第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

当社グループは、「経営理念」、「経営ビジョン」、「モットー」からなる “EIKEN WAY”を制定し、グループ全体で“EIKEN WAY”を実践することにより持続的な企業価値の向上を図り、取引先の繁栄と株主並びに社会への貢献を果たしてまいります。

 

EIKEN WAY

□経営理念  :ヘルスケアを通じて人々の健康を守ります。

□経営ビジョン:EIKENグループは、人々の健康を守るため、検査のパイオニアとしてお客様に信頼される製品・サービスを提供し、企業価値の向上を図ります。

□モットー  :品質で信頼され、技術で発展する“EIKEN”

 

(2) 経営戦略等

当社グループは、事業を取り巻く環境変化に対応するとともに、サステナビリティ経営の視点を取り込むため、2030年をゴールとして、「EIKEN ROAD MAP 2030」を策定いたしました。

2030年の当社グループが目指す姿に向かっていくためのスローガンとして、

「Beyond the Field ~ Team × Challenge ~」を掲げ、従業員一人ひとりがそれぞれの能力を高め自らが活躍できる領域を広げていくこと、その高めた個の力を、領域を超えて結集しチームでチャレンジすることで新しい可能性を生み出すこと、そして、現在の事業領域から一歩踏み出し、医療のプロセスにイノベーションを起こし、検査の未来を創っていくことを目指してまいります。

「EIKEN ROAD MAP 2030」では、現在の事業領域を中核事業としつつ、注力事業分野として「がんの予防・治療への貢献」、「感染症撲滅・感染制御への貢献」、「ヘルスケアに役立つ製品・サービスの提供」の3つを設定しております。

「がん」の分野ではより治療に直結する領域に、「感染症」の分野ではより簡易な検査技術の確立に注力いたします。また、「ヘルスケア」の分野では遠隔診療や在宅での検査に対応できる製品・サービスを拡大してまいります。

 

 

<中長期を見据えたビジョン>

■がんの予防・治療への貢献

当社グループは、これまで検診事業(予防と早期発見)に注力し、特に大腸がんではスクリーニングプログラムをグローバルに構築し、早期発見により死亡率減少と医療費抑制に貢献してまいりました。一方で、がんの治療には高額の医療費を必要とすることから適切な治療の選択が重要です。がんの予防・早期発見だけではなく、このような医療課題に対しても対応すべく、治療薬の選択や治療効果の判定まで網羅した検査システムを開発し提供することによって、がんによる死亡率の更なる減少を目指してまいります。

■感染症撲滅・感染制御への貢献

脅威となる感染症への対策として製品ラインアップを拡充し、グローバルでの結核やマラリアなど遺伝子検査システムを展開してまいります。また、より簡易で誰でもどこでも使える迅速で精確な感染症診断システムを開発することで、医療アクセスの向上に寄与してまいります。

■ヘルスケアに役立つ製品・サービスの提供

健康寿命の延伸に向けて、遠隔診療や在宅での検査の領域を広げて、モバイルヘルスへ発展させていきます。最終的には本人が意識しなくても健康状態を知らせてくれる暮らしに寄り添ったモニタリングシステムの開発を目指してまいります。

 


 

 

 

 

<中期経営計画>

「EIKEN ROAD MAP 2030」の実現に向けて、最初の中期経営計画を策定しております。本計画では、「EIKEN ROAD MAP 2030」のビジョンに従って重点施策を設定し、加速する医療のパラダイムシフトに応えてまいります。そして、経営基盤の強化を進めるとともに、人財にフォーカスした経営を推進し、従業員のやりがい・働きがいを高め、イノベーションを創出できる環境を整備し、持続的な成長と着実な収益性の向上を目指します。

 

中期3か年の注力分野と重点施策


 

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、中期経営計画において2025年3月期を最終年度として、売上高43,500百万円(海外向け売上高11,230百万円)、営業利益6,250百万円(営業利益率14.4%)、ROE9.2%を達成することを目指しております。

 


 

 

(4) 経営環境

今後の見通しにつきましては、ロシアのウクライナ侵攻に端を発する不安定な世界情勢、資源価格の上昇による原材料費や光熱費の高騰及び各国のインフレ抑制策の影響により引き続き厳しい状況が見込まれます。

このような環境の下、当社グループは、「EIKEN ROAD MAP 2030」に基づき、現在の事業領域を中核事業としつつ、注力事業分野として「がんの予防・治療への貢献」、「感染症撲滅・感染制御への貢献」、「ヘルスケアに役立つ製品・サービスの提供」の3つを設定しております。「がん」の分野ではより治療に直結する領域に、「感染症」の分野ではより簡易な検査技術の確立に注力いたします。また、「ヘルスケア」の分野では遠隔健診や在宅での検査に対応できる製品・サービスを拡大してまいります。中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)では、注力事業分野を中心に重点施策を展開してまいります。

また、当社グループは、持続可能な社会の実現に向けて、優先的に取り組むべき11のマテリアリティ(重要課題)を特定し、具体的な行動計画に展開いたしました。各マテリアリティについて、達成度を評価するための指標(KPI)を設けて進捗状況をモニタリングしながら取り組みを進めてまいります。世界の人々の健康を守る企業として「医療」の課題、そして「環境」・「社会」・「ガバナンス」の課題にも積極的に取り組み、社会課題の解決を通じて、さらなる企業価値の向上と持続可能な社会の実現につなげてまいります。

次期の業績見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症の遺伝子検査(新型コロナウイルス検出試薬)の需要が2023年3月期から減少することを想定し、売上高42,000百万円(前期比2.9%減)を見込んでおります。利益面では、高利益品目である新型コロナウイルス検出試薬の売上及びLAMP法の特許権収入の減少のほか、継続的な研究開発投資や経営基盤整備のための投資による費用増により、営業利益5,380百万円(同27.9%減)、経常利益5,400百万円(同28.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益4,250百万円(同25.9%減)を予想しております。

なお、海外向け売上高は10,270百万円(同16.7%増)と売上比率で24.5%を見込んでおります。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、当連結会計年度において、「EIKEN ROAD MAP 2030」及び中期経営計画(2023年3月期~ 2025年3月期)に基づき、以下の重点課題に取り組んでまいりました。

①がんの予防・治療への貢献

個別化医療への貢献のため、治療薬の選択や治療効果の判定まで網羅した検査システムとして、「次世代シークエンサーを用いた肺がんの複数遺伝子異常一括検出・解析システムMutation Investigator using the Next-era Sequencer」(以下「MINtS」という)の薬事申請をしました。また、当社野木事業所の一部エリアを衛生検査所(名称:『栄研化学クリニカルラボラトリー』)として登録し、MINtSを用いた受託検査事業を発足しました。

②感染症撲滅・感染制御への貢献

新型コロナウイルス検出試薬の国内安定供給及びグローバル展開を通じ、同感染症への対策を推進しました。あわせて、新型コロナウイルス感染症への対応として、1本のスワブ検体から新型コロナウイルスとインフルエンザA/Bの抗原検査が可能な高感度イムノクロマトシステム『Exdia EKテスト』シリーズを発売しました。また、顧みられない熱帯病制圧に向けた「キガリ宣言」に署名しました。今後は、グローバルパートナーとの連携をさらに強化し、迅速で正確な診断とそれに基づくより有効な治療へのアクセスを提供することにより、顧みられない熱帯病制圧に取り組んでまいります。

③ヘルスケアに役立つ製品・サービスの提供

海外において、Web検診、郵送検診、薬局検診、内視鏡トリアージの考え方が浸透したことにより、市場は拡大傾向となりました。また、発症すると長期間の治療が必要となる炎症性腸疾患(IBD)の早期発見のため、便中カルプロテクチン測定試薬の展開に努めました。

また、「EIKEN ROAD MAP 2030」では、上記事業活動を推進するうえで不可欠となる経営戦略として、「人を活かした活力ある企業」及び「地球環境と調和した事業活動」を掲げております。これらを実現する上では、その基礎として当社グループ(子会社を含む。)のガバナンスを一層強固にする必要があり、引き続きその改善に努めてまいります。

当社グループは、引き続き上記の重点施策の推進を図るとともに、経営基盤の確立及び人財にフォーカスした経営を推進し、持続的な成長と着実な収益性の向上を目指してまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社グループは、事業を取り巻く環境変化に対応するとともに、サステナビリティ経営の視点を取り込むため、2030年をゴールとして「EIKEN ROAD MAP 2030」を策定しました。経営理念、経営ビジョン、モットーを基本とした“EIKEN WAY”に基づき事業活動を展開し、ESG(環境・社会・ガバナンス)の取り組みを強化して社会課題の解決に貢献することにより持続可能な社会の実現と企業価値の持続的向上を目指します。

(1)ガバナンス

当社グループは、「ヘルスケアを通じて人々の健康を守ります。」の経営理念のもと、事業活動を通じてさまざまな社会課題の解決に努めてまいります。より積極的にグループ全体でサステナビリティの推進を図るため、代表執行役社長を委員長、各機能・事業グループの担当執行役で構成される「サステナビリティ委員会」を設置しています。「サステナビリティ委員会」は、原則年2回開催し、サステナビリティに関する重要事項の審議・報告を行っています。「サステナビリティ委員会」の審議事項は、内容の重要度等を鑑み、必要に応じて「経営会議」へ付議されます。また、「サステナビリティ委員会」の内容は、取締役会にて報告され、監督される体制となっています。 なお、「サステナビリティ委員会」で設定された中長期目標および年度目標は、関連委員会、各事業部門にて具体的な施策として展開されます。

(2)戦略

当社グループは、優先的に取り組むべき11のマテリアリティを特定し、E「環境」、S「社会」、G「ガバナンス」のほか、世界の人々の健康を守る企業として「医療」のカテゴリを設け、4カテゴリで表しました。これらマテリアリティの社内浸透を図ることに加え、マテリアリティを事業戦略へ統合し、課題ごとの目標やKPIを策定することによりグループ一丸で取り組みを強化するとともに、取り組みを通じてSDGsの達成にも貢献します。


サステナビリティサイト:https://www.eiken.co.jp/sustainability/

 

(3)リスク管理

当社グループは、「栄研グループ・リスクマネジメント方針」に基づき、「栄研グループ・リスク管理規程」を制定し、事業活動に関するリスクに対して、定期的に実施するリスクアセスメントにより、リスクの抽出・分析・評価を実施しています。重大リスクやグループ全体に係るリスクに関しては、全執行役を委員とする「リスク管理・コンプライアンス委員会」においてリスク管理活動を統括し、リスクの低減と発生の未然防止に取り組んでいます。また、業務に係るリスクに関しては、各事業所に「リスク管理・コンプライアンス推進委員会」を設置し、事業所及び部門単位で対応しています。リスク管理活動に関する取り組みは取締役会へ報告され、リスク管理の実効性を監督しています。

(4)指標及び目標

当社グループの上記「(2)戦略」において記載したマテリアリティは、当社においては関連する指標データ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属するすべての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標のうち、環境に関連するマテリアリティ以外は連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

重要課題(マテリアリティ)

方策

指標(KPI)

中・長期目標

2024年度

2030年度

世界中の人々の健康で豊かな生活への貢献

医療へのアクセス向上

開発途上国への製品供給

医療アクセスの改善に関する表明

策定・表明

製品展開国数

8か国

15か国

医療課題の解決

グローバルでの医療課題の解決

大腸がんスクリーニング検査の展開国数

49か国

57か国

品質の追求と持続可能なサプライチェーン

サプライチェーンマネジメントの強化

CSR調達の調査実施率※1

90%

100%

人権デューデリジェンスの実施率※1

90%

100%

地球環境と調和した事業活動

気候変動への対応

事業所におけるCO2排出量削減

(スコープ1+2)

CO2排出量の削減率(総量)

2018年度比

14%削減

2018年度比 

30%削減 

循環型社会への貢献

水使用量の削減
 (グローバル全生産拠点での水使用量)

水使用量の削減率 (生産金額原単位)
 

2018年度比

30%削減

2018年度比

35%削減

廃棄物の削減

廃棄物の削減率(売上原単位)

2018年度比

5%削減

2018年度比

15%削減

包装資材の削減・再生可能資材の利用

環境配慮包装資材(再生紙)の採用率※2(2021年度比)

2022年度
 目標設定

2022年度
 目標設定

生分解性プラスチック等再生可能資材の採用率※3(2021年度比)

2022年度
 目標設定

2022年度
 目標設定

 

 

重要課題(マテリアリティ)

方策

指標(KPI)

中・長期目標

2024年度

2030年度

人を活かした活力ある企業

人権・多様性の尊重

ダイバーシティ&インクルージョンの推進

女性管理職比率※4

20%

30%

障がい者雇用率

2.6%

3.0%

ハラスメントの撲滅

研修受講率

100%

100%

従業員エンゲージメントと人財育成

働きがいのある職場づくりとワークライフバランスの実現

育児休業取得率(男性)※5 

100%

100%

育児休業取得率(女性)(取得者/対象者)

100%

100%

正社員一人当たりの年間総実労働時間※6

1,870h

1,635h

正社員一人当たりの年次有給休暇取得率

65%

100%

グローバル人財の育成

若手従業員のEGP受講率※7

25%

30%

健康増進・安全衛生

健康増進プログラム、安全衛生活動の推進

定期健康診断受診率

100%

100%

労働災害件数(通勤災害を含む)

0件

0件

持続的成長を支える組織基盤

透明で健全なガバナンスの実現

役員のダイバーシティ推進

女性取締役比率

20%

30%

外国人取締役比率

20%

女性執行役比率

30%

外国人執行役比率

20%

コンプライアンスと腐敗防止の徹底

コンプライアンス・プログラムに基づく研修とモニタリング

研修受講率 

100%

100%

重大なコンプライアンス違反の発生件数※8

0件

0件

腐敗防止の徹底

取引先への腐敗防止デューデリジェンス実施率※1

90%

100%

リスクマネジメントの確立

事業継続マネジメントの継続的改善

BCP教育訓練回数

1回

2回

情報セキュリティマネジメントの強化

情報セキュリティマネジメント教育訓練回数

3回

4回

 

※1 取引金額上位70%を対象

※2 出荷ベース(環境配慮包装を使用した製品コード数/出荷製品コード数)

※3 出荷ベース(再生可能資材を使用した製品コード数/出荷製品コード数)

※4 課長以上の役職者に占める女性の割合

※5 育児を目的とした当社独自の休暇制度を利用した者の数を含む

※6 所定内労働時間+所定外労働時間-年次有給休暇およびその他の休暇取得分

※7 「EIKEN GLOBAL PROGRAM」の受講率、各年度の受講者数÷各年度の在籍者数

※8 各国競争法の重大な違反、腐敗に関する法令の重大な違反、左記以外の社会経済分野に関する法令の重大な違反の合計

 

<人的資本経営の取組>

当社グループは、「ヘルスケアを通じて人々の健康を守ります。」という経営理念のもと、世界の人々の健康・生命を守る製品・サービスの提供を通じて社会に貢献するために最も大切な財産は従業員と考え、人材を「人財」と表現します。

(1)ガバナンス

当社グループは、代表執行役社長を委員長、各機能・事業グループの担当執行役で構成される「人事委員会」にて、人財戦略に関する方針、組織の新設・改編をはじめとする機構改革、主要ポジションの任免、要員・人件費の計画、人事施策の新設・改廃を行っています。人事委員会の決定事項は取締役会にて報告され、監督される体制となっています。

(2)戦略

当社グループの中期経営計画における人財戦略は、以下のとおりです。

当社グループの未来は従業員が創り、従業員の可能性を広げることが会社の成長と社会への貢献に繋がるものと考えています。本方針のもと、当社グループは、「人を活かした活力ある企業」を目指し、あらゆる多様性を尊重し、多様性を受け入れ合える組織風土を育むとともに、従業員の安全と健康に十分配慮し、従業員が付加価値の高い業務に集中できる環境を整え、全ての従業員が活躍を実感し、新たなイノベーションを創出する人財を育成します。

■人事制度

 役割・専門性をより重視した賃金制度、従業員のチャレンジ志向を高める評価制度へ移行し、従業員のやりがい・働きがいを追求します。

また、オフィス勤務と在宅勤務を組み合わせたハイブリッドな働き方、ライフスタイルに合わせたコアタイムなしのスーパーフレックスタイムの推進により、ワークライフバランスを実現しつつ、労働生産性を高めます。 

■人財確保

 ・新卒採用

学生の経験や専門性などのバックグラウンドを踏まえた、職種別採用を継続します。また、本人の希望や職務適性を踏まえた入社後の職種間異動により、多様なキャリアデザインに対応しています。

・中途採用

「EIKEN ROAD MAP 2030」を実現するための事業戦略の推進に必要な専門人財の採用・登用をさらに強化します。

■人財マネジメント

女性活躍の推進をはじめ、多様な人財が活躍できる風土醸成を目指し、キャリア意識の醸成とキャリアデザインの支援(ワークスタイルの改革、成長機会の提供など)に継続的に取り組みます。また、従業員の能力、経験、パーソナリティを見える化したHRデータベースを整備し、幹部候補人財のモニタリングや適材適所の人財配置、重要ポジションのサクセッションプランの策定に活用します。

■人財育成

事業環境が大きく変化する中、社会へ貢献する企業として在り続けるために、既存の人財要件モデルをベースに目指す人財像をあらためて定義し、新入社員からグローバルに活躍するリーダーまでをサポートする人財育成プログラムを実施します。

(3)リスク管理

当社グループの事業活動において、多様な人財がそれぞれの専門性やバックグラウンドを活かし、最大限能力を発揮できる環境を作ることが重要であり、人財の流動化が進む中、人財の確保が計画通りに進まなくなること、従業員の離職により組織力が低下することが最大のリスクと考えています。従業員一人ひとりへの先行投資により成長を促進し、誰もが活躍できる環境を整備することでリスク低減に努めています。

 

(4)指標及び目標

当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した中期経営計画における人財戦略について、当社においては関連する指標データ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属するすべての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

マテリアリティ

主な方策

指標(KPI)

実績

年度目標値

2022

2024

2030

人権・多様性の尊重

ダイバーシティ&インクルージョンの推進

女性管理職比率

障がい者雇用率

ハラスメント防止研修受講率

13.8%

2.6%

100%

20%

2.6%

100%

30%

3.0%

100%

従業員エンゲージメントと人財育成

 

働きがいのある職場づくりとワークライフバランスの実現

 

グローバル人財の育成

男性育児休業取得率

女性育児休業取得率

一人あたり年間総実労働時間

一人あたり年次有給休暇取得率

若手従業員のEGP受講率

176.9%

100%

1,875h

62.1%

19.4%

100%

100%

1,870h

65%

25%

100%

100%

1,635h

100%

30%

健康増進・安全衛生

健康増進プログラム、安全衛生活動の推進

定期健康診断受診率

労働災害件数(通勤災害を含む)

99.8%

3件

100%

0件

100%

0件

 

 

 

 

<気候変動への取組とTCFDへの対応>

当社グループは、社会の持続可能性にとって、気候変動への対応が特に重要な課題であると認識しています。気候変動の原因となるCO2を含む温室効果ガス排出量削減のため、環境マネジメント体制における省エネルギー活動として、これまでも中長期の削減目標を設定し、その達成に向けた活動を推進してきました。昨今の激甚化・頻発化する気象災害、パリ協定等の地球温暖化に対する世界潮流の変化を踏まえ、当社グループは2050年のカーボンニュートラルを目指してその取り組みを強化します。

2015年に金融安定理事会(FSB)により設置された気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)は、財務に影響のある気候関連情報の開示を推奨する最終報告を2017年6月に提言しました。TCFDは気候変動がもたらすリスクと機会に関して、「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」の4つの要素による情報開示を推奨しています。当社グループは、2023年2月にTCFDの提言に賛同を表明しました。

(1)ガバナンス

当社グループは、気候変動に対する取り組みを経営の重要課題の一つであると認識し、代表執行役社長を委員長とするサステナビリティ委員会において目標と行動計画を策定し、進捗管理を実施しています。サステナビリティ委員会で審議された気候変動に対する取り組みは、取締役会にて提案・報告され、監督されています。 なお、実績の一部は執行役の業績連動報酬に反映されます。環境マネジメントシステムとしては、経営管理統括部門の執行役を委員長とする環境管理委員会にて継続的な改善に取り組んでいます。

(2)戦略

当社グループでは、気候変動が経済や社会にもたらす影響を重要な経営課題と捉え、TCFD提言のフレームワークに基づき、気候変動がもたらす「リスク」と「機会」を幅広く検討し、特に重要であると考えられるリスクと機会を特定しています。また、それぞれのリスクと機会が当社グループに与える財務影響を、気候変動への対応や規制が進むことが想定される2℃未満シナリオと、災害の甚大化や感染症の拡大がより深刻となる4℃シナリオに分けてシナリオ分析を実施しました。検討に必要な情報の取得にあたってはIEA(International Energy Agency)WEO 2022 Net Zero by 2050 やIEA ETP2020等を参照しました。
 各シナリオ下における事業環境の認識と、それらが及ぼす事業影響の概要は以下のとおりです。

2℃未満シナリオ

4℃シナリオ

<認識>

気温の上昇に歯止めをかけるために気候変動への対応や規制が進み、社会全体が低炭素社会へ向かうことで、主に移行リスクが顕在化する以下の事業環境を認識しています。

<認識>

積極的な気候変動への対応がとられず、感染症の拡大や自然災害の激甚化などの物理リスクによる影響がより深刻となる以下の事業環境を認識しています。

<社会像>

世界中で気候変動への対応が積極的に行われ、温室効果ガスの排出量規制や炭素税の導入といった政策が進む。各企業はその対応コストやサプライヤーからの価格転嫁に対するコスト負担を余儀なくされる。

<社会像>

気候変動に関する規制や政策の実効性が弱く、環境への規制は事業に対して大きな効果を及ぼすには至らない。その一方で気温の上昇に歯止めがきかず、大規模な自然災害が頻発し被害の甚大化が想定される。

<当社グループにおける事業環境の変化>

再生可能エネルギーへの転換や脱炭素技術の革新が進められることで顧客意識の変化が生じ、低炭素社会へ貢献できる商品やサービスに対する需要が増加する。特に欧州におけるプラスチック規制に代表される通り、脱プラスチック及びプラスチック資源循環の促進が見込まれ、当社グループ製品には多くのプラスチックが使用されていることから、対応が必要となる。

<当社グループにおける事業環境の変化>

災害による直接的な被害だけでなく、気温の上昇に伴う感染症の拡大や疾患動向の変化も想定され、検査薬を開発・提供している当社グループの社会的責任がより一層拡大する。

 

 

気候変動による当社グループへの影響

リスクと

機会

タイプ

影響要因

当社グループへの主な影響

想定

時期

影響度

検討策

2℃

未満

4℃

炭素税と排出量取引制度

炭素税や排出量取引制度の導入等による追加費用負担

中期

・省エネルギー活動の推進(省エネ機器の導入、LED化推進、DXの推進等)

・再生可能エネルギー(水力・太陽光発電の活用等)の導入拡大

・継続的なScope1,2の監視と削減取り組み

プラスチックに対する環境規制

プラスチック等の梱包材・製品等の一部の製品が環境規制の影響を受け、販売できなくなることによる売上減少

短-中期

・環境規制に対する継続的な動向調査と対策
・市場・業界動向を踏まえた製品開発

新技術への投資失敗

プラスチック関連製品を中心とした環境負荷の低い製品の技術開発遅れによる販売機会の損失

中-長期

・製品に対する環境影響評価の実施
・環境負荷低減に向けた製品開発・設備投資の促進

調達コスト増加

炭素税価格の転嫁による原材料や輸送コストの増加による利益の圧迫

中期

・原材料調達先、輸送ルートの最適化

ステークホルダーからの評価低下

環境への取り組みが不十分な場合、株主、投資家などからの信用失墜から株価下落、企業価値低下

中期

・サステナビリティ経営の推進による積極的な情報開示

異常気象の重大性と頻度の上昇

工場・物流施設への浸水や洪水被害によるサプライチェーンの寸断による販売機会の損失

長期

・事業所およびサプライヤーの防災対策の強化

・事業継続計画の策定・継続的改善

平均気温上昇

感染症の拡大に伴う自社・サプライヤーの生産拠点の稼働率低下や部品供給の寸断による販売機会の損失

長期


 ・

低排出量商品およびサービスの開発・提供

持続可能性が高い製品に対するニーズが高まり、製造過程におけるCO2排出量が小さい製品や省電力につながるサービスを開発・提供することによる販売機会の増加

中-長期

・製品に対する環境影響評価の実施

・持続可能性を踏まえた製品開発・設備投資の促進

製品ライフサイクルにおけるCO2排出量の少ない装置の供給による販売機会の増加

中-長期

・製品に対する環境影響評価の実施
・環境配慮型製品の開発(梱包・製品設計の改善)

気候適応、強靱性に対するソリューション開発

気候変動に伴う新たな感染症拡大を始めとする、疾患動向の変化に早期対応することによる売上増加および社会への貢献

長期

・感染症動向の継続的なモニタリングと検査薬の開発・提供

R&D及び技術革新を通じた新製品開発

外気温に左右されない製品の開発を行い、品質優位性による販売機会の増加

中-長期

・製品に対する環境影響評価の実施
・保存に対する環境負荷を低減した製品の開発

再生可能電力で稼働可能な製品の提供による販売機会の増加

短-中期

・ポータブルソーラーパネル等で稼働可能な製品の提供

気候変動リスクへの対応

気候変動への積極的な取り組みを進めることで投資家からのESG関連評価向上に伴う企業価値の向上

中期

・サステナビリティ経営の推進による積極的な情報開示

 

※想定時期の定義 短期:3年未満 中期:3年以上、10年未満 長期:10年以上

※財務影響の定義 小:1億円未満 中:1億円以上、25億円未満 大:25億円以上

 

(3)リスク管理

当社グループは、環境マネジメントシステムの中で、事業活動が環境に与える影響を、順守義務の観点も含め毎年評価しています。また、リスクマネジメントの中で、包括的なリスクアセスメントを年1回実施しています。TCFDの提言を踏まえ、リスク管理・コンプライアンス委員会、サステナビリティ委員会およびその下部組織である環境管理委員会で気候変動がもたらすリスクと機会のアセスメントを実施し、特定したリスクおよび機会に対してリスクの低減および事業機会の創出に取り組みます。

(4)指標及び目標

当社グループは、2050年のカーボンニュートラルを目指し、CO2排出量(スコープ1+2)を2030年に30%削減(2018年度比)する目標を設定しております。スコープ3についてもCO2排出量の算定を進めており、今後、目標設定に向けて取り組んでまいります。

 

2022年度

実績

2024年度

目標

2030年度

目標

事業所におけるCO2排出量削減

(スコープ1+2)

4,618t-CO2

(2018年度比35.6%削減)

14%削減

(2018年度比)

30%削減

(2018年度比)

 

スコープ1:自社での燃料使用や生産プロセスからの直接排出

スコープ2:自社が購入した電気や熱の使用による間接排出

スコープ3:スコープ1、2以外の間接排出(原料調達、製品輸送・使用・廃棄、社員の通勤・出張等)

 

3 【事業等のリスク】

当社グループは、臨床検査薬の製造・販売を主たる事業として、経営構想「EIKEN ROAD MAP 2030」に基づき事業活動をグローバルに展開しております。事業活動の展開において存在する様々なリスクに対応するため、当社グループではグループのリスク管理を体系的に定める「栄研グループ・リスク管理規程」を制定するとともに、全執行役を委員とする「リスク管理・コンプライアンス委員会」を設置することにより、リスクマネジメント活動を統括しています。リスクマネジメントに関する取り組みが取締役会へ報告され、取締役会がその実効性を監督しています。

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、以下のようなものがあります。

なお、これらのほかにも現在及び将来において、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性のある様々なリスクが存在しており、ここに記載されたリスクは当社グループのすべてのリスクではありません。また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)海外事業展開に係るもの

「EIKEN ROAD MAP 2030」の達成のためには、グローバル展開の推進が必要となります。しかし、国・地域ごとの経済・景気の変化、パンデミックの発生や地政学的リスクなどにより、薬事承認の遅延や主力製品である便潜血検査用試薬に関して大腸がん検診のスクリーニングプログラムの遅延または実施の中断や中止などがあった場合、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

また、当社連結子会社である栄研生物科技(中国)有限公司は、当社から臨床検査薬の受託生産を請け負うとともに、中国国内において独自に臨床検査薬の開発、製造・販売に取り組んでおります。しかし、市況環境の変化により当社からの受託生産が減少した場合や同社独自の中国ビジネス展開が計画通りに進捗しない場合、また、同社で著しい不動産価額の低下が生じた場合などには、当社の同社に対する投資を回収することが困難になる可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、当社グループでは海外事業室を中心に、販売代理店等を通じて各国の経済動向及びリスク情報の迅速な収集・共有に努め、適時適切に対応してまいります。また、栄研生物科技(中国)有限公司につきましては、中国事業の中心的な役割を担うべく、当社中国事業室のサポートの下、中国国内向け販売の拡大に努めております。

 

(2)新製品・新技術に係るもの

   当社グループは、医療ニーズ及び中長期的なビジョンに基づき新製品・新技術の企画・開発の強化を図っております。しかし、研究開発の不確実性(遅延・中断や中止)により研究開発投資の回収が困難になった場合若しくはそれによる事業化機会の逸失または刻々と変化する市場動向との不整合等により十分な成果に結びつかなかった場合は、中長期的な事業計画が影響を受け、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、当社グループでは「EIKEN ROAD MAP 2030」及び中期経営計画において、事業環境の変化に応じた事業戦略を策定し、新製品・新技術の戦略的推進を図り、経営会議、取締役会等で研究開発の進捗を管理しております。

 

(3)医療制度・薬事規制等に係るもの

   当社グループは、国・地域ごとの薬事規制等に従い製品を販売しておりますが、各国の医療制度改革の動向により医療費抑制や薬事規制が強化された場合、製品価格や製品の使用方法が影響を受け、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、当社グループでは各国の医療制度や薬事規制の動向の迅速な把握に努め、適時適切に対応してまいります。

 

(4)製品品質に係るもの

   当社グループは、品質マネジメントシステム(ISO13485認証、MDSAP認証)に基づく品質管理体制のもと製品の品質保証に取り組んでおります。しかし、万一製品に品質問題が発生し製品の供給維持ができなくなった場合、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、当社グループでは生産技術力の強化による品質の安定化と品質マネジメントシステムの適切な運用及び市場における製品の品質評価の調査・分析により品質保証の強化に取り組んでおります。

 

(5)製品の安定供給に係るもの

   大規模な地震、風水害等の自然災害や火災等の重大な事故により当社グループまたはサプライヤーの工場・設備が甚大な被害を被った場合や、パンデミックの発生または地政学的リスクにより長期間の操業停止となった場合は、製品の供給維持ができなくなり、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、当社グループでは製品の安全在庫の確保とともに、複数社購買などによるリスク回避に努めるほか、事業継続計画(BCP)を策定し、供給維持が図れるよう対応能力の継続的向上に取り組んでおります。なお、当社は、内閣官房国土強靭化推進室が進める国土強靭化貢献団体認証(レジリエンス認証)を取得しております。

 

(6)ITシステムに係るもの

   当社グループは、業務効率化のため各種ITシステムを導入し、ビジネスプロセスの改善に取り組んでおります。そのため、災害等によるシステム障害、サイバー攻撃やコンピュータウイルス感染による業務の阻害や社外への情報流出等が発生した場合、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、当社グループでは適切な情報セキュリティ対策を構築するとともに、標的型攻撃メール対応やITリテラシー向上を目的とした教育訓練を実施しています。

 

(7)原材料価格・輸送コストの高騰等に係るもの

   当社グループの製品に使用する原材料の価格は、自然災害やパンデミック、経済情勢に伴う市場価格、燃料費、為替等によって変動します。当該価格がこれらの原因等により高騰した場合や製品の輸送コストが高騰した場合には、当該製品の原価が上昇し、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

   このようなリスクを踏まえ、当社グループでは主要な原材料の複数社購買、原材料の市場動向等の情報収集、適正在庫の確保等の対応策を実施しております。

 

(8)棚卸資産の評価

   当社グループは、2023年3月期連結貸借対照表において棚卸資産として8,413百万円を計上しており、総資産に対する比率は12.7%となっております。また、自然災害の増大、感染症の拡大及びロシアのウクライナ侵攻に端を発する不安定な世界情勢等を背景に、事業継続計画(BCP)の観点から当社グループが保有する棚卸資産は増加傾向にあります。そのため、急激な需給バランスの悪化等により製商品市況が著しく下落した場合には、棚卸資産の評価減により、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

   このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、在庫品の状況を注視し、安全在庫を念頭においた適正な在庫管理を行うなど、過剰在庫等が発生するリスクの軽減を図ってまいります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社、以下同じ。)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、経済活動の制限緩和が継続し、持ち直しの動きがみられましたが、新型コロナウイルス感染流行の波(第6波から第8波)の繰り返し、収束に伴う消費拡大、物価上昇等先行き不透明な状況が続きました。海外経済は、ロシアのウクライナ侵攻に端を発する資源価格高騰やインフレ抑制策としての利上げと円安の進行により、不安定な状況のまま推移しました。

臨床検査薬業界においては医療費抑制策とコロナ禍における資源、物流及び原材料調達などのコスト上昇により経営環境は一層厳しさを増し、各企業はさらにコスト競争力と積極的な海外展開を求められる状況となっております。

このような経営環境の下、当社グループは経営構想「EIKEN ROAD MAP 2030」に基づき策定された中期経営計画に沿って、「がんの予防・治療への貢献」、「感染症撲滅・感染制御への貢献」、「ヘルスケアに役立つ製品・サービスの提供」の3つの注力事業分野を中心に重点施策を展開し、グループ全体で持続的な成長と着実な収益性の向上に努めております。

また、世界の人々の健康を守る企業として「医療」の課題、そして「環境」・「社会」・「ガバナンス」の課題にも積極的に取り組み、社会課題の解決を通じて、さらなる企業価値の向上と持続可能な社会の実現を目指しております。

当連結会計年度の売上高は、第4四半期における新型コロナウイルス新規感染者数の急減によりLAMP法を用いた新型コロナウイルス遺伝子検査試薬の売上が減少しましたが、各種検診・スクリーニングプログラムの再開や外来患者数の回復傾向が続いたことから尿検査用試薬及び免疫血清検査用試薬が伸び、43,271百万円(前期比0.6%増)となりました。
 製品の種類別区分ごとの売上高では、微生物検査用試薬は、新型コロナウイルス感染症以外の検査が回復傾向にあり、3,938百万円(同0.3%増)となりました。尿検査用試薬は、海外向け尿試験紙の売上が大きく伸長し、4,143百万円(同9.5%増)となりました。免疫血清検査用試薬は、国内で便潜血検査用試薬及び東ソー株式会社から導入・販売しているAIA関連試薬の販売が増加したものの海外向け便潜血検査用試薬の売上が減少し、20,717百万円(同0.6%増)となりました。生化学検査用試薬は590百万円(同1.4%減)、器具・食品環境関連培地は2,165百万円(同3.9%減)となりました。その他(医療機器・遺伝子関連等)につきましては、新型コロナウイルス検出試薬の減少によって11,716百万円(同1.1%減)となりました。
 海外向け売上高は、尿検査用試薬が増加した一方で、便潜血検査用試薬の売上がスクリーニングプログラム再開に備えた在庫増とその後の在庫調整により、8,797百万円(同0.8%減)となりました。
  利益面では、営業利益は7,457百万円(同11.1%減)、経常利益は7,568百万円(同11.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は5,736百万円(同7.8%減)となりました。

 

当連結会計年度末の財政状態は以下のとおりであります。

前連結会計年度末に比べ総資産は3,763百万円増加、負債は31百万円増加、純資産は3,731百万円増加いたしました。

増減の主なものとして、資産の部では、現金及び預金が2,195百万円増加、受取手形、売掛金及び契約資産が834百万円減少、新研究棟建設等により有形固定資産が1,926百万円増加しております。負債の部では、支払手形及び買掛金が189百万円増加、未払法人税等が477百万円減少、流動負債その他が238百万円増加しております。純資産の部では、配当金の支払があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が3,703百万円増加しました。自己資本比率は前連結会計年度末の72.8%から74.2%となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ5,164百万円増加し、当連結会計年度末には16,064百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金は、7,575百万円の収入(前連結会計年度は7,769百万円の収入)となりました。これは主に、売上債権の減少により835百万円の収入、棚卸資産の増加により180百万円の支出、仕入債務の増加により161百万円の収入及び、税金等調整前当期純利益が7,592百万円あったことによります。

なお、減価償却費は2,125百万円発生しております。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金は、316百万円の支出(前連結会計年度は5,044百万円の支出)となりました。これは主に、新研究棟建設等の設備投資による有形固定資産の取得による支出が3,206百万円、投資有価証券の償還による収入が3,000百万円、定期預金の預入による支出が5,253百万円及び、定期預金の払戻による収入が5,224百万円あったことによります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金は、2,095百万円の支出(前連結会計年度は1,200百万円の収入)となりました。これは主に、配当金の支払が2,033百万円あったことによります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

当社グループは、検査薬事業のみの単一セグメントであるため、生産、受注及び販売の実績については製品の種類別区分ごとに記載しております。

(ア)生産実績

当連結会計年度における生産実績を製品の種類別区分ごとに示すと、次のとおりであります。

 

製品の種類別区分の名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前期比(%)

微生物検査用試薬(百万円)

3,575

95.1

尿検査用試薬(百万円)

4,299

108.9

免疫血清検査用試薬(百万円)

7,738

98.5

器具・食品環境関連培地(百万円)

130

50.1

その他(百万円)

6,210

102.5

合計(百万円)

21,953

100.3

 

(注) 金額は、売価換算値で表示しております。

 

 

(イ)商品仕入実績

当連結会計年度における商品仕入実績を製品の種類別区分ごとに示すと、次のとおりであります。

 

製品の種類別区分の名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前期比(%)

微生物検査用試薬(百万円)

359

139.1

尿検査用試薬(百万円)

21

123.9

免疫血清検査用試薬(百万円)

9,079

98.1

生化学検査用試薬(百万円)

335

90.9

器具・食品環境関連培地(百万円)

1,844

111.1

その他(百万円)

3,251

95.4

合計(百万円)

14,892

99.5

 

 

(ウ)受注実績

当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

(エ)販売実績

当連結会計年度における販売実績を製品の種類別区分ごとに示すと、次のとおりであります。

 

製品の種類別区分の名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前期比(%)

微生物検査用試薬(百万円)

3,938

100.3

尿検査用試薬(百万円)

4,143

109.5

免疫血清検査用試薬(百万円)

20,717

100.6

生化学検査用試薬(百万円)

590

98.6

器具・食品環境関連培地(百万円)

2,165

96.1

その他(百万円)

11,716

98.9

合計(百万円)

43,271

100.6

 

(注)  最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりで

    あります。

 

相手先

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

㈱スズケン

5,251

12.2

5,475

12.7

アルフレッサ㈱

5,491

12.8

5,254

12.1

東邦薬品㈱

4,447

10.3

4,615

10.7

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、将来のリスク、不確実性及び仮定を伴う予測情報を含んでおります。「3 事業等のリスク」などに記載された事項及びその他の要因により、当社グループの実際の業績は、これらの予測情報から予測された内容とは大幅に異なる可能性があります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

当社経営陣は、連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発資産・負債の開示、並びに報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行わなければなりません。経営陣は、貸倒債権、退職金、投資、偶発事象や訴訟等に関する見積り及び判断に対して、継続して評価を行っております。経営陣は、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行い、その結果は、他の方法では判定しにくい資産・負債の簿価及び収入・費用の報告数字についての判断の基礎となります。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社は、特に以下の重要な会計方針が、当社の連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。

(ア)貸倒引当金

当社グループは、顧客の支払不能時に発生する損失の見積額について、貸倒引当金を計上しております。顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。

(イ)退職給付費用

当社においては従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、将来の給与水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の収益率などが含まれます。当社の年金制度においては、割引率は日本の国債の市場利回りを参考値として、在籍従業員の平均残存勤務期間内の一定の年数で算出しております。期待収益率は、年金資産が投資されている資産の種類毎の期待収益率の加重平均に基づいて計算しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。また、割引率の低下及び年金資産運用での損失は、当社グループの退職給付費用に対して悪影響を及ぼす可能性があります。

(ウ)投資の減損

当社グループは、取引関係維持のために、特定の顧客の株式を保有しております。これらの株式には価格変動性が高い公開会社の株式と、株価の決定が困難である非公開会社の株式が含まれます。また、関係会社に対して出資を行っております。当社グループは投資価値が著しく下落し、回復の見込みがないと判断した場合、投資の減損を計上しております。将来の市況悪化または投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失または簿価の回収不能が発生した場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。

(エ)棚卸資産の評価

「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り) 」に記載のとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。

当連結会計年度の売上高は、第4四半期における新型コロナウイルス新規感染者数の急減によりLAMP法を用いた新型コロナウイルス遺伝子検査試薬の売上が減少しましたが、各種検診・スクリーニングプログラムの再開や外来患者数の回復傾向が続いたことから尿検査用試薬及び免疫血清検査用試薬が伸び、43,271百万円(前期比0.6%増)となりました。
 売上原価は22,765百万円、売上原価率は52.6%となり、前連結会計年度に比べ0.4ポイント上昇いたしました。
 売上総利益は前連結会計年度に比べ65百万円減少し、20,506百万円となりました。販売費及び一般管理費については前連結会計年度に比べ864百万円増加し、13,049百万円となりました。
 営業利益は前連結会計年度に比べ930百万円減少し、7,457百万円となりました。売上高営業利益率は17.2%となり前連結会計年度に比べ2.3ポイント低下いたしました。
 営業外収益は154百万円を計上し、前連結会計年度に比べ9百万円減少いたしました。
 営業外費用は42百万円を計上し、前連結会計年度に比べ0百万円減少いたしました。
 経常利益は営業外損益で111百万円を計上し、7,568百万円となり、前連結会計年度に比べ940百万円減少いたしました。経常利益率は前連結会計年度に比べ2.3ポイント低下し、17.5%となりました。
 特別利益は81百万円を計上し、前連結会計年度に比べ79百万円増加いたしました。特別損失は57百万円を計上し、前連結会計年度に比べ30百万円増加いたしました。
 税金等調整前当期純利益は特別損益で23百万円の純利益を計上し、7,592百万円となりました。税金等調整前当期純利益に対する法人税、住民税及び事業税の負担率は前連結会計年度26.7%に対して当連結会計年度が24.4%となり、2.2ポイント低下いたしました。
 親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ482百万円減少し、5,736百万円となり、当期純利益率としては1.2ポイント低下13.3%となりました。
 当社グループは、経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として、2023年3月期の第2四半期までの好調な業績を受けて、当初の目標を上方修正し、2023年3月期に売上高43,600百万円、営業利益7,470百万円、ROE12.3%の達成を目指しておりましたが、売上高43,271百万円営業利益7,457百万円、ROE12.1%となり、目標値に対して、若干の未達となりました。

 

指標

2022年3月

2023年3月

目標

実績

目標

実績

連結売上高(百万円)

40,400

42,996

43,600

43,271

連結営業利益(百万円)

6,370

8,387

7,470

7,457

ROE(%)

11.5

14.3

12.3

12.1

 

 

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については以下のとおりであります。

(ア)キャッシュ・フロー

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

(イ)財務政策

当社グループの財務政策における基本方針は、資本効率の向上による財務体質の強化であり、継続的に実行しております。
 資金の調達及び運用については、当社グループとして一体となり実行しており当社の信用力を最大限に活用しております。運転資金及び設備投資については、基本的に手持資金(利益等の内部留保資金)にて調達しております。なお、運転資金の効率的な調達を行うため金融機関との間で、総額5,400百万円の当座貸越契約及び貸出コミットメント契約を締結しております。余剰資金の運用については、安全性・流動性の高い金融商品にて実行しております。当社グループの高いキャッシュポジションに対して、今後の効率的・戦略的な資金運用を検討しております。
 当社グループは、その健全な財務状態、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出す能力、売掛債権信託(債権流動化)及び貸出コミットメント契約により、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが可能と考えておりますが、設備投資等の長期資金需要に関しては金融機関からの長期借入、社債またはその組み合わせによる調達方法も実施しております。
 また、当社グループは株主の皆様に対する利益還元を経営の最重要課題のひとつと位置づけたうえで、財務体質の強化と積極的な事業展開に必要な内部留保の充実を勘案し安定した配当政策を実施すること、また、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。具体的には、上記方針を踏まえ連結配当性向30%以上の配当を目標といたします。
 

 

5 【経営上の重要な契約等】

業務提携契約

 

契約会社名

内容

契約日

有効期限

大塚製薬㈱

臨床検査市場において、両社が競争力を強化し、メリットを享受できるための販売・市場育成、研究開発、技術の相互利用及び、両社の信頼・協力関係を深め、業務提携をより円滑に進めることを目的とする当社への資本参加を含めた業務提携契約。

2006年
9月7日

業務提携契約

5年間

※期間終了後、1年毎

 の更新

 

 

 

6 【研究開発活動】

野木事業所(栃木県)に建設を進めていた新研究棟が完成し、2022年10月より本格的な稼働を開始しました。この新研究棟は、同事業所内の既存研究棟と合わせ『総合研究センター』として、当社の研究開発における主要拠点となります。また、那須事業所(栃木県)にある研究所を統合することにより、多様な人材の活用と英知の結集・融合を図り、「EIKEN ROAD MAP 2030」で設定した「がんの予防・治療への貢献」、「感染症撲滅・感染制御への貢献」、「ヘルスケアに役立つ製品・サービスの提供」の注力事業の具現化を推進すべく研究開発の強化とイノベーションの加速を図っております。

そして、依然として新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により研究開発活動に制限がかかった新研究棟稼働初年の当連結会計年度においても、『ヘルスケアを通じて人々の健康を守ります。』という経営理念の下で、既存の大型製品群の強化充実並びに研究開発力の向上による製品開発を推進してまいりました。

OC試薬関連では欧州IVDR認証を取得した便潜血測定装置『OCセンサーCeres』と糞便中ヘモグロビン測定試薬及び糞便中カルプロテクチン測定試薬などを2022年11月、ラテックス試薬関連では『LZテスト‘栄研’CRP-RV』を2023年2月、イムノクロマト試薬関連では『Exdia EKテスト Influenza A+B』を2022年4月、LAMP試薬関連では『Loopamp PURE DNA Extraction Kit』IVDR対応製品を2022年7月に発売いたしました。薬剤感受性測定試薬については薬剤耐性(AMR)対策への貢献として、タゾバクタム/セフトロザンのKBディスクを2022年6月に発売いたしました。

大塚製薬株式会社とは業務提携契約に基づき、両社が補完できる領域を中心に共同開発を引き続き検討中であります。

なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は4,065百万円となりました。