(1)業績
当連結会計年度における医薬品業界は、医療費抑制政策が進展するなか後発医薬品の使用促進と医療ニーズの多様化が進み、一方で承認審査の厳格化や開発費の高騰により新薬創出に向けた事業環境は一層厳しいものとなりました。
このような状況のもと、当社は2015年に策定した5カ年中期経営計画『飛躍』の実現のため、特長を持った主力製品群の販売促進、独自の先進技術による新薬開発とライセンス事業の強化を実施してまいりました。
営業面におきましては、主力製品である遺伝子組換え天然型ヒト成長ホルモン製剤「グロウジェクト®」は昨年4月に実施された薬価改定によるマイナス要因を克服して売上高を伸長させ、また遺伝子組換ヒトエリスロポエチン製剤(腎性貧血治療薬)「エポエチンアルファBS注JCR」および昨年2月に発売した再生医療等製品「テムセル®HS注」は、ともに期初計画の売上高を上回りました。
研究開発面におきましては、第Ⅲ相臨床試験のステージにある持続型赤血球造血刺激因子製剤(ダルベポエチンアルファ)のバイオ後続品(開発番号:JR-131)ならびに第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験のステージにあるファブリー病の治療酵素(アガルシダーゼベータ)製剤のバイオ後続品(開発番号:JR-051)の臨床開発が予定どおり順調に推移しております。
また、独自の血液脳関門通過技術J-Brain Cargo®を採用した画期的な新薬であるハンター症候群治療酵素製剤(開発番号:JR-141)の臨床試験を本年3月に開始いたしました。さらに、新薬の第2弾として、J-Brain Cargo®を適用したポンぺ病治療酵素製剤(開発番号:JR-162)の開発に着手いたしました。細胞医療分野では、昨年4月に竣工したセルプロセッシングセンター(細胞製造センター)において新たな再生医療等製品の開発を進めております。
こうした事業活動の結果、当期の当社グループ売上高は180億85百万円(前期比6億46百万円増)となりました。利益面におきましても、積極的な研究開発活動により研究開発費は40億71百万円(前年同期比7億23百万円増)となりましたが、営業利益は23億62百万円(前期比2億9百万円増)、経常利益は25億34百万円(前期比91百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は18億63百万円(前期比73百万円増)となり、いずれも前期を上回り、3期連続で過去最高の業績を達成することができました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
[医薬品事業]
主力製品である「グロウジェクト®」は、販売促進強化や液状製剤の上市などの効果により、前期に引き続き順調に売上が伸長して106億82百万円(前期比4億60百万円増)となりました。また、「エポエチンアルファBS注JCR」や「テムセル®HS注」も順調に売上が推移したことにより、医薬品事業の売上高は176億77百万円(前期比6億37百万円増)となりました。
また、セグメント利益(営業利益)は23億32百万円(前年同期比1億94百万円増)となりました。
[医療用・研究用機器事業]
子会社である株式会社ファミリーヘルスレンタルが取り扱う乳児用呼吸モニター「ベビーセンス」などの医療用・研究用機器事業の売上高は4億7百万円(前期比9百万円増)となり、セグメント利益(営業利益)は29百万円(前期比17百万円増)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ19億41百万円増加して54億64百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況および主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、26億51百万円(前連結会計年度比4億49百万円の収入増)となりました。これは主に、法人税等の支払額11億26百万円、たな卸資産の増加額4億2百万円があった一方で、税金等調整前当期純利益の計上額24億92百万円、減価償却費の計上額14億47百万円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、8億41百万円(前連結会計年度比1億39百万円の支出減)となりました。これは主に投資有価証券の売却及び償還による収入4億51百万円があった一方で、有形固定資産の取得による支出15億50百万円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、1億46百万円(前連結会計年度比14億60百万円の収入増)となりました。これは主に、自己株式の純増額7億43百万円、配当金の支払額6億99百万円があった一方で、長期借入金の借入による収入20億円があったことによるものであります。
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
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生産高(千円) |
前年同期比(%) |
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医薬品事業 |
19,118,299 |
+25.1 |
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合計 |
19,118,299 |
+25.1 |
(注)1 金額は販売価格により表示しております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
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仕入高(千円) |
前年同期比(%) |
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医薬品事業 |
85,589 |
△87.1 |
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医療用・研究用機器事業 |
155,683 |
+40.5 |
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合計 |
241,272 |
△68.9 |
(注)1 金額は仕入価格により表示しております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(3)受注状況
当社グループは見込生産によっており、受注生産は行っておりません。
(4)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
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販売高(千円) |
前年同期比(%) |
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医薬品事業 |
17,677,235 |
+3.7 |
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医療用・研究用機器事業 |
407,799 |
+2.4 |
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合計 |
18,085,035 |
+3.7 |
(注)1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績およびそれぞれの総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
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相手先 |
前連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
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販売高(千円) |
割合(%) |
販売高(千円) |
割合(%) |
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キッセイ薬品工業㈱ |
3,938,441 |
22.6 |
3,802,187 |
21.0 |
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㈱メディセオ |
2,423,813 |
13.9 |
3,117,220 |
17.2 |
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2015年に策定した5カ年中期経営計画『飛躍』の目標である、売上高250億円、営業利益50億円の達成と、経営ビジョン「独自のバイオ技術、細胞治療・再生医療技術によりグローバルで存在感のある研究開発型企業」の実現に向けた動きをさらに加速するため、以下の課題に対処してまいります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 主力製品の売上拡大、原価低減への取り組み
当社の主力製品である「グロウジェクト®」は、1993年の発売以来、適応症の追加、特長を持った電動注入器の開発・改良、プロモーション活動の強化等により、売上を伸ばしてまいりました。本年1月には、待望の溶解操作が不要な液状製剤「グロウジェクト®皮下注6mg・12mg」とその専用注入器「グロウジェクター®L」を投入し、これまで電動注入器の使用に慎重であったユーザーを含めて新規採用や新規処方も増加しております。これらの新製品と、よりきめ細やかなエリアマーケティングを推進し、当社の強みを活かした営業戦略により、さらなる売上伸長を目指します。
「エポエチンアルファBS注JCR」は、販売開始以来順調に売上を伸ばしており、透析時の腎性貧血治療に用いられる短時間作用型エリスロポエチン製剤群において、数量ベースで60%を超えるシェアを維持しております。また、開発中のダルベポエチンアルファのバイオ後続品は2018年度中の製造販売承認申請を予定しており、当製品で培った信頼感を活かし、腎性貧血治療の領域で持続的な売上の最大化を目指してまいります。
「テムセル®HS注」は、昨年の販売開始以降、造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病(GVHD)の新しい治療薬として医療機関から高い評価を受けております。引き続き、有効性・安全性に関する使用情報を蓄積し、全国の造血幹細胞移植実施施設に供給を拡大し、新たな収益の柱として育ててまいります。
また、その他製品を含めて、売上の伸長とともに継続的に生産面や販売面での様々なコストの低減に取り組み、利益の拡大を目指します。
② 開発品目の計画進捗
・JR-051(アガルシダーゼベータのバイオ後続品)
昨年10月に最終試験である臨床第Ⅱ/Ⅲ相試験の症例登録を完了し、2017年度の製造販売承認申請、2018年度中の承認取得を念頭に、速やかな市場への浸透に向けた供給面・営業体制面等の準備を進めてまいります。
・JR-131(ダルベポエチンアルファのバイオ後続品)
昨年8月に開始した臨床第Ⅲ相試験は、順調に進捗しており、2018年度中の製造販売承認申請に向け、引き続き着実に開発を進めてまいります。
・JR-141(血液脳関門通過型ハンター症候群治療薬)
本年3月に、ハンター症候群の患者様を対象とした臨床第Ⅰ/Ⅱ相試験を開始いたしました。JR-141は、自社開発の血液脳関門通過技術(J-Brain Cargo®)を用いて血液脳関門通過を実現した画期的なハンター症候群治療酵素であり、既存の製剤では治療効果がみられない中枢神経症状に対する効果が期待されております。患者様やご家族、治療を行われる先生方の本剤に対するご期待に応えるべく、今後も最優先で開発してまいります。
・JR-142(持続型成長ホルモン製剤)
改変型アルブミンを結合させた作用持続型の成長ホルモン製剤として、2018年度の臨床試験開始を目標に基礎データの集積を進めております。当社の主力製品である「グロウジェクト®」の持続型製品として開発に注力してまいります。
・JR-162(J-Brain Cargo®適用ポンペ病治療薬)
JR-141に続くJ-Brain Cargo®を適用したライソゾーム病治療薬の第2弾としてポンぺ病治療酵素製剤(JR-162)の開発に着手しております。J-Brain Cargo®を適用することで骨格筋など薬を届けることが難しい組織へ効果的に薬を届けることができます。モデル動物を用いた検討において、JR-162はポンペ病で主に症状が認められる骨格筋や心筋に取り込まれ、優れた薬効を示したことから、可能な限り早期の臨床試験開始を目標に、優先的に開発を進めてまいります。
③ 細胞・再生医療への新たな取り組み
再生医療等製品の先駆けとして造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病の適応で2016年2月に発売した「テムセル®HS注」は、間葉系幹細胞(MSC)の持つ幅広い可能性を利用して、さらなる適応拡大を目指して開発を検討してまいります。
さらに、当社独自の新たな細胞ソースの研究も精力的に進めており、歯髄由来幹細胞の持つポテンシャルに着目して早期の実用化を目指しております。
また、2016年4月に当社研究所敷地内に新しいセルプロセッシングセンターを開設いたしました。今後、さらに開発競争が激しくなると思われる細胞・再生医療分野のリーディングカンパニーとして、これらの研究・開発を積極的に推進してまいります。
④ ライセンス事業への取り組み
「グローバルで存在感のある企業」の実現に向けて、当社の技術力を活かした製品・技術の導出は極めて重要と認識しております。
当社独自技術のJ-Brain Cargo®を適用した画期的新薬候補であるJR-141、JR-162の海外展開のみならず、当社技術そのものを基盤技術として、中枢神経系疾患をターゲットとした医薬品候補物質に幅広く適用できる可能性があり、積極的に導出交渉を進めてまいります。現在数社と導出を前提とした検討段階にありますが、今後も本技術を多くの企業へライセンスすることが可能と考えており、交渉を加速してまいります。また、臨床第Ⅱ/Ⅲ相試験実施中のJR-051は、グラクソ・スミスクライン社との契約に基づき、引き続き販売提携のオプションについて検討を進めてまいります。
歯髄由来幹細胞につきましても、細胞の持つポテンシャルの高さから幅広い適応症での開発も可能と考えており、市場規模に見合った企業への導出も視野に検討を進めてまいります。
⑤ グローバル展開
当社は独自の技術をもって、希少疾病、特に小児領域に対する医薬品の開発に注力をしております。これまで、国内を中心に開発を進めてまいりましたが、世界でも患者数の非常に少ない希少疾病に対する開発を国内のみで進めることは、少子化の影響も考慮すると今後、より困難となることが予想されます。
J-Brain Cargo®を用いたJR-141をはじめとする当社が創製した画期的新薬候補は、世界の患者様から期待されており、企業提携を含め、グローバル開発を進めるための具体的枠組み検討を進めております。これら品目のグローバル展開の成功が、当社の成長と、研究開発活動をさらに推し進めるものと考えております。
また、世界各国に医薬品を安定的に供給する可能性を鑑みた場合、国内に拠点を集中することについては、地震災害の多い地理的特性や局地的災害を考慮すると、事業継続上のリスクであると認識しております。こうしたリスクの分散と、グローバルでの医薬品供給体制の構築を主目的として、スイスの子会社を活用する等も念頭に、現在欧州・米国を含めた拠点確立に向けた調査と検討を進めております。
5カ年中期経営計画は発表後2事業年度が経過いたしましたが、既存製品の売上は好調に推移しており、また開発品目が予定どおり推移している点から、現時点において順調に推移していると考えております。
「医薬品を通して人々の健康に貢献する」を企業理念とする当社の使命は、難病や希少疾病領域において革新的な医薬品を生み出すことだと考えます。その実現には、チャレンジスピリット溢れる優秀な人材の育成をはじめとする経営基盤の継続的な強化が不可欠です。
患者様はもちろんのこと、当社社員を含むすべてのステークホルダーに愛され信頼される企業であり続けるため、創業時からの自由な社風を大切にし、コンプライアンスとコーポレートガバナンスのさらなる強化と企業活動の透明化、ワークライフバランスおよびダイバーシティの推進に今後も積極的に取り組み、持続的な発展を目指してまいります。
当社グループの事業に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、主として以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)法規制に関するリスクについて
当社グループの事業は、関連法規の厳格な規制を受けており、各事業活動の遂行に際して以下のとおり許認可等を受けております。これらの許認可等を受けるための諸条件および関連法令の遵守に努めており、現時点におきましては当該許認可等が取り消しとなる事由は発生しておりません。しかし、法令違反等によりその許認可等が取り消しとなる場合等には、規制の対象となる製商品の回収、または製造ならびに販売を中止することを求められる場合もあり、これらにより当社グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが取り扱う医療用医薬品等の販売価格は、医療制度が国民皆保険を前提としていることから、健康保険法の規定に基づき、厚生労働大臣の定める薬価基準収載価格によることとされております。薬価基準改訂(引下げ)は、流通段階における供給価格の押し下げ要因となり、当社グループの販売価格の変動要因となります。
(2)新製品開発ならびに商品化について
当社は、医薬品および再生医療等製品の領域における研究開発を行っておりますが、これらの領域における研究開発は、長期間かつ多額の資金を要します。現在研究開発中のプロダクトに関し、新製品の商品化に至るまでの間に、開発中止、あるいは開発期間の延長が必要となる要因が発生した場合、当社の業績、財政状態に影響を与える可能性があります。
(3)特定の製品への依存について
当社グループ販売品目のうち、ヒト成長ホルモン製剤の売上高が総売上高に占める割合は、前連結会計年度において58.6%、当連結会計年度において59.1%に達しております。
このため、今後本製剤の製造販売に関する承認の取り消しとなる事由が発生した場合、あるいは、その他の理由により売上高が大幅に減少する要因が発生した場合、当社業績に影響を与える可能性があります。
また、本製剤の原体仕入先は特定の会社(フェリング社)に限定されているため、一定期間分の在庫を確保して製造を継続できるなどの対応策を講じておりますが、同社との継続的な取引が困難となった場合においても、当社業績に重要な影響を与える可能性があります。
(4)大株主との関係について
当社は平成21年12月にGSKグループと資本提携および医薬品開発・販売に係る包括契約(以下、「本契約」という)を締結しております。本契約に基づき、当連結会計年度末現在、グラクソスミスクライン・ピーエルシー(以下、「GSKplc」という)はその子会社グラクソ・グループ・リミテッド(以下、「GGL」という)を通じて当社株式の発行済株式総数の24.63%を保有しております。また本契約は、平成26年2月に、GSKグループ主体のグローバル市場での同時開発から当社が主体となってGSKグループの下、日本およびアジア・オセアニア地区で開発を進めることに修正されております。
当社は、GSKグループとの戦略的提携関係を維持し、企業価値の向上に努める所存でありますが、競合他社の開発状況、医療制度ならびにその他経済情勢等により、GSKグループとの本契約が変更または終了し、当社の製品開発の遅延または中断が生じた場合、当社の業績に重要な影響を与える可能性があります。
a.人的関係
本報告書提出日現在、GSKグループと当社が共同開発品目の開発促進をはかり国際的な医薬品会社で培った経営知識・経験を活かしていただくため、GSKグループより社外取締役2名を招聘しております。
この役員派遣以外の人的な関係はなく、当社の事業戦略および資本政策等の経営方針に対する制約は受けておりません。
b.取引関係
当連結会計年度末までに、主として共同開発品目に関する契約金および共同開発に伴う研究開発費分担金を受け入れております。
c.資本関係
本契約では、GSKグループと当社の事業提携を強化し共同開発品目の開発促進ならびに海外での事業化を円滑に進める観点から、GSKplcは、GGLを通じて当社株式を保有しており、当連結会計年度末現在における持株比率(自己株式控除前)は24.63%であります。
GSKグループもしくは当社の経営方針や事業戦略の変更あるいは医薬品事業を含む経済環境の変化等が生じた場合、当社の事前承認を前提に、持株比率が変更される可能性があります。
(5)金融市況の影響について
当社グループは、主として取引先および業務提携先の株式(外国株式を含む)を長期的に保有しており、株式市況の動向および為替相場の変動などにより評価損が発生し当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(6)上記のほか、自然災害等による生産活動の遅延・停滞、他社との競合激化、副作用の発現、ライセンスまたは提携の解消、海外からの原料調達中断、訴訟の提起、為替レートの変動など、様々なリスクが存在しており、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
(1)技術等導入契約
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契約会社名 |
相手先の名称 |
契約内容 |
対価の支払 |
契約期限 |
|
当社 |
メゾブラスト社 |
造血幹細胞移植時におけるヒト間葉系幹細胞(MSC)の利用、国内独占製造権 |
マイルストーンおよび一定率のロイヤルティ |
平成43年2月まで(製品発売から15年間) |
(2)技術等導出契約
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契約会社名 |
相手先の名称 |
契約内容 |
対価の受取 |
契約期限 |
|
当社 |
あすか製薬㈱ |
不妊治療薬(遺伝子組換え卵胞刺激ホルモン)の開発権および製造販売権付与および当社の原薬製造権 |
契約金およびマイルストーン |
特定期間を定めず |
|
当社 |
グラクソ・スミスクライングループ |
国内およびアジア・オセアニア地区におけるライソゾーム病治療薬の共同開発権およびコ・プロモーションの選択権付与 |
マイルストーン |
特定期間を定めず |
|
当社 |
キッセイ薬品工業㈱ |
持続型赤血球造血刺激因子製剤ダルベポエチンアルファ(一般名)のバイオ後続品の共同研究開発 |
契約金およびマイルストーン |
共同研究開発終了まで |
(3)取引契約等
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契約会社名 |
相手先の名称 |
契約内容 |
対価の支払 |
契約期限 |
|
当社 |
フェリング社 |
遺伝子組換えヒト成長ホルモン原体の独占輸入権および同製剤の国内独占販売権 |
- |
平成35年10月まで(以降5年毎の更新) |
|
当社 |
キッセイ薬品工業㈱ |
腎性貧血治療薬「エポエチンアルファBS注JCR」の共同販売 |
- |
平成32年5月まで(以降1年毎自動更新) |
|
当社 |
㈱メディパルホールディングス |
㈱メディパルホールディングスによる研究開発費の一部負担および当社によるロイヤルティの支払 |
一定率のロイヤルティの支払 |
ロイヤルティの支払終了まで |
当社グループにおきましては、医薬品事業において、長年にわたり培ってきたバイオ技術および細胞培養技術を基礎として、小児領域を中心とした難病や希少疾病の分野における革新的な医薬品、再生医療等製品の研究開発に取り組んでおります。
当連結会計年度における研究開発費の総額は40億71百万円(前連結会計年度33億48百万円)、対売上高比22.5%(前年実績19.2%)となりました。
なお、平成29年6月1日現在の医薬品の研究開発状況は下記のとおりであります。
|
開発番号 (一般名) |
開発段階 |
適応症等 |
備考 |
|
JR-051 |
臨床 第Ⅱ/Ⅲ相 試験 |
ファブリー病 (ライソゾーム病) |
酵素補充療法 グラクソ・スミスクライングループ と共同開発 |
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(遺伝子組換え α-ガラクトシダーゼA) |
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|
JR-131 |
臨床 第Ⅲ相 試験 |
腎性貧血 |
キッセイ薬品工業㈱と共同開発 |
|
(遺伝子組換えダルベポエチン) |
|||
|
JR-041 |
臨床 第Ⅰ/Ⅱ相試験 |
不妊治療 |
あすか製薬㈱へ導出 |
|
(遺伝子組換え卵胞刺激ホルモン) |
|||
|
JR-032 |
臨床試験 準備中 |
ハンター症候群 (ライソゾーム病) |
酵素補充療法 グラクソ・スミスクライングループ と共同開発 |
|
(遺伝子組換え イズロン酸-2-スルファターゼ) |
|||
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JR-101 |
前臨床 |
ゴーシェ病 (ライソゾーム病) |
酵素補充療法 糖鎖コントロール技術 「J-GlycoM®」採用 |
|
(遺伝子組換え グルコセレブロシダーゼ) |
|||
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JR-141 |
臨床 第Ⅰ/Ⅱ相試験 |
ハンター症候群 (ライソゾーム病) |
酵素補充療法 血液脳関門通過技術 「J-Brain Cargo®」採用 |
|
(血液脳関門通過型遺伝子組換え イズロン酸-2-スルファターゼ) |
|||
|
JR-142 |
前臨床 |
成長障害 |
持続型成長ホルモン製剤 改変型アルブミンを用いた技術 CHO細胞高発現技術 「J-MIG System®」採用 |
|
(持続型遺伝子組換え成長ホルモン) |
|||
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JR-162 |
前臨床 |
ポンぺ病 (ライソゾーム病) |
酵素補充療法 「J-Brain Cargo®」適用 |
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(J-Brain Cargo®適用遺伝子組換え 酸性α-グルコシダーゼ) |
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、たな卸資産、有価証券、貸倒引当金、退職給付に係る負債および繰延税金資産などについて、資産・負債および収益・費用の数値に影響を与える見積りおよび判断を行っております。従いまして、実際の結果は、見積りの不確実性により異なる場合があります。
(2)財政状態
当連結会計年度末における資産合計は363億85百万円(前連結会計年度末比10億38百万円増)、負債合計は87億99百万円(前連結会計年度末比5億15百万円増)、純資産合計は275億85百万円(前連結会計年度末比5億23百万円増)となりました。
流動資産は、有価証券が減少した一方で現金及び預金およびたな卸資産が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ19億48百万円増加して203億15百万円となりました。固定資産につきましては、投資有価証券の減少などにより、前連結会計年度末に比べ9億10百万円減少して160億69百万円となりました。
流動負債は未払法人税等が減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ13億60百万円減少して47億6百万円となりました。固定負債は、リース債務が減少した一方で長期借入金が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ18億75百万円増加して40億92百万円となりました。
純資産につきましては、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより、前連結会計年度末に比べ5億23万円増加して275億85百万円となりました。
これらの結果、当連結会計年度末における自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ0.9ポイント低下して75.0%となりました。
(3)経営成績
① 売上高
主力製品である「グロウジェクト®」は前期に引き続き順調に売上が伸長して、前連結会計年度に比べ4億60百万円(4.5%)増加いたしました。また、「テムセル®HS注」につきましても、前連結会計年度に比べ5億69百万円(480.2%)増加いたしました。「エポエチンアルファBS注JCR」なども順調に推移したことに加え、契約金収入も増加したことにより、売上高は前連結会計年度に比べ6億46百万円(3.7%)増加して180億85百万円となりました。
② 売上総利益
売上高の増収に伴い、売上総利益は前連結会計年度に比べ13億74百万円(12.5%)増加の123億53百万円となりました。なお、契約金収入の売上構成比が増加したことなどにより、売上原価率は前連結会計年度に比べ5.3ポイント低下して31.7%となりました。
③ 営業利益
研究開発費は前連結会計年度に比べて7億23百万円(21.6%)増加し、研究開発費を含む販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ11億65百万円(13.2%)増加して99億91百万円となりました。これらの結果、営業利益は、前連結会計年度に比べ2億9百万円(9.7%)増加して23億62百万円となりました。
④ 経常利益
営業外収益が主として有価証券償還益の減少などにより前連結会計年度に比べ1億11百万円減少した一方で、営業外費用が自己株式取得費用の増加などにより6百万円増加した結果、経常利益は前連結会計年度に比べ91百万円(3.7%)増加して25億34百万円となりました。
⑤ 親会社株主に帰属する当期純利益
関係会社特別退職金が当連結会計年度において発生したことなどにより特別損失が62百万円となりました。この結果、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べ33百万円(1.4%)増加して24億92百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ73百万円(4.1%)増加して18億63百万円となりました。
(4)キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度におきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、上述の経営成績を背景として税金等調整前当期純利益が24億92百万円計上されたことなどにより26億51百万円の収入となりました。一方、投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などにより8億41百万円の支出となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の借入などより1億46百万円の収入となり、これらの結果、現金同等物の期末残高は前連結会計年度末に比べ19億41百万円増加して54億64百万円となりました。
なお、当社グループにおきましては、原材料等の仕入れ、研究開発費、および販売費などの運転資金、ならびに生産および研究開発を目的とする設備投資に主たる資金需要が生じます。これらの資金需要に対しましては、営業活動によるキャッシュ・フローおよび金融機関からの借入金による調達を基本としております。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因と方針
当社グループの経営成績は、医療制度に関する法規制、新薬開発の成否、および主力製品の動向などにより重要な影響を受ける可能性があります。これらの要因に対し、当社グループにおきましては、①主力製品に関する付加価値および販売力の一層の向上、②他社との提携を通した新薬開発の迅速化およびリスクの低減、ならびに③研究開発における重点テーマの絞り込み、などを基本方針として製品ラインアップの充実度を高め、収益の安定・向上を図る所存であります。