第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

①業績の状況

(ア)コアベース(※)

(単位:百万円)

 

連結会計年度

連結会計年度

対前年度増減率

売上収益

195,291

199,096

1.9%

コア営業利益

43,067

39,687

△7.8%

コア当期利益

29,163

28,688

△1.6%

 

[売上収益]

 前連結会計年度と比べ1.9%増加し、1,991億円となりました。

 主力の国内医療用医薬品事業において継続的に伸長するとともに、円高の影響は受けましたが、EMEA(ヨーロッパ、中東およびアフリカ)・アジアにおいても、当社製品は順調に市場浸透しています。事業別の状況は次のとおりです。

(単位:百万円)

 

国内

海外

合計

金額

対前年度

増減率

金額

対前年度

増減率

金額

対前年度

増減率

医薬品事業

142,439

2.3%

53,584

0.4%

196,023

1.8%

医療用医薬品

130,018

1.4%

53,451

0.3%

183,469

1.1%

うち眼科薬

129,594

4.4%

52,265

8.0%

181,859

5.4%

うちその他医薬品

424

△31.3%

1,186

△75.8%

1,610

△70.8%

一般用医薬品

12,421

13.8%

132

52.6%

12,553

14.1%

その他の事業

2,919

10.0%

154

84.3%

3,073

12.3%

医療機器

2,514

8.2%

22

△69.0%

2,536

5.9%

その他

404

22.5%

132

923.8%

537

56.5%

合計

145,358

2.5%

53,738

0.6%

199,096

1.9%

(注) 各セグメントの売上収益は、外部顧客に対する売上収益を表しています。

 

(医薬品事業)

<医療用医薬品>

◇国内

 前連結会計年度と比べて1.4%増加し、1,300億円となりました。各疾患領域の主力製品の売上推移は次のとおりです。

 

・緑内障・高眼圧症治療剤領域

「タプロス点眼液」       96億円(対前年度増減率 + 4.6%)

「タプコム配合点眼液」     23億円(対前年度増減率 +63.4%)

「コソプト配合点眼液」    114億円(対前年度増減率 + 1.4%)

・角結膜疾患治療剤領域

「ヒアレイン点眼液」     119億円(対前年度増減率 △18.2%)

「ジクアス点眼液」      110億円(対前年度増減率 +24.1%)

・抗アレルギー点眼剤領域

「アレジオン点眼液」     122億円(対前年度増減率 +29.0%)

・網膜疾患治療剤領域

「アイリーア硝子体内注射液」 452億円(対前年度増減率 +12.9%)

海外

EMEA

 円換算ベースで前連結会計年度と比べ11.5%増加し、285億円、為替影響を除いた成長率は25.0%となっています。医薬情報提供などの普及促進活動に注力し、緑内障・高眼圧症治療剤「タフロタン」、「サフルタン」、「タプティコム」、「コソプト」、「トルソプト」、角結膜疾患治療剤「アイケルビス」が市場に浸透しています。

 

アジア

 円換算ベースで前連結会計年度と比べ4.3%増加し、235億円となりました。

 円高の影響を受けましたが、為替影響を除いた成長率は18.7%となっており、「ヒアレイン」、「クラビット」等主力品の普及促進活動の展開により、中国を中心に韓国、アセアン諸国において高い成長率を維持しています。

 

<一般用医薬品>

 前連結会計年度と比べ14.1%増加し、126億円となりました。

 インバウンド需要の取り込みに加え、新「サンテメディカルシリーズ」、「ソフトサンティアシリーズ」などの販売促進活動を中心に展開しています。

 

(その他の事業)

<医療機器>

 前連結会計年度と比べ5.9%増加し、25億円となりました。

 高屈折率のアクリル素材を光学部に用いたフォールダブル眼内レンズ「エタニティ」シリーズの普及促進活動に引き続き注力しています。

 

<その他>

 その他の売上収益は5億円となりました。サプリメント製品の販売によるものと株式会社クレール(連結子会社)での無塵・無菌服のクリーニング業によるものです。

 

[コア営業利益]

 売上総利益は、前連結会計年度と比べ17億円増加し、1,241億円となりました。売上原価率は、前連結会計年度と比べ0.4ポイント増加し、37.7%となりました。

 販売費及び一般管理費は、前連結会計年度と比べ23億円増加し、617億円となりました。米メルク社の眼科製品の譲受けに伴い、販売活動に関する費用が増加したことなどによります。

 研究開発費は、後期臨床パイプラインが進捗し、前連結会計年度と比べ28億円増加し、228億円となりました

 

 以上により、コアベースでの営業利益は、前連結会計年度と比べ7.8%減少し、397億円となりました。

 

(※)参天製薬グループではIFRS適用を機に、IFRSによる業績(「IFRS(フル)ベース」)から一部の収益および費用を控除した「コアベース」での財務情報を経常的な業績を示す指標として開示しています。IFRS(フル)ベースによる業績からコアベースでの業績への調整において控除する以下の収益および費用とそれらに係る法人所得税費用を調整し、コアベースを算出しています。

 

・製品に係る無形資産償却費

・その他の収益

・その他の費用

・金融収益

・金融費用

・販売費及び一般管理費のうち企業買収に係る一過性費用

 

(イ)IFRS(フル)ベース

(単位:百万円)

 

連結会計年度

連結会計年度

対前年度増減率

売上収益

195,291

199,096

1.9%

営業利益

80,180

32,479

△59.5%

当期利益

53,373

23,054

△56.8%

 

[売上収益]

 コアベースの売上収益から調整はありません。

 

[営業利益]

 売上総利益についても、コアベースから調整はありません。

 

 IFRS(フル)ベースの販売費及び一般管理費は、前連結会計年度と比べ28億円増加し、622億円となりました。コアベースの販売費及び一般管理費に加え、InnFocus, Inc.(以下、InnFocus社)の買収に伴う一過性の費用が5億円発生しました。

 研究開発費は、コアベースから調整はありません。

 

 製品に係る無形資産償却費は、64億円となりました。これは主に、米メルク社から2014年に譲受けた眼科製品に関する無形資産、ならびに2015年より欧州で販売を開始した「アイケルビス」に関する無形資産の償却によるものです。

 

 その他の収益は、前連結会計年度を445億円下回る5億円となりました。これは、前連結会計年度に抗リウマチ薬事業のあゆみ製薬株式会社への承継に伴う一時的な収益が445億円発生したためです。その他の費用は7億円となりました。

 

 これらにより、IFRS(フル)ベースの営業利益は、前連結会計年度と比べ59.5%減少し、325億円となりました。

 

[親会社の所有者に帰属する当期利益]

 親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度と比べ56.8%減少し、231億円となりました。売上収益に対するその比率は、11.6%となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減額

(百万円)

営業活動による

キャッシュ・フロー

22,525

10,843

△11,682

投資活動による

キャッシュ・フロー

37,052

△28,201

△65,253

財務活動による

キャッシュ・フロー

△24,066

△28,657

△4,590

現金及び現金同等物の

期末残高

99,798

52,282

△47,515

 

 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、108億円の収入(前連結会計年度は、225億円の収入)となりました。これは当期利益が231億円、減価償却費及び償却費が99億円および法人所得税費用が88億円などありましたが、法人所得税の支払いが239億円、営業債権及びその他の債権の増加が55億円および棚卸資産の増加が41億円あったことなどによるものです。

 

 投資活動によるキャッシュ・フローは、282億円の支出(前連結会計年度は、371億円の収入)となりました。これはInnFocus社の買収に伴う子会社株式の取得による支出が191億円、無形資産の取得による支出が54億円および有形固定資産の取得による支出が41億円あったことなどによるものです。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、287億円の支出(前連結会計年度は、241億円の支出)となりました。これは長期借入れによる収入が30億円ありましたが、自己株式の取得による支出が124億円、配当金の支払いが108億円および長期借入金の返済による支出が95億円あったことなどによるものです。

 以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末と比べ475億円減少し、523億円となりました。

 

3)IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項

 前連結会計年度(自 2015年4月1日 至 2016年3月31日)

 (のれんの償却)

 日本基準では、のれんの償却については、効果が発現すると見積られる期間にわたり均等償却を行っていましたが、IFRSでは移行日以降、償却をせず毎期減損テストを行っています。

 この結果、IFRSでは、日本基準に比べて、連結純損益及びその他の包括利益計算書の「販売費及び一般管理費」が817百万円減少しています。

 

 (研究開発費の資産計上)

 日本基準では、製品および技術の導入契約に伴い発生した一時金等の費用のうち、主に当局の承認が得られる前に発生したものを研究開発費として費用処理していましたが、IFRSでは、これらの費用のうち、資産計上の要件を満たしたものを「無形資産」として計上しています。

 この結果、IFRSでは、日本基準に比べて、連結純損益及びその他の包括利益計算書の「研究開発費」が3,141百万円減少しています。

 

 当連結会計年度(自 2016年4月1日 至 2017年3月31日)

 (のれんの償却)

 日本基準では、のれんの償却については、効果が発現すると見積られる期間にわたり均等償却を行っていましたが、IFRSでは移行日以降、償却をせず毎期減損テストを行っています。

 この結果、IFRSでは、日本基準に比べて、連結純損益及びその他の包括利益計算書の「販売費及び一般管理費」が734百万円減少しています。

 

 (研究開発費の資産計上)

 日本基準では、製品および技術の導入契約に伴い発生した一時金等の費用のうち、主に当局の承認が得られる前に発生したものを研究開発費として費用処理していましたが、IFRSでは、これらの費用のうち、資産計上の要件を満たしたものを「無形資産」として計上しています。

 この結果、IFRSでは、日本基準に比べて、連結純損益及びその他の包括利益計算書の「研究開発費」が210百万円減少しています。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績及び商品仕入実績

当連結会計年度における生産実績および商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

生産実績

セグメントの名称

金額(百万円)

対前年度増減率(%)

医薬品事業

136,342

14.0

  医療用医薬品

122,341

14.9

  一般用医薬品

14,001

6.6

その他の事業

3,627

44.4

  医療機器

3,540

43.0

  その他

87

150.4

合計

139,969

14.6

 (注) 金額は販売価格によっており、消費税等は含まれていません。

 

商品仕入実績

セグメントの名称

金額(百万円)

対前年度増減率(%)

医薬品事業

44,743

3.8

  医療用医薬品

44,743

3.8

  一般用医薬品

その他の事業

346

△27.5

  医療機器

262

△36.2

  その他

85

25.3

合計

45,090

3.4

 (注) 金額は仕入価格によっており、消費税等は含まれていません。

 

(2)受注状況

参天製薬グループは販売計画、在庫状況を基礎として生産計画を立案し、これによって生産を行っていますので受注生産は行っていません。

 

(3)販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

対前年度増減率(%)

医薬品事業

196,023

1.8

  医療用医薬品

183,469

1.1

  一般用医薬品

12,553

14.1

その他の事業

3,073

12.3

  医療機器

2,536

5.9

  その他

537

56.5

合計

199,096

1.9

 (注)1 セグメント間の取引については、相殺消去しています。

    2 最近2連結会計年度における、主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。

 

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

株式会社スズケン

37,592

19.2

38,506

19.3

株式会社メディセオ

30,850

15.8

31,411

15.8

    3 上記金額には、消費税等は含まれていません。

 

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)会社の経営の基本方針

 参天製薬グループは、社名の由来でもある「天機に参与する」を基本理念とし、目をはじめとする特定の専門分野に努力を傾注し、それによって参天ならではの知恵と組織的能力を培い、患者さんと患者さんを愛する人たちを中心として、社会への貢献を果たしてまいります。

 

(2)経営環境

 先進国においては少子高齢化が加速、新興国・発展途上国においては中間層が拡大し医療ニーズが増大しています。日本国内では、薬事行政による薬価改定、後発品促進策があり、厳しい経営環境が続く一方、一般用医薬品・サプリメント等医療周辺産業の規制緩和が進み、再生医療、個別化医療、セルフメディケーション推進といった医療における新しい流れも出てきています。

 参天製薬グループが注力するグローバル眼科薬市場は、全体では、主に網膜・ドライアイ・緑内障領域が牽引し、引き続き成長しています。特に米国・アジアでは高い成長率を維持しています。国内は薬価改定圧力、後発品普及方針の公示等により、市場成長は鈍化傾向にあります。

 このような複雑化する環境のなかで、参天製薬グループでは、以下の中期経営計画の実行を推進しています。

 

(3)中期経営計画について

 参天製薬グループは、基本理念の実現に向けて、2020年に向けた長期的な経営ビジョン(以下、長期ビジョン)を掲げ、世界中の一人でも多くの患者さんの健康の増進に貢献するために、「世界で存在感のあるスペシャリティ・カンパニー」を目指します。さらに、長期ビジョンの実現に向け、より具体的な取り組みを進めるために、2014年度から2017年度までの4ヵ年の中期経営計画(以下、2014-2017年度 中期経営計画)を策定し、以下の3つの基本方針を主たる対処すべき課題として取り組んでいます。

(ⅰ) 持続的成長を可能とするための製品創製への変革、生産性向上の実現

(ⅱ) アジア・欧州での事業成長および新規市場参入によるプレゼンスの向上

(ⅲ) 持続的な成長を実現するための人材育成および組織構築

 2017年度は2014-2017年度 中期経営計画の最終年度として、既存事業における収益最大化と将来成長のための先行投資のバランスをとりながら、さらなる事業基盤強化に取り組んでまいります。加えて、長期ビジョンの実現に向け、2018-2020年度を対象期間とする次期中期経営計画の策定を鋭意進めてまいります。

 

2018年3月期 業績予想

売上収益

2,180億円

コア営業利益

440億円

コア当期利益

312億円

コアROE

12.3%

研究開発費

250億円

配当性向

39.3%

 

4【事業等のリスク】

 当連結会計年度末現在において判断した将来の業績または財政状態に影響を与えうるリスクや不確実性には、以下のようなものがあります。ただし、将来の業績または財政状態に影響を与えうるリスクや不確実性は、これらに限定されるものではありません。

 

(1)外的環境要因

<医薬品行政の動向>

医療用医薬品部門については、日本ならびにその他各国政府による医療保険制度や薬価に関する規制の影響を受けます。日本国内の薬価改定については、現在予測可能な範囲に限り、その影響を業績予想等の見通しに織り込んでいますが、予測可能な範囲を超えた薬価改定や、その他の医療保険制度の改定があった場合は、業績または財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

海外においても、同様に医療用医薬品の価格等に関する様々な規制があり、政府による価格低下の圧力は継続する傾向にあります。

 

<社会・経済情勢ならびに法規制の変更>

将来の業績は、主要市場における政治情勢や経済情勢の影響を受ける可能性があります。また、業績または財政状態は、会計基準、税法、製造物責任(PL)法、独占禁止法、環境関連法などの法規制変更の影響を受ける可能性があります。

 

<為替>

参天製薬グループは世界各国で事業を展開しているため、為替の変動が参天製薬グループの業績または財政状態に影響を与えます。2017年3月期の海外売上収益は、連結売上収益の27.0%でした。

 

(2)競争

<後発品の影響>

国内外における後発品の販売は、参天製薬グループの業績に影響を与える可能性があります。

参天製薬グループの製品の中には、すでに他社から後発品が発売されているものもあり、今後、後発品の影響が強まる可能性があります。

 

(3)特定の製品・取引先等への依存

<主力製品への依存>

「アイリーア硝子体内注射液」、「コソプト配合点眼液」の2製品の連結売上収益に対する比率は、2017年3月期で30%を超えています。これらの製品が万一、製品の欠陥、予期せぬ副作用などの要因により販売中止となったり、売上収益が大幅に減少した場合、業績または財政状態に大きな影響を及ぼします。

 

<ライセンス製品への依存>

参天製薬グループの製品には、他社から製造販売権、ならびに販売権を供与されているものが多くあります。眼科薬における独占的製造販売権の供与を受けている品目には、「クラビット点眼液」、「デタントール点眼液」、「タプロス点眼液」、「ジクアス点眼液」、「アレジオン点眼液」などがあります。国内販売権の供与を受けている品目には、「リボスチン点眼液」があります。国内独占的販売権の供与を受けている品目には、「レスキュラ点眼液」、「アイリーア硝子体内注射液」があります。契約期間満了、契約条件の変更や、販売提携の解消などが起こった場合、業績に影響を及ぼします。

 

 

<特定の取引先への依存>

原薬や容器など、原材料の中には供給を特定の取引先に依存しているものがあります。何らかの要因によりこうした原材料の供給が停止した場合、参天製薬グループでの生産活動に悪影響を与える可能性があります。さらに、これに起因して参天製薬グループの製品の供給が滞った場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

参天製薬グループと取引のある医薬品卸のうち、上位10社への取引高の集中度は、連結売上収益の65%に達しており、医薬品卸の倒産などにより貸倒れが発生した場合、参天製薬グループの業績に影響を及ぼします。

 

(4)研究開発活動

<新薬開発の不確実性>

新薬の研究開発から承認・発売までは非常に長期間を要し、開発中止、承認申請後の不許可などの不確実性を多く含みます。参天製薬グループが開発中の新薬あるいは追加効能・剤形等について、販売・製造の許可がおりるかどうか、あるいはいつ承認を得ることができるかを確実に予測することはできません。

新薬に関わる見通しを実現できるかどうかは、様々な要素の影響を受けます。例えば、承認審査の遅れ、臨床試験データが競合品に対し非劣性を示さない、安全性や効能に関する懸念、予期せぬ副作用、開発中止や発売時期の遅延などは、新薬の期待売上収益に悪い影響を与えます。

 

<研究開発投資が十分な成果を生まない可能性>

新製品の創製・開発ならびに追加効能・剤形等の開発は将来の成長に必要不可欠であり、参天製薬グループは毎年多額の研究開発投資を行っていますが、将来、研究開発投資に見合う新薬の売上収益を実現できない可能性があります。

 

<他社との提携の成否>

新製品に関わる見通しには、他社との開発・販売提携等を前提とするものが含まれています。こうした提携の成否は参天製薬グループの業績または財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(5)その他の要因

<知的財産権>

参天製薬グループの事業は、物質・製法などに関する様々な特許によって保護されています。参天製薬グループでは、これらの特許権を含む知的財産権を適切に管理し、第三者からの侵害にも注意を払っていますが、第三者からの侵害を受けた場合には、参天製薬グループの業績に影響を与える可能性があります。また、参天製薬グループの事業が第三者の知的財産権を侵害しないようにも注意を払っていますが、万一、第三者の知的財産権を侵害した場合、損害賠償を請求されるなど、業績に影響を与える可能性があります。

 

<生産の停滞・遅延>

自然災害、火災などの要因により生産活動の停滞・遅延が起こった場合、参天製薬グループの業績または財政状態に影響を与える可能性があります。また、品目によっては、生産を一箇所に集中しているものや、生産を外部に委託しているものがあり、特定の工場や外部委託先の機能が停止した場合、製品供給が滞る可能性があります。

 

<販売中止、製品回収等>

参天製薬グループの製品の一部が、製品品質の欠陥、予期せぬ副作用、第三者による異物混入等により、販売中止または製品回収などの事態となった場合、業績に悪い影響を与えます。

 

 

<訴訟>

医療用医薬品の製造・販売を主たる事業とする参天製薬グループでは、将来、特許、製造物責任(PL)法、独占禁止法、消費者、環境などに関わる訴訟を提起される可能性があり、訴訟が発生した場合、それらの訴訟等の動向は、参天製薬グループの業績または財政状態に影響を与える可能性があります。なお、現在、参天製薬グループの経営に大きな影響を与えるような訴訟を提起されている案件はありません。

 

<グローバルな事業展開に関わるリスク>

参天製薬グループでは、医薬品の販売や研究開発活動を世界各国で行っており、また、持続的な成長のためのグローバルな事業展開にあたって、資産の譲受や企業買収を実施しています。このような世界各国における事業活動は、法令や規則の変更、政情不安、経済動向の不確実性、商習慣の相違その他のリスクに直面する可能性があり、その結果当初想定した効果や利益が実現されない可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)技術契約(導入)

契約会社名

相手方の名称

国名

契約品目

契約内容

契約期間

対価の支払

参天製薬

株式会社

(当社)

第一三共

株式会社

日本

オフロキサシン

(合成抗菌剤)

眼科薬における独占的製造販売権

1986年8月~2001年9月

(以後3年毎の自動更新)

販売高に応じた一定料率のロイヤルティ

参天製薬

株式会社

(当社)

第一三共

株式会社

日本

レボフロキサシン

(合成抗菌剤)

眼科薬における独占的製造販売権

1994年5月~発売日から10年間、又は、特許権の存続期間の満了日の長い方

(以後3年毎の自動更新)

契約一時金及び販売高に応じた一定料率のロイヤルティ

参天製薬

株式会社

(当社)

エーザイ

株式会社

日本

ブナゾシン塩酸塩

(緑内障治療剤)

眼科薬における独占的製造販売権

1994年12月~発売日から8年間、又は、特許権の存続期間の満了日の長い方

(以後1年毎の自動更新)

契約一時金及び販売高に応じた一定料率のロイヤルティ

参天製薬

株式会社

(当社)

旭硝子

株式会社

日本

タフルプロスト

(緑内障・高眼圧症治療剤)

眼科薬における独占的製造販売権

2005年12月~発売日から10年間、又は、特許権の存続期間の満了日の長い方

契約一時金及び販売高に応じた一定料率のロイヤルティ

参天製薬

株式会社

(当社)

メルク社

アメリカ

ジクアホソルナトリウム

(角結膜疾患治療剤)

眼科薬における独占的製造販売権

1998年12月~発売日から10年間、又は、特許権の存続期間の満了日の長い方

販売高に応じた一定料率のロイヤルティ

参天製薬

株式会社

(当社)

日本ベーリン

ガーインゲル

ハイム株式会社

日本

エピナスチン塩酸塩

(抗アレルギー点眼剤)

眼科薬における独占的製造販売権

2011年2月~発売日から10年間

契約一時金及び販売高に応じた一定料率のロイヤルティ

 

(2)技術契約(導出)

契約会社名

相手方の名称

国名

契約品目

契約内容

契約期間

対価の受取

Advanced Vision Science, Inc.

(連結子会社)

ボシュロム社

アメリカ

エタニティー

(眼内レンズ)

独占的製造販売権

2009年2月~発売日から10年間、又は、特許権の存続期間の満了日の長い方

契約一時金、マイルストーン及び販売高に応じた一定料率のロイヤルティ

参天製薬

株式会社

(当社)

オーク社

アメリカ

タフルプロスト

(緑内障・高眼圧症治療剤)

独占的製造販売権

2014年4月~

2022年3月

マイルストーン及び販売高に応じた一定料率のロイヤルティ

 

(3)販売契約(導入)

契約会社名

相手方の名称

国名

契約品目

契約内容

契約期間

対価の支払

参天製薬

株式会社

(当社)

ヤンセン

ファーマ

株式会社

日本

レボカバスチン塩酸塩

(抗アレルギー剤)

国内販売権

2000年9月~

発売日から10年後の12月

(以後1年毎の自動更新)

契約一時金

参天製薬

株式会社

(当社)

スキャンポ

ファーマ

合同会社

日本

イソプロピル

ウノプロストン

(緑内障治療剤)

国内独占的

販売権

2004年7月~

2016年3月

(以後1年毎の自動更新)

契約一時金

参天製薬

株式会社

(当社)

バイエル薬品株式会社

日本

アフリベルセプト硝子体内注射液

(眼科用VEGF阻害剤)

国内独占的

販売権

2012年5月~2021年12月

(注) 株式会社アールテック・ウエノは、2016年10月にスキャンポファーマ合同会社と合併し、スキャンポファーマ合同会社となりました。

 

(4)InnFocus, Inc.の買収

2016年7月19日、当社とInnFocus, Inc.(以下、「InnFocus社」)は、緑内障用デバイスInnFocus MicroShunt®(以下、「MicroShunt」)を開発するInnFocus社を当社が企業買収することについて最終合意し、米国時間の2016年8月19日に買収が完了しました。

 

①買収の目的

InnFocus社は、初期から後期の原発開放隅角緑内障における眼圧下降を目的としたインプラント手術に用いるデバイスMicroShuntを開発しています。MicroShuntは諸外国で実施した臨床試験において単独もしくは白内障手術との併用で施術され、房水の流出を促すことによる眼圧下降効果が確認されています。MicroShuntは、既に欧州におけるCEマークの承認を取得しており、現在、FDA承認取得に向けPMA(Pre-Market Approval:市販前承認)申請の最終段階の臨床試験が、米国および欧州にて実施されています。

当社は、この買収により、緑内障領域における製品パイプラインのさらなる強化に取り組み、眼科領域のイノベーションをリードする存在であり続けたいと考えています。また、当社は『世界で存在感のあるスペシャリティ・カンパニー』を長期的な経営ビジョンとして掲げており、グローバルな眼科領域においてさらなる治療貢献を目指してまいります。MicroShuntは新たな治療選択肢として、患者さんに大きな治療効果をもたらすことができると期待しています。

 

②対象会社の概要

名称     :InnFocus, Inc.

所在地    :米国 フロリダ州 マイアミ

代表者の氏名 :代表取締役会長 Randy Lindholm

事業内容   :緑内障手術の次世代製品の開発、供給

資本金    :0.9千米ドル(2015年12月末現在)

 

③取得対価

225百万米ドル

また、契約上、MicroShuntの開発の進捗および販売実績に応じたマイルストンを支払う定めがあります。

 

④取得した議決権付資本持分割合

取得前の議決権付資本持分割合    9.56%

取得日に追加取得した議決権比率   90.44%

取得後の議決権付資本持分割合   100.00%

 

⑤買収完了日

2016年8月19日(米国時間)

 

(5)その他

契約会社名

相手方の名称

国名

契約品目

契約内容

契約締結日

対価の支払

参天製薬

株式会社

(当社)

メルク社

アメリカ

ドルゾラミド塩酸塩およびチモロールマレイン酸塩

ドルゾラミド塩酸塩

チモロールマレイン酸塩

チモロールマレイン酸塩持続性

タフルプロスト

タフルプロストおよびチモロールマレイン酸塩

(緑内障・高眼圧症治療剤)

日本・欧州・アジア太平洋地域における眼科用医薬品およびこれらの製品に関連した権利等一式の譲受

2014年5月13日

譲受価額約600百万米ドルおよび販売マイルストンに基づいた支払

 

契約会社名

相手方の名称

国名

契約内容

契約締結日

参天製薬

(中国)有限公司

(連結子会社)

重慶科瑞製薬

(集団)有限公司

中国

中国の患者さんに適切な価格で高品質の医療用眼科薬を提供することを目的に2016年8月に合弁会社(重慶参天科瑞製薬有限公司)を設立

2016年3月22日

 

 

6【研究開発活動】

 参天製薬グループは、中長期的な成長の源泉として新製品の創製を重視しており、眼科薬を中心とした積極的な研究開発活動を進めています。

 主力の医療用眼科薬では、研究活動の拠点として、関西文化学術研究都市(奈良県生駒市)に「奈良研究開発センター」を設け、独自の創薬研究ならびに全身薬として開発された薬剤の眼科応用研究などを中心に研究を進めています。

 さらに、緑内障、角結膜疾患、網膜疾患の3つの領域にテーマを絞ることで、従来培ってきた眼科研究の質・量・スピードと効率を高め、新薬開発の充実を図っています。

 臨床開発では、日米欧の三極連携による開発体制を強化し、新薬開発の「スピード化」と「質の向上」を進めています

 

<緑内障・高眼圧症領域>

 DE-085(一般名:タフルプロスト)は、日本、欧州、アジアで販売しており、2016年3月、中国で発売しました。

 DE-111(一般名:タフルプロスト/チモロールマレイン酸塩)は、日本、欧州で販売しています。アジアでは順次販売承認を取得し、2016年4月、韓国で発売しました。

 EP2受容体作動薬DE-117(一般名:オミデネパグ イソプロピル)は、米国で後期第Ⅱ相試験を終了し、日本では後期第Ⅱ/Ⅲ相試験を実施中です。アジアでは2016年12月に第Ⅲ相試験を開始しました。

 FP/EP3受容体デュアル作動薬DE-126(一般名:sepetaprost)は、米国、日本にて後期第Ⅱ相試験を準備中です。

 2016年8月に買収したInnFocus社の緑内障用デバイスInnFocus MicroShunt(DE-128)は、欧州におけるCEマークの承認を取得しており、FDA承認取得に向け、米国および欧州にて第Ⅱ/Ⅲ相試験を実施しています。

 

<角結膜疾患(ドライアイを含む)領域>

 DE-089(一般名:ジクアホソルナトリウム)は、日本、アジアで販売しており、中国で輸入医薬品承認を申請中です。

 Cyclokat(開発品名:シクロカット、一般名:シクロスポリン)は、成人患者において人工涙液等で効果が不十分なドライアイに伴う重度の角膜炎を適応症として、欧州各国にて順次発売しています。アジアでは順次販売承認を申請しており、2016年11月にタイで、2017年3月に韓国等で販売承認を取得しました。

 Vekacia(開発品名:ベカシア、一般名:シクロスポリン)は、2016年12月に欧州で販売承認を申請しました。

 

<網膜・ぶどう膜疾患領域>

 ぶどう膜炎を適応症とするDE-109(一般名:シロリムス)は、2017年2月に米国で販売承認を申請しました。欧州では販売承認申請を準備中です。

 DE-122(一般名:carotuximab)は、滲出型加齢黄斑変性を対象に第Ⅰ/Ⅱ相試験を米国で実施中です。

 DE-120(一般名:未定)は、成功確率の再評価に基づき開発を中止しました。

 

 なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、228億円です。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)財政状態の分析

 

前連結会計年度
(百万円)

当連結会計年度
(百万円)

増減額
(百万円)

資産

355,399

322,778

△32,621

資本

260,009

253,884

△6,125

負債

95,391

68,894

△26,496

親会社所有者帰属持分比率

73.2%

78.4%

5.2ポイント

 

 当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末と比べ326億円減少し、3,228億円となりました。これは法人所得税等の支払いおよび自己株式の取得による現金及び現金同等物の減少などによるものです。

 資本は、前連結会計年度末と比べ61億円減少し、2,539億円となりました。これはその他の資本の構成要素の減少などによるものです。

 負債は、前連結会計年度末と比べ265億円減少し、689億円となりました。これは法人税等の支払による未払法人所得税等および金融負債の減少などによるものです。

 以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末と比べ5.2ポイント増加し、78.4%となりました。

 

(2)経営成績の分析

 経営成績の分析については、1[業績等の概要]の(1)業績に記載のとおりです。

 

(3)キャッシュ・フローの状況の分析

 キャッシュ・フローの状況については、1[業績等の概要]の(2)キャッシュ・フローの状況に記載のとおりです。