第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当社グループは、「健康づくりは幸せづくり」を基本に、総合健康企業として、クオリティ・オブ・ライフの向上に貢献するため、国際的な医療ニーズに応えた医薬品やセルフメディケーションを指向したコンシューマーヘルスケア製品の研究開発、製造販売に取り組んでおります。

また、社会規範と行動規範を遵守し、企業活動すべてにおいて、さらには供給する製品すべてにおいて、ベスト・クオリティを追求し、信頼と期待に応えるべく健全経営に努めてまいります。

 

(2)経営戦略等

当社グループの特徴は、医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業によるバランスのとれた経営です。

2つのコア事業がそれぞれの強みを活かして収益に貢献することが、持続的な成長をもたらしています。さらにこの安定的な経営基盤が、次の成長のためのM&Aや、多額の費用と長い年月を要する新薬の開発・上市を可能にしています。

得意分野に集中的に経営資源を投入する戦略で、効率的に事業を拡大し、それぞれの事業分野で独自の地位を築いています。医療用医薬品事業では、研究開発から販売まで消化器系領域に特化して、上部から下部消化管領域までラインアップするとともに、研究開発においては、消化器系領域に続く領域として癌を選定し、これらに特化することで国際競争力の強化を図っています。コンシューマーヘルスケア事業では、セルフメディケーション(セルフケア)に貢献する独創的な製品開発に注力しています。

さらに、売上・利益に貢献し、シナジーが得られることを目指したM&Aやアライアンスによるグローバル展開も進めています。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

経営指標については、連結売上高及び海外売上高比率を重視しております。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは第11次中期経営計画(2023年度~2025年度)の3年間において、グローバル展開のさらなる加速、「車の両輪」である医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業の事業拡大と収益性の改善、財務体質の強化を通じて、ゼリアグループの持続的な発展と企業価値向上を果たすとともに、サステナブルな社会の実現に貢献してまいります。また、グループの事業基盤の強化・拡充に資するM&Aやアライアンスにも引き続き積極的に取り組んでいく方針としております。これらの活動を通じ、「連結売上高900億円」をはじめとした経営目標の達成を目指してまいります。

グローバル展開におきましては、「ディフィクリア」、「アサコール」を中心に欧州事業を継続的に拡大させていくことに加え、成長著しいアジア地域における事業の拡大に注力してまいります。

「ディフィクリア」につきましては、欧州の感染症診療ガイドラインで第一選択薬として推奨される中、積極的な営業リソースの投入と徹底した製品認知度向上に努めた結果、順調に市場規模を拡大しており欧州の主要各国で売上を急拡大させました。今後、市場規模の大きなドイツ、イギリスなどにおいてもさらなる成長を見込んでおり、営業活動を強化してまいります。「アサコール」につきましても、欧州の主要各国で前年実績を上回る伸びを見せる中、高用量製剤「アサコール1600mg錠」をさらに伸長させることにより、引き続き市場規模の拡大に努めてまいります。

アジア事業につきましては、Pharmaceutical Joint Stock Company of February 3rdの業容の拡大に努めるとともに、新工場の稼働により、ベトナムを含むアセアン諸国への市場展開を図ってまいります。また、アジア各国においてパートナーとの提携を進めており、当社のOTC製品や健康食品の輸出の拡大に努めてまいります。

国内におきましては、引き続き医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業の拡大を図ってまいります。医療用医薬品事業は厳しい事業環境にありますが、自社オリジナル品である「アコファイド」をはじめ、「フェインジェクト」、「ダフクリア」、2025年3月に販売を開始した高カリウム血症治療薬「ビルタサ」に営業リソースを積極的に投入し、国内医療用医薬品市場におけるプレゼンスを高めてまいります。コンシューマーヘルスケア事業につきましては、インバウンド需要の取り込みや、製品特性をより明確に訴求した広告宣伝・販売促進活動に注力し、主力製品群の「ヘパリーゼ群」、「コンドロイチン群」、「ウィズワン群」の売上拡大を図ってまいります。さらには、基礎化粧品「イオナ」シリーズ、薬用歯みがき「マスデント群」、OTC医薬品として国内唯一の月経前症候群(PMS)治療薬「プレフェミン」をはじめとした西洋ハーブ製剤、皮膚疾患治療薬「プレバリン群」など多くの製品群の拡販により、事業の拡大を図ってまいります。

研究開発におきましては、Tillotts Pharma AGとの連携によるグローバル開発体制のもと、新規開発テーマを推進してまいります。「Z-100」につきましては、非臨床研究を進めるとともに、特定臨床研究への支援などを通じて、新たな臨床開発の開始に向けた活動を継続してまいります。「ZG-802」につきましては、国内フェーズⅡ試験を終了させ、海外展開も含めて次の開発段階に向けて検討してまいります。また、上市された製品についても、医師主導の臨床研究を積極的に支援していくとともに、データベース研究等を推進し、製品価値向上に努めてまいります。さらに、市場ニーズに沿ったコンシューマーヘルスケア製品の開発に迅速かつ積極的に取り組み、特長ある製品ラインナップの拡充を図ってまいります。

なお、健創製薬株式会社の吸収合併により、経営資源の集約、経営の効率化・意思決定の迅速化を一層進め、これまで以上にサービスの充実や製品価値向上を図ってまいります。

さらには、コーポレート・ガバナンス体制の一層の充実を進め、企業理念並びにサステナビリティ基本方針に則った経営を実行していくことで、グループ経営の信頼性を一層高める努力を継続するとともに、サステナブルな社会の実現に貢献してまいります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1) サステナビリティ全般

当社グループのサステナビリティに関する基本的な考え方は、次のとおりであります。

当社グループは、社会・環境問題を含むサステナビリティを巡る諸課題について、経営の重要課題として取り組んでおります。2021年度に「ゼリア新薬工業のサステナビリティ基本方針」を策定し、社会・環境問題等に対する具体的な取組を進めております。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(サステナビリティ基本方針)

ゼリア新薬工業は、「健康づくりは幸せづくり」をモットーに、事業活動を通じて、人々の健康回復・維持に貢献することを企業経営の基本としており、医薬品メーカーとしての高い倫理観とコンプライアンスを基盤として、医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業の両事業分野において、独創的で価値ある製品の開発・製造・販売により持続的に成長してまいります。また、企業市民として、環境負荷の低減を常に意識し、豊かで住み良い社会を目指すとともに、地域社会の発展に貢献してまいります。

 

① ガバナンス

気候変動や人的資本をはじめとする、サステナビリティを含む、経営に重大な影響を与える可能性のあるリスク・機会につきましては、経営会議、常勤役員会または取締役会に付議し、経営レベルでの充分な検討と対応策の決定を行う体制としております。

さらに2024年4月に、サステナビリティ活動の推進と管理体制の強化を目的に、管理本部を管掌する取締役を委員長、関連部門長並びに工場長を委員とし、サステナビリティ委員会を設立いたしました。サステナビリティに関連した取組や重要事項について原則として年2回討議を行い、活動内容や進捗を原則として年1回取締役会に報告する体制としております。さらに、より専門的な討議・実務の推進を行うため、サステナビリティ委員会の下部組織としてワーキンググループを設置しております。

 

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サステナビリティ委員会の組織図

 

② 戦略

当社は、サステナビリティに関連する課題の中から、優先的に取り組むべき重要課題として10個のマテリアリティを特定いたしました。マテリアリティの特定は、以下の手順にて実施いたしました。

 

Step1:各種原則やガイドラインを踏まえマテリアリティ候補の課題を洗い出し

Step2:その課題が「当社へ与える影響」、「ステークホルダーへ与える影響」の2軸で評価したマテリアリティマップを作成

Step3:評価の妥当性を検証

Step4:影響の大きい課題を特定して取締役会にて決定

 

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マテリアリティ

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③ リスク管理

当社では、コンプライアンス担当部門や内部監査・内部統制担当部門を設置し、リスク発生の未然防止並びにリスク管理に取り組む体制を構築しております。コンプライアンス担当部門は、当社グループ社員がとるべき行動規範を制定し、全従業員に浸透を図っております。内部監査・内部統制担当部門は、財務報告に係る内部統制が機能していることの監査に加え、グループ全体を含めた内部統制の状況及び業務プロセスの適正性をモニタリングしております。監査等の結果及び改善状況は、定期的に代表取締役、監査役、常勤役員会及び取締役会へ報告を行うとともに、取締役会による監督・助言を受ける体制としております。

また、気候変動や人的資本を含むサステナビリティに係るリスクや機会の特定・管理に関しましては、サステナビリティ委員会の下部組織である各ワーキンググループが、当社グループへ与える影響について総合的に勘案のうえ、リスクや機会を識別し、サステナビリティ委員会に報告され、サステナビリティ委員会にて評価・審議し、取締役会に報告・答申する体制としております。

 

(2) 気候変動対応

① 戦略

当社では第11次中期経営計画のサステナビリティにかかる重要課題として「温室効果ガス排出削減」を掲げており、工場や研究所等における環境配慮型設備の導入、営業車へのハイブリッド車両採用等の温室効果ガス排出量削減策を講じております。また、太陽光発電設備などの再生可能エネルギー設備の導入検討も行っております。

なお、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に沿った開示につきましては、2026年3月期有価証券報告書にて対応予定です。

 

② 指標及び目標

当社は日本政府の2050年カーボンニュートラル宣言目標達成に貢献すべく、2050年のカーボンニュートラルを目指しております。

当社の温室効果ガス排出量は以下のとおりです。なお、算定範囲はゼリア新薬工業単体です。

(単位:t-CO2)

Scope

2024年度

Scope1

4,562

Scope2

5,728

Scope1,2合計

10,290

 

(3) 人的資本に関する取組

① 戦略

当社では第11次中期経営計画のサステナビリティにかかる重要課題として「多様な人財の活躍による生産性の向上」を掲げており、「能力向上・キャリア構築の支援と人財育成」と「働き方改革の推進と職場環境の整備」の達成に向けて取り組んでおります。

 

(人財育成方針)

当社グループでは、「人材」を「人財」と表現しています。それは、人が経営資源の中で最も重要な要素であり、会社の「財産」であると考えているからです。そのため、社員育成においても、「ヒトは人財」を理念に掲げ、社会の期待と信頼に応える人財を育てるべく教育・研修体制の充実に努めています。そして、人々の生命と直接に関わりを持つ医薬品メーカーとして、その責務を真摯に受け止め、専門的な業務知識や行動規範を身につけるだけでなく、社会人としての素養と人格を備えた人財の育成を行っています。

 

(社内環境整備方針)

当社グループでは、従業員が自らの能力を発揮し、働き甲斐をもって仕事に取り組むために働きやすい職場環境が整っていることが重要と考え、従業員が最大限に能力を発揮できるよう、在宅勤務やフレックスタイム制の導入など柔軟な働き方を取り入れ、働きやすい職場環境づくりに努めております。

 

② 指標と目標

イ.能力向上・キャリア構築の支援と人財育成

階層別や職種別等の社内研修を充実するとともに、ITリテラシーの高い人財の育成を通じDXを推進しております。また、ビジネスに必要な経済知識など基礎知識と、その知識を仕事に活かす力を養う取組を行っております。

a.DX人財の育成に力を注いでおり、ITパスポート等の取得を推進し、2025年3月末時点で180名が取得しております。

b.全社員を対象に情報セキュリティ研修及びITリテラシー研修等を2024年度は計5回実施し、今後も継続して実施してまいります。

c.2022年度より日経TESTを用いた研修やアセスメントを実施しております。

 

ロ.職場環境の整備

能力を最大限に発揮できる機会を提供することは企業が持続的な成長を続けるうえで重要であるとの認識のもと、互いに尊重し合い、働きやすい職場環境づくりに注力しております。

a.従業員が働きやすい職場環境を構築するためには、コンプライアンスを遵守し、ハラスメントのない組織づくりが重要と考えており、部門ごとの月次の取組、及び年に1回の集合研修を実施しております。2024年度の集合研修への参加者率は100%であり、今後も100%を維持することを目標としております。

 

b.「次世代育成に関する事業主行動計画」を作成し、育児・介護、子育て支援に積極的に取り組んでおり、男性社員の育児休業や育児短時間勤務制度も増加しております。こうした取組が評価され、2024年度に「くるみん認定」を受けております。

c.シニア社員(60歳定年再雇用者)がモチベーションを高く持ち続けるために処遇を改善するとともに、本人の希望を踏まえた短時間勤務や週4日勤務・週3日勤務など柔軟な働き方を認めております。また、シニア社員のための長期休暇や、傷病時に利用できる積立休暇を備えるなど、高齢者も安心して働けるよう制度を整備しております。

d.障がい者の雇用にも積極的に取り組み、法定雇用率以上を維持することを目標に掲げており、2025年3月末時点の障がい者雇用率は2.57%となっております。

e.女性が持続的に活躍できる職場環境の整備を進め、男女の平均勤続年数の差異を75%以上に維持することを目標に掲げており、2025年3月末時点で78.1%となっております。

f.管理職に占める女性労働者比率を2026年度末までに10%とすることを目標に掲げ、引き続き社内制度及び職場環境の整備・改善に取り組んでおります。

 

<参考>

当社グループの国内連結子会社の管理職に占める女性労働者の割合は、次のとおりとなります。(2025年3月末日時点)

会社名

管理職に占める女性労働者の割合(%)

ゼリア新薬工業株式会社

9.8

ゼリアヘルスウエイ株式会社

27.3

イオナ インターナショナル株式会社

35.3

健創製薬株式会社

9.5

(注) 1 管理職に占める女性労働者の割合は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。なお、管理職の範囲は、社内において課長と呼ばれている者及びそれより上位の者であり、組織、構成員の数に関係なく、その職務の内容及び責任の程度が課長に相当する者を含んでおります。

2 海外のグループ子会社につきましては、関係法令の適用外であるため、国内と同様の集計・管理は行っておりません。

3 国内連結子会社のうち管理職5名以上の会社を記載しております。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

医薬品等の安全性

販売中の医薬品等に関して、予期せぬ副作用や安全性上の懸念が生じる場合があります。これらの副作用や安全性上の懸念が重篤な場合には、その医薬品等の使用が制限されたり、販売を中止する可能性があります。主力製品にそのような事態が発生した場合には、当社グループの業績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、副作用の収集に努め、その内容を必要に応じて規制当局に報告するとともに、定期的に措置の検討を行い、使用上の注意を改訂するなど製品の適正使用を推進しております。また、使用する原料については、受入れ試験の実施とともに、原料工場への定期的な調査、さらには複数社から原材料を購入することによりリスクを最小限にするよう努めております。

 

研究開発の成否

医薬品等の開発に関しては、多大な時間と費用を要します。研究段階において医薬品の候補になり得る化合物を創製できる可能性は、高いものではありません。また、臨床研究の段階で予期しない副作用の発生や期待する有効性が確認できない場合もあります。

このような理由から、途中で開発を断念したり、開発計画の変更により開発期間が延長される可能性があります。こうした事態が発生した場合には、事業計画の大きな変更を迫られたり、当社グループの業績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、グローバル開発体制による綿密な治験計画の策定と進捗管理を行っております。また、開発着手時及び次相の開発段階に移行するごとに、有効性と安全性のバランス及び投資対効果の観点から、開発の継続・中止を適切に判断しております。

 

関連する諸法規等

医薬品等の販売や製造・研究開発は、その実施に関して薬機法等関連法規によって規制されています。これらの法規制の変更により、販売の中止や制限、研究開発の変更などをせざるを得ない場合があります。これらの事態が発生した場合には、当社グループの業績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

医療用医薬品については国により薬価基準が定められております。この薬価基準は、市場実勢価格に合わせて見直し(薬価の引き下げ)が実施されます。この場合、売上高や利益を確保・増加させるには、販売数量の増加へ向けた努力が必要になりますが、引き下げ幅が多大であった場合または期待した販売数量増が達成できない場合には、当社グループの業績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。さらに、既存の薬剤にとって代わる新薬の開発と上市が計画通り進行していない場合には、その影響が中長期的にも甚大なものとなる可能性があります。

また、医療政策や保険制度の変更が医薬品の処方等に影響を与え、市場の成長を変化させる可能性もあります。

当社グループは、各種業界団体への加盟等、国内外の規制情報をタイムリーに収集することにより、社内体制の整備並びに社内方針の見直しなど必要な措置を迅速に講じております。また、原料・製造コストの低減に努めるとともに、持続的成長に向けた販売戦略を実行しております。

 

提携関係等

医薬品等の販売や研究開発の過程では、他社との間で、製品導入、共同販売、共同開発などが行われています。これらの関係は、今後発生するさまざまな事情から解消される可能性を否定できません。現実に解消があった場合には、期待した経営成果を実現することができなくなり、当社グループの業績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、収益の柱となる主力品を複数育成することで、提携関係の解消等があった場合の業績への影響を最小限にするよう努めております。

 

ジェネリック医薬品の参入等

自社の医療用医薬品について、特許期間が満了したり、国によって定められた再審査期間が終了した場合には、ジェネリック医薬品の参入が予想されます。これにより医療用医薬品市場での競合が激化し、当社グループの業績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、新薬の開発と上市が計画通り進行していない場合には、その影響が中長期的にも甚大となる可能性があります。

当社グループは、デジタルマーケティング等を活用した医療機関への情報提供活動を一層充実させることで、医薬品の適正使用を促進していくとともに、新薬の上市や既存品のライフサイクルマネジメントを適切に行うことで、業績への影響を最小限にするよう努めております。

 

のれん、販売権等

国内外における事業拡大の一環として企業買収を実施してきた当社グループにおいては、買収後の連結貸借対照表に多額の「のれん」が計上されております。これまでTillotts Pharma AGをはじめ、買収を通じてグループ企業となった連結子会社はグループ業績に多大な貢献をしてきておりますが、これら子会社の今後の業績がさまざまな要因により低迷した場合には、のれんの減損により当社グループの業績、財政状態に甚大な影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの連結貸借対照表には多額の「販売権」及び「商標権」が計上されております。これら無形固定資産については、のれんと同様に定期的に減損の兆候の有無の評価が必要となりますが、減損が生じていると判断される場合には、減損損失の計上により、当社グループの業績、財政状態に甚大な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、企業買収を行う場合に、買収前の外部評価を含むデューデリジェンス、取締役会や経営会議における買収案件の適切性に関する審議、買収後のシナジー実現に向けたフォローアップ等を実施することにより、事業発展に資する企業買収となるよう取り組んでおります。

また、「販売権」、「商標権」などの無形固定資産の計上にあたっては、外部専門家による適切な評価及び償却期間の設定を行っており、資産計上後は毎期、適切に資産の測定を実施しております。

 

訴訟の発生等

人々の健康に直接的に係りを持つ医薬品事業等の展開にあたっては、副作用や品質管理上の問題により予期せぬ健康被害の発生に直面する可能性を否定できません。また、幾多の提携関係等をベースとして事業を営む当社グループにおいては、提携等の内容・条件や提携関係の継続の可否を巡って、相手先との間で紛争の発生する可能性も否定できません。これらの事態が訴訟に進展した場合、その結果によっては、当社グループの業績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

災害の発生等

大規模な災害やパンデミックの発生等により工場または原材料等の仕入先または物流網が被災した場合には、その程度によっては工場の操業や物流網が一時的に停止する可能性があります。操業や物流網の停止が長期にわたる場合には、製品供給に支障を来たし、当社グループの業績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、これらの事態の対応として、生産部門では、製品供給を確保するため、パンデミック対応手順による感染防止対策を徹底するとともに、複数購買による原材料の確保や工場設備の耐震補強等の防災対策、物流部門は各物流センターの製品在庫の確保により対応しております。

なお、新型コロナウイルス感染症に対しては、職場における感染予防、健康管理の強化に努めるとともに、在宅勤務や時差出勤などの柔軟な勤務体制への移行、災害対策マニュアルやBCPプランに沿った対応の実施、事業リスク極小化にむけた事業部門別の施策推進を行っております。

 

海外展開等

海外での事業展開にあたっては、展開する国や地域の法令、税制、薬事行政等の変更により、期待する事業展開が困難となったり、事業の収益性に重大な影響が生じる可能性があります。今後アジア地域における事業展開の本格化を経営課題の1つに掲げる当社グループにとって、これらの事態に直面した場合には、期待する経営成果を実現することができなくなる可能性があります。

当社グループは、進出国の法令、税制、薬事行政や、経済情勢、戦争・紛争発生のリスク等についてタイムリーに情報を収集し、業績への影響を最小限にするよう努めております。

 

なお、上記以外にもさまざまなリスクがあり、ここに記載されたものが当社グループのすべてのリスクではありません。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の増加を背景に、緩やかな回復基調となりました。一方、エネルギーコストや原材料価格の高騰に伴う物価上昇、為替変動や欧米の金利動向、依然として緊張の続く国際情勢などにより、先行き不透明な状況が続いております。

医薬品業界におきましては、医療用医薬品は、薬価の毎年改定などの医療費抑制策が推進されている中、2024年10月に長期収載品の選定療養制度が開始されるなど、事業環境は一層厳しくなっております。また、OTC医薬品も、市場競争の激化などにより、厳しい環境下で推移いたしました。

このような状況下、当社グループは、第11次中期経営計画(2023年度~2025年度)の2年目にあたる当連結会計年度において、グローバル展開を加速する中、クロストリディオイデス・ディフィシル感染症治療剤「ディフィクリア」(国内販売名:「ダフクリア」)が2023年度に引き続き大きく寄与し、欧州地域を中心に海外売上を大幅に拡大させました。また、国内市場におきましても、医療用医薬品事業は薬価改定の影響などを受け苦戦したものの、コンシューマーヘルスケア事業は主力品である「ヘパリーゼ群」などの伸長により、売上を拡大させました。

これらの活動の結果、当連結会計年度の売上高は873億11百万円(前期比15.3%増)、営業利益は121億97百万円(前期比26.8%増)となりました。また、前期に多額の為替差損を計上した一方、当期は為替差益に転じたことなどにより、経常利益は128億40百万円(前期比50.8%増)となり、前期に特別利益を計上した一方、当期は投資有価証券評価損などの特別損失を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は99億36百万円(前期比28.5%増)となりました。

なお、当連結会計年度の海外売上高比率は56.9%(前期51.5%)となっております。

 

次にセグメントの状況につきまして、ご報告申し上げます。

 

(医療用医薬品事業)

主力製品につきまして、潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」は、国内市場においては薬価改定や競合品の影響もあり苦戦いたしましたが、海外市場において北欧などで好調に推移したことにより、全体では増収となりました。「ディフィクリア」は営業リソースを積極的に投入し、欧州地域を中心に売上を大幅に拡大いたしました。一方、炎症性腸疾患治療剤「エントコート」は、海外の一部の国で後発医薬品が上市された影響を受け、売上は減少いたしました。機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」はほぼ前年度並みとなりました。

なお、2025年3月に高カリウム血症治療薬「ビルタサ懸濁用散分包8.4g」の国内での販売を開始し、早期の市場浸透に努めております。

これらの結果、当事業の売上高は、589億70百万円(前期比19.0%増)、営業利益は107億77百万円(前期比16.5%増)となりました。

 

(コンシューマーヘルスケア事業)

主力製品につきまして、「ヘパリーゼ群」は、2024年10月に発売した新製品「ヘパリーゼWシャイン」(清涼飲料水)の寄与もあり、コンビニエンスストア向けヘパリーゼW群の売上が拡大いたしました。また、医薬品ヘパリーゼ群につきましても、「疲れ」対策としての訴求が奏功し、好調に推移いたしました。さらに、植物性便秘薬「ウィズワン群」、皮膚疾患治療剤「プレバリン群」の売上も伸長いたしました。一方、「コンドロイチン群」につきましては微減となりました。

これらの結果、当事業の売上高は、281億79百万円(前期比8.4%増)、営業利益は63億97百万円(前期比21.6%増)となりました。

 

(その他)

当事業の売上高は、保険代理業・不動産賃貸収入などにより1億60百万円(前期比3.8%増)、営業利益は2億43百万円(前期比3.0%減)となりました。

 

(財政状態)

当連結会計年度末の総資産は1,591億71百万円となり、前連結会計年度末対比86億38百万円の増加となりました。その内訳は流動資産が695億29百万円で、前連結会計年度末対比117億20百万円の増加、固定資産が896億41百万円で、前連結会計年度末対比30億82百万円の減少となっております。流動資産の増減の主なものは、現金及び預金の増加32億68百万円、売掛金の増加55億8百万円、商品及び製品等の棚卸資産の増加19億44百万円であります。また、固定資産の増減の主なものは、無形固定資産の減少27億78百万円であります。

当連結会計年度末の負債合計は693億74百万円となり、前連結会計年度末対比13億30百万円の減少となりました。その内訳は流動負債が544億49百万円で、前連結会計年度末対比69百万円の減少、固定負債が149億25百万円で、前連結会計年度末対比12億60百万円の減少となっております。流動負債の増減の主なものは、短期借入金の減少39億85百万円、未払法人税等の増加18億5百万円、未払金の増加等流動負債のその他の増加13億73百万円であります。また、固定負債の増減の主なものは、長期借入金の減少10億78百万円であります。

当連結会計年度末の純資産は897億97百万円となり、前連結会計年度末対比99億68百万円の増加となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上99億36百万円、前期末及び当中間期の配当の実施19億83百万円、為替換算調整勘定の増加23億35百万円等によるものであります。

これらの結果、当連結会計年度末の自己資本比率は前連結会計年度末と比べ3.4%上昇し、56.3%となりました。また、連結自己資本当期純利益率は前連結会計年度末と比べ1.0%上昇し、11.7%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、期首残高対比48億63百万円増加し、234億67百万円となりました。これは投資活動によるキャッシュ・フローが10億50百万円、財務活動によるキャッシュ・フローが77億56百万円のマイナスであったものの、営業活動によるキャッシュ・フローが129億22百万円のプラスであったためであります。

 

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は、以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度は129億22百万円の資金の増加となりました(前連結会計年度対比7億38百万円増)。これは、税金等調整前当期純利益の計上126億18百万円、減価償却費の計上68億43百万円、売上債権の増加48億円、棚卸資産の増加16億47百万円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度は10億50百万円の資金の減少となりました(前連結会計年度対比29億1百万円増)。これは、定期預金の払戻による収入17億87百万円、有形固定資産の取得による支出14億29百万円、無形固定資産の取得による支出13億4百万円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度は77億56百万円の資金の減少となりました(前連結会計年度対比3億67百万円増)。これは、長期借入れによる収入32億73百万円、長期借入金の返済による支出85億15百万円、配当金の支払い19億76百万円等によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

イ. 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(千円)

前期比(%)

医療用医薬品事業

58,843,094

24.8

コンシューマーヘルスケア事業

28,631,900

10.5

 報告セグメント計

87,474,994

19.8

その他

合計

87,474,994

19.8

 (注) 金額は正味販売価格換算で表示しております。

 

ロ. 受注実績

当社グループは販売計画並びに生産計画に基づいて生産を行っており、受注生産は行っておりません。

 

ハ. 商品仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(千円)

前期比(%)

医療用医薬品事業

741,957

4.3

コンシューマーヘルスケア事業

1,059,720

12.4

報告セグメント計

1,801,678

8.9

その他

合計

1,801,678

8.9

 (注) 金額は実際仕入額で表示しております。

 

ニ. 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(千円)

前期比(%)

医療用医薬品事業

58,970,905

19.0

コンシューマーヘルスケア事業

28,179,566

8.4

報告セグメント計

87,150,472

15.3

その他

160,664

3.8

合計

87,311,137

15.3

 (注) セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(キャッシュ・フローの分析)

「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

(資金需要)

当社グループの運転資金需要の主なものは、原材料、仕入商品の購入などのほか、製造費用、販売費及び一般管理費などの営業費用です。研究開発費は、販売費及び一般管理費に計上されております。一方、設備投資をはじめとして有形・無形固定資産などへの投資資金需要が発生いたします。当社グループはこれらの資金需要に自己資金及び社債の発行、長・短期借入金にて対応しております。

当連結会計年度の設備投資資金につきましては、主に借入金で調達しており、当連結会計年度末における借入金の残高は411億64百万円であります。また、当社グループでは取引銀行6行と当座貸越契約並びに貸出コミットメント契約を締結し、総枠で344億50百万円の極度枠(当連結会計年度末の未利用額は96億46百万円)を確保しております。

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は234億67百万円であります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。重要な会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、その計上額に影響する見積りや判断を用いなければなりませんが、当社は特に以下の重要な会計方針が見積りや判断の要素が高いものであると考えております。

 

(のれん等の減損)

当社グループはのれんその他の無形固定資産について定期的に減損の兆候の有無を評価し、減損が生じている

と判断される場合には、公正価値まで減損処理することとしております。この公正価値の見積りには、将来キャッシュ・フローや割引率等多くの見積りや前提を使用しておりますが、前提条件等の変化によって見積りが変更されることにより公正価値が下落し減損損失の計上が必要となる可能性があります。

 

(投資の減損)

当社グループは投資の公正価値が帳簿価額を下回り、かつ回復の見込があると認められる場合を除き、その帳簿価額を実質価額まで減損処理することとしております。将来の市況悪化または投資先の業績不振により、評価損の計上が必要となる可能性があります。

 

(退職給付費用)

当社グループは退職給付費用及び債務の計上にあたって、数理計算上で設定される割引率、期待運用収益率、昇給率、退職率等の基礎率を前提条件としております。この設定された基礎率と実際の結果との間に差異が生じた場合や設定された基礎率自体を変更する必要が生じた場合には、退職給付費用及び債務に影響を与える可能性があります。

 

(繰延税金資産)

当社グループは繰延税金資産を計上するにあたって、将来の収益力に基づく課税所得及び将来加算一時差異の十分性等からその回収可能性について慎重に検討しております。

5【重要な契約等】

(1) 技術導入等契約

契約会社名

相手先

国名

契約の内容

対価

契約期間

ゼリア新薬工業

株式会社(当社)

丸 山 茂 雄

丸 山 達 雄

亀 谷 道 子

日本

「SSM」及びこれに関連する医薬品の製造販売及び技術指導等に関する契約

一定率のロイヤリティー(支払)

1992.3.23

~「SSM」の有償治験終了まで

ゼリア新薬工業

株式会社(当社)

Eli Lilly and

Company

アメリカ

2受容体拮抗剤「アシノン」の日本国内における商標権を含むすべての権利等の取得

契約一時金

ゼリア新薬工業

株式会社(当社)

Tillotts

Pharma AG

(連結子会社)

スイス

炎症性腸疾患治療剤「アサコール」の開発、製造、販売に関する契約

一定率のロイヤリティー(支払)

2019.12.10

~5年間、その後1年毎自動更新

ゼリア新薬工業

株式会社(当社)

HemCon Medical

Technologies,

Inc.

アメリカ

国内におけるHemCon社製止血・創傷治療用品の包括的・独占的開発、輸入、販売に関する契約

契約金(支払)

2010.4.8

~5年間、その後特許権利存続期間満了日まで1年毎自動更新

ゼリア新薬工業

株式会社(当社)

日産化学株式会社

日本

カルシウム拮抗剤「ランデル」の製造販売承認の承継及び商標権を含むすべての権利等の取得

契約一時金

ゼリア新薬工業

株式会社(当社)

Vifor

(International) AG

スイス

鉄欠乏性貧血治療剤「フェインジェクト」の日本国内における独占的開発及び販売に関する契約

契約金及び一定率のロイヤリティー(支払)

2013.7.31

~上市後20年間

Tillotts Pharma AG(連結子会社)

AstraZeneca AB

スウェーデン

IBD治療剤「エントコート」(一般名:ブデソニド)の米国を除く全世界における権利

契約一時金

ゼリア新薬工業

株式会社(当社)

Vifor

(International) AG

スイス

高カリウム血症治療薬「ビルタサ」の日本国内における独占的開発及び販売に関する契約

契約金及び一定率のロイヤリティー(支払)

2018.3.20

~上市後20年間

Tillotts Pharma AG(連結子会社)

Astellas Pharma Europe Ltd.

イギリス

欧州、中東、アフリカ、独立国家共同体における「ディフィクリア錠」の製造販売権の承継

契約一時金

Tillotts Pharma AG(連結子会社)

MSD International GmbH

スイス

欧州、中東、アフリカ、独立国家共同体における「ディフィクリア錠」の独占的開発及び販売に関する契約

一定率のロイヤリティー(支払)

2020.11.30~

四半期ベースで後発品のシェアが一定率を超えるまで(その後Tillottsが販売継続オプション権を有する)

ゼリア新薬工業

株式会社(当社)

アステラス製薬株式会社

日本

日本国内における「ダフクリア錠」の製造販売権の承継

契約一時金

ゼリア新薬工業

株式会社(当社)

MSD International Business GmbH

スイス

日本国内における「ダフクリア錠」の独占的開発及び販売に関する契約

一定率のロイヤリティー(支払)

2023.4.3~半期ベースで後発品のシェアが一定率を超えるまで(その後当社が販売継続オプション権を有する)

 

 

 

(2) 技術導出契約

契約会社名

相手先

国名

契約の内容

対価

契約期間

ゼリア新薬工業

株式会社(当社)

Meiji Seika

ファルマ株式会社

日本

機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」のタイにおける独占的開発及び販売に関する契約

契約金及び一定料率のロイヤリティー(受取)

2019.10.28~上市後から10年間、その後2年毎自動更新

ゼリア新薬工業

株式会社(当社)

FAES FARMA,S.A.

スペイン

機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」のラテンアメリカにおける独占的開発及び販売に関する契約

契約金及び一定料率のロイヤリティー(受取)

2020.1.29~当該地域での上市後10年間、その後2年毎自動延長

ゼリア新薬工業

株式会社(当社)

Agastra-Lab s.r.l

ベルギー

機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の欧州・米国・カナダにおける独占的開発及び販売に関する契約

契約金及び一定方式で算出される一時金又はロイヤリティー(受取)

2024.6.19~

 

(3) 取引契約

契約会社名

相手先

国名

契約の内容

契約期間

ゼリア新薬工業

株式会社(当社)

伊藤忠商事

株式会社

株式会社スーパーレックス

日本

物流業務委託に関する基本契約

2013.3.15

~2014.3.31、その後1年毎自動更新

ゼリア新薬工業

株式会社(当社)

株式会社スーパー

レックス

日本

物流業務委託に関する基本契約

2020.11.1~2026.3.31

その後1年毎自動更新

 

(4) 連結子会社との吸収合併契約

当社は、2024年6月13日開催の取締役会において、当社の完全子会社である健創製薬株式会社を吸収合併することを決議し、2025年4月1日付で吸収合併いたしました。

なお、詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」をご参照ください。

 

6【研究開発活動】

研究開発におきましては、スイス子会社のTillotts Pharma AGとの連携によるグローバル開発体制のもと、開発テーマを厳選のうえ、重点領域である消化器分野を中心に、導入品を含め複数のプロジェクトの評価を進めてまいりました。その中で日欧同時開発可能な新規開発テーマの研究開発の検討を進めております。

「Z-100」につきましては、新たな適応症での臨床開発に向けて非臨床試験を着実に推進するとともに、新たな特定臨床研究への支援に向けた準備を進めております。

機能性ディスペプシアを適応症とした自社オリジナル品の「Z-338(一般名:アコチアミド)」につきましては、導出先のFAES FARMA,S.A.では、新たにグアテマラで承認を取得するとともに、2024年度内にドミニカ共和国、ホンジュラス、エルサルバドル、チリ、グアテマラ、ペルーで販売を開始し、販売地域をメキシコ、エクアドルに加え中南米8カ国に拡大いたしました。Meiji Seika ファルマ株式会社は、2024年9月にタイで販売を開始いたしました。なお、United Italian Trading Corporationはシンガポールで、ベトナム子会社のPharmaceutical Joint Stock Company of February 3rdはベトナムで、それぞれ承認申請中であります。さらには、Agastra-Lab s.r.l.と欧州・米国・カナダ地域における開発及び販売契約を締結するなど、グローバル展開を推進しております。国内におきましては、小児の患者様を対象としたフェーズⅢ試験を実施しております。

「ZG-802」につきましては、低活動膀胱を対象としたフェーズⅡ試験を国内で滞りなく推進しております。当該疾患はQOL(生活の質)に多大な影響を及ぼす疾患であり、未だ有効な薬物治療は世界的に確立されておりません。2024年度には日本の疫学調査に関する論文が発表され、注目度の高い疾患であることが示唆されております。当該品目の開発を通じて未充足の治療選択肢を提供し、患者様のQOLの改善に貢献してまいります。

CSL Viforから導入いたしました鉄欠乏性貧血治療剤「フェインジェクト」につきましては、リアルワールドデータを活用した複数のデータベース研究を実施しており、既に一部は論文化され、市販後のエビデンス創出を含めた育薬活動を推進しております。

同じくCSL Viforから導入いたしました高カリウム血症治療薬「ZG-801(ビルタサ懸濁用散分包8.4g)」につきましては、国内において製造販売承認を取得し、2025年3月に発売いたしました。ビルタサが高カリウム血症治療の新たな選択肢となり、医療に貢献できるものと期待しております。

コンシューマーヘルスケア製品につきましても、新たな顧客層の獲得を目的とする特長ある製品の開発を進め、2024年度はヘパリーゼWシリーズの新製品「ヘパリーゼWシャイン」(清涼飲料水)を発売いたしました。

これらの活動の結果、当連結会計年度の研究開発費は前年度実績から増加し、4,106百万円(前期比10.2%増)となりました。セグメント別の研究開発費は医療用医薬品事業3,388百万円、コンシューマーヘルスケア事業718百万円でありました。