(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用情勢の改善がみられ、緩やかな回復基調が続きました。一方で、海外経済は、米国の金融政策が正常化するなど全体としては緩やかに回復しましたが、中国を始めとするアジア新興国や資源国等の景気に減速傾向がみられるほか、年明けから急速に進んだ円高による企業業績への影響が懸念されるなど、先行き不透明な状況が続いております。
臨床検査薬業界におきましては、国内の医療費抑制策により厳しい経営環境が続き、各企業はより一層のコスト競争力と積極的な海外展開が求められる状況となっております。
このような経営環境の下、当社グループは新経営構想“EIKEN ROAD MAP 2009”の方針に基づいて、国内での主力製品の売上拡大に努めるとともに、海外での便潜血検査用試薬・装置の市場展開のさらなる加速、遺伝子検査(LAMP法)製品のグローバル展開、中国での生産・販売体制の強化など、グループ全体でのグローバル化を推進してまいりました。
これらの結果といたしまして、当連結会計年度の売上高は、便潜血検査用試薬・装置を中心に海外向け売上高が大きく伸び、321億63百万円(前期比3.7%増)となりました。
製品の種類別区分ごとの売上高では、微生物検査用試薬は薬剤感受性検査用試薬が伸びたものの、生培地や迅速検査試薬の売上が減少し、46億3百万円(同1.1%減)となりました。尿検査用試薬は尿試験紙「ウロペーパー」及び「ウロペーパーα」の売上がともに大きく伸び、23億2百万円(同7.8%増)となりました。免疫血清学的検査用試薬は、ヘリコバクター・ピロリ抗体検査用試薬及び便潜血検査用試薬の売上が伸長し、181億40百万円(同4.1%増)となりました。生化学的検査用試薬は6億43百万円(同2.4%減)、器具・食品環境関連培地は22億33百万円(同3.9%減)と、価格競争等により伸び悩みました。その他(医療機器・遺伝子関連等)は、医療機器及び遺伝子検査(LAMP法)試薬の売上が伸長し、42億40百万円(同11.2%増)となりました。
海外向け売上高については、大腸がんスクリーニング検査の拡大に伴い、便潜血検査用試薬・装置の売上が大きく伸長したほか、尿検査用試薬・装置の売上が貢献し、34億98百万円(同29.4%増)となりました。
利益面では、自社製品の製造原価の低減、経費の効率的な使用に努めたことにより、営業利益は35億36百万円(同25.1%増)、経常利益は35億70百万円(同18.5%増)となりました。なお、親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失として野木工場の新製造棟建設に伴う解体費用等1億83百万円を計上し、24億29百万円(同15.7%増)となりました。
※前連結会計年度まで製品の種類別区分の名称として表示しておりました「一般検査用試薬」は当連結会計年度より「尿検査用試薬」に表示を変更しております。これは、表示のみの変更であり、製品の種類別区分の内容に変更はありません。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ15億2百万円減少し、当連結会計年度末には50億74百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金は、31億15百万円の増加(前連結会計年度は33億93百万円の増加)となりました。これは主に、退職給付に係る資産の増加により2億24百万円の減少、売上債権の増加により4億81百万円の減少、仕入債務の増加により3億45百万円の増加及び、税金等調整前当期純利益が33億90百万円あったことによります。
なお、減価償却費は14億30百万円発生しております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金は、37億37百万円の減少(前連結会計年度は66億52百万円の減少)となりました。これは主に、生産設備等の設備投資による有形固定資産の取得による支出が30億97百万円あったことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金は、8億69百万円の減少(前連結会計年度は11億7百万円の減少)となりました。これは主に、配当金の支払が6億94百万円あったことによります。
当社グループは、検査薬事業のみの単一セグメントであるため、生産、受注及び販売の状況については製品の種類別区分ごとに記載しております。
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績を製品の種類別区分ごとに示すと、次のとおりであります。
|
製品の種類別区分の名称 |
当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
微生物検査用試薬(百万円) |
4,075 |
101.5 |
|
尿検査用試薬(百万円) |
2,459 |
97.3 |
|
免疫血清学的検査用試薬(百万円) |
7,599 |
106.7 |
|
生化学的検査用試薬(百万円) |
34 |
79.8 |
|
器具・食品環境関連培地(百万円) |
287 |
91.9 |
|
その他(百万円) |
650 |
140.3 |
|
合計(百万円) |
15,106 |
104.3 |
(注)1.金額は、売価換算値で表示しております。
2.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績を製品の種類別区分ごとに示すと、次のとおりであります。
|
製品の種類別区分の名称 |
当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
微生物検査用試薬(百万円) |
558 |
87.3 |
|
尿検査用試薬(百万円) |
16 |
85.8 |
|
免疫血清学的検査用試薬(百万円) |
7,736 |
106.5 |
|
生化学的検査用試薬(百万円) |
306 |
100.6 |
|
器具・食品環境関連培地(百万円) |
1,637 |
90.4 |
|
その他(百万円) |
2,576 |
116.3 |
|
合計(百万円) |
12,832 |
104.7 |
(注)本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3)受注状況
生産計画による見込生産を行っているため、受注生産は行っておりません。
(4)販売実績
当連結会計年度における販売実績を製品の種類別区分ごとに示すと、次のとおりであります。
|
製品の種類別区分の名称 |
当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
微生物検査用試薬(百万円) |
4,603 |
98.9 |
|
尿検査用試薬(百万円) |
2,302 |
107.8 |
|
免疫血清学的検査用試薬(百万円) |
18,140 |
104.1 |
|
生化学的検査用試薬(百万円) |
643 |
97.6 |
|
器具・食品環境関連培地(百万円) |
2,233 |
96.1 |
|
その他(百万円) |
4,240 |
111.2 |
|
合計(百万円) |
32,163 |
103.7 |
(注)1.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
㈱スズケン |
4,475 |
14.4 |
4,677 |
14.5 |
|
東邦薬品㈱ |
4,285 |
13.8 |
4,564 |
14.2 |
|
アルフレッサ㈱ |
3,725 |
12.0 |
3,594 |
11.2 |
(1) 当社グループは、当連結会計年度において、グローバル企業“EIKEN”の実現に向けて、以下の重点課題について、次のように取り組んでまいりました。
①グローバル化の推進
前連結会計年度に採用となったフランス政府やスペインのマドリード・バルセロナが実施する大腸がんスクリーニング検査が売上に大きく貢献いたしました。そのほか、北米、アジアでの便潜血検査用試薬・装置の展開、イタリアでの尿検査用試薬・装置の販売拡大に注力いたしました。また、海外市場の尿定性検査事業において、さらなるシェア拡大を図るべく、シスメックス株式会社と業務提携いたしました。
FIND(Foundation for Innovative New Diagnostics)との共同開発として取り組んでおりますLAMP法を用いた結核菌群検出試薬については、グローバル展開に向けて準備を進めました。
②独自技術及び研究開発力の強化
当連結会計年度に発売を計画していた迅速検査用試薬や遺伝子検査用試薬、検査装置の開発などを推進いたしました。その結果といたしまして、イムノクロマト法による迅速検査キット(イムノキャッチシリーズ)として、「イムノキャッチ‐RSV」を2015年8月に、「イムノキャッチ‐肺炎球菌」を2016年1月に発売いたしました。さらに、百日咳菌遺伝子検出試薬としては日本で初めての体外診断用医薬品となる「Loopamp百日咳菌検出試薬キットD」を2015年12月に発売いたしました。また、免疫血清学的検査用試薬では、間質性肺炎の検査用試薬「LZテスト‘栄研’KL-6」を2016年2月に発売いたしました。
③生産性の向上
製造原価低減に継続して取り組み、売上原価率は前期比で0.2ポイント低下いたしました。
当社グループは、工場建設、製造設備の更新による生産性の向上に取り組んでおります。当連結会計年度においては、2015年6月に野木事業所内にエネルギー棟を新設したほか、尿検査用試薬等の生産能力増強のため、新規製造設備の導入と新製造棟の建設を開始いたしました。
④人財の育成と活用
前連結会計年度において立案した基幹人材育成プログラムに基づき、グローバル人財の育成に向けた研修を実施いたしました。
⑤社会的責任の実践と社会との調和
マイナンバー(社会保障・税番号)制度への対応として、社内の情報管理体制を整備いたしました。コーポレートガバナンス・コードへの対応については、コードの各原則の実施に関する開示や説明についてコーポレートガバナンス報告書に記載し、当社ウェブサイト及び東京証券取引所で閲覧できるよう開示しております。また、一般社団法人日本臨床検査薬協会の「企業活動と医療機関等の関係の透明性ガイドライン」に基づいて定めた「医療機関等との関係の透明性に関する指針」に基づき、2014年度分(2014年4月1日から2015年3月31日まで)の医療機関及び医療関係者への資金提供に関する情報を当社ウェブサイトに公開いたしました。
環境マネジメントシステムといたしまして、環境プログラムを作成し、省エネルギー・省資源活動、環境配慮型製品の提供に向けた活動を継続して実施いたしました。
リスクマネジメント活動といたしまして、情報漏洩防止に対するシステム監視を強化するとともに、従業員への指導及び周知徹底を図りました。
(2) 当社グループは、経営戦略の実行において、以下の点を重点課題として捉え、これらを行動計画に落とし、グローバル企業“EIKEN”の実現に向けて推進してまいります。
①国内市場での自社製品のシェアアップ
②グローバル展開の加速
③研究開発力の強化
④経営効率を高めるための基盤整備
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、以下のようなものがあります。
なお、これらのほかにも現在及び将来において、財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性のある様々なリスクが存在しており、ここに記載されたリスクは当社グループのすべてのリスクではありません。また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①医療費抑制策
日本では医療費抑制策のため、医療制度改革が継続して実施されております。今後もこれらの医療費抑制策が推進された場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
②企業間の研究開発・販売競争
当社グループは、迅速かつ効率的な研究開発に努め、新製品開発及び製品の改良を行っておりますが、臨床検査薬業界は技術革新に伴う開発競争が激しく、他社製品との間に研究開発・販売競争が継続的に展開されております。競争の結果によっては財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
③品質問題
当社グループは、医薬品医療機器法関連法令及び品質マネジメントシステム(ISO13485)に基づいて、厳格な品質管理のもとに製品の品質保証に取り組んでおります。しかしながら、万一製品に重大な品質問題が発生した場合には、製造中止や回収等の措置を取る可能性があり、売上の減少、コストの増加などにより、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
④ITシステム障害
当社グループは、業務上、各種ITシステムを使用しており適切に運用管理しておりますが、災害等のシステム障害や回線障害、あるいはコンピュータウイルスによる障害が発生した場合には、業務に影響を与える可能性があります。
⑤工場の操業停止
当社グループの工場及び製造委託先の工場において、火災、地震等の災害や重大な設備事故、技術上の問題、使用原材料の供給停止等が発生した場合には、事業活動の停止、制約等により製品供給に支障をきたし、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
⑥海外事業展開に関するリスク
当社グループは、販売活動のグローバル展開を積極的に推進しております。これらのグローバル事業を展開するにあたっては、法規制の改正・規制強化、政情不安または経済要因、為替の変動、戦争・テロ・暴動・疫病その他の要因による社会的混乱等のリスクが内在しております。これらの事態が発生した場合には、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
⑦知的財産権に関するリスク
当社グループの製品は、特許、実用新案等によって一定期間保護されております。当社グループでは、特許権、実用新案権を含む知的財産権を厳重に管理し、第三者からの侵害、あるいは当社グループの製品が第三者の知的財産権を侵害するおそれについても常に監視しておりますが、当社グループの保有する知的財産権が第三者から侵害を受けた場合、あるいは当社グループの製品が第三者の知的財産権を侵害した場合には、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
業務提携契約
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契約会社名 |
内容 |
契約日 |
有効期限 |
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大塚製薬㈱ |
臨床検査市場において、両社が競争力を強化し、メリットを享受できるための販売・市場育成、研究開発、技術の相互利用及び、両社の信頼・協力関係を深め、業務提携をより円滑に進めることを目的とする当社への資本参加を含めた業務提携契約。 |
2006年9月7日 |
業務提携契約 5年間 ※期間終了後、1年毎 の更新 |
「日本経済再生の柱として、医療、医薬品、医療機器を戦略産業として育成する」という政府方針のもとで日本発の技術輸出が求められる中、グローバル製品の開発を最重要課題として市場動向の把握に努め、既存の大型製品群の強化充実並びに独自技術と研究開発力の強化による製品開発を推進してまいりました。
遺伝子検査試薬では、FINDとの共同開発による途上国向け結核菌検出試薬として「Loopamp 結核菌群検出試薬キット」と「Loopamp PURE DNA抽出キット」を既に国内で発売しておりますが、世界市場への展開のためWHOの推奨を取得すべく、14か国での追加評価試験データーをWHOへ提出いたしました。また、ニプロ株式会社と共同で当社の結核菌群検出試薬とニプロ株式会社の耐性結核菌遺伝子検出試薬をパッケージとしてフィリピン共和国を対象に「日本の技術による新たな結核診断アルゴリズム普及促進事業」を提案し、独立行政法人国際協力機構の「開発途上国の社会・経済開発のための民間技術普及促進事業」に採択されました。そのほか研究用試薬としては、DNA増幅乾燥試薬「LoopampDNA増幅試薬D」およびRNA/ DNA増幅乾燥試薬「LoopampRNA/DNA増幅試薬D」を平成27年4月に、さらに百日咳菌遺伝子検出試薬としては、日本ではじめての体外診断用医薬品となる「Loopamp百日咳菌検出試薬キットD」を平成27年12月に発売いたしました。また、「Near the patient」という医療ニーズに対応するための小型全自動遺伝子検査装置および多項目遺伝子検査チップは、先ずは呼吸器感染症を対象に早期の製品化を目指して取り組んでおります。
免疫血清学的検査用試薬では、平成24年8月に発売済みの生物発光酵素免疫測定法(BLEIA法)を測定原理とした糞便中のノロウイルス検出試薬につきまして、体外診断用医薬品として製造販売承認を取得し、新たに「BLEIA‘栄研’NV」として平成27年8月に発売いたしました。また、間質性肺炎のマーカーであるKL-6を測定するラテックス汎用試薬「LZテスト‘栄研’KL-6」を平成28年2月に発売いたしました。
微生物学的検査用試薬では、イムノクロマト法を原理とした迅速検査製品としてRSウイルス検出試薬「イムノキャッチ-RSV」を平成27年8月に、肺炎球菌検出試薬「イムノキャッチ-肺炎球菌」を平成28年1月に発売いたしました。また、動物用体外診断用医薬品として適切な薬剤選択のためのオルビフロキサシン感受性ディスク「VKBディスク‘栄研’オルビフロキサシン」を平成28年1月に発売いたしました。
便潜血検査用試薬では、用手法の試薬である「OC-Light S FIT」を米国向けに平成28年1月に発売いたしました。また、大腸がん検診のOTC化および海外展開をにらみ、採便容器からの便希釈液を安全、簡単に滴下できる「H採便容器」を平成27年12月に発売いたしました。
大塚製薬株式会社とは業務提携契約に基づき、両社が補完できる領域を中心に共同開発を引き続き検討中であります。
なお、当連結会計年度における研究開発の総額は22億72百万円となりました。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されており、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は以下のとおりであります。
当社経営陣は、連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発資産・負債の開示、並びに報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行わなければなりません。経営陣は、貸倒債権、売上戻り品、退職金、投資、偶発事象や訴訟等に関する見積り及び判断に対して、継続して評価を行っております。経営陣は、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行い、その結果は、他の方法では判定しにくい資産・負債の簿価及び収入・費用の報告数字についての判断の基礎となります。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社は、特に以下の重要な会計方針が、当社の連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
①貸倒引当金
当社グループは、顧客の支払不能時に発生する損失の見積額について、貸倒引当金を計上しております。顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
②返品調整引当金
当社グループは、売上げた製品及び商品が、品質上の欠陥等の理由で、販売先から返送される見積額について、返品調整引当金を計上しております。返品調整引当金の見積りは、過去の実績に基づいておりますが、実際の返品率が見積りと異なる場合、見積額の修正が必要となる可能性があります。
③退職給付費用
当社においては従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、将来の給与水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の収益率などが含まれます。当社の年金制度においては、割引率は日本の国債の市場利回りを参考値として、在籍従業員の平均残存勤務期間内の一定の年数で算出しております。期待収益率は、年金資産が投資されている資産の種類毎の期待収益率の加重平均に基づいて計算しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。また、割引率の低下及び年金資産運用での損失は、当社グループの退職給付費用に対して悪影響を及ぼす可能性があります。
④投資の減損
当社グループは、取引関係維持のために、特定の顧客及び金融機関の株式を保有しております。これらの株式には価格変動性が高い公開会社の株式と、株価の決定が困難である非公開会社の株式が含まれます。当社グループは投資価値が著しく下落し、回復の見込みがないと判断した場合、投資の減損を計上しております。将来の市況悪化または投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失または簿価の回収不能が発生した場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。
⑤固定資産の減損
固定資産については、その資産から将来生み出されると期待される割引前のキャッシュ・フローが帳簿価額を下回っている場合に減損していると判断しております。減損が発生していると判断した場合は、当該資産の帳簿価額が公正価値を超過している額に基づいて損失額を算出しております。
(2)業績報告
①売上高
売上高は321億63百万円(前年同期比3.7%増)、前連結会計年度に比べ11億48百万円の増収となりました。
微生物検査用試薬は46億3百万円(同1.1%減)、尿検査用試薬は23億2百万円(同7.8%増)、免疫血清学的検査用試薬は181億40百万円(同4.1%増)、生化学的検査用試薬は6億43百万円(同2.4%減)、器具・食品環境関連培地は22億33百万円(同3.9%減)、その他(医療機器・遺伝子関連等)は42億40百万円(同11.2%増)となりました。
②売上原価、販売費及び一般管理費
製造原価の低減に努めた結果、売上原価は187億61百万円、売上原価率は58.3%となり、前連結会計年度に比べ0.2ポイント低下いたしました。
販売費及び一般管理費については、全般的な経費の効率的な使用に努め、前連結会計年度に比べ1億74百万円減少し、98億66百万円となりました。
③営業利益
売上総利益が5億34百万円増加し、営業利益は前連結会計年度に比べ7億9百万円増加し、35億36百万円となりました。
売上高営業利益率は11.0%となり前連結会計年度に比べ1.9ポイント上昇いたしました。
④営業外収益(費用)
営業外収益は90百万円を計上し、前連結会計年度に比べ1億22百万円減少いたしました。
営業外費用は56百万円を計上し、前連結会計年度に比べ30百万円増加いたしました。
⑤経常利益
経常利益は営業外収支で34百万円を計上し、35億70百万円となり、前連結会計年度に比べ5億56百万円増加いたしました。経常利益率は1.4ポイント上昇し、11.1%となりました。
⑥特別利益(損失)
特別利益は2百万円を計上し、前連結会計年度に比べ2百万円減少いたしました。
特別損失は1億83百万円を計上し、前連結会計年度に比べ1億68百万円増加いたしました。
⑦税金等調整前当期純利益
税金等調整前当期純利益は特別収支で1億80百万円減収となり、33億90百万円となりました。
⑧法人税、住民税及び事業税
税金等調整前当期純利益に対する法人税、住民税及び事業税の負担率は前連結会計年度30.09%に対して当連結会計年度が28.34%となり、1.8ポイント低下いたしました。
⑨親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ3億29百万円増加し、24億29百万円となり、当期純利益率としては0.8ポイント上昇し7.6%となりました。
また、1株当たり当期純利益金額は前連結会計年度115円13銭に対し、当連結会計年度は132円85銭となりました。
(3)資本の財源及び流動性についての分析
①キャッシュ・フロー
当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは、前連結会計年度より2億77百万円減少し31億15百万円のキャッシュを得ております。これは主に、退職給付に係る資産の増加により2億24百万円の減少、売上債権の増加により4億81百万円の減少、仕入債務の増加により3億45百万円の増加及び、税金等調整前当期純利益が33億90百万円あったことによります。
投資活動によるキャッシュ・フローでは、当連結会計年度は37億37百万円のキャッシュを使用しております。これは主に、生産設備等の設備投資による有形固定資産の取得による支出が30億97百万円あったことによります。
財務活動によるキャッシュ・フローでは、当連結会計年度は8億69百万円のキャッシュを使用しております。これは主に、配当金の支払が6億94百万円あったことによります。
これらの活動の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末の65億77百万円から15億2百万円減少し、50億74百万円となりました。
②資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループ製品製造のための原材料の購入のほか、製造経費、販売費及び一般管理費の営業費用によるものであります。営業費用の主なものは研究開発費及び人件費、販売促進のためのマーケティング費用であります。当社グループを挙げて売上原価低減及びコスト削減に取り組んでおり、キャッシュ・フローの向上に努めております。
③財務政策
当社グループの財務政策における基本方針は、総資産の圧縮及び資本効率の向上による財務体質の強化であり、継続的に実行しております。
また、資金の調達及び運用については、当社グループとして一体となり実行しており当社の信用力を最大限に活用しております。運転資金及び減価償却費の範囲内における設備投資については、基本的に手持資金(利益等の内部留保資金)にて調達しております。なお、運転資金の効率的な調達を行うため金融機関との間で、総額54億円の当座貸越契約及び貸出コミットメント契約を締結しております。余剰資金の運用については、安全性・流動性の高い金融商品にて実行しております。当社グループの高いキャッシュポジションに対して、今後の効率的・戦略的な資金運用を検討しております。
当社グループは、その健全な財務状態、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出す能力、売掛債権信託(債権流動化)及び貸出コミットメント契約により、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが可能と考えております。