第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当第1四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

① 経営成績の状況

[売上収益、利益の状況]

○ 当第1四半期連結累計期間(2020年4月1日~2020年6月30日)の連結業績は、次のとおりとなりました。

(単位:億円、%)

 

 

 

2019年度

第1四半期

2020年度

第1四半期

前年同期比

売上収益

 

1,540

1,656

107.5

売上原価

 

429

383

89.3

売上総利益

 

1,111

1,273

114.6

販売費及び一般管理費

 

600

649

108.3

研究開発費

 

294

305

103.7

営業利益

 

258

321

124.4

税引前四半期利益

 

270

324

120.3

四半期利益

 

221

248

112.0

親会社の所有者に帰属する

四半期利益

 

217

244

112.7

 

○ 売上収益は、日本における薬価改定や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響などの減収要因があったものの、抗がん剤「レンビマ」が引き続き全リージョンで大きく伸長したことに加え、抗がん剤タゼメトスタット(一般名)の日本以外の地域における売上ロイヤルティ受領権の譲渡に係るマイルストン収入などにより、増収となりました。

○ 主なグローバルブランドの売上収益は、「レンビマ」が347億円(前年同期比140.2%)、抗がん剤「ハラヴェン」が94億円(同85.8%)、抗てんかん剤「フィコンパ」(英名「Fycompa」)が64億円(同107.6%)となりました。

○ 販売費及び一般管理費は、COVID-19の影響による販促費用の減少があった一方、「レンビマ」の売上拡大に伴うMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.(以下、米メルク社)への折半利益の支払い増加や、Biogen Inc.(米国、以下、バイオジェン社)と共同開発している抗アミロイドβ抗体アデュカヌマブ(一般名)の上市準備に係る投資を積極的に行ったことなどにより増加しました。

○ 研究開発費は、COVID-19の影響により治験サイトの一時的閉鎖等による一部臨床試験の進行の遅れが生じたものの、バイオジェン社と共同開発している抗アミロイドβプロトフィブリル抗体「BAN2401」におけるフェーズⅢ試験(Clarity AD)等への積極的な資源投入により増加しました。

○ 以上の結果、営業利益は前年同期比124.4%の大幅な増益となりました。上述の通り、COVID-19による売上収益へのマイナス影響がありましたが、業績予想に織り込んだ想定の範囲内であり、販売費及び一般管理費ならびに研究開発費の進行の遅れも生じたことから、営業利益への影響は軽微でした。

 

[セグメントの状況]

(各セグメントの売上収益は外部顧客に対するものです)

当社グループは、セグメントを医薬品事業とその他事業に区分しており、医薬品事業を構成する日本、アメリカス(北米)、中国、EMEA(欧州、中東、アフリカ、ロシア、オセアニア)、アジア・ラテンアメリカ(韓国、台湾、香港、インド、アセアン、中南米等)、一般用医薬品等(日本)の6つの事業セグメントを報告セグメントとしています。

 

<日本医薬品事業>

○ 売上収益は597億円(前年同期比91.4%)、セグメント利益は253億円(同91.3%)となりました。

○ 品目別売上収益については、ニューロロジー領域で、不眠症治療剤「ルネスタ」が36億円(前年同期比110.0%)、「フィコンパ」は12億円(同128.3%)と成長しました。ファイザー社と共同販促を展開している疼痛治療剤「リリカ」の共同販促収入は61億円(同85.5%)、アルツハイマー型認知症治療剤「アリセプト」は29億円(同69.2%)となりました。オンコロジー領域では、「レンビマ」が37億円(同107.4%)と引き続き拡大し、「ハラヴェン」は22億円(同86.5%)となりました。ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体「ヒュミラ」は125億円(同96.2%)となりました。

○ 2020年7月、不眠症治療剤「デエビゴ」(英名「Dayvigo」)を新発売しました。

○ 2020年7月、「フィコンパ」について、細粒剤を新発売しました。

 

<アメリカス医薬品事業>

○ 売上収益は342億円(前年同期比115.4%)、セグメント利益は172億円(同111.3%)となりました。

○ 品目別売上収益については、ニューロロジー領域で「Fycompa」が30億円(前年同期比102.2%)と増収を確保し、抗てんかん剤「Banzel」は51億円(同75.6%)となりました。オンコロジー領域では、「レンビマ」が215億円(同155.7%)と引き続き大幅な拡大を果たし、「ハラヴェン」は32億円(同86.9%)となりました。

○ 2020年6月、米国において、「Dayvigo」を新発売しました。

 

<中国医薬品事業>

○ 売上収益は238億円(前年同期比107.9%)、セグメント利益は138億円(同132.9%)となりました。

○ 品目別売上収益については、「レンビマ」が42億円(前年同期比118.8%)と順調に拡大し、末梢性神経障害治療剤「メチコバール」は69億円(同107.7%)と引き続き成長を示しました。肝臓疾患用剤・アレルギー用薬「強力ネオミノファーゲンシー/グリチロン錠」は24億円(同99.6%)、「アリセプト」は22億円(同79.2%)となりました。

 

<EMEA医薬品事業>

○ 売上収益は134億円(前年同期比98.0%)、セグメント利益は66億円(同98.3%)となりました。

○ 品目別売上収益については、ニューロロジー領域で、「Fycompa」は17億円(前年同期比99.4%)、抗てんかん剤「Zebinix」は16億円(同103.2%)、抗てんかん剤「ゾネグラン」は8億円(同78.5%)となりました。オンコロジー領域では、「レンビマ/Kisplyx」が39億円(同131.2%)と大幅に拡大し、「ハラヴェン」は32億円(同80.6%)となりました。

 

<アジア・ラテンアメリカ医薬品事業>

○ 売上収益は111億円(前年同期比88.1%)、セグメント利益は43億円(同91.9%)となりました。

○ 品目別売上収益については、「レンビマ」が14億円(前年同期比138.6%)と大きく成長した一方、「アリセプト」は26億円(同90.5%)、「ヒュミラ」は20億円(同65.6%)となりました。

 

一般用医薬品等事業

○ 売上収益は61億円(前年同期比94.7%)、セグメント利益は14億円(同74.8%)となりました。

○ チョコラBBグループの売上収益は、31億円(前年同期比72.1%)となりました。

○ 2020年5月、「新セルベール整胃プレミアム」を新発売しました。

 

② 財政状態の状況

○ 資産合計は、1兆403億円(前期末より218億円減)となりました。売上収益の増加に伴い営業債権及びその他の債権が増加した一方で、営業債務及びその他の債務の減少などにより現金及び現金同等物が減少しました。

○ 負債合計は、3,370億円(前期末より225億円減)となりました。営業債務及びその他の債務が減少しました。

○ 資本合計は、前期末と同水準の7,033億円(前期末より7億円増)となりました。

○ 以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は65.2%(前期末より1.4ポイント増)となりました。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

○ 営業活動によるキャッシュ・フローは、100億円の収入(前年同期は41億円の支出)となりました。主に税引前四半期利益の増加によるものです。

○ 投資活動によるキャッシュ・フローは、125億円の支出(前年同期より76億円の支出減)となりました。主に資本的支出等(126億円、前年同期より78億円の支出減)によるものです。

○ 財務活動によるキャッシュ・フローは、254億円の支出(前年同期より88億円の支出減)となりました。主に配当金の支払いによるものです。

○ 以上の結果、現金及び現金同等物の残高は2,263億円(前期末より279億円減)、営業活動によるキャッシュ・フローから資本的支出等を差し引いたフリー・キャッシュ・フローは26億円のマイナスとなりました。

 

(2) 経営方針・経営戦略等

当第1四半期連結累計期間において、当社グループの経営方針・経営戦略等について、前事業年度の有価証券報告書提出日からの重要な変更はありません。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき課題について、前事業年度の有価証券報告書提出日からの重要な変更はありません。

 

(4) 重要な会計上の見積り

当第1四半期連結累計期間において、当社グループの重要な会計上の見積りについて、前連結会計年度からの重要な変更はありません。

なお、「第2 事業の状況 2 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 財政状態及び経営成績の状況 ① 経営成績の状況」に記載のとおり、当第1四半期連結累計期間におけるCOVID-19の影響は前連結会計年度に使用した仮定の範囲内であり、重要な会計上の見積りへの影響はありません。

 

(5) 研究開発活動

当第1四半期連結累計期間における研究開発費総額は、305億30百万円(前年同期比3.7%増)、売上収益比率は18.4%(前年同期より0.7ポイント減)です。

なお、当社グループは、研究開発費をグローバルに管理しているため、セグメントに配分していません。

 

[開発品の状況]

○ 抗がん剤「レンビマ」(欧州における腎細胞がんに係る製品名:「Kisplyx」、一般名:レンバチニブ、米メルク社との共同開発)

・甲状腺がんに係る適応において、日本、米国、欧州、アジア等の65カ国以上で承認を取得しています。中国において、適応追加の申請中です。

・腎細胞がん(セカンドライン)を対象とした、エベロリムスとの併用療法に係る適応において、米国、欧州等の55カ国以上で承認を取得しています。

・肝細胞がん(ファーストライン)に係る適応において、日本、米国、欧州、中国、アジア等の65カ国以上で承認を取得しています。

・米メルク社の抗PD-1抗体ペムブロリズマブとの併用療法について、全身療法後に増悪した、根治的手術または放射線療法に不適応な高頻度マイクロサテライト不安定性を有さない、またはミスマッチ修復機構欠損を有さない進行性子宮内膜がんの適応について、米国等の5カ国以上で承認を取得しています。

・ペムブロリズマブとの併用療法について、進行性または転移性腎細胞がんの適応および局所治療に適さない切除不能な進行性肝細胞がん(ファーストライン)の適応に対して、米国においてブレイクスルーセラピーの指定を受けています。

・2020年7月、米国で申請中であった、切除不能肝細胞がん一次療法を適応としたペムブロリズマブとの併用療法における116試験(フェーズⅠb試験)結果に基づく迅速承認申請について、米国食品医薬品局(FDA)から審査完了通知を受領しました。本併用療法の有効性および臨床上のベネフィットに関する十分なエビデンスを示すための臨床試験の推進を含め、今後の適切な対応についてFDAと協議します。なお、本併用療法について、進行性肝細胞がん(ファーストライン)を対象としたフェーズⅢ試験(LEAP-002試験)が進行中であり、患者様登録も完了しています。

・2020年7月、日本において、切除不能な胸腺がんに係る適応追加(単剤療法)を申請しました。同年6月に、当該適応について希少疾病用医薬品の指定を受けています。

・エベロリムスあるいはペムブロリズマブとの2つの併用療法について、腎細胞がん(ファーストライン)を対象としたフェーズⅢ試験が日本、米国、欧州において進行中です。

・ペムブロリズマブとの併用療法について、子宮内膜がん(セカンドライン)、子宮内膜がん(ファーストライン)、肝細胞がん(ファーストライン)、メラノーマ(ファーストライン)、非扁平上皮非小細胞肺がん(ファーストライン)、PD-L1陽性の非小細胞肺がん(ファーストライン)、非小細胞肺がん(セカンドライン)、頭頸部がん(ファーストライン)、膀胱がん(ファーストライン)、肝細胞がん(ファーストライン、肝動脈化学塞栓療法との併用)を対象としたフェーズⅢ試験を米国、欧州等において進行中です。

・メラノーマ(セカンドライン)を対象としたフェーズⅡ試験、複数のがん腫を対象としたバスケット試験(フェーズⅡ試験)を米国、欧州等において進行中です。

・頭頸部がん(セカンドライン)を対象としたフェーズⅡ試験を米国、欧州で開始しました。

○ 抗がん剤「ハラヴェン」(一般名:エリブリン)

・乳がんに係る適応において、日本、米国、欧州、中国、アジア等の75カ国以上で承認を取得しています。

・脂肪肉腫(日本では悪性軟部腫瘍)に係る適応において、日本、米国、欧州、アジア等の65カ国以上で承認を取得しています。

・トリプルネガティブ乳がんを対象としたペムブロリズマブとの併用療法に関するフェーズⅠ/Ⅱ試験が米国において進行中です。

・「ハラヴェン」のリポソーム製剤について、小野薬品工業株式会社(大阪府)の抗PD-1抗体ニボルマブとの併用療法に関するフェーズⅠ/Ⅱ試験が日本において進行中です。

・米国でフェーズⅠ/Ⅱ試験段階にあったHER2陰性乳がんを対象としたHalozyme Therapeutics Inc.(米国)が開発中のPEG化遺伝子組換えヒト型ヒアルロン酸分解酵素PEGPH20との併用療法について、開発を終了しました。

 

○ 抗てんかん剤「フィコンパ」(英名「Fycompa」、一般名:ペランパネル)

・12歳以上の部分てんかん併用療法に係る適応において、日本、米国、欧州、中国、アジア等の65カ国以上で承認を取得しています。日本と米国においては、4歳以上の部分てんかんに対する単剤および併用療法の承認を取得しています。

・12歳以上の全般てんかんの強直間代発作に対する併用療法に係る適応において、日本、米国、欧州、アジア等の65カ国以上で承認を取得しています。

・小児適応について、欧州において追加申請中です。

・レノックス・ガストー症候群を対象としたフェーズⅢ試験が日本、米国、欧州において進行中です。

○ オレキシン受容体拮抗剤「デエビゴ」(英名「Dayvigo」、一般名:レンボレキサント)

・米国において、入眠困難、睡眠維持困難のいずれかまたはその両方を伴う成人の不眠症の適応で承認を取得しています。

・日本において、不眠症の適応で承認を取得しています。

・カナダ、オーストラリア、香港において、不眠症に係る適応で申請中です。

・アルツハイマー病/認知症に伴う不規則睡眠覚醒リズム障害を対象としたフェーズⅡ試験が日本と米国において進行中です。

 

○ 抗アミロイドβ抗体アデュカヌマブ(一般名、バイオジェン社との共同開発)

・2020年7月、米国においてBLA(生物製剤ライセンス申請)の提出が完了しました。欧州においては、当局との正式なミーティングを踏まえ、現在申請準備中です。日本においては、当局と申請に向けた協議を進めています。

○ 抗アミロイドβプロトフィブリル抗体「BAN2401」(バイオジェン社との共同開発)

・アルツハイマー病による軽度認知障害および軽度アルツハイマー病(総称して早期アルツハイマー病)を対象とした1本のフェーズⅢ試験(Clarity AD)が日本、米国、欧州、中国において進行中です。

・Alzheimer's Clinical Trials Consortium(ACTC)によって本剤が評価対象薬剤として選択されているプレクリニカルアルツハイマー病を対象とするフェーズⅢ試験(AHEAD 3-45)を開始しました。

 

○ 2020年5月、日本において、「ヒュミラ」について、化膿性汗腺炎に関する用法・用量に関する一部変更の承認を取得しました。

○ 2020年6月、韓国において、「エクフィナ」について、パーキンソン病に係る適応で新薬承認を取得しました。

 

○ 2020年6月、抗がん剤タゼメトスタット(一般名、開発コード「E7438」)について、日本において、EZH2遺伝子変異陽性の濾胞性リンパ腫に係る適応で新薬承認申請しました。

 

(6) 従業員の状況

当第1四半期連結累計期間において、当社および連結子会社の従業員数に著しい変動はありません。

 

(7) 生産、受注及び販売の実績

当第1四半期連結累計期間において、中国医薬品事業の生産実績が著しく増加しました。これは主に、抗がん剤「レンビマ」の販売増加などに伴うものです。

なお、販売実績については、「第2 事業の状況 2 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 財政状態及び経営成績の状況 ① 経営成績の状況」に記載しています。

 

(8) 主要な設備

当第1四半期連結累計期間において、主要な設備に著しい変動はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

  当第1四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。

  なお、2020年7月27日、当社が株式会社ミノファーゲン製薬(東京都)と2016年2月29日に締結している肝臓疾患用剤・アレルギー用薬「強力ネオミノファーゲンシー」および「グリチロン錠」に係る契約に関して、中国を含む一部地域における契約を2033年3月31日まで延長することに合意しました。