当第1四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
なお、アルツハイマー病(AD)治療剤「Leqembi」(一般名:レカネマブ)について、2023年7月、米国において、Clarity AD試験(フェーズⅢ試験)に基づき、ADの治療を適応として、迅速承認からフル承認への変更に向けた申請について承認を取得し、同時にメディケアによる幅広い保険適用が可能となりました。そのため、前事業年度の有価証券報告書に記載していた「事業等のリスク」の「レカネマブと次世代AD治療剤の価値最大化」に記載していたレカネマブの保険の適用範囲が制限され患者様アクセスが制限されるリスクについての記載を削除し、以下の様に変更します。
以下の見出しに付された項目番号は、前事業年度の有価証券報告書における「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」の項目番号に対応したものです。
(2)事業戦略
|
レカネマブと次世代AD治療剤の価値最大化 |
当社グループは、中期経営計画「EWAY Future & Beyond」においても、抗アミロイドβプロトフィブリル抗体レカネマブ(一般名)をはじめとする次世代アルツハイマー病(AD)治療剤の価値最大化を最重要戦略の一つと定めています。その過程において、新たに疾患を認識してから診断、治療、その後の生活に至るまでに患者様がたどる道のり(ペイシェント・ジャーニー)に則った疾患啓発と浸透、認知機能検査・アミロイドβ検査(PET(陽電子放射断層診断)・CSF(脳脊髄液)・血液バイオマーカー等)による診断法の確立、安全性確保のためのフォローアップ体制の整備を通じたシンプルなペイシェント・ジャーニーの構築を目指しています。これらが遂行できない場合、患者様に次世代AD治療剤を十分にお届けできない可能性があり、将来に期待していた収益が得られない可能性があります。 また、当社グループは、米国において社会的価値のコンセプトに基づき透明性の高い説明を伴った価格を設定するなど、より幅広い当事者様アクセスの促進、経済的負担の軽減および医療システムの持続可能性への貢献を目指していますが、様々な要因により患者様のレカネマブへのアクセスが制限される場合、将来に期待していた収益が得られない可能性があります。 |
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績の状況
[売上収益、利益の状況]
○ 当第1四半期連結累計期間(2023年4月1日~2023年6月30日)の連結業績は、次のとおりです。
(単位:億円、%)
|
|
|
2022年度 第1四半期 |
2023年度 第1四半期 |
前年同期比 |
|
売上収益 |
|
1,843 |
1,969 |
106.9 |
|
売上原価 |
|
474 |
439 |
92.7 |
|
売上総利益 |
|
1,369 |
1,530 |
111.8 |
|
販売費及び一般管理費 |
|
923 |
861 |
93.3 |
|
研究開発費 |
|
385 |
411 |
106.9 |
|
営業利益 |
|
74 |
260 |
350.1 |
|
税引前四半期利益 |
|
97 |
283 |
291.0 |
|
法人所得税 |
|
△182 |
74 |
- |
|
四半期利益 |
|
280 |
209 |
74.7 |
|
親会社の所有者に帰属する 四半期利益 |
|
269 |
203 |
75.6 |
○ 売上収益は、抗がん剤「レンビマ」および不眠症治療剤「デエビゴ」(英名「Dayvigo」)が引き続き伸長したことに加え、選択的エストロゲン受容体分解薬elacestrant(一般名)に係る経済的収益受領権の譲渡に伴う一時金の受領などにより、増収となりました。医薬品事業の売上収益は1,817億円(前年同期比100.2%)となりました。
○ グローバルブランドの売上収益は、「レンビマ」が708億円(前年同期比106.7%)、抗がん剤「ハラヴェン」が95億円(同85.1%)、「デエビゴ」が94億円(同144.6%)、抗てんかん剤「フィコンパ」(英名「Fycompa」)が81億円(同81.7%)となりました。なお、「Fycompa」については、2023年1月に米国における権利を譲渡しました。
○ 販売費及び一般管理費は、アルツハイマー病(AD)治療剤「Leqembi」の米国上市による販売費の増加や「レンビマ」の売上拡大に伴うMerck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA(以下 米メルク社)への折半利益の支払いが増加した一方で、AD治療剤「Aduhelm」関連費用の負担が無くなった影響などにより、減少となりました。
○ 研究開発費は、パートナーシップモデルの活用により効率性を高めた一方で、「Leqembi」への積極的な資源投入や米国連結子会社において研究施設に係る減損損失を計上した影響などにより、増加となりました。
○ 以上の結果、営業利益は大幅な増益となりました。また、医薬品事業のセグメント利益は932億円(前年同期比102.8%)となりました。
○ 四半期利益については、税引前四半期利益が大幅な増益となった一方で、前年同期に一時的な要因により税金費用の減少が生じた影響で、減益となりました。
[セグメントの状況]
(各セグメントの売上収益は外部顧客に対するものです)
当社グループは、セグメントを医薬品事業とその他事業に区分しており、医薬品事業を構成する日本、アメリカス(北米)、中国、EMEA(欧州、中東、アフリカ、ロシア、オセアニア)、アジア・ラテンアメリカ(韓国、台湾、インド、アセアン、中南米等)の5つの事業セグメントを報告セグメントとしています。なお、当連結会計年度における日本事業の再編に伴い、一般用医薬品等事業を日本医薬品事業へ統合しています。前連結会計年度のセグメント情報は、当該変更を反映しています。
<日本医薬品事業>
○ 売上収益は645億円(前年同期比101.6%)、セグメント利益は228億円(同98.9%)となりました。売上収益の主な内訳は、医療用医薬品が587億円(同102.2%)、一般用医薬品等が57億円(同95.3%)でした。
○ 品目別売上収益については、ニューロロジー領域で、「デエビゴ」が81億円(前年同期比154.1%)、「フィコンパ」が18億円(同115.7%)と、共に大幅に伸長しました。オンコロジー領域では、「レンビマ」が41億円(同114.4%)と大幅に伸長し、「ハラヴェン」は21億円(同96.1%)となりました。ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体「ヒュミラ」は133億円(同105.8%)と伸長し、ヤヌスキナーゼ阻害剤「ジセレカ」は30億円(同227.8%)と大幅に伸長しました。慢性便秘症治療剤「グーフィス」は18億円(同106.5%)と伸長しました。一般用医薬品等では、チョコラBBグループの売上収益が37億円(同96.6%)となりました。
<アメリカス医薬品事業>
○ 売上収益は543億円(前年同期比102.4%)、セグメント利益は358億円(同114.4%)となりました。
○ 品目別売上収益については、ニューロロジー領域で、「Dayvigo」は10億円(前年同期比91.3%)となりました。オンコロジー領域では、「レンビマ」が481億円(同125.1%)と大幅に伸長し、「ハラヴェン」は29億円(同71.7%)となりました。
<中国医薬品事業>
○ 売上収益は316億円(前年同期比90.6%)、セグメント利益は186億円(同89.8%)となりました。
○ 品目別売上収益については、「レンビマ」がジェネリック品の影響などにより69億円(前年同期比49.8%)となりました。末梢性神経障害治療剤「メチコバール」は38億円(同87.2%)、めまい・平衡障害治療剤「メリスロン」は、外部パートナーとの連携で販路が拡大した影響などにより37億円(同147.5%)と大幅に伸長しました。プロトンポンプ阻害剤「パリエット」は26億円(同109.9%)となりました。
<EMEA医薬品事業>
○ 売上収益は187億円(前年同期比103.4%)、セグメント利益は101億円(同98.4%)となりました。
○ 品目別売上収益については、ニューロロジー領域で、「Fycompa」は31億円(前年同期比108.8%)と伸長しました。オンコロジー領域では、「レンビマ/Kisplyx」が90億円(同111.7%)と伸長し、「ハラヴェン」は30億円(同84.2%)となりました。
<アジア・ラテンアメリカ医薬品事業>
○ 売上収益は127億円(前年同期比106.3%)、セグメント利益は59億円(同110.8%)となりました。
○ 品目別売上収益については、「レンビマ」が26億円(前年同期比112.2%)と伸長しました。アルツハイマー型認知症治療剤「アリセプト」は32億円(同96.7%)となりました。
② 財政状態の状況
○ 資産合計は、1兆3,051億円(前期末より417億円増)となりました。円安の進行により海外連結子会社の資産が増加したことに加え、「Leqembi」の生産を進めたことなどにより、棚卸資産が増加しました。
○ 負債合計は、4,374億円(前期末より33億円減)となりました。短期借入金が増加した一方で、営業債務及びその他の債務が減少しました。
○ 資本合計は、8,677億円(前期末より451億円増)となりました。円安の進行に伴い在外営業活動体の換算差額が増加しました。
○ 以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は64.7%(前期末より1.4ポイント増)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
○ 営業活動によるキャッシュ・フローは、126億円の収入(前年同期より87億円の収入増)となりました。運転資本は、「Leqembi」についての棚卸資産の増加や未払金の減少などにより増加となりました。
○ 投資活動によるキャッシュ・フローは、116億円の支出(前年同期より52億円の支出減)となりました。研究設備および製造設備の増強を進め、設備投資に係る支出が発生しました。
○ 財務活動によるキャッシュ・フローは、155億円の支出(前年同期より98億円の支出減)となりました。主に配当金の支払いによるものです。
○ 以上の結果、現金及び現金同等物の残高は2,693億円(前期末より20億円増)、営業活動によるキャッシュ・フローから資本的支出等を差し引いたフリー・キャッシュ・フローは10億円の収入となりました。
(2) 経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの経営方針・経営戦略等について、前事業年度の有価証券報告書提出日からの重要な変更はありません。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき課題について、前事業年度の有価証券報告書提出日からの重要な変更はありません。
(4) 重要な会計上の見積り
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの重要な会計上の見積りについて、前事業年度の有価証券報告書提出日からの重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における研究開発費総額は、411億47百万円(前年同期比6.9%増)、売上収益比率は20.9%(前年同期と同水準)です。
なお、当社グループは、研究開発費をグローバルに管理しているため、セグメントに配分していません。
[開発品の状況]
○ 抗がん剤「レンビマ」(欧州における腎細胞がんに係る製品名「Kisplyx」、一般名:レンバチニブ、米メルク社との共同開発)
・甲状腺がんに係る適応(単剤療法)において、日本、米国、欧州、中国、アジア等の80カ国以上で承認を取得しています。
・肝細胞がん(ファーストライン)に係る適応(単剤療法)において、日本、米国、欧州、中国、アジア等の80カ国以上で承認を取得しています。
・切除不能な胸腺がんに係る適応(単剤療法)において、日本で承認を取得しています。
・腎細胞がん(セカンドライン)を対象とした、エベロリムスとの併用療法に係る適応において、米国、欧州、アジア等の65カ国以上で承認を取得しています。
・腎細胞がん(ファーストライン)を対象とした、米メルク社の抗PD-1抗体ペムブロリズマブとの併用療法に係る適応において、日本、米国、欧州、アジア等の45カ国以上で承認を取得しています。
・子宮内膜がん(全身療法後)を対象とした、ペムブロリズマブとの併用療法に係る適応において、日本、米国、欧州、アジア等の50カ国以上で承認(条件付き承認を含む)を取得しています。
・2023年4月、ペムブロリズマブとの併用療法は、高頻度マイクロサテライト不安定性を有さない/ミスマッチ修復機構を有する大腸がん(サードライン)を対象とするフェーズⅢ試験において、レゴラフェニブまたはTAS-102(トリフルリジンとチピラシル塩酸塩の合剤)に対して主要評価項目である全生存期間について改善傾向を示しましたが、事前に設定した統計学的有意性の基準を満たさず、主要評価項目は未達となりました。また、メラノーマ(ファーストライン)を対象とするフェーズⅢ試験について、事前に規定された中間解析の結果に基づいて主要評価項目の一つである全生存期間の改善を示さないと判断した独立データモニタリング委員会の推奨に従い、中止を決定しました。両試験における本併用療法の安全性プロファイルは、これまでに報告されているデータと同様でした。今後両試験のデータについて、事前に計画された部分集団解析を含むすべての評価を完了し、その結果を治験責任医師と協力してサイエンティフィックコミュニティに共有していきます。
・ペムブロリズマブとの併用療法について、子宮内膜がん(ファーストライン)、非扁平上皮非小細胞肺がん(ファーストライン、化学療法併用)、非小細胞肺がん(セカンドライン)、頭頸部がん(ファーストライン)、肝細胞がん(ファーストライン、肝動脈化学塞栓療法との併用)、食道がん(ファーストライン、化学療法併用)、胃がん(ファーストライン、化学療法併用)を対象としたフェーズⅢ試験を米国、欧州等において進行中です。
・ペムブロリズマブとの併用療法について、メラノーマ(セカンドライン)、頭頸部がん(セカンドライン)を対象としたフェーズⅡ試験、および複数のがん種を対象としたバスケット試験(フェーズⅡ試験)が米国、欧州において進行中です。
○ 抗がん剤「ハラヴェン」(一般名:エリブリン)
・乳がんに係る適応において、日本、米国、欧州、中国、アジア等の85カ国以上で承認を取得しています。
・脂肪肉腫(日本では悪性軟部腫瘍)に係る適応において、日本、米国、欧州、アジア等の80カ国以上で承認を取得しています。
・「ハラヴェン」のリポソーム製剤について、小野薬品工業株式会社(大阪府)の抗PD-1抗体ニボルマブとの併用療法に関するフェーズⅠ/Ⅱ試験が日本において進行中です。
○ アルツハイマー病(AD)治療剤「Leqembi」(一般名:レカネマブ、開発品コード「BAN2401」、Biogen Inc.(米国)との共同開発)
・2023年7月、米国において、Clarity AD試験(フェーズⅢ試験)に基づき、ADの治療を適応として、迅速承認からフル承認への変更に向けた申請について承認を取得し、同時にメディケアによる幅広い保険適用が可能となりました。本剤は、ADの進行を抑制し、認知機能と日常生活機能の低下を遅らせることを示し、フル承認を取得した世界初かつ唯一の治療薬となります。本剤による治療は、臨床試験と同様、ADによる軽度認知障害または軽度認知症の当事者様において開始する必要があります。
・早期ADに係る適応で、日本、欧州、中国、カナダ、英国(北アイルランドを除く)、オーストラリア、スイス、韓国、イスラエルにおいて申請中です。日本、中国およびイスラエルにおいては優先審査に、英国においてはILAP(Innovative Licensing and Access Pathway)に指定されています。
・Alzheimer's Clinical Trials Consortium(ACTC)によって本剤が評価対象薬剤として選択されているプレクリニカル(無症状期)ADを対象とするAHEAD 3-45(フェーズⅢ試験)が日本、米国、欧州等において進行中です。
・利便性向上をめざした皮下注射製剤の開発を進めています。また、脳内アミロイドβ除去後の維持療法に向けた新投与レジメンを確認するための試験を進めています。
○ オレキシン受容体拮抗剤「デエビゴ」(英名「Dayvigo」、一般名:レンボレキサント)
・不眠症に係る適応において、日本、米国、アジア等の15カ国以上で承認を取得しています。
・不眠症を対象としたフェーズⅢ試験が中国において進行中です。
・アルツハイマー病/認知症に伴う不規則睡眠覚醒リズム障害を対象としたフェーズⅡ試験が終了し、今後の開発について検討中です。
○ 抗てんかん剤「フィコンパ」(英名「Fycompa」、一般名:ペランパネル)
・部分てんかん併用療法に係る適応において、日本、欧州、中国、アジア等の75カ国以上で承認を取得しています。日本、中国においては、単剤療法の承認も取得しています。
・全般てんかんの強直間代発作に対する併用療法に係る適応において、日本、欧州、アジア等の70カ国以上で承認を取得しています。中国においては申請中です。
・日本において、新投与経路医薬品として注射剤の追加を申請中です。
・レノックス・ガストー症候群を対象としたフェーズⅢ試験が日本、米国、欧州において進行中です。
○ 慢性便秘症治療剤「モビコール配合内用剤」について、日本において、EAファーマ株式会社(東京都)が2歳未満の小児の慢性便秘症を対象としたフェーズⅢ試験を開始しました。
(6) 従業員の状況
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの従業員数に著しい変動はありません。
(7) 生産、受注及び販売の実績
当第1四半期連結累計期間において、生産および受注の実績に著しい変動はありません。
なお、販売実績については、「第2 事業の状況 2 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロ ーの状況の分析 (1) 財政状態及び経営成績の状況 ① 経営成績の状況」に記載しています。
(8) 主要な設備
当第1四半期連結累計期間において、主要な設備に著しい変動はありません。
当第1四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。
また、当第1四半期連結会計期間において、終結した経営上の重要な契約は、次のとおりです。
2023年6月、当社とAbbVie Deutschland(ドイツ)との間で締結していた、ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体「ヒュミラ」(一般名:アダリムマブ)の日本における開発および販売契約を終了しました。