独立監査人の監査報告書

 

 

 

2024年6月21日

 

 

 

日本ケミファ株式会社

取 締 役 会 御 中

 

 

有限責任監査法人 ト ー マ ツ

   東  京  事  務  所

 

 

 

指定有限責任社員
業務執行社員

 

公認会計士

長  島  拓  也

 

 

 

 

 

指定有限責任社員
業務執行社員

 

公認会計士

大    竹   貴    也

 

 

 

 

 

<財務諸表監査>

監査意見

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている日本ケミファ株式会社の2023年4月1日から2024年3月31日までの第92期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。

当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、日本ケミファ株式会社の2024年3月31日現在の財政状態及び同日をもって終了する事業年度の経営成績を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

監査上の主要な検討事項

監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。

 

 

医薬品事業及び共用資産における固定資産の減損損失の認識要否に関する判断の妥当性

監査上の主要な検討事項の

内容及び決定理由

監査上の対応

会社は、医療用医薬品を中核として、医療・健康・美容関連事業を行っている。2024年3月31日に終了する事業年度の貸借対照表に計上されている固定資産13,005百万円には医薬品事業に係る資産及び共用資産の金額である固定資産4,232百万円が計上されており、総資産の12.1%を占めている。

【注記事項】(重要な会計上の見積り)「2 固定資産の減損損失の認識要否」に記載されているとおり、会社は固定資産のグルーピングを管理会計上の区分に基づき、独立したキャッシュ・フローを生み出す最小単位でグルーピングを行っている。また、共用資産については、共用資産を含む、より大きな単位でグルーピングを行っている。会社は医薬品事業を1つの資産グループとして識別している。営業活動から生じる損益が継続してマイナスとなっている等により減損損失の兆候があると認められる場合には、資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することによって減損損失の認識の要否を判定し、減損損失の認識が必要とされた場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上している。

会社のジェネリック医薬品においては、オーソライズドジェネリックも含めた市場競争の激化や、2021年から始まった薬価の中間年改定等の影響で厳しい事業環境となっている。当事業年度は、2023年4月に実施された薬価の中間年改定や前事業年度に行った出荷調整が上期業績に影響したことにより、売上高は前事業年度比で減少した。これに加え、画期的新薬の開発を目指しており、研究開発費の負担が増えたことから、営業活動から生じる損益は継続してマイナスとなっており、医薬品事業に係る資産及び共用資産を含む、より大きな単位において減損損失の兆候が認められる。

減損損失の認識の判定において、割引前将来キャッシュ・フローの総額が当事業年度末時点での医薬品事業に係る資産及び共用資産の固定資産計上額を上回ることから、会社は減損損失を認識していない。

割引前将来キャッシュ・フローの見積りは、取締役会で承認された中期経営計画を基礎として算定されるが、ジェネリック医薬品における既存製品の薬価の推移や新製品の市場規模とその薬価、競合の状況、新薬の研究開発の進捗状況、臨床検査薬の主力品であるアレルギースクリーニング機器・試薬「ドロップスクリーン」の販売推移等の重要な仮定には不確実性を伴うため、これらの経営者による判断が割引前将来キャッシュ・フローの見積りに重要な影響を及ぼす。また、主要な資産である研究所等の土地及び建物の公正価値に使用される不動産鑑定評価額の算定には、評価に関する高度の専門知識を必要とする。

重要な仮定に関する不確実性及び経営者による主観的判断を伴い不確実性が高い領域であること、減損損失が計上された場合には金額的重要性が高く会社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があることから、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項とした。

 当監査法人は、固定資産の減損損失の認識要否に関する判断の妥当性を評価するため、主に以下の監査手続を実施した。

 

(1)内部統制の評価

固定資産の減損損失の認識要否の判定に関する内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。

 

(2)固定資産の減損損失の認識要否に関する判断の妥当性の評価

 固定資産の減損損失の認識要否に関する判断の妥当性を評価するため、それらの根拠について経営者等に対して質問を実施するとともに、主に以下の手続を実施した。

・資産のグルーピングが適切に実施されているか検討するため、会社のグルーピング方針を検討した。

・将来キャッシュ・フローの見積期間について、主要な資産が土地であることの合理性を検討するために、土地の用途の理解及び有形固定資産帳簿価額合計額に対する土地帳簿価額の重要性を評価した。

・減損損失の認識の基礎となる割引前将来キャッシュ・フローと取締役会で承認された中期経営計画との整合性を確かめた。また、前事業年度における事業計画と実績との比較分析を実施し、計画の精度を評価した。

・中期経営計画のジェネリック医薬品における主要製品の薬価の推移、新製品における先発品の市場規模に加え、参入するメーカー数やオーソライズドジェネリックの発売可能性及び薬価の予測について、利用可能な外部データとの整合性、販売数量の計画と実績との比較分析による検証を実施した。

・会社が見積った新薬の研究開発に伴う支出について、関連する契約書等の外部証憑との整合性を検証した。ライセンス契約は契約相手先のホームページで開示されている開発の進捗状況との整合性を確かめた。

・中期経営計画における臨床検査薬の主力品であるアレルギースクリーニング機器・試薬「ドロップスクリーン」の販売価格の合理性、市場規模、機器設置台数及び試薬販売数量の予測について、利用可能な外部データとの整合性、販売数量の計画と実績との比較分析による検証を実施した。

・割引前将来キャッシュ・フローの総額に含まれる不動産鑑定評価額の検討において、経営者が利用した外部専門家の適性、能力及び客観性を評価するとともに、鑑定評価額の前提条件及び採用した鑑定評価手法、鑑定評価額算定に至る判断過程を評価した。

 

 

 

その他の記載内容

その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。

財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。

当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。

その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。

 

財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任

経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。

財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。

監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある

 

財務諸表監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。

・ 財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。

・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。

・ 経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。

・ 財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。

監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。

 

<報酬関連情報>

報酬関連情報は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている。

 

利害関係

会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。

以 上

 

 

(注) 1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。

  2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。

 

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