第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、「優れた医薬品を通じて、人々の健やかな生活に貢献する」、「富士製薬工業の成長はわたしたちの成長に正比例する」ことを経営理念としております。今後も引き続きこの経営理念の下に、良質な医薬品の開発・製造・販売を通じて、顧客、仕入先、株主、従業員、地域・社会の各ステークホルダーに対する責任を果たしつつ、さらに貢献と成長の好循環を発展させてまいりたいと考えております。

 

(2)経営者の問題認識と今後の方針について

経営理念の実践における大きな課題は、貢献と成長の好循環を具現化することです。その為に必要なことは、当社グループの中核事業分野の一つである女性医療領域でより大きな貢献をしていくこと、グローバル市場に進出していくこと、そして当社事業とサステナビリティを一体化していくことです。これらを着実に実行し、経営理念を実践するため、2029年9月期末の「ありたい姿」を定めた2030年ビジョンを策定し公表しました。

 

①世界の女性のwell-beingの向上に貢献している

「優れた医薬品を通じて、人々の健やかな生活に貢献する」という経営理念をさらに深め、医薬品を中心にしながらもその枠を超えて、世界中の女性を肉体的・精神的・社会的にもすべてが満たされた状態にするため、当社が積極的に貢献している状態を実現します。

②薬の富山からGlobal Marketに進出している

日本の薬都である富山で培ってきた、人々の健康に貢献し、そしてよりよい薬を創出するための探求心、高品質な医薬品を供給する製造技術をもとに、当社が世界の舞台で人々の健やかな生活に貢献している状態を実現します。

③世界一幸せな会社と社会貢献が一体化している

富士製薬工業グループで働く社員ひとり一人が、働くことにやりがいと充実感を感じ、それが社会への貢献に繋がり、社会から感謝されることが社員ひとり一人の成長と喜びに繋がり、更に大きな社会への貢献を生み出す、このような好循環を生み出す状態、これが「世界一幸せな会社」です。

 

(3)目標とする経営指標

2030年ビジョンの実現を確実なものとするため、2024年9月期を終期とする5ヵ年の中期経営計画「Fujiらしくをあたらしく」を定めました。中期経営計画においては、注力分野である女性医療領域での地位向上、持続可能な造影剤事業への進化、バイオシミラー事業の確立、海外事業の強化、そしてそれらを支える経営基盤の確立を、成長シナリオと捉えております。これらの経営課題の解決への取組みを通じて、薬価改定をはじめとする社会保障費抑制の大きな流れの中で、医薬品製造販売事業者としての安定供給責任を果たし消費者課題を解決してまいります。

中期経営計画の最終年度である2024年9月期は売上高500億円、営業利益50億円、自己資本利益率(ROE)8.0%の達成を目指します。

 

(4)対処すべき課題

中期経営計画「Fujiらしくをあたらしく」において、3つの成長戦略と、そこでの9つの戦略を定義しました。この9つの戦略が、すなわち当社グループが対処すべき課題であると考えております。

<カテゴリー×モダリティ戦略>

①女性医療:ホルモン製剤を中心とする新薬の開発、医薬品以外の周辺領域での取組み、デジタル化を通じた効率的かつ効果的な価値提供を通じて女性医療領域でのNo.1の医療プラットフォームを目指します。

②注射製剤:造影剤領域での新事業モデルを確立するとともに、グローバルに競争優位な注射剤製造ラインを構築します。

③ホルモン製剤:多品種・大量供給体制を構築し、女性ホルモンのみならず、男性ホルモン・抗がん剤等、幅広い製品を製造・販売してまいります。

④次世代技術:難易度の高い製品を開発・製造する技術を有し、優れた医薬品を開発・提供してまいります。

⑤バイオシミラー:提携先との協業等を通じて複数製品を上市し、バイオシミラー国内No.1を目指します。

<エリア戦略>

⑥アジア:子会社であるOLICを軸に、アジアのCMOとしての事業成長を成し遂げるとともに、中国・ASEANで製造販売事業を展開してまいります。

⑦北米:米国市場での505(b)(2)製品の上市を通じて、北米での事業展開を進めてまいります。

<経営基盤確立>

⑧人財:グローバルに活躍できる多様な人財を育成し、次世代経営陣・グローバルリーダーを育ててまいります。

⑨サステナビリティ:2030年ビジョンに掲げる「世界一幸せな会社と社会貢献の一体化」を実現してまいります。

 

(5)新型コロナウイルス感染症の影響

販売面では、造影剤及び不妊治療薬を中心に、受診抑制の影響が生じましたが、提出日現在では当該影響は軽減されております。

製品の安定供給面では、原薬需給への一定の影響はあるものの、原薬及び製剤製造のサプライチェーンにおいて重大な事象は発生しておらず、また、原料及び製品等の十分な在庫を保有しており、安定的に供給できる体制を維持しております。

研究開発面では、当社が手掛ける治験をはじめとする開発計画に大幅な変更は発生しておりません。

その他費用面では、一部の費用の支払抑制により利益の増加要因となっておりますが、影響の長期化に伴う諸活動の再開により、係る影響は低減する見込みです。

当社社員においては、感染予防を徹底しており、提出日時点で感染者は発生しておりません。

今後、業績に大きな影響が見込まれる場合は、速やかに情報を開示いたします。

 

 

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

①法的規制について

 当社グループは医薬品医療機器等法及び関連法規の厳格な規制を受けており、各事業活動の遂行に際して以下のとおり許認可等を受けております。これらの許認可等を受けるための関連法規及び諸条件の遵守に努めており、現時点におきましては当該許認可等が取り消しとなる事由は発生しておりません。しかし、法令違反等によりその許認可等が取り消された場合等には、規制の対象となる製商品の回収、または製造並びに販売を中止することを求められる可能性等があり、これらにより当社グループの事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、医薬品医療機器等法及び関連法規等に基づく許可等を受けて医療用医薬品の製造・販売を行っております。今後の関連法規改正等により当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(主たる許認可等の状況)

許認可等の名称

所轄官庁等

有効期限

主な許認可等

取り消し事由

備 考

医薬品製造業許可

富山県

2024年8月

(5年ごとの更新)

医薬品医療機器等法その他薬事に関する法令もしくはこれに基づく処分に違反する行為があったとき、または役員等が欠格条項に該当したときは許可の取消(医薬品医療機器等法第75条第1項)

富山工場

第一種医薬品製造販売業許可

富山県

2024年8月

(5年ごとの更新)

同 上

富山工場

第二種医薬品製造販売業許可

富山県

2024年8月

(5年ごとの更新)

同 上

富山工場

医薬品卸売販売業許可

富山県

 

 

埼玉県

 

 

大阪府

 

2022年5月

(6年ごとの更新)

 

2025年12月

(6年ごとの更新)

 

2025年12月

(6年ごとの更新)

同 上

北陸営業所

 

 

東日本物流

センター

 

西日本物流

センター

 

②医薬品の研究開発について

 臨床試験で期待した結果が得られないあるいは行政当局の指摘による開発計画見直しなど当社グループの研究開発での問題のみならず、共同開発先・提携先・委託先等社外関係者で生じた問題により、新規開発品その他の研究開発が計画どおりに進行せずに、計画変更に伴う費用の高騰、あるいは開発期間の延長、開発が中止・中断となる場合があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。対策の一つとして社外との契約においては契約条項に問題発生時の対応策を盛り込むなどリスク被害の最小化に努めています。

③同業他社との競合について

 当社グループは採算性を考慮して適正な価格で販売するよう努めておりますが、一部品目については、多数のメーカーの競合により著しく市場価格が低下、あるいは、国内新薬メーカーの市場シェア確保のための諸施策により、当社グループが計画する予算を達成できない可能性があります。対策として、原材料調達コストの低減、製造方法の見直しによるコスト削減等、集積性を確保するための施策を部門横断で実施しております。

④原材料の調達について

 当社グループは原材料を国内外より調達しておりますが、原材料の高騰により製品原価に影響を及ぼす場合や、原材料の需給バランスの変動、国内外の規制または原材料メーカーによる品質問題の発生等により、原材料の入手が長期的に困難になり製品を製造・販売することができなくなる場合があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。本年度においては、当社製品に使用する原材料のうち、新型コロナウイルス感染症の治療に用いられるとされる原材料が世界的に需要増となり、一時的に入手困難となるような状況も発生しました。対策として社内に安定供給委員会を設置し、原材料の調達状況について定期的にチェックを行い、リスク発生時には速やかに全社的に対策を取れる体制を構築しております。また、重要製品の原材料についてはサプライチェーンの複数化を順次進めております。

⑤副作用・品質について

 市販後の予期せぬ副作用の発生、製品に不純物が混入する等の事故、原材料や製法の変更に伴う品質変化、行政当局の規制変更等により、製品の回収又は製造あるいは販売中止を余儀なくされる可能性があります。その場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。対策として品質管理のための「品質マネジメント・レビュー」を導入したほか、予期し得る品質の問題の発生の可能性については信頼性保証部門に設置した専門部署がこれを監視・確認しております。

⑥製品供給の遅延又は休止について

 技術的・規制上の問題、又は水害、火災、地震その他の人災もしくは自然災害により、製品を製造する製造施設・倉庫等において操業停止又は混乱が発生した場合、当該製品の供給が停止し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。対策として社内にリスク管理委員会を設置し、被災時の供給代替計画並びに供給の復旧手順について策定を行っております。

⑦特定製品への依存について

 尿路・血管造影剤「オイパロミン」は、2020年9月期の売上高のおよそ2割を占める主力製品です。当製品が予期せぬ事由により販売中止となった場合や、売上高が大幅に減少した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社においては、販売中止等に繋がらないよう、サプライチェーンの管理を強化するためにSCM部を社長直轄としたほか、品質管理のための「品質マネジメント・レビュー」を導入する等の対策を進めております。また、今後上市予定の新製品を含めた製品ポートフォリオの拡充により特定製品への依存度は下がるものと考えております。

⑧薬価基準の改定について

 医療用医薬品は、健康保険法の規定に基づき厚生労働大臣の定める薬価基準により薬剤費算定の基礎となる収載価格が定められております。厚生労働省では医療保険の償還価格である薬価基準価格と市場実勢価格との乖離を縮小するため、薬価調査に基づき定期的に収載価格の見直しを行っており、当社グループにおける販売価格も影響を受けております。直近では、2021年4月より毎年改定の開始が検討されており、価格乖離の大きい製品について薬価が引き下げられる可能性があります。なお、2019年10月に薬価ベースで医薬品業界平均2.4%、2020年4月には薬価ベースで医薬品業界平均4.4%の薬価引き下げが行われました。当社製商品の薬価引き下げによる影響は、2019年10月が5.5%、2020年4月が1.4%であります。対策として採算性を考慮した適正な価格での販売と合わせて継続的な原価低減を進めてまいります。

⑨訴訟等について

 後発医薬品の承認時に新薬メーカーより製法特許等の侵害を理由に訴訟が提起される可能性があります。また、製造販売後も製造物責任関連、環境関連、労務関連、その他に関する訴訟が提起される可能性があります。これらの訴訟の結果により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。対策として特許関連については知財部門が、法規関連は法務部門がそれぞれ事前の訴訟リスクのチェックを行い、リスクが顕在化する可能性の低減に努めております。

⑩連結貸借対照表上の投資消去差額(のれん)について

 当社は、2012年10月1日付で OLIC社を既存株主からの株式買取により連結子会社化したことに伴い「のれん」を計上しております。計上した「のれん」については、12年間で均等償却する方針です。

 当連結会計年度末の連結貸借対照表における「のれん」の金額は、1,144百万円であります。のれんは、他の固定資産と同様に減損会計の対象であり、経営環境や事業の著しい変化等によりOLIC社の収益性が低下した場合には、のれんの減損損失発生により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社では、経営企画部を関連会社所管部署とし、定期的な報告をもとに協議する機会を設け、OLIC社の収益性の維持向上に努めております。

⑪新型コロナウイルス感染症について

 本報告書提出時点において、新型コロナウイルス感染症が終息する見通しは立っておらず、先行きは不透明な状況です。2020年3月以降の当社開示の通り、当社としての対応方針を次のとおり取り決め、実行しております。本報告書提出時点において、当社グループ従業員における新型コロナウイルス感染症の感染者は発生しておりません。

・社長が参加する情報連絡会を設置し、必要な情報を集約した上で対策を講じる。

・支店・営業所の社員による医療機関訪問活動は、支店・営業所所在地の状況、医療機関の意向等を踏まえ、実施の可否及び程度について総合的に判断する。

・国内外出張の自粛、在宅勤務及び時差出勤の実施、社内外会議・研修・セミナー等は遠隔参加を原則とするなど、大人数の集まる機会の設定と係る機会への参加を極力回避する。

・衛生管理(入口のアルコール消毒等)や毎日の検温を徹底し、体温が37度以上の場合には在宅勤務もしくは自宅待機とする。

・感染の疑いがある場合、厚生労働省の方針に従い案内を受けた医療機関で診察を受ける。

・社員(同居の家族を含む)の感染が判明した場合、当該社員は出社しないものとする。

 今後、当社グループ従業員において新型コロナウイルス感染が認められた場合、研究、生産活動に影響を及ぼす可能性があります。臨床試験については、本報告書提出時点において顕在化したリスクはありません。引き続き状況を注視してまいります。製品や原材料、製造用資材については当面の生産に必要な在庫は確保しているため、本報告書提出時点において顕在化しているリスクはありません。なお、今後、新型コロナウイルス感染症の拡大により、当社グループの事業活動に影響が及ぶ可能性があります。

⑫ITセキュリティ及び情報管理に関するリスク

 当社は、各種情報システムを使用しているため、システム障害やコンピューターウイルス、サイバー攻撃等により、業務が阻害される可能性があります。また、個人情報を含め多くの機密情報を保有していますが、これらが社外に漏えいした場合、損害賠償、行政処分、社会的信用の失墜等により、当社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。対策として当社全社員を対象とした定期的な情報セキュリティ教育を行っております。

⑬人材確保に関するリスク

当社では今後の業務拡大に伴う適切な人材確保が必要であると考えております。一方で人材の確保が困難となる場合や、人材の育成が順調に進まない場合、当社の業績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。

当社では、創業以来人材を大切にする企業文化を育んでまいりました。この企業文化を軸に、人材の確保や育成に注力しております。

⑭デジタル化に関するリスク

当社ではデジタル化を進めておりますが、対応の遅れ若しくは競合対比で高コストとなり、情報セキュリティ対策が遅れた場合、事業に影響を及ぼす可能性があります。

当社では、中期経営計画においてデジタル化を進めるべく、営業本部、富山工場・研究開発センター、本社コーポレート機能の3分野において、具体的な取組みを進めております。

⑮独占販売権の前払金に関するリスク

当社は契約に基づく独占販売権の前払金を「長期前渡金」に計上しており、のれんと同様に定期的に減損の兆候の有無について評価が必要となります。減損が生じていると判断される場合には、減損損失の計上により、当社グループの業績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社では、長期前渡金の計上に際し、必要に応じて外部専門家による適切な評価を行っており、計上後は毎期、適切に評価を実施しております。

また、事業開発部を当該事業所管部署とし、定期的な報告をもとに協議する機会を設け、開発の進捗状況や販売計画の評価、検証を行っております。

⑯提携先への投資に関するリスク

 提携先への投資について、上場株式については基準価格の下落等により、非上場株式については、事業環境の変化等による取得時に想定した企業価値の毀損により、投資有価証券評価損を計上し、当社グループの業績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社では、非上場株式の計上に際し、必要に応じて外部専門家による適切な評価を行っており、計上後は毎期、適切に評価を実施しております。

 また、経営企画部を当該事業所管部署とし、定期的な報告をもとに協議する機会を設け、対象会社の収益性の維持向上に貢献できるよう、努めております。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 ①経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、米中貿易摩擦などによる世界経済の影響を受け企業業績は足踏みが続いているなか、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大により、国内外ともに先行き不透明で予断を許さない状況になっております。

医療用医薬品業界におきましては、2019年10月の消費税増税に合わせた薬価改定に加え、2020年4月にも薬価改定が行われ、新薬創出加算の適用品目を大幅削減、長期収載品の一部を後発医薬品と同一価格まで下げる厳しい薬価基準制度が決まるなど、その事業環境はますます厳しくなっております。また、2019年10月の薬価改定では、薬価ベースで業界平均2.4%の引き下げが行われ、当社製商品の薬価引き下げによる影響は5.5%となりました。さらには2020年4月の薬価改定では、薬価ベースで業界平均4.4%の引き下げが行われ、当社製商品の薬価引き下げによる影響は1.4%となりました。

このような状況のもと、当社グループは2030年ビジョンとして「世界の女性のwell-beingの向上に貢献している」「薬の富山からGlobal Marketに進出している」「世界一幸せな会社と社会貢献が一体化している」を”10年後のありたい姿”として掲げ、これを実現するための中間地点である2024年9月期に向かう道筋を示した行程表として、新たな中期経営計画を策定いたしました。本中期経営計画では「Fujiらしくをあたらしく」をテーマとし、当社の強みである女性医療領域・急性期医療領域を強化しつつ、スピード感を持って、ASEANや北米といった海外事業へ積極的に参入し、その先の5年間でさらに拡大できるように新薬・バイオシミラー・ジェネリックのパイプラインを充実させるなど、2030年に向けた成長戦略にグループ全体で取り組んでおります。

そのなかで当社は、重点領域である産婦人科領域において、2016年に当社が初めて製造販売承認を取得した「生殖補助医療における黄体補充」を効能・効果とする天然型黄体ホルモン製剤「ウトロゲスタン腟用カプセル200㎎」の販売に注力するとともに、ジェネリック医薬品においては、子宮内膜症治療剤「ジエノゲスト錠」、緊急避妊剤「レボノルゲストレル錠」、経口避妊剤「ファボワール錠」、経口避妊剤「ラベルフィーユ錠」を中心にシェア拡大を図っております。

放射線科領域においては、非イオン性尿路・血管造影剤「オイパロミン注」、非イオン性造影剤「イオパーク注」の更なるシェアの拡大に向け注力しております。

 

以上の結果、当連結会計年度の売上高は、33,793百万円(前年同期比6.9%減)となりました。利益面につきましては、当期は2019年10月および2020年4月の薬価改定の影響を受けたことや、新薬開発が予定通り進捗していることによる研究開発費の増加などにより営業利益は3,139百万円(同24.8%減)となり、経常利益は2,983百万円(同28.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,085百万円(同29.6%減)となりました。

なお、当社グループは、医薬品事業の単一セグメントであるため、セグメント情報は記載しておりません。

 

 ②財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末の総資産額は61,962百万円となり、前期末と比べ1,225百万円の増加となりました。流動資産は、売上債権が減少した一方で、現金及び預金が増加したことなどにより34,975百万円となり、前期末と比べ1,055百万円の増加となりました。固定資産は、機械装置及び運搬具の増加などにより26,987百万円となり、前期末と比べ169百万円の増加となりました。

(負債)

負債の部においては、流動負債は、支払手形及び買掛金の減少及び1年内返済予定の長期借入金の返済による減少などがあったこと等により11,004百万円となり、前期末と比べ1,007百万円の減少となりました。固定負債は長期借入金の増加などにより、10,996百万円となり、前期と比べ1,636百万円の増加となりました。

(純資産)

純資産の部においては、利益剰余金の増加や自己株式の減少等により39,961百万円となり、前期末と比べ597百万円の増加となりました。

 

 ③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末に比べ3,547百万円増加し、12,041百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 税金等調整前当期純利益2,918百万円に、減価償却費1,774百万円、売上債権の減少額1,203百万円などを加える一方、仕入債務の減少額1,102百万円、法人税等の支払額723百万円があったこと等により、営業活動による収入は5,770百万円(前年同期比1,264百万円の収入減)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 有形固定資産の取得による支出2,322百万円があったこと等により、投資活動による支出は2,616百万円(前年同期比9,407百万円の支出減)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 長期借入金の返済による支出3,140百万円、配当金の支払額904百万円などがあった一方で、長期借入金による収入4,000百万円があったこと等により財務活動による収入は450百万円(前年同期比6,814百万円の収入減)となりました。

 

 

(参考) キャッシュ・フロー関連指標

 

2018年9月期

2019年9月期

2020年9月期

自己資本比率(%)

66.5

64.8

64.5

時価ベースの自己資本比率(%)

100.9

67.5

62.8

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)

138.8

157.3

214.0

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

99.2

170.9

154.6

・自己資本比率:自己資本/総資産

・時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

・キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

・インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/支払利息

(注)1.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

3.有利子負債は、連結貸借対照表上に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

4.営業キャッシュ・フローは、キャッシュ・フロー計算書上に計上されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」、支払利息は、連結損益計算書に記載されている「支払利息」を用いております。

 

④生産、受注及び販売の実績

(1)生産実績

当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。

薬 効

当連結会計年度

(自 2019年10月1日

至 2020年9月30日)

前年同期比(%)

診断用薬(百万円)

10,807

83.5

ホルモン剤(百万円)

10,408

101.2

代謝性医薬品(百万円)

3,428

111.2

泌尿・生殖器官系用薬(百万円)

1,297

212.5

循環器官用薬(百万円)

870

85.0

抗生物質及び化学療法剤(百万円)

755

79.4

外皮用薬(百万円)

560

115.6

体外診断用医薬品(百万円)

90

102.1

その他(百万円)

9,310

201.0

合計(百万円)

37,530

110.1

(注)1.当社グループは、医薬品事業の単一セグメントであり、セグメント情報を記載していないため、薬効分類別生産実績を記載しております。

2.金額は販売価格で表示しており、消費税等は含まれておりません。

 

(2)商品仕入実績

当連結会計年度における商品仕入実績は、次のとおりであります。

薬 効

当連結会計年度

(自 2019年10月1日

至 2020年9月30日)

前年同期比(%)

体外診断用医薬品(百万円)

396

137.3

ホルモン剤(百万円)

350

30.2

神経系及び感覚器用剤(百万円)

97

16.4

その他(百万円)

67

105.1

合計(百万円)

911

43.2

(注)1.当社グループは、医薬品事業の単一セグメントであり、セグメント情報を記載していないため、薬効分類別商品仕入実績を記載しております。

2.金額は仕入価格で表示しており、消費税等は含まれておりません。

 

(3)受注実績

当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。

名 称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

 OLIC社

4,518

88.6

115

69.2

(注)当社グループは、医薬品事業の単一セグメントであり、セグメント情報を記載しておりません。

 

(4)販売実績

 当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。

薬 効

当連結会計年度

(自 2019年10月1日

至 2020年9月30日)

前年同期比(%)

製品

 

 

ホルモン剤(百万円)

9,094

102.7

診断用薬(百万円)

8,572

79.5

代謝性医薬品(百万円)

1,409

90.6

神経系及び感覚器用剤(百万円)

1,132

1,297.1

組織細胞機能用医薬品(百万円)

966

103.7

循環器官用薬(百万円)

714

80.2

抗生物質及び化学療法剤(百万円)

689

84.0

その他(百万円)

9,352

107.7

小計(百万円)

31,932

97.9

商品

 

 

ホルモン剤(百万円)

1,268

67.3

体外診断用医薬品(百万円)

421

72.3

その他(百万円)

171

14.2

小計(百万円)

1,861

50.7

合計(百万円)

33,793

93.1

(注)1.当社グループは、医薬品事業の単一セグメントであり、セグメント情報を記載していないため、薬効分類別販売実績を記載しております。

2.金額は販売価格で表示しており、消費税等は含まれておりません。

3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は,次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2018年10月1日

  至 2019年9月30日)

当連結会計年度

(自 2019年10月1日

  至 2020年9月30日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

株式会社メディセオ

7,063

19.5

6,721

19.9

アルフレッサ株式会社

5,828

16.1

5,087

15.1

株式会社スズケン

4,622

12.7

4,725

14.0

東邦薬品株式会社

3,565

9.8

3,215

9.5

4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは、その時点で最も合理的と考えられる基準に基づいて実施しておりますが、見積り等の不確実性があるため実際の結果は異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表[注記事項]連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 新型コロナウイルス感染症の影響等不確実性が大きく、将来の業績予測等に反映させることが難しい要素もありますが、現時点において入手可能な情報を基に検証等を行っております。

 なお、業績への影響につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)新型コロナウイルス感染症の影響」をご参照下さい。

 

②経営成績に重要な影響を与える要因について

 医薬品事業は医薬品関連法規等の規制を受けており、医療制度改革、後発品の使用促進及び薬価改定等の医療費適正化策の動向、及び主力品の市場における競争状況が経営成績に継続的に影響を及ぼす要因として認識しております。また、経営成績に大きな影響を与える要因となる可能性があるリスクについては、2[事業等のリスク]に記載のとおりであります。

 当連結会計年度は、こうした諸要因の影響も計画に織り込み、事業に取り組みました。その結果、「(1)① 経営成績の状況」に記載のとおりの経営成績となったと認識しております。

 

③資本の財源及び資金の流動性
 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は上記(1)③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 財務政策につきましては、当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、必要に応じて内部資金の活用及び金融機関からの借入金により資金調達を行っております。

 主な資金需要につきましては、運転資金として、医薬品に係る製造原価、研究開発費を含む販売費及び一般管理費等があります。また、設備資金として、医薬品に係る研究開発及び生産のための設備投資等があります。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

重要な契約等

契約先

契約内容

契約期間

ヤマトシステム開発株式会社

物流業務の委託

1997年7月から

2020年2月まで(注)

三井物産株式会社

①医薬品事業の開発権及び製造販売権の獲得

②医薬品事業の開発並びに製造販売における、製品、中間製品及び原料の供給

③海外市場での医薬品事業の販売及び販路拡大

④OLIC社の有効活用、販路及び販売の拡大

業務提携開始日

2014年4月21日

Alvotech Holdings社

①複数品目のバイオシミラーの日本における商業化に関しての独占的なパートナーシップ

②長期的な関係構築を目的とした当社によるAlvotech Holdings社への出資

業務提携日 2018年11月16日

出資完了日 2019年1月17日

(注)契約期間満了により、2020年2月に終了しました。

 

5【研究開発活動】

 当社グループは、医療現場の要望に応えるべく、より付加価値の高い製品の開発を推進しております。

 研究開発本部では、高度化する技術に対応するため、東京本社を主要拠点とする開発企画部、臨床開発部と富山研究開発センターを主要拠点とする研究部の3部門体制をとり、医薬品の研究及び開発に取り組んでおります。富山研究開発センターは、抗がん剤などの毒性の高い物質を取り扱うことができる外部環境に配慮した注射剤の試作設備、分析設備、固形製剤試作棟を有しており、様々な医薬成分の医薬品開発を進めております。

 研究開発分野につきましては、女性医療、急性期医療で使用される医療用医薬品を中心に開発しております。

 当連結会計年度には、ジェネリック医薬品として、5α還元酵素1型/2型阻害薬1成分2剤の共同開発品の申請準備、ホルモン剤1成分1剤のジェネリック医薬品を承認申請しております。

 新薬開発では、FSN-011-01(プロゲステロン)は臨床第Ⅲ相試験が終了、承認申請準備を進めております。FSN-014(エステトロール)は臨床第Ⅰ相試験が終了、FSN-013(エステトロール/ドロスピレノン)は臨床第Ⅱ相試験(臨床薬理試験)を実施中です。バイオシミラーについては、Alvotech社と5剤で共同開発を開始しております。

 今後も新薬、バイオシミラー、付加価値のある後発品などの新製品の早期開発及び上市を目指して参ります。

 なお、当連結会計年度の研究開発費総額は3,060百万円となっております。また、連結売上高に占める研究開発費の割合は9.1%であります。

 

主要開発品の状況(2020年9月30日現在)

開発コード

(一般名)

予定適応症

開発段階

備考

FSN-011-01

(プロゲステロン、経口剤)(注)

更年期障害

 日本:申請準備中

Besins Healthcare社から導入

FSN-013

(エステトロール/ドロスピレノン、経口剤)

 日本:月経困難症

海外:避妊

 日本:PhaseⅡ試験実施中(臨床薬理試験)

海外:申請準備中

Mithra社から導入

FSN-014

(エステトロール、経口剤)

更年期障害

 日本:PhaseⅠ終了

Mithra社から導入

(注)未承認薬・適応外薬開発品