当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、当社の経営理念「社員全員が喜びと誇りと楽しさを持ち、各々が能力を充分に発揮できる環境の下、独創的な臨床検査試薬を世の中に提供し続け、医療と予防医学の発展に貢献します。会社の発展は取引先や株主の皆様の繁栄と、社員とその家族への還元に繋がります。」のもと、医療業務の中で臨床検査が占める役割と価値を認識し、医療現場のニーズと市場動向を分析し、独創的な製品開発を実施し、世の中に提供し続けることを、経営方針としております。
(2)目標とする経営指標
当社は収益面での経営指数を重視しており、売上高を伸ばしながら、かつ継続的な原価低減に努め、営業利益率、経常利益率を高めることで高収益企業として成長し続けてまいります。さらに、資本コストや株価を意識した経営実現に向けて、安定した資本収益性達成の指標として、自己資本利益率(ROE)8%以上を目標としております。
(3)中長期的な会社の経営戦略、会社の対処すべき課題
(中長期的な会社の経営戦略)
医療業界では、少子高齢化の進行や人口減少に伴う労働力の減少に加え、医療費抑制に向け医療制度等の改革が求められ各医療機関では厳しい経営環境が続いてきました。臨床検査薬業界におきましては、国内の検査薬市場は成熟し飽和傾向ながら、臨床検査の意義・役割とその社会貢献が変わることはありません。
当社は、臨床検査に必要な各種検査試薬や機器の開発から製造・販売まで一貫して担う、体外診断用医薬品及び医療機器の製造販売会社です。臨床検査が占める役割と価値を認識し、多様化する医療現場のニーズと市場動向を分析し、独創的な製品開発を実施し、世の中に提供し続けます。各種治療に直結する早期診断や予防医学に繋がる臨床検査試薬が希求される中、当社は既存の臨床検査試薬・機器事業の拡充と共に、提携企業各社との協業を強化し、ユーザーニーズをいち早く取り入れた診断薬の開発・製造販売を目指し、事業拡大につなげてまいります。
(会社の対処すべき課題)
国内市場が飽和しつつある厳しい環境の下でシェアを獲得するには、生活習慣病の予防医学領域等、早期診断や治療に役立つ優れた製品の拡充が必須であります。
研究開発活動面では、既存試薬の性能改良のみならず、社外からの新技術や製品導入を強化し、新製品の早期製品を推進してまいります。生産活動面におきましては、生産効率の改善と品質安定化に寄与する製造機器等を効果的に導入し、QMS(国内品質基準)を満たす高品質で安定した製造体制を維持・拡大してまいります。営業・学術活動面では、敗血症診断用プロカルシトニンキット「LATECLE PCT試薬」の更なるシェア拡大を目指し、あわせて生化学・免疫・輸血の各種検査製品の拡販に一層注力してまいります。また、こうした事業活動を推進する上で、多様な人材が個々の能力と個性を最大限発揮することが重要であり、積極的な採用及び賃上げによる人材の確保並びに教育訓練等による育成強化に取り組み、活力ある企業として持続的な成長を推進してまいります。
今後も、総合的に投資効率を高め、各種法令を遵守するとともに、内部統制システムとコンプライアンス体制の強化に努め、収益力の安定と拡大を目標に市場の動向や顧客ニーズを的確に捉えた事業展開を行い、当社の企業活動に関するステークホルダーへの利益還元と継続的な信頼関係を構築し、企業の社会的責任を果たしてまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方や取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
サステナビリティ基本方針
当社は、当社の経営理念、経営方針、行動指針及び行動方針のもと、医療・検査薬分野における事業を通じて、医療機関や同業他社と共に健康・医療分野で社会に貢献し、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指します。
(1)ガバナンス
当社は、サステナビリティを推進するため、代表取締役社長以下の常勤取締役及び執行役員等から構成され、毎月開催される業績評価会議において、サステナビリティ情報(環境、社会、従業員、人権の尊重、腐敗防止、贈収賄防止、ガバナンス、サイバーセキュリティ、データセキュリティ)に関連する報告及びそのリスク管理等について報告・協議を行い、重要事項は必要に応じて経営会議に付議・審議され、適宜取締役会に報告されます。
(2)戦略
当社は、上記のサステナビリティ基本方針のもと、臨床検査に寄与する、高い品質及び性能を有す体外診断用医薬品や医療機器等の安定供給による健康・福祉の推進をはじめ、環境負荷の軽減、ガバナンスの強化、企業倫理の徹底等を通じて、社会で信頼され必要とされる企業を目指して努力してまいります。
まず、前事業年度において、当社事業との関連性から以下の4つを当社が優先的に取り組むべき重要課題(マテリアリティ)として特定しました。
1.医療への貢献 : 社会的に有用な製品・サービスの開発、提供
2.働きやすい職場: 働きやすい職場づくり
3.環境との調和 : 環境保全活動の推進
4.ガバナンス : 取引の公正・透明・自由な競争と政府・行政との健全な関係
これらのマテリアリティに紐付く、当社事業と連動した重要指標(KPI)を事業計画や中期計画策定時に設定し、中長期的な成長と持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
(3)リスク管理
当社は、上記「(1)ガバナンス」で記載した体制のもと、リスク低減と事業の維持発展のため、業績評価会議において、各種サステナビリティ情報に関連するリスク管理を行っています。特に人材の流動性が高まる昨今、採用競争力が低下し計画通りの人員確保に至らなくなること、或いは社員の離職により組織力が低下することが大きなリスクです。当社では、社員の労働意欲の減退や退職リスク等に備え、自己申告制度等を活用して社員の意見や提案を吸い上げ、リスク低減に努めています。
(4)指標及び目標
当社は、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関わる方針について、次の指標を用いております。これまで知識・経験・能力等に基づく平等な評価及び管理職への登用の機会を設けており、性別、国籍等の属性や採用時期が管理職登用に影響を与えているとの課題認識はないため、女性及び中途採用者における管理職登用の目標設定は行っておりません。しかしながら上記方針の一環として、多様性確保の観点より、育児介護休業や在宅勤務制度の導入等、仕事と育児の両立に向けた職場環境の整備を積極的に推進するとともに、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画として、平均勤続年数の男女比を目標に設定しております。当該指標に関する目標及び実績は次のとおりであります。
|
指標 |
目標 |
実績(2025年3月31日現在) |
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|
|
|
(注)事業年度末における入社5年以上の従業員(役員、顧問を除く)の男女別勤続年数から算出しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、本項目における将来に関する事項は、当事業年度末現在において入手可能な情報に基づく当社の判断や予想によるものであります。
(1)事業に係る法的規制リスク
当社の事業は、国内外において各国の薬事関連規則等を遵守しております。特に体外診断用医薬品及び医療用分析機器につきましては、開発、製造、輸入及び使用の各段階において種々の承認や許可及び監視制度が設けられています。ロット間差のある原料等の受入検査実施等、厳格な品質管理体制を構築し、高品質の製品供給に努めておりますが、これらの薬事関連規則等の改訂により当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)体外診断用医薬品の研究開発及び販売市場の変化に係るリスク等
研究開発が予定通りに進行しなかった場合、或いは治験段階において新製品の候補品が期待通りの安定した反応を示さなかった場合には、開発期間の延長や中断及び中止を行う場合があります。
また、主要な製品商品について他社から画期的なものが発売された場合、或いは診療報酬の改定の内容によっては当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)為替変動に係るリスク等
免疫や遺伝子関連における主要な原料、特に輸血検査関連製品は、為替相場の変動により業績に不利な影響を受ける可能性があります。これらの取引に対し、為替予約等によるヘッジ策を講じていますが、これにより完全に為替相場の変動によるリスクが回避される保証はありません。
(4)ライセンスに係るリスク等
当社の扱う製品の一部は、他社の開発した製品の開発、製造、販売等のライセンスを与えられているため、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)資産保有に係る価格変動のリスク
当社の営業活動に関連して不動産、有価証券等の資産を保有していることにより、時価の変動が事業に影響を及ぼす可能性があります。
(6)棚卸資産の評価損に係るリスク
検査機器等は、販売頻度が少なく、期末前後の販売実績に基づく価額を判断することが困難な場合や、販売価額の変動が大きい場合があるため、正味売却価額は期末付近の合理的な期間の平均的な売価を基礎として算定しております。ただし、正味売却価額の算定は見積りの不確実性が高く、市況等によって販売価額が変動することにより、翌事業年度以降の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(7)その他
金利の変動や戦争或いは政変等による各国の経済状況の悪化は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当事業年度における我が国経済は、雇用・所得環境やインバウンド需要の改善等により緩やかな回復傾向がみられる一方で、不安定な国際情勢等による資源価格の高騰や円安の継続、国内の物価上昇等、景気の先行きは不透明な状況が続いております。
臨床検査薬分野においては、A群溶血性レンサ球菌による急性咽頭炎やマイコプラズマ肺炎、さらにはインフルエンザ感染症等、新型コロナウイルス対策の下で抑えられていた様々な既存感染症が急拡大し、コロナ禍以前の状況に戻っています。こうした感染症検査をはじめ、各種疾患の診断や治療等に不可欠な臨床検査試薬や医療機器の重要性は変わることなく、臨床的に価値ある検査の継続的な供給に応えていくことが求められています。
このような状況の中、当社では敗血症診断用プロカルシトニンキット「LATECLE PCT試薬」の早期採用に向けた積極的な学術及び販売活動に注力し、当初の目標である年間売上高1億円を概ね達成しました。また、既存の生化学試薬及び輸血検査試薬等の販売と継続的な品質改善に取り組んでいます。
これらの活動の結果、生化学検査分野は、前期同水準の22億7千2百万円(前期比1.7%減)、免疫検査分野では輸血検査試薬及び腫瘍マーカー試薬等が順調に推移し27億5千2百万円(前期比11.8%増)となりました。また、その他の分野は、2億8千万円(前期比0.8%減)となり、当事業年度における売上高は、53億5百万円(前期比4.9%増)となりました。営業利益は、8億2千3百万円(前期比4.8%減)、経常利益は、8億2千8百万円(前期比10.8%減)、当期純利益は、6億4千1百万円(前期比0.5%増)となりました。
②財政状態の状況
当事業年度末における資産合計は、87億8千5百万円となり、前事業年度末と比べ1億9千4百万円の増加となりました。流動資産は、58億2千万円となり、前事業年度末と比べ1億2千6百万円の増加となりました。これは、売掛金が1億7千8百万円減少し、現金及び預金が2億2千2百万円、棚卸資産が1億8百万円増加したこと等によります。固定資産は29億6千4百万円となり、前事業年度末と比べ6千7百万円の増加となりました。これは、固定資産の取得により1億2千1百万円、投資有価証券が4千2百万円、繰延税金資産が1千7百万円増加し、減価償却の進捗に伴い1億3百万円が減少したことによります。
当事業年度末における負債合計は、20億9百万円となり、前事業年度末と比べ3億1千4百万円の減少となりました。これは、借入金が2億4千万円、未払法人税等が6千7百万円、未払費用が3千2百万円減少したこと等によります。
当事業年度末における純資産合計は、67億7千5百万円となり前事業年度末と比べ5億8百万円の増加となりました。これは、配当金の支払いによる減少と、当期純利益により増加したこと等によります。
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は30億5千6百万円となり、前事業年度末と比べ2億2千2百万円増加いたしました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動は、7億4百万円の資金の増加(前事業年度は4億3千万円の増加)となりました。これは、税引前当期純利益8億2千7百万円、売上債権の減少1億6千8百万円、減価償却費1億3百万円により増加し、法人税等の支払い3億2百万円、棚卸資産の増加1億2千9百万円により減少したこと等によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動は、7千1百万円の資金の支出(前事業年度は7千2百万円の支出)となりました。これは、分析機器を中心とした固定資産の取得による支出7千6百万円等によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動は、4億1千1百万円の資金の支出(前事業年度は2億3百万円の支出)となりました。これは、配当金の支払い1億4千2百万円、短期借入金の返済2億4千万円等によります。
④生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当事業年度の生産実績は、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(千円) |
前期比(%) |
|
臨床検査薬の製造及び販売事業 |
4,488,372 |
105.9 |
(注)当事業年度の生産実績を検査分野別に示すと、次のとおりであります。
|
検査分野別 |
当事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前期比(%) |
|
生化学検査試薬(千円) |
2,271,142 |
97.5 |
|
免疫血清検査試薬(千円) |
2,041,278 |
121.1 |
|
その他(千円) |
175,951 |
78.4 |
|
合計(千円) |
4,488,372 |
105.9 |
1.その他の検査分野に著しい変動がありました。これは、主に検査機器の生産数量の増加によるものであります。
(2)商品仕入実績
当事業年度の商品仕入実績は、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(千円) |
前期比(%) |
|
臨床検査薬の製造及び販売事業 |
679,931 |
98.4 |
(注)当事業年度の商品仕入実績を検査分野別に示すと、次のとおりであります。
|
検査分野別 |
当事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前期比(%) |
|
生化学検査試薬(千円) |
79,520 |
103.7 |
|
免疫血清検査試薬(千円) |
543,325 |
100.7 |
|
その他(千円) |
57,085 |
76.7 |
|
合計(千円) |
679,931 |
98.4 |
1.その他の検査分野に著しい変動がありました。これは、主に感染症検査試薬の仕入の減少によるものであります。
(3)受注実績
当社は見込生産を行っているため、該当事項はありません。
(4)販売実績
当事業年度の販売実績は、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(千円) |
前期比(%) |
|
臨床検査薬の製造及び販売事業 |
5,305,569 |
104.9 |
(注)当事業年度の販売実績を検査分野別に示すと、次のとおりであります。
|
検査分野別 |
当事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前期比(%) |
|
生化学検査試薬(千円) |
2,272,734 |
98.3 |
|
免疫血清検査試薬(千円) |
2,752,768 |
111.8 |
|
その他(千円) |
280,066 |
99.2 |
|
合計(千円) |
5,305,569 |
104.9 |
1.最近2期の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
東邦薬品株式会社 |
622,827 |
12.3 |
645,674 |
12.2 |
|
アルフレッサ株式会社 |
601,164 |
11.9 |
639,238 |
12.0 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。この財務諸表の作成に当たっては、決算日現在における資産・負債並びに会計期間における収益・費用に影響を与える事象に対し、当社の確かな見込み及び合理的な一定の前提による判断によって見積り及び仮定を行っている部分があります。これらの見積り及び仮定については、継続して評価を行っており、また必要に応じて見直しを行っておりますが、見積り及び仮定には不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なる可能性があります。財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(繰延税金資産)
繰延税金資産については、将来の利益計画に基づいて課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について計上しております。なお、当課税所得を見積るに当たって、前提とした条件や仮定に変更が生じ、これが減少した場合、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
(棚卸資産の評価)
検査装置等は販売頻度が少なく、期末前後の販売実績に基づく価額を把握することが困難な場合や、販売価額の変動が大きい場合があるため、正味売却価額は期末付近の合理的な期間の平均的な売価を基礎として算定しており、一定の仮定を設定しております。正味売却価額の算定は見積りの不確実性が高く、市況等によって実際の販売価額が変動することにより、翌事業年度以降の財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当事業年度の業績につきましては、売上高を検査分野別で見ると、生化学検査分野は、前期同水準の22億7千2百万円(前期比1.7%減)、免疫検査分野は堅調に推移し、27億5千2百万円(前期比11.8%増)となりました。また、その他の分野は、2億8千万円(前期比0.8%減)となりました。
なお、前事業年度及び当事業年度に係る製品・商品の売上構成は下記に示したとおりであります。
|
区分 |
前事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
|||
|
金額(千円) |
構成比 (%) |
金額(千円) |
構成比 (%) |
||
|
製品 |
生化学検査試薬 |
2,271,075 |
44.9 |
2,240,833 |
42.2 |
|
免疫血清検査試薬 |
1,747,480 |
34.6 |
2,035,164 |
38.4 |
|
|
その他 |
267,670 |
5.3 |
275,421 |
5.2 |
|
|
計 |
4,286,225 |
84.8 |
4,551,419 |
85.8 |
|
|
商品 |
生化学検査試薬 |
39,967 |
0.8 |
31,900 |
0.6 |
|
免疫血清検査試薬 |
715,521 |
14.1 |
717,603 |
13.5 |
|
|
その他 |
14,750 |
0.3 |
4,645 |
0.1 |
|
|
計 |
770,238 |
15.2 |
754,149 |
14.2 |
|
|
合計 |
生化学検査試薬 |
2,311,042 |
45.7 |
2,272,734 |
42.8 |
|
免疫血清検査試薬 |
2,463,001 |
48.7 |
2,752,768 |
51.9 |
|
|
その他 |
282,420 |
5.6 |
280,066 |
5.3 |
|
|
計 |
5,056,464 |
100.0 |
5,305,569 |
100.0 |
|
当社は、流動性資金を安定的に確保するための基本方針として、年次資金計画に基づき、事業運営のために必要な資金(主に銀行借入)を調達しております。また、一時的な余剰資金は安全性の高い金融資産で運用し、現金及び現金同等物の十分な流動性を確保しながら、事業継続と将来に向けた事業の拡大のため、効率的に資本を投下、運用していくことが経営課題であると認識しております。
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、営業利益率と経常利益率としております。当事業年度の営業利益率は、前事業年度と比べ1.6ポイント減の15.5%となりました。経常利益率につきましては、前事業年度と比べ2.8ポイント減の15.6%となりました。なお、増加要因につきましては、「第2事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりです。
③経営成績に重要な影響を与える要因について
当社の経営成績に重要な影響を与える要因といたしましては、診療報酬改定をはじめとした国の医療保険制度改革や医療機関の経営合理化による医療費引き下げ等の外的要因による収益の変動が考えられます。
④戦略的現状と見通し
当社におきましては、基幹領域である生化学及び免疫検査分野を中心とした既存の臨床検査試薬・機器事業を拡充すると共に、提携企業各社との協業を強化し、ユーザーニーズをいち早く取り入れた診断薬の開発・製造販売を目指し、事業拡大につなげてまいります。
⑤経営者の問題認識と今後の方針について
当社の経営陣は、現在の臨床検査薬業界における市場の動向や事業環境の変化及び資金調達環境等、日々変化する情報を可能な限り迅速に入手できる体制を整備し、最善の経営方針と意思決定を行えるように努めております。
当社は、体外診断用医薬品の製造販売会社として、臨床検査試薬・機器の開発から生産・販売を通じ、「医療への貢献を目指し、医療現場へのサービス向上と充実を目指した経営」に取り組んでまいりました。現代医療における臨床検査は、診断と医療だけでなく医療費適正化の観点からも早期確定が求められており、当社の役割は益々大きくなってまいります。臨床検査業界自体が新たな流れを生み出すなか、医療現場のニーズに応えるべく独創的な製品開発と高品質な製品供給に努めてまいります。
臨床検査薬業界における市場環境は、今後も診療報酬改定等の医療費抑制政策や価格競争等の影響により厳しさを増していくものと予想しております。当社におきましては、市場の動向や顧客ニーズに対応した魅力ある製品の開発に努めるとともに、経営効率の改善による財務体質の強化に引き続き注力し、収益性の高い開発型企業を目指してまいります。
(1)技術の提携
|
相手先 |
契約の内容 |
契約期間 |
|
日本化薬株式会社 |
「診断薬」の研究開発業務提携に関する契約 |
1987年6月1日から 1990年5月31日まで 以降1年ごとの自動更新 |
|
シスメックス株式会社 |
化学発光酵素免疫装置専用試薬の委託開発に関する契約 |
2022年9月1日から 2027年3月31日まで |
(2)仕入・販売の提携
|
相手先 |
契約の内容 |
契約期間 |
|
日本化薬株式会社 |
「ラナ1,5AGオート」の売買に関する契約 |
1993年9月21日から 1994年11月30日まで 以降1年ごとの自動更新 |
|
積水メディカル株式会社 |
「アクアオートカイノスTBA試薬」の売買に関する契約 |
1999年4月21日から 2000年4月20日まで 以降1年ごとの自動更新 |
|
旭化成ファーマ株式会社 |
「胆汁酸液状試液」の売買に関する契約 |
1999年12月1日から 2004年11月30日まで 以降1年ごとの自動更新 |
|
株式会社ニチレイバイオサイエンス |
「商品」の売買に関する契約 |
2002年8月1日から 2005年7月31日まで 以降1年ごとの自動更新 |
|
ミナリスメディカル株式会社 |
「FGF-23測定用試薬(研究用)」のノウハウライセンス契約 |
2023年1月7日から 2029年1月6日まで 以降1年ごとの自動更新 |
|
シスメックス株式会社 |
「HISCL試薬」の売買に関する契約 |
2008年12月1日から |
|
DIAGNOSTIC GRIFOLS,S.A. MEDION GRIFOLS DIAGNOSTICS AG GRIFOLS INTERNATIONAL,S.A. |
「輸血検査関連製品」の国内販売に関する契約 |
2017年4月1日から 2022年3月31日まで 以降1年ごとの自動更新 |
|
富士フイルム和光純薬株式会社 |
「輸血検査関連製品」の販売に関する契約 |
2011年9月30日から 2014年9月29日まで 以降1年ごとの自動更新 |
|
デンカ株式会社 |
「商品」の売買に関する契約 |
2019年7月1日から 2024年6月30日まで 以降1年ごとの自動更新 |
当事業年度における研究開発活動としましては、シスメックス株式会社との資本業務提携を通じた協業体制強化の一環として、同社の保有する測定プラットフォーム向けの、複数の免疫検査試薬の開発を実施継続中です。
生化学分野では、当社の基盤技術を応用した腎機能関連検査項目と液状キャリブレータの改良に注力し、グルコース測定試薬の改良品と、利便性向上を目的とした小包装の液状キャリブレータを上市しました。また、輸血検査分野では、抗がん剤投与による検査結果への影響を回避するための試薬である「Grifols sCD38」を上市しました。既存方法より簡易で検査され、業務の効率化に寄与する製品です。
なお、当事業年度における研究開発費の総額は