文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営の基本方針
当社は、「独創 公正 夢と情熱」を経営綱領のモットーとして掲げ、糖質科学の知見を活かした、独創的な医薬品等を継続して創生し、患者の方々に提供することを通じて、世界の人々の健康で心豊かな生活に貢献することを基本方針としています。これにより、医療を含む社会の発展に寄与するとともに、当社の持続的な成長を目指してまいります。また、製薬企業としての社会的使命及び責任を深く自覚し、高い倫理観のもと法令等の遵守を徹底するほか、コーポレート・ガバナンスの充実を図り、株主をはじめとするステークホルダーの皆さまとの信頼関係の強化に努めてまいります。
(2)目標とする経営指標
中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)の最終年度である2022年3月期の数値目標は、以下の通りです。
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2019年3月期実績 |
2022年3月期目標 |
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売 上 高 |
283億円 |
283億円 |
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経常利益 |
28億円 |
45億円 |
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SKK EBITDA* |
46億円 |
50億円 |
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海外売上高比率 |
42.2% |
50.0% |
<前提条件>
① LAL事業を含めた海外売上高の拡大で国内薬価改定の影響をカバー
② 2020年3月期に実施した医薬品事業に係る固定資産の減損により減価償却費が減少
③ 研究開発費の対売上高比率:25~30%
④ 営業外収益に各種受取ロイヤリティーを織り込む
⑤ 為替レート:対米ドル105円
*SKK EBITDA:営業利益に減価償却費、受取ロイヤリティーを加えた当社独自の利益指標です。早期の収益基盤の強化を目標とした本中期経営計画の成果を反映する指標として適切であると判断し、数値目標に選定しています。
(3)経営環境及び中長期的な経営戦略と対処すべき課題
≪経営環境≫
医薬品産業を取り巻く経営環境は、国内薬価制度の抜本改革をはじめとした医療費抑制策の進展や、治療選択肢の多様化等に伴う企業間競争の激化に加え、新薬開発の難易度が高まるなか研究開発コストが増大するなど、極めて厳しい状況が継続しています。このようななか、当社が再び成長軌道を描くためには、独創的な新薬を継続的に創生することが必須です。これと並行して、早期の収益改善にスピード感をもって取り組み、既存の枠組みにとらわれない変革を進めていきます。
≪直近の市場環境≫
当社の主力製品である関節機能改善剤の国内市場につきましては、高齢者人口の増加があるものの、外用薬や内服薬の処方拡大により、数量ベースでは微減で推移しており、金額ベースでも薬価引き下げの影響を受けて縮小傾向にあります。関節機能改善剤の米国市場においても、医療費抑制の流れに伴い、市場成長率がほぼ横ばいで推移するなか、単回投与製品の選好傾向が高まるという追い風がある一方、複数回投与製品には厳しい市場環境となっています。
また、新型コロナウイルス感染症の拡大により、外来受診の抑制や緊急を要さない手術の延期などの影響が見込まれます。
≪中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)の概要≫
Ⅰ. 当社が目指す姿
「独創的な創薬により世界で存在価値のある企業」
糖質科学領域における知見を独自の技術に活用して、真に求められる独創的な新薬を創出し、それらをより広く、グローバルに提供することを通じて、世界の人々の健康で心豊かな生活に貢献する、存在価値のある企業を目指します。また、そのベースとして公正かつ誠実な企業活動を推進します。
Ⅱ. 基本理念/スローガン
① 当社の経営綱領(モットー) :独創 公正 夢と情熱
② 当社のミッションステートメント :糖質科学で未来を創る
③ 本中期経営計画スローガン :Innovative Thinking
革新的な思考をもって価値を創造する
Ⅲ. 重点施策
本中期経営計画は、当社が再び成長軌道を描くための収益基盤を強化する期間と位置づけ、次の重点施策に取り組みます。
① 新たな収益の柱となる新薬開発の加速
1) GAG(*)に関連する独自の基盤技術の強化・活用
当社が保有する独自の創薬技術を存分に活かし、創薬の可能性を高めます。
<当社が保有する主な技術>
a. 修飾・加工・生理活性による創薬
b. ドラッグデリバリーシステムへの応用
c. プラットフォーム技術活用・次世代GAG創薬アプローチ
2) オープンイノベーション戦略による独創的な創薬の加速
当社保有技術に加え、他社の保有する親和性の高い技術を積極的に取り入れ、シナジーの最大化を図り、新薬開発のプロジェクト数を拡充させるとともに、スピードアップを図ります。
3) グローバル展開を視野に入れた開発パイプラインの着実な進展
変形性関節症治療剤SI-613の承認申請・上市を達成させ、新たな基幹製品として早期に育て上げます。また、間質性膀胱炎治療剤SI-722、癒着防止材SI-449の臨床試験におけるステージアップを目指します。腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI-6603につきましては、第Ⅲ相臨床試験追加試験のスピードアップに注力し、米国上市に向けて全力で取り組みます。
*GAG:グリコサミノグリカン(複合糖質の構成成分の1つ)。ヒアルロン酸・コンドロイチン硫酸等。
② 製品の市場拡大による収益基盤強化
1) 国内ヘルニコアの育薬
適正使用と安全性確保に向けた情報提供活動や市販後の安全性情報集積を最優先に進めつつ、関連学会と連携しながら当局と合意の上で、使用可能となる医師・施設を段階的に拡げ、着実な市場浸透に努めます。また、疾患啓発活動により、患者の方々の腰椎椎間板ヘルニアに対する認知度向上を促進します。
2) 既存製品・開発品の多国展開の加速
既存製品及び開発品の新規市場開拓を急ぎ、製品価値を最大化させることで、中長期的な収益基盤の強化を図ります。また、導出地域の医療ニーズに合わせた製品改良や用途開発にも積極的に取り組みます。
3) 遺伝子組換え技術を活かしたエンドトキシン測定用試薬の世界展開
当社グループのLAL事業の海外展開を担う子会社アソシエーツ オブ ケープ コッド インクにおいて、今後の普及が予想される遺伝子組換えエンドトキシン測定用試薬の世界展開を図り、新たな収益基盤の確保につなげます。
③ 生産性向上のための改革
1) 各種コストの徹底的な低減
製造原価につきましては、既に立ち上げているプロジェクトにより、調達コストの見直しや生産最適化・効率化をさらに進め、製品の収益性確保につなげます。
販管費につきましては、業務効率の向上と予断をもたないコスト削減を徹底するとともに、継続的な創薬活動を推進するために、優先度を見極めた研究開発費の効率的活用に取り組みます。
2) 収益モデルの多角化
これまでのビジネスモデルにとらわれず、新たな収益を生み出すためのスキームを精力的に検討していきます。
3) リソースの価値最大化に向けた組織づくり
事業環境の変化に柔軟に対応し、新しい価値を創造できる人材の育成と、個々のポテンシャルを最大限発揮できる組織改革を進めます。
≪中期経営計画の進捗状況(2020年3月期)≫
2020年3月期における中期経営計画の進捗状況は以下のとおりです。
1つ目の重点施策である、「新たな収益の柱となる新薬開発の加速」では、変形性関節症治療剤SI-613について、2020年1月に変形性関節症(膝関節、股関節、足関節)の効能又は効果に係る国内での製造販売承認申請を行いました。今後は、確実な承認取得及び販売体制の早期立ち上げに向けて注力していきます。また、2019年11月に間質性膀胱炎治療剤SI-722の米国における第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験を開始したほか、2020年5月には目標であった癒着防止材SI-449のピボタル試験段階へのステージアップを達成しました。
さらに、新たな施策として、外部コンサルタントを活用し、関連規制の強化やモダリティの多様化など環境変化に迅速に対応できる研究開発体制の構築に取り組んでいます。これにより、GAGに関連する独自技術を活かしたアンメットメディカルニーズに応える創薬をさらに加速していきます。
2つ目に掲げた「製品の市場拡大による収益基盤強化」では、2020年4月に変形性関節症治療剤SI-613の中国における共同開発及び販売提携に関する契約をエーザイ株式会社と締結し、開発品の多国展開を進めることができました。変形性関節症の中でも発生頻度が高い変形性膝関節症の中国での有症状患者数は、約4,700万人(日本のおよそ6倍)と推計されており、今後も高齢化の進展により増加することが予想されています。なお、本契約により、開発や販売等の進捗に応じてマイルストーン型ロイヤリティーを受け取る予定です。
また、腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコアについては、2019年11月より日本脊椎脊髄病学会指導医による非常勤施設での使用が可能となりました。引き続き、より多くの患者の方々へ治療機会を提供するために、関連学会と連携しながら当局と合意の上で、使用可能となる医師・施設を段階的に拡げるとともに、適正使用と安全性確保に向けた情報提供活動や市販後の安全性情報集積を着実に行っていきます。
3つ目の「生産性向上のための改革」の一環として、2020年3月にカナダのダルトン ケミカル ラボラトリーズ インク(以下、「ダルトン社」)の全株式を取得し、子会社化しました。ダルトン社は、製薬企業向けに化学合成品や医薬品原薬の受託製造及び製造工程開発などの付加価値の高いサービスを提供しています。ダルトン社の有する技術やノウハウを新薬開発に活用するほか、当社が外部委託で製造している化学合成品の内製化や治験薬及び一部当社製品の製造移管を行うことで、生産最適化・効率化を図っていきます。
また、徹底的な生産コストの低減を目的とした組織横断のプロジェクトにおける検討を進めており、一部の施策で効果を得ています。引き続き、生産管理体制や製造プロセス、サプライチェーンを含めた抜本的なコスト見直しを進めていきます。
本中期経営計画の1年目にあたる本年度は、先に掲げた3つの重点施策に一定の進捗がありました。
一方で、本中期経営計画の策定に合わせ、事業環境及び中長期的な業績動向等について精査を行った結果、国内薬価制度の抜本改革による長期収載品の大幅な薬価引き下げの影響や、関節機能改善剤の市場規模が設備投資時の想定を下回る水準で推移していること等により収益性の低下が認められたことから、当期に医薬品事業に係る固定資産の減損を実施いたしました。早期に収益改善を図ることが急務であると強く認識し、今後も機動的な経営戦略のもと各重点施策を推し進め、強固な収益基盤を構築して再び成長軌道を描いていけるよう、鋭意取り組んでまいります。
≪新型コロナウイルス感染症への対応≫
当社では、新型コロナウイルス感染症への対応として、経営の強力なリーダーシップのもと、対策本部を発足させ、従業員やその家族の感染防止を最優先にした上で、事業継続に必要な最小限の業務を遂行できる体制を整備しています。感染防止策としては、在宅勤務や時差出勤を最大限に活用するとともに、職場での従業員間の接触を可能な限り抑える対策を講じています。なお、従業員の安全確保を最優先としつつ、当社医薬品・医療機器の安定供給責任を全うするために生産を継続しています。また、当社が実施する国内外の臨床試験については、一部医療機関での治験中断や被験者の来院見合わせ等の影響を受けていますが、参加される患者さまや医療関係者の方々の感染防止に十分配慮するよう治験実施計画書等をいち早く見直し、治験施設の意向に沿って可能な範囲で試験を実施しています。
引き続き、製薬企業として社会的責任と安定供給責任を果たすために、速やかな情報収集と状況に応じた対応策を迅速に実施してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。
これらの想定されるリスク発生の可能性を認識した上で、リスク発生の回避や軽減及び発生した場合の対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本書中の本項以外の記載内容も併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えています。また、以下の記載は当社株式への投資に関連するリスクの全てを網羅するものではありません。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)法的規制、制度・行政について
当社グループの製品の多くは人々の生命と健康に関わるものであることから、日本及び海外各国の規制当局による医薬品等の品質、有効性及び安全性を確保するため等の法的規制を受けています。これらの関連法規の改正や、薬価基準の改定を含む医療制度及び行政施策の動向等によっては、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。法的規制の改正等に起因するリスクは、その動向を常にモニターすることにより改正内容を早期に把握し、的確に対応していく方針です。しかしながら、その改正の内容や時期等に加え、薬価や処方変更等は当社グループが決定できるものではなく、その影響度を事前に見積もることは困難であると認識しています。
(2)新製品開発について
当社の事業の中核をなす医療用医薬品の開発には、基礎研究から製造承認に至るまで、有効性及び安全性確認のための各種試験が必要であり、長期間にわたり多額の研究開発費を負担しても発売に至らないリスクがあります。このような場合、過去に計上された研究開発費に見合う収益が回収できない可能性があります。当社としては、アンメット・メディカル・ニーズ(いまだ有効な治療方法がない疾患に対する医療ニーズ)に応えるべく研究・開発体制を強化し、複数の開発パイプラインを推進することにより、リスクの分散に努めています。しかしながら、これにより全てのリスクが回避されるわけではなく、このような新製品開発の不確実性が業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(3)特定販売先への依存について
主力製品である医療用医薬品・医療機器は販売提携先と独占販売契約を締結し、販売先を限定しています。状況の変化によりこれらの販売提携先との取引内容に変更があった場合、その内容によっては、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、当該リスクが顕在化した場合の影響度を見積もることは困難であると認識しています。
(4)副作用に関するリスクについて
医療用医薬品・医療機器は、臨床試験段階から市販後に至るまで、予期せぬ副作用が発現するリスクがあります。当該リスクが顕在化した場合、開発品においては臨床試験の遅れや開発中止等に至る可能性があります。また、既承認品においても、予期せぬ副作用等で発売中止、製品回収等の事態に発展する可能性があります。このような場合、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(5)特定仕入先への依存について
医療用医薬品・医療機器の製造には様々な規制があり、原材料の中には規制当局の承認が必要とされるものもあるため、原材料の仕入先を限定し、往訪監査を行い、品質の確保と安定供給体制の確立に努めています。原材料の一部は単一の供給源に依存しているため、調達が困難になるような状況変化が生じたときは、製品の製造に支障をきたすリスクがあります。原材料及び製品在庫を適切に保有することにより、業績への影響を最小限に留める対策を講じていますが、当該リスクが顕在化した場合には、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。顕在化した場合の影響度は、該当製品や代替品調達の可否、調達に要する時間等により大きく異なることから、その影響度を事前に見積もることは困難であると認識しています。
(6)動物由来成分の原料について
当社グループの製品の多くは、ニワトリ、サメ、カブトガニといった動物に由来する成分を原料としています。そのため、原料とする動物由来成分の使用が制限された場合や調達が困難になった場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、可能な限り調達先を分散させることに加え、当該原料及び製品在庫を適切に保有することで業績への影響を最小限に留める対策を講じています。また、発酵原料を用いた製品の開発や、遺伝子組換え体を用いた試験法の開発も進め、リスクの最小化に努めています。しかしながら、これらにより全てのリスクが回避されるわけではなく、実際に顕在化した場合には一定程度の影響を受けることは不可避であると認識しています。
(7)為替相場の変動について
当期における海外売上高比率は45.1%であり、その取引通貨の多くは米ドル等の外貨で行われているため、急激な為替相場の変動は業績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社では海外で実施する臨床試験等の研究開発費の支払いに売上の外貨を充当することや為替予約を行うことにより、為替相場の変動リスクの軽減を図っていますが、これらにより全てのリスクを回避することは困難であると認識しています。また、連結財務諸表作成時に海外連結子会社の現地通貨建財務諸表を円換算していることから、為替相場の動向によっては、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)保有有価証券等の価格変動について
将来の研究開発や設備投資に充当するために、手元資金を有価証券で運用しています。投資対象の分散などリスクの軽減を図っていますが、有価証券等の価格変動等によっては、業績に影響を及ぼす可能性があります。金融市場や金融政策の動向等に起因する外部リスクに関しては、当社独自のリスク軽減対策により軽減・排除することが難しいことから、顕在化した場合にはその時期、規模に応じて影響を受けるものと考えており、顕在化の影響を定量的に見積もることは困難であると認識しています。
(9)知的財産権について
製品や事業の優位性を確保するために特許権、その他知的財産権の取得に向けた様々な出願をしていますが、特許権等が取得できなかった場合や、特許権等が取得できたとしてもその有効性や排他性が否定された場合、特許権等の期間が満了した場合等には、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、第三者の知的財産権の侵害を未然に防止するために調査をし、その可能性を最小化していますが、知的財産権の侵害の問題を完全に回避することは困難であり、第三者との間で知的財産権に関する紛争が生じた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、現段階において、将来的な顕在化の影響を定量的に見積もることは困難であると認識しています。
(10)大規模災害等の発生について
地震、台風等の自然災害や火災等の事故、新型インフルエンザ等感染症のまん延などにより、当社グループの事業所等が大規模な被害を受け、事業活動が停滞し、または製品供給に支障が生じた場合や、災害により損害を被った設備等の修復のために多額の費用が発生した場合には、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループとしては、各種災害リスクに対応するためのマニュアルの整備等を含め事前の対策を講じていますが、当該リスクは当社グループのみのリスク管理施策では回避できるものではなく、顕在化した場合の規模や期間等に応じた影響を受ける可能性があり、その影響度を定量的に見積もることは困難であると認識しています。
(11)新型コロナウイルス感染症について
当社グループの製品の多くは人々の健康に関わるものであることから、平時より適切な在庫量を確保しています。従って、一時的に製造や物流が途絶えることがあっても、製品供給には問題ありません。一方で、各国における外出自粛等により、関節機能改善剤に対する処方需要が減少し始めており、特に主要市場である日本及び米国における新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する場合は、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、国内外の医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応に伴い、当社の臨床試験に参加される被験者の組み入れ遅延や一部治験施設での受け入れ停止等の影響を受けており、これらが長期化する場合は、開発中の新薬の発売時期にも影響を与え、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。本リスクに関しては、当社グループのリスク施策のみを以て排除できるものではなく、今後の新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延や収束までに要する期間に加え、各国政府の対策方針等の影響を強く受けると考えています。そのため、その影響度を定量的に見積もることは困難であると認識しています。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
①経営成績
当期において、連結売上高は286億4千2百万円(前期比0.9%増)、経常利益は39億8千1百万円(同39.2%増)、親会社株主に帰属する当期純損失は108億3千9百万円となりました(前期の親会社株主に帰属する当期純利益は22億4千4百万円)。経営成績に重要な影響を与えた要因は、以下のとおりであります。
1)売上高
当期の売上高は、薬価引き下げによる国内医薬品の減少を海外医薬品の増加でカバーし、286億4千2百万円(同0.9%増)となりました。
セグメント別の売上状況は次のとおりです。
医薬品事業の売上高は221億6千6百万円(同1.2%増)となりました。
・国内医薬品(136億7千9百万円、同3.4%減)
・海外医薬品(74億6千6百万円、同14.7%増)
・医薬品原体(10億1千9百万円、同16.4%減)
LAL事業の売上高は64億7千6百万円(同0.2%減)となりました。
2)販売費及び一般管理費
当期の販売費及び一般管理費は、141億6千9百万円(同0.9%減)となりました。これは主に、研究開発費の減少によるものです。当期における研究開発費は68億7千7百万円(同3.8%減)となり、売上高に占める割合は24.0%となりました。
3)営業外損益
当期の営業外収益は25億3千5百万円(同27.7%増)となりました。これは主に受取ロイヤリティーの増加によるものです。
営業外費用は5億1千4百万円(同400.0%増)となりました。これは主に投資有価証券売却損の計上によるものです。
4)特別損益
当期の特別損失は135億2千4百万円となりました。これは減損損失の計上によるものです。
②財政状態
総資産は、前期末に比べ117億3千6百万円減少の685億1百万円となりました。
負債は、前期末に比べ15億3千2百万円増加の87億3千4百万円となりました。
純資産は、前期末に比べ132億6千8百万円減少の597億6千7百万円となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当期末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末に比べ76億7千9百万円増加し、149億9千2百万円となりました。
当期における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、86億7千万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、6億2千3百万円の収入となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、16億3百万円の支出となりました。
④生産、受注及び販売の実績
1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
医薬品 |
22,782 |
2.2 |
|
LAL |
6,100 |
3.0 |
|
合計 |
28,882 |
2.4 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.生産実績金額には、消費税等は含まれておりません。
2)商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
医薬品 |
3 |
△35.5 |
|
LAL |
634 |
33.3 |
|
合計 |
638 |
32.5 |
(注)1.金額は仕入価格によっております。
2.商品仕入実績金額には、消費税等は含まれておりません。
3)受注状況
当社グループは、主に販売計画に基づいて生産しております。
受注生産を一部行っておりますが、受注高及び受注残高の金額に重要性はありません。
4)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
医薬品 |
22,166 |
1.2 |
|
LAL |
6,476 |
△0.2 |
|
合計 |
28,642 |
0.9 |
(注)1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
科研製薬株式会社 |
11,712 |
41.3 |
11,179 |
39.0 |
|
ジンマー バイオメット ホールディングス インク |
3,117 |
11.0 |
4,306 |
15.0 |
2.販売実績金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当社グループに関する財政状態及び経営成績の分析・検討内容は原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。
また、重要な影響を及ぼす可能性のある事項については、「2.事業等のリスク」に記載しております。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りが必要となります。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況」の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
なお、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方については、「第5 経理の状況」の連結財務諸表の「注記事項(追加情報)」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)経営成績
当期の売上高は、薬価引き下げによる国内医薬品の減少を海外医薬品の増加でカバーし、前期と比べ0.9%増の286億4千2百万円となりました。
営業利益は、増収に加え、減損(*)に伴い減価償却費が減少したことや、変形性関節症治療剤SI-613の国内での臨床試験完了により研究開発費が前期を下回り、100.6%増の19億6千万円となりました。経常利益は、投資有価証券売却損を計上した一方、受取ロイヤリティ―が大幅に増加し、39.2%増の39億8千1百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失(減損損失)(*)の計上により損失に転じ、108億3千9百万円の親会社株主に帰属する当期純損失となりました(前期の親会社株主に帰属する当期純利益は22億4千4百万円)。
*2019年11月8日付で公表しました「特別損失(減損損失)の計上に関するお知らせ」のとおり、医薬品事業に係る固定資産の減損を実施しており、当期において135億2千4百万円の特別損失を計上しました。
セグメント別の売上概況
<医薬品事業>
・国内医薬品(136億7千9百万円、前期比3.4%減)
関節機能改善剤アルツは、新規納入施設獲得施策が奏功し市場シェアは増加しましたが、市場全体が縮小したことにより医療機関納入本数は微減となりました。当社売上高は、薬価引き下げの影響もあり、減少しました。
眼科手術補助剤オペガン類は、市場全体が拡大したことに加え、競合品からのシェア獲得が進んだことや他社製品の出荷停止による一時的な出荷増があったことから、医療機関納入本数及び当社売上高が増加しました。
内視鏡用粘膜下注入材ムコアップは、競合品参入の影響を受け、当社売上高が減少しました。
腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコアは、医療機関納入本数が堅調に推移している一方で、前期に流通在庫確保のために出荷が高水準であったことなどから、当社売上高は減少しました。引き続き、より多くの患者の方々へ治療機会を提供するために、販売提携先とともに適正使用及び安全性確保に向けた医療機関への情報提供活動や市販後の安全性情報集積を最優先として進めつつ、着実な市場浸透に努めていきます。
・海外医薬品(74億6千6百万円、同14.7%増)
米国における単回投与の関節機能改善剤ジェル・ワンは、2019年より複数の保険会社で優先償還を獲得したことや、販売提携先による競合品からの切り替え施策などの効果により、現地販売本数及び当社売上高が大幅に増加しました。
5回投与の関節機能改善剤スパルツFXは、米国市場において少数回投与製品が選好される傾向が継続している影響を受け、現地販売本数及び当社売上高が減少しました。
中国向けアルツは、新型コロナウイルス感染症拡大による医療機関における外来受診抑制などの影響があり、現地販売本数及び当社売上高が減少しました。
・医薬品原体(10億1千9百万円、同16.4%減)
ヒアルロン酸の競合激化などにより、売上高は減少しました。
これらの結果、医薬品事業の売上高は221億6千6百万円(同1.2%増)となりました。
<LAL事業>
海外子会社のアソシエーツ オブ ケープ コッド インクにおける販売活動強化により、エンドトキシン測定用試薬及びグルカン測定体外診断用医薬品が増加した一方、国内での販売が減少したことにより、売上高は64億7千6百万円(同0.2%減)と前期並みとなりました。
2)財政状態
当期末における総資産は、前期末に比べ117億3千6百万円減少の685億1百万円となりました。これは主に減損損失計上に伴う有形固定資産の減少によるものです。
負債は、前期末に比べ15億3千2百万円増加の87億3千4百万円となりました。これは主に未払金の増加によるものです。
純資産は、前期末に比べ132億6千8百万円減少の597億6千7百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純損失に伴う利益剰余金の減少によるものです。
なお、2020年3月に連結子会社化したダルトン社については、貸借対照表のみを連結しております。
3)キャッシュ・フロー
当期末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末に比べ76億7千9百万円増加し、149億9千2百万円となりました。
当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、86億7千万円の収入となりました。主な収入の内訳は、減損損失135億2千4百万円,売上債権の減少額22億9千8百万円、減価償却費17億7千8百万円であり、一方で主な支出の内訳は、税金等調整前当期純損失95億4千3百万円です。前期比では55億4千8百万円収入が増加しております。
投資活動によるキャッシュ・フローは、6億2千3百万円の収入となりました。主な収入の内訳は、有価証券及び投資有価証券の取得と償還などの運用による収入56億1千5百万円です。主な支出の内訳は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出21億8千4百万円、有形固定資産の取得による支出16億6千8百万円です。前期比では21億4百万円収入が増加しております。
財務活動によるキャッシュ・フローは、16億3百万円の支出となりました。主な支出の内訳は、配当金の支払額14億6千6百万円です。前期比では2億9百万円支出が減少しております。
4)資本の財源及び資金の流動性
・資本の財源
円滑な事業活動に必要な資金の調達について、当社グループは、今後の成長戦略への資金需要や変化の激しい事業環境における経営の安定性確保など、様々な要因を総合的に勘案し決定しています。新薬開発はリスクの高いビジネスであるため、強固な財務体質維持の必要性から一定の財務基盤を確保しており、主として、営業キャッシュ・フローで得た資金を財源に、新薬開発を中心とした研究開発や高い品質の製品を安定的に供給するための製造設備などへの投資を行っています。
・資金の流動性
成長戦略への投資や株主の皆さまへの継続した利益還元に対する適切な資金の配分に加え、新薬開発には承認を取得するまでに長期間にわたる多額の研究開発投資が必要なことから、将来の事業に対する待機資金としての性格も鑑みて、現預金残高を維持しています。さらに、主要取引銀行とコミットメントライン契約及び当座借越契約を締結することなどにより、十分な資金の流動性を確保しています。
(1)販売提携等に関する契約
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相手先 |
契約締結年月日 |
契約内容及び期間等 |
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科研製薬株式会社 |
1987年3月27日 |
関節機能改善剤アルツの国内独占販売権 契約期間:契約締結日から6年間、以後1年ごとに更新 |
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科研製薬株式会社 |
1993年3月27日 |
関節機能改善剤アルツディスポの国内独占販売権 契約期間:契約締結日から1年間、以後1年ごとに更新 |
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参天製薬株式会社 |
1995年5月9日 |
眼科手術補助剤オペガンハイの国内独占販売権 契約期間:契約締結日から2016年3月31日まで、以後1年ごとに更新 |
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参天製薬株式会社 |
1997年9月9日 |
眼科手術補助剤オペガンの国内独占販売権 契約期間:契約締結日から2016年3月31日まで、以後1年ごとに更新 |
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ジンマー バイオメット ホールディングス インク (米国) |
2009年5月29日 |
関節機能改善剤ジェル・ワンの米国における独占販売権 契約期間:製品発売日から10年間、以後5年間の更新可能なオプ |
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科研製薬株式会社 |
2012年12月25日 |
腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア(SI-6603)の国内独占販売権 契約期間:契約締結日から製造販売承認取得日(2018年3月23日)の10年後の応当日、以後1年ごとに更新 |
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参天製薬株式会社 |
2014年9月30日 |
眼科手術補助剤シェルガンの国内独占販売権 契約期間:契約締結日から2022年3月31日まで、以後1年ごとに更新 |
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ボストン・サイエンティ フィック ジャパン株式会社 |
2016年4月1日 |
内視鏡用粘膜下注入材ムコアップの国内独占販売権 契約期間:契約締結日から2023年3月31日まで、以後1年ごとに更新 |
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フェリング インターナショナル センター エス アー(スイス) |
2016年8月29日 |
腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI-6603の日本を除く全世界を対象とした独占開発・販売権 契約期間:契約締結日から対象特許満了日または製品発売日より起算して15年後の応当日のいずれか遅い日まで、以後3年ごとに更新 |
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ジンマー バイオメット ホールディングス インク (米国) |
2016年11月8日 |
関節機能改善剤ヴィスコ・スリーの米国における独占販売権
契約期間:契約締結日から10年間、以後5年間の更新可能なオプ |
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小野薬品工業株式会社 |
2017年8月31日 |
変形性関節症治療剤SI-613の国内共同開発・独占販売権 契約期間:契約締結日から製品発売日の10年後の応当日、以後 2年ごとに更新 |
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バイオヴェンタス エルエルシー(米国) |
2018年2月13日 |
関節機能改善剤スパルツFXの米国における独占販売権 契約期間:2018年5月4日(発効日)から10年間 |
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エーザイ株式会社 |
2020年4月1日 |
変形性関節症治療剤SI-613の中国における共同開発・独占販売権 契約期間:契約締結日から製造販売承認取得日の10年後の応当日、以後2年ごとに更新 |
(2)株式取得に関する契約
当社は、新薬開発の加速及び生産最適化・効率化等によるコスト低減を目的として、2020年2月27日にダルトン ケミカル ラボラトリーズ インクの既存株主等との間で同社の株式譲渡契約等を締結し、2020年3月24日に同社を子会社化しました。
当社グループは、世界の人々の健康で心豊かな生活に貢献するために、専門分野とする糖質科学に特化して、独創的な医薬品等の創生を目指しています。
今後の事業成長の鍵を握る新薬の早期かつ継続的な上市を実現するために、対象物質や重点疾患を絞り込んだ効率的な活動を推進するとともに、独自の創薬技術の強化やオープンイノベーションの活用によりプロジェクト数の拡充を図っていきます。
当期における研究開発費の総額は、
研究開発活動の主な進捗状況は、以下のとおりです。
・SI-6603(腰椎椎間板ヘルニア治療剤、開発地域:米国)
2018年2月より米国における第Ⅲ相臨床試験の追加試験を開始しましたが、成功確度を高めるために被験者の組み入れ基準を厳格にしたことや治験施設の立ち上げに時間を要していることから、2019年11月に当初計画より試験の終了時期を2年延長することとしました(2022年11月に経過観察終了予定)。さらに、米国での新型コロナウイルス感染症拡大により、一部医療機関での治験中断や被験者の来院見合わせが増えていることもあり、試験の進捗に遅延が生じています。現在、現地情報の収集・精査に努めており、事態が収束し次第、被験者の組み入れに注力するとともに、試験計画を再検討する予定です。
SI-6603は、コンドリアーゼを有効成分とし、椎間板内に直接注射する治療剤です。全身麻酔の必要もなく、手術療法と比較して身体的侵襲が小さいという特徴を有しています。1回の投与で腰椎椎間板ヘルニアの症状改善効果が期待できることから、新たな治療選択肢として、患者の方々の生活の質の向上に貢献できるものと考えています。
・SI-613(変形性関節症治療剤、開発地域:日本、米国)
・SI-613-ETP(腱・靭帯付着部症治療剤、開発地域:日本)
SI-613については、国内で実施した3つの第Ⅲ相臨床試験結果に基づき、2020年1月に変形性関節症(膝関節、股関節、足関節)の効能又は効果に係る国内での製造販売承認申請を行いました。米国では、変形性膝関節症を対象とした第Ⅱ相臨床試験が完了し、現在、第Ⅲ相臨床試験についての検討と並行して、提携先の選定を進めています。SI-613-ETPについては、腱・靱帯付着部症を対象とした国内での後期第Ⅱ相臨床試験のデータ解析が終了し、次相試験について共同開発及び販売提携先である小野薬品工業株式会社と検討を行っています。
また、2020年4月にエーザイ株式会社とSI-613の中国における共同開発及び販売提携に関する契約を締結しました。
SI-613及びSI-613-ETPは、当社独自の薬剤結合技術を用いてヒアルロン酸とジクロフェナク(抗炎症薬)を化学結合した薬剤です。ヒアルロン酸による関節機能改善効果に加え、徐放されるように設計されたジクロフェナクの鎮痛・抗炎症作用を併せ持つことから、変形性関節症や腱・靭帯付着部症に見られる痛みや炎症を速やか、かつ持続的に改善することが期待されています。
・SI-614(ドライアイ治療剤、開発地域:米国)
2015年1月に第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験が完了し、現在、取得したデータをもとに第Ⅲ相臨床試験について検討を行うとともに、提携先の選定を進めています。
SI-614は、ヒアルロン酸を独自の技術を用いて修飾した物質で、同剤を点眼することで眼表面保護作用と角膜創傷治癒促進作用が期待されています。SI-614の開発を通じ、ドライアイ治療の新しい選択肢を提供することで、患者の方々の生活の質の向上に貢献することを目指します。
・SI-722(間質性膀胱炎治療剤、開発地域:米国)
米国における第Ⅰ相臨床試験が完了し、2019年11月に第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験を開始しました。本試験では、間質性膀胱炎の患者の方々を対象に、SI-722の安全性や忍容性、薬物動態に加え、探索的に有効性を評価します。なお、米国での新型コロナウイルス感染症拡大により、試験計画に遅延が生じています。現在、現地情報の収集・精査に努めており、事態が収束し次第、被験者の組み入れに注力するとともに、試験計画を再検討する予定です。
SI-722は、当社独自のグリコサミノグリカン修飾技術やドラッグデリバリーシステムを活用し、コンドロイチン硫酸にステロイドを結合させた新規の化合物です。膀胱内に注入したSI-722が抗炎症作用を有するステロイドを徐放することで、持続的に頻尿や膀胱痛などの症状改善作用を発揮すると考えられます。
・SI-449(癒着防止材、開発地域:日本)
2018年5月に開始したパイロット試験において、良好な結果が確認されたことを受け、2020年5月に、有効性(術後癒着の防止効果)、安全性及び操作性の評価を目的とするピボタル試験を開始しました。なお、被験者組み入れ開始時期については、新型コロナウイルス感染症に対する医療現場の状況や、患者さまや医療関係者の方々の感染防止を最優先に考慮し、慎重に検討してまいります。
SI-449は、当社独自のグリコサミノグリカン架橋技術を用いて創生した、コンドロイチン硫酸架橋体を主成分とする粉末状の医療機器です。水分を吸収し膨潤する特性を有しており、撒布後に手術創部と周辺組織の間でバリアとなることで、外科手術における術後癒着の防止効果が期待されます。本テーマは国内のみならず、グローバル展開を視野に入れて開発を進めていきます。