文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは「一人でも多くの方に笑顔を取りもどしていただくために、優れた医薬品の提供を通じて患者さんのクオリティ・オブ・ライフの向上につとめる」を企業理念として、株主の皆様から負託された企業活動を行うにあたり、経営の基本方針として次の三つの方針を掲げております。この基本方針に則り、企業価値の最大化をはかり、ステークホルダーの信頼と期待に応えてまいります。
① 患者さんと医療関係者のニーズに即した、有用な医薬品の創製・提供につとめる。
② 医薬品企業としての社会的責任を自覚し、高い倫理観をもって企業活動を行い、社会から信頼される企業をめざす。
③ 社員がその仕事に歓びと誇りをもち、活力あふれる存在感のある企業をめざす。
新型コロナウイルス感染症の世界的感染拡大は製薬業界にも大きな影響を及ぼしており、先行きが不透明な状況が続いております。さらに、近年、国内製薬業界を取り巻く環境も大きく変化し、かつてない厳しい時代を迎えております。国内医薬品事業におきましては、急速な高齢化社会の進行等によって国の医療財政が逼迫する中、ジェネリック医薬品使用促進策や薬価制度の抜本改革等の様々な医療費抑制策が実施され、製薬企業は生き残りをかけて、より一層効率性を高めながら画期的新薬を創出し続けていくことが求められております。
また、研究開発においては、難病や希少疾患等に対するアンメットメディカルニーズが高まり、創薬研究の対象は病因・病態の難解な疾患へとシフトし、革新的な新薬を創出することは年々難易度を増しており、研究開発に関する費用とリスクはますます増大しております。さらに、国内外の企業との開発品の導入や販売提携等の交渉についても競争が激化しており、その費用も高額化しております。
このような状況下において、私たちは、社員一人ひとりの成長によって組織力の最大化をはかるべく人材育成に注力するとともに、高い有効性と安全性を有し需要が見込める医薬品を効率よく創出・販売できる体制の構築、研究開発への積極的な投資を進めております。また、海外企業への導出による製品のグローバル展開を加速し、新たな成長機会の獲得をめざしております。
(3) 中期経営戦略
2019年を起点とする3か年の中期経営計画においては、その期間の業績だけにとらわれず、厳しい時代を乗り切るための「成長基盤の確立」を重要課題と位置付け、次の4点に重点的に取り組んでまいりました。
① 開発パイプラインの充実を最優先課題とし、可能な限りの経営資源を配分する。
② クレナフィンの海外展開、新製品の海外展開や適応拡大により、価値最大化をはかる。
③ 連結売上高945億円達成に向け、営業基盤の強化と効率化をはかり、生産性の向上をめざす。
④ 人材育成・人材教育により全社員の生産性を高め、存在感のある社員を育成するとともに、組織のスリム化・人員配置の適正化をはかる。
また、2021年度経営数値目標として、連結売上高945億円、連結営業利益250億円、連結ROE12.0%以上としておりましたが、新型コロナウイルス感染症拡大による医療機関への受診抑制及び想定以上の薬価改定、競合環境の変化等により連結売上高760億円、連結営業利益170億円、連結ROE7.0%という結果でありました。
2022年を起点とする10か年の経営計画においては、製薬業界を取り巻く厳しい状況や、それに伴う当社の長期的課題を分析し、当社の2031年ビジョンとそのビジョンの実現に向けた戦略を掲げております。
≪2031年ビジョン≫
1. 画期的新薬の迅速な創出・提供により健康寿命延伸に貢献し続ける企業
2. 皮膚科、整形外科領域を中心にグローバルに展開する創薬企業
≪ビジョンの実現に向けた戦略 ~3つのTransformation~≫
(1)研究開発Transformation
① 自社研究基盤の活用
② 新規診療領域への展開
③ 新たなモダリティへの挑戦
④ 研究開発への積極的投資
(2)海外展開Transformation
① 自社創薬と製品・開発品の導入による海外展開品の充実
② 海外自社展開(開発・販売)による製品の価値最大化
(3)経営基盤Transformation
① プロフェッショナルとして変革を追求し続ける人材の育成及び就業環境整備
② データとデジタル技術を活用して変革し続ける企業風土の醸成
③ 患者さんファーストのための製品価値最大化及び高品質な医薬品の安定的な生産体制の構築
また、2026年度経営数値目標として、連結売上高800億円、連結営業利益180億円、連結ROE8.0%以上、2031年度経営数値目標として、連結売上高1,000億円、連結営業利益285億円、連結ROE10.0%以上をめざしてまいります。
当連結会計年度は、開発パイプラインの充実に向けて国内バイオベンチャー企業アーサム㈱を2021年12月に買収いたしました。同社は、形成外科領域における開発品「ART-001」(対象疾患:難治性脈管奇形)及び皮膚科領域の開発品「ART-648」(同:水疱性類天疱瘡)を有しており、本買収により開発パイプラインの強化に加え、アーサム㈱の有するドラッグリポジショニングに関わる技術と経験を当社が保有する既存化合物に適用する等のシナジー効果を実現し、当社の研究開発能力の更なる向上をはかってまいります。その他の開発パイプラインといたしましては、希少疾病用医薬品に指定されております熱傷焼痂除去剤「KMW-1」の製造販売承認申請がなされるとともに、アタマジラミ症治療剤「イベルメクチン0.5%外用剤(KAR)」がフェーズⅢ、掌蹠多汗症治療剤「BBI-4000」がフェーズⅠにそれぞれステージアップいたしました。また、がん免疫療法剤「KP-483」がフェーズⅠ、ニューマブ・セラピューティクス社と共同開発しておりますアトピー性皮膚炎を対象にした新規多重特異性抗体医薬候補物質「NM26-2198」がフェーズⅠ準備中に新たにステージアップいたしました。主力品でありますクレナフィンにつきましては、アルミラル社と欧州における独占的ライセンス実施許諾及び供給契約を締結いたしました。また、生産性の向上をめざし、営業基盤の強化、人材育成・人材教育の促進、組織のスリム化・人員配置の適正化等に取り組んでおります。
(4) 会社の対処すべき課題
当社グループが企業価値の最大化をめざし、社会から信頼される企業であり続けるため、対処すべき当面の課題は、次のとおりであります。
① 研究開発及び導出入活動への重点投資
当社の成長には新薬の継続的な上市が不可欠である一方、新薬創出の難易度の高まりによる研究開発費用の増加や導出入活動の競争激化による投資金額の増大が見込まれます。このような状況の下、資源投入の集中と研究開発の効率化をめざし、資本効率や投資体力を勘案した資源投入、3領域(免疫系・神経系・感染症)を柱とした研究開発テーマへの集中投資、国内外の企業・研究機関との共同研究や戦略的提携等を積極的に進めることにより、開発パイプラインの充実をはかってまいります。また、現地企業への導出を中心とした海外展開や適応拡大にも積極的に取り組んでまいります。
② 営業基盤の強化
営業面では、皮膚科領域、整形外科領域等の当社が強みを持つ領域でのプレゼンスをより一層高め、各領域における製品価値の最大化をはかってまいります。また、製品特性と領域に沿った人員配置・組織づくりを進め、積極的にICT(情報通信技術)を活用し、医療現場のニーズの変化や制度の変更に柔軟に対応した付加価値の高い情報を提供してまいります。
③ 人材育成
人材は企業経営の根幹にかかわるものであり、社員一人ひとりの成長が当社の持続的成長につながると考えております。人を活かすマネジメントを推進することにより全社員の生産性を高め、次世代のリーダーやグローバルで成果を出せる人材の育成を行ってまいります。また、新たな働き方に対して柔軟に対応し、全社員が持てる力を十分に発揮できるよう、働く環境の整備を進めてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 法的規制、医療費抑制策等の行政動向に関するリスク
国内医薬品事業は、薬事行政のもと様々な規制を受けております。また、薬価基準の改定やジェネリック医薬品使用促進策等の医療費抑制策として様々な医療制度改革が進展しております。これらの関連法規の改正や医療制度、健康保険に関わる行政施策の動向によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(2) 新薬開発に関わるリスク
医薬品の研究開発には、多額の資金と十数年という長い開発期間を要しますが、それが新製品や新技術として結実する確率は決して高くありません。有効性と安全性を確認しながら慎重に開発を進めてまいりますが、当初期待した有効性が証明できない場合や安全性の面で問題が明らかとなった場合等には、途中で開発中止となる可能性があります。このような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(3) 副作用の発現によるリスク
医薬品は、十分な安全性試験と厳しい審査を経てから承認、販売されます。しかし、開発段階で行われる臨床試験は試験的投与であり、限られた数の患者さんが対象となります。そのため、市販後にも臨床試験を補完する「市販後調査」が行われますが、予測されなかった副作用が発現し、製品回収や販売中止を余儀なくされた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(4) 他社との競争に伴うリスク
製薬業界は競争の激しい業界であり、販売している医薬品と同様の効能・効果を持つ他社の競合品との販売競争や特許切れ後に発売される他社のジェネリック医薬品との販売競争は、当社製品の売上高を減少させる原因となり、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(5) 知的財産権に関するリスク
当社グループでは、知的財産権を適切に管理し、第三者からの侵害に注意を払っていますが、第三者から侵害を受けた場合には、その保護のために、訴訟を提起する場合もあります。その動向によっては当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの事業が第三者の知的財産権に抵触することのないように注意を払っていますが、万が一抵触した場合は、係争やこれによる損害賠償、当該事業の中止に繋がるなど、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(6) 訴訟のリスク
国内外で継続して事業活動を行うにあたり、医薬品の副作用、製造物責任、労務、環境、公正取引に関する問題等に関して訴訟を提起される場合があります。その場合、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(7) 製品供給が遅滞または休止するリスク
自社及び製品調達先における生産設備の不具合あるいは原材料の入手の遅れ等により、製品供給が遅滞または休止した場合や、品質上の問題の発生により製品回収等を行うことになった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(8) ITセキュリティ及び情報管理に関するリスク
当社グループは、各種情報システムを使用しているため、システム障害やコンピューターウイルス、サイバー攻撃等により、業務が阻害される可能性があります。また、個人情報を含め多くの機密情報を保有していますが、これらが社外に漏洩した場合、損害賠償、行政処分、社会的信用の失墜等により、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(9) 大規模な災害等に関するリスク
地震、台風等の自然災害や火災等の事故、パンデミック等が発生し、当社グループの事業所及び取引先等が大規模な被害を受け、事業活動が停滞した場合や災害等により損害を被った設備等の修復のために多額の費用が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(10) 新型コロナウイルス感染症拡大に伴うリスク
当社グループの取り組みに関わらず、新型コロナウイルス感染症による影響が当社グループの想定を超えて深刻化、長期化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症が収束した場合であっても、一定期間継続して影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当社グループの当連結会計年度の業績は、増収減益となりました。売上高は76,034百万円(対前年同期比1.4%増)となり、海外売上高の増加などにより増収となりました。
利益面では、販売費及び一般管理費の増加により、営業利益は17,064百万円(対前年同期比4.1%減)、経常利益は17,542百万円(対前年同期比3.7%減)となりました。販売費及び一般管理費が増加した主たる要因は、研究開発費が対前年同期比25.0%増加し、8,420百万円となったためであります。親会社株主に帰属する当期純利益はコーバス社より導入した全身性強皮症及び皮膚筋炎治療剤「レナバサム」に関する減損損失計上等による特別損失が発生したことにより、9,549百万円(対前年同期比28.8%減)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。前連結会計年度比較は基準の異なる算定方法に基づいた数値を用いております。詳細につきましては、連結財務諸表「注記事項(会計方針の変更)」に記載しております。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
薬業
医薬品・医療機器につきましては、爪白癬治療剤「クレナフィン」の売上は減少したものの、原発性腋窩多汗症治療剤「エクロック」、ジェネリック医薬品等の売上増加及びJubliaの売上が伸長したことによる海外売上高増加により増収となりました。
農業薬品につきましては増収となりました。
この結果、売上高は73,623百万円(対前年同期比1.4%増)、セグメント利益(営業利益)は15,710百万円(対前年同期比4.0%減)となりました。
なお、海外売上高は6,956百万円(対前年同期比41.7%増)となりました。
不動産事業
不動産事業の主たる収入は文京グリーンコート関連の賃貸料であります。売上高は2,410百万円(対前年同期比1.9%増)となりましたが、セグメント利益(営業利益)は、関西支店建て替えに伴う費用が発生したことから、1,353百万円(対前年同期比4.5%減)となりました。
<新型コロナウイルス感染症の拡大への当社グループの対応及び事業・業績への影響>
新型コロナウイルス感染症が未だ収束の見通しが立たない中、当社グループは、高品質な医薬品を安定的に供給することを社会的使命と考えております。取引先企業とも連携し、安定供給は維持されており、現時点においても当社医薬品の生産及び医療機関への供給体制に支障を来すような事態は生じておりません。今後も社員の感染予防・健康管理などを徹底し、感染拡大防止に配慮したうえで安定供給に向けて最善を尽くしてまいります。
当社グループの取り組みに関わらず、新型コロナウイルス感染症による影響が当社グループの想定を超えて深刻化、長期化した場合には、医薬品の供給体制や研究開発活動にも影響が生じたり、それらが繰り返される可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症が収束した場合であっても、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に対して、一定期間継続して影響を及ぼす可能性があります。
(実施している感染防止対策)
新型コロナウイルス対応本部を設置し、フレックスタイム制度や時差出勤、在宅勤務、発熱(37度以上が目安)等があった場合の出勤自粛等の感染症対策を講じております。また、医薬情報担当者(MR)等の情報提供活動に関しましては、デジタルツール等も活用し、医療関係者のニーズに合わせて実施しております。なお、医療機関に訪問する際は、十分な感染防止対策を講じております。
(業績への影響)
新型コロナウイルス感染症拡大に伴う医療機関への受診抑制などにより、当社グループの業績に影響が生じており、今後も継続して影響が生じることを想定しております。
(研究開発活動への影響)
患者さんや治験実施医療機関の安全性確保と負担軽減を最優先して治験を実施しております。一部の医療機関においては治験業務の遅延等が発生しておりますが、現時点でスケジュールに大きな遅延はありません。
以上のように、当社グループの事業活動・業績が新型コロナウイルス感染症拡大により影響を受けておりますが、今後もフレックスタイム制度や時差出勤、在宅勤務、ICT(情報通信技術)を活用したリモートワーク環境の整備・拡充を積極的に行うことによって、働き方改革を推進し、生産性の向上に取り組んでまいります。
当連結会計年度末の総資産は、前期末比1,849百万円増加し、165,181百万円となりました。これは主に、仕掛研究開発の増加によるものであります。
当連結会計年度末の負債合計は、前期末比219百万円減少し、26,855百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金の減少によるものであります。
正味運転資本(流動資産から流動負債を控除した金額)は、91,564百万円であり、流動比率は580.7%で財務の健全性は保たれております。
当連結会計年度末の純資産合計は、前期末比2,068百万円増加し、138,325百万円となりました。これは主に、利益剰余金の増加によるものであります。
自己資本比率は、83.4%となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ2,680百万円減少し、74,625百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比ベ1,043百万円収入が減少し、13,336百万円の収入となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ6,243百万円支出が増加し、7,888百万円の支出となりました。これは主に、連結子会社株式の取得による支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ623百万円支出が減少し、8,129百万円の支出となりました。これは主に、自己株式の取得額の減少によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、販売価格によっております。
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、仕入価格によっております。
当社グループは、主として販売計画に基づく生産計画によって生産を行っており、受注生産は行っておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりであります。
a. 経営成績の状況
中期的な重点課題として、パイプラインの充実やクレナフィン及び新製品の価値最大化などに取り組んでまいりました。
パイプラインの充実につきましては、資源投入の集中と研究開発の効率化により、最優先課題として活動しております。当連結会計年度においては、開発パイプラインの充実に向けて国内バイオベンチャー企業アーサム㈱を2021年12月に買収いたしました。同社は、形成外科領域における開発品「ART-001」(対象疾患:難治性脈管奇形)及び皮膚科領域の開発品「ART-648」(同:水疱性類天疱瘡)を有しており、本買収により開発パイプラインの強化に加え、アーサム㈱の有するドラッグリポジショニングに関わる技術と経験を当社が保有する既存化合物に適用する等のシナジー効果を実現し、当社の研究開発能力の更なる向上をはかってまいります。その他の開発パイプラインとしましては、希少疾病用医薬品に指定されております熱傷焼痂除去剤「KMW-1」の製造販売承認申請がなされるとともに、アタマジラミ症治療剤「イベルメクチン0.5%外用剤(KAR)」は、フェーズⅢ、掌蹠多汗症治療剤「BBI-4000」がフェーズⅠにそれぞれステージアップいたしました。また、がん免疫療法剤「KP-483」がフェーズⅠ、ニューマブ・セラピューティクス社と共同開発しておりますアトピー性皮膚炎を対象にした新規多重特異性抗体医薬候補物質「NM26-2198」がフェーズⅠ準備中に新たにステージアップいたしました。
クレナフィンの価値最大化につきましては、国内では競合環境が厳しくなる中、営業基盤の強化と効率化に取り組むとともに、海外展開を推進しております。当連結会計年度においては、アルミラル社と欧州における独占的ライセンス実施許諾及び供給契約を締結いたしました。
中期的な数値目標につきましては、2019年を起点とする3か年の中期経営計画において、2021年度に、連結売上高945億円、連結営業利益250億円、連結ROE12.0%以上としておりましたが、新型コロナウイルス感染症拡大による医療機関への受診抑制及び想定以上の薬価改定、競合環境の変化等により最終年度の2022年3月期は連結売上高760億円、連結営業利益170億円、連結ROEは7.0%という結果でありました。
2022年を起点とする10か年の経営計画においては、製薬業界を取り巻く厳しい状況や、それに伴う当社の長期的課題を分析し、当社の2031年ビジョンとそのビジョンの実現に向けた戦略を掲げております。
≪2031年ビジョン≫
1. 画期的新薬の迅速な創出・提供により健康寿命延伸に貢献し続ける企業
2. 皮膚科、整形外科領域を中心にグローバルに展開する創薬企業
≪ビジョンの実現に向けた戦略 ~3つのTransformation~≫
(1)研究開発Transformation
① 自社研究基盤の活用
② 新規診療領域への展開
③ 新たなモダリティへの挑戦
④ 研究開発への積極的投資
(2)海外展開Transformation
① 自社創薬と製品・開発品の導入による海外展開品の充実
② 海外自社展開(開発・販売)による製品の価値最大化
(3)経営基盤Transformation
① プロフェッショナルとして変革を追求し続ける人材の育成及び就業環境整備
② データとデジタル技術を活用して変革し続ける企業風土の醸成
③ 患者さんファーストのための製品価値最大化及び高品質な医薬品の安定的な生産体制の構築
また、2026年度経営数値目標として、連結売上高800億円、連結営業利益180億円、連結ROE8.0%以上、2031年度経営数値目標として、連結売上高1,000億円、連結営業利益285億円、連結ROE10.0%以上をめざしてまいります。
b.経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高は76,034百万円(対前年同期比1.4%増)、営業利益は17,064百万円(対前年同期比4.1%減)、経常利益は17,542百万円(対前年同期比3.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は9,549百万円(対前年同期比28.8%減)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。前連結会計年度比較は基準の異なる算定方法に基づいた数値を用いております。詳細につきましては、連結財務諸表「注記事項(会計方針の変更)」に記載しております。
主要科目の状況は、次のとおりであります。
(売上高)
薬業
医薬品・医療機器につきましては、爪白癬治療剤「クレナフィン」の売上は減少したものの、原発性腋窩多汗症治療剤「エクロック」、ジェネリック医薬品等の売上増加及びJubliaの売上が伸長したことによる海外売上高増加により増収となりました。
農業薬品につきましては増収となりました。
この結果、売上高は73,623百万円(対前年同期比1.4%増)となりました。
なお、海外売上高は6,956百万円(対前年同期比41.7%増)となりました。
不動産事業
不動産事業の主たる収入は文京グリーンコート関連の賃貸料であります。売上高は2,410百万円(対前年同期比1.9%増)となりました。
(売上原価)
当社グループの売上原価は、主に工場の製造原価、仕入商品原価、不動産事業の役務収益原価から構成されます。売上原価は34,458百万円であり、売上高に対する売上原価の比率は、前連結会計年度45.4%、当連結会計年度45.3%となりました。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費につきましては、主に人件費、研究開発費、広告宣伝費や販売促進費などの営業活動費用であり、当連結会計年度は24,511百万円と前連結会計年度比6.0%増加いたしました。主たる要因は、研究開発費が前連結会計年度比25.0%増加し、8,420百万円となったためであります。
c.財政状態の分析
財政状態の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物残高は、74,625百万円であり、事業運営上適切な水準であるとともに、経済環境の急激な変化にも一定程度耐えうる流動性を確保できていると考えております。また、継続している新型コロナウイルス感染症の影響は、この認識の修正を要する程度には至っておりません。
当社グループの主要な資金需要は、開発パイプライン拡充のための研究開発費用及び導入費用、当社製品製造のための原材料購入費用及び製造費用、商品仕入費用、研究・生産・営業効率を向上させるための設備投資費用であります。持続的な成長のための資金需要には、財務健全性を考慮したうえで積極的に対応していく方針であります。これら資金需要への対応は、営業キャッシュ・フローにより積み上げられた自己資金によることを基本としておりますが、追加的に資金が必要な場合は、金融機関からの借入等をはじめとした資金調達手段を実施できる体制も整えております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、連結財務諸表「注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
また、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う会計上の見積りにつきましては、連結財務諸表「注記事項(追加情報)」に記載しております。
(1) 技術導入
(注) 当社とコーバス社の全身性強皮症及び皮膚筋炎治療剤レナバサムに関する技術導入契約は継続しておりますが、開発状況等を勘案し重要性が乏しくなったため一覧より削除しております。
(2) 販売契約(導入)
(3) 販売契約(導出)
(4) コ・プロモーション契約
(5) 買収
当社は、2021年11月29日開催の取締役会において、アーサム㈱を買収することを決議し、2021年11月30日に、同社のすべての株主及び新株予約権者と株式譲渡契約書等を締結いたしました。
また、当該契約に基づき、2021年12月13日付で同社の株式53.3%を取得し、連結子会社といたしました。
なお、詳細につきましては、連結財務諸表「注記事項(企業結合等関係)」に記載しております。
(6) その他の重要な契約
当社グループは、研究員一人ひとりの自由な発想をもとに、大学や他企業との共同研究開発や技術導入などにより、世界に通用する真に有効で安全性の高い新薬を効率よく研究開発すべく、積極的な活動を展開しております。
また、当社の研究開発本部と連結子会社であるアーサム㈱とが密接な連携・協力関係のもとに、効果的かつ迅速的に開発を推進していきます。
当連結会計年度における当社グループの研究開発費の総額は
セグメントごとの研究開発活動を示すと、次のとおりであります。
(1) 薬業
医薬品の研究開発(基礎的研究及び臨床試験の実施等)を中心に、農業薬品の開発も行っております。
当連結会計年度の研究開発等の状況は次のとおりであります。
メディウンド社より導入した熱傷焼痂除去剤「KMW-1」は、製造販売承認申請中であります。
臨床開発段階のものといたしまして、アーバー社から導入したアタマジラミ症治療剤「イベルメクチン0.5%外用剤(KAR)」は、フェーズⅢ試験実施中であります。難治性脈管奇形治療剤「ART-001」及び水疱性類天疱瘡治療剤「ART-648」は、連結子会社のアーサム㈱がフェーズⅡ試験実施中であります。ブリッケル・バイオテック社から導入し、国内において2020年に腋窩多汗症治療剤として上市しました「BBI-4000」は適応拡大として掌蹠多汗症でフェーズⅠ段階であります。なお、米国においてはブリッケル・バイオテック社が腋窩多汗症のフェーズⅢ試験を終了しております。自社創薬のがん免疫療法剤「KP-483」及びニューマブ・セラピューティクス社と共同開発しているアトピー性皮膚炎治療剤「NM26-2198」はフェーズⅠ段階であります。
コーバス社より導入した全身性強皮症及び皮膚筋炎治療剤「レナバサム」は、コーバス社による各々のフェーズⅢ試験で主要評価項目を達成しなかったことをふまえ、今後の開発についてはコーバス社と協議のうえ、当社としての最終的な決定をいたします。自社創薬の「KP-607」は、爪白癬を対象としたフェーズⅡ試験の結果、爪白癬治療剤としての開発について、開発パイプラインから取り下げることといたしました。
当連結会計年度の研究開発費は
(2) 不動産事業
研究開発活動は行っておりません。