第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)Mission, Vision、経営環境、中長期的な経営戦略および対処すべき課題

 当中間連結会計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」「Ⅲ.2026年3月期の計画」に関する記載を、2025年9月25日公表の「固定資産の譲渡および株式譲渡による特別利益の計上ならびに2026年3月期通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」に伴い次のとおり改定いたします。

 

Ⅲ.2026年3月期の計画

下半期において、期初の想定を上回る固定資産売却益および関係会社株式売却益の計上を見込むため、親会社株主に帰属する当期純利益を修正いたしました。2026年3月期の見通しは下記のとおりとなる見込みです。

単位:億円

(四捨五入)

2025年3月期実績

2026年3月期予想

(2025年5月15日公表値)

(2025年9月25日公表値)

売上高

2,430

2,520

2,520

EBITDA※1

234

305

305

営業利益

26

80

80

経常利益

47

60

60

親会社株主に帰属する当期純利益

28

55

70

ROE

2.0%

4.1%

5.2%

ROIC※2

0.8%

2.5%

2.5%

※1 EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却費

※2 ROIC=NOPAT(営業利益-みなし法人税)/ 投下資本 [(純資産+有利子負債(リース債務含む)
+その他の固定負債)の期首・期末残高の平均]

 

(2)経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況

①経営成績の状況

当中間連結会計期間におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善等により、経済活動は緩やかな回復基調となりました。しかしながら、米国の通商政策等により、先行き不透明な状況が続いております。

当社グループを取り巻く事業環境につきましては、医療機関の経営状況の悪化や医療費の削減要請に伴う検体検査実施料の抑制等、厳しい事業環境が継続しております。

このような環境の中、当社グループといたしましては、これまでの投資の刈り取りフェーズと位置付けた5か年の中期経営計画「H.U. 2030」を策定し、一体化経営のさらなる深化等を通して収益性を向上すべく各種施策に取り組んでおります。H.U. Bioness Complexに関しては、旧システムのシャットダウン対応等にかかるコストが当中間連結会計期間に発生しましたが、完全稼働を開始し、徐々に収益性の改善に寄与しております。NEURO領域においては、血漿中の217位リン酸化タウ蛋白(pTau217)とβ-アミロイド1-42の比率を測定する検査試薬が2025年5月にアルツハイマー病の診断補助を目的とした血液用体外診断用医薬品として初めて米国食品医薬局(FDA)より承認を取得し、本試薬を中心としたNEURO領域の製品が成長しております。また、CDMO事業については、6月23日に発表したPlasma Services Group, Inc.の買収も背景に、バイオ原料供給の強化を進めております。

これらの結果といたしまして、当中間連結会計期間の売上高は124,392百万円(前年同期比3.7%増)となりました。すべての事業セグメントで増収となりましたが、主に検査・関連サービス事業およびヘルスケア関連サービス事業が増収をけん引いたしました。

利益では、増収による増益に加えて、検査・関連サービス事業におけるサービスレベル・販売価格の適正化をはじめとした限界利益の増加等により増益となりました。その結果、営業利益は2,326百万円(前年同期比143.2%増)となりました。経常利益は、主に営業利益の増益によって、305百万円(前年同期は経常損失1,257百万円)となりました。また、主に経常利益の増益によって、親会社株主に帰属する中間純利益は205百万円(前年同期は親会社株主に帰属する中間純損失821百万円)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

イ.検査・関連サービス事業

売上では、がんゲノムを始めとした遺伝子関連検査および特殊検査が伸長したこと等により増収となりました。これらの結果、売上高は79,190百万円(前年同期比3.5%増)となりました。利益では、ベース事業の増収による増益に加えてサービスレベル・販売価格の適正化をはじめとした限界利益の増加等により、営業損失は930百万円(前年同期は営業損失2,892百万円)となりました。

 

ロ.臨床検査薬事業

売上では、新型コロナウイルス関連製品の売上高の減少および円高による為替の影響があったものの、海外を中心としたNEURO関連売上が伸長したこと等により増収となりました。これらの結果、売上高は29,435百万円(前年同期比1.4%増)となりました。利益では、Plasma Services Group, Inc.の買収費用が発生したこと等により、営業利益は4,825百万円(前年同期比12.0%減)となりました。

 

ハ.ヘルスケア関連サービス事業

売上では、滅菌・手術関連事業が伸長したことおよび在宅事業において2024年12月より株式会社ガイアメディケアを連結子会社化したこと等により増収となりました。これらの結果、売上高は15,766百万円(前年同期比9.1%増)となりました。利益では、増収による増益により、営業利益は1,164百万円(前年同期比32.4%増)となりました。

 

②財政状態の状況

当中間連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ5,564百万円減少し、274,018百万円となりました。その主な要因は、ソフトウエアの増加4,544百万円、のれんの増加2,276百万円および受取手形、売掛金及び契約資産の増加1,258百万円があった一方、無形固定資産その他の減少8,075百万円、流動資産その他の減少2,605百万円、工具、器具及び備品(純額)の減少1,456百万円、現金及び預金の減少1,320百万円および投資有価証券の減少1,011百万円があったためであります。

当中間連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末に比べ3,398百万円減少し、138,888百万円となりました。その主な要因は、流動負債その他の減少1,821百万円および賞与引当金の減少872百万円があったためであります。

当中間連結会計期間末の純資産は、前連結会計年度末に比べ2,165百万円減少し、135,129百万円となりました。その主な要因は、為替換算調整勘定の増加1,195百万円および親会社株主に帰属する中間純利益205百万円があった一方、配当金の支払3,604百万円があったためであります。

以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ0.2%増加し、49.2%となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,320百万円減少し、39,563百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により獲得した資金は6,225百万円(前年同期6,668百万円の獲得)となりました。その主な要因は、減価償却費10,765百万円および持分法による投資損失1,082百万円があった一方、未払消費税等の減少額1,630百万円、棚卸資産の増加額1,360百万円、法人税等の支払額1,320百万円および売上債権及び契約資産の増加額1,125百万円があったためであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用した資金は2,024百万円(前年同期9,753百万円の使用)となりました。その主な要因は、子会社株式の取得による支出2,808百万円、無形固定資産の取得による支出1,460百万円および有形固定資産の取得による支出1,219百万円があった一方、関係会社出資金の払戻による収入3,738百万円があったためであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により使用した資金は5,824百万円(前年同期10,666百万円の獲得)となりました。その主な要因は、配当金の支払額3,596百万円およびファイナンス・リース債務の返済による支出2,358百万円があったためであります。

 

(3)株式会社の支配に関する基本方針について

当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(会社法施行規則(2006年法務省令第12号)第118条第3号にいう、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針)を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。

 

Ⅰ.当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

当社取締役会は、当社株式の買付提案等を受け入れるかどうかは、最終的には、当社株主のみなさまの判断に委ねられるべきものであり、当社株主のみなさまが適切な判断を行うためには、当社株式の買付け等が行われようとする場合に、当社取締役会を通じ、当社株主のみなさまに十分な情報が提供される必要があると考えます。

そして、対価の妥当性等の諸条件、買付けが当社グループの経営に与える影響、買付者による当社グループの経営方針や事業計画の内容等について当社株主のみなさまに十分に把握していただく必要があると考えます。

しかし、当社株式の買付け等の提案の中には、会社や株主に対して買付けに係る提案内容や代替案等を検討するための十分な時間や情報を与えないもの、買付けに応じることを株主に強要するような仕組みを有するもの、買付条件が会社の有する本来の企業価値・株主共同の利益に照らして不十分または不適切であるもの等、当社の企業価値・株主共同の利益を毀損する恐れをもたらすものも想定されます。

このような企業価値・株主共同の利益を毀損する恐れのある不適切な大規模買付行為や買付提案を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者としては適切ではないと考えています。

当社は、2007年5月23日に開催された当社取締役会において、以上の内容を当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針とすることを決定いたしました。

 

Ⅱ.基本方針の実現に資する取組み

当社では、中期経営計画の着実な実行、安定的かつ継続的な株主還元、およびコーポレート・ガバナンス体制のさらなる強化を通じて、企業価値・株主共同の利益の向上に取組んでいます。以下に掲げるこれらの取組みは、上記Ⅰの基本方針の実現に資するものと考えています。なお、以下に掲げる取組みは、その内容から、株主共同の利益を損なうものではなく、かつ、会社役員の地位の維持を目的とするものでないことは、明らかであると考えています。

 

1)中期経営計画の実行を通じた企業価値・株主共同の利益の向上の取組み

当社グループを取り巻く事業環境は、高齢化や先端的医療の導入等による医療費の伸長が見込まれる中、医療機関の経営状況の悪化や医療費の削減要請に伴う検体検査実施料の抑制により、国内臨床検査市場は今後も厳しい状況が継続するものと見込まれます。一方、医療費の抑制策が進む中、病院および病床再編に伴う在宅医療や予防医療のニーズの拡大、先進医療技術の向上やIT技術の進展など新たな成長の機会があり、事業環境の様相は刻々と変化しております。

また、海外臨床検査市場においては、新興国を中心に成長しているものの先進国では社会保障費抑制による低成長が継続しております。加えて各国の制度変更等による薬事関連コストが増加する等、厳しい事業環境が継続しております。

このような事業環境の中、当社は、将来の飛躍的かつ持続的な成長に向けて、2030年3月期を最終年度とする中期経営計画を2025年5月に策定いたしました。本中期計画の概要は前事業年度の有価証券報告書、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

2)安定的かつ継続的な株主還元を通じた企業価値・株主共同の利益向上の取組み

当社では、キャッシュ・フロー、中長期的に健全な財務基盤の維持などを総合的に勘案した累進配当を実施してまいります。また、自己株式の取得を積極的かつ機動的に実施し、資本効率の向上を目指してまいります。

 

3)コーポレート・ガバナンス体制のさらなる強化を通じた企業価値・株主共同の利益向上の取組み

当社では2005年6月より委員会設置会社(現・指名委員会等設置会社)に移行し、監督と執行を明確に分離し、業務執行を迅速に展開できる執行体制を確立しております。コーポレート・ガバナンス体制の観点からは、取締役9名のうち7名の社外取締役を東京証券取引所の定めに基づく独立役員とし、法令に従って監査委員会、報酬委員会、指名委員会を設置してさらなる経営の透明性確保、公正性の向上を目指した取組みを継続しています。インセンティブ・報酬の観点からは、企業価値・株主共同の利益を向上させることを最重要課題と位置付け、執行役に対する業績連動型報酬制度を導入するとともに、業績との連関が高くない退職慰労金制度を廃止し、また株主のみなさまと執行役その他従業員の利益を共有化する目的から株式報酬制度を導入しております。これら執行役・取締役に対する報酬は有価証券報告書、事業報告にて開示しております。その他、株主総会の活性化および議決権行使の円滑化に向けた施策として、株主のみなさまが適切な議決権行使をしていただく時間を確保する目的から招集通知を株主総会の3週間以上前に発送するとともに、議決権電子行使の電子投票システムの導入やプラットフォームへの参加など、さまざまな施策を実施しています。さらに、株主総会の日程は、いわゆる株主総会集中日を回避して設定するとともに、当日ご出席いただけない株主のみなさまに対して、事前のご質問をお受けするとともにインターネットによるライブ配信を実施しています。また、これら適切なガバナンス体制の維持・強化の重要性から、内部統制システムの基本方針を定め、監査委員会による監査体制の強化、子会社・関連会社を含めた管理規程の整備を進め企業集団における業務の適正を確保するための体制を構築するなど、さらなる整備強化を進めております。

 

Ⅲ.上記の取組みが上記Ⅰの基本方針に沿うものであり、株主共同利益を損なうものではないこと、会社役員の地位の維持を目的とするものではないことおよびその理由

上記の取組みは、当社の財産を最大限に活用し、収益の維持・向上に必要な内部留保の確保と株主のみなさまへの利益還元の適正な配分を図り、また、適切なコーポレート・ガバナンス体制の維持・強化を図るものであり、当社の企業価値および株主共同の利益の向上に資するものであります。したがいまして、上記の取組みは、基本方針に沿うものであり、株主の共同の利益を損なうものではなく、また、当社役員の地位の維持を目的とするものではありません。

 

(4)研究開発活動

当中間連結会計期間において、全自動化学発光酵素免疫測定システム「ルミパルスG1200」で使用する、血漿中の217位リン酸化タウ蛋白(pTau217)とβ-アミロイド1-42の比率を測定する検査試薬(以下「本試薬」)について、米国食品医薬品局(FDA)より承認を取得しました。本試薬は、アルツハイマー病の診断補助を目的として、FDAから承認された初めての血液用体外診断用医薬品となり、検体採取における被検者への侵襲性を低減させるとともに、簡便かつ高精度に検査を行えることから、より広く検査の機会を提供し、同疾患の早期診療に、より一層貢献できるものと期待されております。今後、日本国内をはじめ、各国での承認取得を進めてまいります。

今後もグループ研究開発機能を強化しつつ、外部企業・研究機関との連携も進めることで、新たな医療・ヘルスケア関連技術および画期的な検査技術に関する研究開発を鋭意進めてまいります。

当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、5,545百万円であります。

 

(5)主要な設備の状況

当中間連結会計期間における主要な設備の状況に重要な変更はありません。

 

(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析

当中間連結会計期間における当社グループの資金調達方針については、重要な変更はありません。

なお、当中間連結会計期間末における総額20,000百万円のコミットメントラインの借入実行残高はありません。

 

3【重要な契約等】

 当社は、当社の連結子会社であるケアレックス株式会社の発行済株式の80%を株式会社ワキタに譲渡することにかかる株式譲渡契約を2025年9月16日付で締結いたしました。本株式譲渡は2025年12月1日に実行する予定です。本株式譲渡にともない、ケアレックス株式会社は当社の持分法適用関連会社となります。