文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)企業理念
当社グループは、患者様と生活者の皆様の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献することを企業理念としています。この理念のもとですべての役員および従業員が一丸となり、世界のヘルスケアの多様なニーズを充足し、いかなる医療システム下においても存在意義のあるヒューマン・ヘルスケア(hhc)企業となることをめざしています。当社グループの使命は、患者様と生活者の皆様の満足の増大であり、他産業との連携によるhhcエコシステムを通じて、日常と医療の領域で生活する人々の「生ききるを支える」ことです。その結果として売上や利益がもたらされ、この使命と結果の順序を重要と考えています。
当社グループは、このhhc理念の実現に向けて、主要なステークホルダーズである患者様と生活者の皆様、株主の皆様および社員との信頼関係の構築に努めるとともに、コンプライアンス(法令と倫理の遵守)を日々実践し、企業価値の向上に取り組んでいます。本企業理念は、定款に定め、株主の皆様と共有化をはかっています。
当社グループは、hhc理念に基づき、人々の「健康憂慮の解消」と「医療較差の是正」という社会善を効率的に実現し、社会的インパクトを創出することで、長期的な企業価値の増大をめざします。
(2)経営環境、経営方針・経営戦略、ならびに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等
当社グループは、新たな中期経営計画として「EWAY Future & Beyond」を2021年4月よりスタートしました。
① 中期経営計画「EWAY Future & Beyond」
「EWAY Future & Beyond」では、2021年度からの5年間を「EWAY Future」、2026年度以降を「EWAY Beyond」とし、当社グループが貢献すべき主役を「患者様とそのご家族」から「患者様と生活者の皆様」に拡大しました。患者様と生活者の皆様の「生ききるを支える」という想いとともに、アンメット・メディカルニーズが極めて高く、当社グループが最も強みを持つニューロロジー領域とオンコロジー領域に立脚したサイエンスとデータ
に基づくソリューションを創出し、他産業やグループとの連携によるエコシステムの構築を通じて、hhceco
(hhc理念+エコシステム)企業へと進化することをめざしています。
hhcecoモデルを実現するベースは、当社グループだけが保有する臨床試験結果をはじめ、疾患に関わるゲノム、リアルワールドやPersonal Health Recordなどから得られるデータです。hhcecoモデルにおいて、研究開発がデータのインプットに基づいて価値を創造する主要な役割を果たします。疾患を連続体(Disease Continuum)として捉え、ヒューマンバイオロジーエビデンスに基づく創薬研究を実践するDeep Human Biology Learning(DHBL)体制のもと、医薬品やデジタルメディスン、疾患の予測モデルなどを創出し、日常領域から医療領域までのすべてのステージの人々に対するソリューションとして提供していくことをめざしています。さらに、他産業、自治体、アカデミア、スタートアップといった様々なパートナーズとの連携を通じ、データ創出とソリューション提供の相互作用によってhhcecoモデルを充実させ、主要なステークホルダーズに社会的インパクトをもたらします。
② 中期経営計画「EWAY Future & Beyond」の主な進捗と取り組み
2022年10月、研究開発体制を刷新し、DHBL体制が本格稼働しました。DHBL体制ではバイオマーカーの進化を踏まえ、病態生理学に基づき疾患を連続体(Disease Continuum)として捉え、ヒューマンバイオロジーエビデンスに基づく創薬研究を実践していきます。当社グループが当該領域のヒューマンバイオロジーに最も早く深くアクセスすることが可能な5つの創薬領域(ドメイン)にフォーカスし、創薬仮説の構築・検証から承認取得までの研究を推進しています。具体的には、「微小環境」、「タンパク質恒常性破綻」、「細胞系譜や細胞分化」、「細胞老化を伴う炎症、低酸素、酸化ストレス」、「顧みられない熱帯病やパンデミックの制圧」の創薬領域で構成され、アルツハイマー病(AD)に代表される神経変性疾患と難治性がんの分野でフロントランナーになるとともに、グローバルヘルスにおいても継続的な貢献を果たしていくことをめざしています。
(a) レカネマブ(米国ブランド名:「Leqembi」)の価値最大化に向けた取り組みとAD領域の進展
AD治療剤レカネマブについては、2022年9月に早期ADを対象としたClarity AD試験(フェーズⅢ試験)は主要評価項目ならびにすべての重要な副次評価項目を統計学的に高度に有意な結果をもって達成しました。米国においては、ADの特徴である脳内に蓄積したアミロイドβプラークの減少効果を示した201試験(フェーズⅡ試験)の結果に基づき、ADの治療を適応として、米国食品医薬品局(FDA)より迅速承認を取得しました。米国においては、フル承認への変更に向けた生物製剤承認一部変更申請(supplemental Biologics License Application:sBLA)も受理され、優先審査に指定されました。PDUFA(Prescription Drugs User Fee Act)アクションデート(審査終了目標日)は2023年7月6日に設定されました。日本、欧州、中国においてもそれぞれ申請が完了し、日本と中国においては優先審査に指定されています。また、プレクリニカル(無症状期)ADを対象とするAHEAD 3-45試験(フェーズⅢ試験)も進行中です。加えて、日本において、血液によるアミロイドβテストの共同開発や血液バイオマーカーを用いた認知症診断ワークフロー構築に向けた共同研究を複数のパートナー企業と進めています。
当社グループは、革新的医薬品の価格は、その薬剤がもたらす社会的価値に基づき設定され、その価値はすべてのステークホルダーズに還元されるべきであると考えています。米国におけるレカネマブの価格は、その社会的価値を当事者様、ご家族、介護者、医療従事者、支払者および政府からなるパブリック、ならびに株主および従業員からなるプライベートのすべてのステークホルダーズに還元するという考え方に基づいて設定しました。
AD Continuumに基づく他のプロジェクトの開発も進行中です。優性遺伝アルツハイマーネットワーク試験ユニット(DIAN-TU)が実施し、抗MTBR(Microtubule binding region: 微小管結合領域)タウ抗体「E2814」の効果を評価するTau NexGen試験(フェーズⅡ/Ⅲ試験)が日本、米国、欧州において進行中です。「E2814」は、優性遺伝ADに対する臨床試験において抗タウ薬として最初の評価対象薬となっており、同試験の基礎療法となる抗アミロイド療法にはレカネマブが選定されています。孤発性ADを対象としたフェーズⅡ試験についても計画中です。また、ダメージを受けたコリン作動性神経を機能性神経に回復し、コリン作動性神経の変性を予防することが期待される選択的Tropomyosin receptor kinase A(TrkA)結合シナプス再生剤「E2511」については、フェーズⅠ試験が米国において進行中です。日本においては、慶應義塾大学と共同で設立した産医連携拠点「エーザイ・慶應義塾大学 認知症イノベーションラボ(EKID)」における、脳が本来備えている防御機構、堅牢性の維持・強化に関わる創薬ターゲットの探索研究も行っています。
(b) オンコロジー領域
抗がん剤「レンビマ」については、グローバルで甲状腺がん、肝細胞がん、腎細胞がん、子宮内膜がんなどに係る適応で承認を取得しています。このうち、腎細胞がんまたは子宮内膜がんに係る適応で、米メルク社の抗PD-1抗体ペムブロリズマブとの併用療法について、日本、米国、欧州、アジア等で承認を取得するなど、「レンビマ」の価値最大化に向けた取り組みが順調に進展しています。現在、ペムブロリズマブとの併用療法により、10種類以上のがんで適応追加をめざして臨床試験(LEAP試験)が進行中です。さらに、本併用療法に対する抵抗性の克服をめざす薬剤として、発がんに関わるWntシグナル伝達を阻害することが期待されるCBP/β-カテニン阻害剤「E7386」を開発しています。本剤については、臨床におけるPOC(Proof of Concept:創薬概念の検証)を達成し、ペムブロリズマブとの併用療法によるフェーズⅠ/Ⅱ試験も進行中です。がん免疫療法への低感受性に対する治療薬として、承認薬剤であるエリブリンをペイロードとする次世代の抗体薬物複合体(ADC)「MORAb-202」について、BMS社と共同開発を進めており、2つのフェーズⅡ試験が進行中です。さらには、タンパク質分解誘導剤、ネオアンチゲン誘導剤など外部技術と融合した共同研究・開発による新世代のパイプライン構築を進めています。
(c) 認知症エコシステム
日常や医療領域で生活する人々の「生ききるを支える」ために、Disease Continuumに基づく様々なソリューションの創出を進めています。日常領域(発症前)では、健康状態の維持、疾患啓発と予防、さらには検査・病院検索、医療領域(疾患の発症時、治療期、予後)では、正確な診断、治療(薬物・非薬物)の効果確認、QOL(quality of life)の向上に寄与する施策などのソリューションを想定しています。
日本においては、デジタルツール「のうKNOW」(非医療機器)を搭載したスマートフォン端末による認知機能の把握を促進するなど、通信、食品、保険、金融、自動車、フィットネスなどの他産業と認知症エコシステム拡大に向けた様々な連携を進めています。中国においては、日常生活から医療までのワンストップオンライン健康プラットフォームである銀髪通(Yin Fa Tong)を通じてオンライン診療を提供し、デジタル技術を活用した医療較差の是正に取り組んでいます。アジア地域においても、他産業や非営利団体とのエコシステム構築を拡大し、認知症の疾患認知率向上、早期発見、早期診断、認知症治療薬へのアクセス拡大を進めています。
③ 目標とする経営指標
当社グループは、2021年度からスタートした中期経営計画「EWAY Future & Beyond」においては、売上収益・利益に関しては、社会環境や開発品の承認状況に大きく左右されることから中長期での数値目標は設定していません。その代わりに、年次事業計画を精緻に策定しています。2023年度の業績予想は以下のとおりです。
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2023年度業績予想 |
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売上収益 |
7,120億円 |
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営業利益 |
500億円 |
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親会社の所有者に帰属する当期利益 |
380億円 |
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ROE*1 |
4.9% |
*1 ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)
= 親会社の所有者に帰属する当期利益÷親会社の所有者に帰属する持分
上記に加え、中長期の経営指標として平均ROEを掲げています。中長期的に平均10%、2025年度は15%以上を目安としています。
④ 新型コロナウイルス感染症の影響
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)については、2022年度の当社グループ連結業績への重大な影響はありません。将来の財政状態・経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性については、「3 事業等のリスク(4)その他 新型コロナウイルス感染症」に記載しています。
(3)資本政策の基本的な方針
当社グループの資本政策は、財務の健全性を担保した上で、株主価値向上に資する「中長期的なROE経営」、「持続的・安定的な株主還元」、「成長のための投資採択基準」を軸に展開しています。
① 中長期的なROE経営
当社グループは、ROEを持続的な株主価値の創造に関わる重要な指標と捉えています。「中長期的なROE経営」では、売上収益利益率(マージン)、財務レバレッジ、総資産回転率(ターンオーバー)を常に改善し、中長期的に正のエクイティ・スプレッド*1を創出すべく、資本コストを上回るROEを目指していきます。2025年度にはROE15%以上、エクイティ・スプレッド7%レベルの達成を意識しています。
*1 エクイティ・スプレッド=ROE-株主資本コスト
② 持続的・安定的な株主還元
当社グループは、健全なバランスシートのもと、連結業績、DOE*2およびフリー・キャッシュ・フローを総合的に勘案し、シグナリング効果も考慮して、株主の皆様への還元を継続的・安定的に実施します。DOEは、連結純資産に対する配当の比率を示すことから、バランスシートマネジメント、ひいては資本政策を反映する指標の一つとして位置づけています。自己株式の取得については、市場環境、資本効率等に鑑み適宜実施する可能性があります。なお、健全なバランスシートの尺度として、親会社所有者帰属持分比率、負債比率(Net DER)*3を指標に採用しています。
*2 DOE(親会社所有者帰属持分配当率)= 配当金総額÷親会社の所有者に帰属する持分
*3 負債比率(Net DER)= (有利子負債(借入金)-現金及び現金同等物-3カ月超預金等
-親会社保有投資有価証券等)÷親会社の所有者に帰属する持分
③ 成長のための投資採択基準
当社グループは、成長投資による価値創造を担保するために、戦略投資に対する投資採択基準を採用し、リスク調整後ハードルレートを用いた正味現在価値と内部収益率スプレッドにハードルを設定し、投資を厳選しています。
(4)ESGをはじめとする非財務価値向上と情報開示
当社グループは、hhc理念を根幹として事業を展開する中、地球環境の負荷低減(環境)、医薬品アクセス向上、人権の尊重、社員の人財育成(社会)、経営の公平性と透明性の確保(ガバナンス)等、ESGへの取り組みを強化してきました。これらの取り組みは、国連サミットで採択された国際的な目標であるSDGs(持続可能な開発目標:Sustainable Development Goals)と一貫したものと位置づけており、非財務の価値として当社グループの企業価値向上にもつながっていると考えています。
ESGの中でも特に、グローバルな医薬品アクセスの課題解決への取り組みを、当社グループの責務であるとともに、将来への長期的な投資であると考え、政府や国際機関、非営利民間団体等との官民パートナーシップのもと、積極的に推進しています。開発途上国および新興国に蔓延する顧みられない熱帯病(NTDs)の一つであるリンパ系フィラリア症を制圧するため、その治療薬である「DEC(ジエチルカルバマジン)錠」を当社グループのインド・バイザッグ工場で製造し、本剤を必要とするすべての蔓延国において制圧が達成されるまで、世界保健機関(WHO)に「プライス・ゼロ(無償)」で提供しています。2023年3月末までに29カ国に21.3億錠を供給しました。さらに、日本発のグローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)、NTDsに対する新薬開発の経験豊富な非営利団体/非政府組織とのパートナーシップのもと、マイセトーマ(菌腫)をはじめとするNTDs、結核、マラリアに対する新薬開発やエビデンスの創出による制圧を推進しているほか、疾患啓発活動などにも取り組んでいます。当社グループは、2022年6月、ルワンダ共和国の首都キガリで開催された「マラリアとNTDsに関するキガリ・サミット」において発表された、NTDs制圧に関する「キガリ宣言」に署名し、今後もNTDs制圧支援を継続することを表明しました。
環境については、2022年4月に「エーザイ環境経営ビジョン」を策定しました。2040年度にカーボンニュートラル達成を目標とする気候変動対策に加え、水の効率的利用、資源の循環利用、生物多様性の保全、化学物質の適正管理等の環境課題に対する中長期目標を定めて取り組みを進めています。気候変動対策の一つとして、再生可能エネルギーの導入率を計画的に高めるなど、当社グループ全体で、低炭素社会の形成に向け積極的に取り組んでいます。また、水資源について、リサイクルを含む効率的な利用および水質保全に資する高質な排水処理によって持続可能な利用の実現をめざすとともに、廃棄物の適正処理と資源の有効利用に取り組んでいます。気候変動が企業に与える影響についてリスクと機会を分析し、情報開示を求める国際的なフレームワークTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosure)に沿った分析を行い、気候戦略の強靭性を高めるべく検討を重ねました。分析結果は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取り組み(2)サステナビリティに関する「戦略」と「指標と目標」③気候変動に関する取り組み」に記載しています。
人権については、ガイドラインとして国際的に認知されている国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に則った人権方針の作成、人権デューデリジェンスの実施など、さらなる非財務価値の向上に取り組んでいます。サプライチェーン全体で、人権、労働・安全、環境、倫理などのサステナビリティを重視した調達活動(サステナブル調達)を推進するため、製薬・ヘルスケアセクターの国際非営利団体であるPSCI(Pharmaceutical Supply Chain Initiative)に加盟しています。
なお、当社グループのESGをはじめとする非財務価値に関する情報は、IIRC(国際統合報告評議会)のフレームワークに基づき、価値創造レポート(旧統合報告書)や環境報告などでの開示に加え、当社ホームページに掲載しています。
(https://www.eisai.co.jp/ir/library/annual/index.html)
(https://www.eisai.co.jp/sustainability/index.html)
当社は、常に最良のコーポレートガバナンスを追求し、その充実に継続的に取り組んでいます。当社のコーポレートガバナンスに関する取り組みは、「コーポレートガバナンス報告書」をはじめとして、当社のホームページに掲載しています。
(https://www.eisai.co.jp/company/governance/index.html)
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)サステナビリティ全般に関する「ガバナンス」と「リスク管理」
① ガバナンス
当社は指名委員会等設置会社であり、経営の監督と業務執行を明確に分離しています。取締役会は業務執行の意思決定権限を執行役に大幅に委任し経営の監督に専念する一方、執行役は迅速かつ機動的な意思決定と業務執行に努めています。執行部門から独立した取締役会がステークホルダーズの視点で監督機能を発揮し、経営の公正性と透明性を確保しています。サステナビリティに関する取り組みは経営の重要課題であり、企業価値に影響を及ぼすリスクのひとつでもあるとの認識のもと、取締役会は長期的な企業価値の向上に関する経営課題(ESG課題)の定期的な報告に加え、個別の課題についても担当執行役から報告を受け、モニタリングを行っています。取締役会におけるサステナビリティに関する議論を充実させるため、hhcガバナンス委員会ではサステナビリティへの取り組み状況の点検を行うサブコミッティを設置し、関連する執行役との情報共有とディスカッションを実施しています。サブコミッティでの検討状況は、速やかにhhcガバナンス委員会に報告されます。
執行部門においては、当社のESGを含むサステナビリティ関連課題に対して、全社環境安全委員会や人権啓発推進委員会など、当該トピックを所管する執行役が議長を務める委員会を複数設置し検討しています。企業が尊重すべき人権課題など対象が広範な場合には、組織横断型のプロジェクトを設置して複数の執行役で検討・決議を行い、より上位での意思決定が必要な場合は執行役会に諮られます。これらの審議結果は、各執行役が負う適時適切な取締役会への報告義務に基づき、取締役会への報告が行われます。
また、持続可能な社会の実現や長期的な企業価値向上のための取り組みを任務とするサステナビリティ専任部署(サステナビリティ部)を置いており、各部門が対応する個別のサステナビリティ関連課題や社外の環境を俯瞰し、全社一体となった取り組みを可能とする体制を整備しています。サステナビリティ部は、当社がサステナビリティへの重要な貢献と位置付ける医薬品アクセス向上に関するイニシアティブの策定・実行も担当します。
さらに、CEOの諮問会議体として、社外有識者からなる「サステナビリティ アドバイザリーボード」を設置しています。本ボードは、医薬品アクセスに関する取り組みのさらなる充実をめざし2011年より開催していた「医薬品アクセス アドバイザリーボード」を前身とし、現在では医薬品アクセスをはじめとする様々なサステナビリティ関連課題に関し、高い見地よりアドバイスを得ることを目的として開催しています。
② リスク管理
当社のリスク管理については、「
(2)サステナビリティに関する「戦略」と「指標と目標」
① 医薬品アクセス改善に向けた取り組み
当社グループは、グローバルな医薬品アクセスの課題解決への取り組みを、我々の責務であるとともに、将来への長期的な投資であると考え、政府や国際機関、非営利民間団体等との官民パートナーシップのもと、積極的に推進しています。
(a) リンパ系フィラリア症(LF)の制圧: 開発途上国および新興国に蔓延する顧みられない熱帯病(NTDs)の一つであるLFの治療薬「DEC(ジエチルカルバマジン)錠」を当社インド・バイザッグ工場で製造しています。そして、本剤を必要とするすべての蔓延国において制圧が達成されるまで、世界保健機関(WHO)に「プライス・ゼロ(無償)」で提供します。2023年3月末までに29ヵ国に21.3億錠を供給しました。WHOのLF制圧プログラムを通してLF蔓延72ヵ国のうち17ヵ国で制圧が完了(うち4ヵ国に当社DEC錠を提供)し、世界のLF感染者数が2018年時点で2000年から74%減少しました。
(b) NTDsへの継続的な支援: 2012年に発表されたNTDsの10疾患の制圧に向けた国際官民パートナーシップである「ロンドン宣言」に唯一日本企業として参画し、LFを含むNTDs制圧に取り組んできました。「ロンドン宣言」以降、当社を含む製薬企業はこれまでに140億人分もの高品質な治療薬を無償提供してきました。本パートナーシップによる制圧活動により、47カ国において1つ以上のNTDsの制圧を達成し、6億人に対する治療介入が行われました。しかし、世界ではいまだ17億人の人々が、WHOが指定するNTDs20疾患の感染リスクにさらされています。WHOの制圧ロードマップ2021-2030に沿って、蔓延国のオーナーシップの向上に加え、国内外関係者のさらなるパートナーシップの強化によりNTDs制圧達成をめざす「キガリ宣言」が、2022年6月23日にルワンダ共和国・キガリで開催されたキガリサミットにおいて発表されました。エーザイは、「キガリ宣言」に署名し、今後もDEC錠の無償提供とNTDsに対する新薬開発を通じ、制圧支援を継続することを表明しました。
(c) 最も顧みられない熱帯病マイセトーマ対策への貢献: 2019年より、スーダン国内で活動している日本の国際NGO、難民を助ける会(AAR Japan)の支援・協力を行っています。活動開始以来、190名のマイセトーマ患者様に治療・手術を提供し、2,800人以上の住民への疾病啓発を実施し、現地に貢献してきました。2022年度からはAAR Japanと中期的なマイセトーマ対策目標を共有し、手術後の患者様への心理的ケアの提供や現地協力団体の能力強化も含め、より包括的かつ持続可能なソリューションの提供をめざして協業を拡大しています。
(d) NTDs、マラリアに対する新薬開発: 国際研究機関等とのパートナーシップを通じてNTDs、マラリアの新薬開発に積極的に取り組んでいます。日本発のグローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)などからの投資を活用し、大学等の研究者からのアイデアと、Drugs for Neglected Diseases initiative(DNDi)、Medicines for Malaria Venture(MMV)等の非営利研究組織との共同により、関係者の得意技を持ち寄るパートナーシップでのNTDsやマラリアに対する新薬開発を継続しています。
② 地球環境に配慮した事業活動
当社グループは、地球環境はhhc理念のもと、社会善を成すための事業活動の基盤ととらえています。人々の健康憂慮の解消と医療較差の是正という社会善の実現と環境保全に同時に取り組むことは私たちの責務であり、当社グループの環境活動の指針である「ENW環境方針」に加え、2022年度には「エーザイ環境経営ビジョン」を掲げ、環境保全活動を強化しています。このビジョンの下、温室効果ガス排出削減による脱炭素社会形成への貢献はもとより、水を含む資源の有効利用と適正な廃棄物処理による循環型社会形成への貢献、生物多様性保全の取り組みを通じた自然共生社会形成への貢献、化学物質の適正管理を明示しました。地球環境保全に対する社会的要請が高まる中、全社一丸となってビジネスの各段階における環境負荷低減を進め、国連総会で掲げられた「持続可能な開発目標:SDGs(Sustainable Development Goals)」の達成に取り組み、国連グローバル・コンパクト署名企業として社会的責任を果たしていきます。当社の取り組みは「CDP(*1) 気候変動レポート2022」、「CDP水セキュリティレポート2022」において、8段階のうち、どちらも上から2番目の「A-」評価 を獲得しました。また、化石燃料エネルギー消費削減に貢献している2022年の世界の上場企業トップ200社ランキング「Carbon Clean 200(*2)」に選出、S&P/JPXカーボン・エフィシェント指数への組み入れ等の外部評価を得ています。
*1:主要国の時価総額上位企業や自治体に対し気候変動・水・森林に関する情報開示を求め、分析・評価した上で、投資家、企業および政府に開示しているNGO(英国)
*2:メディア・調査会社であるCorporate Knights(カナダ)がNGOのAs You Sow(米国)と選定
(a) 循環型社会形成への取り組み
当社国内グループは、環境保全に向けて、廃棄物の適正処理と資源の有効利用に取り組んでいます。廃棄物発生量の削減、リサイクル率の向上、最終埋立量の削減を目標に廃棄物処理を進め、2022年度は15年連続でゼロエミッション(*)を達成する見込みです。
*:最終埋立量を廃棄物総発生量の0.5%未満とすること
(b) 生物多様性保全の取り組み
当社グループは、生物多様性の保全と生物資源の持続可能な利用に努め、地球環境との調和に基づく自然共生社会の実現に貢献することをめざしています。2020年8月に「生物多様性指針」を制定し、法令を遵守するとともに、事業活動の各段階における生物多様性への影響把握や改善に努めています。川島工園(岐阜県)では、敷地内にある自然豊かな日本庭園を管理するとともに、内藤記念くすり博物館の薬草園で絶滅危惧種を含む約700種の薬用および有用植物を栽培・保全しています。Eisai Pharmaceuticals India Pvt. Ltd.(インド)では、2020年度から環境啓発促進のための植林プログラムに取り組み、事業所のあるアーンドラ・プラデシュ州で2022年度に約2,000本を植樹し、合計約9,000本を植樹しました。
③ 気候変動に関する取り組み
当社グループは、2019年6月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、当提言が推奨する気候シナリオ分析を行い、結果を2020年度に開示しました。2022年度には、気候変動に関連するリスク・機会が当社グループに及ぼしうる影響の再評価のため、複数の気候シナリオを考慮した分析を再度実施しました。気候関連のリスク・機会、及びそれらに対処するための取り組みは、以下のとおりです。
(a) 気候変動リスクの概要
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分類 |
リスク・機会 |
エーザイへの財務影響 |
対策状況 |
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物理的 リスク |
生産活動の停滞 |
自然災害により工場等の操業が停滞することで売上高が減少する可能性がある。 サプライチェーンが自然災害の影響を受け、供給遅延・不足が生じ、生産活動の停滞が生じる可能性がある。 |
バックアップ生産体制を整備するほか、製品や原料の必要性に応じた期間分の在庫を確保することで、生産活動の停滞を予防している。 |
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自然災害による被害 |
従業員への被害や建物・設備・在庫の毀損が生じる可能性がある。 自然災害のリスクが高まることで保険料が増加する可能性がある。 |
生産拠点や倉庫において、洪水・浸水などのリスクの程度を確認し、発生しうる災害の程度を確認した上で被害予防策を講じている。 |
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健康リスクの増大 |
気候変動が世界の感染症リスクやヘルスケアシステムの機能低下をもたらす可能性がある。結果として、医薬品アクセス維持・向上のために必要な投資やコスト負担が増加する可能性がある。 |
NTDs制圧やマラリアを含む熱帯感染症に対する医薬品の開発に取り組んでおり、感染症蔓延地域への医薬品供給において官民パートナーシップによる効率的・効果的な医薬品アクセスの維持・向上に努めている。 |
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移行 リスク |
炭素税によるコスト増・エネルギーコスト増 |
炭素税価格や電力料金の上昇により、エネルギーコスト及び調達品の価格が上昇する可能性がある。 |
2030年を目標年とするRE100を前倒しで2023年度に達成する見込みである。 |
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追加的な設備投資 |
GHG排出量削減要請に応えるうえで、既存設備が陳腐化したり、追加的な設備投資が必要となる可能性がある。 |
2022年度からインターナル・カーボンプライシングを導入し、環境投資の着実な推進に取り組んでいる。 |
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低炭素製品化への要請対応 |
顧客からの低炭素製品への要請が強まり、包装材等をGHG排出量の少ない製品に切り替えるための追加コストが発生する可能性がある。 |
一部製品において低炭素型の包装容器(バイオプラスチック)を採用済であり、その他製品でも低環境負荷包材の導入を検討中である。 |
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信頼性の低下 |
エーザイでは2040年までのカーボンニュートラル達成に向けて目標を設定しているが、これが達成できない場合には株主・投資家等のステークホルダーズからの信頼性低下を招く可能性がある。 |
カーボンニュートラル達成に向けたロードマップを策定し、概要を開示している。ロードマップに従い2022年度からはインターナル・カーボンプライシングを導入するとともに、SBT1.5℃目標の申請を行い、環境への取り組みの着実な推進に取り組んでいる。 |
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機会 |
気候変動によるヘルスケアニーズへの対応 |
気候変動に伴って高まるヘルスケアニーズに対応する製品・サービスを提供することで、将来の市場機会の獲得につながる可能性がある。 |
マラリア等感染症治療薬の開発に取り組んでいる他、臨床試験のリモート化やICTを活用した健康管理のソリューション創出に取り組んでいる。 LF治療薬であるDEC錠をバイザッグ工場で製造し、WHOを通じて無償提供している。ブランド向上・市場機会獲得・稼働率向上・連結原価低減といった効果が今後も期待できる。 |
これらのリスクはリスク管理体制のもと顕在化防止に努めており、機会については事業計画の遂行を通じた実現をめざしています。
(b) 温室効果ガス排出削減
温室効果ガス排出にともなう気候変動問題は人類共通かつ喫緊の課題です。これまでに世界120ヵ国以上が2050年までにカーボンニュートラル(*)の実現をめざすことを宣言し、日本政府も2020年10月に同様の宣言を行いました。企業によるカーボンニュートラルへの取り組みも加速しています。当社グループは、気候変動の緩和に寄与するため、下記に示す科学的根拠に基づく中長期的な温室効果ガス排出削減目標(SBT2度目標)を設定し事業活動に基づくCO2排出量の削減に取り組んでいます。
1)温室効果ガスの排出量(スコープ1・2)を2030年度までに2016年度比で30%削減する
2)温室効果ガスの排出量(スコープ3、カテゴリー1:購入した製品・サービスに基づく排出量)を2030年度までに2016年度比で30%削減する
また、SBT1.5度目標への移行の準備を進めています。
そして、さらに取り組みを加速させるため、2021年5月に「2040年カーボンニュートラル宣言」を行い、新たな目標を掲げました。カーボンニュートラル達成に向けた2040年までの施策と計画を定めたロードマップを作成しており、進捗や外部環境の変化に合わせて毎年見直すことにしています。省エネルギーの継続に加え、再生可能エネルギー導入の拡大、営業用車両のハイブリッド車・電気自動車への切り替え、先端技術の積極的な導入等を進めていきます。また、取引先との協働により、サプライチェーンにおける温室効果ガス排出削減も強化していきます。
*:温室効果ガスの排出量と吸収量をプラスマイナスゼロの状態にすること
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指標 |
目標 |
実績 (2021年度末) |
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Scope1+2 CO2排出量 |
2030年度:62%削減(2016年度比) 2040年度:実質ゼロ |
44.6%削減(*) |
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Scope3カテゴリ1 CO2排出量 |
2030年度:30%削減(2016年度比) |
21.3%増加 |
*:2022年度のScope1+2 CO2排出量は約50%削減となる見込みです。
(c) 再生可能エネルギーの導入促進
当社グループは、再生可能エネルギーを積極的に導入しています。本社、川島工園、筑波研究所、エーザイ物流では電力の一部をグリーン電力(*)に切り替えました。海外でも、バイザッグサイト(インド)では太陽光発電による電力を調達し、エクストンサイト(米国)では自ら太陽光で発電して自家消費を行うとともにグリーン電力を調達しています。さらに欧州ナレッジセンター(英国)でもグリーン電力を利用する等、海外の主要な事業所において再生可能エネルギー導入率100%を達成しました。これらの取り組みにより、2022年度の総電力消費における再生可能エネルギー比率は95%以上となりました。今後も再生可能エネルギーの導入を計画的に進め、さらなるCO2排出量の削減に努めていきます。
*:太陽光や風力、水力等の再生可能エネルギーで作られた電力
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指標 |
目標 |
実績 (2022年度末) |
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電量使用量の再生可能エネル ギー比率 |
2030年度:100% |
95.4% |
(d) 営業用車両における取り組み(国内グループ)
当社国内グループは、営業活動によるCO2排出量を削減するため、営業用車両のハイブリッド車への切り替えを順次進めています。2022年度における導入率は90%を超えています。さらに、2019年度下期から電気自動車の導入も開始し、燃費性能の高い車両への移行によってCO2排出量の削減に努めていきます。
④ 人財価値の最大化に向けた基本的な考え方
当社グループは定款において、社員を企業理念(hhc理念)の実現に向けた社の重要なステークホルダーと定め、「安定的な雇用の確保」、「人権および多様性の尊重」、「自己実現を支える成長機会の充実」、「働きやすい環境の整備」を掲げています。
hhc理念においては、日常や医療領域で生活する人々との共感から一人ひとりの憂慮を見出し、「一人ひとりの“生ききる”を支える」ことを目指すとしており、このhhc理念が当社におけるすべての活動の根幹となっています。hhc理念をベースとした経営方針や戦略がグローバル全社員に共有され、深く浸透していることが、当社の最大の強みであり、hhc理念の浸透を目的とした年間500以上の患者様貢献活動をグローバルで継続的に実施するなど、人財育成の基本もhhc理念の理解と実現に向けた強い意志に根ざしています。
当社グループは、定款やhhc理念のもと、多様な人財が強みや特性を最大限発揮することにより進化する人財の集合体企業となり、患者様、生活者の皆様のみならず、広くグローバル社会に貢献することを目指しています。
また、患者様から生活者の皆様まで広く貢献を果たすhhceco企業へと進化し、更なる社会善の実現をめざす当社にとって、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の推進は最重要テーマの一つです。2012年に代表執行役CEOが「エーザイ・ダイバーシティ宣言」を発信して以来、国籍・性別・年齢などを問わず多様な価値観を持つ人財が活躍できる風土づくりを進めています。さらに、すべての従業員に対し平等で差別のない職場環境を提供することを定めたコンプライアンスポリシーは、1万人以上のグローバル社員に浸透しています。
(a) グローバルでの多様性の確保
当社グループでは役員(取締役および執行役)の多様性確保に取り組んでおり、2002年に外国人取締役、2006年に外国人執行役、2009年に女性取締役、2013年に女性執行役を登用し、2023年3月31日時点で役員33名のうち外国籍5名、女性5名となっています。グローバル企業として現地法人のマネジメントへの現地人財登用を進めており、アメリカス、EMEA、中国各リージョンのマネジメントに当社執行役である現地人財を配置しています。また、本社、グローバル各リージョン、各部門においては、コミッティーの立ち上げや、プロジェクトの推進など、社員の多様性確保に向けた活動を継続しています。その結果、グローバルでの女性管理職比率は約35%となっています。
一方日本国内では、諸外国と比較して、ジェンダーをはじめとする多様性の確保において依然として課題を有しており、多方面からの対策が急務です。当社における外国籍人財の登用については、2013年度より留学生採用を開始し、継続的に人財確保することを目標としています。採用開始以来、2014年度、2017年度を除き、採用を実現しています。中途採用者の管理職への登用については、昇進・昇格において不利益のない公正な審査を行うとともに、リファラル採用制度を導入するなど、社外人財の確保を進めています。また、国内の障がい者採用については、法定要件を目安としつつ、継続して採用活動を行っています。
当社は、国籍・ジェンダー・年代等の違いや国境を超えた多様な社員一人ひとりが、自律したプロフェッショナル集団を形成し、多様性がもたらす知のスパイラルを実現することで、イノベーション創出につなげるべく「エーザイ ダイバーシティ&インクルージョン2021」を掲げ、2030年度までを計画期間とする以下の目標およびアクションプランを設定し、取り組んでいます。また、多様な人財がそれぞれの役割において活躍できるよう、様々な研修プログラムも推進しています。
[目標1]社員および管理職層の女性比率30%以上
多様な価値観とリーダーシップによる意思決定や人財育成を可能とする組織への転換をはかり、社員一人ひとりの個性や強みが経営および日常業務に反映される環境を構築します。また、女性社員が直面するライフイベントに関わらず、各々が自身のキャリアプランを描き、継続的な価値を生み出す人財となるべく、様々な研修プログラムを通じて女性社員を育成しています。
[目標2]ベテランならではの挑戦機会を増大
長年積み重ねてきた経験と知識を単に若手に伝えるだけではなく、自身の将来をも俯瞰した学び(リスキル)を続けることで社内外から期待される役割に応える“輝くTAKUMI(*)”として、組織の活性化や知のスパイラルの実現に貢献するベテラン層の輩出をめざします。
*:hhc理念具現化のフロントランナーとして、新たな価値創造への挑戦と次世代人財の育成において自らの存在意義を見出しているベテラン社員
[目標3]30代以下の若手マネジメント比率20%以上
マネジメント層の多様性を一層高め、新たな発想が意思決定に活かされる環境構築を加速すべく、若手社員のマネジメントへの登用とマネジメントスキルの醸成に向けた研修を進めます。
[目標4]男性社員の配偶者出産・育児休暇取得50%以上
男性社員の育児参加をサポートすべく、様々な施策を通じて、配偶者出産休暇、育児休暇の取得を推進しています。
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指標 |
目標 |
実績 (2022年度) |
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社員の女性比率 |
2030年度:30%以上 |
26.6% |
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管理職層の女性比率 |
2030年度:30%以上 |
11.9% |
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30代以下組織長比率 |
2030年度:20%以上 |
11.5% |
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配偶者出産休暇・育児休職を併せて5日以上取得した対象男性社員の比率 |
2030年度:50%以上 |
72.1% |
*:各指標は当社の目標及び実績になります。
(b)人財価値最大化に向けた取り組み
当社は、「社員の健康」、「社員の働き方」、「社員の成長」と、その結果として実現する「事業成長」を人事戦略の基軸として、hhc理念の浸透、社員の自律性を高め自己実現を支援するための教育・研修、就業環境の整備へ積極的に投資し、人財価値の最大化をはかっていきます。
イ) 社員が安心・安全に働くことのできる環境の追究(「社員の健康」)
当社は2019年6月に「エーザイ健康宣言」を発効し、hhc理念実現の担い手である従業員の健康を最重要事項と位置付け、従業員の健康維持・増進活動(Well-Being経営)を強く推進しています。2022年4月には、第2期の重点戦略事項として、「ヘルスリテラシーの向上」、「からだの健康」、「こころの健康」の3つを設定し、従業員が心身健康に働いていくこと、さらには従業員だけではなく、ご家族の健康維持・増進も視野にいれた取り組みや環境整備についても、検討を進めています。ヘルスリテラシーレベルを把握したうえで各種施策を推進し、リテラシー向上を通じて、いきいきと自分らしく生きる「からだ」と「こころ」の健康を保つことが重要と考えています。
なお、健康宣言に定める重点戦略事項は、当社の健康経営施策の推進状況や従業員の健康状態、社会的要請も俯瞰して3年単位で改定することとし、次回は2025年の改定を予定しています。
<具体的な取り組み>
当社は、「従業員の健康維持・増進」と「働き方改革」への取り組みは一体不可分であるとの認識のもと、社員のWorkとLifeのBestを追究するWork Life Best(ワーク・ライフ・ベスト:WLB)をコンセプトとする就労環境整備とともに、従業員の健康管理、タイムマネジメント、長時間労働の是正等を進めてきました。2019年には、各施策の構築・推進の加速と強化を企図して、人事労務諸施策の企画推進機能と健康推進機能を統合し、CHRO(チーフHRオフィサー)傘下の労務政策部に企画・健康推進グループを設置しました。企業(事業主)として実施する健康経営と、エーザイ健康保険組合等が実施するデータヘルスの一体的な推進をめざして取り組んでいます。また、健康経営の推進に向けた戦略マップを作成し、従業員の健康維持・増進を推進する活動を鋭意進めています。
ロ) 多様な働き方実現による、生産性・効率性の追究(「社員の働き方」)
当社は1990年4月に「エーザイ・イノベーション宣言」を発出し、「エーザイは社員全員にとって自己発現のよき器でありたい」との考えを定めて以来、社員一人ひとりが活躍できる就労環境の構築や、パフォーマンスを最大限発揮できる働き方の実現に向けた取り組みを進めています。また定款には、「働きやすい環境の整備」を明記しており、社員一人ひとりを取り巻く環境や価値観は多種多様であるとの考えのもと、社員のWLBをコンセプトに、多様な社員が様々な環境下でも生産性高く、健康的に、自分らしく仕事へ取り組める就業環境を整備しています。社員のWLBを追究していくことは、結果として、その人らしく“生ききる”を支えていくhhcecoシステムの構築へとつながっていくものと考えています。
<具体的な取り組み>
当社は、リモート化が定常化する中において、オフィスを「リモートでは得られない価値を社員に提供する場」、「チームの共創の場」、そして「hhc共同化による共感の場」として再定義しています。一方で、コミュニケーションツールを駆使し、社員一人ひとりが担う仕事を進めるにあたり、いつ、どの場所で仕事をすることが最も生産性が高く創造的成果発現に寄与するかを考えながら、働く環境や場所を選択できる働き方(ABW:アクティビティ・ ベースド・ワーキング)改革を段階的に実行しています。本社オフィス、米国、英国の主要拠点においても同様のコンセプトに基づくオフィス改革を実施し、デジタルツールを活用したコミュニケーション改革を進めています。また、当社は以下の休暇・休職制度に加え、2023年4月には、ワーケーション制度、副業制度を導入するなど、社員の多様な働き方を推進しています。
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対象 |
主な制度 |
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出産、育児、介護、療養 |
つわり休暇、育児休暇、出産時育児休暇、介護休暇・休職、配偶者出産休暇、育児・介護短時間勤務、看護休暇、長期療養休暇 |
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自己啓発 |
自己啓発・社会貢献休暇、私費留学休職 |
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その他 |
ドナー休暇、配偶者海外赴任帯同休職 |
ハ) 社員の自己実現に向けた成長機会の提供(「社員の成長」)
当社は、患者様・生活者の皆様を中心にものごとを考えるhhc企業であり、患者様・生活者の喜怒哀楽を知るための努力を継続しています。ますます多様化する患者様や生活者の皆様のニーズに応えうる多様性を備えるため、社員が自身の将来を明確に見据え、hhc理念の実現や自己実現のために自律的に成長し続けることを支援するとともに、その挑戦を称賛する企業風土の醸成を進めます。
<具体的な取り組み>
当社は、あらゆる階層の研修プログラムに、「共同化」の機会を設けるとともに、hhc理念の浸透を目的とし、患者様貢献活動を継続的に実施しています。
また、当社では、社内外の方々と信頼を構築し、挑戦し、社会に価値を提供し続ける人財がいきいきと成長できる環境の実現をめざしています。そのために、自らの意志と責任で選択・挑戦し、研鑽する「学び方改革」を始動しました。プログラムの内容や参加者等を会社が指定するスタイルから、オンライン研修の活用などにより、カリキュラム、時間と場所等の自己選択の幅を拡大し、個人の特性・志向・ニーズに応じて自らが選択し、自主的に挑戦するスタイルの研修プログラムに移行しています。また、社内外への越境機会を拡大し、より幅広いキャリア開発の機会提供を進めています。加えて、個人のキャリア形成と業務を通じた自己成長の加速に向けて社員と上長との1対1のミーティングの実施を促進しています。また、自己啓発や社会貢献活動を実施する際に利用可能な特別有給休暇制度の導入、研修参加者の学びを共有する場として組織内外のメンバーが参加するオンライン対話の促進等、ハード/ソフトの両面における新たな施策に取り組んでいます。
二) 挑戦を称賛する企業風土・組織体制の実現を通じた持続的な事業成長(「事業成長」)
当社は、hhc&コンプライアンスを人財のコアバリューに据えるとともに、社がめざす姿と社員が成し遂げたいことをすり合わせ、社員一人ひとりがhhc理念に強く共感しながら、やりがい・働きがいをもって日々の業務を遂行し、同時に社員自身の成長・自己実現を支えていく環境や制度を提供することで、社会善を効率的に実現することを目指しています。また、データに裏打ちされた意思決定を通じて、多様性に富んだ人財・組織を有機的に結合し、社会課題へのソリューションを創出できる組織体制や人事制度を構築すると同時に、挑戦の結果起きる変化や失敗を受け入れる企業風土を醸成することで、社会的価値の高い企業へと進化することを目指しています。
<具体的な取り組み>
i.従業員のエンゲージメント向上
社員が仕事と会社の両者に愛着をもち、やりがい、働きがいのもと生産性を高めることが、患者様、顧客満足および業績向上につながるということを人財戦略の根幹に据えています。当社では、2020年5月に従業員エンゲージメントの月次サーベイを導入し、スコアに基づく職場での話し合い、改善を継続しています。また、2022年より、グローバルなエンゲージメントサーベイを導入し、全グループ会社で、働きがいの向上を通じた顧客貢献を推進しています。2023年3月に実施した第二回調査においては、高エンゲージメントの社員はベンチマークを上回る85%でした。データの分析を進め、社員のエンゲージメント向上につながる施策の検討を進めていきます。
ii.組織・人財マネジメントの最適化
当社では、経営戦略を実行する人財基盤を最大化していくため、定性的な情報活用に加え、ピープルアナリティクス(社員や組織に関するデータ収集・分析)により社員のエンゲージメントの可視化を行っています。得られた定量的な情報を活用することで、人財ポートフォリオ分析や最適配置分析を行い、データに基づいた効果的な人事戦略を実行し、人財一人ひとりがパフォーマンスを最大限に発揮できる機会の提供を目指します。
また、新たなビジネスモデルの中核となるデジタルトランスフォーメーション(DX)戦略の実現に向け、データサイエンティストやエンジニアといった専門人財を積極的に採用し、人財基盤の強化を進めています。2022年度には、14名のDX人財を採用するとともに、当社のDXを推進するリーダーの育成にも注力していきます。
なお、グローバルな重要ポジションについては、サクセッションプランニングのプロセスを年次で実施することにより、国籍・ジェンダー・年代等の多様性を確保した次世代リーダーの選定、育成、登用を行っています。
⑤ 人権尊重への取り組み
当社グループは、人権をビジネス活動における最も普遍的でファンダメンタルな要件と認識し、「国連ビジネスと人権に関する指導原則」、「OECD多国籍企業行動指針」及び「多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言(ILO多国籍企業宣言)」をはじめとする国際スタンダードに則った人権尊重の取り組みを進めています。2019年3月には、業務執行の最高意思決定機関である執行役会の承認と取締役会の了承を得て、「ENW人権方針」を策定しました。当社の事業による影響を受ける主要なステークホルダーである「患者様と臨床試験の参加者」、「従業員」、「ビジネス・パートナー(サプライチェーン上のステークホルダー)」について、人権に負の影響を及ぼす可能性のあるリスクを特定し、回避・軽減するための施策を行い、実施状況をモニタリングして結果を開示するサイクルを回す人権デューデリジェンスを実施しています。
(a) サプライチェーンにおける人権への取り組み
2022年9月に人権に関する日本政府の指針として「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」が発出されました。グローバルでビジネスを展開するにあたり、日本企業にはサプライチェーンやビジネス上の関係先の人権リスクを軽減していく努力が強く求められています。当社グループも「サプライチェーン上の人権」を優先して取り組むべき課題として認識し、直接材の一次サプライヤーおよび(一次サプライヤーが商社・卸である場合には)二次サプライヤーのお取引先を対象とするサステナブル調達を実施し、説明会等による人権尊重の取り組みの重要性の浸透、サステナビリティ評価によるお取引先の人権尊重への取り組み状況の把握と人権課題の抽出に努めています。さらに、サプライチェーン上流での人権リスク調査にも取り組み、錠剤の艶出しに使用されるカルナウバワックスのトレーサビリティ調査を2021年度より開始し、2022年度に原産地企業の特定と認証機関(Fair for life)の認証済原料であることを確認しました。
(b) 従業員の人権への取り組みおよび患者様と臨床試験の参加者への取り組み
従業員の人権への取り組みについては、「④人財価値の最大化に向けた基本的な考え方」をご参照ください。
患者様の人権への取り組みは、「① 医薬品アクセス改善に向けた取り組み」をご参照ください。
臨床研究においては、臨床試験にご参加頂く方の人権を尊重し安全に最大の配慮を行うため、ICH-GCPを遵守し、患者様の自由意思による同意(インフォームド・コンセント)を得て、各国の規制要件、社内基準および治験実施計画書に従って臨床試験を実施しています。さらに、治療選択肢を包括的かつ公平に提供するために、臨床試験における多様性の取り組みを中核的なコミットメントのひとつに位置づけ、民族・人種・性別・年齢・社会経済状況・性同一性・居住地・身体能力に関わらず、すべての患者様の臨床試験へのアクセス拡大に努めています。
(c) 人権の教育・研修
人権尊重を基盤におくビジネス活動を推進するため、当社及び国内グループ会社の役員、従業員を対象として、人権啓発研修、講演会の開催、人権標語の募集などの活動を行っています。2022年度は、「全ての社員がいきいきと働ける職場の推進」をテーマとして、「社内の取り組みの共有」と「一人ひとりの価値観の尊重できる職場」を取り上げてオンライン形式による人権啓発研修を行い、国内グループ会社の従業員5,147名が受講しました。また、「障がい者の方の思いや悩み、心情を共有し、人権尊重活動に繋げる」ことを目的に、外部から障がい者当事者様を講師として講演会を開催し、ライブ講演と動画配信の受講者合わせて6,875名(重複を含む)が聴講しました。
(d)法制化への対応
グローバルで企業の人権への取り組みを義務化する法制化が進んでおり、企業は法令遵守の観点から誠実に対応していく必要があります。2022年に欧州議会に提出された「企業サステナビリティ・デューデリジェンスに関する欧州連合(EU)指令案」は、EU域外企業にも人権デューデリジェンスの実施を義務化するものであり、当社も該当する可能性が高いことから、関連部署の担当者を対象として社外専門家によるセミナーを開催し、課題の共有を図りました。
⑥ サステナブル調達
企業には、サプライチェーン全体で、人権、労働・安全、環境、倫理などを重視した持続可能な調達活動(サステナブル調達)が求められています。サステナブル調達により、サプライチェーンにおける人権侵害や環境問題の発生を未然に防止し、堅固で持続可能なサプライチェーンを構築することが可能になります。こうした活動は、業界全体で推進することが、効率的かつ効果的であることから、当社は、2021年より、製薬・ヘルスケアセクターのグローバルな非営利団体であるPSCI(Pharmaceutical Supply Chain Initiative)に加盟しており、PSCIの行動規範(PSCI原則)を尊重し、取引先とともにサステナブル調達に取り組んでいます。
取引先への働き掛けとして、当社グループの取り組み方針の説明、PSCI原則に準拠して策定された「ビジネス・パートナーのための行動指針」(以下行動指針)への同意書の提出、サステナビリティ調査を行うEcoVadis SAS(フランス)のプラットフォームを利用した取引先のサステナビリティ評価、評価結果のフィードバックによるエンゲージメントを実施しています。
2022年度は、サステナブル調達の対象を当社海外工場の直接材の取引先に拡大しました。当社海外工場のうち中国とインドの2工場について、主要取引先40社(取引額ベースで90%以上をカバー)を対象として実施し、38社から行動指針への同意書を提出頂き、20社のEcoVadisサステナビリティ評価を完了しました。国内工場の直接材の取引先については、新規に56社に取引先説明会に参加頂き、53社から同意書の提出を頂きました。
また、サステナビリティ評価結果をベースとした対話により、優先して改善すべきポイントを共有するため、取引先とのリモート面談を進めています。
2022年9月に当社グループの全ての調達活動において遵守すべき事項を定めた「ENWグローバル調達スタンダード」を策定しました。同スタンダード中においてサステナブル調達の推進を要件の一つとして定めており、2023年度からは、間接材についても、取引額が一定の基準以上の場合には、行動指針への同意を要請していきます。
⑦ コンプライアンスに関する取り組み
(a) コンプライアンスの推進
(b) コンプライアンス・カウンターの活用
(c) お取引先様コンプライアンス通報窓口
(a)コンプライアンス推進、(b)コンプライアンス・カウンターの活用、(c) お取引先様コンプライアンス通報窓口については、「
(d) 贈収賄・汚職の防止
当社グループは、誠実なビジネス活動への強い想いに基づき、2012年1月に「ENW贈収賄・汚職の防止に関するポリシー」を定めました(2018年10月1日全面改定)。これは、社外関係者と接触する際のENW共通のルールであり、すべてのENWにおいて贈収賄・汚職のないビジネス活動を推進しています。具体的な取り組みの一つとして、当社グループが新規に取引を予定している企業に対し、事前に贈収賄・汚職の可能性に関する質問書への回答を求めるグローバル共通のABAC(Anti-Bribery and Anti-Corruption: 贈収賄・汚職の防止)デューディリジェンスシステムを導入しており、新規取引に伴うリスクの低減に一定の成果を得ています。本システムは、リスクアプローチの考えのもと、メキシコ、ブラジル、カナダを含むアメリカ地域、ロシアや東欧を含む欧州地域、中国、インドやアジア諸国で稼働させています。また、会計・財務データをモニタリングすることで、不正の兆候を発見するシステムをグループ会社において導入しています。
(e) コンプライアンスに則ったプロモーション
当社グループは、グローバルにコンプライアンスに則ったプロモーション活動を行っています。また、企業活動が高い倫理性のもとに行われていることを広く社会にご理解いただくため、日本製薬工業協会(製薬協)や各国で定める法令・ガイドラインに則り、医療機関等および患者団体に対する支払いを公開しています。
イ) コンプライアンス・ハンドブックに行動指針を規定
当社グループでは、全社員に配付される「コンプライアンス・ハンドブック」に、コンプライアンスに則ったプロモーションを行うための行動指針を規定しています。以下はその抜粋です。
•エーザイネットワーク企業(ENW)は、世界各地で医薬品の販売とプロモーションを行っています。私たちは、現地の規制当局が承認した、適正使用に関する科学的かつ正確な情報を提供し、プロモーションを行っています。
•「プロモーション」とは、医療従事者を対象として、インターネットを含むすべてのコミュニケーション手段を通じて、医薬品の処方、推奨、供給、投与、または消費を促進するために実施、企画、または後援するあらゆる活動を指しています。
•医療従事者と交流を行う際には、自国での規制およびルールに精通していることが求められ、自国以外で医療従事者と交流する際にはその国の規則およびルールを確認する必要があります。
•未承認、適応外、適応追加前、あるいは科学的根拠のないプロモーションは、厳格に禁止されています。すべてのプロモーション資材は自国のプロセスに従って、レビューおよび承認される必要があり、承認された目的にのみ使用できます。
ロ) エーザイ株式会社コード・オブ・プラクティスの制定
国際製薬団体連合会(IFPMA)は2012年3月に、マーケティング活動だけではなく、医療関係者、医療機関、患者団体との交流、および医薬品のプロモーションを対象とした「IFPMAコード・オブ・プラクティス」を発表しました。当社が会員会社となっている日本製薬工業協会(製薬協)は、「IFPMAコード・オブ・プラクティス」の趣旨に則り、「製薬協コード・オブ・プラクティス」を制定、施行しました。当社は「製薬協コード・オブ・プラクティス」の趣旨に則った「エーザイ株式会社コード・オブ・プラクティス」を制定しました。当社グループの全役員・従業員は、同コードに則り、常に高い倫理性と透明性を確保し、研究者、医療関係者、患者団体等との交流に対する説明責任を果たし、社会の信頼に応えていくべく、各々の活動を推進しています。
⑧ 情報セキュリティへの取り組み
IT・デジタルの活用が進展する一方で、年々、高度化・巧妙化するサイバー攻撃によって、操業停止等、事業活動への影響が生じる可能性が高まっています。その結果、以前にも増して情報セキュリティ体制の強化が必要となっています。
また、当社グループは、個人情報や未公開情報を含めた多くの重要情報を保有していますが、そのような重要情報が社外に流出した場合、信頼や競争優位性を大きく失うこととなります。特に、近年は個人情報保護に関するグローバルな要請に的確に対応することが求められてきています。また、創薬段階の未公開構造式などの流出は特許の申請・取得に対して影響を及ぼします。当社グループの信頼あるいは競争優位性の低下が生じた場合には、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
サイバー攻撃等による重要業務の中断や個人情報・秘密情報等の漏えいを防止するため、チーフインフォメーションセキュリティオフィサーのリーダーシップの下、システムインフラのセキュリティ強化に加え、情報管理に関する規程等を整備し、役員・従業員へ日常業務における情報管理教育、サイバーセキュリティ訓練などを実施し、グローバルな情報セキュリティに関する継続的なガバナンス強化と施策の実行に取り組んでいます。
⑨ 知的財産投資への取り組み
当社グループが、研究開発やビジネス活動に投資し、その過程で得られた成果として、独自に開発した技術や製品を法的に保護し、有効活用することは、企業が持続的に成長・発展し、患者様へ安定して医薬品をお届けするために欠かすことのできないものです。そのため当社では、特許取得など、知的財産に関する諸活動を戦略的に進めています。
なお、
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクや不確実性は、次のとおりです。ただし、これらは当社グループに係るすべてのリスクや不確実性を網羅したものではなく、現時点において予見できない、あるいは重要とみなされていない他の要因の影響を将来的に受ける可能性があります。
当社グループを取り巻くリスクや不確実性に関して、当社グループでは執行役会などの意思決定機関において定期的に議論し、これらのリスクや不確実性を機会として活かす、あるいは低減するための対応を検討しています。その検討結果は取締役会へ報告・議論されており、以下に記載したリスクや不確実性には執行側だけでなく取締役会における議論も反映しています。
なお、これらは当連結会計年度末現在において判断したものであり、文中の将来に関する事項はその発生あるいは達成を保証するものではありません。
(1)企業理念
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企業理念に もとづく経営 |
当社は、企業理念であるヒューマン・ヘルスケア(hhc)理念の主役を「日常と医療の領域で生活する人々」ととらえ直し、従来の「患者様とそのご家族」から「患者様と生活者の皆様」へと貢献すべき主役を拡大しました。2022年6月に定款の一部を変更し、患者様と生活者の皆様の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献することを企業理念として定款に規定しステークホルダーズと共有しており、これらを「Purpose」としてとらえています。また、その実現の結果として得られる患者様と生活者の皆様のベネフィット向上が、長期的に当社グループの業績および企業価値の向上につながると考えています。2021年4月からスタートした中期経営計画「EWAY Future & Beyond」の戦略意思ならびに2022年5月に発出したhhceco(hhc理念+エコシステム)宣言における他産業との連携を推進するビジネスモデル構築についても企業理念であるhhcに依拠したものであり、人々の健康憂慮の解消と医療較差の是正という社会善を効率的に実現する企業として患者様の真のニーズを理解することによって生まれる強い動機付けが当社グループのイノベーションの源泉となっています。また、患者様価値を創出するための新薬の研究・開発の更なる推進、高品質な製品の生産・販売、医薬品の安全な使用を実現するための情報の管理・提供等を統制のもとで推進する重要性を「インテグリティ」としてとらえています。リンパ系フィラリア症の治療薬の無償提供をはじめとする医薬品アクセス向上や、認知症と共生する「まちづくり」への取り組みなど、ESGへの取り組みもこの理念を根幹として展開しています。 従って、企業理念の当社グループへの浸透の不徹底と理念実現に向けた経営の実践の停滞など、患者様と生活者の皆様がベネフィット向上を十分に得るうえでの阻害要因が生じた場合には、当社グループの業績のみならず非財務価値を含めた企業価値向上に重要な影響を及ぼす可能性があります。 |
(2)事業戦略
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レカネマブと次世代AD治療剤の価値最大化 |
当社グループは、中期経営計画「EWAY Future & Beyond」においても、抗アミロイドβプロトフィブリル抗体レカネマブ(一般名)をはじめとする次世代アルツハイマー病(AD)治療剤の価値最大化を最重要戦略の一つと定めています。その過程において、新たに疾患を認識してから診断、治療、その後の生活に至るまでに患者様がたどる道のり(ペイシェント・ジャーニー)に則った疾患啓発と浸透、認知機能検査・アミロイドβ検査(PET(陽電子放射断層診断)・CSF(脳脊髄液)・血液バイオマーカー等)による診断法の確立、安全性確保のためのフォローアップ体制の整備を通じたシンプルなペイシェント・ジャーニーの構築を目指しています。これらが遂行できない場合、患者様に次世代AD治療剤を十分にお届けできない可能性があり、将来に期待していた収益が得られない可能性があります。 また、当社グループは、米国において社会的価値のコンセプトに基づき透明性の高い説明を伴った価格を設定するなど、より幅広い当事者様アクセスの促進、経済的負担の軽減および医療システムの持続可能性への貢献を目指していますが、様々な要因により患者様のレカネマブへのアクセスが制限される場合、将来に期待していた収益が得られない可能性があります。例えば、2022年4月に米国メディケア・メディケイドセンターにより、抗アミロイドβ抗体について米国における保険の適用範囲を限られた臨床試験の参加者とする決定がなされました。レカネマブについても、Clarity AD試験(フェーズⅢ試験)の結果をもってNational Coverage Determinationの要件を満たせない場合、同様に保険の適用範囲が制限され患者様のアクセスが制限される可能性があります。 |
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レンビマの 価値最大化 |
当社グループと米メルク社は、抗がん剤「レンビマ」と抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(一般名)の併用療法に関して複数のがん種を対象とする複数の臨床試験を実施中です。しかしながら、競合品の予期せぬ試験結果や承認タイミングによってポジショニングが変化し、当初想定した時期に「レンビマ」が追加の適応症に関する承認を取得できないことで製品の競争力が減弱し、「レンビマ」の売上計画を達成できない可能性があります。「レンビマ」のパートナーシップモデルによって得られる収益には販売マイルストンが設定されており、販売目標が未達成となることで実現されない場合、将来に期待していた収益が得られない可能性があります。 |
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パートナーシップモデル |
当社グループは、ビジネスの効率性・生産性を向上させるうえで、パートナーシップは有効な手段と考えており、最先端のサイエンスやテクノロジーの活用による新薬開発の加速を目的としたパートナーシップや、各リージョンでのリソースの効率的活用と事業価値最大化、協業先との新しいソリューションの共同開発を目的としたパートナーシップを活用しています。 パートナーシップを活用した医薬品および「日常と医療の領域で生活する人々」を対象とした新しいソリューションの研究開発、生産、販売活動において、パートナーとの意見の相違が生じた場合や事業環境の変化等に伴いパートナーの事業継続が困難となった場合、もしくは協業が困難になった場合には、上記活動に遅延や非効率が生じるほか、為替変動の影響などにより予測外のパートナー費用負担が発生することで計画された利益が想定外に減少するなど、事業価値最大化に支障をきたす可能性があります。また、契約の解釈の相違などが生じた場合には、パートナーとの間で訴訟や仲裁に発展し、最終的にはパートナーシップの解消をもたらす可能性もあります。この場合、将来に期待されていた新薬の創出や売上収益が実現できないなど、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。 |
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デジタルトランスフォーメーション |
当社グループは、中期経営計画「EWAY Future & Beyond」において、全ステークホルダーの想いをつなげ、解決スピードを加速させ、データに基づく強固な経営を効率的に実行するため、あらゆる活動でデジタルトランスフォーメーションに取り組むことを大きなテーマとして掲げています。新技術の活用により創薬のスピードと成功確率を飛躍的に向上させるとともに、「日常と医療の領域で生活する人々」に薬剤を含めたソリューションをお届けするまでの全局面におけるパラダイムシフトの実現を企図し、他産業と得意技を持ち寄り協業するエコシステム(hhceco)の構築によりデジタルトランスフォーメーションを実現させることが重要課題です。当社ではチーフエコシステムオフィサーを中心に、全社デジタル戦略を加速します。 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がもたらした経営環境の変化を見据えれば、デジタルトランスフォーメーションの必要性は明白であり、その実現に向けた取り組みの停滞や、実現するうえでの阻害要因が生じた場合には、当社グループの業績のみならず非財務価値を含めた企業価値向上に重要な影響を及ぼす可能性があります。 |
(3)医薬品の研究開発、生産および販売活動
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新薬開発 |
当社グループは、神経領域やがん領域をはじめとして、多くの新薬開発を行っています。 新薬の研究開発には長い期間と多額の投資を必要とします。加えて、有効性や安全性の観点から医薬品候補化合物の開発を中止あるいは中断する可能性があります。例えば、2022年、米メルク社と当社グループが共同開発を行っている「レンビマ」とペムブロリズマブの、切除不能な肝細胞がんに係る併用療法の有効性、安全性をフェーズⅢ試験で検証しましたが、事前に設定した有効性に関する統計学的有意性の基準を満たしませんでした。 また、臨床試験で期待された結果が得られた場合であっても、各国の厳格な承認審査の結果、承認が得られないもしくは追加データの提出を要求され承認が遅延する可能性があります。あるいは、承認が得られた場合でも承認条件として求められた追加臨床試験で安全性・有用性が検証できなかった場合には承認を取り消される可能性があります。 このような新薬開発の不確実性に伴い、当初想定していた開発計画が中止あるいは遅延した場合、将来に期待していた収益が得られない可能性があります。 |
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副作用 |
医薬品は承認・販売された場合でも、その後のデータ・事象により、医薬品としてのベネフィットとリスクのプロファイルが承認時とは異なってくる場合があります。重大な副作用の発現・集積により、製品の添付文書の変更、販売停止、回収等の措置を実施する場合には、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 当社は、製品に関するすべての有害事象や安全性に関する情報を科学的・医学的に評価し、規制当局に報告する体制としてすべての地域の安全管理責任者等で編成するセーフティ・エグゼクティブ・コミッティ、および製品毎の安全性医学評価責任者等で編成するグローバル・セーフティ・ボードを設置しています。これらの体制を中心として、製品のグローバルな安全性監視体制を確立し、製品の適正使用の徹底に努めています。 |
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製品品質および安定供給 |
高品質な医薬品を患者様へ確実にお届けする必要がありますが、使用する原材料、自社工場あるいは製造委託先での製造プロセス等、何らかの原因により製品品質に問題が生じた場合や、使用原材料の供給停止や製造工程における技術上の問題、パンデミック、国家間の紛争などによる地政学的問題、重大な災害あるいは経済安全保障上の問題等により工場の操業停止やサプライチェーンに問題が生じた場合には、製品の欠品、回収、販売停止などにより患者様の健康に支障をきたす可能性があるほか、業績へ影響を及ぼす可能性があります。また、何らかの原因による急な需要変動により製品の安定供給に影響が及ぶ可能性があります。さらに、現在日本政府が取り組んでいる経済安全保障の対応において、法令上の義務を課され、当社グループ製品の安定供給体制をより強化する対応が求められる可能性があります。 当社グループは、安心してご使用いただける高品質な医薬品の供給を可能とする安定供給体制ならびに品質保証体制の構築に取り組んでおり、グローバル基準のGMP(製造管理および品質管理に関する基準)に準拠した製造および品質管理を行っています。製造委託先に対しても、製造委託先における安定供給体制ならびに品質保証体制の確認、定期的なGMP監査に加え技術者派遣による製造現場の確認などの活動を実施しています。あわせて、原材料の取引先に対してサステナビリティ評価を実施するとともに「ビジネス・パートナーのための行動指針」の遵守をお願いすることで、当社グループと同様の人権尊重・腐敗防止への取り組みを求めています。さらに、流通段階での品質確保にも取り組んでいます。また、当社グループは、世界の主要地域に自社工場を保有し、各工場から安定的に製品供給を行っています。加えて、事業継続計画(BCP)に定めた重要原材料や完成品の適正在庫を確保するとともに、地政学的なリスクを考慮した原材料の複数購買体制および製品の複数工場での製造体制を構築することで、パンデミック、重大な災害、紛争や急な需要変動が発生した場合においても安定供給を確保する体制の整備に取り組んでいます。 |
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知的財産 |
通常、先発医薬品の特許期間およびデータ保護期間が切れると同一成分のジェネリック医薬品の販売が可能となります。しかし、特許の不成立や特許成立後の無効審判の結果等により取得した特許権を適切に保護できない場合、想定より早くジェネリック医薬品やバイオシミラー品の市場参入を招き、売上収益が減少する可能性があります。例えば、「レンビマ」の中国の特許について、現在、無効審判が請求されています。 また、特許期間内であっても、米国のようにジェネリック医薬品やバイオシミラー品の申請が可能な国もあり、そのような国では、ジェネリック医薬品やバイオシミラー品の申請を行った企業との間で特許侵害訴訟が起こる可能性があります。それら特許訴訟の結果によっては、ジェネリック医薬品やバイオシミラー品が当該特許期間満了より早期に参入し、当該国内の市場シェアが大幅かつ急速に低下する可能性があります。また、当社グループの医薬品を保護する物質特許が無効と判断された場合、当該国内における当該医薬品の市場価値が失われ、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。 一方、当社グループでは、第三者の知的財産権を侵害することのないように常に注意を払っていますが、万が一当社グループの事業活動が第三者の知的財産権を侵害した場合、第三者から当該事業活動を中止することを求められたり、損害賠償を請求されたりする可能性があります。 |
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訴訟 |
当社グループは、その事業運営に関し、製造物責任その他の人身被害等の製品に関する事項、消費者保護、商業規制、証券法、データ保護、契約違反、法令違反、環境規制など様々な事由に関連して、政府を含む第三者の提訴や調査等に起因する訴訟、仲裁その他の法令上や行政上の手続きに関与し、または関与する可能性があります。訴訟等の法的手続きは、その性質上、不確実性を伴います。当社グループはこれらの手続きに適切に対応し、正当な主張を行って参りますが、将来的に当社グループに賠償金支払いを命じる判決や、和解による支払いなどが生じる可能性があり、この結果、当社グループの経営状況、業績、社会的評価に重要な影響を及ぼす可能性があります。 例えば、プロトンポンプ阻害剤「パリエット」(米国名「AcipHex」)について、当社は、他のプロトンポンプ阻害剤に係る他の製造業者とともに、米国において製造物責任訴訟が係属中です。 また、肥満症治療剤「BELVIQ」(日本では未承認、未販売)について、米国において健康被害等を主張する訴訟が係属中です。 「AcipHex」および「BELVIQ」に係る訴訟に関して生じうる負債を算定することはできないのが現状です。 |
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データの信頼性 |
製薬企業にとって、研究データ、生産データ、市販後調査や医薬品安全性監視等に関するデータのインテグリティ(完全性、一貫性、正確性)の確保は、製品の安全性や信頼性の根拠となるため極めて重要であり、これら重要データのインテグリティが確保できないことにより、新薬開発の遅延・中止や、製品の回収、販売の停止など業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、データインテグリティ推進委員会やデータインテグリティ推進室を設置し、データの記録・検証・承認・保管のシステム化を推進しています。さらに、適切な内部統制の構築・整備、運用等により、製品品質を裏付けるデータ、臨床試験データおよび市販後調査を含む医薬品安全性監視に関するデータのインテグリティの強化を図るとともに、重要データに携わる社員を対象とした研修を継続して実施しています。また、データのインテグリティ確保にあたり、取引開始前に新規委託候補先におけるデータ管理体制を確認しています。 |
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医療費抑制策 |
各国政府は、増大する医療費を抑えるため、様々な薬剤費抑制策を導入・検討しています。日本では医療用医薬品の薬価引き下げや、ジェネリック医薬品の使用促進などの施策がとられています。中国においても、国家医薬品償還リスト収載に伴う大幅な価格引き下げや集中購買制度においてより安価なジェネリック医薬品の使用が促進されており、例えば、「レンビマ」を国家医療保険償還医薬品リストに収載する際、販売価格を引き下げました。また、末梢性神経障害治療剤「メチコバール」は政府集中購買の対象となったことから販売価格を引き下げました。欧州では、新薬承認が得られた製品であっても、期待した価格による保険償還がなされない場合があります。これらの施策の推進ならびに新たな施策の導入により、当初に見込んでいた売上収益が得られない可能性があります。 当社グループでは、各国の制度や政策動向を把握しつつ、有効性や安全性に加え、介護の軽減や対象疾患の重篤度など、薬剤のもつ社会的価値を算出し、イノベーションに対する適切な評価の推進を図っています。 |
(4)その他
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サクセッション |
当社グループは、30年以上にわたり、現代表執行役CEOが強いリーダーシップを発揮してグローバルに事業を展開し成長を遂げてきました。 代表執行役CEOがサクセッションプランを策定して、将来の代表執行役CEOを育成することに加え、突発的事態に対しても万全な備えを行うこと、および代表執行役CEOの選定においては、取締役会がその客観性や公正性を確保することが重要です。これらができない場合、当社グループの企業理念の実現や経営に大きな影響を及ぼす可能性があります。 このため、当社取締役会は代表執行役CEOの選定を取締役会の最も枢要な意思決定事項のひとつと位置付けるとともに、サクセッションプランに関するルール、手続きを定め、独立社外取締役が将来の代表執行役CEOの育成等のプロセスに関与することで、CEO選定の客観性と公正性を合理的に確保できると考えています。hhcガバナンス委員会では、年2回、代表執行役CEOから提案されるサクセッションプランを全取締役と情報共有するとともに突発的事態に対する備えについても上記の検討の中で確認がなされています。 また、当社執行役およびグローバル重要ポジションにおいて、最適の人財を配することができない場合、当社グループの経営へ大きな影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、CEOのサクセッションへの取り組みに加え、執行役を含むグローバルでの重要ポジションにおける計画的なリーダーシップの継承を企図して、後継候補者の選定と育成、リテンション施策などの進捗状況を確認するサクセッションプランニングを年1回実施しています。 |
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人財の確保と育成 |
当社の強みは「企業理念の深い浸透」です。当社は企業理念(hhc理念)への深い理解と共感を根幹とし、全社員が主体的に取り組む自律したプロフェッショナルとして活躍することを目指しています。また当社は、定款において、社員をhhc理念の実現に向けた社の重要なステークホルダーと定め、「安定的な雇用の確保」、「人権および多様性の尊重」、「自己実現を支える成長機会の充実」、「働きやすい環境の整備」を掲げています。hhc理念に共感する多様な人財を獲得し、社員一人ひとりがhhc実現に向け、様々な環境下において個性や強みを発揮し、中長期的に取り組むことができない場合、イノベーションの創出と企業理念の実現に大きな影響を及ぼす可能性があります。 当社の人財育成の基本は、社員一人ひとりが患者様とともに時間を過ごす共同化によって患者様の真のニーズを理解することであり、この共同化が社員一人ひとりの動機付けとなります。グローバルリーダー育成プログラム等、様々な社内研修プログラムに患者様との共同化のセッションを盛り込み、hhc理念の浸透を図ることで人財育成を強化しています。また、社員のWork Life Best(ワーク・ライフ・ベスト)をコンセプトに、社員の健康管理、タイムマネジメント、長時間労働の是正を進めるとともに、多様な社員が様々な環境下でも生産性高く、健康的に、自分らしく仕事へ取り組むことができる就業環境を整備しています。社員の健康と多様な働き方を支援する各種制度の導入や職場環境の整備を進めており、より魅力ある企業となることで、人財の確保を図っています。 |
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情報セキュリティ |
IT・デジタルの活用が進展する一方で、年々、高度化・巧妙化するサイバー攻撃によって、操業停止等、事業活動への影響が生じる可能性が高まっています。その結果、以前にも増して情報セキュリティ体制の強化が必要となっています。 また、当社グループは、個人情報や未公開情報を含めた多くの重要情報を保有していますが、そのような重要情報が社外に流出した場合、信頼や競争優位性を大きく失うこととなります。特に、近年は個人情報保護に関するグローバルな要請に的確に対応することが求められてきています。また、創薬段階の未公開構造式などの流出は特許の申請・取得に対して影響を及ぼします。当社グループの信頼あるいは競争優位性の低下が生じた場合には、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。 サイバー攻撃等による重要業務の中断や個人情報・秘密情報等の漏えいを防止するため、チーフインフォメーションセキュリティオフィサーのリーダーシップの下、システムインフラのセキュリティ強化に加え、情報管理に関する規程等を整備し、役員・従業員へ日常業務における情報管理教育、サイバーセキュリティ訓練などを実施し、グローバルな情報セキュリティに関する継続的なガバナンス強化と施策の実行に取り組んでいます。 |
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新型コロナ ウイルス感染症 |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡大してから約3年が経過し、ワクチン接種の普及や治療薬の上市および、ウイルスの弱毒化により、現時点での重症化リスクは大きく低減されています。一方、新たな変異ウイルスの発生により感染が拡大した場合、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性は少なからずあります。例えば、研究開発活動においては臨床試験での治験参加者の登録や試験の進行が遅延する可能性、生産活動においては仕入先を含めた工場の操業停止や物流遅延などサプライチェーンに影響が生じて製品の安定供給に支障をきたす可能性、販売活動においてはMRが医療関係者に適時適切な情報収集・提供ができなくなる可能性などがあります。 当社ではCOVID-19感染拡大に関する対処法を本社、各地域・事業所で構築しており、各国の子会社と連携しながら正確な情報を収集し、従業員の安全確保に努めるとともに、事業活動に対する影響を最小限に留めて参ります。また、当社グループの各工場においては、日頃より製品の安定供給を図るために必要な在庫量を確保しており、あらかじめ定められた事業継続計画(BCP)に基づく体制整備・運用を実施しています。 |
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気候変動 |
気候変動は、企業活動に影響を与える重要な課題であると認識しています。 当社グループは、2019年6月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、当提言が推奨する気候シナリオ分析を行い、結果を2020年度に開示しました。2022年度には、気候変動に関連するリスク・機会が当社グループに及ぼしうる影響の再評価のため、複数の気候シナリオを考慮した分析を再度実施しました。 その結果、物理的リスクとして、気候変動に伴う感染症リスク増加により医薬品アクセス維持・向上のために必要な投資・コストが増加する可能性があるほか、自然災害により生産活動の停滞や資産・従業員への被害が生じる可能性を再認識しました。これらのリスクに対して、熱帯感染症に対する医薬品の開発や蔓延地域への医薬品供給による医薬品アクセスの維持・向上に努めているほか、生産拠点のバックアップ体制導入や製品・原料の在庫確保、生産拠点・倉庫における自然災害リスクの確認と予防策の実施といった対策を講じています。 移行リスクでは、温室効果ガス排出削減ならびにその開示が不十分な場合のステークホルダーズからの信頼性低下や、炭素税価格上昇に伴うエネルギーコスト・調達品価格上昇のリスクを再確認しました。また、温室効果ガス排出削減のための追加的な設備投資や、包装材等を温室効果ガス排出量の少ない製品に切り替えるために追加的なコストが発生する可能性をリスクとして認識しました。これらのリスクに対しては、カーボンニュートラル達成に向けたロードマップに則り、2030年を目標年とするRE100の前倒し達成を視野に入れた再生可能エネルギー電力の積極的導入、インターナル・カーボンプライシングの導入による温室効果ガス削減投資の推進、一部製品の包装容器でのバイオプラスチック採用やその他製品での低環境負荷包材導入検討といった対策を講じています。また、2022年度末には現在のSBT2℃目標からSBT1.5℃目標への変更申請を完了しています。 これらのリスクに関する当社グループへの財務影響と対策状況は、「第2 サステナビリティに関する考え方及び取り組み (2)サステナビリティに関する「戦略」と「指標と目標」③ 気候変動に関する取り組み」に記載しています。 |
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のれんや 無形資産の減損 |
当社グループは、企業買収や製品・開発品の導入を通じて獲得したのれんおよび無形資産を計上しています。これらの資産については、計画と実績の乖離や市場の変化等により回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には減損処理をする必要があり、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 例えば、当社グループにおけるのれん(2022年度末残高:2,088億円)の多くはアメリカス医薬品事業に配分しています。その回収可能価額は、経営者により承認された事業計画を基礎としたアメリカス医薬品事業の将来キャッシュ・フローや成長率等の仮定を用いて算定しており、それらの仮定は、将来における新薬の承認取得・適応追加の有無および時期、上市後の薬価および販売数量、競合品の状況や金利の変化等の影響を受けます。 |
文中の将来に関する事項は、当期末現在において当社グループが判断したものです。
(1)事業の概況
○ 当社グループは2021年4月よりスタートした中期経営計画「EWAY Future & Beyond」に基づき、「患者様とそのご家族」から「患者様と生活者の皆様」に視点を拡大し、人々の健康憂慮の解消と医療較差の是正に向けたソリューションをお届けすべく、他産業との協業によるエコシステムの構築をめざしています。
○ アルツハイマー病(AD)治療剤「Leqembi」(一般名:レカネマブ)は、2023年1月に、米国において迅速承認を取得し、さらに世界各国における薬事承認の取得とアクセス拡大に向けた取り組みを加速しています。当社グループは、適格なAD当事者様に「Leqembi」をお届けすることを通じて、薬剤がもたらす臨床的価値に加え、当事者様と介護者のQOL(Quality of Life)や生産性の向上、医療・介護財政への負担軽減をもたらす経済的価値等の社会的インパクトの創出をめざしています。また、すべての当事者様の健康憂慮の解消と医療較差の是正に貢献すべく、中国における認知症を対象としたワンストップオンライン健康プラットフォームの構築や、アジアにおける他産業や非営利団体との提携といったソリューションを備えたエコシステムの構築を進めています。
○ 疾患の根本原因に紐づくゲノム情報、病態生理学に基づいたDeep Human Biology Learning(DHBL)創薬体制に移行しました。当社グループのみが有するヒューマンバイオロジーの知見や、高質な臨床サンプルから得られるゲノム情報に基づいて、注力分野である神経変性疾患および難治性がんに加えて、顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases: NTDs)をはじめとするグローバルヘルス分野における創薬を推進します。
(2)経営成績の状況
○ 当期(2022年4月1日~2023年3月31日)の連結業績は、次のとおりです。
(単位:億円、%)
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2021年度 |
2022年度 |
前期比 |
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売上収益 |
7,562 |
7,444 |
98.4 |
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売上原価 |
1,748 |
1,778 |
101.7 |
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売上総利益 |
5,814 |
5,666 |
97.4 |
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販売費及び一般管理費 |
3,664 |
3,583 |
97.8 |
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研究開発費 |
1,717 |
1,730 |
100.7 |
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営業利益 |
537 |
400 |
74.5 |
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税引前当期利益 |
545 |
450 |
82.7 |
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法人所得税 |
87 |
△118 |
- |
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当期利益 |
457 |
568 |
124.3 |
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親会社の所有者に帰属する当期利益 |
480 |
554 |
115.6 |
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当期包括利益 |
908 |
969 |
106.7 |
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基本的1株当たり当期利益 |
167円27銭 |
193円31銭 |
115.6 |
○ 売上収益は、抗がん剤「レンビマ」をはじめとするグローバルブランドが引き続き伸長した一方で、Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA(以下 米メルク社)からの販売マイルストンペイメントの減少(当期167億円、前期692億円)および前期に抗体薬物複合体「MORAb-202」に関するBristol Myers Squibb(米国、以下 BMS社)との戦略的提携による契約一時金(496億円)を計上した影響などにより、減収となりました。医薬品事業の売上収益は6,844億円(前期比110.9%)と大幅に増加しました。
○ グローバルブランドの売上収益は、「レンビマ」が2,496億円(前期比129.8%)、抗がん剤「ハラヴェン」が413億円(同104.9%)、抗てんかん剤「フィコンパ」(英名「Fycompa」)が371億円(同116.5%)、不眠症治療剤「デエビゴ」(英名「Dayvigo」)が294億円(同178.7%)となりました。
○ 販売費及び一般管理費は、「レンビマ」の売上拡大に伴い米メルク社への折半利益の支払いが増加した一方で、提携契約の変更に伴いAD治療剤「Aduhelm」の関連費用が大幅に減少したことにより、減少となりました。
○ 研究開発費は、パートナーシップモデルの活用により効率性を高めた一方で、「Leqembi」の臨床試験の順調な進捗に伴う積極的な資源投入や円安の進行による影響などにより、前期と同水準となりました。
○ 以上の結果、営業利益は減益となりましたが、医薬品事業のセグメント利益は3,256億円(前期比125.3%)と大幅な増益となりました。
○ 当期利益については、当社グループの資本政策の一環としてグローバルな資金配分の最適化を企図し、米国連結子会社から資金を回収するために当社が米国連結子会社から払込資本の払戻しを受けた結果、税務上の譲渡損失等が当社にて発生した影響により法人所得税が利益方向で計上され、税引前当期利益と比較して増加しました。
[セグメントの状況]
(各セグメントの売上収益は外部顧客に対するものです)
当社グループは、セグメントを医薬品事業とその他事業に区分しており、医薬品事業を構成する日本、アメリカス(北米)、中国、EMEA(欧州、中東、アフリカ、ロシア、オセアニア)、アジア・ラテンアメリカ(韓国、台湾、インド、アセアン、中南米等)、一般用医薬品等(日本)の6つの事業セグメントを報告セグメントとしています。当連結会計年度において、香港をアジア・ラテンアメリカ医薬品事業から中国医薬品事業にセグメント変更しました。また、2022年3月に、Biogen Inc.(米国、以下 バイオジェン社)との「Aduhelm」に関する共同開発・共同販促契約が変更されたことを受け、当社が負担する「Aduhelm」の関連費用(販売費及び一般管理費)を親会社の本社管理費等に含めています。加えて、ライセンス供与の対価として受領する契約一時金等をその他事業に含め、固定資産売却損益を親会社の本社管理費等に含めています。なお、本資料のセグメント情報に関する対前期の数値は新たな報告セグメントに基づいて記載しています。
<日本医薬品事業>
○ 売上収益は2,154億円(前期比100.6%)、セグメント利益は678億円(同111.1%)となりました。
○ 品目別売上収益については、ニューロロジー領域で、「デエビゴ」は242億円(前期比190.3%)、「フィコンパ」が61億円(同112.6%)と共に大幅に伸長しました。オンコロジー領域では、「レンビマ」が適応追加の影響により137億円(同132.6%)と大幅に伸長し、「ハラヴェン」は85億円(同101.8%)となりました。ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体「ヒュミラ」は472億円(同93.2%)、慢性便秘症治療剤「グーフィス」は65億円(同107.3%)となりました。ヤヌスキナーゼ阻害剤「ジセレカ」は73億円(前期は15億円)と大幅に伸長しました。
○ 2022年11月、抗リウマチ剤「メトジェクト」を新発売しました。
<アメリカス医薬品事業>
○ 売上収益は2,127億円(前期比126.9%)、セグメント利益は1,334億円(同146.3%)となりました。
○ 品目別売上収益については、ニューロロジー領域で、「Fycompa」は152億円(前期比104.1%)となり、「Dayvigo」は48億円(同129.9%)と伸長しました。オンコロジー領域では、「レンビマ」が適応追加の影響により1,616億円(同138.8%)と大幅に伸長し、「ハラヴェン」は139億円(同97.3%)となりました。
○ 2023年1月、米国において、「Leqembi」を新発売しました。
<中国医薬品事業>
○ 売上収益は1,108億円(前期比106.7%)、セグメント利益は556億円(同106.1%)となりました。
○ 品目別売上収益については、「レンビマ」がジェネリック品の影響などにより322億円(前期比89.9%)となりました。末梢性神経障害治療剤「メチコバール」は145億円(同114.7%)と伸長しました。プロトンポンプ阻害剤「パリエット」は84億円(同92.4%)、肝臓疾患用剤・アレルギー用薬「強力ネオミノファーゲンシー/グリチロン錠」は79億円(同83.0%)となりました。
<EMEA医薬品事業>
○ 売上収益は722億円(前期比121.6%)、セグメント利益は416億円(同137.9%)となりました。
○ 品目別売上収益については、ニューロロジー領域で、「Fycompa」は117億円(前期比127.2%)と大幅に伸長しました。オンコロジー領域では、「レンビマ/Kisplyx」が309億円(同142.2%)と大幅に伸長し、「ハラヴェン」は136億円(同106.2%)となりました。
○ 2023年1月にイスラエルにおいて、「レンビマ」などを新発売しました。
<アジア・ラテンアメリカ医薬品事業>
○ 売上収益は498億円(前期比102.5%)、セグメント利益は221億円(同108.4%)となりました。
○ 品目別売上収益については、「レンビマ」が111億円(前期比140.1%)と大幅に伸長しました。アルツハイマー型認知症治療剤「アリセプト」は130億円(同109.8%)となりました。
○ 2022年4月にインドおよびシンガポール、同年5月に台湾、同年11月にフィリピンおよびタイ、同年12月にインドネシア、2023年2月にマレーシアにおいて、「Dayvigo」を新発売しました。
<一般用医薬品等事業>
○ 売上収益は235億円(前期比98.6%)、セグメント利益は51億円(同108.6%)となりました。
○ チョコラBBグループの売上収益は、141億円(前期比98.8%)となりました。
(3)財政状態の状況
○ 資産合計は、1兆2,634億円(前期末より240億円増)となりました。現金及び現金同等物が減少した一方で、円安の進行により海外連結子会社の資産が増加したことに加え、当社の繰延税金資産が増加しました。また、「Leqembi」について米国における上市に伴い生産を進めたことにより、棚卸資産が増加しました。
○ 負債合計は、4,408億円(前期末より270億円減)となりました。短期借入金が増加した一方で、パートナーに対する未払金が減少しました。
○ 資本合計は、8,226億円(前期末より510億円増)となりました。円安の進行に伴い在外営業活動体の換算差額が増加しました。
○ 以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は63.3%(前期末より2.9ポイント増)となりました。
(4)キャッシュ・フローの状況
○ 営業活動によるキャッシュ・フローは、18億円の支出(前期は1,176億円の収入)となりました。「Leqembi」について米国における上市に伴い、生産を進めたことによる棚卸資産の増加やパートナーへの未払金の支払いなどにより、運転資本が増加しました。
○ 投資活動によるキャッシュ・フローは、227億円の支出(前期より61億円の支出減)となりました。研究設備および製造設備の増強を進め、設備投資に係る支出が発生しました。
○ 財務活動によるキャッシュ・フローは、245億円の支出(前期より244億円の支出減)となりました。短期借入金が増加した一方で、配当金の支払いを実施しました。
○ 以上の結果、現金及び現金同等物の残高は2,674億円(前期末より423億円減)、営業活動によるキャッシュ・フローから資本的支出等を差し引いたフリー・キャッシュ・フローは243億円の支出となりました。
(5)生産、受注および販売の実績
① 生産実績
(a) 生産実績
当期における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
日本医薬品事業 |
173,122 |
120.3 |
|
アメリカス医薬品事業(注2) |
457,198 |
225.1 |
|
中国医薬品事業 |
111,117 |
105.3 |
|
EMEA医薬品事業 |
121,450 |
146.5 |
|
アジア・ラテンアメリカ医薬品事業 |
50,373 |
102.1 |
|
一般用医薬品等 |
7,032 |
81.7 |
|
報告セグメント計 |
920,292 |
155.1 |
|
その他事業 |
3,025 |
139.9 |
|
合計 |
923,317 |
155.0 |
(注1) 金額は販売見込価格により算出し、セグメント間の取引については相殺消去しています。
(注2) 前期より生産実績が増加した理由は、主に抗がん剤「レンビマ」の販売の増加に伴うものです。
(b) 商品仕入実績
当期における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
日本医薬品事業 |
49,616 |
101.4 |
|
アメリカス医薬品事業 |
35 |
165.1 |
|
中国医薬品事業 |
4,205 |
159.3 |
|
アジア・ラテンアメリカ医薬品事業 |
1,165 |
16.9 |
|
一般用医薬品等 |
5,472 |
104.8 |
|
報告セグメント計 |
60,494 |
95.0 |
|
その他事業 |
385 |
130.1 |
|
合計 |
60,878 |
95.1 |
(注1) 金額は仕入価格により算出し、セグメント間の取引については相殺消去しています。
(注2) 当期においてEMEA医薬品事業の商品仕入実績はありませんでした。
② 受注実績
当社グループは販売計画に基づいた生産を行っているため、該当事項はありません。
③ 販売実績
当期における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
日本医薬品事業 |
215,422 |
100.6 |
|
アメリカス医薬品事業 |
212,742 |
126.9 |
|
中国医薬品事業 |
110,768 |
106.7 |
|
EMEA医薬品事業 |
72,159 |
121.6 |
|
アジア・ラテンアメリカ医薬品事業 |
49,839 |
102.5 |
|
一般用医薬品等 |
23,505 |
98.6 |
|
報告セグメント計 |
684,434 |
110.9 |
|
その他事業 |
59,969 |
43.2 |
|
合計 |
744,402 |
98.4 |
(注1) セグメント間の取引については相殺消去しています。
(注2) 主な相手先別の販売実績については、前期・当期とも総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しています。
(6)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 重要な会計方針及び見積り
連結財務諸表作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しています。重要な会計方針及び見積りの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3. 重要な会計方針、 4. 重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりです。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)事業の概況、(2)経営成績の状況、 (3)財政状態の状況、(4)キャッシュ・フローの状況」に記載しています。
③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、資金調達手段について、「手元現金」、次に「負債による資金調達(デット)」、最後に「株式の新規発行による資金調達(エクイティ)」とするペッキング・オーダー理論にもとづく優先順位付けをしています。原則として、手元現金の活用および負債が優先であり、既存株主の価値を毀損する可能性があるエクイティによる資金調達は最終手段として考えています。
そのため、キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)管理による運転資本のコントロール、投資有価証券を含む資産売却などによるバランスシートマネジメントを継続的かつグローバルに推進することで資産効率を高め、最適資本構成にもとづく最適配当政策と積極的な成長投資の両立を可能としています。
2022年度において、株主還元については、健全なバランスシートを維持していることから、1株当たり年間配当金を前年と同額の160円としました。成長投資については、将来の成長のための川島工園・筑波研究所の設備・施設への投資継続などを積極的に実施しました。2023年度においても積極的な成長投資を継続する計画で、資本的支出は355億円を見込み、手元資金を充当する予定です。
資金の流動性については、現時点では概ね月商の3倍を適正な運転資金の水準と考えています。2022年度末における現金及び現金同等物残高は2,674億円であり、十分な流動性を確保しています。さらに、当座借越・コミットメントラインなどの流動性補完により、流動性を一層強化しています。また、手元資金の効率的な活用を企図して、日本国内・EMEA域内におけるキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)に加え、グローバル・キャッシュ・マネジメント・システム(GCMS)を導入しています。
2022年度末時点での実質的なキャッシュ残高である有利子負債控除後のネットキャッシュは1,654億円と、実質無借金を維持しています。引き続き、「ネットキャッシュの維持」を主要な財務規律として重視するとともに、Net DERを±0.3レベルにコントロールすることで財務の健全性を維持します。
④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)経営環境、経営方針・経営戦略、ならびに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等 ③目標とする経営指標」に記載のとおり、中長期での数値目標は設定していません。その代わり、年次事業計画を精緻に策定し、経営指標として平均ROEを掲げ、中長期的に平均ROE10%、2025年度は15%以上を目安としています。
2022年度業績予想(売上収益:7,000億円 営業利益:550億円 親会社の所有者に帰属する当期利益:570億円 ROE:7.5%、2021年度有価証券報告書提出日時点)との比較では、売上収益は7,444億円(業績予想対比106.3%)、営業利益は400億円(同72.8%)、親会社の所有者に帰属する当期利益は554億円(同97.2%)、ROE7.2%(同95.4%)となりました。
売上収益は、「レンビマ」をはじめとするグローバルブランドの伸長により業績予想を上回りました。一方営業利益は、「レンビマ」の売上拡大に伴う米メルク社への折半利益の支払い増加に加え、アルツハイマー病治療剤レカネマブの臨床試験の順調な進捗に伴う積極的な投資や既存開発プロジェクトの見直し等に伴う研究開発費の増加により業績予想を下回りました。なお、2018年度から2022年度までの直近5年間の平均ROEは9.8%と目安となる10%程度となりました。
製品名は主要な販売国での販売名を記載しています。
(1)戦略的提携
|
会社名 |
契約締結先 |
締結年月日 |
契約内容 |
契約期間 |
対価 |
|
当社 |
Biogen Inc. (米国) |
2014年 3月4日 |
当社が開発している抗Aβプロトフィブリル抗体「BAN2401」(一般名:レカネマブ)に関する共同開発・共同販促
|
対象化合物ごとおよび国ごとに以下1)または2)のいずれか遅い日まで 1) 発売開始後12年 2) 特許満了日または 後発品発売開始日の早い方 |
契約一時金他 |
|
米メルク社 |
2018年 3月7日 |
当社の抗がん剤「レンビマ」の単剤療法および米メルク社の抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(一般名)との併用療法についての複数のがん種に対する共同開発・共同販促 |
契約締結日より2036年 3月31日まで |
契約一時金、開発・販売マイルストン他 |
|
|
日医工㈱ |
2018年 3月28日 |
1. 領域エコシステムの構築に向けた協業 2. 医薬品原薬事業における提携 |
1. 契約締結日より 2023年9月30日まで 2. 契約締結日より 2028年9月30日まで |
- |
|
|
Bristol Myers Squibb (米国) |
2021年 6月17日 |
当社が開発している抗がん剤「MORAb-202」に関する共同開発・共同販促等 |
契約締結日より共同開発・共同販促活動の終了まで |
契約一時金、開発・販売マイルストン他 |
(2)ライセンス導入
|
会社名 |
契約締結先 |
締結年月日 |
契約内容 |
契約期間 |
対価 |
|
当社 |
AbbVie Deutschland (ドイツ) |
1999年 6月16日 |
ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体「ヒュミラ」(一般名:アダリムマブ)の日本における開発および販売 |
契約締結日より販売承認後15年が経過する日まで(台湾・韓国は終了)(注1) |
契約一時金他 |
|
Novartis (スイス) |
2004年 2月6日 |
抗てんかん剤「イノベロン」(一般名:ルフィナミド)の全世界における開発および製造・販売に関するライセンス |
契約締結日より国ごとに特許満了日または販売開始後10年が経過する日のいずれか遅い日まで |
契約一時金他 一定料率のロイヤルティ |
|
|
Sunovion (米国) |
2007年 7月26日 |
不眠症治療剤「ルネスタ」(一般名:エスゾピクロン)の日本における独占的な開発および販売に関するライセンス |
契約締結日より販売承認後15年が経過する日または薬価収載後15年が経過する日のいずれか遅い日まで |
契約一時金他 一定料率のロイヤルティ |
|
|
BioArctic AB (スウェーデン) |
2007年 12月3日 |
レカネマブ(一般名)の全世界におけるアルツハイマー病を対象とした研究・開発、製造・販売に関する独占的ライセンス |
契約締結日より国ごとに販売開始後15年が経過する日まで |
契約一時金他 一定料率のロイヤルティ |
|
|
㈱Prism BioLab |
2011年 4月1日 |
抗がん剤「E7386」の全世界における開発および製造・販売に関する独占的ライセンス |
契約締結日より対象特許の有効期間がすべて満了する日または国ごとに販売開始後10年が経過する日まで |
開発マイルストン、一定料率の販売ロイヤルティ |
|
|
ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン (英国) |
2015年 10月16日 |
共同研究および抗タウ抗体「E2814」の共同開発 |
2023年12月5日まで |
開発マイルストン、販売ロイヤルティ |
|
|
Meiji Seika ファルマ㈱ |
2017年 3月31日 |
パーキンソン病治療剤「エクフィナ」(一般名:サフィナミド)の日本における独占的販売権およびアジア7か国における独占的開発・販売権に係るライセンス |
契約締結日より国ごとに販売開始後15年が経過する日まで |
契約一時金、開発マイルストン、一定料率の販売ロイヤルティ |
|
|
ハーバード 大学(米国) |
2018年 6月15日 |
抗がん剤「E7130」の全世界における開発および製造・販売に関する独占的ライセンス |
契約締結日より対象特許の有効期間がすべて満了する日または販売開始後15年が経過する日のいずれか遅い日まで |
契約一時金、開発マイルストン、一定料率の販売ロイヤルティ |
|
|
1.ギリアド・ サイエンシズ㈱ 2.ギリアド・ サイエンシズ社(米国) |
2019年 12月24日 |
1.ヤヌスキナーゼ阻害剤「ジセレカ」(一般名:フィルゴチニブ)の日本における販売提携契約 2.「ジセレカ」の韓国、台湾、香港、シンガポールにおける販売提携契約 |
契約締結日より最初の薬価収載後12年が経過する日まで |
契約一時金、開発・売上マイルストン |
|
|
当社、 EAファーマ㈱ |
㈱ミノファーゲン製薬 |
2016年 2月29日 |
1. 肝臓疾患用剤・アレルギー用薬「強力ネオミノファーゲンシー」(グリチルリチン酸、配合剤)および「グリチロン錠」(グリチルリチン酸、配合錠)の中国を含むアジア地域の独占的な開発・販売権のライセンス 2.「強力ネオミノファーゲンシー」および「グリチロン錠」の日本における独占的な販売権のライセンス |
1. 契約締結日より2033 年3月31日まで 2. 契約締結日より2025 年3月31日まで (注2) |
契約一時金他 |
(注1)2023年6月、当社は、AbbVie Deutschlandとの間で締結していた、「ヒュミラ」の日本における開発および販売契約を終了しました。
(注2)2023年1月、当社連結子会社のEAファーマ株式会社は、株式会社ミノファーゲン製薬との間で締結していた、「強力ネオミノファーゲンシー」および「グリチロン錠」の日本における独占的な販売権のライセンス契約を2025年3月31日まで延長しました。
(注3)2022年7月、当社とPfizer Inc.(米国)との間で締結していた、疼痛治療剤「リリカ」(一般名:プレガバリン)の日本における共同販促契約を終了しました。
(注4)2022年9月、当社と富士フイルム富山化学株式会社との間で締結していた、リウマチ治療剤「ケアラム」(一般名:イグラチモド)の日本における共同開発および販売提携に係る契約を終了しました。なお、同社から引き続き独占的にバルク製剤の供給を受け、当社は「ケアラム」の販売を継続します。
(3)合弁関係
|
会社名 |
契約締結先 |
締結年月日 |
契約内容 |
契約期間 |
|
当社 |
味の素(株) |
2015年 10月15日 |
当社を吸収分割会社とし、味の素製薬㈱を吸収分割承継会社とする吸収分割に関する統合契約等 |
- |
(4)その他経営上の重要な契約
|
会社名 |
契約締結先 |
締結年月日 |
契約内容 |
契約期間 |
|
当社 |
世界保健機関 (WHO)(スイス) |
2012年 1月30日 |
リンパ系フィラリア症制圧プログラムへの支援のため、DEC(一般名:ジエチルカルバマジン)錠のWHOへの無償提供 |
2025年12月31日まで |
(注5)2022年12月、当社は以下の契約を締結し、2023年1月に譲渡手続きを完了しました。
|
会社名 |
契約締結先 |
締結年月日 |
契約内容 |
対価 |
|
当社 |
Catalyst Pharmaceuticals, Inc.(米国) |
2022年 12月17日 |
抗てんかん剤「フィコンパ」(英名「Fycompa」、一般名:ペランパネル)の米国における権利の譲渡 |
契約一時金他一定料率のロイヤルティ |
当期における研究開発費は、
なお、当社グループは、研究開発費をグローバルに管理しているため、セグメントに配分していません。
[開発品の状況]
○ 抗がん剤「レンビマ」(欧州における腎細胞がんに係る製品名「Kisplyx」、一般名:レンバチニブ、米メルク社との共同開発)
・甲状腺がんに係る適応(単剤療法)において、日本、米国、欧州、中国、アジア等の80カ国以上で承認を取得しています。
・肝細胞がん(ファーストライン)に係る適応(単剤療法)において、日本、米国、欧州、中国、アジア等の80カ国以上で承認を取得しています。
・切除不能な胸腺がんに係る適応(単剤療法)において、日本で承認を取得しています。
・腎細胞がん(セカンドライン)を対象とした、エベロリムスとの併用療法に係る適応において、米国、欧州等の65カ国以上で承認を取得しています。
・腎細胞がん(ファーストライン)を対象とした、米メルク社の抗PD-1抗体ペムブロリズマブとの併用療法に係る適応において、日本、米国、欧州、アジア等の45カ国以上で承認を取得しています。
・子宮内膜がん(全身療法後)を対象とした、ペムブロリズマブとの併用療法に係る適応において、日本、米国、欧州、アジア等の45カ国以上で承認(条件付き承認を含む)を取得しています。
・2022年8月、ペムブロリズマブとの併用療法は、肝細胞がん(ファーストライン)を対象とするフェーズⅢ試験において、レンビマ単剤療法に対して、主要評価項目である全生存期間ならびに無増悪生存期間について改善傾向を示しましたが、事前に設定した統計学的有意性の基準を満たさず、主要評価項目は未達となりました。これを受けて本開発を終了しました。なお、本試験におけるレンビマ単剤療法群の全生存期間中央値は、肝細胞がんにおいてこれまで同療法に関して報告されている値よりも延長されました。本併用療法の安全性プロファイルは、これまでに報告されているデータと同様でした。
・2023年4月、ペムブロリズマブとの併用療法は、高頻度マイクロサテライト不安定性を有さない/ミスマッチ修復機構を有する大腸がん(サードライン)を対象とするフェーズⅢ試験において、レゴラフェニブまたはTAS-102(トリフルリジンとチピラシル塩酸塩の合剤)に対して主要評価項目である全生存期間について改善傾向を示しましたが、事前に設定した統計学的有意性の基準を満たさず、主要評価項目は未達となりました。また、メラノーマ(ファーストライン)を対象とするフェーズⅢ試験について、事前に規定された中間解析の結果に基づいて主要評価項目の一つである全生存期間の改善を示さないと判断した独立データモニタリング委員会の推奨に従い、中止を決定しました。両試験における本併用療法の安全性プロファイルは、これまでに報告されているデータと同様でした。今後両試験のデータについて、事前に計画された部分集団解析を含むすべての評価を完了し、その結果を治験責任医師と協力してサイエンティフィックコミュニティに共有していきます。
・ペムブロリズマブとの併用療法について、子宮内膜がん(ファーストライン)、非扁平上皮非小細胞肺がん(ファーストライン、化学療法併用)、非小細胞肺がん(セカンドライン)、頭頸部がん(ファーストライン)、肝細胞がん(ファーストライン、肝動脈化学塞栓療法との併用)、食道がん(ファーストライン、化学療法併用)、胃がん(ファーストライン、化学療法併用)を対象としたフェーズⅢ試験を米国、欧州等において進行中です。
・ペムブロリズマブとの併用療法について、メラノーマ(セカンドライン)、頭頸部がん(セカンドライン)を対象としたフェーズⅡ試験、および複数のがん種を対象としたバスケット試験(フェーズⅡ試験)が米国、欧州において進行中です。
○ 抗がん剤「ハラヴェン」(一般名:エリブリン)
・乳がんに係る適応において、日本、米国、欧州、中国、アジア等の85カ国以上で承認を取得しています。
・脂肪肉腫(日本では悪性軟部腫瘍)に係る適応において、日本、米国、欧州、アジア等の80カ国以上で承認を取得しています。
・「ハラヴェン」のリポソーム製剤について、小野薬品工業株式会社(大阪府)の抗PD-1抗体ニボルマブとの併用療法に関するフェーズⅠ/Ⅱ試験が日本において進行中です。
○ 抗てんかん剤「フィコンパ」(英名「Fycompa」、一般名:ペランパネル)
・12歳以上の部分てんかん併用療法に係る適応において、日本、米国、欧州、中国、アジア等の75カ国以上で承認を取得しています。日本、米国、中国においては、4歳以上の部分てんかんに対する単剤および併用療法の承認を取得しています。欧州においては、4歳以上の部分てんかんに対する併用療法の承認を取得しています。
・12歳以上の全般てんかんの強直間代発作に対する併用療法に係る適応において、日本、米国、欧州、アジア等の70カ国以上で承認を取得しています。欧州においては、7歳以上の全般てんかんの強直間代発作に対する併用療法の承認を取得しています。
・2022年8月、日本において、新投与経路医薬品として注射剤の追加を申請しました。
・レノックス・ガストー症候群を対象としたフェーズⅢ試験が日本、米国、欧州において進行中です。
○ オレキシン受容体拮抗剤「デエビゴ」(英名「Dayvigo」、一般名:レンボレキサント)
・不眠症に係る適応において、日本、米国、アジア等の15カ国以上で承認を取得しています。
・不眠症を対象としたフェーズⅢ試験が中国において進行中です。
・アルツハイマー病/認知症に伴う不規則睡眠覚醒リズム障害を対象としたフェーズⅡ試験が終了し、今後の開発について検討中です。
○ アルツハイマー病(AD)治療剤「Leqembi」(一般名:レカネマブ、開発品コード「BAN2401」、バイオジェン社との共同開発)
・2022年9月、早期ADを対象としたClarity AD試験(フェーズⅢ試験)において、主要評価項目ならびにすべての重要な副次評価項目を統計学的に高度に有意な結果をもって達成しました。アミロイド関連画像異常(ARIA)発現プロファイルは、想定内でした。
・2022年12月、中国において、国家薬品監督管理局(NMPA)に対し、BLA(生物製剤ライセンス申請)のデータ提出を開始し、2023年2月に優先審査に指定されました。
・2023年1月、米国において、ADの特徴である脳内に蓄積したアミロイドβプラークの減少効果を示した201試験(フェーズⅡ試験)の結果に基づき、ADの治療を適応として、米国食品医薬品局(FDA)より迅速承認を取得しました。本剤による治療は、臨床試験と同様、ADによる軽度認知障害または軽度認知症の当事者様において開始する必要があります。
・2023年1月、米国における迅速承認取得を受けて、Clarity AD試験の結果に基づき、フル承認に向けたsBLA(生物製剤承認一部変更申請)をFDAに提出しました。同年3月、本申請はFDAに受理されるとともに優先審査に指定され、PDUFA(Prescription Drugs User Fee Act)アクションデート(審査終了目標日)は同年7月6日に設定されました。同年6月9日にFDA諮問委員会が開催され、Clarity AD試験の結果が本剤の臨床上のベネフィットを示すエビデンスであることが全会一致で支持されました。本剤は、米国において、AD治療を対象としてブレイクスルーセラピーおよびファストトラックの指定を受けています。
・2023年1月、欧州において、欧州医薬品庁(EMA)に販売承認申請を提出し、受理されました。
・2023年1月、日本において、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に製造販売承認を申請し、厚生労働省より優先審査に指定されました。
・2023年3月、カナダにおいて、カナダ保健省(Health Canada)に新薬承認申請を行い、同年5月に受理されました。
・2023年5月、英国(北アイルランドを除く)において、英国医薬品医療製品規制庁(MHRA)に販売承認申請を提出しました。
・2023年6月、韓国において、韓国食品医薬品安全処(MFDS)に新薬承認を申請しました。
・Alzheimer's Clinical Trials Consortium(ACTC)によって本剤が評価対象薬剤として選択されているプレクリニカル(無症状期)ADを対象とするAHEAD 3-45(フェーズⅢ試験)が日本、米国、欧州等において進行中です。
・利便性向上をめざした皮下注射製剤の開発を進めています。また、脳内アミロイドβ除去後の維持療法に向けた新投与レジメンを確認するための試験を進めています。
○ 2022年5月、メコバラミン(一般名)の高用量製剤について、筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis: ALS)の病態および機能障害の進行抑制を予定される効能・効果として、厚生労働省より希少疾病用医薬品に指定されました。医師主導フェーズⅢ試験の結果を受け、当社が2023年度中の承認申請を予定しています。
○ 2022年11月、日本において、アルツハイマー型認知症・レビー小体型認知症治療剤「アリセプト」(一般名:ドネペジル塩酸塩)について、レビー小体型認知症に係る再審査結果を受けて、用法・用量に関する承認事項の一部変更を申請し、承認されました。なお、レビー小体型認知症に係る効能・効果については変更ありません。
○ 2022年11月、日本において、抗てんかん剤「イノベロン」(一般名:ルフィナミド)について、レノックス・ガストー症候群に対する抗てんかん薬との併用療法に係る適応の承認条件となっていた特定使用成績調査(全例調査)に関し、厚生労働省から解除の通知を受領しました。
○ 抗がん剤「E7386」について、日本、米国、欧州において、ペムブロリズマブとの併用療法による固形がんを対象としたフェーズⅠ/Ⅱ試験のフェーズⅡパートを開始し、進行中です。
○ 葉酸受容体αをターゲットとする抗体薬物複合体「MORAb-202」について、米国、欧州において非小細胞肺がんを対象としたフェーズⅡ試験、日本、米国、欧州において卵巣がん、腹膜がんおよび卵管がんを対象としたフェーズⅡ試験を開始し、進行中です。
○ Toll様受容体(TLR)4拮抗剤エリトラン(一般名)について、日本、米国でフェーズⅢ試験段階にあった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による重症化抑制を対象としたREMAP-COVID試験を中止しました。
○ 神経疾患治療剤「E2730」について、米国でフェーズⅡ試験段階にあったてんかんを対象とした開発を終了しました。