第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善など緩やかな回復基調が続いたものの、株価や為替の不安定な動きを背景に、企業収益の改善に足踏みがみられました。海外経済は、中国を始めとするアジア新興国の景気減速の懸念に加え、イギリスのEU離脱問題、米国の新政権の政策動向など、政治・経済動向による変動リスクから、先行きが不透明な状況が続いています。

臨床検査薬業界におきましては、医療制度改革が進められる中で平成28年度診療報酬改定が実施され、検体検査実施料は全体でマイナス0.4%程度と小幅な下げにとどまりました。海外においては、先進国における医療費抑制のための効率化のニーズや予防医学の拡大、新興国における人口の増加と経済発展に伴う医療インフラの整備など、今後も継続的な成長が期待されています。

このような経営環境の下、当社グループは新経営構想“EIKEN ROAD MAP 2009”の方針に基づいてグループ中期経営計画を策定し、国内での主力製品の売上拡大に努めるとともに、海外市場では便潜血検査、免疫血清学的検査、尿検査、遺伝子検査の4つを重点事業分野として、グループ全体でグローバル化を推進してまいりました。

これらの結果といたしまして、当連結会計年度の売上高は、海外向けの売上が伸びたほか、国内においては迅速検査キット(イムノキャッチシリーズ)の大きな伸びに加え、便潜血検査用試薬、尿試験紙、遺伝子検査(LAMP法)試薬が売上を牽引し、332億74百万円(前期比3.5%増)となりました。

製品の種類別区分ごとの売上高では、微生物検査用試薬は、迅速検査キット(イムノキャッチシリーズ)の売上が大きく伸び、50億64百万円(同10.0%増)となりました。尿検査用試薬は国内及び海外向けの尿試験紙の売上が伸び、24億48百万円(同6.4%増)となりました。免疫血清学的検査用試薬は、国内で便潜血検査用試薬の売上が伸びたものの、東ソー株式会社から導入・販売しているAIA関連試薬、海外向けの便潜血検査用試薬の売上が伸び悩み、180億49百万円(同0.5%減)となりました。生化学的検査用試薬及び器具・食品環境関連培地は売上が伸びず、それぞれ6億11百万円(同4.9%減)、21億98百万円(同1.6%減)となりました。その他(医療機器・遺伝子関連等)は、遺伝子検査(LAMP法)試薬及び特許料収入が増加したことに加えて、海外向けの医療機器の売上が大きく伸び、49億1百万円(同15.6%増)となりました。

海外向け売上高につきましては、便潜血検査用試薬の売上が伸び悩んだものの、尿検査用試薬・装置の売上が伸び、40億86百万円(同16.8%増)となりました。

利益面では、自社製品の製造原価の低減、経費の効率的な使用に努め、また、当連結会計年度に見込んでいた研究開発費が平成30年3月期にずれ込んだため、営業利益は39億76百万円(同12.4%増)、経常利益は41億12百万円(同15.2%増)となりました。なお、親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失として退職給付制度終了損1億34百万円を計上したこと等により、29億18百万円(同20.1%増)となりました。

 

(2)キャッシュ・フロー

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ19億9百万円増加し、当連結会計年度末には69億84百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金は、47億1百万円の収入(前連結会計年度は31億15百万円の収入)となりました。これは主に、退職給付に係る資産の増加により1億55百万円の支出、売上債権の増加により1億25百万円の支出、たな卸資産の増加により2億62百万円の支出、仕入債務の増加により3億88百万円の収入及び、税金等調整前当期純利益が38億45百万円あったことによります。

なお、減価償却費は15億63百万円発生しております。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金は、18億76百万円の支出(前連結会計年度は37億37百万円の支出)となりました。これは主に、生産設備等の設備投資による有形固定資産の取得による支出が18億98百万円あったことによります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金は、9億10百万円の支出(前連結会計年度は8億69百万円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払が7億32百万円あったことによります。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

当社グループは、検査薬事業のみの単一セグメントであるため、生産、受注及び販売の状況については製品の種類別区分ごとに記載しております。

 

(1)生産実績

当連結会計年度における生産実績を製品の種類別区分ごとに示すと、次のとおりであります。

製品の種類別区分の名称

当連結会計年度

(自 平成28年4月1日

  至 平成29年3月31日)

前年同期比(%)

微生物検査用試薬(百万円)

4,366

107.1

尿検査用試薬(百万円)

2,407

97.9

免疫血清学的検査用試薬(百万円)

7,134

93.9

生化学的検査用試薬(百万円)

30

89.6

器具・食品環境関連培地(百万円)

254

88.6

その他(百万円)

739

113.8

合計(百万円)

14,933

98.9

(注)1.金額は、売価換算値で表示しております。

2.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)商品仕入実績

当連結会計年度における商品仕入実績を製品の種類別区分ごとに示すと、次のとおりであります。

製品の種類別区分の名称

当連結会計年度

(自 平成28年4月1日

  至 平成29年3月31日)

前年同期比(%)

微生物検査用試薬(百万円)

635

113.8

尿検査用試薬(百万円)

22

141.2

免疫血清学的検査用試薬(百万円)

7,891

102.0

生化学的検査用試薬(百万円)

312

102.1

器具・食品環境関連培地(百万円)

1,545

94.3

その他(百万円)

2,977

115.6

合計(百万円)

13,385

104.3

(注)本表の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3)受注状況

生産計画による見込生産を行っているため、受注生産は行っておりません。

 

(4)販売実績

当連結会計年度における販売実績を製品の種類別区分ごとに示すと、次のとおりであります。

製品の種類別区分の名称

当連結会計年度

(自 平成28年4月1日

  至 平成29年3月31日)

前年同期比(%)

微生物検査用試薬(百万円)

5,064

110.0

尿検査用試薬(百万円)

2,448

106.4

免疫血清学的検査用試薬(百万円)

18,049

99.5

生化学的検査用試薬(百万円)

611

95.1

器具・食品環境関連培地(百万円)

2,198

98.4

その他(百万円)

4,901

115.6

合計(百万円)

33,274

103.5

(注)1.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

㈱スズケン

4,677

14.5

4,677

14.1

東邦薬品㈱

4,564

14.2

4,507

13.5

アルフレッサ㈱

3,594

11.2

3,639

10.9

 

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは、「ヘルスケアを通じて人々の健康を守ります。」を経営理念としております。この理念のもと、経営ビジョンとして「EIKENグループは、人々の健康を守るために、検査のパイオニアとしてお客様に信頼される製品・サービスを提供し、企業価値の向上を図ります。」を掲げ、グループ全体でこの経営ビジョンを実践することにより持続的な企業価値の向上を図り、取引先の繁栄と株主への責務を果たしてまいります。

(2) 経営戦略等

当社グループは、便潜血検査用試薬・装置、尿検査用試薬・装置、遺伝子検査(LAMP法)試薬・装置、免疫血清学的検査用試薬(LZテスト)の4つの製品群を重点事業分野として注力し、国内市場で安定的な成長を図るとともに、海外展開を加速させます。

研究開発では、産・官・学連携を強化し、重点事業分野を中心に競争力の高い次世代製品の開発を進めてまいります。また、収益基盤の強化として、これまで培ってきた多品種少量生産のノウハウを深化させ、生産性の向上を図るとともに、グローバル展開を支えるための販売拠点の整備、生産設備の増強、ITシステムの見直しなど、戦略的な投資を順次実施してまいります。

(3) 経営上の目標の達成状態を判断するための客観的な指標等

当社グループは、平成21年3月に策定した新経営構想「EIKEN ROAD MAP 2009」の基本方針に従い重点施策を設定し、中期経営計画におきまして、平成31年3月期を最終年度として、売上高378億80百万円、営業利益47億円、ROE10.4%を達成することを目指しております。

(4) 経営環境

わが国の経済情勢は、中国経済の減速や米国の新政権の政策動向等により、企業の警戒感は根強く、慎重姿勢が続くものと考えられます。国内においては、地域包括ケアシステムの推進と医療の機能分化を促進させるための施策が取られており、病院の機能分化はより一層進展していくことが予想されます。海外においては、先進国における医療費抑制のための効率化のニーズや予防医学の拡大、新興国における人口の増加と経済発展に伴う医療インフラの整備など、今後も継続的な成長が期待されております。

このような環境の中、当社グループは、平成21年3月に策定した新経営構想「EIKEN ROAD MAP 2009」の基本方針のもと、グローバル展開を柱としたグループ中期経営計画(平成29年3月期から平成31年3月期)を着実に推進してまいります。

(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題

① 当社グループは、当連結会計年度において、グローバル企業“EIKEN”の実現に向けて、以下の重点課題について、次のように取り組んでまいりました。

(ア) 国内市場での自社製品のシェアアップ

当社の主力製品である便潜血検査用試薬について、便潜血測定装置「OCセンサーPLEDIA(プレディア)」の設置を推進し、新規採用先の拡大に向けて注力したほか、大腸がん検診の受診率アップのための啓発活動を展開いたしました。また、イムノクロマト法による迅速検査キット(イムノキャッチシリーズ)について、「イムノキャッチ-レジオネラ」、「イムノキャッチ-肺炎球菌」を中心に販売を推進いたしました。

(イ) グローバル展開の加速

米国では平成28年6月に大腸がんスクリーニングに関する新ガイドラインが発行されたことを受けて、便潜血検査用試薬・装置の採用拡大に注力いたしました。また、欧州を中心に各国で大腸がん国家スクリーニング獲得に向けた活動を継続し、中東ではカタールで国家スクリーニングを獲得いたしました。FIND(Foundation for Innovative New Diagnostics)と共同開発していたLAMP法を用いた結核遺伝子検査法がWHOの推奨を受けて、POLICY GUIDANCEが発行されました。また、ドイツのHUMAN Gesellschaft fuer Biochemica und Diagnostica mbHと結核遺伝子検査薬及びマラリア遺伝子検査薬について、グローバル販売契約を締結し、販売を開始いたしました。平成29年2月には、当社が提案しておりましたタイでの「大腸がん集団検診普及促進事業」が、独立行政法人国際協力機構(JICA)の民間技術普及促進事業において採択されました。

(ウ) 研究開発力の強化

技術のブラッシュアップによる製品の改良を進め、尿自動分析装置「US-1000」の後継機種「US-1200」を平成28年8月に発売いたしました。また、LAMP 法による百日咳菌核酸キット「Loopamp百日咳菌検出試薬キットD」が平成28年11月に保険収載されました。

 

(エ) 経営効率を高めるための基盤整備

野木事業所内の尿検査用試薬等の生産能力増強のための新製造棟の建設は予定どおり進捗し、平成28年10月に完成いたしました。平成29年9月稼働に向けて、引き続き準備を進めております。さらに、便潜血検査用試薬、LZ試薬のグローバル展開拡大に向けた増産体制として那須第二工場の増改築を実施いたしました(平成29年3月完成、4月より稼働開始)。また、全社最適化による経営効率の向上として、IT中期計画を策定いたしました。

② 当社グループは、経営戦略の実行において、以下の点を引き続き重点課題として捉え、これらを行動計画に展開して、グローバル企業“EIKEN”の実現に向けて推進してまいります。

(ア) 国内市場での自社製品のシェアアップ

(イ) グローバル展開の加速

(ウ) 研究開発力の強化

(エ) 経営効率を高めるための基盤整備

 

 

4【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、以下のようなものがあります。

なお、これらのほかにも現在及び将来において、財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性のある様々なリスクが存在しており、ここに記載されたリスクは当社グループのすべてのリスクではありません。また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

①医療費抑制策

日本では医療費抑制策のため、医療制度改革が継続して実施されております。今後もこれらの医療費抑制策が推進された場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

②企業間の研究開発・販売競争

当社グループは、迅速かつ効率的な研究開発に努め、新製品開発及び製品の改良を行っておりますが、臨床検査薬業界は技術革新に伴う開発競争が激しく、他社製品との間に研究開発・販売競争が継続的に展開されております。競争の結果によっては財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

③品質問題

当社グループは、医薬品医療機器法関連法令及び品質マネジメントシステム(ISO13485)に基づいて、厳格な品質管理のもとに製品の品質保証に取り組んでおります。しかしながら、万一製品に重大な品質問題が発生した場合には、製造中止や回収等の措置を取る可能性があり、売上の減少、コストの増加などにより、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

④ITシステム障害

当社グループは、業務上、各種ITシステムを使用しており適切に運用管理しておりますが、災害等のシステム障害や回線障害、あるいはコンピュータウイルスによる障害が発生した場合には、業務に影響を与える可能性があります。

⑤工場の操業停止

当社グループの工場及び製造委託先の工場において、火災、地震等の災害や重大な設備事故、技術上の問題、使用原材料の供給停止等が発生した場合には、事業活動の停止、制約等により製品供給に支障をきたし、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

⑥海外事業展開に関するリスク

当社グループは、販売活動のグローバル展開を積極的に推進しております。これらのグローバル事業を展開するにあたっては、法規制の改正・規制強化、政情不安または経済要因、為替の変動、戦争・テロ・暴動・疫病その他の要因による社会的混乱等のリスクが内在しております。これらの事態が発生した場合には、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

⑦知的財産権に関するリスク

当社グループの製品は、特許、実用新案等によって一定期間保護されております。当社グループでは、特許権、実用新案権を含む知的財産権を厳重に管理し、第三者からの侵害、あるいは当社グループの製品が第三者の知的財産権を侵害するおそれについても常に監視しておりますが、当社グループの保有する知的財産権が第三者から侵害を受けた場合、あるいは当社グループの製品が第三者の知的財産権を侵害した場合には、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

業務提携契約

契約会社名

内容

契約日

有効期限

大塚製薬㈱

臨床検査市場において、両社が競争力を強化し、メリットを享受できるための販売・市場育成、研究開発、技術の相互利用及び、両社の信頼・協力関係を深め、業務提携をより円滑に進めることを目的とする当社への資本参加を含めた業務提携契約。

2006年9月7日

業務提携契約

5年間

※期間終了後、1年毎

 の更新

 

 

6【研究開発活動】

「日本経済再生の柱として、医療、医薬品、医療機器を戦略産業として育成する」という政府方針のもとで日本発の技術輸出が求められる中、グローバル製品の開発を最重要課題として市場動向の把握に努め、既存の大型製品群の強化充実並びに独自技術と研究開発力の強化による製品開発を推進してまいりました。

遺伝子検査試薬では、FINDとの共同開発による途上国向け結核菌検出試薬「Loopamp 結核菌群検出試薬キット」と「Loopamp PURE DNA抽出キット」が、スメア検査の置き換え、あるいは追加検査として平成28年8月にWHOの推奨を取得いたしました。また、Neglected Disease(顧みられない病気)の一つであるリーシュマニア症の原因原虫を検出する試薬「Loopamp Leishmania Detection Kit」を国内向け研究用試薬として、平成28年7月に発売致しました。そのほか平成27年12月に発売いたしました「Loopamp百日咳菌検出試薬キットD」は百日咳菌の遺伝子検査試薬としては初めての保険適用を受けました。

「Near the patient」という医療ニーズに対応するための小型全自動遺伝子検査装置および多項目遺伝子検査チップは、先ずは呼吸器感染症を対象に早期の製品化を目指して取り組んでおります。

イムノクロマト法を原理とした迅速検査製品としては、平成26年12月、平成28年1月にそれぞれ国内発売してご好評いただいている「イムノキャッチ-レジオネラ」および「イムノキャッチ-肺炎球菌」について、平成28年10月に海外発売いたしました。

また、昨今、薬剤耐性(AMR)対策がクローズアップされておりますが、抗微生物薬の適切な選択のため、抗真菌薬の感受性検査「酵母様真菌 FP」を平成28年11月に、抗菌薬の感受性検査「チゲサイクリンFP」を平成28年11月、「メトロニダゾール FP」を平成29年3月に発売いたしました。

尿検査用装置としては、幅広いスクリーニングに対応し、さらに持ち運びが可能な尿自動分析装置「US-1200」を平成28年8月に発売いたしました。

大塚製薬株式会社とは業務提携契約に基づき、両社が補完できる領域を中心に共同開発を引き続き検討中であります。

なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は23億36百万円となりました。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)重要な会計方針及び見積り

当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されており、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は以下のとおりであります。

当社経営陣は、連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発資産・負債の開示、並びに報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行わなければなりません。経営陣は、貸倒債権、売上戻り品、退職金、投資、偶発事象や訴訟等に関する見積り及び判断に対して、継続して評価を行っております。経営陣は、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行い、その結果は、他の方法では判定しにくい資産・負債の簿価及び収入・費用の報告数字についての判断の基礎となります。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社は、特に以下の重要な会計方針が、当社の連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
①貸倒引当金

当社グループは、顧客の支払不能時に発生する損失の見積額について、貸倒引当金を計上しております。顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
②返品調整引当金

当社グループは、売上げた製品及び商品が、品質上の欠陥等の理由で、販売先から返送される見積額について、返品調整引当金を計上しております。返品調整引当金の見積りは、過去の実績に基づいておりますが、実際の返品率が見積りと異なる場合、見積額の修正が必要となる可能性があります。

③退職給付費用

当社においては従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、将来の給与水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の収益率などが含まれます。当社の年金制度においては、割引率は日本の国債の市場利回りを参考値として、在籍従業員の平均残存勤務期間内の一定の年数で算出しております。期待収益率は、年金資産が投資されている資産の種類毎の期待収益率の加重平均に基づいて計算しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。また、割引率の低下及び年金資産運用での損失は、当社グループの退職給付費用に対して悪影響を及ぼす可能性があります。

④投資の減損

当社グループは、取引関係維持のために、特定の顧客及び金融機関の株式を保有しております。これらの株式には価格変動性が高い公開会社の株式と、株価の決定が困難である非公開会社の株式が含まれます。当社グループは投資価値が著しく下落し、回復の見込みがないと判断した場合、投資の減損を計上しております。将来の市況悪化または投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失または簿価の回収不能が発生した場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。

⑤固定資産の減損

固定資産については、その資産から将来生み出されると期待される割引前のキャッシュ・フローが帳簿価額を下回っている場合に減損していると判断しております。減損が発生していると判断した場合は、当該資産の帳簿価額が公正価値を超過している額に基づいて損失額を算出しております。

 

(2)業績報告

①売上高

売上高は332億74百万円(前年同期比3.5%増)、前連結会計年度に比べ11億10百万円の増収となりました。

微生物検査用試薬は50億64百万円(同10.0%増)、尿検査用試薬は24億48百万円(同6.4%増)、免疫血清学的検査用試薬は180億49百万円(同0.5%減)、生化学的検査用試薬は6億11百万円(同4.9%減)、器具・食品環境関連培地は21億98百万円(同1.6%減)、その他(医療機器・遺伝子関連等)は49億1百万円(同15.6%増)となりました。

②売上原価、販売費及び一般管理費

製造原価の低減に努めた結果、売上原価は191億10百万円、売上原価率は57.4%となり、前連結会計年度に比べ0.9ポイント低下いたしました。

販売費及び一般管理費については、全般的な経費の効率的な使用に努力したものの、研究開発費が増加したことならびにその他経費が増加したことにより、前連結会計年度に比べ3億20百万円増加し、101億86百万円となりました。

③営業利益

売上総利益が7億60百万円増加し、営業利益は前連結会計年度に比べ4億40百万円増加し、39億76百万円となりました。

売上高営業利益率は12.0%となり前連結会計年度に比べ1.0ポイント上昇いたしました。

④営業外収益(費用)

営業外収益は1億58百万円を計上し、前連結会計年度に比べ67百万円増加いたしました。

営業外費用は22百万円を計上し、前連結会計年度に比べ34百万円減少いたしました。

⑤経常利益

経常利益は営業外損益で1億35百万円を計上し、41億12百万円となり、前連結会計年度に比べ5億41百万円増加いたしました。経常利益率は1.3ポイント上昇し、12.4%となりました。

⑥特別利益(損失)

特別利益は1百万円を計上し、前連結会計年度に比べ0百万円減少いたしました。

特別損失は2億68百万円を計上し、前連結会計年度に比べ85百万円増加いたしました。

⑦税金等調整前当期純利益

税金等調整前当期純利益は特別損益で2億66百万円の純損失を計上し、38億45百万円となりました。

⑧法人税、住民税及び事業税

税金等調整前当期純利益に対する法人税、住民税及び事業税の負担率は前連結会計年度28.34%に対して当連結会計年度が24.10%となり、4.2ポイント低下いたしました。

⑨親会社株主に帰属する当期純利益

親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ4億89百万円増加し、29億18百万円となり、当期純利益率としては1.2ポイント上昇し8.8%となりました。

また、1株当たり当期純利益金額は前連結会計年度132円85銭に対し、当連結会計年度は159円39銭となりました。

 

(3)資本の財源及び流動性についての分析

①キャッシュ・フロー

当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは、前連結会計年度より15億85百万円増加し47億1百万円のキャッシュを得ております。これは主に、退職給付に係る資産の増加により1億55百万円の支出、売上債権の増加により1億25百万円の支出、たな卸資産の増加により2億62百万円の支出、仕入債務の増加により3億88百万円の収入及び、税金等調整前当期純利益が38億45百万円あったことによります。

投資活動によるキャッシュ・フローでは、当連結会計年度は18億76百万円のキャッシュを使用しております。これは主に、生産設備等の設備投資による有形固定資産の取得による支出が18億98百万円あったことによります。

財務活動によるキャッシュ・フローでは、当連結会計年度は9億10百万円のキャッシュを使用しております。これは主に、配当金の支払が7億32百万円あったことによります。

これらの活動の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末の50億74百万円から19億9百万円増加し、69億84百万円となりました。

②資金需要

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループ製品製造のための原材料の購入のほか、製造経費、販売費及び一般管理費の営業費用によるものであります。営業費用の主なものは研究開発費及び人件費、販売促進のためのマーケティング費用であります。当社グループを挙げて売上原価低減及びコスト削減に取り組んでおり、キャッシュ・フローの向上に努めております。

③財務政策

当社グループの財務政策における基本方針は、総資産の圧縮及び資本効率の向上による財務体質の強化であり、継続的に実行しております。

また、資金の調達及び運用については、当社グループとして一体となり実行しており当社の信用力を最大限に活用しております。運転資金及び減価償却費の範囲内における設備投資については、基本的に手持資金(利益等の内部留保資金)にて調達しております。なお、運転資金の効率的な調達を行うため金融機関との間で、総額54億円の当座貸越契約及び貸出コミットメント契約を締結しております。余剰資金の運用については、安全性・流動性の高い金融商品にて実行しております。当社グループの高いキャッシュポジションに対して、今後の効率的・戦略的な資金運用を検討しております。

当社グループは、その健全な財務状態、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出す能力、売掛債権信託(債権流動化)及び貸出コミットメント契約により、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが可能と考えております。