第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当第2四半期連結累計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。

また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて、重要な変更はありません。

 

2【経営上の重要な契約等】

 当第2四半期連結会計期間において、新たに締結した重要な契約は次のとおりです。

 

 InnFocus, Inc.の買収

2016年7月19日、当社とInnFocus, Inc.(以下、「InnFocus社」)は、緑内障用デバイスInnFocus MicroShunt®(以下、「MicroShunt」)を開発するInnFocus社を当社が企業買収することについて最終合意し、米国時間の2016年8月19日に買収が完了しました。

 

①買収の目的

InnFocus社は、初期から後期の原発開放隅角緑内障における眼圧下降を目的としたインプラント手術に用いるデバイスMicroShuntを開発しています。MicroShuntは諸外国で実施した臨床試験において単独もしくは白内障手術との併用で施術され、房水の流出を促すことによる眼圧下降効果が確認されています。MicroShuntは、既に欧州におけるCEマークの承認を取得しており、現在、FDA承認取得に向けPMA(Pre-Market Approval:市販前承認)申請の最終段階の臨床試験が、米国および欧州にて実施されています。

当社は、この買収により、緑内障領域における製品パイプラインのさらなる強化に取り組み、眼科領域のイノベーションをリードする存在であり続けたいと考えています。また、当社は『世界で存在感のあるスペシャリティ・カンパニー』を長期的な経営ビジョンとして掲げており、グローバルな眼科領域においてさらなる治療貢献を目指してまいります。MicroShuntは新たな治療選択肢として、患者さんに大きな治療効果をもたらすことができると期待しています。

 

②対象会社の概要

名称     :InnFocus, Inc.

所在地    :米国 フロリダ州 マイアミ

代表者の氏名 :代表取締役会長 Randy Lindholm

事業内容   :緑内障手術の次世代製品の開発、供給

資本金    :0.9千米ドル(2015年12月末現在)

 

③取得対価

225百万米ドル

また、契約上、MicroShuntの開発の進捗および販売実績に応じたマイルストンを支払う定めがあります。

 

④取得した議決権付資本持分割合

取得前の議決権付資本持分割合   9.56%

取得後の議決権付資本持分割合  100.00%

 

⑤買収完了日

2016年8月19日(米国時間)

 

3【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において参天製薬グループが判断したものです。

 

(1)業績

①業績の状況

(ア)IFRS(フル)ベース

当第2四半期連結累計期間の国内医療用眼科薬市場は、薬価改定の影響を受けつつも、緑内障治療剤および抗アレルギー治療剤を中心に堅調に推移しました。海外医療用眼科薬市場も、EMEA(ヨーロッパ、中東およびアフリカ)・アジアで堅調に推移しています。また、国内一般用眼科薬市場は、前年同期と比べ拡大しています。

このような市場環境の下、当第2四半期連結累計期間の業績は、次のとおりとなりました

(単位:百万円)

 

第2四半期

連結累計期間

第2四半期

連結累計期間

対前年同期増減率

売上収益

97,873

97,829

△0.0%

営業利益

65,385

18,787

△71.3%

税引前四半期利益

65,335

17,027

△73.9%

親会社の所有者に

帰属する四半期利益

43,657

12,601

△71.1%

 

〔売上収益〕

前年同期と比べほぼ横ばいの978億2千9百万円となりました

主力の国内医療用医薬品事業において継続的に売上伸長し、EMEA・アジアにおいて当社製品が順調に市場浸透していますが、円高の影響を受けました。

 

〔営業利益〕

売上総利益は、前年同期と比べ微減の609億9千3百万円となりました。売上原価率は37.7%でした。

販売費及び一般管理費は、事業基盤強化と新製品価値の最大化のための費用が先行したこともあり、前年同期と比べ4.2%増加の287億3千8百万円、研究開発費は、103億4百万円となりました。製品に係る無形資産償却費は、31億6千9百万円となりましたが、これは主に、米メルク社から2014年に譲受けた眼科製品に関する無形資産、ならびに昨年より欧州で発売を開始した「アイケルビス」に関する無形資産の償却によるものです。

その他の収益は2億1千6百万円、その他の費用は2億1千1百万円となりました。

これらにより、営業利益は187億8千7百万円となりました。前連結会計年度に抗リウマチ薬事業のあゆみ製薬株式会社への承継に伴う一時的な収益が444億7千7百万円発生したこともあり、当第2四半期連結累計期間の営業利益は前年同期と比べ71.3%の減少となりました。

 

〔税引前四半期利益〕

8月のInnFocus, Inc.(以下、「InnFocus社」)買収に伴う海外への送金および保有する外貨に対する評価損により金融費用が増加したこと、また、上述のとおり、前連結会計年度の抗リウマチ薬事業の承継に伴うその他の収益の影響もあり、当第2四半期連結累計期間の税引前四半期利益は前年同期と比べ73.9%減少し、170億2千7百万円となりました。

 

親会社の所有者に帰属する四半期利益

親会社の所有者に帰属する四半期利益は前年同期と比べ71.1%減少し、126億1百万円となりました。売上収益に対するその比率は、12.9%となりました。

 

なお、事業承継に伴う収益や一時的な金融費用の増加など、一過性の損益による影響を控除した業績とその対前年同期増減率については、コアベースの業績として次に記載しています。

 

(イ)コアベース

参天製薬グループではIFRS適用を機に、上述のIFRSによる業績(「IFRS(フル)ベース」)から一部の収益、費用を控除した「コアベース」での財務情報を経常的な業績を示す指標として、併せて開示します。IFRS(フル)ベースによる業績からコアベースでの業績への調整において控除する収益、費用は次のとおりです

・製品に係る無形資産償却費

・その他の収益

・その他の費用

・金融収益

・金融費用

・販売費及び一般管理費のうち企業買収に係る一過性費用

これらの項目に係る法人所得税費用を調整し、コアベースでの四半期利益を算出しています

 

当第2四半期連結累計期間のコアベースでの業績は、以下のとおりとなりました。なお、( )内の数値はIFRS(フル)ベースでの業績です。

(単位:百万円)

コアベース

前第2四半期連結累計期間

当第2四半期連結累計期間

対前年同期増減率

 

(フルベース)

 

(フルベース)

 

(フルベース)

売上収益

97,873

(97,873)

97,829

97,829

△0.0%

△0.0%

営業利益

24,541

(65,385)

22,464

18,787

△8.5%

△71.3%

四半期利益

16,392

(43,657)

16,712

12,601

2.0%

△71.1%

 

②セグメント別業績の状況

参天製薬グループは、医薬品事業とその他の事業セグメントから構成されます。売上収益の多くは医薬品事業によっており、その全売上収益に占める比率は、98.4%になります。

医薬品事業の売上収益は、前年同期と比べほぼ横ばいの963億2百万円、営業利益は190億1千3百万円となりました。その他の事業の売上収益は、15億2千8百万円で前年同期と比べ14.5%、1億9千4百万円増加しました。営業損失は2億2千6百万円となりました。

(単位:百万円)

 

国内

海外

合計

金額

対前年同期

増減率

金額

対前年同期

増減率

金額

対前年同期

増減率

医薬品事業

70,354

1.8%

25,948

△5.4%

96,302

△0.2%

医療用医薬品

64,322

0.1%

25,893

△5.5%

90,215

△1.5%

うち眼科薬

64,143

6.2%

25,108

4.0%

89,251

5.6%

うちその他医薬品

180

△48.7%

785

△75.8%

965

△73.2%

一般用医薬品

6,032

24.0%

55

32.4%

6,087

24.1%

その他の事業

1,455

11.9%

72

116.7%

1,528

14.5%

医療機器

1,259

9.8%

13

△61.1%

1,272

7.8%

その他

197

27.5%

59

256

66.1%

合計

71,809

2.0%

26,020

△5.3%

97,829

△0.0%

(注) 各セグメントの売上収益は、外部顧客に対する売上収益を表しています。

 

ⅰ)医薬品事業

a)医療用医薬品

(眼科薬)

・国内

国内医療用眼科薬の売上収益は、641億4千3百万円となりました。

薬価改定の影響がありましたが、医療施設・医療関係者のそれぞれのニーズを的確に捉えた医薬情報提供活動を展開することにより、前年同期と比べ6.2%増加しています

緑内障・高眼圧症においては、従来からの主力製品の「タプロス点眼液」、「コソプト配合点眼液」に加えて「タプコム配合点眼液」にも注力した結果、それぞれの製品の売上収益は、「タプロス点眼液」は前年同期と比べ7.5%増加し49億6千1百万円、「コソプト配合点眼液」は前年同期と比べ3.2%増加し58億8千7百万円、「タプコム配合点眼液」は前年同期と比べ99.0%増加し11億1千6百万円となりました。

ドライアイ(眼球乾燥症候群)などに伴う角結膜上皮障害治療剤領域においては、「ジクアス点眼液」の売上収益は、前年同期と比べ27.7%増加し54億3百万円、「ヒアレイン点眼液」の売上収益は、前年同期と比べ17.4%減少し62億5千6百万円となりました。

抗アレルギー点眼剤領域においては、「アレジオン点眼液」の売上収益は、前年同期と比べ48.2%増加し、40億6千6百万円となりました。

網膜疾患治療剤領域においては、「アイリーア硝子体内注射液」の売上収益は、滲出型加齢黄斑変性を含め適応を取得した各疾患への医薬情報提供活動の促進により、前年同期と比べ16.6%増加し、228億2千万円となりました。

 

・海外

2014年の米メルク社からの眼科製品の譲受け以降、当該製品を含めた自社製品の市場浸透に努めた結果、海外における売上収益は、大幅な円高の影響を受けたものの、円換算ベースで前年同期と比べ4.0%増加し、251億8百万円となりました

EMEAにおける売上収益は、円換算ベースで前年同期と比べ12.8%増加し、130億4千3百万円となりました。医薬情報提供などの普及促進活動に注力し、緑内障・高眼圧症治療剤「タフロタン」、「サフルタン」、「コソプト」、「トルソプト」が市場に浸透しています

アジアにおける売上収益は、現地通貨ベースでは大きく成長しましたが、円高の影響を受けたことにより円換算ベースでは前年同期と比べ4.2%減少し、119億9千9百万円となりました。主力品の普及促進活動の展開により、中国を中心として、当社製品の市場浸透が進んでいます

 

(その他医薬品)

その他医薬品には、技術提携(導出)契約に基づく収入、受託製造等が含まれます。また、米メルク社の眼科製品の譲受けに関し、関連する法制上の手続きが完了し、各国・地域で参天製薬グループの製品としての販売が開始されるまでの間、米メルク社側に生じた利益の一部が契約に基づいて当社に還元されます。この収入が4億3百万円あったことにより、その他医薬品の売上収益は、9億6千5百万円となりました。

 

b)一般用医薬品

インバウンド需要の取り込みに加えて、国内に向けた販売促進活動にも注力した結果、一般用医薬品の売上収益は前年同期と比べ24.1%増加し、60億8千7百万円となりました。

 

ⅱ)その他の事業

a)医療機器

高屈折率のアクリル素材を光学部に用いたフォールダブル眼内レンズ「エタニティ」シリーズの普及促進活動に引き続いて注力した結果、医療機器の売上収益は前年同期と比べ7.8%増加し、12億7千2百万円となりました。

 

b)その他

その他の売上収益は、株式会社クレール(連結子会社)での無塵・無菌服のクリーニング業によるものとサプリメント製品の販売によるもので、2億5千6百万円となりました。

 

(2)財政状態

当第2四半期連結会計期間末の資産は、前連結会計年度末と比べ318億4千5百万円減少し、3,235億5千5百万円となりました。これは法人所得税等の支払による現金及び現金同等物の減少などによるものです。

資本は、前連結会計年度末と比べ49億4千4百万円減少し、2,550億6千5百万円となりました。これは利益剰余金の増加などに加えて、その他の資本の構成要素の減少および自己株式の増加などによるものです

負債は、前連結会計年度末と比べ269億1百万円減少し、684億8千9百万円となりました。これは法人税等の支払による未払法人所得税等およびその他の金融負債の減少などによるものです。

以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末と比べ5.6ポイント増加し、78.8%となりました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当第2四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、50億4千9百万円の支出(前年同期は、123億8千5百万円の収入)となりました。これは四半期利益が126億1百万円などありましたが、法人所得税の支払いが204億8千万円あったことなどによるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは、237億5百万円の支出(前年同期は、405億1千2百万円の収入)となりました。これはInnFocus社の買収に伴う子会社株式の取得による支出が190億4千7百万円、無形資産の取得による支出が27億5千1百万円および有形固定資産の取得による支出が20億6千6百万円あったことなどによるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは、92億3千9百万円の支出(前年同期は、105億2千9百万円の支出)となりました。これは長期借入れによる収入が30億円ありましたが、配当金の支払いが53億8千5百万円、長期借入金の返済による支出が48億2千5百万円および自己株式の取得による支出が20億7千3百万円あったことなどによるものです。

以上の結果、現金及び現金同等物の当第2四半期連結会計期間末残高は、前連結会計年度末と比べ414億5千5百万円減少し、583億4千3百万円となりました。

 

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

中期経営計画について

参天製薬グループは、基本理念の実現に向けて、2020年に向けた長期的な経営ビジョンを掲げ、世界中の一人でも多くの患者さんの健康の増進に貢献するために、「世界で存在感のあるスペシャリティ・カンパニー」を目指します。さらに、長期的な経営ビジョンの実現に向け、より具体的な取り組みを進めるために、2014年度から2017年度までの4ヵ年の中期経営計画を策定し、以下の3つの基本方針を主たる対処すべき課題として取り組んでいます。

(ⅰ) 持続的成長を可能とするための製品創製への変革、生産性向上の実現

(ⅱ) アジア・欧州での事業成長および新規市場参入によるプレゼンスの向上

(ⅲ) 持続的な成長を実現するための人材育成および組織構築

 

2018年3月期 財務目標

売上高

2,050 億 円 以 上

営業利益

450 億 円 以 上

当期純利益

310 億 円 以 上

ROE

13 % 以 上

研究開発費

210 億 円 程 度

コア営業利益

515 億 円 以 上

配当性向

40 % を 目 途

 

(5)研究開発活動

参天製薬グループは、中長期的な成長の源泉として新製品の創製を重視しており、眼科薬を中心とした積極的な研究開発活動を進めています。

緑内障・高眼圧症領域において、プロスタグランジンF誘導体DE-085(一般名:タフルプロスト)は、2008年12月より日本で「タプロス点眼液」として発売しました。海外では欧州とアジアで自社販売しており、2016年3月、中国で発売しました。配合剤DE-111(一般名:タフルプロスト/チモロールマレイン酸塩)は、2014年11月に日本で「タプコム配合点眼液」として販売しており、韓国でも2016年4月に発売しました。欧州では、2014年10月に販売承認を取得し、「TAPTIQOM」(タプティコム)として2015年1月より順次、各国にて発売しています。また、アジアでも順次販売承認を申請し、2016年3月以降アジア各国で販売承認を取得しています。EP2受容体作動薬DE-117(一般名:omidenepag isopropyl)は、米国で後期第Ⅱ相試験を終了しました。日本では2015年12月に後期第Ⅱ/Ⅲ相試験を開始しました。韓国、アジアでは第Ⅲ相試験を準備中です。2016年3月に小野薬品工業株式会社より導入しグローバルの開発の権利を取得しましたFP/EP3受容体デュアル作動薬DE-126(一般名:sepetaprost)は、米国にて後期第Ⅱ相試験を準備中です。2016年8月に買収したInnFocus社の緑内障用デバイスInnFocus MicroShunt(DE-128)は、欧州におけるCEマークの承認を取得しており、米国および欧州にて、FDA承認取得に向け第Ⅲ相試験を実施しています。

角結膜疾患(ドライアイを含む)領域において、DE-089(一般名:ジクアホソルナトリウム)は、2010年12月より日本で「ジクアス点眼液」として発売しました。また、韓国では2013年10月に発売しました。中国では輸入医薬品承認を申請中です。2016年2月よりアジアで順次発売しています。Cyclokat(開発品名:シクロカット、一般名:シクロスポリン、製品名:「Ikervis」(アイケルビス))は、2015年7月に、成人患者において人工涙液等で効果が不十分なドライアイに伴う重度の角膜炎を適応症として、ドイツにて発売、順次、欧州各国にて発売しています。アジアでは順次販売承認を申請しています。韓国において2015年12月に販売承認を申請しました。春季カタルを適応症とするVekacia(開発品名:ベカシア、一般名:シクロスポリン)は、2016年3月に欧州で第Ⅲ相試験を終了しました。

網膜・ぶどう膜疾患領域において、ぶどう膜炎を適応症とするDE-109(一般名:シロリムス)は、欧州にて2016年5月に販売承認申請を一旦取り下げました。今後、再申請を予定しています。また、米国で2016年9月に第Ⅲ相試験SAKURA Study2の最終被験者の来院(LPO: Last patient out)が完了しました。DE-120(一般名:未定)は、滲出型加齢黄斑変性を対象に前期第Ⅱ相試験を米国で実施中です。DE-122(一般名:未定)は、滲出型加齢黄斑変性を対象に第Ⅰ/Ⅱ相試験を米国で実施中です。

なお、当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は、103億4百万円です。