第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

当社グループは、「経営理念」、「経営ビジョン」、「モットー」からなる “EIKEN WAY”を制定し、グループ全体で“EIKEN WAY”を実践することにより持続的な企業価値の向上を図り、取引先の繁栄と株主並びに社会への貢献を果たしてまいります。

 

EIKEN WAY

□経営理念  :ヘルスケアを通じて人々の健康を守ります。

□経営ビジョン:EIKENグループは、人々の健康を守るため、検査のパイオニアとしてお客様に信頼される製品・サービスを提供し、企業価値の向上を図ります。

□モットー  :品質で信頼され、技術で発展する“EIKEN”

 

(2) 経営戦略等

当社グループは、事業を取り巻く環境変化に対応するとともに、サステナビリティ経営の視点を取り込むため、経営構想「EIKEN ROAD MAP 2019」を見直し、2030年をゴールとして、新たに「EIKEN ROAD MAP 2030」として再定義いたしました。

2030年の当社グループが目指す姿に向かっていくためのスローガンとして、

「Beyond the Field ~ Team × Challenge ~」を掲げ、従業員一人ひとりがそれぞれの能力を高め自らが活躍できる領域を広げていくこと、その高めた個の力を、領域を超えて結集しチームでチャレンジすることで新しい可能性を生み出すこと、そして、現在の事業領域から一歩踏み出し、医療のプロセスにイノベーションを起こし、検査の未来を創っていくことを目指してまいります。

「EIKEN ROAD MAP 2030」では、現在の事業領域を中核事業としつつ、注力事業分野として「がんの予防・治療への貢献」、「感染症撲滅・感染制御への貢献」、「ヘルスケアに役立つ製品・サービスの提供」の3つを設定しております。

「がん」の分野ではより治療に直結する領域に、「感染症」の分野ではより簡易な検査技術の確立に注力いたします。また、「ヘルスケア」の分野では遠隔診療や在宅での検査に対応できる製品・サービスを拡大してまいります。

 

 

<中長期を見据えたビジョン>

■がんの予防・治療への貢献

当社グループは、これまで検診事業(予防と早期発見)に注力し、特に大腸がんではスクリーニングプログラムをグローバルに構築し、早期発見により死亡率減少と医療費抑制に貢献してまいりました。一方で、がんの治療には高額の医療費を必要とすることから適切な治療の選択が重要です。がんの予防・早期発見だけではなく、このような医療課題に対しても対応すべく、治療薬の選択や治療効果の判定まで網羅した検査システムを開発し提供することによって、がんによる死亡率の更なる減少を目指してまいります。

■感染症撲滅・感染制御への貢献

脅威となる感染症への対策として製品ラインアップを拡充し、グローバルでの結核やマラリアなど遺伝子検査システムを展開してまいります。また、より簡易で誰でもどこでも使える迅速で精確な感染症診断システムを開発することで、医療アクセスの向上に寄与してまいります。

■ヘルスケアに役立つ製品・サービスの提供

健康寿命の延伸に向けて、遠隔診療や在宅での検査の領域を広げて、モバイルヘルスへ発展させていきます。最終的には本人が意識しなくても健康状態を知らせてくれる暮らしに寄り添ったモニタリングシステムの開発を目指してまいります。

 


 

 

<サステナビリティの取り組み>

当社グループは、「ヘルスケアを通じて人々の健康を守ります。」の経営理念のもと、事業活動を通じてさまざまな社会課題の解決に努めてまいりました。より積極的にグループ全体でサステナビリティの推進を図るため、サステナビリティ方針を策定し、代表執行役社長を委員長、各機能・事業グループの担当執行役で構成されるサステナビリティ委員会を設置して活動を推進しております。サステナビリティ委員会の内容は取締役会にて報告され、監督される体制となっております。

「EIKEN ROAD MAP 2030」では、持続可能な社会の実現に向けて、優先的に取り組むべき11の課題(マテリアリティ)を特定し、具体的な行動計画に展開いたしました。特定した課題については、達成度を評価するための指標(KPI)を設け、進捗状況をモニタリングしながら取り組みを進めてまいります。世界の人々の健康を守る企業として「医療」の課題、そして、「環境」・「社会」・「ガバナンス」の課題に積極的に取り組み、社会課題の解決を通じてステークホルダーの皆様への責任を果たすことにより、さらなる企業価値の向上と持続可能な社会の実現につなげてまいります。


サステナビリティサイト:https://www.eiken.co.jp/sustainability/

 

 

<気候変動への取り組みとTCFDへの対応>

当社グループは、社会の持続可能性にとって、気候変動への対応が特に重要な課題であると認識しております。気候変動の原因となるCO2を含む温室効果ガス排出量削減のため、環境マネジメント体制における省エネルギー活動として、これまでも中長期の削減目標を設定し、その達成に向けた活動を推進してまいりました。昨今の激甚化・頻発化する気象災害、パリ協定等の地球温暖化に対する世界潮流の変化を踏まえ、当社グループは2050年のカーボンニュートラルを目指してその取り組みを強化いたします。これまで、売上高あたりのCO2排出量(排出原単位)削減を目標としてきましたが、 カーボンニュートラルへの筋道をより明確にするため、2022年度より排出「絶対量」削減の目標に改め、気候変動の緩和へさらに注力しております。

金融安定理事会(FSB)により設置された気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)は気候変動がもたらすリスクと機会に関して、「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」の4つの要素による情報開示を推奨しています。

当社グループは、気候変動が金融市場にもたらすリスクを認識し、これまでの気候変動に関する取り組みをより一層推進するとともに、TCFD提言を踏まえた情報開示について、今後も分析・議論を重ね、順次、情報開示を拡充する方針です。

①ガバナンス

当社グループは、気候変動に対する取り組みはマテリアリティの1つとして経営の重要課題であることを認識し、代表執行役社長を委員長とするサステナビリティ委員会において目標と行動計画の策定、進捗管理を実施いたします。サステナビリティ委員会で審議された気候変動対応活動は、取締役会にて報告され、監督される体制となっております。なお、実績の一部は執行役の業績評価と報酬に反映されます。環境マネジメントの体制としては、経営管理統括部門の執行役を委員長とする環境管理委員会にて継続的な改善に取り組んでおります。

②戦略

当社グループは、2015年のパリ協定、2018年のIPCC「1.5℃特別報告書」、2021年のCOP26を踏まえ、今後、TCFD提言のフレームワークに基づき、気候変動がもたらす「リスク」と「機会」が財務に及ぼす影響についてシナリオ分析を実施し、取り組む課題を特定して経営戦略・計画を策定いたします。

③リスク管理

当社グループは、環境マネジメントシステムの中で事業活動が環境に与える影響を「法令遵守」と「環境への影響」の2つの観点から毎年評価しております。また、リスクマネジメント体制の中で、環境や気候変動以外のリスクも含め包括的なリスクアセスメントを年1回実施しております。気候変動への適応として、想定される洪水等の自然災害へ対応するためのリスク管理体制及びインフラの整備、温暖化により蔓延化が進行するまたは新規発生する感染症対策としての診断用医薬品の迅速な製品開発及び提供を推進しております。

今後、TCFDの提言を踏まえ、気候変動がもたらすリスクと機会のアセスメントを行い、環境管理委員会及びサステナビリティ委員会で議論し、リスクの低減及び事業機会の創出に取り組んでまいります。

 ④指標と目標

当社グループは、2050年のカーボンニュートラルを目指し、CO2排出量(スコープ1+2)を2030年に30%削減(2018年度比)する目標を設定しております。スコープ3についてもCO2排出量の算定を進めており、今後、目標設定に向けて取り組んでまいります。

 

2018年度(基準年)

2024年度 目標

2030年度 目標

事業所におけるCO2排出量削減

(スコープ1+2)

7,231t-CO2

14%削減

(2018年度比)

30%削減

(2018年度比)

 

スコープ1:自社での燃料使用や生産プロセスからの直接排出

スコープ2:自社が購入した電気や熱の使用による間接排出

スコープ3:スコープ1、2以外の間接排出(原料調達、製品輸送・使用・廃棄、社員の通勤・出張等)

 

 

<中期経営計画>

「EIKEN ROAD MAP 2030」の実現に向けて、最初の中期経営計画を策定しております。本計画では、「EIKEN ROAD MAP 2030」のビジョンに従って重点施策を設定し、加速する医療のパラダイムシフトに応えてまいります。そして、経営基盤の強化を進めるとともに、人財にフォーカスした経営を推進し、従業員のやりがい・働きがいを高め、イノベーションを創出できる環境を整備し、持続的な成長と着実な収益性の向上を目指します。

 

中期3か年の注力分野と重点施策


 

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、中期経営計画において2025年3月期を最終年度として、売上高43,500百万円(海外向け売上高11,230百万円)、営業利益6,250百万円(営業利益率14.4%)、ROE9.2%を達成することを目指しております。

 


 

 

(4) 経営環境

今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種拡大による集団免疫の効果や経口薬の開発及び普及に期待が高まる一方で、新たな変異株の出現や感染拡大に対する懸念は依然として払拭されておらず、早期に市場の環境が好転する想定は難しい状況にあります。また、ロシアのウクライナ侵攻に端を発する不安定な世界情勢も相まって、資源価格の上昇が原材料費や光熱費の高騰につながっており、引き続き厳しい状況が見込まれます。

医療を取り巻く環境につきましては、高齢化に伴う医療の効率化や新興国の経済発展に伴う医療需要の拡大のほか、ICT(情報通信技術)やAI(人工知能)の医療現場への応用が急速に進んでいることから、今後も継続した市場の成長が期待されています。また、新型コロナウイルス感染症のパンデミックを機に医療提供体制が大きく変わりつつあり、規制緩和やインフラ整備に伴うさらなるサービス拡大の機会が見込まれています。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、当連結会計年度において、「EIKEN ROAD MAP 2019」及び中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)に基づき、以下の重点課題に取り組んでまいりました。

① 経営効率を高めるための基盤整備

全社最適化による経営効率向上のため全社IT化施策を推進し、2021年8月に生産管理システムが稼働いたしました。また、2021年6月に新研究棟の建設に着工し、2022年8月に竣工予定です。

② グローバル展開の推進

新型コロナウイルスの感染拡大により中断していた各地域の大腸がんスクリーニングプログラムが再開し、Web検診、郵送検診、薬局検診、内視鏡トリアージの考え方が浸透し、需要掘り起こしを推進いたしました。海外向け尿検査用試薬・装置につきましては、シスメックス株式会社との協業推進により販売拡大を図りました。

③ 国内販売の維持とシェアアップ

各種検診・スクリーニングプログラムの再開や外来患者数が回復傾向となったことから便潜血検査用試薬を含む免疫血清検査用試薬が大きく伸びたほか、第4四半期における新型コロナウイルスの感染拡大に伴い新型コロナウイルス検出試薬が大きく伸び、売上拡大を牽引いたしました。

④ 研究開発力の強化

医療ニーズ及び中長期的な視点に基づき新製品・新技術の研究開発を行っております。2021年度はイルミナ社と契約を締結し、次世代シークエンサーを用いたコンパニオン診断システムの開発を開始いたしました。

 

中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)では、中核事業のグローバル展開と注力事業分野における重点施策の推進を図るとともに、経営基盤の確立及び人財にフォーカスした経営を推進し、持続的な成長と着実な収益性の向上を目指してまいります。

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、以下のようなものがあります。

なお、これらのほかにも現在及び将来において、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性のある様々なリスクが存在しており、ここに記載されたリスクは当社グループのすべてのリスクではありません。また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 海外事業展開に係るもの

「EIKEN ROAD MAP 2030」の達成のためには、グローバル展開の推進が必要となります。しかし、国・地域ごとの経済・景気の変化、地政学的リスクなどにより、薬事承認の遅れや大腸がん検診のスクリーニングプログラムの遅延または実施の中断や中止などがあった場合、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

また、当社連結子会社である栄研生物科技(中国)有限公司は、当社から臨床検査薬の受託生産を請け負うとともに、中国国内において独自に臨床検査薬の開発、製造・販売に取り組んでおります。しかし、市況環境の変化により当社からの受託生産が減少した場合や同社独自の中国ビジネス展開が計画通りに進捗しない場合、また、同社で著しい不動産価額の低下が生じた場合などには、当社の同社に対する投資を回収することが困難になる可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、当社グループは、海外事業室を中心に、適切な販売代理店の選択などを通じてグローバル展開の強化に取り組んでおります。また、栄研生物科技(中国)有限公司につきましては、中国事業の中心的な役割を担うべく、当社中国事業室のサポートの下、中国国内向け販売の拡大に努めております。

 

(2) 新製品・新技術に係るもの

当社グループは、医療ニーズ及び中長期的な観点に基づき新製品・新技術の企画・開発の強化を図っております。しかし、研究開発の遅延や中断により研究開発投資の回収が困難になった場合若しくはそれによる事業化機会の逸失または刻々と変化する市場動向との不整合等により十分な成果に結びつかなかった場合は、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。また、他社の技術開発により当社製品の優位性が低下した場合、製品売上が減少する可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、当社グループは、「EIKEN ROAD MAP 2030」及び中期経営計画において、事業環境の変化に応じた事業戦略を策定し、新製品・新技術の戦略的推進を図り、経営会議、取締役会等で研究開発の進捗を管理します。

 

(3) 医療制度・薬事規制等に係るもの

当社グループは、国・地域ごとの薬事規制等に従い製品を販売しておりますが、各国の医療制度改革の動向により医療費や薬事規制が変更された場合、製品価格や製品の使用方法が影響を受け、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、各国の医療制度や薬事規制の動向の迅速な把握に努め、適時適切に対応してまいります。

 

(4) 製品品質に係るもの

当社グループは、品質マネジメントシステム(ISO13485認証、MDSAP認証)に基づく品質管理体制のもと製品の品質保証に取り組んでおります。しかし、万一製品に品質問題が発生した場合、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、当社グループは、生産技術力の強化による品質の安定化と品質マネジメントシステムの適切な運用及び市場における製品の品質評価の調査・分析により品質保証の強化に取り組んでおります。

 

 

(5)製品の安定供給に係るもの

大規模な地震、風水害等の自然災害や火災等の重大な事故により当社グループまたはサプライヤーの工場・設備が甚大な被害を被った場合や、感染症の拡大や地政学的リスクにより長期間の操業停止となった場合は、製品の安定供給ができなくなり、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、製品の安全在庫の確保とともに、複数社購買などによるリスク回避に努めるほか、事業継続計画を策定し、対応能力の継続的向上に取り組んでおります。なお、当社は、内閣官房国土強靭化推進室が進める国土強靭化貢献団体認証(レジリエンス認証)を取得しております。

 

(6) ITシステムに係るもの

当社グループは、業務効率化のため各種ITシステムを導入し、ビジネスプロセスの改善に取り組んでおります。この領域においては、情報技術革新への対応の遅れや災害等によるシステム障害・回線障害、コンピュータウイルスによる障害・情報流出等が発生した場合、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、当社グループは、適切なサイバーセキュリティ対策を構築するとともに、標的型攻撃メール対応などの教育訓練を実施しています。

 

(7) 新型コロナウイルス感染症に係るもの

世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で、経済活動や医療活動が停滞し、国・地域の大腸がん検診のスクリーニングプログラムの遅延及び医療機関における検査数の減少等により、需要の減少が認められました。一方、その後の経済活動の回復に伴う需要の急激な増加により、半導体・原料不足、輸送コスト高騰等の調達コストの負担が増えた場合、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、各国の動向の迅速な把握に努め、環境変化に臨機応変に対応するとともに、新型コロナウイルス検出試薬の安定供給及びグローバル展開を通じて、社会貢献並びに売上の拡大を図ってまいります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社、以下同じ。)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度は、日本国内では新型コロナウイルスの感染者数が増減を繰り返し、経済は一進一退の動きが続きました。一方で、海外では新規変異株のまん延やワクチン接種後のブレイクスルー感染の増加など、感染再拡大のリスクは消えておらず、各国における収束時期の見通しは困難な状況が続いております。
 臨床検査薬業界においては医療費抑制策とコロナ禍における物流コストや原材料調達コストの上昇により経営環境は一層厳しさを増し、各企業はより一層のコスト競争力と積極的な海外展開が求められる状況となっております。
 このような経営環境の下、当社グループは経営構想「EIKEN ROAD MAP 2019」に基づき中期経営計画を策定し、経営効率を高めるための基盤整備、グローバル展開の推進、国内販売の維持とシェアアップ、研究開発力の強化の4つを重点施策として、グループ全体で持続的な成長と収益性の向上に努めております。また、新型コロナウイルス検出試薬の国内安定供給及びグローバル展開を通じ、同感染症対策への貢献を目指しております。
 当連結会計年度の売上高は、各種検診・スクリーニングプログラムの再開や外来患者数が回復傾向となったことから便潜血検査用試薬を含む免疫血清検査用試薬が大きく伸びたほか、第4四半期における新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い新型コロナウイルス検出試薬が大きく伸び、42,996百万円(前期比11.2%増)となりました。
 製品の種類別区分ごとの売上高は、微生物検査用試薬は3,924百万円(同1.6%減)、尿検査用試薬は3,783百万円(同11.9%増)、免疫血清検査用試薬は20,593百万円(同9.8%増)、生化学検査用試薬は599百万円(同0.8%増)、器具・食品環境関連培地は2,252百万円(同6.0%増)となりました。その他(医療機器・遺伝子関連等)につきましては、新型コロナウイルス検出試薬の需要継続により、11,842百万円(同20.5%増)となりました。
 また、海外向け売上高は、各国スクリーニングプログラムの再開により、便潜血検査用試薬・装置が大きく伸び、8,868百万円(同28.6%増)となりました。
 利益面では、新型コロナウイルス検出試薬及び便潜血検査用試薬など高利益品目の売上が増加し、営業利益は8,387百万円(同26.8%増)、経常利益は8,508百万円(同25.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は6,218百万円(同23.3%増)となりました。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。)等を当連結会計年度の期首より適用しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載しております。

 

当連結会計年度末の財政状態は以下のとおりであります。

前連結会計年度末に比べ総資産は6,827百万円増加、負債は2,696百万円増加、純資産は4,131百万円増加いたしました。

増減の主なものとして、資産の部では、現金及び預金が6,971百万円増加、受取手形、売掛金及び契約資産が341百万円減少、棚卸資産が465百万円増加しております。また、新研究棟建設費用支払に伴う建設仮勘定計上等により有形固定資産が2,506百万円増加した一方、長期預金が3,000百万円減少しております。負債の部では、支払手形及び買掛金が450百万円増加、電子記録債務が325百万円増加、設備投資等の支払により流動負債その他が967百万円減少しております。また、2021年10月に環境・社会双方の課題解決に貢献する施策・プロジェクトに充当する資金の調達手段として、当社として初めて「サステナビリティボンド」を3,000百万円発行したこと等により、固定負債が2,935百万円増加しております。純資産の部では、配当金の支払があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が3,996百万円増加いたしました。自己資本比率は前連結会計年度末の74.3%から72.8%となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3,931百万円増加し、当連結会計年度末には10,900百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金は、7,769百万円の収入(前連結会計年度は5,451百万円の収入)となりました。これは主に、売上債権の増加により406百万円の支出、棚卸資産の増加により449百万円の支出、仕入債務の増加により774百万円の収入及び、税金等調整前当期純利益が8,482百万円あったことによります。

なお、減価償却費は2,058百万円発生しております。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金は、5,044百万円の支出(前連結会計年度は2,193百万円の支出)となりました。これは主に、新研究棟建設等の設備投資による有形固定資産の取得による支出が4,428百万円、無形固定資産の取得による支出が465百万円、定期預金の預入による支出が2,231百万円及び、定期預金の払戻による収入が2,231百万円あったことによります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金は、1,200百万円の収入(前連結会計年度は1,275百万円の支出)となりました。これは主に、社債発行による収入が3,000百万円、配当金の支払が1,699百万円あったことによります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

当社グループは、検査薬事業のみの単一セグメントであるため、生産、受注及び販売の実績については製品の種類別区分ごとに記載しております。

(ア)生産実績

当連結会計年度における生産実績を製品の種類別区分ごとに示すと、次のとおりであります。

 

製品の種類別区分の名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前期比(%)

微生物検査用試薬(百万円)

3,760

99.5

尿検査用試薬(百万円)

3,947

97.7

免疫血清検査用試薬(百万円)

7,853

106.1

器具・食品環境関連培地(百万円)

261

104.2

その他(百万円)

6,060

128.0

合計(百万円)

21,882

108.3

 

(注) 金額は、売価換算値で表示しております。

 

 

(イ)商品仕入実績

当連結会計年度における商品仕入実績を製品の種類別区分ごとに示すと、次のとおりであります。

 

製品の種類別区分の名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前期比(%)

微生物検査用試薬(百万円)

258

85.5

尿検査用試薬(百万円)

17

125.2

免疫血清検査用試薬(百万円)

9,256

123.7

生化学検査用試薬(百万円)

369

113.3

器具・食品環境関連培地(百万円)

1,659

109.9

その他(百万円)

3,407

90.8

合計(百万円)

14,969

111.8

 

 

(ウ)受注実績

当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

(エ)販売実績

当連結会計年度における販売実績を製品の種類別区分ごとに示すと、次のとおりであります。

 

製品の種類別区分の名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前期比(%)

微生物検査用試薬(百万円)

3,924

98.4

尿検査用試薬(百万円)

3,783

111.9

免疫血清検査用試薬(百万円)

20,593

109.8

生化学検査用試薬(百万円)

599

100.8

器具・食品環境関連培地(百万円)

2,252

106.0

その他(百万円)

11,842

120.5

合計(百万円)

42,996

111.2

 

(注)  最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりで

    あります。

 

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

アルフレッサ㈱

4,927

12.7

5,491

12.8

㈱スズケン

5,067

13.1

5,251

12.2

東邦薬品㈱

4,292

11.1

4,447

10.3

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、将来のリスク、不確実性及び仮定を伴う予測情報を含んでおります。「2 事業等のリスク」などに記載された事項及びその他の要因により、当社グループの実際の業績は、これらの予測情報から予測された内容とは大幅に異なる可能性があります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

当社経営陣は、連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発資産・負債の開示、並びに報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行わなければなりません。経営陣は、貸倒債権、退職金、投資、偶発事象や訴訟等に関する見積り及び判断に対して、継続して評価を行っております。経営陣は、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行い、その結果は、他の方法では判定しにくい資産・負債の簿価及び収入・費用の報告数字についての判断の基礎となります。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社は、特に以下の重要な会計方針が、当社の連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。

(ア)貸倒引当金

当社グループは、顧客の支払不能時に発生する損失の見積額について、貸倒引当金を計上しております。顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。

(イ)退職給付費用

当社においては従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、将来の給与水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の収益率などが含まれます。当社の年金制度においては、割引率は日本の国債の市場利回りを参考値として、在籍従業員の平均残存勤務期間内の一定の年数で算出しております。期待収益率は、年金資産が投資されている資産の種類毎の期待収益率の加重平均に基づいて計算しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。また、割引率の低下及び年金資産運用での損失は、当社グループの退職給付費用に対して悪影響を及ぼす可能性があります。

(ウ)投資の減損

当社グループは、取引関係維持のために、特定の顧客の株式を保有しております。これらの株式には価格変動性が高い公開会社の株式と、株価の決定が困難である非公開会社の株式が含まれます。また、関係会社に対して出資を行っております。当社グループは投資価値が著しく下落し、回復の見込みがないと判断した場合、投資の減損を計上しております。将来の市況悪化または投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失または簿価の回収不能が発生した場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。

(エ)固定資産の減損

「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。
  当連結会計年度の売上高は、各種検診・スクリーニングプログラムの再開や外来患者数が回復傾向となったことから便潜血検査用試薬を含む免疫血清検査用試薬が大きく伸びたほか、第4四半期における新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い新型コロナウイルス検出試薬が大きく伸び、42,996百万円(前期比11.2%増)となりました。
 売上原価は22,431百万円、売上原価率は52.2%となり、前連結会計年度に比べ0.1ポイント上昇いたしました。
 売上総利益は前連結会計年度に比べ2,045百万円増加し、20,572百万円となりました。販売費及び一般管理費については前連結会計年度に比べ270百万円増加し、12,184百万円となりました。
 営業利益は前連結会計年度に比べ1,775百万円増加し、8,387百万円となりました。売上高営業利益率は19.5%となり前連結会計年度に比べ2.4ポイント上昇いたしました。
 営業外収益は164百万円を計上し、前連結会計年度に比べ55百万円減少いたしました。
 営業外費用は43百万円を計上し、前連結会計年度に比べ18百万円増加いたしました。
 経常利益は営業外損益で121百万円を計上し、8,508百万円となり、前連結会計年度に比べ1,700百万円増加いたしました。経常利益率は前連結会計年度に比べ2.2ポイント上昇し、19.8%となりました。
 特別利益は1百万円を計上し、前連結会計年度に比べ109百万円減少いたしました。特別損失は27百万円を計上し、前連結会計年度に比べ21百万円減少いたしました。
 税金等調整前当期純利益は特別損益で25百万円の純損失を計上し、8,482百万円となりました。税金等調整前当期純利益に対する法人税、住民税及び事業税の負担率は前連結会計年度26.6%に対して当連結会計年度が26.7%となり、0.1ポイント上昇いたしました。
 親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ1,174百万円増加し、6,218百万円となり、当期純利益率としては1.4ポイント上昇14.5%となりました。
 当社グループは、経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として、2022年3月期に売上高40,400百万円、営業利益6,370百万円、ROE11.5%の達成を目指しておりましたが、新型コロナウイルスの感染者数が増加と減少を繰り返すなか、新型コロナウイルス検出試薬を安定供給したことや各種検診・スクリーニングプログラムの再開や外来患者数の回復傾向を受け、売上高42,996百万円営業利益8,387百万円、ROE14.3%となり、すべての指標で目標を達成いたしました。
 2022年4月からは、2025年3月期を最終年度とする新たな中期経営計画がスタートさせており、「EIKEN ROAD MAP2030」のビジョンに従って重点施策に取り組み、2025年3月期の経営指標(連結売上高43,500百万円、海外向け売上高11,230百万円(海外売上比率25.8%)、営業利益6,250百万円(営業利益率14.4%)、ROE9.2%を達成することを目指します。

 

指標

2021年3月

2022年3月

目標

実績

目標

実績

連結売上高(百万円)

37,100

38,667

40,400

42,996

連結営業利益(百万円)

5,540

6,612

6,370

8,387

ROE(%)

11.1

12.9

11.5

14.3

 

 

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については以下のとおりであります。

(ア)キャッシュ・フロー

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

(イ)財務政策

当社グループの財務政策における基本方針は、資本効率の向上による財務体質の強化であり、継続的に実行しております。
 資金の調達及び運用については、当社グループとして一体となり実行しており当社の信用力を最大限に活用しております。運転資金及び設備投資については、基本的に手持資金(利益等の内部留保資金)にて調達しております。なお、運転資金の効率的な調達を行うため金融機関との間で、総額5,400百万円の当座貸越契約及び貸出コミットメント契約を締結しております。余剰資金の運用については、安全性・流動性の高い金融商品にて実行しております。当社グループの高いキャッシュポジションに対して、今後の効率的・戦略的な資金運用を検討しております。
 当社グループは、その健全な財務状態、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出す能力、売掛債権信託(債権流動化)及び貸出コミットメント契約により、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが可能と考えておりますが、設備投資等の長期資金需要に関しては金融機関からの長期借入、社債またはその組み合わせによる調達方法も実施しております。
 また、当社グループは株主の皆様に対する利益還元を経営の最重要課題のひとつと位置づけたうえで、財務体質の強化と積極的な事業展開に必要な内部留保の充実を勘案し安定した配当政策を実施すること、また、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。具体的には、上記方針を踏まえ連結配当性向30%以上の配当を目標といたします。
 

 

4 【経営上の重要な契約等】

業務提携契約

 

契約会社名

内容

契約日

有効期限

大塚製薬㈱

臨床検査市場において、両社が競争力を強化し、メリットを享受できるための販売・市場育成、研究開発、技術の相互利用及び、両社の信頼・協力関係を深め、業務提携をより円滑に進めることを目的とする当社への資本参加を含めた業務提携契約。

2006年
9月7日

業務提携契約

5年間

※期間終了後、1年毎

 の更新

 

 

 

5 【研究開発活動】

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で検査の重要性が再認識されつつも、研究開発活動に制限がかかる中、『ヘルスケアを通じて人々の健康を守ります。』という経営理念の下で、既存の大型製品群の強化充実並びに研究開発力の向上による製品開発を推進してまいりました。

新型コロナウイルス関連では、昨年度発売したLAMP法による検出試薬に加え、蛍光物質ユーロピウムを使用した時間分解蛍光免疫測定法(Time Resolved Fluorescence 法:TRF法)を測定原理とする移動式免疫蛍光分析装置『Exdia TRF プラス』、及びSARSコロナウイルス抗原キット『Exdia EK テスト COVID-19 Ag』を2022年3月に発売いたしました。遺伝子検査だけではなく抗原定性検査に対するニーズにも応えていくことにより、検査の裾野を広げることは、逼迫する医療提供体制への一助となるものと期待しております。なお、本検査システムは、従来のイムノクロマト法に比べて高感度に標的とする抗原の検出が可能な、簡易・迅速かつ精度の高い検査プラットフォームであることから、今後感染症項目を中心にシリーズ製品をラインアップしていく予定です。

薬剤感受性測定試薬については薬剤耐性(AMR)対策への貢献として、ドライプレート‘栄研’(96プレート)に迅速発育抗酸菌を対象とした製品『ドライプレート栄研(DP1R)』を2022年1月に、発売いたしました。また、ワンヘルスの観点から、動物用医薬品の適正使用を目的に『VKBディスク‘栄研’セフキノム』(動物用体外診断用医薬品)を2021年7月に発売いたしました。

大塚製薬株式会社とは業務提携契約に基づき、両社が補完できる領域を中心に共同開発を引き続き検討中であります。

なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は3,408百万円となりました。