文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、Santenグループが判断したものです。
(1)会社の経営の基本方針
Santenグループは、眼科領域に特化したスペシャリティ・カンパニーとして、世界中の患者さんや生活者、医療関係者の皆さまへの価値ある製品やサービスの提供を通じ、人々の「Happiness with Vision」の実現に貢献することを目指しています。創業以来、「天機に参与する」という基本理念の下、130年以上にわたり人々の目の健康維持・増進を追求してきました。現在、眼科領域における医薬品の研究開発、製造、販売・マーケティング活動をグローバルに展開し、世界60以上の国・地域で約5,000万人の人々の目の健康をサポートしています。私たちのミッションは、眼科領域における専門性と患者さん視点から創出される製品やサービスを通じて、目の病気の予防や診断、治療において今まで提供されていない重要な価値を患者さんや社会に提供し続けることです。一人でも多くの患者さんが幸せで豊かな人生を過ごすことができる未来を創り出すため、世界中の人々が「見る」を通じた幸せを実感できる社会の実現に向けて全力を尽くしてまいります。
(2)中期経営計画及び目標とする経営指標
Santenグループは2025~2029年度までの5年間を対象とした新たな中期経営計画を策定し、2025年5月に公表しました。
1.2035年までに目指す姿と実現に向けた事業の在り方
Santenグループは、2023年度に発表しました前中期経営計画(~2025年度)について構造改革などの施策を着実に遂行し、2025年度の数値目標を前倒しで達成しました。この度、Santenグループは、長期視点での戦略の展開と収益基盤のさらなる強化を通じた新たな成長軌道への転換を実現すべく、2035年までに目指す姿、及び2029年度までの中期経営計画(2025~2029年度)を策定しました。眼科領域に特化したグローバルカンパニーとして、高い確度での製品開発と確実な収益の確保で堅実なグローバル成長を追求し、製品価値の最大化による最適な眼科医療の提供と眼科医療や患者さんのニーズの深い理解に基づく眼科医療のイノベーションを軸として事業活動を展開します。
<Santenグループのビジネスモデル>
2.成長戦略
2029年度までの5年間において、これまで培ってきた強みを活かして、「Santenグループのビジネスモデル」の展開を全地域でさらに強化します。眼科市場をリードする企業としての信望を集め、持続的な成長基盤を確立するため、6つのイニシアチブを推進します。
<持続的な成長基盤確立に向けた6つのイニシアチブ>
■短中期売上成長
1.海外地域(EMEA・アジア・中国)におけるリーダーポジションの確立:
日本を含む全地域で市場成長率を上回る収益拡大により、プレゼンスを強化します。日本事業のリーダーポジションを堅持しながら、海外事業の力強い成長により、2029年度の海外事業売上比率は58%を目指します。
2.近視・眼瞼下垂疾患の市場創造と海外展開:
新領域となる近視・眼瞼下垂におけるRx市場を創出し、医師や医療機関が積極的に治療提供する環境を地域に即して整備します。近視は、「近視進行抑制点眼治療市場」を確立することで、小児の近視患者さんに対して、近視の進行自体を抑制し、近視による日常生活への負担や将来の目の不安を軽減すること、眼瞼下垂は、点眼薬で治療できる疾患として認知向上と新たな治療概念の普及を促進し、非侵襲的な「眼瞼下垂点眼治療市場」の確立を追求します。
■中長期売上成長
3.Rxポートフォリオ・パイプラインの強化:
本中期経営計画期間中の売上へ寄与する現行パイプラインの承認取得早期化やLCM(ライフサイクルマネジメント)を継続推進します。加えて、2030年度以降の持続的な成長につながるRxポートフォリオ・パイプラインの拡充に向け、事業開発のターゲット選定と機能・プロセスを強化すると共に、新たな点眼薬製剤技術の開発や新規モダリティにも挑戦します。
■事業基盤の継続強化
4.安定供給・サプライチェーンの整備:
新製品の需要増加を見越し、自社生産キャパシティ拡大と生産ネットワーク見直しにより、安定かつ柔軟な供給体制を強化します。
5.コストの持続的適正化:
多角的な原価最適化施策の推進、及び業務プロセス改革によるSG&Aの最適化を徹底します。
6.人材・組織とデジタル・ITの強化:
基本理念やビジョンを体現し成長に寄与する人材を最重要のアセットと位置付け、能力向上と人材を活かすことができる生産性の高い組織づくりを推進します。中長期での持続的な成長を見据え、デジタルの効果的活用、また全社のIT・セキュリティ基盤の強化により、事業の生産性と安定性を向上します。
3.2029年度における連結数値目標
■KPI
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売上収益 |
4,000億円 |
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コア営業利益 |
800億円 (EBITDA:900億円)1 |
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ROE |
14%以上 |
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EPS成長率 |
2桁成長2 (EPS:160円以上) |
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株主還元 |
・38円/年を配当下限とし、配当性向40%を目安に増配 ・株価と余資の状況を勘案し、機動的に自社株買いを実施3 ・ROE、EPSの更なる上昇を企図 |
1 参考値
2 2024年度実績-2029年度目標CAGR
3 必要運転資金を450億円と定義し、一定期間留保された余資金を原資に実施
4.資本配分・株主還元
事業から創出されるキャッシュに加え、運転資金圧縮やグループ内の資金活用、資金需要に合わせた調達の活用により投資余力を最大化し、将来に向けた成長投資として、生産能力拡大に向けた設備増強とイノベーションを生み出す研究開発・事業開発へ優先的に資源を投下します。株主還元については、現在の年間38円の配当を下限値として、累進配当を継続することで利益成長に伴う増配により直接還元を行うとともに、機動的な自社株買いを通じた資本水準の最適化をはかり、ひいては、ROE、EPSの向上を企図します。
5.サステナビリティ
Santenグループは、社会への貢献と持続的な成長を実現するため、最重要マテリアリティ4つを含む以下の13のマテリアリティを強力に推進します。具体的な取り組みなどについては、今後、ウェブサイトなどを通じて開示していく予定です。
<社会と事業の持続的成長>
・目の健康に貢献する製品とサービスの創出*
・製品の品質保証と安定供給*
・製品の浸透と市場創造*
<事業基盤の強化>
・Santenで働く価値向上と人・組織の能力強化*
・高い倫理観を持った事業運営
・情報開示の透明性
・DE&I(ダイバーシティ・エクイティ & インクルージョン)の推進
・人権の尊重
・持続可能な調達
・情報セキュリティの確保
・デジタル・トランスフォーメーションの推進
・気候変動対策
・環境負荷低減
*最重要マテリアリティ
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、Santenグループが判断したものです。
(1)ガバナンス
Santenグループは、社会の持続的な発展に貢献するとともに、中長期的な企業価値向上を目指しています。
サステナビリティに関する体制としては、CEOを委員長とし関連部門の執行役員で構成されるサステナビリティ委員会を設置しています。基本理念やサステナビリティ方針、グループの戦略、社会課題などを踏まえ、サステナビリティ推進活動に関するグループ全体の方針・目標を設定するとともに、活動状況をモニタリングしています。特に重要な案件については適宜取締役会に上程し、審議・報告を行います。
サステナビリティの取り組みとして、2020年に経営の重要課題であるマテリアリティの特定及び目標設定を行い、その達成に向けた活動を推進してきました。
この度、2025年5月に発表した中期経営計画の策定に合わせ、マテリアリティの見直しを行いました。理念・Vision、コアコンピタンス、リスク管理といった視点や重視すべき経営機会とリスクなどを踏まえて、13項目をマテリアリティとして特定しました。それぞれについて財務的影響を試算し、かつ社会への影響も鑑み、特に影響が大きい「目の健康に貢献する製品とサービスの創出」「製品の品質保証と安定供給」「製品の浸透と市場創造」「Santenで働く価値向上と人・組織の能力強化」の4項目を最重要マテリアリティと位置づけました。
また2021年に部門横断のTCFD(※)プロジェクトを立ち上げ、気候変動に関するリスクと機会の特定や財務影響の評価、リスク・機会への対応方針について検討を重ねました。検討内容については、サステナビリティ委員会で協議のうえ、取締役会において報告・審議し、2022年6月に開示しており、それ以降定期的な見直し及び開示を行っています。
※ Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース
(2)戦略
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目の健康に貢献する製品とサービスの創出 |
製品開発・サービス創出を通じて希少疾患を含む未充足ニーズに対応する解決策を提供していきます。
リスクシナリオ
・研究開発パイプラインの枯渇 [中期/長期]
・研究開発の難化と競争の激化、その結果として新製品創出の減少 [短期/中期/長期]
機会シナリオ
・未充足ニーズの特定と独自性及び価値の高い治療ソリューションの開発 [中期/長期]
・共同研究・開発及びエコシステムの推進 [短期/中期/長期]
対応策
・強みが活かせる眼疾患領域での治療ソリューションの特定
・治療候補化合物の積極的導入評価、共同研究・開発及びエコシステムの活用、新たなモダリティへの研究開発投資
・他社には実現できない眼科用製剤の開発及び眼疾患領域への応用
インパクト
・これまで治療薬がなかった眼疾患領域の患者さんの治療に貢献
・既存製品の未充足ニーズを満たす製品創出による患者さんの治療に貢献(点眼行為の負担軽減等)
・パートナー会社とのビジネスの継続・発展
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製品の品質保証と安定供給 |
品質と安全性が確保された製品を、適時に必要な数量を継続的に供給するとともに、非常時に対応する体制を整備していきます。
リスクシナリオ
・自然災害時等における供給能力の低下と回復の遅延 [短期/中期/長期]
・高度化が進むGMP基準等の規制への対応負荷による製品供給の遅延 [短期/中期/長期]
・市場の変動性、不確実性、複雑性、曖昧性(VUCA)の一層の増大と、生産能力・供給計画の高難易度化 [短期/中期]
機会シナリオ
・規制面を含む多様な環境変化への耐性を備えたグローバル製品供給ネットワークの整備 [中期/長期]
対応策
・拠点間の生産量バランスの最適化、在庫レベルの適正化、製品ごとの代替生産拠点の事前準備
・継続的な品質システムの改善
・委託製造会社との戦略的連携
・自社生産・委託製造を含む生産・供給ネットワークの最適化
インパクト
・規制に準拠した高品質な製品の安定供給による、患者さんへの持続的な治療オプション提供及び顧客からSantenグループへの信頼の向上
・環境変化への耐性を備えた生産・供給能力の保持
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製品の浸透と市場創造 |
信頼されるパートナーとなり、患者さんと顧客への提供価値を最大化することで、患者アクセスを含む最適な医療の実現に貢献していきます。
リスクシナリオ
・薬価抑制及び後発品使用促進による長期収載品の価格競争激化 [短期/中期/長期]
・成長鈍化しつつある日本市場における売上収益への過度な依存 [短期/中期]
機会シナリオ
・グローバル眼科市場の伸長 [中期/長期]
・眼科アンメットニーズをドライバーとする潜在市場の発掘 [短期/中期/長期]
対応策
・製品価値を最大化し維持しうる、正しい治療概念の普及と適切な治療提案を実施できる組織能力の向上
・EMEA、アジア、中国でのプレゼンスの強化
・満たされていない治療ニーズを汲み取り、新たな価値提供が可能となる領域を開拓
インパクト
・より多くの患者さんに対する最適な眼科医療の提供
・新たな治療選択肢の提供による目の悩みや不安の解消
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Santenで働く価値向上と人・組織の能力強化 |
Santenグループが眼科医療に貢献するための理念体系の浸透と、それを実践できる人材と組織能力を最大化していきます。
リスクシナリオ
・世界的な人件費高騰による、コストの圧迫や人材確保の難化 [短期/中期/長期]
・柔軟性の高い仕組み・体制の不備による組織パフォーマンスの低下 [短期/中期]
・価値観の多様化や人材流動性が高まる中、Santenグループで働く価値を明確化できないことによる人材流出リスク及び獲得機会の逸失 [中期/長期]
機会シナリオ
・柔軟性の高い仕組み・体制により、社員が数多くの経験・挑戦機会を獲得し、個人の成長速度及び組織の生産性が向上 [短期/中期/長期]
・Santenグループで働く価値の明確化によりその価値に共感する優秀人材の獲得・リテンション [短期/中期/長期]
対応策
・全社横断的プロジェクトや戦略的な社内兼業プログラムの展開・推進
・Santenグループの基本理念及び行動原則と価値観の浸透による社員のパフォーマンスとエンゲージメントの向上
・基本理念及び行動原則と価値観の浸透活動に加え、多様な働き方に即した仕組みや公正な評価・報酬制度の拡充を通じて社員が実感するSantenグループで働く意義を外部へ発信
インパクト
・Santenグループの基本理念及び行動原則と価値観が浸透した組織・社員によって高いパフォーマンスが発揮され、競争力強化、事業のさらなる発展、社会への新たな価値の提供を実現
人材育成方針及び社内環境整備方針は以下に開示しています。
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気候変動(TCFD) |
1.5℃シナリオ及び4℃シナリオ(※1)を用いて分析・評価した結果、Santenグループが特定した気候変動に関するリスク・機会とその財務影響、並びに検討した対応策は次の表のとおりです。
気候変動に関するリスク・機会と財務影響
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シナリオ |
リスク・ 機会 |
外部環境 の変化 (現在から 2050年頃) |
Santenの リスク・機会 |
影響を受ける期間(※2) |
財務影響 (※3) |
影響の評価方法 |
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1.5℃ シナリオ |
移行 リスク |
低炭素エネルギーへの移行の加速 |
低炭素エネルギーへの転換に伴う投資額・費用額の増加 |
短期 |
小 |
技術に対する一定の不確実性を考慮して保守的に算出 |
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中長期 |
大 |
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バイオプラスチックへの移行の義務化・規制化 |
容器包材調達費用の増加 |
中長期 |
小 |
現状の売上成長予測を上回る野心的な売上高成長率を前提とし、費用の増額分を算出して評価 |
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生物由来原料の供給量減少による価格高騰 |
生物由来原料調達費用の増加 |
中長期 |
小 |
原材料の調達金額に占める割合が大きい生物由来原料はいずれも特定の動植物に依存せず、容易に調達可能であるため、価格上昇リスクは高くないと判断 |
||
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4℃ シナリオ |
物理的 リスク |
降雨パターンの変動による浸水・渇水の発生 |
浸水や取水制限で工場・研究所の稼働が困難となり、製品供給が遅延・停止 |
中長期 |
小 |
各工場・研究所所在地付近の河川の有無や、水リスク評価ツールAqueduct(※4)を用いた各所在地の渇水リスクの評価結果、生産工程での水使用量などを考慮して判断 |
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機会 |
厳しい気候で屋内活動が増加することによる近視患者の増加 |
近視薬などの新規製剤の生産供給量を増やすことで、増加する近視の治療に貢献 |
中長期 |
現時点で財務影響の把握は困難 |
・公表されている気候変動による眼疾患への影響に関する研究結果を参照し、事業への影響を評価 ・近視が増加傾向にある(※5)ものの、増加要因における気候変動の影響部分を特定することが困難であり、当該影響額の算定は困難と判断 |
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気候変動による花粉などのアレルゲンや病原生物の増加・活性化 |
アレルギー治療薬や感染症治療薬などの既存薬剤の生産供給量を増やすことで、眼に関連するアレルギーや感染症の治療に貢献 |
中長期 |
現時点で財務影響の把握は困難 |
・公表されている気候変動による眼疾患への影響に関する研究結果を参照し、事業への影響を評価 ・平均気温の上昇に伴い感染症やアレルギーなどの眼疾患が増加することが予測されているものの、増加要因における気候変動の影響部分を特定することが困難であり、当該影響額の算定は困難と判断 |
※1 1.5℃シナリオ:IPCCの第6次報告書(AR6)のSSP1-1.9やIEAのNet Zero Emissions(NZE)などの情報を用いて策定した、Santenグループにとっての気候変動に関する移行リスクが最大になると設定したシナリオ
4℃シナリオ:IPCCの第5次報告書(AR5)のRCP8.5などの情報を用いて策定した、Santenグループにとっての気候変動に関する物理リスクが最大になると設定したシナリオ
※2 短期:3年以下、中期:3年超-10年以下、長期:10年超を想定
※3 財務影響:収益、費用額は単年度影響額、投資金額については投資総額で判断し、「大」:30億円以上、「小」:10億円未満とする
※4 Aqueduct:世界資源研究所(WRI)が公表する水リスク評価ツール
※5 近視が増加傾向:「Ophthalmology, 123; 1036-1042, 2016」では、近視は2050年までに2000年の約3倍の50億人程度と推計
TCFD提言に基づく情報開示の詳細は以下に開示しています。
(3)リスク管理
Santenグループは、経営の重要課題であるマテリアリティを特定し、リスクと機会を評価しています。評価されたリスクや機会は、サステナビリティ委員会において定期的に報告・協議を行います。特に重要なリスクについては、全社のリスク評価結果とともに、危機管理担当役員のもとでリスク管理部署が対策主管部署を決定して、予防対策の実施及び事業継続計画を策定し、事業継続計画が危機発生時に有効に機能しうる状態にあることを確認し、必要な見直しを推進しています。
(4)指標及び目標
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マテリアリティ |
指標 |
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目の健康に貢献する製品とサービスの創出 |
・未充足ニーズに対応する、計画に基づく製品(領域・地域)の開発 |
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製品の品質保証と安定供給 |
・On Time – In Full: OTIF (% of orders shipped on-time and in-full) |
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製品の浸透と市場創造 |
・世界の患者さんへの貢献度(マーケットシェア)の向上 ・新規創出市場(近視・眼瞼下垂のRx市場)における延べ貢献患者数 |
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Santenで働く価値向上と人・組織の能力強化 |
・新理念体系の浸透(基本理念・ビジョン・行動原則・価値観) ・グローバルエンゲージメントスコアの向上 |
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テーマ |
目標 |
進捗(2024年度実績) |
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人的資本 |
・2023年度に人材育成プログラムの再構築を完了し、2025年度までに全社員が教育プログラムを受講完了 ・重要ポジションを担うマネジメント層に対し、2025年度までにアセスメントとコーチングを実施 ・2023年度に重要ポジションの後継者の明確化完了、2025年度までに計画的確保・育成・配置の具体的実践 |
・2025年5月に公表した新中期経営計画において実施予定の全社人材育成プログラムの構築を完了 ・2024年度はEMEA/ASIAでシニアリーダー開発プログラムを実施 ・2023年度より毎年執行役員の後継者計画を策定、2024年度からは「Top Talent Review」会議を開催し、具体的な育成・配置計画を検討し計画的に実施 |
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多様性 |
・ |
・女性管理職比率(日本): |
サステナビリティに関する取り組みについて、詳細は当社ウェブサイト及び統合報告書(アニュアルレポート)において随時開示します。
https://www.santen.com/ja/sustainability
https://www.santen.com/ja/ir/document/annual.jsp
[リスク管理体制]
Santenグループでは、従来より、リスク管理に係る規程に基づき、事業活動遂行上想定される主要な損失の危険に適確に対処するため、各地域、部門ごとにリスクの抽出、評価、モニタリングを行い、平時から損失の危険の回避・最小化に努めてまいりましたが、リスクマネジメントの高度化に向け、2024年度より三線体制に基づき各リスクオーナーへのインタビューを通じて、リスクシナリオの確認及び「固有リスク」の評価を実施し、「内部統制」の評価を行うことで「残余リスク」を算出しています。そして、「残余リスク」が高いものを全社重要リスクと特定し、リスク管理委員会で審議することにより、効果的な全社的リスクマネジメント体制の整備を行っています。
グローバルに事業が拡大する中、高い水準で各種規制を遵守することが求められています。また、製品の安定供給や品質管理、ITセキュリティの確保、コンプライアンス遵守等に対して適切な対応を行うとともに、パンデミック、自然災害、紛争等に対するリスクマネジメントが求められています。
特に経営に影響を及ぼす可能性がある多様なリスクに対応するため、危機管理担当役員の下、予防的及び発見的コントロールの効いたリスク管理活動の強化を継続的に図ってまいります。
また、内部監査室は、その独立した立場において、業務監査を通じてリスク管理状況を検証しています。
リスク管理体制
リスク評価プロセス
重大な危機に発展する可能性のある事象が発生又は報告された場合には、Santenの代表取締役社長兼CEOを委員長とする「危機管理委員会」を設置し、対応と事態の収拾に努めるとともに再発防止策を実施します。
当連結会計年度末現在において判断した将来の業績又は財政状態に影響を与えうるリスクや不確実性には、以下のようなものがあります。ただし、将来の業績又は財政状態に影響を与えうるリスクや不確実性は、これらに限定されるものではありません。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、Santenグループが判断したものです。
(主要リスク)
(1)サプライチェーン
Santenグループでは、品目により生産を一箇所に集中している製品、生産を外部に委託している製品、また、原薬や容器等原材料の供給を特定の取引先に依存している製品があります。これらについて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染再拡大等のパンデミック、自然災害、火災等により特定の工場や外部委託先の機能又は取引先からの原材料の供給が停止し、生産活動の停滞・遅延や何らかの原因により製品品質に問題が発生した場合には、Santenグループの業績又は財政状態に影響を与える可能性があります。
Santenグループでは、従前よりグローバルな製品供給体制並びに品質保証体制の強化を重要な戦略の一つとして掲げています。具体的には、展開国の拡大や点眼剤以外の多様な製品の増加に対応する体制の構築に取り組んでおり、安定供給及び品質保証を確実なものとするプロセス及びシステム等の仕組みを構築するとともに、計画と実行のモニタリングやリスク評価等により、継続的な実態把握と課題への対応を行っています。また、物流関連の規制が厳しい欧州にも対応した製品の生産・供給体制の構築や、生産計画を含む在庫管理の可視化・グローバルでの一元管理にも取り組んでいます。
また、製品の品質確保及び安定供給を最優先課題と位置付け、製品に関する品質・在庫水準の維持、工場における安全確保を実施しています。
(2)コンプライアンス
社会規範や法令等に違反する事態が発生した場合、Santenグループの社会的信用やブランドイメージの低下、株価下落による企業価値の損失、売上収益の減少や損害賠償の支払い等により、Santenグループの業績悪化や事業継続が困難になる等、企業経営に大きな影響を及ぼす可能性があります。
Santenグループは「天機に参与する」という基本理念のもと、基本理念を社員が遵守すべき基準として具体化した「参天企業倫理綱領」及び「グローバル・コンプライアンス・ポリシー」を制定し、チーフコンプライアンスオフィサーの下、グローバルでのコンプライアンス推進体制を強化するとともに、法令や規制が厳しくなるヘルスケア業界において全従業員へのグローバルでの体系的な教育プログラムを導入し、実施しています。毎年、企業倫理綱領周知月間を設定し、グローバルで共通テーマでのコンプライアンスE-ラーニングの実施や、CEO、地域トップからのコンプライアンスメッセージを発信する等、コンプライアンス意識の醸成及び法令遵守の強化にも努めています。
また、コンプライアンスリスク及びその他の組織課題を的確に把握し、課題の発見及び適切なフォローを確実に実施することを目的として、24時間365日利用可能なグローバル通報システムとして「Santenスピークアップ・ポータル」を導入し、グローバルで統一したリスク管理体制の整備も進めています。
(3)ITセキュリティ及び情報管理
Santenグループでは、各種ITシステムを利用しているため、システムの不備、サイバー攻撃やコンピュータウィルスの感染等により、業績に影響を与える可能性があります。また、個人情報等の機微情報を有しているため、万一の事故等によりその情報が社外流出した場合、信用を大きく失うことで業績に影響を与える可能性があります。
Santenグループでは、情報セキュリティをグローバル社会の進化にとって不可欠な要素と考え、戦略的優先事項と捉えており、日々の業務や規制遵守の継続性維持、及び戦略的な競争優位性の維持に必要な情報の機密性、完全性及び可用性を保証するため、ISO/IEC27001に基づく情報セキュリティマネジメントシステムの実装と維持に取り組んでいます。
また、サイバーセキュリティリスクへの対応として、グローバル個人情報保護規程、情報セキュリティ規程、文書管理規程等の社内規程を整備するとともに、セキュリティ研修・訓練を中心とした人的対策、組織対策としてのセキュリティガバナンス強化、並びに技術的対策を行っています。加えて、Santenグループのみならず、サプライチェーンやビジネスパートナーを含めたリスク管理を実施しています。
今後も外部環境の変化を捉え、事業継続性の強化、サイバーセキュリティの高度化、データ保護の強化等の施策を継続的に進めていきます。
(4)自然災害
大規模地震、津波、台風等の自然災害、火災などの要因により生産活動の停滞・遅延・サプライチェーンの寸断等が起こった場合、Santenグループの業績又は財政状態に影響を与える可能性があります。また、品目によっては、生産を一箇所に集中しているものや、生産を外部に委託しているものがあり、特定の工場や外部委託先の機能が停止した場合、製品供給が滞る可能性があります。
Santenグループではこれらのリスクに備え、事業継続計画(BCP)の策定・緊急時の応急対策訓練の実施、安定在庫の確保、製造ラインのバックアップ計画策定、損害保険への加入など、従業員の安全確保及び製品の安定供給が継続できる体制を整備し、リスクの低減に努めています。
(5)地政学リスク
国際情勢の急激な変化や国家間紛争の発生によって、関連する地域において、事業活動への影響やサプライチェーンの寸断等による製品供給等の遅滞等の影響が生じる可能性があります。
Santenグループでは、これらのリスクに対し、外部情報の入手や国内及び海外での事業への影響を分析し、有事に備えた安全管理体制の整備、製品供給確保のためのバックアップ体制の構築など、事業継続体制整備を進めています。
(6)投資に関わるリスク
Santenグループでは、医薬品の安定供給やグローバルな事業基盤拡大に必要な設備投資を継続して実施しています。また、眼科領域におけるグローバルでの持続的な成長を目指し、パイプラインの強化、グローバルでの事業展開の加速、新規医療技術・イノベーションの拡充のために、有望な事業開発機会と認められる場合には、他社とのアライアンス・M&A(製品・技術導入、買収及び合弁事業等)を積極的に行っています。これらについては、投資判断を行った時点に想定をしていた水準を超える外部環境の悪化等により、当初想定した効果や利益が実現されない可能性があります。また、このような場合には、投資に伴い計上した有形固定資産や無形資産の減損処理により、Santenグループの業績に影響を与える可能性があります。Santenグループでは、これらの投資について、経営戦略との整合性等定性的な観点に加え、収益性の観点から、資本コストを上回るハードルレートを基礎とした社内の評価基準に基づき投資の判断を行っています。これらの投資判断を含めた意思決定プロセスの透明性・客観性を向上させるため、重要な戦略課題について審議する戦略審議委員会を設置し、中長期戦略及び事業・開発ポートフォリオ議論と取締役会に付議される個別議案の有機的な連携を図ると共に、個別案件の全体戦略における位置づけの明確化、論点整理に取り組んでいます。また、取締役会で決議した案件を着実に成果につなげるためのモニタリングを定期的且つ継続的に行う仕組みを導入し、コーポレート・ガバナンスの充実・強化に取り組んでいます。
(7)主力製品への依存
Santenグループにおける売上収益の上位2製品である「アイリーア硝子体内注射液(アイリーア8mg硝子体内注射液を含む)」及び「アレジオン類(アレジオン点眼液、アレジオンLX点眼液、アレジオン眼瞼クリーム、エピナスチン塩酸塩点眼液、エピナスチン塩酸塩LX点眼液)」の連結売上収益に対する比率は、当連結会計年度で37%です。これらの製品が万一、製品の欠陥、予期せぬ副作用等の要因により販売中止となったり、売上収益が大幅に減少した場合、業績又は財政状態に大きな影響を与える可能性があります。
(8)ライセンス製品への依存
Santenグループの製品には、他社から製造販売権、並びに販売権を供与されているものが多くあります。眼科薬における独占的製造販売権の供与を受けている品目には、「クラビット点眼液」、「タプロス点眼液」等があります。国内独占的販売権の供与を受けている品目には、「アイリーア硝子体内注射液(アイリーア8mg硝子体内注射液を含む)」があります。契約期間満了、契約条件の変更や販売提携の解消等が起こった場合、業績に影響を与える可能性があります。
(その他リスク)
(1)グローバルな事業展開に関わるリスク
Santenグループでは、医薬品の販売や研究開発活動を世界各国で行っています。
このような世界各国における事業活動は、法令や規則の変更、政情不安、経済動向の不確実性、商習慣の相違その他のリスクに直面する可能性があり、その結果、当初想定した効果や利益が実現されない可能性があります。
(2)販売中止、製品回収等
Santenグループの製品の一部が、製品品質の欠陥、予期せぬ副作用、第三者による異物混入等により、販売中止又は製品回収等の事態となった場合、業績に影響を与える可能性があります。
(3)医薬品行政の動向
医療用医薬品事業については、日本並びにその他各国政府による医療保険制度や薬価に関する規制の影響を受けます。
日本国内の薬価改定及び医療保険制度については、現在予測可能な範囲に限り、その影響を業績予想等の見通しに織り込んでいます。予測可能な範囲を超えた薬価改定や、その他の医療保険制度の改定があった場合は、業績又は財政状態に対して中長期的に影響を与える可能性があります。
海外においても、同様に医療用医薬品の価格等に関する様々な規制があり、政府による価格低下の圧力は継続する傾向にあります。
また、国内外における政府当局や医薬保険制度の後発品使用促進策及びそれを背景にした他社による後発品販売は、Santenグループの業績に影響を与える可能性があります。
(4)為替
Santenグループは世界各国で事業を展開しているため、為替の変動がSantenグループの業績又は財政状態に影響を与えます。当連結会計年度の海外売上収益は、連結売上収益の約44%でした。
(5)新薬開発の不確実性
新製品の創製・開発並びに追加効能・剤形等の開発は将来の成長に必要不可欠であり、Santenグループは毎年多額の研究開発投資を行っていますが、研究開発から承認・発売までは非常に長期間を要し、開発中止、承認申請後の不許可等の不確実性を多く含みます。Santenグループが開発中の新薬あるいは追加効能・剤形等について、販売・製造の許可がおりるかどうか、あるいはいつ承認を得ることができるかを確実に予測することはできません。また、将来、研究開発投資に見合う新薬の売上収益を実現できない可能性があります。
(6)知的財産権
Santenグループの事業は、物質・製法等に関する様々な特許によって保護されています。Santenグループでは、これらの特許権を含む知的財産権を適切に管理し、第三者からの侵害にも注意を払っていますが、第三者からの侵害を受けた場合には、Santenグループの業績に影響を与える可能性があります。また、Santenグループの事業が第三者の知的財産権を侵害しないようにも注意を払っていますが、万一、第三者の知的財産権を侵害した場合、損害賠償を請求される等、業績に影響を与える可能性があります。
(7)訴訟
医療用医薬品の製造・販売を主たる事業とするSantenグループでは、将来、特許、製造物責任(PL)法、独占禁止法、消費者、環境等に関わる訴訟を提起される可能性があり、訴訟が発生した場合、それらの訴訟等の動向は、Santenグループの業績又は財政状態に影響を与える可能性があります。
(8)環境規制・気候変動
環境汚染等の環境保全上に問題が発生した場合や関連法令の改正等により、法的措置や損害賠償責任、対策費用等が発生した場合には、業績に重大な影響を与える可能性があります。また、今後の低炭素エネルギー社会への移行により、エネルギー転換に伴う投資額・費用額が増加するリスク等も想定しています。
Santenグループは、グローバルで環境保全を推進しており、2050年の環境ビジョン「Santen Vision for the Earth 2050」の策定と、CO2排出量削減など2030年環境目標を設定し、気候変動対策と環境負荷低減に取り組んでいます。
(9)人材確保と育成
Santenグループが長期的に持続可能な成長をする上で、基本理念に共感する高度な専門性をもった最適人材を獲得し、多様性を踏まえながら適時・適所に登用できるよう、計画的に育成・登用する必要があります。Santenグループは働く価値とエンゲージメントを向上させるために、「個」の育成プログラムを実行し、サイロのない効果的な組織を構築しています。
しかしながら、これらが戦略的・計画的になされない場合、社内人材の流出や社外優秀人材の獲得機会損失につながり、Santenグループの成長への大きな障害となる可能性があります。
(10)内部統制の整備等
内部統制が有効に機能せず、あるいは予期せぬ内部統制上の問題により、多大な損失が発生した場合、業績に影響を及ぼします。
Santenグループは、会社法及び会社法施行規則に基づき、業務の適正を確保するための体制を整備する旨(内部統制基本方針)の決議を行っています。執行部門はその整備・運用状況について取締役会に対して定期的な報告を行い、取締役会は適宜指示、軌道修正を行うことで、当該整備・運用の質的向上並びに対象範囲の拡大を図っており、グループ各社における内部統制の構築・浸透に取り組んでいます。また、金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに実施基準に準拠して、財務報告に係る内部統制を整備及び運用しています。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度におけるSantenグループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
(ア)財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ264億円減少し、4,093億円となりました。
当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末に比べ202億円減少し、2,852億円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ62億円減少し、1,241億円となりました。
(イ)経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上収益3,000億円(前年同期比0.6%減)、コア営業利益594億円(前年同期比5.4%減)、営業利益469億円(前年同期比21.6%増)、当期利益359億円(前年同期比34.3%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益363億円(前年同期比36.1%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、営業活動の結果得た資金が609億円あったことなどの一方、有形固定資産の取得による支出、自己株式の取得による支出、配当金の支払いなどにより、前連結会計年度末と比べ16億円減少し、930億円となりました。
③生産、受注及び販売の実績
Santenグループは単一セグメントであり、当連結会計年度における実績は次のとおりです。
(ア)生産実績及び商品仕入実績
|
|
金額(百万円) |
対前年度増減率(%) |
|
生産実績 |
208,749 |
5.6 |
|
商品仕入実績 |
74,039 |
5.6 |
(注)1 生産実績の金額は販売価格によっています。
2 商品仕入実績の金額は仕入価格によっています。
(イ)受注実績
Santenグループは販売計画、在庫状況を基礎として生産計画を立案し、これによって生産を行っていますので受注生産は行っていません。
(ウ)販売実績
|
|
金額(百万円) |
対前年度増減率(%) |
|
販売実績 |
300,004 |
△0.6 |
(注)最近2連結会計年度における、主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
株式会社スズケン |
50,115 |
16.6 |
43,463 |
14.5 |
|
株式会社メディセオ |
34,653 |
11.5 |
32,759 |
10.9 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点によるSantenグループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(ア)経営成績等
ⅰ 財政状態
(単位:億円)
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減額 |
|
資産 |
4,357 |
4,093 |
△264 |
|
資本 |
3,054 |
2,852 |
△202 |
|
負債 |
1,303 |
1,241 |
△62 |
|
親会社所有者帰属持分比率 |
70.2% |
69.9% |
△0.3ポイント |
当連結会計年度末の資産は、4,093億円となりました。製商品等の棚卸資産の増加などがあった一方、営業債権流動化等運転資金の圧縮に取り組んだことに加えて、無形資産の減少などにより前連結会計年度末と比べ264億円減少しました。
資本は、2,852億円となりました。自己株式の取得による資本圧縮効果やその他の資本の構成要素の減少などにより前連結会計年度末と比べ202億円減少しました。なお、2024年11月29日に284億円(16,985千株)、2025年2月28日に84億円(5,000千株)の自己株式の消却をそれぞれ実施しました。
負債は、1,241億円となりました。営業債務及びその他の債務の減少及び法人所得税等の支払などにより前連結会計年度末と比べ62億円減少しました。
以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末と比べ0.3ポイント減少し、69.9%となりました。
なお、SantenグループではROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)を最重要指標に、キャッシュ・フローの最大化と資本コストの低減の両面から株主価値最大化に取り組んでいます。キャッシュの源泉としては営業活動から得られるインフローを基本としつつ、キャッシュ・コンバージョン・サイクル管理により運転資本の効率を高めることでキャッシュ創出力の最大化に取り組みます。その一環として、営業債権の流動化を実施しており、ROIC(投下資本収益率)の改善に取り組んでいます。
ⅱ 経営成績
(単位:億円)
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
対前年度増減率 |
|
売上収益 |
3,020 |
3,000 |
△0.6% |
|
コア営業利益※1 |
628 |
594 |
△5.4% |
|
営業利益 |
385 |
469 |
21.6% |
|
当期利益 |
267 |
359 |
34.3% |
|
親会社の所有者に帰属する 当期利益 |
266 |
363 |
36.1% |
[売上収益]
前連結会計年度と比べ0.6%減少し、3,000億円となりました。
日本では薬価改定の影響やジクアスLX点眼液の自主回収の影響を受けたものの新製品や主力製品の拡大に注力、海外でも主力製品が堅調に推移したことに加え為替影響もあり、前連結会計年度と同水準となりました。
◇日本
6%台後半の薬価改定やジクアスLX点眼液の自主回収の影響はあったものの、2024年4月に販売を開始したアイリーア8mg硝子体内注射液114.3mg/mLや、同5月に販売を開始したアレジオン眼瞼クリーム0.5%等を含む主力製品の拡大に注力した結果、前連結会計年度と比べ5.9%減少し、1,653億円となりました。
◇中国
集中購買や製品供給の影響により、円換算ベースで前連結会計年度と比べ3.1%減少し(為替影響を除いた成長率は△7.9%)、289億円となりました。
◇アジア(中国除く)
韓国における医師ストライキの影響を受けたものの、主力製品が堅調に推移し、円換算ベースで前連結会計年度と比べ5.0%増加し(為替影響を除いた成長率は+2.7%)、301億円となりました。
◇EMEA※2
現地での領域別市場シェア一位の緑内障製品を中心に伸長し※3、円換算ベースで前連結会計年度と比べ14.8%増加し(為替影響を除いた成長率は+10.5%)、743億円となりました。
[コア営業利益]
売上総利益について、前連結会計年度と比べ4.4%減少し、1,710億円となりました。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度と比べ3.6%減少し(為替影響を除いた対前年度増減率は△6.2%)、875億円となりました。
研究開発費は、前連結会計年度と比べ4.6%減少し(為替影響を除いた対前年度増減率は△7.4%)、241億円となりました。
これらにより、コアベースでの営業利益は、前連結会計年度と比べ5.4%減少し(為替影響を除いた対前年度増減率は△6.1%)、594億円となりました。
[営業利益]
コアベースからの調整内容として、前連結会計年度に米州の合理化に関する費用が、売上原価に2億円、販売費及び一般管理費に7億円、研究開発費に2億円それぞれ発生し、当連結会計年度に合理化に関する費用が販売費及び一般管理費に4億円発生しました。
製品に係る無形資産償却費は、前連結会計年度と比べ7.0%減少し(為替影響を除いた対前年度増減率は△8.6%)、88億円となりました。これは主に、2014年にMerck & Co., Inc.(米国)から譲り受けた眼科製品、2019年より欧州で販売を開始した「プリザーフロ マイクロシャント」、2015年より欧州で販売を開始した「Ikervis(アイケルビス)」及び2023年より欧州で販売を開始した「Rhopressa / Rocklatan」に関する無形資産の償却によるものです。
その他の収益は、6億円となりました。
その他の費用は、39億円となりました。
これらにより、IFRS(フル)ベースの営業利益は前連結会計年度と比べ21.6%増加し(為替影響を除いた対前年度増減率は+21.1%)、469億円となりました。これは主に、前連結会計年度にその他の費用が多額であったことによるものです。
[当期利益]
金融収益は、40億円となりました。
金融費用は、27億円となりました。
持分法による投資損失は、7億円となりました。
法人所得税費用は、前連結会計年度より85億円増加し、116億円となりました。これは主に、上述のIFRS(フル)ベースの営業利益の増加に伴う税引前当期利益が増加したこと、及び前連結会計年度に在外子会社で繰延税金資産を認識したことによるものです。
これらにより、当期利益は前連結会計年度と比べ34.3%増加し、359億円となりました。
[親会社の所有者に帰属する当期利益]
親会社の所有者に帰属する当期利益は前連結会計年度と比べ36.1%増加し、363億円となりました。売上収益に対するその比率は12.1%となりました。
※1 Santenグループでは2015年3月期のIFRS適用を機に、IFRSによる業績(「IFRS(フル)ベース」)から一部の収益及び費用を控除した「コアベース」での財務情報を事業活動自体の収益性を示す指標として開示しています。IFRS(フル)ベースによる業績から以下の収益及び費用を控除し、コアベースの業績を算出しています。
・製品に係る無形資産償却費
・その他の収益
・その他の費用
・企業買収に係る費用、並びに再成長のための生産性向上及び合理化等に係る費用
※2 欧州、中東及びアフリカです。
※3 出典:Copyright © 2025 IQVIA.IQVIA MIDAS 2023.1Q-2023.4Qを基に参天分析 無断転載禁止
(イ)キャッシュ・フローの状況及び資本の財源及び資金の流動性についての分析
ⅰ 財務戦略
財務戦略は眼科領域で競争優位を構築することで収益性を高め、キャッシュ創出力、ひいては株主価値の最大化を追求することを基本としています。
中期経営計画(2025~2029年度)においては以下の財務戦略に基づき営業キャッシュ・フロー、ROE及びEPSの成長を財務戦略の中核に、積極的な成長投資と株主還元を両立し、結果としてPER・株主価値の最大化を図ります。
① 売上成長とコストの持続的適正化を通じて、事業から創出されるキャッシュに加え、運転資金圧縮、グループ内余資活用、及び資金調達により投資余力を最大化する
② 創出したキャッシュは、将来の成長投資として、生産能力拡大に向けた設備増強と、イノベーションを生み出す研究開発・事業開発へ優先的に投資する
③ 累進配当を継続し、利益成長に伴う増配により直接還元を行うとともに、投資機会や株価の状況に応じ、自社株買いによる追加還元も実施する
当連結会計年度は、業績及び財務状況などを総合的に勘案した結果、中間配当は1株につき17円としました。また、期末配当は2025年6月24日開催予定の第113期定時株主総会での承認を条件に1株につき19円とさせていただく予定です。
ⅱ キャッシュ・フロー
(単位:億円)
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減額 |
|
営業活動による キャッシュ・フロー |
726 |
609 |
△117 |
|
投資活動による キャッシュ・フロー |
△61 |
△82 |
△21 |
|
財務活動による キャッシュ・フロー |
△340 |
△533 |
△193 |
|
現金及び現金同等物の 期末残高 |
946 |
930 |
△16 |
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べ16億円減少し、930億円となりました。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、609億円の収入(前連結会計年度は、726億円の収入)となりました。当期利益359億円、減価償却費及び償却費179億円、営業債権及びその他の債権の流動化等による減少185億円、並びに法人所得税の支払額122億円などによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、82億円の支出(前連結会計年度は、61億円の支出)となりました。有形固定資産の取得による支出67億円及び無形資産の取得による支出44億円などによるものです。また政策保有株式の見直しを継続して実施しており、当連結会計年度は1銘柄の投資の売却による収入が21億円ありました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、533億円の支出(前連結会計年度は、340億円の支出)となりました。自己株式の取得による支出379億円及び配当金の支払額121億円などによるものです。
当連結会計年度の設備投資額は、75億円となりました。製造設備及び研究開発用機器の更新に加え、拡大を続ける需要に対し、安定供給のための生産能力確保を目的として、中国の現地法人「参天製薬(中国)有限公司」の新工場に係る投資を継続しています。今後、見込まれる市場成長に対して、生産キャパシティを構築し、供給能力を確保することで、グローバルでの競争優位を確立し、さらなる事業の成長に繋げていきます。
これらの設備投資資金は自己資金により充当しました。
(ウ)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標
Santenグループは、2023年度に発表しました前中期経営計画(~2025年度)について構造改革などの施策を着実に遂行し、2025年度の数値目標を前倒しで達成しました。この度、Santenグループは、長期視点での戦略の展開と収益基盤のさらなる強化を通じた新たな成長軌道への転換を実現すべく、2035年までに目指す姿、及び2029年度までの中期経営計画(2025~2029年度)を策定しました。眼科領域に特化したグローバルカンパニーとして、高い確度での製品開発と確実な収益の確保で堅実なグローバル成長を追求し、製品価値の最大化による最適な眼科医療の提供と眼科医療や患者さんのニーズの深い理解に基づく眼科医療のイノベーションを軸として事業活動を展開します。
2029年度における連結数値目標・KPI
|
売上収益 |
4,000億円 |
|
コア営業利益 |
800億円 |
|
ROE |
14%以上 |
|
EPS成長率 |
2桁成長2 (EPS:160円以上) |
|
株主還元 |
・38円/年を配当下限とし、配当性向40%を目安に増配 ・株価と余資の状況を勘案し、機動的に自社株買いを実施3 ・ROE、EPSの更なる上昇を企図 |
1 参考値
2 2024年度実績-2029年度目標CAGR
3 必要運転資金を450億円と定義し、一定期間留保された余資金を原資に実施
②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
Santenグループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第312条の規定によりIFRSに準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しています。
Santenグループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」に記載しています。
Santenグループの連結財務諸表の作成において、経営者は会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用に関する報告金額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定の設定を行っています。
Santenグループの財政状態又は経営成績に対して特に重大な影響を与え得る会計上の見積り及び判断が必要となる項目は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しています。
当連結会計年度において、Santenグループの事業実態をより適切に表示するため、記載内容の見直しを行っています。
(1)技術契約(導入)
|
相手方の名称 |
国名 |
契約品目 |
契約内容 |
契約期間 |
対価の支払 |
|
第一三共 株式会社 (注)1 |
日本 |
オフロキサシン (合成抗菌剤) |
眼科薬における独占的製造販売権 |
1986年8月~2001年9月 (以後3年毎の自動更新) |
販売高に応じた一定料率のロイヤルティ |
|
第一三共 株式会社 |
日本 |
レボフロキサシン (合成抗菌剤) |
眼科薬における独占的製造販売権 |
1994年5月~発売日から10年間、又は、特許権の存続期間の満了日の長い方 (以後3年毎の自動更新) |
契約一時金及び販売高に応じた一定料率のロイヤルティ |
|
AGC 株式会社 |
日本 |
タフルプロスト (緑内障・高眼圧症治療剤) |
眼科薬における独占的製造販売権 |
2005年12月~発売日から10年間、又は、特許権の存続期間の満了日の長い方 |
契約一時金及び販売高に応じた一定料率のロイヤルティ |
|
UBE 株式会社 |
日本 |
オミデネパグ イソプロピル (緑内障・高眼圧症治療剤) |
眼科薬における独占的製造販売権 |
2011年2月~発売日から10年間、又は、特許権の存続期間の満了日の長い方 |
契約一時金、マイルストン及び販売高に応じた一定料率のロイヤルティ |
|
Teleon社 |
オランダ |
レンティス コンフォート (眼内レンズ) |
独占的製造販売権 |
2016年3月~特許権の存続期間の満了日の長い方 |
契約一時金、マイルストン及び販売高に応じた一定料率のロイヤルティ |
|
RVL社 |
米国 |
RVL-1201 (後天性眼瞼下垂治療剤) |
日本、中国、その他アジア諸国、EMEA諸国の独占的開発・承認申請・商業化の権利 |
2020年7月~国毎にロイヤルティ支払期間満了まで |
契約一時金、マイルストン及び販売高に応じた一定料率のロイヤルティ |
|
Alcon社 |
スイス |
Rhopressa® Rocklatan® (緑内障・高眼圧症治療剤) |
日本、欧州、中国、アジア諸国その他における独占的開発・販売権 |
2020年10月~国・製品毎に実施料支払終了まで |
契約一時金、マイルストン及び販売高に応じた一定料率のロイヤルティ |
|
Sydnexis社 |
米国 |
SYD-101 (小児における進行性近視の新しい治療薬) |
欧州、中東、アフリカ地域(EMEA)における独占的販売 |
2021年8月~国毎にロイヤルティ支払期間満了まで |
契約一時金、マイルストン及び販売高に応じた一定料率のロイヤルティ |
|
Cloudbreak社 |
米国 |
CBT-001 (マルチキナーゼ阻害剤) |
日本、韓国及び、ベトナム、タイ、マレーシア、フィリピン、シンガポール、インドネシアの東南アジア諸国における開発・製造・販売権 |
2024年8月~ロイヤルティ支払期間満了まで |
契約一時金、マイルストン及び販売高に応じた一定料率のロイヤルティ |
(注)1 2024年7月に契約を終了しました。
(2)技術契約(導出)
|
相手方の名称 |
国名 |
契約品目 |
契約内容 |
契約期間 |
対価の受取 |
|
Bausch & Lomb社 |
米国 |
エタニティー (眼内レンズ) |
独占的製造販売権 |
2009年2月~発売日から10年間、又は、特許権の存続期間の満了日の長い方 |
契約一時金、マイルストン及び販売高に応じた一定料率のロイヤルティ |
|
Glaukos社 |
米国 |
STN2000100(DE-128、PRESERFLO MicroShunt(プリザーフロ マイクロシャント)) |
米州(北米、中南米)、オーストラリア及びニュージーランドにおける開発・販売提携 |
2021年5月~対象地域の当該国におけるライセンス製品を対象とする有効期間満了日、又は、対象地域の当該国におけるライセンス製品の最初の発売日から15年間の長い方 |
マイルストン及び販売高に応じた一定料率のロイヤルティ |
|
Ocuvex社 (注)2 |
米国 |
OMLONTI® (緑内障・高眼圧症治療剤) |
米国における製造販売権 |
2023年7月~ロイヤルティ期間の満了日 |
マイルストン及び販売高に応じた一定料率のロイヤルティ |
|
Harrow Health社 |
米国 |
Verkazia® (春季カタル治療薬) |
米国・カナダにおける製造販売権 |
2023年7月~ロイヤルティ期間の満了日 |
契約一時金、マイルストン及び販売高に応じた一定料率のロイヤルティ |
|
Harrow Health社 |
米国 |
Cationorm® Plus (人工涙液) |
カナダにおける製造販売権 |
2023年7月~ロイヤルティ期間の満了日 |
契約一時金、マイルストン及び販売高に応じた一定料率のロイヤルティ |
(注)2 Visiox社がOcuvex社と合併したことにより、相手方の名称を変更しています。
(3)販売契約
|
相手方の名称 |
国名 |
契約品目 |
契約内容 |
契約期間 |
対価の支払 |
|
バイエル薬品 株式会社 |
日本 |
アフリベルセプト硝子体内注射液 (眼科用VEGF阻害剤) |
国内独占的販売権 |
2012年5月~2027年12月 |
- |
|
田辺三菱製薬 株式会社 (注)3 |
日本 |
抗アレルギー点眼剤「アレジオン点眼液」及び「アレジオンLX点眼液」 |
共同販売促進 |
2019年9月~2024年5月 |
販売高に応じた固定額対価及び変動額対価支払 |
|
田辺三菱製薬 株式会社 |
日本 |
持続性・経眼瞼アレルギー性結膜炎治療剤「アレジオン®眼瞼クリーム0.5%」 |
共同販売促進 |
2024年4月~2028年5月 |
販売高に応じた対価支払 |
|
Arctic Vision社 |
中国 |
ARVN001 (ぶどう膜炎に伴う黄斑浮腫に対する脈絡膜上腔注入療法) |
台湾、香港、及びマカオを除く中国における独占的販売権 |
2024年10月~ロイヤルティ支払期間の満了日まで |
契約一時金、マイルストン及び販売高に応じた一定料率のロイヤルティ支払 |
(注)3 2024年5月に契約を終了しました。
(4)企業結合による条件付対価
当社は米国時間の2016年8月19日にInnFocus, Inc.(米国)を買収しました。当社は、条件付対価契約に基づき、STN2000100(DE-128、PRESERFLO MicroShunt(プリザーフロ マイクロシャント))の開発の進捗及び販売実績に応じたマイルストンを支払う定めがありますが、将来発生する条件付対価の支払がなくなりました。
(5)合弁契約
|
相手方の名称 |
国名 |
契約内容 |
契約締結日 |
|
重慶科瑞製薬 (集団)有限公司 (注)4 |
中国 |
中国の患者さんに適切な価格で高品質の医療用眼科薬を提供することを目的に2016年8月に合弁会社(重慶参天科瑞製薬有限公司)を設立 |
2016年3月22日 |
|
Verily社 (注)5 |
米国 |
独創的な眼科デバイスの開発・商業化を目指し2020年8月に合弁会社(Twenty Twenty Therapeutics LLC)を設立 |
2020年2月3日 |
(注)4 2024年10月に重慶参天科瑞製薬有限公司(中国)の清算手続きを行う旨の当社取締役会決議を行いました。
5 当連結会計年度において、Twenty Twenty Therapeutics LLC(米国)は同社からの清算配当の受領により同社に対する重要な影響力を喪失し、持分法適用の関連会社から除外しました。
(6)その他
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相手方の名称 |
国名 |
契約内容 |
契約期間又は 契約締結日 |
|
Airdoc社 (注)6 |
中国 |
AI活用による中国における眼疾患の診断率向上に向けての提携 |
2021年6月~ 2024年6月 |
|
Singapore National Eye Centre |
シンガポール |
アジアにおける眼科医療エコシステム発展を目指した革新的教育プログラムの開発・国際展開に関する戦略的パートナーシップ |
2020年12月~ 2025年12月 |
|
アクチュアライズ株式会社 |
日本 |
フックス角膜内皮ジストロフィを対象としたシロリムス点眼液のグローバル開発に向けた第Ⅱ相臨床試験(PhaseⅡa/POC試験)の共同開発 |
2021年11月~本試験の後に行う米国薬事当局又は欧州薬事当局に対する相談のうち、いずれか遅い当局相談の終了後30日が経過する日 |
(注)6 2024年6月に契約を終了しました。
<緑内障・高眼圧症領域>
プロスタグランジンF₂α誘導体及びβ遮断剤の配合剤STN1011101(DE-111A、一般名:タフルプロスト/チモロールマレイン酸塩)は、中国で2025年3月に販売承認を取得しました。
EP2受容体作動薬STN1011702(一般名:オミデネパグ イソプロピル)は、中国で2024年11月に第Ⅲ相試験を開始しました。
FP/EP3受容体デュアル作動薬STN1012600(DE-126、一般名:セペタプロスト)は、米国で2021年12月に追加の第Ⅱ相試験を終了しました。日本では2024年9月に製造販売承認を申請しました。欧州では第Ⅱ相試験(探索的試験)を終了しました。
プロスタグランジンF₂α誘導体の乳化点眼剤STN1013001(DE-130A、一般名:ラタノプロスト)は、アジアで2024年11月に販売承認を申請しました。欧州では2024年8月にスペインなどで発売しました。
ROCK阻害剤STN1013900(AR-13324、一般名:ネタルスジルメシル酸塩)は、日本で2025年1月に第Ⅲ相試験を終了しました。欧州では販売承認を取得しており、2023年2月以降スウェーデンなどで販売しています。アジアでは順次販売承認を取得しており、2024年11月に韓国で発売しました。
ROCK阻害剤及びプロスタグランジンF₂α誘導体の配合剤STN1014000(PG-324、一般名:ネタルスジルメシル酸塩/ラタノプロスト)は、欧州で販売承認を取得しており、2023年1月以降ドイツなどで販売しています。アジアでは順次販売承認を取得しており、2025年3月にシンガポールで発売しました。
ROCK阻害剤及びプロスタグランジンF₂α誘導体の配合剤STN1014003(一般名:ネタルスジルメシル酸塩/ラタノプロスト)は、日本で2025年2月に第Ⅲ相試験を開始しました。
<角結膜疾患(ドライアイを含む)領域>
春季カタルを対象とするSTN1007603(DE-076C、一般名:シクロスポリン)は、既に承認・販売されている欧州、アジアに続き、中国で2022年4月に販売承認を取得しました。
ドライアイを対象とするSTN1008903(DE-089C、一般名:ジクアホソルナトリウム)は、日本で2022年11月に発売しました。アジアでは、2024年3月に韓国で販売承認を取得しましたが、2024年8月に取下げました。
ドライアイを対象とするSTN1014100(一般名:オロダテロール塩酸塩)は、日本で2024年3月に第Ⅰ相/前期第Ⅱ相試験を終了しました。
フックス角膜内皮ジストロフィを対象としてアクチュアライズ株式会社と共同開発契約を締結しているSTN1010904*(一般名:シロリムス)は、米国、フランス、インドで2022年5月から前期第Ⅱ相試験を実施しています。(*開発コード(STN1010904)は、第Ⅱ相試験終了時に当社が独占的実施権を獲得した後に附番予定のコードです。)
マイボーム腺機能不全を対象とするSTN1010905(一般名:シロリムス)は、日本で2024年6月に追加の前期第Ⅱ相試験を開始しました。
アレルギー性結膜炎を対象とする眼瞼クリーム製剤STN1011402(一般名:エピナスチン塩酸塩)は、日本で2024年5月に発売しました。
アレルギー性結膜炎を対象とする1日2回点眼の高用量製剤STN1011403(一般名:エピナスチン塩酸塩)は、中国で2025年3月に販売承認を申請しました。
<屈折異常領域>
小児における近視を対象とするSTN1012700(DE-127、一般名:アトロピン硫酸塩)は、日本で2025年4月に発売しました。中国では2022年6月から第Ⅱ/Ⅲ相試験を実施しています。アジアでは2020年4月に第Ⅱ相試験を終了しました。
小児における近視を対象とするSTN1012701(SYD-101、一般名:アトロピン硫酸塩)は、導入元であるSydnexis Inc.(米国)により欧州及び米国で第Ⅲ相試験が実施されています。当社は、欧州、中東及びアフリカ地域における独占ライセンス権を保有しており、欧州で2025年6月に販売承認を取得しました。
近視を対象とするSTN1013400(化合物名:AFDX0250BS)は、前期第Ⅱ相試験のデータ解析の結果、開発を中止しました。
<その他の領域>
眼瞼下垂を対象とするSTN1013800(一般名:オキシメタゾリン塩酸塩)は、日本で2024年12月に製造販売承認を申請しました。欧州では2024年12月に第Ⅲ相試験を開始しました。中国では2024年10月に第Ⅲ相試験を開始しました。
※開発コードの附番方法変更に伴い、新開発コード(STNXXXXXXX)及び既存開発コード(DE-XXX)を併記しています。なお、AR-13324及びPG-324はAlcon Inc.(スイス)、SYD-101はSydnexis Inc.(米国)での開発コードです。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、