文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営方針・経営戦略等
①会社の経営の基本方針
当社は、医療用医薬品を主力とする医薬品メーカーであり、「生命(いのち)支えて、生命(いのち)育む」をパーパスとして掲げております。2025年8月に、2030年度までの中期経営方針「FUSOビジョン2030 Next Stage」を公表し、「徹底した品質管理と持続的な安定供給を行う基礎的医薬品メーカーとして、そして腎臓・泌尿器領域におけるアンメットメディカルニーズに対応するスペシャリティファーマとして、医療を通じて社会を支える、なくてはならない企業となる」ことで生命関連産業の一員としての本分を尽くすとともに、株主をはじめとした関係者の皆様の期待に応えていくことを経営の基本方針といたしております。
②目標とする経営指標
当社は、健全性、収益性、効率性、成長性などを総合的に勘案し、持続的かつ安定的な企業価値の向上を重視しております。中期経営方針「FUSOビジョン2030 Next Stage」において、2030年度の経営目標として「売上高700億円」「ROE8%超」と掲げております。
ROEの向上につきましては、中期経営方針「FUSOビジョン2030 Next Stage」で掲げている諸施策を実行してまいります。保有固定資産や政策保有株式の縮減により資本効率を高めつつ、研究開発に2030年度までに160億円以上、生産性の向上に2030年度までに240億円以上の成長投資を通じて収益性を高めるという、明確なキャピタルアロケーションを実行してまいります。
加えて、業績安定化によるボラティリティの低下、SR・IRの強化や投資家とのコミュニケーションを通じた理解促進、サステナビリティ推進による社会価値創造により、資本コストを低減させるとともに、画期的な新薬の開発等を通じて当社の将来への期待を高めることでPERの向上に努め、中長期的にPBR1倍超の実現を目指してまいります。
③中長期的な会社の経営戦略
当社は、中期経営方針「FUSOビジョン2030 Next Stage」に基づき、以下の5つの基本方針に従って事業を推進してまいります。
研究・開発:透析剤の更なる開発に加え、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)治療薬「DMX-200」や新概念の胚培養液など、腎臓・泌尿器領域と不妊治療関連分野におけるアンメットメディカルニーズに応える革新的新薬・製品を創製し、患者さんのQOL向上に貢献します。
生産:品質管理と安定供給体制の強化、生産効率の向上を目指し、岡山第二工場の建設や大東工場の機能移転等による生産拠点の再編、老朽化設備の更新を行います。また、サプライチェーンマネジメント(SCM)部門を新設し機能を統括します。
販売・マーケティング:長年の経験を活かし、透析および腎臓・泌尿器領域における当社のプレゼンスを確固たるものにするとともに、基礎的医薬品の品目拡充や物流効率化に取り組みます。
経営管理体制:新基幹システム(ERP)導入を核とした全社的なDXを加速させ、経営における意思決定の迅速化および業務効率と競争力を向上させます。
人的資本・サステナビリティ:将来の成長を支える人材の採用・育成、従業員エンゲージメント向上施策を展開するとともに、特定したマテリアリティの解決に向けたアクションを進めます。
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社は2025年8月に、2030年度までの中期経営方針「FUSOビジョン2030 Next Stage」を公表いたしました。当社が主要領域として捉えている「透析関連領域」や「輸液関連領域」においては、患者数の減少や物流・保管コストの増大を共通課題と認識しており、毎年薬価改定とも相まって、厳しい外部環境にさらされております。
また、これらの領域で当社が製造販売する製品はその多くが医療の提供に不可欠な「基礎的医薬品」や安定的な供給確保が求められる「供給確保医薬品」となっており、高品質な医薬品を安定的に供給することが求められております。
このような状況のもと、当社は2030年のあるべき姿として「徹底した品質管理と持続的な安定供給を行う基礎的医薬品メーカーとして、そして腎臓・泌尿器領域におけるアンメットメディカルニーズに対応するスペシャリティファーマとして、医療を通じて社会を支える、なくてはならない企業となる」ことを掲げました。「基礎的医薬品」や「供給確保医薬品」は市場の動向に大きく左右されにくい性質を持つため、これらを安定的な収益基盤の軸とし、腎臓・泌尿器科領域を中心とした新薬開発に注力をすることで、厳しい環境下においても持続的な成長を目指してまいります。本方針期間は「次代に向けた変革のための投資フェーズ」と位置づけており、2028年度まではDMX-200の開発費や成長の礎となる人的資本・DXへの投資負担により利益水準が一時的に低下する見込みですが、2029年度以降は上昇基調に転じるものと想定しております。
生産体制については、岡山工場敷地内のグラウンドに建設する岡山第二工場が2028年末の生産稼働開始を予定しており、粉末型透析剤の製造ラインを新設するとともに、大東工場の機能を移転・集約させることで、生産体制の効率化を推進してまいります。また、2025年10月に、サプライチェーン全体の最適化・管理強化を目的としてサプライチェーンマネジメント室を新設いたしました。今後につきましては、各工場の品質管理(QC)業務の集約により、品質管理体制の基盤を強化するとともに社会的使命である安定供給をより確実なものとしてまいります。
今後の見通しにつきましては、中東情勢や米国通商政策、金融資本市場の動向など様々な要因により、社会経済情勢は依然として不透明な状況が続くものと予想されますが、当社は安定供給という社会的使命を全うしながら、経営基盤の強化を並行して進め、ステークホルダーの皆様から信頼され続ける企業として、さらなる企業価値の向上に取り組んでまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社は、社是の一つとして「社会寄与につながる経営方針」を、経営理念の一つとして「会社の存立も個人の生活も、社会の恩恵なしには維持できない。とくに人の健康と生命に密接に関与する医薬をつくる企業には、それにふさわしい倫理が求められ、これを踏みはずさないものだけが繁栄を持続し得るのである。」と掲げております。
日本に透析療法が導入された1950年代後半、当社はいち早く透析液の開発に着手し、1964年、日本初の透析液である「人工腎臓灌流原液“フソー”」を発売、透析治療に従事されている医療関係者の方々のご尽力により透析療法は驚異的な発展普及を遂げ、今や全国35万人もの患者さんが透析療法によって命と日常をつないでおられます。当社は、透析治療のパイオニアとして透析関連医薬品・医療機器をラインナップとして充実させ、透析治療を受ける患者さんに寄り添いながら歩んでまいりました。これら透析剤をはじめ、輸液や注射剤など、医療に欠かすことができない基礎的な医薬品を多く製造販売している当社は、その安定供給が社会的使命であり、岡山、大阪、茨城に量産工場、全国12拠点の配送センターを配することで全国における安定供給体制に万全を期しております。
加えて、2000年に体外受精用組織培養液を上市し、生殖補助医療(ART)分野に進出、2017年にはブランドを「HiGROW」に統一し、不妊に悩むカップル、ひいては日本が直面している重要な問題である少子化対策への貢献を期待しております。当社は長らく、安定供給体制に主眼を置いた「いのち、支えて」を旗印にその事業を営んでまいりましたが、ART分野への本格的な進出を機に、新たに「いのち、育む」を加え、サステナブルな社会の実現に向けての取組みも鋭意進めております。
また、環境面においては、1970年に大阪市清掃局森之宮工場と蒸気導入協定を結び、都市型工場である城東工場の無煙化を達成、近年では、茨城工場のボイラーの燃料転換を行い、茨城工場におけるCO2排出量を年間約30%削減させるとともに、再生可能エネルギーの活用やCO2フリー電力の導入など、環境負荷低減のための取組みを推進しております。その他、毎年度実施している大阪府及び大阪市の社会福祉事業への寄附や大規模災害等に際してのマッチング形式での寄附、NPO法人等への支援と健康経営の推進を目的としてチャリティウォークを実施するなどしております。このように当社は、その事業特性上、様々な形で早くから社会との共生を目指して取り組んでまいりましたが、昨今のサステナビリティを巡る議論を踏まえ、様々な課題に対して事業活動を通じて貢献すべく、その取組みをさらに加速させていくこととしております。
当社は、このサステナビリティ推進体制をより強化していくため、取締役会の監督の下、任意の機関として代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会を設置しており、サステナビリティ推進活動を所管する代表取締役専務経営企画部長を推進の責任者としております。
サステナビリティ委員会において、サステナビリティ基本方針・戦略・計画を策定、決定した上で、気候変動や生物多様性などの環境問題、人権や労働環境などの社会問題、ダイバーシティ推進を図るなど人的資本に関する事項など、特定した当社のマテリアリティに対応した専門部会を設置し、各種活動の進捗状況を管理し、推進してまいります。
サステナビリティ委員会は年2回開催し、取締役会はサステナビリティ委員会から少なくとも年1回の報告を受け、サステナビリティ基本方針に沿ってサステナビリティ委員会が活動しているかどうか、及び戦略・計画の策定・進捗状況を監督し、計画の見直しや投資判断、リスクと機会の分析等についてそれぞれの専門の立場から助言を行うこととしております。

(2) 戦略
当社は、取締役会や経営会議での議論を経て「気候変動」と「人的資本」が当社にとって重要なサステナビリティ項目であると認識しており、それぞれの項目における戦略は以下の通りです。
[気候変動関連]
当社は、かねてより取り組んでいる気候変動に関するリスクや機会について、経営企画室主導のもと、各事業本部が出席する検討会を第100期に14回実施いたしました。その結果、今後起こりうる気候変動は当社事業に大きな影響を及ぼす可能性があると評価し、具体的な影響分析とその対策についての検討を行いました。第101期からは、当社事業に中程度以上の影響を与えうるとして特定した6つのリスク・機会要因について、それぞれへの対策の検討と実施に向けた準備を進めています。
①想定されるリスク・機会の抽出と評価
各事業本部で各々の管掌下で想定しうるリスクと機会を洗い出し、集約した上でそのリスク・機会の発現頻度、影響額、回避・リスク移転可能性等の観点からその重要性を評価いたしました。なお、気候変動シナリオは、低炭素社会の実現に向けカーボンプライシングが導入されるなどの気候変動対策が積極的に採られ、気候変動によるリスク・機会は現状のまま推移すると想定した1.5℃シナリオ※1と、気候変動対策が進まず地球温暖化がさらに進むことを想定した4℃シナリオ※2を用いました。
※1: 「Net Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE)」(IEA)など
※2: 「Stated Policies Scenario(STEPS)」(IEA)
②特定されたリスク・機会と対策

1.5℃シナリオにおいては、カーボンプライシング導入に伴う原資材調達コスト及び課税負担の増加が見込まれており、サプライヤーとの協働や生産効率の向上・再生可能エネルギーの活用等によって中長期的にその影響を軽減させる取組みを推進いたします。
4℃シナリオにおいては、当社が最も重要視する医薬品の安定供給に支障を及ぼす物理的な影響が想定されるため、事業継続計画(BCP)と歩調を合わせて対策を推進し、中期的な視点でリスクの軽減に取り組んでまいります。
[人権関連]
当社は、断続的に行っていた人権問題への取組みを集約し、2025年度に人権方針を策定いたしました。代表取締役社長を責任者、経営企画部を推進管理部署とし、各部署と連携して業務における人権問題をモニタリングし、全社一体での取組みを進めております。当社は、患者さんに寄り添った製品の開発と医療に不可欠な安全で高品質な医薬品を安定的に供給するという社会的使命を果たしていくとともに、重要な経営課題として認識した人権に関する諸課題の解決に向け、決意を新たに人権尊重の取組みを推進してまいります。
人権尊重へのコミットメント
当社は、国際連合の「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)」と、その中で言及されている「国際人権章典」ならびに国際労働機関(ILO)の「労働の基本原則および権利に関する宣言」に加え、「子どもの権利とビジネス原則」をはじめとした人権に関する国際的な規範・原則を支持します。また、医薬品の研究開発活動においては、「人間を対象とする医学研究の倫理的原則(ヘルシンキ宣言)」に従い、患者さんおよび被験者の人権を尊重、保護します。
[人的資本関連]
当社は、様々な技術の革新が著しいこの製薬業界において、人的資本への投資は重要なテーマであると認識しております。人材育成方針、社内環境整備方針につきましては、「第4 提出会社の状況 5 従業員の状況等 (1) 人材戦略に関する基本方針等」に記載しております。
当社は、代表取締役社長が委員長であるリスク管理委員会や経営会議において、当社を取り巻く全社的なリスクについて特定・評価し、対応方針を策定しております。気候変動問題については当社もその重要性を認識し、それらからもたらされるリスクは当社事業に大きな支障をきたす可能性があると評価しております。気候変動に関するリスクや機会については、サステナビリティ委員会が管掌することとなり、重要性評価プロセスは従来の全社リスク管理の手法と同様に、外部環境や内部環境の把握、リスクや機会の洗い出し、発生頻度・影響額を勘案して重要性を評価いたします。また、人権に関するリスクについてもサステナビリティ委員会の管掌のもと、事情活動にかかわる人権課題の発生頻度やインパクトを分析し、サプライヤーに対する人権デューディリジェンスの実施を予定しております。その後、予防的に調査・把握し評価を行い、適切な手段で是正し、その状況を追跡調査するとともに結果を開示する継続的なプロセスを推進いたします。
[気候変動関連]
当社では2013年度の温室効果ガス(GHG)排出量(Scope1・2)を基準として、中期的には2030年度までに30%以上削減、長期的には2050年度までにネットゼロを達成目標とし、また、それぞれの目標年度に向けたマイルストーンを設定することで目標達成に向け取組みを進めております。
Scope3については今年度中に排出量を把握し、目標を設定した上でその削減に取り組むことといたします。
Scope1・Scope2排出量(t-CO2)
Scope3排出量(t-CO2)
今年度中に排出量を把握し、削減目標を設定いたします。
[人権関連]
当社では、上記の戦略において記載した内容について、以下の項目を指標としてその推進に取り組んでおります。
[人的資本関連]
当社では、特定したマテリアリティ「多様な人材の活躍」について、人材の育成の観点のみならず健康経営やDE&Iも含めた以下の項目を指標として掲げ、多様な人材がそれぞれの個性を発揮し働きがいのある職場となってもらえるような環境づくりに取り組んでおります。
※管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率についての実績は、「
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 医療費抑制策・法的規制等に関するリスク
医薬品事業は、薬事行政のもと様々な規制を受けています。医療費抑制策の一環として、医療用医薬品の薬価引き下げや後発医薬品の使用促進等の政策がとられており、このような医療政策が当社の経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、医薬品事業は所管官庁等の許認可等を受けて活動しています。
当社は、定期的な研修や内部通報制度の整備等により関連法令等の遵守に努めておりますが、法令違反等により許認可等が取り消された場合等には、製品の回収、販売中止等により当社の経営成績は重要な影響を受ける可能性があります。
(2) 医薬品の開発及び発売に係るリスク
医薬品の開発には、多大な経営資源の投入と長い時間を要しますが、有効性や安全性が審査当局による承認に必要な水準に達しないことが判明した場合又は想定される場合には、開発の継続を断念する事や、追加の試験を実施することがあります。その場合には投下資本の回収が困難になる可能性や、製品の上市が遅延する可能性があります。
当社では、開発を多角的な視点から評価するプロセスを採り入れるなど、選択と集中を図ることにより効率化に努めておりますが、これら内在する研究開発に関するリスクを完全に排除しうるものではありません。
(3) 特定の製品への依存に関わるリスク
医薬品事業の主力製品である人工腎臓用透析剤は厳しい市場競争下にあり、透析剤メーカーとしてトップシェアを占める当社では、その市場競争力を高めるべく、新規透析剤の開発や製造原価の低減に努めるとともに、新たな医療ニーズに応える新領域や新規事業の展開を推進しておりますが、革新的な製品や治療技術の登場などにより市場環境が想定を超える変化をした場合、業績に重大な影響を与える可能性があります。
(4) 医薬品の副作用・安全性に係るリスク
医薬品には、発売後予期せぬ副作用が確認される可能性があります。当社は人工腎臓用透析剤や輸液製剤といった基礎的な医薬品を多く取り扱っているため、リスクが顕在化する可能性は比較的低いと思われますが、医薬品を販売している限りリスクが顕在化する可能性はあります。
当社では、製造物責任などの賠償責任に関する保険に加入していますが、製品に重大な副作用やその他の安全性の問題が発生した全ての場合に、保険金が支払われる保証はなく、製品の回収、販売中止等により売上の減少や回収費用の負担、ブランド・イメージの著しい悪化の可能性があります。
(5) 自然災害・パンデミックなどによるリスク
当社は、人工腎臓用透析剤や輸液製剤といった基礎的な医薬品を多く取り扱っているため、安定供給への重大な責任を有しております。そのため、突発的に発生する地震等の自然災害やパンデミック、事故等による工場の操業停止に備えて、これらの製品の製造拠点を東西に分散し、製品保管庫を各地区に設けております。また、社内に安定供給マニュアルに基づく委員会を設置し、常日頃から情報収集に努めるとともに、原材料の調達や製造ラインの異常など安定供給に支障を来たしかねない事象が判明した際には、直ちに緊急対策会議を開催し、優先してその解消にあたるなど、当社医薬品を必要としている患者さんにその供給を途絶えさせない取り組みを実施しております。
しかし、広域・長期に影響を及ぼすような自然災害やパンデミック、事故等により製品の供給が困難となった場合、当社の事業に重要な支障を来たす可能性があります。
なお、パンデミックとなった新型コロナウイルス感染症に関しては、リスク管理委員会において対策を実施し、事業継続に最低限必要な社員を除き在宅勤務や時差出勤を行うことで接触機会を低減させる等の感染対策に取り組んでまいりました。今後も医薬品の安定供給の社会的使命を全うするため、引き続き事業活動の継続に向けた取り組みを行ってまいります。
(6) 訴訟リスク
知的財産権の侵害、製造物責任法違反、環境汚染、労務問題、公正取引等に関する訴訟を提起される可能性があります。訴訟を提起され敗訴した場合、巨額の損害賠償金の発生や、経営成績及び社会的信頼に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(7) 情報セキュリティに関するリスク
当社は、研修等を通じて従業員に対し情報管理の徹底を促すとともに、情報システムのセキュリティ対策を進めております。しかしながら、巧妙化するサイバー攻撃や役職員による情報の不適切な取扱い、システム不備等により、個人情報や当社の機密情報の流出や重要なシステムが停止する等の可能性があります。その場合、原因究明のための調査費用やシステム復旧、セキュリティ再構築の費用や、業務停止やサービス中断に伴う機会損失の発生、損害賠償金の支払い等により、当社の経営成績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、ブランドイメージの悪化や社会的信頼の失墜する可能性があります。
(8) 売掛債権の回収に関するリスク
当社は、販売管理規程及び経理規程等に従い、営業本部及び総務本部が主要な取引先の状況を定期的にモニタリングし、取引相手ごとに期日及び残高を管理するとともに、財務状況等の悪化等による回収懸念の早期把握や、前受金を受領することにより、回収に関するリスクの軽減を図っております。ただし、取引先の予期せぬ財務状況の悪化等により、債権回収が滞る場合には、当社の経営成績及び財務状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(9) 棚卸資産の評価損に関するリスク
当社は、基礎的な医薬品を多く取り扱っており、安定供給への重大な責任を有しているため、想定外の需要が生じた場合にも対応可能な在庫数量を確保しております。そのため、滞留により破棄する数量を最小限に抑えるよう、需要予測に基づいた生産計画等を行い、適切な在庫管理に努めておりますが、販売数量に関する趨勢が変動した場合には、棚卸資産の評価損や廃棄損が発生する可能性があります。
(10) 固定資産の減損に関するリスク
一部の投資の意思決定に際し、回収可能価額を使用価値により測定しております。使用価値は見積将来キャッシュ・フローの割引現在価値により測定を行い、重要な仮定は、販売単価、市場規模、市場シェア及び割引率等であります。ただし、重要な仮定の変動により、減損損失が発生する可能性があります。
(11) 有価証券などの価格変動リスク
当社は、有価証券などの価格変動リスクのあるものを保有しており、これらの価格が下落した場合、投資有価証券評価損が発生する可能性があります。
(12) 原資材に関するリスク
当社は、医薬品の安定供給の責務を果たすため、2025年10月に、サプライチェーン全体の最適化・管理強化を目的としてサプライチェーンマネジメント室を新設いたしました。
主要な原資材については複数の購入先を確保する等の対応をしておりますが、事故や災害、諸外国の国際情勢の変化や地政学的リスク等によりサプライチェーンが寸断され、製品の製造や販売が滞る場合には、当社の経営成績及び財務状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当事業年度におけるわが国の経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の増加等を背景に、緩やかな回復基調が継続しました。一方、中東情勢の緊迫化によるエネルギー価格や原材料価格の高騰、継続的な物価上昇に加え、米国通商政策をめぐる動向や金融資本市場の変動等により、依然として景気の先行きは不透明な状況が続いております。
医薬品業界では、薬価制度改革をはじめとして後発医薬品の使用促進策の強化等、医療費適正化諸施策が引き続き推進されており、経営のさらなる強化が求められるなか、研究開発費の増加、開発リスクの増大等、収益環境の厳しさが増しております。
このような状況のもと、当社は、主力製品の人工腎臓用透析剤キンダリー等、人工透析関連製商品及び輸液等のより強固な浸透を図るとともに、後発医薬品の販売促進にも注力してまいりました。
その結果、当事業年度の業績につきましては、腎・透析関連の後発医薬品の販売促進等により、売上高は623億7百万円と前年同期と比べ17億44百万円(2.9%)の増加となりました。利益面につきましては、原材料費や人件費の上昇に伴う売上原価率の想定以上の上昇、DMX-200に関する研究開発活動の進捗に伴う研究開発費の増加等により、営業利益は26億39百万円と前年同期と比べ14億91百万円(36.1%)の減少、経常利益は23億49百万円と前年同期と比べ14億31百万円(37.9%)の減少、当期純利益は20億11百万円(前年同期は当期純損失32億88百万円)となりました。
なお、前年同期の当期純損失は、2025年5月27日の特許権侵害差止等請求訴訟(控訴審)の判決により、訴訟関連損失引当金繰入額87億44百万円を特別損失として計上したことによるものです。
当事業年度の総資産は、現金及び預金や機械及び装置(純額)の減少等があったものの、訴訟による仮払金の支払額87億44百万円の影響により前事業年度末から85億93百万円(10.5%)増加し、903億23百万円となりました。
負債は、電子記録債務や未払法人税等の減少等があったものの、短期借入金の増加等により前事業年度末から65億79百万円(13.5%)増加し、552億65百万円となりました。
純資産は、繰越利益剰余金及びその他有価証券評価差額金の増加により前事業年度末から20億13百万円(6.1%)増加し、350億57百万円となり、自己資本比率は38.8%となりました。
当社は、中期経営方針「FUSOビジョン2030 Next Stage」において、粉末型透析剤の製造ラインの新設及び大東工場の機能を移転集約することを目的として、岡山工場敷地内に岡山第二工場を建設する計画を公表いたしました。本計画の資金調達を目的として、2026年3月31日付で株式会社三井住友銀行をアレンジャーとするシンジケートローン契約を締結しております。
当事業年度末の現金及び現金同等物の残高は、前事業年度末に比べ14億18百万円減少し、48億46百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期純利益や減価償却費の計上等があったものの、2025年5月27日の特許権侵害差止等請求訴訟(控訴審)の判決において、東レ株式会社に対して合計74億7,287万8,838円及びこれに対する遅延損害金の支払いを命じる判決が下ったことによる仮払金の支払額87億44百万円の影響により、62億24百万円の支出となりました。
なお、前事業年度は主にサプライチェーン全体の持続的発展を目的に、マルチステークホルダー方針に基づくサプライヤーへの支払期日短縮等への対応による仕入債務支払の一過性の増加の影響により33億5百万円の支出となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入があったものの、有形及び無形固定資産の取得による支出等により15億15百万円の支出となりました。(前事業年度は31億68百万円の支出)
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済や配当金の支払等があったものの、短期借入金の増加により63億21百万円の収入となりました。(前事業年度は76億18百万円の収入)
当事業年度における生産実績は次のとおりであります。
(注) 金額は、卸売価格によっております。
当社は、主に見込生産を行っているため、記載を省略しております。
当事業年度における販売実績は次のとおりであります。
(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
主な事業内容である医薬品事業においては、腎・透析関連の後発医薬品の販売促進等により、売上高は622億8百万円と前年同期と比べ17億61百万円(2.9%)の増加となりました。利益面につきましては、原材料費や人件費の上昇に伴う売上原価率の想定以上の上昇、DMX-200に関する研究開発活動の進捗に伴う研究開発費の増加等により、営業利益は25億92百万円と前年同期と比べ15億66百万円(37.7%)の減少となりました。
当社は人工腎臓用透析剤や輸液製剤といった基礎的な医薬品を多く取り扱い、安定供給への重大な責任を有していることから、地震等の自然災害やパンデミックとなった新型コロナウイルス感染症等、突発的に発生する事象に備えて、安定供給に支障を来たしかねない事象が判明した際には、直ちに緊急対策会議を開催し、優先してその解消に努める等の対策を常日頃より行っております。
製造設備に関しても大規模な拠点を東西に分散設置し、製品保管庫を各地に設けており、想定外の需要が生じた場合にも対応可能な在庫数量を確保していることに加え、製品が全体的に重量物の占める割合が高いため、物流コストの上昇による影響は大きく、必然的に売上原価や販売費及び一般管理費は非常に高くなり、営業利益率は低くなる傾向となっております。
その上で、製造原価の低減等のコスト削減に努めておりますが、当事業年度に関しましては、売上総利益以下各利益で減益の結果となりました。
医薬品の安定供給の社会的使命を全うし、同時に経営基盤の強化を行っていくことが今後も必須であると考えております。
なお、文中に記載した内容を以下の表に示しております。(割合(%)には、売上高に対する比率を記載しております。)
当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社の資本の財源及び資金の流動性について、主要な資金需要は、製品製造に使用される原材料の調達、商品の仕入、販売費及び一般管理費並びに生産設備の新設、更新や、透析医療のさらなる活性化や新領域への研究開発に係るものであります。
これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金のほか、生産設備投資・研究開発の計画に照らして、金融機関からの借入による資金調達にて対応していく方針であります。
当事業年度におきましては、主に各工場の医薬品製造装置への投資や、研究開発活動を当該方針のもと資金調達を行いました。翌事業年度におきましては、中期経営方針「FUSOビジョン2030 Next Stage」において公表いたしました、粉末型透析剤の製造ラインの新設及び大東工場の機能を移転集約することを目的として、岡山工場敷地内に岡山第二工場を建設する計画への投資や、透析医療のさらなる活性化と新領域への研究開発活動を推進していく予定であり、その資金調達につきましても、必要に応じ、当該方針の通り対応いたします。
なお、岡山第二工場を建設する計画の資金調達を目的として、2026年3月31日付で株式会社三井住友銀行をアレンジャーとするシンジケートローン契約を締結しております。
当社は、健全性、収益性、効率性、成長性などを総合的に勘案し、持続的かつ安定的な企業価値の向上を重視した経営を行っており、中期経営方針「FUSOビジョン2030 Next Stage」において、2030年度を最終年度とする経営目標として「売上高700億円」「ROE(自己資本利益率) 8%超」と掲げております。
さらに、資本コスト及び株価を意識した経営を実践し、収益性と資本効率の向上を図ることで、中長期的にPBR1倍超の実現を目指してまいります。
(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
① 棚卸資産の評価
当社の棚卸資産の評価は、各在庫品目について滞留により破棄することが見込まれる数量を算出し、該当数量分の正味売却価額を零として評価損の金額を算出した上で、収益性の低下に基づき簿価を切り下げております。その際、当事業年度の販売数量に関する趨勢を踏まえた各在庫品目の将来の販売予測数量を重要な仮定として用いております。当該仮定として用いた販売数量に関する趨勢が変動した場合には、翌事業年度以降の医薬品部門売上原価に追加の評価損を計上する可能性があります。
② 固定資産の減損
当社は、一部の製造設備において減損テストを実施するにあたり、回収可能価額を使用価値により測定しております。使用価値は見積将来キャッシュ・フローの割引現在価値により測定を行い、重要な仮定は、販売単価、市場規模、市場シェア及び割引率等であります。
使用価値の算定結果は、一定のリスクを反映させた上で不確実性を評価しておりますが、重要な仮定の変動により、翌事業年度以降の財務諸表において、減損損失が発生する可能性があります。
(1)ライセンス契約
(2)財務上の特約が付されている金銭消費貸借契約
(注)1 担保の内容は、以下の通りです。
土地及び建物等
2 財務上の特約の内容は、以下のとおりです。
2023年3月期末日及びそれ以降の各事業年度末日における単体の貸借対照表に記載される純資産の部の合計金額を直近の事業年度末日における単体の貸借対照表に記載される純資産の部の合計金額の50%に相当する金額以上に維持すること。
3 財務上の特約の内容は、以下のとおりです。
① 2024年3月期末日及びそれ以降の各事業年度末日における単体の貸借対照表に記載される純資産の部の合計金額を直近の事業年度末日における単体の貸借対照表に記載される純資産の部の合計金額の75%に相当する金額以上に維持すること。
② 2024年3月期末日及びそれ以降の各事業年度末日における報告書等の単体の損益計算書に記載される経常損益を損失としないこと。
4 2026年3月31日付で株式会社三井住友銀行をアレンジャーとする総額134億円のシンジケートローン契約を締結しております。
なお、弁済期限は2039年2月28日であり、借入金の期末残高及び担保の設定はありません。
当該契約についての財務上の特約の内容は、以下のとおりです。
① 2025年3月期末日及びそれ以降の各事業年度末日における単体の貸借対照表に記載される純資産の部の合計金額を直近の事業年度末日における単体の貸借対照表に記載される純資産の部の合計金額の75%に相当する金額以上に維持すること。
② 2025年3月期末日及びそれ以降の各事業年度末日における単体の損益計算書に記載される経常損益を損失としないこと。
当社における研究開発活動は、研究開発センターを中心に行っており、企業価値の源泉を向上するべく鋭意研究開発をすすめております。輸液及び人工腎臓用透析剤関連を中心に透析医療のさらなる活性化を図るとともに、新たな医療ニーズに応える新領域の開発を推進しております。
なお、当事業年度の研究開発費は、総額