券は、公開買付関係者及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して重要な利害関係を有していないとのことです。SMBC日興証券は、公開買付者グループ、当社グループに対して通常の銀行取引の一環として融資取引等を行っている株式会社三井住友銀行と同じ株式会社三井住友フィナンシャルグループの一員ですが、公開買付者は、SMBC日興証券の第三者算定機関としての実績に鑑み、かつ、SMBC日興証券によれば、弊害防止措置としてSMBC日興証券における当社株式の株式価値の算定を実施する部署とその他の部署及び株式会社三井住友銀行との間で社内の規定に定める情報遮断措置が講じられていること、公開買付者とSMBC日興証券は一般取引先と同様の取引条件での取引を実施しているためファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としての独立性が確保されていること、SMBC日興証券は、公開買付者及び当社の関連当事者には該当せず、公開買付者がSMBC日興証券に対して当社株式の株式価値の算定を依頼することに関し、特段の問題はないと考えられることを踏まえた上で、SMBC日興証券をファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関に選任したとのことです。また、公開買付者は、本取引に際して実施されている他の本公開買付価格の公正性を担保するための措置並びに利益相反を回避するための措置を踏まえて、当社の少数株主の利益に十分な配慮がなされていると考えていることから、SMBC日興証券から本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得していないとのことです。
(ⅱ) 算定の概要
SMBC日興証券は、複数の株式価値算定手法の中から当社株式の株式価値の算定にあたり採用すべき算定手法を検討の上、当社が東京証券取引所プライム市場に上場しており、市場株価が存在することから市場株価法、類似上場会社比較による株式価値の類推が可能であることから類似上場会社比較法及び将来の事業活動を評価に反映するためにDCF法の各手法を用いて当社株式の株式価値の算定を行っているとのことです。SMBC日興証券による当社株式の1株当たり株式価値の算定結果は以下のとおりとのことです。
市場株価法 : 4,432円から4,559円
類似上場会社比較法 : 3,532円から3,724円
DCF法 : 4,740円から6,358円
市場株価法では、算定基準日を2025年5月2日として、東京証券取引所プライム市場における当社株式の算定基準日までの直近1ヶ月間の終値の単純平均値4,432円、直近3ヶ月間の終値の単純平均値4,482円及び直近6ヶ月間の終値の単純平均値4,559円を基に、当社株式1株当たりの株式価値の範囲を4,432円から4,559円までと算定しているとのことです。
類似上場会社比較法では、当社と類似する事業を営む上場会社の市場株価や収益性を示す財務指標との比較を通じて、当社株式の株式価値を評価し、当社株式1株当たりの株式価値の範囲を3,532円から3,724円までと算定しているとのことです。
DCF法では、当社から提供された2025年12月期から2033年12月期までの事業計画、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、2025年4月期以降に当社が将来創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引くことにより当社の企業価値や株式価値を評価し、当社株式1株当たりの株式価値の範囲を4,740円から6,358円までと算定しているとのことです。なお、DCF法による算定に用いた2025年12月期から2033年12月期までの当社の事業計画には、営業損益及びフリー・キャッシュ・フローについて大幅な増減を見込んでいる事業年度が含まれているとのことです。
具体的には、2026年12月期について、上市に向けて開発品に係る研究開発費を予定していることから、営業利益はマイナスとなることが見込まれておりますが、前年度に発生を見込んでいる開発品に係る開発マイルストーンの支払がなくなることから、フリー・キャッシュ・フローは前年度マイナスからプラスになり、対前年度比で大幅な増加が見込まれているとのことです。2027年12月期について、前年度に予定している開発品に係る研究開発費が減少し、営業利益は前年度マイナスからプラスになり、対前年度比で大幅な増加が見込まれているとのことです。2028年12月期について、開発品に係る開発マイルストーンの支払を予定していることから、フリー・キャッシュ・フローはマイナスとなる予定であり、対前年度比で大幅な減少が見込まれておりますが、2029年12月期は当該開発マイルストーンの支払がなくなる予定であることから、フリー・キャッシュ・フローはプラスとなる予定であり、対前年度比で大幅な増加が見込まれているとのことです。2030年12月期については開発品に係る売上高の増加が見込まれていることから、営業利益は対前年度比71.9%増加、フリー・キャッシュ・フローは対前年度比418.2%増加が見込まれているとのことです。2031年12月期についても開発品に係る売上高の増加が見込まれていることから、フリー・キャッシュ・フローは対前年度比98.1%増加することが見込まれているとのことです。2032年12月期についても開発品に係る売上高の増加が見込まれていることから、営業利益は対前年度比42.5%増加することが見込まれているとのことです。また、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において収益に与える影響を具体的に見積もることが困難であるため、反映していないとのことです。
公開買付者は、SMBC日興証券から取得した公開買付者株式価値算定書の算定結果に加え、公開買付者において実施した当社に対するデュー・ディリジェンスの結果、当社取締役会による本公開買付けへの賛同の可否、当社株式の市場株価の動向及び本公開買付けに対する応募の見通し等を総合的に勘案し、当社との協議・交渉の結果等も踏まえ、最終的に2025年5月7日開催の取締役会において、本公開買付価格を1株当たり6,350円とすることを決定したとのことです。
本公開買付価格6,350円は、本公開買付けの実施についての公表日の前営業日である2025年5月2日の当社株式の東京証券取引所プライム市場における終値5,230円に対して21.41%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値4,432円に対して43.28%、同日までの過去3ヶ月間の終値の単純平均値4,482円に対して41.68%、同日までの過去6ヶ月間の終値の単純平均値4,559円に対して39.28%のプレミアムをそれぞれ加えた価格とのことです。
② 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
(ⅰ) 算定機関の名称並びに当社及び公開買付関係者との関係
当社は、公開買付関係者及び当社のいずれからも独立した第三者算定機関として、みずほ証券に対して、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2025年5月2日に、当社株式価値算定書を取得いたしました。みずほ証券は、公開買付関係者及び当社のいずれの関連当事者にも該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。なお、みずほ証券は、株式会社みずほ銀行(以下「みずほ銀行」といいます。)と同じ株式会社みずほフィナンシャルグループの一員であり、みずほ銀行は、日本たばこ産業に対して通常の銀行取引の一環としての融資取引等を行っておりますが、本公開買付けを含む本取引に関して、記載すべき重要な利害関係を有しておりません。また、みずほ証券は、法第36条第2項及び金融商品取引業等に関する内閣府令(平成19年内閣府令第52号。その後の改正を含みます。)第70条の4の適用法令に従い、みずほ証券とみずほ銀行間の情報隔壁措置等の適切な利益相反管理体制を構築し、かつ実施しており、みずほ銀行の貸付人の地位とは独立した立場で、当社の株式価値の算定を行っているとのことです。当社は、当社の株式価値算定にあたり、みずほ証券において適切な利益相反管理体制が構築され、かつ実施されていると判断し、みずほ証券を第三者算定機関に選定いたしました。なお、当社は、本「(3) 本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」に記載の本取引に際して実施されている他の本公開買付価格の公正性を担保するための措置並びに利益相反を回避するための措置を踏まえると、当社の少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考え、みずほ証券から本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。また、本取引に係るみずほ証券に対する報酬には、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれておりますが、当社は、同種の取引における一般的な実務慣行及び本取引が不成立となった場合にも当社に相応の金銭的負担が生じる報酬体系の是非等を勘案すれば、かかる成功報酬が含まれていることをもって独立性が否定されるものではないと判断しております。
(ⅱ) 算定の概要
みずほ証券は、本公開買付けにおける算定手法を検討した結果、当社が継続企業であるとの前提の下、当社株式の株式価値について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社株式が東京証券取引所プライム市場に上場しており、市場株価が存在することから市場株価基準法を、比較可能な類似上場会社が複数存在し、類似上場会社の市場価値との比較において株式価値の類推が可能であることから類似企業比較法を、類似取引事例の取引金額との比較において株式価値の類推が可能であることから類似取引比較法を、当社の将来の事業活動の状況を算定に反映するためDCF法を用いて、当社株式の1株当たりの株式価値算定を行っております。
みずほ証券が上記の手法に基づいて算定した当社株式1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりです。
市場株価基準法 : 4,432円から5,230円
類似企業比較法 : 3,318円から4,215円
類似取引比較法 : 4,144円から4,213円
DCF法 : 4,979円から7,080円
市場株価基準法では、算定基準日を2025年5月2日として、東京証券取引所プライム市場における当社株式の基準日終値5,230円、直近1ヶ月間の終値の単純平均値4,432円、直近3ヶ月間の終値の単純平均値4,482円及び直近6ヶ月間の終値の単純平均値4,559円を基に、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を4,432円から5,230円と算定しております。
類似企業比較法では、当社と比較的類似する事業を営む上場企業の市場株価や収益性を示す財務指標との比較を行い、当社株式の1株当たりの価値の範囲を3,318円から4,215円までと算定しております。
類似取引比較法では、当社と比較的類似する過去に実施された製薬企業を対象とした取引の取引金額や収益性を示す財務指標との比較を行い、当社株式の1株当たりの価値の範囲を4,144円から4,213円までと算定しております。
DCF法では、当社が作成した2025年12月期から2033年12月期までの事業計画における収益予測及び投資計画を前提として、当社が2025年4月期以降に生み出すと見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて当社の企業価値及び株式価値を算定し、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を4,979円から7,080円と算定しております。
なお、DCF法による算定に用いた2025年12月期から2033年12月期までの当社の事業計画には、営業損益及びフリー・キャッシュ・フローについて大幅な増減を見込んでいる事業年度が含まれております。
具体的には、2026年12月期について、上市に向けて開発品に係る研究開発費を予定していることから、営業利益は前年度比74.5%減少することが見込まれておりますが、前年度に発生を見込んでいる開発品に係る開発マイルストーンの支払がなくなることから、フリー・キャッシュ・フローは前年度マイナスからプラスになり、対前年度比で大幅な増加が見込まれております。2027年12月期について、前年度に予定している開発品に係る研究開発費が減少し、営業利益は前年度比584.2%増加、フリー・キャッシュ・フローは68.3%増加することが見込まれております。2028年12月期について、開発品に係る開発マイルストーンの支払を予定していることから、フリー・キャッシュ・フローはマイナスとなる予定であり、対前年度比で大幅な減少が見込まれておりますが、2029年12月期は当該開発マイルストーンの支払がなくなる予定であることから、フリー・キャッシュ・フローはプラスとなる予定であり、対前年度比で大幅な増加が見込まれております。2030年12月期については開発品に係る売上高の増加が見込まれていることから、営業利益は対前年度比41.8%増加、フリー・キャッシュ・フローは対前年度比56.2%増加が見込まれております。2031年12月期についても開発品に係る売上高の増加が見込まれていることから、フリー・キャッシュ・フローは対前年度比41.4%増加することが見込まれております。また、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において収益に与える影響を具体的に見積もることが困難であるため、反映しておりません。
みずほ証券は、当社株式の株式価値の算定に際し、当社から提供を受けた情報及び一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、それらの資料及び情報等が、全て正確かつ完全なものであることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っておりません。また、当社及びその関係会社の資産及び負債(簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。)に関して独自の評価・査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。加えて、当社の財務予測に関する情報については、当社の経営陣による現時点で得られる最善の予測と判断に基づき合理的に作成されたことを前提としております。また、当該財務予測については、本特別委員会が当社との間で質疑応答を行うとともに、その内容や前提条件等の合理性を確認しております。
③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得
当社は、2024年8月9日開催の取締役会において、当社の取締役会が本取引について検討又は決議するにあたって、当社の意思決定の恣意性及び利益相反のおそれを排除し、意思決定過程の公正性、透明性及び客観性を確保することを目的として、藤田研一氏(当社社外取締役(監査等委員)、株式会社GreenBridgeSolutions代表取締役社長、株式会社K-BRIC&Associates代表取締役社長、ENECHANGE株式会社社外取締役)、松村卓治氏(当社社外取締役(監査等委員)、弁護士、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業パートナー、株式会社文化放送監査役、株式会社モスフードサービス社外監査役)及び真鍋美穂子氏(当社社外取締役(監査等委員)、財務コンサルタント(個人事業主)、三菱瓦斯化学株式会社社外取締役)の3名から構成される公開買付関係者及び当社のいずれからも独立した本特別委員会を設置する旨を決議し、本特別委員会を同日設置いたしました(なお、本特別委員会の委員の報酬については、固定額となっており、成功報酬は採用しておりません。また、当社は、本特別委員会の委員として設置当初からこの3名を選定しており、本特別委員会の委員を変更した事実はありません。)。
当社取締役会は、本特別委員会設置の決定に際し、本特別委員会に対し、(ⅰ)本取引の目的の正当性・合理性(本取引が当社の企業価値の向上に資するか否かを含みます。)、(ⅱ)本取引に係る取引条件の妥当性(本取引の実施方法や対価の種類の妥当性を含みます。)、(ⅲ)本取引に係る手続の公正性(いかなる公正性担保措置をどの程度講じるべきかの検討を含みます。)、(ⅳ)本公開買付けについて当社取締役会が賛同するべきか否か、及び、当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨するべきか否か、(ⅴ)本取引を行うことの決定(当社取締役会が本公開買付けに対して賛同の意見表明を行うこと及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することを含みます。)が当社の一般株主(少数株主を含みます。)にとって不利益なものでないか(以下「本諮問事項」と総称します。)について諮問いたしました。さらに、当社取締役会は、本取引に関する重要な決定を行うに際して、本特別委員会の答申を最大限尊重しなければならず、本取引の条件等について本特別委員会が妥当でないと判断した場合には、当社取締役会は本取引の実行を決定しない(本公開買付けに賛同せず、応募推奨をしないことを含みます。)ことを併せて決議しております。
加えて、当社取締役会は、本特別委員会に対し、(ⅰ)業務執行取締役等による本取引の検討について、必要な助言を行うことができる権限、(ⅱ)公開買付者との本取引に関する協議及び交渉について事前に方針を確認し、適時にその状況の報告を受け、本取引に関する協議及び交渉について意見を述べ、当社取締役会に対して勧告や要請を行うことができ、また、必要に応じて法令上許容される範囲で公開買付者を含む第三者と直接協議・交渉を行うことができる権限、(ⅲ)当社における本取引の検討、交渉及び判断を行う体制について、事前に方針を確認し、意見を述べ、又は勧告や要請を行うことができる権限、(ⅳ)業務執行取締役等に対し、本取引に関する進捗、検討状況その他の事項の報告及び情報提供を随時求めることができる権限並びに(ⅴ)本特別委員会の役割を果たすために必要な範囲で、自らのためのアドバイザー等を当社の費用負担により選任すること、及び当社のアドバイザー等を評価し、選任について意見し、又は承認(事後承認を含みます。)することができる権限を付与いたしました。
本特別委員会は、2024年8月19日より2025年5月7日までの間に合計21回開催され、本諮問事項についての協議及び検討が慎重に行われました。
具体的には、本特別委員会は、当社の第三者算定機関及びファイナンシャル・アドバイザーであるみずほ証券、並びに当社のリーガル・アドバイザーである長島・大野・常松法律事務所につき、いずれも独立性及び専門性に問題がないことから、それぞれ、当社の第三者算定機関及びファイナンシャル・アドバイザー並びにリーガル・アドバイザーとして承認し、また本特別委員会としても必要に応じて専門的助言を受けることができることを確認いたしました。
さらに、本特別委員会は、当社が社内に構築した本取引の検討体制(本取引に係る検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含みます。)に独立性の観点から問題がないことを確認の上、承認をしております。
その上で、本特別委員会は、長島・大野・常松法律事務所から特別委員会の設置が求められる背景、特別委員会の役割等について説明を受け、本取引に関する意思決定の過程、方法その他の本取引に関する意思決定にあたっての留意点等についての法的助言を踏まえ、本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置について検討を行っております。
また、本特別委員会は、本取引に関する交渉の過程において、本取引の背景・経緯、本取引によって見込まれる企業価値向上効果の有無や本取引の意義・目的、本取引後の経営方針、本取引における諸条件等についての公開買付者の考えを確認することを含め、重要な交渉上の局面において当社に対して意見を述べております。また、本特別委員会は、当社に対して、本取引に係る公開買付者の提案内容を踏まえ、当社の事業の状況、事業環境、経営課題、事業計画の内容、本取引の意義、本取引による企業価値向上効果の創出、当社事業に対する影響等についての当社としての意見を確認しております。
加えて、本特別委員会は、当社から事業計画の作成経緯及び内容の説明を受け、事業計画の内容、重要な前提条件及び作成経緯等の合理性について確認しております。その上で、上記「② 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載のとおり、みずほ証券は、事業計画を前提として当社株式の価値算定を実施しておりますが、本特別委員会は、みずほ証券から、実施した当社株式の価値算定に係る算定方法、当該算定方法を採用した理由、各算定方法による算定の内容及び重要な前提条件(類似企業比較法における類似企業及びその選定理由その他の前提、DCF法における割引率(WACC)等のパラメータの数値、継続価値の算定方法及びその採用理由を含みます。)について説明を受け、質疑応答及び審議・検討を行った上で、その合理性を確認しております。
さらに、本特別委員会は、公開買付者から2024年10月2日に本公開買付価格等の初回の提案を受けて以降も、当社や当社のアドバイザーから都度報告を受け、本公開買付けの条件について意見を述べ、又は本特別委員会から直接公開買付者に対して返答書面を送付することにより、本公開買付価格を含む本取引に関する取引条件につき、交渉過程に実質的に関与しております。
本特別委員会は、以上の経緯で本諮問事項について慎重に協議及び検討を重ねた結果、2025年5月7日、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、本諮問事項につき大要以下を内容とする2025年5月7日付答申書を提出しております。
(a) 答申内容
本特別委員会は、特別委員全員の一致により、本諮問事項に関して以下の意見を答申する。
(ⅰ) 本取引は当社の企業価値の向上に資するものであり、正当かつ合理的なものであると認められる。
(ⅱ) 本公開買付けにおける本公開買付価格その他の本取引に係る条件は妥当であると認められる。
(ⅲ) 本取引に係る手続においては十分な公正性担保措置が講じられており、本取引に係る手続は公正なものであると認められる。
(ⅳ) 当社取締役会は、本公開買付けに関して賛同の意見を表明するとともに、当社株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することを決議すべきである。
(ⅴ) 本取引を行うことは当社の一般株主(少数株主を含む。)にとって不利益なものではない。
(b) 答申理由
1. 本取引が当社の企業価値の向上に資するか否かの検討
(1) 公開買付者の見解
本特別委員会が公開買付者に対して行った本取引に関する質問に対する回答及び公開買付者が作成した公開買付届出書のドラフトによれば、公開買付者の考える本取引の意義・目的及び本取引により期待されるシナジーの概要は以下のとおりとのことである。
ア 公開買付者による本取引の検討の背景
公開買付者は、「SHIONOGIは、常に人々の健康を守るために必要な最もよい薬(ヘルスケアソリューション)を提供する」ことを基本方針(SHIONOGI Group Heritage)として、世界中の患者さまや社会の抱える困りごとをより包括的に解決するために、医療用医薬品の提供に留まらずに、顧客の皆さまのニーズに応じた様々なヘルスケアサービスを提供する「HaaS(Healthcare as a Service)企業」への変革を進めている。2020年に、2030年に成し遂げたいVision(SHIONOGI Group Vision)として「新たなプラットフォームでヘルスケアの未来を創り出す」ことを掲げ、そのVisionを実現するための戦略として中期経営計画「SHIONOGI Transformation Strategy 2030(STS2030)」を策定し、公開買付者グループ一丸となって取り組みを進めてきた。2020年度から2022年度までの3年間は新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)によるパンデミックの早期終息を目指して、治療薬の提供に留まらずCOVID-19のトータルケアの実現に向けて、検知(流行予測)、予防、診断、重症化抑制といった各ソリューションの提供に取り組んできた。その結果として、COVID-19治療薬「ゾコーバ」については、一般的に、医療用医薬品では新薬の研究開発の開始から国内での承認取得までに、9~16年程度の期間を要するところ、研究開発の開始から約3年というこれまでとは全く異なるスピードで国内での通常承認を取得するなど、創薬力を進化させてきた。また、公開買付者グループ初となるワクチンや下水疫学調査サービスなど医療用医薬品以外の製品やサービスを拡大させることができた。これらの取り組みから得た成果や学びをもとに、SHIONOGI Group Visionの実現に向けた道筋がより明確になったことから、2023年にSTS2030を改訂し、STS2030 Revisionとして新たなスタートを切った。従来のSTS2030では、2020年度を起点とする2024年度までの5年間をSTS Phase1、以降2030年度までをSTS Phase2と位置付けていたが、STS2030 Revisionでは、2023年度から2025年度の3年間を新たにSTS Phase2と位置付け、「感染症領域を中心としたグローバルでのトップラインの成長」と「積極投資による成長ドライバーの育成を実現すること」を基本方針として、変革による成長を加速させている。
公開買付者は、上記のSTS2030 Revisionの取り組みの中で、「新たなプラットフォームでヘルスケアの未来を創り出す」というビジョンの実現のために、JT医薬事業及び当社との協業に関して検討を2024年初頭より進めてきた。検討の結果、公開買付者によるJT医薬事業の譲受及び当社の完全子会社化は当該ビジョン実現に大きく貢献するとの判断に至った。
イ 本取引により公開買付者が期待するシナジー
① 国内事業の強化
公開買付者は基本方針である「SHIONOGIは、常に人々の健康を守るために必要な最もよい薬を提供する」を実現するため、適正な情報提供活動を推進している。本取引後は、診療科、施設に対する公開買付者と当社の異なる強みが統合され、情報提供の範囲が広がり、かつ医師のニーズにあった適切な情報提供が実現することで、特に一定のシェア オブ ボイスを必要とする製品においては価値最大化の観点でのシナジー効果が発揮されるものと考えている。具体的には、公開買付者はCOVID-19、インフルエンザに対する抗ウイルス薬の情報提供を推進しているが、さらに多くの医師に適正使用情報をお届けする必要性を感じているところ、当社が強い営業力を持つ皮膚科、小児科及び耳鼻科における情報提供が加わることで、ますます多くの患者さまに抗ウイルス薬をお役立ていただけるものと考えている。他方、当社のコレクチムなどの皮膚科領域の製品を公開買付者リソースにより、皮膚科以外(例えば内科、整形外科等)の診療科における情報提供活動の強化を実現できるものと考えている。また一人の医師に複数の製品をお届けすることが可能となり、情報提供の幅が広がることで、顧客満足の向上、営業活動の効率化にも寄与できると考えている。また、将来的には、両社の開発パイプラインにおいても公開買付者の有する高い研究開発力と当社の有する強い営業力を活かした開発/販売戦略が構築できるものと考えている。
② グローバル展開の加速
公開買付者は米国・欧州を中心に、グローバル開発機能及び販売網を有しており、今後も海外における開発、薬事機能、自社販売の強化やグループ全体のグローバル化を進めていく。公開買付者は、現在、当社はJT医薬事業と共同で国内開発にも従事していると理解しているが、本取引の実施を通じて、当社の将来の開発パイプラインについてグローバル展開の可能性が高まり、国内外での研究開発・販売データの収集及び評価を積み重ねることで販売強化に繋がると考えている。また、当社が積極的に取り組んでいる導入品候補の探索活動及び事業投資活動においても、公開買付者のネットワークや専門知識を有している人材を活かすことでさらに効率的かつ有効な活動が展開できると考えている。
③ 柔軟な製造/販売体制の実現
公開買付者は製造部門としてシオノギファーマ株式会社を有しており、自社の製造施設にて医薬品の製造を行うことを原則とし、グローバルサプライチェーン構築を充実させてきている。公開買付者としては、昨今、地政学的な問題、多企業での品質問題、欠品・限定出荷の増加等、サプライチェーンのボラティリティが高まっており、為替影響や原材料の高騰など原価のコントロールも厳しさを増していると認識している。公開買付者としては、そのような環境下において、JT医薬事業や当社の医薬品についても公開買付者の有する、上記の公開買付者にて医薬品の製造やグローバルサプライチェーン構築を実現できているといったケイパビリティ(注)を活用し、公開買付者の製造施設を活用することで、製品の増産などのフレキシブルな生産体制を自社において確立することができ、公開買付者の有するバックアップサイトを確保することでJT医薬事業や当社の医薬品の交渉力の強化に繋がると考えている。その結果として、事業上の競争力を高め、製造原価低減にも寄与すると考えている。
(注) 「ケイパビリティ」とは、企業が有する事業全体に及ぶ組織全体の強みのことをいいます。
(2) 当社経営陣の見解
ア 本取引において期待されるシナジー
本特別委員会が実施したヒアリング等で聴取した当社担当者からの説明その他本特別委員会の審議の過程における説明によれば、当社が本取引において期待しているシナジーは以下のとおりとのことである。
① 国内事業の強化
公開買付者が認識しているとおり、診療科、施設に対する公開買付者と当社の異なる強みが統合され、情報提供の範囲が広がり、かつ医師のニーズにあった適切な情報提供が実現することで、特に一定のシェア オブ ボイスを必要とする製品においては価値最大化の観点でのシナジー効果が発揮されるものと考えている。具体的には、公開買付者はCOVID-19、インフルエンザに対する抗ウイルス薬の情報提供を推進しているが、さらに多くの医師に適正使用情報をお届けする必要性を感じているところ、当社が強い営業力を持つ皮膚科、小児科及び耳鼻科における情報提供が加わることで、ますます多くの患者さまに抗ウイルス薬を役立てていただけるものと考えている。他方、当社のコレクチムなどの皮膚科領域の製品を公開買付者リソースにより、皮膚科以外(例えば内科、整形外科等)の診療科における情報提供活動の強化を実現できるものと考えている。また、一人の医師に複数の製品をお届けすることが可能となり、情報提供の幅が広がることで、顧客満足の向上、営業活動の効率化にも寄与できると考えている。さらに、将来的には、両社の開発パイプラインにおいても公開買付者の有する高い研究開発力と当社の有する強い営業力を活かした開発/販売戦略が構築できるものと考えている。
② グローバル展開の加速
公開買付者は米国・欧州を中心に、グローバル開発機能及び販売網を有しており、今後も海外における開発、薬事機能、自社販売の強化やグループ全体のグローバル化を進めている一方、現在、当社はJT医薬事業と共同で国内開発を主体としている。本取引の実施を通じて、当社の将来の開発パイプラインについてグローバル展開の可能性が高まり、国内外での研究開発・販売データの収集及び評価を積み重ねることで販売強化に繋がると考えている。また、当社が積極的に取り組んでいる導入品候補の探索活動及び事業投資活動においても、公開買付者のネットワークや専門知識を有している人材を活かすことでさらに効率的かつ有効な活動が展開できると考えている。
③ 柔軟な製造/販売体制の実現
当社は、2020年より製造機能を保有しておらず、製造は全て外部に委託しており、また、海外からの導入品に関しては、大部分が導出元の製造した製品を輸入している。そのため、公開買付者の認識しているとおり、公開買付者が保有する製造部門としてシオノギファーマ株式会社を利用し、一部製造を当該製造部門に委託することにより、地政学的な問題、多企業での品質問題、欠品・限定出荷の増加等、サプライチェーンのボラティリティに対応できる可能性があり、今後、製品の増産などのフレキシブルな生産体制の構築やバックアップサイトの確保など交渉力の強化に繋がると考えている。その結果として、事業上の競争力を高め、製造原価低減にも寄与すると考えている。
イ 本取引により生じうるデメリット
本特別委員会が実施したヒアリング等で聴取した当社担当者からの説明その他本特別委員会の審議の過程における説明によれば、本取引に伴う非公開化によって、人材採用や取引先からの信用に一定のデメリットが生じる可能性や本取引後の当社の拠点や人員配置のあり方によっては従業員が離職する可能性が考えられるとのことである。また、本取引に伴い、これまで公開買付者と当社が競合する関係にあった舌下免疫療法に関連する製品について、当社の事業上重要なパートナーとの関係性に何らかの影響が生じる可能性も考えられるとのことである。
(3) 本特別委員会の見解
以上を踏まえて、本特別委員会において慎重に審議・検討をしたところ、本取引により期待されるシナジーについての公開買付者及び当社の説明は一定の具体性を有しており、合理的な説明であると認められる。
上記(2)イのとおり、本取引によりデメリットが生じる可能性は否定できないものの、株式の非公開化に伴い想定される人材採用の難化や取引先からの信用の低下等の一般的なデメリットについては、当社が長年の事業活動により培った採用市場における優位性や社会的信用性は上場廃止により失われるものではなく、また、本取引後は、公開買付者と一体的な人材採用を行うことや、公開買付者グループの一員として取引先からの信用を維持することも可能であると考えられるため、リスクは限定的であると考えられる。さらに、公開買付者からは、本取引後の当社の拠点や人員配置のあり方については個々の従業員の豊かな生活や自己実現、公平性といった観点からも十分に検討し、従業員の離職によりビジネスに悪影響が生じないよう、最適な人員配置を検討していく方針であるといった回答を得ている。
また、舌下免疫療法に関連する製品に係る当社の事業上重要なパートナーとの関係性については、①公開買付者における舌下免疫療法に関連する製品に係る事業については既に終了をすることとなっており、当社の事業上重要なパートナーとの関係性に影響を与えないよう一定の措置が講じられ又は講じられる予定であること、②公開買付者としては、当社の舌下免疫療法に関連する製品については本取引実行後も注力する予定であること、③本取引実行後に当社が公開買付者の傘下に入った後も同製品に関する事業を継続する上で法的障害が生じないよう公開買付者によって一定の措置が講じられ又は講じられる予定となっていることを公開買付者から説明を受けており、重大な懸念点は存在しない。
このように本取引を実行することによるデメリットに対しては合理的な措置や説明がなされており、重大な懸念が存在するとまではいえない一方、本取引を実行することでそのようなデメリットを上回るシナジーの発現を期待することができ、本取引は当社の企業価値向上に資するものであるとの判断に違和感はない。
2. 本取引の取引条件の妥当性の検討
(1) 本公開買付価格の妥当性
a. 事業計画の策定手続及び内容
当社は、当社及び公開買付者のいずれからも独立した第三者算定機関としてみずほ証券に当社の株式価値の算定を依頼し、2025年5月2日付で、当社株式価値算定書を受領している。
当社株式価値算定書は、当社経営陣が当社の業績の動向、一般に公開された情報等の諸要素を考慮して作成し、本特別委員会において承認され、その後、通期決算、開発品の開発状況の更新等当社の事業環境の変動を踏まえて必要に応じた見直しを行い、当該見直しについて本特別委員会に報告された2025年12月期から2033年12月期までの事業計画(以下「本事業計画」という。)に基づく財務予測を算定の前提としている。本特別委員会は、本事業計画の承認にあたり、当社経営陣の本特別委員会に対する説明及び本特別委員会との質疑応答に基づき、本事業計画の策定経緯に公正性を疑うべき事情は存在せず、その内容に不合理な点は見受けられないものと判断している。
b. 算定結果の検討
当社株式価値算定書の内容に関するみずほ証券の本特別委員会に対する説明及び本特別委員会との質疑応答に基づけば、(ⅰ)みずほ証券が採用した株式価値の算定手法は、非公開化取引における株式価値算定において一般的に利用されている算定手法であり、各算定手法の採用理由に不合理な点は認められず、また、(ⅱ)みずほ証券による算定内容の合理性についても不合理な点は認められない。したがって、本特別委員会は、当社株式の株式価値の評価にあたり、当社株式価値算定書に依拠することができるものと判断している。
当社株式価値算定書における当社株式の1株当たりの株式価値の範囲はそれぞれ以下のとおりである。当社株式価値算定書に付されている、その作成並びにその基礎となる評価分析に関する前提条件及び留意事項については、下記(注)のとおりである。
市場株価基準法 : 4,432円から5,230円
類似企業比較法 : 3,318円から4,215円
類似取引比較法 : 4,144円から4,213円
DCF法 : 4,979円から7,080円
(注) みずほ証券は、当社株式の株式価値の算定に際し、当社から提供を受けた情報及び一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、それらの資料及び情報等が、全て正確かつ完全なものであることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っていない。また、当社及びその関係会社の資産及び負債(簿外資産及び負債、その他偶発債務を含む。)に関して独自の評価・査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っていない。加えて、当社の財務予測に関する情報については、当社の経営陣による現時点で得られる最善の予測と判断に基づき合理的に作成されたことを前提としている。
本公開買付価格(当社株式1株当たり6,350円)は、当社株式価値算定書における当社株式の価値算定結果のうち、市場株価基準法、類似企業比較法及び類似取引比較法の上限を上回っており、DCF法の算定レンジの中央値を超えている。
c. プレミアムの分析
本公開買付価格は、本答申書作成日(2025年5月7日)の前営業日である2025年5月2日の東京証券取引所における当社株式の終値5,230円に対して21%(小数点以下四捨五入。以下、プレミアム率の計算において同じ。)、過去1ヶ月間の終値の単純平均値4,432円(小数点以下四捨五入。以下、終値の単純平均値の計算において同じ。)に対して43%、同過去3ヶ月間の終値の単純平均値4,482円に対して42%、同過去6ヶ月間の終値の単純平均値4,559円に対して39%のプレミアム率をそれぞれ加えた価格となっている。
これは本取引の類似事例(過去5年間(2020年5月3日から2025年5月2日)に公表され、2025年5月2日時点までに公開買付けが成立した第三者による東京証券取引所プライム市場又は東京証券取引所第一部に上場している会社に対する非公開化を前提とした公開買付けの事例(マネジメント・バイアウト(MBO)の事例を除く。)34件)のプレミアム水準(公表日の前営業日の株価に対して中央値44%・平均値53%、公表日の前営業日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値に対して中央値45%・平均値56%、公表日の前営業日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値に対して中央値57%・平均値60%、公表日の前営業日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値に対して中央値54%・平均値63%)と比較すると、前営業日の終値を参照する場合にはやや低い水準となっている。もっとも、2025年4月28日から2025年5月2日までの3営業日という短期間のうちに、当社株式の終値が4,340円から5,230円まで約20%上昇しており、(ⅰ)当社株式における当該3営業日の出来高が31万株から56万株と直近の平均的な出来高(2025年3月26日から2025年4月25日の出来高の平均)の約10万株から大きく増加していること、及び、(ⅱ)当該3営業日において当社による適時開示はなく、少なくとも当社の特定の公表を反映しての株価の変動ではないこと等を踏まえると、当該3営業日における当社株式の株価の上昇は一過性のものである可能性は否定できないことから、より中長期的な株価水準を考慮することに一定の合理性があると考えられ、本公開買付価格の過去1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の終値単純平均値に対するプレミアム率は、類似事例におけるプレミアム水準の各期間の中央値と比較すると相応の水準と評価し得ることから、市場株価に対するプレミアム率の水準の観点からも本公開買付価格は不合理なものではないと考えられる。
また、当社が2025年3月末日時点で保有する現金、現金同等物等及び投資有価証券の合計額は791億円であり、これらについては本来プレミアムが付されないことから、当該合計額の1株当たりの価値を除く調整を行った場合、1株当たりの調整後本公開買付価格は3,537円であり、当該価格は公表日の前営業日の終値5,230円に同様の調整を行った価格2,417円に対して46%、過去1ヶ月間の終値単純平均値4,432円に同様の調整を行った価格1,619円に対して119%、過去3ヶ月間の終値単純平均値4,482円に同様の調整を行った1,669円に対して112%、過去6ヶ月間の終値単純平均値4,559円に同様の調整を行った1,746円に対して103%のプレミアムがそれぞれ付された価格となっており、十分な水準のプレミアムが付されているとも評価し得る。
d. 本公開買付価格の交渉経緯
当社は、2024年10月2日に公開買付者から本公開買付価格を1株当たり5,878円とする提案を受領した。
本特別委員会は、2024年9月30日に開催された第7回特別委員会において、みずほ証券から当社株式に係る株式価値の算定結果の中間報告を受けており、2024年10月7日に開催された第8回特別委員会及び2024年10月15日に開催された第9回特別委員会において、当該算定結果も踏まえて、公開買付者の提案価格は、本取引と類似した事例と比較すると、およそ同程度のプレミアムが付されていると認識しており、一定の評価をするものの、①プレミアムは価値評価そのものではなく、類似事例の数値から統計値等を計算して比較しているに過ぎないと考えられること、②本取引は本自己株式取得による税務メリットを利用することで少数株主に対して高い公開買付価格を提示可能であるところ、当該税務メリットを利用しない場合と比較して必然的にプレミアムが高くなることを踏まえれば、本取引はプレミアムの多寡のみで判断すべきでなく、当社株式について正当な価値評価がなされているかで判断すべきであること、③当社の事業計画に基づいた今後の成長性を踏まえれば、当該公開買付価格は著しく低いこと、④本取引の具体的なシナジー効果を想定した上で、実現可能性を加味し、定量化し企業価値に反映すべきこと、以上の理由から、本公開買付価格の引上げの要請をすべきであり、少数株主利益の最大化のため、公開買付者と価格交渉を実施する必要があることを確認した。
その後、本特別委員会は、2024年10月15日付レターにて、本公開買付価格の引き上げを要請したところ、公開買付者からは、2024年10月28日付レターにて、本公開買付価格を6,062円に引き上げる旨の回答を受領した。
これを受け、本特別委員会は、2024年11月5日に開催された第12回特別委員会及び2024年11月11日に開催された第13回特別委員会において、公開買付者の提案価格は、当社の本源的価値を100%表した価額とは到底言えず、上値の余地が存在するものと考えていること、本取引におけるシナジー効果を考慮すれば、いまだ十分な水準にあると評価できないものと考えていることから、再度、本公開買付価格の引上げに関する再検討の要請をすべきであり、公開買付者と価格交渉を実施する必要があることを確認した。
その後、本特別委員会は、2024年11月11日付レターにて、本公開買付価格の更なる引き上げを要請したところ、公開買付者からは、2025年4月11日付レターにて、本公開買付価格を6,181円に引き上げる旨の回答を受領した。
これを受け、本特別委員会は、2025年4月15日に開催された第17回特別委員会において、公開買付者の提案価格は、依然として当社の本源的価値として十分な価額を表したものではないと考えていること、本取引におけるシナジー効果を考慮すれば、より高い価格の提示が可能と考えていること、上記提案価格における公開買付価格から算出されるプレミアムは、過去1ヶ月、3ヶ月及び6ヶ月における終値単純平均株価対比ではいずれも30%台に留まっており、同種の過去事例と比較して充分な水準にあると評価・判断することは困難であることから、再度、本公開買付価格の引上げに関する再検討の要請をすべきであり、公開買付者と価格交渉を実施する必要があることを確認した。
その後、本特別委員会は、2025年4月15日付レターにて、本公開買付価格の更なる引き上げを要請したところ、公開買付者からは、2025年4月18日付レターにて、本公開買付価格を6,283円に引き上げる旨の回答を受領した。
これを受け、本特別委員会は、2025年4月21日に開催された第18回特別委員会において、公開買付者の提案価格は、これまでの主張に基づいて、一定の配慮がなされたものと判断する一方で、事業計画に基づき本源的価値を充分に評価するか、若しくは期待されるシナジー効果額を織り込む等することにより、株式価値をより高く評価することで、公開買付価格をより高くする余地は依然として存在するのではないかと考えていること、また、市場株価に対するプレミアム率に関しても、足元の株価水準に鑑みれば、必ずしも充分と言える水準ではないと考えていることから、再度、本公開買付価格の引上げに関する再検討の要請をすべきであり、公開買付者と価格交渉を実施する必要があることを確認した。
その後、本特別委員会は、2025年4月21日付レターにて、本公開買付価格の更なる引き上げを要請したところ、公開買付者からは、2025年4月26日付レターにて、本公開買付価格を6,326円に引き上げる旨及びこれ以上の経済条件の引き上げは予定していない旨の回答を受領した。これを受け、本特別委員会は、2025年4月28日に開催された第19回特別委員会において、公開買付者の提案価格は、第4回提案における提案価格から引き上がっているものの、小幅に留まっており、依然として一般株主に必ずしも十分な配慮がなされた水準ではないと考えていることから、再度、本公開買付価格の引上げを要請すべきであり、公開買付者と価格交渉を実施する必要があることを確認した。
その後、本特別委員会は、2025年4月28日付レターにて、本公開買付価格の更なる引き上げを要請したところ、公開買付者からは、2025年5月1日付レターにて、本公開買付価格を6,350円に引き上げる旨及びこれ以上の経済条件の引き上げは予定していない旨の回答を受領した。
以上の交渉経緯からして、本特別委員会は、本公開買付価格6,350円は、これ以上交渉を継続しても引き上げの余地のない公開買付者からの最終提案価格であると判断した。
以上からすれば、本公開買付価格は、当社が、公開買付者との間で、株主にとってできる限り有利な取引条件で買収が行われることを目指して、真摯な交渉の結果決定されたものと認められる。
e. 小括
以上の検討によれば、(ⅰ)本公開買付価格は、当社株式価値算定書における当社株式の価値算定結果のうち、市場株価基準法、類似企業比較法及び類似取引比較法の上限を上回っており、DCF法の算定レンジの中央値を超えていること、(ⅱ)(a)本公開買付価格の本答申書作成日(2025年5月7日)の前営業日の終値に対するプレミアム水準は、類似事例におけるプレミアム水準と比較すると、やや低い水準となっているものの、直近の当社株式の株価の上昇は一過性のものである可能性が否定できず中長期的な株価水準を考慮することに一定の合理性があると考えられ、本公開買付価格の過去1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の終値単純平均値に対するプレミアム水準は、類似事例におけるプレミアム水準の各期間の中央値と比較すると相応の水準と評価し得ること、(b)当社が2025年3月末日時点で保有する現金、現金同等物等及び投資有価証券の合計額は791億円であり、これらについては本来プレミアムが付されないことから、当該合計額の1株当たりの価値を除く調整を行った1株当たりの本公開買付価格を基準にプレミアムを検討した場合、十分な水準のプレミアムが付されているとも評価し得ることに鑑みると、本公開買付価格のプレミアムの水準は不合理なものではないと考えられること、(ⅲ)本公開買付価格は、当社と公開買付者との間で、真摯な交渉の結果決定されたものと認められることを踏まえると、本公開買付価格は公正かつ妥当であると評価できる。
(2) スキームの妥当性
本取引において採用されている、一段階目として、本公開買付け後に公開買付関係者が合計で当社の総議決権数の3分の2以上を取得することとなる株式数を買付予定数の下限に設定して公開買付けを行い、二段階目として、当社の株主を公開買付関係者のみとするための株式併合によるスクイーズアウトを実行し、当該株式併合の効力発生後に本自己株式取得を行うというスキームは、親会社が存在する上場会社の非公開化の手法として比較的一般的に採用されている方法であり、公開買付価格に不満のある当社株主は、株式併合の過程で裁判所に対する価格決定の申立てが可能である。
さらに、本自己株式取得においては、日本たばこ産業において、法人税法に定めるみなし配当の益金不算入規定が適用されることが見込まれることを踏まえ、本自己株式取得の取得価格を、仮に日本たばこ産業が本公開買付けに応募した場合に得られる税引後手取り額と本自己株式取得に応じた場合の税引後手取り額が同等となる金額を基準として設定しつつ本自己株式取得の取得価格を抑え、当社の少数株主の皆様への配分をより多くすることで、本公開買付価格の最大化と株主間の公正性を両立させることを目的に実施するものと説明を受けている。したがって、本取引において、本自己株式取得が行われるからといって、当社少数株主の犠牲のもとに、日本たばこ産業が不当に利益を得るものではなく、むしろ当社の一般株主の利益に資するものと考えられる。
また、本取引に伴い公開買付者によるJT医薬事業の吸収分割(以下「本吸収分割」という。)による譲受が予定されているが、本吸収分割は、公開買付価格の均一性の趣旨に抵触しないよう、公開買付関係者の間において、当社及び公開買付者の間の本取引とは別個の独立した取引として検討・交渉され、本吸収分割の対価はJT医薬事業の事業価値を基に算出されたものであることを公開買付関係者からの回答等により確認している。また、本公開買付価格に係る交渉は当初から一貫して当社と公開買付者との間で行われており、この交渉に日本たばこ産業は関与していない。これらを踏まえると、本吸収分割の取引条件が本公開買付価格を含む本公開買付けの取引条件に不当な影響を及ぼしたとは考えられない。
加えて、下記3.(7)のとおり、本公開買付けにおいては強圧性が排除されていることも踏まえて、本特別委員会として、本取引のスキームに不合理な点は認められず、妥当であると認める。
(3) 小括
以上のとおり、(ⅰ)本公開買付価格及びスクイーズアウト手続において当社株主に交付される対価のいずれについても、第三者算定機関による当社株式の価値算定結果との比較及び過去の類似取引におけるプレミアム水準との比較や交渉の経緯の観点から、妥当であると考えられること、及び(ⅱ)本取引のスキームは妥当であると認められることから、本取引の取引条件は公正かつ妥当な条件であると認める。
3. 本取引の検討手続の公正性の検討
(1) 当社における独立した特別委員会の設置等
当社は、2024年8月9日付の取締役会決議により、本特別委員会を設置した。本特別委員会の設置に先立って、当社は、2024年8月上旬から、長島・大野・常松法律事務所の助言も得て、公開買付者との間で重要な利害関係を有しない当社の独立社外取締役に対して、本取引に係る検討・交渉等を行うにあたっては、本特別委員会の設置をはじめとする本取引に係る取引条件の公正性を担保するための措置を十分に講じる必要がある旨等を個別に説明するとともに、本取引においては潜在的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題に対応するために手続の公正性を十分に確保する必要がある旨、並びに本特別委員会の役割等についての説明及び質疑応答を行っていた。また、当社は、並行して、長島・大野・常松法律事務所の助言を得つつ、本特別委員会の委員の候補となる当社の独立社外取締役の独立性及び適格性等について確認を行うとともに、公開買付者との間で重要な利害関係を有していないこと、及び本取引の成否に関して一般株主の皆様とは異なる重要な利害関係を有していないことについても確認を行った上で、当社の独立社外取締役との間で、長島・大野・常松法律事務所の助言を得つつ、協議した結果、異議がない旨が確認されたことから、藤田研一氏(当社社外取締役(監査等委員)、株式会社GreenBridgeSolutions代表取締役社長、株式会社K-BRIC&Associates代表取締役社長、ENECHANGE株式会社社外取締役)、松村卓治氏(当社社外取締役(監査等委員)、弁護士、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業パートナー、株式会社文化放送監査役、株式会社モスフードサービス社外監査役)及び真鍋美穂子氏(当社社外取締役(監査等委員)、財務コンサルタント(個人事業主)、三菱瓦斯化学株式会社社外取締役)の3名を本特別委員会の委員の候補として選定した(なお、本特別委員会の委員長には当社の社外取締役(監査等委員)である藤田研一氏が就任しており、本特別委員会の委員は設置当初から変更していない。)。
また、当社は、上記取締役会決議において、当社取締役会において本取引に関する重要な決定を行うに際しては、本特別委員会の答申を最大限尊重し、本取引の取引条件について本特別委員会が妥当でないと判断した場合には、当社取締役会は、本公開買付けに賛同せず、応募推奨をしない旨を決議している。あわせて、当社は、上記取締役会決議に基づき、本特別委員会に対して、(a)業務執行取締役等による本取引の検討について、必要な助言を行う権限、(b)公開買付者との本取引に関する協議及び交渉について事前に方針を確認し、適時にその状況の報告を受け、本取引に関する協議及び交渉について意見を述べ、当社取締役会に対して勧告や要請を行い、また、必要に応じて法令上許容される範囲で公開買付者を含む第三者と直接協議・交渉を行う権限、(c)業務執行取締役等に対し、本取引に関する進捗、検討状況その他の事項の報告及び情報提供を随時求める権限、(d)その役割を果たすために必要な範囲で、自らのためのアドバイザー等を当社の費用負担により選任する権限、及び当社のアドバイザー等を評価し、選任について意見し、又は承認(事後承認を含む。)する権限を付与した。また、本特別委員会の各委員に対しては、その職務の対価として、社外取締役としての報酬とは別に、固定額の報酬を支払うものとされており、本取引の成否に利害関係を有しない仕組みとしている。
なお、上記の当社取締役会決議においては、当社の取締役5名にて審議の上、その全員一致により上記の決議を行っている。
このように、本特別委員会は、当社において独立した特別委員会であり、本取引の検討手続において有効に機能するための権限を付与され、実際に有効に機能したと考えられる。特に公開買付者との価格交渉の場面においては、当社が公開買付者と本公開買付価格について協議する際には、事前に本特別委員会に確認を求めており、これにより、本特別委員会は、適時に交渉状況の報告を受け、重要な局面で意見を述べ、指示や要請を行い、又は自ら公開買付者に対して返答書面を送付することによって、取引条件に関する交渉過程に実質的に影響を与え得る状況を確保しており、また、本取引の意義目的の確認及び本取引により生じうるデメリットに関しては、当社経営陣及び公開買付者にインタビューを実施するなど、自ら一般株主に代わり、本取引に関する非公開情報も含めて重要な情報を入手し、これを踏まえて検討・判断を行っている。
(2) 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、上記2.(1)a.のとおり、みずほ証券から当社株式価値算定書を取得している。なお、本取引に係るみずほ証券の報酬には、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬に加えて、本公開買付けを含む本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれているが、同種の取引における一般的な実務慣行及び本取引が不成立となった場合にも当社に相応の金銭的負担が生じる報酬体系の是非等を勘案すれば、かかる成功報酬が含まれていることをもって独立性が否定されるものではないと考えられる。なお、当社は、みずほ証券から本公開買付価格の公正性に関する評価(フェアネス・オピニオン)を取得していないが、本取引の検討のためにとられた公正担保措置等を踏まえると、当社の少数株主の利益には十分な配慮がなされており、手続の公正性に疑義を生じさせるものではないと考えられる。
(3) 当社における独立したファイナンシャル・アドバイザーからの助言
当社は、本取引に関する当社取締役会の意思決定の公正性及び適正性を担保するため、当社及び公開買付者から独立したファイナンシャル・アドバイザーとしてみずほ証券を選任し、本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置、本取引に係る当社の意思決定の方法及びその過程等に関する助言を含む財務的見地からの助言を受けた。
なお、みずほ証券の説明によれば、みずほ証券は、当社及び公開買付関係者の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有していないとのことである。
(4) 当社における独立したリーガル・アドバイザーからの助言
当社は、本取引に関する当社取締役会の意思決定の公正性及び適正性を担保するため、当社及び公開買付者から独立したリーガル・アドバイザーとして長島・大野・常松法律事務所を選任し、本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置、本取引に係る当社の意思決定の方法及びその過程等に関する助言を含む法的助言を受けた。
なお、長島・大野・常松法律事務所の説明によれば、長島・大野・常松法律事務所は、当社及び公開買付関係者の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有していないとのことである。また、長島・大野・常松法律事務所の報酬は、本取引の成否にかかわらず稼働時間に時間単価を乗じて算出するものとされており、本取引の成立を条件とする成功報酬は含まれていない。
(5) 当社における独立した検討体制の構築
当社は、本取引に係る潜在的な利益相反のおそれを排除する観点から、公開買付者から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制を当社の社内に構築した。
具体的には、当社は、2024年8月6日に公開買付者から本公開買付けに関する初期的打診を受領した時点以降、当社及び公開買付者との間の本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件に関する交渉過程において、潜在的な利益相反のおそれを排除する観点から、日本たばこ産業の役職員を兼任若しくは兼務する当社の役職員を関与させないこととし、公開買付者から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制を当社の社内に構築した。
かかる本取引の検討体制については、独立性及び公正性の観点から本特別委員会の意見も確認しながら構築したものである。
(6) 公開買付期間
本公開買付けにおいて、公開買付期間は30営業日とされており、少数株主を含む当社株主の本公開買付けに対する応募についての適切な判断機会及び公開買付者以外の者による当社株式に対する買付け等の機会は確保されている。
(7) 強圧性の排除
本取引においては、一段階目として行われる本公開買付けにおいて、買付予定数の下限は、本公開買付け成立後に公開買付関係者が当社の総議決権数の3分の2以上を所有することとなるように設定されていることで、本公開買付けが成立した場合、成立後のスクイーズアウトが確実に実行できるスキームになっている。また、本取引におけるスクイーズアウト手続において、スクイーズアウトされる当社株主に対価として交付される金銭は、本公開買付価格に当該各株主の所有する当社株式の数を乗じた価格と同一となるように算定される予定であり、その旨が本公開買付けの開始に際して公表される予定である。したがって、少数株主を含む当社株主が本公開買付けに応募するか否かについて適切に判断を行う機会を確保し、これをもって強圧性が生じないように配慮されていると認められる。
(8) 取引保護条項の不存在
当社及び公開買付者は、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項等を含む合意等、対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意は一切行っておらず、対抗的な買付け等の機会を妨げないこととすることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮していると認められる。
(9) 小括
上記(1)乃至(8)のとおり、本取引の検討に際しては上記の各公正性担保措置が講じられていることから、本取引の検討に際して公正な手続が実施されており、これを通じた当社株主の利益への十分な配慮がなされているものと認められる。
なお、日本たばこ産業が保有する当社株式の合計は15,398,800株(所有割合:54.78%)であるため、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する当社の少数株主の利益に資さない可能性もあるものと考え、本公開買付けにおいていわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限は設定していないことについて、本特別委員会は、他の公正性担保措置が十分に講じられていると解されること等に鑑みると、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件が設定されていないことのみをもって、適切な公正性担保措置が講じられていないと評価されるものではないと考えられる旨判断している。
4. 総括
上記1乃至3のとおり、本公開買付けは、当社の企業価値向上に資すると考えられ、その取引条件も妥当であり、公正な手続も実施されている。そこで、本特別委員会は、当社は本公開買付けに関して賛同の意見を表明するとともに、当社株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することを決議すべきであり、本取引は当社の一般株主(少数株主を含む。)にとって不利益なものではないと判断する。
④ 当社における独立した法律事務所からの助言
当社は、本取引に係る当社取締役会の意思決定の過程における公正性及び適正性を担保するために、公開買付関係者及び当社のいずれからも独立したリーガル・アドバイザーとして、長島・大野・常松法律事務所を選任し、本公開買付けに関する当社取締役会の意思決定の過程、方法その他の本公開買付けに関する意思決定にあたっての留意点に関する法的助言を受けております。
なお、長島・大野・常松法律事務所は、公開買付関係者及び当社のいずれの関連当事者にも該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。また、長島・大野・常松法律事務所に対する報酬は、本取引の成否にかかわらず、稼働時間に時間単価を乗じて算出するものとされており、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれておりません。
⑤ 当社における独立した検討体制の構築
上記「1.本株式併合の目的」に記載のとおり、当社は、公開買付関係者から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制を当社の社内に構築いたしました。
具体的には、当社は、2024年8月6日に本取引の実施に向けた検討を開始したい旨の打診を受けた後、本取引に関する検討(当社の株式価値算定の基礎となる事業計画の作成を含みます。)並びに公開買付関係者との協議及び交渉を行うプロジェクトチーム(松田剛一(前)代表取締役社長、近藤紳雅(現)代表取締役社長を含む役職員8名)を設置し、そのメンバーは、日本たばこ産業のグループ(当社を除きます。)各社の役職員を兼務していない当社の役職員のみから構成されるものとし、かかる取扱いを継続しております。松田剛一(前)代表取締役社長は、2025年3月27日付で代表取締役を退任したことに伴い、プロジェクトチームから外れております。
なお、松田剛一(前)代表取締役社長及び近藤紳雅(現)代表取締役社長は、いずれも過去に日本たばこ産業に在籍していた期間があるものの、日本たばこ産業が本取引の検討を開始するよりも前の時点において、日本たばこ産業から転籍(松田剛一(前)代表取締役社長は2017年3月に、近藤紳雅(現)代表取締役社長は2019年3月にそれぞれ当社に転籍)しており、現在は日本たばこ産業の役職員を兼務しておらず、転籍後に日本たばこ産業から指示を受ける立場にないこと、また、本取引に関して、日本たばこ産業の検討過程に一切の関与をしておらず、それができる立場にもないことから、本取引における当社の意思決定に関して利益相反のおそれはないものと判断し、プロジェクトチームに参加しております。
また、かかる取扱いを含めて、当社の検討体制(本取引の検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含みます。)に独立性・公正性の観点から問題がないことについては、本特別委員会の承認を得ております。
⑥ 当社における利害関係を有しない取締役(監査等委員である取締役を含む。)全員の承認
当社は、長島・大野・常松法律事務所から受けた法的助言及び当社株式価値算定書の内容を踏まえつつ、本特別委員会から提出された2025年5月7日付答申書の内容を最大限に尊重しながら、本取引に関して、当社の企業価値向上、本取引に関する諸条件の妥当性等の観点から慎重に協議及び検討を行いました。
その結果、上記「1.本株式併合の目的」に記載のとおり、当社は、本公開買付けを含む本取引は当社企業価値の向上に資するとともに、本公開買付価格は妥当性を有し、当社の株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断し、2025年5月7日開催の取締役会において、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様が本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議をいたしました。
なお、上記「⑤ 当社における独立した検討体制の構築」に記載のとおり、当社の取締役のうち、近藤紳雅代表取締役社長は、過去に日本たばこ産業に在籍していた期間があるものの、日本たばこ産業が本取引の検討を開始するよりも前の時点(2019年3月)において、日本たばこ産業から転籍しており、現在は日本たばこ産業の役職員を兼務しておらず、転籍後に日本たばこ産業から指示を受ける立場にないこと、また、本取引に関して、日本たばこ産業の検討過程に一切の関与をしておらず、それができる立場にもないことから、本取引における当社の意思決定に関して利益相反のおそれはないものと判断し、本取引の検討に関する議題の審議及び決議に参加しております。
⑦ 他の買付者からの買付機会を確保するための措置
公開買付者は、法令に定められた公開買付けの最短期間が20営業日であるところ、公開買付期間を30営業日に設定しているとのことです。このように公開買付期間を法令に定められた最短期間に照らして比較的長期に設定することにより、当社の株主の皆様に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を確保するとともに、当社株式について対抗的買収提案者にも対抗的な買付け等を行う機会を確保し、これをもって本公開買付けの公正性を担保することを企図しているとのことです。
また、公開買付者と当社は、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、当該対抗的買収提案者が当社との間で接触等を行うことを制限するような内容の合意を行っておりません。このように、上記公開買付期間の設定とあわせ、対抗的な買付け等の機会が確保されることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮しているとのことです。
4.本株式併合がその効力を生ずる日
2025年9月1日(月)(予定)
以 上