当社では、前中期経営計画「飛躍」(2015~2019年度)の5年間、今後の業績を支える複数の品目について計画どおり上市いたしました。また、当社の将来の成長を担うべき血液脳関門通過技術「J-Brain Cargo®」を適用した品目の研究開発を加速するため、積極的に人材の拡充、設備投資を進めてまいりました。
当社は、2020年度より創業50周年(2025年)に向け、3ヵ年中期経営計画「変革」(Revolution into the Future)を発表いたしました。中期経営計画「変革」の期間においては、ハンター症候群治療薬JR-141を始めとするJ-Brain Cargo®を適用した一連のライソゾーム病治療薬の研究開発に注力してまいります。
2020年度には、JR-141の日本国内およびブラジル連邦共和国での承認申請、JR-141およびハーラー症候群治療薬JR-171のグローバルでの臨床試験の開始を予定しております。
また、ポンペ病治療薬JR-162、サンフィリッポ症候群A型治療薬JR-441の他、複数の品目について今後3年間におけるグローバルでの臨床試験開始を目指して研究開発に取り組んでまいります。
以上のとおり、本年度を初年度とする中期経営計画「変革」以降、ライソゾーム病治療薬のグローバルでの上市、臨床開発が本格化いたします。
これらの経営方針、経営環境のもと、独自のバイオ技術、細胞治療・再生医療技術により、「グローバルで存在感
のある研究開発型企業」の実現に向け、以下の課題に対処してまいります。
最重要経営課題「品質保証体制の質・量的拡充」
中期経営計画「変革」では、ライソゾーム病領域における研究開発を含む開発品目を着実に進捗させるほか、希少疾患領域における当社の重要性がさらに高まることを見据え、「品質保証体制の質・量的拡充」を最重要経営課題といたします。迅速かつ安定的に高品質の製品を臨床現場に提供することは製薬企業の最も重要な責務であり、企業の存立を左右する重大な課題と認識しております。J-Brain Cargo®を適用したライソゾーム病治療薬は、いまだ治療法のない中枢神経症状を呈するライソゾーム病に対する初めての治療法となる可能性があります。
また、製品、開発品目の増加によりサプライチェーンが今後ますます広がります。そのような問題認識のもと、希少疾患治療薬の開発を進める製薬企業として、迅速かつ安定的に高品質の製品を提供する責務の重要性を認識し、これまで以上に品質保証体制の質的・量的拡充に努めてまいります。
また、以下の5項目を重要経営課題として取り組みを加速してまいります。
(1)「既存製品の持続的成長のための取り組み」
既存製品の収益はライソゾーム病治療薬や全ての研究開発の原資を構成するため、その持続的成長は引き続き重要な経営課題であると認識しております。特に売上高の約半分を占めるヒト成長ホルモン製剤「グロウジェクト®」の収益基盤を強化することが極めて重要と認識しております。
成長ホルモンを販売する各社における適応追加、疾患啓発等の活動により、現在においても成長ホルモン市場は拡大を続けております。一方、成長ホルモンは主に小児の成長障害に使用されており、日本国内における少子化により近い将来、市場全体の成長が減少に転じることを予測しております。
当社では、病院市場の開拓、他社との差別化を目的とした専用注入器の開発、使い勝手の良い剤型の開発を通じて日本国内におけるシェア拡大を続けており、これらの取り組みをさらに強化することで、想定される市場規模の減少、薬価改定の影響を吸収し、売上高の維持、成長を図ってまいります。
その他の品目についても、事業環境の変化に応じて適切に対応することにより、売上高の維持、成長を図ってまいります。
(2)「基礎研究の拡充」
製薬業界において新たな基盤技術が医薬品として実現するには基礎研究を含め10年を超える歳月を要します。当社の最重要課題であるライソゾーム病における一連の治療薬の開発は今後10年程度で一巡するものと予測しております。そのため、ライソゾーム病治療薬開発の後を見据えた新たな基盤技術創出を目的とした基礎研究への取り組みを強化いたします。また、J-Brain Cargo®は抗体により構成されているため、低分子や核酸等を脳に送り届けるためには特別な工夫が必要です。一方、脳への薬物送達技術はライソゾーム病だけでなく、様々な疾患に応用が可能であり、低分子や核酸を脳に送達することで新たな治療効果につながる可能性があります。
当社では、そのような可能性を探求するため、低分子や核酸といった低~中分子化合物を効率的に脳に送達しうる技術開発のための基礎研究を進めてまいります。
(3)「生産・研究への積極的な設備投資の検討・着手」
前中期経営計画期間中、研究開発を加速させるため、研究関連施設の増強、セルプロセッシングセンターや治験薬製造センターの設立等、必要な設備投資を行ってまいりました。
今後の一連のライソゾーム病治療薬の研究開発を加速させ、早期の臨床入り、上市を可能とするため、必要な設備投資については、中長期的な予測の下、事業環境を注視しながら積極的に進めてまいります。
(4)「エビデンス構築を含む製品戦略の立案」
ライソゾーム病治療に取り組んでいる世界中の臨床現場に有用な情報を提供することは、ライソゾーム病領域において治療薬を開発する製薬会社の重要な責務であり、また、当社の事業価値向上につながることから、エビデンス構築を含む製品戦略の立案を重要課題として進めてまいります。
例えば、J-Brain Cargo®を利用したライソゾーム病治療薬では、中枢神経症状の改善による予後の改善が期待されます。しかしながら、短期間の治験では長期的なモニタリングが必要な予後に関するデータを取得することは困難です。このようなデータは臨床現場にとっては極めて重要であるため、上市後においても積極的、戦略的な情報収集活動を行ってまいります。
また、ライソゾーム病には中枢神経症状のみが主症状であるために、特定が困難な疾患が存在いたします。このような疾患においても当社のライソゾーム病治療薬は有用である可能性があることから、早期発見、早期治療につながる活動も当社にとって重要な責務と認識しております。
(5)「業務および組織構造改革」
2020年度以降、当社のグローバル活動は本格化し、創業50周年を迎える2025年には、あらゆる面で大きな変化を遂げていなければなりません。一方で、当社の価値の源泉は当社の企業文化に共感する「チームJCR」一人ひとりであると確信しており、これは本格的なグローバル時代においても変わることなく「モノづくり」「研究」における新たな価値創造の源泉であり続けます。
当社では、「チームJCR」の企業文化の維持発展が価値創造にとって重要であると考えており、顔の見える範囲に規模を抑えることが重要と考えております。そのため、急激な業容拡大期にあっても一定規模の人員で業務を行えるよう、付加価値の高い業務への注力や必要な組織構造改革を進めてまいります。また、今後の発展を支える「チームJCR」一人ひとりの更なる成長のための人財育成を進めてまいります。
また、当社は新型コロナウイルス感染症感染拡大の状況に鑑み、社内で新型コロナウイルス感染症対策チームを立ち上げて、感染防止対策と製薬企業としての使命を継続して果たすことを目的に、必要な情報収集と対応の検討・指示を行っております。当社グループ従業員に対しては製薬企業としての使命を強く訴え、可能な限り在宅勤務とすること、マスク着用・手洗い・うがい・検温の徹底、不要不急の外出・会食の自粛といった予防策を講じており、本報告書作成時点におきましては、当社グループ従業員に感染者は確認されておりません。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの戦略・事業その他を遂行する上でのリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に記載いたします。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)新型コロナウイルス感染症のパンデミックに係るリスク
本報告書作成時点において、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが終息する見通しは立っておらず、先行きは不透明な状況です。
当社グループにおいては、本事象による当社グループ事業への影響について注意深く精査しております。3月中旬より、当社グループ従業員に対して可能な限り在宅勤務とすること、マスク着用、手洗いやうがいの徹底、検温といった予防策を講じており、本報告書作成時点においては当社グループ従業員に感染者は確認されていません。今後、当社グループ従業員において新型コロナウイルス感染が認められた場合、研究、生産活動に影響を及ぼす可能性があります。
パイプラインの臨床試験については、本報告書作成時点においては遅延等の顕在化したリスクはありません。引き続き状況を注視してまいります。
製品や原材料、製造用資材については当面の生産に必要な在庫は確保しているため、本報告書作成時点において顕在化しているリスクはありません。一方、原材料としてヒト骨髄液を米国より輸入しております。新型コロナウイルス感染症拡大による米国の状況が本原材料の供給に与える影響については精査をしております。
なお、今後、新型コロナウイルス感染症の拡大により、当社グループの事業活動に影響が及ぶ可能性があります。社会情勢が大きく変化するなか、中長期的に安定した経営を行うために、機動的かつ安定的な資金調達手段を確保する必要があります。運転資金を確保することを目的に、バックアップラインとして各金融機関との間で、既存の当座借越枠に加え、2020年4月および5月にコミットメントライン契約を締結しております。
(2)法規制に関するリスク
当社グループの事業は、関連法規の厳格な規制を受けており、各事業活動の遂行に際して種々の許認可等を受けております。これらの許認可等を受けるための諸条件および関連法令の遵守に努めており、現時点においては当該許認可等が取り消しとなる事由は発生しておりません。しかし、法令違反等によりその許認可等が取り消しとなる場合等には、規制の対象となる製商品の回収、または製造ならびに販売を中止することを求められる場合もあり、これらにより当社グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが取り扱う医療用医薬品等の販売価格は、医療制度が国民皆保険を前提としていることから、健康保険法の規定に基づき、厚生労働大臣の定める薬価基準収載価格によることとされております。薬価基準改定(引下げ)は、流通段階における供給価格の押し下げ要因となり、当社グループの取り扱う医療用医薬品等の販売価格の変動要因となります。
(3)研究開発に係るリスク
当社グループは、希少疾病領域での積極的な研究開発活動に取り組んでいますが、医薬品は所轄官庁の定めた有効性と安全性に関する厳格な審査により承認されてはじめて上市することが可能となります。したがって、研究開発の途上において、パイプラインの有効性もしくは安全性が承認に必要とされる基準を満たさない懸念があることが判明し、研究開発の中止もしくは遅延を要する場合は、研究開発費の回収や期待される収益の確保が困難もしくは遅延するリスクがあります。そのような場合は当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの売上高は、主に医薬品の製造販売の他、研究開発の進捗に基づく契約金収入により構成されております。また、契約金収入は営業利益等の各利益に大きな影響を及ぼすことがあります。したがって、パイプラインの研究開発に中止・遅延を要する事象が発生した場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(4)ヒト成長ホルモン製剤に係るリスク
当社グループの販売品目のうち、ヒト成長ホルモン製剤の売上高が総売上高に占める割合は、当連結会計年度において51.0%になります。ヒト成長ホルモンは主に小児成長障害に使用される医薬品であることから、日本国内における少子化の影響を受けます。市場統計によれば、ヒト成長ホルモン市場は各社の新たな適応追加や疾患啓発活動の結果、当面拡大を続けているものの将来的には減少に転じる可能性が極めて高いと認識しております。従いまして、これらの不確定要因が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、本製剤の原体仕入先は特定の会社(Ferring社)に限定されているため、事業継続の観点から、原体、製剤ともに十分な在庫を確保しております。同社での生産に何らかの支障が生じた場合等は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、本製剤の大部分は当社グループとPHC株式会社で共同開発した専用注入器グロウジェクター®Lを使用しなければ、自己注射することができません。グロウジェクター®L はPHC株式会社が製造し、同社とはリスク管理も含めた契約を締結しており、繰り返し使用できる機器(耐用年数3年)であることから、同社の生産に支障を生じた場合であっても、業績への影響は低いと認識しております。ただし、長期に渡り支障を生じた場合は、新規患者の獲得や機器の更新が滞り、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)安定供給に関するリスク
当社グループでは患者さんの健康に寄与するため必要な生産体制と品質保証体制を構築しております。しかしながら、当社グループの製造施設等や原材料供給元において、技術的もしくは法規制上の問題等が発生することにより、製品の安定供給に支障が発生する可能性があります。その動向によっては、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(6)競合品に係るリスク
当社グループの製品およびパイプラインには、いずれも競合となりうる他社の開発品目が存在します。これら競合品目の開発が進捗し、発売された場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)人的リソースに係るリスク
近年の売上高の増加と研究開発の進捗に伴い研究開発部門、生産部門を中心に人的リソースが増大しております。今後も複数のパイプラインのグローバル臨床試験、上市を見込んでいることから、引き続き人的リソースの拡大傾向が継続するものと認識しております。従いまして、人材の採用が困難になったり、離職率が上昇する場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)自然災害に係るリスク
当社グループの製品に係る原薬、製剤工場は神戸市西区に集中しております。
地震、風水害には強い立地条件ではあるものの、大規模停電、想定を超える事象が発生した場合は一定期間操業できなくなることで当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)副作用の発現リスク
現在のパイプラインには人体にとっては未知の物質に相当する融合たんぱく質であるものが含まれています。一般的に、人体は未知の物質に対して抗原抗体反応により体内より排除する機構を持っていることから、これらの薬物が抗原抗体反応を惹起することにより好ましくない副作用の発現リスクが存在します。現在までの臨床試験において、特段留意が必要なリスクは顕在化しておりませんが、今後、長期に投与した際に看過できない副作用が発現した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)知的財産権の侵害リスク
当社グループの血液脳関門通過技術については、競争力のある形で知的財産権の確保に努めております。2020年4月に米国ArmaGen社を買収することで、米国等における血液脳関門通過技術に関する知的財産権を取得し、現段階において当該技術に関して他社の知的財産権を侵害するリスクは低いと判断しております。しかしながら、将来において知的財産権を巡る訴訟が起こる場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)訴訟に関するリスク
当社グループは製造物責任(PL)関連、独占禁止法関連、環境関連やその他に関して訴訟を提起される可能性があります。これらの訴訟に対応すべく、損害保険への加入等損害を回避できる対策を講じておりますが、訴訟が発生した場合、当社グループの業績および財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
(12)筆頭株主との関係
当社グループは、筆頭株主である株式会社メディパルホールディングスとの間で、複数のパイプラインに関する開発投資契約を締結しており、今後、両社が出資し米国に設立した合弁会社を通じて各種医薬品候補物質の臨床開発を行うほか、より広範囲な業務提携を行うことについて合意しております。当社グループは、同社との戦略的提携関係を維持し、両社の更なる企業価値の向上に努める所存でありますが、何らかの理由により同社との戦略的提携に変更があった場合、当社グループの業績および財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
(13)金融市況の影響について
株式市況、為替相場および金利の動向によっては、保有する有価証券等の時価の下落、原材料等の輸入価格上昇、退職給付債務および支払利息の増加等、当社グループの業績および財政状態に重要な影響を受ける可能性があります。
上記のほか、環境保全上の問題の発生、製品を取り巻く環境の変化、ライセンスまたは提携の解消、システム障害および情報流出等、様々なリスクがあり、ここに記載されたものが当社グループの全てのリスクではありません。
(1)経営成績等の状況の概要
① 当期の経営成績
売上高は247億81百万円(前期比7.0%増)となり、8期連続の増収、過去最高を記録しました。
2019年10月に薬価改定がありましたが、主力製品の販売数量が増加することにより、増収となりました。
営業利益は32億44百万円(前期比34.7%減)、経常利益は32億93百万円(前期比35.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は26億78百万円(前期比27.9%減)となり、いずれも減益となりました。
研究開発費は37.7%増加し、59億97百万円(前期比16億42百万円増)となりました。
なお、当連結会計年度より、当社の報告セグメントは単一セグメントに変更したため、セグメント別の記載は省略しております。
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前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
増減 |
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金額(百万円) |
金額(百万円) |
% |
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売上高 |
23,160 |
24,781 |
7.0 |
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営業利益 |
4,967 |
3,244 |
△34.7 |
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経常利益 |
5,068 |
3,293 |
△35.0 |
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親会社株主に帰属する当期純利益 |
3,715 |
2,678 |
△27.9 |
営業利益の増減要因は以下の通りです。
・主力製品の寄与による売上高の増加 1,621百万円
・新製品の上市による売上原価の増加 △1,333百万円
・売上高増加に伴う販売費・一般管理費の増加 △368百万円
・積極的な研究開発による研究開発費の増加 △1,642百万円
② 主要な売上
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前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
増減 |
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金額(百万円) |
金額(百万円) |
% |
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ヒト成長ホルモン製剤 グロウジェクト® |
11,978 |
12,650 |
5.6 |
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再生医療等製品 テムセル®HS注 |
2,041 |
3,126 |
53.2 |
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腎性貧血治療薬 エポエチンアルファBS注「JCR」 ダルベポエチンアルファBS注「JCR」 |
4,511 4,511 - |
5,509 4,097 1,412 |
22.1 △9.2 - |
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ファブリー病治療薬 アガルシダーゼベータBS点滴静注「JCR」 |
74 |
317 |
327.4 |
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契約金収入 |
3,560 |
2,050 |
△42.4 |
(注)1 テムセルを除く製品は2019年10月に薬価改定を受けました。
2 「エポエチンアルファBS注JCR」を除き、販売数量の増加により売上増となりました。
3 持続型腎性貧血治療薬「ダルベポエチンアルファBS注JCR」を2019年11月より発売した影響で、短期型腎性貧血治療薬「エポエチンアルファBS注JCR」の売上が減少しました。
4 契約金収入は研究開発の進捗によるマイルストンなどの契約に由来します。
③ 研究開発の状況
[ライソゾーム病治療薬]
・現在重点的に取り組んでいるライソゾーム病治療薬の開発では、独自の血液脳関門通過技術「J-Brain Cargo®」を適用した新薬の開発を行っております。
・血液脳関門通過型ハンター症候群治療薬(開発番号:JR-141)については、2018年6月よりブラジル連邦共和国で臨床第2相試験、2018年8月から日本で臨床第3相試験をそれぞれ開始いたしました。その他の地域では2018年10月に米国食品医薬局(FDA)、2019年2月に欧州医薬品庁(EMA)よりオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)の指定を受ける等、グローバル展開の準備を進めております。
・その他のJ-Brain Cargo®を適用したライソゾーム病治療薬(ポンペ病治療薬(開発番号:JR-162)、ハーラー症候群治療薬(開発番号:JR-171)、サンフィリッポ症候群A型治療薬(開発番号:JR-441)、スライ症候群治療薬(開発番号:JR-443)、サンフィリッポ症候群B型治療薬(開発番号:JR-446)についても、研究開発を順次行うとともにグローバル展開を推進してまいります。
[再生医療等製品]
・2019年7月から新生児低酸素性虚血性脳症(開発番号:JR-031HIE)への「テムセル®HS注」の新たな適応拡大として臨床第1/2相試験を開始しております。
・「テムセル®HS注」の皮下投与による表皮水疱症に対する適応拡大(開発番号:JR-031EB)について、厚生労働省への承認申請を行い、当局と協議を重ねてまいりましたが、同適応症に対する有効性をより明確に示す必要性があると判断し、2019年9月に本承認申請を取り下げました。今後の開発方針については、現在検討しております。
・他家(同種)歯髄由来幹細胞(DPC)を用いた急性期脳梗塞を適応症とする再生医療等製品(開発番号:JTR-161/JR-161)については、2019年2月より臨床第1/2相試験を開始しております。
[ヒト成長ホルモン製剤]
・2018年7月から「グロウジェクト®」の効能追加としてSHOX異常症に対する臨床第3相試験を開始しております。
・2019年5月からは遺伝子組換え持続型成長ホルモン製剤(開発番号:JR-142)の臨床第1相試験を開始しております。
[腎性貧血治療薬]
・持続型赤血球造血刺激因子製剤「ダルベポエチンアルファBS注JCR」の製造販売承認を2019年9月に取得し、同年11月に発売いたしました。
④ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ28億36百万円増加して109億28百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況および主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、49億27百万円(前連結会計年度比10億22百万円の収入増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上額34億22百万円、減価償却費の計上額14億34百万円および売上債権の減少額8億57百万円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、41億61百万円(前連結会計年度比44億1百万円の支出増)となりました。これは主に有価証券の売却及び償還による収入6億98百万円があった一方で、有形固定資産の取得による支出48億38百万円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、20億48百万円(前連結会計年度比29億65百万円の収入増)となりました。これは主に、配当金の支払額9億89百万円があった一方で、長期借入れによる収入30億50百万円があったことによるものであります。
⑤ 生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
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生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
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医薬品事業 |
17,223 |
72.5 |
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合計 |
17,223 |
72.5 |
(注)1 金額は販売価格により表示しております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)受注実績
当社グループは見込生産によっており、受注生産は行っておりません。
(3)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
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販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
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医薬品事業 |
24,781 |
107.0 |
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合計 |
24,781 |
107.0 |
(注)1.主な相手先別の販売実績およびそれぞれの総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
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相手先 |
前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
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販売高(百万円) |
割合(%) |
販売高(百万円) |
割合(%) |
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株式会社メディセオ |
5,521 |
23.8 |
6,989 |
28.2 |
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キッセイ薬品工業株式会社 |
5,011 |
21.6 |
6,009 |
24.3 |
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
⑥ 経営成績への影響
新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、当連結会計年度につきましては影響を受けておりません。
また、本報告書作成時点においては、パイプラインの臨床試験の遅延等は発生しておらず、製品や原材料、製造用資材についても当面の生産に必要な在庫は確保しており、大きな影響はないと判断しております。
なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、たな卸資産、有価証券、貸倒引当金、退職給付に係る負債および繰延税金資産などについて、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」および「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項」に記載のとおり、資産・負債および収益・費用の数値に影響を与える見積りおよび判断を行っております。従いまして、実際の結果は、見積りの不確実性により異なる場合があります。
新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、収束まではある程度の期間を要すると想定しておりますが、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載のとおり当社グループの業績への影響は軽微であると判断しております。従いまして、当連結会計年度における会計上の見積りへの影響はございません。また、本報告書提出日現在において、翌連結会計年度におきましても同様であると判断しております。
② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
・財政状態
当連結会計年度末における資産合計は477億75百万円(前連結会計年度末比52億59百万円増)、負債合計は151億95百万円(前連結会計年度末比35億53百万円増)、純資産合計は325億79百万円(前連結会計年度末比17億5百万円増)となりました。
流動資産は、受取手形及び売掛金および有価証券が減少した一方で、現金及び預金が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ9億73百万円増加して283億42百万円となりました。固定資産につきましては、主に研究関連施設の増強があったことで有形固定資産が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ42億85百万円増加して194億33百万円となりました。
流動負債は短期借入金および未払金が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ17億49百万円増加して104億34百万円となりました。固定負債は、長期借入金が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ18億3百万円増加して47億61百万円となりました。
純資産につきましては、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより、前連結会計年度末に比べ17億5百万円増加して325億79百万円となりました。
これらの結果、当連結会計年度末における自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ4.5ポイント低下して66.6%となりました。
・経営成績
売上高は前連結会計年度に比べ16億21百万円(7.0%)増加して247億81百万円となりました。
主力製品であるヒト成長ホルモン製剤「グロウジェクト®」につきましては、液状製剤の市場への浸透およびプロモーション戦略の強化により、前年同期比6億72百万円(5.6%)の増収となりました。また、2019年10月の薬価改定により販売単価は引き下げとなりましたが、数量ベースでは前期比8.6%増加したことにより、増収を確保することが出来ました。また、2020年度につきましては、新型コロナウイルス感染症対策としてプロモーション活動の方法の変更等が必要とはなりますが、2020年4月の薬価改定の影響を吸収して増収となることを見込んでおります。
腎性貧血治療薬につきましては、2019年11月に持続型腎性貧血治療薬「ダルベポエチンアルファBS注JCR」の販売を開始しております。その影響で、短期型腎性貧血治療薬「エポエチンアルファBS注JCR」の売上高は減少しておりますが、腎性貧血治療薬合計では55億9百万円(前年同期比9億97百万円・22.1%増)となっております。2021年3月期につきましても引き続き需要増が見込まれ、増収を見込んでおります。
再生医療等製品「テムセル®HS注」の販売につきましては、2016年2月の発売以降、市場への浸透が進み、当連結事業年度の売上高は当初予想を上回り、前連結事業年度比53.2%の増収と順調に推移しております。今後は需要に合わせた供給体制の増強が課題となっております。
また、国産初となるライソゾーム病治療薬として、2018年11月よりファブリー病治療薬「アガルシダーゼベータBS点滴静注JCR」の販売を開始いたしましたが、徐々に市場への浸透が進んでおり、当連結会計年度は前期比で増収となっております。2021年3月期に関しましても引き続き増収が見込まれております。
契約金収入に関しましては、当連結会計年度に締結を見込んでいた契約が2021年3月期にずれ込んだことにより、前連結会計年度比では減収となりました。2021年3月期には当該契約の締結が見込まれることもあり、増収となる見込みです。
一方で、研究開発費につきましては59億97百万円と前連結会計年度比16億42百万円(37.7%)の増加となっております。研究開発費は対売上高比率20%を目安に行っておりますが、当連結事業年度における対売上高比率は24.2%に達しております。これは、2020年度中の承認申請を目指しているハンター症候群治療薬JR-141を始めとするJ-Brain Cargo®を適用した一連のライソゾーム病治療薬について、将来の成長に向けて積極的に研究開発投資を行ったことによるものです。開発中のライソゾーム病治療薬は当社のグローバル市場進出への重要な開発品目でもあるため、今後も必要であれば当期のように対売上高比率が20%を超えることもあります。2021年3月期につきましても、将来の収益基盤の強化のため、より積極的に研究開発を行う必要があり、64億円(当期比6.7%増・対売上高比23.5%)を見込んでおります。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ④キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.当社グループの資本の財源および資金の流動性
・資金需要の主な内容
当社グループにおきましては、原材料等の仕入れ、研究開発費、人件費および販売費などの運転資金、ならびに生産および研究開発を目的とする設備投資に主たる資金需要が生じます。
なお、研究開発費につきましては、対売上高比率20%を目安に投資を行っております。
また、株主還元についても、経営上の重要な施策の一つとして位置づけております。剰余金の配当等につきましては、将来の利益の源泉となる新薬開発や経営体質強化のための内部留保を確保しつつ、業績およびキャッシュ・フローの状況を勘案しながら継続的かつ安定的な配当を行うことを基本方針としており、ご期待に応える株主還元と財務の健全性のバランスを重視し、配当性向につきましては30%を目安としております。
・資金調達
これらの資金需要に対しましては、営業活動によるキャッシュ・フローからの充当を基本とし、不足する場合は金融機関からの借入金による調達を実施しております。
当連結会計年度末時点の現金同等物残高は109億28百万円となっており、事業遂行に必要な資金を十分確保しております。
なお、現時点では当社グループにおいて、新型コロナウイルス感染症の影響は受けておりませんが、今後の世界情勢の見通しが立たない中、当社グループがグローバルで持続的な成長を行うために、機動的かつ安定的に資金調達手段を確保する必要があり、各金融機関との間で、バックアップラインとして運転資金を確保する事を目的として、2020年4月および5月に総額150億円のコミットメントライン契約を締結しております。
(1)技術等導入契約
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契約会社名 |
相手先の名称 |
契約内容 |
対価の支払 |
契約期限 |
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当社 |
Mesoblast社 |
移植片対宿主病、表皮水庖症、新生児低酸素性虚血性脳症適応症における骨髄由来ヒト間葉系幹細胞(MSC)の国内独占開発、製造および販売 |
マイルストーンおよびロイヤルティ |
製品発売から15年または適応拡大承認から10年間のいずれか遅い日まで |
(2)技術等導出契約
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契約会社名 |
相手先の名称 |
契約内容 |
対価の受取 |
契約期限 |
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当社 |
あすか製薬㈱ |
不妊治療薬(遺伝子組換え卵胞刺激ホルモン)の開発権および製造販売権付与および当社の原薬製造権 |
契約金およびマイルストーン |
特定期間を定めず |
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当社 |
帝人㈱ |
他家(同種)歯髄由来幹細胞を用いた急性期脳梗塞を適応症とする再生医療等製品の共同開発および実施許諾 |
マイルストーンおよびロイヤルティ |
実施許諾について特定の期間を定めず |
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当社 |
大日本住友製薬㈱ |
中枢神経系疾患治療薬創製に関する血液脳関門通過技術のライセンス契約 |
契約金・マイルストーンおよびロイヤルティ |
特許期間満了またはロイヤルティの支払終了のいずれか遅い日まで |
(3)取引契約等
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契約会社名 |
相手先の名称 |
契約内容 |
対価の支払 |
契約期限 |
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当社 |
Ferring社 |
遺伝子組換えヒト成長ホルモン原体の独占輸入権および同製剤の国内独占販売権 |
- |
2023年10月まで(以降5年毎の更新) |
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当社 |
キッセイ薬品工業㈱ |
腎性貧血治療薬「エポエチンアルファBS注JCR」および持続型赤血球造血刺激因子製剤ダルベポエチンアルファ(一般名)のバイオ後続品の国内独占販売権 |
- |
2024年3月まで(以降1年毎自動更新) |
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当社 |
㈱メディパルホールディングス |
㈱メディパルホールディングスによる研究開発費の一部負担および当社によるロイヤルティの支払 |
ロイヤルティ |
ロイヤルティの支払終了まで |
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米国合弁会社を通じた各種医薬品候補物質の臨床開発の実施 |
- |
特定期間を定めず |
当社グループにおきましては、医薬品事業において、長年にわたり培ってきたバイオ技術および細胞培養技術を基礎として、小児領域を中心とした難病や希少疾病の分野における革新的な医薬品、再生医療等製品の研究開発に取り組んでおります。
当連結会計年度における研究開発費の総額は
なお、2020年6月1日現在の医薬品の研究開発状況は下記のとおりであります。
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開発番号 (一般名) |
適応症等 |
開発段階 |
備考 |
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JR-141 (血液脳関門通過型遺伝子組換え イズロン酸-2-スルファターゼ) |
ムコ多糖症Ⅱ型 (ハンター症候群) |
日本: 臨床第3相試験 |
酵素補充療法 J-Brain Cargo®採用 |
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ブラジル: 臨床第2相試験 |
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JR-162 |
ポンペ病 |
前臨床 |
酵素補充療法 J-Brain Cargo®採用 |
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(J-Brain Cargo®適用遺伝子組換え 酸性α-グルコシダーゼ) |
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JR-171 |
ムコ多糖症Ⅰ型 (ハーラー症候群等) |
前臨床 |
酵素補充療法 J-Brain Cargo®採用 J-MIG System®採用 |
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(血液脳関門通過型遺伝子組換え α-L-イズロニターゼ) |
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JR-441 |
ムコ多糖症ⅢA型 (サンフィリッポ 症候群A型) |
前臨床 |
酵素補充療法 J-Brain Cargo®採用 |
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(血液脳関門通過型遺伝子組換え へパランN-スルファターゼ) |
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JR-443 |
ムコ多糖症Ⅶ型 (スライ症候群) |
前臨床 |
酵素補充療法 J-Brain Cargo®採用 |
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(血液脳関門通過型遺伝子組換え β-グルクロニダーゼ) |
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JR-446 |
ムコ多糖症ⅢB型 (サンフィリッポ症候群B型) |
前臨床 |
酵素補充療法 J-Brain Cargo®採用 |
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(血液脳関門通過型遺伝子組換え α-N-アセチルグルコサミニダーゼ) |
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JR-401X |
SHOX異常症における低身長症 |
臨床第3相試験 |
グロウジェクト®適応拡大 |
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(遺伝子組換えソマトロピン) |
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JR-142 |
小児成長ホルモン分泌不全性低身長症 |
臨床第1相試験 |
J-MIG System®採用 |
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(遺伝子組換え持続型成長ホルモン) |
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JR-041 |
不妊治療 |
臨床第1/2相試験 |
あすか製薬㈱に導出 |
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(遺伝子組換え卵胞刺激ホルモン) |
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JR-031EB |
表皮水疱症 |
2019年9月申請取り下げ (今後の開発方針検討中) |
テムセル®HS注適応拡大 再生医療等製品 |
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(ヒト間葉系幹細胞) |
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JR-031HIE |
新生児低酸素性虚血性脳症 |
臨床第1/2相試験 |
テムセル®HS注適応拡大 再生医療等製品 |
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(ヒト間葉系幹細胞) |
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JTR-161/JR-161 |
急性期脳梗塞 |
臨床第1/2相試験 |
帝人㈱と共同開発 再生医療等製品 |
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(ヒト歯髄由来幹細胞) |