第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

 (1)会社の経営の基本方針

1907年の「朝日万金膏」発売以来、「サロンパス」に代表される経皮鎮痛消炎剤は、「貼る」ことで痛みやコリを治療する医薬品として、多くのお客さまにご愛用いただいています。

私たちは、世界に誇るTDDS(経皮薬物送達システム)に基づく貼付剤の創薬・育薬と製剤技術の向上に努め、製造・販売を通じて、「世界の人々のQOL(クオリティ・オブ・ライフ:生活の質)向上を目指す」ことを経営理念とし、健やかな社会の形成に貢献してまいります。

私たちが大事にしていく文化は、「手当て」の文化です。大切な人に手を添え、「がんばれ」、「元気になって」と、心を込めて癒やす。「手当て」に込められているのは、相手への思いやりです。それが「貼る」の原点であり、創業以来大切にしてきた、いたわりの治療文化です。相手を思いやり、やすらぎと驚きと感動を与えられる「手当て」の文化を広く世界の人々に伝えるべく、『「手当て」の文化を、世界へ。』を企業使命と定め、事業を積極的に展開してまいります。

 


 無形の貯蓄:久光製薬の「創業の精神」と位置づけ、企業価値は企業の考え方とそれに基づく行動に対する信頼であり、高い倫理観を持って歩みを続けていけば大きな支持と信頼を得ることができるという考え

 

 (2)目標とする経営指標

2017年4月7日発表の「2017~2021年度 第6期中期経営方針」において、2021年度のサロンパスの売上目標を450億円とし、ROE(自己資本利益率)8%以上を目標としています。サロンパスは日米を中心に着実に売上が増加しましたが、世界規模での新型コロナウイルス感染症拡大による経済への影響や活動の停滞により達成は困難な状況にあります。また、ROE(自己資本利益率)については資本効率向上を目指した自己株式の取得等を行ったものの、想定した以上の薬価改定や後発品使用促進策等の影響を受けて収益性が低下し、また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響も重なったため、目標を下回っています。

新型コロナウイルス感染症拡大により生活様式・価値観が急速に変化しており、第6期中期経営方針が前提としていた外部環境が大きく変わっていることから、外部環境の変化に順応しお客様のニーズに応えるべく、中期経営方針の見直しを進めています。

 

 

 (3)中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題

新型コロナウイルス感染症の収束時期等を予測することは困難な状況にあります。国内需要の減少は段階的に回復するものと想定していますが、訪日外国人の大幅な減少、医療費抑制策の影響、企業間競争の激化など引き続き厳しい事業環境が続くと想定しており、当社グループでは次のように取り組んでいきます。

医療関係者への学術情報活動を一段と強化するとともに、医療関係者や患者さんのニーズに合致した新しい全身性及び局所性の貼付剤開発を目指します。また、営業、生産及び研究開発の機能を強化するとともに、収益の一層の向上を目指し、更なる成長に努めます。

国内の一般用医薬品事業につきましては、市場の低迷が長期化し企業間競争が激化する中で、当社は、外用鎮痛消炎剤の売上伸長を図るとともに、お客様のニーズにお応えできるよう既存商品の改良及び新商品の開発を行います。

海外の事業展開につきましては、知的財産、製造技術及び品質管理技術を含めた当社ブランドの確立を図るとともに、海外生産工場の一層の充実と海外における臨床試験の強化を図ります。

特に、米国の医療用医薬品事業においては、ノーベン社を拠点とし、双方の得意な技術を融合させることで、研究開発の機能を高めるとともに製造を強化してまいります。

当社は、引き続き製薬企業としての使命と責任を自覚し、営業基盤の強化及び生産体制の拡充を図るとともに、研究開発につきましては、得意とする経皮吸収型貼付剤分野により多くの資源を集中し、新商品開発の迅速化を図ります。

当社グループは、医薬品などの創製・育薬・製造・販売を通じて「世界の人々のQOL(クオリティ・オブ・ライフ:生活の質)向上を目指す」を経営理念と定めています。また、当社は非連続的な変化に適応し、多様化するお客様のニーズに応えるべく企業使命を『「手当て」の文化を、世界へ。』と発展的に変更し、当社が培ってきた貼付剤技術をベースに事業活動を積極的に展開してまいります。この経営理念及び企業使命のもと、国内外において、お客様のニーズに的確に応える商品を提供するとともに、活発な「顧客創造」活動を展開し、ESG(環境・社会・ガバナンス)及びSDGs(持続可能な開発目標)を重視しながらCSR(企業の社会的責任)を一層積極的に推進していくことで、企業価値の向上と、持続可能な社会の発展に向けて取り組んでまいります。

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のようなものがあります。なお、当社グループはこれらのリスクの発生可能性を認識したうえで、経営リスクマネジメントの方針を制定し、リスクへの適切かつ効果的な対応を行うとともに、発生した場合の対応に努める方針です。

また、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

リスク

リスクの内容

リスクへの対応策

各種の法的規制に関するリスク

・薬価制度や医療保険制度等の規制
 の変更により、当社グループの業
 績に影響を及ぼす可能性がありま
 す

・薬事関連規制の改正の方向を早期
 に捉えて、追加対応の要否検討な
 ど事前に改正に備えています

副作用に関するリスク

・予期せぬ副作用等で発売中止、製
 品回収等の事態に発展する可能性
 があります

・製品に関する有害事象に注意を払
 い、迅速に回収等の措置を実施す
 ることで影響を最小限にとどめる
 よう備えています

研究開発活動に関するリスク

・新製品や新技術の研究開発活動に
 おいて、期待された効果が得られ
 ない等様々な要因によりそれらの
 研究開発活動を中止することによ
 って、研究開発投資を回収できな
 い可能性があります

・開発パイプラインを拡充し、資源
 及びリスクを分散し、適切にポー
 トフォリオ管理を行っています

・ステージ移行時期においてパイプ
 ラインの事業性を確認しています

製造又は仕入に関するリスク

・何らかの原因によって製造又は仕
 入が停止等することで、当社の業
 績に影響を及ぼす可能性がありま
 す

・安定供給体制の維持のため、製造
 拠点におけるBCP(事業継続計
 画)の策定・訓練を実施するとと
 もに安全在庫の確保に努めていま
 す

環境問題に関するリスク

・研究開発活動や製造の過程におい
 て使用する化学物質が周囲の環境
 に悪影響を与えていると判断され
 た場合、当社の業績に影響を及ぼ
 す可能性があります

・定期的に保管場所の点検を行い、
 環境保全に努めており、緊急時の
 対応訓練も実施しています

知的財産権に関するリスク

・当社の事業活動が他社の特許等の
 知的財産権に抵触する場合、事業
 を中止又は係争する可能性があり
 ます

・他社が当社の知的財産権に抵触す
 る場合、訴訟を提起する可能性が
 あります

・必要に応じて弁護士等の外部の専
 門家と連携して最善策を講じるた
 めの体制を整えています

訴訟に関するリスク

・事業活動に関連して、医薬品の副
 作用や製造物責任等について訴訟
 が提起される可能性があります

・必要に応じて弁護士等の外部の専
 門家と連携して最善策を講じるた
 めの体制を整えています

新型コロナウイルス感染症に
関するリスク

・新型コロナウイルス感染症の感染
 拡大に伴い、従業員の罹患等によ
 り当社の業績に影響を及ぼす可能
 性があります

・新型コロナウイルス感染症対策室
 を設置し、在宅勤務・時差出勤の
 推進、出張の制限等の対策を継続
 的に実施しています

その他のリスク

・自然災害やサイバー攻撃等により
 当社の事業活動が停滞する可能性
 があります

・BCP(事業継続計画)の策定と
 継続的改善を行っています

 

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。当社グループの連結財務諸表の作成にあたって重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しています。

この連結財務諸表の作成に際し、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いています。会計上の見積り及び該当見積りに用いられた仮定が特に重要な影響を及ぼすと考えられる、固定資産の減損会計や繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りは、連結財務諸表作成時において入手可能な情報に基づき合理的に判断し実施していますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。

なお、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響に関する会計上の見積もりについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 追加情報」に記載しています。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

①経営成績等

(財政状態)

当社は「医薬品事業」のみを報告セグメントとしており、当連結会計年度の連結業績は以下の通りです。

当連結会計年度末の総資産は2,998億6千1百万円となり、前連結会計年度末と比べて75億3千9百万円減少しました。これは主に、有価証券の償還による減少、売上高の減少に伴い売掛債権が減少したことによるものです。

当連結会計年度末の負債合計は460億5千1百万円となり、前連結会計年度末と比べて106億2百万円減少しました。これは主に、当期利益の減少による未払法人税の減少、買掛債務の減少によるものです。

当連結会計年度末の純資産合計は2,538億9百万円となり、前連結会計年度末と比べて30億6千2百万円増加しました。これは主に、親会社に帰属する当期純利益による利益剰余金の増加、投資有価証券の時価上昇に伴うその他有価証券評価差額金の増加によるものです。

(経営成績)

売上高は、1,145億1千万円(前年同期比18.8%減)となりました。

国内市場において、医療用医薬品事業は、2019年10月と2020年4月の二度の薬価改定や、継続的な後発品使用促進策による影響、及び新型コロナウイルス感染症の拡大による受診抑制の影響を受けました。2020年6月には経皮吸収型持続性疼痛治療剤「フェントステープ」が、オピオイド鎮痛剤未使用のがん疼痛患者への適応拡大に関する承認事項一部変更承認を取得、2020年12月には経皮吸収型アルツハイマー型認知症治療剤『リバスチグミンテープ「久光」』の販売を開始しましたが、前年の業績には2019年9月に受領した経皮吸収型ドパミン作動性パーキンソン病治療剤「ハルロピテープ」の国内製造販売承認時マイルストンが含まれていたこともあり、前年同期比19.8%の減収となりました。一般用医薬品事業は、全般的に新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を受けました。訪日外国人の大幅な減少、イベントの中止や店頭での販促活動を自粛したこと等により「サロンパス」や「フェイタス」シリーズの売上が減少しました。また、花粉の飛散量減少及び外出自粛による鼻炎治療剤市場の縮小により「アレグラFX」の売上が減少したことなどもあり、前年同期比31.8%の減収となりました。

一方、海外市場において、医療用医薬品事業は、米国にて経皮吸収型統合失調症治療剤「SECUADO」を2020年3月より販売開始しましたが、その他の製品が後発品の影響を受け売上が減少したことにより、前年同期比14.8%の減収となりました。一般用医薬品事業は、新型コロナウイルス感染症の拡大による各国の外出規制等の影響や円高の影響を受け売上が減少したことにより、前年同期比6.7%の減収となりました。

 

営業利益は、106億7千1百万円(前年同期比53.0%減)となりました。広告費の減少を主な要因として販売費および一般管理費が前期を下回りましたが、売上高の減少に伴い売上総利益が減少したことによるものです。

経常利益は、118億2千9百万円(前年同期比53.8%減)となりました。営業利益の減少に加え、為替差損が増加したことによるものです。

親会社株主に帰属する当期純利益は、92億5千万円(前年同期比50.5%減)となりました。経常利益の減少によるものです。

 

〔地域別売上高〕

(単位:百万円)

 

2020年2月

2021年2月

増減額

増減率

売上高

140,992

114,510

△26,481

△18.8%

医療用医薬品

日本

65,080

52,181

△12,899

△19.8%

海外

16,299

13,885

△2,414

△14.8%

 米国

12,262

10,169

△2,092

△17.1%

 その他地域

4,036

3,715

△321

△8.0%

一般用医薬品

その他

日本

29,682

20,239

△9,443

△31.8%

海外

27,289

25,454

△1,834

△6.7%

 米国

12,103

12,087

△16

△0.1%

 その他地域

15,186

13,367

△1,818

△12.0%

その他事業

日本

2,640

2,749

+109

+4.1%

 

 

[医薬品事業]

当連結会計年度の国内の医療用医薬品事業につきましては、継続的な医療費抑制策が推進される中、新型コロナウイルスによる受診抑制の影響もあり、先行きが不透明な環境下で推移しました。

このような状況の中、当社は、経皮吸収型貼付剤を中心として、医療関係者への適正かつ、きめ細やかな学術情報活動、すなわち有効性・安全性に関する情報の提供・収集活動を展開するとともに、ケトプロフェン含有の経皮鎮痛消炎剤「モーラステープ」及び「モーラスパップXR」、「モーラスパップ」、経皮吸収型エストラジオール製剤「エストラーナテープ」、鎮痛効果の高いフェンタニルクエン酸塩含有の経皮吸収型持続性疼痛治療剤「フェントステープ」、オキシブチニン塩酸塩含有の経皮吸収型過活動膀胱治療剤「ネオキシテープ」、エメダスチンフマル酸塩含有の経皮吸収型アレルギー性鼻炎治療剤「アレサガテープ」などの適正使用促進活動に努めました。

2020年12月には、経皮吸収型アルツハイマー型認知症治療剤『リバスチグミンテープ「久光」』の販売を開始しました。

次に、国内の一般用医薬品事業につきましては、訪日外国人の大幅な減少等の影響を受ける中、経皮鎮痛消炎剤などの販売に加えて、新商品を投入し、新規顧客創造活動に努めました。

2020年3月には「ブテナロック薬用ソープ150g」、同年6月には、ジクロフェナクナトリウム配合のスプレー式鎮痛消炎剤の「エアーサロンパスZ」、同年8月には、家庭用医療機器の「温熱用具 直貼温感プラス」、経皮鎮痛消炎プラスター剤の「サロンパスツボコリパッチ」、同年9月には、「HisamitsuBODYCAREシリーズ」として「Hisamitsuマッサージローラージェル」、「Hisamitsuマッサージオイルスプレー」、「Hisamitsuリフレッシュボディシート」、同年12月には、「Hisamitsu除菌抗菌消臭スプレー」を新発売しました。

また、2021年1月には、フェルビナク配合の経皮鎮痛消炎テープ剤「フェイタス5.0温感」、同年2月には「フェイタス5.0、同大判サイズ」をリニューアル発売しました。今回のリニューアルではESG推進の一環として、従来のパッケージのサイズを縮小し、紙の使用量を低減するとともに、薬袋の開封口を広げて使いやすくしております。さらに容量を変更して、お買い求めになりやすい価格に変更しました。

 

海外の一般用医薬品事業につきましては、販売促進活動に努め、米国のOTC医薬品(一般用医薬品)市場の鎮痛消炎貼付剤市場においてサロンパスブランドが販売額シェア1位(2020年1月から12月累計販売金額)を獲得しています(Information Resources,Inc.)。

また、ユーロモニター社より、「Salonpas」がOTC医薬品(一般用医薬品)市場の鎮痛消炎貼付剤カテゴリーにおいて、4年連続で販売シェア世界No1ブランドの認定を受け、また、同カテゴリーにおいて「久光製薬」が3年連続で販売シェア世界No1企業の認定を受け、2020年5月18日に認定証を授与されました。

海外の医療用医薬品につきましては、2020年3月に海外子会社のノーベン社が経皮吸収型統合失調症治療剤「SECUADO」の販売を開始しました。

 

<新型コロナウイルス感染症の拡大への当社グループの対応及び事業・業績への影響>

新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大する中、当社グループでは、「世界の人々のQOL(クオリティ・オブ・ライフ:生活の質)向上を目指す」という経営理念のもと、「手当て」の文化を世界へ広げること、社会に貢献する製薬企業の一員として感染拡大につながる活動を自粛すること、このような非常事態においても将来に向けた研究開発活動を継続していくこと、これらを実現するために世界各国の拠点においてそれぞれの地域の規制等を踏まえ、最大限の対策を実施しています。

また、代表取締役社長の指示のもとで新型コロナウイルス感染症対策室を設置し、国内外の従業員や取引先の健康と安全を確保するため、在宅勤務・時差出勤の推進、出張の制限等の対策を継続的に実施しています。

当社グループの事業・業績への影響は以下の通りです。

(販売活動)

国内の医療用医薬品事業においては、医療機関へのMRの訪問自粛や患者さんの受診抑制により、営業収益等の減少の影響を受けていますが、デジタルマーケティングの強化を図り、新たな活動を推進しています。

一般用医薬品事業においては、入国制限による訪日外国人の大幅な減少や外出自粛に伴う営業活動の制限・イベント中止等により、営業収益等の減少の影響を受けていますが、新規販路の開拓に着手し、マーケットを広げる活動を行っています。

海外事業においても、各国の外出規制等により営業収益等の減少の影響を受けていますが、医療従事者・店舗に対する貢献活動とともに営業活動を実施しています。

(生産活動)

原材料の調達においては、従前より安定供給体制を構築しており、順調に確保できています。また、生産活動においては、毎日の健康管理、感染対策を徹底した上で生産活動を継続し、医薬品製造企業として製品の安定供給維持のために十分な在庫確保に努めています。今後の感染拡大の状況が長期化・深刻化した場合には、生産活動に影響を及ぼす可能性があります。

(研究開発活動)

臨床試験を実施している開発品の一部において、被験者登録の一時的な中断などがあり追加の経費が発生しましたが、現時点でスケジュールに大きな遅延はありません。今後の感染拡大の状況が長期化・深刻化した場合には、臨床試験の進捗等に影響を及ぼす可能性があります。

 以上のように、新型コロナウイルス感染症の拡大により事業への影響を受けていますが、当社グループは、感染拡大前の働き方に戻すのではなく、緊急事態宣言下で経験した在宅勤務やICT(情報通信技術)を活用した時間や場所に縛られない働き方などを積極的に取り入れ、従業員が最大限に能力を発揮できる新しい働き方の実現に取り組み、世界の人々のQOL(クオリティ・オブ・ライフ:生活の質)向上に貢献していきます。

 

 

(キャッシュ・フローの状況)

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較して43億5千7百万円増加し、913億5千4百万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは52億8千9百万円の収入(前連結会計年度は273億9千5百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益(121億9千7百万円)、売上債権の減少額(89億5千5百万円)、たな卸資産の増加額(43億2千5百万円)、法人税等の支払額(73億2千万円)などによるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは78億1千5百万円の収入(前連結会計年度は172億2千9百万円の支出)となりました。これは主に、有価証券の減少額(97億1千5百万円)、有形固定資産の取得による支出(33億4千1百万円)などによるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは71億8千7百万円の支出(前連結会計年度は117億2千6百万円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払額(68億6百万円)によるものです。

 

(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

 

2017年2月

2018年2月

2019年2月

2020年2月

2021年2月

自己資本比率

82.6

82.3

83.5

80.9

84.1

時価ベースの

自己資本比率

182.7

218.4

153.7

128.4

181.0

キャッシュ・フロー

対有利子負債比率

0.11

0.07

0.12

0.06

0.30

インタレスト・カバ

レッジ・レシオ

499.5

935.7

800.5

1,387.1

531.8

 

自己資本比率(%) : 自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率(%) : 株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) : 有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ : 営業キャッシュ・フロー/利払い

(注)1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。

2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しています。

3.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。

 

 

②生産、受注及び販売の状況

(生産実績)

当連結会計年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

医薬品事業

101,544

△10.7

合計

101,544

△10.7

 

(注) 1 金額は販売価格により算定したものです。

2 上記金額には消費税等は含まれていません。

 

(受注実績)

当社グループは受注生産は行わず、全て一般市場の動向等を勘案し、見込生産を行っています。

 

(販売実績)

当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

医薬品事業

111,760

△19.2

その他

2,749

4.1

合計

114,510

△18.8

 

 

(注) 1 主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

㈱メディパルホールディングス

19,718

14.0

15,928

13.9

アルフレッサホールディングス㈱

17,401

12.3

14,535

12.7

大木ヘルスケアホールディングス㈱

14,185

10.1

9,391

8.2

 

2 上記金額には消費税等は含まれていません。

 

③資本の財源及び資金の流動性

当社グループは、円滑な事業活動に必要となる流動性の確保と財務の健全性及び安全性の確保を資金調達の基本方針としており、市場環境等を考慮した上で、有効かつ機動的な資金調達を実施していきます。資金需要としては、製品製造費用、商品仕入、研究開発費及び販売費などの運転資金のほか、事業の拡充・発展を目的とした研究開発投資、設備投資が中心となりますが、資金の源泉については、内部資金を充当しています。

 

④経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループでは、2017年4月7日発表の「2017~2021年度 第6期中期経営方針」において、ROE(自己資本利益率)8%以上を2021年度の目標としています。

当連結会計年度における、ROE(自己資本利益率)は3.7%(前年同期比3.8%減)となりました。

目標達成に向けた主な取組課題については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

(共同販売契約)

(1)当社は、2008年6月18日に協和キリン株式会社(本社:東京都千代田区)と、経皮吸収型持続性疼痛治療剤「フェントステープ」について、日本国内における共同販売契約を締結しました。

①契約の相手会社の名称

協和キリン株式会社

②契約内容

当社が製造販売承認を取得した経皮吸収型持続性疼痛治療剤「フェントステープ」についての協和キリン株式会社との日本国内における共同販売契約。

③対価の金額

契約一時金として対価を受け取っています。

 

(販売契約)

(1)当社は、2019年2月5日に協和キリン株式会社(本社:東京都千代田区)と、経皮吸収型ドパミン作動性パーキンソン病治療剤「ハルロピテープ」について、日本国内での販売に関する契約を締結しました。

①契約の相手会社の名称

協和キリン株式会社

②契約内容

当社が製造販売承認を取得した経皮吸収型ドパミン作動性パーキンソン病治療剤「ハルロピテープ」についての日本国内での販売に関する契約。

③対価の金額

契約一時金の他、承認取得時マイルストン、売上高に応じたマイルストンを受け取ります。

 

5 【研究開発活動】

〔医薬品事業〕

当社は、貼付剤の開発を中心に、医療現場のニーズに基づいた研究開発活動を展開しています。

国内の医療用医薬品につきましては、経皮吸収型持続性疼痛治療剤「フェントステープ」(開発コード:HFT-290、一般名:フェンタニルクエン酸塩)は、2020年6月29日にオピオイド鎮痛剤未使用のがん疼痛患者への適応拡大に関する承認事項一部変更承認を取得しました。またHFT-290は2020年9月10日に小児がん疼痛患者への適応拡大に関する承認事項一部変更承認申請を行いました。経皮吸収型非ステロイド性疼痛治療剤「ジクトルテープ」(開発コード:HP-3150、一般名:ジクロフェナクナトリウム)は2020年2月27日に製造販売承認申請を行い、2021年3月23日に承認を取得しました。またHP-3150は腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、腱鞘炎治療に関する国内第Ⅲ相臨床試験を終了し、申請準備中です。原発性手掌多汗症治療剤HP-5070(一般名:オキシブチニン塩酸塩)は、国内第Ⅲ相臨床試験を開始しました経皮吸収型アルツハイマー型認知症治療剤『リバスチグミンテープ「久光」』(一般名:リバスチグミン)は、2020年8月17日に後発医薬品として承認を取得し、2020年12月に販売を開始しました。経皮鎮痛消炎剤「モーラスパップXR120mg、同240mg」は、2021年1月20日に承認事項一部変更承認を取得しました。

米国の医療用医薬品につきましては、経皮吸収型統合失調症治療剤「SECUADO」(開発コード:HP-3070、一般名:アセナピンマレイン酸塩)は、2019年10月11日に承認を取得し、2020年3月に販売を開始しました。経皮吸収型帯状疱疹後の神経疼痛治療剤HP-1010(一般名:リドカイン)は、2020年12月1日にジェネリックとして承認を取得しました。経皮鎮痛消炎剤HP-5000(一般名:ジクロフェナクナトリウム)は、米国第Ⅲ相臨床試験を開始しました。経皮吸収型注意欠如・多動症治療剤ATS(一般名:d-アンフェタミン)は、米国第Ⅲ相臨床試験を終了し、2021年2月22日に新規承認申請を行いました。 

国内外の一般用医薬品につきましては、有効性・安全性・使用感の向上を目的に、新商品の開発及び既存商品の改良等を行っています。

TDDS(Transdermal Drug Delivery System:経皮薬物送達システム)の可能性を広げるため、自社の基盤技術開発に加え、ノーベン社のTDDS技術の活用、社外機関との共同開発などを進めています。

〔その他〕

その他につきましては、一部研究開発活動を行っていますが、少額であり特に記載すべき事項はありません。

上記の結果、当連結会計年度の研究開発費の総額は、10,766百万円になりました。