第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当期末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)企業理念

当社グループは、患者様とそのご家族の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献することを企業理念としています。この理念のもとですべての役員および従業員が一丸となり、世界のヘルスケアの多様なニーズを充足し、いかなる医療システム下においても存在意義のあるヒューマン・ヘルスケア(hhc)企業となることをめざしています。当社グループの使命は、患者様満足の増大であり、その結果として売上や利益がもたらされ、この使命と結果の順序を重要と考えています。

当社グループは、このhhc理念の実現に向けて、主要なステークホルダーズである患者様と生活者の皆様、株主の皆様および社員との信頼関係の構築につとめるとともに、コンプライアンス(法令と倫理の遵守)を日々実践し、企業価値の向上に取り組んでいます。本企業理念は、定款に定め、株主の皆様と共有化をはかっています。

当社グループは、hhc理念に基づき、「健康憂慮の解消」と「医療較差の是正」という社会善について、互いの強みを活かすパートナーシップを用いて効率的に実現することをめざします。

 

(2)経営環境、経営方針・経営戦略、ならびに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等

超高齢化が先進国だけでなくグローバルに進展する中で、AIなどのデジタル、ネットワーク技術等の革新のもと、製薬を含むヘルスケア産業においては、従来の一貫したサプライチェーンモデルからスタートアップ企業をはじめとする様々なプレイヤーによる水平分業へとその産業構造が大きく変化しています。このような変化に対応すべく、当社グループは、2016年度にスタートした中期経営計画「EWAY Current」に続く、新たな中期経営計画として「EWAY Future & Beyond」を2021年4月よりスタートしました。

 

① 中期経営計画「EWAY Future & Beyond」

「EWAY Future & Beyond」では、2021年度からの5年間を「EWAY Future」、2026年度以降を「EWAY Beyond」とし、当社が貢献すべき主役を「患者様とそのご家族」から「患者様と生活者の皆様」に拡大します。患者様と生活者の皆様の「生ききるを支える」という想いとともに、当社グループが最も強みを持つニューロロジー(神経)領域とオンコロジー(がん)領域に立脚し、サイエンスに基づくソリューション創出を推進します。これらの活動により人々の健康憂慮の解消と医療較差の是正という社会善を効率的に実現します。

健康な状態から最期の時まで、その人らしく「生ききるを支える」 hhceco(hhc理念+エコシステム)企業へと進化することをめざし、2022年5月に、hhceco宣言を改めて発出しました。

hhcecoを実現する上で、中核となるのがエーザイユニバーサルプラットフォーム(EUP)です。EUPはR&D&I(リサーチ&ディベロップメント&インキュベーション)とSP&D(ソリューションパッケージ&デリバリー)の二つのレイヤーにより成り立っており、R&D&IではアカデミアやベンチャーとのコラボレーションであるC&I(コラボレーション&インキュベーション)を内含して新規治療薬を創出すると共に、クリニカルデータやバイオマーカー情報などのデータをもたらすデータジェネレーションの役割を果たします。このデータに基づいて創られる様々なソリューションは、人々が抱える憂慮に応じてパッケージされ、当社固有のアプリ、営業活動や他産業の有するネットワークを通じて、当社が貢献する人々にデリバリーされます。EUPの生み出すソリューションは、他産業にも大きな相乗効果をもたらし、EUPを活用することで、他産業の提供する商品の高度化やサービスの質の向上が可能となり、各々が貢献する人々に新たな価値を提供していきます。

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② 中期経営計画「EWAY Future & Beyond」の主な進捗と取り組み

「EWAY Future & Beyond」における研究開発では、バイオマーカーの進化により、症状や腫瘍ベースの診断から、病態生理学に基づく疾患連続体(Disease Continuum)の解析へ転換し、プレシジョンメディシン(精密医療)の提供をめざします。具体的にはアルツハイマー病(AD)では、病態生理学バイオマーカーを定量的かつ継時的に測定する継続的ブレインヘルスパネル診断を実現させ、一人ひとりが疾患連続体のどのステージにあるか精密に診断し、薬剤を決定する最適な治療の実現をめざします。一方で、オンコロジー領域では、継続的な血中の循環腫瘍DNA解析と次世代シーケンス解析によりがんの進化を深く理解し、ゲノム情報に基づく早期診断、患者様ごとに最適な治療法の選択が可能となる個別化医療の実現をめざしています。

 

(a) ニューロロジー領域

ニューロロジー領域では、AD Continuumをターゲットとした新薬開発が進行中です。抗アミロイドβ抗体アデュカヌマブについては、2022年3月のBiogen Inc.(米国、以下 バイオジェン社)とのコラボレーション契約の変更に伴い、2023年1月1日以降、当社はグローバルな損益分配モデルに代わり、売上に応じて段階的なロイヤルティを受領します。抗アミロイドβプロトフィブリル抗体レカネマブについては、これまでと同様に、当社が開発、薬事申請をグローバルに主導し、当社の最終意思決定権のもとでバイオジェン社と共同開発を行います。新しい提携スキームのもと、より効果的に両社のリソースを集中させ、両剤の価値最大化をめざします。

レカネマブについては、米国において、201試験(フェーズⅡ試験)の結果に基づき、2021年9月に早期AD治療薬として、BLA(生物製剤ライセンス申請)の段階的申請を開始し、2022年5月に完了しました。2022年中の迅速承認取得をめざします。進行中の早期ADを対象としたClarity AD(フェーズⅢ試験)は2022年秋の主要評価項目の結果取得を見込んでおり、米国においては、Clarity AD試験を検証試験の位置づけとして2022年度中のフル承認申請を予定しています。日本においては、医薬品事前評価相談制度に基づき、2022年3月に独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に申請データの提出を開始し、Clarity AD試験の結果に基づき、2022年度中の製造販売承認申請をめざします。また、プレクリニカル(無症状期)ADを対象とするAHEAD 3-45試験(フェーズⅢ試験)も進行中です。加えて、より簡便なAD診断に向けた、血液によるアミロイドβテストについてもシスメックス株式会社(兵庫県)との共同開発を進めています。

AD Continuumに基づく他のプロジェクトの開発も進行中です。優性遺伝アルツハイマーネットワーク試験ユニット(DIAN-TU)が実施し、抗MTBR(Microtubule binding region: 微小管結合領域)タウ抗体の効果を評価するTau NexGen試験(フェーズⅡ/Ⅲ試験)が米国において進行中です。「E2814」は、優性遺伝ADに対する臨床試験において抗タウ薬として最初の評価対象薬となっており、同試験の基礎療法となる抗アミロイド療法にはレカネマブが選定されています。孤発性ADを対象としたフェーズⅡ試験についても計画中です。また、ダメージを受けたコリン作動性神経を機能性神経に回復し、コリン作動性神経の変性を予防することが期待される選択的Tropomyosin receptor kinase A(TrkA)結合シナプス再生剤「E2511」については、フェーズⅠ試験が進行中です。日本においては、慶應義塾大学と共同で設立した産医連携拠点「エーザイ・慶應義塾大学 認知症イノベーションラボ(EKID)」における、脳が本来備えている防御機構、堅牢性の維持・強化に関わる創薬ターゲットの探索研究も行っています。

 

(b) オンコロジー領域

抗がん剤「レンビマ」については、グローバルで甲状腺がん、肝細胞がん、胸腺がん、腎細胞がん、子宮内膜がんについて承認を取得しています。このうち、腎細胞がんまたは子宮内膜がんに係る適応で、Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA(以下 米メルク社)の抗PD-1抗体ペムブロリズマブとの併用療法について、日本、米国、欧州、アジア等で承認を取得するなど、「レンビマ」の価値最大化に向けた取り組みが順調に進展しています。現在、ペムブロリズマブとの併用療法により、10種類以上のがんで適応追加をめざして臨床試験(LEAP試験)が進行中です。本併用療法抵抗性の克服をめざす薬剤として、新規線維芽細胞増殖因子(FGF)受容体選択的チロシンキナーゼ阻害剤「E7090」の開発が進行中です。さらに、発がんに関わるWntシグナル伝達を阻害することが期待されるCBP/β-カテニン阻害剤「E7386」について、臨床におけるPOC(Proof of Concept:創薬概念の検証)を達成し、ペムブロリズマブとの併用療法によるフェーズⅠ/Ⅱ試験も進行中です。がん免疫療法への低感受性に対する治療薬として、承認薬剤であるエリブリンをペイロードとする次世代の抗体薬物複合体(ADC)「MORAb-202」について、2021年6月にBristol Myers Squibb(米国、以下 BMS社)と共同開発・共同商業化に関するグローバルな独占的戦略的提携契約を締結し、共同開発を進めています。エストロゲン受容体阻害剤「H3B-6545」についても開発が進行中です。さらには、タンパク質分解誘導剤、ネオアンチゲン誘導剤など外部技術と融合した共同研究・開発による新世代のパイプライン構築を進めています。

 

(c) エーザイユニバーサルプラットフォーム(EUP)

日常や医療領域で生活する人々の「生ききるを支える」ために、Disease Continuumに基づく様々なソリューションの創出を進めています。日常領域(発症前)では、健康状態の維持・支援、疾患啓発と予防、さらには検査・病院検索、医療領域(疾患の発症時、治療期、予後)では、正確な診断、治療(薬物・非薬物)の効果確認、QOL(quality of life)の向上に寄与する施策などのソリューションが想定されています。具体的には、通信産業や食品産業における認知症関連サービスのコンテンツ拡張、保険産業における保険商品の開発、金融産業におけるジェロントロジー問題解決に向けた情報提供・注意喚起、自動車産業におけるドライブレコーダーをベースとした軽度認知障害のリスク予測・注意喚起、地方自治体による疾病予防事業の推進などを進めています。

 

③ 目標とする経営指標

当社グループは、2021年度からスタートした中期経営計画「EWAY Future & Beyond」においては、売上収益・利益に関しては、社会環境や開発品の承認状況に大きく左右されることから中長期での数値目標は設定していません。その代わりに、年次事業計画を精緻に策定しています。2022年度の業績予想は以下のとおりです。

 

 

2022年度業績予想

売上収益

7,000億円

営業利益

550億円

親会社の所有者に帰属する当期利益

570億円

ROE*1

7.5%

*1 ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)

= 親会社の所有者に帰属する当期利益÷親会社の所有者に帰属する持分

 

上記に加え、中長期の経営指標として平均ROEを掲げています。2021年度から2024年度は平均10%、2025年度は15%以上を目安としています。

 

④ 新型コロナウイルス感染症の影響

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)については、2021年度の当社グループ連結業績への重大な影響はありません。将来の財政状態・経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性については、「2 事業等のリスク(4)その他 新型コロナウイルス感染症」に記載しています。

 

(3)資本政策の基本的な方針

当社グループの資本政策は、財務の健全性を担保した上で、株主価値向上に資する「中長期的なROE経営」、「持続的・安定的な株主還元」、「成長のための投資採択基準」を軸に展開しています。

 

① 中長期的なROE経営

当社グループは、ROEを持続的な株主価値の創造に関わる重要な指標と捉えています。「中長期的なROE経営」では、売上収益利益率(マージン)、財務レバレッジ、総資産回転率(ターンオーバー)を常に改善し、中長期的に正のエクイティ・スプレッド*1を創出すべく、資本コストを上回るROEをめざしていきます。2025年度にはROE15%以上、エクイティ・スプレッド7%レベルの達成を意識しています。

*1 エクイティ・スプレッド=ROE-株主資本コスト

 

② 持続的・安定的な株主還元

当社グループは、健全なバランスシートのもと、連結業績、DOE*2およびフリー・キャッシュ・フローを総合的に勘案し、シグナリング効果も考慮して、株主の皆様への還元を継続的・安定的に実施します。DOEは、連結純資産に対する配当の比率を示すことから、バランスシートマネジメント、ひいては資本政策を反映する指標の一つとして位置づけています。自己株式の取得については、市場環境、資本効率等に鑑み適宜実施する可能性があります。なお、健全なバランスシートの尺度として、親会社所有者帰属持分比率、負債比率(Net DER)*3を指標に採用しています。

*2 DOE(親会社所有者帰属持分配当率)= 配当金総額÷親会社の所有者に帰属する持分

*3 負債比率(Net DER)= (有利子負債(借入金)-現金及び現金同等物-3カ月超預金等

-親会社保有投資有価証券等)÷親会社の所有者に帰属する持分

 

③ 成長のための投資採択基準

当社グループは、成長投資による価値創造を担保するために、戦略投資に対する投資採択基準を採用し、リスク調整後ハードルレートを用いた正味現在価値と内部収益率スプレッドにハードルを設定し、投資を厳選しています。

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(4)ESGをはじめとする非財務価値向上と情報開示

企業の価値は、財務価値に、ESG(環境、社会、ガバナンス)をはじめとする非財務価値を加味したものと考えています。当社グループは、hhc理念を根幹として事業を展開する中、地球環境の負荷低減(環境)、医薬品アクセス向上、人権の尊重、社員の人財育成(社会)、経営の公平性と透明性の確保(ガバナンス)等、ESGへの取り組みを強化してきました。また、これらの取り組みは、国連サミットで採択された国際的な目標であるSDGs(持続可能な開発目標:Sustainable Development Goals)と一貫したものと位置づけています。

ESGの中でも特に、グローバルな医薬品アクセスの課題解決への取り組みを、我々の責務であるとともに、将来への長期的な投資であると考え、政府や国際機関、非営利民間団体等との官民パートナーシップのもと、積極的に推進しています。当社グループは、開発途上国および新興国に蔓延する顧みられない熱帯病(NTDs)の一つであるリンパ系フィラリア症を制圧するため、その治療薬である「DEC(ジエチルカルバマジン)錠」を当社グループのインド・バイザッグ工場で製造し、本剤を必要とするすべての蔓延国において制圧が達成されるまで、世界保健機関(WHO)に「プライス・ゼロ(無償)」で提供しています。2022年3月末までに29カ国に20.5億錠を供給しました。さらに、日本発のグローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)、NTDsに対する新薬開発の経験豊富なNPO/NGOとのパートナーシップのもと、マイセトーマ(菌腫)をはじめとするNTDs、結核、マラリアに対する新薬開発やエビデンスの創出による制圧を推進するほか、認知症、がんといった非感染性疾患に対する啓発・早期発見支援や患者様が購入しやすい価格設定(アフォーダブルプライシング)、所得別段階的価格設定(ティアードプライシング)による製品提供など、各国で様々な医薬品アクセス改善に向けた活動に取り組んでいます。

環境については、2030年度に向けた科学的根拠に基づく温室効果ガス削減目標を設定し、Science Based Targets(SBT)イニシアチブから承認を取得しました。また、再生可能エネルギーの導入率を計画的に高めるなど、当社グループ全体で、低炭素社会の形成に向け積極的に取り組んでいます。また、国内外での動向を鑑み、2030年にグループ全体で使用する電力をすべて再生可能エネルギーに切り替える中期目標と、2040年に温室効果ガスの排出量と吸収量をプラスマイナスゼロの状態にするカーボンニュートラルの達成をめざす長期目標を設定し、達成に向けたロードマップを作成しました。さらに、気候変動が企業に与える影響についてリスクと機会を分析し情報開示を求める国際的なフレームワークTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosure)に沿った分析を行い、気候戦略の強靭性を高めるべく検討を重ねています。

人権については、ガイドラインとして国際的に認知されている国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に則った人権方針の作成、人権デューデリジェンスの仕組みの構築など、さらなる非財務価値の向上に取り組んでいます。なお、当社グループのESGをはじめとする非財務価値に関する情報は、IIRC(国際統合報告評議会)のフレームワークに基づき、価値創造レポート(旧統合報告書)や環境報告などで開示しています。

(https://www.eisai.co.jp/ir/library/annual/index.html)

当社は、常に最良のコーポレートガバナンスを追求し、その充実に継続的に取り組んでいます。当社のコーポレートガバナンスに関する取り組みについては、「第4 提出会社の状況、4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載しているほか、「コーポレートガバナンス報告書」をはじめとして、当社のホームページに掲載しています。

(https://www.eisai.co.jp/company/governance/index.html)

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクや不確実性は、次のとおりです。ただし、これらは当社グループに係るすべてのリスクや不確実性を網羅したものではなく、現時点において予見できない、あるいは重要とみなされていない他の要因の影響を将来的に受ける可能性があります。

当社グループを取り巻くリスクや不確実性に関して、当社グループでは執行役会などの意思決定機関において定期的に議論し、これらのリスクや不確実性を機会として活かす、あるいは低減するための対応を検討しています。その検討結果は取締役会へ報告・議論されており、以下に記載したリスクや不確実性には執行側だけでなく取締役会における議論も反映しています。

なお、これらは当連結会計年度末現在において判断したものであり、文中の将来に関する事項はその発生あるいは達成を保証するものではありません。

 

(1)企業理念

企業理念に

もとづく経営

当社は、患者様とそのご家族の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献することを企業理念として、定款にも規定しステークホルダーズと共有しており、さらには生活者の皆様に視点を広げ、これらを「Purpose」としてとらえています。その実現の結果として得られる患者様と生活者の皆様のベネフィット向上が、長期的に当社グループの業績および企業価値の向上につながると考えています。2021年4月からスタートした中期経営計画「EWAY Future & Beyond」の戦略意思ならびに2022年5月に発出したhhceco(hhc理念+エコシステム)宣言におけるビジネスモデルについても企業理念であるhhcに依拠したものであり、人々の健康憂慮の解消と医療較差の是正という社会善を効率的に実現する企業として患者様の真のニーズを理解することによって生まれる強い動機付けが当社グループのイノベーションの源泉となっています。また、患者様価値を創出するための新薬の研究・開発の更なる推進、高品質な製品の生産・販売、医薬品の安全な使用を実現するための情報の管理・提供等を統制のもとで推進する重要性を「インテグリティ」としてとらえています。リンパ系フィラリア症の治療薬の無償提供をはじめとする医薬品アクセス向上や、認知症と共生する「まちづくり」への取り組みなど、ESGへの取り組みもこの理念を根幹として展開しています。

従って、企業理念の当社グループへの浸透の不徹底と理念実現に向けた経営の実践の停滞など、患者様と生活者の皆様がベネフィット向上を十分に得るうえでの阻害要因が生じた場合には、当社グループの業績のみならず非財務価値を含めた企業価値向上に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)事業戦略

次世代AD治療剤の価値最大化

当社グループは、中期経営計画「EWAY Future & Beyond」においても、次世代アルツハイマー病(AD)治療剤の価値最大化を最重要戦略の一つと定めています。その過程において、新たに疾患を認識してから診断、治療、その後の生活に至るまでに患者様がたどる道のり(ペイシェント・ジャーニー)に則った疾患啓発と浸透、認知機能検査・PET(陽電子放射断層診断)・CSF(脳脊髄液)等による診断法の確立、安全性確保のためのフォローアップ体制の整備を通じたプラットフォーム(エーザイユニバーサルプラットフォーム:EUP)の構築を目指しています。これらが遂行できない場合、患者様に次世代AD治療剤を十分にお届けできない可能性があり、将来に期待していた収益が得られない可能性があります。

また、様々な外部要因により患者様の次世代AD治療剤へのアクセスが制限される場合、将来に期待していた収益が得られない可能性があります。例えば、バイオジェン社と提携しているAD治療剤「Aduhelm」(一般名:アデュカヌマブ)については、2022年4月に米国メディケア・メディケイドセンターにより、米国における保険の適用範囲を限られた臨床試験の参加者とする決定がなされました。当社グループが開発を主導する抗アミロイドβプロトフィブリル抗体レカネマブ(一般名)についても、質の高いエビデンスをもってNational Coverage Determinationの要件を満たせない場合、同様に保険の適用範囲が制限され患者様のアクセスが制限される可能性があります。

 

 

レンビマの

価値最大化

当社グループと米メルク社は、抗がん剤「レンビマ」と抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(一般名)の併用療法に関して10種類以上のがんにおいて20を超える臨床試験を実施中です。しかしながら、競合品の予期せぬ試験結果や承認タイミングによってポジショニングが変化し、当初想定した時期に「レンビマ」が追加の適応症に関する承認を取得できないことで製品の競争力が減弱し、「レンビマ」の売上計画を達成できない可能性があります。「レンビマ」のパートナーシップモデルによって得られる収益には開発マイルストン、販売マイルストンなどが設定されており、販売目標や承認が未達成となることで実現されない場合、将来に期待していた収益が得られない可能性があります。

パートナーシップモデル

当社グループは、ビジネスの効率性・生産性を向上させるうえで、パートナーシップは有効な手段と考えており、最先端のサイエンスやテクノロジーの活用による新薬開発の加速を目的としたパートナーシップや、各リージョンでのリソースの効率的活用と事業価値最大化、協業先との新しいソリューションの共同開発を目的としたパートナーシップを活用しています。

パートナーシップを活用した医薬品および「日常と医療の領域で生活する人々」を対象とした新しいソリューションの研究開発、生産、販売活動において、パートナーとの意見の相違が生じた場合には、上記活動に遅延や非効率が生じるほか、予測外のパートナー費用負担が発生することで計画された利益が想定外に減少するなど、事業価値最大化に支障をきたす可能性があります。また、契約の解釈の相違などが生じた場合には、パートナーとの間で訴訟や仲裁に発展し、最終的にはパートナーシップの解消をもたらす可能性もあります。この場合、将来に期待されていた新薬の創出や売上収益が実現できないなど、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

デジタルトランスフォーメーション

当社グループは、中期経営計画「EWAY Future & Beyond」において、全ステークホルダーの想いをつなげ、解決スピードを加速させ、データに基づく強固な経営を効率的に実行するため、あらゆる活動でデジタルトランスフォーメーションに取り組むことを大きなテーマとして掲げています。第4次産業革命が着実に進行する中、新技術の活用により創薬のスピードと成功確率を飛躍的に向上させるとともに、「日常と医療の領域で生活する人々」に薬剤を含めたソリューションをお届けするまでの全局面におけるパラダイムシフトの実現を企図し、他産業と得意技を持ち寄り協業するエコシステム(hhceco)の構築によりデジタルトランスフォーメーションを実現させることが重要課題です。当社ではチーフエコシステムオフィサーを中心に、全社デジタル戦略を加速します。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がもたらした経営環境の変化を見据えれば、デジタルトランスフォーメーションの必要性は明白であり、その実現に向けた取り組みの停滞や、実現するうえでの阻害要因が生じた場合には、当社グループの業績のみならず非財務価値を含めた企業価値向上に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)医薬品の研究開発、生産および販売活動

新薬開発

当社グループは、次世代AD治療剤候補をはじめとして、多くの新薬開発を行っています。次世代AD治療剤候補においては、当社グループがレカネマブについてフェーズⅢ試験を主導して実施しています。また、当社グループの提携相手であるバイオジェン社が「Aduhelm」について、フェーズⅢ試験を主導して実施してきました。

新薬の研究開発には長い期間と多額の投資を必要とします。加えて、有効性や安全性の観点から医薬品候補化合物の開発を中止あるいは中断する可能性があります。例えば、2019年、バイオジェン社と当社は、早期ADを対象に開発を進めていたβサイト切断酵素阻害剤エレンベセスタット(一般名)の有効性、安全性を検証するフェーズⅢ試験の中止を発表しました。

また、臨床試験で期待された結果が得られた場合であっても、各国の厳格な承認審査の結果、承認が得られないもしくは追加データの提出を要求され承認が遅延する可能性があります。あるいは、承認が得られた場合でも承認条件として求められた追加臨床試験で安全性・有用性が検証できなかった場合には承認を取り消される可能性があります。

このような新薬開発の不確実性に伴い、当初想定していた開発計画が中止あるいは遅延した場合、将来に期待していた収益が得られない可能性があります。

 

 

副作用

医薬品は承認・販売された場合でも、その後のデータ・事象により、医薬品としてのベネフィットとリスクのプロファイルが承認時とは異なってくる場合があります。重大な副作用の発現・集積により、製品の添付文書の変更、販売停止、回収等の措置を実施する場合には、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、製品に関するすべての有害事象や安全性に関する情報を科学的・医学的に評価し、規制当局に報告する体制としてすべての地域の安全管理責任者等で編成するセーフティ・エグゼクティブ・コミッティ、および製品毎の安全性医学評価責任者等で編成するグローバル・セーフティ・ボードを設置しています。これらの体制を中心として、製品のグローバルな安全性監視体制を確立し、製品の適正使用の徹底に努めています。

製品品質および安定供給

高品質な医薬品を患者様へ確実にお届けする必要がありますが、使用する原材料、自社工場あるいは製造委託先での製造プロセス等、何らかの原因により製品品質に問題が生じた場合や、使用原材料の供給停止や製造工程における技術上の問題、パンデミック、国家間の紛争、重大な災害あるいは経済安全保障上の問題等により工場の操業停止やサプライチェーンに問題が生じた場合には、製品の欠品、回収、販売停止などにより患者様の健康に支障をきたす可能性があるほか、業績へ影響を及ぼす可能性があります。また、何らかの原因による急な需要変動により製品の安定供給に影響が及ぶ可能性があります。さらに、現在日本政府が取り組んでいる経済安全保障の対応において、法令上の義務を課され、当社製品の安定供給体制をより強化する対応が求められる可能性があります。

当社グループは、安心してご使用いただける高品質な医薬品の供給を可能とする安定供給体制ならびに品質保証体制の構築に取り組んでおり、グローバル基準のGMP(製造管理および品質管理に関する基準)に準拠した製造および品質管理を行っています。製造委託先に対しても、製造委託先における安定供給体制ならびに品質保証体制の確認、定期的なGMP監査に加え技術者派遣による製造現場の確認などの活動を実施しています。あわせて、原材料の取引先に「ビジネス・パートナーのための行動指針」の遵守をお願いすることで、当社グループと同様の人権尊重への取り組みを求めています。さらに、流通段階での品質確保にも取り組んでいます。また、当社グループは、世界の主要地域に自社工場を保有し、各工場から安定的に製品供給を行っています。加えて、事業継続計画(BCP)を定めており、パンデミック、重大な災害や急な需要変動が発生した場合においても安定供給を確保する体制の整備に取り組んでいます。

知的財産

通常、先発医薬品の特許期間およびデータ保護期間が切れると同一成分のジェネリック医薬品の販売が可能となります。しかし、特許の不成立や特許成立後の無効審判の結果等により取得した特許権を適切に保護できない場合、想定より早くジェネリック医薬品やバイオシミラー品の市場参入を招き、売上収益が減少する可能性があります。例えば、ファイザー社と共同販促を展開している疼痛治療剤「リリカ」は、日本の用法特許に対する特許無効審判において、一部無効との判断がなされ、2020年12月にジェネリック医薬品が上市されました。また、「レンビマ」の中国の特許について、現在、無効審判が請求されています。

また、特許期間内であっても、米国のようにジェネリック医薬品やバイオシミラー品の申請が可能な国もあり、そのような国では、ジェネリック医薬品やバイオシミラー品の申請を行った企業との間で特許侵害訴訟が起こる可能性があります。それら特許訴訟の結果によっては、ジェネリック医薬品やバイオシミラー品が当該特許期間満了より早期に参入し、当該国内の市場シェアが大幅かつ急速に低下する可能性があります。例えば2018年には、米国における制吐剤「Aloxi」について、連邦控訴裁判所で製剤特許無効の判決が確定し、ジェネリック医薬品が上市されました。また、当社グループの医薬品を保護する物質特許が無効と判断された場合、当該国内における当該医薬品の市場価値が失われ、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

一方、当社グループでは、第三者の知的財産権を侵害することのないように常に注意を払っていますが、万が一当社グループの事業活動が第三者の知的財産権を侵害した場合、第三者から当該事業活動を中止することを求められたり、損害賠償を請求されたりする可能性があります。

 

 

訴訟

当社グループは、その事業運営に関し、製造物責任その他の人身被害等の製品に関する事項、消費者保護、商業規制、証券法、データ保護、契約違反、法令違反、環境規制など様々な事由に関連して、政府を含む第三者の提訴や調査等に起因する訴訟、仲裁その他の法令上や行政上の手続きに関与し、または関与する可能性があります。訴訟等の法的手続きは、その性質上、不確実性を伴います。当社グループはこれらの手続きに適切に対応し、正当な主張を行って参りますが、将来的に当社グループに賠償金支払いを命じる判決や、和解による支払いなどが生じる可能性があり、この結果、当社グループの経営状況、業績、社会的評価に重要な影響を及ぼす可能性があります。

例えば、プロトンポンプ阻害剤「パリエット」(米国名「Aciphex」)について、当社は、他のプロトンポンプ阻害剤に係る他の製造業者とともに、人身被害を受けたとする訴訟を提起されています。米国連邦裁判所に提訴された訴訟は、ニュージャージー州の地方裁判所における広域係属訴訟として併合されています。ある訴訟は、様々な種類のプロトンポンプ阻害剤を用いた治療に伴い様々な被害の診断を受けたとする複数の原告から複数の製薬企業に対して米国の連邦裁判所および州裁判所へ提起されている他の訴訟と併合される可能性があり、また、ある訴訟は終了したり訴えが却下されたりし、さらに別の訴訟が提起される可能性があるため、係属中の訴訟の数は大きく変動する可能性があります。

肥満症治療剤「BELVIQ」(日本では未承認、未販売)については、米国において、本年4月の時点で、健康被害を主張する40件を超える製造物責任訴訟が係属中です。

「Aciphex」および「BELVIQ」に係る訴訟に関して生じうる負債を算定することはできないのが現状です。

データの信頼性

製薬企業にとって、研究データ、生産データ、市販後調査や医薬品安全性監視等に関するデータのインテグリティ(完全性、一貫性、正確性)の確保は、製品の安全性や信頼性の根拠となるため極めて重要であり、これら重要データのインテグリティが確保できないことにより、新薬開発の遅延・中止や、製品の回収、販売の停止など業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、データインテグリティ推進委員会やデータインテグリティ推進室を設置し、データの記録・検証・承認・保管のシステム化を推進しています。さらに、適切な内部統制の構築・整備、運用等により、製品品質を裏付けるデータ、臨床試験データおよび市販後調査を含む医薬品安全性監視に関するデータのインテグリティの強化を図るとともに、国内外の重要データに携わる社員を対象とした研修を継続して実施しています。

医療費抑制策

各国政府は、増大する医療費を抑えるため、様々な薬剤費抑制策を導入・検討しています。日本では医療用医薬品の薬価引き下げや、ジェネリック医薬品の使用促進などの施策がとられています。中国においても、国家医薬品償還リスト収載に伴う大幅な価格引き下げや集中購買制度においてより安価なジェネリック医薬品の使用が促進されており、例えば、「レンビマ」を国家医療保険償還医薬品リストに収載する際、販売価格を引き下げました。また、末梢性神経障害治療剤「メチコバール」は政府集中購買の対象となったことから販売価格を引き下げました。欧州では、新薬承認が得られた製品であっても、期待した価格による保険償還がなされない場合があります。これらの施策の推進ならびに新たな施策の導入により、当初に見込んでいた売上収益が得られない可能性があります。

当社グループでは、各国の制度や政策動向を把握しつつ、有効性や安全性に加え、介護の軽減や対象疾患の重篤度など、新薬のもつ価値の立証を目指して検討を進めています。そして、それらが適切に価格に反映されるよう、製薬業界全体で行政等への働きかけを行っています。

 

(4)その他

サクセッション

当社グループは、30年超の長期にわたり、現代表執行役CEOが強いリーダーシップを発揮してグローバルに事業を展開し成長を遂げてきました。

代表執行役CEOが計画を策定して、将来の代表執行役CEOを育成することに加え、突発的事態に対しても万全な備えを行うこと、および代表執行役CEOの選定においては、取締役会がその客観性や公正性を確保することが重要です。これらができない場合、当社グループの企業理念の実現や経営に大きな影響を及ぼす可能性があります。

このため、当社取締役会は代表執行役CEOの選定を取締役会の最も枢要な意思決定事項のひとつと位置付けるとともに、サクセッションプランに関するルール、手続きを定め、独立社外取締役が将来の代表執行役CEOの育成等のプロセスに関与することで、CEO選定の客観性と公正性を合理的に確保できると考えています。具体的には年に2回、hhcガバナンス委員会において代表執行役CEOから提案されるサクセッションプランを全取締役と情報共有するとともにその検討を行っています。

上記の代表執行役CEOのサクセッションへの取り組みに加え、当社人事部門は執行役を含むグローバル全社ポジションにおける計画的なリーダーシップの継承を企図して、後継候補者の選定と育成、リテンション施策などの進捗状況を確認するサクセッションプランニングを年に1回実施しています。

人財の確保と育成

当社の強みは「企業理念の深い浸透」です。当社は企業理念への深い理解と共感を根幹とし、全社員が自立したプロフェッショナルとして活躍することを目指しています。hhc理念に共感する多様な人財を獲得し、社員一人ひとりがhhc実現に向け、中長期的に取り組むことができない場合、イノベーションの創出と企業理念の実現に大きな影響を及ぼす可能性があります。

当社の人財育成の基本は、社員一人ひとりが患者様とともに時間を過ごす共同化によって患者様の真のニーズを理解することであり、この共同化が社員一人ひとりの動機付けとなります。グローバルリーダー育成プログラム等、様々な社内研修プログラムに患者様との共同化のセッションを盛り込み、hhc理念の浸透を図ることで人財育成を強化しています。さらに、多様な働き方を支援する制度や職場環境の整備を進めており、より魅力ある企業となる取り組みを通じて人財の確保を図っています。

情報セキュリティ

当社グループにおけるデジタルプラットフォーム戦略、5D(Data Driven Drug Discovery & Development)戦略、エーザイデータレイク構想等の新たな事業展開に伴い、AIやビッグデータ、クラウドの活用など、ITインフラ活用の機会が高まっています。このようにサイバー空間を活用したビジネスが進展する一方、当社グループへのサイバー攻撃が高度化・巧妙化しており、セキュリティ上の脅威は深刻化し、攻撃による操業停止等、事業活動への影響が生じる可能性が高まっています。その結果、以前にも増して情報セキュリティ体制の強化が必要となっています。

また、当社グループは、個人情報や未公開情報を含めた多くの重要情報を保有していますが、そのような重要情報が社外に流出した場合、信頼や競争優位性を大きく失うこととなります。特に、近年は個人情報保護に関するグローバルな要請に的確に対応することが求められてきています。また、創薬段階の未公開構造式などの流出は特許の申請・取得に対して影響を及ぼします。当社グループの信頼あるいは競争優位性の低下が生じた場合には、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

サイバー攻撃等による重要業務の中断や個人情報・秘密情報等の漏えいを防止するため、チーフインフォメーションセキュリティオフィサーのリーダーシップの下、当年度当社グループにおけるセキュリティ対策の実施状況を確認し、発見された各課題に対するセキュリティ対策を推進しています。

また、システムインフラのセキュリティ強化に加え、情報管理に関する規程等を整備し、役員・従業員へ日常業務における情報管理教育、サイバーセキュリティ訓練などを実施し、グローバルな情報セキュリティに関する継続的なガバナンス強化と施策の実行に取り組んでいます。

 

 

新型コロナ

ウイルス感染症

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の収束に向けて、治療薬の上市や複数回にわたるワクチン接種がグローバルに実施されています。一方、新たな変異ウイルスの発生により感染が拡大した場合、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。例えば、研究開発活動においては臨床試験での治験参加者の登録や試験の進行が遅延する可能性、生産活動においては仕入先を含めた工場の操業停止や物流遅延などサプライチェーンに影響が生じて製品の安定供給に支障をきたす可能性、販売活動においてはMRが医療関係者に適時適切な情報収集・提供ができなくなる可能性などがあります。

当社ではCOVID-19に関する危機対策本部を立ち上げ、各国の子会社と連携しながら正確な情報を収集し、従業員の安全確保に努めるとともに、ICT技術等の活用を積極的に推進して事業活動に対する影響を最小限に留めるための取り組みを継続しています。また、当社グループの各工場においては、日頃より製品の安定供給を図るために必要な在庫量を確保しており、あらかじめ定められた事業継続計画(BCP)に基づく体制整備・運用を実施しています。

気候変動

気候変動は、企業活動に影響を与える重要な課題であると認識しています。

当社グループは、2019年6月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明し、TCFDのフレームワークを活用した気候変動による長期的な影響についてのシナリオ分析を実施しました。

その結果、物理的リスクとして、健康リスクの高まりとともに、特に発展途上国における医薬品アクセスの必要性が高まり、その改善に対する支出の影響が最大であると評価しました。また、自然災害による生産障害に起因する被害や固定資産の損失、生産バックアップ体制への継続的な投資などが大きく、さらに、生産や物流の停止により製品供給が停滞することに伴う売上収益の減少も大きいと評価しました。

移行リスクでは、温室効果ガス排出削減ならびにその開示が不十分な場合のレピュテーションリスクが大きなインパクトとなること、カーボンプライシング(炭素の価格付け)における炭素税の上昇に伴う急激な原価上昇の影響も大きいと評価しました。

これらの対応として、SBTi(Science Based Targets initiative)に基づいた温室効果ガス排出削減等の取り組み、国際的な環境イニシアティブ「RE100」への加盟を行い、2030年までに再生可能エネルギー使用率100%および2040年までのカーボンニュートラル達成を掲げた中長期目標であるカーボンニュートラル宣言とロードマップを設定しました。今後、カーボンニュートラル・ロードマップに沿って、中長期的な取り組みを加速していきます。

のれんや

無形資産の減損

当社グループは、企業買収や製品・開発品の導入を通じて獲得したのれんおよび無形資産を計上しています。これらの資産については、計画と実績の乖離や市場の変化等により回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には減損処理をする必要があり、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

例えば、当社グループにおけるのれん(2021年度末残高:1,918億円)の多くはアメリカス医薬品事業に配分しています。その回収可能価額は、経営者により承認された事業計画を基礎としたアメリカス医薬品事業の将来キャッシュ・フローや成長率等の仮定を用いて算定しており、それらの仮定は、将来における新薬の承認取得・適応追加の有無および時期、上市後の薬価および販売数量、競合品の状況や金利の変化等の影響を受けます。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当期末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)事業の概況

○ 当社グループは2021年4月よりスタートした中期経営計画「EWAY Future & Beyond」に基づき、「患者様とそのご家族」から「患者様と生活者の皆様」に視点を拡大し、人々の健康憂慮解消に向けたソリューションをお届けすべく、他産業との協業によるエコシステムの構築をめざしています。

○ ニューロロジー領域では、抗アミロイドβプロトフィブリル抗体レカネマブ(一般名)について、2022年5月に、米国における生物製剤ライセンスの段階的申請を完了し、同年内の迅速承認取得を追求しています。早期アルツハイマー病(AD)を対象としたClarity AD(フェーズⅢ試験)については、2022年秋に主要評価項目の結果取得をめざしています。プレクリニカル(無症状期)ADを対象としたAHEAD 3-45(フェーズⅢ試験)についても順調に患者様の登録が進んでいます。また、不眠症治療剤「デエビゴ」(英名「Dayvigo」)については発売国の拡大、抗てんかん剤「フィコンパ」(英名「Fycompa」)については新適応の追加が進展しています。さらに、中国において、京東健康との協業により、認知症を対象としたワンストップオンライン健康プラットフォームを構築し、中国全土での高質な医薬品・医療サービスの提供をめざしています。

○ オンコロジー領域では、抗がん剤「レンビマ」と、米メルク社の抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(一般名)との併用による腎細胞がん、子宮内膜がんに係る適応が日本・米国・欧州・アジア等で承認され、患者様貢献が拡大した結果、「レンビマ」の売上収益は1,923億円と前期から大きく成長しました。また、当社が創製した抗体薬物複合体「MORAb-202」(開発品コード)について、BMS社とグローバルな独占的戦略的提携契約を締結し、共同開発を行っています。

 

(2)経営成績の状況

○ 当期(2021年4月1日~2022年3月31日)の連結業績は、次のとおりです。

(単位:億円、%)

 

2020年度

2021年度

前期比

売上収益

6,459

7,562

117.1

売上原価

1,613

1,748

108.4

売上総利益

4,846

5,814

120.0

販売費及び一般管理費

2,816

3,664

130.1

研究開発費

1,503

1,717

114.2

その他の収益

15

146

1009.8

営業利益

515

537

104.3

税引前当期利益

523

545

104.1

当期利益

423

457

108.1

親会社の所有者に帰属する当期利益

419

480

114.3

当期包括利益

709

908

128.1

基本的1株当たり当期利益

146円34銭

167円27銭

114.3

 

○ 売上収益は、「レンビマ」をはじめとするグローバルブランドが引き続き伸長したことに加え、「MORAb-202」に関するBMS社との戦略的提携による契約一時金496億円の受領および米メルク社からの販売マイルストンペイメントの増加(当期692億円、前期207億円)などにより、大幅な増収となりました。

○ グローバルブランドの売上収益は、「レンビマ」が1,923億円(前期比143.6%)、抗がん剤「ハラヴェン」が394億円(同104.8%)、「フィコンパ」が319億円(同119.2%)、「デエビゴ」が164億円(前期は31億円)となりました。

○ 売上原価は、AD治療剤「Aduhelm」(一般名:アデュカヌマブ)について、事業環境等の変化を踏まえた需要予測の見直しに伴う販売権の減損損失を計上したことなどにより増加しましたが、ライセンス供与による収益の増加や製品ミックスの改善により、売上原価率は低下しました。

○ 販売費及び一般管理費は、「レンビマ」の売上収益拡大に伴う米メルク社への折半利益の支払いや「Aduhelm」の上市関連費用が増加したことに加え、「Aduhelm」の需要予測の見直しに伴う費用を計上したことにより、大幅に増加しました。

○ 研究開発費は、米メルク社から受領した「レンビマ」の開発マイルストンペイメントを戻入として計上するなど、パートナーシップモデルの活用による費用抑制を進めた一方で、当社子会社であるEAファーマ株式会社(東京都、以下 EAファーマ)における開発パイプラインの見直しに加え、レカネマブおよび「レンビマ」などへの積極的な資源投入により、大幅に増加しました。

○ その他の収益は、抗てんかん剤「Zonegran」の欧州、中東、ロシア、オーストラリアにおける権利の譲渡により、大幅に増加しました。

○ 以上の結果、営業利益ならびに当期利益は増益となりました。

 

[セグメントの状況]

(各セグメントの売上収益は外部顧客に対するものです)

 当社グループは、セグメントを医薬品事業とその他事業に区分しており、医薬品事業を構成する日本、アメリカス(北米)、中国、EMEA(欧州、中東、アフリカ、ロシア、オセアニア)、アジア・ラテンアメリカ(韓国、台湾、香港、インド、アセアン、中南米等)、一般用医薬品等(日本)の6つの事業セグメントを報告セグメントとしています。

 

<日本医薬品事業>

○ 売上収益は2,140億円(前期比92.3%)、セグメント利益は612億円(同73.0%)となりました。ファイザー社と共同販促を展開している疼痛治療剤「リリカ」のジェネリック品上市や2020年12月の抗がん剤「トレアキシン」の提携契約満了による販売移管のほか、薬価改定の影響などにより、減収減益となりました。

○ 品目別売上収益については、ニューロロジー領域で、「デエビゴ」が127億円(前期は20億円)、アルツハイマー型認知症治療剤「アリセプト」は69億円(前期比74.1%)となりました。不眠症治療剤「ルネスタ」が69億円(同49.2%)、「リリカ」の共同販促収入は57億円(同26.6%)となった一方、「フィコンパ」は54億円(同105.2%)となりました。オンコロジー領域では、「レンビマ」が103億円(同84.9%)、「ハラヴェン」は83億円(同98.3%)となりました。ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体「ヒュミラ」は506億円(同97.5%)となりました。

○ 2021年5月、抗がん剤「レミトロ」を新発売しました。

○ 2021年8月、抗がん剤「タズベリク」を新発売しました。

 

<アメリカス医薬品事業>

○ 売上収益は1,720億円(前期比120.5%)、セグメント利益は792億円(同122.5%)となりました。

○ 品目別売上収益については、ニューロロジー領域で、「Fycompa」は146億円(前期比119.4%)と伸長しました。抗てんかん剤「Banzel」は70億円(同36.9%)となりました。オンコロジー領域では、「レンビマ」が1,165億円(同143.8%)、「ハラヴェン」が143億円(同113.5%)と伸長しました。なお、2021年7月、プロトンポンプ阻害剤「アシフェックス」の米国における権利の譲渡に伴い、一時金を売上収益に計上しました。

 

<中国医薬品事業>

○ 売上収益は1,064億円(前期比125.1%)、セグメント利益は554億円(同137.3%)となりました。

○ 品目別売上収益については、「レンビマ」が国家保険償還医薬品リストに収載されたことによりアクセスが拡大し、350億円(前期比189.6%)と大幅に伸長しました。末梢性神経障害治療剤「メチコバール」は政府集中購買制度の対象となり販売価格が低下した影響で125億円(同71.4%)となりました。肝臓疾患用剤・アレルギー用薬「強力ネオミノファーゲンシー/グリチロン錠」は95億円(同94.1%)となり、プロトンポンプ阻害剤「パリエット」は89億円(同132.5%)と大幅に伸長しました。なお、2021年9月、代謝性強心剤「ノイキノン」の中国における権利の譲渡に伴い、一時金を売上収益に計上しました。

 

<EMEA医薬品事業>

○ 売上収益は593億円(前期比107.4%)、セグメント利益は「Zonegran」の権利の譲渡の影響により409億円(同159.3%)となりました。

○ 品目別売上収益については、ニューロロジー領域で、「Fycompa」が92億円(前期比121.1%)と成長しました。オンコロジー領域では、「レンビマ/Kisplyx」が218億円(同137.6%)、「ハラヴェン」は128億円(同103.8%)と成長しました。

○ 2021年9月、オーストラリアにおいて、「Dayvigo」を新発売しました。

 

<アジア・ラテンアメリカ医薬品事業>

○ 売上収益は506億円(前期比110.3%)、セグメント利益は208億円(同111.6%)となりました。

○ 品目別売上収益については、「レンビマ」が88億円(前期比135.4%)と大幅に成長しました。「アリセプト」は119億円(同110.1%)、「ヒュミラ」は75億円(同88.1%)となりました。

○ 2021年6月、香港において、「Dayvigo」を新発売しました。

○ 2021年7月、タイにおいて、胆汁酸トランスポーター阻害剤「Goofice」を新発売しました。

○ 2021年11月、ベトナムにおいて、「ハラヴェン」を新発売しました。

 

<一般用医薬品等事業>

○ 売上収益は238億円(前期比94.7%)、セグメント利益は47億円(同92.7%)となりました。

○ チョコラBBグループの売上収益は143億円(前期比106.4%)と拡大しましたが、「イータック抗菌化スプレーα」などのイータックグループの売上収益が減少しました。

 

(3)財政状態の状況

○ 資産合計は、1兆2,393億円(前期末より1,509億円増)となりました。BMS社との戦略的提携に伴う契約一時金および研究開発償還金の受領、ならびに米メルク社からの販売マイルストンペイメントの受領に伴い現金及び現金同等物が増加しました。また、米メルク社からの販売マイルストンペイメントの計上により、営業債権及びその他の債権が増加しました。

○ 負債合計は、4,678億円(前期末より1,057億円増)となりました。バイオジェン社および米メルク社に対する未払費用が増加しました。また、BMS社からの研究開発償還金を預り金として計上したことにより、その他の金融負債が増加しました。

○ 資本合計は、7,715億円(前期末より452億円増)となりました。円安の進行に伴い在外営業活動体の換算差額が増加しました。

○ 以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は60.4%(前期末より4.0ポイント減)となりました。

 

(4)キャッシュ・フローの状況

○ 営業活動によるキャッシュ・フローは、1,176億円の収入(前期より445億円の収入増)となりました。収入増の主な要因は、BMS社との戦略的提携に伴う契約一時金および研究開発償還金の受領によるものです。

○ 投資活動によるキャッシュ・フローは、288億円の支出(前期より72億円の支出減)となりました。研究設備および製造設備の増強を進め、設備投資に係る支出が発生した一方で、「Zonegran」の権利の譲渡に伴い有形固定資産・無形資産の売却による収入が発生しました。

○ 財務活動によるキャッシュ・フローは、490億円の支出(前期より69億円の支出減)となりました。主に配当金の支払いによるものです。

○ 以上の結果、現金及び現金同等物の残高は3,096億円(前期末より609億円増)、営業活動によるキャッシュ・フローから資本的支出等を差し引いたフリー・キャッシュ・フローは887億円の収入となり、配当額を大幅に上回るキャッシュを創出しました。

 

(5)生産、受注および販売の実績

① 生産実績

(a) 生産実績

当期における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

日本医薬品事業

143,953

94.8

アメリカス医薬品事業

203,125

90.1

中国医薬品事業

105,474

118.1

EMEA医薬品事業(注2)

82,912

127.3

アジア・ラテンアメリカ医薬品事業(注2)

48,782

128.6

一般用医薬品等

9,148

99.0

報告セグメント計

593,394

102.5

その他事業

2,161

78.9

合計

595,555

102.4

(注1) 金額は販売見込価格により算出し、セグメント間の取引については相殺消去しています。

(注2) 前期より生産実績が増加した理由は、主に抗がん剤「レンビマ」の販売の増加に伴うものです。

 

(b) 商品仕入実績

当期における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

日本医薬品事業

48,921

90.9

アメリカス医薬品事業

21

148.3

中国医薬品事業

2,622

117.7

アジア・ラテンアメリカ医薬品事業

6,879

95.6

一般用医薬品等

5,255

74.1

報告セグメント計

63,699

87.5

その他事業

296

114.1

合計

63,994

87.6

(注1) 金額は仕入価格により算出し、セグメント間の取引については相殺消去しています。

(注2) 当期においてEMEA医薬品事業の商品仕入実績はありませんでした。

 

② 受注実績

当社グループは販売計画に基づいた生産を行っているため、該当事項はありません。

 

③ 販売実績

当期における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

日本医薬品事業

214,046

92.3

アメリカス医薬品事業(注2)

172,016

120.5

中国医薬品事業(注2)

106,420

125.1

EMEA医薬品事業

59,339

107.4

アジア・ラテンアメリカ医薬品事業

50,632

110.3

一般用医薬品等

23,829

94.7

報告セグメント計

626,281

106.9

その他事業(注3)

129,945

217.0

合計

756,226

117.1

(注1) セグメント間の取引については相殺消去しています。

(注2) 前期より販売実績が増加した理由は、主に抗がん剤「レンビマ」が増加したことによるものです。

(注3) 前期より販売実績が増加した理由は、「MORAb-202」に関するBMS社との戦略的提携による契約一時金の受領および米メルク社からの販売マイルストンペイメントの増加によるものです。

(注4) 主な相手先別の販売実績については、前期・当期とも総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しています。

 

(6)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

① 重要な会計方針及び見積り

連結財務諸表作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しています。重要な会計方針及び見積りの詳細については、「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  (1)連結財務諸表  連結財務諸表注記  3. 重要な会計方針、 4. 重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりです。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)事業の概況、(2)経営成績の状況、 (3)財政状態の状況、(4)キャッシュ・フローの状況」に記載しています。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループは、資金調達手段について、「手元現金」、次に「負債による資金調達(デット)」、最後に「株式の新規発行による資金調達(エクイティ)」とするペッキング・オーダー理論にもとづく優先順位付けをしております。原則として、手元現金の活用および負債が優先であり、既存株主の価値を毀損する可能性があるエクイティによる資金調達は最終手段として考えています。

そのため、キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)管理による運転資本のコントロール、投資有価証券を含む資産売却などによるバランスシートマネジメントを継続的かつグローバルに推進することで資産効率を高め、最適資本構成にもとづく最適配当政策と積極的な成長投資の両立を可能としています。

2021年度において、株主還元については、健全なバランスシートを維持していることから、1株当たり年間配当金を前年と同額の160円としました。成長投資については、将来の成長のための川島工園・筑波研究所の設備・施設への投資継続などを積極的に実施しました。2022年度においても積極的な成長投資を継続する計画で、資本的支出は500億円を見込み、手元資金を充当する予定です。

資金の流動性については、現時点では概ね月商の3倍を適正な運転資金の水準と考えています。2021年度末における現金及び現金同等物残高は3,096億円であり、十分な流動性を確保しています。さらに、当座借越・コミットメントラインなどの流動性補完により、流動性を一層強化しています。また、手元資金の効率的な活用を企図して、日本国内・EMEA域内におけるキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)に加え、グローバル・キャッシュ・マネジメント・システム(GCMS)を導入しています。

2021年度末時点での実質的なキャッシュ残高である有利子負債控除後のネットキャッシュは2,391億円と、実質無借金を維持しています。引き続き、「ネットキャッシュの維持」を主要な財務規律として重視するとともに、Net DERを±0.3レベルにコントロールすることで財務の健全性を維持します。

 

④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)経営環境、経営方針・経営戦略、ならびに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等 ③目標とする経営指標」に記載のとおり、中長期での数値目標は設定していません。その代わり、年次事業計画を精緻に策定し、経営指標として平均ROEを掲げ、2021年度から2024年度は平均ROE10%、2025年度は15%以上を目安としています。

2021年度業績予想(売上収益:6,810億円、営業利益:580億円、親会社の所有者に帰属する当期利益:445億円ROE:6.7%、2020年度有価証券報告書提出日時点)との比較では、売上収益は7,562億円(業績予想対比111.0%)、営業利益は537億円(同92.8%)、親会社の所有者に帰属する当期利益は480億円(同107.8%)、ROE6.6%(同99.1%)となりました。

売上収益は、「レンビマ」の伸長や「MORAb-202」に関するBMS社との戦略的提携契約による契約一時金の受領などの影響により、業績予想を上回りました。一方営業利益は、事業環境等の変化を踏まえた需要予測の見直しに伴い「Aduhelm」に係る販売権についての減損損失を売上原価に計上したほか、「Aduhelm」の需要予測の見直しに伴う費用を販売費及び一般管理費に計上したことなどにより、業績予想を下回りました。なお、2017年度から2021年度までの直近5年間の平均ROEは10.1%と目安となる10%を上回りました。

 

4【経営上の重要な契約等】

製品名は主要な販売国での販売名を記載しています。

 

(1)戦略的提携

会社名

契約締結先

締結年月日

契約内容

契約期間

対価

当社

Biogen Inc.

(米国)

2014年

3月4日

1. 当社が開発している抗Aβプロトフィブリル抗体「BAN2401」(一般名:レカネマブ)、BACE阻害剤「E2609」(一般名:エレンベセスタット)(注1)に関する共同開発・共同販促(注2)

2. Biogen Inc.が開発している抗Aβ抗体「BIIB037」(一般名:アデュカヌマブ)(注3)の共同開発・共同販促

対象化合物ごとおよび国ごとに以下1)または2)のいずれか遅い日まで

1) 発売開始後12年

2) 特許満了日または

後発品発売開始日の早い方

1.契約一時金他

2.一定料率の販売ロイヤルティ

米メルク社

2018年

3月7日

当社の抗がん剤「レンビマ」の単剤療法および米メルク社の抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(一般名)との併用療法についての複数のがん種に対する共同開発・共同販促

契約締結日より2036年

3月31日まで

契約一時金、開発・販売マイルストン他

日医工㈱

2018年

3月28日

1. 領域エコシステムの構築に向けた協業

2. 医薬品原薬事業における提携

1. 契約締結日より

2023年9月30日まで

2. 契約締結日より

2028年9月30日まで

 

Bristol Myers Squibb

(米国)

2021年

6月17日

当社が開発している抗がん剤「MORAb-202」に関する共同開発・共同販促等

契約締結日より共同開発・共同販促活動の終了まで

契約一時金、開発・販売マイルストン他

(注1)2019年9月、Biogen Inc.と当社は、「E2609」(同上)の有効性、安全性を検証するフェーズⅢ試験を中止しました。

(注2)2022年3月、当社は、Biogen Inc.が開発している抗タウ抗体の共同開発・共同販促に係るオプション権を放棄しました。

(注3)2022年3月、「BIIB037」(同上)に関する共同開発・共同販促契約(Biogen Inc.との間の2014年3月4日付け原契約に基づき、2017年10月22日に締結)を変更し、2023年1月からのグローバルなロイヤルティ契約へと改定しました。

 

(2)ライセンス導入

会社名

契約締結先

締結年月日

契約内容

契約期間

対価

当社

富士フイルム

富山化学㈱

1998年

9月30日

リウマチ治療剤「ケアラム」(一般名:イグラチモド)の日本における共同開発・販売提携

契約締結日より2022年

9月11日まで

契約一時金他

AbbVie Deutschland

(ドイツ)

1999年

6月16日

ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体「ヒュミラ」(一般名:アダリムマブ)の日本における開発および販売

契約締結日より販売承認後15年が経過する日まで(台湾・韓国は終了)(注4)

契約一時金他

Novartis

(スイス)

2004年

2月6日

抗てんかん剤「イノベロン」(一般名:ルフィナミド)の全世界における開発および製造・販売に関するライセンス

契約締結日より国ごとに特許満了日または販売開始後10年が経過する日のいずれか遅い日まで

契約一時金他

一定料率のロイヤルティ

Sunovion

(米国)

2007年

7月26日

不眠症治療剤「ルネスタ」(一般名:エスゾピクロン)の日本における独占的な開発および販売に関するライセンス

契約締結日より販売承認後15年が経過する日または薬価収載後15年が経過する日のいずれか遅い日まで

契約一時金他

一定料率のロイヤルティ

BioArctic AB

(スウェーデン)

2007年

12月3日

レカネマブ(一般名)の全世界におけるアルツハイマー病を対象とした研究・開発、製造・販売に関する独占的ライセンス

契約締結日より国ごとに販売開始後15年が経過する日まで

契約一時金他

一定料率のロイヤルティ

Pfizer Inc.

(米国)

2009年

9月24日

疼痛治療剤「リリカ」(一般名:プレガバリン)の日本における共同販促

契約締結日より2022年

7月17日まで

㈱Prism BioLab

2011年

4月1日

抗がん剤「E7386」の全世界における開発および製造・販売に関する独占的ライセンス

契約締結日より対象特許の有効期間がすべて満了する日または国ごとに販売開始後10年が経過する日まで

開発マイルストン、一定料率の販売ロイヤルティ

ロンドン大学

(英国)

2015年

10月16日

共同研究および抗タウ抗体「E2814」の共同開発

2023年12月5日まで

開発マイルストン、販売ロイヤルティ

Meiji Seika

ファルマ㈱

2017年

3月31日

パーキンソン病治療剤「エクフィナ」(一般名:サフィナミド)の日本における独占的販売権およびアジア7か国における独占的開発・販売権に係るライセンス

契約締結日より国ごとに販売開始後15年が経過する日まで

契約一時金、開発マイルストン、一定料率の販売ロイヤルティ

ハーバード

大学(米国)

2018年

6月15日

抗がん剤「E7130」の全世界における開発および製造・販売に関する独占的ライセンス

契約締結日より対象特許の有効期間がすべて満了する日または販売開始後15年が経過する日のいずれか遅い日まで

契約一時金、開発マイルストン、一定料率の販売ロイヤルティ

1.ギリアド・

サイエンシズ㈱

2.ギリアド・

サイエンシズ社(米国)(注5)

2019年

12月24日

1.ヤヌスキナーゼ阻害剤「ジセレカ」(一般名:フィルゴチニブ)の日本における販売提携契約

2.「ジセレカ」(同上)の韓国、台湾、香港、シンガポールにおける販売提携契約

契約締結日より最初の薬価収載後12年が経過する日まで

契約一時金、開発・売上マイルストン

当社、

EAファーマ㈱

㈱ミノファーゲン製薬

2016年

2月29日

1. 肝臓疾患用剤・アレルギー用薬「強力ネオミノファーゲンシー」(グリチルリチン酸、配合剤)および「グリチロン錠」(グリチルリチン酸、配合錠)の中国を含むアジア地域の独占的な開発・販売権のライセンス

2.「強力ネオミノファーゲンシー」(同上)および「グリチロン錠」(同上)の日本における独占的な販売権のライセンス

1. 契約締結日より2033

   年3月31日まで

2. 契約締結日より2023

   年3月31日まで

契約一時金他

(注4)2022年3月、当社は、AbbVie Deutschlandとの間で締結していた、「ヒュミラ」(同上)の韓国における開発および販売契約を終了しました。

(注5)2021年12月、当社は、ギリアド・サイエンシズ社(米国)との販売提携契約を新たに締結しました。

 

 

(3)合弁関係

会社名

契約締結先

締結年月日

契約内容

契約期間

当社

味の素(株)

2015年

10月15日

当社を吸収分割会社とし、味の素製薬㈱を吸収分割承継会社とする吸収分割に関する統合契約等

 

(4)その他経営上の重要な契約

会社名

契約締結先

締結年月日

契約内容

契約期間

当社

世界保健機関

(WHO)(スイス)

2012年

1月30日

リンパ系フィラリア症制圧プログラムへの支援のため、DEC(一般名:ジエチルカルバマジン)錠のWHOへの無償提供

2013年またはWHOによるDECの事前審査が終了した日のいずれか遅い日から12年間

(注6)

(注6)2022年1月、当社は、DEC錠(同上)のWHOへの無償提供に関する契約を、2025年12月31日まで延長しました。

 

5【研究開発活動】

当期における研究開発費は、171,738百万円(前期比14.2%増)、売上収益比率22.7%(前期より0.6ポイント減)となりました。

なお、当社グループは、研究開発費をグローバルに管理しているため、セグメントに配分していません。

 

[開発品の状況]

○ 抗がん剤「レンビマ」(欧州における腎細胞がんに係る製品名「Kisplyx」、一般名:レンバチニブ、米メルク社との共同開発)

・甲状腺がんに係る適応(単剤療法)において、日本、米国、欧州、中国、アジア等の80カ国以上で承認を取得しています。

・肝細胞がん(ファーストライン)に係る適応(単剤療法)において、日本、米国、欧州、中国、アジア等の75カ国以上で承認を取得しています。

・切除不能な胸腺がんに係る適応(単剤療法)において、日本で承認を取得しています。

・腎細胞がん(セカンドライン)を対象とした、エベロリムスとの併用療法に係る適応において、米国、欧州等の60カ国以上で承認を取得しています。

・子宮内膜がん(全身療法後)を対象とした、米メルク社の抗PD-1抗体ペムブロリズマブとの併用療法に係る適応において、日本、米国、欧州、アジア等の45カ国以上で承認(条件付き承認を含む)を取得しています。309試験/KEYNOTE-775試験(フェーズⅢ試験)に基づき、米国においては、2021年7月、治療ラインに関わらず全身療法後に増悪した、根治的手術または放射線療法に不適応な高頻度マイクロサテライト不安定性を有さない、またはミスマッチ修復機構欠損を有さない進行性子宮内膜がんの適応で承認を取得しました。欧州においては、2021年11月、治療ラインに関わらず、プラチナ製剤を含む前治療中またはその後に増悪した、根治的手術または放射線療法に不適応な成人の進行性または再発性子宮内膜がんに関する適応について承認を取得しました。日本においては、2021年12月にがん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の子宮体がんの適応について承認を取得しました。台湾においては、2022年2月に治療ラインに関わらず全身療法後に増悪した、根治的手術または放射線療法に不適応な進行性子宮内膜がんの適応について承認を取得しました。

・腎細胞がん(ファーストライン)を対象とした、ペムブロリズマブとの併用療法に係る適応において、日本、米国、欧州、アジア等の35カ国以上で承認を取得しています。米国においては2021年8月、欧州では同年11月、台湾では2022年1月に、進行性腎細胞がん一次治療に係る適応についてそれぞれ承認を取得しました。日本においては、2022年2月に根治切除不能または転移性の腎細胞がんの適応について承認を取得しました。

・ペムブロリズマブとの併用療法について、子宮内膜がん(ファーストライン)、肝細胞がん(ファーストライン)、メラノーマ(ファーストライン)、非扁平上皮非小細胞肺がん(ファーストライン、化学療法併用)、非小細胞肺がん(セカンドライン)、頭頸部がん(ファーストライン)、肝細胞がん(ファーストライン、肝動脈化学塞栓療法との併用)、胃がん(ファーストライン、化学療法併用)、高頻度マイクロサテライト不安定性を有さない/ミスマッチ修復機構を有する大腸がん(サードライン)を対象としたフェーズⅢ試験を米国、欧州等において進行中です。食道がん(ファーストライン、化学療法併用)を対象としたフェーズⅢ試験を日本、米国、欧州、中国において開始し、進行中です。PD-L1陽性の非小細胞肺がん(ファーストライン)およびシスプラチン不適格の膀胱がん(ファーストライン)を対象として実施していた2本のフェーズⅢ試験については、独立データモニタリング委員会の勧告に従い、中止を決定しました。

・ペムブロリズマブとの併用療法について、メラノーマ(セカンドライン)、頭頸部がん(セカンドライン)を対象としたフェーズⅡ試験、および複数のがん種を対象としたバスケット試験(フェーズⅡ試験)を米国、欧州等において進行中です。

・米国において、ペムブロリズマブとの併用療法による局所治療に適さない進行性肝細胞がんの一次治療に対するブレイクスルーセラピーの指定について、他の併用療法の同適応症に対する承認を受け、米国食品医薬品局(FDA)より指定取り消しに関する通知を受領しました。

○ 抗がん剤「ハラヴェン」(一般名:エリブリン)

・乳がんに係る適応において、日本、米国、欧州、中国、アジア等の80カ国以上で承認を取得しています。

・脂肪肉腫(日本では悪性軟部腫瘍)に係る適応において、日本、米国、欧州、アジア等の80カ国以上で承認を取得しています。

・「ハラヴェン」のリポソーム製剤について、小野薬品工業株式会社(大阪府)の抗PD-1抗体ニボルマブとの併用療法に関するフェーズⅠ/Ⅱ試験が日本において進行中です。

○ 抗てんかん剤「フィコンパ」(英名「Fycompa」、一般名:ペランパネル)

・12歳以上の部分てんかん併用療法に係る適応において、日本、米国、欧州、中国、アジア等の70カ国以上で承認を取得しています。日本と米国においては、4歳以上の部分てんかんに対する単剤および併用療法の承認を取得しています。欧州においては、4歳以上の部分てんかんに対する併用療法の承認を取得しています。

・12歳以上の全般てんかんの強直間代発作に対する併用療法に係る適応において、日本、米国、欧州、アジア等の70カ国以上で承認を取得しています。欧州においては、7歳以上の全般てんかんの強直間代発作に対する併用療法の承認を取得しています。

・2021年7月、中国において、てんかんの部分発作に対する単剤療法、および4歳以上の小児てんかんの部分発作に対する併用・単剤療法の2つの追加適応について承認を取得しました。

・レノックス・ガストー症候群を対象としたフェーズⅢ試験が日本、米国、欧州において進行中です。

○ オレキシン受容体拮抗剤「デエビゴ」(英名「Dayvigo」、一般名:レンボレキサント)

・不眠症に係る適応において、日本、米国、アジア等の10カ国以上で承認を取得しています。

・不眠症を対象としたフェーズⅢ試験が中国において進行中です。

・アルツハイマー病/認知症に伴う不規則睡眠覚醒リズム障害を対象としたフェーズⅡ試験が終了し、今後の開発について検討中です。

○ 抗アミロイドβプロトフィブリル抗体レカネマブ(一般名、開発品コード「BAN2401」、バイオジェン社との共同開発)

・2021年6月、米国において、アルツハイマー病(AD)治療を対象としてブレイクスルーセラピーの指定を受け、同年12月にはファストトラックの指定を受けました。

・2021年9月、米国において、201試験(フェーズⅡ試験)に基づいて迅速承認制度を活用し、FDAに対する早期AD(ADによる軽度認知障害および軽度AD)治療薬としてのBLA(生物製剤ライセンス申請)の段階的申請を開始し、2022年5月に完了しました。

・2022年3月、日本において、医薬品事前評価相談制度に基づき、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に申請データの提出を開始しました。

・早期ADを対象としたClarity AD(フェーズⅢ試験)が日本、米国、欧州、中国において進行中です。

・Alzheimer's Clinical Trials Consortium(ACTC)によって本剤が評価対象薬剤として選択されているプレクリニカル(無症状期)ADを対象とするAHEAD 3-45(フェーズⅢ試験)が日本、米国、欧州等において進行中です。

○ AD治療剤「Aduhelm」(一般名:アデュカヌマブ、バイオジェン社の単独意思決定権による共同開発)

・2021年6月、米国においてAD治療剤として迅速承認を取得しました。本迅速承認の要件である検証試験はバイオジェン社により実施される予定です。

・2021年12月、日本において、製造販売承認申請について追加データの提出が求められ、継続審議となりました。

・2022年4月、欧州において、バイオジェン社が販売承認申請を取り下げました。

 

○ 2021年6月、日本において、抗がん剤「タズベリク」(一般名:タゼメトスタット、開発品コード「E7438」)について、EZH2遺伝子変異陽性の濾胞性リンパ腫に係る適応で製造販売承認を取得しました。

○ 2021年9月、日本において、ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体「ヒュミラ」(一般名:アダリムマブ)の潰瘍性大腸炎に係る用法用量について、成人に対する高用量と小児の追加承認を取得しました。

○ 2022年3月、日本において、EAファーマがキッセイ薬品工業株式会社(長野県)と共同開発している潰瘍性大腸炎治療剤「カログラ」(一般名:カロテグラストメチル、開発品コード「AJM300」)について、潰瘍性大腸炎に係る適応で製造販売承認を取得しました。

 

○ 選択的URAT1阻害剤ドチヌラド(一般名)について、痛風を対象としたフェーズⅢ試験を中国において開始しました。

○ セントルイス・ワシントン大学医学部(米国)により主導される優性遺伝アルツハイマーネットワーク試験ユニット(Dominantly Inherited Alzheimer Network Trials Unit:DIAN-TU)が実施する優性遺伝ADに対する抗MTBR(Microtubule binding region: 微小管結合領域)タウ抗体「E2814」の効果を評価するTau NexGen試験(フェーズⅡ/Ⅲ試験)が米国において開始されました。同試験の基礎療法となる抗アミロイド療法にレカネマブが選定されています。

○ 抗がん剤「E7386」について、ペムブロリズマブとの併用による固形がんを対象としたフェーズⅠ/Ⅱ試験を、日本、米国において開始しました。

○ Toll様受容体7/8阻害剤「E6742」について、全身性エリテマトーデスを対象としたフェーズⅠ/Ⅱ試験を、日本において開始しました。

 

○ 抗がん剤「MORAb-009」について、米国、欧州でフェーズⅠ/Ⅱ試験段階にあった中皮腫を対象とした開発を終了しました。

○ 腸管洗浄剤「EA4000」について、EAファーマが事業上の優先度の観点から、日本でフェーズⅠ/Ⅱ試験段階にあった開発を中止しました。

○ 潰瘍性大腸炎治療剤「E6007」について、EAファーマが事業上の優先度の観点から、日本でフェーズⅡ試験段階にあった開発を中止しました。

○ クローン病治療剤「E6011」について、EAファーマが事業上の優先度の観点から、日本、欧州でフェーズⅡ試験を中止しました。