第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当期におけるわが国経済は、政府の経済政策や日銀の金融緩和を背景に雇用・所得環境の改善が進む中で、緩やかな回復基調が続きました。かかる状況下で、企業の業況観は一時見られた慎重さが和らぎ、設備投資にも緩やかながら回復の兆しが見られる状況となっています。海外に目を向けると、英国のEU離脱や米国のトランプ政権発足など市場の予想を覆すイベントが度々起き、その都度、為替相場や日本の株価が大きな影響を受けた年となりました。さらに、中国をはじめとする新興国の景気下振れリスクや米欧の保護主義的政策の行方など、依然として先行きは不透明な状況が続いております。

医薬品業界においては、相次ぐ高額薬剤の薬価収載が医療保険財政を圧迫するのではという懸念の声に対し、平成28年7月の中央社会保険医療協議会で「薬価制度改革に向けて、薬価の在り方全般について抜本的な見直しを行うこと」の提案が厚生労働省よりなされました。さらに同年12月には政府が発表した「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」の中で、現在は2年に1度行われている市場実勢価格の調査に加え、その間の年にも大手医薬品卸売業者などを対象に調査を行い、価格の乖離の大きな品目について薬価改定を行うことなどを明らかにしました。その具体的内容については、平成29年度中に結論を得ることとしていますが、本制度変更が今後の医薬品業界に与える影響は少なくないものと予想されます。

このような環境下で、当社グループは引き続き「信頼できるジェネリック医薬品」の普及に貢献するべく、ジェネリック医薬品の高品質維持と安定供給確保、並びに生産性及び効率性の向上に資する施策を一層推し進めてまいりました。

また、ジェネリック医薬品事業と並行して取り組んでいるミッション、「高尿酸血症領域」や「自社開発創薬」に関しましても、複数の開発品目において、それぞれの試験が順調に進展しております。当社グループはまだ十分な治療薬がない病気に苦しむ患者さんのために、画期的な自社創薬の開発に取り組んでいます。

 

セグメントの業績は次のとおりです。

① 医薬品事業

        1) 医療用医薬品

         (a) ジェネリック医薬品

当期においては前立腺癌治療剤の「ビカルタミドOD錠」や気管支喘息治療剤である「モンテルカスト錠」など4成分5品目を発売いたしました。

販売面では、国のジェネリック医薬品使用促進策を背景に、保険薬局や大学病院をはじめとする基幹病院において数量面での拡大が続いたものの、平成28年4月からの診療報酬改定に伴う薬価改定の影響により、売上の伸びは前期を割る結果となりました。当社においても、新たに盛り込まれた外来後発医薬品使用体制加算の見直しなどの促進策で、これまでジェネリック医薬品の使用に積極的でなかった医療機関を中心に採用が進みましたが、売上は前期を維持するにとどまり、また、同業他社向けの販売である導出売上も伸び悩みました。

一方で、オンコロジー関連医薬品については、大学病院をはじめとするがん診療連携拠点病院を中心に質の高い情報提供を行うことで着実に採用が進展しました。

         (b) 主力品

主力品であるアルカリ化療法剤「ウラリット-U配合散・配合錠」につきましては、ジェネリック医薬品への置き換え等により市場における競争は激化しておりますが、これまで実施して来た痛風並びに高尿酸血症における酸塩基平衡改善の重要性の啓発活動に加え、近年、高尿酸血症や代謝性アシドーシスが慢性腎臓病を進展させること、アシドーシスに対するアルカリ化療法による慢性腎臓病の進展抑制効果等の報告が増加していることを踏まえ、更なるアルカリ化療法剤投与の重要性に関して普及活動を強化しています。

         (c) 海外販売

海外での販売につきましては、当期末時点で韓国、タイ、中国の3か国において6品目の承認を取得し、販売しております。その他にもASEANを中心に5品目を申請中であり、さらに複数品目について申請の準備を進めています。

 

 

以上の結果、ジェネリック医薬品の売上高は前期比0.6%の増収となりましたが、ウラリットをはじめとする主力3品の売上高は20.9%の減収となり、医療用医薬品全体では1.3%の減収となりました。

なお、医療用医薬品の売上高比率を薬効別にみますと、循環器官用薬及び呼吸器官用薬30.9%、消化器官用薬19.6%、ウラリット等の代謝性医薬品16.4%、神経系及び感覚器官用薬9.9%、病原生物用薬6.5%、腫瘍用薬3.2%、その他の医薬品13.5%となっています。

         (d) 研究開発

国立研究開発法人日本医療研究開発機構(以下、AMED)の支援を受け、当社と九州大学が共同で研究を進めている「NC-2600」(P2X4受容体アンタゴニスト)は、世界で初めてグリア細胞をターゲットとした神経障害性疼痛治療薬であり、平成28年6月よりフェーズⅠ試験をスタートしています。

また、当社と北里大学、筑波大学、国立精神・神経医療研究センターの4者による共同研究で開発を行っている抗うつ・抗不安薬「NC-2800」(オピオイドδ受容体アゴニスト)についても、同じくAMEDの支援を受けながら、当期は前臨床試験を進めてまいりました。平成28年11月には、これまでの研究の成果として、神経科学分野で世界最大の学会である「北米神経科学学会年会」において、既存の抗うつ薬で治療効果を得るまでに長期の投与を必要とするうつ病モデル動物で、NC-2800が投与早期から低用量で優れた治療効果が期待できることなどを発表いたしました。

さらに、当社グループの3つのミッションの1つである高尿酸血症の治療薬として開発を進めている尿酸降下薬「NC-2500」(キサンチンオキシドリダクターゼ阻害薬)については、同年6月より、より望ましい結果を得られると判断された改良製剤によるフェーズⅠ試験を進めております。また、NC-2500に続く新規の尿酸降下薬として開発を行っている「NC-2700」(URAT1阻害薬)については、当期に前臨床試験を開始しています。

         (e) 生産体制

グループ全体の生産能力増強及び製造コスト削減を目的とするベトナムでの製造工場建設につきましては、当初計画通りに工事が進捗し、平成29年3月には建物の引渡しを受け、その後は工場稼働に向けた準備を行っています。また、現地で中心となって製造に携わっていくベトナム人社員の採用を行い、日本薬品工業株式会社(以下、日本薬品工業)の茨城工場及びつくば工場での半年間の研修を終えるなど、平成30年度の商業生産開始に向けハード・ソフトの両面で着実に準備を進めているところです。

一方、国内においてもジェネリック医薬品の需要増加に対応するため、日本薬品工業つくば工場3号棟において1階部分の設備追加実装を行い、生産能力の強化に努めました。

        2) 臨床検査薬

主力製品・自社開発のアレルギー検査薬オリトンIgE『ケミファ』」及び測定機器の『DiaPack3000』とヘモグロビンA1c検査薬及び測定装置「HLC-723G11」は、ともに近年注力してきた新規施設への設置効果があらわれ好調に推移し、臨床検査薬全体の売上高は前期を上回る結果となりました。

 

以上により、医薬品事業全体の売上高は34,551百万円(前期比0.1%増)、営業利益は2,805百万円(前期比9.2%減)となりました。

 

② その他

受託試験事業、ヘルスケア事業及び不動産賃貸事業である「その他」の事業では受託試験事業の厳しい競争環境の中、受注が堅調に推移したことなどから売上高は1,137百万円(前期比4.2%増)となり、営業利益は30百万円(前期比45.0%減)となりました。

 

以上の結果、各セグメントを通算した業績は当期の連結売上高が35,689百万円(前期比0.2%増)、連結営業利益が2,836百万円(前期比9.8%減)、連結経常利益が2,849百万円(前期比3.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が2,054百万円(前期比4.7%増)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当期末における連結ベースの現金及び現金同等物は、営業活動により2,737百万円増加いたしました。また投資活動においては2,504百万円の減少、財務活動においては787百万円の増加となりました。

この結果、当期末の現金及び現金同等物(以下、資金)は8,084百万円(前期末比13.3%増)となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当期において、営業活動による資金は法人税等の支払及びたな卸資産の増加などがあったものの、主に税金等調整前当期純利益の計上により、2,737百万円の増加(前期は2,450百万円の増加)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当期において、投資活動による資金は主に固定資産の取得により、2,504百万円の減少(前期は151百万円の減少)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当期において、財務活動による資金は長期借入金の返済、自己株式の取得及び配当金の支払などがあった一方で、長期借入れがあり、787百万円の増加(前期は935百万円の減少)となりました。

 

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

医薬品事業

7,654

10.5

その他

合計

7,654

10.5

 

(注) 1 金額は、製造原価によっております。

2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注状況

当社グループは、主に販売計画に基づいて生産計画を立て、これにより生産をしております。

受注生産は一部の子会社で行っておりますが、受注残高の金額に重要性はないため、記載を省略しております。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

医薬品事業

34,551

0.1

その他

1,137

4.2

合計

35,689

0.2

 

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

アルフレッサ㈱

7,225

20.3

7,821

21.9

㈱メディセオ

7,373

20.7

7,427

20.8

 

3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

   文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

  (1) 会社の経営の基本方針

当社グループは「医薬品を中核としてトータルヘルスケアで人々の健康で豊かな生活に貢献する」ことを企業理念とし、国内外において存在価値のある企業グループとして発展することを目指しております。

  (2) 中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標

(1)の企業理念の下、当社はグループの経営課題としてかねてより以下の3つのミッションを掲げております。すなわち、
ⅰ)ジェネリック医薬品市場におけるプレゼンスを確立する
ⅱ)ウラリットを核として高尿酸血症領域でのフロントランナーを目指す
ⅲ)自社開発創薬により社会に貢献する
 さらに、将来にわたる当社グループの成長持続のためには、国内のみならず海外での事業拡大が不可欠と考えており、平成27年度から
ⅳ)海外の事業基盤確立
を「3つのミッションプラス1」として加え、これらの達成を経営戦略の中心に据え、日々事業に取り組んでいます。
 なお、当社は、株主の皆様より託された資本から、いかに効率的に利益を上げたかを測る「株主資本利益率(ROE)」を重要な経営指標としております。

  (3) 当社グループをめぐる業界や市場の動向等の経営環境

医薬品業界においては、相次ぐ高額薬剤の薬価収載が医療保険財政を圧迫するのではという懸念の声に対し、平成28年7月の中央社会保険医療協議会で「薬価制度改革に向けて、薬価の在り方全般について抜本的な見直しを行うこと」の提案が厚生労働省よりなされました。さらに同年12月には政府が発表した「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」の中で、現在は2年に1度行われている市場実勢価格の調査に加え、その間の年にも大手医薬品卸売業者などを対象に調査を行い、価格の乖離の大きな品目について薬価改定を行うことなどが明らかになっております。

  (4) 会社の対処すべき課題

 ① 販売

  1) ジェネリック医薬品

国内においては、ジェネリック医薬品の使用促進策の対象となる医療機関の拡大に伴い、これまで以上に効率的なMR活動を行うとともに、医薬品流通卸との協力体制を強め、競争環境が厳しくなるジェネリック医薬品市場においても確固たるポジションを築いていきます。オンコロジー領域においても、品揃えの充実を図るとともに、引き続きがん診療連携拠点病院を中心に質の高い情報提供を行ってまいります。

  2) 主力品

ウラリットについては、腎臓内科、泌尿器科、代謝系内科などの専門医から得られた酸性尿改善及び酸塩基平衡改善の重要性を示すデータを活用しながら、医師・薬剤師などの医療関係者はもとより、患者さんへの有用な情報の発信をこれまで以上に強化し、引き続き同薬によるアルカリ化療法の啓発、認知向上に努めてまいります。

  3) 海外販売

海外においては、ASEAN、中国などで申請中の品目について早期に承認を得るとともに、申請準備段階にある品目についてもなるべく早く申請手続きに入り、品目数の拡大を図ってまいります。同時に、各地域における信頼できるパートナーの発掘にも尽力し、展開エリアを拡大していきます。また、当面は日本国内向け製造拠点としてベトナムで事業展開する日本薬品工業の子会社 「Nippon Chemiphar Vietnam Co., Ltd.」(以下、NC-VN社)ですが、将来的にはアジア地区の営業拠点としても機能できるようにしてまいります。

② 研究開発

新薬の研究開発については、領域を絞り込み、かつその領域の第一人者との共同研究を推進することを基本方針としています。そのうえで探索研究に重点を置き、その成果を早期段階で導出することで、開発上のリスクを軽減しつつ効率的に開発を進めていきます。平成29年度にフェーズⅠ試験が終了しますNC-2500及びNC-2600に関しては、本格的に導出活動を進めてまいります。また、研究員の海外派遣を推進するなどして引き続き研究員のレベルとモチベーションの向上も図ってまいります。

ジェネリック医薬品の研究開発については、開発の迅速化・効率化を図るべく、自社開発体制を強化するとともに、子会社の日本薬品工業並びに他の製造販売業社との共同開発にも積極的に取り組み、品揃えの強化を進めていきます。また、他社競争優位性のある品目の開発や原薬のコスト低減などにも取り組んでまいります。

③ 生産体制

日本薬品工業つくば工場3号棟においては、今後も国内のジェネリック医薬品の需要動向を見極めながら、順次製造ラインを増設してまいります。また、先ごろ工場建物が完成したNC-VN社については、平成30年度中の商業生産開始に向け、設備の実装、現地人材の採用と教育、各種の申請手続きなどあらゆる面で準備を進めてまいります。

当社グループはこのように安定供給能力の強化と製造原価の低減に向け、既成概念や他社の戦略にとらわれず、これからもチャレンジを続けてまいります。

④ 品質保証

製造品目数や生産能力の拡大に伴い、従来以上に原薬を含む品質管理の重要性が増しております。今後も日本薬品工業と連携のうえ、国内外の製剤及び原薬製造所への査察を強化し、自社製販品のみならず、導入品も含めた品質の確保に努めてまいります。

⑤ ダイバーシティ

平成28年4月より「女性活躍推進法」が施行され、社会全体で女性の活躍を応援する取り組みがスタートしました。当社においても、従来取り組んできたワークライフバランス推進に加えて、女性活躍推進の具体的目標を定め、女性のキャリア継続やキャリアアップのための環境整備や施策を引き続き検討・実施してまいります。

また、女性の活躍のみならず、多様な能力と個性を持った社員がその力を発揮することが会社の成長に繋がるという認識のもと、ダイバーシティ推進を重要な経営課題の一つと位置づけ、性別、年齢、国籍、障害の有無などだけでなく、キャリアや働き方などの面で多様性を有する人材が、その個性や能力を十分に発揮し、やりがいをもって継続して働くことができる環境構築を目指していきます。

 

  (5) 当社の支配に関する基本方針

 ① 基本方針の内容の概要

当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の財務及び事業の内容や当社の企業価値の源泉を十分に理解し、当社が企業価値・株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保、向上していくことを可能とする者である必要があると考えています。

当社の支配権の移転を伴う買付提案についての判断は、最終的には株主の皆様全体の意思に基づき行われるべきものと考えております。また、当社は、当社株式の大量買付であっても、当社の企業価値・株主共同の利益に資するものであれば、これを一概に否定するものではありません。

  しかしながら、株式の大量買付の中には、その目的等から見て企業価値・株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主が株式の大量買付の内容等について検討しあるいは対象会社の取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないもの、対象会社が買収者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買収者との交渉を必要とするもの等、対象会社の企業価値・株主共同の利益に資さないものも少なくありません。当社では、グループとして企業価値の向上・確保に努めておりますが、特に、当社の企業価値の源泉は ⅰ)新薬メーカーならではの高品質なジェネリック医薬品開発力、安定供給(製造・販売)体制及び情報提供体制、ⅱ)ウラリットを核にした高尿酸血症領域での専門知識、経験及びノウハウ、ⅲ)開発コストの低減と開発スピードの向上を企図し探索機能に特化したベンチャー型創薬研究体制、及び ⅳ)創業後60年余をかけて培った医療関係者からの信頼です。当社株式の大量買付を行う者が、当社の財務及び事業の内容を理解するのはもちろんのこと、こうした当社の企業価値の源泉を理解し、これらを中長期的に確保し、向上させられるのでなければ、当社の企業価値・株主共同の利益は毀損されることになります。

当社としては、このような当社の企業価値・株主共同の利益に資さない大量買付を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、このような者による大量買付に対しては必要かつ相当な対抗措置を採ることにより、当社の企業価値・株主共同の利益を確保する必要があると考えます。

 

 ② 基本方針の実現に資する特別な取組みの概要

  1) 中期経営計画による取組み

当社は、近年ますますスピードが増している経済環境や制度の変化にタイムリーに対応すべく、平成27年度より期間3ヶ年の中期経営計画を毎年ロールオーバーしております。この中期経営計画においては、当社が従前取り組んで参りました3つのミッション、ⅰ)ジェネリック医薬品市場におけるプレゼンスの確立、ⅱ)ウラリットを核として高尿酸血症領域でのフロントランナーを目指すこと、ⅲ)自社開発創薬による業容拡大への更なる取り組みを継続・強化するとともに、これらの取組みの成果をベースに海外に展開することを掲げております。

まず、ジェネリック医薬品事業につきましては、新薬メーカーとしていち早くジェネリック医薬品事業に参入した当社のアドバンテージを活かしつつ、市場におけるプレゼンスを維持するためには、「量」よりも「質」を追求し、開発、製造、販売にわたるサプライチェーン全体を強化することが不可欠であると考えております。このような方針のもと、知財部門を含む開発体制の強化や、日本薬品工業つくば工場において全面免震構造を有する新製造棟建設を実施するとともに、現在ベトナムで製造工場の建設に着手しており、今後とも同事業の更なる高品質化、効率化を推進してまいります。また、営業面では、これまで同様にDPC病院を中心とした重点得意先に注力するとともに、平成28年4月の診療報酬制度改定により今後ジェネリック医薬品の普及が期待される出来高払いの病院や開業医への営業活動も強化してまいります。

次に、高尿酸血症領域での取組みに関しましては、尿アルカリ化剤による慢性腎臓病進展抑制等の臨床研究を支援し、これを販売実績の拡大に結び付けるべく取り組むとともに、現在フェーズⅠを実施している高尿酸血症治療薬候補「NC-2500」や新たな治療薬の研究開発にも着手してまいります。

最後に、創薬につきましては、神経障害性疼痛治療薬候補「NC-2600」や抗うつ剤・抗不安薬候補「NC-2800」等公的資金を獲得するような有望な研究テーマも複数出てまいりました。今後も、研究開発体制の強化・効率化を進めながら、自社創薬への投資を継続してまいります。

これらの成果を踏まえ、将来にわたる当社グループの持続的成長のために、ASEAN、中国を中心とする海外の事業基盤の強化にも取り組んでまいります。

当社は、これらのミッションに一貫して継続的に取り組むことが、国内外の医薬品業界を取り巻く環境や制度変更への対処を可能とし、当社の企業価値、すなわち、株主共同の利益を維持・拡大する最良の方策であると考えます。

 2) コーポレート・ガバナンスの強化

当社は、企業価値・株主共同の利益を維持・拡大させるためには、経営組織と運営のあり方の適正化に常時努めることでコーポレート・ガバナンスを強化・充実し、また、株主の皆様、顧客、社会一般に対して一層の経営の透明性を高めるとともに公正な経営を実現することを最優先の課題の一つとして位置付けております。

その具体化の一端として、当社は、経営機能を「意思決定機能・監督機能」と「業務執行機能」とに分離し、前者を独立性の高い社外取締役を含む取締役(会)に、後者を執行役員(会議)に権限委譲する執行役員制度を導入するとともに、監査役会設置会社として独立性の高い社外監査役2名を含む監査役の監査により経営の透明性・公正性を高め、取締役会の意思決定の監視・監督機能の強化を図っております。

社外取締役及び社外監査役は、株式会社東京証券取引所(以下、「東京証券取引所」といいます)が定める独立役員の要件及び当社の定める社外役員の独立性判断基準を満たしており、一般株主と利益相反の恐れのない独立役員です。当社は、いずれの社外役員についても東京証券取引所の定めに基づく独立役員として同取引所に届け出ております。

また、リスク管理や内部統制システムの整備等を通じて内部管理体制の強化にも努めております。具体的には、内部統制に関する基本方針や法令等の遵守のための行動基準などに基づいた健全な企業活動を推進し、コーポレート・ガバナンスの充実を図っております。

これらの取組みにより株主の皆様をはじめとする様々なステークホルダーとの信頼関係をより一層強固なものにし、企業価値の継続的な向上をめざしてまいります。

 

③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの概要

当社は、平成28年6月29日開催の第84回定時株主総会(以下、「本定時株主総会」といいます)において、当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)について、平成19年に導入、平成22年及び平成25年に改定した内容を更新することを上程し、株主の皆様のご承認をいただきました(以下、更新後のプランを「本プラン」といいます)。本プランの内容の概要は次のとおりであります。

 1) 目的

当社は、基本方針に定めるとおり、当社の企業価値・株主共同の利益に資さない当社株式の大量買付を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えています。本プランは、こうした不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止し、当社の企業価値・株主共同の利益に反する大量買付を抑止するとともに、大量買付が行われる際に、当社取締役会が株主の皆様に代替案を提案したり、もしくは株主の皆様がかかる大量買付に応じるべきか否かを判断するために必要な情報や時間を確保したり、又は株主の皆様のために交渉を行うこと等を可能とすることを目的としております。

 

 2) 本プランの概要

 (a) 本プランに係る手続の設定

本プランは、当社の株券等に対する買付等が行われる場合に、買付等を行う者(以下、「買付者等」といいます)に対し、事前に当該買付等に関する情報の提供を求め、当該買付等についての情報収集・検討等を行う時間を確保した上で、株主の皆様に当社経営陣の計画や代替案等を提示し、又は、買付者等との交渉等を行うための手続を定めています。

 (b) 新株予約権の無償割当ての利用

買付者等が本プランにおいて定められた手続に従うことなく買付等を行う等、当社の企業価値・株主共同の利益が害されるおそれがあると認められる場合には、当社は、買付者等による権利行使は認められないとの行使条件及び当社が買付者等以外の者から当社株式と引換えに新株予約権を取得する旨の取得条項が付された新株予約権(以下、「本新株予約権」といいます)を、その時点の当社を除く全ての株主の皆様に対して新株予約権無償割当ての方法(会社法第277条以降に規定されます)により割り当てます。

 (c) 特別委員会の利用及び株主意思の確認

本プランにおいては、本新株予約権の無償割当ての実施、不実施又は取得等の判断について、取締役の恣意的判断を排するため、独立性のある社外取締役等から構成される特別委員会の客観的な判断を経るものとしています。

また、当社取締役会は、これに加えて、本プラン所定の場合には株主の皆様の意思を確認するための株主総会を招集し(以下、かかる株主総会を「株主意思確認株主総会」といいます)、新株予約権無償割当ての実施に関する株主の皆様の意思を確認することがあります。

 (d) 本新株予約権の行使及び当社による本新株予約権の取得

本プランに従って本新株予約権の無償割当てがなされ、買付者等以外の株主の皆様により本新株予約権が行使された場合、又は当社による本新株予約権の取得と引換えに、買付者等以外の株主の皆様に対して当社株式が交付された場合、当該買付者等の有する当社株式の議決権割合は最大約50%まで希釈化される可能性があります。

 (e) 情報開示

上記(a)ないし(d)の各手続の過程については、適宜株主の皆様に対して情報開示がなされ、その透明性を確保することとしております。

 3) 本プランの有効期間、廃止

本プランの有効期間は、本定時株主総会終了後3年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとします。

ただし、有効期間の満了前であっても、ⅰ)当社の株主総会において本定時株主総会決議による当社取締役会への委任を撤回する旨の決議が行われた場合、又は、ⅱ)当社取締役会において本プランを廃止する旨の決議が行われた場合には、本プランはその時点で廃止されるものとします。

 4) 株主の皆様への影響

 本新株予約権の無償割当て自体が行われていない場合には、株主の皆様に直接具体的な影響が生じることはありません。他方、本プランが発動され新株予約権行使の手続を行わなければ、その保有する株式が希釈化される場合があります(ただし、当社が当社株式を対価として新株予約権の取得の手続を行った場合、保有する当社株式全体の価値の希釈化は原則として生じません)。

 

④ 上記取組みに対する当社取締役会の判断及びその理由

 1) 基本方針の実現に資する特別な取組みについて

将来にわたる当社グループの持続的成長のため3つのミッションを中心とした各種取組み、コーポレート・ガバナンスの強化の各施策は、当社の企業価値・株主共同の利益を継続的かつ持続的に向上させるための具体的方策として策定されたものであり、当社の基本方針に沿うものです。

したがって、当該取組みは基本方針に沿い、当社の株主共同の利益に合致するものであり、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではございません。

2) 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みについて

本プランは、企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させることを目的として導入されたものであり、基本方針に沿うものです。

また、本プランは、株主の承認を得た上で更新されており、一定の場合に本プランの発動の是非について株主意思確認株主総会において株主の皆様の意思を確認することができることや、有効期間が約3年間と定められた上、株主総会又は取締役会によりいつでも廃止することができるとされているなど株主意思を重視するものであること、買収防衛策に関する公の指針の要件を完全に充足していること、独立性のある社外取締役等のみから構成される特別委員会の判断の重視や情報開示の仕組みが確保されていること、合理的な客観的発動要件が設定されていること等により、その公正性・客観性が担保されており、企業価値ひいては株主共同の利益に資するものといえます。

したがって、当該取組みは基本方針に沿い、当社の株主共同の利益に合致するものであり、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではございません。

 

 

4 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(法規制等に関するリスク)

 当社グループの事業は、主に薬事関連規制等に服しており、それら規制に基づく製品の回収や製造あるいは販売中止等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(薬価基準改定・医療制度改革に関するリスク)

 薬価については市場実勢価の調査が行われ、概ね2年に1回の薬価改定が行われてきましたが、薬価制度の変更により、今後、ジェネリック医薬品を中心に製品によっては毎年薬価改定が実施され、これまで以上のスピードで多数の品目の薬価が引き下げられることが予想されます。また、増大する医療費の抑制を目的として医療保険制度の見直しも行われており、薬価制度の大幅な変更や医療費抑制政策の実施が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(医薬品の副作用・品質に関するリスク)

 市販後の予期せぬ副作用の発生、製品に不純物が混入する等の事故により、製品の回収、又は製造あるいは販売中止を余儀なくされる可能性があります。その場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(原材料・商品の仕入に関するリスク)

 仕入先会社及び製造国において、規制上の問題又は火災、地震その他の災害及び輸送途中の事故等により、原材料及び商品の仕入が不可能となった場合、製品の製造及び供給が停止し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(製造の遅滞又は休止に関するリスク)

 技術的もしくは規制上の問題、又は火災、地震その他の災害により、製品を製造する製造施設において操業停止又は混乱が発生した場合、当該製品の供給が停止し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(医薬品の研究開発に関するリスク)

 研究開発が計画どおり進行せず、新製品の発売が遅れる可能性があります。また、臨床試験で新薬の候補品が期待どおりの効果を得られなかった場合や、安全性が危惧される結果となった場合、開発期間の延長、開発の中断あるいは中止する場合があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(訴訟等に関するリスク)

 当社グループが継続して事業活動を行う過程において、製造物責任、環境、労務、その他の事項に関する訴訟を提起され、又は、当社グループは新薬に加え、ジェネリック医薬品を販売していることから、先発医薬品メーカーから特許訴訟を提起される可能性があります。

(ジェネリック医薬品の競争に関するリスク)

 当社グループは販売した製品が度重なる薬価引き下げのため不採算となることのないように、適正利益を確保した価格での販売に努めておりますが、多数のメーカーがジェネリック医薬品市場に参入し、厳しい競争の中で価格の低下を招くことがあります。さらに先発医薬品メーカーはオーソライズドジェネリックの投入等の諸施策により、特許満了後の市場シェア低下への対応に努めており、その動向次第では当社グループが計画していた売上高を確保できず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(海外に関するリスク)

 当社グループはベトナムに工場を建設し、商業生産開始に向けた準備を進めておりますが、海外事業の拡大と推進には多額の先行投資が必要となります。各国の規制・制度変更や外交関係の悪化、天災などにより、それらの投資回収が遅れ又は予期せぬ費用が発生して、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(金融市況に関するリスク)

 株式市況の低迷により保有する株式の売却損や評価損が生じ、また、金利動向により退職給付債務の増加等が生じる可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

特記すべき事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

国立研究開発法人日本医療研究開発機構(以下、AMED)の支援を受け、当社と九州大学が共同で研究を進めている「NC-2600」(P2X4受容体アンタゴニスト)は、世界で初めてグリア細胞をターゲットとした神経障害性疼痛治療薬であり、平成28年6月よりフェーズⅠ試験をスタートしています。

また、当社と北里大学、筑波大学、国立精神・神経医療研究センターの4者による共同研究で開発を行っている抗うつ・抗不安薬「NC-2800」(オピオイドδ受容体アゴニスト)についても、同じくAMEDの支援を受けながら、当期は前臨床試験を進めてまいりました。平成28年11月には、これまでの研究の成果として、神経科学分野で世界最大の学会である「北米神経科学学会年会」において、既存の抗うつ薬で治療効果を得るまでに長期の投与を必要とするうつ病モデル動物で、NC-2800が投与早期から低用量で優れた治療効果が期待できることなどを発表いたしました。

さらに、当社グループの3つのミッションの1つである高尿酸血症の治療薬として開発を進めている尿酸降下薬「NC-2500」(キサンチンオキシドリダクターゼ阻害薬)については、同年6月より、より望ましい結果を得られると判断された改良製剤によるフェーズⅠ試験を進めております。また、NC-2500に続く新規の尿酸降下薬として開発を行っている「NC-2700」(URAT1阻害薬)については、当期に前臨床試験を開始しています。

なお、医薬品事業における研究開発費の総額は1,984百万円であります。

 

  (注) 「その他」の事業では、研究開発活動を行っていないため記載しておりません。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 財政状態

流動資産は前期末に比べて6.0%増加し、29,009百万円となりました。これは、主に現金及び預金並びにたな卸資産の増加によるものです。

固定資産は前期末に比べ10.6%増加し、17,991百万円となりました。これは、主に日本薬品工業つくば工場3号棟の実装やNC-VN社の設備投資による増加によるものです。

この結果、総資産は前期末に比べて7.7%増加し、47,002百万円となりました。

流動負債は前期末に比べて4.6%減少し、14,939百万円となりました。これは、1年内返済長期借入金の減少などによるものです。

固定負債は前期末に比べて23.1%増加し、14,706百万円となりました。これは、主に長期借入金の増加によるものです。

この結果、負債合計は前期末に比べて7.4%増加し、29,646百万円となりました。

純資産合計は前期末に比べて8.2%増加し、17,355百万円となりました。これは自己株式の取得があった一方で、親会社株主に帰属する当期純利益を2,054百万円計上したことなどによるものです。

 

(2) 経営成績

「1 業績等の概要 (1)業績」を参照ください。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

「1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」を参照ください。