第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、政府による経済政策や日銀の金融緩和を背景とした企業収益の回復や雇用環境の改善により、緩やかな回復基調で推移しました。

一方、新興国の景気減速懸念や英国のEU離脱、米国の大統領選挙結果の影響などにより為替相場や株式市況の金融市場が混乱するなど、依然として先行きは不透明な状況で推移しました。

国内の医療用医薬品事業につきましては、後発品使用促進策の強化など医療費抑制策が推進されており、より一層厳しい環境下で推移しました。

このような状況の中で、当社は、重点商品の経皮吸収型貼付剤を中心に事業活動を行い、医療機関のニーズに的確に対応した学術情報活動を展開しました。

国内の一般用医薬品事業につきましては、厳しい販売競争が続く中、新商品を発売し、販売促進に努めました。

研究開発活動につきましては、得意とする経皮吸収型貼付剤分野に資源を集中し、新しい局所性及び全身性の医薬品開発に邁進しました。

また、海外子会社であるノーベン ファーマシューティカルス社(以下「ノーベン社」といいます。)との研究開発活動において、人事交流を含めた連携を強化し、迅速化に努めました。

生産環境面につきましては、鳥栖工場、宇都宮工場において、環境マネジメントシステムに関する国際規格である「ISO14001」の認証工場として、地球環境の保全に取り組みました。

さらに、製造工程の効率化に加えて、製品輸送方法及び空調機の変更によるエネルギー使用量や廃棄物の削減及びリサイクル率99%以上の維持で環境負荷低減に取り組みました。

加えて、エネルギー管理委員会活動を通して省エネルギーを推進し、室内温度の調整など節電に努めました。

社会貢献活動につきましては、企業と従業員が一体となって活動しており、歳末の海外たすけあい募金活動へ参加や、マッチングギフト制度「久光製薬株式会社ほっとハート倶楽部」を通じて50団体の活動を支援したほか、日本赤十字社へ救急法資材の贈呈などを行いました。

平成28年4月の熊本地震による被害に対しては、義援金及び当社商品の提供を行ったほか、開催したイベントでチャリティの呼びかけを行うなどの支援活動を行いました。

また、日伊国交150周年を記念してチェッコ・ボナノッテ「回想の劇場」展を主催し、文化活動を通じた国際交流振興を支援しました。

女子バレーボールチーム「久光製薬スプリングス」は、平成28年度天皇杯・皇后杯全日本バレーボール選手権大会で女子バレーボール史上初の5連覇を達成したほか、佐賀県や兵庫県を中心に「バレーボール教室」を開催しました。

来たるべき2020年の東京オリンピック開催に向けて、当社はスポーツ文化のさらなる発展と向上に支援を行ってまいります。

 

当社は「医薬品事業」のみを報告セグメントとしており、業績は次のとおりです。

 

 

[医薬品事業]

当連結会計年度の医薬品事業、とりわけ国内の医療用医薬品事業につきましては、医療費抑制策が進む中、先行きが不透明な環境下で推移しました。

このような状況の中、当社は、経皮吸収型貼付剤を中心として、医療機関への適正かつ、きめ細やかな学術情報活動、すなわち有効性・安全性に関する情報の提供・収集活動を展開するとともに、重点商品のケトプロフェン含有の経皮鎮痛消炎剤「モーラス®テープ」および「モーラス®パップXR」、「モーラス®パップ」、経皮吸収型エストラジオール製剤「エストラーナ®テープ」、鎮痛効果の高いフェンタニルクエン酸塩含有の経皮吸収型持続性疼痛治療剤「フェントス®テープ」、ブプレノルフィン含有の経皮吸収型持続性疼痛治療剤「ノルスパン®テープ」、オキシブチニン塩酸塩含有の経皮吸収型過活動膀胱治療剤「ネオキシ®テープ」などの適正使用促進活動に努めました。

次に、国内の一般用医薬品事業につきましては、重点商品の経皮鎮痛消炎剤などの販売に加えて、新商品を投入し、新規顧客創造活動に努めました。

平成28年4月には、経皮鎮痛消炎シップ剤「のびのび®サロンシップ®F」と経皮鎮痛消炎テープ剤「フェイタス®Zαジクサス®」および「フェイタス®Zαジクサス®大判」の販売を開始しました。

「のびのび®サロンシップ®F」は、これまではがれやすいとされていた関節部位にもしっかり貼りつくよう粘着力を改善しました。また四隅を丸くした薄型タイプのシップ剤のため、貼付後に衣服を着てもゴワつきがなく、端からはがれることが軽減されました。

「フェイタス®Zαジクサス®」および「フェイタス®Zαジクサス®大判」は、ジクロフェナクナトリウムを2.0%、l-メントールを1.0%配合したWダブル鎮痛処方の経皮鎮痛消炎テープ剤です。従来品と比べフィット感とはがしやすさが向上したほか、当社技術によりジクロフェナクナトリウム配合貼付剤として初めて使用期限が2年から3年に延長されました。

また、海外事業につきましては、米国においても新たな「Salonpas®」の販売を開始しました。

サロンパス®ブランドは、海外においても積極的な販売促進活動を展開し、米国の一般用医薬品外用鎮痛消炎貼付剤市場における販売額シェア1位を獲得しています。

また、海外子会社であるP.T.ヒサミツ ファルマ インドネシアでは新工場を稼動させ、サロンパス®ブランドの生産能力を拡大し、現地化を進めています。

研究開発活動の成果として、平成28年4月に「皮膚吸収性に優れた消炎鎮痛貼付剤の開発」が評価され、平成28年度科学技術分野の文部科学大臣表彰において「科学技術賞」(開発部門)を受賞しました。

このような営業活動の結果、当社グループの当期の売上高は1,459億2千5百万円 (前年同期比9.8%減、159億2千6百万円減)となり、当期の営業利益は263億6百万円(前年同期比5.1%減、14億2千4百万円減)、経常利益は281億7千9百万円(前年同期比0.6%増、1億7千万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は203億9千5百万円(前年同期比14.7%増、26億1千1百万円増)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較して16億6千9百万円増加し、1,056億1千万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは199億1千万円の収入(前連結会計年度は309億2千3百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益(299億8千4百万円)、減価償却費(64億3千8百万円)、法人税等の支払額(112億2千8百万円)などによるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは10億7千万円の収入(前連結会計年度は39億1千2百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出(31億2千5百万円)、製造販売承認権譲渡による収入(32億8千万円)などによるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは184億2百万円の支出(前連結会計年度は116億1千6百万円の支出)となりました。これは主に、自己株式の取得(111億5千3百万円)、配当金の支払額(69億4千4百万円)などによるものです。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

医薬品事業

138,774

△0.3

その他

108

△46.9

合計

138,882

△0.3

 

(注) 1 金額は販売価格により算定したものです。

2 上記金額には消費税等は含まれていません。

 

(2) 受注実績

当社グループは受注生産は行わず、すべて一般市場の動向等を勘案し、見込生産を行っています。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

医薬品事業

142,689

△10.0

その他

3,235

△1.1

合計

145,925

△9.8

 

 

(注) 1 主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

㈱メディパルホールディングス

24,264

15.0

22,416

15.4

アルフレッサホールディングス㈱

23,729

14.7

22,072

15.1

 

2 上記金額には消費税等は含まれていません。

 

 

3 【対処すべき課題】

国内の医療用医薬品事業につきましては、高齢化が急速に進行する中、後発品使用促進策の強化や長期収載品の薬価追加引き下げなど、今後も医療費抑制策は継続されることが予想されます。このような厳しい経営環境のもと、当社は、医療機関への学術情報活動を一段と強化するとともに、医療機関・患者さんのニーズに合致した新しい局所性及び全身性の医薬品開発を目指します。また、営業、生産及び研究開発の機能を強化するとともに、収益の一層の向上を目指し、更なる成長に努めます。

国内の一般用医薬品事業につきましては、市場の低迷が長期化し企業間競争が激化する中で、当社は、重点商品の外用鎮痛消炎剤の売上伸長を図るとともに、お客様のニーズにお応えできるよう既存商品の改良及び新商品の開発を行います。

海外の事業展開につきましては、知的財産、製造技術及び品質管理技術を含めた当社ブランドの確立を図るとともに、海外生産工場の一層の充実と海外における臨床試験の促進を図ります。

特に、米国の医療用医薬品事業においては、ノーベン社を拠点とし、双方の得意な技術を融合させることで、研究開発の機能を高めるとともに、製造を強化してまいります。

当社は、引き続き製薬企業としての使命と責任を自覚し、営業基盤の強化及び生産体制の拡充を図るとともに、研究開発につきましては、得意とする経皮吸収型貼付剤分野により多くの資源を集中し、新商品開発の迅速化を図ります。

(会社の支配に関する基本方針)

以下に記載の基本方針および買収防衛策は当事業年度末日のものであり、これらは本年5月25日開催の第116回定時株主総会終結のときをもって、廃止されています。

(1)当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の内容の概要

当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業価値の源泉を理解し、当社が企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保、向上していくことを可能とする者である必要があると考えています。

当社は、当社の支配権の移転を伴う買収提案に応じるかどうかの判断は、最終的には個々の株主の意思に基づき行われるべきものと考えています。また、当社は、当社株式について大規模買付行為がなされる場合、これが当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、これを否定するものではありません。

しかし、株式の大規模買付行為や買収提案の中には、その目的等から見て企業価値・株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすおそれがあるもの、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主が大規模買付行為や買収提案の内容等を検討しあるいは対象会社の取締役会が大規模買付行為や買収提案に対する代替案を提示するために合理的に必要な期間を与えることなく行われるもの、大規模買付行為や買収提案の条件等(対価の価額・種類、買付の時期、買付の方法等)が対象会社の企業価値の本質に鑑み不十分又は不適当なもの、対象会社の持続的な企業価値増大のために必要不可欠な従業員、顧客を含む取引先、債権者などの利害関係者との関係を破壊するおそれがあるもの等、大規模買付行為や買収提案の対象となる会社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さないものも少なくありません。

当社としては、このような当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さない大規模買付行為や買収提案を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、このような者による大規模買付行為や買収提案に対しては必要かつ相当な対抗措置をとることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保する必要があると考えています。

(2)基本方針の実現に資する取組みの具体的な内容の概要

当社は、弘化4年(1847年)に薬業を始めて以来、鎮痛消炎貼付剤を中心とした医薬品の提供を通して人々の健康づくりに積極的に取り組んでまいりました。「貼るだけ」で誰もが簡単に身体を癒せる貼付剤は、服薬の改善やクオリティ・オブ・ライフ(QOL)の向上にも合致するものであり、世界に誇れる日本の「治療文化」でもあります。この「貼る治療文化」の有効性並びに、それがもたらす感動を世界中の人々に伝えることを当社の使命として事業展開を進めています。

 

昭和9年(1934年)の「サロンパス®」発売以来、お客様にも評価いただきながら蓄積してきたノウハウと経験に基づく新医薬品、新製剤の創製に集中することで、一般用医薬品の「サロンシップ®」、医療用医薬品の「モーラス®パップ」、「モーラス®テープ」などの貼付剤開発に成功し、上市しました。また、鎮痛消炎以外の新たな領域として経皮吸収型エストラジオール製剤「エストラーナ®テープ」、経皮吸収型持続性疼痛治療剤「フェントス®テープ」、経皮吸収型過活動膀胱治療剤「ネオキシ®テープ」などの商品を創出し、さらには海外各国での販売や研究開発、承認取得など国際的な展開を行っています。その一環として、米国において久光ブランドを確立させ、今後の成長をより確固たるものにするため、ノーベン ファーマシューティカルス社を買収・子会社化し、また、成長著しい中国市場への進出と、医薬事業等の推進を目的として、中国に現地法人(久光製薬技術諮詢(北京)有限公司)を設立しました。

このようにお客様に求められる貼付剤の創出によって「世界の人々のQOL向上を目指す」ことを経営理念とし、この実行を通じて企業価値の向上ひいては株主共同の利益が実現されるものと考えています。

すなわち、当社の企業価値の源泉は、(a)多くの企業によって創製されるさまざまな領域の薬物に幅広くアクセスし、これらを貼付剤とする研究開発力、(b)高品質な商品を効率的に安定生産し続ける製造技術と品質管理技術、(c)「サロンパス®」、「サロンシップ®」、「フェイタス®」、「ブテナロック®」、「モーラス®パップ」、「モーラス®テープ」、「エストラーナ®テープ」などのロングセラーブランドやトップブランドを数多く育成するマーケティング力、(d)研究開発・生産・販売が一体となって、お客様のニーズをすばやく商品やサービス向上に反映できる体制にあります。

当社は、今後も継続的かつ積極的な投資を行うことで、企業価値の向上と、ひいては株主共同の利益の最大化に取り組んでまいります。

そのために、当社は、厳しい競争環境の中で目標とする売上高の達成と純利益を確保できる強固な企業体質を構築するべく、国内外での事業の強化による純利益の継続的伸長とその確実な達成を目指します。さらに、当社は経営の基本方針に沿って得意な分野に研究を集中し、新医薬品・新製剤の創製に注力し、独自の「研究開発型医薬品企業」を志向します。

また、ライセンシング活動としては、非オピオイド鎮痛剤で治療困難な変形性関節症および腰痛症における慢性疼痛治療のための医療用医薬品である経皮吸収型持続性疼痛治療剤「ノルスパン®テープ」の、日本での独占的な販売権を取得する契約をムンディファーマ株式会社との間で締結しました。一方、一般用医薬品においては、医療用医薬品として販売されているアレルギー性疾患治療薬「アレグラ®錠60mg」のスイッチOTC薬であるアレルギー専用鼻炎薬「アレグラ®FX」の販売権をサノフィ株式会社より取得するなど積極的に展開しています。

このように、当社は活発な事業活動により、キャッシュ・フローの増大を図るとともに、新しい局所性及び全身性の商品開発並びに知的財産、製造技術、品質管理技術を含めた当社ブランドの国際展開を推進し、あわせて経営の合理化と企業体質の強化を推進することで、株主共同の利益につながる未来資産の形成を図ります。

また、当社は、株主の皆様への利益還元を経営の重要課題と位置付け、資本効率の向上、企業価値増大に寄与する研究開発投資や今後の成長戦略の展開に備えた内部留保等を考慮しつつ、業績に基づく適正な配当を実施するとともに、自己株式取得などの財務施策を機動的に遂行します。

とりわけ、資本効率向上の観点から掲げているROE(自己資本純利益率)15%以上の水準維持と、配当を継続的かつ安定的に行いつつ配当性向30%を目標にしています。なお、平成26年5月13日発表の「2014~2018年度 第5期中期経営方針」において、ROE(自己資本純利益率)11%以上、配当性向40%以上及びDOE(自己資本配当率)4.5%以上を2018年度目標としています。

さらに、当社は経営の透明性向上とコンプライアンス遵守の経営を徹底するため、コーポレート・ガバナンスの充実を図りながら、経営環境の変化に迅速に対応できる組織体制を構築することを重要な施策と位置付け、機構改革を実行しています。具体的には、「経営諮問会議の設置」、「執行役員制度の導入」、「危機管理委員会の設置」、社員としての高い倫理・道徳観に基づく行動をまとめた「久光企業憲章の制定」とコンプライアンス推進委員会及びコンプライアンス推進室による「役員及び従業員への徹底」、「社外監査役制度の導入」、「内部統制基本方針の制定」、「内部監査室の設置」、「個人情報保護委員会の設置」、適時適切な会社情報の開示を行うための「ディスクロージャー・ポリシーの制定」などを実行しています。

今後も、善き企業市民としてステークホルダーの皆様との信頼関係を高めていきながら、企業価値の向上と、ひいては株主共同の利益を確保し、もって基本方針の実現に取り組んでまいります。

 

(3)基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み

当社は、平成20年5月22日開催の第106回定時株主総会において、有効期間を平成23年2月末日に終了する事業年度に関する定時株主総会終結の時までとする当社株式の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)(以下「本プラン」といいます。)の導入をご承認いただきました。なお、平成23年5月26日開催の第109回定時株主総会において、また、平成26年5月22日開催の第112回定時株主総会において、一部修正して平成29年2月末日に終了する事業年度に関する定時株主総会終結の時まで延長することをご承認いただきました。

本プランは、特定株主グループの議決権保有割合を20%以上とすることを目的とする当社株式等の買付等、又は結果として特定株主グループの議決権保有割合が20%以上となる当社株式等の買付等(以下「買付等」といい、買付等を行う者を「買付者等」といいます。)を対象とし、(a)買付者等が従うべき手続として、買付者等に対し、株主、当社取締役会及び独立委員会による判断のための情報提供と、独立委員会及び当社取締役会による検討・評価の期間の付与を要請し、また、(b)買付等に対して当社がとりうる対抗措置として、新株予約権の無償割当等、会社法その他の法令及び当社定款により取締役会の権限として認められる相当な対抗措置の発動を決議しうることを前提として、その発動の条件を、買付者等が手続を遵守しない場合又は当該買付等が明らかに当社の企業価値を毀損し株主共同の利益を害する場合に限定することとしました。本プランに基づき対抗措置を発動するか否かは、最終的には当社取締役会により決定されますが、本プランを適正に運用し、当社取締役会の判断の客観性及び合理性・公平性を担保するため、当社取締役会から独立した独立委員会を設置し、その意見を最大限尊重するものとしています。

(4)上記の各取組みに対する当社取締役会の判断及び理由

①基本方針の実現に資する特別な取組み

上記(2)に記載した取組みは、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を持続的に確保し、向上させるための具体的方策として策定されたものであり、基本方針の実現に資するものです。したがって、これらの取組みは、基本方針に沿い、当社の株主共同の利益を損なうものではありません。

②基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み

本プランは、上記(3)のとおり、その内容において、当社の基本方針に沿うものであり、かつ、当社取締役会の判断の客観性・合理性の確保がなされる工夫がなされ、さらに、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保又は向上の目的をもって導入されるものであり、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。

 

 

4 【事業等のリスク】

当社グループの事業につき、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものです。

(1)各種の法的規制に関するリスク

当社の主要事業である医薬品及び関連製品事業は、薬価制度や医療保険制度等の規制の影響を受けております。例えば、2年毎に実施されている薬価基準の改定では、定期的に販売価格の値下げ圧力を受けますので、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、海外においても同様に、各種の規制を受けております。

(2)副作用に関するリスク

当社の主要事業である医薬品及び関連製品事業は、予期せぬ副作用等で発売中止、製品回収等の事態に発展する可能性があり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3)研究開発活動に関するリスク

当社では、新製品や新技術に関して研究開発活動を行っております。しかし、期待された効果が得られない等様々な要因により研究開発活動を中止することによって、研究開発投資を回収できない場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4)製造または仕入に関するリスク

製品は当社の工場において独自の技術で製造しております。商品や原材料の一部につきましては、特定の取引先にその供給を依存している品目があります。このため、何らかの原因によって製造または仕入が停止等することで、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(5)環境問題に関するリスク

当社の研究開発活動や製造の過程において使用する化学物質のなかには、人の健康や周囲の環境に悪影響のあるものも含まれています。当社としても充分な対策をとっておりますが、万一これらに関して周囲の環境に悪影響を与えていると判断された場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(6)知的財産権に関するリスク

当社の事業活動が他社の特許等の知的財産権に抵触する場合、事業を中止または係争する可能性があります。また、他社が当社の知的財産権に抵触する場合、訴訟を提起する可能性があります。その結果及び経過が当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(7)訴訟に関するリスク

事業活動に関連して、医薬品の副作用や製造物責任等について訴訟が提起される可能性があります。その結果及び経過が当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(8)その他のリスク

上記の他に、自然災害発生に関するリスク、システムセキュリティに関するリスク等が考えられます。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(共同販売契約)

(1)当社は、平成20年6月18日に協和発酵キリン株式会社(本社:東京都千代田区)と、経皮吸収型持続性疼痛治療剤「フェントス®テープ」について、日本国内における共同販売契約を締結しました。

①契約の相手会社の名称

協和発酵キリン株式会社

②契約内容

当社が製造販売承認を取得した経皮吸収型持続性疼痛治療剤「フェントス®テープ」についての協和発酵キリン株式会社との日本国内における共同販売契約。

③対価の金額

契約一時金として対価を受け取っています。

 

(販売権の取得契約)

(1)当社は、平成19年8月6日にムンディファーマ社と、経皮吸収型持続性疼痛治療剤「ノルスパン®テープ」の日本での独占的な販売権を取得する契約を締結しました。

①契約の相手会社の名称

ムンディファーマ社

②契約内容

経皮吸収型持続性疼痛治療剤「ノルスパン®テープ」の日本での独占的な販売権を取得する契約

③対価の金額

契約一時金と、開発の進捗及び販売金額に応じて対価を支払っています。

 

6 【研究開発活動】

〔医薬品事業〕

当社では、貼付剤の開発を中心に、医療現場のニーズに基づいた研究開発活動を展開しています。

国内の医療用医薬品につきましては、経皮吸収型アレルギー性鼻炎治療剤HP-3060(一般名:エメダスチンフマル酸塩)を申請中です。経皮吸収型パーキンソン病治療剤HP-3000(一般名:ロピニロール塩酸塩)は、臨床第Ⅲ相試験を実施中です。またHP-3000は、特発性レストレスレッグス症候群治療の臨床第Ⅲ相試験を準備中です。経皮吸収型非ステロイド性疼痛治療剤HP-3150は、がん性疼痛治療および腰痛症治療の臨床第Ⅲ相試験を準備中です。

米国の医療用医薬品につきましては、経皮吸収型帯状疱疹後神経疼痛治療剤HP-1010(一般名:リドカイン)および経皮吸収型アルツハイマー型認知症治療剤HP-1030(一般名:リバスチグミン)をジェネリックとして申請中です。経皮吸収型統合失調症治療剤HP-3070は、臨床第Ⅲ相試験を実施中です。経皮吸収型注意欠如・多動症治療剤ATS(一般名:d-アンフェタミン)は、臨床第Ⅲ相試験を準備中です。

国内外の一般用医薬品につきましては、有効性・安全性・使用感の向上を目的に、新商品の開発および既存商品の改良等を行っています。

TDDS(Transdermal Drug Delivery System:経皮薬物送達システム)の可能性を広げるため、自社の基盤技術開発に加え、ノーベン社のTDDS技術の活用、社外機関との共同開発などを進めています。

〔その他〕

その他につきましては、一部研究開発活動を行っていますが、少額であり特に記載すべき事項はありません。

上記の結果、当連結会計年度の研究開発費の総額は、143億7千8百万円になりました。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 当連結会計年度の財政状態の分析

①資産

当連結会計年度末の総資産は2,788億2千万円となり、前連結会計年度末と比べて61億3千4百万円減少しました。主な増減は、受取手形及び売掛金(15億5千万円減)、商品及び製品(25億9百万円増)及びのれん(39億5百万円減)です。

②負債

当連結会計年度末の負債合計は496億1千4百万円となり、前連結会計年度末と比べて92億4千4百万円減少しました。主な増減は、未払法人税等(36億4千8百万円減)及びその他流動負債(41億8千1百万円減)です。

③純資産

当連結会計年度末の純資産合計は2,292億5百万円となり、前連結会計年度末と比べて31億1千万円増加しました。主な増減は、利益剰余金(134億8千9百万円増)及び自己株式(86億7千1百万円減)です。

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

①売上高

売上高は1,459億2千5百万円(前年同期比9.8%減)となりました。これは主に、国内の医療用医薬品事業が薬価改定や診療報酬改定の影響を受けて減収となったことによるものです。

②営業利益

営業利益は263億6百万円(前年同期比5.1%減)となりました。これは主に、売上高の減少によるものです。

③経常利益

経常利益は281億7千9百万円(前年同期比0.6%増)となりました。これは主に、持分法による投資利益の増加と為替差損の減少によるものです。

④親会社株主に帰属する当期純利益

親会社株主に帰属する当期純利益は203億9千5百万円(前年同期比14.7%増)となりました。これは主に、特別利益として共同販売契約終了に伴う利益や製造販売承認権譲渡益を計上したことによるものです。この結果、当連結会計年度における1株当たり当期純利益は241.27円、自己資本利益率は9.0%となっています。

(3) 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較して16億6千9百万円増加し、1,056億1千万円となりました。

①営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは199億1千万円の収入(前連結会計年度は309億2千3百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益(299億8千4百万円)、減価償却費(64億3千8百万円)、法人税等の支払額(112億2千8百万円)などによるものです。

②投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動によるキャッシュ・フローは10億7千万円の収入(前連結会計年度は39億1千2百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出(31億2千5百万円)、製造販売承認権譲渡による収入(32億8千万円)などによるものです。

③財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動によるキャッシュ・フローは184億2百万円の支出(前連結会計年度は116億1千6百万円の支出)となりました。これは主に、自己株式の取得(111億5千3百万円)、配当金の支払額(69億4千4百万円)などによるものです。